JP2004207521A - 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 - Google Patents
光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004207521A JP2004207521A JP2002375514A JP2002375514A JP2004207521A JP 2004207521 A JP2004207521 A JP 2004207521A JP 2002375514 A JP2002375514 A JP 2002375514A JP 2002375514 A JP2002375514 A JP 2002375514A JP 2004207521 A JP2004207521 A JP 2004207521A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pattern
- exposure
- area
- wafer
- image
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
- Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
Abstract
【課題】短時間で、精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を計測する。
【解決手段】少なくとも適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら、レチクルR上に配置された計測用パターンを投影光学系PLの像面側に配置されたウエハWに順次転写して複数の区画領域から成る第1領域をウエハ上に形成する。次いで、複数の区画領域のうち、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する。この場合、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出するので、適正露光量以下の範囲で露光量を変化させながら露光を行っても、特に支障なく検出を行うことが可能となる。そして、その検出結果に基づいて、投影光学系PLの光学特性を求める。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら、レチクルR上に配置された計測用パターンを投影光学系PLの像面側に配置されたウエハWに順次転写して複数の区画領域から成る第1領域をウエハ上に形成する。次いで、複数の区画領域のうち、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する。この場合、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出するので、適正露光量以下の範囲で露光量を変化させながら露光を行っても、特に支障なく検出を行うことが可能となる。そして、その検出結果に基づいて、投影光学系PLの光学特性を求める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、投影光学系の光学特性を計測する光学特性計測方法、該光学特性計測方法によって計測された光学特性を考慮して調整された投影光学系を用いて露光を行う露光方法、及び該露光方法を利用したデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「ウエハ」ともいう)上に転写する露光装置が用いられている。この種の装置としては、近年では、スループットを重視する観点から、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆる「ステッパ」)や、このステッパを改良したステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置などの逐次移動型の露光装置が、比較的多く用いられている。
【0003】
また、半導体素子(集積回路)等は年々高集積化しており、これに伴い半導体素子等の製造装置である投影露光装置には、一層の高解像力、すなわちより微細なパターンを精度良く転写できることが要求されるようになってきた。投影露光装置の解像力を向上させるためには、投影光学系の光学性能を向上させることが必要であり、投影光学系の光学特性(結像特性を含む)を正確に計測し、評価することが重要となっている。
【0004】
投影光学系の光学特性、例えばパターンの像面の正確な計測は、投影光学系の視野内の各評価点(計測点)における最適なフォーカス位置(最良フォーカス位置)を正確に計測できることが前提となる。
【0005】
従来の投影露光装置における最良フォーカス位置の計測方法としては、いわゆるCD/フォーカス法と、いわゆるSMPフォーカス計測法とが主として用いられていた。前者のCD/フォーカス法では、例えば、ラインアンドスペースパターン等のテストパターンを投影光学系の光軸方向に関する複数のウエハ位置でテスト用ウエハに転写する。そして、そのテスト用ウエハを現像して得られるレジスト像(転写されたパターンの像)の線幅値を走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて計測し、その線幅値と投影光学系の光軸方向に関するウエハ位置(以下、適宜「フォーカス位置」ともいう)との相関関係に基づいて最良フォーカス位置を判断する。後者のSMPフォーカス計測法では、複数のフォーカス位置で、くさび形マークのレジスト像をウエハ上に形成し、フォーカス位置の違いによるレジスト像の線幅値の変化を長手方向の寸法変化に増幅させて置き換え、露光装置のアライメント系などのマーク検出系を用いてレジスト像の長手方向の長さを計測する。そして、フォーカス位置とレジスト像の長さとの相関関係に基づいて最良フォーカス位置を検出(算出)する(特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
そして、種々のテストパターンについて、上述のようにして得られた最良フォーカス位置に基づいて、投影光学系の光学特性である非点収差や像面湾曲等を計測していた。
【0007】
しかし、上述したCD/フォーカス法では、例えばレジスト像の線幅値をSEMで計測するために、SEMのフォーカス合わせを厳密に行う必要があり、1点当たりの計測時間が非常に長く、多数点での計測をするためには数時間から数十時間が必要とされていた。また、投影光学系の光学特性を計測するためのテスト用パターンも微細化するとともに、投影光学系の視野内での評価点の数も増加することが予想される。従って、SEMを用いた従来の計測方法では、計測結果が得られるまでのスループットが大幅に低下してしまうという不都合があった。また、計測誤差や計測結果の再現性についても、より高いレベルが要求されるようになり、従来の計測方法ではその対応が困難となってきた。さらに、フォーカス位置と線幅値の相関関係を示す近似曲線は、誤差を小さくするために4次以上の近似曲線が用いられており、それには、評価点毎に少なくとも5種類のフォーカス位置に関する線幅値が求められなければならないという制約があった。また、最良フォーカス位置からずれたフォーカス位置(投影光学系の光軸方向に関する+方向と−方向との両方を含む)での線幅値と最良フォーカス位置での線幅値との差は、誤差を小さくするために10%以上であることが要求されているが、この条件を満足させることが困難となってきた。
【0008】
また、上述したSMPフォーカス計測法では、通常、計測を単色光で行うために、レジスト像の形状の違いにより干渉の影響が異なり、それが計測誤差(寸法オフセット)につながることが考えられる。さらに、画像処理にてくさび形マークのレジスト像の長さ計測を行うには、レジスト像の最も細くなる長手方向の両端部分までの情報を詳細に取り込む必要が有り、現状の画像取り込み機器(CCDカメラ等)の分解能では未だ十分ではないという問題点がある。また、テストパターンが大きいために、投影光学系の視野内での評価点の数を増加させることが困難であった。
【0009】
この他、主として上述のCD/フォーカス法の欠点を改善するものとして、テスト露光によってパターンが転写されたウエハを現像し、現像後にウエハ上に形成されるパターンのレジスト像を撮像し、その撮像データを用いて所定のテンプレートとのパターンマッチングを行い、その結果に基づいて最良フォーカス位置などの最良露光条件を決定する発明(特許文献3、特許文献4等参照)も知られている。これら特許文献3、特許文献4に開示された発明によると、SMP計測法のような現状の画像取り込み機器(CCDカメラ等)の分解能不足や、投影光学系の視野内での評価点の数の増加が困難であるという不都合もない。
【0010】
【特許文献1】
特許第2580668号
【特許文献2】
特許第2712330号
【特許文献3】
特開平11−233434号公報
【特許文献4】
国際公開第02/29870号パンフレット
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、テンプレートマッチング法を採用して、かつこれを自動化する場合には、そのテンプレートマッチングを容易にするためにパターンとともにマッチングの基準となる枠(パターン)がウエハ上に形成されるのが通常である。
【0011】
しかしながら、上述の特許文献3、4などのようなテンプレートマッチングを用いた最良露光条件の決定方法にあっては、多種多様なプロセス条件の中にはパターンの近傍に形成されるテンプレートマッチングの基準となる枠の存在により、画像処理方式のウエハアライメント系、例えばFIA(field image alignment)系のアライメントセンサなどで画像取り込みを行った場合に、パターン部のコントラストが著しく低下して計測が困難になる場合があった。
【0012】
特に、特許文献4に記載の方法にあっては、上記のパターンマッチングの結果に基づいて、計測用パターンの像の有無を区画領域毎に検出し、その有無情報に基づいて、パターンの像が消失する境界となる区画領域(消失点)を検出しているため、露光量をレジストの最適露光量近傍から過露光(オーバードーズ)となる範囲で変化させていた。この場合、計測用パターンの線幅を僅かに変化させるだけで最適な露光量が大きく変化する、換言すれば計測用パターンの線幅差が露光に与える影響が大きいため、最適露光条件の決定に困難を伴っていた。また、例えば、レジスト像を計測対象とする場合、計測結果がレジストの種類に大きく影響を受ける傾向があった。また、投影光学系の光学特性の計測を目的とする場合、静止露光方式で露光を行うが、この場合、上記の過露光となる露光量範囲の露光にはある程度の時間を掛けて露光を行う必要があったことから、結果的にそれなりの時間を要していた。また、走査露光方式で露光を行うことも考えられるが、上記の過露光範囲での露光を実現するためには、照明光に対するレチクル及びウエハの移動速度を低速にして露光を行わなければならないことから、計測に時間を要し、スループットの面で必ずしも満足できるものではなかった。
【0013】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、短時間で、精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を計測することができる光学特性計測方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の第2の目的は、高精度な露光を実現できる露光方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第3の目的は、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、第1面上のパターンを第2面上に投影する投影光学系の光学特性を計測する光学特性計測方法であって、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更することを含む、少なくとも一つの露光条件を変更しながら、前記第1面上に配置された計測用パターンを前記投影光学系の第2面側に配置された感光物体に順次転写して複数の区画領域から成る第1領域を前記感光物体上に形成する第1工程と;前記複数の区画領域のうち、前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する第2工程と;前記検出結果に基づいて前記投影光学系の光学特性を求める第3工程と;を含む光学特性計測方法である。
【0017】
本明細書において、「露光条件」とは、照明条件(マスクの種別を含む)、像面上における露光ドーズ量等狭義の露光条件の他、投影光学系の光学特性など露光に関連する全ての構成部分の設定条件を含む広義の露光条件をも意味する。また、「適正露光量以下の範囲内で露光量を変更する」とは、感光物体の感光層を形成する感光剤(レジストなど)の照射特性曲線に応じた適正露光量(レジスト感度など)より小さい範囲から適正露光量となる範囲で露光量を変化させることを意味する。
【0018】
これによれば、露光条件として、少なくとも適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら、第1面(物体面)上に配置された計測用パターンを投影光学系の第2面(像面)側に配置された感光物体に順次転写して複数の区画領域から成る第1領域を感光物体上に形成する(第1工程)。この場合、計測用パターンの転写は、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式などの露光によって実現されるが、いずれの場合であっても、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら露光が行われるので、前述した適性露光量以上の範囲で露光を行う場合に比べて、露光時間の短縮が可能となる。また、パターン線幅差が露光に与える影響が低減されている。
【0019】
次いで、前記複数の区画領域のうち、前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する(第2工程)。すなわち、過露光により計測用パターンの像が消失し始める境界となる区画領域を検出対象とせず、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出するので、上記の適正露光量以下の範囲で露光量を変化させながら露光を行っても、特に支障なく検出を行うことが可能となる。
【0020】
ここで、像の形成状態の検出は、感光物体を現像することなく感光物体上に形成された潜像に対して行っても良いし、上記像が形成された感光物体を現像した後、感光物体上に形成された像(レジスト像)、あるいはレジスト像が形成された感光物体をエッチング処理して得られる像(エッチング像)などに対して行っても良い。ここで、感光物体上における像の形成状態を検出するための感光層は、フォトレジストに限らず、光(エネルギ)の照射によって像(潜像及び顕像)が形成されるものであれば良い。例えば、感光層は、光記録層、光磁気記録層などであっても良く、従って、感光層が形成される物体もウエハ又はガラスプレート等に限らず、光記録層、光磁気記録層が形成可能な板等であっても良い。
【0021】
例えば、像の形成状態の検出をレジスト像、エッチング像などに対して行う場合には、SEMなどの顕微鏡は勿論、例えば露光装置のアライメント検出系、例えばアライメントマークの像を撮像素子上に結像する画像処理方式のアライメント検出系、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系のアライメントセンサを用いることができる。また、像の形成状態の検出を潜像に対して行う場合には、FIA系などを用いることができる。
【0022】
いずれにしても、像の形成状態を画像処理の手法で検出することができ、例えば検出対象領域における像のコントラストなどを検出することにより、パターン像の形成状態を短時間で検出することが可能になる。
【0023】
そして、その検出結果、すなわち検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報に基づいて、投影光学系の光学特性を求める(第3工程)。ここでは、客観的かつ定量的な像のコントラストなどを用いた検出結果に基づいて光学特性が求められるために、従来の方法と比較して光学特性を精度及び再現性良く計測することができる。また、従来の寸法を計測する方法に比べて、計測用パターンを小さくすることができるため、マスクのパターン領域内に多くの計測用パターンを配置することが可能となる。従って、評価点の数を増加させることができるとともに、各評価点間の間隔を狭くすることができ、結果的に光学特性計測の計測精度を向上させることが可能となる。さらに、レジスト像を計測対象とする場合に、レジストの特性によって計測結果が殆ど左右されない。
【0024】
従って、請求項1に記載の光学特性計測方法によれば、短時間で、確実にかつ精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を計測することができる。特に、走査露光方式で計測用パターンを感光物体に上に転写する場合には、高速での走査露光が可能となり、スループットの向上が可能となる。
