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JP2004238336A - 水易溶性包接フラボノイド類の製造方法 - Google Patents

水易溶性包接フラボノイド類の製造方法 Download PDF

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JP2004238336A
JP2004238336A JP2003030356A JP2003030356A JP2004238336A JP 2004238336 A JP2004238336 A JP 2004238336A JP 2003030356 A JP2003030356 A JP 2003030356A JP 2003030356 A JP2003030356 A JP 2003030356A JP 2004238336 A JP2004238336 A JP 2004238336A
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water
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Kenichi Shiei
健一 市榮
Hirofumi Kawamura
弘文 河村
Naoko Watanabe
直子 渡邉
Hirotaka Nogami
浩孝 野上
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San Ei Gen FFI Inc
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Abstract

【課題】透明飲料等の食品に0.1%以上の濃度で溶解する水易溶性包接フラボノイド類およびこの包接フラボノイド類の製造方法を提供する。
【解決手段】サイクロデキストリンで包接したフラボノイド類をpH9〜12のアルカリ溶液に溶解後乾燥するか、またはpH9〜12のアルカリ溶液に溶解後pH2〜8に溶解し、濃縮または乾燥する。好ましくはこのフラボノイド類はイソフラボン誘導体である。サイクロデキストリンで包接したイソフラボン誘導体は、市販品を使用してもよく、また公知の方法で製造したものであってもよい。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水易溶性包接フラボノイド類およびその製造方法に関する。さらに詳細には、サイクロデキストリンで包接したフラボノイド類を、アルカリ溶液に溶解後、濃縮または乾燥することを特徴とする水易溶性包接フラボノイド類およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソフラボン誘導体は、豆科の植物に含まれるフラボノイド配糖体の一つであり、その生理活性としては、一般にエストロジェン作用、抗酸化作用、抗菌作用があり、また癌、骨粗鬆症や高脂血症などの疾患に有効であることが知られている。大豆イソフラボンは、骨からのカルシウム溶出を抑えて骨の健康に役立つ素材として、厚生省が許可する特定保健用食品に利用されている。そのため、健康を維持するためにイソフラボン誘導体を豊富に含有する大豆の摂取が推奨され、イソフラボン誘導体を抽出する方法が種々提案されてきた。
【0003】
一般的に、イソフラボン誘導体は水への溶解性が悪く、また水溶液中での安定性が悪いという問題がある。イソフラボン誘導体は、水溶液中で酸性領域ではもちろんのこと、イソフラボンの溶解性が高くなるアルカリ性水溶液としても、高濃度では経時的に沈殿を生じる。イソフラボンの溶解性が悪いことより、食品としての外観が悪くなること、食品として摂取することが困難であること、また体内での吸収が低いという問題がある。そのため、イソフラボンの十分な効果を得るためには、抽出物を多量に摂取しなければならないのが現状である。
【0004】
そこで、イソフラボン等の水難溶性フラボノイドを水溶液中に高濃度で安定に配合する方法が検討されてきた。しかし、イソフラボン等の水難溶性フラボノイド類は不安定であり、例えば、溶解性を向上させるためにアルカリ処理を行った場合には、凝集および加水分解が生じる(非特許文献1)。そのため、溶解性を向上させるために行うことができる化学的処理にも制約があった。それらの中で最も効果的なものの一つにサイクロデキストリンで包接する方法がある。
【0005】
