JP2004281927A - 有機太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機半導体の光電変換作用により発電する有機太陽電池であって、透明電極層10と、光透過率70%以上の導電性金属薄層40と、有機半導体層20と、金属電極層30とが積層されてなる有機太陽電池。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機太陽電池に関し、詳しくは、有機半導体が有する光電変換作用を利用した有機太陽電池を対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
有機太陽電池は、シリコンなどの無機半導体を利用した太陽電池と異なり、合成高分子などの有機材料からなる有機半導体を利用する。
有機半導体は、無機半導体に比べて材料が安価で製造が容易であるなどの利点を有している。但し、現段階では無機半導体に比べて光電変換効率が低いため、実用化を目指して光電変換効率の高い有機半導体の開発が進められている。
非特許文献1には、有機半導体として、ペリレンベンズイミダゾール(PBI)とポリ[2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン−1,2−エタニレン−2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン−1,2−エタニレン(M3EH−PPV)とを組み合わせる技術が示されている。ITO/PBI/M3EH−PPV/Auという層構成の有機太陽電池で、光電変換効率η=0.71%(80mW/cm2)を達成できることが報告されている。
【0003】
【非特許文献1】
エー・ジェイ・ブリーズ他、「ポリマー−ペリレン・ジイミド・ヘテロ結合太陽電池」、応用物理学報告、アメリカ合衆国、アメリカ物理学会、2002年10月14日、p.3085−3087〔「Polymer−perylene diimide heterojunction solar cells : A.J.Breeze et al.」(APPLIED PHYSICS LETTERS、14 OCTOBER 2002、American Institute of Physics)〕
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した先行技術の有機太陽電池でも、その光電変換効率は不十分であり、実用性あるいは商品価値の高い太陽電池とは言い難い。
無機太陽電池に比べて光電変換効率に劣る有機太陽電池は、大面積にすることで必要な電力を発生させることが考えられる。ところが、大面積にすると光電変換効率がさらに低下してしまって、必要な電力が発生できなくなることがある。この発明の課題は、現段階で得られる有機半導体材料の限界を超えて、光電変換効率の向上を達成することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる有機太陽電池は、有機半導体の光電変換作用により発電する有機太陽電池であって、透明電極層と、光透過率70%以上の導電性金属薄層と、有機半導体層と、集電極層とが積層されてなる。
〔有機太陽電池〕
基本的には、有機半導体の光電変換作用により発電する有機太陽電池であれば、通常の有機太陽電池と共通する技術を組み合わせて構成できる。
有機太陽電池の基本構成は、透明電極層、有機半導体層、集電極層を有する。透明電極層側から有機半導体層に照射された太陽光などの光のエネルギーが、光電変換素子である有機半導体層で電気エネルギーに変換され、透明電極層と集電極層との間に起電力を発生する。
【0006】
本発明では、透明電極層と有機半導体層との間に、光透過率70%以上の導電性金属薄層を備える。
〔透明電極層〕
基本的には、通常の有機太陽電池における透明電極層と共通する材料および構造が採用できる。
通常、透明なガラスやプラスチックフィルムの表面に、透明な導電材料からなる透明電極層を形成したものが使用される。
透明電極層の材料としては、有機太陽電池に照射される光を効率的に有機半導体層に供給できる光透過性の高い材料が好ましい。また、有機半導体層で生成された電気エネルギーを効率的に取り出すことができる導電性の高い材料が好ましい。実用的に使用できる耐久性や強度、生産性、経済性なども必要である。
【0007】
透明電極の材料として、ITO(indium tin oxide)、FTO(F doped tin oxide)等の導電性金属酸化物や炭素薄膜などが挙げられる。工業的に利用し易く性能的にもバランスのとれたITOが好ましい材料である。複数の材料層を積層して構成することもできる。
透明電極層の厚みは、厚いほど電気抵抗は小さくなり電気エネルギーを効率的に取り出すことができる。しかし、同じ材料であれば、厚みが薄いほど光透過性は高くなる。強度や耐久性は、厚みがあるほど良好である。本発明では、導電性金属薄層を備えていることで、透明電極層における導電性の低下を補うことができる。これらの条件を勘案して適切な厚み条件が設定される。通常は、厚み10〜10000Åに設定できる。好ましくは、厚み100〜500Åである。