【0025】
この場合において、請求項2に記載の光学特性計測方法の如く、前記計測用パターンは、遮光部内の光透過部によってパターンが形成される抜きパターンであり、前記感光物体にはその表面にポジ型レジストによって感光層が形成されていることとすることができる。
【0026】
この場合において、請求項3に記載の光学特性計測方法の如く、前記第2工程に先立って、前記第1領域となる前記感光物体上の領域の周囲の少なくとも一部に過露光の第2領域を形成する第4工程を更に含み、前記第2工程は、前記第2領域の輪郭の一部を検出する工程と、その検出結果を利用して前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域における計測用パターンの像の形成状態を検出する工程とを含むこととすることができる。
【0027】
この場合において、第4工程は、第1工程の後に行うこととすることができるが、請求項4に記載の光学特性計測方法の如く、前記第4工程は、前記第1工程に先立って行われることとすることもできる。
【0028】
上記請求項3及び4に記載の各光学特性計測方法において、第2領域の形成方法は、種々考えられ、例えば請求項5に記載の光学特性計測方法の如く、前記第4工程では、前記第1面上に配置された所定のパターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に転写して前記第2領域を形成することとすることができる。
【0029】
この場合において、請求項6に記載の光学特性計測方法の如く、前記第1領域は、全体として矩形状の領域であり、前記所定のパターンは矩形枠状又はその一部の形状を有するパターンであり、前記第4工程では、前記第1面上に配置された前記所定のパターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に走査露光方式で転写することとすることができる。
【0030】
上記請求項3〜5に記載の各光学特性計測方法において、請求項7に記載の光学特性計測方法の如く、前記第4工程では、前記第1面上に配置された前記計測用パターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に過露光となる露光量で順次転写して前記第2領域を形成することとすることができる。
【0031】
上記請求項1に記載の光学特性計測方法において、請求項8に記載の光学特性計測方法の如く、前記計測用パターンは、光透過部内に遮光部によってパターンが形成される残しパターンであり、前記感光物体にはその表面にネガ型レジストによって感光層が形成されていることとすることができる。
【0032】
上記請求項1〜8に記載の光学特性計測方法において、請求項9に記載の光学特性計測方法の如く、前記第2工程では、前記第1領域を構成する前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域における像の形成状態を、撮像により得られた前記各区画領域のピクセルデータに関する代表値を判定値として検出することとすることができる。
【0033】
この場合において、請求項10に記載の光学特性計測方法の如く、前記代表値は、前記各区画領域の少なくとも一部におけるピクセルデータの加算値、微分総和値、分散及び標準偏差の少なくとも1つであることとすることができる。
【0034】
なお、本明細書において、上記の代表値として用いられるピクセル値の加算値微分総和値、分散あるいは標準偏差などを、適宜、「スコア」あるいは「コントラストの指標値」などとも呼ぶものとする。
【0035】
上記請求項9及び10に記載の各光学特性計測方法の如く、請求項11に記載の光学特性計測方法の如く、前記像の形成状態の検出に際し、前記各区画領域のピクセルデータに関する代表値を所定の閾値と比較して二値化することとすることができる。
【0036】
上記請求項1〜8に記載の光学特性計測方法において、請求項12に記載の光学特性計測方法の如く、前記第2工程では、前記第1領域を構成する前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域に対応する撮像データを用い、その撮像データ中の所定方向のピクセル列毎のピクセル値の加算値の分布に基づいて前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる区画領域を検出することとすることができる。
【0037】
上記請求項1〜12に記載の各光学特性計測方法において、請求項13に記載の光学特性計測方法の如く、前記第1工程では、前記露光条件として、前記投影光学系の光軸方向に関する前記感光物体の位置をも変更しながら、前記計測用パターンを前記感光物体上に順次転写し、前記第3工程では、前記第2工程で検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報に対応する露光用エネルギビームのエネルギ量と前記投影光学系の光軸方向に関する前記感光物体の位置との相関関係に基づいて最良フォーカス位置を決定することとすることができる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、露光用のエネルギビームをマスクに照射し、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して感光物体上に転写する露光方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学特性計測方法によって計測された前記光学特性を考慮して前記投影光学系を調整する工程と;前記調整された投影光学系を介して前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上に転写する工程と;を含む露光方法である。
【0039】
これによれば、請求項1〜13に記載の各光学特性計測方法によって計測された投影光学系の光学特性を考慮して最適な転写が行えるように投影光学系が調整され、その調整された投影光学系を介してマスクに形成されたパターンを物体上に転写するので、微細パターンを感光物体上に高精度に転写することができる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項14に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス製造方法である。
【0041】
これによれば、リソグラフィ工程で、請求項14に記載の露光方法により微細パターンを感光物体上に精度良く転写することができるので、結果的に高集積度のデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図19に基づいて説明する。
【0043】
図1には、本発明に係る光学特性計測方法及び露光方法を実施するのに好適な一実施形態に係る露光装置100の概略的な構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナーとも呼ばれる))である。
【0044】
この露光装置100は、照明系IOP、マスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターンの像を感光剤(フォトレジスト)が塗布された物体としてのウエハW上に投影する投影光学系PL、ウエハWを保持して2次元平面(XY平面内)を移動するXYステージ20、XYステージ20を駆動する駆動系22、及びこれらの制御系等を備えている。この制御系は装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などから成る主制御装置28を中心として構成されている。
【0045】
前記照明系IOPは、図2に示されるように、光源1、ビーム整形光学系2、エネルギ粗調器3、オプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)4、照明系開口絞り板5、ビームスプリッタ6、第1リレーレンズ7A、第2リレーレンズ7B、視野絞りとしてのレチクルブラインド8(本実施形態では固定レチクルブラインド8Aと可動レチクルブラインド8Bとを含む)、及び光路折り曲げ用のミラーM等を備えている。なお、オプティカルインテグレータ4としては、フライアイレンズ、ロッド型(内面反射型)インテグレータ、あるいは回折光学素子などを用いることができる。本実施形態では、オプティカルインテグレータ4としてフライアイレンズが用いられているので、以下では、フライアイレンズ4とも呼ぶ。
【0046】
ここで、この照明系IOPの上記構成各部について説明する。光源1としては、KrFエキシマレーザ(発振波長248nm)やArFエキシマレーザ(発振波長193nm)等が使用される。光源1は、実際には、露光装置本体が設置されるクリーンルーム内の床面、あるいは該クリーンルームとは別のクリーン度の低い部屋(サービスルーム)等に設置され、不図示の引き回し光学系を介してビーム整形光学系2の入射端に接続されている。
【0047】
前記ビーム整形光学系2は、光源1からパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたフライアイレンズ4に効率よく入射するように整形するもので、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等で構成される。
【0048】
前記エネルギ粗調器3は、ビーム整形光学系2後方のレーザビームLBの光路上に配置され、ここでは、回転板31の周囲に透過率(=1−減光率)の異なる複数個(例えば6個)のNDフィルタ(図2ではその内の2個のNDフィルタ32A、32Dのみが示されている)を配置し、その回転板31を駆動モータ33で回転することにより、入射するレーザビームLBに対する透過率を100%から等比級数的に複数段階で切り換えることができるようになっている。駆動モータ33は、主制御装置28によって制御される。
【0049】
前記フライアイレンズ4は、エネルギ粗調器3後方のレーザビームLBの光路上に配置され、レチクルRを均一な照度分布で照明するためにその射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源、すなわち2次光源を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「照明光IL」と呼ぶものとする。
【0050】
前記フライアイレンズ4の射出側焦点面の近傍に、円板状部材から成る照明系開口絞り板5が配置されている。この照明系開口絞り板5には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図2ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板5は、主制御装置28により制御されるモータ等の駆動装置51により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。なお、開口絞り板5の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系内に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを、光源1(具体的はエネルギ粗調器3)とオプティカルインテグレータ4との間に配置し、オプティカルインテグレータ4がフライアイレンズであるときはその入射面上での照明光ILの強度分布、オプティカルインテグレータ4が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光ILの入射角度範囲などを可変とすることで、照明光学系の瞳面上での照明光ILの光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわち照明条件の変更に伴なう光量損失を抑えることが望ましい。
【0051】
照明系開口絞り板5後方の照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ6が配置され、更にこの後方の光路上に、前述のレチクルブラインド8を介在させて第1リレーレンズ7A及び第2リレーレンズ7Bから成るリレー光学系が配置されている。
【0052】
前記レチクルブラインド8を構成する固定レチクルブラインド8Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上で照明光ILが照射される矩形の照明領域(本実施形態ではX軸方向を長手方向としてその中心が照明光学系の光軸と一致)を規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド8Aの近傍に走査方向(本実施形態では、図1及び図2における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド8Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド8Bを介して照明領域を更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。さらに、可動レチクルブラインド8Bは走査方向と直交する非走査方向に対応する方向に関しても開口部の幅が可変であり、ウエハ上に転写すべきレチクルRのパターンに応じて照明領域の非走査方向の幅を調整できるようになっている。
【0053】
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ7B後方の照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ7Bを通過した照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置されている。
【0054】
一方、ビームスプリッタ6による反射光路上には、集光レンズ52を介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ53が配置されている。このインテグレータセンサ53としては、例えば遠紫外域で感度があり、且つ光源ユニット1のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。このインテグレータセンサ53の出力DPと、ウエハW表面上での照明光ILの照度(強度)との相関係数(又は相関関数)は予め求められて、主制御装置28内部のメモリ内に記憶されている。
【0055】
このようにして構成された照明系IOPの作用を簡単に説明すると、光源1からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形光学系2に入射して、ここで後方のフライアイレンズ4に効率良く入射するようにその断面形状が整形された後、エネルギ粗調器3に入射する。そして、このエネルギ粗調器3のいずれかのNDフィルタを透過したレーザビームLBは、フライアイレンズ4に入射する。これにより、フライアイレンズ4の射出側焦点面に前述の2次光源が形成される。この2次光源から射出された照明光ILは、照明系開口絞り板5上のいずれかの開口絞りを通過した後、透過率が大きく反射率が小さなビームスプリッタ6に至る。このビームスプリッタ6を透過した照明光ILは、第1リレーレンズ7Aを経てレチクルブラインド8の開口部を通過した後、第2リレーレンズ7Bを通過してミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域を均一な照度分布で照明する。
【0056】
一方、ビームスプリッタ6で反射された照明光ILは、集光レンズ52を介してインテグレータセンサ53で受光され、インテグレータセンサ53の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して出力DP(digit/pulse)として主制御装置28に供給される。
【0057】
図1に戻り、前記レチクルステージRSTは、照明系IOPの図1における下方に配置されている。このレチクルステージRST上にレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルステージ駆動部によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡12を介して外部のレーザ干渉計14によって計測され、このレーザ干渉計14の計測値が主制御装置28に供給されるようになっている。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工してレーザ干渉計14の反射面(前述の移動鏡12の反射面に相当)を形成しても良い。
【0058】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に、その光軸AXpの方向がXY面に直交するZ軸方向となるように配置されている。この投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系であって、Z軸方向の共通の光軸AXpを有する複数枚のレンズエレメント(図示省略)から成る屈折光学系が用いられている。レンズエレメントのうちの特定の複数枚は、主制御装置28からの指令に基づいて、図示しない結像特性補正コントローラによって制御され、投影光学系PLの光学特性(結像特性を含む)、例えば倍率、ディストーション、コマ収差、及び像面湾曲などを調整できるようになっている。
