[go: up one dir, main page]

JP2005036815A - 炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005036815A
JP2005036815A JP2003196881A JP2003196881A JP2005036815A JP 2005036815 A JP2005036815 A JP 2005036815A JP 2003196881 A JP2003196881 A JP 2003196881A JP 2003196881 A JP2003196881 A JP 2003196881A JP 2005036815 A JP2005036815 A JP 2005036815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon carbide
friction coefficient
low friction
sliding material
carbide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003196881A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4178236B2 (ja
Inventor
Yu Shu
游 周
Kiyoshi Hirao
喜代司 平尾
Yukihiko Yamauchi
幸彦 山内
Shuzo Kanzaki
修三 神崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2003196881A priority Critical patent/JP4178236B2/ja
Publication of JP2005036815A publication Critical patent/JP2005036815A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4178236B2 publication Critical patent/JP4178236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/02Parts of sliding-contact bearings
    • F16C33/04Brasses; Bushes; Linings
    • F16C33/043Sliding surface consisting mainly of ceramics, cermets or hard carbon, e.g. diamond like carbon [DLC]

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

【課題】ドライ環境下においても0.2以下の低摩擦係数を経時変化なく安定して維持し、かつ優れた機械特性を有する炭化ケイ素質低摩擦摺動材料等を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素粒子を板状に発達させて、低い摩擦係数を経時変化なく安定して維持できるようにした炭化ケイ素−炭素複合材料であって、炭化ケイ素に、炭化アルミニウムと炭化ホウ素とをモル比で2:1を最適とする割合で混合した焼結助剤を1.5〜10.0重量%及びグラファイトを5〜20重量%添加し、不活性雰囲気中で焼結することにより、炭化ケイ素粒子が板状に発達した、強度が500MPa以上、破壊靭性が4MPam1/2以上、摩擦係数が0.2以下であり、摩擦係数の経時変化がなく安定して低摩擦係数を維持する炭化ケイ素質低摩擦摺動材料、その製造方法及び該材料を用いた機械用摺動部材。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化ケイ素質低摩擦摺動材料に関するものであり、更に詳しくは、機械用摺動部材として用いられる、高い強度、高い靭性、低い固体摩擦係数を合わせ持つ炭化ケイ素−炭素複合材料、その製造方法及び該複合材料を用いた機械用摺動部材に関するものである。本発明は、近年、金属材料では適用が困難な条件下での摺動材料として注目されている構造用セラミックスの分野において、従来、摺動開始後に摩擦係数が経時的に変化し、安定性に欠けるという問題があった炭化ケイ素−炭素複合材料について、それらの問題点を抜本的に改善した、新規な炭化ケイ素質低摩擦摺動材料を提供するものである。本発明は、従来技術では作製することが難しかった、0.2以下の低摩擦係数を安定して発現し、かつ構造材料としての高い強度と靭性を同時に有する炭化ケイ素質低摩擦摺動材料を提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、構造用セラミックスは、金属と比べて高い硬度、耐熱性、化学的安定性を持つことから、金属材料では適用が困難な条件下での摺動材料として適用することが検討されてきた。構造用セラミックスのなかでも、特に、炭化ケイ素セラミックスは、高い硬度、耐食性、耐熱性をバランスよく兼ね備えており、例えば、液体搬送ポンプ用のメカニカルシ−ル材料、軸受け材料などとして一部実用化されている。しかし、炭化ケイ素セラミックスは、自己潤滑性に乏しく、気体や蒸気のドライ環境下で用いた場合、摩擦係数が増加してしまい、摺動相手材や自身の摩耗、損傷あるいは摺動面に焼き付きを生じる場合がある。また、炭化ケイ素セラミックスは、過負荷での始動、停止時あるいは熱水の流入など一時的にドライ環境となる場合も、同様な損傷を招く恐れがある。
【0003】