特許文献1には、β−サイクリロデキストリンまたはγ−サイクロデキストリンの少なくとも一方によりイソフラボン誘導体を包接することによって、水に対する溶解性が改善されたイソフラボン誘導体の包接物が開示されている。このイソフラボン誘導体のβ−サイクロデキストリン包接物投与から4時間後の血清中のイソフラボン誘導体濃度は、包接していないものを投与した場合に比べて約8〜12倍の高濃度であり、また、包接物を投与した場合にイソフラボン誘導体の尿中排泄率も約2倍に上昇した。すなわち、イソフラボン誘導体をサイクロデキストリンで包接することにより体内への吸収効率が高くなることが開示されている。
【0006】
特許文献2には、大豆原料から得た粗抽出物を水溶液中でサイクロデキストリンと混合させた後、不溶物を除去することを特徴とする水易溶性大豆イソフラボンの製造方法が記載されている。本公報には飲料として供する場合、イソフラボン濃度が約0.1〜4.5mg/ml(0.01 ̄0.45%)と、非常に広い濃度範囲で記載されているが、実施例において具体的なイソフラボン濃度や当然考慮されるべき安定性に関する記載が一切記載されていない。従って、本公報に記載の方法では、再現性や安定性に問題があることが示唆され、また複雑な工程を必要とすることなどより、工業的には実用化が困難であると思われる。
【0007】
このように、サイクロデキストリンで包接することによってイソフラボンの溶解性が向上するが、実際に飲料などの食品に使用するにはまだ溶解性が不十分である。例えば、特定保健用食品の許可を得るためには、大豆イソフラボンの摂取量として1日当たりの摂取量40mgを250ml程度の飲料に含むことが必要である。この場合のイソフラボン濃度は0.016%となる。飲料に添加する場合、高濃度のシロップ等を作って混合するのが一般的である。製造時には最終濃度の10倍程度のイソフラボン溶液を添加することを考慮すると、飲料に添加するためのイソフラボン溶液の濃度としては0.1%程度が望ましい。しかし、従来のサイクロデキストリンで包接したイソフラボン製剤(例えば、フジッコ株式会社製、フジフラボンS)では、サイクロデキストリンで包接したものでもイソフラボン含量で98℃において0.05%しか溶解せず、また60℃では0.01%以下しか溶解しないため、最終的に0.02%のイソフラボン濃度を確保するためには、例えば、サイクロデキストリン包接シロップ(イソフラボン含量0.05%)を飲料全体量の40%も添加する必要がある。この添加量は多すぎて工業的な使用には問題があり、結果としてイソフラボンの飲料などの食品への使用が限られている。
【0008】
さらに、透明飲料に添加する場合には、イソフラボン誘導体が十分に溶解していない場合には、濁りや沈殿を生じた場合に外観が著しく損なわれるという問題がある。
【0009】
このように、サイクロデキストリンで包接したイソフラボン製剤の水への溶解度を増大させるためには、特別な設備が必要であり、コストも上がり、プロセスの管理も困難となるという問題を含んでおり、工業レベルで使用することが困難なため、他の方法の開発が望まれている。
【0010】
イソフラボン以外のフラボノイド類として、クエルセチン(特許文献3)やフラボン誘導体(特許文献4)をサイクロデキストリンで包接した例も知られている。しかし、包接したフラボノイド類についてさらに水溶性を向上させる方法については何ら教示も示唆もされていなかった。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−309902号公報
【特許文献2】
特開平10−298175号公報
【特許文献3】
特開平2−268643号公報
【特許文献4】
特開平11−169148号公報
【非特許文献1】
Jemnitz K., Levai F., Monostory K., Szatmari I., Vereczkey L., Eur J Drug Metab Pharmacokinet (2000) 25 (3−4), 153−60
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は水易溶性包接フラボノイド類およびその製造方法を提供するものであり、ここで、得られる水易溶性包接フラボノイド類は、製造の過程において変性や分解を受けることなく、良好な性質を保っており、またその製造方法においては特別な設備や試薬を必要としない。また、フラボノイド類の溶解性が格段に上昇しているため、食品(特に飲料)へのフラボノイドの添加を工業的に使用することを提供するものである。
【0013】