【0008】
透明電極の光透過性は、材料の特性と前記厚みによっても変わるが、通常は、光透過率70%以上に設定する。好ましくは、光透過率75〜100%である。光透過率は、波長450〜900nmにおける光透過率で規定する。特に、太陽光の波長域のうち可視光領域である500nm付近において光透過率の高い材料が好ましい。
〔導電性金属薄層〕
導電性金属薄層は、有機半導体層で光電変換された電気エネルギーを効率良く取り出す機能を果たす。
【0009】
導電性金属薄層は、導電性に優れた金属材料で構成される。また、透明電極側から有機半導体への光の供給を阻害しないように光透過性に優れた材料が好ましい。有機半導体層の光電変換作用や透明電極層への電気エネルギーの取り出しに悪影響を与えない材料が好ましい。具体的には、IA、IIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVBの各族元素群から選ばれる材料が好ましい。より具体的には、In、Al、Li、Sn、Mg、Ca、Ag、Au、Ptが挙げられる。複数の材料層を積層して用いることもできる。
有機半導体層が、複数の有機半導体を組み合わせた構造である場合には、使用する有機半導体の材料によって、好ましい金属材料が選択される。
【0010】
導電性金属薄層と有機半導体層との界面に存在する有機半導体のうち、主成分となる有機半導体とはオーミック接触になる材料が好ましい。また、主成分以外の有機半導体とは、ショットキー障壁を構成するなどして、導電性金属薄層から有機半導体への逆電子移動が生じ難い材料が好ましい。例えば、主成分以外の有機半導体がp型半導体である場合、仕事関数の小さなIn、Al、Mg、Caなどが好ましい。主成分以外の有機半導体がn型半導体である場合は、Au、Ptなどが好ましい。
導電性金属薄層に隣接してn型有機半導体層が蒸着形成され、n型有機半導体層の上にp型有機半導体層がスピンコートによって形成されている場合、p型有機半導体層の材料の一部がn型有機半導体層に浸透する現象が生じて、n型有機半導体層には、主成分であるn型有機半導体と比較的少量のp型有機半導体とが混在した状態になることがある。この場合は、主成分であるn型有機半導体とはオーミック接触し、主成分と異なるp型有機半導体とは逆電子移動が生じ難い材料として、Inなどが選択できる。
【0011】
導電性金属薄層と接触している有機半導体層が、n型有機半導体とp型有機半導体との混合層である場合も、導電性金属薄層の材料として、主成分とはオーミック接触し、主成分と異なる成分とは逆電子移動が生じ難い材料を選択することができる。
導電性金属薄層は、作製可能で実用的な耐久性などが確保されれば、できるだけ薄いもののほうが光透過性は良好になる。使用する材料によっても異なるが、通常は、厚み0.1〜10,000Åに設定する。好ましくは厚み5〜500Åである。
【0012】
導電性金属薄層の光透過率は、70%以上に設定しておく。好ましくは、光透過率80〜100%である。透明電極層と同様に、光透過率は、波長450〜900nmにおける光透過率で規定する。特に、太陽光の波長域のうち可視光領域である500nm付近において光透過率の高い材料が好ましい。
導電性金属薄層の作製は、通常の電子素子や電子回路における導電層の作製手段が適用できる。CVD、PVDなどの薄膜形成手段が適用できる。
導電性金属薄層の表面粗さ、具体的には有機半導体との境界面における3次元表面粗さRaを、0.3nm以上に設定する。好ましくは0.5〜100nmである。導電性金属薄層の表面粗さは、使用する材料や製造方法によって違ってくる。導電性金属薄層を形成する下地層、例えば透明電極層の材質や表面性状によっても変わる。
【0013】
〔有機半導体層〕
光の照射によって光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換作用を発揮できれば、通常の有機太陽電池と同様の材料および構造が採用できる。
一般的な有機太陽電池の有機半導体層には、n型半導体として機能する材料層とp型半導体として機能する材料層とが積層された複層構造のもの、および、一つの層にn型機能分子構造とp型機能分子構造とが混在あるいは複合化された単層構造のものとがある。n型機能分子、p型機能分子はそれぞれ、単独で単層として用いたり、無機物質と併用したりするものがある。グレッツェルセルと呼ばれる構造も知られている。何れの構造のものでも適用できる。前記した複層構造の場合、n型層を透明電極層および導電性金属薄層の側に、p型層を集電極層の側に配置するのが好ましい。
【0014】
