JP2005001427A - 重荷重用タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化やビード耐久性の向上等の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を抑制する。
【解決手段】カーカスのプライ折返し部6bは、ビードコア5に沿って折れ曲がる主部10に連なりビードコア5から離間してのびる巻上げ部11を有する。この巻上げ部11は、プライ本体部6aに向かって略直線状に傾斜してのび、かつ該巻上げ部11の離間開始点P1とその先端P2とを結ぶ直線Xが前記プライ本体部6aと交わる交点P3の、ビードコア5の半径方向上面SUからの高さLaを3〜15mm、かつ前記先端P2と交点P3との間隙Lbを1〜10mmとする。又ビードコア5と巻上げ部11とプライ本体部6aとの間に、断面三角形状をなしかつ複素弾性率E* が3〜13Mpaの充填ゴム12を配した。
【選択図】 図2
【解決手段】カーカスのプライ折返し部6bは、ビードコア5に沿って折れ曲がる主部10に連なりビードコア5から離間してのびる巻上げ部11を有する。この巻上げ部11は、プライ本体部6aに向かって略直線状に傾斜してのび、かつ該巻上げ部11の離間開始点P1とその先端P2とを結ぶ直線Xが前記プライ本体部6aと交わる交点P3の、ビードコア5の半径方向上面SUからの高さLaを3〜15mm、かつ前記先端P2と交点P3との間隙Lbを1〜10mmとする。又ビードコア5と巻上げ部11とプライ本体部6aとの間に、断面三角形状をなしかつ複素弾性率E* が3〜13Mpaの充填ゴム12を配した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーカスのプライ折返し部の構造を改善することにより、軽量化を図りつつビード耐久性を向上した重荷重用タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、図5に示す如く、カーカスのプライ折返し部aを、ビードコアbの周りで略一周巻きし、該ビードコアbの半径方向上面bsに沿わせたプライ折返し部aの端部分a1を、該ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で狭持したビード構造のタイヤが提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−32124号公報
【特許文献2】
特開2000−219016号公報
【0004】
この構造のものは、プライ折返し部aがビードコアbの周囲で途切れるため、その端部分a1にタイヤ変形時の応力が作用せず、従って、該端部分a1を起点としたコードルース等の損傷を効果的に抑制できる。しかもプライ折返し部aの長さが小であるため、タイヤを軽量化しうるという利点もある。なおカーカスプライの吹き抜け現象は、前記端部分a1が、ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で挟まれて係止されることにより防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記構造のものは、前記端部分a1の長さが小でありかつ折れ曲がりの度合いが大きいため、例えば生タイヤ成形過程などにおいて、前記端部分a1の折れ曲がりが強く戻ろうとする。その結果、ビードコアbとの間に空洞が生じ、空気残りなどの成形不良を発生させるという問題がある。
【0006】
なおビードコアbに沿うように、プライ折返し部aに予め癖付けすることが考えられるが、係る場合には、走行中、この癖付け部分が起点となって損傷を起こす傾向がある。
【0007】
そこで本発明は、予め、前記端部分a1とビードコアbとの間に、所定の複素弾性率を有する断面三角形状かつ小高さの充填ゴムを介在させることを基本として、軽量化やビード耐久性の向上等の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうる重荷重用タイヤを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなり、
かつ巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して75°以下の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜して略直線状にのびるとともに、
該巻上げ部のビードコアからの離間を開始する離間開始点と前記巻上げ部の先端とを結ぶ直線が前記プライ本体と交わる交点の、ビードコアの前記半径方向上面からの高さLaを5〜15mm、
かつ前記巻上げ部の先端と前記交点との間隙Lbを1〜5mmとするとともに、
