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JP2004255762A - 容器製造用シート、その製造方法及び製品収納用容器 - Google Patents

容器製造用シート、その製造方法及び製品収納用容器 Download PDF

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JP2004255762A
JP2004255762A JP2003050320A JP2003050320A JP2004255762A JP 2004255762 A JP2004255762 A JP 2004255762A JP 2003050320 A JP2003050320 A JP 2003050320A JP 2003050320 A JP2003050320 A JP 2003050320A JP 2004255762 A JP2004255762 A JP 2004255762A
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pet
container
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foam
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JP2003050320A
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Hiroyuki Ueno
裕之 上野
Kenichi Yoshida
賢一 吉田
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

【課題】電子部品を収納できるほどに帯電防止性を備えた容器が熱成形によって得られるような合成樹脂シートであって、しかも容器とした場合に衝撃緩和性に富み、軽量で強靭である、などの特性を持ったものとなるような合成樹脂シートを提供しようとする。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル系樹脂を材料とし、これを押し出し発泡させて発泡シートとする際に、押し出されたシートの表面を急冷して表面の結晶化度を10%以下とし、こうして得られた発泡樹脂シートの表面に導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設して積層シートとする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、容器を製造するためのシートと、そのシートを製造する方法と、そのシートから作られた製品収納用容器とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製品を収納するための容器は色々な材料で作られている。中でも、熱可塑性樹脂を材料としたものは色々な分野で用いられている。熱可塑性樹脂が好んで用いられる理由は、熱可塑性樹脂には色々な特性を持ったものがあり、樹脂の選択によって色々な特性を持った容器を作ることができるからであり、また一般に熱可塑性樹脂は容器への加工が容易だからである。とくに容器への加工を容易にするために、熱可塑性樹脂で作られた容器製造用シートが提供されている。この容器製造用シートを利用して二次加工により容器を作ることが広く行われている。
【0003】
熱可塑性樹脂の中でもポリエステル系樹脂は、一般にPETと呼ばれているものであって、耐熱性と、機械的特性にすぐれ、とりわけ耐衝撃性に富み、透明で美麗であるなど、すぐれた特性を持っている。このために、熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、これをPETという)は、磁気テープの材料として、また包装用フィルムとして、さらに容器とくに壜として、液体を入れるのに広く用いられている。ところが、PETは電気絶縁性が良く、従って帯電し易く、ほこりを吸着し易いために、或る種の製品例えば電子部品を包装する材料としては適しないものとされて来た。
【0004】
そこで、PETに帯電防止性を付与しようとの試みがなされた。その試みは、PETに帯電防止剤を塗布したり練り込んだりする方法である。帯電防止剤としては古くは界面活性剤とくにカチオン系界面活性剤が用いられた。最近ではPETフィルムに導電性ポリマーを含む樹脂層を積層することが知られている。
【0005】
特開平8−118572号公報は、熱可塑性合成樹脂としてPETを用い、導電性ポリマーとしてポリアニリンを選び、水溶性プロトン酸又はその塩によりポリアニリンを水分散体として、これをPETフィルムの少なくとも片面に塗布して積層フィルムとし、これによって帯電防止性を付与することを提案している。
【0006】
