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JP2004290279A - 生体器官拡張用器具、自己拡張型ステントおよびその製造方法 - Google Patents

生体器官拡張用器具、自己拡張型ステントおよびその製造方法 Download PDF

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JP2004290279A
JP2004290279A JP2003083830A JP2003083830A JP2004290279A JP 2004290279 A JP2004290279 A JP 2004290279A JP 2003083830 A JP2003083830 A JP 2003083830A JP 2003083830 A JP2003083830 A JP 2003083830A JP 2004290279 A JP2004290279 A JP 2004290279A
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Yosuke Moriuchi
陽助 森内
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Terumo Corp
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Abstract

【課題】拡張器具のシースよりステントを吐出させる際に、カバーがシースとの接触に起因する損傷を受けることがない生体器官拡張用器具を提供する。
【解決手段】本発明の生体器官拡張用器具1は、シース2と、シース2の先端部内に収納されたステント3と、シース2内を摺動可能に挿通し、ステント3をシース2の先端より押し出すための内管4とを備える。ステント3は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31と、ステント基体31の内面側に設けられた筒状カバー32とを備え、さらに、ステント3は、筒状カバー32がシース2に実質的に接触しない状態にてシース2内に収納されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道、消化管その他の臓器などの生体内に形成された狭窄部または閉塞部の改善に使用されるステント、ステントを留置するための生体器官拡張用器具及びステントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血管、胆管、食道、気管、尿道、消化管その他の臓器などの生体管腔または体腔の狭窄部あるいは閉塞部の改善にステントが用いられている。
ステントとしては、機能および留置方法によって、バルーンエキスパンダブルステントとセルフエキスパンダブルステントとがある。
バルーンエキスパンダブルステントは、ステント自身に拡張機能はなく、ステントを目的部位に留置するには、例えばステントを目的部位まで挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的部位の内面に密着させて固定する。このタイプのステントは上記のようなステントの拡張作業が必要である。
これに対して、セルフエキスパンダブルステント(自己拡張型ステント)は、ステント自身が収縮および拡張機能を有している。このステントを目的部位に留置するためには、収縮させた状態にて目的部位に挿入した後、収縮状態の維持のために負荷した応力を除去する。例えば、目的部位の内径より小さい外径のシース内にステントを収縮させて収納し、このシースの先端を目的部位に到達させた後、ステントをシースより押し出す。押し出されたステントは、シースより解放されることにより応力負荷が解除され、収縮前の形状に復元し拡張する。これにより、目的部位の内面に密着し固定する。このタイプのステントは、ステント自身が拡張力を有しているので、バルーンエキスパンダブルステントのような拡張作業は必要なく、血管の圧力等によって径が小さくなり目的の血管内腔を確保できないといった問題もない。
これら2つのステントは、それぞれ長所と短所を有しており、臨床的にはケースバイケースで使い分けがされている。
【0003】
本発明は、自己拡張型ステントに関するものであり、このタイプのステントでは、一般に金属製の円筒形状であり、全体が金網形状に作製されていることが多いため、ステントを狭窄部内に留置したとき、金網の隙間を通過して体内組織がステント内に侵入しやすい。このため、ステントにカバーを取り付け、生体組織のステント内への侵入を防止するカバードステントが開発され使用されている。
しかしながら、このようなカバードステントは、ステントを中心軸方向に圧縮すると、カバーがステント側面から露出することがある。このため、ステントをシース内に収納する際カバーの一部がステント外面とシース内面との間に挟まることがあり、この状態でステントをシースから押し出そうとすると、カバーがステントとシース間で擦れて傷がつくおそれがある。
【0004】
従来の発明として、特開平7−529号公報(特許文献1)には、不連続な壁部を有するステント及びステントにカバー層を取り付ける方法についての開示がある。また、特開平7−24072号公報(特許文献2)には、四弗化エチレンでカバーされたステントの記載があり、実施例、比較例で圧縮挿入性評価を行っており、挿入即ち収納時のカバーの変形の評価についての開示がある。また、特開平10−43315号公報(特許文献3)、特開平11−42284号公報(特許文献4)、特開2000−217928号公報(特許文献5)にもカバードステントに関する発明が開示されている。
しかし、上記のいずれの特許文献にも、ステントをシース内に収納する際カバーの一部がステント外面とシース内面との間に挟まることによるカバーの損傷に対する認識はない。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−529号公報
【特許文献2】
特開平7−24072号公報
【特許文献3】
特開平10−43315号公報
【特許文献4】
特開平11−42284号公報
【特許文献5】
特開2000−217928号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、カバーを有する自己拡張型ステントを備える生体器官拡張用器具であって、拡張器具のシースよりステントを吐出させる際にカバーに損傷を与えることがない生体器官拡張用器具および生体器官拡張用器具のシース内に収納されたときに、ステントとシース間にカバーが挟まることが少ないカバーを有する自己拡張型ステントおよびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) シースと、該シースの先端部内に収納されたステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張用器具であって、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の内面側に設けられた筒状カバーとを備え、さらに、該ステントは、前記筒状カバーが前記シースに実質的に接触しない状態にて前記シース内に収納されている生体器官拡張用器具。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(2) シースと、該シースの先端部内に収納されたステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張用器具であって、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能であるとともに、側面に開口部を有するステント基体と、該ステント基体の前記開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバーとを備え、さらに、該ステントは、前記カバーの前記ステント基体の前記開口部を封鎖する部分が前記シースに実質的に接触しない状態にて前記シース内に収納されている生体器官拡張用器具。
【0009】
(3) 前記カバーは、可撓性材料もしくは弾性材料により形成されている上記(1)または(2)に記載の生体器官拡張用器具。
(4) 前記ステント基体は、超弾性金属により形成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体器官拡張用器具。
