JP2004262719A - フッ素添加ガラス物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外付け法によりフッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品を製造する際、コア材として細径のものを使用した場合、軟化温度が低いシリカなどからなるものを使用した場合、あるいは多量の嵩密度の低いガラススートを堆積した場合でも、コア材の湾曲が少なく、偏心が小さいフッ素添加ガラス物品を得る。
【解決手段】コア材21の周囲に、外付け法によりガラススートを堆積して多孔質ガラス母材2を得た後、この多孔質ガラス母材2のガラススート層22にフッ素を添加し、透明ガラス化して、フッ素添加ガラス物品を製造する際、
フッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
1100≦x≦1200とし、かつ
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
を満足する条件で、フッ素添加を行う
【選択図】図1
【解決手段】コア材21の周囲に、外付け法によりガラススートを堆積して多孔質ガラス母材2を得た後、この多孔質ガラス母材2のガラススート層22にフッ素を添加し、透明ガラス化して、フッ素添加ガラス物品を製造する際、
フッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
1100≦x≦1200とし、かつ
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
を満足する条件で、フッ素添加を行う
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品を製造する方法に関し、コア材の曲がりが少なく、偏心率の小さいフッ素添加ガラス物品が得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フッ素添加光ファイバ母材の製造方法として、外付け法(OVD法)をベースとしたものが知られている。
この製造方法は、丸棒状のシリカなどからなるコア材の周囲に、気相反応により生成したガラス微粒子を堆積しガラススート層を形成して、多孔質ガラス母材とし、ついでこの多孔質ガラス母材を加熱炉内で、SiF4、CF4、C2F6などのフッ素化合物ガスを含む雰囲気下で加熱してガラススート層にフッ素を添加してたのち、このガラススート層を加熱し、透明ガラス化してフッ素添加光ファイバ母材とするものである。
【0003】
この製造に際して、フッ素添加時の温度を1100〜1400℃とすることが好ましいとされ(特許文献1)、ガラススートの嵩密度を低くするとフッ素の添加が均一に行えるとされている(特許文献2)。
【0004】
ところで、このようなフッ素添加光ファイバ母材の製造にあっては、コア材として、その直径が15mm以下の細いものを用いた場合、あるいはコア材として、ドーパントが添加され、軟化温度が低下しているシリカを用いた場合において、このコア材に多量の低嵩密度のガラススートを堆積した場合には、フッ素添加時においてガラススート層が収縮して、得られるフッ素添加光ファイバ母材内でコア材が湾曲して、コア材の偏心が激しくなる不都合があった。
【0005】
特に、ガラススート層にフッ素が添加されると、これと同時にその軟化温度が低下し、フッ素添加時の加熱温度によりガラススートが収縮してしまうことになり、コア材の湾曲がさらに増大することが生じる。
コア材の偏心が激しくなった場合、光ファイバの接続において、接続損失が悪化する。このため、偏心率は、一般的なマルチモードファイバにおいては3%以内、一般的なシングルモードファイバにおいては0.6%以内にすることが望ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−90842号公報
【特許文献2】
特開2002−114522号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、外付け法によりフッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品を製造する際、コア材として細径のものを使用した場合、軟化温度が低いシリカなどからなるものを使用した場合において、多量の嵩密度の低いガラススートを堆積した場合でも、湾曲が少なく、偏心量が小さいフッ素添加ガラス物品を製造できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、コア材の周囲に、外付け法によりガラススートを堆積して多孔質ガラス母材を得た後、この多孔質ガラス母材のガラススート層にフッ素を添加し、さらに透明ガラス化して、フッ素添加ガラス物品を製造する際、
フッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
1100≦x≦1200とし、かつ
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
