JP2004359708A - 潤滑油用及び燃料油用添加剤、並びに潤滑油組成物及び燃料油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(I)
【化1】
[R1は−CH2−O−CR3基を示し(Rは水素原子又はC1〜C20の炭化水素基であって、それぞれ同一でもよく異なってもよく、R同士が結合して環を形成してもよい。この炭化水素基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。)、R2〜R12は、それぞれ独立に水素原子、C1〜C20の炭化水素基又はR1を示す。]
で表されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを主成分とする潤滑油用及び燃料油用添加剤である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油用及び燃料油用添加剤、並びに潤滑油組成物及び燃料油組成物に関し、さらに詳しくは、摩擦調整剤、特に極圧添加剤や耐摩耗剤として優れた機能を有する特定構造のニトリロトリエチルボレートを主成分とする潤滑油用及び燃料油用添加剤、並びに前記添加剤をそれぞれ含む潤滑油組成物及び燃料油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関や自動変速機、緩衝器、パワーステアリングなどの駆動系機器などには、その作動を円滑にするために潤滑油が用いられているが、高出力、高荷重のもとでは潤滑性能が不足し、潤滑面が摩擦・摩耗し、遂には焼付きを起こすことがよく知られている。したがって、極圧添加剤や耐摩耗剤などを配合した潤滑油が用いられている。しかしながら、従来の極圧添加剤は、他の添加剤との相互作用により、充分な焼付き防止効果が発揮されなかったり、金属を腐食したり、耐摩耗性に劣るなど、必ずしも充分に満足しうるものではなかった。
また、切削加工、研削加工あるいは塑性加工等の金属加工に用いられる金属加工油としては、鉱油や合成系炭化水素油に、アルコール類、脂肪酸エステル類、脂肪酸等の油性剤や極圧添加剤を配合することによって調製され、加工性を向上させることが試みられている。
【0003】
しかし、このような金属加工油には、生産性の向上や省エネルギーの観点から、加工性をさらに向上させることができる新たな加工油が要望されている。同時に、従来から極圧添加剤として幅広く使用されてきた塩素系極圧添加剤は、人体にかぶれを生じさせたり、対象金属に錆を発生させるなど、作業環境を悪化させる原因をなしているため、その使用を控える傾向にある。
上記のような要望に応えた金属加工油として、基油に活性イオウを含有する硫化オレフィンと過塩基性スルホネートを添加した油剤が市販されている。
【0004】
上記市販の金属加工油は、耐溶着性が良好で、工具の異常摩耗(例えば欠けなど)や加工面のむしれを防止できる性能を有している。しかし、比較的低負荷の摩擦が繰り返される加工では、活性イオウによる工具の腐食摩耗が進行し、工具の交換あるいは再研磨までの期間が短くなるため、生産能率を阻害する場合が多かった。逆に、始めから異常摩耗が問題にならない金属加工では、むしろ生産能率の低下を招くこともしばしばであった。
次に、作動油は、例えば油圧機器や装置などの油圧システムにおける動力伝達、力の制御、緩衝などの作動に用いられる動力伝達流体であり、摺動部分の潤滑の機能も果たしている。
【0005】
このような作動油においては、特に荷重焼付防止性及び耐摩耗性に優れることが不可欠な基本的性能であり、したがって、鉱油や合成油などの基油に、極圧添加剤や摩耗防止剤などを配合することによって、上記性能が付与されている。しかしながら、従来の極圧添加剤は、荷重焼付防止効果は充分であっても、耐摩耗性が不充分であったり、腐食摩耗を発生させたりするなど、必ずしも充分に満足しうるものではなかった。
さらに、ギヤ油、特に自動車用ギヤ油は、近年積載量の増加、あるいは高速道路網の発達による長距離輸送などの運転条件の過酷化や、更油間隔の延長などに伴い、耐摩耗性及び酸化安定性の向上が急務となっている。
これまで、潤滑油基油に対し、硫化油脂、硫化オレフィン、リン酸系やチオリン酸系化合物、ジチオリン酸亜鉛などの極圧添加剤又は耐摩耗添加剤を主として配合することが行われているが、さらなる耐摩耗性、酸化安定性、摩耗係数比(低速/高速)の低減が求められている。
【0006】
一方、燃料油については、高度に水素化されるに従って、その潤滑性能が不足することが知られており、そして精製度の高い燃料を使用した燃料ポンプは摩耗をきたすことが指摘されている。したがって、最近の高性能タービン燃料には、高い潤滑性能が要求されており、燃料系統機器の金属表面に吸着されて極圧膜を形成し、潤滑性を向上させると共に摩耗を低減させる高性能の燃料油用添加剤が望まれている。
従来、潤滑油の極圧添加剤として、硫黄系極圧添加剤がよく用いられている。この硫黄系極圧添加剤は、分子内に硫黄原子を有し、基油に溶解又は均一に分散して極圧効果を発揮するものであり、例えば硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、ポリスルフィド、硫化オレフィン、チオカーバメート類、チオテルペン類、ジアルキルチオジプロピオネート類などが知られている。しかしながら、これらの硫黄系極圧添加剤は、金属を腐食したり、他の添加剤との相互作用により、焼付き防止効果が充分に発揮されなかったり、あるいは耐摩耗性が不充分であるなどの問題を有し、必ずしも満足し得るものではなかった。
【0007】
出願人は、先に炭化水素置換2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを主成分とする潤滑油添加剤及び燃料油添加剤の特許を出願した(特許文献1)。この添加剤は少量の添加で耐荷重性、耐摩耗性及び摩擦低減に優れた効果を発揮するが、溶解性が不充分で高濃度で使用しにくい場合があり、その改良が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−131567号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下でなされたもので、有害なリンや重金属を含有しなくても、優れた耐荷重性と耐摩耗性を有し、かつ潤滑油基油や燃料油に対する溶解性が良好で、潤滑油用及び燃料油用として好適に用いられる添加剤、並びに該添加剤を含む潤滑油組成物及び燃料油組成物を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するエーテル結合含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを主成分とする潤滑油用及び燃料油用添加剤により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】
