JP2004303452A - レバー式コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】慣性ロック手段を設けたことに起因して大型化するのを回避する。
【解決手段】軸部13の外周に係止部15を形成し、軸受孔23の内周に沿って径方向への弾性撓みを可能とされた撓みロック片28を設け、レバー20の回動の過程では、係止部15と撓みロック片28が周方向に当接してその係止力によりレバー20の回動が規制される。この状態から、嵌合抵抗を上回る回動力をレバー20に付与すると、撓みロック片28が弾性撓みしつつ係止部15から解離し、解離直後の慣性力によりレバー20の回動が正規の嵌合位置まで一気に進む。慣性ロック手段としての撓みロック片28の弾性撓み方向は、軸部13の径方向とされているので、軸部の軸線方向に弾性撓みするものに比べて、軸方向における小型化が可能である。
【選択図】 図3
【解決手段】軸部13の外周に係止部15を形成し、軸受孔23の内周に沿って径方向への弾性撓みを可能とされた撓みロック片28を設け、レバー20の回動の過程では、係止部15と撓みロック片28が周方向に当接してその係止力によりレバー20の回動が規制される。この状態から、嵌合抵抗を上回る回動力をレバー20に付与すると、撓みロック片28が弾性撓みしつつ係止部15から解離し、解離直後の慣性力によりレバー20の回動が正規の嵌合位置まで一気に進む。慣性ロック手段としての撓みロック片28の弾性撓み方向は、軸部13の径方向とされているので、軸部の軸線方向に弾性撓みするものに比べて、軸方向における小型化が可能である。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、慣性ロック手段を備えたレバー式コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
慣性ロック手段を備えたレバー式コネクタとして、特許文献1に開示されているものがある。このレバー式コネクタでは、雄ハウジングのフード部の側壁に撓みロック片を形成し、この撓みロック片にレバーを係止させることにより、レバーを初期位置にロックしておくようになっている。この状態から、雄ハウジングのフード部に雌ハウジングを浅く嵌合し、レバーのカム溝の入口に雌ハウジングのカムピンを進入させる。そして、両ハウジングの嵌合抵抗を上回る大きな回動操作力をレバーに付与すると、撓みロック片が弾性撓みしつつレバーから解離し、解離直後の慣性によってレバーの回動が一気に嵌合完了位置まで進み、レバーの回動に伴ってカム溝とカムピンとの係合によるカム作用により、雌雄両ハウジングが正規嵌合状態に至る。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−214653号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
撓みロック片の弾性撓みの方向が、フード部の外面側から内面側に向かう方向となっているので、フード部の内部には撓みロック片を撓ませるためのスペースを確保する必要がある。そのため、撓みロック片の撓み空間を確保する分だけ、コネクタ全体が大型化(幅広化)するという問題があった。
【0005】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、慣性ロック手段を設けたことに起因して大型化するのを回避することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、第1ハウジングに、軸部と軸受孔との嵌合によりレバーを回動可能に支持し、前記レバーの回動に伴うカム作用により第2ハウジングと前記第1ハウジングとを嵌合させるようにしたレバー式コネクタにおいて、前記軸部の外周と前記軸受孔の内周のうちいずれか一方に係止部を形成するとともに、他方に、前記係止部と対応し且つ径方向への弾性撓みを可能とされた撓みロック片を設け、前記レバーの回動の過程では、前記係止部と前記撓みロック片が周方向に当接してその係止力により前記レバーの回動が規制されるとともに、この規制状態から、前記両ハウジング間の嵌合抵抗を上回る回動力を前記レバーに付与することで、前記撓みロック片が弾性撓みしつつ前記係止部から解離し、解離直後の慣性力により前記レバーの回動が正規の嵌合位置まで一気に進む構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記係止部が前記軸部の外周から径方向に突出する突起状をなしており、前記突起状の係止部が、前記軸受孔の孔縁部に係止することで、前記軸部と前記軸受孔とが軸線方向に外れるのが規制される構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記レバーが嵌合完了位置に回動した状態において、弾性復帰した前記撓みロック片が前記係止部に係止することで、前記レバーの戻り方向への回動が規制される構成とした。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記撓みロック片が、前記軸部と同心の円弧状に延出する形態とされている構成とした。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明において、前記レバーの外面における前記軸部を包囲する領域には凹部が形成されており、この凹部内に前記係止部が収容されているとともに、前記凹部の内周に前記撓みロック片が設けられている構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
慣性ロック手段としての撓みロック片の弾性撓み方向は、軸部の径方向とされているので、軸部の軸線方向に弾性撓みするものに比べて、軸方向における小型化を図ることができる。