しかし、その積層フィルムの製造方法を見ると、その積層フィルムは容器製造用には使用できないものであることが判明する。なぜならばこの積層フィルムは、PETをフィルムとして押し出し、押し出したフィルムをまず長手方向に延伸して一軸配向フィルムとし、次いでこのフィルムをコロナ放電で処理し、その表面にポリスルホン酸アンモニウム塩によるポリアニリン水分散体を塗布し、得られたフィルムをその後さらにまた幅方向に延伸して、積層フィルムとしているからである。このように2方向に延伸された積層フィルムは、これを加熱すると著しく収縮するから、これを加熱することにより二次加工して容器とすることはできないからである。また、このフィルムは非発泡のものに限られる。
【0007】
PETは、結晶性の樹脂である。このために、PETは発泡させにくい樹脂とされている。従って、PETを発泡させるには、発泡剤のほかに、補助剤としてPETの架橋剤と気泡核剤とを加えなければならない。ところが、このような補助剤を加えてPETを押し出し発泡させると、得られた発泡フィルム又はシートは結晶化が進み、通常結晶化度が15〜20%となる。
【0008】
表面の結晶化度が15%以上の発泡PETフィルム又はシートは、この表面が他物への接着性に乏しいために、この表面に導電性ポリマーを含んだ樹脂膜を設けても、樹脂膜が剥がれ易く、従って良質の積層フィルム又はシートとすることができない。もっとも、積層フィルムとする前に、PETフィルム又はシートにコロナ放電などの特殊な予備処理に付すると、この困難は若干解決できるが、それにしても樹脂膜が剥がれ易く、またそのような予備処理をすることは厄介であって実用的でない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明者は、帯電防止性のPETシートを用いて、これを加熱して二次加工することにより、電子部品を収納できるほどに帯電防止性を備えた容器を提供しようと企てた。その場合、PETシートとして発泡したシートを用いて容器の軽量化を図るとともに、容器の衝撃緩和性を向上させて、改良された容器にしようと企てた。
【0010】
【課題解決のための手段】
この発明者は、まずPETの発泡シートを導電性ポリマーが含まれている樹脂に接着し易いものにして、帯電防止性を持った発泡シートを提供しようと企てた。その結果、この発明者は、PET発泡シートの表面結晶化度を10%以下に保持すれば、その表面そのままで、その上に導電性ポリマーを含んだ樹脂を接着させることができ、これによって帯電防止性を備えた積層シートの得られることを見出した。
【0011】
また、従来の押出発泡法によっては、表面の結晶化度が15%以下のPET発泡シートを得ることは一般的には困難であるが、押し出し直後に押し出された発泡シートを表面から急激に冷却すると、結晶化度が10%以下のPET発泡シートの得られることを見出した。急激な冷却とは、一般にPETを発泡させるにはPETを260〜280℃の温度で押し出すことが必要とされるところ、押し出しから10秒以内にPET発泡シートの表面を80℃以下にまで冷却することである。結晶化度は、8%以下が更に望ましい。
【0012】
こうして得た表面結晶化度が10%以下のPET発泡シートに導電性ポリマーを含む樹脂を塗布して積層シートにすると、得られた積層シートは、これを加熱して真空成形などの二次加工を施すことができ、その際に導電性ポリマーを含む樹脂層の剥離も起こらず、容易に容器とすることができることを見出した。この場合、導電性ポリマーを含む樹脂の層を容器の内側に向けて成形すると、得られた容器は電子部品を容れるのに適したものとなることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0013】
この発明は、一面では容器製造用シートを提供するものであり、他の一面では容器製造用シートの製造方法を提供するものであり、さらに別の一面ではそのシートに二次加工を施して得られた電子部品などの製品を収納するための容器を提供するものである。
【0014】
この発明に係る容器製造用シートは、表面の結晶化度が10%以下とされたPETの発泡したシートの表面に、導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設してなる積層シートからなり、熱成形して容器とすることのできる容器製造用シートである。
【0015】
また、この発明に係る容器製造用シートの製造方法は、PET100重量部と、架橋剤0.1〜0.5重量部と、気泡核剤0.02〜3重量部とからなる混合物を押出機に供給し、押出機内で混合物を溶融してこれに発泡剤を0.3〜1.5重量部含ませ、これを260〜280℃の温度でシート状に押し出して発泡させ、押し出したシートを急冷して押し出し時から10秒以内にシート表面を80℃以下にし、その後この表面に導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設して、積層シートとすることを特徴とするものである。
