JP2004262087A - ユニット式射出成形用金型及び該金型による射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明のユニット式射出成形用金型は、分割した金型を1つのフレーム内に形成し、その一部の金型を強力に移動させることにより他方の金型を2方向或いはそれ以上の方向に移動する構成とすることにより、アンダーカット部或いは他の成形構成要素が成形上の障害となることなくそれらの成形品の処理をすることを目的とするものである。
【解決手段】フレームで外形形状を特定した構造よりなり、その一端縁部に開口部を形成し、該開口部に軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々配設し、該軸方向へ移動する金型の背面側に該金型に対する押圧力変換機構を構成してなることを特徴とするユニット式射出成形用金型。
【選択図】図1
【解決手段】フレームで外形形状を特定した構造よりなり、その一端縁部に開口部を形成し、該開口部に軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々配設し、該軸方向へ移動する金型の背面側に該金型に対する押圧力変換機構を構成してなることを特徴とするユニット式射出成形用金型。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーカット部を有する成形品や成形品の一部に当該成形構成要素の近接位置に他の成形構成要素が存在して金型の移動範囲が限定されている成形品等を射出成形する金型に係り、該金型をユニット化することによりアンダーカット部及び金型の移動範囲が限定されている上記のような成形品を射出成形することを特徴としたユニット式射出成形用金型及び該金型による射出成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アンダーカット部を有する成形品を成形するためには、開きコア又はスライドコア等の射出成形用金型が使用されている。
図8に示すものは、3個のスライドコアA、B、Cを有する金型で、該スライドコアA、B、Cはキャビティー部及び駆動部等を各々備え、成形品Wの下方部に生じるアンダーカット部に対応できるスライドコア構造を構成している。成形品Wがその外形部に突起Mを形成した成形構成要素W1と、該成形構成要素W1の下部に間隔を隔てて他の成形構成要素W3が存在するアンダーカット部を有する成形品の形成にあっては、当該金型は該突起Mを境目として少なくとも3方向へ分離するスライドコアA、B、Cを備える必要があった。
【0003】
上記の場合、該スライドコアA、B、Cは、射出後、成形品より離れる方向に各々が移動することになり、その周辺部には移動を可能とする空間が必要となる。従って、成形品の近接位置に他の成形構成要素W2が存在する成形品においては、該スライドコアAが移動する空間を確保することができず、上記のような構成でのアンダーカット部の処理は不可能であった。
【0004】
また、該スライドコアA、B、Cが成形品と接触する箇所が多くなり、該スライドコアA、B、Cが移動した痕跡がパーティングラインとして成形品の外観に多く生じるという欠点もあった。
【0005】
更に、成形品に些細な形状変更が生じた場合においては、当該スライドコアA、B,Cの各々の金型の形状をその都度変える必要があり、そのためにコストと時間が懸かっていた。
【0006】
図9に示すものは、数個のスライドコアF、G、H、I、Jを有するもので、キャビティー部及び駆動部等を図示する上方と側方との各々の方向に移動するコアを備えたスライドコア構造を形成している。
上記上方へ移動するスライドコアF、Gは、その内側側面Kが傾斜構造とされ、該スライドコアF、Gを上方に移動させることにより成形品Wと内側側面Kとの間に広い間隙が生じ、当該間隙に存在する上記内側側面Kとその外側側面で接する楔型スライドコアH、Iが横方向に移動できる空間が生じ、成形品Wを取り出すことが可能となる。上記構成により他の成形構成要素W3との間のアンダーカット部の成形が可能となる。
【0007】
また、上記構成では、スライドコアF、Gの外側側面間の間隔は一定であり、該成形品Wの成形構成要素W1の近接位置に他の成形構成要素W2が存在しても邪魔とはならない。
しかし、アンダーカット部が多くなる形状では、金型と他の成形構成要素W3となる射出材料とが接触する面積も増加し、該金型をスライド移動させる際の離型抵抗(材料の収縮によるスライド動作に与える影響)が大きく、上記構造のものは作動力が弱く、離型することは不可能であった。
また、金型の移動に伴いパーティングラインが上記従来例のものより多く発生するし、些細な形状変更にもコストと時間を必要とした。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記欠点を解決したもので、キャビティー部とロッキングコア部とに分割した金型を1つのフレーム内に形成し、該ロッキングコア部を強力に移動させることにより該キャビティー部を2方向或いはそれ以上の方向に移動する構成とし、アンダーカット部及び近接位置に他の成形構成要素が存在する成形品の処理を可能とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フレームで外形形状を特定した構造よりなり、その一端縁部に開口部を形成し、該開口部に軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々配設し、該軸方向へ移動する金型の背面側に該金型に対する押圧力変換機構を構成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0010】
上記金型は、軸方向へ移動する金型と、該軸方向とは異なる方向へ移動する金型とし、両金型はその側面において当接させ、相互に摺動可能に移動する構成としたユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0011】
上記軸方向へ移動する金型及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々数個となるように分割形成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0012】
上記異なる方向へ移動する金型を、フレームの横枠に沿う方向に移動自在としたユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0013】
上記軸方向へ移動する金型の内側側面と該軸方向とは異なる方向へ移動する金型の外側側面との当接面をテーパ状としたユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0014】