本発明は、水易溶性包接フラボノイド類およびその製造方法に関する。さらに詳細には、サイクロデキストリンで包接したフラボノイド類を、アルカリ溶液に溶解後、濃縮または乾燥することを特徴とする水易溶性包接フラボノイド類およびその製造方法に関する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、サイクロデキストリンに包接したイソフラボン誘導体をアルカリ処理することにより、水溶性がよく透明飲料に応用できる水易溶性イソフラボンが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。この製造工程において、イソフラボン誘導体はアルカリによる分解を受けることなく、添加量のほぼ全量に近い量が残存していた。
【0015】
本発明は,イソフラボン誘導体の可食性組成物への積極的な応用、とりわけ飲料への応用を可能ならしめることを目的とするものである。
【0016】
すなわち、本発明は、以下の(1)から(9)を特徴とする。
【0017】
(1)サイクロデキストリンに包接されたフラボノイド類をアルカリ溶液に溶解することを特徴とする、水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
【0018】
(2)上記フラボノイド類が水難溶性フラボノイド類である、項1に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法
【0019】
(3)上記フラボノイド類がイソフラボン誘導体である、項1または2に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
【0020】
(4)サイクロデキストリンに包接されたフラボノイド類をアルカリ溶液に溶解後、pH2〜8に調整することを特徴とする、項1乃至3に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
【0021】
(5)さらに濃縮および/または乾燥することを特徴とする、項1乃至4に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
【0022】
(6)上記サイクロデキストリンがβ−サイクロデキストリンおよび/またはγ−サイクロデキストリンである、請求項1乃至5に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
【0023】
(7) 項1乃至6に記載の方法によって製造された水易溶性包接フラボノイド類。
【0024】
(8) 項7に記載の水易溶性包接フラボノイド類を含有する可食性組成物。
【0025】
(9) 項8に記載の可食性組成物を含有する食品。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるサイクロデキストリンに包接されたフラボノイド類は、市販のフラボノイド製剤を使用してもよいし、公知の方法を使用してもよい。本発明で使用されるフラボノイド類は、好ましくはイソフラボン誘導体である。イソフラボン製剤は、市販のイソフラボン製剤を使用してもよいし、公知の方法(例えば、特開平9−309902号公報に記載の方法)に従って製造してもよい。市販の好ましいイソフラボン製剤としては、フジフラボンS(フジッコ株式会社)が挙げられる。
【0027】
サイクロデキストリンは、6〜12個のグルコース分子がα−1,4グルコシド結合で環状に連なった非還元性マルトオリゴ糖であり、バチルス・マセランス(Bacillus macerans)等のサイクロデキストリン生成酵素をデンプンに作用させることによって製造される。一般的なサイクロデキストリンとしては、グルコース分子6個からなるα−サイクロデキストリン、7個のグルコース分子からなるβ−サイクロデキストリン及び8個のグルコース分子からなるγ−サイクロデキストリンが知られている。本発明では特にβ−サイクロデキストリン及び/またはγ−サイクロデキストリンの二種類が本発明のイソフラボン誘導体に良好に包接でき、所望の効果を発揮すると考えられる。これらのサイクロデキストリンは、単独でまたは併用して使用することができる。また、溶解度を向上させた分岐型やメチル型のサイクロデキストリンを使用するのも効果的である。
【0028】
フラボノイドとしては、フラボン類、フラボノール類、イソフラボン類、フラバン類、フラバノール(カテキン)類、フラバノン類、フラバノノール類、カルコン類、およびアントシアニジン類が挙げられる。これらフラボノイド類に分類される化合物のうちの1種またはそれ以上が、単独または組み合わせて用いられる。好ましくは、これらのフラボノイドのうち、水難溶性のフラボノイドが用いられる。