[請求項2の発明]
慣性ロック手段である係止部が、軸部と軸受孔との外れ規制手段を兼ねているので、慣性ロック手段とは別に外れ規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0010】
[請求項3の発明]
慣性ロック手段である撓みロック片と係止部は、レバーの戻りを規制する手段としても機能するので、慣性ロック手段とは別にレバーの戻り規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
[請求項4の発明]
撓みロック片を軸部の同心の円弧状、即ち周方向に延出させるようにしたので、軸線方向における撓みロック片の形成スペースを小さくできる。
【0011】
[請求項5の発明]
係止部も撓みロック片も、レバーの外面から外側方へ突出することがないので、異物の干渉から保護される。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図9を参照して説明する。
本実施形態のレバー式コネクタは、第1ハウジング10、レバー20、及び第2ハウジング40を備えて構成される。
第1ハウジング10は、合成樹脂製のハウジング本体11から前方(図1〜図4における右方)に突出する角筒状のフード部12を形成してなり、ハウジング本体11内には、前端に細長いタブを備える雄端子金具(図示せず)が収容され、フード部12内においてはタブが前方へ突出されている。即ち、第1ハウジング10は雄側ハウジングと称することができる。
【0013】
第1ハウジング10の左右両側面には、軸線を左右方向に向けた一対の軸部13が形成されている。軸部13は、円柱形の軸本体14と、この軸本体14の外周における突出端側の位置から径方向外向きに突出するように形成された前後一対の係止部15とからなる。この突起状の係止部15は、180°の角度間隔を空けて配置され、方形ブロック状をなしている。係止部15の外側面15aは、軸本体14の突出端面14aに対して面一に連なっており、係止部15の内側面15bと第1ハウジング10の外側面10aとの間には、所定の間隔が空けられている。この前後一対の係止部15は、共に、抜止め手段として機能する。
【0014】
一対の係止部15のうち前側(図1〜図7における右側)の係止部15は、慣性ロック手段及び戻り規制手段として機能する。この係止部15の周方向において互いに反対向きとなる互いに平行な上下2面のうち、レバー20の嵌合方向への回動方向とは反対の側に位置する面(図1〜図7における上側の面)は、慣性ロック手段として機能する突当面16とされ、これと反対側の面は戻り規制手段として機能する係止面17とされている。尚、これらの突当面16及び係止面17は、周方向に対して概ね直角な平坦面となっている。
【0015】
レバー20は、合成樹脂製であり、操作部21の左右両端から一対の板状をなすアーム部22を延出されたものであり、各アーム部22には、夫々、その内側面と外側面との間を貫通する円形の軸受孔23が形成されている。レバー20は、この軸受孔23を軸部13に対して径方向のガタ付きなく嵌合させることで、軸部13を中心として回動可能に支持されている。両アーム部22には、夫々、内側面を切欠した形態であって入口をアーム部22の外周縁に開口させたカム溝24が形成されている。レバー20は、カム溝24の入口を前方に開口させる初期位置(図1及び図2を参照)と、この初期位置から概ね60°回動させた慣性付与位置を経て、この慣性付与位置から更に概ね40°回動させた嵌合完了位置との間で回動するようになっている。
【0016】
アーム部22の外側面における軸受孔23を包囲する略円形の領域には、軸受孔23及び軸部13と略同心の円形をなす凹部25が形成されている。凹部25の深さは、アーム部22の板厚のほぼ半分の寸法である。また、軸受孔23の内周には、180°の角度間隔を空けた一対の切欠部26が形成されている。
レバー20を第1ハウジング10に組み付ける際には、操作部21を弾性的に湾曲変形させつつ両アーム部22を拡開させた状態で、軸受孔23を軸部13に対して同心状に整合させるとともに、各切欠部26を係止部15に整合させるように位置決めし、操作部21の弾性復元力により両アーム部22を狭めるように変位させると、軸受孔23と切欠部26に、夫々、軸部13と係止部15が嵌合される。これにより、レバー20が第1ハウジング10に対して回動可能に支持される。
【0017】
この切欠部26と係止部15が整合する組付け状態では、レバー20が初期位置にある。また、組付け状態では、一対の係止部15が切欠部26を通過して凹部25内に突出しており、軸線方向において、係止部15の外側面15aはアーム部22の外側面22aに対してほぼ面一となる高さとなる。つまり、係止部15は凹部25内に収容された状態となっている。また、アーム部22の内側面22bと第1ハウジング10の外側面10aとの間は僅かな隙間のみを空けて対向している。
【0018】
この組付け状態(レバー20が初期位置にある状態)からレバー20を回動させると、係止部15の内側面15bが、凹部25内における軸受孔23の孔縁部に対して外面側から係止し得るように僅かな隙間を空けて対向する状態となるため、軸部13に対して軸受孔23及びアーム部22が軸線方向に外れることが規制される。つまり、係止部15と軸受孔23の孔縁部が抜止め手段として機能する。尚、切欠部26は180°の間隔を空けているのに対し、レバー20の初期位置から嵌合完了位置までの回動角度は概ね100°であるため、レバー20が嵌合方向へ回動した後は係止部15が切欠部26と対応することはなく、係止部15による抜止め機能は、レバー20が初期位置から嵌合完了位置側への回動を開始した後は、常に機能する。
