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JPH09183860A - ポリエステル系樹脂発泡成形体の製造法 - Google Patents

ポリエステル系樹脂発泡成形体の製造法

Info

Publication number
JPH09183860A
JPH09183860A JP7343536A JP34353695A JPH09183860A JP H09183860 A JPH09183860 A JP H09183860A JP 7343536 A JP7343536 A JP 7343536A JP 34353695 A JP34353695 A JP 34353695A JP H09183860 A JPH09183860 A JP H09183860A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystallinity
sheet
foamed sheet
polyester resin
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7343536A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Nakamura
正明 中村
Tatsuo Kumagai
竜夫 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP7343536A priority Critical patent/JPH09183860A/ja
Publication of JPH09183860A publication Critical patent/JPH09183860A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡シートから成形体に成形する際に、有害
なしわや割れが発生しないポリエステル系樹脂発泡成形
体の製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】 ポリエステル系樹脂を基材樹脂とし、厚
さ0.5〜3mmおよび平均結晶化度13%以下を有
し、シートの一方の表面層の結晶化度と他方の表面層の
結晶化度との差が3%以下であり、かつシートの中心層
の結晶化度と前記各表面層の結晶化度との差が3%以下
であるポリエステル系樹脂発泡シートを加熱して2次発
泡させ、ついで加熱金型で成形し、平均結晶化度を20
%以上に高めることを特徴とするポリエステル系樹脂発
泡成形体の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系樹
脂発泡成形体の製造法に関する。さらに詳しくは、たと
えば軽量で断熱性を有する容器などに好適に使用しうる
ポリエステル系樹脂発泡成形体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、軽量で断熱性を有する発泡容器の
素材樹脂としては、主としてポリスチレン系樹脂が用い
られている。
【0003】しかしながら、ポリスチレン系樹脂は、耐
熱性に劣るため、これを基材樹脂とする発泡容器に食品
を収納し、電子レンジやオーブンなどの加熱調理器具で
直接加熱することができない。
【0004】そこで、ポリスチレン系樹脂に代わる基材
樹脂として、近年、ポリスチレン系樹脂と対比して耐熱
性にすぐれたポリエステル系樹脂が着目され、ポリエス
テル系樹脂発泡体シートを成形してえられた食品容器が
提案されている(特開昭59−135237号公報)。
【0005】前記食品容器は、確かにオーブンで加熱す
ることができる程度の耐熱性を有するが、発泡体シート
から食品容器に成形する際に、しわや割れが発生すると
いう問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、発泡シートから成形体
に成形する際に、有害なしわや割れを発生しないポリエ
ステル系樹脂発泡成形体の製造法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
系樹脂を基材樹脂とし、厚さ0.5〜3mmおよび平均
結晶化度13%以下を有し、シートの一方の表面層の結
晶化度と他方の表面層の結晶化度との差が3%以下であ
り、かつシートの中心層の結晶化度と前記各表面層の結
晶化度との差が3%以下であるポリエステル系樹脂発泡
シートを加熱して2次発泡させ、ついで加熱金型で成形
し、平均結晶化度を20%以上に高めることを特徴とす
るポリエステル樹脂発泡成形体の製造法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】従来、ポリエステル系樹脂の発泡
シートの2次成形を容易にするために、ポリエステル系
樹脂の結晶化度を一定値以下に抑えることが知られてい
るが、このように結晶化度を抑えても、2次成形時にし
わや割れが発生するという問題がある。
【0009】本発明者らは、前記問題を解決するために
鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル系樹脂を基材樹脂
とする発泡シートにおいて、ポリエステル系樹脂の結晶
化度の偏り(不均一性)がガラス転移温度、延伸性など
の2次成形性を左右する特性に大きな影響を与えている
ことを見出した。
【0010】さらに、発泡シートは、多数の小さい気泡
を含んでいることから、2次成形時の熱伝導率が低く、
該発泡シートの結晶化度が部分的に異なるようになり、
均一な結晶化度を有する状態で2次成形体がえられない
ため、いちじるしい成形不良が発生することを見出し
た。
【0011】本発明は、ポリエステル系樹脂の発泡シー
トの結晶化度の偏りが、成形体に成形する際の成形性や
成形後の容器の特性に影響を与えているという事実にも
とづき、結晶化度の偏りを制御した発泡シートを用いた
発泡成形体の製造法を提供せんとするものである。
【0012】本発明に用いられるポリエステル系樹脂発
泡シートは、前記したように、ポリエステル系樹脂を基
材樹脂とし、厚さ0.5〜3mmおよび平均結晶化度1
3%以下を有し、シートの一方の表面層の結晶化度と他
方の表面層の結晶化度との差が3%以下であり、かつシ
ートの中心層の結晶化度と前記各表面層の結晶化度との