このため、例えば、ドライ環境下での潤滑性を向上させるべく炭化ケイ素に自己潤滑性に優れたグラファイトを分散させた複合材料の開発が行われてきた。この場合、それらの複合化技術には、(1)樹脂をセラミックス中に混合し、複合体を仮焼することによりグラファイト化する手法、及び(2)直接グラファイト粉末をセラミックス粉末と混合し、焼結する手法、という大きく分けて二種類の方法がある。
これらの方法のうち、先ず、前者の方法に関しては、例えば、先行技術文献(特許文献1及び2)において、炭化ケイ素原料粉末と焼結助剤に、炭素源としてのフラン樹脂、フェノ−ル樹脂、コ−ルタ−ルピッチなどを添加した混合粉末を、仮焼して樹脂を炭素に転換した後、高温で焼結することにより炭化ケイ素−炭素複合セラミックスとする方法が開示されている。更に、他の先行技術文献(特許文献3)には、炭化ケイ素原料粉末に炭素源としての樹脂と炭化ケイ素の前駆体樹脂とを同時に加え、成形体となし、仮焼、焼結することにより高い破壊靭性と低摩擦係数を実現させた炭化ケイ素質セラミックスの製造方法が開示されている。
【0004】
しかし、これらの方法においては、炭素源に主として有機樹脂を用いているので、仮焼時にタ−ルや有害ガスが発生するため、これらを取り除く専用焼結炉が必要であるという欠点を有する。更に、これらの方法では、加熱処理温度を炭化ケイ素の焼結温度以下に抑える必要があることから、炭素中のグラファイト構造含有率が低くなり、得られた複合体の摩擦係数は、これらの文献に記載されている実施例から見ると、前者の先行技術文献(特許文献1及び2)において0.28〜0.55、後者の先行技術文献(特許文献3)において0.26〜3.0であり、いずれの場合も0.2以下の摩擦係数を実現することは困難であった。
【0005】
一方、後者の方法に関しては、例えば、先行技術文献(特許文献4)において、炭化ケイ素原料粉末に60〜250メッシュのグラファイト粉末を10〜30容量%添加し、焼結する方法が開示されている。しかし、グラファイトの添加量とともに摩擦係数は0.2以下にまで小さくなるものの、多量のグラファイトの添加が必要であり、しかも摩擦係数の低下に伴ない著しい強度低下をもたらすという欠点があった。このような問題に対処するために、例えば、先行技術文献(特許文献5)には、20μm以下の粒径を有するグラファイト粒子をエマルジョン液とし、炭化ケイ素粉末に対し、グラファイト換算で3〜20重量%添加して焼結体を作製する方法が開示されている。この方法で得られた複合体は、0.2以下の摩擦係数と550MPa以上の高強度が実現されているが、経時的な安定性に欠けるという問題があった。これは、炭化ケイ素にグラファイトを単純に添加したのでは、後記する比較例4において示すように、グラファイトが効果的に摺動面に供給されず、摺動時間(又は距離)の増加に伴ない固体潤滑材が一時的に枯渇した状況となり、再び潤滑材が摺動面に供給されるまで一時的に摩擦係数が上昇するためであると考えられる。一般に、グラファイトは、高い固体潤滑性を有することが知られている。しかしながら、単純にグラファイトを炭化ケイ素に分散させたのでは、グラファイトが効果的に摺動面に供給されないので、摩擦係数が低下するのに時間を要し、また、一旦摩擦係数が低くなっても、摺動時間の増加につれ再び摩擦係数が増加する現象が生起し、問題となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−206771号公報
【特許文献2】
特開平11−171648号公報
【特許文献3】
特開2002−255651号公報
【特許文献4】
特開昭63−260861号公報
【特許文献5】
特開平10−203871号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、低摩擦係数、高い強度及び靭性を同時に有する炭化ケイ素−炭素複合材料を開発することを目標として鋭意研究を進めた結果、炭化ケイ素の粒子が等軸状であると炭化ケイ素−炭素複合材料の摩擦係数は安定せず、一方、炭化ケイ素を板状に発達させることにより炭化ケイ素−炭素複合材料は安定して低い摩擦係数を維持できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、0.2以下の低摩擦係数を安定して発現し、かつ構造材料としての高い強度と靭性を同時に有する炭化ケイ素質セラミック摺動材料及びその製造方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、該炭化ケイ素質セラミック摺動材料を構造要素として含む機械用摺動部材を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)炭化ケイ素粒子を板状に発達させて、低い摩擦係数を経時変化なく安定して維持できるようにした炭化ケイ素−炭素複合材料であって、
(a)グラファイトの含有量が5〜20重量%の範囲にある、
(b)炭化ケイ素粒子が板状の形を有している、
(c)強度が500MPa以上、破壊靭性が4MPam1/2以上である、
(d)摩擦係数が0.2以下であり、摩擦係数の経時変化がなく低摩擦係数を安定して維持するものである、
ことを特徴とする炭化ケイ素質低摩擦摺動材料。
(2)前記(1)に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料を製造する方法であって、炭化ケイ素粉末に、炭化アルミニウムと炭化ホウ素とがモル比で2:1を最適とする割合で混合された非酸化物系焼結助剤1.5〜10.0重量%及び固体潤滑材としての粒径20μm以下のグラファイト粒子5〜20重量%を添加した混合粉末を、不活性雰囲気下で焼結することにより、炭化ケイ素粒子を板状に発達させることを特徴とする、炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
