JP2005024725A - 定着回転体、該定着回転体を用いた定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー画像定着装置において、端部温度上昇を低減でき、かつ半径方向および円周方向の断熱性が高く、立ち上がり時間が短い定着回転体を提供する。
【解決手段】定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップを形成し、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方の定着回転体の軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率より高い熱伝導率異方性を有することを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップを形成し、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方の定着回転体の軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率より高い熱伝導率異方性を有することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着部材と加圧部材の圧接によりニップを形成し、定着部材を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材全体に定着させる定着回転体及び定着装置に関し、さらに詳しくは、小サイズ用紙の連続通紙時の端部温度上昇を低減することができる定着装置、及びこの定着装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも1つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置の定着装置としては、所定の温度に加熱された定着部材と加圧部材の圧接によりニップを形成し、記録材を狭持搬送することでトナー画像を記録材上に定着する方式が一般的に採用されている。
最も広く用いられているのは熱ローラ方式で、内部にハロゲンヒータ等の熱源を有する定着ローラと加圧ローラの圧接によりニップを形成し、ローラ対の回転により記録材を搬送し、トナー像を定着させるものである。ローラは金属芯金上に弾性層及び離型層を積層したもので、熱容量が比較的大きいため、画像形成装置の電源投入時に定着ローラを室温から設定温度まで加熱するのに掛かる立ち上がり時間は長くなる。
立ち上がり時間を短縮することは省エネのために重要である。芯金や弾性層を薄肉化すると装置を低熱容量にでき、立ち上がり時間を短縮することが可能であり、これにより立ち上がり時間はかなり短縮できるが、熱源が内部にあるため定着ローラの内面から表面まで熱伝導で熱が伝わるのに時間のロスがある。特に十分な厚さの弾性層が必要なカラー画像の定着装置においてはこの時間のロスは大きくなる。このため立ち上がり時間の遅れや、通紙時の定着ローラの温度低下からの復帰に時間が掛かり、連続通紙時に定着部材の温度が下がるので定着性が悪くなるなどの問題がある。
【0003】
この対策として、定着ローラの表面側に熱源を配置し、定着部材表面を直接加熱する外部加熱方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、加熱が必要な表層のみを加熱しているので、立ち上がり時間は非常に速く、また通紙時の温度低下からの復帰のレスポンスも良くなっている。
しかし、実際は表層の熱が、加熱を不要とする内部や加圧ローラなどに逃げて行くため、表層のみの加熱は理論値よりは立ち上がり時間は遅くなる。このため表層の下には断熱層が設けられており、この断熱性を向上させることで立ち上がり時間を短縮することが出来る。断熱性の良い部材として熱伝導率の低い空気などの気体を内部に含んだ部材が一般的で、定着装置においては発泡シリコーンゴムが良く使用されている(例えば、特許文献2参照)。
発泡シリコーンは空気を含むため熱伝導率が低く、断熱性が良いが、ニップ内では圧縮されて空気含有率が小さくなり、熱伝導率が大きくなってしまう。また圧縮変形するので高面圧が掛けられない、変形の繰り返しで経時で劣化するなどの問題がある。更に圧縮により回転半径が変化するので記録材等を一定速度で搬送する駆動ローラとしては不向きであるという欠点がある。
【0004】
剛性が高く、変形の小さい断熱材としては多孔質セラミックス、多孔質樹脂(例えば、特許文献1参照)や中空粒子をバインダーに混合したもの(例えば、特許文献3参照)が挙げられる。これらの断熱層を用いることで立ち上がり時に表層からの熱が内部に伝わらないようにすることで立ち上がり時間を短縮できる。
しかしながら、これらの断熱層を用いた定着回転体は軸方向についても熱伝導率が低く、熱が伝わりにくい。定着回転体の軸方向の有効幅より小さいサイズの用紙を連続的に通紙すると小サイズの用紙が接触した部分は熱が奪われていき、非通紙域だけ温度が高くなってしまうという問題がある。この直後に大きいサイズの用紙を通紙すると、軸方向の温度ムラのために端部だけ光沢が高くなったり、オフセットが発生したり、シワが発生するという不具合がある。また、非通紙域の温度上昇が大きい場合は定着回転体が熱で破壊してしまう可能性もある。
この非通紙域の温度上昇の対策として軸方向の熱伝導率を高くするために高熱伝導率の繊維を軸方向に埋設する方法も知られている(例えば、特許文献4、5参照)。これにより軸方向の温度ムラは低減することができるが、この構成で空気層を含まないソリッドゴムを使用した場合は半径方向および円周方向の熱伝導率はあまり高くなく、立ち上がり時間を十分に短縮することができない。または発泡スポンジを使用して半径方向の断熱性を高くした場合には耐久性が悪くなったり、紙の搬送速度の安定性に欠けるなどの問題が発生する。
