[go: up one dir, main page]

JP2004211056A - 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム - Google Patents

蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム Download PDF

Info

Publication number
JP2004211056A
JP2004211056A JP2003285039A JP2003285039A JP2004211056A JP 2004211056 A JP2004211056 A JP 2004211056A JP 2003285039 A JP2003285039 A JP 2003285039A JP 2003285039 A JP2003285039 A JP 2003285039A JP 2004211056 A JP2004211056 A JP 2004211056A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
oily substance
average particle
dispersion
particle diameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003285039A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Matsuda
安弘 松田
Tomomi Ieuji
智美 家氏
Takako Watanabe
貴子 渡邉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2003285039A priority Critical patent/JP2004211056A/ja
Publication of JP2004211056A publication Critical patent/JP2004211056A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/14Thermal energy storage

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 油性物質の分散性が高められて流動性が向上し、伝熱性能が向上され、しかもエマルションの安定性に優れる蓄熱体を提供することを目的とするものである。また、冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱装置又は蓄熱システムを提供する。
【解決手段】 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体、界面活性剤及びポリマー分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散させてなる分散体を含んでなる蓄熱体、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体を必須とする蓄熱材用水中油滴型分散体において、該水中油滴型分散体中の油性物質を相変化により凝固させた状態で攪拌による剪断を加えたときに、該水中油滴型分散体の体積平均粒子径の変化量が、剪断を加える前の体積平均粒子径と比べて、±50%以内である蓄熱体、及び、これらの蓄熱体を用いてなる蓄熱装置及び蓄熱システム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、蓄熱体及び蓄熱体を用いてなる蓄熱装置又は蓄熱システムに関する。蓄熱体とは、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分としてなる水分散体を含んでなり、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房装置における熱貯蔵システムに用いることができるものである。
潜熱を利用した油性蓄熱物質として、脂肪族炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステルが知られている。このような油性蓄熱物質は、固体から液体への相変化時に放熱し、液体から固体への相変化時に吸熱するという特性があり、これを熱貯蔵システムに利用して冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために活かそうとする技術が注目されている。例えば、油性蓄熱物質を含む蓄熱体を用いた蓄熱装置としては、蓄熱体を蓄熱槽と冷凍機との間で循環させることにより蓄熱体を冷却固化し、その融解時の吸熱効果を冷房に活かそうとするものが利用されている。
このような油性蓄熱物質を有効に利用するために、界面活性剤を用いて油性蓄熱物質と水との水中油滴型エマルションを作製して使用する方法が提案されている。例えば、パラフィン、水及び界面活性剤よりなるエマルジョンからなる蓄熱材料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、相変化を伴う飽和炭化水素、水、界面活性剤及び特定の核発生剤を用いたエマルジョンからなる蓄熱材が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。これらの蓄熱材においては、界面活性剤を用いて油性物質を分散しているが、例えば、蓄熱槽中の蓄熱材が槽の上に分離してエマルジョンの分散性や流動性が低下することとなる。したがって、エマルションの安定性を向上するための工夫の余地があった。
また蓄熱材分散液に関し、25℃における粘度が特定の範囲にあり、温度成層型蓄熱用として用いられる蓄熱材の微小粒子の分散液について開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この技術においては、分散剤を用いて蓄熱材の微小粒子を分散するが、実施例においては分散剤として水溶性ポリマーのみを用いており、エマルションの安定性を向上するための工夫の余地があった。
更に油性物質が、特定の親油性重合体粒子の内部に保持されている熱搬送媒体用の複合粒子に関し、界面活性剤を含む水溶液に、油性物質と架橋性単量体を含む単量体成分との混合溶液を添加して重合することにより熱搬送媒体を得たことが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。このような熱搬送媒体は、使用時における重合体からの油性物質の滲み出しを充分に防止できることから、空調システム等に用いられる熱搬送媒体として好適なものである。また、このような熱搬送媒体の製造においては、保護コロイド剤の存在下で懸濁重合してもよいことが記載されている。しかしながら、このような製造方法により得られる熱搬送媒体の構成要素について検討し、油性物質の分散性や流動性、エマルションの安定性を向上させることで、蓄熱/放熱運転において凝固/融解を繰り返す蓄熱サイクルに対しても分散体としての安定性に優れる蓄熱体とする工夫の余地があった。