を満足する条件で、フッ素添加を行うことを特徴とするフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、コア材の直径が、15mm以下であることを特徴とする請求項1記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
請求項3にかかる発明は、焼結後のコア材の直径をaとし、透明化ガラス母材の直径をbとしたとき、b/aが2.5以上であることを特徴とする請求項1または2記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
【0010】
請求項4にかかる発明は、コア材が、純粋シリカまたはゲルマニウムおよび/またはフッ素が添加されたシリカであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質ガラス物品の製造方法である。
請求項5にかかる発明は、堆積されたガラススート層の嵩密度が、0.2〜0.4g/cm3であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多孔質ガラス物品の製造方法である。
【0011】
請求項6にかかる発明は、フッ素添加時のフッ素化合物ガス濃度が2%以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
請求項7にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造され、コア材の偏心率が3%以下であることを特徴とするフッ素添加ガラス物品である。
請求項8にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造され、コア材の偏心率が0.6%以下であることを特徴とするフッ素添加ガラス物品である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の製造方法に用いられる製造装置の一例を示すもので、図中符号1は、加熱炉を示し、この例の加熱炉1は傾斜炉である。
【0013】
この加熱炉1は、多孔質ガラス母材2を収容する円筒状の炉心管3と、この炉心管3を加熱するカーボンヒータ4を有するものである。また、この加熱炉1の上部には、図示しない把持装置が設けられており、この把持装置により炉心管3内に収められた多孔質ガラス母材2が把持され、かつ加熱炉1の上部から下部に向けて往復移動することができるようになっている。
【0014】
そして、炉心管3内の多孔質ガラス母材2が、カーボンヒータ4によって形成されたヒートゾーン5を通過する際に、その先端から徐々に加熱されるようになっている。また、炉心管3内部にフッ素化合物ガスが図示しない供給装置から供給され、炉心管3内が所望の濃度のフッ素ガス雰囲気になるようになっている。
【0015】
上記多孔質ガラス母材2は、周知の外付け法によって作製されたもので、丸棒状のシリカなどからなるコア材21の周囲にシリカなどからなるガラススート層22が均一に堆積してなるものである。外付け法は、コア材21をガラス旋盤に回転可能に取付け、ガラス合成用バーナにSiCl4などのガラス原料ガス、酸素ガス、水素ガスなどを供給し、火炎中でガラス微粒子(ガラススート)を生成させ、このガラス微粒子をコア材の表面に付着、堆積させ、ガラススート層22を形成させるものである。
【0016】
そして、この多孔質ガラス母材2のガラススート層22にフッ素を添加するには、炉心管3内に多孔質ガラス母材2を収容し、炉心管3内にSiF4、CF4、C2F6などのフッ素化合物ガスを供給し、多孔質ガラス母材2を下方に移動してヒートゾーン5に送り、その先端から加熱することによって行われる。
【0017】
本発明では、この操作中において、フッ素添加温度を1100〜1200℃とし、かつフッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
の関係式を満足するように、フッ素添加温度およびフッ素添加時間を設定する。
【0018】
図2のグラフは、このフッ素添加温度およびフッ素添加時間の条件を図示したもので、グラフ中実線で囲まれた領域の温度および時間が、この条件に該当するものである。ここで、フッ素添加温度とは、ヒートゾーン5での温度を言い、フッ素添加時間とは、多孔質ガラス母材2のある部位がヒートゾーン5を通過する時間を言う。したがって、フッ素添加時間は多孔質ガラス母材2の移動速度によって左右される。
【0019】
このフッ素添加温度およびフッ素添加時間の範囲外では、フッ素添加温度あるいはフッ素添加時間が過不足になり、フッ素をガラススート層22に均一に添加できなかったり、コア材21が湾曲したりするなどの不都合が生じる。
【0020】
また、この際、ガラススート層22の嵩密度を0.2〜0.4g/cm3とすることが好ましく、その嵩密度が0.2g/cm3未満ではガラススート層22自体が脆く壊れやすくなり、また収縮量が大きくなる。また、嵩密度が、0.4g/cm3を越えると傾斜炉を用いた場合にはフッ素の添加が均一に行うことが困難になったり、可能だとしても、長時間を要するため製造上好ましくない。
【0021】