【特許文献1】特開2002−40855公報
【特許文献2】特開2000−206815公報
【特許文献3】特開2000−275996公報
【特許文献4】特開平10−133503号公報
【特許文献5】特開2002−351243公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、上述のように、立ち上がり時間が遅れる、圧縮変形する、繰り返しで経時で劣化する、一定速度で搬送することができなくなる、軸方向の温度ムラのために転写紙上の画像の端部だけ光沢が高くなり、オフセットや、シワが発生する、定着回転体が熱で破壊してしまう、耐久性が悪くなるといった類の問題がある。
そこで本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、端部温度上昇を低減でき、かつ半径方向および円周方向の断熱性が高く、立ち上がり時間が短い定着装置用の回転体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップを形成し、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方の回転体の軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率より高い定着回転体を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、高熱伝導率の線材の周囲を低熱伝導率の材質で被覆した線材を定着回転体の軸方向と平行に積層し、固定した熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する請求項1に記載の定着回転体を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2に記載の低熱伝導率の部材の表面の軸方向に溝が設けてある熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する定着回転体を主要な特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明では、請求項2に記載の低熱伝導率の部材の表面に凹凸が設けてある熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する定着回転体を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項2に記載の高熱伝導率の線材が内部に空隙を有する中空線材である熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する定着回転体を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の熱伝導率異方性を有する層と定着回転体基材の間に耐熱性の中空樹脂繊維を積層した断熱層を有する定着回転体を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着回転体を用いた定着装置を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を表面側から加熱する熱源を備えた定着装置を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を誘導加熱する熱源を備えた定着装置を主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項7乃至9に記載の定着装置を用いた画像形成装置を主要な特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は画像形成装置の概略を示す断面図であり、その画像形成装置本体1内には、記録材にトナー像を形成する作像手段2と、その作像手段に記録材を給送する給送手段3と、記録材上に形成されたトナー像を定着する定着装置4とを有している。先ず、作像手段2の概要を明らかにする。
ここに例示した作像手段2は、像担持体の一例であるドラム状の感光体5を有し、この感光体5が時計方向に回転するとき、帯電装置6により感光体表面が所定の極性に帯電される。その帯電面に、露光装置の一例であるレーザ書き込みユニット7から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって感光体表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置8によってトナー像として可視像化され、そのトナー像は、給送手段3から送り出された記録材上に、転写装置9の作用により転写される。トナー像転写後の感光体表面に付着する転写残トナーはクリーニング装置10により除去される。
給送手段3は、例えば転写紙又は樹脂シートなどから成る記録材Pを収容したカセット11を有し、給送ローラ12の回転によって、最上位の記録材Pがカセット11から送り出される。その送り出された記録材はレジストローラ対13の回転によって、感光体5と転写装置9との間の転写部に給送され、ここで、前述のように感光体5上のトナー像が記録材上に転写される。このようにしてトナー像を担持した記録材は、引き続き定着装置4を通り、このとき、後述するように記録材上のトナー像が定着される。定着装置4を通過した記録材は、機外のトレイ14上に排出される。
【0009】
(実施例1)