特開昭57−40582号公報(第1−2頁) 特開2000−336350号公報(第2−4頁) 特開2002−53850号公報(第2−4頁) 国際公開第99/15602号パンフレット(第2、14、21−24頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、油性物質の分散性が高められて流動性が向上し、伝熱性能が向上され、しかもエマルションの安定性に優れる蓄熱体を提供することを目的とするものである。また、冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱装置又は蓄熱システムを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を用いた蓄熱体について種々検討した結果、油性物質を水性媒体に分散したものが安全性が高く、各種の熱貯蔵システムに広く用いることができることに着目し、相変化により蓄熱性を有する油性物質を界面活性剤により水性媒体に分散させてエマルションの形態としたものが蓄熱体として好適であることを見いだした。そして、水性媒体における油性物質の分散状態が分散体の流動性や分散体としての安定性に関連することに着目し、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び界面活性剤を含んでなる分散体に保護コロイドとしてポリマー分散剤を用い、水中油滴型に分散させてなる分散体とすることで、油性物質の分散性が高められて流動性が向上し、伝熱性能が向上され、エマルションの安定性を向上させることができることを見いだした。これにより、エマルションが崩壊して油性物質が分離してくることがなく、蓄熱/放熱運転において凝固/融解を繰り返す蓄熱サイクルに対しても分散体としての安定性に優れる蓄熱体とすることができることから、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。
また本発明者等は、蓄熱体の性能向上について検討し、水中油滴型分散体中の油性物質を相変化により凝固させた状態で攪拌による剪断を加えたときに、該水中油滴型分散体の体積平均粒子径の変化量が、剪断を加える前の体積平均粒子径と比べて、±50%以内となる蓄熱体とすることで、油性物質の分散性や流動性、エマルションの安定性を向上させることができ、蓄熱/放熱運転において分散体の安定性に優れる蓄熱体となることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体、界面活性剤及びポリマー分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散させてなる分散体を含んでなる蓄熱体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の蓄熱体は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を界面活性剤とともにポリマー分散剤を必須として用いることにより水性媒体中に分散させてなる分散体を含んでなるものである。このように、界面活性剤とポリマー分散剤とを併用することで、これらの相乗効果によりエマルションの安定性を充分に向上することが可能となる。
なお、本発明においては、蓄熱体を構成することになるこれらの製造原料は、それぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリマー分散剤としては、水に濡れやすいあるいは水に溶解しやすい高分子物質であれば特に限定しない。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、可溶性でんぷん、デキストリン、アラビアゴム、キトサン、寒天、ゼラチン、大豆カゼイン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸ナトリウムマレイン酸ナトリウム共重合体、ポリマレイン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリN−ビニルホルムアルデヒド、ポリビニルアミン、ポリアミジン等が好適である。水に溶解しやすいポリマー分散剤においては、25℃の水に溶解した場合、80質量%以上が溶解することが好ましい。
これらの中でも、ノニオン系のポリマー分散剤としては、重量平均分子量が5千〜30万であるものが好ましく、より好ましくは5万〜20万のもので、このような重量平均分子量を有するノニオン系のポリマー分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が好ましい。イオン系のポリマー分散剤としては、重量平均分子量が5千〜300万であるものが好ましく、好ましくは5万〜300万で、更により好ましくは10万〜200万で、このような重量平均分子量を有するイオン系のポリマー分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が好ましい。
上記ポリマー分散剤の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質100質量%に対して、0.001質量%以上であることが好ましく、また、5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.01質量%以上であり、また、3質量%以下である。
本発明における油性物質は、相変化により蓄熱性を有するものである。すなわち相変化又は相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有し、蓄熱密度が高く、一定温度付近での蓄熱や放熱が可能なものである。これにより、例えば、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱等の熱エネルギーを貯蔵し、放出することが可能となる。
上記油性物質を構成する成分としては、パラフィンやα−オレフィン等の炭化水素化合物;高級脂肪酸類;高級脂肪酸エステル類;高級アルコール類等の化合物が好適であり、具体的には、C14パラフィン、C15パラフィン、C16パラフィン等の常温で液体である中級パラフィン;C17パラフィン、C18パラフィン、C19パラフィン、C20パラフィン、C21パラフィン、C22パラフィン、C23パラフィン、C24パラフィン、C25パラフィン等の常温付近で固体である高級パラフィン;1−デカノール等の高級アルコールが好適である。これらの中でも、取り扱いが便宜であることから、ビル空調用の蓄熱体の場合、常温(25℃)及び常圧(約101.3kPa)において液体であるものを、相変化により蓄熱性を有する油性物質を構成する成分として用いることが好ましい。また、容易に入手でき、また、広い温度範囲に用いることができる蓄熱体を簡便にかつ安定的に製造することができることから、パラフィンが好ましく、ビル空調の冷熱用途等の場合、パラフィンの中でもペンタデカンを含むことが好ましい。
