JP2004213335A - 円形物の識別方法および識別装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】識別装置の性能を向上させつつ低廉化および小型化を図ることを可能とする。
【解決手段】被検出体としての円形物Cの表面に形成された凹凸形状を磁気センサCSUにより検出し、その磁気センサCSUから出力される凹凸検出信号波形から極大または極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、そのインターバルデータを解析することによってコインの種類または真偽を判定し、コインと磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくしつつ識別処理に要するデータ量および演算量を大幅に低減させて、円形物の識別処理を簡易・効率的かつ安定的に行わせるように構成したもの。
【選択図】 図4
【解決手段】被検出体としての円形物Cの表面に形成された凹凸形状を磁気センサCSUにより検出し、その磁気センサCSUから出力される凹凸検出信号波形から極大または極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、そのインターバルデータを解析することによってコインの種類または真偽を判定し、コインと磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくしつつ識別処理に要するデータ量および演算量を大幅に低減させて、円形物の識別処理を簡易・効率的かつ安定的に行わせるように構成したもの。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コインの特徴的模様に関する凹凸信号データ列を解析することによってコインの種類または真偽を判定するようにした円形物の識別方法および識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動販売機、自動券売機、ゲーム機などのように硬貨等の円形物を取り扱う各種装置には、挿入又は投入された円形物の種類または真偽を判定する識別装置がしばしば設けられている。例えば硬貨の識別装置においては、社会問題にまで発展している硬貨の偽造・変造に対応すべく、様々なタイプの識別装置が従来から提案されており、特願昭61−90547号公報、特願平11−375532号公報、あるいは特願平11−375533号公報などにおいては、硬貨表面の凹凸形状を磁気センサを用いて検知し、その磁気センサから出力される凹凸検出波形を適宜の手法で解析することによって、硬貨の種類または真偽を判定するようにした方式のものが開示されている。
【0003】
すなわち、それら従来の硬貨識別方法では、例えば図12に示されているように、まずステップ1において、被検出体としての硬貨の材質および外径等を検出し、金種の仮決定を行った後に、次のステップ2において、硬貨表面の凹凸形状を検出して得た凹凸検出波形を用いて、金種の本決定を行うようにしている。
【0004】
金種の本決定を行うにあたっての手順を説明すると、まず図13(a)に示されているように、被検出体としての硬貨Cの表面に対して、図中矢印で表した任意のスキャンラインSL上に沿って磁気センサの検出中心を通過させ、そのとき磁気センサから出力される例えば図14に示されているような凹凸検出波形をサンプリングすることによって凹凸パターンデータを得る。次いで、その凹凸パターンデータから、当該硬貨Cの種類に関する特徴的な凹凸形状を含むパターン比較領域を切り出す。その切り出し操作を行うにあたっては、当該硬貨Cの外縁部分が磁気センサを通過するときに発生するピーク値P1,P2,P3,P4を検索し、それらのピーク値を切り出し領域の基準とすることによって位置設定を行う。例えば上述した各ピーク値のうちの2つのピーク値P2,P3を用いて硬貨Cの中心位置Pcを求め、その中心位置Pcが切り出し領域の中心位置となるように範囲選択を行う。そして、図15中のステップ1のように、その切り出し領域に対応して上記凹凸パターンデータのレベル値を要素とする凹凸ベクトルデータ(評価データ)Fを抽出する。
【0005】
一方、受け付けるべき硬貨Cに関する基準の凹凸パターンデータを予め用意しておくこととなるが、その基準凹凸パターンデータを設定するにあたっては、まず図13(b),(c)のように、基準となるべき正規の硬貨Cの表・裏の双方に関する切り出し操作を、一定の角度間隔(例えば5度)をなす複数のスキャンラインSL毎に実行することによって、正規の硬貨Cの片面毎に総数n個(例えば72個)の基準凹凸パターンデータTの集合体を求めておく。そして、まず図15中のステップ2のように、上述した凹凸ベクトルデータFを第1番目の基準凹凸パターンデータT1とパターンマッチングにより照合し、同様にして図15中のステップ3,4,5のように、第i番目の基準凹凸パターンデータTiとのパターンマッチングによる照合を順次繰り返していくことによって、それぞれの照合結果としての類似度riを算出する。
【0006】
そのときの類似度riとしては、例えば次の式で表されるような正規化相関係数rがしばしば用いられる。
【数1】
【0007】
次に、図15中のステップ6のように、上述した相関値の系列{r1,r2,・・・,rN}のうちから最大値max(ri)を検出し、それを代表類似度rに設定する。そして、同図中のステップ7のYesのように、その代表類似度rが、予め設定しておいた閾値rtよりも大きければ、同図中のステップ8に移行して、現在評価中の硬貨を既に仮決定した金種に一致するものと判定し、それを正式な金種として受け容れる。一方、同図中のステップ7のNoのように、上述した類似度rが閾値rtよりも小さければ、同図中のステップ9に移行して、仮決定した金種を棄却することとする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなコインのパターンデータを用いて識別を行うようにした従来のコイン識別方法または装置では、大量のパターンデータを複雑に演算処理する画像処理ステップを要する割には、硬貨の全面積の一部の情報に関する識別に限られており、しかもコインと磁気センサとの位置関係が変動するおそれがある状況下においては一定の識別能力を安定して維持することが難しいという問題がある。特に、凹凸形状が比較的少ない部分をスキャンした場合には、基準データとの照合精度が低下してしまい、類似した硬貨の誤認が生じやすくなる。
【0009】