図2は本発明の定着装置の断面図であり、ここに示した定着装置は定着ローラ(定着回転体)21と、この定着ローラ21に圧接した加圧ローラ(加圧回転体)27とを有し、これらのローラが互いに圧接することによりニップが形成される。定着ローラ21は時計方向に回転し、加圧ローラ27は反時計方向に回転する。定着ローラ内部には加熱手段としてハロゲンヒータ22が設置され、定着ローラが設定温度になるように制御されている。定着ローラはφ30mmの金属芯金(定着回転体基材)24の表面に離型層23としてt=10μmのテフロン(登録商標)層をコーティングしている。加圧ローラは外経φ30mmあり、図3に示すように、金属芯金24上にポリイミドで被覆された銅線を芯金軸方向と平行に積層し、t=2mmの熱伝導率異方性層28を形成している。表層はt=20μmのPFAチューブが離型層23として被覆しており、熱伝導率異方層28と離型層23の間には熱伝導率異方層の線材の凹凸を埋めるためにシリコーンゴム層がt=300μmで形成されている。
【0010】
熱伝導率異方層28を形成する線材は、図4(a)に示すように、φ100μmの高熱伝導率部材31(銅線等)の外周に低熱伝導率部材32(ポリイミド層等)をt=50μmで形成している。この線材を積層することで、線材方向には銅線が連続して存在するため熱伝導率が高く、線材と直交方向については間にポリイミド層が挟まり、かつ線材間の空隙には熱伝導率の低い空気層を含んでいるため断熱性が高くなっている。高熱伝導率部材31としては銅以外の金属線でも良く、金属以外にも炭素繊維などが使用できる。低熱伝導率部材32としてはポリイミド以外にもポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が使用できる。
線材は図4(b)、(c)のような形状のものを用いると線材間の接触面積を減らすことができ、接触熱抵抗が大きくなるので線材と直交方向の断熱性を更に上げることができる。図4(b)の形状は溝加工のダイスを通すことで簡単に形成することができる。図4(c)の形状は低熱伝導率部材のコーティング剤に粒子を混入して金属線にコーティングを行うことで凹凸を形成することができる。また、図4(d)に示すように高熱伝導率部材の形状としては内部に空隙を有する中空金属線31を用いることで空気の含有量を増えるので線材と直交方向の断熱性を上げることができる。
【0011】
(実施例2)
図5は、本発明の他の実施形態の定着装置の断面図である。定着ローラ21及び加圧ローラ27は実施例1の加圧ローラと同じ構成である。定着ローラのニップ上流側には加熱手段としてハロゲンヒータ22が設置され、ふく射熱が定着ローラ側に反射するように反射板29で覆っている。定着ローラ27はニップ直前で集中して加熱されていて、半径方向、円周方向は熱伝導率が低いので熱の逃げは少なく、立上がり時間を速くすることができる。なお、図2と同一部分、同一材料には同一符号を付した。
【0012】
(実施例3)
図6は、本発明にベルトを用いた実施形態の定着装置の断面図である。定着ベルト42は、ポリイミドをベルト基体として用い、その上に弾性層としてシリコーンゴム層t=0.2mm、離型層としてPFAコート層t=10μmを形成している。定着ベルト42は、第1定着部材41(定着ローラ)と第2定着部材43と支持ローラに張架され、第1、第2の定着部材41、43は定着ベルト42を加圧ローラ27に巻き付けるように定着ベルトを介して加圧ローラに圧接している。熱源としてニップ上流にハロゲンヒータ22を設け、定着ベルト42を表層側から加熱している。定着ローラおよび加圧ローラ27は実施例2の構成に加え、熱伝導率異方性層28と芯金24の間に中空繊維44を積層した断熱層を有している。
中空繊維44としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリフェニレンサルファイド、ガラス、セラミックス、金属など中空構造により断熱効果を高くするという点では材料を限定するものではないが、本発明では耐熱性、材料自体の熱伝導率、強度を考慮してポリイミド中空繊維を採用している。ポリイミド中空繊維はで外径φ200μm、内径φ100μmのものを使用した。中空繊維の断熱層は直交方向の断熱性が熱伝導率異方性層より高く、ローラ軸方向の温度均一化は熱伝導率異方性層により、半径方向の断熱性の向上は中空繊維44の断熱層によってと、夫々役割を分担することでより効果が高くなっている。
【0013】
(実施例4)
図7は、本発明の誘導加熱を用いた実施形態の定着装置の断面図である。定着ローラ21は樹脂ローラ50を芯材とし、その外周面上に熱伝導率異方性層28を形成している。定着ローラ21の中には誘導コイル51が配置され、熱伝導率異方性層28に用いた金属線が発熱層28を兼ねている。金属線としては鉄、ニッケルなどの磁性金属を用いると磁力線を引き付けることができるので発熱の効率が高くなる。ローラ芯材は樹脂に限らず、ガラスも耐熱性と剛性の点から適していた。加圧ローラ27には金属芯金を用いず、中空繊維44の断熱層をバインダーで固定することで芯金の役割を兼ね、装置の軽量化、低熱容量化を可能にしている。なお、上記他の実施例と同一部分、同一材料には同一符号を付した。
【0014】
(実施例5)
図8は固定加圧部材を用いた実施形態のベルト定着装置の断面図である。定着ベルト42内部にハロゲンヒータ22、反射板29を配置し、定着ベルト42(ローラ等の支持、張設手段は図示を省略)を直接加熱している。定着ベルト42内部の固定加圧部材(中空繊維44、加圧フレーム45)が定着ベルトを介して加圧ローラ27と圧接することでニップを形成しているが、撓みがなく均一にニップを形成するためには加圧フレーム45は剛性の高い金属フレームである必要があり、熱容量は大きいものである。この加圧フレームは加熱には関係ないので、できるだけ加熱したくない。そのためハロゲンヒータ22からのふく射熱が伝わらないようにハロゲンヒータとの間には反射板29が設けられ、ニップで定着ベルトから伝わる熱は中空繊維を積層した断熱材44を介することで遮断している。加圧ローラ実施例4と同じ構成のものを使用して、軸方向の温度均一性と半径方向の断熱性を両立している。
【0015】
以上の実施例における定着装置でA4サイズの用紙を縦通紙で連続50枚通紙した直後にA3サイズの用紙を通紙したところ、光沢ムラやオフセット、シワなどの不具合は発生しなかった。また定着部材が設定温度に達するまでの立ち上がり時間は非常に短いものであった。