(3)炭化アルミニウムと炭化ホウ素とのモル比が1:1〜4:1である、前記(2)に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
(4)炭化ケイ素の結晶型が、β型である、前記(2)に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
(5)不活性雰囲気下で1800℃〜2100℃の温度で焼結する、前記(2)に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
(6)前記(1)に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料を構成要素として含むことを特徴とする機械用摺動部材。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。本発明においては、炭化ケイ素を板状に発達させるために、炭化ケイ素粉末に、炭化アルミニウムと炭化ホウ素とがモル比で2:1を最適とする割合で混合された非酸化物系焼結助剤1.5〜10.0重量%及び固体潤滑材としての粒径20μm以下のグラファイト粒子5〜20重量%を添加する。この組成は、焼結時1800℃付近で液相を生成し、焼結を促進するとともに、いわゆる溶解・再析出により炭化ケイ素粒子を板状に発達させる役割を持つ。このとき、添加した板状グラファイト近傍の炭化ケイ素はグラファイトに沿った形で板状に発達するので、摺動時にグラファイト粒子は容易にヘキ開し、摺動面へ効果的にグラファイトを供給する。同時に、板状の炭化ケイ素粒子は、キ裂偏向や架橋効果によりクラックの進展を阻害するので靭性の向上に寄与する。
本発明において使用される炭化ケイ素粉末は、板状粒子を効果的に発現させるために、平均粒径3ミクロン以下、好ましくは1ミクロン以下の微粉末である。
また、炭化ケイ素の結晶型は、α型、β型どちらでも良いが、好ましくは板状化をより促進するために、β型粉末を用いることが望ましい。
【0010】
本発明においては、上記の炭化ケイ素粉末に、焼結助剤と固体潤滑材としてのグラファイトを添加する。焼結助剤はモル比で2:1を最適とする炭化アルミニウムと炭化ホウ素との混合物を1.5〜10.0重量%添加する。この場合、1.5重量%以下では、焼結温度を高めても緻密な焼結体を製造することができず、一方、10.0重量%以上では、焼結密度が高い焼結体を得ることはできるが、炭化ケイ素結晶粒界を埋める非晶質粒界相が増加するために、製造された焼結体の耐摩耗性が低下する。炭化アルミニウム及び炭化ホウ素からなる非酸化物系焼結助剤は、一般に試薬として販売されている炭化アルミニウム及び炭化ホウ素のそれぞれの高純度、微細粉末を所定量混合することによって調製することができる。
炭化アルミニウムと炭化ホウ素とのモル比は、2:1とすると、緻密化が容易であるとともに、炭化ケイ素粒子の板状化も促進されことから最適であるが、該モル比は、1:1〜4:1の範囲で変動させることができる。炭化アルミニウムの割合がそれよりも多くなると異常粒子成長が生じ、著しい機械特性の低下をもたらす傾向が現れ、また、炭化アルミニウムの割合がそれよりも少なくなると、焼結時に生成する液相の量が少なくなり、充分に緻密な焼結体を得ることが難しくなる傾向が現れる。しかし、両者の比は、2:1から大幅に離れなければ、それ程注意をしなくともよい。
【0011】
プロセス時の安定性を考えると、焼結助剤は、炭化アルミニウムと炭化ホウ素の組み合わせが好ましいが、アルミニウム、ホウ素、炭素の単体を上記の組成となるように調整することも可能である。
また、添加するグラファイトの量は5〜20重量%が好ましく、この範囲より少ないと十分な潤滑効果が得られず、一方、この範囲より多いと緻密化が困難となり焼結体の強度低下をもたらす。更に、グラファイトの粒子径は、20ミクロン以下の微細粒子が好ましく、これ以上の大きさであると焼結体の強度低下をもたらす。
【0012】
本発明では、上記の割合で秤量された炭化ケイ素粉末、非酸化物焼結助剤粉末、グラファイト粉末をポットミルなどを用いて混合する。混合は乾式、湿式何れの方法でも良いが、湿式の場合、原料粉末の酸化を防ぐために、メタノ−ル、エタノ−ル、トルエンなどの非水溶媒中で行うことが好ましい。溶媒を除去し、成形した後、不活性雰囲気中1800℃〜2100℃の温度で焼結を行う。1800℃以下の焼結では十分な緻密化を行うことができず、一方、2100℃以上の高温で焼結を行うと異常粒成長が生じ、焼結体の強度が著しく低下する。なお、十分な緻密化を行うためには、ホットプレスなど外部から負荷をかけながら焼結することが好ましい。
【0013】
本発明は、炭化ケイ素微粉末に、焼結助剤として炭化アルミニウムと炭化ホウ素とがモル比で2:1を最適とする割合で混合された非酸化物系焼結助剤を1.5から10.0重量%添加し、更に、固体潤滑材として粒径20μm以下のグラファイト粒子を5〜20重量%添加した混合粉末を、成形し、不活性雰囲気で焼結し、板状に発達した炭化ケイ素マトリックス粒子中にグラファイトを分散させた構造をとすることで、高い強度、高い破壊靭性、安定した低摩擦係数を同時に合わせ持つ炭化ケイ素質セラミックスを製造することを可能とするものである。本発明により、500MPa以上の高い強度と4.0MPam1/2以上の高い破壊靭性と0.2以下の低い摩擦係数とを持つ炭化ケイ素質セラミックス材料を提供することができる。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