さらに、炉心管3内のフッ素化合物ガスの濃度を2(体積)%以上とすることが好ましい。これは、従来の製法では、このフッ素化合物濃度が2%以上となると、コア材21の湾曲が顕著になるのに対し、本発明方法では2%以上としても、コア材21の湾曲が生じることがなく、従来方法と比較して、その効果が大きくなるためである。
【0022】
また、コア材21の直径については、特に限定されるものではないが、この製法では、コア材21の湾曲が抑えられるので、直径が15mm以下のものでも採用することができる。また、コア材21の材質についてもやはり限定されるものではないが、同様の理由により軟化温度が低いもの、すなわちゲルマニウム、フッ素などのドーパントがドープされ、軟化温度が約600〜900℃程度のものでもよい。
【0023】
さらに、本発明の製造方法では、焼結後のコア材21の直径とガラス母材の直径との比を2.5倍以上とすることができる。すなわち、フッ素添加時でのガラススート層22の収縮によるコア材21の湾曲が少ないために、多量のガラススートを堆積した多孔質ガラス母材2を用いても、コア材21が湾曲することがない。
【0024】
フッ素の添加が終わったならば、ヒートゾーンの温度を高め、多孔質ガラス母材2を再度炉心管3内で移動させ、そのガラススート層22を透明ガラス化することで、フッ素添加光ファイバ母材を得ることができる。
【0025】
本発明のフッ素添加ガラス物品は、上述の製造方法で製造されたもので、湾曲がほとんどなく、コア材21の偏心率が3%以下、さらに望ましくは0.6%以下のものである。ここでの扁心率は、コア中心とクラッド中心との距離をクラッド径に対する百分率で表した値で定義されるものである。
【0026】
このようなフッ素添加ガラス物品の製造方法にあっては、フッ素添加工程での温度および時間を図2のグラフに示したような適切な範囲に定めたので、フッ素添加時にガラススート層22が収縮することがなく、このガラススート層22の収縮に起因してコア材21が湾曲することがなくなる。
【0027】
このため、コア材21として、直径15mm以下の細径のものやゲルマニウムなどのドーパントがドープされ軟化温度が約600〜900℃の低いものを用いることができる。また、低嵩密度のガラススートを多量に堆積したガラススート層22を有する多孔質ガラス母材2を採用することができ、これらを用いた場合でも得られるフッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品は、そのコア材21の曲がりが少なく、偏心の少ないものとなる。
【0028】
以下、具体例を示すが、本発明は、この具体例に限定されるものではない。
直径13mm、長さ1000mmのコア材を用意した。このコア材は純粋シリカと比較して比屈折率差で−0.3%に相当するフッ素がドープされ、軟化温度が約800℃のものである。このコア材に対して、外付け法により仕上がり径がコア材の直径のおよそ4倍となるようにシリカ微粒子を堆積し、ガラススート層を設けて、多孔質光ファイバ母材とした。
【0029】
この多孔質光ファイバ母材を図1に示す傾斜炉の炉心管内に収め、フッ素を添加した。この傾斜炉のヒートゾーンの長さは390mmであった。炉心管内に、ヘリウム6slmとフッ素化合物としてSiF4を300sccm流した。このとき、フッ素添加温度およびフッ素添加時間を以下のように変化させた。
【0030】
【0031】
以上の条件でのフッ素添加を行った後、ヒートゾーンの温度を高めて、ガラススート層を透明ガラス化して、フッ素添加光ファイバ母材を製造した。得られたフッ素添加光ファイバ母材の外観を検査し、コア材の偏心率を測定した。
【0032】
その結果、例1のものでは、コア材が曲がることなく真っ直ぐであり、コア材の偏心率は全長にわたり0.4%以下であった。
これに対し、例2のものでは、コア材が曲がりくねっており、偏心率は4.8%であり、得られたフッ素添加光ファイバ母材は製品として使用できなかった。
また、例3のものでは、コア材が曲がりくねっており、偏心率は5.7%であり、得られたフッ素添加光ファイバ母材はやはり製品として使用できなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のフッ素添加ガラス物品の製造方法にあっては、ガラススート層にフッ素を添加する際の温度および時間を適切に定めたので、このフッ素添加の際に、ガラススート層の収縮によりコア材が湾曲することがない。このため、コア材が細径の場合、コア材の軟化温度が低い場合あるいは多量の低嵩密度のガラススート層を形成した場合でも、コア材の湾曲が生じることがなく、良好な品質のフッ素添加ガラス物品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の製造方法におけるフッ素添加温度とフッ素添加時間の好適な範囲を示す図表である。
【符号の説明】
1・・・加熱炉、2・・・多孔質ガラス母材、21・・・コア材、22・・・ガラススート層
【発明の属する技術分野】
この発明は、フッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品を製造する方法に関し、コア材の曲がりが少なく、偏心率の小さいフッ素添加ガラス物品が得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フッ素添加光ファイバ母材の製造方法として、外付け法(OVD法)をベースとしたものが知られている。
