JP2004235079A - 電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】電解液の保持能力等の性能と、電池製造時の歩留まり性を併せ持った電池用セパレータを提供することを課題とする。
【解決手段】機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなることを特徴とする電池用セパレータ。
【選択図】 なし
【解決手段】機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなることを特徴とする電池用セパレータ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ二次電池に好適に使用できる電池用セパレータ関する。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ二次電池は、充放電特性、過充放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、携帯電話、パソコン、オーディオ等の小型電子機器の他に、最近ではハイブリッド自動車、電動自転車等の大型機器にも広く使用されている。小型電子機器用途および大型機器用途のどちらにおいても、アルカリ二次電池の高容量化、小型化、軽量化、使用可能な温度領域の拡大化等が求められている。
【0003】
アルカリ二次電池の内部は、正極、負極、電池用セパレータ、電解液で構成されている。電池用セパレータは、正極と負極の分離、短絡防止、電解液の保持、また、電極反応により生じるガスの透過等の役割が求められており、主に、ポリオレフィン繊維の不織布、ポリアミド繊維の不織布が用いられる。
【0004】
アルカリ二次電池の高容量化のためには、正極の活物質および電解液量を増やすことが必要である。このため、セパレータの薄膜化が検討されている。セパレータを薄くすると、電解液の保持容量が低下し、電池の充放電サイクル寿命が低下するといった問題が生じる。このため、電池用セパレータに用いられている不織布を構成する繊維を微細化するなどの方法が取られている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
この他に、電池用セパレータを薄膜化することによって、電池を組み立てる際に、電極のバリや端部によって、電池用セパレータが裂断する、穴が開いて内部ショートするといった問題が生じることがあった(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特許2764335号公報(第1頁)
【特許文献2】
特許3217102号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開平10−247514号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、電解液の保持能力等の性能と、電池製造時の歩留まり性を併せ持った電池用セパレータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなる電池用セパレータを見出した。
【0009】
引張強度比は、不織布の繊維配向状態を示す指標のひとつである。CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7より小さい場合、繊維がCD方向に配向しているため、電池製造時にテンションがかかった場合、電池用セパレータが断裂しやすい。また、捲回型電池を製造する際に、電極と電池用セパレータを積層して巻き上げた場合に、電極のバリや端部で電池用セパレータが断裂することがある。
【0010】
不織布の繊維配向は、細孔径に影響を与える因子のひとつである。不織布の繊維配向がMD方向もしくはCD方向に極端に偏っていると、繊維が構成する空隙が楕円になり、細孔径が小さくなって、電解液の保持能力が低下する。十分な電解液の保持能力を有する電池用セパレータでは、CD方向に対するMD方向の引張強度比は、0.7〜3.0であり、より好ましくは、1.2〜3.0である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電池用セパレータについて、詳説する。
【0012】
本発明の電池用セパレータは、機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなることを特徴とする。本発明の電池用セパレータにおいて、引張強度はJIS−L−1096に準じて測定する。
【0013】
本発明の電池用セパレータに係わる不織布を構成する繊維としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、アクリル、ポリオレフィン、パルプ、コットン、シルク、ウール等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセル等の再生繊維等を用いることができる。
【0014】
本発明の電池用セパレータにおいて、耐アルカリ性、耐熱性を併せ持つ繊維として、ジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であること、およびジアミン成分の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンである半芳香族ポリアミド繊維を用いた不織布を用いることが好ましい。この半芳香族ポリアミドは、親水性、耐アルカリ性、耐酸化劣化性に優れている。
【0015】
芳香族ジカルボン酸成分としては、セパレータの耐熱性、耐薬品性の点でテレフタル酸が最も好ましく、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を1種類以上併用して使用することもできる。