前記ビードコアの半径方向上面と、前記巻上げ部と、前記プライ本体部との間に、断面三角形状をなしかつ複素弾性率Ea* が3〜13Mpaの充填ゴムを配したことを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記充填ゴムの複素弾性率Ea* は、3〜7Mpaであることを特徴としている。
【0010】
又請求項3の発明では、前記高さLaは、7〜15mmであることを特徴としている。
【0011】
又請求項4の発明では、前記充填ゴムは、断面略二等辺三角形状をなすことを特徴としている。
【0012】
又請求項5の発明では、前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片を少なくとも有するビード補強層を具えるとともに、前記外片のビードベースラインからの半径方向高さHcは5〜20mmであることを特徴としている。
【0013】
又請求項6の発明では、前記ビード補強層は、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側に、前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片を具えるとともに、この内片のビードベースラインからの半径方向高さHbは70mm以下であることを特徴としている。
【0014】
ここで、タイヤの各部の寸法等は、本明細書では、特に断りがない限り、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態で特定される値を意味し、この5%正規内圧状態でのタイヤ形状は、通常、加硫金型内でのタイヤ形状と略一致している。
【0015】
又前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim” 、或いはETRTOであれば ”Measuring Rim”を意味する。また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” を意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の重荷重用タイヤが、トラック・バス用等のチューブレスタイヤである場合の5%正規内圧状態を示す断面図、図2はそのビード部を拡大して示す断面図である。
【0017】
図1において、重荷重用タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7とを具備して構成される。
【0018】
前記ベルト層7は、ベルトコードを用いた2枚以上(重荷重用タイヤの場合は3枚以上)のベルトプライから形成される。本例では、ベルト層7が、スチールコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2〜4のベルトプライ7B〜7Dとの4枚構造の場合を例示している。このベルトプライ7A〜7Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置されることにより、ベルト剛性を高めトレッド部2をタガ効果を有して補強している。
【0019】
又前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列した一枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスコードとして、スチールコードが好適であるが、必要に応じてナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミドなどの有機繊維コードも使用される。又前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。
【0020】
なお前記ビードコア5は、図2に示すように、例えばスチール製のビードワイヤを多段多列に巻回してなるリング状体であって、本例では、断面横長の偏平六角形状のものを例示する。このビードコア5は、半径方向下面SLが正規リムJのリムシートJ1と略平行となることによって、リムとの嵌合力を広範囲に亘って高めている。本例では、前記正規リムJがチューブレス用の15°テーパーリムである場合を例示しており、従って、ビードコア5の前記半径方向下面SL及び上面SUは、タイヤ軸方向線に対して15°の角度で傾斜してる。なおビードコア5の断面形状としては、必要に応じて、正六角形、矩形状も採用できる。
【0021】
次に、本発明では、前記カーカス6のプライ折返し部6bは、このビードコア5の周面に巻き付けられるとともに、該プライ折返し部6bの端部がビードエーペックスゴム8との間で狭持されて係止される。
【0022】
詳しくは、前記プライ折返し部6bは、前記ビードコア5のタイヤ軸方向内側面Si、半径方向下面SL、及びタイヤ軸方向外側面Soに沿って折れ曲がる主部10と、該主部10に連なり前記ビードコア5から離間してのびる巻上げ部11とから形成される。
【0023】