【0059】
この投影光学系PLの投影倍率は、例えば1/4(あるいは1/5)などとされている。このため、前述の如く照明光ILによりレチクルRが均一な照度で照明されると、レチクルR上で照明領域内のパターンの一部が投影光学系PLにより縮小されて、フォトレジストが塗布されたウエハW上に投影され、ウエハW上にパターンの縮小像が形成される。
【0060】
前記XYステージ20は、実際には不図示のベース上で、例えばリニアモータにより2次元移動可能となっている。このXYステージ20上にウエハテーブル18が搭載され、このウエハテーブル18上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって保持されている。
【0061】
前記ウエハテーブル18は、ウエハWを保持するウエハホルダをZ軸方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動するもので、Z・チルトステージとも称される。このウエハテーブル18の上面には、移動鏡24が設けられており、この移動鏡24にレーザビームを投射して、その反射光を受光することにより、ウエハテーブル18のXY面内の位置を計測するレーザ干渉計26が移動鏡24の反射面に対向して設けられている。なお、実際には、移動鏡はX軸に直交する反射面を有するX移動鏡と、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡とが設けられ、これに対応してレーザ干渉計もX方向位置計測用のXレーザ干渉計とY方向位置計測用のYレーザ干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表して移動鏡24、レーザ干渉計26として図示されている。なお、Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハテーブル18のX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではレーザ干渉計26によって、ウエハテーブル18のX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。また、移動鏡24の代わりにウエハテーブル18の端面を鏡面加工して反射面として用いても良い。
【0062】
レーザ干渉計26の計測値は主制御装置28に供給され、主制御装置28はこのレーザ干渉計26の計測値に基づいて駆動系22を介してXYステージ20を制御することにより、ウエハテーブル18のXY面内の位置(θz回転を含む)を制御する。
【0063】
また、ウエハW表面のZ軸方向の位置及び傾斜量は、例えば特開平6−283403号公報等に開示される送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによって計測されるようになっている。このフォーカスセンサAFSの計測値も主制御装置28に供給されており、主制御装置28は、フォーカスセンサAFSの計測値に基づいて駆動系22を介してウエハテーブル18をZ方向、θx方向及びθy方向に駆動して、投影光学系PLの光軸方向に関するウエハWの位置及び傾きを制御するようになっている。
【0064】
このようにしてウエハテーブル18を介してウエハWがX、Y、Z、θx、θyの5自由度方向の位置及び姿勢制御がなされるようになっている。なお、残りのθz(ヨーイング)の誤差については、レーザ干渉計26で計測されたウエハテーブル18のヨーイング情報に基づいてレチクルステージRSTとウエハテーブル18との少なくとも一方を回転させることによって補正される。
【0065】
また、ウエハテーブル18上には、その表面がウエハWの表面と同じ高さになるような基準板FPが固定されている。この基準板FPの表面には、後述するアライメント検出系のいわゆるベースライン計測等に用いられる基準マークを含む各種の基準マークが形成されている。
【0066】
更に、本実施形態では、投影光学系PLの側面に、ウエハWに形成されたアライメントマークを検出するマーク検出系としてのオフ・アクシス方式のアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系が用いられており、基準板FP上の基準マーク及びウエハW上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能である。
【0067】
アライメント制御装置16は、アライメント検出系ASからの情報DSをA/D変換し、このデジタル化された波形信号を演算処理してアライメント検出系ASの検出中心に対するマークの位置情報を算出する。このとき、アライメント制御装置16には、レーザ干渉計26の計測値も供給されており、アライメント制御装置16では、算出したマークの位置情報をレーザ干渉計26の測長軸で規定されるステージ座標系上の位置情報に換算してその換算結果、すなわちマークの座標値を主制御装置28に供給するようになっている。
【0068】
なお、アライメント検出系ASは、上述のFIA系の他、コヒーレントな検出光を対象に照射し、その対象から発生する散乱光又は回折光を検出するアライメントセンサや、その対象から発生する2つの回折光(例えば同次数)を干渉させて検出するアライメントセンサなどの各種のアライメントセンサを、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることもできる。
【0069】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマーク又はレチクルステージRST上の基準マーク(共に図示省略)と基準板FP上のマークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられている。これらのレチクルアライメント検出系の検出信号は、アライメント制御装置16を介して主制御装置28に供給されるようになっている。
【0070】
次に、本発明に係る投影光学系の光学特性を計測するのに用いられるレチクルの一例について説明する。
【0071】
図3には、投影光学系の光学特性を計測するのに用いられるレチクルRTの一例が示されている。この図3は、レチクルRTをパターン面側(図1における下面側)から見た平面図である。この図3に示されるように、レチクルRTは、ほぼ長方形のマスク基板としてのガラス基板42の中央に、クロム等の遮光部材から成るパターン領域PAが形成されている。図3中で点線で示される矩形領域IARは、照明光学系及び投影光学系の光軸と中心が一致する前述の照明領域であり、図3では、レチクルRTはそのパターン領域PAの中心が照明領域IARの中心とほぼ一致して配置されている。この照明領域IAR内部には、その中心(すなわちレチクルRTの中心(レチクルセンタ)に一致)及びその中心の周辺部8箇所の合計9箇所に例えばラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)から成る計測用パターンMP1〜MP9がそれぞれ形成されている。この場合、計測用パターンMP4とMP6とは、中央の計測用パターンMP5を中心として、X軸方向の一側と他側に同一距離(例えば500μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ配置されている。また、計測用パターンMP1とMP7とは、計測用パターンMP4を中心として、Y軸方向の一側と他側に同一距離(300μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。また、計測用パターンMP2とMP8とは、計測用パターンMP5を中心として、Y軸方向の一側と他側に同一距離(300μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。また、計測用パターンMP3とMP9とは、計測用パターンMP6を中心としてY軸方向の一側と他側に同一距離(300μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0072】
計測用パターンMPn(n=1〜9)のそれぞれは、一例としてX軸方向を周期方向とし、線幅約1.3μm、長さ約12μm程度の5本のラインパターンが、ピッチ約2.6μmで配列されたマルチバーパターンによって構成されている。計測用パターンMPnのそれぞれは、ライン部が光透過部から成る抜きパターンである。
【0073】
本実施形態では、上記の計測用パターンMPnの配置から明らかなように、X軸方向に隣り合う計測用パターン相互の間には、配列ピッチを20μmとして、24個の計測用パターンを配置でき、Y軸方向に隣り合う計測用パターンの相互の間には、配列ピッチを同じく20μmとして、14個の計測用パターンを配置できるようになっている。この場合、ウエハWのステップピッチを5μmとして、ステップ・アンド・リピート方式(又はステップ・アンド・スキャン方式)でレチクルRTのパターンをウエハW上に転写すると、上述の計測用パターンの構成説明からわかるように、ウエハW上の5μm角の各区画領域(ショット領域)内の約60%の領域内に計測用パターンMPnの転写像が形成されるようになっている。
【0074】
また、前述のレチクルセンタを通るパターン領域PAのX軸方向の両側には、一対のレチクルアライメントマークRM1,RM2が形成されている。
【0075】
また、パターン領域PAのレチクルセンタから+Y側に所定距離L1(L1は例えば40mm)離れた位置には、その位置(点)を中心とする、3行3列のマトリック状配置の9個の長方形枠状の光透過部によって形成された枠パターンAPが形成されている。この枠パターンAPを構成する各光透過部は、460μm(X軸方向の長さ)×260μm(Y軸方向の長さ)の長方形領域を取り囲む所定幅、例えば20μmの長方形枠状のパターン(以下、便宜上「長方形パターン」と呼ぶ)である。隣接する長方形パターン同士の中心間距離は、X軸方向に約500μm、Y軸方向に約300μmとなっている。
【0076】
レチクルRT上の各パターンは、実際には上述したような寸法関係となっているが、図3では図示の便宜上から大きさ、寸法の関係は実際と異なるものとして図示されている。
【0077】
次に、本実施形態の露光装置100における投影光学系PLの光学特性の計測方法について、主制御装置28内のCPUの処理アルゴリズムを簡略化して示す図4及び図5のフローチャートに沿って、かつ適宜他の図面を用いて説明する。
【0078】
先ず、図4のステップ402において、不図示のレチクルローダを介してレチクルステージRST上にレチクルRTをロードするとともに、不図示のウエハローダを介してウエハWTをウエハテーブル18上にロードする。
【0079】
次のステップ404において、レチクルRTの投影光学系PLに対する位置合わせ、レチクルブラインドの設定などの所定の準備作業を行う。具体的には、まず、ウエハテーブル18上に設けられた基準板FPの表面に形成されている一対の基準マーク(不図示)の中点が投影光学系PLの光軸とほぼ一致するように、レーザ干渉計26の計測結果をモニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20を移動する。次いで、レチクルRTの中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸とほぼ一致するように、レーザ干渉計14の計測値に基づいて、レチクルステージRSTの位置を不図示のレチクルステージ駆動部を介して調整する。このとき、例えば、前述のレチクルアライメント検出系(不図示)により投影光学系PLを介してレチクルアライメントマークRM1,RM2と対応する前記基準マークとの相対位置を検出する。そして、レチクルアライメント検出系によって検出された前記相対位置の検出結果に基づいてレチクルアライメントマークRM1,RM2と対応する前記基準マークとの相対位置誤差がともに最小となるように不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTのXY面内の位置を調整する。これにより、レチクルRTの中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸と正確にほぼ一致するとともにレチクルRTの回転角もレーザ干渉計26の測長軸で規定される直交座標系の座標軸に正確に一致する。
【0080】
なお、レチクルRT上で非走査方向(X軸方向)に関して照明領域IARの幅がパターン領域PAの幅よりも大きいときは、照明領域IARの幅がパターン領域PAの幅と同程度以下となるように、照明系IOP内の可動レチクルブラインド8Bの非走査方向の開口幅を調整する。
【0081】
このようにして、所定の準備作業が終了すると、次のステップ408に移行して、露光エネルギ量の目標値を初期化する。すなわち、カウンタjに初期値「1」を設定して露光エネルギ量の目標値PjをP1に設定する(j←1)。本実施形態では、カウンタjは、露光エネルギ量の目標値の設定とともに、露光の際のウエハWTの行方向の移動目標位置の設定にも用いられる。なお、本実施形態では、ウエハWTの表面にポジ型レジストが塗布され、例えばポジ型レジストに関する既知の最適露光量より所定量小さい値を中心として、露光エネルギ量をP1からΔP刻みでPN(一例としてN=23)まで変化させる(Pj=P1〜P23)。この場合、露光量PNが上記の最適露光量とほぼ同じ露光量となる。
【0082】
次のステップ410では、ウエハWTのフォーカス位置(Z軸方向の位置)の目標値を初期化する。すなわち、カウンタiに初期値「1」を設定してウエハWTのフォーカス位置の目標値ZiをZ1に設定する(i←1)。本実施形態では、カウンタiは、ウエハWTのフォーカス位置の目標値の設定とともに、露光の際のウエハWTの列方向の移動目標位置の設定にも用いられる。なお、本実施形態では、例えば投影光学系PLに関する既知の最良フォーカス位置(設計値など)を中心としてウエハWTのフォーカス位置をZ1からΔZ刻みでZM(一例としてM=13)まで変化させる(Zi=Z1〜Z13)。
【0083】
従って、本実施形態では、投影光学系PLの光軸方向に関するウエハWTの位置とウエハWT上に照射される照明光ILのエネルギ量をそれぞれ変更しながら、計測用パターンMPn(n=1〜9)をウエハWT上に順次転写するための、N×M(一例として23×13=299)回の露光が行われることになる。投影光学系PLの視野内の各評価点に対応するウエハWT上の領域(以下「評価点対応領域」という)DB1〜DB9の内の後述する第1領域DC1〜DC9(図7及び図8参照)には、N×M個の計測用パターンMPnが転写されることとなる。
【0084】
ここで、評価点対応領域DBn(n=1〜9)内の第1領域DCnとしているのは、本実施形態では、各評価点対応領域DBnは、上記のN×M個の計測用パターンMPnが転写される矩形の第1領域DCnと、該第1領域を囲む矩形枠状の第2領域DDnとによって構成されるからである(図8参照)。
【0085】
なお、この評価点対応領域DBn(すなわち第1領域DCn)は、投影光学系PLの視野内でその光学特性を検出すべき複数の評価点に対応している。
【0086】
ここで、説明は前後するが、便宜上、後述する露光によって、計測用パターンMPnが転写されるウエハWT上の各第1領域DCnについて、図6を用いて説明する。この図6に示されるように、本実施形態では、M行N列(13行23列)のマトリックス状に配置されたM×N(=13×23=299)個の仮想の区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)に計測用パターンMPnがそれぞれ転写され、これら計測用パターンMPnがそれぞれ転写されたM×N個の区画領域DAi,jから成る第1領域DCnがウエハWT上に形成される。なお、仮想の区画領域DAi,jは、図6に示されるように、+X方向が行方向(jの増加方向)となり、+Y方向が列方向(iの増加方向)となるように配列されている。また、以下の説明において用いられる添え字i,j、及びM,Nは、上述と同じ意味を有するものとする。
【0087】
図4に戻り、次のステップ412では、ウエハWT上の各評価点対応領域DBn内の仮想の区画領域DAi,j(ここではDA1,1(図7参照))に計測用パターンMPnの像がそれぞれ転写される位置に、レーザ干渉計26の計測値をモニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20(ウエハWT)を移動する。
【0088】
次のステップ414では、ウエハWTのフォーカス位置が設定された目標値Zi(この場合Z1)と一致するように、フォーカスセンサAFSからの計測値をモニタしながらウエハテーブル18をZ軸方向(及び傾斜方向)に微少駆動する。
【0089】
次のステップ416では、露光を実行する。このとき、ウエハWT上の一点における露光エネルギ量(積算露光量)が設定された目標値(この場合P1)となるように、露光量制御を行う。この露光エネルギ量の制御方法としては、例えば、次の第1〜第3の方法を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0090】