実施例はトナーを紙上に転写した後、加熱定着させる通常の定着プロセスで示したが、トナーを定着部材上に転写した後、昇温したトナーを紙に定着させる転写定着プロセスにおいても同様に有効であった。
尚、本発明の実施形態により、高熱伝導率の線材の周囲を低熱伝導率の材質で被覆した線材を回転体の軸方向と平行に積層し、固定した熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有することを特徴とする請求項1に記載の定着回転体により、高熱伝導率の線材と平行方向は熱伝導率が高いので、軸方向の熱移動が速く、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、低熱伝導率の部材の表面の軸方向に溝が設けてある熱伝導率異方性を有する層を回転体基材と表層の間に有することを特徴とする定着回転体により、溝により線材間の接触熱抵抗が大きくなり、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
【0016】
又、低熱伝導率の部材の表面に凹凸が設けてある熱伝導率異方性を有する層を回転体基材と表層の間に有することを特徴とする定着回転体により、凹凸により線材間の接触熱抵抗が大きくなり、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、高熱伝導率の線材が内部に空隙を有する中空線材である熱伝導率異方性を有する層を回転体基材と表層の間に有することを特徴とする定着回転体により、線材内に空気層を含むことにより熱伝導率が小さくなり、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、熱伝導率異方性を有する層と回転体基材の間に耐熱性の中空樹脂繊維を積層した断熱層を有することを特徴とする定着回転体により、断熱層は高熱伝導率の部材を含まないのでより断熱効果が高くなり、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、本発明記載の定着回転体を用いることにより、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
【0017】
請求項8によれば、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を表面側から加熱する熱源を備えたことを特徴とする表層加熱方式の定着装置により、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
請求項9によれば、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用いたことを特徴とする誘導加熱方式の定着装置は、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
請求項10によれば、請求項7乃至9に記載の定着装置を備えた画像形成装置は、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップを形成し、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方の回転体の軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率より高いことを特徴とする定着回転体により、軸方向へ熱の移動が速いので小サイズ用紙通紙時の温度ムラ、端部温度上昇を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着装置を使用する画像形成装置の概略を示す断面図。
【図2】本発明の定着装置の加圧ローラに特徴を有する例の断面図。
【図3】本発明の定着装置の熱伝導率異方層の内部構成を示す斜視図。
【図4】本発明の熱伝導率異方層を形成する各種線材の例を示す斜視図。
【図5】本発明の外部加熱方式の実施形態の例を示す定着装置の断面図。
【図6】本発明のベルトを用いた外部加熱方式の実施形態の定着装置の断面図。
【図7】本発明の誘導加熱を用いた実施形態の定着装置の断面図。
【図8】本発明の固定加圧部材を用いた実施形態のベルト定着装置の断面図。
【符号の説明】
1 画像形成装置本体、2 作像手段、3 給送手段、4 定着装置、5 感光体、6 帯電装置、7 レーザ書き込みユニット、8 現像装置、9 転写装置、10 クリーニング装置、11 カセット、12 給送ローラ、13 レジストローラ対、14 トレイ、21 定着ローラ、22 ハロゲンヒータ、23 離型層、24 芯金、25 トナー画像、26 記録材、27 加圧ローラ、28 熱伝導率異方性層、29 反射板、30a 熱伝導率低、30b 熱伝導率高、31 高熱伝導率部材、32 低熱伝導率部材、41 第一定着部材、42定着ベルト、43 第二定着部材、44 中空繊維、45 加圧フレーム、51 誘導コイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着部材と加圧部材の圧接によりニップを形成し、定着部材を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材全体に定着させる定着回転体及び定着装置に関し、さらに詳しくは、小サイズ用紙の連続通紙時の端部温度上昇を低減することができる定着装置、及びこの定着装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも1つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置の定着装置としては、所定の温度に加熱された定着部材と加圧部材の圧接によりニップを形成し、記録材を狭持搬送することでトナー画像を記録材上に定着する方式が一般的に採用されている。