【0016】
また、この発明に係る製品収納用容器は、表面の結晶化度が10%以下とされたPETの発泡したシートの表面に、導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設してなる積層シートからなり、導電性ポリマーを含んだ樹脂層を内側に向けて熱成形して容器としたことを特徴とするものである。
【0017】
この発明では、発泡シートを構成する樹脂としてPETを用いる。PETとは芳香族のジカルボン酸と二価のアルコール、すなわちジオールとを混合し、その間でエステル化反応を行わせて得られた高分子量の鎖状エステルである。
【0018】
PETを構成する芳香族のジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等が用いられる。また、PETを構成する二価のアルコールとしてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール等が用いられる。また芳香族ジカルボン酸の一部にトリメリット酸、又はピロメリット酸のようなトリ又はテトラカルボン酸を用いたり、二価のアルコールの一部にグリセリン又はペンタエリスリトールのような三価又は四価のアルコールが用いられることもある。
【0019】
こうして、PETの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等を挙げることができる。この発明では、これらの樹脂を単独で用いることもできるが、また2種以上のものを混合して用いることもできる。これらの中では、強度及び耐衝撃性の点と価格の面を総合すると、ポリエチレンテレフタレートが好適である。また、ポリエチレンテレフタレートとしてはペットボトルの回収品を使用することもできる。
【0020】
この発明では、PET発泡シートの表面結晶化度を10%以下にすることが必要であるが、この点についてはPET発泡シートの製造方法としてのちに詳しく説明する。
【0021】
この発明で用いることのできる導電性ポリマーは、π電子共役系ポリマーと呼ばれているものである。これは、カーボングラファイトのような無機導電材に比べて、適度な通電性能を持ち、適当なバインダーを加えて適当な溶剤に溶解すると、容易に他の材料に塗布して積層することができる。π電子共役ポリマーとしては、ポリアセチレン系、ポリピロール系及びポリチオフェン系のような複素環式ポリマーや、ポリアニリン系のような炭素環だけからなるものが知られている。
【0022】
その中で、ポリアセチレン系は、充分な導電性を持つが、これを空気中に放置すると、著しく導電性を低下させる欠点を持っている。そのため、この発明ではポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系の導電性ポリマーを用いることが好ましい。とりわけ、ポリアニリン系は空気中での安定性が高いので、最も好ましい。また、これら導電性ポリマーは、界面活性剤などのドーパント剤中でドーピングすると、導電性が一層高まるので、ドーピングして用いることが好ましい。
【0023】
こうして得られた導電性ポリマーは、これを適当な樹脂とともに水や有機溶剤に溶解して、これを導電性インキ又は導電性塗料として用いる。導電性ポリマーをインキ又は塗料とするのに色々な工夫がなされているが、この発明では、どのような方法によって製造された導電性インキでもまた導電性塗料でも、これをPET発泡シートに塗布して積層シートにすることができる。
【0024】
導電性ポリマーをPET発泡シートの表面に付設するには、色々な方法を用いることができる。例えば、導電性ポリマーに樹脂を加えて塗料としたものを用いる場合には、スプレーコート法、グラビアロールコーティング法、リバースロールコーティング法、ナイフコーター法、ディップコート法、スピンコート法の何れによっても、PET発泡シート表面上に塗布して積層することができる。
【0025】
上述のようにして塗布された導電性ポリマーを含む樹脂層の厚みは、0.05〜1.0μm程度の薄いものであることが好ましい。その理由は、厚みが0.05μm未満では、塗布ムラによって部分的に導電性のない部分を生じ易く、またこれを加熱して二次加工をする際に、導電性ポリマー層に亀裂を生じたり、部分的に導電性のない個別を生じたりするからである。逆に、導電性ポリマー層が1.0μmより厚いと、塗布後の乾燥に長時間を要するだけでなく、二次加工時に導電性ポリマー層にまた亀裂を生じ易くなり、これがために部分的に導電性のない個所を生じるからである。より好ましい導電性ポリマー層の厚みは0.1〜0.3μmである。
【0026】
