JP2004362903A - 質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イオン源の後段に置かれ、イオン源よりも高い真空を維持する中間室にイオンを取り込むために設けられた中間スリットと、中間スリットの後段に置かれ、取り込んだイオンを誘導するイオンガイドと、イオンガイドの後段に置かれ、誘導されたイオンをより高真空領域に取り込む差動排気オリフィスと、差動排気オリフィスの後段に置かれ、取り込まれたイオン流の形状を規制する入射ビーム規制スリットとを備え、前記中間スリットと、前記差動排気オリフィスと、前記入射ビーム規制スリットのうち、少なくとも1つを、電気絶縁材によって接地電位から分離し、電圧を印加可能な構造にした。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン源により生成された試料イオンを分析する質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析装置は、試料から生成するイオンを真空中で飛行させ、飛行の過程で質量の異なるイオンを分離して、スペクトルとして記録する装置である。質量分析装置には、扇形磁場を用いてイオンの質量分散を行なわせる磁場型質量分析装置、四重極電極を用いて質量によるイオンの選別(フィルタリング)を行なわせる四重極質量分析装置(QMS)、質量によるイオンの飛行時間の違いを利用してイオンを分離する飛行時間型質量分析装置(TOFMS;time of flight MS)などが知られている。
【0003】
これらの質量分析装置の内、磁場型質量分析装置とQMSは、連続的にイオンを生成するタイプのイオン源に適合しているのに対し、TOFMSは、パルス状にイオンを生成するタイプのイオン源に適合している。従って、連続型のイオン源をTOFMSに利用しようとすれば、イオン源の利用のしかたに工夫が必要である。直交加速型飛行時間型質量分析装置(OA−TOFMS;orthogonal acceleration TOFMS)は、連続型のイオン源からパルス状のイオンを射出することができるように工夫されたTOFMSの一例である。
【0004】
図1に、典型的なOA−TOFMSの構成を示す。OA−TOFMSは、電子衝撃(EI)イオン源、化学イオン化(CI)イオン源、電界脱離(FD)イオン源、エレクトロスプレイ(ESI)イオン源、高速原子衝撃(FAB)イオン源などの連続型の外部イオン源1と、第1および第2の隔壁および図示しない真空ポンプによって構成される差動排気壁10と、該差動排気壁10の第1の隔壁上に設けられた第1のオリフィス2と、該差動排気壁10内に置かれたリングレンズ3と、該差動排気壁10を構成する第2の隔壁上に設けられた第2のオリフィス4と、イオンガイド5が置かれた中間室11と、収束レンズおよび偏向器から成るレンズ群6、イオン押し出しプレートと加速レンズ(グリッド)から成るランチャー7、イオンを反射するリフレクター8、およびイオン検出器9などのイオン光学系を構成する構成物が置かれた測定室13とを備えている。
【0005】
このような構成において、外部イオン源1において試料から生成したイオンは、まず最初に、第1のオリフィス2を通って差動排気壁10に導入される。そして、差動排気壁10内で拡散しようとするイオンは、差動排気壁10内のリングレンズ3によって集束され、第2のオリフィス4を通って中間室11に導入される。中間室11に導入されたイオンは、中間室11内で運動エネルギーを落とし、イオンガイド5から発生する高周波電界によってイオンビーム径を小さくして、高真空な測定室13へと誘導される。中間室11と測定室13を仕切る隔壁には、第3のオリフィス12が設けられている。イオンガイド5から誘導されてきたイオンは、この第3のオリフィス12によって、丸い一定の径を持ったイオンビームに整形されて、測定室13に導入される。
【0006】
測定室13の入口には、収束レンズと偏向器とから成るレンズ群6、および図示しない入射ビーム規制スリットが設置されている。測定室13に入ってきたイオンビームは、レンズ群6によりビームの拡散や偏向を是正され、入射ビーム規制スリットでビームの断面形状を整えられた後、ランチャー7に導入される。ランチャー7内には、イオン押し出しプレートとグリッドが対向配置されて成るイオン溜と、該イオン溜の軸方向に対して直交する方向に並ぶ加速レンズとが設置されている。
【0007】