差が3%以下であることを特徴とするものである。
【0013】本発明に用いられるポリエステル系樹脂と
しては、230〜300℃の範囲内で熱可塑性を呈する
ものが好ましい。かかるポリエステル系樹脂が熱可塑性
を呈するときの温度における溶融粘度は、微細な気泡を
有し、独立気泡率が高い発泡シートを製造しやすいとい
う点から100Pa・s以上、好ましくは300Pa・
s以上であることが望ましく、また発泡シートの成形性
が損なわれにくいという点から10000Pa・s以
下、好ましくは8000Pa・s以下であることが望ま
しい。
【0014】前記溶融粘度とは、JIS K 7199
「熱可塑性プラスチックのキャピラリーレオメーターに
よる流れ特性試験方法」に準拠して測定される、剪断速
度60.8s-1における粘度のことをいう。
【0015】前記ポリエステル系樹脂としては、たとえ
ば多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合させてえ
られるポリエステルを主たる成分とするものが好適に用
いられる。
【0016】前記多価カルボン酸と多価アルコールとを
重縮合させてえられるポリエステルを主たる成分とする
とは、前記ポリエステル系樹脂が、多価カルボン酸およ
び多価アルコールからなるポリエステル構成部分を、7
0重量%以上、さらには85重量%以上含有しているこ
とを意味する。
【0017】前記ポリエステルの代表例としては、たと
えば芳香族ジカルボン酸とジオールとを重縮合させてえ
られる線状ポリエステル、該線状ポリエステルと、少な
くとも3個、好ましくは3〜6個のエステル生成基を有
する分岐生成性成分とを重縮合させてえられる分岐状ポ
リエステルなどがあげられる。該線状ポリエステルおよ
び分岐状ポリエステルは、それぞれ単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
【0018】前記芳香族ジカルボン酸の代表例として
は、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸などがあげられる。これらの芳香族ジカルボン
酸は、単独でまたは2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0019】前記ジオールの代表例としては、たとえば
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、ネオペンチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメ
チロール、トリシクロデカンジメチロール、2,2−ビ
ス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、
4,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルス
ルホンなどがあげられる。これらのジオールは、単独で
または2種以上を混合して用いることができる。
【0020】前記線状ポリエステルの好ましい具体例と
しては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタ
レートなどがあげられ、これらのなかでは、工業的利用
価値の高さおよび取扱いやすさの観点から、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよび
ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレー
トがさらに好適に用いられる。
【0021】前記線状ポリエステルの固有粘度は、溶融
成形を容易に行なうことができる溶融粘弾性を発現させ
るためには、0.4〜1.1dl/g、なかんづく0.
5〜1.0dl/gであることが好ましい。
【0022】なお、本明細書にいう樹脂の固有粘度と
は、フェノールとテトラクロロエタンとの混合物(重量
比1/1)を溶媒として用い、23℃で測定したときの
値をいう。
【0023】分岐状ポリエステルは、前記線状ポリエス
テルと分岐生成性成分とを重縮合させることによってえ
られる。
【0024】分岐状ポリエステルを用いたばあい、溶融
粘度および溶融粘弾性が高くなり、微細な気泡を有する
発泡シートを製造しやすくなるという利点がある。
【0025】前記分岐生成性成分は、ポリエステルの主
鎖に分岐構造を生成させるために用いられる成分であ
る。前記分岐生成性成分は、少なくとも3個、好ましく
は3〜6個のエステル生成基を有する。エステル生成基
としては、水酸基およびカルボキシル基があげられ、こ
れらの基は、それぞれ単独でまたは併用することができ
る。
【0026】前記分岐生成性成分の代表例としては、た
とえばトリメリット酸、ピロメリット酸などのトリまた
はテトラカルボン酸、それらの低級アルキルエステル;
グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン、ペンタエリスリトールなどのトリまたはテトラ
オール;ジヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン
酸、それらの誘導体などがあげられる。これらの分岐生
成性成分は、単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。これらの分岐生成性成分のなかでは、分岐
状ポリエステルの重合度の調整が容易であるという観点
から、グリセリンが好ましい。
【0027】なお、分岐状ポリエステルを調製するに際
し、該分岐状ポリエステルの溶融粘弾性の保持安定性を
分岐生成性成分によって充分に向上させるためには、分
岐生成性成分の量は、芳香族ジカルボン酸100モルに
対して0.1モル以上、なかんづく0.3モル以上とす
ることが好ましい。また、シートへの加工性を向上させ
るためには、分岐生成性成分の量は、芳香族ジカルボン
酸100モルに対して5モル以下、なかんづく3モル以
下とすることが好ましい。
【0028】また、分岐状ポリエステルの固有粘度は、
充分な溶融粘弾性を付与させるためには、0.4dl/
g以上、なかんづく0.5dl/g以上であることが好
ましく、また溶融成形を容易に行なうことができるよう
にするためには、1.1dl/g以下、なかんづく1.