有機半導体層の材料として、π共役系を有する有機物質が使用できる。具体例として、例えば、色素に包含される物質として、シアニン系、メロシアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、キノン系、キノイシン系、キナクドリン系、スクアリリウム系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ポルフィリン系、ペリレン系、インジコ系の物資が挙げられる。
高分子物質として、ポリアセチン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリパラフェニレン系、ポリパラフェニンビニレン系、ポリチエニレンビニロン系、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)系、ポリフルオレン系、ポリアニリン系、ポリアセン系が挙げられる。
【0015】
TCNQに代表される有機超伝導物質も利用できる。
有機半導体層を、可溶性の有機半導体材料で形成している場合、あるいは、有機半導体層を構成する層の一つに可溶性有機半導体層を含む場合、不溶性の有機半導体材料の層だけからなる場合に比べて、分子レベルでの接合力が大きくなり、発生する電流値が大きくなり、太陽電池抵抗を少なくすることができる。
有機半導体層の具体的構造例として、PA−PPV層:ポリ(フィニルイミノ−1,4−フェニレン−1,2−エチニレン−2,5−ジヘキシロキシ−1,4−フェニレン−1,2−エチニレン−1,4−フェニレン)〔Poly(phenylimino−1,4−phenylene−1,2−ethenylene−2,5−dihexyloxy−1,4−phenylene−1,2−ethenylene−1,4−phenylene〕あるいはMEH−PPV層:ポリ〔2−メトキシ−5−(2´−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン〕〔Poly(2−methoxy−5−(2’−ethylhexyloxy)−1,4−phenylenevinylen〕と、PV層:ビスベンズイミダゾ〔2,1−a:1´,2´−b´〕アンセラ〔2,1,9−def:6,5,10−d´e´f´〕ジイソキノリン−6,11−ジオン〕〔Bisbenzimidazo[2,1−a;1’,2’−b’]anthera[2,1,9−def;6,5,10−d’e’f’]diisoquinoline−6,11−dione〕(CAS55034−81−6)との積層構造が挙げられる。前記した非特許文献1に記載の有機半導体構造も採用できる。
【0016】
有機半導体層の厚みは、使用する材料や層構造によっても異なるが、通常は、100μm以下である。好ましくは、100〜5000Åである。
有機半導体層の作製は、通常の有機太陽電池の場合と同様の作製手段や作製条件が適用できる。各種の物理的または化学的薄膜形成手段が採用できる。金属材料などは蒸着技術が適用できる。可溶性の有機半導体材料であれば、溶液のスピンコーティングによる膜形成手段が利用できる。
〔集電極層〕
透明電極層と同じように有機半導体層で発生した電力を取り出す機能を果たす。但し、光を透明電極層の側から入射させるので、集電極層には光透過性は必要とされない。
【0017】
前記機能を果たすことができれば、通常の有機太陽電池で利用されている集電極層と同様の材料や構造が採用できる。集電極層の材料として、導電性を有する金属、無機および有機材料が使用できる。具体的には、Au、Ag、Al、Caが挙げられる。
集電極層の厚みは、導電性を良好にし電気エネルギーの損失が少なくなるように十分な厚みを設けておくことができる。但し、厚みが分厚過ぎると不経済である。通常は、10〜10000Åの範囲に設定できる。好ましくは、100〜500Åである。
【0018】
〔有機太陽電池の層構造〕
前記した透明電極層、導電性金属薄層、有機半導体層、集電極層とが、この順番で積層されていれば、その他の層構造については、通常の有機太陽電池と同様の技術が適用できる。
例えば、透明電極層、導電性金属薄層、有機半導体層、集電極層、導電性金属薄層、有機半導体層、集電極層と、光電変換作用に関与する構造部分を繰り返し積層する構造が採用できる。有機半導体層と集電極層との間などに、別の機能層を介在させることができる。各層を支持する支持基板を設けることができる。有機太陽電池を保護する保護層を設けることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔有機太陽電池の構造〕
図1は、有機太陽電池の模式的構造を示している。
図に白矢印で示すように、下から上へと光が照射されるものとする。
下から順に、透明電極層10、導電性金属薄層40、有機半導体層20および集電極層30を備えている。透明電極層10と集電極層30には、外部に電力を取り出すための配線50、50が接続されている。有機半導体層20は、下側のn型層22と上側のp型層24との積層構造を備えている。
【0020】