【0010】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(5) 略円筒形状に形成され、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、該負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の内面側に設けられた筒状カバーとを備え、さらに、該筒状カバーは、前記ステントの中心軸方向への負荷時に、該ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされている自己拡張型ステント。
【0011】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(6) 略円筒形状に形成され、かつ側面に開口部を備え、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、該負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の前記開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバーとを備え、さらに、前記カバーの前記ステント基体の前記開口部を封鎖する部分が前記ステントの中心軸方向への負荷時に、該ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされている自己拡張型ステント。
(7) 前記ステント基体は、超弾性金属により形成されている上記(5)または(6)に記載の自己拡張型ステント。
(8) 前記カバーは、可撓性材料もしくは弾性材料により形成されている上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の自己拡張型ステント。
【0012】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) 略円筒状に形成され、中心軸方向に対して負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体の形成工程と、該ステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にカバーを設けるカバー形成工程と、該カバーを備えるステント基体を不完全圧縮した状態で外面から気体を吹き付け、前記ステント基体の圧縮時に前記カバーが前記ステントの内側に折り畳まれるように形状付けるカバー形状付け工程とを備える自己拡張型ステントの製造方法。
(10) 前記ステント基体は、超弾性金属により作製するものである上記(9)に記載の自己拡張型ステントの製造方法。
(11) 前記形状付け工程は、前記ステント基体を形成する超弾性金属が実質的に超弾性を喪失する温度にて行うものである上記(10)に記載の自己拡張型ステントの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の生体器官拡張用器具および自己拡張型ステントを図面に示した実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例である生体器官拡張用器具の部分省略正面図であり、図2は、図1に示した生体器官拡張用器具の先端部付近の拡大縦断面図であり、図3は、図1に示した生体器官拡張用器具の先端部付近の横断面図を説明するための説明図であり、図4は、図1に示した生体器官拡張用器具の基端部付近の部分省略拡大断面図であり、図5は、本発明の実施例である生体器官拡張用器具の作用を説明するための説明図であり、図6は、本発明の実施例である生体器官拡張用器具に使用する自己拡張型ステントの斜視図であり、図7は、図6に示す自己拡張型ステントを構成するステント基体の展開図である。
【0014】
本発明の生体器官拡張用器具1は、シース2と、シース2の先端部内に収納されたステント3と、シース2内を摺動可能に挿通し、ステント3をシース2の先端より押し出すための内管4とを備える。ステント3は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31と、ステント基体31の内面側に設けられた筒状カバー32とを備え、さらに、ステント3は、筒状カバー32がシース2に実質的に接触しない状態にてシース2内に収納されている。
本発明の生体器官拡張用器具1は、シース2と、シース2の先端部内に収納されたステント3と、シース2内を摺動可能に挿通し、ステント3をシース2の先端より押し出すための内管4とを備える。ステント3は、円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能であるとともに、側面に開口部を有するステント基体31と、ステント基体31の開口部をステント基体31の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバー32とを備え、さらに、ステント3は、カバー32のステント基体31の開口部を封鎖する部分がシース2に実質的に接触しない状態にてシース2内に収納されているものでもある。
【0015】
この実施例の生体器官拡張用器具1は、図1に示すように、シース2、自己拡張型ステント3、内管4を備えている。
シース2は、図1、図2および図4に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント3を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント3の放出口として機能する。ステント3は、この先端開口より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シース2の先端部は、ステント3を内部に収納するステント収納部位22となっている。また、シース2は、収納部位22より基端側に設けられた側孔21を備えている。側孔21は、ガイドワイヤーを外部に導出するためのものである。
シース2の外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、シース2の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。シース2の長さは、300〜2500mm、特に、300〜2000mm程度が好ましい。
【0016】
シース2の形成材料としては、シースに求められる物性(柔軟性、硬度、強度、滑り性、耐キンク性、伸縮性)を考慮して、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、PTFE、ETFE等のフッ素系ポリマー、さらには、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ナイロン系(例えば、ポリアミドエラストマー)、ウレタン系(例えば、ポリウレタンエラストマー)、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレートエラストマー)、オレフィン系(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)の中から適宜選択される。
さらに、シース2の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、シース2の内面に、ステント3及び内管4との摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
【0017】
また、シース2の基端部には、図1および図4に示すように、シースハブ6が固定されている。シースハブ6は、図4に示すように、シースハブ本体61と、シースハブ本体61内に収納され、内管4を摺動可能、かつ液密に保持する弁体62を備えている。また、シースハブ6は、シースハブ本体61の中央付近より斜め後方に分岐するサイドポート63を備えている。
さらに、シースハブ6は、内管4の移動を規制する内管ロック機構を備えている。この実施例では、ロック機構は、圧縮により内管4の基端部を液密状態に挟持する弁体62と弁体62を圧縮する操作部材64およびシースハブ本体61により構成されている。このロック機構を備えることにより、内管4はシース2に対して任意の位置で固定可能である。弁体62は、シースハブ本体61の基端部に設けられた弁体収納用凹部内に設置されており、弁体62の内部には内管用ルーメンの一部を形成する内管挿通用通路が形成されている。また、弁体収納用凹部の内径は、弁体62の外径より若干大きく作製されており、弁体62が操作部材64により圧縮された際の弁体の半径方向への拡径を可能にしている。弁体62の内部形状(言い換えれば、内管挿通用通路形状)は、軸方向に2つの略球形状が一部重なり合った形状に作製されており、両端と中央部が縮径したものとなっている。