0dl/g以下であることが好ましい。
【0029】前記ポリエステル系樹脂には、発泡時の溶
融粘弾性を高め、破泡などがおこりにくくするための樹
脂溶融特性調整剤として、たとえばピロメリット酸二無
水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの
1分子中に2個以上の酸無水物基を有する化合物や、ジ
グリシジルフタレートなどの1分子中に2個以上のエポ
キシ基を有する化合物などを配合することができる。
【0030】前記樹脂溶融特性調整剤の配合量は、かか
る樹脂溶融特性調整剤を用いたことによる効果、たとえ
ば押出発泡成形に適した溶融粘弾性を付与するという効
果を充分に発現させるためには、ポリエステル系樹脂1
00部(重量部、以下同様)に対して0.05部以上、
なかんづく0.1部以上であることが好ましい。また、
ポリエステル系樹脂の不必要なゲル化の進行を防ぐため
には、ポリエステル系樹脂100部に対して5部以下、
なかんづく3部以下であることが好ましい。
【0031】さらに、本発明において、ポリエステル系
樹脂を基材樹脂とするとは、該ポリエステル系樹脂に、
発泡時の気泡調整剤としてタルクなどの造核剤などをは
じめ、その他必要に応じて安定剤、顔料、充填剤、難燃
剤、帯電防止剤などの添加剤をその配合量を適宜調整し
て配合することができることを意味する。これら添加剤
の配合量は、ポリエステル系樹脂の30重量%以下、な
かんづく15重量%以下であることが好ましい。
【0032】なお、本発明においては、本発明に用いら
れるポリエステル系樹脂の溶融粘弾性を容易に調整する
ことができるという点から、前記分岐状ポリエステルを
用いることが好ましく、またポリエステル系樹脂の溶融
粘弾性を安定的に保持することができ、より均一で微細
な気泡を有する発泡シートをうることができるという点
から、前記分岐状ポリエステルに樹脂溶融特性調整剤を
添加したものを用いることが好ましい。
【0033】本発明に用いられる発泡シートをポリエス
テル系樹脂から製造する方法としては、連続的に発泡シ
ートを製造することができる簡便な工業的生産方法とい
う観点から、押出発泡法が適している。
【0034】押出発泡法による発泡シートの製造は、た
とえば以下のようにして行なうことができる。
【0035】ポリエステル系樹脂、必要により樹脂溶融
特性調整剤および添加剤を押出機に供給して溶融させ、
発泡剤と混合して発泡剤を含有する発泡性樹脂組成物に
する。
【0036】押出機の先端には口金が付設され、この口
金には直線状または円環状の断面形状を有する押出孔が
設けられており、この押出孔から発泡性樹脂組成物をシ
ート状に押出す。このように高圧下の押出機内から低圧
域の大気圧下に押出すことにより発泡し、発泡シートと
なる。
【0037】前記発泡剤としては、加熱によって分解し
てガスを発生する固体の分解型発泡剤、加熱によって気
化する液体の揮発型発泡剤および加圧下で樹脂に溶融し
うる気体のガス型発泡剤のいずれを用いることもでき
る。
【0038】発泡剤として固体の分解型発泡剤を用いる
ばあいには、ポリエステル系樹脂を基材樹脂とする混合
物として押出機に供給することが好ましい。また、発泡
剤として液体の揮発型発泡剤や気体のガス型発泡剤を用
いるばあいには、押出機の途中から圧入することが好ま
しい。
【0039】分解型発泡剤の具体例としては、たとえば
アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテト
ラミン、ヒドラゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム
などがあげられる。
【0040】揮発型発泡剤の具体例としては、たとえば
ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水
素、シクロヘキサンなどの飽和脂環族炭化水素、ベンゼ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレンなど
のハロゲン化炭化水素、フレオン(商品名)などのフル
オロクロロ置換炭化水素などがあげられる。
【0041】ガス型発泡剤の具体例としては、たとえば
チッ素、二酸化炭素などがあげられる。
【0042】前記発泡剤は、通常、単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
【0043】前記発泡剤の使用量には、とくに限定がな
く、えられる発泡シートの所望の発泡倍率に応じて適宜
調整すればよい。通常、発泡剤の使用量は、ポリエステ
ル系樹脂100部に対して0.5〜50部程度である。
【0044】なお、押出発泡法に用いられる押出機とし
ては、たとえば単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出
機などの押出成形機をあげることができる。
【0045】ポリエステル系樹脂は、前記したように、
結晶性樹脂であるため、押出直後の高温状態から充分に
冷却されて固化するまでのあいだに、結晶化が進行す
る。
【0046】本発明に用いることができる発泡シートを
うるためには、この結晶化の進行を一定量以下に抑える
ことが必要である。
【0047】結晶化の進行を抑えるためには、押出発泡
後の発泡シートをできるだけ早い時期に冷却することが
