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JP2005054038A - 表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品 - Google Patents

表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品 Download PDF

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JP2005054038A
JP2005054038A JP2003285529A JP2003285529A JP2005054038A JP 2005054038 A JP2005054038 A JP 2005054038A JP 2003285529 A JP2003285529 A JP 2003285529A JP 2003285529 A JP2003285529 A JP 2003285529A JP 2005054038 A JP2005054038 A JP 2005054038A
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Kenichi Kumaki
研一 熊木
Tadashi Terajima
忠司 寺島
Nobutaka Yuzawa
伸貴 湯澤
Takeshi Tachikawa
毅 立川
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Nippon Unicar Co Ltd
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Abstract

【課題】 難燃性組成物として優れた機械特性を得ることができ、かつ耐水性、耐炭酸ガス白化性及び表面への炭酸マグネシウムの目視による結晶析出評価にも優れた性能を持つ新規の表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品を提供する。
【解決手段】 多価アルコール高級脂肪酸エステルで表面処理されることを特徴とする、多価アルコール高級脂肪酸エステルによる表面処理量が0.5〜5.0重量%であることを特徴とする、又は多価アルコール高級脂肪酸エステルはエステル化率が40〜90%であることを特徴とする表面処理水酸化マグネシウム、その表面処理水酸化マグネシウムを、樹脂又はゴムに、配合することを特徴とする難燃性組成物、及びその難燃性組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出成形品などを提供した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規の表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品に関し、更に詳しくは多価アルコールの高級脂肪酸エステルで表面処理された水酸化マグネシウム、それを用いた優れた機械特性、耐水性耐及び炭酸ガス白化性を持つ難燃性組成物、並びに特に電線・ケーブルの被覆層として好適なそれより得られる押出成形品に関する。
従来、樹脂やゴムの難燃剤としては、ハロゲン含有化合物やこれとリン含有化合物等を組み合わせて使用するものが用いられてきたが、環境負荷や廃棄物処理の問題が提起され、天然にも産し、安全な水酸化マグネシウムの使用が多く提案されている。
しかしながら、水酸化マグネシウムは、比較的多量に配合しなければ難燃性が得られず、しかも、オレフィン系樹脂等の樹脂やゴムと水酸化マグシウムとの相溶性も悪く、得られる難燃性組成物中での水酸化マグネシウムの分散性や、水酸化マグネシウムが空気中の水及び二酸化炭素と反応して、炭酸マグネシウムに変質し、耐炭酸ガス白化性や吸湿性(耐水性)に問題があり、これが押出成形品として電線・ケーブルの被覆層として使用されると電気特性の著しい低下を招くという問題があった。
特許文献1では、水酸化マグネシウムの表面を、脂肪酸、脂肪酸金属塩、チタネートカップリング剤またはシランカップリング剤のいずれかで表面処理した特定の粒子径を持つ水酸化マグネシウムを配合する難燃性電気絶縁組成物が提案されているが、機械特性について充分な効果がなく、また、炭酸マグネシウムが難燃性組成物の表面に析出し、見た目が悪くなる問題があった。
一方、特許文献2では、機械強度を得るために、難燃性組成物に酸変性樹脂を更に配合することを提案しているが、機械強度は強まるが、コストアップになり、かつ押出加工性が悪化し、問題となっていた。