【0018】
操作部材64は、中央部に先端側に突出した筒状の弁体押圧部64aと、この弁体押圧部64aを被包するように形成され、かつ、シースハブ本体61の後端外面に形成された螺合部61aと螺合可能な螺合部64bを備える内筒部64cと、内筒部64cを被包するように形成された筒状の把持部64dを備えている。把持部64dは、操作部材64を回転させる際に把持するための部位である。また、弁体押圧部64aの内部、具体的には、弁体押圧部64aの内部には、内管用ルーメンの一部を形成する内部通路が形成されている。また、弁体押圧部64aの先端側部分は、図4に示すように、弁体収納用凹部内に侵入しており、操作体の先端への移動により弁体62を圧縮可能となっている。
【0019】
この実施例のロック機構では、操作部材64を回転させて、シースハブ6の先端側に移動するように螺合を進行させると、弁体押圧部64aの先端は弁体62の後端に接触して、さらに、操作部材64を回転させて螺合を進行させると弁体62は軸方向に圧縮される。そして、弁体62は圧縮が進行するに従い内部通路の内径は小さくなり最終的に弁体62により内管4が把持され固定される。なお、ロック機構の解除は、上記と逆の回転操作により行われる。
【0020】
シースハブ本体61および操作部材64の構成材料としては、硬質もしくは半硬質材料が使用される。硬質もしくは半硬質材料としては、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー)、スチレン系樹脂[例えば、ポリスチレン、MS樹脂(メタクリレート−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体)]、ポリエステルなどの合成樹脂、ステンレス鋼、アルミもしくはアルミ合金などの金属が使用できる。
【0021】
また、弁体62の構成材料としては、弾性材料が使用される。弾性材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴムなどのゴム類、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの合成樹脂エラストマー等が使用される。
また、シース2の基端部とシースハブ6間には、シースハブ6の先端より先端側に延びる補強用チューブ66が設けられている。この補強用チューブ66は、シースハブ6の先端におけるシース2のキンクを防止する。補強用チューブとしては、熱収縮性チューブを用いることが好ましい。
【0022】
内管4は、図1,図2,図4に示すように、シャフト状の内管本体部40と、内管本体部40の先端に設けられ、シース2の先端より突出する先端部47と、内管本体部40の基端部に固定された内管ハブ7とを備える。
先端部47は、シース2の先端より突出し、かつ、図2に示すように、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、狭窄部への挿入を容易なものとする。また、内管4は、ステント3よりも先端側に設けられ、シースの先端方向への移動を阻止するストッパーを備えることが好ましい。先端部47の基端は、シース2の先端と当接可能なものとなっており、上記のストッパーとして機能している。
先端部47の最先端部の外径は、0.5mm〜1.8mmであることが好ましい。また、先端部47の最大径部の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。さらに、先端側テーパー部の長さは、2.0〜20.0mmが好ましい。
【0023】
また、内管4は、図2に示すように、後述する自己拡張型ステント3を保持するための2つの突出部43,45を備えている。突出部43,45は、環状突出部であることが好ましい。内管4の先端部47の基端側には、ステント保持用突出部43が設けられている。そして、このステント保持用突出部43より所定距離基端側には、ステント押出用突出部45が設けられている。これら2つの突出部43,45間にステント3が配置される。よって、生体器官拡張用器具1におけるこれら2つの突出部43と突出部45間がステント収納部位22となっている。言い換えれば、内管4は、ステント収納部位22より基端側に設けられたステント押出用突出部45と、ステント収納部位22より先端側に設けられたステント保持用突出部43を備えるものである。これら突出部43,45の外径は、後述する圧縮されたステント3と当接可能な大きさとなっている。このため、ステント3は、突出部43により先端側への移動が規制され、突出部45により基端側への移動が規制される。さらに、内管4が先端側に移動すると、突出部45によりステント3は先端側に押され、シース2より排出される。さらに、ステント押出用突出部45の基端側は、図2に示すように、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部46となっていることが好ましい。同様に、ステント保持用突出部43の基端側は、図2に示すように、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部44となっていることが好ましい。このようにすることにより、内管4をシース2の先端より突出させ、ステント3をシースより放出した後に、内管4をシース2内に再収納する際に、突出部がシースの先端に引っかかることを防止する。
【0024】
突出部43,45の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。なお、突出部43,45は、図示するような環状突出部が好ましいが、ステント3の移動を規制し、かつ、押出可能であればよく、例えば、内管4に一体にあるいは別部材で設けられた1つまたは複数の突起であってもよい。また、突出部43,45は、X線造影性材料により別部材により形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステントの位置を的確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。X線造影性材料としては、例えば、金、プラチナ、プラチナ−イリジウム合金、銀、ステンレス、白金、あるいはそれらの合金等が好適である。そして、突出部は、X線造影性材料によりワイヤーを形成し内管の外面に巻き付けること、もしくはX線造影性材料によりパイプを形成しかしめる又は接着することにより取り付けられる。
また、突出部43の基端側に形成されるテーパー部44および突出部45の基端側に形成されるテーパー部46は、テーパー状部材を固定すること、また、硬化性樹脂をテーパー状に塗布し硬化させることなどにより形成される。
【0025】
内管4は、図2に示すように、先端より少なくともシース2のステント収納部位22より基端側まで延びるルーメン41と、ルーメン41とステント収納部位より基端側において連通する内管側孔42とを備えている。この実施例の生体器官拡張用器具1では、ルーメン41は、側孔42形成部位にて終端している。ルーメン41は、生体器官拡張用器具1の先端よりガイドワイヤーの一端を挿入し、内管内を部分的に挿通させた後、内管側面より外部に導出するためのものである。そして、内管側孔42は、シース側孔21より、生体器官拡張用器具1の若干先端側に位置している。内管側孔42の中心は、シース側孔21の中心より、0.5〜10mm先端側となっていることが好ましい。特に、1〜2mm先端側となっていることが好ましい。また、内管側孔42の中心とシース側孔21の中心間距離を長いものとすることにより、内管4の側孔42からシース2の側孔21間を通るガイドワイヤーの湾曲が緩やかなものとなり、ガイドワイヤーの挿通ならびに生体器官拡張用器具の操作性が良好なものとなる。
なお、生体器官拡張器具としては、上述のタイプのものに限定されるものではなく、上記のルーメン41は、内管の基端まで延びるものであってもよい。この場合には、シースの側孔21は不要となる。
【0026】