そこで本発明は、被検出体としての円形物の高精度な識別処理を、簡易かつ効率的に行うことを可能とし、装置の性能を向上させつつ低廉化および小型化を図ることができるようにした円形物の識別方法および識別装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかる円形物の識別方法では、被検出体としての円形物の表面に形成された凹凸形状を磁気センサにより検出して得た凹凸検出信号波形に関して極大または極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、そのインターバルデータを解析することによって、前記コインの種類または真偽を判定するようにしている。
このような構成を有する請求項1にかかる円形物の識別方法によれば、凹凸検出信号波形におけるピーク位置を用いるために、円形物と磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくなり、しかもその凹凸検出信号波形のインターバルデータを採用していることから、識別処理に要するデータ量および演算量が従来に比して大幅に低減されることとなって円形物の識別処理が簡易・効率的かつ安定的に行われるようになっている。
【0011】
また、本発明の請求項2にかかる円形物の識別方法では、上記請求項1におけるインターバルデータの解析が、予め設定された基準インターバルデータとインターバルデータとを比較することによって行うようにしている。
このような構成を有する請求項2にかかる円形物の識別方法によれば、凹凸検出信号波形から算出したインターバルデータを基準インターバルデータと比較するだけでよいため、識別処理に要するデータ量および演算量が、より一層大幅に低減されることとなって、円形物の識別処理が、さらに簡易・効率的・安定的に行われるようになっている。
【0012】
さらに、本発明の請求項3にかかる円形物の識別方法では、上記請求項2におけるインターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、ダイナミックプログラムマッチング法により行うようにしている。
このような構成を有する請求項3にかかる円形物の識別方法によれば、凹凸検出信号波形から算出したインターバルデータと基準インターバルデータとの比較が、より確実かつ高速に行われるようになっている。
【0013】
さらに、本発明の請求項4にかかる円形物の識別装置では、上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコイン識別方法を用いて、被検出体としての円形物の種類または真偽を判定する識別手段を備えている。
このような構成を有する請求項4にかかる円形物の識別装置によれば、上述した本発明にかかる識別方法と同様な作用が得られることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2に示されている実施形態は、本発明にかかる円形物識別方法を実施するように構成された硬貨識別装置の硬貨搬送機構であって、平面略「く」の状に折れ曲げられた形状の硬貨搬送路1には、図示右端側の搬送入口部1aから図示左方側に向かって送られてきた被検出体としての硬貨Cを支持する底面摺動板1bが設けられているとともに、その底面摺動板1bの直上に、搬送ベルト2が配置されている。この搬送ベルト2は、特に図2に示されているように、当該搬送ベルト2の下側ベルト部分2aと上記底面摺動板1bとの間に前記硬貨Cの厚さ分に相当する隙間が画成されるように略平行に対面する配置関係になされており、この搬送ベルト2と底面摺動板1bとの間に硬貨Cを挟持しながら、当該搬送ベルト2の延在方向に向かって被検出体としての硬貨Cを搬送させる構成になされている。
【0015】
また、上記底面摺動板1bの一側部には、当該底面摺動板1bの縁部に沿うようにしてガイド3が立設されているとともに、そのガイド3に対して硬貨Cを押し付ける硬貨規制レバー4が、上記硬貨搬送路1の折れ曲がり部分においてピン4aによって回動可能に軸支されている。上記硬貨規制レバー4は、前記底面摺動板1b上に支持されながら送られてくる硬貨Cを、図示を省略したバネ等の付勢手段によって前記ガイド3側に押し付けるように構成されていて、当該硬貨規制レバー4が配置された部位から搬送方向下流側に向かって送り出された硬貨Cは、上記ガイド3に対して外周面部を接触させた片寄せ状態を維持しながら順次搬送されるようになっている。
【0016】
さらに、上記硬貨搬送路1には、硬貨Cの表面に形成された凹凸形状を検出するための磁気式コインセンサ装置CSUが取り付けられている。本実施形態における磁気式コインセンサ装置CSUは、特に図3に示されているように、前記底面摺動板1b内に埋設された2つの磁気センサ11,12を備えている。これら2つの磁気センサ11,12は、通路幅方向に沿って並列するように配置された例えば渦電流損失型の磁気センサ(特願平11−375533号等参照)などから形成されており、一方側の磁気センサ11は、最大径を有する硬貨の中心が通過する位置に対応して配置されているとともに、他方側の磁気センサ12は、最小径を有する硬貨の中心位置が通過する位置に対応して配置されている。このような配置半径とすることによって、処理対象となる全ての金種の中心もしくは中心に近い位置が、上記2つの磁気センサのいずれかの直上位置を通過することとなり、それによって硬貨表面の特徴的な凹凸形状が良好に検出されるようになっている。
【0017】
すなわち図4に示されているように、制御装置20内に設けられた搬送部制御手段21からの指令に基づいて作動する被検出物搬送手段22によって、上述した被検出体としての硬貨Cが、凹凸形状検出手段としての前記磁気式コインセンサ装置CSUの配置位置まで移送されてくると、信号取込制御手段23からの指令に基づいて作動する凹凸形状検出駆動手段24により、上記凹凸形状検出手段としての磁気式コインセンサ装置CSUの検出動作が開始され、例えば従来技術の欄で説明した図13(a)のような傾斜角0度のスキャンラインSLに沿って硬貨Cにおける凹凸形状の検出が行われる。そして、その検出結果として、例えば図5に示されているような凹凸検出信号波形が得られる。
【0018】
このようにして磁気式コインセンサ装置CSUから出力される凹凸検出信号波形は、前述した図4中の凹凸形状信号増幅手段25を通して凹凸データ記憶手段26に送られて格納される。当該凹凸データ記憶手段26からは適宜のタイミングで上記凹凸検出信号波形が取り出され、その凹凸検出信号波形が1次判定手段27に送られて、そこで金種または真偽の仮決定が行われた後、凹凸形状判別手段28および金種判定手段29において、以下に述べるような手順により最終的な判定動作が行われるようになっている。
