JP2902796B2 - セラミックス複合焼結体およびそれを用いた摺動部材 - Google Patents
セラミックス複合焼結体およびそれを用いた摺動部材Info
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- JP2902796B2 JP2902796B2 JP3032271A JP3227191A JP2902796B2 JP 2902796 B2 JP2902796 B2 JP 2902796B2 JP 3032271 A JP3032271 A JP 3032271A JP 3227191 A JP3227191 A JP 3227191A JP 2902796 B2 JP2902796 B2 JP 2902796B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度を有するととも
に摺動特性に優れ、メカニカルシールや軸受等の摺動部
材に好適な複合焼結体およびこれを用いた摺動部材に関
する。
に摺動特性に優れ、メカニカルシールや軸受等の摺動部
材に好適な複合焼結体およびこれを用いた摺動部材に関
する。
【0002】
【従来技術】炭化珪素や窒化珪素に代表される非酸化物
系セラミックスは、他のセラミックスや金属に比較し
て、硬度、強度、靱性および化学的安定性等に優れる材
料として注目され、たとえば、メカニカルシール部品、
軸受部品、薬品用バルブ部材として用いられている。
系セラミックスは、他のセラミックスや金属に比較し
て、硬度、強度、靱性および化学的安定性等に優れる材
料として注目され、たとえば、メカニカルシール部品、
軸受部品、薬品用バルブ部材として用いられている。
【0003】しかしながら、窒化珪素および炭化珪素単
体では十分な摺動特性が得られないことから、窒化珪素
粉末や炭化珪素粉末に対して、焼結助剤としてAl2 O
3 や周期律表第3a族元素酸化物、あるいは炭素および
B4 C等を添加すると同時にグラファイトやBN等の固
体潤滑材を添加し、これを真空中あるいは不活性雰囲気
中で焼成することにより、窒化珪素や炭化珪素からなる
マトリックス中に前記固体潤滑材が均一分散させ、これ
によりその焼結体表面における摺動特性を高めることが
行われている。
体では十分な摺動特性が得られないことから、窒化珪素
粉末や炭化珪素粉末に対して、焼結助剤としてAl2 O
3 や周期律表第3a族元素酸化物、あるいは炭素および
B4 C等を添加すると同時にグラファイトやBN等の固
体潤滑材を添加し、これを真空中あるいは不活性雰囲気
中で焼成することにより、窒化珪素や炭化珪素からなる
マトリックス中に前記固体潤滑材が均一分散させ、これ
によりその焼結体表面における摺動特性を高めることが
行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】摺動特性を高めるた
めには、焼結体表層部における固体潤滑材の量が多い方
が望ましいが、固体潤滑材を多量に添加すると、焼結体
自体の緻密化が阻害されるとともに、いわゆる骨材とし
てのセラミックス自体の強度が低くなるために摺動部材
として割れや欠け等が生じやすくなるという問題があっ
た。そのために固体潤滑材の添加量にもおのずと制限が
あった。
めには、焼結体表層部における固体潤滑材の量が多い方
が望ましいが、固体潤滑材を多量に添加すると、焼結体
自体の緻密化が阻害されるとともに、いわゆる骨材とし
てのセラミックス自体の強度が低くなるために摺動部材
として割れや欠け等が生じやすくなるという問題があっ
た。そのために固体潤滑材の添加量にもおのずと制限が
あった。
【0005】また製法上、固体潤滑材自体の分散を均一
に行う必要があり、場合によっては焼結体内部の固体潤
滑材が焼結体の破壊源となり、強度を低下させるという
問題がある。しかも窒化珪素をマトリックスとした固体
潤滑材として分散した焼結体では、その窒化珪素結晶の
粒界に焼結助剤として添加した金属酸化物が存在するた
めに耐薬品性が悪く、その使用範囲が限定されるという
問題もある。
に行う必要があり、場合によっては焼結体内部の固体潤
滑材が焼結体の破壊源となり、強度を低下させるという
問題がある。しかも窒化珪素をマトリックスとした固体
潤滑材として分散した焼結体では、その窒化珪素結晶の
