JP2004270039A - 防汚処理剤、防汚処理布帛及び防汚処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体が付着し難く、例えそれらが付着したとしても容易に脱落させることができ、平織り以外の凹凸のある布帛や、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても十分な防汚効果が得られる防汚処理剤、防汚処理布帛及び防汚処理方法を提供する。
【解決手段】水に非イオン性の帯電防止剤と、アルミノシリケートで修飾されたコロイダルシリカを含有するシリカゾルと、ポリエチレンの水性エマルジョンとが添加されている。
【選択図】 なし
【解決手段】水に非イオン性の帯電防止剤と、アルミノシリケートで修飾されたコロイダルシリカを含有するシリカゾルと、ポリエチレンの水性エマルジョンとが添加されている。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は布帛に対して防汚処理を行うための防汚処理剤、防汚処理された防汚処理布帛及び防汚処理方法に関する。これらの防汚処理剤、防汚処理布帛及び防汚処理方法は、雑多な粉体による汚れ防止(特に花粉汚れ防止)のために用いて好適である。
【従来の技術】
従来から、繊維に汚れが付着することを防止したり、付着した汚れを落ちやすくしたりする防汚処理が施された防汚処理繊維が知られている。
【0002】
このような繊維の防汚処理方法として、繊維表面に親水性を付与することが可能なSR剤に浸漬して処理を行うSR(soil release)処理が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】
特公平4−44011号公報
【0003】
SR処理を行えば、繊維の表面が親水性となり、皮脂等の親油性の汚れの付着力が弱められるとともに、繊維の吸水力も増大するため、洗濯によって容易に汚れを落とすことができる。このため、SR処理は、特に擦れ汚れ、ほこり汚れ、油汚れ、泥汚れなどに優れた防汚効果を発揮する。
【0004】
また、繊維の表面をシリコン系やフッ素系の撥水・撥油剤で被覆するSG(soil guard)処理も知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献2】
特公平4−44011号公報
【0005】
このSG処理を行えば、繊維の表面に撥水性及び撥油性が付与され、繊維に親水性の汚れが付着することを防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のSR処理やSG処理を行ったとしても、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰といった雑多な粉体による汚れに対しては、必ずしも防汚効果が十分とはいえなかった。特に花粉は、一般的に突起を有しているため、極めて繊維に付着しやすく、一旦繊維に付着した花粉を叩き落とすことは困難となる。このため、花粉に対する有効な防汚処理剤は存在しておらず、人体に対してアレルゲンとなる花粉に対する防汚処理剤の開発が望まれている。
【0007】
こうした雑多な粉体による汚れを防止する方法として、繊維の表面にカレンダー加工を施したり、コーティング剤を塗布したりして、布帛の表面を平滑化することも考えられる。こうであれば、花粉等の雑多な粉体が付着し難くなる。また、例え雑多な粉体が布帛の表面に付着したとしても、これを叩くことによって容易にその粉体を脱落させることができる。
【0008】
しかし、カレンダー加工やコーティング剤の塗布による布帛の防汚処理は、布帛が平織り以外の凹凸のある織り方であったり、有毛品のように毛羽のある布帛に対しては、平滑化が不十分となり、十分な防汚効果をあげることができなかった。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体が付着し難く、例えそれらが付着したとしても容易に脱落させることができ、平織り以外の凹凸のある布帛や、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても十分な防汚効果が得られる防汚処理剤、防汚処理布帛及び防汚処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題解決のため、繊維の親水性処理及び撥水撥油処理という原理や、繊維表面の平滑化という原理に基づかない新たな防汚処理剤として、繊維表面の電位をコントロールすることが可能な防汚処理剤を検討した。すなわち、繊維表面に帯電防止剤を付着させることにより繊維の帯電を防止し、花粉等の雑多な粉体が静電引力によって付着することを防止することを考えた。しかしながら、繊維に帯電防止剤の付着させたのみでは、花粉等の雑多な粉体汚れに対する防汚効果が十分ではないことを確認した。