光は、透明電極層10および導電性金属薄層40を通過して有機半導体層20に供給される。有機半導体層20では、光エネルギーが電気エネルギーに変換されて、有機半導体層20の両側に起電力が発生する。
有機半導体層20で発生した起電力は、集電極層30および透明電極層10から配線50、50を経て外部に取り出される。
このとき、透明電極層10の側では、有機半導体層20から導電性金属薄層40を経て透明電極層10へと電気エネルギーが伝達される。導電性に優れた導電性金属薄層40が効率的に電気エネルギーの伝達を果たし、配線50、50に取り出すことのできる電気エネルギーが増大する。有機太陽電池としての綜合的な光電変換効率が大幅に向上する。
【0021】
その理由は次のように考えられる。
透明電極層10は、構造的に十分な厚みが必要であり、かつ、光の透過を妨げないように高い光透過性を要求される。そのため、透明電極層10の導電性能は、それほど高くはできない。そのため、有機半導体層20から透明電極層10のみを介して配線50まで電気エネルギーの伝達を行わせると、透明電極層10における電気抵抗による電気エネルギーの損失が過大になる。特に、無機半導体からなる太陽電池に比べて光電変換効率が劣る有機半導体層20では、もともと比較的に弱い電気エネルギーしか発生できないため、透明電極層10における電気エネルギーの損失が、太陽電池全体の性能に重大な影響を与えてしまう。配線50、50に取り出される電気エネルギーが極端に少なくなる。有機半導体層20そのものの光電変換効率よりも、有機太陽電池としての綜合的な光電変換効率が大きく低下する。
【0022】
特に、有機太陽電池の面積が広くなり、有機半導体層20から透明電極層10を経て配線50まで、長い距離を電気エネルギーが伝達されなければならない場合には、透明電極層10における損失が余計に大きく影響することになる。
これに対し、導電性金属薄層40が存在すると、有機半導体層20で発生した電気エネルギーは、導電性金属薄層40を大きな損失を生じずに効率的に伝達されることになるので、配線50に取り出すことのできる電気エネルギーが大幅に増大する。有機半導体層20の材料や構造は同じであっても、有機太陽電池の実質的な光電変換効率が大幅に向上する。
【0023】
しかも、導電性金属薄層40は、極めて薄い膜であっても十分な導電性を有している。透明電極層10から有機半導体層20への光エネルギーの供給を阻害することがない。十分な光透過性を発揮できるような薄い膜が採用できる。機械的な強度や耐久性などは透明電極層10で負担できるので、導電性金属薄層40は薄いものでも問題はない。
特に、導電性金属薄層40の表面のうち、有機半導体層20との境界面の表面粗さを比較的に粗いものにしておくと、導電性金属薄層40と有機半導体層20との間で電気的接触を果たす界面の面積が実質的に増大し、抵抗が減少する。その結果、前記した機能がより有効に発揮され、有機太陽電池の光電変換効率が向上する。
【0024】
【実施例】
図1に示す構造の有機太陽電池を具体的に作製し、その性能を評価した。
〔有機太陽電池の作製〕
表1に示す層構造の有機太陽電池を作製した。
ITOは、製造社の異なる2種類(I)および(II)を用いた。
(I)ジオマテック社製、品名:38×22×0.7EL.ITOパターン、光透過率78%(500nmで測定)、厚み200nm、抵抗8Ω/□。
(II)メルク・ディスプレイ・テクノロジー社製、型番:263−478−60、光透過率87%(500nmで測定)、厚み200nm、抵抗8Ω/□。
【0025】
上記ITO基板を透明導電層に用い、その上に、導電性金属薄層になるInを蒸着形成した。使用装置は、真空蒸着装置(VPC−410、ULVAC社製)、膜厚モニター(CRTM−5000、ULVAC社製)、蒸着用電源(PSE、1.5kVA、ULVAC社製)であり、作業手順や処理条件は常法にしたがった。
得られた導電性金属薄層Inの膜厚を、走査型プローブ顕微鏡AFM(米国デジタルインスツルメンツ社製、コントローラNanoScopeIIIA、マイクロプローブD3100使用)を用いて測定した。また、同じ装置を用いて、ITO膜上に形成されたIn層の3次元表面粗さRaを測定した。下地層であるITO膜には比較的に大きな凹凸があるため、実質的に平坦と見なせる狭い範囲(500nm程度)を設定して、In層の表面粗さRaを測定した。
【0026】
In層の上に、蒸着形成有機半導体層であるPV層を形成した。蒸着装置はInの場合と同じであった。PV材料は、常法により作製したものを用いた。
PV層の上に、可溶性有機半導体層であるMEH−PPV層あるいはPA−PPV層を形成した。MEH−PPV層は、MEH−PPV(商品名ADS100RE、アメリカン・ダイ・ソース社製)のクロロホルム溶液を、スピンコータ(1H−D7、ミカサ社製)を用いて、スピンコートした。PA−PPV層も同様にスピンコートで形成した。
最後に、集電極層であるAu層を、In層と同様の装置で蒸着形成した。
【0027】