最も広く用いられているのは熱ローラ方式で、内部にハロゲンヒータ等の熱源を有する定着ローラと加圧ローラの圧接によりニップを形成し、ローラ対の回転により記録材を搬送し、トナー像を定着させるものである。ローラは金属芯金上に弾性層及び離型層を積層したもので、熱容量が比較的大きいため、画像形成装置の電源投入時に定着ローラを室温から設定温度まで加熱するのに掛かる立ち上がり時間は長くなる。
立ち上がり時間を短縮することは省エネのために重要である。芯金や弾性層を薄肉化すると装置を低熱容量にでき、立ち上がり時間を短縮することが可能であり、これにより立ち上がり時間はかなり短縮できるが、熱源が内部にあるため定着ローラの内面から表面まで熱伝導で熱が伝わるのに時間のロスがある。特に十分な厚さの弾性層が必要なカラー画像の定着装置においてはこの時間のロスは大きくなる。このため立ち上がり時間の遅れや、通紙時の定着ローラの温度低下からの復帰に時間が掛かり、連続通紙時に定着部材の温度が下がるので定着性が悪くなるなどの問題がある。
【0003】
この対策として、定着ローラの表面側に熱源を配置し、定着部材表面を直接加熱する外部加熱方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、加熱が必要な表層のみを加熱しているので、立ち上がり時間は非常に速く、また通紙時の温度低下からの復帰のレスポンスも良くなっている。
しかし、実際は表層の熱が、加熱を不要とする内部や加圧ローラなどに逃げて行くため、表層のみの加熱は理論値よりは立ち上がり時間は遅くなる。このため表層の下には断熱層が設けられており、この断熱性を向上させることで立ち上がり時間を短縮することが出来る。断熱性の良い部材として熱伝導率の低い空気などの気体を内部に含んだ部材が一般的で、定着装置においては発泡シリコーンゴムが良く使用されている(例えば、特許文献2参照)。
発泡シリコーンは空気を含むため熱伝導率が低く、断熱性が良いが、ニップ内では圧縮されて空気含有率が小さくなり、熱伝導率が大きくなってしまう。また圧縮変形するので高面圧が掛けられない、変形の繰り返しで経時で劣化するなどの問題がある。更に圧縮により回転半径が変化するので記録材等を一定速度で搬送する駆動ローラとしては不向きであるという欠点がある。
【0004】
剛性が高く、変形の小さい断熱材としては多孔質セラミックス、多孔質樹脂(例えば、特許文献1参照)や中空粒子をバインダーに混合したもの(例えば、特許文献3参照)が挙げられる。これらの断熱層を用いることで立ち上がり時に表層からの熱が内部に伝わらないようにすることで立ち上がり時間を短縮できる。
しかしながら、これらの断熱層を用いた定着回転体は軸方向についても熱伝導率が低く、熱が伝わりにくい。定着回転体の軸方向の有効幅より小さいサイズの用紙を連続的に通紙すると小サイズの用紙が接触した部分は熱が奪われていき、非通紙域だけ温度が高くなってしまうという問題がある。この直後に大きいサイズの用紙を通紙すると、軸方向の温度ムラのために端部だけ光沢が高くなったり、オフセットが発生したり、シワが発生するという不具合がある。また、非通紙域の温度上昇が大きい場合は定着回転体が熱で破壊してしまう可能性もある。
この非通紙域の温度上昇の対策として軸方向の熱伝導率を高くするために高熱伝導率の繊維を軸方向に埋設する方法も知られている(例えば、特許文献4、5参照)。これにより軸方向の温度ムラは低減することができるが、この構成で空気層を含まないソリッドゴムを使用した場合は半径方向および円周方向の熱伝導率はあまり高くなく、立ち上がり時間を十分に短縮することができない。または発泡スポンジを使用して半径方向の断熱性を高くした場合には耐久性が悪くなったり、紙の搬送速度の安定性に欠けるなどの問題が発生する。
【特許文献1】特開2002−40855公報
【特許文献2】特開2000−206815公報
【特許文献3】特開2000−275996公報
【特許文献4】特開平10−133503号公報
【特許文献5】特開2002−351243公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、上述のように、立ち上がり時間が遅れる、圧縮変形する、繰り返しで経時で劣化する、一定速度で搬送することができなくなる、軸方向の温度ムラのために転写紙上の画像の端部だけ光沢が高くなり、オフセットや、シワが発生する、定着回転体が熱で破壊してしまう、耐久性が悪くなるといった類の問題がある。
そこで本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、端部温度上昇を低減でき、かつ半径方向および円周方向の断熱性が高く、立ち上がり時間が短い定着装置用の回転体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップを形成し、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方の回転体の軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率より高い定着回転体を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、高熱伝導率の線材の周囲を低熱伝導率の材質で被覆した線材を定着回転体の軸方向と平行に積層し、固定した熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する請求項1に記載の定着回転体を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2に記載の低熱伝導率の部材の表面の軸方向に溝が設けてある熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する定