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JP2004519213A - 基質輸送の増加による工業的生産の促進 - Google Patents

基質輸送の増加による工業的生産の促進 Download PDF

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JP2004519213A
JP2004519213A JP2002517772A JP2002517772A JP2004519213A JP 2004519213 A JP2004519213 A JP 2004519213A JP 2002517772 A JP2002517772 A JP 2002517772A JP 2002517772 A JP2002517772 A JP 2002517772A JP 2004519213 A JP2004519213 A JP 2004519213A
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クマール,マノイ
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ジェネンコア インターナショナル インコーポレーテッド
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Abstract

宿主細胞の少なくとも部分的には細胞内の経路から誘導される所望の化合物の、該宿主細胞の生合成的産生を促進する方法が記述されている。そのような方法は、細胞外基質を利用する、少なくとも部分的には細胞内合成経路を持つ宿主細胞を選択し;宿主細胞の完全性を維持すると同時に該宿主細胞内への該細胞外基質の輸送を増加させ;該細胞外基質を産生するために宿主細胞を培養し;および所望の化合物を産生することを含んでいる。基質の輸送は、宿主細胞内へ基質を輸送する、一つまたはそれ以上の酵素をコードしているDNAで宿主細胞を形質転換することにより増加する。

Description

【0001】
技術分野
本発明は一般的に所望の化合物の生物変換を促進すること、特に、膜を横切った一つの細胞位置から別の位置への基質の輸送を容易にする輸送体を過剰発現することに関している。本発明は微生物中での、所望の最終生成物の促進された産生のための発現ベクター、方法およびシステムを提供する。
背景技術
2−ケト−L−グロン酸(2−KLG)は、Reichstein法(Reichstein,T.,et al,Helv.Chim Acta,1934,17 311−328;Reichstein,T.,et al,1933,Helv Chim Acta,16,561,1019)における一工程の化学的手順によりL−アスコルビン酸(ビタミンC)へ容易に変換されることが、一般的によく知られている。出発基質を2−KLGへ変換するための異種酵素を発現する組換え微生物が存在する。単一発酵工程により、Erwinia herbicola中でD−グルコースを2−KLGへ生物変換するために、組換えDNA技術が使用されてきた(Anderson,S.,et al Science 230,144−149(1985))。しかしながら、この研究は最終生成物の工業的生産における基質輸送の重要性を認識することなく、2,5−DKGレダクターゼの発現を増加させること、または他の合成的生産に向けられている。実際に、発明者の研究は、レダクターゼの過剰発現の結果として、2−KLG生産における極微の増加を明らかにした。それ故、細胞内で蛋白質を変換する発現レベルを増加させる以外の手段により、組換え微生物を利用する生合成経路を経る、2−KLGの工業的生産を増加させるための手段が必要とされている。
【0002】
生体膜の脂質二重層は一般的にイオンおよび極性分子に対して不透過性である。これらの生体膜は細胞を区画化し、細胞の異なった部分をお互いに分離している。それ故、種々の生成物を合成するために細胞により利用される基質、ならびにエネルギー発生または増殖のために細胞により利用される代謝物は、それらを利用する合成および/または分解反応から分離されているであろう。生成物合成に関しては、異なった合成経路またはその一部を、細胞の異なった部分に見ることができる。いくつかの酸化的反応は細胞質ゾルの外側で起こることができる。例えば、炭素源を別の中間体に酸化するため、膜結合蛋白質を利用できる。細胞質ゾル反応または経路(例えば、いくつかの還元または脱水素反応)はまた、基質または中間体を別の生成物へ変換するために利用できる。基質および合成装置が膜の反対側にある場合、所望の最終生成物の産生には、所望の最終生成物への変換を可能にするため、合成反応の原位置への基質移動を必要とする。もしくは、細胞膜の内側で発生した最終生成物は、細胞内からの移動を必要とする。細胞の区画化部分は異なった環境パラメーター(例えば、溶質、イオン、最終生成物、濃度その他)を持っている、または正常では不透過性の障壁を横切った移動を必要とするので、何らかの形の能動輸送が必要とされるであろう。
【0003】
これらの問題に答えて、膜を横切った物質の輸送を増加させることに関する研究が現れた。溶媒または溶解剤が、膜を破断するために使用され、膜を横切った物質の横断を可能にしてきた。しかしながら、そのような方法は宿主細胞の生存力に有害な効果を示す。もし、合成または代謝経路が、宿主細胞自身の代謝または分解経路によりエネルギーを与えられているまたは依存するとしたら(NADHまたはNADPHのような補因子を必要とするような)、細胞の生存力を破壊することは、宿主細胞によるさらなるまたは連続した合成的産生を停止させる。加えて、細胞増殖を増加させることによるグルコースまたは他のサッカリド輸送の増加が探求されているが(Parker,C.,et al,Mol.Microbiol 15(5):795−802(1995))、組換え微生物を利用する生合成経路による化学最終生成物または中間体の工業的生産を増加させるために細胞輸送システムを改変することは認識されていない。
【0004】
Cornish(J.of Gen.Microbiol.,134:3111−3122(1988))はAgrobacteriyum radiobacterによるグルコース輸送とスクシノグルカン エキソポリサッカリド産生の関係を議論している。Cornishは、グルコース取込がスクシノグルカン産生の主たる反応速度制御点であったこと、およびもっと速い速度のスクシノグルカン産生を得るために組換えDNA法を使用することにより、もっと速い速度でスクシノグルカン産生が得られるはずであることを提案している。しかしながら、Cornishの産生速度は工業的に要求される規模ではなかった。さらに、高いレベルのエネルギーが消費され、およびグルコースの輸送に複雑な調節機構が含まれており、その使用を助長するというよりもむしろ思いとどまらせるものであったであろう。
【0005】
Volschenk,H.,et al(Nat.Biotechnol.1 5:253(1997年3月)は、Saccharomyces cerevisiae内へのリンゴ酸分解経路の導入を記載しており、ワイン中に存在するリンゴ酸レベルを枯渇させる目的で、それをコードしている異種DNAのクローニングおよび発現を行っている。Volschenkは主として、取り巻いている培地からのリンゴ酸の除去に関心を示し、工業的規模での所望の最終生成物生産には関心を持ってはいない。
【0006】
さらに、輸送システムが関与するという単なる知見は、所望の最終生成物または中間体の促進された産生をほとんど保証しない。合成装置はすでに飽和されているであろうから、存在する基質が増加しても、所望の最終生成物の産生が必然的に増加するわけではないであろう。加えて、産生基質としてのその使用に加えて代謝産物として直接的にまたは間接的に利用される基質の輸送が増加しても、望まれた産生の増加は生じないであろう。
【0007】
基質を望まれる最終生成物に変換する酵素の発現レベルを単に増加させても、組換え微生物を使用する化学的化合物の産生を増加させないであろう。細胞中の基質発現レベルを増加させる以外の手段により、組換え微生物を使用する化学的化合物の産生を増加させるための手段が必要とされている。
【0008】
また、細胞中の細胞質ゾルレダクターゼの発現レベルを増加させる以外の手段により、組換え微生物を利用する、生合成経路を通した2−KLGの工業的生産を増加させるための手段も必要とされている。
発明の要約
微生物の基質輸送装置の能力は所望の最終生成物産生、特に、最終生成物、中間体または前駆体産生が細胞の異なった領域に区画化されている場合に障害になるであろう。本発明はその障害を軽減する手段を提供する。
【0009】
本発明は、一部、細胞膜を横切った基質輸送を増加させると、所望の基質の総産生を増加させるという発見に基づいている。
本発明はまた、微生物中の少なくとも部分的には細胞内の経路から誘導される所望の化合物の生合成的産生を促進するための改良法も提供する。従って、該宿主細胞の少なくとも部分的には細胞内の経路から誘導される所望の化合物の宿主細胞生合成的産生を促進するための方法が提供され、該方法は、細胞外基質を利用する、少なくとも部分的には細胞内合成経路を持つ宿主細胞を選択し;宿主細胞の完全性を維持すると同時に該宿主細胞内への該細胞外基質の輸送を増加させ;該細胞外基質を産生するために宿主細胞を培養し;および所望の化合物を産生することを含んでいる。
【0010】
本発明の一つの好適な態様において、再宿主細胞内への該基質の輸送は、宿主細胞生合成産生の律速段階である。
好適な態様において、宿主細胞はクレブシエラおよびパントエアから選択される。
【0011】