すなわち、第1の方法として、パルスの繰り返し周波数を一定に維持し、エネルギ粗調器3を用いてレーザビームLBの透過率を変化させ像面(ウエハ面)に与えられる照明光ILのエネルギ量を調整する。第2の方法として、パルスの繰り返し周波数を一定に維持し、光源1に指示を与えてレーザビームLBの1パルス当たりのエネルギを変化させることにより像面(ウエハ面)に与えられる照明光ILのエネルギ量を調整する。第3の方法として、レーザビームLBの透過率及びレーザビームLBの1パルス当たりのエネルギを一定に維持し、パルスの繰り返し周波数を変更することによって、像面(ウエハ面)に与えられる照明光ILのエネルギ量を調整する。
【0091】
これにより、図7に示されるように、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DA1,1にそれぞれ計測用パターンMPnの像が転写される。
【0092】
図4に戻り、上記ステップ416の露光が終了すると、次のステップ420に移行する。このステップ420では、ウエハWTのフォーカス位置の目標値がZM以上であるか否かを判断することにより、所定のZ範囲での露光が終了したか否かを判断する。ここでは、最初の目標値Z1での露光が終了しただけなので、ステップ422に移行し、カウンタiを1インクリメントする(i←i+1)。これにより、ウエハWTのフォーカス位置の目標値にΔZが加算される。ここでは、フォーカス位置の目標値がZ2(=Z1+ΔZ)に変更される。その後、ステップ412に戻る。
【0093】
このステップ412において、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DA2,1に計測用パターンMPnの像がそれぞれ転写される位置にウエハWTが位置決めされるように、XYステージ20を所定のステップピッチSPだけXY面内で所定方向(この場合−Y方向)に移動する。ここで、本実施形態では、上記のステップピッチSPが、例えば約5μmに設定されている。
【0094】
次のステップ414では、ウエハWTのフォーカス位置が目標値(この場合Z2)と一致するように、ウエハテーブル18をΔZだけ光軸AXpの方向にステップ移動し、ステップ416において前述と同様にして露光を行い、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DA2,1に計測用パターンMPnをそれぞれ転写する。ここで、区画領域DA2,1は、一辺の長さが上記のステップピッチSPに一致する仮想の区画領域であり、各第1領域DCnの区画領域DA1,1と区画領域DA2,1との境界部分に枠線が存在するわけではない。前述した区画領域DA1,1及び後述する他の区画領域DAi,j(i=3〜M、j=1〜N)も、上記区画領域DA1,1と同様の仮想の区画領域である。
【0095】
以後、ステップ420における判断が肯定されるまで、すなわちそのとき設定されているウエハWTのフォーカス位置の目標値がZMであると判断されるまで、ステップ420→422→412→414→416のループの処理(判断を含む)を繰り返す。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DAi,1(i=3〜M)に計測用パターンMPnがそれぞれ転写される。但し、この場合も、隣接する区画領域間の境界には、前述と同様に枠線が存在しない。
【0096】
一方、区画領域DAM,1に対する露光が終了し、上記ステップ420における判断が肯定されると、ステップ424に移行し、そのとき設定されている露光エネルギ量の目標値がPN以上であるか否かを判断する。ここでは、そのとき設定されている露光エネルギ量の目標値はP1であるため、このステップ424における判断は、否定され、ステップ426に移行する。
【0097】
ステップ426では、カウンタjを1インクリメントする(j←j+1)。これにより、露光エネルギ量の目標値にΔPが加算される。ここでは、露光エネルギ量の目標値がP2(=P1+ΔP)に変更される。その後、ステップ410に戻る。
【0098】
ステップ410においてウエハWTのフォーカス位置の目標値が初期化された後、ステップ412→414→416→420→422のループの処理(判断を含む)を繰り返す。このループの処理は、ステップ420における判断が肯定されるまで、すなわち露光エネルギ量の目標値P2での、所定のウエハWTのフォーカス位置範囲(Z1〜ZM)についての露光が終了するまで、繰り返される。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DAi,2(i=1〜M)に計測用パターンMPnがそれぞれ転写される。但し、この場合も、隣接する区画領域間の境界には、前述と同様に枠線が存在しない。
【0099】
一方、露光エネルギ量の目標値P2での、所定のウエハWTのフォーカス位置範囲(Z1〜ZM)についての露光が終了すると、ステップ420における判断が肯定され、ステップ424に移行し、設定されている露光エネルギ量の目標値がPN以上であるか否かを判断する。この場合、露光エネルギ量の目標値はP2であるため、このステップ424における判断は、否定され、ステップ426に移行する。ステップ426において、カウンタjを1インクリメントする。これにより、露光エネルギ量の目標値にΔPが加算される。ここでは、露光エネルギ量の目標値がP3に変更される。その後、ステップ410に戻り、以後、上記と同様の処理(判断を含む)を繰り返す。
【0100】
このようにして、所定の露光エネルギ量の範囲(P1〜PN)についての露光が終了すると、ステップ424における判断が肯定され、図5のステップ428に移行する。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnには、図7に示されるように、それぞれ露光条件が異なるN×M(一例として23×13=299)個の計測用パターンMPnの転写像(潜像)が形成される。なお、実際には、上述のようにして、ウエハWT上に計測用パターンMPnの転写像(潜像)が形成された段階で、その転写像をその内部に含むN×M(一例として23×13=299)個の仮想の区画領域DAi,jから成る各第1領域DCnが形成されるのであるが、上記の説明では、説明を分かり易くするために、第1領域DCnが予めウエハWT上にあるかのような説明方法を採用したものである。
【0101】
図5のステップ428では、レチクルRT上の枠パターンAPを構成する各長方形パターンが、ウエハWT上に形成された各評価点対応領域DBnの第1領域DCnの輪郭に正確に一致するように、レチクルRTとウエハWTとを次のようにして移動(位置決め)する。
【0102】
すなわち、まず、レーザ干渉計14の計測値に基づいて、不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTを−Y方向に前述の距離L1(L1は、例えば40mm)移動する。これにより、枠パターンAPの中心が投影光学系PLの光軸とほぼ一致するとともに枠パターンAPの回転角もレーザ干渉計26の測長軸で規定される直交座標系の座標軸に正確に一致する。次に、レーザ干渉計26の計測結果をモニタしつつ駆動系22を介してウエハWT上の第1領域DB5の中心が投影光学系PLの光軸とほぼ一致する位置にXYステージ20を移動する。この際、ウエハWTの回転誤差が移動の前後で生じないようにする。
【0103】
上記のようにしてレチクルRTとウエハWTとの位置決めが終了すると、次のステップ430に進み、露光を実行する。このとき、ウエハWT上の一点における露光エネルギ量(積算露光量)が既知の最適露光量より所定量大きな値となるように露光量制御を行う。
【0104】
これにより、ウエハWT上には、図8に示されるような矩形(長方形)の第1領域DCnと、これを取り囲む矩形枠状の第2領域DDnとから成る、評価点対応領域DBn(n=1〜9)の潜像が形成される。この場合、第2領域DDnは、明らかに過露光(オーバードーズ)状態となっている。
【0105】
このようにしてウエハWTに対する露光が終了すると、図5のステップ450に移行する。このステップ450では、不図示のウエハアンローダを介してウエハWTをウエハテーブル18上からアンロードするとともに不図示のウエハ搬送系を用いてウエハWTを露光装置100にインラインにて接続されている不図示のコータ・デベロッパに搬送する。
【0106】
上記のコータ・デベロッパに対するウエハWTの搬送後に、ステップ452に進んでウエハWTの現像が終了するのを待つ。このステップ452における待ち時間の間に、コータ・デベロッパによってウエハWTの現像が行われる。この現像の終了により、ウエハWT上には、図8に示されるような矩形(長方形)の第1領域DCnと、これを取り囲む矩形枠状の第2領域DDnとから成る、評価点対応領域DBn(n=1〜9)のレジスト像が形成され、このレジスト像が形成されたウエハWTが投影光学系PLの光学特性を計測するための試料となる。図9には、ウエハWT上に形成された評価点対応領域DB1のレジスト像の一例が示されている。
【0107】
この図9では、評価点対応領域DB1は、第2領域DD1の内部にN×M=23×13=299個の区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)が配置され、隣接する区画領域相互間に仕切りの枠のレジスト像が存在するかのように図示されているが、これは個々の区画領域を分かり易くするためにこのようにしたものである。しかし、実際には、隣接する区画領域相互間に仕切りの枠のレジスト像は存在しない。このように枠を無くすことにより、従来問題となっていた、FIA系のアライメントセンサなどによる画像取り込みに際して、枠による干渉に起因してパターン部のコントラスト低下が生じるのを防止できる。
【0108】
また、この場合、隣接する区画領域間のマルチバーパターンから成る計測用パターンMPnのレジスト像同士の距離をLとすると、この距離Lは、一方の計測用パターンMPnの像のコントラストに他方の計測用パターンMPnの像の存在が影響を与えない程度の距離とされている。この距離Lは、区画領域を撮像する撮像装置(本実施形態の場合、アライメント検出系AS(FIA系のアライメントセンサ))の解像度をRf、計測用パターンの像のコントラストをCf、レジストの反射率、屈折率などを含むプロセスによって定まるプロセスファクタをPf、アライメント検出系AS(FIA系のアライメントセンサ)の検出波長をλfとした場合に、一例として、L=f(Cf、Rf、Pf、λf)なる関数で表すことができる。
【0109】
なお、プロセスファクタPfは、像のコントラストに影響を与えるので、プロセスファクタを含まない関数L=f’(Cf、Rf、λf)なる関数によって距離Lを規定しても良い。
【0110】
また、図9からもわかるように、矩形(長方形)の第1領域DC1を取り囲む矩形枠状の第2領域DD1には、当然にパターンは存在しない。この場合、第2領域DD1及び計測用パターン像が形成された区画領域内のパターン部が、レジストが少なくとも一部除去された部分であり、その他がレジストが残存する部分である。このうち、第2領域DD1は、露光の際に過露光となる露光エネルギを設定したので、完全にレジストが除去されている。このようにしたのは、後述する外枠検出の際にその外枠部のコントラストを向上させ、検出信号のS/N比を高くするためである。
【0111】
上記ステップ452の待ち状態で、不図示のコータ・デベロッパの制御系からの通知によりウエハWTの現像が終了したことを確認すると、ステップ454に移行し、不図示のウエハローダに指示を出して、前述のステップ402と同様にしてウエハWTをウエハテーブル18上に再度ロードした後、ステップ456の投影光学系の光学特性を算出するサブルーチン(以下、「光学特性計測ルーチン」とも呼ぶ)に移行する。
【0112】
この光学特性計測ルーチンでは、まず、図10のステップ502において、カウンタnを参照して、ウエハWT上の評価点対応領域DBnのレジスト像がアライメント検出系ASで検出可能となる位置にウエハWTを移動する。この移動、すなわち位置決めは、レーザ干渉計26の計測値をモニタしつつ、駆動系22を介してXYステージ20を制御することにより行う。ここで、カウンタnは、n=1に初期化されているものとする。従って、ここでは、図9に示されるウエハWT上の評価点対応領域DB1のレジスト像がアライメント検出系ASで検出可能となる位置にウエハWTが位置決めされる。なお、以下の光学特性計測ルーチンの説明では、評価点対応領域DBnのレジスト像を、適宜「評価点対応領域DBn」と略述するものとする。
【0113】
次のステップ504では、ウエハWT上の評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)のレジスト像をアライメント検出系ASを用いて撮像し、その撮像データを取り込む。なお、アライメント検出系ASは、レジスト像を自身の有する撮像素子(CCD等)のピクセル単位に分割し、ピクセル毎に対応するレジスト像の濃淡を8ビットのデジタルデータ(ピクセルデータ)として主制御装置28に供給するようになっている。すなわち、前記撮像データは、複数のピクセルデータで構成されている。なお、ここでは、レジスト像の濃度が高くなる(黒に近くなる)につれてピクセルデータの値は大きくなるものとする。
【0114】
次のステップ506では、アライメント検出系ASからの評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)に形成されたレジスト像の撮像データを整理し、撮像データファイルを作成する。
【0115】
次のステップ508では、評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)の外縁である長方形(矩形)の外枠を検出する。この外枠の検出は、一例として、概ね下記のA.〜D.のようにして行われる。
【0116】
A. まず、評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)の画像中心近傍を通る縦方向(Y軸にほぼ平行な方向)のピクセル列情報を用いて、下記のa.〜c.のような手順で境界検出を行い、評価点対応領域DBnの上辺及び下辺の大まかな位置を検出する。
a. まず、境界検出用の直線状のピクセル列のデータ(ピクセル列データ)を前述の撮像データファイルの中から抽出する。このピクセル列データに対応する波形データと所定の閾値t(スレッショルドレベルライン)との交点(すなわち、閾値tが波形データを横切る点)を求める。この場合、実際にはピクセル列を外側から内側に走査することによって交点が検出される。従って、交点は、少なくとも2点検出される。
b.次に、求めた各交点の位置からそれぞれ双方向にピクセル列を走査し、各交点の近傍のピクセル値の極大値及び極小値を、それぞれ求め、求めた極大値及び極小値の平均値を算出し、これを新たな閾値t’とする。この場合、交点が少なくとも2点あるので、新たな閾値t’も交点毎に求められることになる。
c.次に、求めた交点毎の、極大値と極小値との間で、閾値t’と波形データとの交点(すなわち、閾値t’が波形データを横切る点)をそれぞれ求め、その求めた各点(ピクセル)の位置を境界位置とする。すなわち、このようにして境界位置(この場合、評価点対応領域DBnの上辺及び下辺の大まかな位置)を算出する。
【0117】
B. 次に、上記のようにして求めた上辺の僅かに下方、下辺の僅かに上方の横方向のピクセル列情報を用いて、上記A.と同様にして境界検出を行い、左辺、右辺上の点を各2点検出する。
【0118】
C. 次に、求めた左辺より僅かに右側、右辺より僅かに左側の縦方向のピクセル列情報を用いて、上記A.と同様にして境界検出を行い、上辺、下辺上の点を各2点検出する。
【0119】
D. 次に、上記B.及びC.で検出された8点の位置情報を用いて、所定の演算により、矩形の外枠DBF(図9参照)の4頂点の位置情報を算出する。
【0120】
E. 次いで、その求めた4頂点の位置情報(座標)を用いて、最小二乗法を利用した長方形近似演算を行うことにより、回転を含めた評価点対応領域DBnの外枠DBFを算出する。
【0121】
上記のようにして、評価点対応領域DBnの外枠DBFを算出(検出)すると、次のステップ518では、検出した外枠DBFを基準として、既知の位置関係から第1領域DCnの矩形の輪郭を推定し、その推定した輪郭を、既知の区画領域の縦方向の数=M=13、区画領域の横方向の数=N=23を用いて、等分割し、各区画領域DAi,j(i=1〜13、j=1〜23)を求める。すなわち、外枠DBFを基準として、各区画領域を求める。
【0122】
図12には、このようにして求められた、第1領域DCnを構成する各区画領域DAi,j(i=1〜13、j=1〜23)が示されている。
【0123】
図10に戻り、次のステップ520では、各区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)について、ピクセルデータに関する代表値(以下、適宜「スコア」とも呼ぶ)を算出する。
【0124】
以下、スコアEi,j(i=1〜M、j=1〜N)の算出方法について詳述する。
【0125】