上記油性物質としては、単独成分のものを使用してもよいが、相変化により蓄熱性を有する油性物質の種類と配合比率を任意に調整することで、使用する蓄熱温度に融点を合わせることができる。冷房用途として使用する場合、約5〜20℃に融点を持つ相変化により蓄熱性を有する油性物質を選択すればよい。また暖房用途として使用する場合には、約40〜60℃に融点を持つ相変化により蓄熱性を有する油性物質を選択すればよい。
上記油性物質の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質の種類や蓄熱体の使用形態、要求される蓄熱効率に応じて適宜設定すればよいが、蓄熱体100質量%中10質量%以上とすることが好ましく、また、100質量%未満とすることが好ましい。10質量%未満であると、蓄熱効率や蓄熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは、20質量%以上であり、また、75質量%以下である。
本発明の蓄熱体において、水性媒体とは水を必須成分とするものであるが、水と水に溶解する溶媒との混合物を用いることができ、例えば、水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコール、ジエチレングリコール等との混合溶媒が好適である。水性媒体中の水の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。更に好ましくは、水のみを用いることである。
上記水性媒体の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、900質量%以下とすることが好ましい。
本発明における界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤を必須成分としてなるものであることが好ましく、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート等のポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のソルビタンエステル系化合物;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンべへニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエステル;ポリグリセリンアルキルエステル;脂肪酸エステル;脂肪酸石鹸;アルキルアミンエチレンオキサイド付加体;コレステロール等のステロール類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)アルキル(総炭素数15以上)エーテル及び/又はポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)ソルビタンアルキル(総炭素数15以上)エステルを必須成分としてなるものであることが好ましい。このような必須成分において、エチレンオキサイドの付加モル数は20以上で、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。また総炭素数は15以上で、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
この中でより好ましくは、エチレンオキサイド付加モル数が20以上であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンべへニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンステアレートである。
上記界面活性剤としてはまた、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン−アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤を適宜使用してもよい。それら界面活性剤として、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸塩;エーテルスルホン酸塩;エーテルカルボン酸及びその塩;ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のベタイン類;ジアルキルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウムが好ましい。
上記界面活性剤の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質100質量%に対して、0.1質量%以上とすることが好ましく、また、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0質量%以上であり、また、20質量%以下である。
本発明の蓄熱体には、更に、以下に記載する機能を有する添加剤を含有させることもできる。
(1)伝熱向上用:鉄、銅等の金属粉:金属繊維;金属酸化物;カーボン;カーボンファイバー等。
(2)比重調整用:砂;粘土;石;鉛、鉄等の金属粉等。
(3)難燃性付与用:水;水ゲル;金属粉;炭酸カルシウム等の無機化合物;臭素系、塩素系、リン系等の難燃剤等。なお、難燃性には、燃焼性の低減、延焼防止、水蒸気による引火点の消滅、燃焼熱量低減効果等を含む。
(4)過冷却防止用:金属粉、高分子パラフィン(ワックス)等。
(5)凝固点調整用:ワックス類等。
(6)酸化防止や経時的な劣化防止用:フェノール系、チオ系、リン系等の酸化防止剤等。
(7)その他:着色剤、顔料、帯電防止剤、防菌剤等。
上記添加剤の使用量としては、例えば、燃焼性を低減させるために、炭酸カルシウムを用いる場合には、相変化により蓄熱性を有する油性物質に対して、10〜40質量%とすることが好ましい。
上記油性物質には、潜熱性を調整するための包接化合物を添加してもよい。
上記包接化合物としては、C48・O・17H2O、(CH33N・10.25H2O、(C494NCHO2・32H2O、(C494NCH3CO2・32H2Oが好適である。
本発明の蓄熱体の好ましい形態としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質を含有した架橋ゲル体やカプセル被膜により内包されたものを含まない形態とすることである。このような油性物質の架橋ゲル体やカプセル被膜により内包されたものを含まないことにより、蓄熱体の蓄熱温度域での流動性をより優れたものとし、これに起因して蓄熱体の伝熱性能を向上したり、蓄熱体を送液する循環ポンプの負荷をより低下させたりすることが可能となる。
上記相変化により蓄熱性を有する油性物質を含有した架橋ゲル体とは、油性物質が親油性重合体粒子の内部に保持されているもの、すなわち分散剤を含む水溶液に、相変化により蓄熱性を有する油性物質と架橋性単量体を含む単量体成分との混合溶液を添加して重合してなるもの等が挙げられる。カプセル被膜により内包されたものとは、複合エマルジョン法によるカプセル化法、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法等の方法により得られるものが挙げられる。
