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JP2004288790A - Soi基板の製造方法及びsoi基板 - Google Patents

Soi基板の製造方法及びsoi基板 Download PDF

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JP2004288790A
JP2004288790A JP2003077438A JP2003077438A JP2004288790A JP 2004288790 A JP2004288790 A JP 2004288790A JP 2003077438 A JP2003077438 A JP 2003077438A JP 2003077438 A JP2003077438 A JP 2003077438A JP 2004288790 A JP2004288790 A JP 2004288790A
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soi
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crystal silicon
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JP2003077438A
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Hiroshi Takeno
博 竹野
Tomohiko Ota
友彦 太田
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

【課題】SOI基板の製造時にBOX層の膜厚を容易に制御し、かつBOX層の絶縁耐圧を向上させるとともにSOI層に発生する貫通転位を低減して、所望のBOX層厚を有する高品質のSOI基板を効率的に製造することのできるSOI基板の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、単結晶シリコン基板の一方の主表面から酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成した後、該単結晶シリコン基板に酸素イオン注入層を埋め込み酸化膜層に変化させる酸化膜形成熱処理を行ってSOI基板を製造する方法において、少なくとも前記酸化膜形成熱処理を行う前に、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面に表面キンクを形成しておくことを特徴とするSOI基板の製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単結晶シリコン基板の内部に埋め込み酸化膜層(以下、BOX層と呼ぶことがある)が形成されたSOI(Silicon on insulator)基板を製造する方法に関するものであり、特に単結晶シリコン基板に酸素のイオン注入を行い、その後に熱処理を行ってシリコン基板内部にBOX層を形成するSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法によるSOI基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の基板の一つとして、絶縁膜であるシリコン酸化膜の上にシリコン層(以下、SOI層と呼ぶことがある)を形成したSOI基板がある。このSOI基板は、デバイス作製領域となるウエーハ表層部のSOI層が埋め込み酸化膜層(BOX層)により基板内部と電気的に分離されているため、寄生容量が小さく、耐放射性能力が高いなどの特徴を有する。そのため、高速・低消費電力動作、ソフトエラー防止などの効果が期待され、高性能半導体素子用の基板として有望視されている。
【0003】
このSOI基板を製造する代表的な方法として、ウエーハ貼り合わせ法やSIMOX法が挙げられる。ウエーハ貼り合わせ法は、例えば2枚の単結晶シリコン基板(シリコンウエーハ)のうちの一方の表面に熱酸化膜を形成した後、この形成した熱酸化膜を介して2枚のウエーハを密着させ、結合熱処理を施すことによって結合力を高め、その後に片方のウエーハを鏡面研磨等により薄膜化することによってSOI基板を製造する方法である。
【0004】
一方、SIMOX法は、単結晶シリコン基板の内部に酸素をイオン注入し、その後に高温熱処理(酸化膜形成熱処理)を行って注入した酸素とシリコンとを反応させてBOX層を形成することによってSOI基板を製造する方法である。
【0005】
具体的には、例えば、500℃程度に熱せられた単結晶シリコン基板に対し、一方の表面から酸素イオン(一般的にはO)を注入する。イオン注入条件としては、一般的に150〜200keVの加速電圧とし、酸素ドーズ量は1〜2×1018/cm程度以上を注入する高ドーズとする場合と、それ以下の低ドーズとする場合に分けられる。酸素イオンを注入した後は、例えば酸素を1%以下含む不活性ガス中で、高温の酸化膜形成熱処理(一般的に1300℃以上)を行うことにより、注入した酸素(酸素イオン注入層)を厚さが220nm〜440nm程度の酸化膜(BOX層)に変化させることができる。
【0006】