内管4の外径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましく、特に、1.0〜2.0mmが好ましい。また、内管4の長さは、400〜2500mm程度が好ましく、特に、400〜2200mmが好ましい。また、ルーメン41の内径としては、0.5〜2.0mm程度が好ましく、特に、0.5〜1.5mmが好ましい。また、ルーメン41の長さは、10〜400mm程度が好ましく、特に、50〜350mmが好ましい。また、側孔42の位置は、内管4の先端より、10〜400mm基端側に位置することが好ましく、特に、50〜350mmが好ましい。また、側孔42の位置は、配置されるステント3の後端(言い換えれば、ステント収納部位の後端)より、50〜250mm程度基端側であることが好ましい。
【0027】
内管4の形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。なお、内管4の外面には、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
さらに、内管4のうち、シース2より突出する可能性のある部分の外面は、潤滑性を有していることが好ましい。このために、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定してもよい。また、内管4の外面全体に上記のものをコーティング、または固定してもよい。さらに、ガイドワイヤーとの摺動性を向上させるために、内管4の内面にも上記のものをコーティング、または固定してもよい。
そして、内管4は、シース2内を貫通し、シース2の後端開口より突出している。内管4の基端部には、図1,図4に示すように、内管ハブ7が固着されている。
【0028】
さらに、この実施例の器具1では、内管4の基端部には、硬質パイプ72が被嵌されている。この硬質パイプ72は、内管4の基端部より先端側に所定距離延び、少なくともパイプ72の先端部は、シースハブ6内に侵入し、かつ、弁体62より先端側となる位置まで延びている。このため、シースハブ6の後端における内管4のキンクを防止し、弁体62の圧縮に対向する。硬質パイプとしては、金属製パイプ、硬質樹脂製パイプが使用できる。
さらに、内管4の基端部には、シース2の先端側への移動距離を規制する挿入深度規制部を備えていることが好ましい。内管4は、基端部に挿入深度規制用チューブ73を備えている。このチューブ73は、外径がシースハブ6の操作部材64の通路の内径よりも大きく、シースハブ6内に侵入不能なものとなっている。このためこのチューブが内管の挿入深度、言い換えれば、内管のシース先端側への移動距離を規制する。この実施例では、チューブ73は、上述した硬質パイプを被包するように設けられている。なお、挿入深度規制部は、上記のようなチューブ体に限定されるものではなく、内管4の基端部側面に環状部材を固定することにより形成してもよい。
また、内管ハブ7の形成材料としては、シースハブ6において説明したものが好適に使用できる。
【0029】
本発明の実施例のステント3は、図2,図3,図6に示すように、ステント基体31とカバー32からなる。
ステント3は、自己拡張型ステントであり、シース内においては、図3に示すように、自らの復元力によりシース2の内面を押圧する状態にて保持され、シース2の先端開口より押し出されることにより、図6に示すように、応力付加が解除されて拡張して圧縮前の形状に復元する。また、ステント3は、シース2内では、内管4に設けられた突出部43および突出部45との間に配置され、シース2内の移動が規制されている。なお、ステントは、いわゆる自己拡張型ステントであればどのような形状のものであってもよい。
ステント3は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31と、ステント基体31の内面側に設けられたカバー32とを備え、さらに、ステント3は、カバー32がシース2に実質的に接触しない状態にてシース2内に収納されている。
【0030】
特に、ステント3は、略円筒形状に形成され、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31と、ステント基体31の内面側に設けられたカバー32とを備え、さらに、カバー32は、ステントの中心軸方向への負荷時に、ステント3の内側に位置しステント3の外面より実質的に露出しないように形状付けされている自己拡張型ステントであることが好ましい。
また、ステント3は、略円筒形状に形成され、側面に開口部を備え、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31と、ステント基体31の開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバー32とを備え、さらに、カバー32は、ステントの中心軸方向への負荷時に、ステント3の内側に位置しステント3の外面より実質的に露出しないように形状付けされている自己拡張型ステントであってもよい。
【0031】
ステント基体31は、図6,図7に示すように、側面に開口部を備えている。また、ステント基体31は、拡張保持具の役割を担う波状(ジグザグ状)かつ環状につながった線状体54からなる複数の環状体52により構成され、これらの環状体52は接続部53(コネクター)により隣り合う環状体52が離反しないように接続されている。環状体52および接続部53を構成する部分以外の部分は開口部を形成している。
そして、この実施例のステント3では、複数の環状体52は、軸方向に隣り合う波状環状体52の谷部と山部が向かい合うようにほぼ直線的に配列されている。この実施例においては、環状体52は軸方向に11個連結している。また、ひとつの環状体52は、12個の山部(谷部)により形成されている。一つの環状体52を構成する山部(谷部)の個数はステントの直径と長さによるが、4〜36個であることが好ましく、環状体52は、軸方向に5〜50個連結することが好ましい。
【0032】
接続部53は、ステント基体31の最も一端側と最も他端側においては、円形状の接続部53aとなっており、その他の部分においては、線状の接続部53bである。このように隣接する環状体52同士を部分的に接続することにより、体腔に沿って容易に湾曲するものとなる。なお、円形状の接続部53aは、後述するようにX線不透過性マーカー56が取り付けられる部分となっている。
円状の接続部53aは、隣接する環状体52の山部と谷部が軸方向に隣接するように環状体52同士を連結している。隣接する山部と谷部は、それぞれ円形状の接続部53aの上端部および下端部に連結している。線状の接続部53bは、隣接する環状体52の山部と谷部が軸方向に隣接するように環状体52同士を連結している。線状の接続部53bは、直線状、曲線状いずれであってもよい。
円形状の接続部53a及び線状の接続部53bは、中心軸に対してほぼ等角度となるような位置に配置されていることが好ましい。円形状の接続部53aは、隣接する環状体間に3か所、言い換えると、4つおき(120°毎)に形成されている。また、線状の接続部53bは、隣接する環状体間に4か所、言い換えると3つおき(90°毎)に形成されている。本発明の実施例においては、軸方向に最も近接する線状の接続部53b同士は、山部(谷部)が1つ半ずつずれて配置されている。なお、接続部は、全部が線状の接続部であってもよい。
【0033】
そして、ステント基体31は、留置対象部位により異なるが、一般的に、外径が2.0〜30mm、好ましくは5〜15mm、肉厚が0.04〜1.0mm、好ましくは0.06〜0.5mmのものであり、長さは、10〜150mm、より好ましくは20〜60mmである。特に、血管内留置用ステントの場合には、外径が2.0〜14mm、好ましくは2.5〜10mm、肉厚が0.04〜0.3mm、好ましくは0.06〜0.2mmのものであり、長さは5〜80mm、より好ましくは10〜60mmである。
【0034】
上述したように、この実施例のステント基体31では、環状体52は、上記のように波状(ジグザグ状)かつ環状につながった線状体54からなるものであり、波の数は、4〜36程度が好適であり、特に、8〜24が好ましい。環状体52の長さは、1〜10mm、より好ましくは1.5〜5mmである。また、環状体52の数は、5〜50、より好ましくは5〜20である。そして、環状体52間の距離は、2〜7mmが好ましい。また、接続部53の長さは、0.2〜10mmが好ましい。また、接続部を構成する線状体の幅は、軽い力で曲げられるように線幅は小さい方が好ましい。具体的には、接続部53を構成する線状体54の幅は、0.03〜0.2mm、より好ましくは0.05〜0.12mmである。
【0035】