そして、さらに鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、帯電防止剤と、表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカとが添加された防汚処理剤によって布帛を処理すれば、花粉のみならず、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等、従来防汚が困難であった雑多な粉体の付着による汚れに対して極めて優れた防汚性を示すことを発見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の防汚処理剤は、布帛に対して浸漬処理を行うことによって汚れ付着を防止する防汚処理剤において、溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤とシリカゾルとが添加されており、該シリカゾルには表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカが含まれていることを特徴とする。
【0012】
本発明の防汚処理剤では、帯電防止剤が添加されているため、この防汚処理剤で布帛を浸漬処理すれば布帛の帯電が防止され、花粉等の雑多な粉体による汚れが静電引力によって付着することがある程度の防止効果を発揮する。また、この防汚処理剤には表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカが添加されているため、花粉等の雑多な粉体による汚れに対して優れた防汚効果を示すこととなる。その理由は、布帛表面付着したコロイダルシリカの表面電荷が、花粉等の雑多な粉体が通常有している表面電荷と同じプラスであるため、電気的斥力によりそれらの粉体の付着が防止され、例えそれらの粉体が布帛表面に付着したとしても、簡単に叩き落とすことができるからであると推定される。さらに、この防止処理剤は、カレンダー加工やコーティング剤によって布帛表面を平滑にするものではないため、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても、十分な防汚効果を発揮することができる。
【0013】
したがって、本発明の防汚処理剤によって布帛を処理すれば、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体が付着し難く、例えそれらが付着したとしても容易に脱落させることができ、平織り以外の凹凸のある布帛や、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても十分な防汚効果を得ることができる。
【0014】
帯電防止剤の含有量は0.001〜1質量%とされており、コロイダルシリカの含有量は0.02〜1質量%とされていることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、帯電防止剤が0.001質量%未満では帯電防止機能が十分発揮されず、防汚効果が不十分となる。また、帯電防止剤が1質量%を超えても、防汚効果はそれほど増大することはない。また、コロイダルシリカが0.02質量%未満では防汚効果が不十分となり、1質量%を超えた場合、風合いがざらつき、摩耗堅ろう度が低下することとなる。
【0015】
表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカとしては、例えばアルミのシリケートサイトによって修飾されたコロイダルシリカを用いることができる。発明者らの試験結果によれば、このようなコロイダルシリカを用いることにより、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体による汚れに対し、確実に防汚効果を発揮することができる。
【0016】
帯電防止剤としてはカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。発明者らの試験結果によれば、帯電防止剤としてこのような種類のものを採用すれば、雑多な粉体汚れに対して特に優れた防汚効果を有する防汚処理剤とすることができる。
【0017】
防汚処理剤には、さらにポリエチレンの水性エマルジョンが添加されていることが好ましい。本発明の防汚処理剤にはシリカゾルが添加されているため、布帛を処理した場合、繊維表面にコロイダルシリカが付着することとなる。このため、表面がざらつきやすく、摩擦堅ろう度が劣ったものになりやすい。防汚処理剤にポリエチレンの水性エマルジョンが添加されていれば、布帛表面にポリエチレンの微粉末が付着し、ザラツキが緩和され、摩擦堅ろう度に優れ、ソフトな感触の布帛とすることができる。
【0018】
防汚処理剤には、さらに撥水剤を添加することもできる。こうであれば、布帛に対し、防汚効果に加えて撥水効果を付与することが可能となる。
【0019】