通常、撮像された計測対象において、パターン部分と非パターン部分にはコントラスト差がある。パターンが出現していない領域内には非パターン領域輝度をもつピクセルだけが存在し、一方、パターンが出現した領域内にはパターン領域輝度をもつピクセルと非パターン領域輝度を持つピクセルとが混在する。従って、パターン有無判別を行うための代表値(スコア)として、各区画領域内でのピクセル値のばらつきを用いることができる。
【0126】
本実施形態では、一例として、区画領域内の指定範囲のピクセル値の分散(又は標準偏差)を、スコアEとして採用するものとする。
【0127】
指定範囲内のピクセルの総数をS、k番目のピクセルの輝度値をIkとすると、スコアEは次式(1)で表せる。
【0128】
【数1】
【0129】
本実施形態の場合、前述した区画領域のサイズと計測用パターンMPnのウエハ上のサイズとの関係から容易に想像されるように、パターン出現区画領域において、計測用パターンMPnは、区画領域DAi,jと中心を同じくし、該区画領域DAi,jをほぼ60%に縮小した範囲(領域)に存在することとなる。
【0130】
かかる点を考慮すると、上記の指定範囲として、例えば区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)と中心を同じくし、その領域を縮小した範囲をスコア算出に用いることができる。但し、その縮小率A(%)は以下のように制限される。
【0131】
まず、下限については、範囲が狭すぎるとスコア算出に用いる領域が、パターン部分のみになってしまい、そうするとパターン出現部でもばらつきが小さくなってパターン有無判別には利用できなくなる。この場合には、上述のパターンの存在範囲から明らかなように、A>60%である必要がある。また、上限については、当然100%以下だが、検出誤差などを考慮して100%より小さい比率にすべきである。これより、縮小率Aは、60%<A<100%に定める必要がある。
【0132】
本実施形態の場合、パターン部が区画領域の約60%を占めているため、スコア算出に用いる領域(指定範囲)の区画領域に対する比を上げるほどS/N比が上がるものと予想される。
【0133】
しかるに、スコア算出に用いる領域内でのパターン部と非パターン部の領域サイズが同じになれば、パターン有無判別のS/N比を最大にすることができる。本実施形態では、幾つかの比率を実験的に確認した結果、例えばA=90%との場合に最も安定した結果が得られたので、A=90%という比率を採用するものとする。勿論Aは、90%に限定されるものではなく、計測用パターンMPnとステップピッチSPによって決定されるウエハ上の区画領域とを考慮して、区画領域に対する計測用パターンMPnの像が占める割合を考慮して定めれば良い。また、スコア算出に用いる指定範囲は、区画領域と中心を同じくする領域に限定されるものではなく、計測用パターンMPnの像が区画領域内のどの位置に存在するかを考慮して定めれば良い。
【0134】
従って、ステップ520では、前記撮像データファイルから、各区画領域DAi,jの前記指定範囲内の撮像データを抽出し、上式(1)を用いて、各区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)のスコアEi,jを算出する。
【0135】
上記の方法で求めたスコアEは、パターンの有無具合を数値として表しているので、所定の閾値で二値化することによってパターン有無の判別を自動的にかつ安定して行うことが可能である。
【0136】
そこで、次のステップ522(図11)において、区画領域DAi,j毎に上で求めたスコアEi,jと所定の閾値SHとを比較して、各区画領域DAi,jにおける計測用パターンMPの像の有無を検出し、検出結果としての判定値Fi,j(i=1〜M、j=1〜N)を図示しない記憶装置に保存する。すなわち、このようにして、スコアEi,jに基づいて、区画領域DAi,j毎に計測用パターンMPnの像の形成状態を検出する。なお、像の形成状態としては、種々のものが考えられるが、本実施形態では、上述の如く、スコアEがパターンの有無具合を数値として表すものであるという点に基づいて、区画領域内にパターンの像が形成されているか否かに着目することとしたものである。
【0137】
ここでは、スコアEi,jが閾値SH以上の場合には、計測用パターンMPnの像が形成されていると判断し、検出結果としての判定値Fi,jを「0」とする。一方、スコアEi,jが閾値SH未満の場合には、計測用パターンMPnの像が形成されていないと判断し、検出結果としての判定値Fi,jを「1」とする。図13には、この検出結果の一例がテーブルデータとして示されている。この図13は、前述の図9に対応するものである。
【0138】
図13において、例えば、F12,16は、ウエハWTのZ軸方向の位置がZ12で、露光エネルギ量がP16のときに転写された計測用パターンMPnの像の形成状態の検出結果を意味し、一例として、図13の場合には、F12,16は、「1」という値になっており、計測用パターンMPnの像が形成されていないと判断されたことを示している。
【0139】
なお、閾値SHは、予め設定されている値であり、オペレータが図示しない入出力装置を用いて変更することも可能である。
【0140】
次のステップ524では、上述の検出結果に基づいて、フォーカス位置毎にパターンの像が形成されている区画領域の数を求める。すなわち、フォーカス位置毎に判定値「0」の区画領域が何個あるかを計数し、その計数結果をパターン出現数Ti(i=1〜M)とする。この際に、周囲の領域と異なる値を持ついわゆる跳び領域は無視する。例えば、図13の場合には、ウエハWTのフォーカス位置がZ1ではパターン出現数T1=8、Z2ではT2=11、Z3ではT3=14、Z4ではT4=16、Z5ではT5=16、Z6ではT6=13、Z7ではT7=11、Z8ではT8=8、Z9ではT9=5、Z10ではT10=3、Z11ではT11=2、Z12ではT12=2、Z13ではT13=2である。このようにして、フォーカス位置とパターン出現数Tiとの関係を求めることができる。
【0141】
なお、上記の跳び領域が生ずる原因として、計測時の誤認識、レーザのミスファイヤ、ゴミ、ノイズ等が考えられるが、このようにして生じた跳び領域がパターン出現数Tiの検出結果に与える影響を軽減するために、フィルタ処理を行っても良い。このフィルタ処理としては、例えば評価する区画領域を中心とする3×3の区画領域のデータ(判定値Fi,j)の平均値(単純平均値又は重み付け平均値)を求めることが考えられる。なお、フィルタ処理は、形成状態の検出処理前のデータ(スコアEi,j)に対して行っても勿論良く、この場合には、より有効に跳び領域の影響を軽減できる。
【0142】
次のステップ526では、パターン出現数からベストフォーカス位置を算出するためのn次の近似曲線(例えば4〜6次曲線)を求める。
【0143】
具体的には、上記ステップ524で検出されたパターンの出現数を、横軸をフォーカス位置とし、縦軸をパターン出現数Tiとする座標系上にプロットする。この場合、図14に示されるようになる。ここで、本実施形態の場合、ウエハWTの露光にあっては、各区画領域DAi,jを同一の大きさとし、かつ、行方向で隣接する区画領域間の露光エネルギの差を一定値(=ΔP)とし、列方向で隣接する区画領域間のフォーカス位置の差を一定値(=ΔZ)としたので、パターン出現数Tiが露光エネルギ量に比例するものとして扱うことができる。すなわち、図19において、縦軸は露光エネルギ量Pであると考えることもできる。
【0144】
上記のプロット後、各プロット点をカーブフィットすることによりn次の近似曲線(最小自乗近似曲線)を求める。これにより、例えば図19に点線で示されるような曲線P=f(Z)が求められる。
【0145】
図11に戻り、次のステップ528では、上記曲線P=f(Z)の極値(極大値又は極小値)の算出を試みるとともに、その結果に基づいて極値が存在するか否かを判断する。そして、極値が算出できた場合には、ステップ530に移行して極値におけるフォーカス位置を算出して、その算出結果を光学特性の一つである最良フォーカス位置とするとともに、該最良フォーカス位置を図示しない記憶装置に保存する。
【0146】
一方、上記ステップ528において、極値が算出されなかった場合には、ステップ532に移行して、ウエハWの位置変化(Zの変化)に対応する曲線P=f(Z)の変化量が最も小さいフォーカス位置の範囲を算出し、その範囲の中間の位置を最良フォーカス位置として算出し、その算出結果を最良フォーカス位置とするとともに、該最良フォーカス位置を図示しない記憶装置に保存する。すなわち、曲線P=f(Z)の最も平坦な部分に基づいてフォーカス位置を算出する。
【0147】
ここで、このステップ532のようなベストフォーカス位置の算出ステップを設けたのは、計測用パターンMPの種類やレジストの種類その他の露光条件によっては、例外的に上述の曲線P=f(Z)が明確なピークを持たないような場合があるのでこのような場合にも、ベストフォーカス位置をある程度の精度で算出できるようにしたものである。
【0148】
次のステップ534において、前述のカウンタnを参照して、全ての評価点対応領域DB1〜DB5について処理が終了したか否かを判断する。ここでは、評価点対応領域DB1についての処理が終了しただけであるため、このステップ534における判断は否定され、ステップ536に進んでカウンタnをインクリメント(n←n+1)した後、図10のステップ502に戻り、評価点対応領域DB2がアライメント検出系ASで検出可能となる位置に、ウエハWTを位置決めする。
【0149】
そして、上述したステップ504〜534までの処理(判断を含む)を再度行い、上述した評価点対応領域DB1の場合と同様にして、評価点対応領域DB2について最良フォーカス位置を求める。
【0150】
そして、評価点対応領域DB2について最良フォーカス位置の算出が終了すると、ステップ534で全ての評価点対応領域DB1〜DB5について処理が終了したか否かを再度判断するが、ここでの判断は否定される。以後、ステップ534における判断が肯定されるまで、上記ステップ502〜536の処理(判断を含む)が繰り返される。これにより、他の評価点対応領域DB3〜DB9について、前述した評価点対応領域DB1の場合と同様にして、それぞれ最良フォーカス位置が求められることとなる。
【0151】
このようにして、ウエハWT上の全ての評価点対応領域DB1〜DB9について最良フォーカス位置の算出、すなわち投影光学系PLに関して照明領域IARと共役な露光領域内で9つの計測用パターンMP1〜MP9の投影位置となる計測点(評価点)での最良フォーカス位置の算出がなされると、ステップ534での判断が肯定され、ステップ538に移行して、上で求めた最良フォーカス位置データに基づいて他の光学特性を算出する。
【0152】
例えば、このステップ538では、一例として、評価点対応領域DB1〜DB9における最良フォーカス位置のデータに基づいて、投影光学系PLの像面湾曲を算出する。また、前述した露光領域内の各計測点(評価点)での焦点深度などを求めても良い。
【0153】
ここで、本実施形態では、説明の簡略化のため、投影光学系PLの視野内の各評価点に対応するレチクルRT上の領域に計測用パターンとして前述のパターンMPnのみが形成されていることを前提として、説明を行った。しかし、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば各評価点に対応するレチクルRT上の領域の近傍に、前述したステップピッチSPの整数倍、例えば8倍、12倍などの間隔の所定領域に周期方向が異なるL/Sパターンや、ピッチが異なるL/Sパターンなど複数種類の計測用パターンをそれぞれ配置しても良い。このようにすると、例えば、各評価点に対応する位置に近接して配置された周期方向が直交する1組のL/Sパターンを計測用パターンとして得られた最良フォーカス位置から各評価点における非点収差を求めることができる。さらに、投影光学系PLの視野内の各評価点について、上述のようにして算出された非点収差に基づいて最小二乗法による近似処理を行うことにより非点収差面内均一性を求めるとともに、非点収差面内均一性と像面湾曲とから総合焦点差を求めることも可能となる。
【0154】
そして、上述のようにして求められた投影光学系PLの光学特性データは、図示しない記憶装置に保存されるとともに、不図示の表示装置の画面上に表示される。これにより、図11のステップ538の処理、すなわち図5のステップ456の処理を終了し、一連の光学特性の計測処理を終了する。
【0155】
次に、デバイス製造の場合における、本実施形態の露光装置100による露光動作を説明する。
【0156】
前提として、上述のようにして決定された投影光学系PLの光学特性、例えば最良フォーカス位置の情報、あるいはこれに加えて像面湾曲の情報が、不図示の入出力装置を介して主制御装置28に入力されているものとする。
【0157】
例えば、像面湾曲の情報が入力されている場合には、主制御装置28は、露光に先立って、この光学特性データに基づいて、図示しない結像特性補正コントローラに指示し、例えば投影光学系PLの少なくとも1つの光学素子(本実施形態では、レンズエレメント)の位置(他の光学素子との間隔を含む)あるいは傾斜などを変更することにより、その像面湾曲が補正されるように投影光学系PLの結像特性を可能な範囲で補正する。なお、投影光学系PLの結像特性の調整に用いる光学素子は、レンズエレメントなどの屈折光学素子だけでなく、例えば凹面鏡などの反射光学素子、あるいは投影光学系PLの収差(ディストーション、球面収差など)、特にその非回転対称成分を補正する収差補正板などでも良い。さらに、投影光学系PLの結像特性の補正方法は光学素子の移動に限られるものではなく、例えば光源1を制御して照明光ILの中心波長を僅かにシフトさせる方法、又は投影光学系PLの一部で屈折率を変化させる方法などを単独、あるいは光学素子の移動との組み合わせで採用しても良い。
【0158】
そして、主制御装置28からの指示に応じて、不図示のレチクルローダにより転写対象となる所定の回路パターン(デバイスパターン)が形成されたレチクルRがレチクルステージRST上にロードされる。同様に、不図示のウエハローダにより、ウエハWがウエハテーブル18上にロードされる。
【0159】
次に、主制御装置28により、不図示のレチクルアライメント検出系、ウエハテーブル18上の基準マーク板FP、アラインメント検出系AS等を用いて、レチクルアラインメント、ベースライン計測などの準備作業が所定の手順で行われ、これに続いてEGA(エンハンスト・グローバル・アラインメント)方式などのウエハアライメントが行われる。なお、上記のレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報(対応米国特許第5,646,413号)に詳細に開示され、また、これに続くEGAについては、特開昭61−44429号公報(対応米国特許第4,780,617号)に詳細に開示されているので、ここではこれ以上の詳細説明は省略する。
【0160】
上記のウエハアライメントが終了すると、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。
【0161】
まず、主制御装置28は、レチクルRとウエハW、すなわちレチクルステージRSTとXYステージ20とのY軸方向の相対走査を開始する。両ステージRST、20がそれぞれの目標走査速度に達し、等速同期状態に達すると、照明系IOPからの紫外パルス光によってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。上記の相対走査は、主制御装置28が、前述したレーザ干渉計26及びレーザ干渉計14の計測値をモニタしつつ、レチクルステージ駆動部(不図示)及び駆動系22を制御することにより行われる。
【0162】
主制御装置28は、特に上記の走査露光時には、レチクルステージRSTのY軸方向の移動速度VrとXYステージ20のY軸方向の移動速度Vwとが、投影光学系PLの投影倍率(1/4倍あるいは1/5倍)に応じた速度比に維持されるように同期制御を行う。また、主制御装置28は、走査露光中に、フォーカスセンサAFSによって検出されたウエハWのZ軸方向の位置情報に基づき、前述の照明領域IARと共役な露光領域内で、前述した光学特性補正後の投影光学系PLの像面の焦点深度の範囲内にウエハW(ショット領域)表面が収まるように、駆動系22を介してウエハテーブル18をZ軸方向及び傾斜方向に駆動し、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行う。なお、本実施形態では、ウエハWの露光動作に先立って、前述した各評価点における最良フォーカス位置に基づいて投影光学系PLの像面を算出し、この像面がフォーカスセンサAFSの検出基準となるようにフォーカスセンサAFSの光学的なキャリブレーション(例えば、受光系50b内に配置される平行平面板の傾斜角度の調整など)が行われている。勿論、光学的なキャリブレーションを必ずしも行う必要はなく、例えば先に算出した像面とフォーカスセンサAFSの検出基準との偏差に応じたオフセットを考慮して、フォーカスセンサAFSの出力に基づいてウエハW表面を像面に一致させるフォーカス動作(及びレベリング動作)を行うようにしても良い。また、ウエハWの移動の代わりに、あるいはこれと組み合わせて、レチクルRと投影光学系PLの光学素子との少なくとも一方を移動してフォーカス・レベリング制御を行っても良い。