【0019】
次に、上述した磁気式コインセンサ装置CSUを用いて上記凹凸形状判別手段28および金種判定手段29において実行される本発明の一実施形態にかかる硬貨識別の手順を説明する。
【0020】
硬貨の識別を行うにあたっては、まず、基準となる正規の500円硬貨Cを用いて基準データを作成する。すなわち、正規の500円硬貨Cに関して、例えば前述した図13(a)のような傾斜角0度のスキャンラインSLに沿って凹凸形状の検出を行った結果、図5に示されているような凹凸検出信号波形が得られたとすると、その凹凸検出信号波形において極大および極小となっているピーク位置P1,P2,・・・,Pnを検出し、それらの各ピーク位置P1,P2,・・・,Pnにおいて互いに隣接するピーク位置Pi−1,Piどうし間の時間間隔を計測して第1番目のインターバルデータT1を求める。図5の凹凸検出信号波形に関して得られた第1番目のインターバルデータT1は、例えば同図中の下段に示されているようなドット数で表されることとなり、
T1={15,12,11,42,10,9,103,9,31,13}
のようになる。
【0021】
次いで、上述した磁気式コインセンサ装置CSUのスキャンラインSLを適宜の微少角度だけずらして同様な操作を行い、それにより得た凹凸検出信号波形に基づいて、第2番目のインターバルデータT2を得る。隣接するスキャンラインの傾斜角度を5度とした場合には、1周分で計72個のインターバルデータT1〜T72が得られることとなるが、それら72個のインターバルデータT1〜T72を基準のインターバルデータとして採用する。
【0022】
次に、実際に挿入または投入された被検出体としての円形物(硬貨)Cに対して同様な処理を行う。その円形物Cの表面における凹凸形状を磁気式コインセンサ装置CSUにより検出した凹凸検出信号波形が、例えば図6に示されているようなものであったとすると、その凹凸検出信号波形において極大および極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を計測してインターバルデータFを求める。この図6に示されているものでは、
F={15,12,10,43,9,9,104,9,32,11}
のようになっている。
【0023】
そして、このようにして得たインターバルデータFを、上述した基準のインターバルデータT1〜T72と順次比較していくこととなるが、その比較を行うにあたっては、比較するベクトルサイズが異なっていても実行可能な公知のダイナミックプログラム(DP)マッチング方式を用いる。すなわち、マッチングを行うにあたって、比較対照データの長さ、つまりベクトルサイズが不変である場合には相関係数なども有効であるが、上述したインターバルデータFと基準のインターバルデータT1〜T72とのベクトルサイズは同じではないことから、ダイナミックプログラム(DP)マッチング方式を採用することが有効となる。
【0024】
上述した図6にかかるインターバルデータFと、図5にかかる基準のインターバルデータT1〜T72とを、ダイナミックプログラム(DP)マッチング方式により順次比較してみると、例えば図7に示されているような結果が得られるが、この場合のベクトル間距離r1は「14」となっている。以下、同様にして計72回の比較操作により同数のベクトル間距離riを順次求めることとなるが、そのうちの最小のMin(r)を非類似度として採用する。そして、得られた非類似度Min(r)を、予め設定しておいた閾値rtと比較するが、非類似度Min(r)が閾値rtより小さければ、既に選択されている仮金種をそのまま受け容れて採択することとする。一方、上述した非類似度Min(r)が閾値rtと同じか大きくなっている場合には、仮金種を排除することとする。
【0025】
上述した図6に示された凹凸検出信号波形に関するインターバルデータFは、受け容れられるべき金種のものである。また、図8に示された凹凸検出信号波形を有する円形物に関するインターバルデータFは、
F={14,11,21,7,7,9,20,9,103,9,31,12}
である。この場合のデータ長さは「12」となっており、上述した基準のインターバルデータTのデータ長さ「10」と異なっているが、これは例えば「製造年月」等における凹凸形状の差異によるものであって、当該図8に示された円形物に関するインターバルデータFを、上述した基準のインターバルデータT1と比較してみると、例えば図9に示されているような結果が得られるが、ベクトル間距離r1は「57」となっており、これも受け容れられるべき金種のものとなる。
【0026】
これに対して、図10に示されているような凹凸検出信号波形を有する円形物に関するインターバルデータFは、
F={102,27,22,43,13,22,13,8}
となっている。これを基準のインターバルデータT1と比較した結果は、図11に示されているようになり、そのときのベクトル間距離r1が「343」となって、非類似度Min(r)は格段に大きくなることから、排除すべき金種であることが解る。従って、上述した閾値rtを適宜に設定することによって、類似する外国硬貨や偽装硬貨を排除することが可能となる。
【0027】
このように本実施形態によれば、円形物の識別にあたって、凹凸検出信号波形におけるピーク位置を用いることとしているために、円形物と磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくなり、しかもその凹凸検出信号波形のインターバルデータを採用して識別を行っていることから、識別処理に要するデータ量および演算量が従来に比して大幅に低減されることとなって円形物の識別処理が簡易・効率的かつ安定的に行われるようになっている。
【0028】
特に本実施形態では、インターバルデータの解析を行うにあたっては、予め設定された基準インターバルデータとの比較で行うようにしており、しかも、そのインターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、ダイナミックプログラム(DP)マッチング方式により行うようにしていることから、識別処理に要するデータ量および演算量は、より一層大幅に低減されているとともに、凹凸検出信号波形のインターバルデータと基準インターバルデータとの比較が、確実に行われるようになっている。
【0029】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態にかかるインターバルデータを用いた識別手順を、他の方式、例えば本願発明者らが既に出願している波形パターンマッチング方式(特願平11−375532号等)と組み合わせて用いることも効果的である。