【0019】
凹部25の内周には、その一部分を更に拡径するように切欠した形態の略円弧状の撓み空間27が形成されている。この撓み空間27の周方向における一方の端部(レバー20の嵌合方向への回動方向とは反対側の端部)からは、軸部13と同心の略円弧状をなす撓みロック片28が、レバー20の嵌合方向への回動方向と同方向へ片持ち状に延出する形態で形成されている。この撓みロック片28は、径方向外側へ弾性撓みし得るようになっており、この弾性撓みを許容するために、撓みロック片28の外周面と撓み空間27の内周面との間には、撓みロック片28と係止部15との係止代よりも大きい径方向の間隔が確保されている。撓みロック片28の延出方向と直交する断面形状は方形とされ、この断面形状の軸方向の寸法は径方向の寸法よりも大きく設定されており、これにより、撓みロック片28の軸方向への弾性撓みが規制されている。
【0020】
また、撓みロック片28の延出端部内周には、径方向内側へ(軸部13の外周に向かって)突出する係止突起29が形成されている。この係止突起29は、上記した前側の係止部15と協動して慣性ロック手段及び戻り規制手段として機能する。この係止突起29の周方向において互いに反対向きとなる2面のうち、レバー20の嵌合方向への回動方向と同じ側に位置する面(図1及び図2においては概ね前側の面であり、図3においては概ね下側の面)は、慣性ロック手段として機能する突当面30とされ、これと反対側の面は戻り規制手段として機能する係止面31とされている。尚、撓みロック片28の延出端部の突端部32は、係止突起29よりも更にレバー20の嵌合方向への回動方向と同方向へ突出している。
【0021】
撓みロック片28、係止突起29、軸部13及び係止部15の径方向の寸法については、次のように設定されている。軸部13の中心(回動中心P)から撓みロック片28の内周までの距離は、回動中心Pから係止部15の外端面15cまでの距離よりも僅かに大きい。回動中心Pから係止突起29の内端面29aまでの距離は、軸本体14の外径よりも僅かに大きい。そして、回動中心Pから係止突起29の内端面29aまでの距離は、回動中心Pから係止部15の外端面15cまでの距離よりも十分に小さく、この寸法差が、突当面16,30同士の係止代及び係止面17,31同士の係止代となる。
【0022】
尚、軸線方向に見ると係止突起29は概ね台形をなしており、突当面30は、軸部13の突当面16に対して面接触可能な平坦面となっている。また、係止突起29の外側面29bは撓みロック片28の外側面28aに対して面一状に連なっており、撓みロック片28の外側面28aはアーム部22の外側面22aに対して面一状に連なっている。尚、撓みロック片28の内側面28bと凹部25の外側面25aとの間には、撓みロック片28が弾性撓みしたときにその撓みロック片28と凹部25の外側面25aとが軸方向に干渉するのを回避するための隙間が確保されている(図8を参照)。
【0023】
第2ハウジング40は、全体としてブロック状をなし、フード部12内に嵌入されるようになっている。第2ハウジング40内には、雄端子金具のタブが差し込まれる角形の嵌合部を有する雌端子金具(図示せず)が収容されており、この第2ハウジング40は雌側ハウジングと称することができる。第2ハウジング40の左右両外側面には、一対のカムフォロア41が突出形成されている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0024】
両ハウジングを嵌合する際には、まず、第1ハウジング10において、アーム部22の撓み保持片35をフード部12の保持溝19に係止させることで、レバー20を初期位置に保持しておく。この状態から第2ハウジング40をフード部12内に浅く嵌合させる。すると、図2に示すように、カムフォロア41がカム溝24の入口に進入するとともに、第2ハウジング40の解除部42が撓み保持片35を保持溝19から解離させてレバー20の回動規制を解除する。
【0025】
この状態からレバー20を嵌合方向(図1〜図7における時計周り方向)へ約60°回動させると、図3及び図6に示すように、係止突起29の突当面30が、係止部15の突当面16に対して周方向(レバー20の回動方向と同方向)に突き当たり、レバー20は慣性付与位置で止まる。この時点で、雄端子金具と雌端子金具は、接近しているものの、まだ接触はしていない。レバー20を回動する過程では、カム溝24とカムフォロア41との係合によりカム作用により、第2ハウジング40がフード部12内に引き込まれ、両ハウジング10,40の嵌合が進む。
【0026】
この慣性付与位置にあるレバー20に対し、端子金具同士の摩擦抵抗に起因するハウジング10,40間の嵌合抵抗を上回る回動力を付与すると、撓みロック片28が径方向外側へ弾性撓みして係止突起29が係止部15から解離し、解離のために付与された回動操作力が解放されることによって、レバー20には慣性力が付与され、その慣性力によってレバー20が一気に嵌合完了位置に到達するとともに、両ハウジング10,40も正規嵌合状態に至る(図4及び図7を参照)。慣性付与位置から正規嵌合位置側への回動が開始した直後に、雄端子金具と雌端子金具との接触が開始して嵌合抵抗が発生するが、慣性力はこの嵌合抵抗を上回るので、レバー20の回動操作と両ハウジング10,40の嵌合動作は支障なく確実に行われる。
【0027】
レバー20が嵌合完了位置に達して両ハウジング10,40が正規嵌合された状態では、係止突起29を係止部15から解離させるために弾性撓みしていた撓みロック片28が径方向内側へ弾性復帰し、図4及び図7に示すように、係止突起29の係止面31が係止部15の係止面17に対して周方向に係止する。この係止により、嵌合完了位置にあるレバー20が初期位置側へ戻ることが規制される。尚、レバー20が嵌合完了位置にある状態では、操作部21のロックアーム36が第2ハウジング40のロック部43に係止することによっても、レバー20の初期位置側への戻りが規制されている。