上記フレーム内に、ユニットを射出成形位置及び離型位置へと移動させるユニット移動機構として別体のアンギュラピンを受け入れる第1の孔を形成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0015】
上記フレーム内に、成型品に対する押圧及びその押圧を解除する押圧力変換機構として別体のアンギュラカムを受け入れる第2の孔を形成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0016】
上記ユニット移動機構及び押圧力変換機構のいずれもフレームの厚さ方向において傾斜するテーパ側面を構成した第1及び第2の孔としてなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0017】
また、ユニット式射出成形用金型の上方部に上側固定型及び下側固定型を移動可能に配設し、該上側固定型にはアンギュラカムを、該下側固定型にはアンギュラピンを各々形成し、該アンギュラピンはユニットの第1の孔に挿入可能な位置に配設し、該アンギュラカムはユニットの第2の孔に挿入可能な位置に配設してなるユニット式射出成形用金型において、該ユニットを射出成形用金型本体のアンダーカット部の位置に前後方向に移動自在に装着し、射出成形時には該ユニットを前進させ、離型時には該ユニットを後退させてなるユニット式射出成形用金型による射出成形方法を特徴とする。
【0018】
更に、ユニット式射出成形用金型の上方部に上側固定型及び下側固定型を移動可能に配設し、該上側固定型にはアンギュラカムを、該下側固定型にはアンギュラピンを各々形成し、該アンギュラピンはユニットの第1の孔に挿入可能な位置に配設し、該アンギュラカムはユニットの第2の孔に挿入可能な位置に配設してなるユニット式射出成形用金型において、射出成形時には下側固定型がユニットと接する位置へ移動し、その移動に伴って該アンギュラピンが第1の孔に漸次進入して該ユニットを前進させ、更に、上側固定型が該下側固定型と接する位置へ移動し、その移動により該アンギュラカムが第2の孔に漸次進入して押圧力変換機構を前方へ移動させて先端側の金型部を押圧し、離型時には上側固定型が下側固定型と離れる方向へ移動して該アンギュラカムが第2の孔より外れ、該移動により押圧力変換機構を後方へ移動させて金型部の押圧を解除し、更に、下側固定型がユニットより離れる方向へ移動することによりアンギュラピンが第1の孔より外れ、該移動によりユニットを後方へ移動させてなるユニット式射出成形用金型による射出成形方法を特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のユニット式射出成形用金型を実施例に沿って説明する。
図1は、本発明のユニット式射出成形用金型を示す平面図及び図2は同側断面図である。
【0020】
ユニット式射出成形用金型1は、縦枠2、横枠3及び必要に応じて桟等の補強材で構成された矩形形状のフレーム4構造よりなり、その一端縁部には成形品を成形する空間として凹部を形成した開口部5を構成している。該開口部5には、キャビティー6及びロッキングコア7等の金型部を配設する。
該ユニット式射出成形用金型1は、成形品のアンダーカット部を射出成形し、離型するためにユニット移動機構を備えている。該ユニット移動機構としてはフレーム4内に第1の孔8を形成する。
【0021】
図2に示すように、上記第1の孔8は、下部側へ向けて傾斜した貫通孔とされ、従って、その内側側壁はテーパー状の傾斜側壁となっている。該ユニット式射出成形用金型1の上方には下側固定型9を配設し、該下側固定型9にはその下部後方側に傾斜突出したアンギュラピン10が形成され、該下側固定型9の上下動により、該第1の孔8内を摺動自在に移動するように構成されている。
【0022】
また、該キャビティー6及びロッキングコア7等の金型部の固定部分は、プレート及びボルト等の定着手段により縦・横の枠材や補強材に装着される。更に、該金型部の背面側には該キャビティー6及びロッキングコア7に強い圧力を付与し、その状態を維持或いは解除する押圧力変換機構11を備えている。
【0023】
該押圧力変換機構11としては各種補強材、発条体及び第2の孔12等である。該第2の孔12は、第1の孔8同様、下部側へ向けて傾斜した貫通孔とされ、従って、その内側側壁はテーパー状の傾斜壁となっている。該下側固定型9の上方には上側固定型13を配設し、該上側固定型13にはその下部側より突出し、その突出先端側を下部後方側に傾斜したアンギュラカム14が形成されている。該アンギュラカム14は、下側固定型9の貫通孔15内を挿通可能とされ、且つ該上側固定型13の上下動により、該第2の孔12内に挿脱自在となるように構成され、各種補強材、発条体等を介して金型部に押圧力をかけたり、解除したりしている。
【0024】
図3(a)〜(c)は、上記ユニット移動機構及び押圧力変換機構11による本発明のユニット式射出成形用金型1の移動及び金型部への押圧力の変化状態を示した断面図である。
(a)は、ユニット式射出成形用金型1により成形品のアンダーカット部を射出成形するため所定位置に設置された状態を示している。この状態では下側固定型9及び上側固定型13はユニット式射出成形用金型1より上方の離れた位置に移動している。
【0025】
上記状態から(b)に示すように、下型固定型9が下降すると、下部後方側に突出傾斜したアンギュラピン10が、ユニット1のテーパー状の貫通孔とした第1の孔8内に進入する。その漸次進入により、該ユニット1は該第1の孔の傾斜分だけ前方へ移動することになる。従って、予めセットされている該ユニット1は成形品を成形する位置に移動することになる。
【0026】
上記のように、この時点でのユニット1は成形位置に移動することになるが、第2の孔12も上側固定型13より下部側に突出したアンギュラカム14が挿入可能な位置へ移動することになる。
この状態で上側固定型13が下降すると、該アンギュラカム14は下側固定型9の貫通孔15を貫通し、該ユニット1の第2の孔12に進入し、その先端側において下部後方側に突出傾斜した部分が第2の孔12のテーパー状傾斜壁に沿って移動し、該アンギュラカム14が第2の孔12への挿入が完了した状態では、(c)に示すように、押圧力変換機構11は前方側へ移動し、ロッキングコア7等の背面側を押圧し、金型部を移動させることになる。当該状態において射出成形が行われる。
【0027】
成形後における成形品の離型は、上記と逆の移動となる。まず、上側固定型13が上昇すると、該アンギュラカム14がユニット1の第2の孔12より外れることになる。該押圧力変換機構11には発条体が形成されているので、押圧時においては圧縮されていた発条体は解放され、その弾発力により押圧力変換機構11は元の位置に戻ることになる。従って、金型部は射出成形位置より後方へ移動することになる。
【0028】
その後、下型固定型9が上昇すると、下部後方側に突出傾斜したアンギュラピン10が、第1の孔8のテーパー状傾斜側壁に沿って引き抜かれる方向に漸次移動し、その移動に伴ってユニット1は後方へ移動することになる。従って、該ユニット1は成形品を離型できる状態へと移動する。