着回転体を主要な特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明では、請求項2に記載の低熱伝導率の部材の表面に凹凸が設けてある熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する定着回転体を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項2に記載の高熱伝導率の線材が内部に空隙を有する中空線材である熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有する定着回転体を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の熱伝導率異方性を有する層と定着回転体基材の間に耐熱性の中空樹脂繊維を積層した断熱層を有する定着回転体を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着回転体を用いた定着装置を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を表面側から加熱する熱源を備えた定着装置を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を誘導加熱する熱源を備えた定着装置を主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項7乃至9に記載の定着装置を用いた画像形成装置を主要な特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は画像形成装置の概略を示す断面図であり、その画像形成装置本体1内には、記録材にトナー像を形成する作像手段2と、その作像手段に記録材を給送する給送手段3と、記録材上に形成されたトナー像を定着する定着装置4とを有している。先ず、作像手段2の概要を明らかにする。
ここに例示した作像手段2は、像担持体の一例であるドラム状の感光体5を有し、この感光体5が時計方向に回転するとき、帯電装置6により感光体表面が所定の極性に帯電される。その帯電面に、露光装置の一例であるレーザ書き込みユニット7から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって感光体表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置8によってトナー像として可視像化され、そのトナー像は、給送手段3から送り出された記録材上に、転写装置9の作用により転写される。トナー像転写後の感光体表面に付着する転写残トナーはクリーニング装置10により除去される。
給送手段3は、例えば転写紙又は樹脂シートなどから成る記録材Pを収容したカセット11を有し、給送ローラ12の回転によって、最上位の記録材Pがカセット11から送り出される。その送り出された記録材はレジストローラ対13の回転によって、感光体5と転写装置9との間の転写部に給送され、ここで、前述のように感光体5上のトナー像が記録材上に転写される。このようにしてトナー像を担持した記録材は、引き続き定着装置4を通り、このとき、後述するように記録材上のトナー像が定着される。定着装置4を通過した記録材は、機外のトレイ14上に排出される。
【0009】
(実施例1)
図2は本発明の定着装置の断面図であり、ここに示した定着装置は定着ローラ(定着回転体)21と、この定着ローラ21に圧接した加圧ローラ(加圧回転体)27とを有し、これらのローラが互いに圧接することによりニップが形成される。定着ローラ21は時計方向に回転し、加圧ローラ27は反時計方向に回転する。定着ローラ内部には加熱手段としてハロゲンヒータ22が設置され、定着ローラが設定温度になるように制御されている。定着ローラはφ30mmの金属芯金(定着回転体基材)24の表面に離型層23としてt=10μmのテフロン(登録商標)層をコーティングしている。加圧ローラは外経φ30mmあり、図3に示すように、金属芯金24上にポリイミドで被覆された銅線を芯金軸方向と平行に積層し、t=2mmの熱伝導率異方性層28を形成している。表層はt=20μmのPFAチューブが離型層23として被覆しており、熱伝導率異方層28と離型層23の間には熱伝導率異方層の線材の凹凸を埋めるためにシリコーンゴム層がt=300μmで形成されている。
【0010】
熱伝導率異方層28を形成する線材は、図4(a)に示すように、φ100μmの高熱伝導率部材31(銅線等)の外周に低熱伝導率部材32(ポリイミド層等)をt=50μmで形成している。この線材を積層することで、線材方向には銅線が連続して存在するため熱伝導率が高く、線材と直交方向については間にポリイミド層が挟まり、かつ線材間の空隙には熱伝導率の低い空気層を含んでいるため断熱性が高くなっている。高熱伝導率部材31としては銅以外の金属線でも良く、金属以外にも炭素繊維などが使用できる。低熱伝導率部材32としてはポリイミド以外にもポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が使用できる。
線材は図4(b)、(c)のような形状のものを用いると線材間の接触面積を減らすことができ、接触熱抵抗が大きくなるので線材と直交方向の断熱性を更に上げることができる。図4(b)の形状は溝加工のダイスを通すことで簡単に形成することができる。図4(c)の形状は低熱伝導率部材のコーティング剤に粒子を混入して金属線にコーティングを行うことで凹凸を形成することができる。また、図4(d)に示すように高熱伝導率部材の形状としては内部に空隙を有する中空金属線31を用いることで空気の含有量を増えるので線材と直交方向の断熱性を上げることができる。
【0011】
(実施例2)