[式中、R1は−CH2−O−CR3基を示し(ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であって、それぞれ同一でも異なってもよく、R同士が環を形成してもよい。この炭化水素基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。)、R2〜R12は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はR1を示す。]
で表されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを主成分とする潤滑油用添加剤、
(2)一般式(I)で表されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを主成分とする燃料油用添加剤、
(3)(A)潤滑油基油と、(B)上記(1)の潤滑油用添加剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物、
(4)さらに、(C)酸化防止剤、清浄分散剤及び粘度指数向上剤の中から選ばれる少なくとも一種を含むものである上記(3)の潤滑油組成物、及び
(5)(X)燃料油と、(Y)上記(2)の燃料油用添加剤を含むことを特徴とする燃料油組成物、
を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑油用及び燃料油用添加剤に用いられる一般式(I)で表される化合物は、下記の構造
【0014】
【化4】
【0015】
を有するエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートである。
前記一般式(I)において、R1は−CH2−O−CR3基を示す。ここでRは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であって、それぞれ同一でも異なってもよく、R同士が結合して環を形成してもよい。この炭化水素基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
上記CR3は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、さらに炭素数3〜8の炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基などを挙げることができる。ここで、炭素数1〜20のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ブチルフェニル基、ナフチル基などが、炭素数7〜20のアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0016】
一方、R2〜R12は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はR1を示す。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基として前記で例示した基を挙げることができる。R2〜R12は、たがいに同一であっても異なっていてもよいが、製造上の理由から、(1)R2〜R12が全て水素原子、(2)R5=R9=R1であって、その他は水素原子又はメチル基、(3)R5=R1であって、その他は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
本発明の一般式(1)で示されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートの代表例としては、2,2’,2’’−ニトリロ−1−アルコキシメチルトリエチルボレート、2,2’,2’’−ニトリロ−1,1’−ジアルコキシメチルトリエチルボレート、2,2’,2’’−ニトリロ−1,1’,1’’−トリアルコキシメチルトリエチルボレートなどが挙げられる。
【0017】
本発明の一般式(I)で示されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートは種々の方法で製造することができるが、通常、エーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエタノールを得た後、それをホウ酸などでエステル化することにより製造することができる。
原料のエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエタノールは、例えば、下記の反応式(a)、(b)及び(c)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中、R13は前記CR3と同じであり、R14〜R24は前記R2〜R12と同じである。)
で示されるように、グリシジルエーテル類(II)とアンモニアを反応させて、2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール(III)を製造する方法[反応式(a)]、グリシジルエーテル類(II)とモノエタノールアミン類(IV)を反応させて、2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール(V)を製造する方法[反応式(b)]、グリシジルエーテル類(II)とジエタノールアミン類(VI)を反応させて、2,2’,2’’−ニトリロトリタノール(VII)を製造する方法[反応式(c)]などによって、製造することができる。