このようなSIMOX法によるSOI基板の製造では、上記のウエーハ貼り合わせ法と比較すると、製造工程が簡略であること、また2枚のウエーハを必要とせずに1枚の単結晶シリコン基板から製造することができるので比較的低コストでの製造が可能であること、さらに注入エネルギーによって酸素注入深さを制御することができるのでSOI層の膜厚均一性に優れることなどの利点を有している。そのため、SIMOX法で製造されたSIMOX基板は、例えばSOI層が50nm以下となる完全空乏型のトランジスタの材料等として期待されている。
【0007】
しかしながら、このSIMOX基板におけるBOX層は、ウエーハ貼り合わせ法で形成される熱酸化膜と比べて絶縁耐圧が劣り、またSOI層表面の表面粗さ、及びSOI層とBOX層の界面(以下、SOI/BOX界面ということがある)の界面粗さが大きいといった問題がある。
【0008】
さらに、高ドーズ量でのSIMOX基板の製造では、BOX層の完全性を高めることができるものの、SOI層にはSOI/BOX界面から基板表面に抜ける貫通転位が高密度に発生する。このSOI層に発生する貫通転位はリークの原因となるため、高ドーズSIMOX基板はデバイス活性層となるSOI層の品質が低いという大きな問題があった。
【0009】
そこで、このようなSOI層での貫通転位の発生を低減させるために、貫通転位密度は酸素ドーズ量に依存することが見出され、低ドーズ量で酸素イオン注入を行ってSIMOX基板を製造する低ドーズSIMOX技術が開発された(特許文献1)。このように低ドーズ量でSIMOX法を行う場合、連続した均一なBOX層を得るために酸素のドーズ量は3.5〜4×1017/cm程度であることが必要とされ、酸素イオン注入後に酸化膜形成熱処理を行って形成されるBOX層の厚さは80nm〜90nm程度に限定される。このようなドーズ量の範囲は、ドーズウインドウとして知られている。
【0010】
しかし、このような低ドーズ量でSIMOX基板を製造した場合、貫通転位密度は高ドーズ量の場合と比較して数桁低減されるものの、それでもなおSOI層には貫通転位が10/cmオーダー程度の密度で発生していた。さらに、酸素ドーズ量が低いためにBOX層が薄くなり、その絶縁耐圧が低くなるという問題があった。
【0011】
このような低ドーズSIMOX法でのBOX層の絶縁耐圧低下の問題を解決する技術として、例えば、酸化膜形成熱処理を行ってBOX層を形成した後、さらに高温酸素雰囲気下での酸化熱処理によりBOX層を成長させるITOX(Internal Thermal Oxidation)処理がある(特許文献2)。
【0012】
具体的に説明すると、このITOX処理は、低ドーズ条件での酸素のイオン注入後、例えば酸素分圧が1%未満の雰囲気下、1300℃以上で数時間の酸化膜形成熱処理を行ってBOX層を形成した後、さらに酸素分圧が70%程度の雰囲気下、1300℃以上で数時間の酸化熱処理を行なうことによって、BOX層を成長させて厚膜化することができる。このITOX処理により、BOX層の絶縁耐圧が向上し、さらにSOI/BOX界面が平坦化され、またSOI層表面の表面粗さも改善されるという効果が得られる。また、SOI層表面に酸化膜が成長することによりSOI層が消費され、薄膜のSOI層が得られるという利点も持ち合わせている。
【0013】
また、低ドーズSIMOX法やITOX処理の応用的な技術として、低ドーズ量での酸素イオン注入後に、さらに低ドーズ量の酸素を室温でイオン注入したり、シリコンなどの酸素以外の元素と酸素をイオン注入することで、結晶をアモルファス化してBOX層の成長を促進させるという試みも多くなされている(特許文献3及び特許文献4等)。
これらのITOX処理やその他の応用的な技術によれば、BOX層の絶縁耐圧を通常の低ドーズSIMOX法に比べて向上させることができるものの、SOI層の貫通転位密度は10/cmオーダーと依然高く、更なる改善が望まれている。
【0014】
さらに現在、SOI基板には、絶縁耐圧を高くするために厚いBOX層が望まれる場合がある一方で、デバイス動作時の熱伝導を良くするために薄いBOX層が望まれる場合もあることから、BOX層の膜厚を広い範囲、例えば50〜200nmの範囲で制御して、所望のBOX層厚を有するSOI基板を製造できる技術が必要とされている。
【0015】
しかしながら、従来のSIMOX法で形成されるBOX層の厚さは上述のように一定の範囲に限定されてしまい、BOX層の膜厚を広い範囲で制御することができなかった。また、上記ITOX処理を用いてBOX層を厚膜化する場合、ウエーハ表面で数百nmの厚みの表面酸化膜が成長する条件であってもBOX層の膜厚増加は数十nm程度であり、SOI層の膜厚を制御する都合上BOX層の厚膜化による膜厚制御には限界があった。また、このITOX処理は、例えばSOI層の膜厚を一定に維持しながらBOX層の膜厚だけを独立に制御することはできないという問題もあった。
さらに、上述したその他の応用的な技術を用いたとしても、BOX層の膜厚を例えば50〜200nmの広い範囲で制御することはできなかった。
【0016】
このようなBOX層の膜厚を広い範囲で制御できない理由としては、SOI層に発生する貫通転位やBOX層内にシリコンが取り残された状態のシリコン島の増加を避けるために、酸素ドーズ量を自由に選択できないことにある。すなわち、例えば200nm程度のBOX層厚が得られるように酸素ドーズ量を高くしてBOX層の形成を行うと、BOX層内にシリコン島が発生してBOX層の実質的な膜厚が薄くなり絶縁耐圧が低下するとともにSOI層の貫通転位密度が著しく増加しSOI層の品質が劣化する問題があった。また一方、BOX層が50nm程度の膜厚となるように酸素ドーズ量を低くしてBOX層を形成する場合、連続的なBOX層を形成することが難しくなるとともにSOI層の貫通転位密度が増加し、品質の劣化を招いてしまう(非特許文献1)。