(1)焼結体の製造
平均粒子径0.3μmのβ型炭化ケイ素粉末に、4.2重量%の炭化アルミニウム(Al)粉末、0.8重量%の炭化ホウ素(BC)粉末及び10重量%のグラファイト粉末(平均粒子径5μm)を添加し、炭化ケイ素ポットと炭化ケイ素ボ−ルを用いてメタノ−ルを溶媒として遊星ミル混合を行った。エバポレ−タで溶媒を除去した後、100メッシュのフルイを通過させた。このようにして得られた混合粉末を黒鉛ダイスに投入し、アルゴン雰囲気中、40MPaの加圧下、1950℃で1時間ホットプレス焼結を行った。得られた焼結体は、添付写真(図1)に示すように、板状に発達した炭化ケイ素中にグラファイト粒子が分散した微構造を有していた。
【0015】
(2)試験方法及び結果
得られた焼結体について、JIS−R1601に基づく4点曲げ強度測定、JIS−R1607に基づく破壊靭性測定を行った。その結果、上記焼結体は、520MPの強度と4.3 MPam1/2の破壊靭性を有していた(表1参照)。
摺動試験は、ボ−ルオンディスク法により行った。焼結体から直径30mm、厚さ5mmのディスク試験片を切り出し、表面を鏡面に研摩した。このようにして作製したディスク試験片と市販の高純度炭化ケイ素ボ−ルを用いて摺動特性を評価した。
静止させた炭化ケイ素ボ−ルに対して回転ディスクを押し付け、押付荷重とトルクを連続的にモニタ−することで摩擦係数の経時変化を記録した。摺動試験は、摺動速度0.18m/s、荷重5N、温度25℃、湿度25%の条件で行った。摺動開始直後0.6程度であった摩擦係数は、極めて短時間に0.2以下に低下し、それ以降、安定して低摩擦係数を維持していた(図2参照)。摩擦係数が安定した後の摩擦係数の平均値は0.15であった。
【0016】
実施例2
実施例1と同じ方法で、グラファイト粉末を増量して20重量%添加した焼結体を作製した。得られた焼結体について、JIS−R1601に基づく4点曲げ強度測定、JIS−R1607に基づく破壊靭性測定を行った。その結果、上記焼結体は、510MPの強度と4.1 MPam1/2の破壊靭性を有していた(表1参照)。また、実施例1と同様な方法で摺動試験を行った結果、摺動開始直後0.6程度であった摩擦係数は、極めて短時間に0.2以下に低下し、それ以降、安定して低摩擦係数を維持していた(図3参照)。摩擦係数が安定した後の摩擦係数の平均値は0.14であった。
【0017】
比較例1及び2
実施例1と同じ方法で、グラファイト粉末を添加しない焼結体及び30重量%添加した焼結体を作製した。グラファイトを添加しない焼結体では、560MPの強度と4.1 MPam1/2の破壊靭性を有していたが、固体潤滑材を含まないため摩擦係数は0.3と高めであった。一方、グラファイトを30重量%添加試料では摩擦係数は0.12まで低下したが、多量のグラファイトを含むため、強度は350MPaまで低下した(表1参照)。
【0018】
比較例3及び4
平均粒子径0.3μmのα型炭化ケイ素粉末に、焼結助剤として0.4重量%の炭化ホウ素(BC)と、2重量%のカ−ボンブラックとを添加し、炭化ケイ素ポットと炭化ケイ素ボ−ルを用いてメタノ−ルを溶媒として遊星ミル混合を行った。エバポレ−タで溶媒を除去した後、100メッシュのフルイを通過させた。このようにして得られた混合粉末を黒鉛ダイスに投入し、アルゴン雰囲気中、40MPaの加圧下、2000℃で1時間ホットプレス焼結を行った(比較例3)。更に、同様な方法でグラファイトを10重量%添加した焼結体も作製した(比較例4)。
いずれの焼結体においても、炭化ケイ素粒子は等軸状であり、粒子径は数ミクロン程度であった。表1に示すように、比較例3の焼結体は破壊靭性が低く、また、摩擦係数は0.72と高かった(図4参照)。比較例4の焼結体においても、摩擦係数は0.36とグラファイトを添加したにも拘わらず大きな改善は見られなかった。この焼結体は、一旦低下した摩擦係数がある段階で上昇し、再び下降するという不安定な挙動を示し(図4参照)、このことが低摩擦係数化を阻害していると考えられる。
【0019】
【表1】
Figure 2005036815
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法等に係るものであり、本発明により、(1)従来技術では作製することが難しかった、0.2以下の低摩擦係数を安定して発現する炭化ケイ素−炭素複合体を製造し、提供することができる、(2)添加した板状グラファイト近傍の炭化ケイ素粒子を板状に発達させることにより、低い摩擦係数を安定して維持できる炭化ケイ素−炭素複合体を製造することができる、(3)摺動開始直後に摩擦係数が0.2以下に低下し、それ以降において経時変化を伴うことなく安定して低い摩擦係数を維持し、かつ高い強度と高い靭性を有している炭化ケイ素質低摩擦摺動材料が得られる、(4)液体搬送ポンプ用のメカニカルシ−ル材料、軸受け材料、更には固形物を含む液体搬送ポンプやドライ環境下など過酷な環境下での摺動部材として有用な炭化ケイ素質低摩擦摺動材料が得られる、という効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の焼結体の組織写真(矢印部はグラファイト粒子)である。
【図2】図2は、実施例1の焼結体の、摺動時の摩擦係数の経時変化を示す図である。
【図3】図3は、実施例2の焼結体の、摺動時の摩擦係数の経時変化を示す図である。
【図4】図4は、比較例3及び4の焼結体の、摺動時の摩擦係数の経時変化を示す図である。