本発明の防汚処理剤を用い、次の工程によって布帛の防汚処理をすることができる。すなわち、本発明の防汚処理方法は、溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤とシリカゾルとが添加されてた防汚処理剤中に布帛を浸漬する浸漬工程と、該防汚処理剤に浸漬された布帛を乾燥させる乾燥工程と、乾燥された布帛を加熱する熱処理工程とを有することを特徴とする。こうして、本発明の防汚処理布帛が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施例及び比較例を説明する。
【0021】
(実施例1a〜1f)
実施例1a〜1fを製造するための防汚処理剤として、表1に示す組成のものを調整した。
【0022】
【表1】
【0023】
ここで、シリカゾル中のコロイダルシリカは、表面電荷がプラスとされている。このようなコロイダルシリカは、特開平5−199515に記載された方法に従って調整することができる。すなわち、水ガラス由来のコロイダルシリカにアルミン酸ナトリウムをモル比で0.0006〜0.004となるように加え、80〜250°Cで一定時間加熱後、イオン交換樹脂によってイオン交換させることにより、アルミノシリケートサイトによって修飾されたコロイダルシリカを含むシリカゾルを得る。なお、表面電荷がプラスとされた市販のコロイダルシリカを用いることもできる。
【0024】
こうして得られた防汚処理剤を用い、次に示す生機を用いて、以下の工程に従って防汚処理を行った。
実施例1a・・・・ポリエステル100%
実施例1b・・・・ポリエステル85%+綿15%
実施例1c・・・・ポリエステル30%+綿70%
実施例1d・・・・ポリエステル60%+毛40%
実施例1e・・・・トリアセテート65%+ポリエステル35%
実施例1f・・・・ナイロン100%
【0025】
<浸漬工程>
上記実施例1a〜1fに係る生機を常法にしたがって精練及び中間セット(180°C)を行い、さらに紺色に染色した後、乾燥を行って染色布帛とする。この染色布帛を上記防汚処理剤が入ったパッド中に通過させる。
【0026】
<乾燥工程>
こうして防汚処理剤に浸漬された布帛を100〜130°Cで乾燥させる。
【0027】
<キュアリング処理>
さらに、加熱工程としてのキュアリング処理を150〜180°Cで行い、実施例1a〜1fの防汚処理布帛を得た。
【0028】
(実施例2)
実施例2では、防汚処理剤として表2に示すものを用いた。この防汚処理剤は、ポリエチレンの水性エマルジョンを含んでいない。また処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0029】
【表2】
(比較例1)
比較例1では、まず防汚処理剤としてミヨシ油脂株式会社 「ミューロンASA」の2.0質量%水溶液を用意する。このミューロンASAには、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が含まれている。
【0030】
次に、この防汚処理剤を用い、実施例1a〜1fと同様の工程に従って各種布帛の防汚処理を行い、比較例1a〜1fの防汚処理布帛を得た。ここで、比較例1a〜1fはそれぞれ以下の生機を用いた。
比較例1a・・・・ポリエステル100%
比較例1b・・・・ポリエステル85%+綿15%
比較例1c・・・・ポリエステル30%+綿70%
比較例1d・・・・ポリエステル60%+毛40%
比較例1e・・・・トリアセテート65%+ポリエステル35%
比較例1f・・・・ナイロン100%
【0031】
(評価)
上記実施例1a〜f及び比較例1a〜1fの防汚処理布帛に対して、以下のように付着抑制試験及び乾摩擦堅ろう度試験を行った。
【0032】
<汚れ付着抑制試験>
実施例1a〜1fの防汚処理布帛及び比較例1a〜1fの防汚処理布帛について、擬似汚れとしての各種粉体(「石松子(擬似花粉)」、「小麦粉」、「ファンデーション粉」、「JIS 試験用粉体 I7種(関東ローム) (財)日本粉体工業技術協会)」、「掃除機ホコリ」、「コーヒー粉」、「脱脂粉乳」、「片栗粉」、「ふくらし粉」、「胡椒粉」、「ナツメグパウダー」、「チョーク粉」、「床の土ぼこり」、「炭の粉」及び「石灰粉」の15種)に対する汚れ付着抑制試験を行った。すなわち、4L容量のチャック付ポリエチレン製袋を用意し、この中に試験用の粉体を1g入れる。さらに、7cm×7cmに裁断した実施例1aの防汚処理布帛及び比較例1aの防汚処理布帛を入れ、チャックを閉じた後、手で持って1秒間に約1回の割合で50回振る。その後、チャックを開けて防汚処理布帛を取り出し、その防汚処理布帛の対角線の両端をつまんで軽く叩いた後、その表面の状況を肉眼により観察する。評価は4段階で行い、「極めて良好」を◎、「良好」を○、「効果あり」を△、「効果がない」を×で表した。同様にして実施例1bと比較例1b、実施例1cと比較例1c、実施例1dと比較例1d、実施例1eと比較例1e及び実施例1fと比較例1fとをそれぞれ比較した。結果を表3及び表4に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