【0017】
また、SOI層の品質を劣化させずにBOX層を厚膜化する方法として、最初の酸素イオン注入後に、最初の高温熱処理を実施してBOX層を形成した後に、第二回目以降の酸素イオン注入を、注入酸素分布の最大位置がそれまでに形成されているBOX層とその下部の基板との界面よりも下側に配置されるようにして実施し、その後高温熱処理を実施することを繰り返す方法が開示されている(特許文献5)。
【0018】
この方法によれば、イオン注入する合計の酸素ドーズ量を増加させることにより、SOI層の品質を低下させずに、BOX層を膜厚化してBOX層品質を向上させることが可能となる。しかし、このようにしてSOI基板の製造を行うと、製造工程が非常に複雑になり、生産性が低下するという問題点があった。
【0019】
【特許文献1】
特開平4−264724号公報
【特許文献2】
特開平7−263538号公報
【特許文献3】
特開昭63−217657号公報
【特許文献4】
米国特許第5,930,643号
【特許文献5】
特開2002−289552号公報
【非特許文献1】
S.Nakashima and K.Izumi, J. Mater. Res. Vol.8,523(1993)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、SIMOX基板の製造においては、SOI層の貫通転位密度を一層低減するとともにBOX層の絶縁耐圧を向上させること、さらにBOX層の膜厚を広い範囲で制御して所望のBOX層厚を有するSOI基板を製造することが重要な課題となっている。そこで、本発明は、SOI基板の製造時にBOX層の膜厚を容易に制御し、かつBOX層の絶縁耐圧を向上させるとともにSOI層に発生する貫通転位を低減して、所望のBOX層厚を有する高品質のSOI基板を効率的に製造することのできるSOI基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも、単結晶シリコン基板の一方の主表面から酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成した後、該単結晶シリコン基板に酸素イオン注入層を埋め込み酸化膜層に変化させる酸化膜形成熱処理を行ってSOI基板を製造する方法において、少なくとも前記酸化膜形成熱処理を行う前に、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面に表面キンクを形成しておくことを特徴とするSOI基板の製造方法が提供される(請求項1)。
【0022】
このように、SOI基板を製造する際に、少なくとも酸化膜形成熱処理を行う前に単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面に表面キンクを形成しておけば、酸化膜形成熱処理でBOX層を形成する際に体積膨張により生じる歪みを緩和するために格子間シリコンがBOX層や基板表面からSOI層に放出されるが、この放出された格子間シリコンを基板表面の表面キンクに結合させて吸収させることができる。そのため、単結晶シリコン基板に酸素イオン注入する際に所望のBOX層厚が得られるように酸素ドーズ量を広い範囲で変化させても、酸化膜形成熱処理の際に格子間シリコンの放出が抑制されないため、歪みが十分に緩和されて貫通転位の発生を低減することができ、またBOX層で酸素析出物の成長と結合を促進でき、シリコン島の発生も低減できる。また、酸素析出物の成長と結合が十分になされることにより、SOI/BOX界面が平坦化され、それを反映したSOI層表面の表面粗さも小さくなる。したがって、所望のBOX層厚を有し、かつBOX層の絶縁耐圧が優れており、SOI層の貫通転位密度も小さい非常に高品質のSOI基板を容易にまた効率的に製造することができる。
【0023】
このとき、前記表面キンクを、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面を{100}面に対して傾けることによって形成しておくことが好ましく(請求項2)、特に前記表面キンクを、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面を{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾けることによって形成しておくことが好ましい(請求項3)。
【0024】
このように、単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面を{100}面に対して傾けて形成することにより、単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面に表面キンクを容易に形成することができる。特に、単結晶シリコン基板の表面を{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾けることによって、表面キンクを単結晶シリコン基板表面に高密度に形成できるので、表面キンクでより多くの格子間シリコンを吸収することが可能となり、貫通転位の発生が一層低減された極めて高品質のSOI基板を製造することができる。