本発明の蓄熱体としてはまた、相変化による凝固/融解の繰り返しを50回実施し、分散体の体積平均粒子径変化が、凝固/融解繰り返し実施前の体積平均粒子径と比べ、その変化量が±50%以内であることが好ましい形態である。このような形態とすることにより、冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱体とすることができることになる。
上記凝固/融解の繰り返しとは、相変化により蓄熱性を有する油性物質に、潜熱として熱を蓄え、蓄えた熱を放熱する作業の繰り返しを行うことをいう。
上記蓄熱性を有する油性物質の相変化による凝固/融解の繰り返しにおいては、100回以上において体積平均粒子径変化が上記範囲内にあるものがより好ましく、更に好ましくは、200回以上のものである。油性物質の凝固/融解の繰り返しにおいて、分散体の体積平均粒子径の変化が小さくなるほど、分散体中の油性物質の破壊が抑えられ、長期的に安定に使用できることとなる。
上記油性物質の相変化による凝固/融解の繰り返し試験としては、蓄熱体をサンプル瓶に入れ、相変化による凝固/融解の繰り返しが行える温度において、サイクル試験を実施することが好適である。例えば、油性物質として融点10℃のペンタデカンを用いた場合、相変化による凝固を行う場合には、蓄熱体を5〜7℃に調整することで実施できる。次に融解を行う場合には、蓄熱体を12〜15℃調整することで実施できる。
上記体積平均粒子径の変化量(%)は、次のようにして算出する。
体積平均粒子径の変化量(%)=(凝固/融解繰り返し50回実施後の体積平均粒子径−凝固/融解繰り返し実施前の体積平均粒子径)÷(凝固/融解繰り返し実施前の体積平均粒子径)×100
また体積平均粒子径としては、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布計測定装置SALD−3000を用いて測定を行う。また、測定用媒体としては、イオン交換水を使用する。
本発明の蓄熱体としては、例えば、界面活性剤及び/又はポリマー分散剤を水性媒体に溶解させた水溶液に、相変化により蓄熱性を有する油性物質を添加し、攪拌等により乳化する方法、又は、ポリマー分散剤を水性媒体に溶解させた水溶液に、界面活性剤を溶解させた相変化により蓄熱性を有する油性物質を添加し、攪拌等により乳化する方法等により製造することが好適である。このような製造方法は、本発明の好ましい実施形態の一つである。
本発明の蓄熱体においては、上述したような構成のものとすると、流動性が向上し、伝熱性能が向上され、エマルションの安定性を向上させることができるが、下記のような蓄熱体としても本発明の作用効果を発揮することができる。
すなわち、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体を必須とする蓄熱材用水中油滴型分散体であって、上記水中油滴型分散体中の油性物質を相変化により凝固させた状態で攪拌による剪断を加えたときに、上記水中油滴型分散体の体積平均粒子径の変化量が、剪断を加える前の体積平均粒子径と比べて、±50%以内である蓄熱体もまた、本発明の1つである。
上記剪断を加える前後の体積平均粒子径の変化量の測定は以下のようにして行う。
〔剪断力を加える試験及び体積平均粒子径測定方法〕
分散体中の油性物質を相変化により凝固させた状態で攪拌により剪断力を加える試験は、次のようにして行う。
攪拌装置は、特殊機化社製のTKホモミキサ−M型を使用する。500mlのビーカーに蓄熱体200gを入れ、分散体温度を油性物質の凝固率が50〜60%となる温度に調整する。調温後、TKホモミキサ−の回転数を4000rpmに合わせて攪拌を行う。攪拌時は分散体温度を攪拌開始温度から攪拌開始温度+0.5℃に保ちながら、2000パス回数攪拌を行う。攪拌終了後、粒度分布計で分散体の体積平均粒子径を測定する。
〔油性物質の凝固率の算出方法〕
油性物質の凝固率(%)は、次のようにして算出する。
凝固率算出にあたって測定機器としては、マックサイエンス社の示差走査熱量計DSC−3100Sを使用する。測定は、まず25〜−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20〜25℃まで2℃/分の速度で昇温する。この冷却の際に得られた凍結時の潜熱量を−20℃での凍結潜熱量1とする。
次に凝固時の潜熱量を測定する。凝固率が50〜60%となる温度をA℃とした場合、25〜A℃まで2℃/分の速度で冷却した後、A℃で5分間保持する。その後、25℃まで2℃/分の速度で昇温した。同様に冷却の際に得られた凍結時の潜熱量をA℃での凍結潜熱量2とする。
凝固率の算出式としては、次の式を用いる。
A℃での凝固率(%)=(A℃での凍結潜熱量2)÷(−20℃での凍結潜熱量1)×100
DSC測定条件は、冷房用途に蓄熱材用水中油滴型分散体を使用する場合であるが、暖房用途に蓄熱材用水中油滴型分散体を使用する場合は、25℃において既に油性物質が凝固している場合が考えられる。その場合のDSCでの測定開始は、充分に油性物質が融解している温度より行うこととする。
〔体積平均粒子径変化量の算出方法〕
体積平均粒子径の変化量(%)は次のようにして算出する。
体積平均粒子径の変化量(%)=(剪断を加えた後の体積平均粒子径−剪断力を加える前の体積平均粒子径)÷(剪断を加える前の体積平均粒子径)×100
また体積平均粒子径は、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布計測定装置SALD−3000を用いて測定を行う。また、測定用媒体としては、イオン交換水を使用する。
〔パス回数の算出方法〕
パス回数の算出式としては、以下の式を用いる。
パス回数=12.5÷処理量(L)×処理時間(分)
上記蓄熱体は、水中油滴型分散体中の油性物質を相変化により凝固させた状態で攪拌による剪断を加えたときに、上記水中油滴型分散体の体積平均粒子径の変化量が、剪断を加える前の体積平均粒子径と比べて、±50%以内であるものであるが、体積平均粒子径の変化量が±20%以内であるものがより好ましく、更に好ましくは、5%以内であるものである。剪断を加えた後の水中油滴型分散体の体積平均粒子径の変化量が小さくなるほど、分散体中の油性物質の破壊が抑えられ、長期的に安定に使用できることとなる。
上記相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体を必須とする蓄熱材用水中油滴型分散体において、油性物質の分散性、流動性やエマルションの安定性を向上させる方法としては、例えば、上述したような相変化により蓄熱性を有する油性物質を界面活性剤とともにポリマー分散剤を併用して分散する方法が挙げられる。
また相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体を必須とする蓄熱材用水中油滴型分散体にマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム等の金属を含ませる方法が挙げられる。