【0028】
上述のように本実施形態においては、慣性ロック手段としての撓みロック片28の弾性撓み方向は、軸部13の軸線方向ではなく、これと直交する径方向とされているので、軸部の軸線方向に弾性撓みするものに比べて、軸方向における小型化を図ることが可能となっている。
また、慣性ロック手段である係止部15は、軸部13と軸受孔23とが軸線方向に外れるのを規制する手段を兼ねているので、慣性ロック手段とは別に外れ規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0029】
また、慣性ロック手段である撓みロック片28と係止部15は、嵌合完了位置のレバー20が初期位置側へ戻るのを規制する手段としても機能するので、慣性ロック手段とは別にレバーの戻り規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
また、撓みロック片28が弾性撓みする際に撓みロック片28の撓みの支点における応力集中を回避するためには、撓みロック片28を長くして撓み量を小さく抑えることが必要であるが、本実施形態では、撓みロック片28を軸部13と同心の円弧状に、即ち周方向に延出させるようにしたので、撓みロック片を軸線方向に延出する形態とする場合に比べると、軸線方向における撓みロック片28の形成スペースを小さくすることができる。
【0030】
また、アーム部22の外面における軸部13及び軸受孔23を包囲する領域に凹部25を形成し、この凹部25内に係止部15を収容するとともに、撓みロック片28を凹部25の内周に沿った形態即ち凹部25内に収容された形態としたので、係止部15も撓みロック片28も、レバー20の外面から外側方へ突出することがなく、異物の干渉から保護される。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0031】
(1)上記実施形態では軸部を第1ハウジングに形成し、軸受孔をレバーに形成したが、本発明によれば、軸部をレバーに形成し(レバーの内面から軸部を突出させ)、軸受孔をハウジングに形成してもよい。
(2)上記実施形態ではレバーが取り付けられる第1ハウジングを雄側ハウジング(タブを備えた雄端子金具を収容するハウジング)としたが、本発明によれば、レバーを雌側ハウジングに支持してもよい。
【0032】
(3)上記実施形態では撓みロック片を軸受孔の内周に設け、係止部を軸部の外周に形成したが、本発明によれば、撓みロック片を軸部の外周に設け、係止部を軸受孔の内周に形成してもよい。
(4)上記実施形態では撓みロック片を片持ち支持形態としたが、本発明によれば、撓みロック片は両端支持形態としてもよい。
(5)上記実施形態では係止部を突起状とし、レバーの回動過程では撓みロック片が弾性撓みしつつ係止部を乗り越えるようにしたが、本発明によれば、係止部は段差状とし、嵌合過程で慣性力が発生した後は撓みロック片が弾性撓みしたままとなるようにしてもよい。
【0033】
(6)上記実施形態では撓みロック片に径方向に突出する係止部を形成したが、本発明によれば、このように係止部を突起状とせず、慣性力を発生させる時に、撓みロック片の周方向先端が係止部に突き当たるようにしてもよい。
(7)上記実施形態では撓みロック片が軸部と同心の円弧状に延出する形態としたが、本発明によれば、撓みロック片が軸方向に延出するとともに径方向へ弾性撓みし得る形態としてもよい。
【0034】
(8)上記実施形態ではカム溝の入口にカムフォロアが進入する初期位置からレバーの回動が進んだときに撓みロック片と係止部とが当接するようにしたが、本発明によれば、レバーが初期位置にある状態で撓みロック片と係止部とが当接するようにしてもよい。
(9)上記実施形態では慣性ロック手段である係止部が、軸部と軸受孔との外れ規制手段を兼ねるようにしたが、本発明によれば、慣性ロック手段とは別に外れ規制手段を設けてもよい。
【0035】
(10)上記実施形態では慣性ロック手段である撓みロック片と係止部が、嵌合完了位置にあるレバーの戻りを規制する手段としても機能するようにしたが、本発明によれば、慣性ロック手段とは別にレバーの戻りを規制する手段を設けてもよい。
(11)上記実施形態ではレバーが初期位置から慣性付与位置まで概ね60°回動し、慣性付与位置から嵌合完了位置まで更に概ね40°回動するようにしたが、本発明によれば、これらの回動角度は、任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1において両ハウジングを離脱させた状態をあらわす側面図
【図2】両ハウジングが浅く嵌合してカム溝の入口にカムフォロアが進入した状態をあらわす側面図
【図3】レバーがロック用撓み片が係止部に当接する慣性付与位置まで進んだ状態をあらわす側面図
【図4】両ハウジングが正規嵌合した状態をあらわす側面図
【図5】図2における撓みロック片と係止部との位置関係をあらわす部分拡大図
【図6】図3における撓みロック片と係止部との位置関係をあらわす部分拡大図
【図7】図4における撓みロック片と係止部との位置関係をあらわす部分拡大図
【図8】図6のA−A断面図
【図9】図6のB−B断面図
【符号の説明】
10…第1ハウジング
13…軸部
15…係止部
20…レバー
23…軸受孔
25…凹部
28…撓みロック片
40…第2ハウジング
【発明の属する技術分野】
本発明は、慣性ロック手段を備えたレバー式コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