【0029】
好ましくは、本発明で使用されるフラボノイドはイソフラボン類である。イソフラボン類にはイソフラボン誘導体が含まれ、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、ダイズイン、ゲニスチン、グリシチン、6”−0−マロニルダイズイン、6”−0−マロニルゲニスチン、6”−0−マロニルグリシチン、6”−0−アセチルダイズイン、6”−0−アセチルゲニスチン、6”−0−アセチルグリシチン、6”−0−サクシニルダイズイン、6”−0−サクシニルゲニスチン及び6”−0−サクシニルグリシチンが例示されるがこれらに限定されない。これらのイソフラボン誘導体は、大豆または納豆等から、水またはアルコール等の溶媒で抽出し、適宜精製することにより得られるが、かかる抽出物中に含まれるイソフラボン誘導体の大部分は、ダイズイン及びゲニスチンである。
【0030】
イソフラボン類以外のフラボノイドとしては以下が挙げられ、本発明で使用され得る:フラボン類にはフラボン誘導体が含まれ、アピゲニン、クリシン、およびルテオリンが例示されるがこれらに限定されない;フラボノール類にはフラボノール誘導体が含まれ、ガランギン、クエルセチン、ルチン、ケンフェロール、ミリセチン、イソクエルシトリン、ミリシトリンおよびモリンが例示されるがこれらに限定されない;フラバノール(カテキン)類にはフラバノール誘導体が含まれ、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、およびテアフラビンが例示されるがこれらに限定されない;フラバノン類にはフラバノン誘導体が含まれ、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペレチン、およびヘスペリジンが例示されるがこれらに限定されない;アントシアニジン類にはアントシアニジン誘導体が含まれ、シアニジン、シアニン、デルフィニジン、デルフィニン、ペラルゴニジン、およびペラルゴニンが例示されるがこれらに限定されない。
【0031】
フラボノイドをサイクロデキストリンに包接せしめる方法は種々あるが、その代表的な方法は混練法である。サイクロデキストリンに、約0.1〜6重量部の水を加え、よく混練してペースト状にした後、フラボノイドを加えて充分に混練する。フラボノイドとサイクロデキストリンとは、乾燥重量比で、1:0.1〜1:50、好ましくは1:3〜1:10の割合にて用いるとよい。混練する時間は約30分から3時間でよく、混練するための装置は、擂潰機、ボールシール、乳化機等が使用できる。包接が終了したペーストは、そのまま噴霧乾燥するか、減圧乾燥、ドラム乾燥法等によって乾燥する。
【0032】
上記の方法で得られたフラボノイドの包接物は、フラボノイド単独と比較して、苦味、渋味、収斂味が抑制され、且つ水に対する溶解度がある程度向上しており、かつ、体内への吸収の向上及びその生理作用の向上が見られるものであるが、溶解度が十分でないため、製造工程において、食品や飲料、特に透明飲料に使用することが困難なものである。
【0033】
次に、本発明の、フラボノイドの包接物の水への溶解性を向上させる方法について述べる。第1の方法は、原料として、水、アルカリpH調整剤、フラボノイドの包接物の順番に仕込む。アルカリpH調整剤としては、アルカリ性を呈しかつ食品に使用可能なものであれば何でもよく、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、アンモニア等が例示されるがこれらに限定されない。フラボノイドの包接物の量は、フラボノイドとして0.01〜3%が好ましい。加熱溶解は、好ましくは常温で行う。また、賦形剤としてデキストリン等を使用してもよい。このときの溶液はアルカリ性であり、pHは8 ̄14、好ましくは9 ̄12の範囲である。次に必要に応じて生成物を加熱装置やフィルターを用いて殺菌または滅菌を行う。さらに、噴霧乾燥、減圧乾燥、ドラム乾燥法等によって乾燥を行い、粉末フラボノイドの製造を行う。
【0034】