導電性ポリマーは、空気中に放置すると導電性能を低下させることがある。この原因は定かでないが、紫外線によるドーパント剤の消失や、酸素によりπ電子共役系ポリマー中の共役二重結合が切断されることによるように考えられている。このような導電性能の低下を押さえるために、この発明では導電性ポリマーを含む樹脂層の上に熱可塑性樹脂を被覆することができる。例えば、ベンゾトリアゾールやベンゾフェノンのような紫外線吸収剤を含むアクリル系樹脂で被覆したり、酸素を透過し難いポリ塩化ビニリデン系樹脂で被覆したりして、導電性ポリマーの導電性能の低下を防ぐことができる。被覆の方法は、どのような公知の方法によっても行うことができ、例えば通常の押出ラミネーション法を利用することができる。
【0027】
この発明に係る容器製造用シートの製造方法では、PETのほかに架橋剤が用いられる。架橋剤が必要とされる理由は、PETが溶融されたときの溶融粘度が低いので、溶融粘度を上昇させて発泡に適した高い溶融粘度にするためである。架橋剤としては、酸二無水物、周期律表のI、II、III族に属する金属化合物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などを用いることができる。これらのうち、取扱いの便宜と安全性の点から、酸二無水物を単独で、又は酸二無水物と上述のI、II、III族の金属化合物とを混合して用いることが好ましい。
【0028】
酸二無水物には、芳香族酸二無水物、環状脂肪族酸二無水物、鎖状脂肪族酸二無水物、ハロゲン化酸二無水物等があるが、この発明ではその何れをも単独で使用してもよく、また2種以上のものを組み合わせて使用することもできる。具体的には、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコール(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等を用いることができる。これらの中では、無水ピロメリット酸を用いることが好ましい。その理由は、無水ピロメリット酸を用いると、PETの架橋速度や架橋程度をコントロールし易いからである。
【0029】
架橋剤の添加量は、PET100重量部に対して0.1〜0.5重量部とすることが好ましい。その理由は、架橋剤の添加量が0.1重量部未満であると、架橋反応が不充分となり、発泡に適した溶融粘度をPETに持たせることができないからであり、逆に0.5重量部を越えると、架橋が進み過ぎてPETがゲル化し、そのために、外観の悪い発泡シートしか得られないからである。そのうちでは、添加量は0.2〜0.4重量部とすることがさらに好ましい。
【0030】
この発明に係る容器製造用シートの製造方法では、PETと架橋剤のほかに気泡核剤が用いられる。気泡核剤は、PETの気泡を均一にするとともに微細にするために加えるものである。PETの押出発泡では気泡核剤を用いないで、均一微細に発泡させることができない。従って気泡核剤はPETを発泡させるのに不可欠なものとされている。
【0031】
気泡核剤としては、タルク、シリカ、マイカ等の無機物や、ポリ四弗化エチレン等の有機物を用いることができる。その中では、ポリ四弗化エチレンが、とくに気泡を均一に微細化し、また結晶化を抑制する効果を顕著にもたらすので好ましい。これらの気泡核剤は、これをPET樹脂などでマスターバッチ化して用いることができる。
【0032】
これら気泡核剤の添加量はPET100重量部に対して0.02〜3重量部とする。その理由は、気泡核剤の添加量が0.02重量部未満の場合には、気泡が粗大となって得られた発泡体の外観が悪くなるからであり、逆に3重量部を越えると、気泡が細かくなり過ぎて気泡が連通したり発泡倍率が低下したりするからである。その中では気泡核剤を0.05〜2重量部とするのが好ましい。
【0033】
この発明に係る容器製造用シートの製造方法では、PETに架橋剤と発泡核剤とを加えた混合物を押出機に供給し、押出機内で混合物を溶融し、溶融したPETに発泡剤を含ませる。発泡剤としては、一般に熱可塑性樹脂の発泡剤として知られているものを用いることができる。すなわち、プロパン、ブタン、ペンタンのような加圧下にPETに溶融して減圧下にPET中に気泡を生成する有機化合物や、アゾジカルボンアミドのような加熱すると分解してガスを発生する固体化合物や、炭酸ガス窒素のような不活性ガス等を用いることができる。
【0034】
この発明に係る容器製造用シートの製造方法では、架橋剤と気泡核剤と発泡剤とを含んだ溶融PETが、260〜280℃の範囲内の一様な温度に保持されて、押出機から押し出される。このとき、PETをシート状にするために、押出機の先端に直線状又は円環状の細隙が形成されているダイを付設してPETをこの細隙から押し出す。細隙の幅は通常0.3〜1.5mmとされる。細隙から押し出されたPETは直ちに発泡し長さと幅を広げる。
【0035】
直線状の細隙から押し出されたPETは、そのまま平坦な形で進行せしめられるが、円環状の細隙から押し出されたPETは、幅を広げたのち円筒を長手方向に切断して開き、平坦な形にして進行せしめられる。何れにしても、その進行の過程でPETは、支持物に支えられて形状を保持し、支持物に誘導されて進行することとなる。この支持物はその中に冷却用水などが循環されて、PETに接触する表面が40℃以下、通常30℃以下に冷却されている。これによって押出機から押し出されたPETシートは少なくともその片面が急冷される。