【0029】
【実施例1】
図4は、金型部の詳細を示す一実施例の斜視図である。押圧力変換機構11により金型部に軸方向(白抜きの矢印)への圧力を付与している状態では、キャビティー6の側面16は該ロッキングコア7の側面17と接触し、また、キャビティー6の外側側面18と該ロッキングコア7の内側側面19も接している。更に、キャビティー6の対向する側面20相互も接触している。
【0030】
従って、成形品の射出成形時には、ユニット式射出成形用金型1のキャビティー6は成形位置に移動し、且つ該押圧力変換機構11による強い押圧力によりロッキングコア7が軸方向に押され、キャビティー6相互或いは他のキャビティーに形成された成形部により成形品Wを形成する空間を構成し、射出成形されることになる。
【0031】
また、上記したようにアンギュラカム14を上方へ移動させることにより押圧力変換機構11は軸方向(黒の矢印)へ移動し、該ロッキングコア7も同方向へ移動し、上記押圧力変換機構11による押圧力が解除されることになる。
また、アンギュラピン10を上方へ移動させることによりユニット式射出成形用金型1本体を後方へ移動させ、成形品を離型することができる。
【0032】
図4に示す成形品Wは外形部にリング状の突起Mを有し、全体を筒状とした形状をしており、その下方部には他の成形構成要素W3が位置しており、成形品Wの成形構成要素である筒状体W1と他の成形構成要素W3との間がアンダーカット部となる成形品Wを射出成形する状態を示すものである。該筒状体部分は突起Mを挟んで根元側はキャビティー6相互により成形し、先端側はロッキングコア7側のキャビティーにより成形されることになる。また、筒状体の成形品W1の内側空間はロッキングコア7側のキャビティーに形成された成形部により成形されることになる。
【0033】
上記キャビティー6の外側側面18とロッキングコア7の内側側面19とは、各々傾斜側面とされ、また、図5に示すように、蟻溝と突起、凹部と凸部によるレール、底広の長孔と膨出部等の嵌合手段21により摺動自在に連結され、且つ上記キャビティー6も横枠3或いは該横枠3と同一方向の桟等の補強部材や上蓋材において、上記と同様な嵌合手段22により横方向へ摺動自在に連結されている。
【0034】
上記構成により、図6(a)、(b)の平面図に示すように、同(a)は射出成形時、同(b)は成形品の取り出し時を示している。ロッキングコア7を軸方向に沿って後方へ移動することによりキャビティー6は横枠方向へ移動することになる。該横方向への移動は、図6に示すものは縦枠3に沿った方向となっている。
従って、キャビティー6相互は、射出成形時の密着した状態から開放した状態へ移行し、アンギュラピン10の引き抜きによりユニット1全体を軸方向(黒矢印)に移動させ成形品Wを取り出せる状態へと移行されることになる。
【0035】
上記ユニット1の開口部には成形品Wの他の成形構成要素W4が入り込み、その一部をキャビティー6によって成形する。該成形構成要素W4の他の部分は別途本体側の金型により成形されることになる。
【0036】
【実施例2】
図7は、ユニット式射出成形用金型23における金型部の他の実施例を示し、(a)はその全体の斜視図、(b)はキャビティー24、(c)はロッキングコア25の斜視図を示している。
ユニット23は、上記実施例1と同様、金型部はキャビティー24及びロッキングコア25で形成されており、且つユニット23の内側には図4等に示す成形品W1の内側及び外側空間を成形する他のキャビティー26を構成している。
【0037】
該キャビティー26はユニット23の枠や補強材、及び上面蓋27に固定されることになる。
ユニット23に固定された該キャビティー26の両側面に、ロッキングコア25を移動自在に配設し、その内側及びキャビティー26の延長線上に軸方向とは異なる方向に移動するキャビティー24を配設する。
【0038】
キャビティー24の後方側面28は、ユニット23に固定された該キャビティー26の先端側壁面29と接する位置とされ、外側側面30は、該ロッキングコア25の内側側面31と接触し、キャビティー24の対向する側面32相互も閉鎖位置と開放位置とに移動自在とされている。
【0039】
成形品の射出成形時には、ユニット式射出成形用金型23のキャビティー24は成形位置に移動し、且つ上記実施例1と同様、押圧力変換機構による強い押圧力によりロッキングコア25が軸方向に押され、キャビティー24相互及び該ユニット23に固定された該キャビティー26とが各々その側面において接触して成形部を形成し、成形品Wを形成する空間を構成し、射出成形されることになる。
【0040】
上記キャビティー24の外側側面30とロッキングコア25の内側側面31とは、各々傾斜側面とされ、図に示すように、蟻溝と突起、凹部と凸部によるレール、底広の長孔と膨出部等の嵌合手段33により摺動自在に連結され、且つ上記キャビティー24も横枠或いは該横枠と同一方向の桟等の補強部材や上面蓋27において、上記と同様な嵌合手段34により横方向へ摺動自在に連結されている。
【0041】
また、ロッキングコア25もユニット1の軸方向に嵌合手段35を形成し、同軸方向に桟等の補強部材や上面蓋27において、上記と同様な嵌合手段35により軸方向へ摺動自在に連結されている。
【0042】
従って、成形品の射出成形時には、上記の通り、ユニット式射出成形用金型23のキャビティー24及び26は成形位置に移動し、且つ該押圧力変換機構11による強い押圧力によりロッキングコア25が軸方向に押され、キャビティー24相互及びユニット23に固定されたキャビティー26に形成された成形部により成形品Wを形成する空間を構成し、射出成形されることになる。
【0043】
また、上記構成よりなるユニット式射出成形用金型23は、アンギュラカム14が上方へ移動することにより押圧力変換機構11は図4に示す軸方向(黒の矢印)へ移動し、該ロッキングコア25も同方向へ移動し、上記押圧力変換機構11による押圧が解除されることになる。
また、アンギュラピン10が上方へ移動することによりユニット式射出成形用金型23本体を後方へ移動し、従って、キャビティー24も後方へ移動し、成形品を離型することが可能となる。
【0044】
上記構成よりなる矩形形状のユニット式射出成形用金型1、23は、そのユニットの厚さPを適宜な厚さとすることが可能であり、薄くすることもできる。従って、横方向に延設する成形品Wの成形構成要素W1とその下方部に存在する横方向へ延設する他の成形構成要素W3間に該ユニット式射出成形用金型1を挿入することが可能であり、当該部分のアンダーカット部の成形が可能となる。
【0045】
また、成形品に些細な変更が生じた場合、例えば、成形構成要素W4の太さや形状に変更が生じた場合、上記キャビティー6、24の該成形構成要素W4と接する切り欠き部36の形状を変えることによって変更が可能となり、従って、金型全体を変更することなくキャビティー6、24のみの交換により当該部分の変更された成形が可能となる。また、成形構成要素W1に変更が生じた場合は、キャビティー6、24、26を変更すれば良い。