ステント基体31の形状は、挿入時に縮径可能であり、かつ、体内放出時に拡径(復元)可能なものであればよく、上述の形状に限定されるものではない。例えば、コイル状のもの、円筒状のもの、ロール状のもの、異形管状のもの、高次コイル状のもの、板バネコイル状のもの、カゴまたはメッシュ状のものでもよい。
ステント基体31の構成材料としては、合成樹脂または金属が使用される。合成樹脂としては、ある程度の硬度と弾性を有するものが使用され、生体適合性合成樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート),フッ素樹脂(例えば、PTFE、ETFE)、若しくは生体内吸収材料であるポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体などである。また、金属としても生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス、タンタル、ニッケルチタン合金などがある。特に、超弾性金属が好ましい。ステント基体31は、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されていることが好ましい。ステント基体31は、例えば、留置される生体内部位に適合した外径を有する金属パイプを準備し、金属パイプの側面を、切削加工、化学エッチングなどにより部分的に除去することにより作製される。
【0036】
ステントを形成する超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTi−Ni合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTi−Ni合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
【0037】
使用される超弾性合金の座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜20kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ圧縮前の形状に回復することを意味する。
【0038】
ステント3は、X線不透過性材料製マーカー56を有していることが好ましい。X線不透過材料製マーカー56は、ステントの端部側に設けることが好ましい。実施例においては、X線不透過材料製マーカー56は、ステント基体31の両端部に位置する複数の円状の接続部53aに設けられている。X線不透過材料製マーカー56は、接続部53aに形成された小開口を閉塞するようにステントに固定されている。このようなマーカーは、例えば、ステントに形成された小開口に、この小開口より若干小さいX線造影用物質の円盤状部材を配置し両面より押圧してかしめることにより取り付けられることが好ましい。なお、X線不透過材料製マーカーとしては、どのようなものであってもよく、上記のようなものに限定されない。例えば、X線造影性物質をステントの外面に被覆すること、またX線造影性物質により形成された線材を巻き付けたもの、さらには、X線造影性物質により形成されたリング状部材を取り付けたものなどであってもよい。なお、X線不透過材料製マーカーの形成材料としては、例えば、金、白金、タングステン、タンタルあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
【0039】
カバー32は、図2,図3,図6に示すように、ステント基体31の内側に設けられた筒状カバーである。筒状カバーは、薄い被覆層でもある。筒状カバー32は、ステント基体31の内面全体を被覆している。このように、ステント基体31の内側に筒状カバー32を設けることにより、ステント3の側面から体内組織がステント内に侵入することを防止できる。また、筒状カバー32をステント基体31の内側に設けることにより、ステント3の内側には凹凸が生じないため、ステント3内を血液、胆汁、食物等が通過しやすくなる。また、ステント3の外側には、ステント基体31の骨格による凹凸が生じるため、体腔内に固定されやすく位置ずれが防止される。
カバー32の厚さは、4〜50μm、特に、6〜20μmであることが好ましい。
【0040】
カバー32の構成材料は、ゴム、エラストマー、可撓性樹脂が好ましい。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、ラテックスゴムなどが好ましい。エラストマーとしては、フッ素系樹脂エラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)などが好ましい。可撓性樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体)などが好ましい。特に、エラストマー、ゴムが好適である。ゴムとしては、シリコーンゴムが好適である。さらに、シリコーンゴムとしては、低温硬化型もしくは常温硬化型シリコーンゴムが好ましい。また、カバー32は、あらかじめ作製したフィルムをステント31の内面に接合することにより形成したものであってもよい。フィルムの構成材料としては、上述したエラストマー、可撓性樹脂を用いることが好ましい。フィルムをステント基体31に接着する際に使用する接着剤としては、基体31と接着性の高いものを使用することが好ましい。接着剤としては、例えば、カバー形成材料として、シリコーン系材料を用いる場合には、シリカ系プライマーが好適であり、上述したようなエラストマーを用いる場合には、エポキシ樹脂系接着剤が好適である。
そして、本発明の生体器官拡張器具では、図2および図3に示すように、ステント3は、ステント3のカバー32が、ステント3の側面より突出せず、シース2の内面に接触しない状態にて、シース内に収納されている。このため、ステント3の生体内留置部位での放出時において、カバー32はシース内面と接触することがなく、シース2の内面との摩擦による損傷を受けない。
【0041】
次に、本発明の自己拡張型ステント3について説明する。
本発明の自己拡張型ステント3は、略円筒形状に形成され、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31と、ステント基体の内面側に設けられた筒状カバー32とを備え、さらに、筒状カバー32は、ステントの中心軸方向への負荷時に、ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされている。
ステント3は、上述したステント3と同様に、ステント基体31とその内面側に設けられたカバー32を備える。ステント基体31としては、上述したものと同じであり、カバー32としても上述したものと同じである。
【0042】
このステント3は、上述した生体器官拡張器具に用いるためのものである。
このステント3における筒状カバー32は、ステント3の中心軸方向への負荷時に、ステント3の内側に位置しステント3の外面より実質的に露出しないように形状付けされている。具体的に、図2,図3に示すように、ステント3がシース2内に収納された状態では、筒状カバー32のほとんどの部分がステント31の内側に向かって折り畳まれた状態となり、ステント側面(金網状部分)から露出しないものとなっている。このため、生体器官拡張器具のシース内に収納させると、その形状付け故、自然にカバーは、ステント内に位置し、ステントの側面より突出しないため、カバー32はシース内面と接触することがなく、シース2の内面との摩擦による損傷を受けない。カバーの形状付けは、その加工方法と関連するため、ステントの製造方法について説明する。
【0043】
本発明の自己拡張型ステントの製造方法は、略円筒状に形成され、中心軸方向に対して負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体31の形成工程と、ステント基体31の内側に筒状カバー32を設けるカバー形成工程と、カバーを備えるステント基体31を不完全圧縮した状態で外面から気体を吹き付け、ステント基体31の圧縮時に筒状カバー32がステント3の内側に折り畳まれるように形状付けるカバー形状付け工程とを備えている。
【0044】