本発明の一つの態様において、宿主細胞内への細胞外基質を増加させることは、宿主細胞内への基質の輸送を増加させる一つまたはそれ以上の蛋白質をコードしているDNAで、宿主細胞を形質転換する工程を含んでいる。一つの態様において、蛋白質は輸送体プロモーターである。別の態様において、蛋白質は主スーパーファミリー促進剤である。さらに別の態様において、蛋白質はアニオン/カチオンH共輸送体である。
【0012】
本発明はさらに、基質/H共輸送体を過剰発現させる方法を提供し、それは宿主細胞を選択し、および一つまたはそれ以上の基質/H共輸送体をコードしているDNAで該宿主細胞を形質転換する工程を含んでいる。
発明の詳細な説明
定義
輸送体の定義
細菌チャンネル輸送体とは、一般的にTC分類の#1.Aにある輸送体を指している(Saier,M.,et al.,1998,Advances in Microbial Physiology(Poole,R.K.,ed.)pp.81−136,Academic Press,San Diego,CA.)。(“TC”とは“輸送に関する会議”、輸送体の系統発生的様相を考慮に入れた分類システム、を表している。)これらは一般的に、膜貫通孔を用いるエネルギー非依存性促進拡散機構を経て、基質、イオンまたは他の物質を輸送する。
【0013】
一次輸送体とは一般的にTC分類の(TC#3.A)にある輸送体を指しており(Saier M.,et al,1998)、基質の能動取込および輸送押し出しのために、典型的にはエネルギーカップリングの様式としてATP加水分解の形で、化学エネルギーを利用する輸送体である。
【0014】
グループ輸送システムとはTC分類のTC#4.Aにある輸送体を指しており(Saier M.,et al,1998)、輸送の間に輸送およびそれらの基質のリン酸化を同時に行う輸送体である。この範疇のメンバーは細菌特異性ホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)の一部であり、ホスホエノールピルビン酸(PEP)利用酸化へのカップリングにより特徴付けられる。
【0015】
二次輸送体とはTC分類のTC#2.Aにある輸送体を指しており(Saier M.,et al,1998)、膜を横切って基質、イオンまたは最終生成物を輸送するためのエネルギーを提供するため、化学浸透圧エネルギー(例えば、プロトン勾配の形で)を一般的に使用する輸送体である。
【0016】
主促進体スーパーファミリー(MFS)とはTC分類の#2にある二次輸送体を指している(Saier M.,et al,1998)。
輸送体とは、細胞膜を横切りおよび細胞または細胞区画内へまたはそれらから、化学化合物または基質を移動することを可能にする任意の巨大分子を指している。輸送体はまた、透過酵素としても知られ、および称されている。特定の理論に限定されているわけではないが、輸送体は膜、膜外表面および膜を通して膜内表面から伸びている蛋白質の一部分と相互作用する蛋白質である。
【0017】
能動輸送とは、エネルギー消費、例えば、アデノシン三リン酸(ATP)またはホスホエノールピルビン酸(PEP)の加水分解、とカップルしている輸送を指している。
【0018】
アニオン/カチオン共輸送体とは膜を横切って基質を輸送するために化学浸透圧勾配を利用する輸送体である(TCクラス14)。それらはまた、基質/H共輸送体とも称されている。
【0019】
TMSとは膜貫通ドメインを指している。
経路の定義
細胞質の、とは内部細胞膜内に存在することを指している。
【0020】
外因性基質とは、合成反応を分離する膜の反対側に観察される物質を指している(例えば、基質が所望の最終生成物または中間体へ、細胞内合成経路または合成経路の細胞内部分により変換されるべき場合には内部細胞膜の外側)。外因性基質の例には、ヘキソース(グルコースを含んで)、ペントース(キシロース、アラビノース、リボース、リキソースを含んで)、ヌクレオシド、神経伝達物質、薬剤、アミノ酸、種々の経路の中間体または前駆体(アスコルビン酸を含んで)が含まれる。
【0021】
細胞外または内部細胞膜の外側とは、細胞質から膜の反対側の細胞位置を指しており、ペリプラスムが含まれるが、それに限定されるわけではない。
内部細胞膜とはペリプラスムから細胞質を分離している障壁を指している。
【0022】
膜とは基質に対して本質的に不透過性である脂質二重層を指している。
細胞内とは細胞質ゾルに最も近い膜側または細胞質ゾル側の細胞部分を指している。
【0023】
細胞内反応とは、細胞質ゾル細胞物質、即ち、内部細胞膜内部に封じ込められている物質内に位置している合成反応または生物変換を指している。
律速段階とは、合成経路内の段階を指しており、ここで、その段階を通る変換の増加は合成経路による産生の増加を生じる。
【0024】
産生の促進とは、所望の合成反応の中間体、最終生成物または前駆体の力価(全量)が増加したことを指しており、一般的にプロセスを通して得られたgm/l/時間での増加により測定される。それはまた、所望の生成物が作られる速度の増加も指しており、一般的に組換え体産生の単位時間当たりのg/lで測定され、ここで、産生された中間体、最終生成物または前駆体の量は、過剰発現された輸送体の存在下、膜を横切る基質の輸送を増加させる少なくとも一つの蛋白質をコードしているDNAでの形質転換の結果として増加する。
【0025】
増加した収率とは、産生された所望の最終生成物または中間体の量を消費された量で割ることにより計算された、重量パーセントの増加を指している。
基質とは合成反応により生物変換された化合物を指しており、細胞質ゾル反応原位置は一般に膜により基質から分離されており、基質を反応原位置に持っていく輸送機構を必要としている。
【0026】
合成反応とは、中間体または最終生成物への基質の生物変換を指している。反応は生物体にとり内在性でもよく、または遺伝子工学により細胞装置内へ取り込むこともできる。
【0027】
2,5−DKGレダクターゼとは、2,5−DKGの2−KLGへの立体選択的変換を触媒できる蛋白質を指している。
2,5−DKG輸送体とは、2,5−DKGレダクターゼによる2−KLGへの変換のため、内部細胞膜を横切って2,5−DKGを輸送できる蛋白質を指している。
発現における定義
プロモーターとは、細胞の翻訳装置により一度翻訳されたら、ポリペプチドを形成できるメッセンジャーRNAを発生するために適した部位で遺伝子の転写を開始するようにRNAポリメラーゼを導くDNA要素を指している。
【0028】
“上流活性化配列”は正に作用するDNA結合レギュレータのための結合位置である。その名前から示されるように、上流活性化配列は転写開始部位の上流であり、核酸である。
【0029】
調節領域とは、遺伝子の発現を調節するDNA上の領域を指している。この変更のための一機構は、いくつかの調節領域が蛋白質のための結合部位として働くことである(リプレッサーとしても知られている)。一度結合したら、リプレッサーは遺伝子を転写するためのRNAポリメラーゼの能力を妨害する。
【0030】
発現系は一つまたはそれ以上の蛋白質および/または核酸を含んでおり、一緒になって作用する場合、宿主細胞中の蛋白質発現を増加できる。発現系は一つまたはそれ以上のプラスミド上にコードでき、問題とする蛋白質をコードしている遺伝子と同じプラスミドでも異なったプラスミドでもよい。
【0031】
句“機能的に連結された”または“機能的にカップルされた”とは、調節要素(DNAまたは蛋白質)がそれらの機能を果たすために物理的に相互作用することを意味している。これは蛋白質/蛋白質、DNA/蛋白質またはDNA/DNA相互作用であり得る。例えば、DNA結合レギュレータはプロモーターと相互作用するが、それらをコードしている遺伝子は染色体の異なった部位に存在してもよい。そのようであるので、要素をコードしている遺伝子はお互いにおよび問題とする蛋白質をコードしている遺伝子と異なったプラスミド上にあることができ、それでも蛋白質の発現を調節するために一緒に働くことができる。
【0032】
通例、蛋白質およびそれらをコードする遺伝子を説明する場合、遺伝子のための用語は大文字化されず、およびイタリック体であり、即ち、permAである。蛋白質のための用語は一般に普通の文字であり、最初の文字は大文字であり、即ち、PermAである。
生物の定義
真菌とは、クロロフィルを欠くかなり多数の植物生物体に関連していることを意味しており、酵母、カビおよびキノコが含まれている。
【0033】
哺乳動物とは種々の温血脊椎動物に関連していることを指しており、その皮膚が毛で覆われていることで区分される。
植物の、とは植物に関連していることを指しており、単子葉、双子葉などが含まれる。
【0034】
“細菌”には分裂菌類の微生物が含まれる。細菌はグラム陰性でもグラム陽性でもよい。グラム陰性菌には、エシェリキア、ヘモフィラス、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、サルモネラ、グルコノバクター、アセトバクター、エルセニア、シゲラ、ビブリオ、アシネトバクター、パントエアおよびセラチア属の細菌が含まれる。グラム陽性菌には、バチルス、クロストジウム、スタフィロコッカス、ストレプトミセス、ラクトバチルスおよびラクトコッカス属の細菌が含まれる。
【0035】
グラム陰性菌は、パントエア属の構成細菌株であるパントエアンでありうる。好適な細菌はPantoea citreaである。Pantoea citreaはまた、時にはErwinia herbicolaとも呼ばれている。
【0036】
ここで使用される場合、用語“単離された”または“精製された”とは、天然に付随している少なくとも一つの成分が除去された核酸またはアミノ酸を指している。
好適な態様の詳細な説明