【0025】
また、本発明によれば、単結晶シリコン基板として{100}面に対して傾斜した面方位を有するものを使用し、該単結晶シリコン基板に、少なくとも、単結晶シリコン基板の一方の主表面から酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成し、前記形成した酸素イオン注入層を埋め込み酸化膜層に変化させる酸化膜形成熱処理を行うことによってSOI基板を製造することを特徴とするSOI基板の製造方法が提供される(請求項4)。
【0026】
このように、{100}面に対して傾斜した面方位を有する単結晶シリコン基板に酸素イオン注入層を形成し、その後酸化膜形成熱処理を行ってSOI基板を製造すれば、酸化膜形成熱処理の際に単結晶シリコン基板の表面には表面キンクが形成されているので、SOI層に放出される格子間シリコンを基板表面の表面キンクに吸収させることができる。したがって、上述のように所望のBOX層厚を有し、かつBOX層の絶縁耐圧が優れており、SOI層の貫通転位密度も小さい非常に高品質のSOI基板を容易にまた効率的に製造することができる。
【0027】
このとき、前記単結晶シリコン基板として{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するものを使用することが好ましい(請求項5)。
このように、単結晶シリコン基板として{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するものを使用すれば、単結晶シリコン基板の表面に表面キンクが高密度に形成されているため、貫通転位の発生が一層低減された極めて高品質のSOI基板を製造することができる。しかも、このような基板であれば、作製も極めて容易である。
【0028】
そして、本発明によれば、上記本発明のSOI基板の製造方法により製造されたSOI基板を提供することができる(請求項6)。
本発明のSOI基板の製造方法により製造されたSOI基板であれば、所望のBOX層厚を有し、かつBOX層の絶縁耐圧が優れており、SOI層の貫通転位密度も非常に小さく、さらにはSOI/BOX界面の界面粗さ及びSOI層表面の表面粗さも小さい非常に高品質のSOI基板とすることができる。
【0029】
さらに、本発明は、シリコン支持基板上に埋め込み酸化膜層とSOI層とが順次積層された構造を有するSOI基板であって、前記埋め込み酸化膜層が酸素をイオン注入して形成されたものであり、かつ前記シリコン支持基板及びSOI層が{100}面に対して傾斜した面方位を有するものであることを特徴とするSOI基板を提供するものである(請求項7)。
【0030】
このようなSOI基板であれば、所望のBOX層厚を有し、かつBOX層の絶縁耐圧が優れており、SOI層の貫通転位密度も非常に小さく、さらにはSOI/BOX界面の界面粗さ及びSOI層表面の表面粗さも小さい非常に高品質のSOI基板とすることができる。
【0031】
このとき、前記シリコン支持基板及びSOI層が{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するものであることが好ましい(請求項8)。
このように、シリコン支持基板及びSOI層が{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するものであれば、貫通転位の発生が一層低減された極めて高品質のSOI基板となる。また、材料基板の入手も容易であることから、安価なものとなる。
尚、本発明において、{hkl}及び(hkl)、また<uvw>及び[uvw]の記載は一般の定義通りであり、例えば{100}は、(100)、(010)、(001)等の結晶面の総称を表すものであり、また例えば<100>は、[100]、[010]、[001]等の結晶方位の総称を表すものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来行われているSIMOX法によるSOI基板の製造では、前述のように、SOI層の貫通転位密度を一層低減するとともにBOX層の絶縁耐圧を向上させること、またBOX層の膜厚を広い範囲で制御して所望のBOX層厚を有するSOI基板を製造することが重要な課題となっている。
【0033】
そこで、本発明者等は、このような課題を解決するために、SIMOX法によるSOI基板の製造について鋭意実験及び検討を重ねて、以下に示すような考察を行った。
通常、SIMOX法により製造されたSOI基板のBOX層は、酸素イオン注入後に酸化膜形成熱処理を行った際に、酸素イオン注入層でシリコン酸化物の析出物(酸素析出物と呼ぶことがある)が形成され、それが成長し結合することによって形成される。このとき、酸素析出物の成長は大きな体積膨張を伴い、その体積膨張によって基板に生じる歪みは、格子間シリコンを放出することにより緩和される。
【0034】
しかし、高温で熱処理を行ってBOX層を形成する際には、単結晶シリコン基板の表面でもシリコン酸化膜が成長することになり、基板表面側からも格子間シリコンが基板内部に放出される。その結果、BOX層での酸素析出物の成長により放出された格子間シリコンやシリコン基板表面の酸化により放出された格子間シリコンが狭いSOI層内に閉じ込められて、SOI層内で格子間シリコンが過剰な状態となることが考えられる。そのため、更なる格子間シリコンの放出が抑制されて歪みが緩和されなくなるので、BOX層での酸素析出物の成長が抑制されてしまい、そしてこの酸素析出物が十分に成長できなかった部分がBOX層内に取り残された結果、シリコン島が発生すると考えられる。さらに、SOI層では、歪みを緩和するために貫通転位が発生すると考えられる。