各層の膜厚は、前記走査型プローブ顕微鏡AFMで測定した。
光透過率は、光度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて、波長500nmの光透過率を測定した。
〔性能評価〕
作製された有機太陽電池について、以下の試験を行なった。
500Wのキセノンランプ(ウシオ社製)から照射された光を、分光フィルター(Oriel社製、AM1.5)に通すことで、擬似太陽光を得る装置(関西科学機械社製)を用いた。擬似太陽光の強度は、100mW/cm2であった。
【0028】
光電変換面積0.04cm2の有機太陽電池に対して、各電極にワニ口クリップを接続して、発生した電気を電流電圧測定装置で測定した。測定装置は、電流計:KEITHLEY社製487、ファンクションジェネレータ:北斗電工社製HB−105、ポテンシオスタッド:北斗電工社製HA−5016を備えている。
開放光電圧(Voc)、短絡光電流密度(Isc)、フィルファクター(f.f.)などが測定され、これらの値から下式でエネルギー変換効率(η)を算出した。
フィルファクター(f.f.)=
〔太陽電池の最大起電力〕/(Voc×Isc) …(1)
ここで、太陽電池の最大起電力は、
〔太陽電池の最大起電力〕=〔(電流値×電圧値)の最大値〕である。
エネルギー変換効率η(%)=
Voc×Isc×f.f./100(mW/cm2)×100 …(2)
試験の結果を表1、2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
<評価>
(1) 透明電極層に2種類のITO(I)および(II)の何れを使用した場合でも、導電性金属薄層Inを有する実施例は、In層を設けない比較例に比べて、光電変換効率ηが格段に向上していることが判る。有機半導体層の材料や構造を変えただけでは実現困難なほどの光電変換効率ηの向上が、導電性金属薄層によって達成される。
(2) 実施例2と実施例3を比べると、In層を薄くするほど、光電変換効率ηの向上が達成できることが判る。
【0032】
(3) 有機半導体層を構成する材料の一部が異なる実施例1〜3と実施例4との何れでも、良好な性能向上が果たされていることから、有機半導体層の材料に関わらず、In層を設けることの技術的価値は高いことが判る。
〔参考試験〕
前記実施例において、In層の表面粗さについては、ITO膜の上に形成された状態で測定しているために、ITO膜の表面粗さの影響を受ける。
そこで、参考の為に、平滑なガラス面上に形成されたIn層の表面粗さ、および、ITO膜の表面粗さを測定した。ガラス面の表面粗さも測定した。In層およびITO膜の作製条件は前記実施例と同じである。
【0033】
その結果は、以下のとおりであった。
ガラス面:Ra(lc)=0.08nm
ガラス面上のIn層(厚み50Å):Ra(lc)=1.19nm
ガラス面上のIn層(厚み150Å):Ra(lc)=0.68nm
ITO膜:Ra(lc)=1.91nm
【0034】
【発明の効果】
本発明にかかる有機太陽電池は、透明電極層と有機半導体層との間に、光透過率70%以上の導電性金属薄層を配置していることで、有機半導体層で発生した電気エネルギーを損失させることなく効率的に電極から取り出すことができる。しかも、光透過性に優れた導電性金属薄層は、透明電極層から有機半導体層への光エネルギーの供給を阻害することがない。
その結果、有機半導体層の光電変換作用を有効に利用して、有機太陽電池の綜合的な光電変換効率を大幅に向上させることができる。有機半導体層の材料や構造の改良を待たずに、導電性金属薄層という簡単な構造を追加するだけで、経済的に性能向上を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を表す有機太陽電池の模式的断面図
【符号の説明】
10 透明電極層
20 有機半導体層
22 n型層
24 p型層
30 集電極層
40 導電性金属薄層
50 配線
Claims (5)
- 有機半導体の光電変換作用により発電する有機太陽電池であって、
透明電極層と、
光透過率70%以上の導電性金属薄層と、
有機半導体層と、
集電極層とが積層されてなる
有機太陽電池。 - 前記導電性金属薄層が、前記有機半導体との境界面における3次元表面粗さRaが、0.3nm以上である
請求項1に記載の有機太陽電池。 - 前記導電性金属薄層が、厚み1〜300Åであり、
前記透明電極層が、ITOからなり、厚み1〜500Åであり、光透過率70%以上である
請求項1または2に記載の有機太陽電池。 - 前記有機半導体層が、少なくとも可溶性有機半導体層を含む
請求項1〜3の何れかに記載の有機太陽電池。 - 前記有機半導体層が、前記集電極層に近い側に配置された可溶性有機半導体層と、前記透明電極層に近い側に配置された蒸着形成有機半導体層とを有する
請求項4に記載の有機太陽電池。
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