前記グルシジルエーテル類(II)としては、例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。このグリシジルエーテル類は、例えば、エピクロルヒドリンとアルコール類から公知の方法で製造することができる。分岐アルキル基をもつグリシジルエーテル類が好ましく、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが特に好ましい。また、前記モノエタノールアミン類(IV)としては、例えばエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、フェニルアラニノールなどが挙げられる。このモノエタノールアミン類は、例えばエポキシ化合物とアンモニアを反応させる公知の方法により製造することができる。さらに前記ジエタノールアミン類(VI)としては、例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、2,2’−イミノジ(1−フェニルエタノール)などがある。このジエタノールアミン類は、例えばエポキシ化合物とアンモニア又はエタノールアミン類を反応させる公知の方法により製造することができる。
【0020】
前記方法で得られたエーテル類含有2,2’,2’’−ニトリロトリエタノールをホウ酸、メタホウ酸、ホウ酸トリエステルなどのホウ素化合物と反応させて、エーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを得ることができる。反応時に生成する水、アルコールを蒸留などにより除去する。目的物は必要に応じて再結晶などの方法で精製する。
前記一般式(I)で表されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートの具体例としては、3−メトキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジメトキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−メトキシメチルエチルボレート、3−エトキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジエトキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−エトキシメチルエチルボレート、3−ブトキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジブトキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−ブトキシメチルエチルボレート、3−(2−エチルヘキソキシメチル)−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジ(2−エチルヘキソキシメチル)−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エチルボレート、3−フェノキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジフェノキシメチル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−フェノキシメチルポレート、3,7−ジメチル−10−(2−エチルヘキソキシメチル)−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジ−2−エチルヘキソキシメチル−10−メチル−2,8−9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカン、3,7−ジ−2−エチルヘキソキシメチル−10−フェニル−2,8,9−トリオキサ−5−アザ−1−ボラビシクロ[3.3.3]ウンデカンなどを挙げることができる。
【0021】
これらのエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートは、有害なリンや重金属を含有しない極圧添加剤として、耐荷重能及び耐摩耗性に優れており、潤滑油用及び燃料用添加剤として用いられる。
本発明の潤滑油用及び燃料油用添加剤においては、前記一般式(I)で表されるエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
次に、本発明の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油と、(B)前述のエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを含む潤滑油用添加剤を含有するものである。なお、本発明でいう潤滑油組成物には、内燃機関や、自動変速機、緩衝器、パワーステアリングなどの駆動系機器、ギヤなどに用いられる自動車用潤滑油、切削加工、研削加工、塑性加工などの金属加工に用いられる金属加工油、油圧機器や装置などの油圧システムにおける動力伝達、力の制御、緩衝などの作動に用いる動力伝達流体でもある作動油などとして用いられるものなどを含む。
【0022】
本発明の潤滑油組成物において、(A)成分として用いられる潤滑油基油としては特に制限はなく、該組成物の使用目的や使用条件などに応じて鉱油や合成油の中から適宜選ばれる。ここで、鉱油としては、例えばパラフィン基系原油、中間基系原油又はナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、又はこれらを常法に従って精製することによって得られる精製油、具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油、白土処理油などが挙げられる。
また、合成油としては、例えば低分子量ポリブテン、低分子量ポリプロピレン、炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマー及びこれらの水素化物、さらにはポリオールエステル(トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなど)や二塩基酸エステル、芳香族ポリカルボン酸エステル、リン酸エステルなどのエステル系化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどのアルキルアロマ系化合物、ポリアルキレングリコールなどのポリグリコール油、シリコーン油などが挙げられる。
【0023】
これらの基油は、一種を用いてもよく、二種以上を適宜組み合せて用いてもよい。
本発明の潤滑油組成物における(B)成分の潤滑油用添加剤の含有量は、該組成物の使用目的や使用条件などに応じて適宜選定されるが、一般に0.01〜50質量%の範囲である。そして、自動車用潤滑油や作動油の場合、通常0.01〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%の範囲であり、金属加工油の場合、添加剤単独でも使用することができるが、通常0.1〜60質量%、好ましくは0.1〜50質量%の範囲で選定される。