すなわち、波形パターンマッチングで一旦金種を判定しておくことによって、最も高い相関、つまり最も良好に類似度を与える角度のスキャンラインが判明することとなり、その角度のスキャンラインに対応する基準インターバルデータを用いたインターバルマッチングを行うことによって、より高精度な識別が可能となるものである。
【0031】
また、上述した実施形態では、凹凸波形信号のピーク位置を検出してインターバルデータを求めているが、凹凸波形信号のゼロクロス点どうしの間のインターバルデータを求めるようにしてもよい。さらに、凹凸波形信号の微分波形を利用するようにしてもよい。
【0032】
また、本発明は、上述した実施形態のような硬貨に限定されることなく適用することが可能であり、例えばゲームトークンのような多種多様な円形物を被検出体とすることができる。
【0033】
さらに、上述した実施形態では、インターバルデータを、予め設定された基準インターバルデータと比較することによってインターバルデータの解析を行っているが、本発明にかかる解析の方法は、それに限定されるものではなく、予め単位インターバル値を設けて、各インターバルデータの上記単位インターバル値に対する倍率を計算して倍率データとして記憶しておき、その倍率データを並べて一つの数列を作り、その数列が、基準インターバルデータから作られる同様の倍率データ数列群(例えば72個できる。)の中にある場合には、受け容れるべき金種と判定し、ない場合には、排除すべき金種と判定することで解析を行うこともできる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1にかかる円形物の識別方法は、被検出体としての円形物の表面に形成された凹凸形状を磁気センサにより検出し、その磁気センサから出力される凹凸検出信号波形から極大または極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、そのインターバルデータを解析することによってコインの種類または真偽を判定し、それによってコインと磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくし、しかも識別処理に要するデータ量および演算量を従来に比して大幅に低減させて、円形物の識別処理を簡易・効率的かつ安定的に行わせるように構成したものであるから、識別装置の性能を向上させつつ低廉化および小型化を図ることができるという極めて顕著な効果を奏する。
【0035】
また、本発明の請求項2にかかる円形物の識別方法は、上記請求項1におけるインターバルデータの解析を、予め設定された基準インターバルデータとインターバルデータとを比較して行うことによって、識別処理に要するデータ量および演算量をより一層大幅に低減させ、コインの識別処理を更に簡易・効率的・安定的に行い得るようにしたものであるから、上述した効果を確実に得ることができる。
【0036】
さらに、本発明の請求項3にかかる円形物の識別方法は、上記請求項2におけるインターバルデータと基準インターバルデータとの比較をダイナミックプログラムマッチング法により行うことによって、凹凸検出信号波形から算出したインターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、より確実かつ高速に行い得るようにしたものであるから、上述した効果を一層向上させることができる。
【0037】
さらにまた、本発明の請求項4にかかるコインの識別装置は、上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコイン識別方法を用いて、被検出体としての円形物の種類または真偽を判定する識別手段を備えたものであるから、上述した本発明にかかる識別方法と同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬貨識別装置に設けられている硬貨搬送路の概略構造を表した平面説明図である。
【図2】図1に表した硬貨搬送路の側面説明図である。
【図3】図1に表した硬貨識別装置に設けられている磁気式コインセンサ装置の概略構造を表した横断面説明図である。
【図4】図1に表した硬貨識別装置の制御系を表したブロック線図である。
【図5】基準となる正規の硬貨から得た凹凸検出信号波形の一例を表した線図である。
【図6】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形の一例を表した線図である。
【図7】図6に表した基準となる凹凸検出信号波形に基づいて得たインターバルデータを、基準のインターバルデータとダイナミックプログラム(DP)によってマッチングした結果を表した線図である。
【図8】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形の他の例を表した線図である。
【図9】図8に表した基準となる凹凸検出信号波形に基づいて得たインターバルデータを、基準のインターバルデータとダイナミックプログラム(DP)によってマッチングを行った結果を表した線図である。
【図10】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形の更に他の例を表した線図である。
【図11】図10に表した基準となる凹凸検出信号波形に基づいて得たインターバルデータを、基準のインターバルデータとダイナミックプログラム(DP)によってマッチングを行った結果を表した線図である。
【図12】一般の識別方法における硬貨識別手順の概要を模式的に表した工程説明図である。
【図13】投入された硬貨に対する磁気センサのスキャンラインの一例を表した模式的平面説明図である。
【図14】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形に対する従来の識別方式の適用の仕方を表した線図である。
【図15】図13に表した概略フローにおける金種本決定の識別手順を表した概略フロー図である。
【図16】図15に表された凹凸検出信号波形に基づいて従来の識別方式により得た相関値を表した線図である。
【符号の説明】
1 硬貨搬送路
C 硬貨(コイン)
CSU 磁気式コインセンサ装置
11,12 磁気センサ
F インターバルデータ