【0035】
本発明者等は、以上のような考察に基づいて、単結晶シリコン基板に酸化膜形成熱処理を行う前に、SOI層に放出される格子間シリコンを吸収できる何らかの格子間シリコン吸収源をシリコン基板に導入することができれば、BOX層を形成する際に格子間シリコンのSOI層内への放出が抑制されないため、基板の歪み緩和を促進することができ、それによって酸素析出物の成長を促進してシリコン島の発生を抑制できること、またSOI層での貫通転位の発生も低減できることを見出した。
【0036】
そして本発明者等は、さらに研究及び検討を重ねることにより、上記のような効果を有する格子間シリコン吸収源として、例えば単結晶シリコン基板の表面を{100}面に対して傾けることによって形成される表面キンクや、単結晶シリコン基板に急速加熱・急速冷却処理(RTA処理:Rapid ThermalAnnealing)を行うことによって基板内に発生させる原子空孔、その他様々の格子間シリコンの吸収源を使用できることを発見した。さらにその中でも、特に基板表面に形成した表面キンクが、酸化膜形成熱処理のような1300℃以上の高温の熱処理でも格子間シリコンの吸収源として安定して機能することから、SIMOX法によるSOI基板の製造に非常に有効であることを発見して、本発明を完成させた。
【0037】
以下、本発明のSOI基板の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、図2は、本発明に係るSIMOX法によりSOI基板を製造する方法の一例を示すフロー図である。
【0038】
先ず、単結晶シリコン基板1を準備する(工程(a))。このとき、単結晶シリコン基板1としては、{100}面に対して任意の方向に傾斜した面方位を有するものを使用し、単結晶シリコン基板1の酸素イオン注入する側の表面に表面キンクを形成しておく。
【0039】
この単結晶シリコン基板表面に形成する表面キンクとは、AFM(原子間力顕微鏡)等により基板表面を原子レベルで観察した場合に確認できる原子ステップ構造に関係するものであり、例えば図1に示すように、基板表面において異なる結晶格子面を有する2つの原子ステップS1,S2が交差した窪み部分Kのことを意味する。尚、この図1は、(001)面に対して[010]方向に若干傾斜した面を有する単結晶シリコン基板の表面キンクを模式的に示したものであり、S1とS2は互いに直交する{110}の結晶格子面を有している。
【0040】
このような表面キンクを有する単結晶シリコン基板を作製するためには、例えば、一般的なチョクラルスキー法(Czochralski法:以下CZ法という)や磁場印加CZ法(MCZ法)により結晶方位<100>方向に育成されたシリコンインゴットからシリコン基板をスライスする際に、切断面が{100}面に対して傾斜するようにスライスし、得られた基板に面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の標準的なウエーハ加工を施すことによって容易に得ることができる。また、その他の方法として、例えばCZ法やMCZ法によりシリコン単結晶を育成する際に、用いる種結晶のシリコン融液に接触させる表面を{100}面に対して傾くように加工しておき、その種結晶を用いてシリコンインゴットを育成し、得られたシリコンインゴットを結晶成長軸方向に対してほぼ垂直にシリコン基板をスライスした後、上記のような標準的なウエーハ加工を施すことにより作製することもできる。
【0041】
このとき、単結晶シリコン基板としては、{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するようにして作製したものを使用することが好ましく、このような単結晶シリコン基板であれば基板表面に表面キンクが高密度に形成された基板とすることができる。傾斜角度が1°未満であると、十分な表面キンク密度が得られない場合がある一方、10°を超える場合には基板の加工に不都合が生ずるほか、表面キンク密度が低下する場合もある。傾斜角度のより好適な範囲は2°〜7°であり、3°〜5°の範囲とすることが一層好ましい。尚、この場合、<100>方向のみに傾斜させるだけでなく、<100>方向以外の他の方向にも同時に傾斜させても良い。
【0042】
次に、このように基板表面に表面キンクを有する単結晶シリコン基板1は、工程(b)で、表面キンクが形成されている側の主表面から酸素イオン(O)を所定の深さにイオン注入して酸素イオン注入層2を形成する。このとき、イオン注入条件は特に限定されるものではないが、例えば、注入エネルギーは一般的に広く用いられている150〜200keV程度とし、また酸素のドーズ量は、BOX層を形成したときに所望の厚さが得られるように制御してイオン注入を行う。例えば、膜厚が200nm程度となる厚いBOX層を形成する場合であれば、酸素ドーズ量を9×1017/cm程度とすれば良く、また50nm程度の薄いBOX層を形成する場合であれば、酸素ドーズ量を2×1017/cm程度に制御すれば良い。またこのとき、必要に応じて、酸素イオンの注入を2回以上に分割して行うこともできる。
【0043】