【0016】
ジカルボン酸として、芳香族ジカルボン酸の含有量は、ジカルボン酸成分の60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐アルカリ性、耐酸化性、強度などの諸物性が低下するため好ましくない。
【0017】
上記芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としてはマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を挙げることができ、これらの酸は1種類のみならず2種類以上用いることができる。なかでも不織布の強度、耐薬品性、耐熱性等の点でジカルボン酸成分が100%の芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。さらにトリメトリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を繊維化・不織布化が容易な範囲内で含有させることもできる。
【0018】
また、ジアミン成分の60モル%以上は炭素数が6〜12の脂肪族アルキレンジアミンで構成され、かかる脂肪族アルキレンジアミンとしては、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の直鎖または側鎖を有する脂肪族ジアミンなどを挙げることができる。
【0019】
この脂肪族アルキレンジアミンの含有量は、ジアミン成分の60モル%以上であるが、75モル%以上、特に90モル%以上であることが、耐熱性の点で好ましい。脂肪族ジアミン成分の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐酸化性、強度などが低下する。なかでも耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性の点で1,9−ノナンジアミン、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用が好ましい。そして、ジアミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が40:60〜99:1であることが好ましく、70:30〜95:5であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の電池用セパレータに係わるポリアミドは、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されている必要があり、末端の40%以上が封止されているのが好ましく、末端の70%以上が封止されているのが更に好ましい。ポリアミドの末端を封止することにより、得られる電池用セパレータの機械的強度、耐アルカリ性、耐酸化劣化性等が優れたものとなる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基または、カルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸、モノアミンが好ましい。
【0021】
本発明の電池用セパレータに用いることができる繊維の繊維径は、耐リーク性、吸液性、保液性の点から、1.5dtex以下が好ましく、更に好ましくは1dtex以下が好ましく、通気性と電池セパレータ用不織布の硬さを阻害しない点から0.1dtex以上が好ましい。
【0022】
本発明の電池用セパレータにおいて、不織布の製造方法としては、繊維ウェブを形成し、繊維ウェブ内の繊維を接着・融着・絡合させる方法を用いることができる。得られた不織布は、そのまま使用しても良いし、複数枚からなる積層体として使用することもできる。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、カード法、エアレイ法等の乾式法、抄紙法等の湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等がある。このうち、湿式法によって得られるウェブは、均質かつ緻密であり、電池用セパレータとして好適に用いることができる。湿式法は、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網、長網、傾斜式等のワイヤーの少なくとも1つを有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る法である。
【0023】
繊維ウェブから不織布を製造する方法としては、水流交絡法、ニードルパンチ法、バインダー接着法等を使用することができる。
【0024】
本発明の電池用セパレータにおいて、不織布の強度を調製するために、バインダー繊維を配合しても良い。バインダー繊維としては、耐熱性に優れたエチレンビニルアルコール共重合体繊維および/またはポリビニルアルコール繊維を使用することができる。これらのバインダー繊維は、主に湿式法で不織布を製造する場合に好適に用いられる。
【0025】
本発明の電池用セパレータにおいて、湿式法で不織布を製造する場合、使用する繊維の繊維長としては、2〜20mmが好ましい。繊維長が20mmを超えた場合、湿式法では繊維の分散が難しくなり、地合不良等が発生し、良好な繊維ウェブの形成ができなくなるといった問題が生じる。一方、繊維長が2mm未満では、電池セパレータの機械的強度が小さくなる。
【0026】
本発明の電池用セパレータにおいて、さらに親水性を向上させるために、親水化処理を施しても良い。親水化処理としては、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、フッ素化処理、界面活性剤処理等を用いることができる。
【0027】