本発明は、経路合成および所望の中間体または最終生成物の促進された産生への障害を軽減するために、外因性または細胞外基質の輸送を増加させることにより、特に輸送体が組換え的に挿入されおよび宿主細胞により過剰発現されている場合、該宿主細胞の少なくとも部分的には細胞内の経路から誘導される、所望の化合物の宿主細胞生合成的産生を促進するための新規方法を提供する。
【0037】
本発明の一つの態様は発現系をコードしている核酸を含むプラスミドで宿主細胞を形質転換する方法に関している。本発明の別の態様は、膜を横切った基質の輸送を増加させる一つまたはそれ以上の蛋白質をコードしているDNAを含むプラスミドで宿主細胞を形質転換する方法に関している。宿主細胞は本発明のプラスミドが、例えば、形質転換により挿入できる細胞である。好適には、宿主細胞は細菌であり、より好適にはPantoea citrea、大腸菌;クレブシエラまたはバチルスの群内のものである。
【0038】
別の態様において、もし調節要素が取り込まれているとしたら、発現系のそのような要素は大腸菌および枯草菌からのものである。一つの態様において、宿主細胞は、好適には、グラム陰性菌である。別の好適な態様において、宿主細胞はパントエアである。同じ宿主細胞が、一つまたはそれ以上の輸送体をコードする核酸を誘導するさらなるプラスミドで形質転換できる。好適には、輸送体はMFS輸送体、さらに好適にはアニオン/カチオン共輸送体がコードされている。輸送体の例には、Pantoea citreaまたはKlebsiella oxytocaおよび異種源からのyiaX2permApermBpe6pe1がコードまたは発現されるものが含まれる。
合成反応
本発明は、合成反応の産出を促進させるため、膜を横切った基質の輸送増加を提供する。増加した輸送は、合成反応の細胞内位置から基質を分離している膜を横切った基質の転位置を提供する。合成反応は単一の酵素的変換でも、合成経路の一部またはすべてでもよい。本発明は、細胞質ゾルおよび細胞外合成反応の両方を含む合成経路で特に有用であり、ここで一つの反応により発生された最終生成物は、膜の他の側での別の反応による利用のために輸送される。発明者は、細胞質ゾルの内側で起こり、および細胞質ゾル内への基質の輸送を必要とする合成反応;または細胞質ゾルの外側で起こり、および細胞外位置への膜を横切った基質の輸送を必要とする反応を企図している。それ故、本発明は、反応中の存在する補因子を必要とする反応(例えば、NADHまたはNADPH反応)、基質または中間体の還元を一般的に必要とする反応、または酸化されて還元等価物を提供する反応の組合せに特に有用である。反応の例には、2,5−DKGから2−KLGへの還元;L−ソルボソンから2−KLGへの還元;5−ケト−D−グルコン酸(5−KDG)からL−イドン酸(IA)への還元;および5−KDGからL−グロン酸(GA)への還元が含まれるが、それらに限定されるわけではない。追加の反応には下記のものが含まれる:
ホスファターゼ
(1)グリセロール−3−リン酸+NADH―――――――→グリセロール
いくつかの酵素的段階
(2)グルコナート――――――――――→D−リボース5−リン酸
上記反応(1)において、グリセロールへのグリセロール−3−リン酸の生物変換は、グリセロール−3−リン酸の輸送が律速段階であろうことが想像できる。
【0039】
上記反応(2)において、一連の酵素的段階を通り、グルコナートはD−リボース 5−リン酸へ変換される。D−リボース 5−リン酸はリボース、ヌクレオチド、リボフラビンまたは芳香促進剤様イノシン一リン酸へ変換できる価値のある化合物である(Wulf&Vandame,1997,Appl.Microbiol.Biotechnol.48:141−148)。グルコナートの他生成物への生物変換は、細胞間輸送が律速段階であろうという問題に到達することがあり得る。
【0040】
本発明の実施が特に有用な別の反応は、ペントース糖からエタノールへの生物変換である。最近、キシロースが大腸菌におけるホモエタノール経路の工学処理のために使用された。Tao,H.,et al J.bact.2001,183,2979−2988。細胞質ゾルへの増加したキシロースの輸送は、エタノールの促進された産生を生じた。植物由来バイオマスによるこれらの糖の産生とカップルさせ、これらのペントース糖由来化学化合物の促進された産生のための安価な供給源を想像することが可能である。細菌プロトン連結輸送系、Henderson,P.J.,Bioeng.Biomem 1990,4,525−569、またはこれらのペントースに連結された類似の生成物、経路による、これらの糖の増加した輸送。
【0041】
発明者は上に提供された反応は単に本発明の例示であり、本発明を理解するための有用な例として提供されていることを理解している。当業者は、容易に他の合成反応を同定できるし、それにより、本発明の使用は基質からの所望の中間体または最終生成物の増加した産生に有効になる。同様に、適した化学生産または生合成的経路の選択が、ここに提供された技術を使用して当業者により容易に決定される。例えば、最終生成物が生物体の内在性代謝の一部である経路または反応に関係する時、ここに提供された技術を使用して、決定的な経路要素、および基質輸送を最適化するどの点が、最終生成物の産生のためになるであろうかを決定することが可能である。
【0042】
一つの態様において、合成反応は、細胞内へ、または細胞外へ輸送されるべき基質かまたは生成物を含んでいる少なくとも一つの合成反応を含んでいる。例えばこの態様において、促進されるべき反応は、細胞間または細胞質ゾル内に存在する経路の少なくとも一部を含んでおり;および経路の少なくとも一部は細胞外に存在している。外因性基質は細胞質ゾルにある合成反応または合成経路の一部により利用される。例として、ケト糖誘導体(そのいくつかはアスコルビン酸前駆体または中間体として使用できる)の産生は本発明を使用することにより最適化できる。5−ケト−D−グルコン酸のような他のものは、酒石酸の製造に使用できる(米国特許第5,763,656号)。本発明はアスコルビン酸中間体合成、例えば、2−KLGへの2,5−DKGの変換;ソルボソンを経る2−KLGへのソルボースまたはソルビトールの変換;L−イドン酸への5−ケト−D−グルコン酸(5−KDG)の還元;およびL−グロン酸への5−ケト−D−グルコン酸の還元、に関連して特に有用である。これらの経路の各々は、細胞質内に存する合成経路、合成反応の部分により特徴付けられる、例えば、2,5−DKGレダクターゼによる2,5−DKGの還元;ソルボソン デヒドロゲナーゼによる2−KLGへのL−ソルボソンの還元;5−KDGデヒドロゲナーゼによるL−イドン酸への5−ケト−D−グルコン酸(5−KDG)の還元;および5−KDGレダクターゼによるL−グロン酸への5−ケト−D−グルコン酸の還元。これらの経路はまた、細胞質中に存している合成反応による生物変換のため、膜を横切って基質(例えば、2,5−DKG;L−ソルボソンなど)を輸送することの必要性によっても特徴付けられる。
【0043】
基質は一般に、ある種の能動輸送機構なしでは効率よく膜を通って通過できないものである。好適には、これらはアスコルビン酸中間体(2,5−DKG、ソルボソン)を含むことができるが、これらに限定されるわけではない。発明者により企図された他の基質には、表2および表3に記載されているものが含まれる。加えて、基質は工業的規模での合成的使用のために輸送される物質であり、一般的に宿主細胞による代謝的使用のためではない。工業的使用とは、好適には2g/l/hより多く、より好適には3g/l/hより多く、およびさらにより好適には5g/l/hより多い、力価および容量生産力を指している。別の態様において、生産力力価は、2から14gm/l/時間の間、好適には3から12gm/l/時間の間、およびさらにより好適には5から10gm/l/時間の間であり、経済的に存立できる工業的生産プロセスになる。加えて、合成経路の収率はまた、本発明の結果として増加することができる。一つの態様において、収率は50重量%を超えており、別の態様においては60重量%を超えており、別の態様においては70重量%を超えている。特に好適な基質には2,5−DKGおよびソルボソンが含まれる。本発明の発明的様相はこれらの実施態様において特に有用である。
【0044】
本発明の実施において特に有用な反応は、細胞質ゾル デヒドロゲナーゼ2,5−DKGレダクターゼによる、2−KLGへの2,5−DKG細胞質ゾル還元のための、内部細胞膜を横切る2,5−DKGの輸送である。2,5−DKGは膜結合2−ケトグルコナート デヒドロゲナーゼにより2−ケト−D−グルコナート(2−KDG)から変換される。内部細胞膜を横切り、2−KLGへの細胞質ゾル還元部位への2,5−DKGの輸送は、2,5−DKGの輸送の増加をコードしているDNAにより達成できる。Boudrant,J.(1990)Enzyme Microb,Technol.,1990:322−329。
【0045】
本発明の実施において別の特に有用な反応は、ソルボース、ソルビトールを経る2−KLG生成の中間体、ソルボソンの輸送である(Saito,Y,et al,Biotechnol.Bioeng.58(2/3):309−315(1997)。ソルボソンへのソルビトールおよび/またはソルボースの変換は、ソルビトールまたはソルボースを2−KLGへ変換する経路の一工程である(Boudrant J.,1990;Saito(1997))。以下は本発明に従ったソルボソン輸送体の工学技術の議論である。
【0046】