このようにして単結晶シリコン基板1に酸素イオン注入層2を形成した後、工程(c)において酸素イオン注入層2をBOX層3に変化させる酸化膜形成熱処理を行う。酸化膜形成熱処理の熱処理条件は、酸素イオン注入層2をBOX層3に変化させることができれば特に限定されるものではないが、例えば、酸素分圧が1%以下の不活性ガス雰囲気下で、1300℃以上シリコン融点以下の温度で数時間の熱処理を行うことによって、BOX層3を形成することができる。同時に、表面には薄い熱酸化膜4’が形成される。
【0044】
またBOX層3を形成した後、必要に応じて、さらに工程(d)に示すような、いわゆるITOX処理を行うこともできる。例えば、BOX層3を形成したシリコン基板に、酸素分圧を70%程度にした雰囲気下、1300℃以上の温度で数時間のITOX処理を行うことによって、BOX層3を厚膜化してその品質を一層向上させるとができる。尚、このようなITOX処理を行うと基板表面に熱酸化膜4が形成される。
【0045】
このように単結晶シリコン基板1に酸化膜形成熱処理(工程(c))やITOX処理(工程(d))を行ったとき、BOX層3で酸素析出物の成長による体積膨張が生じて基板に歪みが発生するため、前述のように歪みを緩和するために格子間シリコンがSOI層へ放出されるが、本発明では、単結晶シリコン基板の表面に格子間シリコンの吸収源となる表面キンクが形成されているため、SOI層へ放出された格子間シリコンを表面キンクに結合させて吸収することができる。
【0046】
したがって、SOI層は格子間シリコンが過剰な状態とはならないので格子間シリコンのSOI層への放出が抑制されず、上記体積膨張による歪みを十分に緩和することが可能となる。そのため、SOI層では貫通転位の発生を低減することができ、またBOX層では酸素析出物の成長が促進されるのでシリコン島の発生を抑制することができる。さらに、酸素析出物の成長と結合が十分になされることにより、SOI/BOX界面を平坦化できるとともに、それを反映したSOI層表面の表面粗さも小さくすることができる。
【0047】
さらにこのとき、表面キンクが形成されている基板表面では、格子間シリコンの吸収によりシリコンの再成長が起こるため、SOI層が拡大する。そして、このように拡大したSOI層は、例えば工程(d)のITOX処理においてその処理条件を制御して基板表面に形成される熱酸化膜4の膜厚を調節することによって、最終的に形成されるSOI層の膜厚を所望の厚さに制御することが可能となる。
【0048】
そして最後に、工程(e)において基板表面に形成されている熱酸化膜4をエッチングや化学的機械的研磨等によって除去することによって、シリコン支持基板5上にBOX層6とSOI層7とが順次積層された構造を有するSOI基板8を効率的に製造することができる。
このようにしてSOI基板を製造することによって、BOX層6が所望の膜厚を有するとともにその絶縁耐圧も非常に優れており、またSOI層7の貫通転位密度も非常に小さく、さらにはSOI/BOX界面の界面粗さ及びSOI層表面の表面粗さも向上した非常に高品質のSOI基板を得ることができる。
【0049】
すなわち、上記本発明のSOI基板の製造方法により、例えば膜厚が200nm程度となる厚いBOX層を形成する場合であれば、前記のように酸素イオン注入の際に酸素をドーズウインドウの範囲を超えた9×1017/cm程度の高いドーズ量で注入し、その後酸化膜形成熱処理を行うことによって、貫通転位やシリコン島の発生が低減されたSOI基板を効率的に製造することができるが、一方従来の製造方法では、BOX層を単に200nm程度に厚く形成することは可能であるものの、貫通転位やシリコン島が高密度で発生してしまい、製造されるSOI基板の品質は非常に低いものとなる。
【0050】
また、本発明により50nm程度の薄いBOX層を形成する場合であれば、酸素イオン注入の際に酸素ドーズ量を2×1017/cm程度に制御することによって、SOI層に貫通転位が発生してなく、またBOX層の絶縁耐圧も優れている高品質のSOI基板を製造することができる。それに対して、従来の製造方法では、このように酸素のドーズ量が低い場合、連続的で均一なBOX層が得られにくく、また薄いBOX層が得られたとしても貫通転位密度が高いため、品質の低いSOI基板となる。
【0051】
尚、本発明のSOI基板の製造方法は、少なくとも酸化膜形成熱処理を行う前に、単結晶シリコン基板の酸素イオンを注入する側の表面に表面キンクを形成しておけば良く、表面キンクの形成方法については特に限定されるものではない。
【0052】
さらに、上記本発明のSOI基板の製造方法では、格子間シリコンの吸収源として単結晶シリコン基板表面に形成した表面キンクを利用しているが、例えば、シリコン基板にRTA処理を施すことによって基板表面近傍に発生させた原子空孔等のようなその他の格子間シリコンの吸収源を利用することによっても、上記に示した効果を同様に得ることが可能となる。
【0053】
すなわち、単結晶シリコン基板に酸素をイオン注入した後に、酸化膜形成熱処理を施すことにより埋め込み酸化膜層を形成するSOI基板の製造方法において、格子間シリコンの吸収源を少なくとも前記酸化膜形成熱処理段階で有している単結晶シリコン基板を用いるようにすることができ、さらに前記単結晶シリコン基板を、格子間シリコンの吸収源をイオン注入する側の表面を含むイオン注入の飛程深さまでの領域内に有するものとすることが好ましい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