特開昭60−100302号公報(特許請求の範囲等) 特開昭62−10151号公報(特許請求の範囲等)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、難燃性組成物として優れた機械特性を得ることができ、かつ耐水性、耐炭酸ガス白化性及び表面への炭酸マグネシウムの目視による結晶析出評価にも優れた性能を持つ新規の表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、水酸化マグネシウムのための各種の表面処理剤を検討し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、多価アルコール高級脂肪酸エステルで表面処理されることを特徴とする表面処理水酸化マグネシウムが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、多価アルコール高級脂肪酸エステルによる表面処理量が0.5〜5.0重量%であることを特徴とする表面処理水酸化マグネシウムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、多価アルコール高級脂肪酸エステルは、エステル化率が40〜90%であることを特徴とする表面処理水酸化マグネシウムが提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、多価アルコール高級脂肪酸エステルは、グリセリン−ステアリン酸エステルであることを特徴とする表面処理水酸化マグネシウムが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、樹脂又はゴムに、第1〜4のいずれかの発明の表面処理水酸化マグネシウムを配合することを特徴とする難燃性組成物が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、樹脂又はゴム100重量部に対して、表面処理水酸化マグネシウム50〜250重量部を配合することを特徴とする難燃性組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第5又は6の発明において、樹脂又はゴムは、エチレン系樹脂であることを特徴とする難燃性組成物が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、エチレン系樹脂は、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする難燃性組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第5〜8のいずれかの発明の難燃性組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出成形品が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第5〜8のいずれかの発明の難燃性組成物を押出成形して得られた被覆層を有する電線・ケーブルが提供される。
上記のように、本発明は、多価アルコール高級脂肪酸エステルで表面処理したことを特徴とする表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品であるので、多価アルコール高級脂肪酸エステルでの表面処理により、得られる表面処理水酸化マグネシウムは、無極性あるいは弱い極性しか持たない樹脂又はゴムと、多価アルコール高級脂肪酸エステルを介して優れた相溶性をもち、よって、優れた分散性をもち、得られる難燃性組成物の機械特性、特に引張破壊応力が強まるとともに、優れた耐水性、耐炭酸ガス白化性、及び炭酸マグネシウムが難燃性組成物の表面に析出し見た目が悪くなることも大きく軽減する効果を持つ。
さらに、本発明によれば、多価アルコール高級脂肪酸エステルのエステル化率を調整することにより、機械特性と耐水性、耐炭酸ガス白化性のバランスを調整ことも可能となり、機械特性を強めるために、押出加工性に対して悪影響のある酸変性樹脂等の配合も、不必要となり、押出加工性を確保することができる。
以下、本発明の表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品について、各項目毎に詳細に説明する。
1.多価アルコール高級脂肪酸エステル
本発明の表面処理水酸化マグネシウムは、多価アルコール高級脂肪酸エステルで表面処理されることを特徴とする。
本発明において、使用される多価アルコール高級脂肪酸エステルを構成する多価アルコールとしては、トリメチロールエタン(3価)、グリセリン(3価)、トリメチロールプロパン(3価)、エリスリトール(4価)、ペンタエリスリトール(4価)等が挙げられる。多価アルコールの中では、グリセリンが好適に使用される。
また、本発明において使用される多価アルコール高級脂肪酸エステルを構成する高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸等が挙げられる。高級脂肪酸の中では、ステアリン酸が好適に使用される。