Claims (6)

  1. 炭化ケイ素粒子を板状に発達させて、低い摩擦係数を経時変化なく安定して維持できるようにした炭化ケイ素−炭素複合材料であって、
    (1)グラファイトの含有量が5〜20重量%の範囲にある、
    (2)炭化ケイ素粒子が板状の形を有している、
    (3)強度が500MPa以上、破壊靭性が4MPam1/2以上である、
    (4)摩擦係数が0.2以下であり、摩擦係数の経時変化がなく低摩擦係数を安定して維持するものである、
    ことを特徴とする炭化ケイ素質低摩擦摺動材料。
  2. 請求項1に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料を製造する方法であって、炭化ケイ素粉末に、炭化アルミニウムと炭化ホウ素とがモル比で2:1を最適とする割合で混合された非酸化物系焼結助剤1.5〜10.0重量%及び固体潤滑材としての粒径20μm以下のグラファイト粒子5〜20重量%を添加した混合粉末を、不活性雰囲気下で焼結することにより、炭化ケイ素粒子を板状に発達させることを特徴とする、炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
  3. 炭化アルミニウムと炭化ホウ素とのモル比が1:1〜4:1である、請求項2に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
  4. 炭化ケイ素の結晶型が、β型である、請求項2に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
  5. 不活性雰囲気下で1800℃〜2100℃の温度で焼結する、請求項2に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料の製造方法。
  6. 請求項1に記載の炭化ケイ素質低摩擦摺動材料を構成要素として含むことを特徴とする機械用摺動部材。
JP2003196881A 2003-07-15 2003-07-15 炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4178236B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003196881A JP4178236B2 (ja) 2003-07-15 2003-07-15 炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003196881A JP4178236B2 (ja) 2003-07-15 2003-07-15 炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005036815A true JP2005036815A (ja) 2005-02-10
JP4178236B2 JP4178236B2 (ja) 2008-11-12