粒界に焼結助剤として添加した金属酸化物が存在するた
めに耐薬品性が悪く、その使用範囲が限定されるという
問題もある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点に対して検討を重ねた結果、骨材とて炭化珪素およ
び窒化珪素の複合体を用い、固体潤滑材として分散含有
させる炭素を焼結体の表層部のみに多く存在させ、内部
における炭素の量を小さくすることにより焼結体自体の
強度を低下させることなく、表層部における摺動部材と
しての信頼性の高い安定した特性を発揮することができ
ることを見いだしたものである。
題点に対して検討を重ねた結果、骨材とて炭化珪素およ
び窒化珪素の複合体を用い、固体潤滑材として分散含有
させる炭素を焼結体の表層部のみに多く存在させ、内部
における炭素の量を小さくすることにより焼結体自体の
強度を低下させることなく、表層部における摺動部材と
しての信頼性の高い安定した特性を発揮することができ
ることを見いだしたものである。
【0007】本発明は、セラミックス焼結体における摺
動特性が、焼結体の表層部の構造および組織に支配され
る特性であり、また焼結体内部は、いわゆる摺動に対す
る支持部材的な作用をなすという考え方から、摺動特性
を大きく向上させるために添加される固体潤滑材を図1
に示すように、焼結体の表層部から内部にかけての固体
潤滑材が少なくなるようにしたことを特徴とする。
動特性が、焼結体の表層部の構造および組織に支配され
る特性であり、また焼結体内部は、いわゆる摺動に対す
る支持部材的な作用をなすという考え方から、摺動特性
を大きく向上させるために添加される固体潤滑材を図1
に示すように、焼結体の表層部から内部にかけての固体
潤滑材が少なくなるようにしたことを特徴とする。
【0008】本発明の焼結体からなる骨材としては、炭
化珪素と窒化珪素との複合体からなるもので、それ自体
強度が高く、また摺動特性の点においても他のセラミッ
クスに比較して優れた性質を有するものである。
化珪素と窒化珪素との複合体からなるもので、それ自体
強度が高く、また摺動特性の点においても他のセラミッ
クスに比較して優れた性質を有するものである。
【0009】また、固体潤滑材は、焼結体の表層部にお
いてその体積比率が5〜30%の割合で存在しているこ
とが必要であり、5%よりも少ないと所望の摺動特性が
得られず、30%を越えると表層部における強度が低下
するために摺動面の欠損等が生じやすくなる。
いてその体積比率が5〜30%の割合で存在しているこ
とが必要であり、5%よりも少ないと所望の摺動特性が
得られず、30%を越えると表層部における強度が低下
するために摺動面の欠損等が生じやすくなる。
【0010】一方、焼結体内部は、摺動特性に関与しな
いという観点から、実質的に固体潤滑材が含有されてい
なくてもよく、骨材成分である炭化珪素や窒化珪素から
なることがよい。
いという観点から、実質的に固体潤滑材が含有されてい
なくてもよく、骨材成分である炭化珪素や窒化珪素から
なることがよい。
【0011】しかしながら、焼結体表層部から内部にか
けて、その組成や組織が急変すると、その境界部分に特
性の相違により応力が発生しやすく、割れや欠け等を生
じることがあるために、表層部より内部にかけて図1に
示すように、固体潤滑材の量は徐々に少なくなるように
構成することがよい。
けて、その組成や組織が急変すると、その境界部分に特
性の相違により応力が発生しやすく、割れや欠け等を生
じることがあるために、表層部より内部にかけて図1に
示すように、固体潤滑材の量は徐々に少なくなるように
構成することがよい。
【0012】本発明のセラミックス複合焼結体を得る方
法について説明すると、従来のように炭化珪素や窒化珪
素等の骨材成分に対して固体潤滑材粉末を混合し焼成す
る方法では、均一組織となり、本発明の構成である表層
部と内部において固体潤滑材の含有量の異なる組織は形
成されない。
法について説明すると、従来のように炭化珪素や窒化珪
素等の骨材成分に対して固体潤滑材粉末を混合し焼成す
る方法では、均一組織となり、本発明の構成である表層
部と内部において固体潤滑材の含有量の異なる組織は形
成されない。
【0013】そこで、本発明によれば、まず原料粉末と
して炭化珪素粉末を準備する。用いる炭化珪素粉末とし