多価アルコール高級脂肪酸エステルのエステル化率とは、多価アルコールの複数の水酸基の中で、エステル化がなされた基の%を意味する。例えば、グリセリン−モノステアリン酸エステルのエステル化率は、33.3%となる。
本発明において使用される多価アルコール高級脂肪酸エステルのエステル化率は、40〜90%が望ましく、好ましくは50〜85%が望ましい。エステル化率が50%辺りにおいて、機械特性、特に引張破壊応力が向上する。また、エステル化率が上がると、わずかに機械特性の低下が認められるが、実用上問題となるものではない。一方、エステル化率が上がるとともに、耐水性、耐炭酸ガス白化性が強まる。他方、特にエステル化率が40%未満の多価アルコール高級脂肪酸エステルを用いた場合、表面被覆しない水酸化マグネシウムの場合と比べては優れているが、耐水性、耐炭酸ガス白化性が劣り始める。
この様に、本発明では、エステル化率を調整することにより、所望の機械特性と耐水性、耐炭酸ガス白化性のものを調製することができる。
多価アルコール高級脂肪酸エステルの、水酸化マグネシウムに対する表面処理量は、0.5〜5.0重量%が望ましく、好ましくは1.0〜4.0重量%、更に好ましくは1.5〜3.5重量%である。
表面処理量が0.5重量%未満であると、水酸化マグネシウムの表面全体を覆うことが困難となり、機械特性、耐水性、耐炭酸ガス白化性のいずれも低下し、これが5.0重量%を超えると、水酸化マグネシウムの難燃剤として効果が低下する。
なお、本発明においては2種以上の多価アルコール高級脂肪酸エステルを使用でき、かつ、1種の多価アルコールと1種の高級脂肪酸によるエステルに加えて、1種以上の多価アルコールと1種以上の高級脂肪酸によるエステルを多価アルコール高級脂肪酸エステルとして、使用することもできる。
2.水酸化マグネシウム
本発明において、使用される水酸化マグネシウムとしては、海水等から製造された合成水酸化マグネシウム及び天然産ブルーサイト鉱石を粉砕して製造された水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱石(以下、天然産水酸化マグネシウムとも言う。)のいずれも好適に用いることができ、その平均粒径は、分散性、難燃性の効果から40μm以下が好ましく、特に0.2〜6μmのものが好ましい。
3.表面処理水酸化マグネシウムの調製
本発明の表面処理水酸化マグネシウムは、公知の表面処理法で表面処理すればよく、特に限定されない。
例えば、海水から製造する合成水酸化マグネシウムの場合、水溶液中で水酸化マグネシウムの結晶析出が行われるので、この水溶液中に所望量の多価アルコール高級脂肪酸エステルを、必要ならばアルコール等の溶媒に希釈して配合し、析出後乾燥させて、多価アルコール高級脂肪酸エステルで表面処理された表面処理水酸化マグネシウムを製造することができる。
また、合成水酸化マグネシウム及び天然産水酸化マグネシウムとも、例えば多価アルコール高級脂肪酸エステルの有機溶媒液を加え混合するスラリー法を採用して、製造することができる。
更に、上述のいわゆる湿式法に加えて、以下に説明する乾式法で表面処理することもできる。
すでに、使用目的に応じた粒径を持つ合成水酸化マグネシウム又は天然産水酸化マグネシウムに、所望量の多価アルコール高級脂肪酸エステルを加え、これが溶融する温度以上、例えば100〜120℃に加熱しながら攪拌混合することにより、製造することができる。この場合は、コンティニュアスミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、スーパーミキサー、ボールミル等公知の混合機を用いればよい。
また、天然産水酸化マグネシウムの場合は、粉砕して使用するので、粗粉砕の天然産水酸化マグネシウムと所望量の多価アルコール高級脂肪酸エステルをボールミル等に入れ、必要ならば外部から多価アルコール高級脂肪酸エステルが溶解する温度に加熱しながら、粉砕と同時に表面処理を行ってもよい。
4.樹脂又はゴム
本発明で使用される樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
これらの中では、無極性あるいは弱い極性しか持たないオレフィン系樹脂を好適に使用することができる。
オレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂が挙げられる。
エチレン系樹脂としては、高圧法ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、エチレン−カルボン酸ビニルエステル共重合体が挙げられ、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等を挙げることができる。