また相変化により蓄熱性を有する油性物質を特定のノニオン系界面活性剤を用いて分散する方法が挙げられる。その例として、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数30)ステアリルエーテルやポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数40)べへニルエーテル等のポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)アルキル(総炭素数15以上)エーテル及び/又はポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数30)ソルビタンステアレートやポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数40)ソルビタンベヘネート等のポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)ソルビタン(総炭素数15以上)エステルを必須成分としてなるものが挙げられる。
上記蓄熱体を製造するにあたり乳化に用いる機械は限定されず、一般的な機械を使用することができる。例えば、プロペラ攪拌機、高速回転攪拌機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ロールミル、ローラーミル、サンドミル、ボールミル、インライン式(動力タイプ、非動力タイプ)連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機、真空式乳化機、解放式乳化機がある。
本発明の蓄熱体の使用形態としては、乳化物状の水分散体の形態とすることが好ましく、また、包装材に充填された形態の蓄熱体として用いてもよい。
本発明の蓄熱体は、このような乳化物状や包装状態等の形態で各種の蓄熱装置に用いられるものであるが、このような蓄熱装置としては、(1)蓄熱体が熱搬送媒体となって熱交換を行うものや、(2)蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるもの等が挙げられる。
上記(1)の蓄熱装置としては、水分散した蓄熱体を用いた蓄熱装置が好ましく、蓄熱体が蓄熱槽と熱交換器との間を循環することにより、又は、蓄熱槽の外部を循環することにより熱交換する蓄熱装置等が挙げられ、このような蓄熱装置により地域冷暖房システム用や、ビル空調システム用の熱搬送媒体システムである蓄熱システムが形成されることになる。
上記(2)の蓄熱装置は、蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるものであるが、蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置が好ましく、このような蓄熱装置によっても蓄熱システムが形成されることになる。
上記蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置としては、蓄熱槽に熱交換手段を備えることで蓄熱装置の外部で循環する熱媒体に対して熱エネルギーを授受できるようにしたものが好適であり、例えば、蓄熱体が貯留する蓄熱槽中に熱媒体の熱交換を行う熱交換器を備えたものや、蓄熱槽中に乳化物状の水分散体が貯留したまま熱媒体のみが蓄熱槽を通過するようにしたもの等が挙げられる。
このような本発明の蓄熱体を用いてなる蓄熱装置又は蓄熱システムもまた、本発明の一つである。
本発明の蓄熱体は、上述のような構成よりなり、ポリマー分散剤を含有することで油性物質の分散性が高められて流動性が向上し、伝熱性能が向上され、しかもエマルションの安定性に優れるものであり、凝固点を調整しやすくて蓄熱効率が向上するか、又は、凝固温度と融解温度が近づくため、蓄熱時に凝固し易く放熱時の温度を低くすることを可能とし、かつ潜熱量が高められて蓄熱性能が向上するものである。また、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱装置又は蓄熱システムを構成する材料として優れたものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部、ポリマー分散剤としてポリビニルピロリドン(日本触媒社製:分子量約12万)0.5部を水47.5部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)1を得た。
得られた蓄熱体1について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。示差走査熱量測定(DSC)には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.5℃であった。蓄熱体1の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体1の体積平均粒子径は、粒度分布計を用いて測定した。粒度分布計は、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布計測定装置SALD−3000を使用した。蓄熱体1の体積平均粒子径は、2.94μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを300回行い、体積平均粒子径を測定したところ2.90μmであった。分散体の体積平均粒子径変化は、−1%と小さく、凝固/融解の繰り返しにおいても蓄熱体は安定であった。
実施例2
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部、ポリマー分散剤としてポリビニルアルコール(日本合成社製:ゴーセノールKH−20、分子量約10万)0.05部を水47.95部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、へプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)2を得た。
得られた蓄熱体2について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、7.2℃であった。蓄熱体2の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体2の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体2の体積平均粒子径は、3.02μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを190回行い、体積平均粒子径を測定したところ2.99μmであった。分散体の体積平均粒子径変化は、−1%と小さく、凝固/融解の繰り返しにおいても蓄熱体は安定であった。
実施例3
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部、ポリマー分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製:アクアリックIH−L、分子量約150万)0.05部を水47.95部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)3を得た。