てはα−SiC、β−SiCのいずれか、またはこれら
を混合して使用することもできる。炭化珪素粉末の平均
粒径は0.1〜2μm が適当である。また上記炭化珪素
粉末に対しては添加物として、カーボンブラックやグラ
ファイト等の炭素粉末あるいは熱分解により炭素を生成
しうるフェノール樹脂、コールタールピッチ、ショ糖等
の粉末や、B4 C等の硼素含有化合物を10重量%以下
の割合で添加することができる。
して炭化珪素粉末を準備する。用いる炭化珪素粉末とし
てはα−SiC、β−SiCのいずれか、またはこれら
を混合して使用することもできる。炭化珪素粉末の平均
粒径は0.1〜2μm が適当である。また上記炭化珪素
粉末に対しては添加物として、カーボンブラックやグラ
ファイト等の炭素粉末あるいは熱分解により炭素を生成
しうるフェノール樹脂、コールタールピッチ、ショ糖等
の粉末や、B4 C等の硼素含有化合物を10重量%以下
の割合で添加することができる。
【0014】上記炭化珪素粉末と、場合により上記添加
物を充分に添加混合した後、上記粉末にバインダー等を
添加し、周知の成形方法、たとえばプレス成形、押出成
形、鋳込み成形、冷間静水圧成形等により所望の形状に
成形する。成形体は、所望により200〜800℃で仮
焼することにより、フェノール樹脂等の炭素生成化合物
より炭素を生成させることができる。
物を充分に添加混合した後、上記粉末にバインダー等を
添加し、周知の成形方法、たとえばプレス成形、押出成
形、鋳込み成形、冷間静水圧成形等により所望の形状に
成形する。成形体は、所望により200〜800℃で仮
焼することにより、フェノール樹脂等の炭素生成化合物
より炭素を生成させることができる。
【0015】次に、上記のようにして得られた成形体を
焼成するが、本発明によれば、この焼成を下記数1
焼成するが、本発明によれば、この焼成を下記数1
【数1】 3SiC+2N2 → Si3 N4 +3C で示されるように炭化珪素と窒素の反応により窒化珪素
および炭素が生成可能な雰囲気中で焼成する。具体的に
は、1000℃以上、特に1500℃以上の温度にて、
雰囲気中に窒素ガスを必須成分として含むとともに該窒
素ガス圧力が500気圧以上、特に1000気圧以上の
加圧下で焼成することにより数1の反応を進行させるこ
とができる。
および炭素が生成可能な雰囲気中で焼成する。具体的に
は、1000℃以上、特に1500℃以上の温度にて、
雰囲気中に窒素ガスを必須成分として含むとともに該窒
素ガス圧力が500気圧以上、特に1000気圧以上の
加圧下で焼成することにより数1の反応を進行させるこ
とができる。
【0016】この焼成によれば、内部および表層部とも
に高緻密化が達成されるとともに、焼結体の表層部にお
いて特に上記反応が活発に生じ、焼結体の表層部に炭素
が内部よりも多くなるという特異的焼結体が形成され
る。
に高緻密化が達成されるとともに、焼結体の表層部にお
いて特に上記反応が活発に生じ、焼結体の表層部に炭素
が内部よりも多くなるという特異的焼結体が形成され
る。
【0017】この焼結のメカニズムについては定かでは
ないが、高温高圧下の窒素雰囲気中で、炭化珪素粒子の
表面から窒化珪素への反応が進行し、それに伴い体積膨
張が生じ、それによりある程度緻密化が進行し、一旦表
層部に緻密層が生じると焼結体内部への窒素ガスの進入
が抑制されるために、結果として表層部、内部ともに気
孔率10%以下の緻密体となるものの、表層部と内部に
おいてほぼ連続的に異なる組織が形成されると考えられ
る。
ないが、高温高圧下の窒素雰囲気中で、炭化珪素粒子の
表面から窒化珪素への反応が進行し、それに伴い体積膨
張が生じ、それによりある程度緻密化が進行し、一旦表
層部に緻密層が生じると焼結体内部への窒素ガスの進入
が抑制されるために、結果として表層部、内部ともに気
孔率10%以下の緻密体となるものの、表層部と内部に
おいてほぼ連続的に異なる組織が形成されると考えられ
る。
【0018】よって、上記焼成によれば、焼成温度、焼
成時間等を制御することにより表層部において炭素の生
成量を高めるとともに、焼結体内部において炭素の生成
を抑制することができる。望ましくは焼結体の表層部は
完全に反応を進行させ、窒化珪素と炭素から構成される
ことが望ましい。この場合、その表層部には窒化珪素を