T 基準のインターバルデータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、コインの特徴的模様に関する凹凸信号データ列を解析することによってコインの種類または真偽を判定するようにした円形物の識別方法および識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動販売機、自動券売機、ゲーム機などのように硬貨等の円形物を取り扱う各種装置には、挿入又は投入された円形物の種類または真偽を判定する識別装置がしばしば設けられている。例えば硬貨の識別装置においては、社会問題にまで発展している硬貨の偽造・変造に対応すべく、様々なタイプの識別装置が従来から提案されており、特願昭61−90547号公報、特願平11−375532号公報、あるいは特願平11−375533号公報などにおいては、硬貨表面の凹凸形状を磁気センサを用いて検知し、その磁気センサから出力される凹凸検出波形を適宜の手法で解析することによって、硬貨の種類または真偽を判定するようにした方式のものが開示されている。
【0003】
すなわち、それら従来の硬貨識別方法では、例えば図12に示されているように、まずステップ1において、被検出体としての硬貨の材質および外径等を検出し、金種の仮決定を行った後に、次のステップ2において、硬貨表面の凹凸形状を検出して得た凹凸検出波形を用いて、金種の本決定を行うようにしている。
【0004】
金種の本決定を行うにあたっての手順を説明すると、まず図13(a)に示されているように、被検出体としての硬貨Cの表面に対して、図中矢印で表した任意のスキャンラインSL上に沿って磁気センサの検出中心を通過させ、そのとき磁気センサから出力される例えば図14に示されているような凹凸検出波形をサンプリングすることによって凹凸パターンデータを得る。次いで、その凹凸パターンデータから、当該硬貨Cの種類に関する特徴的な凹凸形状を含むパターン比較領域を切り出す。その切り出し操作を行うにあたっては、当該硬貨Cの外縁部分が磁気センサを通過するときに発生するピーク値P1,P2,P3,P4を検索し、それらのピーク値を切り出し領域の基準とすることによって位置設定を行う。例えば上述した各ピーク値のうちの2つのピーク値P2,P3を用いて硬貨Cの中心位置Pcを求め、その中心位置Pcが切り出し領域の中心位置となるように範囲選択を行う。そして、図15中のステップ1のように、その切り出し領域に対応して上記凹凸パターンデータのレベル値を要素とする凹凸ベクトルデータ(評価データ)Fを抽出する。
【0005】
一方、受け付けるべき硬貨Cに関する基準の凹凸パターンデータを予め用意しておくこととなるが、その基準凹凸パターンデータを設定するにあたっては、まず図13(b),(c)のように、基準となるべき正規の硬貨Cの表・裏の双方に関する切り出し操作を、一定の角度間隔(例えば5度)をなす複数のスキャンラインSL毎に実行することによって、正規の硬貨Cの片面毎に総数n個(例えば72個)の基準凹凸パターンデータTの集合体を求めておく。そして、まず図15中のステップ2のように、上述した凹凸ベクトルデータFを第1番目の基準凹凸パターンデータT1とパターンマッチングにより照合し、同様にして図15中のステップ3,4,5のように、第i番目の基準凹凸パターンデータTiとのパターンマッチングによる照合を順次繰り返していくことによって、それぞれの照合結果としての類似度riを算出する。
【0006】
そのときの類似度riとしては、例えば次の式で表されるような正規化相関係数rがしばしば用いられる。
【数1】
【0007】
次に、図15中のステップ6のように、上述した相関値の系列{r1,r2,・・・,rN}のうちから最大値max(ri)を検出し、それを代表類似度rに設定する。そして、同図中のステップ7のYesのように、その代表類似度rが、予め設定しておいた閾値rtよりも大きければ、同図中のステップ8に移行して、現在評価中の硬貨を既に仮決定した金種に一致するものと判定し、それを正式な金種として受け容れる。一方、同図中のステップ7のNoのように、上述した類似度rが閾値rtよりも小さければ、同図中のステップ9に移行して、仮決定した金種を棄却することとする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなコインのパターンデータを用いて識別を行うようにした従来のコイン識別方法または装置では、大量のパターンデータを複雑に演算処理する画像処理ステップを要する割には、硬貨の全面積の一部の情報に関する識別に限られており、しかもコインと磁気センサとの位置関係が変動するおそれがある状況下においては一定の識別能力を安定して維持することが難しいという問題がある。特に、凹凸形状が比較的少ない部分をスキャンした場合には、基準データとの照合精度が低下してしまい、類似した硬貨の誤認が生じやすくなる。
【0009】
そこで本発明は、被検出体としての円形物の高精度な識別処理を、簡易かつ効率的に行うことを可能とし、装置の性能を向上させつつ低廉化および小型化を図ることができるようにした円形物の識別方法および識別装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかる円形物の識別方法では、被検出体としての円形物の表面に形成された凹凸形状を磁気センサにより検出して得た凹凸検出信号波形に関して極大または極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、そのインターバルデータを解析することによって、前記コインの種類または真偽を判定するようにしている。
このような構成を有する請求項1にかかる円形物の識別方法によれば、凹凸検出信号波形におけるピーク位置を用いるために、円形物と磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくなり、しかもその凹凸検出信号波形のインターバルデータを採用していることから、識別処理に要するデータ量および演算量が従来に比して大幅に低減されることとなって円形物の識別処理が簡易・効率的かつ安定的に行われるようになっている。
【0011】
また、本発明の請求項2にかかる円形物の識別方法では、上記請求項1におけるインターバルデータの解析が、予め設定された基準インターバルデータとインターバルデータとを比較することによって行うようにしている。
このような構成を有する請求項2にかかる円形物の識別方法によれば、凹凸検出信号波形から算出したインターバルデータを基準インターバルデータと比較するだけでよいため、識別処理に要するデータ量および演算量が、より一層大幅に低減されることとなって、円形物の識別処理が、さらに簡易・効率的・安定的に行われるようになっている。
【0012】