【0036】
押し出されたPETシートの支持物に接触していない表面は、その上から冷却された流体を吹き付けて、急冷する。例えばPETが円環状の細隙から押し出された場合には、押し出された円筒状PETを円柱状のマンドレルによって支持して内面が急冷されるが、円筒状PETの外面はリングで包囲してリングから冷却用空気を噴出させてPETを急冷する。こうしてPETの押し出し時から10秒以内にPETシートの表面を260〜280℃から80℃以下にまで急冷する。こうしてPET発泡シートの表面における結晶化度を10%以下とする。
【0037】
こうして得られたPET発泡シートの厚みには、格別限定がないが、厚みは0.7〜3mmとするのが普通である。
【0038】
この発明では、こうして得られた結晶化度が10%以下のPET発泡シートの表面に導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設する。導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設するには、どのような公知の方法を用いてもよい。導電性ポリマーとしては前述のように各種のπ電子共役系ポリマーを用いることができる。
【0039】
一般にPETに架橋剤と気泡核剤とを加えて押出発泡を行うと、得られた発泡体はその断熱特性によって表面の結晶化度がとくに高いものとなる。すなわち、押出発泡によって得られた発泡したPETシートは、押し出しによって得られた非発泡のPETシートとは違って、表面結晶化度が格別に高いものとなり、通常15%以上の結晶化度を示す。このために、上述の押出直後にPETを急冷しない従来の押出発泡によって得られた発泡シートの表面には、前述のように導電性ポリマーを含む樹脂層を接着させることが困難となる。ところが、この発明方法によれば、PET発泡シート表面の結晶化度は10%以下となっているので、この表面には導電性ポリマーを含んだ樹脂層を容易に強固に付設することができて、安定な積層シートが得られる。
【0040】
こうして得られた積層シートは、これを再加熱して例えば真空成形、加圧成形などの二次加工(熱成形)の方法によって、容易に容器とすることができる。この際、導電性ポリマーを含む樹脂層が少なくとも容器の内側に来るように成形することが好ましい。導電性ポリマーを含む樹脂層は容器の内側と外側の両方に形成されていてもよい。この積層シートは、二次加工のために加熱しても大きく収縮しないから、成形は容易であり、また導電性ポリマーを含んだ樹脂層がPET発泡シートに強固に接着しているから、樹脂層がPETから剥がれることもなく、従って容易に容器に成形することができる。
【0041】
こうして得られた容器はPETを主材にしているから、耐熱性と機械的強度にすぐれている上に、PETを発泡させているから、衝撃緩和性にすぐれ、また全体として軽量になっている。さらに、この容器は表面に導電性ポリマーを含む樹脂層を備えているから、ほこり等の異物を吸着しなくなっており、従って収納物を汚すことなく保管することができる。とくに、導電性ポリマーを含む樹脂層を容器の内側に向けておくと、収納物を一層清潔に保つことができる。
【0042】
【発明の効果】
この発明に係る容器製造用シートは、表面の結晶化度が10%以下にされたPET発泡シートの表面に導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設して積層シートとしたものであるから、PETシートと導電性ポリマーを含んだ樹脂層とは強く接着しており、従って二次加工によって容易に形状安定性が良くてほこりを吸着し難い容器とすることができる。また、被包装物の保護、特に電子部品その他の静電気障害を受けやすい物品の保護を良好になすことができる。従って、容器製造用シートとして利用価値の高いものである。
【0043】
また、この発明に係る容器製造用シートの製造方法によれば、PETに架橋剤と気泡核剤とを加えて押し出し発泡させているのに、押し出されたシートを急冷して押し出し時から10秒以内にシート表面を260〜280℃から80℃以下にまで急冷しているから、発泡シートは表面結晶化度が10%以下となり、従ってこの表面に導電性ポリマーを含む樹脂層を強固に付設することができる。従って得られた発泡シートは表面を特別に処理する必要もなく、導電性ポリマーを含んだ樹脂層がPET発泡シートに付設された安定な積層シートを容易に得ることができる。
【0044】