【0163】
そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が紫外パルス光で逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第1ショット領域の走査露光が終了する。これにより、レチクルRのパターンが投影光学系PLを介して第1ショット領域に縮小転写される。
【0164】
上述のようにして、第1ショット領域の走査露光が終了すると、主制御装置28により、駆動系22を介してXYステージ20がX、Y軸方向にステップ移動され、第2ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)に移動される。
【0165】
そして、主制御装置28により、上述と同様に各部の動作が制御され、ウエハW上の第2ショット領域に対して上記と同様の走査露光が行われる。
【0166】
このようにして、ウエハW上のショット領域の走査露光とショット間のステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショットの全てにレチクルRのパターンが順次転写される。
【0167】
ウエハW上の全露光対象ショットへのパターン転写が終了すると、次のウエハと交換され、上記と同様にアライメント、露光動作が繰り返される。
【0168】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、投影光学系の光学特性計測に際し、主制御装置28は、計測用パターンMPn(n=1〜9)と枠パターンAPとが形成されたレチクルRTを、投影光学系の物体面側に配置されたレチクルステージRST上に搭載し、投影光学系PLの像面側に配置されたウエハWT上に照射される照明光ILのエネルギ量(露光量)Pを適正露光量以下の範囲内で変更しながら、かつウエハWTの投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z)を変更し、ウエハWT上に計測用パターンMPnをステップ・アンド・リピート方式(ステップピッチSP)で順次転写する(ステップ408〜424)。これにより、ウエハWT上には、マトリックス状に配置された複数(M×N個)の区画領域(仮想の区画領域)DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)から成る全体として矩形の第1領域DCnが形成される。この場合、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら露光が行われるので、前述した適性露光量以上の範囲で露光を行う場合に比べて、露光時間の短縮が可能となる。また、パターン線幅差が露光に与える影響が低減されている。また、第1領域DCnは、区画領域相互間の境界に従来のような枠線が存在しないN行M列のマトリックス状配置の複数の区画領域(計測用パターンの像が投影された領域)によって構成される。
【0169】
次いで、主制御装置28は、レチクルRTを移動し、レチクルRTとウエハWTとを所定の位置関係に設定して、枠パターンAPを過露光となる露光量でウエハWT上に転写する。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnの周囲に過露光の第2領域DDnがそれぞれ形成される(ステップ428、430)。すなわち、ウエハWT上には、第1領域DCnとこの外枠領域を形成する第2領域DDnとから成る評価点対応領域DBnが形成される。
【0170】
そして、ウエハWTの現像後に、主制御装置28は、FIA系のアライメントセンサから成るアライメント検出系ASを用いてウエハWT上の評価点対応領域DBnを撮像する(ステップ504)。次いで、主制御装置28は、取り込んだレジスト像の撮像データに基づき、評価点対応領域DBnの輪郭(矩形の外枠DBF)を検出する(ステップ506、508)。
【0171】
次に、主制御装置28は、既知の設計上の位置関係を考慮し、検出した外枠DBFを基準として評価点対応領域DBnを構成する複数の区画領域DAi,jのうち、第2領域DDnを除く第1領域DCnを構成するM×N個の区画領域それぞれの位置を算出する(ステップ518)。この算出は、外枠内の区画領域の数及び配置の情報に基づいて行われる。本実施形態では、外枠DBFを基準として設計値に基づき複数の区画領域の位置を算出するので、その複数の区画領域のほぼ正確な位置を求めることが可能となる。
【0172】
次いで、主制御装置28は、前記撮像データに基づき、第1領域DCnを構成するM×N個の区画領域の中から、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域に関する情報を検出する。具体的には、第1領域DCnを構成するM×N個の区画領域における像の形成状態(計測用パターンの像が出現しているか否か)を画像処理の手法、前述の各区画領域DAi,jのスコアEi,jと閾値SHとを比較した二値化の手法により検出し(ステップ520、522)、その結果、パターンが出現しているとされた区画領域DAi,jの数をフォーカス位置毎に計数し(ステップ524)、そのパターンの出現数を、横軸をフォーカス位置とし、縦軸をパターン出現数とする座標系上にプロットして、各プロット点をカーブフィットすることによりn次の近似曲線(最小自乗近似曲線)を求める。この場合、この近似曲線が、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域に関する情報、具体的には計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の配置情報に他ならない。
【0173】
すなわち、本実施形態では、過露光により計測用パターンの像が消失し始める境界となる区画領域を検出対象とせず、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出するので、前述の如く、適正露光量以下の範囲で露光量を変化させながら露光を行っても、特に支障なく検出を行うことが可能となる。
【0174】
そして、検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報、すなわち前述のn次の近似曲線に基づいて、投影光学系の光学特性を求める(ステップ530〜538)。本実施形態では、客観的かつ定量的な上記のスコアEi,j、すなわち画像のコントラストの指標値を用いた検出結果に基づいて最良フォーカス位置などの投影光学系PLの光学特性を求めているため、短時間で精度良く最良フォーカス位置などを求めることが可能となる。従って、この最良フォーカス位置に基づいて決定される光学特性の計測精度及び計測結果の再現性を向上させることができるとともに、結果的に光学特性計測のスループットを向上させることが可能となる。また、従来の寸法を計測する方法に比べて、計測用パターンを小さくすることができるため、レチクルのパターン領域内に多くの計測用パターンを配置することが可能となる。従って、評価点の数を増加させることができるとともに、各評価点間の間隔を狭くすることができ、結果的に光学特性計測の計測精度を向上させることが可能となる。さらに、最適露光量以下の範囲で露光量を変化させているので、例えばレジスト像を計測対象とする場合に、レジストの特性によって計測結果が殆ど左右されない。
【0175】
また、本実施形態の場合、隣接する区画領域間に枠線が存在しないので、像形成状態の検出対象である複数の区画領域(主として計測用パターンの像が出現した区画領域)において、計測用パターンの像のコントラストが枠線の干渉に起因して低下することがない。このため、それらの複数の区画領域の撮像データとしてパターン部と非パターン部のS/N比の良好なデータを得ることができる。従って、区画領域毎の計測用パターンMPnの形成状態を精度、再現性良く検出することが可能となる。しかも、像の形成状態を客観的、定量的なスコアEi,jを閾値SHと比較してパターンの有無情報(二値化情報)に変換して検出するので、区画領域毎の計測用パターンMPnの形成状態を、再現性良く検出することができるとともに、パターン有無の判別を自動的にかつ安定して行うことができる。従って、本実施形態では、二値化に際して、閾値は一つだけで足り、複数の閾値を設定しておいて閾値毎にパターンの有無具合を判別するような場合に比べて、像の形成状態の検出に要する時間を短縮することができるとともに、その検出アルゴリズムも簡略化することができる。
【0176】
また、本実施形態では、上述の如く、像の形成状態をパターンの有無情報(二値化情報)に変換して検出するので、レチクルRTのパターン領域PA内に計測用パターンMPn以外のパターン(例えば、比較用の基準パターンや、位置決め用マークパターン等)を配置する必要がない。
【0177】
また、本実施形態に係る光学特性計測方法によると、統計処理による近似曲線の算出という客観的、かつ確実な方法を基礎として最良フォーカス位置を算出しているので、安定して高精度かつ確実に光学特性を計測することができる。なお、近似曲線の次数によっては、その変曲点、あるいはその近似曲線と所定のスライスレベルとの複数の交点等に基づいて最良フォーカス位置を算出することは可能である。
【0178】
また、本実施形態の露光装置100では、前述の光学特性計測方法により精度良く計測された投影光学系PLの光学特性を考慮して最適な転写が行えるように投影光学系PLが露光に先立って調整され、その調整された投影光学系PLを介してレチクルRに形成されたパターンがウエハW上に転写される。更に、上述のようにして決定された最良フォーカス位置を考慮して露光の際のフォーカス制御目標値の設定が行われるので、デフォーカスによる色むらの発生を効果的に抑制することができる。従って、本実施形態に係る露光方法によると、微細パターンをウエハ上に高精度に転写することが可能となる。
【0179】
なお、上記実施形態で説明した光学特性計測方法は、一実施形態に過ぎず、本発明の光学特性計測方法がこれに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では、マトリックス状に配置された複数の区画領域DAi,jから成る全体として矩形の第1領域DCnをウエハWT上に形成した後、第1領域の周囲に過露光の第2領域DDnを形成するものとしたが、第2領域DDnを形成した後、第1領域DCnを形成しても良い。かかる場合には、例えば感光剤として、化学増幅型レジストなどの高感度レジストを用いる場合に、検出対象である計測用パターンの像の形成(転写)から現像までの時間を短くできるので、より望ましい。
【0180】
また、上記実施形態では、評価点対応領域DBnを構成する第2領域DDnが矩形枠状である場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、第2領域は、その外縁が少なくとも第1領域を構成する各区画領域の位置算出の基準にできれば良いので、矩形枠状の一部の例えばコ字状(U字状)部分、あるいはL字状部分であっても良い。この場合、第1領域とその外側の第2領域とで構成される評価点対応領域は、全体として矩形の領域となる。
【0181】
また、前述の第2領域、すなわち矩形枠状の領域、あるいはその一部の領域を形成する方法は、上記実施形態で説明した方法に限らず、例えば、露光装置100のレチクルステージRST上に例えば矩形枠状の光透過部から成るパターン(第2領域DDnと同様の形状のパターン)あるいはその一部のパターンなどが形成されたレチクルを搭載し、そのレチクルのパターンを1回の走査露光で、投影光学系PLの像面側に配置されたウエハ上に転写して、過露光の第2領域をウエハ上に形成することとしても良い。あるいは、前述の計測用パターンをステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式で、過露光となる露光量でウエハ上に転写して前述の第2領域DDnを形成しても良い。この他、、計測用パターンが完全に含まれる区画領域DAi,jに対応するサイズの矩形の開口パターンが形成されたレチクルをレチクルステージRST上に搭載して、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式で、その開口パターンを過露光の露光エネルギ量でウエハ上に転写することにより、過露光の第2領域をウエハ上に形成することとしても良い。また、例えば上記の開口パターンを用いてステップ・アンド・スティッチ方式で露光を行い、ウエハ上に開口パターンの複数の像を隣接してあるいは繋ぎ合わせて形成することによって、過露光の第2領域をウエハ上に形成しても良い。この他、レチクルステージRSTを静止させた状態でそのレチクルステージRST上に搭載されたレチクルに形成された開口パターンを照明光で照明しながらウエハW(ウエハテーブル18)を所定方向に移動して過露光の第2領域を形成しても良い。いずれにしても、上記実施形態と同様に、過露光の第2領域の存在により、その第2領域の外縁をS/N比の良好な検出信号に基づいて精度良く検出することが可能となる。
【0182】
なお、上記実施形態では、計測用パターンMPnの像の形成状態を、スコアEi,jと閾値SHとを比較してパターンの有無情報(二値化情報)に変換して検出する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。上記実施形態では、評価点対応領域DBnの外枠DBFを精度良く検出し、この外枠を基準として各区画領域DAi,jを演算により算出するので、各区画領域の位置を正確に求めることができる。従って、この正確に求められた各区画領域に対してテンプレートマッチングを行うこととしても良い。このようにすれば、短時間にテンプレートマッチングを行うことができる。この場合、テンプレートパターンとして、例えば像が出現した区画領域あるいは像が出現しなかった区画領域の撮像データを用いることができる。このようにしても、客観的、定量的な相関値の情報が区画領域毎に得られるので、得られた情報を、所定の閾値と比較することにより、計測用パターンMPnの形成状態を二値化情報(像の有無情報)に変換して、上記実施形態と同様に像の形成状態を精度、再現性良く検出することができる。
【0183】
また、過露光の第2領域は、必ずしもなくても良い。かかる場合であっても、第1領域の輪郭が矩形の外枠となり、第1領域内の最外周部に位置する区画領域(以下、「外縁部区画領域」と呼ぶ)の一部には、パターン像が形成されない領域が存在するので、上記実施形態と同様の手法により、その外枠の一部、すなわち第1領域とその外側の領域の境界線をS/N比良く検出することが可能となり、その境界線を基準として設計値に基づき他の区画領域(第1領域を構成する各区画領域)の位置を算出することができ、他の区画領域のほぼ正確な位置を求めることが可能である。同様に、過露光の第2領域は、上記実施形態のような矩形枠状あるいはその一部のような形状に限定されるものではない。例えば、第2領域の形状は、第1領域との境界線(内縁)のみが矩形枠状の形状を有し、外縁は任意形状であっても良い。これらの場合にも、第1領域内の複数の区画領域それぞれの位置をほぼ正確に知ることができるので、例えばそれぞれの区画領域に対して、上記実施形態と同様のスコア(像のコントラストの指標値)を用いた方法、あるいはテンプレートマッチング法を適用して像の形成状態を検出することにより、上記実施形態と同様に、パターン像の形成状態を短時間で検出することが可能になる。
【0184】
そして、その検出結果に基づいて投影光学系の光学特性を求めることにより、客観的かつ定量的な像のコントラスト又は相関値を用いた検出結果に基づいて光学特性が求めることができる。従って、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0185】
また、上記実施形態では、各区画領域の検出の基準となる外枠DBFの検出、及び各区画領域の像の形成状態の検出にFIA系のアライメントセンサを用いるものとしたが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、外枠DBFあるいは上述した前記外縁部区画領域と第2領域の境界線の検出、及び各区画領域の像の形成状態の検出の少なくとも一方に、SEM(走査型電子顕微鏡)などの他の撮像装置(画像計測装置)を用いても良い。かかる場合であっても、第2領域の外枠又は内縁部を基準として、第1領域内の各区画領域の位置を精度良く求めることが可能である。
【0186】
また、上記実施形態では、図3に示されるように、遮光部から成るパターン領域PAの内部に光透過部によって計測用パターンMPnが形成された場合について説明したが、これに限らず、図3の場合と反対に、開口パターンの内部に遮光部によって形成される残しパターン(すなわち、両側が光透過部となる複数のライン部)によって計測用パターンMPnを形成しても良い。残しパターンによって計測用パターンを形成する場合には、ウエハにはその表面にネガ型レジストによって感光層を形成すれば良い。このようにすることにより、上記実施形態と同様に適正露光量以下の範囲で露光量を変化させても、前述と同様に転写像の出現し始める境界となる区画領域を精度良く検出することができ、結果的に上記実施形態と同等の効果を得ることができる。更に、上記実施形態ではレチクルのパターン領域PAを遮光部としたが、パターン領域PAは光透過部でも良く、この場合には、計測用パターンMPnの周囲の部分のみを遮光部とするとともに、転写に際して、照明領域をその遮光部部分のみに制限すれば良い。