表3及び表4から分かるように、実施例1a〜1fの防汚処理布帛では、擬似花粉である石松子に対して防汚効果を有しており、特にポリエステル布帛に対して優れた防汚効果を示した。また、JIS汚粉に対してもほぼ同様の防汚効果を示した。さらに、実施例1a及び実施例1bでは小麦粉、ファンデーション、掃除機ホコリ、コーヒー粉、脱脂粉乳、片栗粉、ふくらし粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、チョーク粉、床の土ボコリ、炭の粉及び石灰粉に対しても優れた効果を示した。これに対し、比較例1a〜1fの防汚処理布帛では、防汚効果は認められなかった。
【0036】
<乾摩擦堅ろう度試験>
上記実施例1a、実施例2及び比較例1aの防汚処理布帛について、JIS L0849に準拠して乾摩擦堅ろう度試験を行った。すなわち、防汚処理布帛を学振型摩擦試験機の試験台に摩擦面を上にし、加重を200gとし、毎分30往復の速度で100回の往復摩擦を行った。その結果、比較例1aの乾摩擦堅ろう度は評価4となり、優れた摩擦堅ろう度を示した。これに対し、実施例2の防汚処理布帛は評価3となり、若干劣る結果となった。これは、実施例2の防汚処理布帛は表面にコロイダルシリカが付着しているため、ザラツキを生じることによるものと考えられる。しかしながら、ポリエチレンの水性エマルジョンを含む防汚処理剤で処理された実施例1aの防汚処理布帛では評価4となり、比較例1aと遜色のない優れた乾摩擦堅ろう度を示した。また、その風合いもザラツキが消えソフトな手触りとなり、衣料としての風合いを十分満たすものであった。これは、布帛の表面にコロイダルシリカが付着することによるザラツキをポリエチレンの微粒子が覆って皮膜が形成されたことによるものと考えられる。また、こうして乾摩擦堅ろう度試験を行った実施例1aの防汚処理布帛について、汚れ付着試験を行っても、その効果は乾摩擦堅ろう度試験を行う前と遜色は無かった。
【0037】
(実施例3〜5)
実施例3〜5の防汚処理剤では、表5に示すように、帯電防止剤として実施例3では非イオン界面活性剤、実施例4では両性界面活性剤、実施例5ではカチオン界面活性剤を用いて調整した。また、処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0038】
【表5】
【0039】
(比較例2〜4)
比較例2〜4は、表6に示す防汚処理剤を用いた。これらの防汚処理剤は、帯電防止剤の水溶液であり、帯電防止剤として比較例2では非イオン界面活性剤、比較例3では両性界面活性剤、比較例4ではカチオン界面活性剤を用いた。また、処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0040】
【表6】
【0041】
(評価)
上記実施例3〜5及び比較例2〜4の防汚処理布帛に対して、石松子及びJIS汚粉に対する付着抑制試験を行った。結果を表7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】
表7に示すように、帯電防止剤として、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤を用いた実施例3〜5の防汚処理布帛は、優れた防汚効果があることが分かる。これに対し、帯電防止剤のみを含む防汚処理剤で処理した比較例2〜4の防汚処理布帛は、いずれも防汚効果が大きく劣っていた。
【0044】
(実施例6及び実施例7)
実施例7及び実施例8では、防汚処理剤として表8に示すように、フッ素系撥水・撥油剤が加えられたものを用いた。また処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0045】
【表8】
【0046】
(評価)
上記実施例7の防汚処理布帛に対して、JIS L1092に規定するはっ水度試験(スプレー試験)、付着抑制試験、及び乾摩擦堅ろう度試験を行った。結果を表9に示す。
【0047】
【表9】
【0048】
表9から分かるように、実施例7及び実施例8の防汚処理布帛は、JIS汚粉及び石松子に対して防汚効果を示すと共に、十分な防水効果も示した。また、ポリエチレンの水性エマルジョンを含む防汚処理剤で処理された実施例8は、乾摩擦堅ろう度も向上した。
【発明の属する技術分野】
本発明は布帛に対して防汚処理を行うための防汚処理剤、防汚処理された防汚処理布帛及び防汚処理方法に関する。これらの防汚処理剤、防汚処理布帛及び防汚処理方法は、雑多な粉体による汚れ防止(特に花粉汚れ防止)のために用いて好適である。
【従来の技術】
従来から、繊維に汚れが付着することを防止したり、付着した汚れを落ちやすくしたりする防汚処理が施された防汚処理繊維が知られている。
【0002】
このような繊維の防汚処理方法として、繊維表面に親水性を付与することが可能なSR剤に浸漬して処理を行うSR(soil release)処理が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】