効果的である。しかしながら、発泡シートは、多数の小
さい気泡を含んでいるので、熱伝導率が低いため、発泡
シート全体を一様に急冷させることは非常に困難であ
る。たとえば、従来の押出発泡シートを製造する際に通
常行なわれているようなサーキュラーダイとマンドレル
とを用い、押出直後の円筒形状の発泡シートの内面を、
冷却させたマンドレルと接触させて急冷するという方法
を採用したばあいには、マンドレルに接触させた側の表
面の結晶化度が9.7%となるのに対し、反対側の表面
の結晶化度が14.0%となり、同一の発泡シートであ
りながら、表面と裏面とでは結晶化度が大きく異なる
(特公平5−47570号公報に記載の実施例参照)。
【0048】したがって、本発明に用いられる発泡シー
トは、押出機の口金から押出された発泡シートの両表面
をできるだけ早い時期に、たとえばポリエステル系樹脂
の結晶化温度よりも低い温度の固体、液体または気体を
接触させてポリエステル系樹脂の結晶化温度以下の温度
に冷却させることにより、作製することができる。
【0049】たとえば、押出機の先端に付設した口金の
押出孔の断面形状が直線状で、押出される発泡シートが
平板状であるばあいには、押出機の前方に前記温度範囲
に調整された複数組の冷却ロールを各中心軸方向がシー
トの進行方向に対して直角となるように組合せて配列
し、押出直後の発泡シートの両面に冷却用の空気を吹き
付けながら冷却用ロールに導いたのち、発泡シートの表
面を該発泡シートの進行速度にあわせて回転する冷却ロ
ールに接触させながら進行させるとともに、該発泡シー
トの外面に水、空気などの冷却用媒体を接触させ、結晶
化温度以下に冷却すればよい。
【0050】また、押出孔の断面形状が円環状で、押出
される発泡シートが円筒状であるばあいには、押出機の
前方に前記と同様に温度調整された円筒状の冷却マンド
レルを、中心軸方向が発泡シートの進行方向と平行とな
るように配置して、押出直後の発泡シートの両面に冷却
用の空気を吹き付けながら、マンドレルに導いたのち、
発泡シートの内面をマンドレルに接触させながら進行さ
せるとともに、発泡シートの外面を冷却水、空気などの
冷却用媒体と接触させ、該発泡シートを結晶化温度以下
に冷却すればよい。
【0051】断面形状が円環状の押出孔を介として円筒
状の発泡シートを押出す方法は、冷却用マンドレルの外
径と押出孔の口径との比率を調節することにより、押出
された円筒状の発泡シートの幅方向の延伸比を容易に調
整することができるため、発泡シートの長さ方向と幅方
向との延伸比を独立して調整しやすい点で好ましい。
【0052】前記冷却方法において、冷却用媒体の温度
は、結晶化温度以下とすることが必要であるが、冷却用
媒体の温度があまりに低すぎると、発泡シートの冷却用
媒体と直接接触しない部分(たとえば、シートの中心
層)と比べて、冷却用媒体と接触している部分(たとえ
ば、シートの表面層)だけが急激に冷却が進んで結晶化
度が小さくなってしまうことにより、中心層と表面層と
の結晶化度の差が大きくなりやすい。
【0053】とくに、冷却用媒体として熱伝導率が高い
冷却用固体などを用いるばあいには、こうした傾向が強
くなるため、冷却用媒体の温度は、ガラス転移温度程度
以上とすることが好ましい。
【0054】また、円筒状の発泡シートの内面をマンド
レルに接触させて冷却させるばあいには、発泡シートの
内面だけが優先的に冷却されてしまうことを避けるため
に、たとえば発泡シートの外面に常温程度の冷却水や0
〜20℃程度の冷却空気を接触させるなどして、外面か
らの冷却が促進されるようにすることが好ましい。
【0055】前記冷却用固体としては、発泡シートとの
接触によって物理的変化や化学的変化がおこらず、熱伝
導率が高いものが好適に用いられる。前記冷却用固体の
具体例としては、たとえばステンレス鋼、アルミニウム
などの金属製のロールやプラグ、板などがあげられる
が、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
【0056】なお、本明細書にいう結晶化温度とは、つ
ぎのようにして求められたものである。
【0057】すなわち、前記結晶化温度は、示差走査熱
量測定装置(セイコー電子工業(株)製、DSC20
0)を用いて、あらかじめガラス転移温度よりも約50
℃低い温度で装置が安定するまで保持したのち、昇温速
度毎分10℃で結晶化ピーク終了時よりも約50℃高い
温度まで加熱し、DSC曲線を描かせ、このDSC曲線
を用い、JIS K 7121「プラスチックの転移温
度測定方法」における「9.2結晶化温度の求め方」に
準拠して求めた昇温時の結晶化ピーク温度である。
【0058】また、本明細書における結晶化度とは、J
IS K 7122「プラスチックの転移熱測定方法」
に準拠し、示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業
(株)製、DSC200)を用いて10℃/分の昇温条
件にて、熱可塑性ポリエステル系樹脂の冷結晶化熱量H
c(J/g)および融解熱量Hm(J/g)を測定し、
以下の式にしたがって算出した値をいう。
【0059】[結晶化度(%)]={(Hm−Hc)/
Ho}×100 ここで、式中のHoは、完全結晶化熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂の1gあたりの融解熱量(J/g)を示す。な