イオンビームは、最初、図2に示すように、20〜50eVの低エネルギー状態で、イオン押し出しプレート14とグリッド15および加速レンズ16によって挟まれたイオン溜17に向けて、平行に進入する。イオン溜17内を平行に移動する一定の長さを持ったイオンビーム18は、イオン押し出しプレート14に数kV程度のパルス状の加速電圧を印加することにより、イオンビーム18の進入軸方向(X軸方向)とは垂直な方向(Z軸方向)にパルス状に加速され、イオンパルス19となって、イオン溜17と対向する位置に設けられた図示しないリフレクターに向けて飛行を開始する。
【0008】
垂直方向に加速されたイオンは、測定室13に導入されたときのX軸方向の速度と、それとは垂直な方向にイオン押し出しプレート、グリッド、及び加速レンズによって与えられたZ軸方向の速度とが足し合わされるため、完全なZ軸方向ではなく、わずかに斜めを向いたZ軸方向に飛行し、リフレクター8で反射されて、イオン検出器9に到達する。
【0009】
イオンの加速の過程では、イオンの質量の大小にかかわらず、同じ電位差がイオンに作用するため、軽いイオンほど速度が速くなり、重いイオンほど速度が遅くなる。その結果、イオンの質量の違いがイオン検出器8に到達するまでの到達時間の違いとなって現れ、イオンの質量の違いをイオンの飛行時間の違いとして分離することができる。
【0010】
このようにして、連続型のイオン源1から生成したイオンビームを、イオン押し出しプレート、グリッド、及び加速レンズから成るランチャー7によってパルス状に加速することにより、連続型のイオン源を、パルス状のイオン源に対して適合性を持つTOFMSに適用することができる(特許文献1)。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−117802号公報
【特許文献2】
特開2000−243343号公報
【非特許文献1】
発明協会公開技報、93−29191
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、イオンが通過する経路にある、装置構成部材に、20〜50eV程度の、低い加速エネルギーのイオンが照射された場合、その部材表面の導電性が低い状態にある場合は、そこでイオンの持つ電荷が蓄積されて、帯電状態になる。そうなると、その帯電した部位に、本来のイオン光学系に想定しなかった、異常な電位が形成され、そこに生じた電界が、低速のイオンを、本来的な飛行軌道からずれた方向へと偏向し、後段へのイオン輸送の妨げとなってしまう。
【0013】
実際、差動排気を行なうために、オリフィスを設けて、空間を仕切っている部分や、スリットを設けて、イオンビームの行路の一部を遮って、後段へのイオンビームの広がりを規制している部分では、照射イオンの電荷が蓄積されたことによる帯電に起因して、異常現象が発生することが分かった。
【0014】
このような帯電現象が発生する、最大の理由の1つは、イオンビームの照射に曝される部材の表面に、絶縁性の酸化膜が形成されたり、部材表面の汚れが経時的に蓄積されたりすることなどにより、部材表面の電気抵抗が、増大することである。
【0015】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、オリフィス部やスリット部での帯電現象を、改善ないし緩和することのできる質量分析装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の質量分析装置は、
イオンが低加速エネルギーで衝突する部分を、電気絶縁材によって接地電位から分離し、電圧を印加可能な構造にしたことを特徴としている。
【0017】
また、前記低加速エネルギーは、100eV以下であることを特徴としている。
【0018】
また、試料をイオン化するイオン源と、
イオン源の後段に置かれ、イオン源よりも高い真空を維持する中間室にイオンを取り込むために設けられた中間スリットと、
中間スリットの後段に置かれ、取り込んだイオンを誘導するイオンガイドと、
イオンガイドの後段に置かれ、誘導されたイオンをより高真空領域に取り込む差動排気オリフィスと、
差動排気オリフィスの後段に置かれ、取り込まれたイオン流の形状を規制する入射ビーム規制スリットと、
入射ビーム規制スリットの後段に設けられたイオン溜と、
イオン溜内のイオンに、所定の運動エネルギーを与えて、イオン溜の軸方向と交差する方向に、パルス的にイオンを押し出して、イオンの飛行時間を分析する飛行時間型分光部と、
飛行時間型分光部を通って飛来するイオンパルスを検出するイオン検出部と
を備え、
前記中間スリットと、前記差動排気オリフィスと、前記入射ビーム規制スリットのうち、少なくとも1つを、電気絶縁材によって接地電位から分離し、電圧を印加可能な構造にしたことを特徴としている。