特公平4−44011号公報
【0003】
SR処理を行えば、繊維の表面が親水性となり、皮脂等の親油性の汚れの付着力が弱められるとともに、繊維の吸水力も増大するため、洗濯によって容易に汚れを落とすことができる。このため、SR処理は、特に擦れ汚れ、ほこり汚れ、油汚れ、泥汚れなどに優れた防汚効果を発揮する。
【0004】
また、繊維の表面をシリコン系やフッ素系の撥水・撥油剤で被覆するSG(soil guard)処理も知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献2】
特公平4−44011号公報
【0005】
このSG処理を行えば、繊維の表面に撥水性及び撥油性が付与され、繊維に親水性の汚れが付着することを防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のSR処理やSG処理を行ったとしても、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰といった雑多な粉体による汚れに対しては、必ずしも防汚効果が十分とはいえなかった。特に花粉は、一般的に突起を有しているため、極めて繊維に付着しやすく、一旦繊維に付着した花粉を叩き落とすことは困難となる。このため、花粉に対する有効な防汚処理剤は存在しておらず、人体に対してアレルゲンとなる花粉に対する防汚処理剤の開発が望まれている。
【0007】
こうした雑多な粉体による汚れを防止する方法として、繊維の表面にカレンダー加工を施したり、コーティング剤を塗布したりして、布帛の表面を平滑化することも考えられる。こうであれば、花粉等の雑多な粉体が付着し難くなる。また、例え雑多な粉体が布帛の表面に付着したとしても、これを叩くことによって容易にその粉体を脱落させることができる。
【0008】
しかし、カレンダー加工やコーティング剤の塗布による布帛の防汚処理は、布帛が平織り以外の凹凸のある織り方であったり、有毛品のように毛羽のある布帛に対しては、平滑化が不十分となり、十分な防汚効果をあげることができなかった。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体が付着し難く、例えそれらが付着したとしても容易に脱落させることができ、平織り以外の凹凸のある布帛や、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても十分な防汚効果が得られる防汚処理剤、防汚処理布帛及び防汚処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題解決のため、繊維の親水性処理及び撥水撥油処理という原理や、繊維表面の平滑化という原理に基づかない新たな防汚処理剤として、繊維表面の電位をコントロールすることが可能な防汚処理剤を検討した。すなわち、繊維表面に帯電防止剤を付着させることにより繊維の帯電を防止し、花粉等の雑多な粉体が静電引力によって付着することを防止することを考えた。しかしながら、繊維に帯電防止剤の付着させたのみでは、花粉等の雑多な粉体汚れに対する防汚効果が十分ではないことを確認した。そして、さらに鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、帯電防止剤と、表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカとが添加された防汚処理剤によって布帛を処理すれば、花粉のみならず、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等、従来防汚が困難であった雑多な粉体の付着による汚れに対して極めて優れた防汚性を示すことを発見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の防汚処理剤は、布帛に対して浸漬処理を行うことによって汚れ付着を防止する防汚処理剤において、溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤とシリカゾルとが添加されており、該シリカゾルには表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカが含まれていることを特徴とする。
【0012】