本発明の潤滑油組成物は、さらに(C)成分として、酸化防止剤、清浄分散剤及び粘度指数向上剤の中から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0024】
前記酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などを挙げることができる。また、清浄分散剤には、無灰系分散剤及び金属系清浄剤があり、無灰系分散剤としては、例えばコハク酸イミド類、ホウ素含有コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される一価又は二価のカルボン酸のアミド類などが挙げられ、金属系清浄剤としては、例えば中性金属スルホネート、中性金属フェネート、中性金属サリチレート、中性金属ホスホネート、塩基性スルホネート、塩基性フェネート、塩基性サリチレート、塩基性ホスホネート、過塩基性スルホネート、過塩基性フェネート、過塩基性サリチレート、過塩基性ホスホネートなどが挙げられる。さらに、粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン水素化共重合体など)などが挙げられる。
【0025】
本発明の潤滑油組成物においては、使用目的に応じ、その他の各種添加剤、例えば他の摩擦調整剤(油性剤、他の極圧添加剤)や耐摩耗剤、流動点降下剤、防錆剤、金属腐食防止剤、消泡剤、界面活性剤などを適宜含有させることができる。
他の摩擦調整剤や耐摩耗剤としては、例えば硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド、ジアリールアルキルポリスルフィド、ジアリールポリスルフィドなどの硫黄系化合物、リン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、アルキルハイドロゲンホスファイト、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩などのリン系化合物、塩素化油脂、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、塩素化脂肪酸などの塩素系化合物、アルキル若しくはアルケニルマレイン酸エステル、アルキル若しくはアルケニルコハク酸エステルなどのエステル系化合物、アルキル若しくはアルケニルマレイン酸、アルキル若しくはアルケニルコハク酸などの有機酸系化合物、ナフテン酸塩、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)、硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート(MoDTP)、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)などの有機金属系化合物などが挙げられる。
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレートなどが、防錆剤としては、例えば、アルケニルコハク酸やその部分エステルなどが、金属腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンズイミダゾール系、ベンゾチアゾール系、チアジアゾール系などが、消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリアクリレートなどが、界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが用いられる。
【0026】
本発明の潤滑油組成物は、例えば内燃機関や、自動変速機、緩衝器、パワーステアリングなどの駆動系機器、ギヤなどに用いられる自動車用潤滑油、切削加工、研削加工、塑性加工などの金属加工に用いられる金属加工油、油圧機器や装置などの油圧システムにおける動力伝達、力の制御、緩衝などの作動に用いる動力伝達流体である作動油などとして用いられる。
一方、本発明の燃料油組成物は、(X)燃料油と、(Y)前述のエーテル基含有2,2’,2’’−ニトリロトリエチルボレートを含む燃料油用添加剤を含有するものである。
【0027】
本発明の燃料油組成物において、(X)成分である燃料油としては、高度に水素化精製された燃料油、例えば高性能タービン燃料油などが好ましく用いられる。
本発明の燃料油組成物における(Y)成分の燃料油用添加剤の含有量は、通常0.01〜1,000ppm、好ましくは0.01〜100ppmの範囲である。
本発明の燃料油組成物においては、必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、例えば、フェニレンジアミン系、ジフェニルアミン系、アルキルフェノール系、アミノフェノール系などの酸化防止剤、ポリエーテルアミン、ポリアルキルアミンなどの清浄剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、多価アルコールやエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸のエステルなどの錆止剤、キニザリン、クマリンなどの識別剤、天然精油、合成香料などの着臭剤、アゾ染料などの着色剤など公知の燃料油添加剤が挙げられる。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、潤滑油組成物の摩擦係数、摩耗痕径及び腐食性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)耐焼付き性
ASTM D3233−93A法に準拠しファレックス試験によって焼付き荷重(N)を求めた。測定条件は回転数290rpm、油度80℃である。
(2)耐荷重性試験
ASTM D2783に準拠して、回転数1,800rpm、室温の条件で行った。最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど耐荷重性が良好である。
(3)耐摩耗性試験
ASTM D2783に準拠して、荷重392N、回転数1,200rpm、油温75℃、試験時間60分の条件で行った。1/2インチ球3個の摩耗痕径を平均して平均摩耗痕径を算出した。