コロナ放電処理は、高電圧発生機に接続した電極と、シリコンラバーなどでカバーした金属ロール間に適度の間隙を設け、高周波で数千〜数万Vの電圧をかけ、高圧コロナを発生させ、この間隔に上記の方法で得られた原布を適度な速度で走らせ、該原布面にコロナが生成したオゾン、あるいは、酸化窒素を反応させて、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシド基を生成させる事により、原布に対する電解液の親和性を向上させる表面改質法である。
【0028】
大気圧プラズマ処理は、対向する電極の少なくとも一方の電極表面にポリイミド、雲母、セラミック、ガラス等の固体誘電体を配設した誘電体被覆電極を有するプラズマ反応装置に、ヘリウムおよびアルゴンと酸素から本質的になる気体組成物を導入し、大気圧下でプラズマ励起を行って、対向する電極の間に位置する原布表面を酸化およびエッチングして電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0029】
フッ素処理は、窒素ガス、あるいはアルゴンガスなどで希釈したフッ素ガスと酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等の一種類のガスとの混合ガスを原布に接触させて、表面にカルボキシル基、カルボニル基、水酸基を生成させて電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0030】
界面活性剤処理としては、ノニオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、若しくはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなどの溶液中に原布を含浸するか、この溶液を塗布、若しくはスプレーするかした後、乾燥して、原布表面の電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における、部、%は断りのない限り、すべて質量によるものである。
【0032】
実施例1
MFRが40の結晶性ポリプロピレン繊維とエチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルアルコール共重合体によって構成される繊度3.3dtex、繊維分割後0.2dtex(平均繊維径3.9μm)、繊維長6mmの分割型複合繊維を70質量部と、MFRが40の結晶性ポリプロピレンを芯成分とし、エチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルアルコール共重合体を鞘成分とした繊度2.2dtex(繊維径17.5μm)、繊維長10mmの芯鞘型熱融着繊維を15質量部と、繊度0.8dtex(繊維径10.4μm)、繊維長10mmのポリプロピレン繊維を15質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、幅50cm、坪量38.5g/m2、および幅50cm、坪量58.1g/m2の原布を製造した。製造時に、スラリー濃度、および抄速を変えることによって、各坪量において、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を3種類ずつ製造した。
【0033】
次に、この原布を100メッシュのステンレスワイヤーである多孔質支持体上に搬送し、高圧柱状水流により水流交絡処理を行い、水流交絡不織布を得た。
【0034】
水流交絡処理条件は、ノズルヘッドを3ヘッド用い、第1ヘッドがノズル径120μm、0.6mmピッチのノズルで水圧70kgf/cm2、第2ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧100kgf/cm2、第3ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧130kg/cm2で、加工速度が15.0m/分である。水流交絡処理は、まず片面に行い、次に同じ条件で裏面を行い、この水流交絡不織布を熱風フード式乾燥機から110℃の熱風を吹き付けて乾燥した。
【0035】
次いで、水流交絡不織布の両面にコロナ放電処理を施し、最後に、常温でカレンダー処理を行って、坪量38.5g/m2の不織布を厚さ120μmに、坪量58.1g/m2の不織布を厚さ150μmに調整し、アルカリ電池セパレータとした。
【0036】
実施例2
ジカルボン酸成分の100モル%がテレフタル酸、ジアミン成分の50モル%が1,9−ノナンジアミン、残りの50モル%のジアミン成分が2−メチル−1,8−オクタジアミンからなる繊度0.7dtex、繊維長5mmの延伸半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、融点265℃、軟化温度200℃)70質量部と、ジカルボン酸成分の100モル%がテレフタル酸、ジアミン成分の50モル%が1,9−ノナンジアミン、残りの50モル%のジアミン成分が2−メチル−1,8−オクタジアミンからなる繊度1.6dtex、繊維長5mmの未延伸ポリアミド繊維(クラレ社製、融点265℃、軟化温度145℃)20質量部、エチレン含有量が44モル%、ケン化度99.6%、繊度0.01detex、繊維長3mmのエチレンビニルアルコール共重合体繊維5質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、幅50cm、坪量38.7g/m2の原布と、幅50cm、坪量61.9g/m2の原布を製造した。製造時に、スラリー濃度、および抄速を変えることによって、各坪量において、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を3種類ずつ製造した。次に、ロール温度60℃でカレンダー処理を行い、さらに原布の両面に電極20mm幅×600mm、誘電体ハイバロン3.2mmを用いてコロナ処理を施して、坪量38.7g/m2の不織布を厚さ120μmに、坪量61.9g/m2の不織布を厚さ150μmに調整し、アルカリ電池セパレータとした。