【0187】
なお、上記実施形態では、レチクルRT上の計測用パターンMPnとして1種類のL/Sパターン(マルチバーパターン)を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないことは言うまでもない。計測用パターンとしては、周期方向が異なる少なくとも2種類のL/Sパターンや、孤立線やコンタクトホールなどを用いても良い。計測用パターンMPnとしてL/Sパターンを用いる場合には、デューティ比及び周期方向は、任意で良い。また、計測用パターンMPnとして周期パターンを用いる場合、その周期パターンは、L/Sパターンだけではなく、例えばドットマークを周期的に配列したパターンでも良い。これは、像の線幅等を計測する従来の方法とは異なり、像の形成状態をスコア(コントラスト)で検出しているからである。
【0188】
また、上記実施形態では、1種類のスコアに基づいて最良フォーカス位置を求めているが、これに限らず、複数種類のスコアを設定しこれらに基づいて、それぞれ最良フォーカス位置を求めても良く、あるいはこれらの平均値(あるいは重み付け平均値)に基づいて最良フォーカス位置を求めても良い。
【0189】
また、上記実施形態では、像の形成状態の検出に1種類の閾値を用いているが、これに限らず、複数の閾値を用いても良い。複数の閾値を求める場合、それぞれの閾値を、スコアと比較することで、区画領域の像の形成状態を検出することとしても良い。この場合、例えば第1の閾値での検出結果から最良フォーカス位置が算出困難な場合に、第2の閾値での形成状態の検出を行い、その検出結果から最良フォーカス位置を求めることなどが可能となる。
【0190】
また、予め複数の閾値を設定しておき、閾値毎に最良フォーカス位置を求め、それらの平均値(単純平均値あるいは重み付け平均値)を最良フォーカス位置としても良い。例えば、各閾値に応じて、露光エネルギ量Pが極値を示すときのフォーカス位置を順次算出する。そして、各フォーカス位置の平均値を最良フォーカス位置とする。なお、露光エネルギ量Pとフォーカス位置Zとの関係を示す近似曲線と適当なスライスレベル(露光エネルギ量)との2つの交点(フォーカス位置)を求め、両交点の平均値を、各閾値毎に算出し、それらの平均値(単純平均値あるいは重み付け平均値)を最良フォーカス位置としても良い。
【0191】
あるいは、各閾値毎に最良フォーカス位置を算出し、閾値と最良フォーカス位置との関係において、閾値の変動に対して、最良フォーカス位置の変化が最も小さい区間における最良フォーカス位置の平均値(単純平均値あるいは重み付け平均値)を最良フォーカス位置としても良い。
【0192】
また、上記実施形態では、予め設定されている値を閾値として用いているが、これに限定されるものではない。例えば、ウエハWT上の計測用パターンMPnが転写されていない領域を撮像し、得られたスコアを閾値としても良い。
【0193】
さらに、例えば前述の第1領域と第2領域とで、アライメント検出系ASによる画像の取り込み回数を異ならせても良く、このようにすることにより計測時間の短縮などを図ることができる。
【0194】
なお、上記実施形態の露光装置100では、主制御装置28は、図示しない記憶装置に格納されている処理プログラムに従って、前述した投影光学系の光学特性の計測を行うことにより、計測処理の自動化を実現することができる。勿論、この処理プログラムは、他の情報記録媒体(CD−ROM、MO等)に保存されていても良い。さらに、計測を行う時に、図示しないサーバから処理プログラムをダウンロードしても良い。また、計測結果を、図示しないサーバに送付したり、インターネットやイントラネットを介して電子メール及びファイル転送により、外部に通知することも可能である。
【0195】
なお、上記実施形態では、計測用パターンMPnをウエハWT上の各区画領域DAi,jに転写した後、現像後にウエハWT上の各区画領域DAi,jに形成されるレジスト像をアライメント検出系ASによって撮像し、その撮像データに対して画像処理を行う場合について説明したが、本発明に係る光学特性の計測方法はこれに限定されるものではない。例えば、撮像の対象は、露光の際にレジストに形成された潜像であっても良く、上記像が形成されたウエハを現像し、さらにそのウエハをエッチング処理して得られる像(エッチング像)などに対して行っても良い。また、ウエハなどの物体上における像の形成状態を検出するための感光層は、フォトレジストに限らず、光(エネルギ)の照射によって像(潜像及び顕像)が形成されるものであれば良い。例えば、感光層は、光記録層、光磁気記録層などであっても良く、従って、感光層が形成される物体もウエハ又はガラスプレート等に限らず、光記録層、光磁気記録層などが形成可能な板等であっても良い。
【0196】
また、オペレータなどが介在することなく、前述の計測結果(最良フォーカス位置など)に基づいて投影光学系PLの光学特性を調整することができる。すなわち、露光装置に自動調整機能を持たせることが可能となる。
【0197】
また、上記実施形態では、パターンの転写の際に変更される露光条件が、投影光学系の光軸方向に関するウエハWTの位置及びウエハWTの面上に照射されるエネルギビームのエネルギ量(露光ドーズ量)である場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、投影光学系の光軸方向に関するウエハWTの位置に限らず、例えば、照明条件(マスクの種別を含む)、投影光学系の結像特性など露光に関連する全ての構成部分の設定条件などの何れかを露光条件の1つとして変化させても良い。また、必ずしも2種類の露光条件を変更しながら露光を行う必要もない。すなわち、一種類の露光条件、すなわち、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら計測用マスクのパターンを感光物体上の複数の領域に転写し、その転写像の形成状態を検出する場合であっても、上記実施形態と同様のスコアを用いたコントラスト計測、あるいはテンプレートマッチングの手法により、その検出を迅速に行うことができるという効果がある。
【0198】
また、上記実施形態において、最良フォーカス位置とともに最良露光量を決定することができる。すなわち、露光エネルギ量を高エネルギ量側にも設定して、上記実施形態と同様の処理を行い、露光エネルギ量毎に、その像が検出されたフォーカス位置の幅を求め、該幅が最大となるときの露光エネルギ量を算出し、その場合の露光量を最良露光量とする。
【0199】
また、上記実施形態では、一例として、区画領域内の指定範囲のピクセル値の分散(又は標準偏差)を、スコアEとして採用するものとしたが、本発明がこれに限定されるものではなく、区画領域内又はその一部(例えば、前述の指定範囲)のピクセル値の加算値、微分総和値をスコアEとしても良い。
【0200】
また、上記実施形態では、各区画領域DAi,jの計測用パターンの像の有無を、スコアを閾値と比較することで検出するものとしたが、この代わりに、次のようにして、前述の図14の曲線P=f(Z)と同様の近似曲線を算出しても良い。
【0201】
すなわち、前述の外枠検出及びその検出結果を利用した各区画領域の位置の算出により、撮像データ上における第1領域DCnの範囲を求める。そして、この第1領域DCnに対応する撮像データの所定方向、例えば前述のマトリックスの行方向(X軸方向)のピクセル列毎のピクセルデータの加算値(X軸方向の走査線上の輝度値の積算信号)の分布状況を検出する。そして、このようにして得られたピクセル列毎のピクセルデータ(ピクセル値)の加算値の分布曲線における各ピーク点を見つけると、このピーク点が、計測用パターンの像が出現し始める境界となる区画領域の位置に相当する。
【0202】
次に、このピーク点をカーブフィットすることによりn次の近似曲線(最小自乗近似曲線)を求める。これにより、例えば図14の曲線P=f(Z)と同様の形状の近似曲線を得ることができる。この場合、所定方向のピクセル列毎のピクセルデータの加算値の分布状況を算出するという簡単な画像処理により、前述の区画領域毎の像の形成状態(例えば有無検出)の検出結果と実質的に等価な分布状況のデータを得ることができる。従って、客観的かつ定量的な撮像データを用いて、前述の区画領域毎の像の形成状態(例えば有無検出)の検出結果を得る場合と同程度の検出精度及び再現性で、より簡易な手法により像の形成状態を検出することができる。
【0203】
そして、上記の近似曲線を用いて、上記実施形態と同様の処理を行うことにより、投影光学系PLの光学特性、例えばベストフォーカス位置などを求めることとすれば良い。このようにしても、上記実施形態と同様に、客観的かつ定量的な撮像データを用いた検出結果に基づいて光学特性が求められるため、従来の方法と比較して光学特性を精度及び再現性良く計測することができる。
【0204】
さらに、上記実施形態では、結像特性補正コントローラを介して投影光学系PLの結像特性を調整するものとしたが、例えば、結像特性補正コントローラだけでは結像特性を所定の許容範囲内に制御することができないときなどは、投影光学系PLの少なくとも一部を交換しても良いし、あるいは投影光学系PLの少なくとも1つの光学素子を再加工(非球面加工など)しても良い。また、特に光学素子がレンズエレメントであるときはその偏芯を変更しても良く、あるいは光軸を中心として回転させても良い。このとき、露光装置100のアライメントセンサを用いてレジスト像などを検出する場合、主制御装置28はディスプレイ(モニタ)への警告表示、あるいはインターネット又は携帯電話などによって、オペレータなどにアシストの必要性を通知しても良いし、投影光学系PLの交換箇所や再加工すべき光学素子など、投影光学系PLの調整に必要な情報を一緒に通知すると良い。これにより、光学特性の計測などの作業時間だけでなく、その準備期間も短縮でき、露光装置の停止期間の短縮、すなわち稼働率の向上を図ることが可能となる。また、本実施形態では計測用パターンを静止露光方式でウエハに転写するものとしたが、静止露光方式の代わりに、あるいはそれに加えて走査露光方式で、上記実施形態と全く同様に少なくとも1つの露光条件を変えながら計測用パターンをウエハに転写することでダイナミックな光学特性を求めるようにしても良い。
【0205】
また、上記実施形態では、評価点対応領域DBnを構成するN×M個の区画領域DAi,jを全て露光するものとしたが、N×M個の区画領域の少なくとも1個、すなわち曲線P=f(Z)の決定に明らかに寄与しない露光条件が設定される区画領域(例えば、図9で左上隅及び左下隅に位置する区画領域など)についてはその露光を行わなくても良く、評価点対応領域DBnは、全体として矩形(マトリックス)となっていなくても良い。
【0206】
また、上記実施形態ではアライメント検出系ASで撮像されるレジスト像の画像信号を走査線毎に積算しても良い。また、上記実施形態では1つの評価点対応領域DBnの全体を一括で撮像するものとしたが、例えば1つの評価点対応領域DBnを複数回に分けて撮像しても良い。さらに、各撮像時にウエハを位置決めすることなく連続移動しても良く、これにより計測時間の短縮を図ることが可能となる。このとき、例えば区画領域DAi,j毎に複数回撮像してその画像データを加算しても良い。
【0207】
さらに、本発明が適用される露光装置の光源は、KrFエキシマレーザやArFエキシマレーザに限らず、F2レーザ(波長157nm)、あるいは他の真空紫外域のパルスレーザ光源であっても良い。この他、露光用照明光として、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、紫外域の輝線(g線、i線等)を出力する超高圧水銀ランプ等を用いても良い。この場合には、ランプ出力制御、NDフィルタ等の減光フィルタ、光量絞り等によって露光エネルギの調整を行えば良い。また、EUV光、X線、あるいは電子線及びイオンビームなどの荷電粒子線を露光ビームとして用いる露光装置に本発明を適用しても良い。
【0208】
なお、上記実施形態では、本発明がステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置に適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないのは勿論である。すなわち、ステップ・アンド・リピート方式、ステップ・アンド・スティッチ方式又はプロキシミティ方式などの露光装置、あるいはミラープロジェクション・アライナー、及びフォトリピータなどにも好適に適用することができる。さらに、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸露光装置にも本発明は好適に適用することができる。
【0209】
さらに、投影光学系PLは、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでもよいし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。
【0210】
さらに、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気へッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造、さらにはマスク又はレチクルの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。
【0211】
《デバイス製造方法》
次に、上記説明した露光装置及び方法を使用したデバイスの製造方法の実施形態を説明する。
【0212】
図15には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、DNAチップ、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図15に示されるように、まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0213】
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ305(デバイス組立ステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0214】
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0215】
図16には、半導体デバイスの場合における、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されている。図16において、ステップ311(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ313(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ314(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0216】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ315(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステップ)において、上記各実施形態の露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ317(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ319(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0217】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0218】
以上のような、本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光ステップで、上記実施形態の露光装置及び露光方法が用いられるので、前述した光学特性計測方法で精度良く求められた光学特性を考慮して調整された投影光学系を介して高精度な露光が行われ、高集積度のデバイスを生産性良く製造することが可能となる。
【0219】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光学特性計測方法によれば、短時間で、精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を求めることができるという効果がある。
【0220】
また、本発明に係る露光方法によれば、高精度な露光を実現できるという効果がある。
【0221】
また、本発明に係るデバイス製造方法によれば、高集積度のデバイスを製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の照明系IOPの具体的構成の一例を説明するための図である。