慣性ロック手段を備えたレバー式コネクタとして、特許文献1に開示されているものがある。このレバー式コネクタでは、雄ハウジングのフード部の側壁に撓みロック片を形成し、この撓みロック片にレバーを係止させることにより、レバーを初期位置にロックしておくようになっている。この状態から、雄ハウジングのフード部に雌ハウジングを浅く嵌合し、レバーのカム溝の入口に雌ハウジングのカムピンを進入させる。そして、両ハウジングの嵌合抵抗を上回る大きな回動操作力をレバーに付与すると、撓みロック片が弾性撓みしつつレバーから解離し、解離直後の慣性によってレバーの回動が一気に嵌合完了位置まで進み、レバーの回動に伴ってカム溝とカムピンとの係合によるカム作用により、雌雄両ハウジングが正規嵌合状態に至る。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−214653号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
撓みロック片の弾性撓みの方向が、フード部の外面側から内面側に向かう方向となっているので、フード部の内部には撓みロック片を撓ませるためのスペースを確保する必要がある。そのため、撓みロック片の撓み空間を確保する分だけ、コネクタ全体が大型化(幅広化)するという問題があった。
【0005】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、慣性ロック手段を設けたことに起因して大型化するのを回避することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、第1ハウジングに、軸部と軸受孔との嵌合によりレバーを回動可能に支持し、前記レバーの回動に伴うカム作用により第2ハウジングと前記第1ハウジングとを嵌合させるようにしたレバー式コネクタにおいて、前記軸部の外周と前記軸受孔の内周のうちいずれか一方に係止部を形成するとともに、他方に、前記係止部と対応し且つ径方向への弾性撓みを可能とされた撓みロック片を設け、前記レバーの回動の過程では、前記係止部と前記撓みロック片が周方向に当接してその係止力により前記レバーの回動が規制されるとともに、この規制状態から、前記両ハウジング間の嵌合抵抗を上回る回動力を前記レバーに付与することで、前記撓みロック片が弾性撓みしつつ前記係止部から解離し、解離直後の慣性力により前記レバーの回動が正規の嵌合位置まで一気に進む構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記係止部が前記軸部の外周から径方向に突出する突起状をなしており、前記突起状の係止部が、前記軸受孔の孔縁部に係止することで、前記軸部と前記軸受孔とが軸線方向に外れるのが規制される構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記レバーが嵌合完了位置に回動した状態において、弾性復帰した前記撓みロック片が前記係止部に係止することで、前記レバーの戻り方向への回動が規制される構成とした。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記撓みロック片が、前記軸部と同心の円弧状に延出する形態とされている構成とした。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明において、前記レバーの外面における前記軸部を包囲する領域には凹部が形成されており、この凹部内に前記係止部が収容されているとともに、前記凹部の内周に前記撓みロック片が設けられている構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
慣性ロック手段としての撓みロック片の弾性撓み方向は、軸部の径方向とされているので、軸部の軸線方向に弾性撓みするものに比べて、軸方向における小型化を図ることができる。
[請求項2の発明]
慣性ロック手段である係止部が、軸部と軸受孔との外れ規制手段を兼ねているので、慣性ロック手段とは別に外れ規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0010】
[請求項3の発明]
慣性ロック手段である撓みロック片と係止部は、レバーの戻りを規制する手段としても機能するので、慣性ロック手段とは別にレバーの戻り規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
[請求項4の発明]
撓みロック片を軸部の同心の円弧状、即ち周方向に延出させるようにしたので、軸線方向における撓みロック片の形成スペースを小さくできる。
【0011】
[請求項5の発明]
係止部も撓みロック片も、レバーの外面から外側方へ突出することがないので、異物の干渉から保護される。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図9を参照して説明する。
本実施形態のレバー式コネクタは、第1ハウジング10、レバー20、及び第2ハウジング40を備えて構成される。
第1ハウジング10は、合成樹脂製のハウジング本体11から前方(図1〜図4における右方)に突出する角筒状のフード部12を形成してなり、ハウジング本体11内には、前端に細長いタブを備える雄端子金具(図示せず)が収容され、フード部12内においてはタブが前方へ突出されている。即ち、第1ハウジング10は雄側ハウジングと称することができる。
【0013】