さらに、本発明の請求項3にかかる円形物の識別方法では、上記請求項2におけるインターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、ダイナミックプログラムマッチング法により行うようにしている。
このような構成を有する請求項3にかかる円形物の識別方法によれば、凹凸検出信号波形から算出したインターバルデータと基準インターバルデータとの比較が、より確実かつ高速に行われるようになっている。
【0013】
さらに、本発明の請求項4にかかる円形物の識別装置では、上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコイン識別方法を用いて、被検出体としての円形物の種類または真偽を判定する識別手段を備えている。
このような構成を有する請求項4にかかる円形物の識別装置によれば、上述した本発明にかかる識別方法と同様な作用が得られることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2に示されている実施形態は、本発明にかかる円形物識別方法を実施するように構成された硬貨識別装置の硬貨搬送機構であって、平面略「く」の状に折れ曲げられた形状の硬貨搬送路1には、図示右端側の搬送入口部1aから図示左方側に向かって送られてきた被検出体としての硬貨Cを支持する底面摺動板1bが設けられているとともに、その底面摺動板1bの直上に、搬送ベルト2が配置されている。この搬送ベルト2は、特に図2に示されているように、当該搬送ベルト2の下側ベルト部分2aと上記底面摺動板1bとの間に前記硬貨Cの厚さ分に相当する隙間が画成されるように略平行に対面する配置関係になされており、この搬送ベルト2と底面摺動板1bとの間に硬貨Cを挟持しながら、当該搬送ベルト2の延在方向に向かって被検出体としての硬貨Cを搬送させる構成になされている。
【0015】
また、上記底面摺動板1bの一側部には、当該底面摺動板1bの縁部に沿うようにしてガイド3が立設されているとともに、そのガイド3に対して硬貨Cを押し付ける硬貨規制レバー4が、上記硬貨搬送路1の折れ曲がり部分においてピン4aによって回動可能に軸支されている。上記硬貨規制レバー4は、前記底面摺動板1b上に支持されながら送られてくる硬貨Cを、図示を省略したバネ等の付勢手段によって前記ガイド3側に押し付けるように構成されていて、当該硬貨規制レバー4が配置された部位から搬送方向下流側に向かって送り出された硬貨Cは、上記ガイド3に対して外周面部を接触させた片寄せ状態を維持しながら順次搬送されるようになっている。
【0016】
さらに、上記硬貨搬送路1には、硬貨Cの表面に形成された凹凸形状を検出するための磁気式コインセンサ装置CSUが取り付けられている。本実施形態における磁気式コインセンサ装置CSUは、特に図3に示されているように、前記底面摺動板1b内に埋設された2つの磁気センサ11,12を備えている。これら2つの磁気センサ11,12は、通路幅方向に沿って並列するように配置された例えば渦電流損失型の磁気センサ(特願平11−375533号等参照)などから形成されており、一方側の磁気センサ11は、最大径を有する硬貨の中心が通過する位置に対応して配置されているとともに、他方側の磁気センサ12は、最小径を有する硬貨の中心位置が通過する位置に対応して配置されている。このような配置半径とすることによって、処理対象となる全ての金種の中心もしくは中心に近い位置が、上記2つの磁気センサのいずれかの直上位置を通過することとなり、それによって硬貨表面の特徴的な凹凸形状が良好に検出されるようになっている。
【0017】
すなわち図4に示されているように、制御装置20内に設けられた搬送部制御手段21からの指令に基づいて作動する被検出物搬送手段22によって、上述した被検出体としての硬貨Cが、凹凸形状検出手段としての前記磁気式コインセンサ装置CSUの配置位置まで移送されてくると、信号取込制御手段23からの指令に基づいて作動する凹凸形状検出駆動手段24により、上記凹凸形状検出手段としての磁気式コインセンサ装置CSUの検出動作が開始され、例えば従来技術の欄で説明した図13(a)のような傾斜角0度のスキャンラインSLに沿って硬貨Cにおける凹凸形状の検出が行われる。そして、その検出結果として、例えば図5に示されているような凹凸検出信号波形が得られる。
【0018】
このようにして磁気式コインセンサ装置CSUから出力される凹凸検出信号波形は、前述した図4中の凹凸形状信号増幅手段25を通して凹凸データ記憶手段26に送られて格納される。当該凹凸データ記憶手段26からは適宜のタイミングで上記凹凸検出信号波形が取り出され、その凹凸検出信号波形が1次判定手段27に送られて、そこで金種または真偽の仮決定が行われた後、凹凸形状判別手段28および金種判定手段29において、以下に述べるような手順により最終的な判定動作が行われるようになっている。
【0019】
次に、上述した磁気式コインセンサ装置CSUを用いて上記凹凸形状判別手段28および金種判定手段29において実行される本発明の一実施形態にかかる硬貨識別の手順を説明する。
【0020】
硬貨の識別を行うにあたっては、まず、基準となる正規の500円硬貨Cを用いて基準データを作成する。すなわち、正規の500円硬貨Cに関して、例えば前述した図13(a)のような傾斜角0度のスキャンラインSLに沿って凹凸形状の検出を行った結果、図5に示されているような凹凸検出信号波形が得られたとすると、その凹凸検出信号波形において極大および極小となっているピーク位置P1,P2,・・・,Pnを検出し、それらの各ピーク位置P1,P2,・・・,Pnにおいて互いに隣接するピーク位置Pi−1,Piどうし間の時間間隔を計測して第1番目のインターバルデータT1を求める。図5の凹凸検出信号波形に関して得られた第1番目のインターバルデータT1は、例えば同図中の下段に示されているようなドット数で表されることとなり、
T1={15,12,11,42,10,9,103,9,31,13}
のようになる。
【0021】
次いで、上述した磁気式コインセンサ装置CSUのスキャンラインSLを適宜の微少角度だけずらして同様な操作を行い、それにより得た凹凸検出信号波形に基づいて、第2番目のインターバルデータT2を得る。隣接するスキャンラインの傾斜角度を5度とした場合には、1周分で計72個のインターバルデータT1〜T72が得られることとなるが、それら72個のインターバルデータT1〜T72を基準のインターバルデータとして採用する。
【0022】