このとき、前記巻上げ部11は、ビードコア5の前記半径方向上面SUに対して75°以下の角度θを有して前記プライ本体部6aに向かって略直線状に傾斜してのびる。なお「略直線状」とは、加硫成型などにおける変形を許容するもので、直線の他、曲率半径100mm以上の円弧を含むことができる。又前記角度θは、前記巻上げ部11が円弧の場合には、該巻上げ部11がビードコア5から離間を開始する離間開始点P1と前記巻上げ部11の先端P2とを結ぶ直線Xの、前記半径方向上面SUに対する角度とする。又前記離間開始点P1は、離間の開始位置が不明瞭な場合には、前記半径方向上面SUの延長線がプライ折返し部6bと交わる点とする。又前記巻上げ部11が円弧の場合の曲率半径は、前記離間開始点P1と、前記先端P2と、その中点とを通る3点円弧の曲率半径を意味する。
【0024】
そして、前記巻上げ部11では、前記直線Xが前記プライ本体部6aと交わる交点P3の、前記半径方向上面SUからの高さLaを5〜15mm、かつ前記巻上げ部11の先端P2と前記交点P3との間隙Lbを1〜5mmとするとともに、ビードコア5の前記半径方向上面SUと、前記巻上げ部11と、前記プライ本体部6aとの間に、断面三角形状をなす充填ゴム12を配している。
【0025】
このように、ビードコア5と巻上げ部11との間に小高さの充填ゴム12を設け、前記高さLaを5mm以上に確保しているため、前記巻上げ部11の曲がりの度合いを減じることができる。その結果、巻上げ部11の曲げ戻りが抑えられ、空気残りなどの成形不良の発生を抑制することが可能となる。
【0026】
このとき、前記高さLaが15mmを越えると、巻上げ部11の前記先端P2に、タイヤ変形時の応力が強く作用する傾向となり、該先端P2を起点としたコードルース等の損傷が生じやすくなる。従って、前記高さLaは7〜15mmが好ましい。又前記先端P2と交点P3との前記間隙Lbを1〜5mmの範囲で確保することも重要であり、1mm未満では、タイヤ形成時のバラツキ、或いは走行時のタイヤ変形等によって、カーカスコードの先端とプライ本体部6aのカーカスコードとが接触して擦れ合うなど、フレッティング等のコード損傷を招きやすくなる。又前記間隙Lbが5mmを越えると、巻上げ部11の係止力が不十分となり、走行中に吹き抜け現象が発生する恐れがある。従って、前記間隙Lbは2〜4mmが好ましい。
【0027】
ここで、前記巻上げ部11においては、La≦5mm であることから、その先端P2には、タイヤ変形時の応力が作用する傾向がある。特に、巻上げ部11には、その半径方向外側に、ゴム硬度(デュロメータA硬さ)が60〜99度の硬質の前記ビードエーペックスゴム8が隣接するため、前記応力が集中し易い傾向となる。従って、前記充填ゴム12においては、前記応力を分散緩和させてコードルース等を防止することが必要であり、そのために本発明では、この充填ゴム12を、複素弾性率Ea* が3〜13Mpa、好ましくは3〜7Mpaとした衝撃緩和効果に優れる低弾性のゴムで形成している。なお前記ビードエーペックスゴム8には、通常、複素弾性率Eb*が35〜60Mpaの高弾性のゴムが使用される。この複素弾性率の値は、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定した値である。
【0028】
なお前記複素弾性率Ea* が3Mpa未満では、ハンドル応答性が損なわれるなど操縦安定性を減じる傾向となり、逆に13Mpaを越えると、コードルース等が防止できない恐れが生じる。なお充填ゴム12では、ハンドル応答性等の維持のために、その断面形状を、ビードコア5の前記半径方向上面SUと接する辺を底辺とした略二等辺三角形状であるのが好ましい。
【0029】
次に、ビードエーペックスゴム8としては、従来的な構造が採用でき、本例では、複素弾性率Eb*を35〜60Mpaとした下のエーペックスゴム部8Aと、その半径方向外方に隣接しかつ複素弾性率Ec*を、充填ゴム12の前記複素弾性率Ea*より大かつ下のエーペックスゴム部8Aの前記複素弾性率Eb*より小とした上のエーペックスゴム部8Bとの2層構造をなすものを例示している。
【0030】
又本発明では、充填ゴム12を配することによる、ハンドル応答性等への悪影響をさらに抑えるため、ビード部4に、ビード補強層15を設けている。
【0031】
このビード補強層15は、図3に示すように、前記プライ折返し部6bの主部10に沿いその半径方向内方を通る曲線状部15Aと、この曲線状部15Aのタイヤ軸方向外側で前記主部10と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片15oとを少なくとも具えて構成される。本例では、前記曲線状部15Aのタイヤ軸方向内側に、前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片15iをさらに設けたものを例示している。
【0032】
このビード補強層15は、本例では、スチールコードをタイヤ周方向線に対して例えば10〜40゜の角度で配列した1枚のコード補強プライからなり、ビード部4の曲げ剛性を高め、必要なハンドル応答性等を確保する。