本発明では、それ自体水酸化マグネシウムとの相溶性がある、メルトマスフローレート0.05〜50g/10分及びコモノマー含有量が5〜40重量%のエチレン−アクリル酸エチル共重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、並びにメルトマスフローレート0.05〜50g/10分及び密度0.86〜0.92g/cmの直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体を好適に使用することができる。
プロピレン系樹脂としては、具体的にはプロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体等を例示できる。
ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体等を例示できる。
なお、樹脂又はゴムは、1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
5.難燃性組成物
本発明の難燃性組成物は、それぞれ所定量の樹脂又はゴム、本発明の表面処理水酸化マグネシウム及び必要に応じて適当量のその他の配合物(安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、核剤、滑剤、加工性改良剤、充填剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、気泡防止剤、着色剤、カーボンブラック、その他の難燃剤)を配合して、一般的な方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、コンティニュアスミキサー、ロールミルあるいは押出機を用いて均一に溶融混合することによって製造することができる。
製造した本発明の難燃性組成物は、次いで粒径2〜7mm程度のペレットに造粒し、これを成形に用いることが望ましい。
なお、本発明の難燃性組成物においては、表面処理水酸化マグネシウムの配合量は、樹脂又はゴム100重量部に対して、50〜250重量部、好ましくは60〜200重量部、更に好ましくは75〜180重量部である。
配合量が50重量部未満では、難燃性が低下し、かつ、難燃性樹脂組成物の引張破壊応力の低下それ自体が小さい。一方、250重量部を超えると、機械特性、押出加工性が落ちる。
6.押出成形品
本発明の押出成形品は、上記の難燃性組成物を、公知の方法で押出成形機を用い、これに投入し加熱溶融させた後、金型から押出成形して製造することができる。
押出成形品が電線・ケーブルの被覆層である場合は、電線・ケーブルの芯線上に絶縁層やシース層として同様に押出成形して被覆することにより製造することができる。
次に実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中で用いられた評価は、それぞれ以下の方法によるものである。
「評価」
I.機械特性
I−1.引張破壊応力
得られた難燃性組成物をプレス成形(温度160℃、予熱圧力0.5MPa*5分間、加圧圧力15MPa*3分間)し、次いでJIS K6251の4.1に規定する3号ダンベルで打ち抜いた試験片につき、JIS C3005に準拠して行った。3試験片を測定し平均値で評価した。
I−2.引張破壊歪
引張破壊応力試験と同様の試験片を用いて、JIS C3005に準拠して行った。3試験片を測定し平均値で評価した。
II.耐水性
機械特性評価で作成したと同様のプレス成形品約2.5gの四角形に切取り、試験片とした。
試験片を、温度50℃の温水中に浸漬し、4日放置後、試験片を23℃で2時間乾燥し、重量増加率を測定し評価した。
III.耐炭酸ガス白化性
耐炭酸ガス白化性は、重量増加率及び表面目視評価の2方法で行った。
III−1.重量増加率
耐水性で用いた同様の試験片を使用して、これを温度30℃、相対湿度95%の二酸化炭素雰囲気中に入れ、4日放置後、試験片を1.3kPa以下の減圧下で、80℃で12時間乾燥し、重量増加率を測定し評価した。この重量増加率は、必ずしも表面目視評価と一致するものではない。
III−2.表面目視評価
耐炭酸ガス白化性試験後の試験片の表面を、目視で観察し、以下の5段階で評価した。
5=表面に平滑な光沢が認められ、結晶析出がほとんど認められない。
4=表面の光沢は残っているが、結晶析出が認められる。
3=結晶析出が、容易に認められる。
2=表面に光沢がほとんど残っていず、全体に結晶析出が認められる。
1=表面が結晶に覆われ、激しい結晶析出が認められる。
[比較例1−0、1−1]