磁場印加CZ法により、結晶引き上げ方向が[001]方向となるように、直径300mmのシリコンインゴットを育成した。このシリコンインゴットから、切断面が(001)面に対して[010]方向に4°傾くようにして単結晶シリコン基板を切り出した(実施例1)。また、比較例1として、シリコンインゴットから結晶成長軸方向に対して垂直に(切断面が(001)面に一致するように)単結晶シリコン基板を切り出した(比較例1)。これらの2種類の単結晶シリコン基板に対して、それぞれに面取り、ラッピング、化学的エッチング、化学的機械的研磨を行って鏡面基板とした。
【0055】
次に、これらの鏡面基板に、以下のようなイオン注入条件で酸素をイオン注入してイオン注入層を形成した。イオン注入条件は、先ず1段目の酸素イオン注入として、基板温度が560℃、注入エネルギーが220keV、ドーズ量が4.0×1017/cmの条件でイオン注入し、続いて2段目の酸素イオン注入として、基板温度が560℃、注入エネルギーが170keV、ドーズ量が3.7×1017/cmの条件でイオン注入するように設定した。この酸素イオン注入において、シリコン基板に注入される酸素の総ドーズ量は7.7×1017/cmであり、一般にドーズウインドウと呼ばれている3.5〜4.0×1017/cmの範囲外である。また、1段目と2段目の酸素イオン注入の間には、特別な熱処理などは行わなかった。
【0056】
このようにして酸素イオン注入したシリコン基板は、標準的な洗浄が行われた後、酸化膜形成熱処理を、酸素分圧が0.5%のアルゴン雰囲気下、1350℃で4時間行ってシリコン基板にBOX層を形成した。さらに引き続いて、酸素分圧を70%に変えて、1350℃で6時間のITOX処理を行った。ITOX処理後、基板表面に形成された酸化膜をフッ酸で除去し、SIMOX基板とした。
【0057】
上記のようにして作製した実施例1及び比較例1のSIMOX基板について、分光エリプソメトリを用いてSOI層及びBOX層の膜厚を測定した。その結果、実施例1のSIMOX基板では、SOI層の膜厚が40nm、BOX層の膜厚が221nmであり、一方比較例1のSIMOX基板では、SOI層の膜厚が34nm、BOX層の膜厚が220nmであった。この結果から、実施例1の基板の方がSOI層の膜厚が厚くなっていることがわかった。これは、実施例1の基板では表面キンクが格子間シリコンを吸収することによって、シリコン層が再成長したためであると考えられる。
【0058】
次に、それぞれのSIMOX基板のSOI層表面の表面粗さを評価した。用いた測定器は、KLA Tencor製のHRP320である。測定範囲は20μm×20μmとしてRMS(Root Mean Square)値を求めた。その測定結果を図3に示す。各SOI基板の表面粗さを求めた結果、実施例1のRMS値は1nmであり、比較例1は4nmであった。このことから、本発明によればSOI層の表面粗さが改善されることが確認された。
【0059】
さらに、SIMOX基板のHF欠陥を評価するため、実施例1及び比較例1のSIMOX基板をそれぞれ50%HF溶液に30分間浸漬し、その後光学顕微鏡で観察することによりHF欠陥密度を測定した。その結果、実施例1のHF欠陥密度は0.1個/cmであり、比較例1は1800個/cmであることがわかった。このことから、本発明によればHF欠陥密度も低減されることがわかった。
尚、HF欠陥とはSOIウエーハをHF溶液に浸漬することで検出されるSOI層中の結晶欠陥の総称であり、SOI層を貫通する欠陥部分を通してHF溶液がBOX層をエッチングしてできた空洞を検出するものである。
【0060】
本実施例1、比較例1のSIMOX基板は、高温長時間のITOX処理が行われたものであるので、SOI層に存在した貫通転位には酸化膜が成長し、HF欠陥として検出されるものと考えられる。従って、HF欠陥密度の低減は、SOI層の貫通転位の低減と関連していると判断される。
【0061】
以上の結果から、本発明によれば、一般的なドーズウインドウよりも高いドーズ量で酸素をイオン注入しても、SOI層の貫通転位などの欠陥やSOI層の表面粗さが低減された高品質のSOI基板(SIMOX基板)を製造することができることがわかった。
【0062】
(実施例2、比較例2)
酸素イオン注入の条件を、基板温度が560℃、注入エネルギーが200keV、ドーズ量が3.0×1017/cmの1段階の酸素イオン注入とすること以外は上記実施例1及び比較例1と同様にしてSIMOX基板を作製し(実施例2及び比較例2)、作製したそれぞれのSIMOX基板の品質評価を行った。
【0063】
先ず、各SIMOX基板のSOI層及びBOX層の膜厚を分光エリプソメトリを用いて測定した結果、実施例2ではSOI層の膜厚が148nm、BOX層の膜厚が85nmとなり、比較例2では、SOI層の膜厚が145nm、BOX層の膜厚が84nmであった。この結果から、実施例1及び比較例1の場合と同様に、実施例2のSOI基板の方がSOI層の膜厚が厚くなっていることがわかった。
【0064】
次に、SOI層表面の表面粗さを、実施例1と同様にKLA Tencor製のHRP320を用いて評価した。その測定結果を図4に示す。各SOI基板の表面粗さを求めた結果、実施例2のRMS値は1nmであり、比較例2は10nmであった。このことから、本発明によれば酸素ドーズ量が低い場合でも、SOI層の表面粗さが改善されることが確認された。
【0065】