【0019】
また、前記イオン源は、EIイオン源、またはCIイオン源であることを特徴としている。
【0020】
また、前記入射ビーム規制スリットの後段に、洩れ電界を遮蔽する電界シールドを設けたことを特徴としている。
【0021】
また、前記中間スリット、前記差動排気オリフィス、前記入射ビーム規制スリットに印加される電圧は、イオンの極性と逆の極性を持ち、イオンを80eV以上に加速できる直流電圧であることを特徴としている。
【0022】
また、前記中間スリット、前記差動排気オリフィス、前記入射ビーム規制スリットのうちの少なくとも1つの近傍に、加熱機構を設けたことを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図3は、本発明にかかる質量分析装置の一実施例を示した図である。図を簡略化するため、図1に示した、外部イオン源1、差動排気壁10、中間室11の3者を、イオン生成・輸送部21として、1つにまとめた。また、中間スリット22は、図1の第2のオリフィス4に、また、差動排気オリフィス23は、図1の第3のオリフィス12に、それぞれ対応している。外部イオン源には、EIイオン源やCIイオン源が用いられる。
【0024】
本実施例が、図1の従来例と異なる点は、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、直交加速飛行時間型質量分析器(飛行時間型分光部)26の内部に設けられた入射ビーム規制スリット24が、電気絶縁部材を介して設置されていることである。中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、直交加速飛行時間型質量分析器26の内部に設けられた入射ビーム規制スリット24は、従来、接地電位に設定されていた。ところが、本実施例では、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、直交加速飛行時間型質量分析器26の内部に設けられた入射ビーム規制スリット24は、それぞれ、電気絶縁部材で、接地された電位から分離されており、図示しない電源により、所定の電圧が供給されるように、構成されている。
【0025】
また、簡略化のため、図示しないが、入射ビーム規制スリット24とイオン溜25との間に、入射ビーム規制スリット24からの洩れ電界をシールドするための、接地電位の導電性スリット部材を設けても良い。
【0026】
この実施例の動作について、説明する。イオン生成・輸送部21で生成し、輸送されて、直交加速飛行時間型質量分析器26内部のイオン溜25へと入射してくるイオンは、総体として、イオンビーム29を形成する。このイオンビーム29は、途中、いくつかの障壁となる部位に、イオンの一部が衝突することで、次第にその総量が減じられて、最終のイオン溜25に到達する。ここで、障壁とした部位には、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24も含まれる。
【0027】
中間スリット22は、イオン輸送のためのイオン光学上の要素として設置され、レンズ系の作用場の端面形成や、前後の電界シールドとして作用する。イオンビーム29の輪郭部のサイズが、中間スリット23の開口部のサイズよりも大きいと、その部分は、この中間スリット22に衝突して、進行を止められる。
【0028】
差動排気オリフィス23は、イオン生成・輸送部21と直交加速飛行時間型質量分析器26との真空度差を維持するために設けられる。通常、この部材は、排気抵抗となるように、イオン光軸上に細孔を配置したものとなる。このため、イオンビーム29の輪郭部のサイズが、差動排気オリフィス23の細孔のサイズよりも大きいと、その部分は、この差動排気オリフィス23部材に衝突して、進行を止められる。
【0029】
入射ビーム規制スリット24は、イオン溜25に導かれるイオンを、所定の入射条件に規制するために設置される。入射ビーム規制スリットの上流側においては、イオンビーム29が、余分な広がりを持っている。そこで、入射ビーム規制スリット24で、イオン溜25に入射するイオンビーム29の幅を、入射ビーム規制スリット24の開き幅以下に制限する。これにより、入射ビーム規制スリット24の開口部を通過できなかったイオンは、この部材に衝突して、進行を止められる。
【0030】