メルトマスフローレート0.7g/10分、密度0.920g/cmの直鎖状エチレン−ブテン−1共重合体(日本ユニカー製、NUCG−7101)100重量部に対して、酸化防止剤のテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャルティケミカル製、イルガノックス1010)2重量部をバンバリーミキサーで160℃で10分間混合し、これを粒径約4mmのペレットにし、ベース樹脂として使用した。
ベース樹脂から上記プレス成形で試験片を調製し、比較例1−0とした。
天然産水酸化マグネシウム(平均粒径3.4μm、神島化学製、マグシーズ−W)に、ステアリン酸を表面処理水酸化マグネシウムとして1重量%となるように配合し、約110℃に加熱しながらスーパーミキサーを用いて10分間混合し、表面処理量1重量%のステアリン酸表面処理水酸化マグネシウムを得た。
得られた表面処理水酸化マグネシウム100重量部を、直鎖状エチレン−ブテン−1共重合体100重量部に相当する上記ベース樹脂と混合し、バンバリーミキサーで180℃で10分間混合し、比較例1−1の難燃性組成物を得、比較例1−0と同様にして試験片を調製し、比較例1−1とした。
これら比較例の評価結果を表1に示したが、比較例1−0では、良好な引張破壊応力を有していたが、引張破壊歪は低く、機械特性のバランスが不良であった。また、耐水性は良好であったが、耐炭酸ガス白化性は、重量増加率及び表面目視評価とも非常に不良であった。
また、比較例1−1では、引張破壊歪の向上が認められたが、試験片間の大きなばらつきあった。更に、引張破壊応力がかえって比較例1−0より悪化し、機械特性の悪いものであったが、耐水性及び耐炭酸ガス白化性のうち重量増加率は良好であった。しかしながら、表面目視評価では、表面処理のない比較例1−0と同じ悪い結果を示したが、実際の目視では更に悪い傾向が認められた。
総合評価として、これらの比較例は、機械特性、耐水性及び耐炭酸ガス白化性のすべてでは良好な結果は示さなかった。
[実施例1−1、1−2]
表面処理剤として、グリセリン−ステアリン酸モノエステルとグリセリン−ステアリン酸ジエステルの等量混合物からなるグリセリン−ステアリン酸エステル(平均エステル化率50%、理研ビタミン製、S−200)及びグリセリン−ステアリン酸ジエステルとグリセリン−ステアリン酸トリエステルの等量混合物からなるグリセリン−ステアリン酸エステル(平均エステル化率83%、理研ビタミン製、S−95)を用いて、比較例1−1と同様にして、それぞれの表面処理水酸化マグネシウムを得て難燃性組成物を得、同様にして評価した。
評価結果を表1に示したが、表面処理量1重量%のこれらは、比較例1−1より良好な引張破壊応力及び引張破壊歪を示し、機械特性が改善されていた。しかも、優れた耐水性を持ち、耐炭酸ガス白化性においても表面目視評価で、明らかに比較例1−1より優れていた。
なお、表1には示していないが、これらの実施例は、すべて良好な押出加工性であることも確認した。
[比較例2−1、実施例2−1、2−2]
表面処理量を2重量%に換えた以外は、比較例1−1、実施例1−1及び1−2と同様にして、それぞれの表面処理水酸化マグネシウムを得て難燃性組成物を得、同様にして評価した。
評価結果を表1に示したが、表面処理量2重量%のこれらは、即ち比較例2−1は、機械特性が低く、耐炭酸ガス白化性も、表面目視評価で悪いものであったが、実施例2−1及び2−2は、すべての比較例に比べて、良好な機械特性をもち、かつ耐水性も好適で、しかも耐炭酸ガス白化性において良好な評価結果を示し、これらは、実用価値のある優れた表面処理水酸化マグネシウム及び難燃性組成物であった。
なお、表1には示していないが、これらの実施例は、すべて良好な押出加工性であることも確認した。
[比較例3−1、実施例3−1、3−2]
表面処理量を3重量%に換えた以外は、比較例1−1、実施例1−1及び1−2と同様にして、それぞれの表面処理水酸化マグネシウムを得て難燃性組成物を得、同様にして評価した。
評価結果を表1に示したが、表面処理量3重量%のこれらは、即ち比較例3−1は、機械特性が低く、耐炭酸ガス白化性も、比較例2−1よりは改善され表面目視評価では3であったが、実施例3−1及び3−2は、実施例2−1及び2−2に比べても、更に良好な機械特性をもち、かつ耐水性は、若干の低下が認められたが好適なものであり、しかも耐炭酸ガス白化性において良好な評価結果を示し、これらは、実用価値のある優れた表面処理水酸化マグネシウム及び難燃性組成物であった。また、エステル化率に関しては、耐水性及び耐炭酸ガス白化性の両方の重量増加率がより小さく、実施例3−2(83%)が実施例3−1(50%)より更に優れた表面処理水酸化マグネシウム及び難燃性組成物であることも示した。
なお、表1には示していないが、これらの実施例は、すべて良好な押出加工性であることも確認した。
[比較例4−1、実施例4−1、4−2]
表面処理量を4重量%に換えた以外は、比較例1−1、実施例1−1及び1−2と同様にして、それぞれの表面処理水酸化マグネシウムを得て難燃性組成物を得、同様にして評価した。