この製造方法は、丸棒状のシリカなどからなるコア材の周囲に、気相反応により生成したガラス微粒子を堆積しガラススート層を形成して、多孔質ガラス母材とし、ついでこの多孔質ガラス母材を加熱炉内で、SiF4、CF4、C2F6などのフッ素化合物ガスを含む雰囲気下で加熱してガラススート層にフッ素を添加してたのち、このガラススート層を加熱し、透明ガラス化してフッ素添加光ファイバ母材とするものである。
【0003】
この製造に際して、フッ素添加時の温度を1100〜1400℃とすることが好ましいとされ(特許文献1)、ガラススートの嵩密度を低くするとフッ素の添加が均一に行えるとされている(特許文献2)。
【0004】
ところで、このようなフッ素添加光ファイバ母材の製造にあっては、コア材として、その直径が15mm以下の細いものを用いた場合、あるいはコア材として、ドーパントが添加され、軟化温度が低下しているシリカを用いた場合において、このコア材に多量の低嵩密度のガラススートを堆積した場合には、フッ素添加時においてガラススート層が収縮して、得られるフッ素添加光ファイバ母材内でコア材が湾曲して、コア材の偏心が激しくなる不都合があった。
【0005】
特に、ガラススート層にフッ素が添加されると、これと同時にその軟化温度が低下し、フッ素添加時の加熱温度によりガラススートが収縮してしまうことになり、コア材の湾曲がさらに増大することが生じる。
コア材の偏心が激しくなった場合、光ファイバの接続において、接続損失が悪化する。このため、偏心率は、一般的なマルチモードファイバにおいては3%以内、一般的なシングルモードファイバにおいては0.6%以内にすることが望ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−90842号公報
【特許文献2】
特開2002−114522号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、外付け法によりフッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品を製造する際、コア材として細径のものを使用した場合、軟化温度が低いシリカなどからなるものを使用した場合において、多量の嵩密度の低いガラススートを堆積した場合でも、湾曲が少なく、偏心量が小さいフッ素添加ガラス物品を製造できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、コア材の周囲に、外付け法によりガラススートを堆積して多孔質ガラス母材を得た後、この多孔質ガラス母材のガラススート層にフッ素を添加し、さらに透明ガラス化して、フッ素添加ガラス物品を製造する際、
フッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
1100≦x≦1200とし、かつ
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
を満足する条件で、フッ素添加を行うことを特徴とするフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、コア材の直径が、15mm以下であることを特徴とする請求項1記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
請求項3にかかる発明は、焼結後のコア材の直径をaとし、透明化ガラス母材の直径をbとしたとき、b/aが2.5以上であることを特徴とする請求項1または2記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
【0010】
請求項4にかかる発明は、コア材が、純粋シリカまたはゲルマニウムおよび/またはフッ素が添加されたシリカであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質ガラス物品の製造方法である。
請求項5にかかる発明は、堆積されたガラススート層の嵩密度が、0.2〜0.4g/cm3であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多孔質ガラス物品の製造方法である。
【0011】
請求項6にかかる発明は、フッ素添加時のフッ素化合物ガス濃度が2%以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法である。
請求項7にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造され、コア材の偏心率が3%以下であることを特徴とするフッ素添加ガラス物品である。
請求項8にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造され、コア材の偏心率が0.6%以下であることを特徴とするフッ素添加ガラス物品である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の製造方法に用いられる製造装置の一例を示すもので、図中符号1は、加熱炉を示し、この例の加熱炉1は傾斜炉である。