Family

ID=34207184

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003196881A Expired - Lifetime JP4178236B2 (ja) 2003-07-15 2003-07-15 炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4178236B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108774065A (zh) * 2018-06-19 2018-11-09 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种SiC/MCMBs复合材料及其制备方法和应用
CN113526960A (zh) * 2021-07-20 2021-10-22 宁波东联密封件有限公司 一种碳化硅陶瓷及其热等静压烧结工艺

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108774065A (zh) * 2018-06-19 2018-11-09 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种SiC/MCMBs复合材料及其制备方法和应用
CN108774065B (zh) * 2018-06-19 2021-03-16 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种SiC/MCMBs复合材料及其制备方法和应用
CN113526960A (zh) * 2021-07-20 2021-10-22 宁波东联密封件有限公司 一种碳化硅陶瓷及其热等静压烧结工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP4178236B2 (ja) 2008-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3624219B2 (ja) 多結晶SiC成形体、その製法及びそれからなる応用品
KR101160140B1 (ko) 지르코늄디보라이드-실리콘카바이드 복합소재의 제조방법
WO2008019182A2 (en) Pressurelessly sintered zirconium diboride/silicon carbide composite bodies and a method for producing the same
Rangaraj et al. Low-temperature processing of ZrB2-ZrC composites by reactive hot pressing
JP5692845B2 (ja) 高剛性セラミックス材料およびその製造方法
US10703679B2 (en) Polycrystalline abrasive constructions
JP2507479B2 (ja) SiC−Al▲下2▼O▲下3▼複合焼結体及びその製造法
JP2005281084A (ja) 焼結体およびその製造方法
JP4178236B2 (ja) 炭化ケイ素質低摩擦摺動材料及びその製造方法
WO2006038489A1 (ja) 導電性窒化ケイ素材料とその製造方法
JP2008050179A (ja) 高密度のAlN−SiC−MeB複合焼結体を製造する方法
JP2851717B2 (ja) 摺動部材
JP4612608B2 (ja) シリコン/炭化ケイ素複合材料の製造方法
JPH0797256A (ja) 酸化アルミニウム基焼結体及びその製造方法
JP2902796B2 (ja) セラミックス複合焼結体およびそれを用いた摺動部材
JP2519076B2 (ja) 炭化珪素ウィスカ―強化セラミックスの製造方法
JP3044290B2 (ja) 粒子分散型複合セラミックスの製造方法
JP2801785B2 (ja) セラミックス複合焼結体の製法
JP4565954B2 (ja) 導電性窒化ケイ素材料とその製造方法
JP2738596B2 (ja) セラミックス複合焼結体およびその製法
JP2652938B2 (ja) 炭化チタン―炭素複合セラミックス焼成体及び製造方法
JP2784280B2 (ja) セラミック複合焼結体及びその製法、並びに摺動部材
JPH09165264A (ja) 窒化珪素質焼結体およびその製造方法
JP2006193353A (ja) アルミナ焼結体、切削インサートおよび切削工具
JP2004339022A (ja) 自己潤滑性を有する珪素・炭化珪素・黒鉛複合焼結体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080421

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080729

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4178236

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term