【0033】
ここで、前記外片15oのビードベースラインBLからの半径方向高さHcは、5〜20mmであることが好ましく、5mm未満では補強効果が不十分であり、逆に20mmを越えると、その外端に応力が集中してビード損傷を招きやすくする。又前記内片15iのビードベースラインBLからの半径方向高さHbは、70mm以下であることが好ましく、70mmを越えると、その外端に応力が集中してビード損傷を招きやすくするとともに、縦剛性が増加して乗り心地性の悪化を招く。なお前記高さHbは、補強効果の観点から、10mm以上、25mm以上、さらには40mm以上とするのが好ましい。しかしこの内片15iは、要求により削除することもでき、さらには曲線状部15Aのタイヤ軸方向内端を、ビードベースラインBLと同高さで終端させても良い。なお前記「ビードベースラインBL」とは、タイヤが基づく規格で定まるリム径位置を通るタイヤ軸方向線を意味する。
【0034】
又本例においては、ビード部4よりスリム化し、重量低減と、それに伴う蓄熱の減少による耐久性の向上とを図るため、前記プライ本体部6aは、その半径方向内端位置P4から半径方向外方に向かって直線状にのびる直線部分6a1を具えるとともに、この直線部分6a1のビードベースラインBLからの高さh1を、前記ビードエーペックスゴム8のビードベースラインBLからの半径方向高さh0の50%以上、60%以上、さらには70%以上に設定している。
【0035】
このような直線部分6a1を有するカーカスプライ6Aの場合には、タイヤ変形時、より大きなコードテンションが作用するため、吹き抜け現象が生じやすくなるが、本発明では、前記プライ折返し部6bが強固に係止されるため、これを防止できる。なお前記高さh1の上限は、前記プライ本体部6aの外面がタイヤ軸方向外方に最も張り出す最大幅点PmのビードベースラインBLからの高さhmより小であれば特に規制されない。
【0036】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0037】
【実施例】
図1の構造をなすタイヤサイズが11R22.5の重荷重用ラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの、ビード強度、ビード耐久性、成形不良の発生率を測定し互いに比較した。表1以外の仕様は互いに同仕様としている。
【0038】
なお従来例は、図4に示す如く、カーカスのプライ折返し部をビードエーペックスゴムの外側面に沿って巻き上げた構造をなし、プライ折返し部のビードベースラインからの高さh2を65mmとしている。又比較例6は、プライ折返し部がビードコアに沿うように、予め癖付けを施している。
【0039】
(1)ビード強度;
タイヤをリム(7.50×22.5)組みし、バルブからタイヤ内腔に水を充填し、タイヤが破裂したときの破壊水圧を測定し、従来例を100とした指数で示した。値が大きいほど優れている。
【0040】
(2)ビード耐久性;
ドラム試験機を用い、タイヤをリム(7.50×22.5)、内圧(700kPa)、荷重(27.25kN×3)の条件下にて、速度30km/hで走行させ、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を、従来例を100とした指数で示した。値が大なほど耐久性に優れている。
【0041】
(3)成形不良の発生率;
タイヤ100本を作成して不良タイヤの発生率を算出した。なお不良タイヤは、タイヤをCTスキャナで撮影し、空気残りの有無を検出した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、軽量化やビード耐久性の向上等の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重荷重用タイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】そのビード部を拡大して示す断面図である。
【図3】そのビード部を拡大して示す断面図である。
【図4】表1の従来例のビード構造を示す断面図である。
【図5】従来技術を説明するビード構造の断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6A カーカスプライ
6a プラ本体部
6b プライ折返し部
10 主部
11 巻上げ部
12 充填ゴム
15 ビード補強層
15a 曲線状部
15i 内片
15o 外片
P1 離間開始点
P2 先端
P3 交点