【0013】
この加熱炉1は、多孔質ガラス母材2を収容する円筒状の炉心管3と、この炉心管3を加熱するカーボンヒータ4を有するものである。また、この加熱炉1の上部には、図示しない把持装置が設けられており、この把持装置により炉心管3内に収められた多孔質ガラス母材2が把持され、かつ加熱炉1の上部から下部に向けて往復移動することができるようになっている。
【0014】
そして、炉心管3内の多孔質ガラス母材2が、カーボンヒータ4によって形成されたヒートゾーン5を通過する際に、その先端から徐々に加熱されるようになっている。また、炉心管3内部にフッ素化合物ガスが図示しない供給装置から供給され、炉心管3内が所望の濃度のフッ素ガス雰囲気になるようになっている。
【0015】
上記多孔質ガラス母材2は、周知の外付け法によって作製されたもので、丸棒状のシリカなどからなるコア材21の周囲にシリカなどからなるガラススート層22が均一に堆積してなるものである。外付け法は、コア材21をガラス旋盤に回転可能に取付け、ガラス合成用バーナにSiCl4などのガラス原料ガス、酸素ガス、水素ガスなどを供給し、火炎中でガラス微粒子(ガラススート)を生成させ、このガラス微粒子をコア材の表面に付着、堆積させ、ガラススート層22を形成させるものである。
【0016】
そして、この多孔質ガラス母材2のガラススート層22にフッ素を添加するには、炉心管3内に多孔質ガラス母材2を収容し、炉心管3内にSiF4、CF4、C2F6などのフッ素化合物ガスを供給し、多孔質ガラス母材2を下方に移動してヒートゾーン5に送り、その先端から加熱することによって行われる。
【0017】
本発明では、この操作中において、フッ素添加温度を1100〜1200℃とし、かつフッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
の関係式を満足するように、フッ素添加温度およびフッ素添加時間を設定する。
【0018】
図2のグラフは、このフッ素添加温度およびフッ素添加時間の条件を図示したもので、グラフ中実線で囲まれた領域の温度および時間が、この条件に該当するものである。ここで、フッ素添加温度とは、ヒートゾーン5での温度を言い、フッ素添加時間とは、多孔質ガラス母材2のある部位がヒートゾーン5を通過する時間を言う。したがって、フッ素添加時間は多孔質ガラス母材2の移動速度によって左右される。
【0019】
このフッ素添加温度およびフッ素添加時間の範囲外では、フッ素添加温度あるいはフッ素添加時間が過不足になり、フッ素をガラススート層22に均一に添加できなかったり、コア材21が湾曲したりするなどの不都合が生じる。
【0020】
また、この際、ガラススート層22の嵩密度を0.2〜0.4g/cm3とすることが好ましく、その嵩密度が0.2g/cm3未満ではガラススート層22自体が脆く壊れやすくなり、また収縮量が大きくなる。また、嵩密度が、0.4g/cm3を越えると傾斜炉を用いた場合にはフッ素の添加が均一に行うことが困難になったり、可能だとしても、長時間を要するため製造上好ましくない。
【0021】
さらに、炉心管3内のフッ素化合物ガスの濃度を2(体積)%以上とすることが好ましい。これは、従来の製法では、このフッ素化合物濃度が2%以上となると、コア材21の湾曲が顕著になるのに対し、本発明方法では2%以上としても、コア材21の湾曲が生じることがなく、従来方法と比較して、その効果が大きくなるためである。
【0022】
また、コア材21の直径については、特に限定されるものではないが、この製法では、コア材21の湾曲が抑えられるので、直径が15mm以下のものでも採用することができる。また、コア材21の材質についてもやはり限定されるものではないが、同様の理由により軟化温度が低いもの、すなわちゲルマニウム、フッ素などのドーパントがドープされ、軟化温度が約600〜900℃程度のものでもよい。
【0023】
さらに、本発明の製造方法では、焼結後のコア材21の直径とガラス母材の直径との比を2.5倍以上とすることができる。すなわち、フッ素添加時でのガラススート層22の収縮によるコア材21の湾曲が少ないために、多量のガラススートを堆積した多孔質ガラス母材2を用いても、コア材21が湾曲することがない。
【0024】
フッ素の添加が終わったならば、ヒートゾーンの温度を高め、多孔質ガラス母材2を再度炉心管3内で移動させ、そのガラススート層22を透明ガラス化することで、フッ素添加光ファイバ母材を得ることができる。
【0025】
本発明のフッ素添加ガラス物品は、上述の製造方法で製造されたもので、湾曲がほとんどなく、コア材21の偏心率が3%以下、さらに望ましくは0.6%以下のものである。ここでの扁心率は、コア中心とクラッド中心との距離をクラッド径に対する百分率で表した値で定義されるものである。
【0026】
このようなフッ素添加ガラス物品の製造方法にあっては、フッ素添加工程での温度および時間を図2のグラフに示したような適切な範囲に定めたので、フッ素添加時にガラススート層22が収縮することがなく、このガラススート層22の収縮に起因してコア材21が湾曲することがなくなる。
【0027】