【0046】
また、成形構成要素W1と成形構成要素W3との間隔が変更(アンダーカット部の高さ変更)された場合においても、キャビティー6、24の厚さ或いはユニットの厚さ等を変えることにより対応することが可能となり、ロッキングコア7、25の変更をすることなくキャビティー6、24の変更のみで対応できる変更成形品を完成させることが可能となる。
【0047】
上記実施例1、2では、キャビティーを左右方向の2方向で且つ横桟方向に移動するものとして説明したが、各々が120度の異方向に移動する3方向移動のもの、左右・上下方向に移動する4方向移動のもの、或いは更に多くの方向に移動するものも、上記実施例1、2と同様な機構により実施できることは言うまでもない。
また、アンダーカット部の状況に応じてユニットを交換することも容易に行うことができる。
【0048】
【発明の効果】
上記構成よりなる本発明のユニット式射出成形用金型は、請求項1の発明においては、射出成形品の製造時に生じるアンダーカット部及び当該成形品の他の成形構成要素が近接位置に存在しても当該部分の成形処理が可能となった。
また、成形用金型がフレームによりユニット化されて形成されているので運搬、設置、交換を簡単に行なうことが可能となった。
更に、数カ所にわたってアンダーカット部のある形状の成形品の場合は、それに合った数のユニットを準備することにより、それぞれのカ所に於いて対応することが可能となった。
【0049】
更に、ユニットに形成された金型の背面側に構成した押圧手段の操作により射出成形時或いは成形品の取り出し時を操作することができ、離型時には該押圧手段の押圧力を解除することにより大きな引き抜き力を与えることが可能である。
【0050】
また、成形品と金型とが接する箇所を少なくすることが可能となり、該成形品にパーティングラインが発生する箇所を少なくすることが可能となった。
【0051】
請求項2の発明では、アンダーカット部を処理する金型を集約することが可能となった。また、引き抜き力の大きな金型の軸方向とは異なる方向へ移動する金型を配設したので、離型時の樹脂材料と金属との摩擦抵抗に十分に対応することが可能となった。
【0052】
請求項3ないし5の発明は、軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型の金属相互が摺動自在とされているので、離型時における摩擦抵抗は金属相互の摩擦抵抗となり、樹脂材料と金属とによる摩擦抵抗よりはるかに少ない抵抗で離型が行われ、成形品の取り出しを容易に行うことが可能となった。
【0053】
請求項6ないし10の発明により、ユニットをアンダーカット部等の狭い箇所の射出成形位置へセットすることができ、且つ、当該位置において金型部を押圧し、開放することが可能となった。また、他の成形構成要素に何等邪魔されることなくその開放された状態でユニットを移動させることが可能となった。
【0054】
更に、上記ユニット及び金型部の移動は、該ユニットに形成した孔内を移動するアンギュラピン及びアンギュラカムによって行われるので、その移動範囲が特定され、確実な射出成形及びその成形品の脱型が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のユニット式射出成形用金型の平面図。
【図2】本発明のユニット式射出成形用金型の側断面図。
【図3】(a)本発明のユニット式射出成形用金型の離型時の状態を示す側断面図。
(b)本発明のユニット式射出成形用金型の移動状態を示す側断面図。
(c)本発明のユニット式射出成形用金型の圧力付与時の状態を示す側断面図。
【図4】本発明のユニット式射出成形用金型の先端部の一実施例の斜視図。
【図5】本発明のユニット式射出成形用金型の先端部のキャビティー部の移動を示す一実施例の斜視図。
【図6】(a)本発明のユニット式射出成形用金型の射出成形時の先端部の一実施例の平面図。
(b)本発明のユニット式射出成形用金型の離型時の先端部の一実施例の平面図。
【図7】(a)本発明のユニット式射出成形用金型の金型部の他の実施例の斜視図。
(b)キャビティー部の他の実施例の斜視図。
(c)ロッキングコアの他の実施例の斜視図。
【図8】従来例のスライドコアを適数個有する金型の移動状態を示す斜視図。
【図9】従来例のスライドコアを有する他の実施例の金型の移動状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1、23・・ユニット式射出成形用金型
2・・縦枠
3・・横枠
4・・フレーム
5・・開口部
6、24、26・・キャビティー
7、25・・ロッキングコア
8・・第1の孔
9・・下側固定型
10・・アンギュラピン
11・・押圧力変換機構
12・・第2の孔
13・・上側固定型
14・・アンギュラカム
15・・貫通孔
16、17・・側面
18・・外側側面
19・・内側側面
20・・側面
21、22・・嵌合手段
27・・上面蓋
28・・後方側面
29・・先端側壁面
30・・外側側面
31・・内側側面
32・・側面
33、34、35・・嵌合手段
36・・切り欠き部
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーカット部を有する成形品や成形品の一部に当該成形構成要素の近接位置に他の成形構成要素が存在して金型の移動範囲が限定されている成形品等を射出成形する金型に係り、該金型をユニット化することによりアンダーカット部及び金型の移動範囲が限定されている上記のような成形品を射出成形することを特徴としたユニット式射出成形用金型及び該金型による射出成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アンダーカット部を有する成形品を成形するためには、開きコア又はスライドコア等の射出成形用金型が使用されている。
図8に示すものは、3個のスライドコアA、B、Cを有する金型で、該スライドコアA、B、Cはキャビティー部及び駆動部等を各々備え、成形品Wの下方部に生じるアンダーカット部に対応できるスライドコア構造を構成している。成形品Wがその外形部に突起Mを形成した成形構成要素W1と、該成形構成要素W1の下部に間隔を隔てて他の成形構成要素W3が存在するアンダーカット部を有する成形品の形成にあっては、当該金型は該突起Mを境目として少なくとも3方向へ分離するスライドコアA、B、Cを備える必要があった。
【0003】
上記の場合、該スライドコアA、B、Cは、射出後、成形品より離れる方向に各々が移動することになり、その周辺部には移動を可能とする空間が必要となる。従って、成形品の近接位置に他の成形構成要素W2が存在する成形品においては、該スライドコアAが移動する空間を確保することができず、上記のような構成でのアンダーカット部の処理は不可能であった。