ステント基体31は、超弾性金属により作製することが好ましい。このため、ステント基体31の成形工程は、例えば、弾性金属パイプをレーザー加工(例えばYAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工などより、ステント基体となる部分以外を除去することにより行われる。そして、使用される超弾性合金の座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜200kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。ここいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ元の形状に回復することを意味する。このようにして形成されるステント基体は、全体として、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物となる。
なお、ステント基体31の形成に用いられる超弾性金属パイプは、不活性ガスまたは真空雰囲気にて溶解しTi−Ni合金などの超弾性合金のインゴットを形成し、このインゴットを機械的に研磨し、続いて、熱間プレスおよび押し出しにより、太径パイプを形成し、その後順次ダイス引き抜き工程および熱処理工程を繰り返すことにより、所定の肉厚、外径のパイプに細径化し、最終的に表面を化学的または物理的研磨することにより製造することができる。
さらに、ステント基体の外面は、全体においてエッジがなく面取りされた状態とすることが好ましい。これにより、ステント基体が生体内壁ならびに筒状カバー32に損傷を与えることをより確実に防止できる。
【0045】
筒状カバー32の作製方法は以下のように行われる。
最も一般的な浸漬方法について説明する。図9を用いて説明する。ステント基体31の内径と同じもしくは若干太い外径の内芯を準備する。内芯としては、カバー材料に対して接着性の低い材質であることが好ましい。例えば、内芯の材質としては、フッ素系樹脂(例えば、PTFE、ETFE)、フッ素系樹脂被覆ステンレス鋼等のような表面処理金属棒、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどが好適である。特に、フッ素系樹脂が好ましい。次に、カバー材料を有機溶媒に溶解した溶液を準備する。この溶液に上述した内芯を浸漬して引き上げて乾燥若しくは反応させて、内芯表面にカバー32を形成する。カバー材料の溶液中の濃度は、目的とするカバーの肉厚を考慮して調整する。この浸漬操作は、複数回繰り返してもよい。次にステント基体31を、上記のように表面にカバー32が形成された内芯に被せる。この時作製されたカバーに傷を付けないように注意する。次にステントとカバーを接合させるために、適当な濃度の同じ材料の溶液もしくは異なる材料の溶液に浸漬し引き上げて乾燥もしくは反応させて接合させる。これにより、被覆層33が形成される。なお、上記の溶液浸漬前に、ステント基体の外面に接着剤を塗布してもよい。接着剤としては、上述したものが使用できる。このようにして、外観斜視図である図6および断面部分拡大図である図9に示すように、ステント31の内側に筒状カバー32を備え、カバー32とステント31を保持する被覆層33が作製される。このステント3では、カバーは、カバー本体32と被覆層33から形成されていると考えることもできる。
【0046】
次に、筒状カバー32の他の作製方法について説明する。
最初に、ステント基体31の内径より若干小さい外径の内芯を準備する。内芯としては、カバー材料に対して接着性の低い材質であることが好ましい。内芯の材質としては、上述したものが好適である。次に、カバー材料を有機溶媒に溶解した溶液を準備する。ステント基体31内に内芯を挿入し、上記の溶液に浸漬し、適宜、ステント基体を保持した状態にて内芯を回転させ、ステント基体が被覆されている部分の内芯の外面に溶液が接触するように行う。そして、ステント基体を内芯とともに引き上げて乾燥若しくは反応させて、ステント基体の内面側およびステント基体の肉厚内の内面側に筒状のカバーを形成する。カバー材料の溶液中の濃度は、目的とするカバーの肉厚を考慮して調整する。この浸漬操作は、複数回繰り返してもよい。次に、内芯をカバーが形成されたステント基体31より抜去する。なお、上記の溶液浸漬前に、ステント基体の外面に接着剤を塗布してもよい。接着剤としては、上述したものが使用できる。
【0047】
この方法についてより具体的に説明する。
まず、上述した棒形成用カバーを取り付けたステント基体31の内孔に内芯を差し込み、樹脂溶液にステント基体31を浸漬し、必要により、ステント基体を外部より保持し、内芯を若干回転させた後、引き上げ、有機溶媒が蒸発するまでしばらく室温にて放置した。ステント基体31の浸漬、引き上げ、溶媒の揮発作業は、繰り返し行ってもよい。このような操作により、ステント基体31および形成用カバーと、内芯との間に被覆層が形成される。そして、有機溶媒が揮発した後、内芯および形成用カバーをステント基体31から取り外すと、外観斜視図である図6および断面部分拡大図である図10に示すように、ステント31の内側に筒状カバー32が作製された。
内芯としては、ステント31と内芯の間に形成された被覆層から容易に取り外し可能なように、例えば、表面にテトラフルオロエチレン加工処理を施したものを使用することが好ましい。内芯の外径はステント基体31の内径より2〜10μm程度小さいものを用いることが好ましく、特に、2〜5μm程度小さいことが好ましい。
【0048】
上記のカバー成形材料液状物としては、液状ゴム、被膜形成性樹脂の有機溶媒溶解物などが好適である。液状ゴムとしては、付加反応または縮合反応によって硬化する液状シリコーンゴム、シリル基の脱アルコール反応によって硬化するシリル変性ポリエーテル、液状ウレタンゴムなどがある。特に、低温硬化型また常温硬化型、低温加熱硬化型液状シリコーンゴムが好適である。これらは、付加反応型、縮合反応型いずれであってもよい。また、付加反応型液状シリコーンゴムは、ビニル基とSi−H結合との反応によって硬化するものであって、ビニル基およびSi−H結合の両方を含有するポリシロキサンからなる一液型(一成分型)のものと、ビニル基を含有するポリシロキサンおよびSi−H結合を含有するポリシロキサンからなる二液型(二成分型)のものがある。そのいずれであってもよい。
【0049】
また、カバー成形材料液状物として用いられる被膜形成性樹脂の有機溶媒溶解物としては、上述したカバー形成材料において説明したエラストマーもしくは可撓性樹脂の有機溶媒溶解物が使用できる。カバー形成材料として、フッ素系樹脂エラストマーを用いる場合には、有機溶媒としては、ジメチルホルムアルデヒドなどが使用でき、ポリウレタンエラストマーまたはポリウレタンを用いる場合には、テトラヒドロフランなどが使用できる。
また、筒状カバーの形成工程は、あらかじめ樹脂フィルムを作製しておき、それをステント基体31の内面に接着剤等により接合することにより行うものであってもよい。樹脂フィルムの形成には、上述したエラストマーまたは可撓性樹脂を用いることが好ましい。また、接着剤としては、樹脂フィルムを溶解できる有機溶剤などが使用できる。
【0050】
次に、筒状カバー32の形状付け工程について説明する。
筒状カバーの形状付け工程は、カバーを備えるステント基体31を不完全圧縮した状態で外面から気体を吹き付け、ステント基体31の圧縮時に筒状カバー32がステント3の内側に折り畳まれるように形状付けすることにより行われる。
上記のように作製されたステントを、例えば、ステントが不完全圧縮状態となるような内径を有する通気性チューブ内に収納する。不完全圧縮状態とは、まだ圧縮可能な状態をいう。特に、ステントの生体器官拡張器具への装着時の圧縮状態に至らない程度の圧縮状態とする。不完全圧縮状態にて行うことにより、気体の吹き付けにより折り畳まれたもしくは押し込まれた筒状カバーをステント内に収納するスペースを確保できる。使用する通気性チューブの内径としては、非圧縮時のステントの外径の1/2程度であることが好ましい。通気性チューブとしては、外部より吹き付ける気体が十分に筒状カバーに到達するものであればどのようなものであってもよい。例えば、メッシュ状チューブ、多孔質チューブ、コイルなどが使用できる。また、吹き付けられる気体としては、空気、窒素、酸素などが使用できる。
【0051】
また、この形状付け工程は、ステント基体が超弾性金属により形成されている場合には、超弾性金属が実質的に超弾性を喪失する温度にて行うことが好ましい。
ステント基体が超弾性金属により形成されている場合、超弾性金属としては、少なくとも生体内温度36〜42℃前後において、超弾性を示すものが用いられる。超弾性金属としては、超弾性を発現する温度領域外では超弾性を発現せず塑性変形が可能となる。よって、ステント基体が超弾性金属により形成されている場合であって、それが超弾性を発現しない温度領域を有する場合には、上記のカバーの形状付け工程は、超弾性を発現しない温度にて行うことが好ましい。よって、ステント基体31を超弾性を発現する温度領域以下に冷却すれば不完全に圧縮された状態で径が保持されるので取り扱いが容易となる。