ところで、以上述べた、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24の3者に衝突して、進行を止められたイオンの電荷のほとんどは、衝突した部材の表面に移動することになる。もし、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24の3者が、本来の高い導電状態を維持していれば、イオンから移動してきた電荷は、図示しない電極電源回路側に流れ、これら3者の部材は、接地電位を維持できることになる。ところが、部材の表面に、絶縁性の酸化膜が形成されたり、部材表面の汚れが経時的に蓄積されたりすると、部材表面の電気抵抗が増大し、イオンの電荷が蓄積されて、帯電現象が発生する。
【0031】
イオンビーム29は、20〜50eV程度の低エネルギー状態であるため、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24の3者に、わずかでも、帯電現象が発生すると、イオンビーム29は、容易に偏向を受け、イオンが、イオン溜25に、スムーズには導入されなくなってしまう。
【0032】
そのとき、もし仮に、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24などの、イオンが衝突する部材に、図示しない電源から、イオンの極性とは逆の極性を持ち、イオンを80eV以上に加速できる直流電圧を印加してやれば、イオンは、80eV以上の入射エネルギーで、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、入射ビーム規制スリット24に、激しく衝突することになる。
【0033】
金持徹編、「真空技術ハンドブック」(1990年、日刊工業新聞社刊)の第6章、図6.5.3に掲載されているグラフを、図4に示す。これによると、入射イオンエネルギーが、2百数十eV以上になると、イオンが衝突する際に、スパッタリング効果が見られるようになる。
【0034】
したがって、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、入射ビーム規制スリット24に、図示しない電源から、イオンの極性とは逆の極性を持つ、200V以上の直流電圧を印加してやれば、イオンビームが本来持っている20〜50eV程度の低エネルギーと足し合わされて、2百数十eV以上の入射イオンエネルギーとなり、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、入射ビーム規制スリット24と衝突する際に、それらの表面を、スパッタすることになる。尚、実験の結果では、80eV位からでも、スパッタリングの効果が認められた。
【0035】
このスパッタリング効果により、部材表面に形成された、絶縁性の酸化膜や、部材表面の汚れが取り除かれると、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、入射ビーム規制スリット24の帯電現象を、改善ないし緩和することができる。その結果、衝突するイオンの電荷は、帯電することなく、図示しない電極電源回路側に流れ、帯電によるイオンビームの偏向現象はなくなり、安定したイオンの輸送が行なえるようになる。
【0036】
このように、飛行時間型質量分析装置に、測定モードの他に、中間スリット22、差動排気オリフィス23、および、入射ビーム規制スリット24に、イオンの極性とは逆の極性を持ち、80eV以上にイオンを加速できる直流電圧を印加するモードを設け、帯電が起きたときには、そのモードに切り換えるようにしてやれば、飛行時間型質量分析装置を分解掃除することなく、常に、快適な条件で、使用することが可能になる。
【0037】
このとき、スパッタに用いるイオンは、必ずしも、試料イオンである必要はなく、例えば、ヘリウムイオンやアルゴンイオンや窒素ガスイオンなどの、不活性ガスのイオンや、酸素ガスなどの、活性ガスのイオンを用いてやれば良い。
【0038】
尚、本発明には、変形例が可能である。例えば、図3では、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24の3者すべてについて、電気絶縁部材で、接地された電位から分離し、図示しない電源により、所定の電圧が供給されるように構成したが、これは、中間スリットと、差動排気オリフィスと、入射ビーム規制スリットのうち、少なくとも1つだけが、電気絶縁材によって接地電位から分離され、電圧印加可能な電極構造を与えられていても良い。
【0039】
例えば、図5に示すのは、差動排気オリフィス23のみが、電気絶縁材によって接地電位から分離され、電圧印加可能な電極構造を与えられている例である。電気絶縁部材で、接地された電位から分離し、図示しない電源により、所定の電圧が供給されるようにする構成を、最も帯電が起こりやすい、差動排気オリフィス23に対して実施するだけでも、その効果は大きい。