本発明の防汚処理剤では、帯電防止剤が添加されているため、この防汚処理剤で布帛を浸漬処理すれば布帛の帯電が防止され、花粉等の雑多な粉体による汚れが静電引力によって付着することがある程度の防止効果を発揮する。また、この防汚処理剤には表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカが添加されているため、花粉等の雑多な粉体による汚れに対して優れた防汚効果を示すこととなる。その理由は、布帛表面付着したコロイダルシリカの表面電荷が、花粉等の雑多な粉体が通常有している表面電荷と同じプラスであるため、電気的斥力によりそれらの粉体の付着が防止され、例えそれらの粉体が布帛表面に付着したとしても、簡単に叩き落とすことができるからであると推定される。さらに、この防止処理剤は、カレンダー加工やコーティング剤によって布帛表面を平滑にするものではないため、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても、十分な防汚効果を発揮することができる。
【0013】
したがって、本発明の防汚処理剤によって布帛を処理すれば、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体が付着し難く、例えそれらが付着したとしても容易に脱落させることができ、平織り以外の凹凸のある布帛や、有毛品のように毛羽のある布帛に対しても十分な防汚効果を得ることができる。
【0014】
帯電防止剤の含有量は0.001〜1質量%とされており、コロイダルシリカの含有量は0.02〜1質量%とされていることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、帯電防止剤が0.001質量%未満では帯電防止機能が十分発揮されず、防汚効果が不十分となる。また、帯電防止剤が1質量%を超えても、防汚効果はそれほど増大することはない。また、コロイダルシリカが0.02質量%未満では防汚効果が不十分となり、1質量%を超えた場合、風合いがざらつき、摩耗堅ろう度が低下することとなる。
【0015】
表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカとしては、例えばアルミのシリケートサイトによって修飾されたコロイダルシリカを用いることができる。発明者らの試験結果によれば、このようなコロイダルシリカを用いることにより、花粉、小麦粉、ファンデーション、コーヒー粉、脱脂粉乳、ベーキングパウダー、片栗粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、炭、石灰等の雑多な粉体による汚れに対し、確実に防汚効果を発揮することができる。
【0016】
帯電防止剤としてはカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。発明者らの試験結果によれば、帯電防止剤としてこのような種類のものを採用すれば、雑多な粉体汚れに対して特に優れた防汚効果を有する防汚処理剤とすることができる。
【0017】
防汚処理剤には、さらにポリエチレンの水性エマルジョンが添加されていることが好ましい。本発明の防汚処理剤にはシリカゾルが添加されているため、布帛を処理した場合、繊維表面にコロイダルシリカが付着することとなる。このため、表面がざらつきやすく、摩擦堅ろう度が劣ったものになりやすい。防汚処理剤にポリエチレンの水性エマルジョンが添加されていれば、布帛表面にポリエチレンの微粉末が付着し、ザラツキが緩和され、摩擦堅ろう度に優れ、ソフトな感触の布帛とすることができる。
【0018】
防汚処理剤には、さらに撥水剤を添加することもできる。こうであれば、布帛に対し、防汚効果に加えて撥水効果を付与することが可能となる。
【0019】
本発明の防汚処理剤を用い、次の工程によって布帛の防汚処理をすることができる。すなわち、本発明の防汚処理方法は、溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤とシリカゾルとが添加されてた防汚処理剤中に布帛を浸漬する浸漬工程と、該防汚処理剤に浸漬された布帛を乾燥させる乾燥工程と、乾燥された布帛を加熱する熱処理工程とを有することを特徴とする。こうして、本発明の防汚処理布帛が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施例及び比較例を説明する。
【0021】
(実施例1a〜1f)
実施例1a〜1fを製造するための防汚処理剤として、表1に示す組成のものを調整した。
【0022】
【表1】
【0023】
ここで、シリカゾル中のコロイダルシリカは、表面電荷がプラスとされている。このようなコロイダルシリカは、特開平5−199515に記載された方法に従って調整することができる。すなわち、水ガラス由来のコロイダルシリカにアルミン酸ナトリウムをモル比で0.0006〜0.004となるように加え、80〜250°Cで一定時間加熱後、イオン交換樹脂によってイオン交換させることにより、アルミノシリケートサイトによって修飾されたコロイダルシリカを含むシリカゾルを得る。なお、表面電荷がプラスとされた市販のコロイダルシリカを用いることもできる。
【0024】
こうして得られた防汚処理剤を用い、次に示す生機を用いて、以下の工程に従って防汚処理を行った。
実施例1a・・・・ポリエステル100%
実施例1b・・・・ポリエステル85%+綿15%
実施例1c・・・・ポリエステル30%+綿70%