図4aに示されているように、D−ソルボースから2−KLGへの経路は、L−ソルボース デヒドロゲナーゼ(SDH)によるL−ソルボソンへのL−ソルボースの酸化、続いてのL−ソルボソン デヒドロゲナーゼによる2−KLGへのL−ソルボソンの酸化を含んでいる。膜結合デヒドロゲナーゼによりD−ソルビトールをL−ソルボソンへ変換する一つの組換え宿主細胞が記述されている(Saito,Y.,et al(1997))。L−ソルボソンは次に、細胞質中のL−ソルボソン−デヒドロゲナーゼによる還元のため、ペリプラスムから輸送される。2−KLGへの変換のため、経路へのソルボソン中間体の輸送を容易にするソルボソン輸送体の過剰発現は、有益な効果を持っていると理解されている。
【0047】
図4に示されているように、D−グルコースから2−KLGへの別の経路は、5−ケト−D−グルコン酸(5−KDG)へのD−グルコン酸の酸化を含んでおり、それは順に2−KLGへの酸化のために、L−イドン酸(IA)またはL−グロン酸へ還元される(Boudrant,J.(1990))。ケト−レダクターゼによる還元のため、細胞質ゾル内への5−ケト−D−グルコン酸の輸送もまた5−KDG輸送体の過剰発現により容易にすることができる。
【0048】
別の態様において、合成反応は細胞質ゾル外または基質に関して膜の外側に位置していてもよい。第一の反応の最終生成物は、膜の反対側で行われる第二の反応の中間基質であろう。例えば、日本の柿からのGluconobacter oxydans T−100(FERM BP−4188)中の、D−ソルビトールからの2−KLGの合成において、細胞質ゾルL−ソルビトール デヒドロゲナーゼによるL−ソルボースへのD−ソルビトールの変換では、膜結合L−ソルボース デヒドロゲナーゼによるL−ソルボソンへの変換のために細胞膜を横切り、細胞質の外へ輸送される中間体を生じる。それ故、続いての変換のため、膜を横切った内部膜の細胞質ゾル側から膜の外側への細胞質ゾル性中間体(基質)の輸送を増加させることを本発明は企図している。Saito,Y.,(1997)。
【0049】
好適な態様は合成反応またはそれを含んでいる経路が単一の生物体内に存在することを含んでいるが、別の生物体が別の反応を行うことも本発明者により企図されている。例えば、グルコースから2−KLG生成のための混合培養系において、中間体2,5−DKGへのグルコースの変換は一つの生物体内(アセトモナス、アセトバクター、グルコノバクターまたはエルウィニア)で起こるが、一方、その中間体の所望のアスコルビン酸中間体2−KLGへの変換は第二の生物体内(ブレビバクテリウムまたはコリネバクテリウム)で起こる、Sonoyama(1976)による米国特許第3,963,574号を参照されたい。また、Hoshino、米国特許第5,312,741号も参照されたい。
【0050】
別の実施例において、アミノ酸L−トリプトファンが、インドールまたはアントラニル酸からL−トリプトファンへ変換することにより産生された。この場合、生成物は、蛋白質生合成のため、細胞により部分的に利用された(米国特許第3,801,457号)。
【0051】
従って、合成反応は中間体を発生させてもよく、それ自身は細胞膜により分離された別の細胞位置で変換されてもよい。この態様においての最終生成物は、続いての反応の中間体基質であることができる。
律速段階を決定するための方法
第一の細胞内位置から第二の細胞内位置への、基質の輸送増加の効果を最大にするためには、好適な態様において、膜を横切る基質の輸送が経路の律速段階となっている。そのような段階が律速段階かどうかの決定は、経路を分析し、各々の段階の産生を評価し、および、基質存在の増加が経路の全産生の増加を生じるかどうかを確かめるため、経路による変換に利用可能な基質量を変化させることにより行われた。基質の存在を増加させることが所望の最終生成物の産生を促進することが決定されると、もし基質が一つの細胞位置から細胞膜を横切った別の位置への転位置を必要とするものであれば、基質の輸送を増加させると経路による産生が促進されるであろう。
【0052】
所望の分子の産生を制限するであろう障害を同定するいくつかの方法が存在する。一般に、それらのほとんどは生合成経路の一つまたはそれ以上の成分レベルの変異に依存しており、これらの変異が過程において持っている影響を測定する。これらの変異は、基質が生成物へ変換される時の合成速度、蓄積された総量、または収率に対するものであろう。(Walsh&Koshland.,1985,PNAS 82:3577−3581)(Jensen et.al.,1993,Eur.J.Biochem.211:181−191)。
【0053】
経路部分の律速状態を決定するための一つの方法は、特定の生物変換器の存在を増加させる前後に、経路の色々な時点での中間体生産性を比較することである。もし、中間体存在の増加または変換経路の過剰発現にもかかわらず、最終生成物産生の増加がなかったら、その工程は律速ではないであろうし、およびそれ故、合成反応に影響する特定酵素の過剰発現は促進された産生を生じないであろう。個々の中間体の量は種々の間接または直接手段により決定できる。間接手段は、ガス分圧のようなインライン測定による呼吸パラメーターの消費または生成(例えば、二酸化炭素生成、酸素消費)を測定することを含んでいる。中間体の直接測定は、Lazarus,Analyt Biochem 157,360−366(1986)およびそれに引用されている文献(それらは参照文献として本明細書に組み入れられる)に記載されているような、本分野では既知の種々の分析技術により達成でき、ペーパー、ガス、液体および薄層クロマトグラフィーならびに化学的および酵素的アッセイが含まれるが、それらに限定されるわけではない。Lazarus,1986、に特に示されているような高速液体クロマトグラフィー方法論は特に役に立つ。発明者により使用された一つの方法は、存在する化学化合物の分離および定量のため、Waters 2690 HPLCおよびWaters 410示差屈折計を使用している(設定、溶離媒質として50mM酢酸緩衝液(1ml/分の流速で)、およびDyonex Ionpac AS−10イオン交換カラム(4x250mm)を使用)。
【0054】
ブロス中に産生された2−KLGの純度を決定するために発明者により使用された別の方法は全炭素分析によるものである。
従って一つの態様において、細胞外基質存在下で生成物の産生を測定することにより、基質を生成物へ変換できる任意の細胞中で輸送活性が測定できる。例えば、2,5−DKGレダクターゼを天然に発現している、または組換え的に発現している細胞において、細胞内2,5−DKGは2−KLGへ変換される。細胞外2,5−DKGが提供された場合に2−KLGを産生する細菌細胞の能力は、2,5−DKG透過酵素の発現により細胞内へ2,5−DKGを輸送する、発現された透過酵素能力の指標であり、および、それ故2,5−DKG透過酵素活性の指標である。細胞内2,5−DKGは、例えば、HPLCまたは本分野で既知の他の高感度検出法を使用して検出できる。2,5−DKGの他の代謝産物もまた同様の方法により検出できる。
望ましい基質の輸送体
本発明で使用されるような輸送体は、細胞膜を横切った物質の転位置を容易にする化合物を含んでいる。一つの態様において、輸送体の型はチャンネル蛋白質、一次活性輸送体、二次活性輸送体およびグループトランスロケーターから成る群より選択される。別の態様において、輸送体の型は二次輸送体、好適には主促進体スーパーファミリー、より好適にはアニオン:カチオン共輸送体(ACS)メンバー、最も好適にはyiaX2、pemA、permB、pe1およびpe6からコードされている群から選択される輸送体である。
【0055】
輸送様式およびエネルギーカップリング機構に基づいて、4つの別個の型の機能的に特徴付けられた輸送システムが存在する。第一は細菌チャンネル蛋白質(TC#1.A,Saier,1998)であり、それは膜貫通孔を利用するエネルギー非依存性促進拡散機構を経て輸送する。第二の輸送システム、促進体および/または二次輸送体(第二のクラス、TC#2.A)は輸送体の最も大きな部門を表している。第三の群、ATP駆動一次活性輸送体は、能動取込および/または溶質押し出しのために、エネルギーカップリングの様式としてATP加水分解を使用する。最後の群は、輸送の間にそれらの基質をリン酸化する輸送体の群から成っている(TC#4.A)。
【0056】
二次ファミリーの内、クラスIIファミリーの最も大きなものは主促進体スーパーファミリー(MFS)およびアミノ酸ポリアミンコリン(APC)ファミリー(Reizer et al.Protein Sci 2(1):20−30(1993)))である。これらの二次輸送体ファミリーは3つの群にさらに分割できる(1)起プロトン形(pmf駆動)、(2)起ナトリウム力(smf)−駆動、および(3)他のイオンまたは溶質駆動交換器。これらの輸送システムは溶質の単一、抗および/または共輸送を触媒する。二次活性輸送体は大腸菌、インフルエンザ菌、ピロリ菌、枯草菌、M.genitalium、Synechocystis、M.Jannaschiiで同定されている(Paulsen et al l998 J.Mol.Biol.277:573−592)。二次輸送体は典型的には多所性膜蛋白質であり、しばしば、ほとんど一次担体を含む12のTMSを持ち、エネルギーの化学形が基転位置を駆動し、ほとんどのATP−結合カセット(ABC)スーパーファミリーメンバーがそうであるようにATP−依存性システムであるか、または、糖取り込みおよびリン酸化のためのホスホリル供与体としてPEPを使用するPTSである。一次輸送体がATPを使用する(細胞からエネルギーを得ている)点で、二次輸送体は一次輸送体(ABC輸送体)とは異なっている。加えて、ABC輸送体の使用は一般的にはより複雑な輸送体システムを必要とし、その一つは二つの疎水性の膜内在性ドメイン、および二つのATP−結合ドメインから成っている(Hosie,et al Molecul.Microbiol(2001)40(6),1449−1459)。溶質の取り込みに関連しているABC輸送体もまた溶質−結合蛋白質(SBP)の存在を必要とする。それ故、改良されたABC輸送システムの遺伝子工学は、二次輸送体の一つよりも複雑な性質の発現および形質転換を必要とするであろう。