お、(社)高分子学会編「高分子データハンドブック
(初版)」(昭61−1−30、(株)培風館)によれ
ば、熱可塑性ポリエステル系樹脂のなかでも、ポリエチ
レンテレフタレートの繰り返し単位1モルあたりの完全
結晶化熱量は、26.9kJである。これを1gあたり
の完全結晶化熱量に換算すれば、140.1Jとなる。
したがって、本発明では、Hoとして140.1J/g
を用いる。
【0060】本発明者らは、ポリエステル系樹脂の発泡
シートの結晶化度の偏りを、前記したように押出後の発
泡シートの冷却方法によって低減させることができるこ
とを見出した。さらに、そのようにして結晶化度の偏り
を低減させることにより、発泡シートの2次成形性を改
良することができることを見出した。
【0061】本発明に用いる発泡シートが平均結晶化度
13%以下を有するようにしているのは、平均結晶化度
が13%をこえるとシートの2次成形性がわるくなるた
めである。
【0062】すなわち、本発明では、発泡シートから成
形品を作製するために、発泡シートを加熱軟化させて2
次発泡させ、ついで所定の形状を有する金型で成形を行
なうが、ポリエステル系樹脂は、結晶化度が大きくなる
と、ガラス転移温度の上昇によって軟化温度が高くなっ
たり、伸びやすさが低下するなどし、加熱時の2次発泡
性やそののちの賦形性が不良となる。とくに、発泡シー
トのばあい、基材樹脂は、非常に薄い膜として存在して
いるため、結晶化度の増加によって2次成形時に破泡が
生じやすくなる、気泡の不規則な変形によるしわが発生
しやすくなる、成形体中に歪が生じやすくなるなどの悪
影響が顕著に現れる。このような悪影響を低減し、良好
な2次成形性をうるためには、発泡シートが、13%以
下、好ましくは10%以下の平均結晶化度を有するよう
にする。
【0063】なお、本明細書における平均結晶化度と
は、以下の式にしたがって算出した値をいう。
【0064】[平均結晶化度(%)]=(一方の表面層
の結晶化度+他方の表面層の結晶化度+中心層の結晶化
度×2)/4 また、本明細書における表面層とは、発泡シートの表面
から一定の厚さまでの層をいい、本発明においては、か
かる表面層の厚さは、150μmとした。また、本明細
書における中心層とは、発泡シートの厚さ方向のほぼ中
央部で一定の厚さの層をいい、本発明においては、中心
層は、発泡シートの厚さ方向の中央部から150μmま
での厚さの層とした。
【0065】本発明に用いられる発泡シートにおいて
は、一方の表面層の結晶化度と他方の表面層の結晶化度
との差は、3%以下とされ、また発泡シートの中心層の
結晶化度と前記各表面層の結晶化度との差は、3%以下
とされる。
【0066】本発明に用いられる発泡シートにおいて、
結晶化度の差を3%以内としているのは、つぎの理由に
よる。
【0067】本発明では、発泡シートを加熱することに
より、2次発泡させる。この2次発泡は、発泡シートの
結晶化の程度の違いにより2次発泡のしやすさがかわる
ため、発泡シートの結晶化度が部分的に異なっていると
2次発泡後の気泡の大きさや形状が不揃いとなり、成形
後の特性に悪影響を及ぼすだけでなく、2次成形性もわ
るくなる。たとえば発泡シートの表面と裏面とで結晶化
度が大きく異なっていると、成形時の予備段階で結晶化
度が低いほうの面が先に軟化して2次発泡を生じて気泡
が大きくなり、そのまま成形を行なうと厚さ方向で気泡
の大きさが異なる成形体や表面にしわのある成形体を生
じやすい。
【0068】また、表面層の結晶化度よりも中心層の結
晶化度が高いばあいには、結晶化度の差に加え、発泡シ
ートの断熱性のために加熱時に生じる表面層と中心層と
の温度差の影響を受けやすくなり、表面層と中心層との
2次発泡の挙動の違いがさらに顕著となりやすい。
【0069】こうした2次発泡性や成形性の偏りを低減
して良好な2次成形性を付与するために、発泡シートの
両表面層(表面と裏面)の間および各表面層と中心層と
の間のそれぞれの結晶化度の差が3%以内とされる。前
記結晶化度の差は、1%未満であることが好ましい。
【0070】本発明において、発泡シートは、その用途
に応じてさまざまな厚さのものを用いることができる。
【0071】なお、本発明においては、発泡シートの厚
さは、2次成形後の成形体に機械的強度や剛性を充分に
発現させるために、0.5mm以上とされ、また2次成
形に際して熱伝導がよくない発泡シートを表面から加熱
したばあいに、シートの表面と内部との温度勾配が大き
くならないことから、厚さ方向での成形性の違いが大き
くならず、成形体にしわや歪ができにくいという点か
ら、3mm以下とされる。
【0072】また、発泡シートのみかけ密度を、好まし
くは0.7g/cm3以下、さらに好ましくは0.5g
/cm3以下とすることにより、軽量性などの発泡体と
しての利点を生かすことができる。さらには、発泡シー
ト中に存在する気泡の独立気泡率を、好ましくは80%
以上、さらに好ましくは85%以上とすることで、製造
される発泡体の断熱性をより高めることができる。
【0073】かくしてえられるポリエステル系樹脂発泡
シートを加熱して2次発泡させ、ついで加熱金型で成形
し、平均結晶化度を20%以上に高めることにより、ポ
リエステル系樹脂発泡成形体がえられる。
【0074】本発明において、シートを加熱軟化させて