実施例1d・・・・ポリエステル60%+毛40%
実施例1e・・・・トリアセテート65%+ポリエステル35%
実施例1f・・・・ナイロン100%
【0025】
<浸漬工程>
上記実施例1a〜1fに係る生機を常法にしたがって精練及び中間セット(180°C)を行い、さらに紺色に染色した後、乾燥を行って染色布帛とする。この染色布帛を上記防汚処理剤が入ったパッド中に通過させる。
【0026】
<乾燥工程>
こうして防汚処理剤に浸漬された布帛を100〜130°Cで乾燥させる。
【0027】
<キュアリング処理>
さらに、加熱工程としてのキュアリング処理を150〜180°Cで行い、実施例1a〜1fの防汚処理布帛を得た。
【0028】
(実施例2)
実施例2では、防汚処理剤として表2に示すものを用いた。この防汚処理剤は、ポリエチレンの水性エマルジョンを含んでいない。また処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0029】
【表2】
(比較例1)
比較例1では、まず防汚処理剤としてミヨシ油脂株式会社 「ミューロンASA」の2.0質量%水溶液を用意する。このミューロンASAには、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が含まれている。
【0030】
次に、この防汚処理剤を用い、実施例1a〜1fと同様の工程に従って各種布帛の防汚処理を行い、比較例1a〜1fの防汚処理布帛を得た。ここで、比較例1a〜1fはそれぞれ以下の生機を用いた。
比較例1a・・・・ポリエステル100%
比較例1b・・・・ポリエステル85%+綿15%
比較例1c・・・・ポリエステル30%+綿70%
比較例1d・・・・ポリエステル60%+毛40%
比較例1e・・・・トリアセテート65%+ポリエステル35%
比較例1f・・・・ナイロン100%
【0031】
(評価)
上記実施例1a〜f及び比較例1a〜1fの防汚処理布帛に対して、以下のように付着抑制試験及び乾摩擦堅ろう度試験を行った。
【0032】
<汚れ付着抑制試験>
実施例1a〜1fの防汚処理布帛及び比較例1a〜1fの防汚処理布帛について、擬似汚れとしての各種粉体(「石松子(擬似花粉)」、「小麦粉」、「ファンデーション粉」、「JIS 試験用粉体 I7種(関東ローム) (財)日本粉体工業技術協会)」、「掃除機ホコリ」、「コーヒー粉」、「脱脂粉乳」、「片栗粉」、「ふくらし粉」、「胡椒粉」、「ナツメグパウダー」、「チョーク粉」、「床の土ぼこり」、「炭の粉」及び「石灰粉」の15種)に対する汚れ付着抑制試験を行った。すなわち、4L容量のチャック付ポリエチレン製袋を用意し、この中に試験用の粉体を1g入れる。さらに、7cm×7cmに裁断した実施例1aの防汚処理布帛及び比較例1aの防汚処理布帛を入れ、チャックを閉じた後、手で持って1秒間に約1回の割合で50回振る。その後、チャックを開けて防汚処理布帛を取り出し、その防汚処理布帛の対角線の両端をつまんで軽く叩いた後、その表面の状況を肉眼により観察する。評価は4段階で行い、「極めて良好」を◎、「良好」を○、「効果あり」を△、「効果がない」を×で表した。同様にして実施例1bと比較例1b、実施例1cと比較例1c、実施例1dと比較例1d、実施例1eと比較例1e及び実施例1fと比較例1fとをそれぞれ比較した。結果を表3及び表4に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
表3及び表4から分かるように、実施例1a〜1fの防汚処理布帛では、擬似花粉である石松子に対して防汚効果を有しており、特にポリエステル布帛に対して優れた防汚効果を示した。また、JIS汚粉に対してもほぼ同様の防汚効果を示した。さらに、実施例1a及び実施例1bでは小麦粉、ファンデーション、掃除機ホコリ、コーヒー粉、脱脂粉乳、片栗粉、ふくらし粉、胡椒粉、ナツメグパウダー、チョーク粉、床の土ボコリ、炭の粉及び石灰粉に対しても優れた効果を示した。これに対し、比較例1a〜1fの防汚処理布帛では、防汚効果は認められなかった。
【0036】
<乾摩擦堅ろう度試験>
上記実施例1a、実施例2及び比較例1aの防汚処理布帛について、JIS L0849に準拠して乾摩擦堅ろう度試験を行った。すなわち、防汚処理布帛を学振型摩擦試験機の試験台に摩擦面を上にし、加重を200gとし、毎分30往復の速度で100回の往復摩擦を行った。その結果、比較例1aの乾摩擦堅ろう度は評価4となり、優れた摩擦堅ろう度を示した。これに対し、実施例2の防汚処理布帛は評価3となり、若干劣る結果となった。これは、実施例2の防汚処理布帛は表面にコロイダルシリカが付着しているため、ザラツキを生じることによるものと考えられる。しかしながら、ポリエチレンの水性エマルジョンを含む防汚処理剤で処理された実施例1aの防汚処理布帛では評価4となり、比較例1aと遜色のない優れた乾摩擦堅ろう度を示した。また、その風合いもザラツキが消えソフトな手触りとなり、衣料としての風合いを十分満たすものであった。これは、布帛の表面にコロイダルシリカが付着することによるザラツキをポリエチレンの微粒子が覆って皮膜が形成されたことによるものと考えられる。また、こうして乾摩擦堅ろう度試験を行った実施例1aの防汚処理布帛について、汚れ付着試験を行っても、その効果は乾摩擦堅ろう度試験を行う前と遜色は無かった。