【0057】
本発明の範囲内の輸送体には、表IおよびIIに記載されているものが含まれる:
【0058】
【表1】
Figure 2004519213
【0059】
【表2】
Figure 2004519213
【0060】
【表3】
Figure 2004519213
【0061】
【表4】
Figure 2004519213
【0062】
【表5】
Figure 2004519213
【0063】
【表6】
Figure 2004519213
【0064】
本発明の範囲内の二次輸送体は表3および4に記載されている:
【0065】
【表7】
Figure 2004519213
【0066】
【表8】
Figure 2004519213
【0067】
一つの態様において、内部細胞膜を横切った基質の輸送を増加させるための少なくとも一つの蛋白質をコードしているDNAは、哺乳動物、植物、真菌または細菌細胞から選択される。植物細胞の例としては下記のものが有用である:草本植物、高木植物、海中植物。真菌細胞の例としては下記のものが有用である:酵母、糸状菌、白腐れ菌および粘菌。細菌細胞の例としては下記のものが有用である:アセトバクター、シュードモナス、バクテリウム、シアノコッカス、ミクロコッカス、ブレビバクテリウム、アルスロバクター、スタフィロコッカス、バチルス、コリネバクテリウム、アセトモナス、グルコノバクターおよびエルウィニアから選択される。好適な生物体は大腸菌、パントエアおよびクレブシエラから成る群より選択される。
II発現系
本発明は、細菌および酵母を含む微生物中での所望の異種または同種蛋白質の促進された産生および輸送のための発現系を提供する。
a.コード配列
本発明において、ベクターは輸送体をコードしている少なくとも一つのコピーを含み、好適には多コピーを含んでいる。輸送体のためのコード配列は、本分野の当業者には利用可能である日常のおよび標準の技術に準じて得られるであろう。適切な開始および停止コドン、およびイントロン、エキソンおよび他の遺伝子構築最適化に関する発行物が、標準分子生物学の方法で容易に応用されるであろう。
b.ベクター配列
微生物中で本発明の輸送体の発現に使用される発現ベクターは、輸送体因子の発現または過剰発現に必須な、または望ましい、少なくとも一つのプロモーター、終止配列および他の制御配列を含んでおり、そのプロモーターは宿主細胞中で機能的である。本発明の一つの態様において、プロモーターは選択された輸送体の野生型プロモーターであり、本発明の別の態様において、プロモーターは輸送体に関しては異種であるが、宿主細胞中でなお機能的である。
【0068】
所望の蛋白質またはポリペプチドをコードしている異種核酸に関係する追加のプロモーターは、組換えDNA技術により導入することができる。本発明の一つの態様において、宿主細胞は異種蛋白質またはポリペプチドを過剰発現でき、および、一つまたはそれ以上の輸送体をコードしている核酸は組換え的に導入される。本発明の一つの好適な態様において、基質の輸送を増加する少なくとも一つの蛋白質またはそれ以上の蛋白質をコードしている核酸は微生物ゲノム内へ安定に組み込まれるであろう。別の態様において、本発明の該宿主細胞内への該基質の輸送を増加させる一つまたはそれ以上の蛋白質をコードしているDNAを過剰発現するように宿主細胞が工学処理され、異種蛋白質またはポリペプチドをコードしている核酸は組換えDNA技術により導入される。本発明は、当業者には既知である他の輸送体を過剰発現できる宿主細胞を包含しており、表1、2または3に同定されているもの、または当業者には既知の、または将来同定されるであろう他の輸送体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0069】
好適な態様において、核酸操作を容易にするため、好適にはベクターに独特な少なくとも一つの制限エンドヌクレアーゼ部位を含んだ多クローニング部位カセットを発現ベクターは含んでいる。好適な態様において、ベクターはまた、一つまたはそれ以上の選択可能マーカーも含んでいる。ここで使用される場合、用語、選択可能マーカーとは、ベクターを含んでいる宿主の選択を容易にすることが可能で、グラム陽性宿主中で発現できる遺伝子を意味している。そのような選択可能マーカーには、エリスロマイシン、アスペクチノマイシン、クロラムフェニコールおよびテトラサイクリンのような抗生物質が含まれるが、それらに限定されるわけではない。輸送体がSEQ ID NOS:_に示されたDNA配列と少なくとも90%の相同性を持っている核酸によりコードされている態様もまた提供される。好適には、相同性は少なくとも95%であり、より好適には少なくとも98%である。相同性は、特許請求されたアミノ酸またはDNA配列と別の配列を並べ、全体のパーセンテージとしてどのくらい多くのアミノ酸または核酸が一致するかで決定される。相同性はまた、市販品として入手可能な配列分析ソフトウェアープログラムの一つ、例えば、Sequence Analysis Software Package Version 6.0(Genetic Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,Madison,Wis.53705)で利用可能なTFastA Data Searching Programを使用して決定できる。
【0070】
ここに説明したようなハイブリダイゼーションを使用して、または縮重プライマーを用いるPCRを使用して、相同性配列をスクリーニングできる。Chen and Suttle(1995)Biotechniques 18(4):609−610,612。
【0071】
また、本発明のいくつかの態様において、ストリンジェント条件下、各々図およびSEQ ID NOS:に示したDNAまたはその断片とハイブリダイズできる核酸が提供される。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件には、当業者には知られているようなストリンジェントハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が含まれる。ハイブリダイゼーションおよび適切なストリンジェント条件は、Sambrook et al.1989 Molecular Cloning 2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York、に記載されている。
輸送体蛋白質をコードしている形質転換DNAを持っている宿主細胞からの組換えペプチド産生を増加させる方法
一つの細胞位置から別の位置への基質輸送を増加させる特に強力な方法には、形質転換宿主細胞からの代謝転換ゲノムの欠失、および所望の基質の輸送を増加させるDNAコード化の同時供給が含まれる。このことは、欠失される部分の代謝転換が最小化され、および輸送体能力部分が過剰発現される、欠失−輸送体キメラまたは融合蛋白質を細胞に提供することにより都合よく達成される。化学的−融合ポリペプチドまたはゲノムの組み替えた部位が一つの可能性であるが、組換え蛋白質がこの様式での使用に本来最も好適である。そのようなキメラで使用するための適切な透過酵素断片の同定は、上に説明されている。
【0072】
これらの融合蛋白質の輸送部分に関しては、キメラに輸送能力を与える十分な一次配列情報を含む任意の透過酵素由来配列が、この状況で有用であろう。しかしながら、方法論に関してより直接的であるので、全輸送体酵素を使用するのがしばしば好適であろう。再び、適した輸送体またはその断片の同定を助けるため、種々の公表された文献中の利用可能な情報を広く探すことができる。
形質転換
本発明はまた、生物学的に活性なポリペプチドを産生する細胞の能力を増大または増加させることを企図しており、そのようなポリペプチドは基質を細胞の第一の位置から、膜を横切った細胞の第二の位置への輸送を増加させる。このことは、いくつかの例において、アニオン/カチオン共輸送体の二次輸送体(Saier,1988)、一つの態様においてはアニオン/カチオンH共輸送体のような、追加の生物変換のため、別の細胞位置への基質輸送に関係する蛋白質を過剰発現することにより達成できる。
【0073】
宿主細胞の生存性および生産の質、特にそれらの輸送能力の維持に関連する輸送体の発現は重要である。経路がNADPHまたはNADH要求性反応である場合は、所望の経路による連続的生成を成功させるため、宿主細胞の連続した生存性が必要である。生物体の生存性を維持しながら過剰発現できる、多コピーまたはプロモーターの数を決定する時に、ある種の考慮および因子を心に留めるほうがよい。一般に、膜中に輸送体を取り込むために利用可能な空間が限られているので、輸送体の過大な発現は細胞には有害であろう。従って、一つの輸送体の非常に過大な発現は、培地からの他の栄養素の輸送に関係するであろう他の輸送体の膜中取込を減少させるであろう。細胞型特異的転写因子の過剰発現を工学処理することで、工学処理された宿主細胞の輸送体能力を増加または安定化できた。
【0074】
細菌宿主細胞中でのH共輸送体の安定な過剰発現は、いくつかの目的の役に立つことになる。それは微生物の生存性を維持しながら、導入遺伝子発現を増加させる。共輸送体はABC輸送体の多成分を大量にコードする必要がないので、共輸送体の過剰発現はABC輸送体の過剰発現よりも簡単である。第三に、ATPまたはPTSカップル輸送の代わりに二次輸送体を過剰発現させることにより、宿主細胞からのエネルギー転換要求性が最小化される。
【0075】