得られた蓄熱体3について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.5℃であった。蓄熱体3の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体3の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体3の体積平均粒子径は、3.16μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを190回行い、体積平均粒子径を測定したところ3.36μmであった。分散体の体積平均粒子径変化は、+6%と小さく、凝固/融解の繰り返しにおいても蓄熱体は安定であった。
実施例4
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部、ポリマー分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製:アクアリックDL522、分子量約17万)0.5部を水47.5部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、へキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)4を得た。
得られた蓄熱体4について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.9℃であった。蓄熱体4の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱性4の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体4の体積平均粒子径は、2.64μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを70回行い、体積平均粒子径を測定したところ2.70μmであった。分散体の体積平均粒子径変化は、+2%と小さく、凝固/融解の繰り返しにおいても蓄熱体は安定であった。
実施例5
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部、ポリマー分散剤としてポリエチレンイミン(日本触媒社製:エポミンP−1000、分子量約7万)0.5部を水47.5部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)5を得た。
得られた蓄熱体5について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.9℃であった。蓄熱体5の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体5の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体5の体積平均粒子径は、2.64μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを70回行い、体積平均粒子径を測定したところ2.71μmであった。分散体の体積平均粒子径変化は、+3%と小さく、凝固/融解の繰り返しにおいても蓄熱体は安定であった。
実施例6
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(花王社製:レオドールスーパーTWL−120)1.5部、ポリマー分散剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製:ハイメトローズhi90SH100000)0.005部を水47.995部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、へキサデカン6.9質量%、へプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)6を得た。得られた蓄熱体6について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、7.9℃であった。蓄熱体6の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体6の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体6の体積平均粒子径は、3.09μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを150回行ったが、凝固/融解の繰り返しにおいても蓄熱体は安定であった。
実施例7
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンステアレート(花王社製:レオドールTW−S120V)1.5部、ポリマー分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒社製:アクアリックIH−L)0.10部を水47.9部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4重量%、ペンタデカン73.5重量%、ヘキサデカン6.9重量%、ヘプタデカン0.2重量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサ−M型)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。この水分散体にイオン交換水66.7部を加え、これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)7を得た。
得られた蓄熱体7について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、7.3℃であった。蓄熱体7の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体7の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体7の体積平均粒子径は、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布計測定装置SALD−3000を用いて測定を行ったところ3.03μmであった。
次に攪拌による剪断を加える実験を行った。
500mlのビーカーに蓄熱体7を200g入れ、材料温度を5℃まで冷却した。なお、5℃での油性物質の凝固率を所定の方法でマックサイエンス社の示差走査熱量計DSC−3100Sを用いて算出したところ57%であった。5℃に調温後、攪拌機TKホモミキサ−M型を用いて回転数を4000rpmに合わせて分散させた。攪拌時は分散体温度を5℃から5.5℃に保ちながら、2000パス回数攪拌を行った。攪拌終了後、同様に粒度分布計で蓄熱体7の体積平均粒子径を測定したところ3.46μmであった。分散体の体積平均粒子径変化量は+14%と小さく攪拌による剪断力を加えても安定であった。