第1ハウジング10の左右両側面には、軸線を左右方向に向けた一対の軸部13が形成されている。軸部13は、円柱形の軸本体14と、この軸本体14の外周における突出端側の位置から径方向外向きに突出するように形成された前後一対の係止部15とからなる。この突起状の係止部15は、180°の角度間隔を空けて配置され、方形ブロック状をなしている。係止部15の外側面15aは、軸本体14の突出端面14aに対して面一に連なっており、係止部15の内側面15bと第1ハウジング10の外側面10aとの間には、所定の間隔が空けられている。この前後一対の係止部15は、共に、抜止め手段として機能する。
【0014】
一対の係止部15のうち前側(図1〜図7における右側)の係止部15は、慣性ロック手段及び戻り規制手段として機能する。この係止部15の周方向において互いに反対向きとなる互いに平行な上下2面のうち、レバー20の嵌合方向への回動方向とは反対の側に位置する面(図1〜図7における上側の面)は、慣性ロック手段として機能する突当面16とされ、これと反対側の面は戻り規制手段として機能する係止面17とされている。尚、これらの突当面16及び係止面17は、周方向に対して概ね直角な平坦面となっている。
【0015】
レバー20は、合成樹脂製であり、操作部21の左右両端から一対の板状をなすアーム部22を延出されたものであり、各アーム部22には、夫々、その内側面と外側面との間を貫通する円形の軸受孔23が形成されている。レバー20は、この軸受孔23を軸部13に対して径方向のガタ付きなく嵌合させることで、軸部13を中心として回動可能に支持されている。両アーム部22には、夫々、内側面を切欠した形態であって入口をアーム部22の外周縁に開口させたカム溝24が形成されている。レバー20は、カム溝24の入口を前方に開口させる初期位置(図1及び図2を参照)と、この初期位置から概ね60°回動させた慣性付与位置を経て、この慣性付与位置から更に概ね40°回動させた嵌合完了位置との間で回動するようになっている。
【0016】
アーム部22の外側面における軸受孔23を包囲する略円形の領域には、軸受孔23及び軸部13と略同心の円形をなす凹部25が形成されている。凹部25の深さは、アーム部22の板厚のほぼ半分の寸法である。また、軸受孔23の内周には、180°の角度間隔を空けた一対の切欠部26が形成されている。
レバー20を第1ハウジング10に組み付ける際には、操作部21を弾性的に湾曲変形させつつ両アーム部22を拡開させた状態で、軸受孔23を軸部13に対して同心状に整合させるとともに、各切欠部26を係止部15に整合させるように位置決めし、操作部21の弾性復元力により両アーム部22を狭めるように変位させると、軸受孔23と切欠部26に、夫々、軸部13と係止部15が嵌合される。これにより、レバー20が第1ハウジング10に対して回動可能に支持される。
【0017】
この切欠部26と係止部15が整合する組付け状態では、レバー20が初期位置にある。また、組付け状態では、一対の係止部15が切欠部26を通過して凹部25内に突出しており、軸線方向において、係止部15の外側面15aはアーム部22の外側面22aに対してほぼ面一となる高さとなる。つまり、係止部15は凹部25内に収容された状態となっている。また、アーム部22の内側面22bと第1ハウジング10の外側面10aとの間は僅かな隙間のみを空けて対向している。
【0018】
この組付け状態(レバー20が初期位置にある状態)からレバー20を回動させると、係止部15の内側面15bが、凹部25内における軸受孔23の孔縁部に対して外面側から係止し得るように僅かな隙間を空けて対向する状態となるため、軸部13に対して軸受孔23及びアーム部22が軸線方向に外れることが規制される。つまり、係止部15と軸受孔23の孔縁部が抜止め手段として機能する。尚、切欠部26は180°の間隔を空けているのに対し、レバー20の初期位置から嵌合完了位置までの回動角度は概ね100°であるため、レバー20が嵌合方向へ回動した後は係止部15が切欠部26と対応することはなく、係止部15による抜止め機能は、レバー20が初期位置から嵌合完了位置側への回動を開始した後は、常に機能する。
【0019】
凹部25の内周には、その一部分を更に拡径するように切欠した形態の略円弧状の撓み空間27が形成されている。この撓み空間27の周方向における一方の端部(レバー20の嵌合方向への回動方向とは反対側の端部)からは、軸部13と同心の略円弧状をなす撓みロック片28が、レバー20の嵌合方向への回動方向と同方向へ片持ち状に延出する形態で形成されている。この撓みロック片28は、径方向外側へ弾性撓みし得るようになっており、この弾性撓みを許容するために、撓みロック片28の外周面と撓み空間27の内周面との間には、撓みロック片28と係止部15との係止代よりも大きい径方向の間隔が確保されている。撓みロック片28の延出方向と直交する断面形状は方形とされ、この断面形状の軸方向の寸法は径方向の寸法よりも大きく設定されており、これにより、撓みロック片28の軸方向への弾性撓みが規制されている。
【0020】
また、撓みロック片28の延出端部内周には、径方向内側へ(軸部13の外周に向かって)突出する係止突起29が形成されている。この係止突起29は、上記した前側の係止部15と協動して慣性ロック手段及び戻り規制手段として機能する。この係止突起29の周方向において互いに反対向きとなる2面のうち、レバー20の嵌合方向への回動方向と同じ側に位置する面(図1及び図2においては概ね前側の面であり、図3においては概ね下側の面)は、慣性ロック手段として機能する突当面30とされ、これと反対側の面は戻り規制手段として機能する係止面31とされている。尚、撓みロック片28の延出端部の突端部32は、係止突起29よりも更にレバー20の嵌合方向への回動方向と同方向へ突出している。
【0021】