【0004】
また、該スライドコアA、B、Cが成形品と接触する箇所が多くなり、該スライドコアA、B、Cが移動した痕跡がパーティングラインとして成形品の外観に多く生じるという欠点もあった。
【0005】
更に、成形品に些細な形状変更が生じた場合においては、当該スライドコアA、B,Cの各々の金型の形状をその都度変える必要があり、そのためにコストと時間が懸かっていた。
【0006】
図9に示すものは、数個のスライドコアF、G、H、I、Jを有するもので、キャビティー部及び駆動部等を図示する上方と側方との各々の方向に移動するコアを備えたスライドコア構造を形成している。
上記上方へ移動するスライドコアF、Gは、その内側側面Kが傾斜構造とされ、該スライドコアF、Gを上方に移動させることにより成形品Wと内側側面Kとの間に広い間隙が生じ、当該間隙に存在する上記内側側面Kとその外側側面で接する楔型スライドコアH、Iが横方向に移動できる空間が生じ、成形品Wを取り出すことが可能となる。上記構成により他の成形構成要素W3との間のアンダーカット部の成形が可能となる。
【0007】
また、上記構成では、スライドコアF、Gの外側側面間の間隔は一定であり、該成形品Wの成形構成要素W1の近接位置に他の成形構成要素W2が存在しても邪魔とはならない。
しかし、アンダーカット部が多くなる形状では、金型と他の成形構成要素W3となる射出材料とが接触する面積も増加し、該金型をスライド移動させる際の離型抵抗(材料の収縮によるスライド動作に与える影響)が大きく、上記構造のものは作動力が弱く、離型することは不可能であった。
また、金型の移動に伴いパーティングラインが上記従来例のものより多く発生するし、些細な形状変更にもコストと時間を必要とした。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記欠点を解決したもので、キャビティー部とロッキングコア部とに分割した金型を1つのフレーム内に形成し、該ロッキングコア部を強力に移動させることにより該キャビティー部を2方向或いはそれ以上の方向に移動する構成とし、アンダーカット部及び近接位置に他の成形構成要素が存在する成形品の処理を可能とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フレームで外形形状を特定した構造よりなり、その一端縁部に開口部を形成し、該開口部に軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々配設し、該軸方向へ移動する金型の背面側に該金型に対する押圧力変換機構を構成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0010】
上記金型は、軸方向へ移動する金型と、該軸方向とは異なる方向へ移動する金型とし、両金型はその側面において当接させ、相互に摺動可能に移動する構成としたユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0011】
上記軸方向へ移動する金型及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々数個となるように分割形成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0012】
上記異なる方向へ移動する金型を、フレームの横枠に沿う方向に移動自在としたユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0013】
上記軸方向へ移動する金型の内側側面と該軸方向とは異なる方向へ移動する金型の外側側面との当接面をテーパ状としたユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0014】
上記フレーム内に、ユニットを射出成形位置及び離型位置へと移動させるユニット移動機構として別体のアンギュラピンを受け入れる第1の孔を形成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0015】
上記フレーム内に、成型品に対する押圧及びその押圧を解除する押圧力変換機構として別体のアンギュラカムを受け入れる第2の孔を形成してなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0016】
上記ユニット移動機構及び押圧力変換機構のいずれもフレームの厚さ方向において傾斜するテーパ側面を構成した第1及び第2の孔としてなるユニット式射出成形用金型を特徴とする。
【0017】
また、ユニット式射出成形用金型の上方部に上側固定型及び下側固定型を移動可能に配設し、該上側固定型にはアンギュラカムを、該下側固定型にはアンギュラピンを各々形成し、該アンギュラピンはユニットの第1の孔に挿入可能な位置に配設し、該アンギュラカムはユニットの第2の孔に挿入可能な位置に配設してなるユニット式射出成形用金型において、該ユニットを射出成形用金型本体のアンダーカット部の位置に前後方向に移動自在に装着し、射出成形時には該ユニットを前進させ、離型時には該ユニットを後退させてなるユニット式射出成形用金型による射出成形方法を特徴とする。
【0018】
更に、ユニット式射出成形用金型の上方部に上側固定型及び下側固定型を移動可能に配設し、該上側固定型にはアンギュラカムを、該下側固定型にはアンギュラピンを各々形成し、該アンギュラピンはユニットの第1の孔に挿入可能な位置に配設し、該アンギュラカムはユニットの第2の孔に挿入可能な位置に配設してなるユニット式射出成形用金型において、射出成形時には下側固定型がユニットと接する位置へ移動し、その移動に伴って該アンギュラピンが第1の孔に漸次進入して該ユニットを前進させ、更に、上側固定型が該下側固定型と接する位置へ移動し、その移動により該アンギュラカムが第2の孔に漸次進入して押圧力変換機構を前方へ移動させて先端側の金型部を押圧し、離型時には上側固定型が下側固定型と離れる方向へ移動して該アンギュラカムが第2の孔より外れ、該移動により押圧力変換機構を後方へ移動させて金型部の押圧を解除し、更に、下側固定型がユニットより離れる方向へ移動することによりアンギュラピンが第1の孔より外れ、該移動によりユニットを後方へ移動させてなるユニット式射出成形用金型による射出成形方法を特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のユニット式射出成形用金型を実施例に沿って説明する。
図1は、本発明のユニット式射出成形用金型を示す平面図及び図2は同側断面図である。
【0020】
ユニット式射出成形用金型1は、縦枠2、横枠3及び必要に応じて桟等の補強材で構成された矩形形状のフレーム4構造よりなり、その一端縁部には成形品を成形する空間として凹部を形成した開口部5を構成している。該開口部5には、キャビティー6及びロッキングコア7等の金型部を配設する。