図5は、本発明の他の実施形態の定着装置の断面図である。定着ローラ21及び加圧ローラ27は実施例1の加圧ローラと同じ構成である。定着ローラのニップ上流側には加熱手段としてハロゲンヒータ22が設置され、ふく射熱が定着ローラ側に反射するように反射板29で覆っている。定着ローラ27はニップ直前で集中して加熱されていて、半径方向、円周方向は熱伝導率が低いので熱の逃げは少なく、立上がり時間を速くすることができる。なお、図2と同一部分、同一材料には同一符号を付した。
【0012】
(実施例3)
図6は、本発明にベルトを用いた実施形態の定着装置の断面図である。定着ベルト42は、ポリイミドをベルト基体として用い、その上に弾性層としてシリコーンゴム層t=0.2mm、離型層としてPFAコート層t=10μmを形成している。定着ベルト42は、第1定着部材41(定着ローラ)と第2定着部材43と支持ローラに張架され、第1、第2の定着部材41、43は定着ベルト42を加圧ローラ27に巻き付けるように定着ベルトを介して加圧ローラに圧接している。熱源としてニップ上流にハロゲンヒータ22を設け、定着ベルト42を表層側から加熱している。定着ローラおよび加圧ローラ27は実施例2の構成に加え、熱伝導率異方性層28と芯金24の間に中空繊維44を積層した断熱層を有している。
中空繊維44としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリフェニレンサルファイド、ガラス、セラミックス、金属など中空構造により断熱効果を高くするという点では材料を限定するものではないが、本発明では耐熱性、材料自体の熱伝導率、強度を考慮してポリイミド中空繊維を採用している。ポリイミド中空繊維はで外径φ200μm、内径φ100μmのものを使用した。中空繊維の断熱層は直交方向の断熱性が熱伝導率異方性層より高く、ローラ軸方向の温度均一化は熱伝導率異方性層により、半径方向の断熱性の向上は中空繊維44の断熱層によってと、夫々役割を分担することでより効果が高くなっている。
【0013】
(実施例4)
図7は、本発明の誘導加熱を用いた実施形態の定着装置の断面図である。定着ローラ21は樹脂ローラ50を芯材とし、その外周面上に熱伝導率異方性層28を形成している。定着ローラ21の中には誘導コイル51が配置され、熱伝導率異方性層28に用いた金属線が発熱層28を兼ねている。金属線としては鉄、ニッケルなどの磁性金属を用いると磁力線を引き付けることができるので発熱の効率が高くなる。ローラ芯材は樹脂に限らず、ガラスも耐熱性と剛性の点から適していた。加圧ローラ27には金属芯金を用いず、中空繊維44の断熱層をバインダーで固定することで芯金の役割を兼ね、装置の軽量化、低熱容量化を可能にしている。なお、上記他の実施例と同一部分、同一材料には同一符号を付した。
【0014】
(実施例5)
図8は固定加圧部材を用いた実施形態のベルト定着装置の断面図である。定着ベルト42内部にハロゲンヒータ22、反射板29を配置し、定着ベルト42(ローラ等の支持、張設手段は図示を省略)を直接加熱している。定着ベルト42内部の固定加圧部材(中空繊維44、加圧フレーム45)が定着ベルトを介して加圧ローラ27と圧接することでニップを形成しているが、撓みがなく均一にニップを形成するためには加圧フレーム45は剛性の高い金属フレームである必要があり、熱容量は大きいものである。この加圧フレームは加熱には関係ないので、できるだけ加熱したくない。そのためハロゲンヒータ22からのふく射熱が伝わらないようにハロゲンヒータとの間には反射板29が設けられ、ニップで定着ベルトから伝わる熱は中空繊維を積層した断熱材44を介することで遮断している。加圧ローラ実施例4と同じ構成のものを使用して、軸方向の温度均一性と半径方向の断熱性を両立している。
【0015】
以上の実施例における定着装置でA4サイズの用紙を縦通紙で連続50枚通紙した直後にA3サイズの用紙を通紙したところ、光沢ムラやオフセット、シワなどの不具合は発生しなかった。また定着部材が設定温度に達するまでの立ち上がり時間は非常に短いものであった。
実施例はトナーを紙上に転写した後、加熱定着させる通常の定着プロセスで示したが、トナーを定着部材上に転写した後、昇温したトナーを紙に定着させる転写定着プロセスにおいても同様に有効であった。
尚、本発明の実施形態により、高熱伝導率の線材の周囲を低熱伝導率の材質で被覆した線材を回転体の軸方向と平行に積層し、固定した熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層の間に有することを特徴とする請求項1に記載の定着回転体により、高熱伝導率の線材と平行方向は熱伝導率が高いので、軸方向の熱移動が速く、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、低熱伝導率の部材の表面の軸方向に溝が設けてある熱伝導率異方性を有する層を回転体基材と表層の間に有することを特徴とする定着回転体により、溝により線材間の接触熱抵抗が大きくなり、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
【0016】
又、低熱伝導率の部材の表面に凹凸が設けてある熱伝導率異方性を有する層を回転体基材と表層の間に有することを特徴とする定着回転体により、凹凸により線材間の接触熱抵抗が大きくなり、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、高熱伝導率の線材が内部に空隙を有する中空線材である熱伝導率異方性を有する層を回転体基材と表層の間に有することを特徴とする定着回転体により、線材内に空気層を含むことにより熱伝導率が小さくなり、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、熱伝導率異方性を有する層と回転体基材の間に耐熱性の中空樹脂繊維を積層した断熱層を有することを特徴とする定着回転体により、断熱層は高熱伝導率の部材を含まないのでより断熱効果が高くなり、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