次に、実際に挿入または投入された被検出体としての円形物(硬貨)Cに対して同様な処理を行う。その円形物Cの表面における凹凸形状を磁気式コインセンサ装置CSUにより検出した凹凸検出信号波形が、例えば図6に示されているようなものであったとすると、その凹凸検出信号波形において極大および極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を計測してインターバルデータFを求める。この図6に示されているものでは、
F={15,12,10,43,9,9,104,9,32,11}
のようになっている。
【0023】
そして、このようにして得たインターバルデータFを、上述した基準のインターバルデータT1〜T72と順次比較していくこととなるが、その比較を行うにあたっては、比較するベクトルサイズが異なっていても実行可能な公知のダイナミックプログラム(DP)マッチング方式を用いる。すなわち、マッチングを行うにあたって、比較対照データの長さ、つまりベクトルサイズが不変である場合には相関係数なども有効であるが、上述したインターバルデータFと基準のインターバルデータT1〜T72とのベクトルサイズは同じではないことから、ダイナミックプログラム(DP)マッチング方式を採用することが有効となる。
【0024】
上述した図6にかかるインターバルデータFと、図5にかかる基準のインターバルデータT1〜T72とを、ダイナミックプログラム(DP)マッチング方式により順次比較してみると、例えば図7に示されているような結果が得られるが、この場合のベクトル間距離r1は「14」となっている。以下、同様にして計72回の比較操作により同数のベクトル間距離riを順次求めることとなるが、そのうちの最小のMin(r)を非類似度として採用する。そして、得られた非類似度Min(r)を、予め設定しておいた閾値rtと比較するが、非類似度Min(r)が閾値rtより小さければ、既に選択されている仮金種をそのまま受け容れて採択することとする。一方、上述した非類似度Min(r)が閾値rtと同じか大きくなっている場合には、仮金種を排除することとする。
【0025】
上述した図6に示された凹凸検出信号波形に関するインターバルデータFは、受け容れられるべき金種のものである。また、図8に示された凹凸検出信号波形を有する円形物に関するインターバルデータFは、
F={14,11,21,7,7,9,20,9,103,9,31,12}
である。この場合のデータ長さは「12」となっており、上述した基準のインターバルデータTのデータ長さ「10」と異なっているが、これは例えば「製造年月」等における凹凸形状の差異によるものであって、当該図8に示された円形物に関するインターバルデータFを、上述した基準のインターバルデータT1と比較してみると、例えば図9に示されているような結果が得られるが、ベクトル間距離r1は「57」となっており、これも受け容れられるべき金種のものとなる。
【0026】
これに対して、図10に示されているような凹凸検出信号波形を有する円形物に関するインターバルデータFは、
F={102,27,22,43,13,22,13,8}
となっている。これを基準のインターバルデータT1と比較した結果は、図11に示されているようになり、そのときのベクトル間距離r1が「343」となって、非類似度Min(r)は格段に大きくなることから、排除すべき金種であることが解る。従って、上述した閾値rtを適宜に設定することによって、類似する外国硬貨や偽装硬貨を排除することが可能となる。
【0027】
このように本実施形態によれば、円形物の識別にあたって、凹凸検出信号波形におけるピーク位置を用いることとしているために、円形物と磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくなり、しかもその凹凸検出信号波形のインターバルデータを採用して識別を行っていることから、識別処理に要するデータ量および演算量が従来に比して大幅に低減されることとなって円形物の識別処理が簡易・効率的かつ安定的に行われるようになっている。
【0028】
特に本実施形態では、インターバルデータの解析を行うにあたっては、予め設定された基準インターバルデータとの比較で行うようにしており、しかも、そのインターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、ダイナミックプログラム(DP)マッチング方式により行うようにしていることから、識別処理に要するデータ量および演算量は、より一層大幅に低減されているとともに、凹凸検出信号波形のインターバルデータと基準インターバルデータとの比較が、確実に行われるようになっている。
【0029】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態にかかるインターバルデータを用いた識別手順を、他の方式、例えば本願発明者らが既に出願している波形パターンマッチング方式(特願平11−375532号等)と組み合わせて用いることも効果的である。
すなわち、波形パターンマッチングで一旦金種を判定しておくことによって、最も高い相関、つまり最も良好に類似度を与える角度のスキャンラインが判明することとなり、その角度のスキャンラインに対応する基準インターバルデータを用いたインターバルマッチングを行うことによって、より高精度な識別が可能となるものである。
【0031】
また、上述した実施形態では、凹凸波形信号のピーク位置を検出してインターバルデータを求めているが、凹凸波形信号のゼロクロス点どうしの間のインターバルデータを求めるようにしてもよい。さらに、凹凸波形信号の微分波形を利用するようにしてもよい。
【0032】
また、本発明は、上述した実施形態のような硬貨に限定されることなく適用することが可能であり、例えばゲームトークンのような多種多様な円形物を被検出体とすることができる。
【0033】
さらに、上述した実施形態では、インターバルデータを、予め設定された基準インターバルデータと比較することによってインターバルデータの解析を行っているが、本発明にかかる解析の方法は、それに限定されるものではなく、予め単位インターバル値を設けて、各インターバルデータの上記単位インターバル値に対する倍率を計算して倍率データとして記憶しておき、その倍率データを並べて一つの数列を作り、その数列が、基準インターバルデータから作られる同様の倍率データ数列群(例えば72個できる。)の中にある場合には、受け容れるべき金種と判定し、ない場合には、排除すべき金種と判定することで解析を行うこともできる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1にかかる円形物の識別方法は、被検出体としての円形物の表面に形成された凹凸形状を磁気センサにより検出し、その磁気センサから出力される凹凸検出信号波形から極大または極小となっているピーク位置を検出し、それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、そのインターバルデータを解析することによってコインの種類または真偽を判定し、それによってコインと磁気センサとの位置関係の変動による影響を受けにくくし、しかも識別処理に要するデータ量および演算量を従来に比して大幅に低減させて、円形物の識別処理を簡易・効率的かつ安定的に行わせるように構成したものであるから、識別装置の性能を向上させつつ低廉化および小型化を図ることができるという極めて顕著な効果を奏する。