【0037】
比較例1
実施例1において、スラリー濃度および抄速を変えた以外は同条件で、幅50cm、坪量38.5g/m2、厚さ120μmおよび幅50cm、坪量58.1g/m2、厚さ150μmであり、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を2種類ずつ製造した。
【0038】
比較例2
実施例2において、スラリー濃度および抄速を変えた以外は同条件で、幅50cm、坪量38.7g/m2、厚さ120μmおよび幅50cm、坪量61.9g/m2、厚さ150μmであり、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を2種類ずつ製造した。
【0039】
実施例および比較例で得られた電池用セパレータについて、下記の評価を行い、結果を表に示した。
【0040】
<評価方法>
[引張強度比]
JIS−L−1096に準じた方法で、定速伸長型引張試験器を用いて、つかみ間隔100mm、引張速度300mm/分の条件で伸長し、切断時の荷重値を引張強度とした。MD方向の引張強度を測定するには、50mm(CD方向)×200mm(MD方向)の試験片10枚を、CD方向の引張強度を測定するには、50mm(MD方向)×200mm(CD方向)の試験片10枚を用い、その引張強度の平均値をそれぞれTMD、TCDとし、TMD/TCDを引張強度比とした。
【0041】
[細孔径]
コールター・エレクトニクス社製のcolter POROMETERにより最大細孔径と平均細孔径を測定した。
【0042】
[保液率]
150mm×100mmの試験片を比重1.3(濃度31質量%)のKOH水溶液に1時間浸漬し、10分間液切りを行った。処理前の試験片の重量をW0、処理後の試験片の重量W1を測定し、次の数1により保液率(%)を求めた。
【0043】
【数1】
保液率(%)=[(W2−W0)/W0]×100
【0044】
[電池製造時の不良率の評価]
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水酸化ニッケル正極(40mm幅)と、発泡ニッケル基材を用いた水素吸蔵合金負極(40mm幅)を1枚ずつ用い、これらの電極の間に、43mm幅の上記の実施例の電池用セパレータ(A−1−1〜3、A−2−1〜3、)および比較例の電池用セパレータ(a−1−1〜2、a−2−1〜2)を介在させて、電池構成機を用いて巻き取り、渦巻状電極群を作製した。該渦巻状電極群を円筒形の金属ケースに収納した後、1N水酸化リチウムを含む7N水酸化カリウム水溶液を主体とするアルカリ電解液を注入し、安全弁付きの封印蓋を取り付けて、公称容量が1.8Ahの単3形密閉式ニッケル−水素電池を1万個製造した。その後、正極と負極との間に240Vの電圧を印加し、電気抵抗が1kΩ以下のものを不良とし、電池製造時の不良率[%]を決定した。
【0045】
[急速充放電試験]
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水酸化ニッケル正極(40mm幅)と、ニッケルメッキパンチングメタル基材を用いた焼結式カドミウム負極(40mm幅)を1枚ずつ用い、これらの電極の間に、43mm幅の上記の実施例の電池用セパレータ(B−1−1〜3、B−2−1〜3)および比較例の電池用セパレータ(b−1−1〜2、b−2−1〜2)を介在させて、電池構成機を用いて巻き取り、渦巻状電極群を作製した。該渦巻状電極群を円筒形の金属ケースに収納した後、1N水酸化リチウムを含む7N水酸化カリウム水溶液を主体とするアルカリ電解液を注入し、安全弁付きの封印蓋を取り付けて、公称容量が0.7Ahの単3形密閉式ニッケルカドミニウム電池を20個作製した。電池の化成を行う為に、25℃において、0.1Cで15時間充電し、1Cの電流で端子電圧が0.8Vになるまで放電するという充放電を4回繰り返した。
【0046】
化成済みの20個の電池について、1Cで充電し、満充電状態に達した後、電池電圧が10mV低下した時点で1時間休止させる。ついで、4Cの電流で、終止電圧が0.8Vになるまで放電する。終止電圧が0.8Vになるまで放電させたときの放電持続時間に対して、半分の時間が経過したときの電圧を作動電圧[V]とした。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
実施例で得られた電池用セパレータは、CD方向に対するMD方向の引張強度が0.7〜3.0の範囲である。比較例で得られた電池用セパレータは、実施例と繊維配合が同じであるが、引張強度比はこの範囲外の値を示している。
【0050】
本発明の実施例の電池用セパレータを用いた電池は、引張強度比が0.7より小さい比較例の電池用セパレータを用いた電池より、製造時の不良率の発生が低いことを確認した。
【0051】
本発明の実施例の電池用セパレータは、比較例の電池用セパレータよりも、ポア径が大きく、電解液の保液率が高い。したがって、実施例の電池用セパレータを用いた電池は、比較例の電池用セパレータを用いた電池と比較して、作動電圧が高いことを確認した。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明の電池用セパレータは、機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなる。不織布を構成する繊維配向が偏っていないために、機械的強度および電解液の保持能力等の性能を併せ持っている。したがって、本発明の電池用セパレータを用いてなる電池は、製造時の歩留まりが高く、高い電池特性を示すという秀逸な効果をもたらす。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ二次電池に好適に使用できる電池用セパレータ関する。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ二次電池は、充放電特性、過充放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、携帯電話、パソコン、オーディオ等の小型電子機器の他に、最近ではハイブリッド自動車、電動自転車等の大型機器にも広く使用されている。小型電子機器用途および大型機器用途のどちらにおいても、アルカリ二次電池の高容量化、小型化、軽量化、使用可能な温度領域の拡大化等が求められている。