(4)摩擦係数試験
ASTM D2714に準拠して、荷重1128Nで回転数を変化させて測定した。なお、各回転数に設定した5分後の摩擦係数を測定して摩擦係数とした。
製造例1 2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エタノール
【0029】
攪拌器のついたガラス製フラスコに2−エチルヘキシルグリシジルエーテル455.5g、エタノール500mL、28質量%アンモニア水49.5gを加え、室温で3時間攪拌した。一夜静置後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。原料の2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの残存が認められた。フラスコを50℃の水浴で加温し、28質量%アンモニア水を約2mL加え、加温、攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの残存が認められなくなるまで、アンモニア水の添加、加温、攪拌をくり返した。減圧下にエタノール、水を留去し、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エタノール417.5gを得た。製造例2 2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エチルボレート
ガラス製フラスコに製造例1で得られた2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エタノール403.4g、ホウ酸43.3g、トルエン1.5Lを加え、フラスコにディーン・スターク脱水器、その上部に還流冷却器を取り付け、4時間加熱、還流した。水の留出は37.3gであった。反応液を濾過し、減圧下にトルエンを留去して、2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エチルボレート434.1gを得た。
【0030】
実施例1〜8
製造例2で得られた2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エチルボレートを第1表に示すように配合して、潤滑油組成物を調製し、性能を評価した。結果を第3表に示す。
実施例9
製造例2で得られた2,2’,2’’−ニトリロトリ−1−(2−エチルヘキソキシメチル)エチルボレートを第2表に示すように配合して、潤滑油組成物を調製し、性能を評価した。結果を第3表に示す。
また、この組成物の動粘度は34.27mm2/s(40℃)、7.589mm2/s(100℃)であった。組成物の摩擦係数を測定し、結果を第4表に示す。
比較例1、2、参考例1
第1表に示すように配合して、潤滑油組成物を調製し、性能を評価した。結果を第3表に示す。
比較例3
市販のベルト式無段変速機用潤滑油を用いて摩擦係数を評価した。動粘度は37.81mm2/s(40℃)、7.192mm2/s(100℃)であった。結果を第4表に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(注)
*1:パラフィン系鉱油(150ニュートラル、イオウ分10ppm以下)
*2:製造例2で得られたボレート
*3:ポリブテニルコハク酸モノイミド(N分2.1質量%)
*4:カルシウムスルホネート(塩基価20mgKOH/g)
*5:アミン系
*6:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(C4〜C8の第1級アルキル型)
【0033】
【表2】
【0034】
(注)
*7:パラフィン系鉱油(100ニュートラル)
*8:ポリメタクリル酸エステル系
*9:ポリメタクリル酸エステル系
*10:フェノール系
*11:トリアゾール系
*2〜*6は第1表の脚注と同じである。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
上記実施例、比較例、及び参考例から明らかなように、本発明の添加剤を用いた潤滑油組成物は耐焼付き荷重、最大焼付き荷重が増加し、摩耗痕径が減少しており、耐焼付き性能、耐荷重性能及び耐摩耗性能が高いことが分かる(実施例1、2と比較例1を対比。実施例5、6と比較例2を対比)。また、本発明の添加剤に酸化防止剤を添加することで、耐荷重性能及び耐摩耗性能が更に向上している(実施例3、4と実施例1、2を対比)。更に、本発明の添加剤を市販極圧剤に添加することで耐焼付き性能を高めることができる(実施例7、8と参考例1を対比)。実施例9はベルト式無段変速機用途を想定した潤滑油組成物であり、優れた耐焼付き性能、耐荷重性能及び耐摩耗性能を示しており(実施例9)、市販ベルト式無段変速機油と比較して、摩擦係数が高いことから、変速機の動力の伝達能力が大きい(実施例9と比較例3を対比)。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐焼付き性能、耐荷重性能、耐摩耗性を有する上、ベルト式無段変速機の動力伝達性能を高めることができ、潤滑油用として、あるいは燃料油用として用いられる極圧添加剤、並びに該添加剤を含む潤滑油組成物及び燃料油組成物を提供することができる。
Claims (5)
- (A)潤滑油基油と、(B)請求項1記載の潤滑油用添加剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
- さらに、(C)酸化防止剤、清浄分散剤及び粘度指数向上剤の中から選ばれる少なくとも一種を含むものである請求項3記載の潤滑油組成物。
- (X)燃料油と、(Y)請求項2記載の燃料油用添加剤を含むことを特徴とする燃料油組成物。
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CN104789284A (zh) * | 2015-04-07 | 2015-07-22 | 深圳市广昌达石油添加剂有限公司 | 一种多功能低硫柴油抗磨剂及其应用 |
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2003
- 2003-06-02 JP JP2003156433A patent/JP2004359708A/ja active Pending
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