2次発泡させる際の加熱処理は、シートの表面層および
中心層の温度が熱処理前のポリエステル系樹脂のガラス
転移温度以上となるように行なうことが好ましく、さら
に好ましくはガラス転移温度プラス40℃以上、ガラス
転移温度プラス100℃以下となるように行なう。処理
温度が低すぎるばあいには、2次発泡が困難となり、処
理温度が高すぎるばあいには、シートの結晶化が進みす
ぎて成形性が低下するようになる。
【0075】ここで、ガラス転移温度とは、JIS K
7121「プラスチックの転移温度測定方法」におけ
る「ガラス転移温度の求め方」に準拠して求めたものを
いう。
【0076】また、2次発泡させる際の加熱処理にあた
っては、同時に発泡シートの結晶化も進むことになる
が、結晶化度が高くなりすぎると、つぎの工程の加熱金
型により成形性が低下することになるため、加熱金型に
よる成形を行なう前の発泡シートの平均結晶化度は、1
8%以下とすることが好ましく、16%以下とすること
がさらに好ましい。
【0077】成形に用いられる加熱金型の温度は、成形
前のポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上、融解開
始温度未満とすることが好ましく、ガラス転移温度プラ
ス40℃以上、融解開始温度マイナス20℃以下とする
ことがさらに好ましい。ガラス転移温度未満では、成形
が困難となり、融解開始温度以上では、発泡体が熱収縮
するようになる。
【0078】なお、本発明において、2次発泡させた発
泡シートをマッチドモールド法で成形することが、所定
形状を有する発泡成形体がえられやすくなるという点か
ら好ましい。
【0079】本発明では、2次発泡させた発泡シートを
加熱金型により所定の形状に成形し、平均結晶化度を2
0%以上に高める処理を行なう。この処理は、成形した
発泡シートをいったん加熱金型から取り出して別の加熱
処理を施すことによって行なってもよく、成形の工程で
使用した加熱金型内に発泡シートを保持したままで、平
均結晶化度が高まるまで連続的な加熱処理を施すことに
よって行なってもよい。
【0080】平均結晶化度が20%未満では、高温での
熱変形が起こりやすくなるため、耐熱性にすぐれた成形
体をうるためには、平均結晶化度を20%以上、好まし
くは22%以上とする。
【0081】本発明の製造法によれば、ポリエステル系
樹脂発泡シートから有害なしわや割れが発生していない
発泡成形体がえられ、かかる発泡成形体は、軽量で断熱
性を有する容器などに好適に使用することができる。
【0082】
【実施例】つぎに、本発明のポリエステル系樹脂発泡成
形体の製造法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明す
るが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0083】実施例1 固有粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレ
ートとグリセリンとを重縮合させ、グリセリン単位をテ
レフタル酸単位の総モル数100モルに対して1モルの
割合で含有する固有粘度0.70dl/gの分岐状ポリ
エステルをえた。この分岐状ポリエステルのガラス転移
温度は約74℃、融解開始温度は約230℃、280℃
における溶融粘度は650Pa・sであった。
【0084】えられた分岐状ポリエステルを140℃の
除湿乾燥機で4時間乾燥させたあと、該分岐状ポリエス
テル100部とピロメリット酸二無水物0.3部との混
合物を、クリアランス0.4mmのサーキュラーダイを
取り付けた押出機に供給して以下の押出条件で溶融し、
押出機の途中からこの溶融物100部に対して1.2部
の割合でイソペンタンを注入してさらに混練したのち、
サーキュラーダイから円筒状の発泡シートとして押出し
た。
【0085】(押出条件) 押出機温度:270〜300℃ 押出機ヘッド温度:275〜285℃ 押出量:13kg/hr ひきつづいて、えられた円筒状の発泡シートを、表面温
度を80℃に保ったアルミニウム製円筒状の冷却用マン
ドレルに密着させながら進行させることにより、内面側
から冷却させるとともに、発泡シートの周囲から温度約
10℃の空気を吹き付けることで外面側からも冷却し
た。冷却した円筒状の発泡シートを切り開いて平坦な発
泡シートをえた。
【0086】えられた発泡シートは、厚さ1.4mm、
みかけ密度0.24g/cm3(発泡倍率約5.6
倍)、独立気泡率89%の発泡シートであった。
【0087】えられた発泡シートの冷却用プラグに密着
していた側の面の表皮層(以下、これを表面層とい
う)、反対側の面の表皮層(以下、これを裏面層とい
う)および中心層の結晶化度を以下の方法によって調べ
た。その結果および平均結晶化度の値をあわせて表1に
示す。
【0088】(結晶化度)表皮層の結晶化度は、発泡シ
ートの両表面から約150μmの厚さの表皮層をはぎ取
り、示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業(株)
製、DSC200)を用いて冷結晶化熱量および融解熱
量を測定し、以下の式にしたがって算出した。中心層の
結晶化度は、発泡シートを半分の厚さに裂いてから約1
50μmの厚さの中心層をはぎ取り、前記と同様の方法