この発明に係る製品収納用容器は、その一つの面に、とりわけ内面に導電性ポリマーを含んだ樹脂層が付設されているので、容器が静電気を帯びてほこり等を吸引することがなく、従ってほこりの付着を嫌う電子部品などを収納する容器として好適である。また、静電気障害を受けやすい電子部品等の包装材としても好適である。そして、この容器はPET発泡シートを主材にしているから、機械的強度と耐熱性にすぐれ、さらに衝撃緩和性に富み、軽量である等の特性を持つので、利用価値の高いものである。この発明はこのような利益をもたらすものである。
【0045】
次に実施例を挙げて、この発明のすぐれている所以を具体的に説明する。
【0046】
【実施例1】
熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法
押出機としてタンデム押出機を用い、一段目の押出機として口径65mmの二軸押出機を用い、二段目の押出機として口径65mmの単軸押出機を用いた。極限粘度が0.70のペットボトルの回収フレ−ク(8mmメッシュパス品)100重量部と四弗化エチレン樹脂粉末(旭ガラス社製フルオン169J)0.03重量部、無水ピロメリット酸0.5重量部、炭酸ソ−ダ0.1重量部を配合装置で混合したものを原材料定量供給装置から一段目の押出機の原材料投入口から供給量75kg/hrで連続的に供給した。一段目の二軸押出機は押出機シリンダ−の温度を240℃から285℃に維持した。また、一段目の押出機の途中に接続された二か所のベント口から押出機の水分及び揮発分を除去した。溶融混合物は275℃に維持された接続管を通って、二段目の単軸押出機に供給した。
【0047】
二段目の押出機はシリンダ−の温度を265℃から275℃に維持した。また、二段目の押出機の途中から発泡剤(ブタン:ノルマルブタン/イソブタン=70/30wt%)を0.7重量部の割合で注入した。発泡剤を含んだ溶融混合物は口径105mmのサ−キュラ−金型から大気中へ押し出した。押し出した溶融混合物を発泡させて引き取りつつ、サ−キュラ−金型から100mmの距離に付設されている直径が269mmで長さが950mmの円筒形マンドレルにて円筒形に成形し、その円筒形発泡体の一部を切開しシ−ト状として引きとり速度2.5m/分として巻き取った。その際、円筒状マンドレルには冷却水を循環させ表面温度を25℃に保った。また、該マンドレルの外周には、クリアランス1mmでスリット状の送風部を有する450mmの円周状リングを設け、温度30℃、風量1.0m /分の送風にて発泡シ−トの外側を冷却した。その際に、サ−キュラ−金型から出た10秒後の発泡体の表面温度を測定したところ、表側/裏側(マンドレルと接する側)の表面温度はそれぞれ65℃/46℃であった。
【0048】
得られた発泡シ−トの密度は0.30g/ccであり、発泡体表面の結晶化度は表側/裏側でそれぞれ8.2%/5.4%であった。なお、発泡体の表面温度は堀場製作所製 放射温度計 IT550Lを用いて発泡体表面から10cmの距離にて測定した。また、発泡体表面の結晶化度は、フォ−チュナ社製AB−320D スプリッティングマシンを用いて、発泡体表面を30μmスライスし、その表面部分の結晶化度を測定した。
【0049】
結晶化度の測定方法は示差走査熱量計(DSC)によって測定された融解熱量と、冷結晶化熱量を測定することによって算出される。まず、スライスした発泡体表面を約7mg精秤し、それをSEIKO社製 DSC200の測定容器に充てんし、窒素ガス流量30ml/分のもと昇温速度5℃/分で測定を行なう。冷結晶化熱量は測定されたDSC曲線の100℃の点と181℃の点を結んだ直線をベ−スラインとして計算する。融解熱量は測定されたDSC曲線の208℃の点と270℃の点を結んだ直線をベ−スラインとして計算する。これらの方法によって求められた冷結晶化熱量と融解熱量を次式に代入することによって結晶化度を求める。
結晶化度(%)={融解熱量(mj/mg)−冷結晶化熱量(mj/mg)}
×100/{140.1(mj/mg)}
【0050】
表面抵抗率の測定方法
JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法に準拠して測定した。即ち、試験装置(株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500V1分間充電後の抵抗値を測定し、次式により算出した。試料サンプルは、100×100×原厚み(10以下)mmとした。
Ps=π(D+d)/(D−d)×Rs
ρs:表面抵抗率(Ω)
D:表面の環状電極の内径(cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
【0051】
導電性ポリマーを含む樹脂層の付設
スルホン酸基含有成分でスルホン化されたスルホン化ポリアニリンに界面活性剤を10重量部加え、さらに水とイソプロパノ−ルの等量混合溶液中に加え、スルホン化ポリアニリン濃度2重量%の塗布液を調整した。このスルホン化ポリアニリン調整液をバ−コ−ト法にて熱可塑性ポリエステル発泡体の両面に塗布し、50℃の温風で5分間乾燥して導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体を得た。