【0037】
(実施例3〜5)
実施例3〜5の防汚処理剤では、表5に示すように、帯電防止剤として実施例3では非イオン界面活性剤、実施例4では両性界面活性剤、実施例5ではカチオン界面活性剤を用いて調整した。また、処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0038】
【表5】
【0039】
(比較例2〜4)
比較例2〜4は、表6に示す防汚処理剤を用いた。これらの防汚処理剤は、帯電防止剤の水溶液であり、帯電防止剤として比較例2では非イオン界面活性剤、比較例3では両性界面活性剤、比較例4ではカチオン界面活性剤を用いた。また、処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0040】
【表6】
【0041】
(評価)
上記実施例3〜5及び比較例2〜4の防汚処理布帛に対して、石松子及びJIS汚粉に対する付着抑制試験を行った。結果を表7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】
表7に示すように、帯電防止剤として、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤を用いた実施例3〜5の防汚処理布帛は、優れた防汚効果があることが分かる。これに対し、帯電防止剤のみを含む防汚処理剤で処理した比較例2〜4の防汚処理布帛は、いずれも防汚効果が大きく劣っていた。
【0044】
(実施例6及び実施例7)
実施例7及び実施例8では、防汚処理剤として表8に示すように、フッ素系撥水・撥油剤が加えられたものを用いた。また処理する生機としては、ポリエステル100%のものを用いた。他の処理条件は実施例1a〜1fの防汚処理布帛と同様である。
【0045】
【表8】
【0046】
(評価)
上記実施例7の防汚処理布帛に対して、JIS L1092に規定するはっ水度試験(スプレー試験)、付着抑制試験、及び乾摩擦堅ろう度試験を行った。結果を表9に示す。
【0047】
【表9】
【0048】
表9から分かるように、実施例7及び実施例8の防汚処理布帛は、JIS汚粉及び石松子に対して防汚効果を示すと共に、十分な防水効果も示した。また、ポリエチレンの水性エマルジョンを含む防汚処理剤で処理された実施例8は、乾摩擦堅ろう度も向上した。
Claims (8)
- 布帛に対して浸漬処理を行うことによって汚れ付着を防止する防汚処理剤において、
溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤とシリカゾルとが添加されており、該シリカゾルには表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカが含まれていることを特徴とする防汚処理剤。 - 帯電防止剤の含有量は0.001〜1質量%とされており、コロイダルシリカの含有量は0.02〜1質量%とされていることを特徴とする請求項1記載の防汚処理剤。
- コロイダルシリカの表面はアルミノシリケートサイトによって修飾されていることを特徴とする請求項1又は2記載の防汚処理剤。
- 帯電防止剤はカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の防汚処理剤。
- さらに、ポリエチレンの水性エマルジョンが添加されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の防汚処理剤。
- さらに、撥水剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の防汚処理剤。
- 溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤と、表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカを含むシリカゾルとが添加された防汚処理剤中に布帛を浸漬した後、乾燥工程及び熱処理工程を経て得られることを特徴とする防汚処理布帛。
- 溶媒としての水に、少なくとも帯電防止剤と、表面電荷がプラスとされたコロイダルシリカを含むシリカゾルとが添加された防汚処理剤中に布帛を浸漬する浸漬工程と、該防汚処理剤に浸漬された布帛を乾燥させる乾燥工程と、乾燥された布帛を加熱する熱処理工程とを有することを特徴とする防汚処理方法。
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2003
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