によって算出した。
【0089】[結晶化度(%)]=(グラムあたりの融
解熱量−グラムあたりの冷結晶化熱量)÷140.1×
100 なお、前記式において、140.1はポリエチレンテレ
フタレート1gあたりの完全結晶化熱量(J/g)であ
る。
【0090】えられた発泡シートを、赤外線ヒーターで
130〜140℃に10秒間加熱して2次発泡させ、つ
いで表面温度が180℃に温調された雌雄の金型に挟ん
で成形するとともに金型内で保持したまま結晶化を促進
させ、口径70mm、深さ20mmおよび底径55mm
の容器形状の成形体をえた。
【0091】なお、加熱および2次発泡させたのちのシ
ートの一部を、金型による成形を行なう前に切取り、み
かけ密度および平均結晶化度を調べたところ、みかけ密
度は0.18g/cm3(発泡倍率約7.7倍)、平均
結晶化度は13.2%であった。
【0092】また、えられた成形体の平均結晶化度は2
4.8%であった。
【0093】つぎに、えられた成形体の状態を目視にて
観察し、以下の評価基準に基づいて2次成形性を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0094】(評価基準) A:成形体に割れ、ひびおよび成形じわがまったくな
い。 B:成形体の一部に割れ、ひびおよび成形じわが認めら
れる。 C:成形体全体に割れ、ひびおよび成形じわがいちじる
しい。
【0095】さらに、成形体の耐熱性評価試験として、
成形体を内部温度が180℃に保たれたオーブン内に3
0分間置いたのち、変形の有無を調べたところ、容器形
状に変化が認められず、耐熱性が良好であることがわか
った。
【0096】実施例2 実施例1において、表面温度を80℃に保ったアルミニ
ウム製円筒状の冷却用マンドレルのかわりに、表面温度
を40℃に保ったアルミニウム製円筒状の冷却用マンド
レルを用い、円筒状シートの周囲から温度約10℃の空
気を吹き付けるかわりに、温度約20℃の水を吹き付け
たほかは、実施例1と同様にして、厚さ1.3mm、み
かけ密度0.26g/cm3(発泡倍率約5.2倍)、
独立気泡率90%の発泡シートをえた。
【0097】えられた発泡シートの表面層、裏面層およ
び中心層の結晶化度を実施例1と同様の方法によって調
べた。その結果および平均結晶化度の値をあわせて表1
に示す。
【0098】えられた発泡シートを用い、実施例1と同
様にして容器形状の成形体をえた。
【0099】なお、加熱および2次発泡させたのちの金
型による成形を行なう前のシートについて、実施例1と
同様にしてみかけ密度および平均結晶化度を調べたとこ
ろ、みかけ密度は0.19g/cm3(発泡倍率約7.
4倍)、平均結晶化度は12.2%であった。
【0100】また、えられた成形体の平均結晶化度は2
4.4%であった。
【0101】つぎに、えられた成形体について、実施例
1と同様にして2次成形性の評価を行なった。その結果
を表1に示す。
【0102】さらに、成形体の耐熱性評価試験を実施例
1と同様にして行なったところ、容器形状に変化が認め
られず、耐熱性が良好であることがわかった。
【0103】比較例1 実施例1において、表面温度を80℃に保ったアルミニ
ウム製円筒状の冷却用マンドレルのかわりに、表面温度
を20℃に保ったアルミニウム製円筒状の冷却用マンド
レルを用い、円筒状シートの周囲から温度約10℃の空
気を吹き付けることをしなかったほかは、実施例1と同
様にして、厚さ1.5mm、みかけ密度0.25g/c
3(発泡倍率約5.4倍)の発泡シートをえた。
【0104】えられた発泡シートの表面層、裏面層およ
び中心層の結晶化度を実施例1と同様の方法によって調
べた。その結果および平均結晶化度の値をあわせて表1
に示す。
【0105】また、えられた発泡シートを用い、実施例
1と同様にして容器形状の成形体をえたのち、2次成形
性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0106】比較例2 比較例1でえられた発泡シートから60cm×60cm
の大きさのシートを切り出し、110℃のオーブン中で
1時間加熱したのち、オーブンから取り出して室温で自
然冷却し、厚さ2.1mm、みかけ密度0.18g/c
3(発泡倍率約7.4倍)の発泡シートをえた。
【0107】えられた発泡シートの表面層、裏面層およ
び中心層の結晶化度を実施例1と同様の方法によって調
べた。その結果および平均結晶化度の値をあわせて表1
に示す。
【0108】また、えられた発泡シート用い、実施例1
と同様にして容器形状の成形体をえたのち、2次成形性
の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0109】比較例3 実施例1において、イソペンタンを溶融物100gに対
して2.4gの割合で注入したほかは、実施例1と同様
の方法により、厚さ3.2mm、みかけ密度0.14g
/cm3(発泡倍率約9.6倍)の発泡シートをえた。
【0110】えられた発泡シートの表面層、裏面層およ
び中心層の結晶化度を実施例1と同様の方法によって調
べた。その結果および平均結晶化度の値をあわせて表1
に示す。
【0111】また、えられた発泡シートを用い、実施例
1と同様にして容器形状の成形体をえたのち、2次成形