【0040】
また、中間スリット22、差動排気オリフィス23、入射ビーム規制スリット24などのうち、少なくとも1つの近傍、または、そのすべての近傍に、更に、加熱機構を設け、焼き出し効果をスパッタリング効果と併用することにより、部材表面に付着している汚染物質を除去する作業を、支援するようにしても良い。
【0041】
尚、以上述べたような、イオンが低加速エネルギーで衝突する部分を、電気絶縁材によって接地電位から分離し、電圧を印加可能な構造にする方法は、100eV以下の低加速エネルギーで、分析部にイオンを入射させる、四重極型の質量分析装置などに対しても、同様に適用できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の結果、オリフィス部やスリット部での帯電現象を、改善ないし緩和することのできる質量分析装置を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の飛行時間型質量分析装置を示す図である。
【図2】従来の飛行時間型質量分析装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施例を示す図である。
【図4】入射イオンエネルギーとそれがもたらす効果との相関図である。
【図5】本発明の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・外部イオン源、2・・・第1のオリフィス、3・・・リングレンズ、4・・・第2のオリフィス、5・・・イオンガイド、6・・・レンズ群、7・・・ランチャー、8・・・リフレクター、9・・・イオン検出器、10・・・差動排気壁、11・・・中間室、12・・・第3のオリフィス、13・・・測定室、14・・・イオン押し出しプレート、15・・・グリッド、16・・・加速レンズ、17・・・イオン溜、18・・・イオンビーム、19・・・イオンパルス、21・・・イオン生成・輸送部、22・・・中間スリット、23・・・差動排気オリフィス、24・・・入射ビーム規制スリット、25・・・イオン溜、26・・・直交加速飛行時間型質量分析器(飛行時間型分光部)、27・・・イオン押し出し電極、28・・・イオン出射グリッド、29・・・イオンビーム。
Claims (7)
- イオンが低加速エネルギーで衝突する部分を、電気絶縁材によって接地電位から分離し、電圧を印加可能な構造にしたことを特徴とする質量分析装置。
- 前記低加速エネルギーは、100eV以下であることを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
- 試料をイオン化するイオン源と、
イオン源の後段に置かれ、イオン源よりも高い真空を維持する中間室にイオンを取り込むために設けられた中間スリットと、
中間スリットの後段に置かれ、取り込んだイオンを誘導するイオンガイドと、
イオンガイドの後段に置かれ、誘導されたイオンをより高真空領域に取り込む差動排気オリフィスと、
差動排気オリフィスの後段に置かれ、取り込まれたイオン流の形状を規制する入射ビーム規制スリットと、
入射ビーム規制スリットの後段に設けられたイオン溜と、
イオン溜内のイオンに、所定の運動エネルギーを与えて、イオン溜の軸方向と交差する方向に、パルス的にイオンを押し出して、イオンの飛行時間を分析する飛行時間型分光部と、
飛行時間型分光部を通って飛来するイオンパルスを検出するイオン検出部と
を備え、
前記中間スリットと、前記差動排気オリフィスと、前記入射ビーム規制スリットのうち、少なくとも1つを、電気絶縁材によって接地電位から分離し、電圧を印加可能な構造にしたことを特徴とする質量分析装置。 - 前記イオン源は、EIイオン源、またはCIイオン源であることを特徴とする請求項3記載の質量分析装置。
- 前記入射ビーム規制スリットの後段に、洩れ電界を遮蔽する電界シールドを設けたことを特徴とする請求項3または4記載の質量分析装置。
- 前記中間スリット、前記差動排気オリフィス、前記入射ビーム規制スリットに印加される電圧は、イオンの極性と逆の極性を持ち、イオンを80eV以上に加速できる直流電圧であることを特徴とする請求項3、4、または5記載の質量分析装置。
- 前記中間スリット、前記差動排気オリフィス、前記入射ビーム規制スリットのうちの少なくとも1つの近傍に、加熱機構を設けたことを特徴とする請求項3、4、5、または6記載の質量分析装置。
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