実施例8
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンべへニルエーテル(日本油脂社製:ノニオンB−240、エチレンオキサイド付加モル数40)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4重量%、ペンタデカン73.5重量%、ヘキサデカン6.9重量%、ヘプタデカン0.2重量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサ−M型)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)8を得た。蓄熱体8の5℃での流動性は良好であった。
蓄熱体8の体積平均粒子径は、同様に粒度分布計を用いて測定した。蓄熱体8の体積平均粒子径は、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布計測定装置SALD−3000を用いて測定を行ったところ2.86μmであった。
次に攪拌による剪断を加える実験を行った。
500mlのビーカーに蓄熱体8を200g入れ、材料温度を5℃まで冷却した。なお、5℃での油性物質の凝固率を所定の方法でマックサイエンス社の示差走査熱量計DSC−3100Sを用いて算出したところ57%であった。5℃に調温後、攪拌機TKホモミキサ−M型を用いて回転数を4000rpmに合わせて分散させた。攪拌時は分散体温度を5℃から5.5℃に保ちながら、2000パス回数攪拌を行った。攪拌終了後、同様に粒度分布計で蓄熱体8の体積平均粒子径を測定したところ3.32μmであった。分散体の体積平均粒子径変化量は+16%と小さく攪拌による剪断力を加えても安定であった。
比較例1
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(花王社製:レオドールスーパーTWL120)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより比較蓄熱体1(水分散体)を得た。
得られた比較蓄熱体1ついて、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.8℃であった。比較蓄熱体1の5℃での流動性は良好であった。
比較蓄熱体1の体積平均粒子径は、粒度分布計を用いて測定した。粒度分布計は、島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布計測定装置SALD−3000を使用した。比較蓄熱体1の体積平均粒子径は、3.14μmであった。
また、5℃で油性物質の凝固を行い、12℃で融解を行う凝固/融解の繰り返しを行った。凝固/融解の繰り返しを72回行ったところ、パラフィンの一部が層状に分離した。
同様に5℃において攪拌による剪断を加える実験を行ったところ、1000パス回数目で材料がホイップ状となり流動性が見られなくなった。この攪拌終了後の比較蓄熱体1の体積平均粒子径は、9.67μmと大きくなっていた。分散体の体積平均粒子径変化量は+208%と大きく攪拌による剪断力で不安定であった。
比較例2
ビーカーにポリマー分散剤としてポリビニルピロリドン(日本触媒社製:分子量約12万)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、へキサデカン6.9質量%、へプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサー)を用いて乳化を行ったが、パラフィンが分散した水分散体を得ることができなかった。
比較例3
ビーカーにノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンステアレート(花王社製:レオドールTW−S120V)1.5部、水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質である灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4重量%、ペンタデカン73.5重量%、ヘキサデカン6.9重量%、ヘプタデカン0.2重量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。攪拌機(特殊機化社製:TKホモミキサ−M型)を用いて乳化した。パラフィンが分散した水分散体を得た。この水分散体にイオン交換水66.7部を加え、これにより本発明にかかる比較蓄熱体(水分散体)3を得た。
得られた比較蓄熱体3について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、7.4℃であった。
比較蓄熱体3の5℃での流動性は良好であった。
比較蓄熱体3の体積平均粒子径を測定したところ2.84μmであった。
次に攪拌による剪断を加える実験を行った。
500mlのビーカーに比較蓄熱体3を200g入れ、材料温度を5℃まで冷却した。なお、5℃での油性物質の凝固率を所定の方法でマックサイエンス社の示差走査熱量計DSC−3100Sを用いて算出したところ57%であった。5℃に調温後、攪拌機TKホモミキサ−M型を用いて回転数を4000rpmに合わせて分散させた。攪拌時は分散体温度を5℃から5.5℃に保ちながら、2000パス回数攪拌を行った。この攪拌終了後の比較蓄熱体3の体積平均粒子径は、6.15μmと大きくなっていた。分散体の体積平均粒子径変化量は+117%と大きく攪拌による剪断力で不安定であった。

Claims (4)

  1. 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体、界面活性剤及びポリマー分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散させてなる分散体を含んでなる
    ことを特徴とする蓄熱体。
  2. 前記界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤を必須成分としてなる
    ことを特徴とする請求項1記載の蓄熱体。
  3. 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体を必須とする蓄熱材用水中油滴型分散体であって、該水中油滴型分散体中の油性物質を相変化により凝固させた状態で攪拌による剪断を加えたときに、該水中油滴型分散体の体積平均粒子径の変化量が、剪断を加える前の体積平均粒子径と比べて、±50%以内である
    ことを特徴とする蓄熱体。
  4. 請求項1、2又は3記載の蓄熱体を用いてなる
    ことを特徴とする蓄熱装置及び蓄熱システム。