本発明の一つの態様において、本発明の一つまたはそれ以上の輸送体をコードしている核酸は、宿主細胞内で複製することができる発現ベクターを経て宿主細胞内へ導入される。パントエアのために適した複製プラスミドはSambrook,et al,1989,Molecular Cloning 2d,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)(ここに参照文献として特別に組み入れられる)、に記載されており、パントエアが大腸菌と同じプラスミドの複製を維持しているという事実に基づいている。
【0076】
別の態様において、一つまたはそれ以上の輸送体をコードしている核酸は微生物ゲノム内へ安定して組み入れられる。好適な宿主細胞はパントエア属からのものである。別の好適な宿主細胞はK.oxytocaである。染色体内へのDNA組込のためのいくつかの戦略が文献に記載されている(例えば、Balbas,et al.,1996,Gene 172:65−69;LeBorge,et al,1998,Gene 223:213−219、を参照されたい)。
【0077】
P.citreaの形質転換は、大腸菌のために開発されたプロトコールを使用したエレクトロポレーション法により達成できる(Potter,H.,1 988,Anal.Biochem.174:361−373)。
III形質転換体の同定
宿主内へDNAを導入した後、形質転換体はベクター中にコードされた抗生物質耐性により、または、プラスミド内にコードされた機能で一般的に選択することにより選択される。形質転換体が非形質転換細胞から区別されたら、無傷の構造を持つプラスミドの存在が、標準プロトコールを使用して確認できる(Sambrook,et al,1989)。
【0078】
ポリヌクレオチド配列コード輸送体の存在は、配列または相同性に基づいて適切に設計されたプローブ、一部、または断片を使用するDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅により検出できる。
IV.輸送アッセイ
特定の経路に対する、宿主細胞中に輸送された基質レベルを決定するための、および輸送された基質を検出するための手段は当業者により容易に決定され、蛋白質に特異的なポリクローナルかまたはモノクローナル抗体の使用を含んでいる。例として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光表示式細胞分取器(FACS)が含まれる。これらおよび他のアッセイは、中でも、Hampton R et al (1990,Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul Minn.)およびMaddox DE et al(1983,J Exp Med 158:1211)に説明されている。
【0079】
本発明の例示の目的で、2−KLG経路に従ったアスコルビン酸中間体レベルを決定する方法が以下に提供される。しかしながら、開示された一般概念および技術は、本分野の当業者には知られているものと一緒に、生合成経路における基質、中間体および最終生成物レベル決定のための戦略設計において一般に有用であろう。
【0080】
KLG産生経路におけるアスコルビン酸中間体のレベルを決定するための方法の例を通して、HPLC方法論が化学化合物のレベルを決定するための、およびお互いに関連したそれらの産生および消費を評価するための一つの方法であることを当業者は認識するであろう。
【0081】
加えて、当業者には幅広い種類の標識および結合法が知られており、種々の核酸およびアミノ酸アッセイで使用できる。特異的ポリヌクレオチド配列を検出するための、標識ハイブリダイゼーションまたはPCRプローブには、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識または標識ヌクレオチドを使用するPCR増幅が含まれる。もしくは、ヌクレオチド配列またはその任意の一部は、mRNAプローブ生成のためのベクター内へクローン化することができる。そのようなベクターは本分野では既知であり、市販品として利用可能であり、および、T7、T3またはSP6のような適切なRNAポリメラーゼおよび標識ヌクレオチドの添加により、インビトロでRNAプローブを合成するために使用することができる。
【0082】
Pharmacia Biotech(Piscataway N.J.)、Promega(Madison,Wis.)およびUS Biochemical Corp(Cleveland Ohio)のような多くの会社がこれらの方法のための市販キットおよびプロトコールを供給している。適したレポーター分子または標識には、放射性同位元素、酵素、蛍光、化学発光または色素産生剤、ならびに基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などが含まれる。そのような標識の使用を教えている特許には、米国特許第3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345:4,277,437;4,275,149および4,366,241号が含まれる。また、組換え免疫グロブリンは米国特許第4,816,567号(本明細書に参照文献として組み入れられる)に示されているように生成することができる。
実施例
実施例1
材料および方法
a.プラスミド、細菌株および培地:プラスミドpBCL1920、K.oxytoca、P.citrea 1392A。マーフィIII培地は、フルクトース0.5%、リン酸1.6%、MgSO.7HO 0.2%、Soytone 0.2%、クエン酸0.01%、(NHSO 1%、ppm範囲のFe、Co、Mn、Znのような微量金属塩、およびニコチン酸、葉酸およびB12のようなビタミンを含んでいる;M9培地、0.9%リン酸、0.1%NaCl、0.1% NHCl、MgSO 0.0005%、CaCl 0.025%;発酵培地、リン酸カリウム1%、MgSO 0.15%、グルタミン酸1.5%、フルクトース2.5%、硫酸アンモニウム0.1%、およびビオチン、チアミン、ピリドキシン、リボフラビン、ニコチン酸、葉酸およびB12を含むビタミン混合物、鉄、ZnおよびMnイオンを10−100ppmの範囲で含んでいる微量金属カクテル;輸送アッセイ培地、100mMリン酸カリウム pH6.9;抗生物質、スペクチオマイシン50μg/mlおよびテトラサイクリン20μg/ml、IPTG 100μM。
b.DNA技術
c.細胞の増殖:組換え法および野生型P.citreaおよびK.oxytocaを使用して構築された株は、単一の炭素源としてDKGを含んでいるM9培地かまたは単一の炭素源としてフルクトースを含むM III培地、または0.1%から1%の範囲のフルクトース、グルコナートおよびDKGのような混合炭素源を含んでいるM IIIで増殖させた。細胞は20−37℃の間で、しかし好適には30℃以下で増殖させた。細胞は好適には中性pHで、しかしpH5−8を含む範囲で増殖させた。種フラスコから発酵槽で増殖させたP.citrea細胞は、フルクトースかまたはグルコース給餌を使用する発酵培地を使用した。
d.DKG取込生化学アッセイ:細胞を含んでいる発酵ブロス試料はそれぞれの増殖装置から引き出し、氷−水浴上で反応停止させた。発酵ブロスを遠心分離し、上清を廃棄した。細胞ペレットは0.9%氷冷食塩水を使用して洗浄し、続いてDKG取込アッセイ緩衝液、100mM氷冷リン酸カリウム pH6.9、により2回洗浄した。細胞を同じアッセイ緩衝液に、550nmでODが12になるように再懸濁し、室温で、または好適には28℃でインキュベートした。DKG取込アッセイは、細胞にC−14濃縮放射線同位元素化2,5−DKGを混合することにより開始させた。DKG取込の時間変化が、氷冷アッセイ緩衝液を使用する、真空/フィルターに基づいた反応停止を用いて追跡された。DKG取込測定は細胞への放射性同位元素取込により行われ、得られたデータを時間に対してプロットすると、DKG取込速度が得られる。
【0083】
細胞DKG取込および代謝研究に、シリコン油を使用する別のアッセイも実施された(Johnson.J.D.et al.,J.Lab.Clin.Med.,1980,95:429−439)。100μlのシリコン油をアッセイするばかりになったエピチューブに加えた。細胞および14(U)濃縮2,5−DKGを混合し、規則的な時間間隔で細胞/基質混合物を引き出し、シリコン油を含んでいるエピチューブに加え、15秒間遠心分離し、続いて直ちにドライアイス/エタノール浴で凍結した。5分後、細胞ペレットを含んでいるエピチューブのチップを直接切断してシンチレーションバイアル内へ落とした。チューブの残りは、凍結部分のすぐ上で再切断し、シンチレーション液を含んでいる別のバイアル内へ落下させた。エピチップから細胞ペレットが放たれるのを容易にするため、一夜たった後にカウントを測定した。上層からのカウント損失およびペレット中のカウント出現間の差は細胞代謝および放出されたCOによるものである。取込アッセイの終わりに、細胞を透過可能にした場合、低分子量細胞内容物が漏出し、蓄積された移入基質について、および代謝されて細胞成分になった基質についての情報が提供される。
【0084】
e.DKGレダクターゼアッセイ:各々の発酵槽から細胞ペレットを集め、−70℃で約24時間凍結した。15および25時間の時点でのペレットを氷上で融解し、50mM PIPES緩衝液、pH6.5中でフレンチプレスした。抽出物はベンチトップ遠心分離器中、2分x14Krpmで回転し、続いて全蛋白質濃度およびレダクターゼ活性を測定した。すべての試料は、蛋白質のためのブラッドフォードおよびBCAアッセイで測定し、正確な速度アッセイに必要とされるまで希釈した。アッセイは2,5−DKG以外のすべてを含んでいるバックグラウンド速度(総計の速度の10%未満であった)に対して測定された。緩衝液は:50mM PIPES pH6.5、150μM NADPHおよび5mM 2,5−DKGを含んでいた。