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーカスのプライ折返し部の構造を改善することにより、軽量化を図りつつビード耐久性を向上した重荷重用タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、図5に示す如く、カーカスのプライ折返し部aを、ビードコアbの周りで略一周巻きし、該ビードコアbの半径方向上面bsに沿わせたプライ折返し部aの端部分a1を、該ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で狭持したビード構造のタイヤが提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−32124号公報
【特許文献2】
特開2000−219016号公報
【0004】
この構造のものは、プライ折返し部aがビードコアbの周囲で途切れるため、その端部分a1にタイヤ変形時の応力が作用せず、従って、該端部分a1を起点としたコードルース等の損傷を効果的に抑制できる。しかもプライ折返し部aの長さが小であるため、タイヤを軽量化しうるという利点もある。なおカーカスプライの吹き抜け現象は、前記端部分a1が、ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で挟まれて係止されることにより防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記構造のものは、前記端部分a1の長さが小でありかつ折れ曲がりの度合いが大きいため、例えば生タイヤ成形過程などにおいて、前記端部分a1の折れ曲がりが強く戻ろうとする。その結果、ビードコアbとの間に空洞が生じ、空気残りなどの成形不良を発生させるという問題がある。
【0006】
なおビードコアbに沿うように、プライ折返し部aに予め癖付けすることが考えられるが、係る場合には、走行中、この癖付け部分が起点となって損傷を起こす傾向がある。
【0007】
そこで本発明は、予め、前記端部分a1とビードコアbとの間に、所定の複素弾性率を有する断面三角形状かつ小高さの充填ゴムを介在させることを基本として、軽量化やビード耐久性の向上等の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうる重荷重用タイヤを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなり、
かつ巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して75°以下の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜して略直線状にのびるとともに、
該巻上げ部のビードコアからの離間を開始する離間開始点と前記巻上げ部の先端とを結ぶ直線が前記プライ本体と交わる交点の、ビードコアの前記半径方向上面からの高さLaを5〜15mm、
かつ前記巻上げ部の先端と前記交点との間隙Lbを1〜5mmとするとともに、
前記ビードコアの半径方向上面と、前記巻上げ部と、前記プライ本体部との間に、断面三角形状をなしかつ複素弾性率Ea* が3〜13Mpaの充填ゴムを配したことを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記充填ゴムの複素弾性率Ea* は、3〜7Mpaであることを特徴としている。
【0010】
又請求項3の発明では、前記高さLaは、7〜15mmであることを特徴としている。
【0011】
又請求項4の発明では、前記充填ゴムは、断面略二等辺三角形状をなすことを特徴としている。
【0012】
又請求項5の発明では、前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片を少なくとも有するビード補強層を具えるとともに、前記外片のビードベースラインからの半径方向高さHcは5〜20mmであることを特徴としている。
【0013】
又請求項6の発明では、前記ビード補強層は、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側に、前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片を具えるとともに、この内片のビードベースラインからの半径方向高さHbは70mm以下であることを特徴としている。
【0014】
ここで、タイヤの各部の寸法等は、本明細書では、特に断りがない限り、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態で特定される値を意味し、この5%正規内圧状態でのタイヤ形状は、通常、加硫金型内でのタイヤ形状と略一致している。
【0015】
又前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim” 、或いはETRTOであれば ”Measuring Rim”を意味する。また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” を意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の重荷重用タイヤが、トラック・バス用等のチューブレスタイヤである場合の5%正規内圧状態を示す断面図、図2はそのビード部を拡大して示す断面図である。