骨材とし炭素が約26体積%を割合で均一に分散した組
織が形成される。
成時間等を制御することにより表層部において炭素の生
成量を高めるとともに、焼結体内部において炭素の生成
を抑制することができる。望ましくは焼結体の表層部は
完全に反応を進行させ、窒化珪素と炭素から構成される
ことが望ましい。この場合、その表層部には窒化珪素を
骨材とし炭素が約26体積%を割合で均一に分散した組
織が形成される。
【0019】また、この焼結体の他の特徴としては、表
層部から内部にかけて骨材である炭化珪素および窒化珪
素の量比が変化することが挙げられ、炭化珪素/(窒化
珪素+炭化珪素)で表される組成比は表層部から内部に
かけて大きくなる。このような構成によれば、表層部は
窒化珪素的な特性、即ち耐熱衝撃性および靱性に優れた
特性を有する。また、通常の窒化珪素質焼結体によれ
ば、窒化珪素結晶粒子間に焼結助剤として用いられた金
属酸化物が粒界相として存在するが、この焼結体の表層
部では、窒化珪素結晶粒子間に金属酸化物が実質的に存
在しないことも大きな特徴であり、耐薬品性を高めるこ
とができ、摺動部材として適用範囲を広げることができ
る。
層部から内部にかけて骨材である炭化珪素および窒化珪
素の量比が変化することが挙げられ、炭化珪素/(窒化
珪素+炭化珪素)で表される組成比は表層部から内部に
かけて大きくなる。このような構成によれば、表層部は
窒化珪素的な特性、即ち耐熱衝撃性および靱性に優れた
特性を有する。また、通常の窒化珪素質焼結体によれ
ば、窒化珪素結晶粒子間に焼結助剤として用いられた金
属酸化物が粒界相として存在するが、この焼結体の表層
部では、窒化珪素結晶粒子間に金属酸化物が実質的に存
在しないことも大きな特徴であり、耐薬品性を高めるこ
とができ、摺動部材として適用範囲を広げることができ
る。
【0020】なお、炭素量が少なくとも20体積%以上
の表層部はその厚みが10〜2000μm であることが
望ましく、厚みが10μm より薄いと摺動特性の長期安
定性に欠け、2000μm より厚いと表層部の強度が低
下し欠け等が発生しやすくなる。
の表層部はその厚みが10〜2000μm であることが
望ましく、厚みが10μm より薄いと摺動特性の長期安
定性に欠け、2000μm より厚いと表層部の強度が低
下し欠け等が発生しやすくなる。
【0021】一方、焼結体の内部は炭化珪素あるいは炭
化珪素と窒化珪素を主体として構成されることが望まし
く、内部において炭化珪素/(炭化珪素+窒化珪素)の
組成比率が0.2以上であることが望ましい。
化珪素と窒化珪素を主体として構成されることが望まし
く、内部において炭化珪素/(炭化珪素+窒化珪素)の
組成比率が0.2以上であることが望ましい。
【0022】
【作 用】本発明によれば、表層部における固体潤滑材
である炭素量を焼結体表層部のみに多く存在させること
により、焼結体全体としての強度を低下させることがな
く、表層部において比較的多量の炭素が存在しても内部
における強度が高いことから摺動部材としても安定した
摺動特性を発揮することができる。しかも、表層部から
内部にかけての組織的な変化がほぼ連続的に形成されて
いることから、焼結体内での特性の相違により発生する
応力を低減することができる。
である炭素量を焼結体表層部のみに多く存在させること
により、焼結体全体としての強度を低下させることがな
く、表層部において比較的多量の炭素が存在しても内部
における強度が高いことから摺動部材としても安定した
摺動特性を発揮することができる。しかも、表層部から
内部にかけての組織的な変化がほぼ連続的に形成されて
いることから、焼結体内での特性の相違により発生する
応力を低減することができる。
【0023】また、炭素を表層部において多量に存在さ
せることができるために、焼結体自体の熱伝導率を高め
ることができ、これにより摺動時に発生した熱を効率的
に放熱することもできる。さらに炭素を内部においても
適量存在させることにより焼結体全体の電気抵抗を小さ
くすることができ、これにより放電加工を行うことがで
きる。
せることができるために、焼結体自体の熱伝導率を高め
ることができ、これにより摺動時に発生した熱を効率的
に放熱することもできる。さらに炭素を内部においても
適量存在させることにより焼結体全体の電気抵抗を小さ
くすることができ、これにより放電加工を行うことがで