撓みロック片28、係止突起29、軸部13及び係止部15の径方向の寸法については、次のように設定されている。軸部13の中心(回動中心P)から撓みロック片28の内周までの距離は、回動中心Pから係止部15の外端面15cまでの距離よりも僅かに大きい。回動中心Pから係止突起29の内端面29aまでの距離は、軸本体14の外径よりも僅かに大きい。そして、回動中心Pから係止突起29の内端面29aまでの距離は、回動中心Pから係止部15の外端面15cまでの距離よりも十分に小さく、この寸法差が、突当面16,30同士の係止代及び係止面17,31同士の係止代となる。
【0022】
尚、軸線方向に見ると係止突起29は概ね台形をなしており、突当面30は、軸部13の突当面16に対して面接触可能な平坦面となっている。また、係止突起29の外側面29bは撓みロック片28の外側面28aに対して面一状に連なっており、撓みロック片28の外側面28aはアーム部22の外側面22aに対して面一状に連なっている。尚、撓みロック片28の内側面28bと凹部25の外側面25aとの間には、撓みロック片28が弾性撓みしたときにその撓みロック片28と凹部25の外側面25aとが軸方向に干渉するのを回避するための隙間が確保されている(図8を参照)。
【0023】
第2ハウジング40は、全体としてブロック状をなし、フード部12内に嵌入されるようになっている。第2ハウジング40内には、雄端子金具のタブが差し込まれる角形の嵌合部を有する雌端子金具(図示せず)が収容されており、この第2ハウジング40は雌側ハウジングと称することができる。第2ハウジング40の左右両外側面には、一対のカムフォロア41が突出形成されている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0024】
両ハウジングを嵌合する際には、まず、第1ハウジング10において、アーム部22の撓み保持片35をフード部12の保持溝19に係止させることで、レバー20を初期位置に保持しておく。この状態から第2ハウジング40をフード部12内に浅く嵌合させる。すると、図2に示すように、カムフォロア41がカム溝24の入口に進入するとともに、第2ハウジング40の解除部42が撓み保持片35を保持溝19から解離させてレバー20の回動規制を解除する。
【0025】
この状態からレバー20を嵌合方向(図1〜図7における時計周り方向)へ約60°回動させると、図3及び図6に示すように、係止突起29の突当面30が、係止部15の突当面16に対して周方向(レバー20の回動方向と同方向)に突き当たり、レバー20は慣性付与位置で止まる。この時点で、雄端子金具と雌端子金具は、接近しているものの、まだ接触はしていない。レバー20を回動する過程では、カム溝24とカムフォロア41との係合によりカム作用により、第2ハウジング40がフード部12内に引き込まれ、両ハウジング10,40の嵌合が進む。
【0026】
この慣性付与位置にあるレバー20に対し、端子金具同士の摩擦抵抗に起因するハウジング10,40間の嵌合抵抗を上回る回動力を付与すると、撓みロック片28が径方向外側へ弾性撓みして係止突起29が係止部15から解離し、解離のために付与された回動操作力が解放されることによって、レバー20には慣性力が付与され、その慣性力によってレバー20が一気に嵌合完了位置に到達するとともに、両ハウジング10,40も正規嵌合状態に至る(図4及び図7を参照)。慣性付与位置から正規嵌合位置側への回動が開始した直後に、雄端子金具と雌端子金具との接触が開始して嵌合抵抗が発生するが、慣性力はこの嵌合抵抗を上回るので、レバー20の回動操作と両ハウジング10,40の嵌合動作は支障なく確実に行われる。
【0027】
レバー20が嵌合完了位置に達して両ハウジング10,40が正規嵌合された状態では、係止突起29を係止部15から解離させるために弾性撓みしていた撓みロック片28が径方向内側へ弾性復帰し、図4及び図7に示すように、係止突起29の係止面31が係止部15の係止面17に対して周方向に係止する。この係止により、嵌合完了位置にあるレバー20が初期位置側へ戻ることが規制される。尚、レバー20が嵌合完了位置にある状態では、操作部21のロックアーム36が第2ハウジング40のロック部43に係止することによっても、レバー20の初期位置側への戻りが規制されている。
【0028】
上述のように本実施形態においては、慣性ロック手段としての撓みロック片28の弾性撓み方向は、軸部13の軸線方向ではなく、これと直交する径方向とされているので、軸部の軸線方向に弾性撓みするものに比べて、軸方向における小型化を図ることが可能となっている。
また、慣性ロック手段である係止部15は、軸部13と軸受孔23とが軸線方向に外れるのを規制する手段を兼ねているので、慣性ロック手段とは別に外れ規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0029】
また、慣性ロック手段である撓みロック片28と係止部15は、嵌合完了位置のレバー20が初期位置側へ戻るのを規制する手段としても機能するので、慣性ロック手段とは別にレバーの戻り規制手段を設けるものに比べて、構造の簡素化を図ることができる。
また、撓みロック片28が弾性撓みする際に撓みロック片28の撓みの支点における応力集中を回避するためには、撓みロック片28を長くして撓み量を小さく抑えることが必要であるが、本実施形態では、撓みロック片28を軸部13と同心の円弧状に、即ち周方向に延出させるようにしたので、撓みロック片を軸線方向に延出する形態とする場合に比べると、軸線方向における撓みロック片28の形成スペースを小さくすることができる。
【0030】
また、アーム部22の外面における軸部13及び軸受孔23を包囲する領域に凹部25を形成し、この凹部25内に係止部15を収容するとともに、撓みロック片28を凹部25の内周に沿った形態即ち凹部25内に収容された形態としたので、係止部15も撓みロック片28も、レバー20の外面から外側方へ突出することがなく、異物の干渉から保護される。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0031】