【0017】
図1において、重荷重用タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7とを具備して構成される。
【0018】
前記ベルト層7は、ベルトコードを用いた2枚以上(重荷重用タイヤの場合は3枚以上)のベルトプライから形成される。本例では、ベルト層7が、スチールコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2〜4のベルトプライ7B〜7Dとの4枚構造の場合を例示している。このベルトプライ7A〜7Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置されることにより、ベルト剛性を高めトレッド部2をタガ効果を有して補強している。
【0019】
又前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列した一枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスコードとして、スチールコードが好適であるが、必要に応じてナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミドなどの有機繊維コードも使用される。又前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。
【0020】
なお前記ビードコア5は、図2に示すように、例えばスチール製のビードワイヤを多段多列に巻回してなるリング状体であって、本例では、断面横長の偏平六角形状のものを例示する。このビードコア5は、半径方向下面SLが正規リムJのリムシートJ1と略平行となることによって、リムとの嵌合力を広範囲に亘って高めている。本例では、前記正規リムJがチューブレス用の15°テーパーリムである場合を例示しており、従って、ビードコア5の前記半径方向下面SL及び上面SUは、タイヤ軸方向線に対して15°の角度で傾斜してる。なおビードコア5の断面形状としては、必要に応じて、正六角形、矩形状も採用できる。
【0021】
次に、本発明では、前記カーカス6のプライ折返し部6bは、このビードコア5の周面に巻き付けられるとともに、該プライ折返し部6bの端部がビードエーペックスゴム8との間で狭持されて係止される。
【0022】
詳しくは、前記プライ折返し部6bは、前記ビードコア5のタイヤ軸方向内側面Si、半径方向下面SL、及びタイヤ軸方向外側面Soに沿って折れ曲がる主部10と、該主部10に連なり前記ビードコア5から離間してのびる巻上げ部11とから形成される。
【0023】
このとき、前記巻上げ部11は、ビードコア5の前記半径方向上面SUに対して75°以下の角度θを有して前記プライ本体部6aに向かって略直線状に傾斜してのびる。なお「略直線状」とは、加硫成型などにおける変形を許容するもので、直線の他、曲率半径100mm以上の円弧を含むことができる。又前記角度θは、前記巻上げ部11が円弧の場合には、該巻上げ部11がビードコア5から離間を開始する離間開始点P1と前記巻上げ部11の先端P2とを結ぶ直線Xの、前記半径方向上面SUに対する角度とする。又前記離間開始点P1は、離間の開始位置が不明瞭な場合には、前記半径方向上面SUの延長線がプライ折返し部6bと交わる点とする。又前記巻上げ部11が円弧の場合の曲率半径は、前記離間開始点P1と、前記先端P2と、その中点とを通る3点円弧の曲率半径を意味する。
【0024】
そして、前記巻上げ部11では、前記直線Xが前記プライ本体部6aと交わる交点P3の、前記半径方向上面SUからの高さLaを5〜15mm、かつ前記巻上げ部11の先端P2と前記交点P3との間隙Lbを1〜5mmとするとともに、ビードコア5の前記半径方向上面SUと、前記巻上げ部11と、前記プライ本体部6aとの間に、断面三角形状をなす充填ゴム12を配している。
【0025】
このように、ビードコア5と巻上げ部11との間に小高さの充填ゴム12を設け、前記高さLaを5mm以上に確保しているため、前記巻上げ部11の曲がりの度合いを減じることができる。その結果、巻上げ部11の曲げ戻りが抑えられ、空気残りなどの成形不良の発生を抑制することが可能となる。
【0026】
このとき、前記高さLaが15mmを越えると、巻上げ部11の前記先端P2に、タイヤ変形時の応力が強く作用する傾向となり、該先端P2を起点としたコードルース等の損傷が生じやすくなる。従って、前記高さLaは7〜15mmが好ましい。又前記先端P2と交点P3との前記間隙Lbを1〜5mmの範囲で確保することも重要であり、1mm未満では、タイヤ形成時のバラツキ、或いは走行時のタイヤ変形等によって、カーカスコードの先端とプライ本体部6aのカーカスコードとが接触して擦れ合うなど、フレッティング等のコード損傷を招きやすくなる。又前記間隙Lbが5mmを越えると、巻上げ部11の係止力が不十分となり、走行中に吹き抜け現象が発生する恐れがある。従って、前記間隙Lbは2〜4mmが好ましい。