【0003】
アルカリ二次電池の内部は、正極、負極、電池用セパレータ、電解液で構成されている。電池用セパレータは、正極と負極の分離、短絡防止、電解液の保持、また、電極反応により生じるガスの透過等の役割が求められており、主に、ポリオレフィン繊維の不織布、ポリアミド繊維の不織布が用いられる。
【0004】
アルカリ二次電池の高容量化のためには、正極の活物質および電解液量を増やすことが必要である。このため、セパレータの薄膜化が検討されている。セパレータを薄くすると、電解液の保持容量が低下し、電池の充放電サイクル寿命が低下するといった問題が生じる。このため、電池用セパレータに用いられている不織布を構成する繊維を微細化するなどの方法が取られている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
この他に、電池用セパレータを薄膜化することによって、電池を組み立てる際に、電極のバリや端部によって、電池用セパレータが裂断する、穴が開いて内部ショートするといった問題が生じることがあった(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特許2764335号公報(第1頁)
【特許文献2】
特許3217102号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開平10−247514号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、電解液の保持能力等の性能と、電池製造時の歩留まり性を併せ持った電池用セパレータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなる電池用セパレータを見出した。
【0009】
引張強度比は、不織布の繊維配向状態を示す指標のひとつである。CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7より小さい場合、繊維がCD方向に配向しているため、電池製造時にテンションがかかった場合、電池用セパレータが断裂しやすい。また、捲回型電池を製造する際に、電極と電池用セパレータを積層して巻き上げた場合に、電極のバリや端部で電池用セパレータが断裂することがある。
【0010】
不織布の繊維配向は、細孔径に影響を与える因子のひとつである。不織布の繊維配向がMD方向もしくはCD方向に極端に偏っていると、繊維が構成する空隙が楕円になり、細孔径が小さくなって、電解液の保持能力が低下する。十分な電解液の保持能力を有する電池用セパレータでは、CD方向に対するMD方向の引張強度比は、0.7〜3.0であり、より好ましくは、1.2〜3.0である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電池用セパレータについて、詳説する。
【0012】
本発明の電池用セパレータは、機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなることを特徴とする。本発明の電池用セパレータにおいて、引張強度はJIS−L−1096に準じて測定する。
【0013】
本発明の電池用セパレータに係わる不織布を構成する繊維としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、アクリル、ポリオレフィン、パルプ、コットン、シルク、ウール等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセル等の再生繊維等を用いることができる。
【0014】
本発明の電池用セパレータにおいて、耐アルカリ性、耐熱性を併せ持つ繊維として、ジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であること、およびジアミン成分の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンである半芳香族ポリアミド繊維を用いた不織布を用いることが好ましい。この半芳香族ポリアミドは、親水性、耐アルカリ性、耐酸化劣化性に優れている。
【0015】
芳香族ジカルボン酸成分としては、セパレータの耐熱性、耐薬品性の点でテレフタル酸が最も好ましく、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を1種類以上併用して使用することもできる。
【0016】
ジカルボン酸として、芳香族ジカルボン酸の含有量は、ジカルボン酸成分の60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐アルカリ性、耐酸化性、強度などの諸物性が低下するため好ましくない。
【0017】
上記芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としてはマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を挙げることができ、これらの酸は1種類のみならず2種類以上用いることができる。なかでも不織布の強度、耐薬品性、耐熱性等の点でジカルボン酸成分が100%の芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。さらにトリメトリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を繊維化・不織布化が容易な範囲内で含有させることもできる。