このため、コア材21として、直径15mm以下の細径のものやゲルマニウムなどのドーパントがドープされ軟化温度が約600〜900℃の低いものを用いることができる。また、低嵩密度のガラススートを多量に堆積したガラススート層22を有する多孔質ガラス母材2を採用することができ、これらを用いた場合でも得られるフッ素添加光ファイバ母材などのフッ素添加ガラス物品は、そのコア材21の曲がりが少なく、偏心の少ないものとなる。
【0028】
以下、具体例を示すが、本発明は、この具体例に限定されるものではない。
直径13mm、長さ1000mmのコア材を用意した。このコア材は純粋シリカと比較して比屈折率差で−0.3%に相当するフッ素がドープされ、軟化温度が約800℃のものである。このコア材に対して、外付け法により仕上がり径がコア材の直径のおよそ4倍となるようにシリカ微粒子を堆積し、ガラススート層を設けて、多孔質光ファイバ母材とした。
【0029】
この多孔質光ファイバ母材を図1に示す傾斜炉の炉心管内に収め、フッ素を添加した。この傾斜炉のヒートゾーンの長さは390mmであった。炉心管内に、ヘリウム6slmとフッ素化合物としてSiF4を300sccm流した。このとき、フッ素添加温度およびフッ素添加時間を以下のように変化させた。
【0030】
【0031】
以上の条件でのフッ素添加を行った後、ヒートゾーンの温度を高めて、ガラススート層を透明ガラス化して、フッ素添加光ファイバ母材を製造した。得られたフッ素添加光ファイバ母材の外観を検査し、コア材の偏心率を測定した。
【0032】
その結果、例1のものでは、コア材が曲がることなく真っ直ぐであり、コア材の偏心率は全長にわたり0.4%以下であった。
これに対し、例2のものでは、コア材が曲がりくねっており、偏心率は4.8%であり、得られたフッ素添加光ファイバ母材は製品として使用できなかった。
また、例3のものでは、コア材が曲がりくねっており、偏心率は5.7%であり、得られたフッ素添加光ファイバ母材はやはり製品として使用できなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のフッ素添加ガラス物品の製造方法にあっては、ガラススート層にフッ素を添加する際の温度および時間を適切に定めたので、このフッ素添加の際に、ガラススート層の収縮によりコア材が湾曲することがない。このため、コア材が細径の場合、コア材の軟化温度が低い場合あるいは多量の低嵩密度のガラススート層を形成した場合でも、コア材の湾曲が生じることがなく、良好な品質のフッ素添加ガラス物品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の製造方法におけるフッ素添加温度とフッ素添加時間の好適な範囲を示す図表である。
【符号の説明】
1・・・加熱炉、2・・・多孔質ガラス母材、21・・・コア材、22・・・ガラススート層
Claims (8)
- コア材の周囲に、外付け法によりガラススート層を堆積して多孔質ガラス母材を得た後、この多孔質ガラス母材のガラススート層にフッ素を添加し、さらに透明ガラス化して、フッ素添加ガラス物品を製造する際、
フッ素添加温度をx(℃)とし、フッ素添加時間をy(分)としたときに、
1100≦x≦1200とし、かつ
−0.12x+204≦y≦−0.13x+228
を満足する条件で、フッ素添加を行うことを特徴とするフッ素添加ガラス物品の製造方法。 - コア材の直径が、15mm以下であることを特徴とする請求項1記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法。
- 焼結後のコア材の直径をaとし、透明化ガラス母材の直径をbとしたとき、b/aが2.5以上であることを特徴とする請求項1または2記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法。
- コア材が、純粋シリカまたはゲルマニウムおよび/またはフッ素が添加されたシリカであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質ガラス物品の製造方法。
- 堆積されたガラススート層の嵩密度が、0.2〜0.4g/cm3であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多孔質ガラス物品の製造方法。
- フッ素添加時のフッ素化合物ガス濃度が2%以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のフッ素添加ガラス物品の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造され、コア材の偏心率が3%以下であることを特徴とするフッ素添加ガラス物品。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造され、コア材の偏心率が0.6%以下であることを特徴とするフッ素添加ガラス物品。
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-
2003
- 2003-03-03 JP JP2003055510A patent/JP2004262719A/ja not_active Withdrawn
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