評価結果を表1に示したが、表面処理量4重量%のこれらは、即ち比較例4−1は、表面処理量3重量%の比較例3−1と同レベルの評価結果を示し、実施例4−1、4−2もほぼ同様であったが、実施例は、機械特性、表面目視評価に優れ、耐水性に関しては、十分実用価値を持つものであった。
また、エステル化率に関しては、耐水性及び耐炭酸ガス白化性の両方の重量増加率がより小さく、実施例4−2(83%)が、実施例4−1(50%)より更に優れた表面処理水酸化マグネシウム及び難燃性組成物であることも示した。
更に、これまでの試験から、水酸化マグネシウムに対する表面処理量は、0.5〜5.0重量%が望ましく、好ましくは1.0〜4.0重量%、更に好ましくは1.5〜3.5重量%であることが導かれた。
なお、表1には示していないが、これらの実施例は、すべて良好な押出加工性であることも確認した。
Figure 2005054038
[実施例5−1、実施例5−2]
表面処理量を10重量%に換えた以外は、実施例1−1及び1−2と同様にして、それぞれの表面処理水酸化マグネシウムを得て難燃性組成物を得、同様にして耐炭酸ガス白化性を評価した。
評価結果を表2に示したが、実施例5−1(表面処理剤エステル化率50%)及び実施例5−2(表面処理剤エステル化率83%)の耐炭酸ガス白化性の重量増加率及び表面目視評価は、それぞれ、2.50重量%と3、及び0.49重量%と5であり、無表面処理の比較例1−0の4.23重量%と2より優れており、本発明の効果が認められた。
Figure 2005054038
[比較例5、実施例6、7]
天然産水酸化マグネシウムを合成水酸化マグネシウム(平均粒径1.9μm、神島化学製、マグシーズ−N4)に換えた以外は、比較例1−0、実施例2−2及び実施例4−2と同様にして、それぞれの表面処理水酸化マグネシウムを得て難燃性組成物を得、同様にして耐水性、耐炭酸ガス白化性を評価した。
評価結果を表3に示したが、表面処理量2重量%及び4重量%の実施例6及び実施例7は、耐水性は好適な範囲であり、かつ比較例5に比べて優れた耐炭酸ガス白化性(重量増加率及び表面目視評価)を示し、特に、表面目視評価で、本発明が優れていた。
Figure 2005054038
本発明の表面処理水酸化マグネシウム、それを用いた難燃性組成物、及びそれより得られる押出成形品は、本発明の表面処理水酸化マグネシウムが樹脂又はゴムとの相溶性に優れ、これを配合した難燃性組成物は、優れた機械強度と、優れた耐水性、耐炭酸ガス白化性及び炭酸マグネシウムの析出による外観の劣化も大きく軽減され、かつ押出成形性も確保されているので、難燃性カバー、パイプ、シート、フィルム、電線・ケーブルの被覆層等の押出成形品として有効に使用することができる。

Claims (10)

  1. 多価アルコール高級脂肪酸エステルで表面処理されることを特徴とする表面処理水酸化マグネシウム。
  2. 多価アルコール高級脂肪酸エステルによる表面処理量が0.5〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理水酸化マグネシウム。
  3. 多価アルコール高級脂肪酸エステルは、エステル化率が40〜90%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理水酸化マグネシウム。
  4. 多価アルコール高級脂肪酸エステルは、グリセリン−ステアリン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理水酸化マグネシウム。
  5. 樹脂又はゴムに、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理水酸化マグネシウムを配合することを特徴とする難燃性組成物。
  6. 樹脂又はゴム100重量部に対して、表面処理水酸化マグネシウム50〜250重量部を配合することを特徴とする請求項5に記載の難燃性組成物。
  7. 樹脂又はゴムは、エチレン系樹脂であることを特徴とする請求項5又は6に記載の難燃性組成物。
  8. エチレン系樹脂は、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の難燃性組成物。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の難燃性組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出成形品。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の難燃性組成物を押出成形して得られた被覆層を有する電線・ケーブル。
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