【0018】
また、ジアミン成分の60モル%以上は炭素数が6〜12の脂肪族アルキレンジアミンで構成され、かかる脂肪族アルキレンジアミンとしては、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の直鎖または側鎖を有する脂肪族ジアミンなどを挙げることができる。
【0019】
この脂肪族アルキレンジアミンの含有量は、ジアミン成分の60モル%以上であるが、75モル%以上、特に90モル%以上であることが、耐熱性の点で好ましい。脂肪族ジアミン成分の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐酸化性、強度などが低下する。なかでも耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性の点で1,9−ノナンジアミン、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用が好ましい。そして、ジアミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が40:60〜99:1であることが好ましく、70:30〜95:5であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の電池用セパレータに係わるポリアミドは、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されている必要があり、末端の40%以上が封止されているのが好ましく、末端の70%以上が封止されているのが更に好ましい。ポリアミドの末端を封止することにより、得られる電池用セパレータの機械的強度、耐アルカリ性、耐酸化劣化性等が優れたものとなる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基または、カルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸、モノアミンが好ましい。
【0021】
本発明の電池用セパレータに用いることができる繊維の繊維径は、耐リーク性、吸液性、保液性の点から、1.5dtex以下が好ましく、更に好ましくは1dtex以下が好ましく、通気性と電池セパレータ用不織布の硬さを阻害しない点から0.1dtex以上が好ましい。
【0022】
本発明の電池用セパレータにおいて、不織布の製造方法としては、繊維ウェブを形成し、繊維ウェブ内の繊維を接着・融着・絡合させる方法を用いることができる。得られた不織布は、そのまま使用しても良いし、複数枚からなる積層体として使用することもできる。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、カード法、エアレイ法等の乾式法、抄紙法等の湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等がある。このうち、湿式法によって得られるウェブは、均質かつ緻密であり、電池用セパレータとして好適に用いることができる。湿式法は、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網、長網、傾斜式等のワイヤーの少なくとも1つを有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る法である。
【0023】
繊維ウェブから不織布を製造する方法としては、水流交絡法、ニードルパンチ法、バインダー接着法等を使用することができる。
【0024】
本発明の電池用セパレータにおいて、不織布の強度を調製するために、バインダー繊維を配合しても良い。バインダー繊維としては、耐熱性に優れたエチレンビニルアルコール共重合体繊維および/またはポリビニルアルコール繊維を使用することができる。これらのバインダー繊維は、主に湿式法で不織布を製造する場合に好適に用いられる。
【0025】
本発明の電池用セパレータにおいて、湿式法で不織布を製造する場合、使用する繊維の繊維長としては、2〜20mmが好ましい。繊維長が20mmを超えた場合、湿式法では繊維の分散が難しくなり、地合不良等が発生し、良好な繊維ウェブの形成ができなくなるといった問題が生じる。一方、繊維長が2mm未満では、電池セパレータの機械的強度が小さくなる。
【0026】
本発明の電池用セパレータにおいて、さらに親水性を向上させるために、親水化処理を施しても良い。親水化処理としては、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、フッ素化処理、界面活性剤処理等を用いることができる。
【0027】
コロナ放電処理は、高電圧発生機に接続した電極と、シリコンラバーなどでカバーした金属ロール間に適度の間隙を設け、高周波で数千〜数万Vの電圧をかけ、高圧コロナを発生させ、この間隔に上記の方法で得られた原布を適度な速度で走らせ、該原布面にコロナが生成したオゾン、あるいは、酸化窒素を反応させて、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシド基を生成させる事により、原布に対する電解液の親和性を向上させる表面改質法である。
【0028】
大気圧プラズマ処理は、対向する電極の少なくとも一方の電極表面にポリイミド、雲母、セラミック、ガラス等の固体誘電体を配設した誘電体被覆電極を有するプラズマ反応装置に、ヘリウムおよびアルゴンと酸素から本質的になる気体組成物を導入し、大気圧下でプラズマ励起を行って、対向する電極の間に位置する原布表面を酸化およびエッチングして電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0029】