本発明の、フラボノイドの包接物の水への溶解性を向上させるための第2の方法は、溶解後に溶液を中性または酸性に調整する以外は、第1の方法と同じである。すなわち、原料として、水、アルカリpH調整剤、フラボノイドの包接物の順番に仕込む。アルカリpH調整剤としては、アルカリ性を呈しかつ食品に使用可能なものであれば何でもよく、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、アンモニア等が例示されるがこれらに限定されない。加熱溶解は、好ましくは常温で行う。また、賦形剤としてデキストリン等を使用してもよい。このときの溶液はアルカリ性であり、pHは8 ̄14、好ましくは9 ̄12の範囲である。原料が溶解し、透明であることを確認した後、クエン酸(無水)(酸性pH調整剤)を添加してpHを中性または酸性域にする。酸性pH調整剤としては、酸性を呈しかつ食品に使用可能なものであれば何でもよく、塩酸、硫酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸等が例示されるがこれらに限定されない。次に必要に応じて生成物を加熱装置やフィルターを用いて殺菌または滅菌を行う。さらに、噴霧乾燥、減圧乾燥、ドラム乾燥法等によって乾燥を行い、粉末フラボノイドの製造を行う。
【0035】
なお、上記処理に供した後でも、包接物中のフラボノイドの含量には変化がなく、フラボノイドの分解・劣化などは起こらない。また、本発明において「水易溶性フラボノイド」とは、25℃の水溶液に0.1%以上溶解するフラボノイドをいう。
【0036】
本発明の溶解性の向上したフラボノイドは、可食性組成物に配合され、摂取されうるが、その摂取量は、摂取対象者の状態や年齢等により異なるものの、通常、イソフラボン誘導体として0.1〜4 mg/kg体重/日、好ましくは0.2〜1 mg/kg体重/日が用いられる。摂取は、一日一回、または必要に応じて複数回に分けることもできる。
【0037】
可食性組成物の形態としては、例えば、飲料、菓子、加工食品、調味料等に適した、種々の形態とすることが可能であり、特に限定されるものではない。可食性組成物とするために、通常使用される賦形剤、増量剤、安定化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、着色剤及び発色剤等を、適宜、有効成分に対して好ましくない影響を及ぼさない限りにおいて配合し、製造すればよい。
【0038】
上記可食性組成物は、例えば、以下の食品に添加することができる:果実飲料,茶系飲料、コーヒー飲料、清涼飲料水、粉末飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、スポーツドリンク、栄養飲料等の飲料;キャンディー、ガム、錠菓、グミキャンディー、スナック等の菓子類、ゼリー、杏仁豆腐、ムース、プディング、ヨーグルト等のデザート食品、ケーキ,クッキー又は饅頭等の洋・和菓子類、アイスクリームやシャーベット等の冷菓などの嗜好食品一般;もちやインスタント米飯などの米飯類;うどん、ラーメン、そば、パスタ等の麺類;即席スープ、ポタージュ等のスープ類及びその即席粉末食品;ケチャップ、マヨネーズ、ウスターソース、トンカツソース、ドレッシング、タルタルソース、焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼き等に用いられるタレなどのソース及び調味料類;バタークリームや生クリーム等のクリーム類;イチゴジャムやマーマレード等のジャム;菓子パン等を含むパン;蒲鉾等の練り製品、レトルト食品、漬け物、佃煮、総菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品;フラボノイド類を含有する栄養補助食品(サプリメント)や健康食品など。なお、本発明が対象とする食品には特定保健用食品が含まれる。好ましくはこの食品は飲料であり、特に好ましくは透明飲料である。透明飲料としては、例えば、スポーツドリンクを例示することができる。また、上記可食性組成物は、食品以外にも、ビタミン剤や栄養剤などの医薬品;ビタミン入り発泡剤、口内清涼剤、歯磨き、リップクリームなどの医薬部外品に含有させることができる。
【0039】
本発明の溶解性の向上したフラボノイドは、溶解性が向上しているので、透明飲料に添加する場合に特に顕著な効果を有するものである。
【実施例】
【0040】
実施例1:製剤A
サイクロデキストリン包接フラボノイドとして、フジフラボンS(イソフラボン含量10%、フジッコ株式会社製)を使用した。フジフラボンSの製剤組成は、サイクロデキストリン75%、大豆胚芽抽出物固形分25%であった。
【0041】
(原料配合割合)
【表1】
Figure 2004238336
【0042】
次に、表1に示した原料を混合し、90℃で加熱溶解した(pH=9.1)。生成物を0.2μmのフィルターにて除菌を行った。噴霧乾燥機にて噴霧乾燥後、金網32メッシュにて篩過した。得られたイソフラボン誘導体包接物を小分け包装した。