また、HF欠陥密度を測定した結果、実施例2のHF欠陥密度は0.1個/cmであり、比較例2は192個/cmであることがわかった。このことから、本発明によれば、酸素ドーズ量が低い場合でもHF欠陥密度が低減されること、すなわち、貫通転位の発生が低減されることが確認された。
【0066】
以上の実施例1、2及び比較例1、2の結果から、本発明によれば、所望のBOX層の膜厚を得るために酸素ドーズ量を広い範囲で変化させても、SOI層の貫通転位などの欠陥が発生せず、またSOI層表面の表面粗さが小さい高品質のSOI基板(SIMOX基板)を製造することができることが確認された。すなわち、本発明によれば、SOI層及びBOX層の品質を高く維持しつつ、BOX層の膜厚を広い範囲で制御できることが示された。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所望のBOX層厚を有し、かつBOX層の絶縁耐圧が優れており、SOI層の貫通転位密度も非常に小さく、さらにはSOI/BOX界面の界面粗さ及びSOI層表面の表面粗さも小さい非常に高品質のSOI基板を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面キンクが形成されている単結晶シリコン基板の表面を概略的に示した概略図である。
【図2】本発明に係るSIMOX法によるSOI基板の製造方法の一例を示したフロー図である。
【図3】実施例1及び比較例1においてSIMOX基板のSOI層表面の表面粗さを測定した測定結果を示す図である。
【図4】実施例2及び比較例2においてSIMOX基板のSOI層表面の表面粗さを測定した測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1…単結晶シリコン基板、 2…酸素イオン注入層、
3…埋め込み酸化膜層(BOX層)、 4,4’…熱酸化膜、
5…シリコン支持基板、 6…埋め込み酸化膜層(BOX層)、
7…SOI層、 8…SOI基板、
S1,S2…原子ステップ、 K…窪み部分。

Claims (8)

  1. 少なくとも、単結晶シリコン基板の一方の主表面から酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成した後、該単結晶シリコン基板に酸素イオン注入層を埋め込み酸化膜層に変化させる酸化膜形成熱処理を行ってSOI基板を製造する方法において、少なくとも前記酸化膜形成熱処理を行う前に、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面に表面キンクを形成しておくことを特徴とするSOI基板の製造方法。
  2. 前記表面キンクを、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面を{100}面に対して傾けることによって形成しておくことを特徴とする請求項1に記載のSOI基板の製造方法。
  3. 前記表面キンクを、前記単結晶シリコン基板の酸素イオン注入する側の表面を{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾けることによって形成しておくことを特徴とする請求項2に記載のSOI基板の製造方法。
  4. 単結晶シリコン基板として{100}面に対して傾斜した面方位を有するものを使用し、該単結晶シリコン基板に、少なくとも、単結晶シリコン基板の一方の主表面から酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成し、前記形成した酸素イオン注入層を埋め込み酸化膜層に変化させる酸化膜形成熱処理を行うことによってSOI基板を製造することを特徴とするSOI基板の製造方法。
  5. 前記単結晶シリコン基板として{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するものを使用することを特徴とする請求項4に記載のSOI基板の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のSOI基板の製造方法により製造されたSOI基板。
  7. シリコン支持基板上に埋め込み酸化膜層とSOI層とが順次積層された構造を有するSOI基板であって、前記埋め込み酸化膜層が酸素をイオン注入して形成されたものであり、かつ前記シリコン支持基板及びSOI層が{100}面に対して傾斜した面方位を有するものであることを特徴とするSOI基板。
  8. 前記シリコン支持基板及びSOI層が{100}面に対して結晶方位<100>方向に1〜10°傾斜した面方位を有するものであることを特徴とする請求項7に記載のSOI基板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007208023A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Sumco Corp Simoxウェーハの製造方法
JP2007227424A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Sumco Corp Simoxウェーハの製造方法
JP2010177494A (ja) * 2009-01-30 2010-08-12 Covalent Materials Corp シリコンウェーハの熱処理方法

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