又、本発明記載の定着回転体を用いることにより、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
【0017】
請求項8によれば、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を表面側から加熱する熱源を備えたことを特徴とする表層加熱方式の定着装置により、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
請求項9によれば、請求項1乃至6に記載の定着回転体を用いたことを特徴とする誘導加熱方式の定着装置は、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減した定着装置を得ることが可能となる。
請求項10によれば、請求項7乃至9に記載の定着装置を備えた画像形成装置は、軸方向の熱伝導率が良いので端部温度上昇が軸方向の熱移動により均一化され、立ち上がり時間が短い、温度ムラ、端部温度上昇を低減することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップを形成し、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方の回転体の軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率より高いことを特徴とする定着回転体により、軸方向へ熱の移動が速いので小サイズ用紙通紙時の温度ムラ、端部温度上昇を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着装置を使用する画像形成装置の概略を示す断面図。
【図2】本発明の定着装置の加圧ローラに特徴を有する例の断面図。
【図3】本発明の定着装置の熱伝導率異方層の内部構成を示す斜視図。
【図4】本発明の熱伝導率異方層を形成する各種線材の例を示す斜視図。
【図5】本発明の外部加熱方式の実施形態の例を示す定着装置の断面図。
【図6】本発明のベルトを用いた外部加熱方式の実施形態の定着装置の断面図。
【図7】本発明の誘導加熱を用いた実施形態の定着装置の断面図。
【図8】本発明の固定加圧部材を用いた実施形態のベルト定着装置の断面図。
【符号の説明】
1 画像形成装置本体、2 作像手段、3 給送手段、4 定着装置、5 感光体、6 帯電装置、7 レーザ書き込みユニット、8 現像装置、9 転写装置、10 クリーニング装置、11 カセット、12 給送ローラ、13 レジストローラ対、14 トレイ、21 定着ローラ、22 ハロゲンヒータ、23 離型層、24 芯金、25 トナー画像、26 記録材、27 加圧ローラ、28 熱伝導率異方性層、29 反射板、30a 熱伝導率低、30b 熱伝導率高、31 高熱伝導率部材、32 低熱伝導率部材、41 第一定着部材、42定着ベルト、43 第二定着部材、44 中空繊維、45 加圧フレーム、51 誘導コイル
Claims (10)
- 定着回転体と加圧回転体の圧接によりニップ部を形成するとともに、定着回転体を加熱する加熱手段を備え、記録材を前記ニップ部で狭持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着回転体において、定着回転体または加圧回転体のうち少なくとも一方に、軸方向の熱伝導率が円周方向および半径方向の熱伝導率よりも高い熱伝導率異方性を配置したことを特徴とする定着回転体。
- 高熱伝導率部材の周囲を低熱伝導率部材で被覆した線材を定着回転体の軸方向と平行に複数本積層し、熱伝導率異方性を有する層を定着回転体基材と表層との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の定着回転体。
- 請求項2に記載の低熱伝導率部材の表面の軸方向に溝が設けてある熱伝導率異方性を有する層を、定着回転体基材と表層との間に有することを特徴とする定着回転体。
- 請求項2に記載の低熱伝導率部材の表面に凹凸が設けてある熱伝導率異方性を有する層を、定着回転体基材と表層との間に有することを特徴とする定着回転体。
- 請求項2に記載の高熱伝導率部材が内部に空隙を有する中空線材である熱伝導率異方性を有する層を、定着回転体基材と表層との間に有することを特徴とする定着回転体。
- 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の熱伝導率異方性を有する層と定着回転体基材との間に耐熱性の中空樹脂繊維を積層した断熱層を有することを特徴とする定着回転体。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着回転体を用いたことを特徴とする定着装置。
- 請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を表面側から加熱する熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
- 請求項1乃至6に記載の定着回転体を用い、定着回転体を誘導加熱する熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
- 請求項7乃至9に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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- 2003-06-30 JP JP2003188185A patent/JP2005024725A/ja active Pending
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