【0043】
得られたイソフラボン製剤は、pH2.5のクエン酸溶液に室温で3%溶解した(最終pH 4.5、イソフラボン0.15%)。
【0044】
実施例2:製剤B
水、水酸化ナトリウム(0.4%)、デキストリン、サイクロデキストリン包接イソフラボン誘導体(フジフラボンS)の順で原料を仕込んだ。仕込んだ原料を、室温にて混合し、溶解して透明であることを確認した(pH実測値11.8)。次にクエン酸(無水)を添加した(2.8%)。液温を85℃まで加熱し、溶解して透明になることを確認した(pH実測値5.1)。生成物を300メッシュの金網でろ過し、噴霧乾燥機にて噴霧乾燥した。金網32メッシュで篩過し、得られたイソフラボン誘導体包接物を小分け包装した。
【0045】
(原料配合割合)
【表2】
Figure 2004238336
【0046】
得られたイソフラボン誘導体包接物の色調と香味は、フジフラボンSに近いものであった。水溶液の褐変は見られず透明であった。
【0047】
実施例3:イソフラボン包接物誘導体のイソフラボン含量
得られたイソフラボン包接物誘導体のイソフラボン含量を、特開平9−309902号公報に記載の高速液体クロマトグラフィーによる方法にて測定した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
Figure 2004238336
【0049】
得られたイソフラボン包接物誘導体のイソフラボン含量は、製剤A、Bともに理論値とほぼ同じ値となり、アルカリ処理によってもイソフラボンは分解されずに保持されていることが明らかとなった。
【0050】
実施例4:イソフラボン包接物誘導体の溶解性の検討
得られたイソフラボン包接物誘導体の、25℃、60℃、および98℃での水への溶解性を検討した。結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
Figure 2004238336
()内の数値はイソフラボンの濃度を示す。
本発明のイソフラボン製剤(製剤B)は、従来の製品(イソフラボンS)と比較して格段に水溶性が向上していた。
【0052】
実施例5:イソフラボン包接物スポーツドリンクの調製
以下の処方にてスポーツドリンクを調製した:
【表5】
Figure 2004238336
得られた飲料は、イソフラボン誘導体が0.1%溶解し、かつ十分な透明度を保つ、良好なイソフラボン含有透明飲料であった。また、冷蔵、常温、および37℃で1ヶ月保存しても、沈殿、変色、にごり、香味の変化等は生じず、安定であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、水易溶性包接フラボノイド類が提供され、透明飲料等、従来使用できなかった食品に対してフラボノイド類(例えば、イソフラボン)を含有させることが可能になる。

Claims (9)

  1. サイクロデキストリンに包接されたフラボノイド類をアルカリ溶液に溶解することを特徴とする、水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
  2. 前記フラボノイド類が水難溶性フラボノイド類である、請求項1に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
  3. 前記フラボノイド類がイソフラボン誘導体である、請求項1または2に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
  4. サイクロデキストリンに包接されたフラボノイド類をアルカリ溶液に溶解後、pH2〜8に調整することを特徴とする、請求項1乃至3に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
  5. さらに濃縮および/または乾燥することを特徴とする、請求項1乃至4に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
  6. 前記サイクロデキストリンがβ−サイクロデキストリンおよび/またはγ−サイクロデキストリンである、請求項1乃至5に記載の水易溶性包接フラボノイド類の製造方法。
  7. 請求項1乃至6に記載の方法によって製造された水易溶性包接フラボノイド類。
  8. 請求項7に記載のフラボノイド類を含有する可食性組成物。
  9. 請求項8に記載の可食性組成物を含有する食品。
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