【0027】
ここで、前記巻上げ部11においては、La≦5mm であることから、その先端P2には、タイヤ変形時の応力が作用する傾向がある。特に、巻上げ部11には、その半径方向外側に、ゴム硬度(デュロメータA硬さ)が60〜99度の硬質の前記ビードエーペックスゴム8が隣接するため、前記応力が集中し易い傾向となる。従って、前記充填ゴム12においては、前記応力を分散緩和させてコードルース等を防止することが必要であり、そのために本発明では、この充填ゴム12を、複素弾性率Ea* が3〜13Mpa、好ましくは3〜7Mpaとした衝撃緩和効果に優れる低弾性のゴムで形成している。なお前記ビードエーペックスゴム8には、通常、複素弾性率Eb*が35〜60Mpaの高弾性のゴムが使用される。この複素弾性率の値は、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定した値である。
【0028】
なお前記複素弾性率Ea* が3Mpa未満では、ハンドル応答性が損なわれるなど操縦安定性を減じる傾向となり、逆に13Mpaを越えると、コードルース等が防止できない恐れが生じる。なお充填ゴム12では、ハンドル応答性等の維持のために、その断面形状を、ビードコア5の前記半径方向上面SUと接する辺を底辺とした略二等辺三角形状であるのが好ましい。
【0029】
次に、ビードエーペックスゴム8としては、従来的な構造が採用でき、本例では、複素弾性率Eb*を35〜60Mpaとした下のエーペックスゴム部8Aと、その半径方向外方に隣接しかつ複素弾性率Ec*を、充填ゴム12の前記複素弾性率Ea*より大かつ下のエーペックスゴム部8Aの前記複素弾性率Eb*より小とした上のエーペックスゴム部8Bとの2層構造をなすものを例示している。
【0030】
又本発明では、充填ゴム12を配することによる、ハンドル応答性等への悪影響をさらに抑えるため、ビード部4に、ビード補強層15を設けている。
【0031】
このビード補強層15は、図3に示すように、前記プライ折返し部6bの主部10に沿いその半径方向内方を通る曲線状部15Aと、この曲線状部15Aのタイヤ軸方向外側で前記主部10と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片15oとを少なくとも具えて構成される。本例では、前記曲線状部15Aのタイヤ軸方向内側に、前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片15iをさらに設けたものを例示している。
【0032】
このビード補強層15は、本例では、スチールコードをタイヤ周方向線に対して例えば10〜40゜の角度で配列した1枚のコード補強プライからなり、ビード部4の曲げ剛性を高め、必要なハンドル応答性等を確保する。
【0033】
ここで、前記外片15oのビードベースラインBLからの半径方向高さHcは、5〜20mmであることが好ましく、5mm未満では補強効果が不十分であり、逆に20mmを越えると、その外端に応力が集中してビード損傷を招きやすくする。又前記内片15iのビードベースラインBLからの半径方向高さHbは、70mm以下であることが好ましく、70mmを越えると、その外端に応力が集中してビード損傷を招きやすくするとともに、縦剛性が増加して乗り心地性の悪化を招く。なお前記高さHbは、補強効果の観点から、10mm以上、25mm以上、さらには40mm以上とするのが好ましい。しかしこの内片15iは、要求により削除することもでき、さらには曲線状部15Aのタイヤ軸方向内端を、ビードベースラインBLと同高さで終端させても良い。なお前記「ビードベースラインBL」とは、タイヤが基づく規格で定まるリム径位置を通るタイヤ軸方向線を意味する。
【0034】
又本例においては、ビード部4よりスリム化し、重量低減と、それに伴う蓄熱の減少による耐久性の向上とを図るため、前記プライ本体部6aは、その半径方向内端位置P4から半径方向外方に向かって直線状にのびる直線部分6a1を具えるとともに、この直線部分6a1のビードベースラインBLからの高さh1を、前記ビードエーペックスゴム8のビードベースラインBLからの半径方向高さh0の50%以上、60%以上、さらには70%以上に設定している。
【0035】
このような直線部分6a1を有するカーカスプライ6Aの場合には、タイヤ変形時、より大きなコードテンションが作用するため、吹き抜け現象が生じやすくなるが、本発明では、前記プライ折返し部6bが強固に係止されるため、これを防止できる。なお前記高さh1の上限は、前記プライ本体部6aの外面がタイヤ軸方向外方に最も張り出す最大幅点PmのビードベースラインBLからの高さhmより小であれば特に規制されない。
【0036】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0037】