フッ素処理は、窒素ガス、あるいはアルゴンガスなどで希釈したフッ素ガスと酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等の一種類のガスとの混合ガスを原布に接触させて、表面にカルボキシル基、カルボニル基、水酸基を生成させて電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0030】
界面活性剤処理としては、ノニオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、若しくはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなどの溶液中に原布を含浸するか、この溶液を塗布、若しくはスプレーするかした後、乾燥して、原布表面の電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における、部、%は断りのない限り、すべて質量によるものである。
【0032】
実施例1
MFRが40の結晶性ポリプロピレン繊維とエチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルアルコール共重合体によって構成される繊度3.3dtex、繊維分割後0.2dtex(平均繊維径3.9μm)、繊維長6mmの分割型複合繊維を70質量部と、MFRが40の結晶性ポリプロピレンを芯成分とし、エチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルアルコール共重合体を鞘成分とした繊度2.2dtex(繊維径17.5μm)、繊維長10mmの芯鞘型熱融着繊維を15質量部と、繊度0.8dtex(繊維径10.4μm)、繊維長10mmのポリプロピレン繊維を15質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、幅50cm、坪量38.5g/m2、および幅50cm、坪量58.1g/m2の原布を製造した。製造時に、スラリー濃度、および抄速を変えることによって、各坪量において、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を3種類ずつ製造した。
【0033】
次に、この原布を100メッシュのステンレスワイヤーである多孔質支持体上に搬送し、高圧柱状水流により水流交絡処理を行い、水流交絡不織布を得た。
【0034】
水流交絡処理条件は、ノズルヘッドを3ヘッド用い、第1ヘッドがノズル径120μm、0.6mmピッチのノズルで水圧70kgf/cm2、第2ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧100kgf/cm2、第3ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧130kg/cm2で、加工速度が15.0m/分である。水流交絡処理は、まず片面に行い、次に同じ条件で裏面を行い、この水流交絡不織布を熱風フード式乾燥機から110℃の熱風を吹き付けて乾燥した。
【0035】
次いで、水流交絡不織布の両面にコロナ放電処理を施し、最後に、常温でカレンダー処理を行って、坪量38.5g/m2の不織布を厚さ120μmに、坪量58.1g/m2の不織布を厚さ150μmに調整し、アルカリ電池セパレータとした。
【0036】
実施例2
ジカルボン酸成分の100モル%がテレフタル酸、ジアミン成分の50モル%が1,9−ノナンジアミン、残りの50モル%のジアミン成分が2−メチル−1,8−オクタジアミンからなる繊度0.7dtex、繊維長5mmの延伸半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、融点265℃、軟化温度200℃)70質量部と、ジカルボン酸成分の100モル%がテレフタル酸、ジアミン成分の50モル%が1,9−ノナンジアミン、残りの50モル%のジアミン成分が2−メチル−1,8−オクタジアミンからなる繊度1.6dtex、繊維長5mmの未延伸ポリアミド繊維(クラレ社製、融点265℃、軟化温度145℃)20質量部、エチレン含有量が44モル%、ケン化度99.6%、繊度0.01detex、繊維長3mmのエチレンビニルアルコール共重合体繊維5質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、幅50cm、坪量38.7g/m2の原布と、幅50cm、坪量61.9g/m2の原布を製造した。製造時に、スラリー濃度、および抄速を変えることによって、各坪量において、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を3種類ずつ製造した。次に、ロール温度60℃でカレンダー処理を行い、さらに原布の両面に電極20mm幅×600mm、誘電体ハイバロン3.2mmを用いてコロナ処理を施して、坪量38.7g/m2の不織布を厚さ120μmに、坪量61.9g/m2の不織布を厚さ150μmに調整し、アルカリ電池セパレータとした。
【0037】
比較例1
実施例1において、スラリー濃度および抄速を変えた以外は同条件で、幅50cm、坪量38.5g/m2、厚さ120μmおよび幅50cm、坪量58.1g/m2、厚さ150μmであり、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を2種類ずつ製造した。
【0038】
比較例2
実施例2において、スラリー濃度および抄速を変えた以外は同条件で、幅50cm、坪量38.7g/m2、厚さ120μmおよび幅50cm、坪量61.9g/m2、厚さ150μmであり、CD方向に対するMD方向の引張強度比の異なる原布を2種類ずつ製造した。