【0085】
細胞DKG取込および代謝研究に、シリコン油を使用する別のアッセイも実施された(Johnson.J.D.et al.,J.Lab.Clin.Med.,1980,95:429−439)。100μlのシリコン油をアッセイするばかりになったエピチューブに加えた。細胞および14(U)濃縮2,5−DKGを混合し、規則的な時間間隔(例えば、約10秒毎)で細胞/基質混合物を引き出し、シリコン油を含んでいるエピチューブに加え、15分間遠心分離し、続いて直ちにドライアイス/エタノール浴で凍結した。5分後、細胞ペレットを含んでいるエピチューブのチップを直接切断してシンチレーションバイアル内へ落とした。チューブの残りは、凍結部分のすぐ上で再切断し、シンチレーション液を含んでいる別のバイアル内へ落下させた。エピチップから細胞ペレットが放たれるのを容易にするため、一夜たった後にカウントを測定した。上層からのカウント損失およびペレット中のカウント出現間の差は細胞代謝および放出されたCOによるものである。取込アッセイの終わりに、細胞を透過可能にした場合、低分子量細胞内容物が漏出し、蓄積された移入基質について、および代謝されて細胞成分になった基質についての情報が提供される。
実施例II
実施例IIは基質の輸送が全細胞生物変換における律速といってもさしつかえない根拠を提供する。
【0086】
この実施例は、四つの部分に区分化できる、グルコースからの2−KLG形成の鍵となる工程を述べている(図5)。P.citrea中の三つのペリプラスム酵素を使用する、鍵となる中間体2,5−DKGの生成は14−15g/l/hrである(Sonoyama,et al,Appl.Environ.Microbiol.,1982,43:1064−1069)。第二の部分はDKGが細胞の細胞質空間へ輸送されるのに必要な速度である。第三は、DKGレダクターゼを使用する2−KLGへのDKGの変換速度である(米国特許第5,032,514号)。2−KLGへのDKGの変換は、DKGレダクターゼが過剰発現されている場合は律速ではない。我々の現2−KLG産生発酵の場合、DKGレダクターゼが構成的trpプロモーター下にあるpD92を現在使用している、典型的な発酵と比較し、レダクターゼ特異的活性を増加および減少させることの両方に誘導可能なプラスミドが使用された。誘導可能プラスミド、pD23は、taqプロモーターの下にあり、IPTGで誘導できる。三つの発酵槽を、一つはpD92で、および二つはpD23(その一つはIPTGで誘導された)で稼働させた。対照pD92および誘導pD23はほぼ同一レベルの2−KLGを産生したが、一方、非誘導pD23は著しく少なかった。レダクターゼ特異的活性のアッセイは、対照pD92と比較して、非誘導プラスミドは半分以下のレダクターゼしか作っていなかったが、一方、誘導pD23は2倍以上を作り出していたことを示した。これらの結果は、我々の2−KLG産生P.citrea発酵におけるレダクターゼ活性レベルは2−KLG産生の障害ではないことを示している。
Figure 2004519213
第四の部分は、細胞内で行われ、移出される必要がある2−KLGの輸送である。発酵における2−KLGの産生速度(2.2g/l/hr−2.7g/l/hr)は、細胞からの2−KLGの移出速度と等しいべきと考えられる。もし、2−KLGの移出速度が制限されていたら、細胞側に2−KLGが蓄積されるであろうし、細胞はそれらの代謝ポテンシャルで機能することができなくなり、最後には死んでしまうであろう。しかしながら、P.citreaの2−KLG産生細胞はこれらの状態を示さず、2−KLGの細胞内測定では、産生された2−KLG最大濃度の10−20分の1が残っていた。2−KLG移出も2−KLG生成における律速段階ではないことが考えられた。
実施例III
実施例IIIは、生物変換のための細胞内への基質輸送速度が本当に律速段階にちがいないという証拠を提出している。
【0087】
三つの異なった時点の発酵過程からの細胞ペレット、種フラスコ段階、フルクトース給餌段階およびグルコース給餌段階、を集め、実験の部で説明したように処理した。これらの細胞型を使用するDKG取込アッセイは、DKGをKLGへ変換することをもたらす、0.5g/l/hr、2.7g/l/hrおよび2.75g/l/hrDKG取込速度を与えた(図2)。DKG移入の速度はKLG移出と同じである。それ故この結果は、KLGへのDKGの生物変換速度は、細胞内への2,5−DKG移入速度に依存していることを示している。それ故、本発明は、過剰発現によりDKG取込輸送体を増加させることが、2,5−DKGの移入速度を促進し、従って、2−KLG産生速度を促進するであろうことを示すであろう。当業者は、全細胞変換法を使用し、種々の生物形質転換において鍵となる制限因子が、実際に生物形質転換のための、細胞内への基質の移入および移入速度であることを思い浮かべることができる。
実施例IV
実施例IVはDKG取込アッセイを使用した、K.oxytoca中の2,5−DKG輸送体の発見を提供する。WO002170は、Klebsiella oxytocaからのオペロンの同定および配列決定を記載しており(yiaオペロンと称される)、それは8つの推定読み取り枠を含んでいる。yiaオペロン中の個々の読み取り枠によりコードされているこれらのポリペプチドの機能は、WO002170には記載されていない。このオペロンの破壊は、単一炭素源としてアスコルビン酸を使用するK.oxytocaの能力を取り除いた。アスコルビン酸は酸化に不安定な物質であり、空気酸化により2,3−DKGへ分解することが知られている(Kimaya,S.,J.Vitaminol,,1961,7:19−26)。2,3−DKGが増殖のための実際の基質であることを示唆するのは妥当であった。yiaオペロン中の読み取り枠の一つ(yiaX2と称される)は、輸送体型膜貫通蛋白質をコードしており、それ故、2,3−DKG透過酵素の候補であると考えられた。2,5−DKG透過酵素を発見する平行的研究を照らし合わせると、2,3−DKGおよび2,5−DKGは類似の分子であることが理解され、yiaX2が2,5−DKGおよび2−KLGのような他の糖ケト酸を輸送することは可能であろう。
【0088】
yiaX2が,5−DKGおよび2−KLGを輸送できるかどうかを決定するため、この遺伝子をK.oxytoca株M5a1の染色体から欠失させた(例えば、Streicher et al.,Proc.Natl,Acad.Sci.68:1174−1177(1971)を参照されたい)。yiaX2欠失変異体(MGK002と称される)は、本分野では既知の標準分子生物学プロトコールを使用して作り出された(例えば、Hamilton et al.,J.bacterial.171:4617−4622(1989)を参照されたい)。Tester株と称される別のK.oxytoca株はK.oxytoca株MGK002に、プラスミド的にコードされている、およびlacオペロン制御yiaX2遺伝子を付加し戻すことにより作り出された。MGK002およびTester株を使用する、+/−IPTG下でのDKG取込アッセイから、yiaX2が2,5−DKG輸送活性を持っているポリペプチドをコードしていることが確認された(図9)。
実施例V
実施例Vは、微生物からの2,5−DKG透過酵素をスクリーニングするための選択方法論を提供する。
【0089】
yiaX2遺伝子が2,5−DKG輸送活性を持っている輸送蛋白質をコードしているという情報により、P.citreaおよび他の生物源の2,5−DKG輸送蛋白質を発見するための選択宿主を設計することが可能になった。yiaX2遺伝子欠失および酵素を発現する遺伝子の付加を持つK.oxytocaは2,5−DKGからグルコン酸への異化に関係しており、それは生物体の中枢代謝を評価可能である。2,5−DKGをグロン酸に異化できる酵素は、いくつかのグラム陰性生物体に存在する、tkr idnD idnOオペロンのtkrおよびidno遺伝子によりコードされている(Bausch,C.,et al,J.Bacteriol.,1998,180:3704−3710)。
【0090】
得られたK.oxytocaのtester株はyiaX2[tkr idno]であり、単一炭素源として2,5−DKG上での増殖に必要とされるすべての成分を持っているが、但し、細胞質内へDKGを移入する能力は持っていない。従って、2,5−DKG透過酵素をコードする核酸分子は、tester株中での発現により、2,5−DKG上で増殖するtester株の能力を与えるべきである。この選択方法論は図9に示されている。
【0091】
P.citreaゲノムライブラリーを構築するために使用されたクローニングベクターはプラスミドpCl1920(Lemer et al.,Nucleic Acid Res.,1994,18:4621)であり、スペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性決定基を運んでいる低コピー数発現ベクターである。宿主に提供された場合、laclq遺伝子産物により抑制される,lacPOプロモーター/オペレーター領域により駆動される。P.citrea(ATCC39140)からのゲノムDNAは標準プロトコールを使用して単離し、ゲノムライブラリーを作製した(Sambrook,et al,Molecular Cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1992))。増幅されたライブラリーは、P.citreaの2,5−DKG透過酵素発見にさらに使用するため、プラスミドDNAの形で保存した。