【0035】
また、本発明の請求項2にかかる円形物の識別方法は、上記請求項1におけるインターバルデータの解析を、予め設定された基準インターバルデータとインターバルデータとを比較して行うことによって、識別処理に要するデータ量および演算量をより一層大幅に低減させ、コインの識別処理を更に簡易・効率的・安定的に行い得るようにしたものであるから、上述した効果を確実に得ることができる。
【0036】
さらに、本発明の請求項3にかかる円形物の識別方法は、上記請求項2におけるインターバルデータと基準インターバルデータとの比較をダイナミックプログラムマッチング法により行うことによって、凹凸検出信号波形から算出したインターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、より確実かつ高速に行い得るようにしたものであるから、上述した効果を一層向上させることができる。
【0037】
さらにまた、本発明の請求項4にかかるコインの識別装置は、上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコイン識別方法を用いて、被検出体としての円形物の種類または真偽を判定する識別手段を備えたものであるから、上述した本発明にかかる識別方法と同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬貨識別装置に設けられている硬貨搬送路の概略構造を表した平面説明図である。
【図2】図1に表した硬貨搬送路の側面説明図である。
【図3】図1に表した硬貨識別装置に設けられている磁気式コインセンサ装置の概略構造を表した横断面説明図である。
【図4】図1に表した硬貨識別装置の制御系を表したブロック線図である。
【図5】基準となる正規の硬貨から得た凹凸検出信号波形の一例を表した線図である。
【図6】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形の一例を表した線図である。
【図7】図6に表した基準となる凹凸検出信号波形に基づいて得たインターバルデータを、基準のインターバルデータとダイナミックプログラム(DP)によってマッチングした結果を表した線図である。
【図8】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形の他の例を表した線図である。
【図9】図8に表した基準となる凹凸検出信号波形に基づいて得たインターバルデータを、基準のインターバルデータとダイナミックプログラム(DP)によってマッチングを行った結果を表した線図である。
【図10】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形の更に他の例を表した線図である。
【図11】図10に表した基準となる凹凸検出信号波形に基づいて得たインターバルデータを、基準のインターバルデータとダイナミックプログラム(DP)によってマッチングを行った結果を表した線図である。
【図12】一般の識別方法における硬貨識別手順の概要を模式的に表した工程説明図である。
【図13】投入された硬貨に対する磁気センサのスキャンラインの一例を表した模式的平面説明図である。
【図14】投入された硬貨から得た凹凸検出信号波形に対する従来の識別方式の適用の仕方を表した線図である。
【図15】図13に表した概略フローにおける金種本決定の識別手順を表した概略フロー図である。
【図16】図15に表された凹凸検出信号波形に基づいて従来の識別方式により得た相関値を表した線図である。
【符号の説明】
1 硬貨搬送路
C 硬貨(コイン)
CSU 磁気式コインセンサ装置
11,12 磁気センサ
F インターバルデータ
T 基準のインターバルデータ
Claims (4)
- 被検出体としての円形物の表面に形成された凹凸形状を磁気センサにより検出し、その磁気センサから出力される凹凸検出信号波形を適宜の手法で解析することによって、コインの種類または真偽を判定するようにした円形物の識別方法において、
上記凹凸検出信号波形に関して極大または極小となっているピーク位置を検出し、
それらの各ピーク位置において互いに隣接するピーク位置どうし間の時間間隔を検出してインターバルデータを求め、
そのインターバルデータを解析することによって、前記コインの種類または真偽を判定するようにしたことを特徴とする円形物の識別方法。 - 前記インターバルデータに対する解析は、当該インターバルデータを、予め設定された基準インターバルデータと比較することによって行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の円形物の識別方法。
- 前記インターバルデータと基準インターバルデータとの比較を、ダイナミックプログラムマッチング法により行うようにしたことを特徴とする請求項2記載の円形物の識別方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の円形物の識別方法を用いて、コインの種類または真偽を判定する識別手段を備えたことを特徴とするコインの識別装置。
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JP2008033694A (ja) * | 2006-07-28 | 2008-02-14 | Nippon Conlux Co Ltd | 硬貨識別装置及びプログラム |
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- 2002-12-27 JP JP2002382290A patent/JP2004213335A/ja not_active Withdrawn
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