【0039】
実施例および比較例で得られた電池用セパレータについて、下記の評価を行い、結果を表に示した。
【0040】
<評価方法>
[引張強度比]
JIS−L−1096に準じた方法で、定速伸長型引張試験器を用いて、つかみ間隔100mm、引張速度300mm/分の条件で伸長し、切断時の荷重値を引張強度とした。MD方向の引張強度を測定するには、50mm(CD方向)×200mm(MD方向)の試験片10枚を、CD方向の引張強度を測定するには、50mm(MD方向)×200mm(CD方向)の試験片10枚を用い、その引張強度の平均値をそれぞれTMD、TCDとし、TMD/TCDを引張強度比とした。
【0041】
[細孔径]
コールター・エレクトニクス社製のcolter POROMETERにより最大細孔径と平均細孔径を測定した。
【0042】
[保液率]
150mm×100mmの試験片を比重1.3(濃度31質量%)のKOH水溶液に1時間浸漬し、10分間液切りを行った。処理前の試験片の重量をW0、処理後の試験片の重量W1を測定し、次の数1により保液率(%)を求めた。
【0043】
【数1】
保液率(%)=[(W2−W0)/W0]×100
【0044】
[電池製造時の不良率の評価]
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水酸化ニッケル正極(40mm幅)と、発泡ニッケル基材を用いた水素吸蔵合金負極(40mm幅)を1枚ずつ用い、これらの電極の間に、43mm幅の上記の実施例の電池用セパレータ(A−1−1〜3、A−2−1〜3、)および比較例の電池用セパレータ(a−1−1〜2、a−2−1〜2)を介在させて、電池構成機を用いて巻き取り、渦巻状電極群を作製した。該渦巻状電極群を円筒形の金属ケースに収納した後、1N水酸化リチウムを含む7N水酸化カリウム水溶液を主体とするアルカリ電解液を注入し、安全弁付きの封印蓋を取り付けて、公称容量が1.8Ahの単3形密閉式ニッケル−水素電池を1万個製造した。その後、正極と負極との間に240Vの電圧を印加し、電気抵抗が1kΩ以下のものを不良とし、電池製造時の不良率[%]を決定した。
【0045】
[急速充放電試験]
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水酸化ニッケル正極(40mm幅)と、ニッケルメッキパンチングメタル基材を用いた焼結式カドミウム負極(40mm幅)を1枚ずつ用い、これらの電極の間に、43mm幅の上記の実施例の電池用セパレータ(B−1−1〜3、B−2−1〜3)および比較例の電池用セパレータ(b−1−1〜2、b−2−1〜2)を介在させて、電池構成機を用いて巻き取り、渦巻状電極群を作製した。該渦巻状電極群を円筒形の金属ケースに収納した後、1N水酸化リチウムを含む7N水酸化カリウム水溶液を主体とするアルカリ電解液を注入し、安全弁付きの封印蓋を取り付けて、公称容量が0.7Ahの単3形密閉式ニッケルカドミニウム電池を20個作製した。電池の化成を行う為に、25℃において、0.1Cで15時間充電し、1Cの電流で端子電圧が0.8Vになるまで放電するという充放電を4回繰り返した。
【0046】
化成済みの20個の電池について、1Cで充電し、満充電状態に達した後、電池電圧が10mV低下した時点で1時間休止させる。ついで、4Cの電流で、終止電圧が0.8Vになるまで放電する。終止電圧が0.8Vになるまで放電させたときの放電持続時間に対して、半分の時間が経過したときの電圧を作動電圧[V]とした。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
実施例で得られた電池用セパレータは、CD方向に対するMD方向の引張強度が0.7〜3.0の範囲である。比較例で得られた電池用セパレータは、実施例と繊維配合が同じであるが、引張強度比はこの範囲外の値を示している。
【0050】
本発明の実施例の電池用セパレータを用いた電池は、引張強度比が0.7より小さい比較例の電池用セパレータを用いた電池より、製造時の不良率の発生が低いことを確認した。
【0051】
本発明の実施例の電池用セパレータは、比較例の電池用セパレータよりも、ポア径が大きく、電解液の保液率が高い。したがって、実施例の電池用セパレータを用いた電池は、比較例の電池用セパレータを用いた電池と比較して、作動電圧が高いことを確認した。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明の電池用セパレータは、機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなる。不織布を構成する繊維配向が偏っていないために、機械的強度および電解液の保持能力等の性能を併せ持っている。したがって、本発明の電池用セパレータを用いてなる電池は、製造時の歩留まりが高く、高い電池特性を示すという秀逸な効果をもたらす。
Claims (1)
- 機械方向をMD方向とし、MD方向に直交する方向をCD方向としたとき、CD方向に対するMD方向の引張強度比が、0.7〜3.0である不織布を用いてなることを特徴とする電池用セパレータ。
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CN112996958A (zh) * | 2018-11-13 | 2021-06-18 | 日本宝翎株式会社 | 无纺布以及电化学元件用隔膜 |
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2003
- 2003-01-31 JP JP2003024119A patent/JP2004235079A/ja active Pending
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