該ユニット式射出成形用金型1は、成形品のアンダーカット部を射出成形し、離型するためにユニット移動機構を備えている。該ユニット移動機構としてはフレーム4内に第1の孔8を形成する。
【0021】
図2に示すように、上記第1の孔8は、下部側へ向けて傾斜した貫通孔とされ、従って、その内側側壁はテーパー状の傾斜側壁となっている。該ユニット式射出成形用金型1の上方には下側固定型9を配設し、該下側固定型9にはその下部後方側に傾斜突出したアンギュラピン10が形成され、該下側固定型9の上下動により、該第1の孔8内を摺動自在に移動するように構成されている。
【0022】
また、該キャビティー6及びロッキングコア7等の金型部の固定部分は、プレート及びボルト等の定着手段により縦・横の枠材や補強材に装着される。更に、該金型部の背面側には該キャビティー6及びロッキングコア7に強い圧力を付与し、その状態を維持或いは解除する押圧力変換機構11を備えている。
【0023】
該押圧力変換機構11としては各種補強材、発条体及び第2の孔12等である。該第2の孔12は、第1の孔8同様、下部側へ向けて傾斜した貫通孔とされ、従って、その内側側壁はテーパー状の傾斜壁となっている。該下側固定型9の上方には上側固定型13を配設し、該上側固定型13にはその下部側より突出し、その突出先端側を下部後方側に傾斜したアンギュラカム14が形成されている。該アンギュラカム14は、下側固定型9の貫通孔15内を挿通可能とされ、且つ該上側固定型13の上下動により、該第2の孔12内に挿脱自在となるように構成され、各種補強材、発条体等を介して金型部に押圧力をかけたり、解除したりしている。
【0024】
図3(a)〜(c)は、上記ユニット移動機構及び押圧力変換機構11による本発明のユニット式射出成形用金型1の移動及び金型部への押圧力の変化状態を示した断面図である。
(a)は、ユニット式射出成形用金型1により成形品のアンダーカット部を射出成形するため所定位置に設置された状態を示している。この状態では下側固定型9及び上側固定型13はユニット式射出成形用金型1より上方の離れた位置に移動している。
【0025】
上記状態から(b)に示すように、下型固定型9が下降すると、下部後方側に突出傾斜したアンギュラピン10が、ユニット1のテーパー状の貫通孔とした第1の孔8内に進入する。その漸次進入により、該ユニット1は該第1の孔の傾斜分だけ前方へ移動することになる。従って、予めセットされている該ユニット1は成形品を成形する位置に移動することになる。
【0026】
上記のように、この時点でのユニット1は成形位置に移動することになるが、第2の孔12も上側固定型13より下部側に突出したアンギュラカム14が挿入可能な位置へ移動することになる。
この状態で上側固定型13が下降すると、該アンギュラカム14は下側固定型9の貫通孔15を貫通し、該ユニット1の第2の孔12に進入し、その先端側において下部後方側に突出傾斜した部分が第2の孔12のテーパー状傾斜壁に沿って移動し、該アンギュラカム14が第2の孔12への挿入が完了した状態では、(c)に示すように、押圧力変換機構11は前方側へ移動し、ロッキングコア7等の背面側を押圧し、金型部を移動させることになる。当該状態において射出成形が行われる。
【0027】
成形後における成形品の離型は、上記と逆の移動となる。まず、上側固定型13が上昇すると、該アンギュラカム14がユニット1の第2の孔12より外れることになる。該押圧力変換機構11には発条体が形成されているので、押圧時においては圧縮されていた発条体は解放され、その弾発力により押圧力変換機構11は元の位置に戻ることになる。従って、金型部は射出成形位置より後方へ移動することになる。
【0028】
その後、下型固定型9が上昇すると、下部後方側に突出傾斜したアンギュラピン10が、第1の孔8のテーパー状傾斜側壁に沿って引き抜かれる方向に漸次移動し、その移動に伴ってユニット1は後方へ移動することになる。従って、該ユニット1は成形品を離型できる状態へと移動する。
【0029】
【実施例1】
図4は、金型部の詳細を示す一実施例の斜視図である。押圧力変換機構11により金型部に軸方向(白抜きの矢印)への圧力を付与している状態では、キャビティー6の側面16は該ロッキングコア7の側面17と接触し、また、キャビティー6の外側側面18と該ロッキングコア7の内側側面19も接している。更に、キャビティー6の対向する側面20相互も接触している。
【0030】
従って、成形品の射出成形時には、ユニット式射出成形用金型1のキャビティー6は成形位置に移動し、且つ該押圧力変換機構11による強い押圧力によりロッキングコア7が軸方向に押され、キャビティー6相互或いは他のキャビティーに形成された成形部により成形品Wを形成する空間を構成し、射出成形されることになる。
【0031】
また、上記したようにアンギュラカム14を上方へ移動させることにより押圧力変換機構11は軸方向(黒の矢印)へ移動し、該ロッキングコア7も同方向へ移動し、上記押圧力変換機構11による押圧力が解除されることになる。
また、アンギュラピン10を上方へ移動させることによりユニット式射出成形用金型1本体を後方へ移動させ、成形品を離型することができる。
【0032】
図4に示す成形品Wは外形部にリング状の突起Mを有し、全体を筒状とした形状をしており、その下方部には他の成形構成要素W3が位置しており、成形品Wの成形構成要素である筒状体W1と他の成形構成要素W3との間がアンダーカット部となる成形品Wを射出成形する状態を示すものである。該筒状体部分は突起Mを挟んで根元側はキャビティー6相互により成形し、先端側はロッキングコア7側のキャビティーにより成形されることになる。また、筒状体の成形品W1の内側空間はロッキングコア7側のキャビティーに形成された成形部により成形されることになる。
【0033】
上記キャビティー6の外側側面18とロッキングコア7の内側側面19とは、各々傾斜側面とされ、また、図5に示すように、蟻溝と突起、凹部と凸部によるレール、底広の長孔と膨出部等の嵌合手段21により摺動自在に連結され、且つ上記キャビティー6も横枠3或いは該横枠3と同一方向の桟等の補強部材や上蓋材において、上記と同様な嵌合手段22により横方向へ摺動自在に連結されている。
【0034】
上記構成により、図6(a)、(b)の平面図に示すように、同(a)は射出成形時、同(b)は成形品の取り出し時を示している。ロッキングコア7を軸方向に沿って後方へ移動することによりキャビティー6は横枠方向へ移動することになる。該横方向への移動は、図6に示すものは縦枠3に沿った方向となっている。
従って、キャビティー6相互は、射出成形時の密着した状態から開放した状態へ移行し、アンギュラピン10の引き抜きによりユニット1全体を軸方向(黒矢印)に移動させ成形品Wを取り出せる状態へと移行されることになる。
【0035】