きる。
【0024】骨材として、表層部を窒化珪素の骨材によ
り構成することにより耐熱衝撃性を高めることができ
る。
り構成することにより耐熱衝撃性を高めることができ
る。
【0025】
【実施例】β−SiC粉末(平均粒径0.4μm 、酸素
含有量0.1重量%)に対して、成形用バインダーとし
てレゾール型フェノール樹脂20%溶液を適量添加し、
さらに溶媒としてアセトンを適量添加し、混練乾燥後、
篩を通して成形用顆粒を得た。この顆粒を金型プレスを
用いて成形圧2000kg/cm2 で外径20mm、厚
み10mmの円板状成形体を作成した。
含有量0.1重量%)に対して、成形用バインダーとし
てレゾール型フェノール樹脂20%溶液を適量添加し、
さらに溶媒としてアセトンを適量添加し、混練乾燥後、
篩を通して成形用顆粒を得た。この顆粒を金型プレスを
用いて成形圧2000kg/cm2 で外径20mm、厚
み10mmの円板状成形体を作成した。
【0026】次に成形体を600℃の不活性雰囲気(N
2 気流中)で仮焼し、フェノール樹脂を炭化させた後、
仮焼体の組成の分析を行った。そして、この仮焼体をN
2 圧力、焼成温度、焼成時間を表1に示した条件に設定
し焼成を行った。
2 気流中)で仮焼し、フェノール樹脂を炭化させた後、
仮焼体の組成の分析を行った。そして、この仮焼体をN
2 圧力、焼成温度、焼成時間を表1に示した条件に設定
し焼成を行った。
【0027】得られた焼結体に対して、アルキメデス法
により密度を測定し、また表層部と焼結体内部より切り
出し粉砕後、LECO法で全炭素、全窒素および全珪素
を測定し、窒素は窒化珪素として計算し、残る珪素は炭
化珪素として存在するとして結合炭素を求め、残りを遊
離炭素として計算で求めた。また、骨材の構成相をX線
分析にて行った。なお、添加物としてB4 Cを添加した
試料においてはB4 Cも窒化され、BNとなっているが
添加量が微量であるためにX線回折測定では検出されな
かった。
により密度を測定し、また表層部と焼結体内部より切り
出し粉砕後、LECO法で全炭素、全窒素および全珪素
を測定し、窒素は窒化珪素として計算し、残る珪素は炭
化珪素として存在するとして結合炭素を求め、残りを遊
離炭素として計算で求めた。また、骨材の構成相をX線
分析にて行った。なお、添加物としてB4 Cを添加した
試料においてはB4 Cも窒化され、BNとなっているが
添加量が微量であるためにX線回折測定では検出されな
かった。
【0028】特性評価としてJISR1601に基づき
4点曲げ強度を測定した。さらに抗折試験片により4端
子法により体積固有抵抗を測定した。また、耐薬品性テ
ストとして、8mm角のサイコロ状試料を切り出し、塩
酸20%溶液、硝酸60%溶液、硫酸90%溶液に3日
間浸漬後の状態を観察した。
4点曲げ強度を測定した。さらに抗折試験片により4端
子法により体積固有抵抗を測定した。また、耐薬品性テ
ストとして、8mm角のサイコロ状試料を切り出し、塩
酸20%溶液、硝酸60%溶液、硫酸90%溶液に3日
間浸漬後の状態を観察した。
【0029】また、摺動特性評価として表面をラップ仕
上げしたφ50mmの円板にSUSII鋼球を固定ピンと
して接触させ、試料円板を回転させ、その接触負荷と摩
擦力を測定することによって摩耗係数を求めた。
上げしたφ50mmの円板にSUSII鋼球を固定ピンと
して接触させ、試料円板を回転させ、その接触負荷と摩
擦力を測定することによって摩耗係数を求めた。
【0030】次に、比較例として、β−SiC粉末(平
均粒径0.4μm )100重量部にB4 C粉末を0.4
重量部添加混合する以外は前記方法と同様にして成形体
を作成し、その後、2050℃でアルゴン中で1時間焼
成を行い、緻密な炭化珪素質焼結体を作成し、前記と同
様に特性の測定および評価を行った(表中、試料No,
1)。
均粒径0.4μm )100重量部にB4 C粉末を0.4
重量部添加混合する以外は前記方法と同様にして成形体
を作成し、その後、2050℃でアルゴン中で1時間焼
成を行い、緻密な炭化珪素質焼結体を作成し、前記と同
様に特性の測定および評価を行った(表中、試料No,
1)。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表1乃至表3によれば、従来の炭化珪素か