【0052】
得られた導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体の導電層の厚みは0.5μmであった。得られた導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体の表面を研磨剤粒度#150で研磨したアルミ板で軽く擦ったが、導電層の脱落や剥離は見られなかった。また、この導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体の表面温度が120℃になるようにオ−ブンで加熱し、マッチド型で加圧して電子部品トレ−に成形したところ、表面状態も良く、外観美麗なものが得られた。このトレ−の表面抵抗率をシシド静電気社製 表面抵抗測定器 メガレスタH0709で測定したところ、2.0×10 Ωであった。
【0053】
【実施例2】
マンドレルの外周に、450mmの円周状リングを設け、その円周状リングに10ml/分の噴霧能力を持つ噴霧器を8ケ取り付けた冷却装置にて、温度25℃、水量60ml/分の水噴霧にて発泡シ−トの外側を冷却した以外は実施例1と同様にして導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体を得た。サ−キュラ−金型から出た10秒後の発泡体の表面温度を測定したところ、表側/裏側の表面温度はそれぞれ25℃/44℃であった。また、得られた発泡シ−トの密度は0.30g/ccであり、発泡体表面の結晶化度は表側/裏側でそれぞれ4.8%/5.2%であった。摩耗試験でも脱落や剥離は見られず、実施例1と同様にトレーに成形したところ、成形トレ−の外観美麗なものであった。また、表面抵抗率は1.8×10 Ωであった。
【0054】
【比較例1】
マンドレル外周の冷却リングの送風を行なわないこと以外は実施例1と同様にして導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体を得た。サ−キュラ−金型から出た10秒後の発泡体の表面温度を測定したところ、表側/裏側の表面温度はそれぞれ98℃/45℃であった。また、得られた発泡シ−トの密度は0.30g/ccであり、発泡体表面の結晶化度は表側/裏側でそれぞれ17.5%/5.8%であった。摩耗試験では表側が容易に剥離脱落するものしか得られなかった。この積層発泡体をマッチド型で成形したところ、結晶化促進による伸び不良のため、成形品に穴のあいたものしか得られなかった。また、表面抵抗率は2.7×10 Ωであった。
【0055】
【比較例2】
発泡剤の添加量を2重量部とした以外は、実施例1と同様にして導電性熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡積層体を得た。サ−キュラ−金型から出た10秒後の発泡体の表面温度を測定したところ、表側/裏側の表面温度はそれぞれ43℃/46℃であった。また、得られた発泡シ−トの密度は0.13g/ccであり、発泡体表面には発泡剤の突沸痕が見られた。発泡体表面の結晶化度は表側/裏側でそれぞれ6.3%/5.9%であった。摩耗試験では剥離や脱落は見られなかった。この積層発泡体をマッチド型で成形したところ、発泡剤の突沸痕がそのまま残り、表面に凹凸のある成形品しか得られなかった。また、表面抵抗率は2.2×10 Ωであった。

Claims (3)

  1. 表面の結晶化度が10%以下とされた熱可塑性ポリエステル系樹脂の発泡シートの表面に、導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設してなる積層シートからなり、熱成形して容器とするための容器製造用シート。
  2. 熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部と、架橋剤0.1〜0.5重量部と、気泡核剤0.02〜3重量部とからなる混合物を押出機に供給し、押出機内で混合物を溶融してこれに発泡剤を0.3〜1.5重量部含ませ、これを260〜280℃の温度でシート状に押し出して発泡させ、押し出したシートを急冷して押し出し時から10秒以内にシート表面を80℃以下にし、その後この表面に導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設して、積層シートとすることを特徴とする、容器製造用シートの製造方法。
  3. 表面の結晶化度が10%以下とされた熱可塑性ポリエステル系樹脂の発泡シートの表面に、導電性ポリマーを含んだ樹脂層を付設してなる積層シートからなり、導電性ポリマーを含んだ樹脂層を内側に向けて熱成形して容器としたことを特徴とする、製品収納用容器。
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