上記ユニット1の開口部には成形品Wの他の成形構成要素W4が入り込み、その一部をキャビティー6によって成形する。該成形構成要素W4の他の部分は別途本体側の金型により成形されることになる。
【0036】
【実施例2】
図7は、ユニット式射出成形用金型23における金型部の他の実施例を示し、(a)はその全体の斜視図、(b)はキャビティー24、(c)はロッキングコア25の斜視図を示している。
ユニット23は、上記実施例1と同様、金型部はキャビティー24及びロッキングコア25で形成されており、且つユニット23の内側には図4等に示す成形品W1の内側及び外側空間を成形する他のキャビティー26を構成している。
【0037】
該キャビティー26はユニット23の枠や補強材、及び上面蓋27に固定されることになる。
ユニット23に固定された該キャビティー26の両側面に、ロッキングコア25を移動自在に配設し、その内側及びキャビティー26の延長線上に軸方向とは異なる方向に移動するキャビティー24を配設する。
【0038】
キャビティー24の後方側面28は、ユニット23に固定された該キャビティー26の先端側壁面29と接する位置とされ、外側側面30は、該ロッキングコア25の内側側面31と接触し、キャビティー24の対向する側面32相互も閉鎖位置と開放位置とに移動自在とされている。
【0039】
成形品の射出成形時には、ユニット式射出成形用金型23のキャビティー24は成形位置に移動し、且つ上記実施例1と同様、押圧力変換機構による強い押圧力によりロッキングコア25が軸方向に押され、キャビティー24相互及び該ユニット23に固定された該キャビティー26とが各々その側面において接触して成形部を形成し、成形品Wを形成する空間を構成し、射出成形されることになる。
【0040】
上記キャビティー24の外側側面30とロッキングコア25の内側側面31とは、各々傾斜側面とされ、図に示すように、蟻溝と突起、凹部と凸部によるレール、底広の長孔と膨出部等の嵌合手段33により摺動自在に連結され、且つ上記キャビティー24も横枠或いは該横枠と同一方向の桟等の補強部材や上面蓋27において、上記と同様な嵌合手段34により横方向へ摺動自在に連結されている。
【0041】
また、ロッキングコア25もユニット1の軸方向に嵌合手段35を形成し、同軸方向に桟等の補強部材や上面蓋27において、上記と同様な嵌合手段35により軸方向へ摺動自在に連結されている。
【0042】
従って、成形品の射出成形時には、上記の通り、ユニット式射出成形用金型23のキャビティー24及び26は成形位置に移動し、且つ該押圧力変換機構11による強い押圧力によりロッキングコア25が軸方向に押され、キャビティー24相互及びユニット23に固定されたキャビティー26に形成された成形部により成形品Wを形成する空間を構成し、射出成形されることになる。
【0043】
また、上記構成よりなるユニット式射出成形用金型23は、アンギュラカム14が上方へ移動することにより押圧力変換機構11は図4に示す軸方向(黒の矢印)へ移動し、該ロッキングコア25も同方向へ移動し、上記押圧力変換機構11による押圧が解除されることになる。
また、アンギュラピン10が上方へ移動することによりユニット式射出成形用金型23本体を後方へ移動し、従って、キャビティー24も後方へ移動し、成形品を離型することが可能となる。
【0044】
上記構成よりなる矩形形状のユニット式射出成形用金型1、23は、そのユニットの厚さPを適宜な厚さとすることが可能であり、薄くすることもできる。従って、横方向に延設する成形品Wの成形構成要素W1とその下方部に存在する横方向へ延設する他の成形構成要素W3間に該ユニット式射出成形用金型1を挿入することが可能であり、当該部分のアンダーカット部の成形が可能となる。
【0045】
また、成形品に些細な変更が生じた場合、例えば、成形構成要素W4の太さや形状に変更が生じた場合、上記キャビティー6、24の該成形構成要素W4と接する切り欠き部36の形状を変えることによって変更が可能となり、従って、金型全体を変更することなくキャビティー6、24のみの交換により当該部分の変更された成形が可能となる。また、成形構成要素W1に変更が生じた場合は、キャビティー6、24、26を変更すれば良い。
【0046】
また、成形構成要素W1と成形構成要素W3との間隔が変更(アンダーカット部の高さ変更)された場合においても、キャビティー6、24の厚さ或いはユニットの厚さ等を変えることにより対応することが可能となり、ロッキングコア7、25の変更をすることなくキャビティー6、24の変更のみで対応できる変更成形品を完成させることが可能となる。
【0047】
上記実施例1、2では、キャビティーを左右方向の2方向で且つ横桟方向に移動するものとして説明したが、各々が120度の異方向に移動する3方向移動のもの、左右・上下方向に移動する4方向移動のもの、或いは更に多くの方向に移動するものも、上記実施例1、2と同様な機構により実施できることは言うまでもない。
また、アンダーカット部の状況に応じてユニットを交換することも容易に行うことができる。
【0048】
【発明の効果】
上記構成よりなる本発明のユニット式射出成形用金型は、請求項1の発明においては、射出成形品の製造時に生じるアンダーカット部及び当該成形品の他の成形構成要素が近接位置に存在しても当該部分の成形処理が可能となった。
また、成形用金型がフレームによりユニット化されて形成されているので運搬、設置、交換を簡単に行なうことが可能となった。
更に、数カ所にわたってアンダーカット部のある形状の成形品の場合は、それに合った数のユニットを準備することにより、それぞれのカ所に於いて対応することが可能となった。
【0049】
更に、ユニットに形成された金型の背面側に構成した押圧手段の操作により射出成形時或いは成形品の取り出し時を操作することができ、離型時には該押圧手段の押圧力を解除することにより大きな引き抜き力を与えることが可能である。
【0050】
また、成形品と金型とが接する箇所を少なくすることが可能となり、該成形品にパーティングラインが発生する箇所を少なくすることが可能となった。
【0051】
請求項2の発明では、アンダーカット部を処理する金型を集約することが可能となった。また、引き抜き力の大きな金型の軸方向とは異なる方向へ移動する金型を配設したので、離型時の樹脂材料と金属との摩擦抵抗に十分に対応することが可能となった。
【0052】
請求項3ないし5の発明は、軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型の金属相互が摺動自在とされているので、離型時における摩擦抵抗は金属相互の摩擦抵抗となり、樹脂材料と金属とによる摩擦抵抗よりはるかに少ない抵抗で離型が行われ、成形品の取り出しを容易に行うことが可能となった。
【0053】
請求項6ないし10の発明により、ユニットをアンダーカット部等の狭い箇所の射出成形位置へセットすることができ、且つ、当該位置において金型部を押圧し、開放することが可能となった。また、他の成形構成要素に何等邪魔されることなくその開放された状態でユニットを移動させることが可能となった。