らなる焼結体では、摺動特性として摩擦係数は0.4〜
0.5であるのに対して、本発明品はいずれも摩擦係数
が0.2〜0.3のレベルまで達するものであった。ま
た、焼結体自体の強度も40kg/mm2 以上が達成さ
れた。
らなる焼結体では、摺動特性として摩擦係数は0.4〜
0.5であるのに対して、本発明品はいずれも摩擦係数
が0.2〜0.3のレベルまで達するものであった。ま
た、焼結体自体の強度も40kg/mm2 以上が達成さ
れた。
【0035】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
セラミックスを骨材とし、その焼結体表層部に固体潤滑
材を内部に比較して多量に存在させることにより、焼結
体全体としての強度を低下させることがなく、優れた摺
動特性が得られる。また、固体潤滑材としての炭素を表
層部において多量に存在させることにより焼結体自体の
熱伝導率および電気伝導率を高めることができ、それに
より摺動時に発生した熱を効率的に放熱することもでき
るとともに、放電加工を行うこともできる。
セラミックスを骨材とし、その焼結体表層部に固体潤滑
材を内部に比較して多量に存在させることにより、焼結
体全体としての強度を低下させることがなく、優れた摺
動特性が得られる。また、固体潤滑材としての炭素を表
層部において多量に存在させることにより焼結体自体の
熱伝導率および電気伝導率を高めることができ、それに
より摺動時に発生した熱を効率的に放熱することもでき
るとともに、放電加工を行うこともできる。
【図1】本発明のセラミックス複合焼結体の表層部から
の深さに対する炭素量の変化を示す図である。
の深さに対する炭素量の変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−138376(JP,A) 特開 昭62−182178(JP,A) 特開 昭63−236782(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/565 - 35/577 C04B 35/584 - 35/596 C10M 111/00
Claims (2)
- 【請求項1】炭化珪素および窒化珪素を主体とする焼結
体中に炭素を分散含有してなり、該焼結体表層部に前記
炭素を内部よりも多い5〜30体積%の割合で含むこと
を特徴とするセラミックス複合焼結体。 - 【請求項2】炭化珪素および窒化珪素を主体とする焼結
体中に炭素を分散含有してなり、該焼結体表層部に前記
炭素を内部よりも多い5〜30体積%の割合で含むこと
を特徴とする摺動部材。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3032271A JP2902796B2 (ja) | 1991-01-31 | 1991-01-31 | セラミックス複合焼結体およびそれを用いた摺動部材 |
EP19920101552 EP0497345B1 (en) | 1991-01-31 | 1992-01-30 | Composite ceramic sintered material, process for producing the same, and slider member using the same |
DE69223528T DE69223528T2 (de) | 1991-01-31 | 1992-01-30 | Gesinterter, keramischer Verbundwerkstoff, Verfahren zu seiner Herstellung und denselben nutzender Schieber |
US08/162,796 US5462813A (en) | 1991-01-31 | 1993-12-07 | Composite ceramic sintered material |
US08/466,930 US5571611A (en) | 1991-01-31 | 1995-06-06 | Composite ceramic sintered material and slider member using the same |
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