実施例VI
実施例VIは宿主細胞中でDKG輸送体を過剰発現することにより、細胞中のDKG移入を促進できるという証拠を提供する。
【0092】
ゲノムライブラリーをtester株K.oxytoca yiaX2[tkr idno]株内へ導入した。2.5%2,5−DKGおよび0.1mM IPTGを含むM9寒天プレートを使用し、2,5−DKG上で成長させたクローンは、放射標識14C(U)DKGを使用してDKG取込を試験した。種々のクローンが対照tester株より改良されたDKG取込を持つことが観察された(図10)。これらの陽性クローンからのゲノムライブラリーDNAでP.citrea(139−2A)を形質転換し、P.citrea 139−2A株よりもDKG取込が改良されていることを測定するため、DKG取込アッセイが実施された。ゲノムライブラリースクリーニングおよび選択方法論を通して発見された、DKG透過酵素をコードしているプラスミドの追加のコピーを持っている形質転換体中で、DKG取込速度に3から5倍の改良がみられた(図11)。
実施例VII
実施例VIIは宿主細胞中でDKG輸送体を過剰発現させることにより、2−KLGの産生を改良できることの証拠を提供している。Pantoea citrea DKG透過酵素PermA(SEQ ID NO:2)をコードしている核酸分子が、グルコースから2−KLGの生合成に適したPantoea citrea株139−2A内へ低コピーベクターpBCL1920を使用してサブクローン化された場合(米国特許第5,032.514号)、2−KLG産生の産生速度が2.5g/l/hrから3.2g/l/hrへ改良され、糖に対する収率が45%から53%へ改良された(図12)。
実施例VIII
実施例VIIIはP.citreaからのDKG透過酵素PermAの特性を記述している。
【0093】
この実施例は、P.citreaのPermAの膜トポロジーを説明している。PFAM分析(Hirokawa,T.,et al.,Bioinformatics,1998,4(4):378)は、PermAは八つの一次ドメインおよび三つの二次貫通ドメインを持つ11の膜貫通ドメインを持っている(図13)。アミノ末端はペリプラスムにあり、カルボキシ末端は細胞質中に位置している。二つの主および2つの副ループが存在し、ペリプラスムおよび細胞質の両方が一つの主および一つの副ループを持っている。PermAは0.62の疎水性を持つ膜蛋白質であり、48ダルトンの分子量を持っている。集積比分析(Lolkema,J.S.,et al.1996,Handbook of Biological Physics,Chapter 11,229−260)に基づくと、それは2,5−DKGのH関連共輸送体の一つである。共通配列分析(Pao,S.S.,et al.,Microbiol.Molecular Biol.Rev.,1998,62:1−34)に基づくと、それはMFSのACSファミリーに属している(図14)。
【0094】
本開示を読んだ後に、本発明の精神および範囲から離れることなく、前記の説明および例の種々の別例および変形が、当業者には明らかになるであろうが、そのような例または変形は付随する特許請求の範囲内に含まれているつもりである。本明細書で参照されたすべての報文および特許はその全体がここに組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はKlebsiella oxytocaのYiaX2のDNAおよびアミノ酸配列を示している。PE1(環境透過酵素);PE6(環境透過酵素);Pantoea citreaのPermA;Pantoea citreaのPermB;Pantoea citreaのYiaX2。
【図2】図2はグルコースからのアスコルビン酸前駆体2−KLG生産のための合成経路を示している流れ図である。
【図3】図3はアスコルビン酸前駆体2−ケト−L−グロン酸(2−KLG)の合成経路を示している図である。
【図4】図4は、グルコースが2−KLGを得るようにたどることができる種々の合成経路を示している流れ図である。Boudrant,J.,Enzym Microb.Tech.,1990,12,322−329。
図4AはD−ソルビトールから2−KLGへの合成経路を示している図であり、経路内の他の反応および細胞膜を横切った基質の輸送に関係する反応の細胞位置を示している。Saito,Y,et al Biotechnot.Bioeng.58(2/3):305−315(1998)。
【図5】図5はD−グルコースから2,5−DKG、2−KLGの合成経路を示しており、経路内の他の反応および細胞膜を横切った各々の基質の輸送に関係する反応の位置を示している。
【図6】図6はDKG輸送速度とKLG産生速度を比較している線グラフであり、時間に対する2,5−DKG取込量(ナノモル/OD600)を示している(−◆−=フルクトース給餌139−2a、0.0486x+0.67;−▲−=グルコース給餌139−2a、y=0.0497+0.5877;−●−=種フラスコ139−2a、y=0.0075x+0.0567)。
【図7】図7はKlebsiella oxytoca中のアスコルビン酸異化作用のyiaオペロン概略図である。
【図8】図8はシリコン油輸送アッセイにより測定された、Klebsiella oxytocaによる2,5−DKG取込量(ナノモル)を示しているグラフである(−◆−=Tester+イソプロピルβ−D=チオガラクトピラノシド〔IPTG〕;−▲−=ΔyiaX2+IPTG;−黒四角−=Tester−IPTG)。
【図9】図9はP.citrea、K.oxytocaおよび環境源から透過酵素を選ぶための選択計画を示している概略図である。
【図10】図10はK.oxytoca株における2,5−DKG取込活性を示している棒グラフである(YiaX2、pcp1、pcp10、pcp32、pK1、環境#1および環境#6)。
【図11】図11は28度CでのDKG取込速度(g/l/hr)を測定することによる、同一のプラスミド構築物(pBCL1920)中に種々のDKG透過酵素(139−2A、139−2A+PCP32;139−2A+PCP10;139−2A+PK1;139−2A+PCP1および139−2A+PE6)を含んでいる振盪フラスコの2,5−DKG取込アッセイを示している棒グラフである。9A−9B
【図12】図12は、特異的生産性が過剰発現されたDKG透過酵素で増加することを示している線グラフである。特異的産生速度(g/l/hr)(−◆−=野生型;−x−=WT、prmA)。
【図13】図13は膜表面におけるPermA輸送体の概略図である。推定膜貫通ドメインはI−XIと番号付けられている。保存残基の位置はボールド体で示されている。Nはアミノ末端であり、Cはカルボキシル末端である。Pantoea citrea 透過酵素A(SEQ ID:_)の推定膜貫通ドメインはhttp://sosui.proteome.bio.tuat.ac.jp/sosuiframe0.html で利用可能な道具を使用して導き出された。
【図14】図14は残基G119から142に対応する保存アミノ酸配列である。

Claims (13)

  1. 宿主細胞の少なくとも部分的には細胞内の経路から誘導される所望の化合物の、該宿主細胞の生合成的産生を促進する方法であって:
    a)細胞外基質を利用する、少なくとも部分的には細胞内合成経路を持つ宿主細胞を選択し;
    b)宿主細胞の完全性を維持すると同時に該宿主細胞内への該細胞外基質の輸送を増加させ;
    c)該細胞外基質を産生するために宿主細胞を培養し;および
    d)所望の化合物を産生することから成る方法。
  2. 該宿主細胞内へ該細胞外基質の輸送を増加させることが、該宿主細胞への該基質の輸送を増加させる一つまたはそれ以上のポリペプチドをコードしているDNAで該宿主細胞を形質転換する工程を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  3. 該一つまたはそれ以上のポリペプチドが輸送体プロモーターである、請求項2に記載の方法。
  4. 該一つまたはそれ以上のポリペプチドが主促進体スーパーファミリー輸送体である、請求項2に記載の方法。
  5. 該一つまたはそれ以上のポリペプチドがアニオン/カチオンH共輸送体である、請求項4に記載の方法。
  6. 宿主細胞の少なくとも部分的には細胞内の経路から誘導される所望の化合物の、該宿主細胞の生合成的産生を促進する方法であって:
    a)細胞外基質を利用する、少なくとも部分的には細胞内合成経路を持つ宿主細胞を選択し;
    b)宿主細胞の完全性を維持すると同時に該宿主細胞内への該細胞外基質の輸送を増加させ、ここで該宿主細胞内への該基質の輸送が、該宿主細胞生合成的産生における律速段階である;
    c)該細胞外基質を産生するために宿主細胞を培養し;および
    d)所望の化合物を産生することから成る方法。
  7. 内部細胞膜を横切った細胞質ゾル内への基質輸送を促進させるための方法であって:
    宿主細胞を選択し;および
    該宿主細胞内へ基質を輸送する一つまたはそれ以上の酵素をコードしているDNAで該宿主細胞を形質転換することからなる方法。
  8. 該宿主細胞が細菌および酵母から成る群より選択される、請求項10に記載の方法。
  9. 該宿主細胞がパントエアである、請求項11に記載の方法。
  10. アニオン/カチオン共輸送体を過剰発現する方法であって:
    宿主細胞を選択し;および
    一つまたはそれ以上のアニオン/カチオン共輸送体をコードしているDNAで該宿主細胞を形質転換する工程から成る方法。
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