例えば、気体の吹き付けは、冷風を吹き付けるものであることが好ましい。冷風は、5〜15℃、特に、10℃以下のものであることが好ましい。また、気体の吹き付けは、ステント3の外側に向かって折り畳まれた部分を内側に折り返すことができる強さにて行うことが好ましい。
【0052】
また、形状付け工程としては、吹き付け処理を行う前に、ステント3を冷却または加熱する温度調整工程を備えていてもよい。このようにすることにより、ステントの不完全圧縮を行うことが容易となるとともに、その状態の維持も容易となる。この場合には、上述した通気性チューブの使用は不要となる。冷却工程においては、ステントを5〜15℃、特に、10℃以下に冷却することが好ましい。
以上のような操作により、筒状カバー32全体がステントの内側に向かって折り畳まれるように形状付けられる。
【0053】
次に、本発明の生体器官拡張用器具1の使用方法について図面を用いて説明する。
まず、図2,図5に示すように、ガイドワイヤー9の後端部9aを内管4のルーメン41の先端より挿入し、内管4の側孔42およびシース2の側孔21を通過させ外部に導出する。その後、シース2を把持して、ガイドワイヤー9に沿って本発明の生体器官拡張用器具1を体腔(例えば血管)内に挿入させ、目的とする狭窄部内ステント3を位置させる。
次に、シース2を軸方向基端側に移動させる。この時、ステント3はその後端面がステント押出用突出部45の先端面に当接し係止されるので、シース2の移動に伴ってシース2の先端開口より放出される。この放出により、ステント3は、図5に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。本発明の生体器官拡張用器具1においては、ステント3がシース2内に収納された状態でステント3の外面とシース2の内面との間に筒状カバーが挟まることがないため、ステント3を放出する際、ステント3の筒状カバー32がステント3の外面とシース2の内面との間で擦れて傷つくおそれがない。
その後、内管4を軸方向基端側に移動させ、シース2内に収納し、シース2を内管4とともに体腔内から抜去することにより手技が終了する。この内管4をシース2内に収納する際、本発明の生体器官拡張用器具1は、内管4の突出部43の基端側付近が、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部に形成されているので、ステント3が内管4の先端部に引っ掛かって留置位置がずれたり、内管4が抜去不能になることがない。
【0054】
【実施例】
(実施例1)
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径10mm、内径9.6mm、長さ約40mmの超弾性金属パイプを作製した。次に、YAGレーザーを用いて超弾性金属パイプをカットして、外面を化学エッチングすることにより、図7に示すような展開形状のステント基体を作製した。ステント基体は、図7に示すように、軸方向11個のジグザグ形状の波状環状体が並んでいるとともに、それら接続部により接続された形状となっている。また、ステント基体の両端部の接続部には、X線不透過マーカーを取り付けるための丸穴を備えている。波状環状体を形成する線状体の幅は、約0.1mmであり波状環状体の軸方向の長さは、2mmであり、各波状環状体間の距離は1mmであった。また、ステント基体のストラットの断面形状(ステント基体を軸方向に切断したときの断面)は角のとれた長方形であった。
【0055】
次に、外径9.6mmのテトラフルオロエチレン棒を、低温加硫タイプのシリコーン溶液を更にキシレンで溶解して低濃度にした溶液に浸漬し、溶剤を蒸発させた後、150℃で2時間加硫反応させる。これにより、テトラフルオロエチレン棒表面にはシリコーンの被膜が形成される。そして、このテトラフルオロエチレン棒にテント基体を注意深くかぶせ、これらを上記シリコーン溶液に再度浸漬し、同様の方法で加硫反応させる。これにより、シリコーン被膜とステント基体がシリコーン樹脂を介して接合する。その後、メタノール溶液中において、テトラフルオロエチレン棒から内側にシリコーン被膜が形成されたステントを取り外し、本発明のカバードステントを得た。断面形状は、図9に示すものであり、ステント基体の開口間に形成されるカバーの肉厚は、約15μm(カバー13μm、被覆層2μm)であった。
【0056】
次に、このカバードステントを10℃以下に冷却し、外径を約5mmに収縮させた後、ステント外面からカバー全体が内側に折り畳まれるように冷風を吹き付けた。このステントは形状記憶合金であり、変態点を室温近辺に調整してあるので、10℃以下ではかなり塑性変形が可能になっている。
そして、上記自己拡張型ステントを、図1ないし図3に示すような構造の生体器官拡張器具に装着した後、拡張器具をステント部分において複数箇所軸方向に垂直に切断したところ、ステントのカバーは、生体器官拡張用器具のシースに接触していないことがわかった。
【0057】
(実施例2)
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径10mm、内径9.6mm、長さ約40mmの超弾性金属パイプを作製した。次に、YAGレーザーを用いて超弾性金属パイプをカットして、外面を化学エッチングすることにより、図7に示すような展開形状のステント基体を作製した。ステント基体は、図7に示すように、軸方向11個のジグザグ形状の波状環状体が並んでいるとともに、それら接続部により接続された形状となっている。また、ステント基体の両端部の接続部には、X線不透過マーカーを取り付けるための丸穴を備えている。波状環状体を形成する線状体の幅は、約0.1mmであり波状環状体の軸方向の長さは、2mmであり、各波状環状体間の距離は1mmであった。また、ステント基体のストラットの断面形状(ステント基体を軸方向に切断したときの断面)は角のとれた長方形であった。
【0058】
次に、外径9.5mmのテトラフルオロエチレン棒に上記のステント基体を装着する。そして、上記のステント基体をテトラフルオロエチレン棒とともに低温加硫タイプのシリコーン溶液を更にキシレンで溶解して低濃度にした溶液に浸漬した。ステント基体を外部よりピンセットにより保持し、テトラフルオロエチレン棒を回転させて、ステント基体とテトラフルオロエチレン棒間へのシリコーン溶液の流入を行った。そして、ステント基体をテトラフルオロエチレン棒とともに、溶液より引き上げ、溶剤を蒸発させた後、150℃で2時間加硫反応させる。これにより、テトラフルオロエチレン棒表面およびステント基体の表面にはシリコーンの被膜が形成される。そして、テトラフルオロエチレン棒から内側にシリコーン被膜が形成されたステントを取り外し、本発明のカバードステントを得た。断面形状は、図10に示すものであり、ステント基体の開口間に形成されるカバーの肉厚は、約15μmであった。
【0059】
次に、このカバードステントを10℃以下に冷却し、外径を約5mmに収縮させた後、ステント外面からカバー全体が内側に折り畳まれるように冷風を吹き付けた。このステントは形状記憶合金であり、変態点を室温近辺に調整してあるので、10℃以下ではかなり塑性変形が可能になっている。
そして、上記自己拡張型ステントを、図1ないし図3に示すような構造の生体器官拡張器具に装着した後、拡張器具をステント部分において複数箇所軸方向に垂直に切断したところ、ステントのカバーは、生体器官拡張用器具のシースに接触していないことがわかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の生体器官拡張用器具は、シースと、該シースの先端部内に収納されたステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張用器具であって、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の内面側に設けられた筒状カバーとを備え、さらに、該ステントは、前記筒状カバーが前記シースに実質的に接触しない状態にて前記シース内に収納されている。