JP2003285039A 2002-12-19 2003-08-01 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム Withdrawn JP2004211056A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003285039A JP2004211056A (ja) 2002-12-19 2003-08-01 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002368746 2002-12-19
JP2003285039A JP2004211056A (ja) 2002-12-19 2003-08-01 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004211056A true JP2004211056A (ja) 2004-07-29

Family

ID=32828813

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003285039A Withdrawn JP2004211056A (ja) 2002-12-19 2003-08-01 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004211056A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006021980A1 (ja) * 2004-08-23 2006-03-02 Shishiai-Kabushikigaisha 熱媒体組成物
JP2006335940A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Harima Chem Inc エマルション型蓄熱材の製造方法
FR2942310A1 (fr) * 2009-02-18 2010-08-20 Yann Kaplan Accumulateur d'energie thermique
JP2015038176A (ja) * 2013-08-19 2015-02-26 国立大学法人信州大学 熱エネルギー貯蔵材料および熱エネルギー貯蔵材料の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006021980A1 (ja) * 2004-08-23 2006-03-02 Shishiai-Kabushikigaisha 熱媒体組成物
JP2006335940A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Harima Chem Inc エマルション型蓄熱材の製造方法
FR2942310A1 (fr) * 2009-02-18 2010-08-20 Yann Kaplan Accumulateur d'energie thermique
JP2015038176A (ja) * 2013-08-19 2015-02-26 国立大学法人信州大学 熱エネルギー貯蔵材料および熱エネルギー貯蔵材料の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Al-Shannaq et al. Emulsion stability and cross-linking of PMMA microcapsules containing phase change materials
CN110559957B (zh) 一种高共混流动性、高相变潜热的相变微胶囊及其制备方法
Chaiyasat et al. Do encapsulated heat storage materials really retain their original thermal properties?
ES2921229T3 (es) Microcápsulas
Puupponen et al. Preparation of paraffin and fatty acid phase changing nanoemulsions for heat transfer
US20040046147A1 (en) Thermal storage medium, process for producing the same and thermal storage system using the same
CN102676124B (zh) 一种无机水合盐相变储能微胶囊及其制备方法
JP2006523744A (ja) マイクロカプセル水性分散液の伝熱液としての使用
Supatimusro et al. Poly (divinylbenzene) microencapsulated octadecane for use as a heat storage material: influences of microcapsule size and monomer/octadecane ratio
US9972412B2 (en) Cellulose capsules
CN108314994A (zh) 一种石蜡基相变纳米乳液的制备方法
Yadav et al. A review on microencapsulation, thermal energy storage applications, thermal conductivity and modification of polymeric phase change material for thermal energy storage applications
JP2004211056A (ja) 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム
JP5604834B2 (ja) 吸・放熱カプセル及び吸・放熱カプセル分散液
KR20110116611A (ko) 상변화 물질을 함유한 나노 캡슐의 제조방법
Liu et al. Microencapsulation of biobased phase change material by interfacial polycondensation for thermal energy storage applications
JP2004161794A (ja) 蓄熱体並びに蓄熱体の製造方法及び蓄熱体を用いた蓄熱システム
JP2003321674A (ja) 蓄熱体
JP6176780B2 (ja) 熱エネルギー貯蔵材料および熱エネルギー貯蔵材料の製造方法
JP2004231838A (ja) 蓄熱用水中油滴型分散体及び蓄熱用水中油滴型分散体を用いた蓄熱システム
JP2004002833A (ja) 蓄熱体
JPH08259932A (ja) 蓄熱材用マイクロカプセル
JPH0931451A (ja) 蓄熱材及び蓄熱材分散液
JP2014091759A (ja) 潜熱蓄熱材料及びその製造方法
JP2005298534A (ja) 蓄熱体及び蓄熱体を用いた蓄熱システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071211

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20080128