性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】表1に示された結果から、発泡シートの各
部分の結晶化度および相互の差異が大きいばあいには、
2次成形性がわるくなり、結晶化度の大きさや偏りによ
って2次成形性に大きな相違があることがわかる。
【0114】比較例4 実施例1において、発泡シートを赤外線ヒーターで13
0〜140℃に10秒間加熱して2次発泡させるかわり
に、間隔を1.4mmに保った2枚の加熱板に挟んで1
30〜140℃に10秒間加熱しただけで2次発泡させ
なかったほかは、実施例1と同様にして容器形状の成形
体をえた。
【0115】加熱したのちの成形前のシートのみかけ密
度および平均結晶化度は、それぞれ0.24g/cm3
(発泡倍率約5.6倍)および13.5%であり、えら
れた成形体の平均結晶化度は24.4%であった。
【0116】えられた発泡体は、表面全体にわたってし
わがあり、いちじるしく外観が損なわれたものであっ
た。また、成形体の断面を目視にて観察したところ、気
泡の大きさがきわめて不均一となっていた。
【0117】実施例1および比較例4の結果から、成形
前の加熱時に発泡シートを2次発泡させないばあいに
は、成形体の2次成形性がわるくなり、2次発泡の有無
によって2次成形性に大きな相違があることがわかる。
【0118】比較例5 実施例1において、発泡シートを金型で成形したのち、
ただちに金型から取出したほかは、実施例1と同様にし
て容器形状の成形体をえた。
【0119】えられた成形体の平均結晶化度は18.7
%であった。
【0120】つぎに、実施例1と同様にして成形体の耐
熱性評価試験を行なったところ、容器形状にいちじるし
い変化が生じ、この成形体は耐熱性にきわめて劣るもの
であると判断された。
【0121】実施例1および比較例5の結果から、成形
後の結晶化度が小さいばあいには、成形体の耐熱性がわ
るくなり、成形後の結晶化度の大きさによって2次成形
性に大きな相違があることがわかる。
【0122】
【発明の効果】本発明の製造法によってえられるポリエ
ステル系樹脂発泡成形体は、結晶化度に偏りのない発泡
シートを加熱して2次発泡させ、ついで加熱金型で成形
し、平均結晶化度が20%以上に高められたものである
ので、従来の熱可塑性ポリエステル系樹脂の押出発泡シ
ートを用いたばあいにみられるような結晶化度の不揃い
によって生じる2次成形時の割れやしわなどの成形不良
や成形品中の気泡の不均一がない。
【0123】また、本発明の製造法によれば、耐熱性に
すぐれた熱可塑性ポリエステル系樹脂が基材樹脂とされ
ていることから、容器として成形したばあいには、意匠
性、耐熱性、断熱性などにすぐれた種々の用途に好適に
使用しうるポリエステル系樹脂発泡成形体がえられると
いう効果が奏される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系樹脂を基材樹脂とし、厚
    さ0.5〜3mmおよび平均結晶化度13%以下を有
    し、シートの一方の表面層の結晶化度と他方の表面層の
    結晶化度との差が3%以下であり、かつシートの中心層
    の結晶化度と前記各表面層の結晶化度との差が3%以下
    であるポリエステル系樹脂発泡シートを加熱して2次発
    泡させ、ついで加熱金型で成形し、平均結晶化度を20
    %以上に高めることを特徴とするポリエステル系樹脂発
    泡成形体の製造法。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系樹脂発泡シートの一方の
    表面層の結晶化度と他方の表面層の結晶化度との差が1
    %未満であり、かつシートの中心層の結晶化度と前記各
    表面層の結晶化度との差が1%未満である請求項1記載
    のポリエステル系樹脂発泡成形体の製造法。
  3. 【請求項3】 加熱金型で成形する前のポリエステル系
    樹脂発泡シートの平均結晶化度が18%以下である請求
    項1または2記載のポリエステル系樹脂発泡成形体の製
    造法。
  4. 【請求項4】 ポリエステル系樹脂発泡シートを2次発
    泡させたのち、マッチドモールド法で成形する請求項
    1、2または3記載のポリエステル系樹脂発泡成形体の
    製造法。
JP7343536A 1995-12-28 1995-12-28 ポリエステル系樹脂発泡成形体の製造法 Pending JPH09183860A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013076011A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Sekisui Plastics Co Ltd ポリ乳酸系樹脂発泡シート、及び、ポリ乳酸系樹脂発泡シートの製造方法

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JP2013076011A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Sekisui Plastics Co Ltd ポリ乳酸系樹脂発泡シート、及び、ポリ乳酸系樹脂発泡シートの製造方法

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