【実施例】
図1の構造をなすタイヤサイズが11R22.5の重荷重用ラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの、ビード強度、ビード耐久性、成形不良の発生率を測定し互いに比較した。表1以外の仕様は互いに同仕様としている。
【0038】
なお従来例は、図4に示す如く、カーカスのプライ折返し部をビードエーペックスゴムの外側面に沿って巻き上げた構造をなし、プライ折返し部のビードベースラインからの高さh2を65mmとしている。又比較例6は、プライ折返し部がビードコアに沿うように、予め癖付けを施している。
【0039】
(1)ビード強度;
タイヤをリム(7.50×22.5)組みし、バルブからタイヤ内腔に水を充填し、タイヤが破裂したときの破壊水圧を測定し、従来例を100とした指数で示した。値が大きいほど優れている。
【0040】
(2)ビード耐久性;
ドラム試験機を用い、タイヤをリム(7.50×22.5)、内圧(700kPa)、荷重(27.25kN×3)の条件下にて、速度30km/hで走行させ、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を、従来例を100とした指数で示した。値が大なほど耐久性に優れている。
【0041】
(3)成形不良の発生率;
タイヤ100本を作成して不良タイヤの発生率を算出した。なお不良タイヤは、タイヤをCTスキャナで撮影し、空気残りの有無を検出した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、軽量化やビード耐久性の向上等の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重荷重用タイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】そのビード部を拡大して示す断面図である。
【図3】そのビード部を拡大して示す断面図である。
【図4】表1の従来例のビード構造を示す断面図である。
【図5】従来技術を説明するビード構造の断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6A カーカスプライ
6a プラ本体部
6b プライ折返し部
10 主部
11 巻上げ部
12 充填ゴム
15 ビード補強層
15a 曲線状部
15i 内片
15o 外片
P1 離間開始点
P2 先端
P3 交点
Claims (6)
- トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなり、
かつ巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して75°以下の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜して略直線状にのびるとともに、
該巻上げ部のビードコアからの離間を開始する離間開始点と前記巻上げ部の先端とを結ぶ直線が前記プライ本体と交わる交点の、ビードコアの前記半径方向上面からの高さLaを5〜15mm、
かつ前記巻上げ部の先端と前記交点との間隙Lbを1〜5mmとするとともに、
前記ビードコアの半径方向上面と、前記巻上げ部と、前記プライ本体部との間に、断面三角形状をなしかつ複素弾性率Ea* が3〜13Mpaの充填ゴムを配したことを特徴とする重荷重用タイヤ。 - 前記充填ゴムの複素弾性率Ea* は、3〜7Mpaであることを特徴とする請求項1記載の重荷重用タイヤ。
- 前記高さLaは、7〜15mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の重荷重用タイヤ。
- 前記充填ゴムは、断面略二等辺三角形状をなすことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
- 前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片を少なくとも有するビード補強層を具えるとともに、
前記外片のビードベースラインからの半径方向高さHcは5〜20mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の重荷重用タイヤ。 - 前記ビード補強層は、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側に、前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片を具えるとともに、
この内片のビードベースラインからの半径方向高さHbは70mm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
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