(1)上記実施形態では軸部を第1ハウジングに形成し、軸受孔をレバーに形成したが、本発明によれば、軸部をレバーに形成し(レバーの内面から軸部を突出させ)、軸受孔をハウジングに形成してもよい。
(2)上記実施形態ではレバーが取り付けられる第1ハウジングを雄側ハウジング(タブを備えた雄端子金具を収容するハウジング)としたが、本発明によれば、レバーを雌側ハウジングに支持してもよい。
【0032】
(3)上記実施形態では撓みロック片を軸受孔の内周に設け、係止部を軸部の外周に形成したが、本発明によれば、撓みロック片を軸部の外周に設け、係止部を軸受孔の内周に形成してもよい。
(4)上記実施形態では撓みロック片を片持ち支持形態としたが、本発明によれば、撓みロック片は両端支持形態としてもよい。
(5)上記実施形態では係止部を突起状とし、レバーの回動過程では撓みロック片が弾性撓みしつつ係止部を乗り越えるようにしたが、本発明によれば、係止部は段差状とし、嵌合過程で慣性力が発生した後は撓みロック片が弾性撓みしたままとなるようにしてもよい。
【0033】
(6)上記実施形態では撓みロック片に径方向に突出する係止部を形成したが、本発明によれば、このように係止部を突起状とせず、慣性力を発生させる時に、撓みロック片の周方向先端が係止部に突き当たるようにしてもよい。
(7)上記実施形態では撓みロック片が軸部と同心の円弧状に延出する形態としたが、本発明によれば、撓みロック片が軸方向に延出するとともに径方向へ弾性撓みし得る形態としてもよい。
【0034】
(8)上記実施形態ではカム溝の入口にカムフォロアが進入する初期位置からレバーの回動が進んだときに撓みロック片と係止部とが当接するようにしたが、本発明によれば、レバーが初期位置にある状態で撓みロック片と係止部とが当接するようにしてもよい。
(9)上記実施形態では慣性ロック手段である係止部が、軸部と軸受孔との外れ規制手段を兼ねるようにしたが、本発明によれば、慣性ロック手段とは別に外れ規制手段を設けてもよい。
【0035】
(10)上記実施形態では慣性ロック手段である撓みロック片と係止部が、嵌合完了位置にあるレバーの戻りを規制する手段としても機能するようにしたが、本発明によれば、慣性ロック手段とは別にレバーの戻りを規制する手段を設けてもよい。
(11)上記実施形態ではレバーが初期位置から慣性付与位置まで概ね60°回動し、慣性付与位置から嵌合完了位置まで更に概ね40°回動するようにしたが、本発明によれば、これらの回動角度は、任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1において両ハウジングを離脱させた状態をあらわす側面図
【図2】両ハウジングが浅く嵌合してカム溝の入口にカムフォロアが進入した状態をあらわす側面図
【図3】レバーがロック用撓み片が係止部に当接する慣性付与位置まで進んだ状態をあらわす側面図
【図4】両ハウジングが正規嵌合した状態をあらわす側面図
【図5】図2における撓みロック片と係止部との位置関係をあらわす部分拡大図
【図6】図3における撓みロック片と係止部との位置関係をあらわす部分拡大図
【図7】図4における撓みロック片と係止部との位置関係をあらわす部分拡大図
【図8】図6のA−A断面図
【図9】図6のB−B断面図
【符号の説明】
10…第1ハウジング
13…軸部
15…係止部
20…レバー
23…軸受孔
25…凹部
28…撓みロック片
40…第2ハウジング
Claims (5)
- 第1ハウジングに、軸部と軸受孔との嵌合によりレバーを回動可能に支持し、
前記レバーの回動に伴うカム作用により第2ハウジングと前記第1ハウジングとを嵌合させるようにしたレバー式コネクタにおいて、
前記軸部の外周と前記軸受孔の内周のうちいずれか一方に係止部を形成するとともに、他方に、前記係止部と対応し且つ径方向への弾性撓みを可能とされた撓みロック片を設け、
前記レバーの回動の過程では、前記係止部と前記撓みロック片が周方向に当接してその係止力により前記レバーの回動が規制されるとともに、
この規制状態から、前記両ハウジング間の嵌合抵抗を上回る回動力を前記レバーに付与することで、前記撓みロック片が弾性撓みしつつ前記係止部から解離し、解離直後の慣性力により前記レバーの回動が正規の嵌合位置まで一気に進む構成したことを特徴とするレバー式コネクタ。 - 前記係止部が前記軸部の外周から径方向に突出する突起状をなしており、前記突起状の係止部が、前記軸受孔の孔縁部に係止することで、前記軸部と前記軸受孔とが軸線方向に外れるのが規制される構成としたことを特徴とする請求項1記載のレバー式コネクタ。
- 前記レバーが嵌合完了位置に回動した状態において、弾性復帰した前記撓みロック片が前記係止部に係止することで、前記レバーの戻り方向への回動が規制される構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレバー式コネクタ。
- 前記撓みロック片が、前記軸部と同心の円弧状に延出する形態とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレバー式コネクタ。
- 前記レバーの外面における前記軸部を包囲する領域には凹部が形成されており、この凹部内に前記係止部が収容されているとともに、前記凹部の内周に前記撓みロック片が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレバー式コネクタ。
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