また、本発明の生体器官拡張用器具は、シースと、該シースの先端部内に収納されたステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張用器具であって、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能であるとともに、側面に開口部を有するステント基体と、該ステント基体の前記開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバーとを備え、さらに、該ステントは、前記カバーの前記ステント基体の前記開口部を封鎖する部分が前記シースに実質的に接触しない状態にて前記シース内に収納されている。
このため、これらの拡張器具では、シースよりステントを吐出させる際に、カバーがシースとの接触に起因する損傷を受けることがない。
【0061】
また、本発明の自己拡張型ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、該負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の内面側に設けられた筒状カバーとを備え、さらに、該筒状カバーは、前記ステントの中心軸方向への負荷時に、該ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされている。
また、本発明の自己拡張型ステントは、略円筒形状に形成され、かつ側面に開口部を備え、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、該負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の前記開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバーとを備え、さらに、前記カバーの前記ステント基体の前記開口部を封鎖する部分が前記ステントの中心軸方向への負荷時に、該ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされている。
このため、これらステントは、生体器官拡張用器具に装着されたときに、シースの内面と実質的に接触しない状態となるので、使用時にシースとの接触に起因する損傷を受けることがない。
【0062】
また、本発明の自己拡張型ステントの製造方法は、略円筒状に形成され、中心軸方向に対して負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体の形成工程と、該ステント基体の内側に筒状カバーを設けるカバー形成工程と、該カバーを備えるステント基体を不完全圧縮した状態で外面から気体を吹き付け、前記ステント基体の圧縮時に前記筒状カバーが前記ステントの内側に折り畳まれるように形状付けるカバー形状付け工程とを備えている。
このため上記のような効果を有する自己拡張型ステントを容易かつ確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例である生体器官拡張用器具の部分省略正面図である。
【図2】図2は、図1に示した生体器官拡張用器具の先端部付近の拡大縦断面図である。
【図3】図3は、図1に示した生体器官拡張用器具の先端部付近の横断面図を説明するための説明図である。
【図4】図4は、図1に示した生体器官拡張用器具の基端部付近の部分省略拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例である生体器官拡張用器具の作用を説明するための説明図である。
【図6】図6は、本発明の実施例である生体器官拡張用器具に使用する自己拡張型ステントの斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す自己拡張型ステントを構成するステント基体の展開図である。
【図8】図8は、従来の生体器官拡張用器具の先端部付近の横断面図を説明するための説明図である。
【図9】図9は、本発明の生体器官拡張用器具に使用されるステントの一例の拡大部分断面図である。
【図10】図10は、本発明の生体器官拡張用器具に使用されるステントの他の例の拡大部分断面図である。
【符号の説明】
1 生体器官拡張用器具
2 シース
3 ステント
4 内管
6 シースハブ
7 内管ハブ
9 ガイドワイヤー
31 ステント基体
32 筒状カバー

Claims (11)

  1. シースと、該シースの先端部内に収納されたステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張用器具であって、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の内面側に設けられた筒状カバーとを備え、さらに、該ステントは、前記筒状カバーが前記シースに実質的に接触しない状態にて前記シース内に収納されていることを特徴とする生体器官拡張用器具。
  2. シースと、該シースの先端部内に収納されたステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張用器具であって、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能であるとともに、側面に開口部を有するステント基体と、該ステント基体の前記開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバーとを備え、さらに、該ステントは、前記カバーの前記ステント基体の前記開口部を封鎖する部分が前記シースに実質的に接触しない状態にて前記シース内に収納されていることを特徴とする生体器官拡張用器具。
  3. 前記カバーは、可撓性材料もしくは弾性材料により形成されている請求項1または2に記載の生体器官拡張用器具。
  4. 前記ステント基体は、超弾性金属により形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体器官拡張用器具。
  5. 略円筒形状に形成され、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、該負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の内面側に設けられた筒状カバーとを備え、さらに、該筒状カバーは、前記ステントの中心軸方向への負荷時に、該ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされていることを特徴とする自己拡張型ステント。
  6. 略円筒形状に形成され、かつ側面に開口部を備え、中心軸方向に負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、該負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体と、該ステント基体の前記開口部をステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にて封鎖するカバーとを備え、さらに、前記カバーの前記ステント基体の前記開口部を封鎖する部分が前記ステントの中心軸方向への負荷時に、該ステントの内側に位置しステントの外面より実質的に露出しないように形状付けされていることを特徴とする自己拡張型ステント。
  7. 前記ステント基体は、超弾性金属により形成されている請求項5または6に記載の自己拡張型ステント。
  8. 前記カバーは、可撓性材料もしくは弾性材料により形成されている請求項5ないし7のいずれかに記載の自己拡張型ステント。
  9. 略円筒状に形成され、中心軸方向に対して負荷を与えることにより圧縮可能であるとともに、負荷解除後に外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント基体の形成工程と、該ステント基体の内面側もしくはステント基体の肉厚内の内面側にカバーを設けるカバー形成工程と、該カバーを備えるステント基体を不完全圧縮した状態で外面から気体を吹き付け、前記ステント基体の圧縮時に前記カバーが前記ステントの内側に折り畳まれるように形状付けるカバー形状付け工程とを備えることを特徴とする自己拡張型ステントの製造方法。
  10. 前記ステント基体は、超弾性金属により作製するものである請求項9に記載の自己拡張型ステントの製造方法。
  11. 前記形状付け工程は、前記ステント基体を形成する超弾性金属が実質的に超弾性を喪失する温度にて行うものである請求項10に記載の自己拡張型ステントの製造方法。
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