【0054】
更に、上記ユニット及び金型部の移動は、該ユニットに形成した孔内を移動するアンギュラピン及びアンギュラカムによって行われるので、その移動範囲が特定され、確実な射出成形及びその成形品の脱型が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のユニット式射出成形用金型の平面図。
【図2】本発明のユニット式射出成形用金型の側断面図。
【図3】(a)本発明のユニット式射出成形用金型の離型時の状態を示す側断面図。
(b)本発明のユニット式射出成形用金型の移動状態を示す側断面図。
(c)本発明のユニット式射出成形用金型の圧力付与時の状態を示す側断面図。
【図4】本発明のユニット式射出成形用金型の先端部の一実施例の斜視図。
【図5】本発明のユニット式射出成形用金型の先端部のキャビティー部の移動を示す一実施例の斜視図。
【図6】(a)本発明のユニット式射出成形用金型の射出成形時の先端部の一実施例の平面図。
(b)本発明のユニット式射出成形用金型の離型時の先端部の一実施例の平面図。
【図7】(a)本発明のユニット式射出成形用金型の金型部の他の実施例の斜視図。
(b)キャビティー部の他の実施例の斜視図。
(c)ロッキングコアの他の実施例の斜視図。
【図8】従来例のスライドコアを適数個有する金型の移動状態を示す斜視図。
【図9】従来例のスライドコアを有する他の実施例の金型の移動状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1、23・・ユニット式射出成形用金型
2・・縦枠
3・・横枠
4・・フレーム
5・・開口部
6、24、26・・キャビティー
7、25・・ロッキングコア
8・・第1の孔
9・・下側固定型
10・・アンギュラピン
11・・押圧力変換機構
12・・第2の孔
13・・上側固定型
14・・アンギュラカム
15・・貫通孔
16、17・・側面
18・・外側側面
19・・内側側面
20・・側面
21、22・・嵌合手段
27・・上面蓋
28・・後方側面
29・・先端側壁面
30・・外側側面
31・・内側側面
32・・側面
33、34、35・・嵌合手段
36・・切り欠き部
Claims (10)
- フレームで外形形状を特定した構造よりなり、その一端縁部に開口部を形成し、該開口部に軸方向及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々配設し、該軸方向へ移動する金型の背面側には該金型に対する押圧力変換機構を構成してなることを特徴とするユニット式射出成形用金型。
- 金型は、軸方向へ移動する金型と、該軸方向とは異なる方向へ移動する金型とし、両金型はその側面において当接させ、相互に摺動可能に移動する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のユニット式射出成形用金型。
- 軸方向へ移動する金型及び該軸方向とは異なる方向へ移動する金型を各々数個となるように分割形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット式射出成形用金型。
- 異なる方向へ移動する金型を、フレームの横枠に沿う方向に移動自在としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のユニット式射出成形用金型。
- 軸方向へ移動する金型の内側側面と該軸方向とは異なる方向へ移動する金型の外側側面との当接面をテーパ状としたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1に記載のユニット式射出成形用金型。
- フレーム内に、ユニットを射出成形位置及び離型位置へと移動させるユニット移動機構として別体のアンギュラピンを受け入れる第1の孔を形成してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1に記載のユニット式射出成形用金型。
- フレーム内に、成型品に対する押圧及びその押圧を解除する押圧力変換機構として別体のアンギュラカムを受け入れる第2の孔を形成してなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1に記載のユニット式射出成形用金型。
- ユニット移動機構及び押圧力変換機構のいずれもフレームの厚さ方向において傾斜するテーパ側面を構成した第1及び第2の孔としてなることを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載のユニット式射出成形用金型。
- 請求項1ないし8に記載のユニット式射出成形用金型の上方部に上側固定型及び下側固定型を移動可能に配設し、該上側固定型にはアンギュラカムを、該下側固定型にはアンギュラピンを各々形成し、該アンギュラピンはユニットの第1の孔に挿入可能な位置に配設し、該アンギュラカムはユニットの第2の孔に挿入可能な位置に配設してなるユニット式射出成形用金型において、該ユニットを射出成形用金型本体のアンダーカット部の位置に前後方向に移動自在に装着し、射出成形時には該ユニットを前進させ、離型時には該ユニットを後退させてなることを特徴とするユニット式射出成形用金型による射出成形方法。
- 請求項1ないし8に記載のユニット式射出成形用金型の上方部に上側固定型及び下側固定型を移動可能に配設し、該上側固定型にはアンギュラカムを、該下側固定型にはアンギュラピンを各々形成し、該アンギュラピンはユニットの第1の孔に挿入可能な位置に配設し、該アンギュラカムはユニットの第2の孔に挿入可能な位置に配設してなるユニット式射出成形用金型において、射出成形時には下側固定型がユニットと接する位置へ移動し、その移動に伴って該アンギュラピンが第1の孔に漸次進入して該ユニットを前進させ、更に、上側固定型が該下側固定型と接する位置へ移動し、その移動により該アンギュラカムが第2の孔に漸次進入して押圧力変換機構を前方へ移動させて先端側の金型部を押圧し、離型時には上側固定型が下側固定型と離れる方向へ移動して該アンギュラカムが第2の孔より外れ、該移動により押圧力変換機構を後方へ移動させて金型部の押圧を解除し、更に、下側固定型がユニットより離れる方向へ移動することによりアンギュラピンが第1の孔より外れ、該移動によりユニットを後方へ移動させてなることを特徴とするユニット式射出成形用金型による射出成形方法。
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JP2003054771A JP2004262087A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | ユニット式射出成形用金型及び該金型による射出成形方法 |
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