【図3】投影光学系の光学特性の計測に用いられるレチクルの一例を示す図である。
【図4】光学特性の計測方法を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図5】光学特性の計測方法を示すフローチャート(その2)である。
【図6】区画領域の配列を説明するための図である。
【図7】ウエハWT上に第1領域DCnが形成された状態を示す図である。
【図8】ウエハWT上に評価点対応領域DBnが形成された状態を示す図である。
【図9】ウエハWTを現像後にWT上に形成された評価点対応領域DB1のレジスト像の一例を示す図である。
【図10】図5のステップ456(光学特性の算出処理)の詳細を示すフローチャート(その1)である。
【図11】図5のステップ456(光学特性の算出処理)の詳細を示すフローチャート(その2)である。
【図12】ステップ518の処理により第1領域DCnを構成する各区画領域DAi,jが求められた様子を示す図である。
【図13】検出結果の一例を示すテーブルデータ形式の図である。
【図14】パターン出現数(露光エネルギ量)とフォーカス位置との関係を示す図である。
【図15】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図16】図15のステップ304における処理のフローチャートである。
【符号の説明】
DAi,j…区画領域、DBn…評価点対応領域(所定領域)、IL…エネルギビーム、MPn…計測用パターン、PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(感光物体)、WT…ウエハ(感光物体)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、投影光学系の光学特性を計測する光学特性計測方法、該光学特性計測方法によって計測された光学特性を考慮して調整された投影光学系を用いて露光を行う露光方法、及び該露光方法を利用したデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「ウエハ」ともいう)上に転写する露光装置が用いられている。この種の装置としては、近年では、スループットを重視する観点から、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆる「ステッパ」)や、このステッパを改良したステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置などの逐次移動型の露光装置が、比較的多く用いられている。
【0003】
また、半導体素子(集積回路)等は年々高集積化しており、これに伴い半導体素子等の製造装置である投影露光装置には、一層の高解像力、すなわちより微細なパターンを精度良く転写できることが要求されるようになってきた。投影露光装置の解像力を向上させるためには、投影光学系の光学性能を向上させることが必要であり、投影光学系の光学特性(結像特性を含む)を正確に計測し、評価することが重要となっている。
【0004】
投影光学系の光学特性、例えばパターンの像面の正確な計測は、投影光学系の視野内の各評価点(計測点)における最適なフォーカス位置(最良フォーカス位置)を正確に計測できることが前提となる。
【0005】
従来の投影露光装置における最良フォーカス位置の計測方法としては、いわゆるCD/フォーカス法と、いわゆるSMPフォーカス計測法とが主として用いられていた。前者のCD/フォーカス法では、例えば、ラインアンドスペースパターン等のテストパターンを投影光学系の光軸方向に関する複数のウエハ位置でテスト用ウエハに転写する。そして、そのテスト用ウエハを現像して得られるレジスト像(転写されたパターンの像)の線幅値を走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて計測し、その線幅値と投影光学系の光軸方向に関するウエハ位置(以下、適宜「フォーカス位置」ともいう)との相関関係に基づいて最良フォーカス位置を判断する。後者のSMPフォーカス計測法では、複数のフォーカス位置で、くさび形マークのレジスト像をウエハ上に形成し、フォーカス位置の違いによるレジスト像の線幅値の変化を長手方向の寸法変化に増幅させて置き換え、露光装置のアライメント系などのマーク検出系を用いてレジスト像の長手方向の長さを計測する。そして、フォーカス位置とレジスト像の長さとの相関関係に基づいて最良フォーカス位置を検出(算出)する(特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
そして、種々のテストパターンについて、上述のようにして得られた最良フォーカス位置に基づいて、投影光学系の光学特性である非点収差や像面湾曲等を計測していた。
【0007】
しかし、上述したCD/フォーカス法では、例えばレジスト像の線幅値をSEMで計測するために、SEMのフォーカス合わせを厳密に行う必要があり、1点当たりの計測時間が非常に長く、多数点での計測をするためには数時間から数十時間が必要とされていた。また、投影光学系の光学特性を計測するためのテスト用パターンも微細化するとともに、投影光学系の視野内での評価点の数も増加することが予想される。従って、SEMを用いた従来の計測方法では、計測結果が得られるまでのスループットが大幅に低下してしまうという不都合があった。また、計測誤差や計測結果の再現性についても、より高いレベルが要求されるようになり、従来の計測方法ではその対応が困難となってきた。さらに、フォーカス位置と線幅値の相関関係を示す近似曲線は、誤差を小さくするために4次以上の近似曲線が用いられており、それには、評価点毎に少なくとも5種類のフォーカス位置に関する線幅値が求められなければならないという制約があった。また、最良フォーカス位置からずれたフォーカス位置(投影光学系の光軸方向に関する+方向と−方向との両方を含む)での線幅値と最良フォーカス位置での線幅値との差は、誤差を小さくするために10%以上であることが要求されているが、この条件を満足させることが困難となってきた。
【0008】
また、上述したSMPフォーカス計測法では、通常、計測を単色光で行うために、レジスト像の形状の違いにより干渉の影響が異なり、それが計測誤差(寸法オフセット)につながることが考えられる。さらに、画像処理にてくさび形マークのレジスト像の長さ計測を行うには、レジスト像の最も細くなる長手方向の両端部分までの情報を詳細に取り込む必要が有り、現状の画像取り込み機器(CCDカメラ等)の分解能では未だ十分ではないという問題点がある。また、テストパターンが大きいために、投影光学系の視野内での評価点の数を増加させることが困難であった。
【0009】
この他、主として上述のCD/フォーカス法の欠点を改善するものとして、テスト露光によってパターンが転写されたウエハを現像し、現像後にウエハ上に形成されるパターンのレジスト像を撮像し、その撮像データを用いて所定のテンプレートとのパターンマッチングを行い、その結果に基づいて最良フォーカス位置などの最良露光条件を決定する発明(特許文献3、特許文献4等参照)も知られている。これら特許文献3、特許文献4に開示された発明によると、SMP計測法のような現状の画像取り込み機器(CCDカメラ等)の分解能不足や、投影光学系の視野内での評価点の数の増加が困難であるという不都合もない。
【0010】
【特許文献1】
特許第2580668号
【特許文献2】
特許第2712330号
【特許文献3】
特開平11−233434号公報
【特許文献4】
国際公開第02/29870号パンフレット
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、テンプレートマッチング法を採用して、かつこれを自動化する場合には、そのテンプレートマッチングを容易にするためにパターンとともにマッチングの基準となる枠(パターン)がウエハ上に形成されるのが通常である。
【0011】
しかしながら、上述の特許文献3、4などのようなテンプレートマッチングを用いた最良露光条件の決定方法にあっては、多種多様なプロセス条件の中にはパターンの近傍に形成されるテンプレートマッチングの基準となる枠の存在により、画像処理方式のウエハアライメント系、例えばFIA(field image alignment)系のアライメントセンサなどで画像取り込みを行った場合に、パターン部のコントラストが著しく低下して計測が困難になる場合があった。
【0012】
特に、特許文献4に記載の方法にあっては、上記のパターンマッチングの結果に基づいて、計測用パターンの像の有無を区画領域毎に検出し、その有無情報に基づいて、パターンの像が消失する境界となる区画領域(消失点)を検出しているため、露光量をレジストの最適露光量近傍から過露光(オーバードーズ)となる範囲で変化させていた。この場合、計測用パターンの線幅を僅かに変化させるだけで最適な露光量が大きく変化する、換言すれば計測用パターンの線幅差が露光に与える影響が大きいため、最適露光条件の決定に困難を伴っていた。また、例えば、レジスト像を計測対象とする場合、計測結果がレジストの種類に大きく影響を受ける傾向があった。また、投影光学系の光学特性の計測を目的とする場合、静止露光方式で露光を行うが、この場合、上記の過露光となる露光量範囲の露光にはある程度の時間を掛けて露光を行う必要があったことから、結果的にそれなりの時間を要していた。また、走査露光方式で露光を行うことも考えられるが、上記の過露光範囲での露光を実現するためには、照明光に対するレチクル及びウエハの移動速度を低速にして露光を行わなければならないことから、計測に時間を要し、スループットの面で必ずしも満足できるものではなかった。
【0013】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、短時間で、精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を計測することができる光学特性計測方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の第2の目的は、高精度な露光を実現できる露光方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第3の目的は、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、第1面上のパターンを第2面上に投影する投影光学系の光学特性を計測する光学特性計測方法であって、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更することを含む、少なくとも一つの露光条件を変更しながら、前記第1面上に配置された計測用パターンを前記投影光学系の第2面側に配置された感光物体に順次転写して複数の区画領域から成る第1領域を前記感光物体上に形成する第1工程と;前記複数の区画領域のうち、前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する第2工程と;前記検出結果に基づいて前記投影光学系の光学特性を求める第3工程と;を含む光学特性計測方法である。
【0017】
本明細書において、「露光条件」とは、照明条件(マスクの種別を含む)、像面上における露光ドーズ量等狭義の露光条件の他、投影光学系の光学特性など露光に関連する全ての構成部分の設定条件を含む広義の露光条件をも意味する。また、「適正露光量以下の範囲内で露光量を変更する」とは、感光物体の感光層を形成する感光剤(レジストなど)の照射特性曲線に応じた適正露光量(レジスト感度など)より小さい範囲から適正露光量となる範囲で露光量を変化させることを意味する。
【0018】
これによれば、露光条件として、少なくとも適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら、第1面(物体面)上に配置された計測用パターンを投影光学系の第2面(像面)側に配置された感光物体に順次転写して複数の区画領域から成る第1領域を感光物体上に形成する(第1工程)。この場合、計測用パターンの転写は、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式などの露光によって実現されるが、いずれの場合であっても、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら露光が行われるので、前述した適性露光量以上の範囲で露光を行う場合に比べて、露光時間の短縮が可能となる。また、パターン線幅差が露光に与える影響が低減されている。
【0019】
次いで、前記複数の区画領域のうち、前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する(第2工程)。すなわち、過露光により計測用パターンの像が消失し始める境界となる区画領域を検出対象とせず、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出するので、上記の適正露光量以下の範囲で露光量を変化させながら露光を行っても、特に支障なく検出を行うことが可能となる。
【0020】
ここで、像の形成状態の検出は、感光物体を現像することなく感光物体上に形成された潜像に対して行っても良いし、上記像が形成された感光物体を現像した後、感光物体上に形成された像(レジスト像)、あるいはレジスト像が形成された感光物体をエッチング処理して得られる像(エッチング像)などに対して行っても良い。ここで、感光物体上における像の形成状態を検出するための感光層は、フォトレジストに限らず、光(エネルギ)の照射によって像(潜像及び顕像)が形成されるものであれば良い。例えば、感光層は、光記録層、光磁気記録層などであっても良く、従って、感光層が形成される物体もウエハ又はガラスプレート等に限らず、光記録層、光磁気記録層が形成可能な板等であっても良い。
【0021】
例えば、像の形成状態の検出をレジスト像、エッチング像などに対して行う場合には、SEMなどの顕微鏡は勿論、例えば露光装置のアライメント検出系、例えばアライメントマークの像を撮像素子上に結像する画像処理方式のアライメント検出系、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系のアライメントセンサを用いることができる。また、像の形成状態の検出を潜像に対して行う場合には、FIA系などを用いることができる。
【0022】
いずれにしても、像の形成状態を画像処理の手法で検出することができ、例えば検出対象領域における像のコントラストなどを検出することにより、パターン像の形成状態を短時間で検出することが可能になる。
【0023】
そして、その検出結果、すなわち検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報に基づいて、投影光学系の光学特性を求める(第3工程)。ここでは、客観的かつ定量的な像のコントラストなどを用いた検出結果に基づいて光学特性が求められるために、従来の方法と比較して光学特性を精度及び再現性良く計測することができる。また、従来の寸法を計測する方法に比べて、計測用パターンを小さくすることができるため、マスクのパターン領域内に多くの計測用パターンを配置することが可能となる。従って、評価点の数を増加させることができるとともに、各評価点間の間隔を狭くすることができ、結果的に光学特性計測の計測精度を向上させることが可能となる。さらに、レジスト像を計測対象とする場合に、レジストの特性によって計測結果が殆ど左右されない。
【0024】
従って、請求項1に記載の光学特性計測方法によれば、短時間で、確実にかつ精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を計測することができる。特に、走査露光方式で計測用パターンを感光物体に上に転写する場合には、高速での走査露光が可能となり、スループットの向上が可能となる。
【0025】
この場合において、請求項2に記載の光学特性計測方法の如く、前記計測用パターンは、遮光部内の光透過部によってパターンが形成される抜きパターンであり、前記感光物体にはその表面にポジ型レジストによって感光層が形成されていることとすることができる。
【0026】
この場合において、請求項3に記載の光学特性計測方法の如く、前記第2工程に先立って、前記第1領域となる前記感光物体上の領域の周囲の少なくとも一部に過露光の第2領域を形成する第4工程を更に含み、前記第2工程は、前記第2領域の輪郭の一部を検出する工程と、その検出結果を利用して前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域における計測用パターンの像の形成状態を検出する工程とを含むこととすることができる。
【0027】
この場合において、第4工程は、第1工程の後に行うこととすることができるが、請求項4に記載の光学特性計測方法の如く、前記第4工程は、前記第1工程に先立って行われることとすることもできる。
【0028】
上記請求項3及び4に記載の各光学特性計測方法において、第2領域の形成方法は、種々考えられ、例えば請求項5に記載の光学特性計測方法の如く、前記第4工程では、前記第1面上に配置された所定のパターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に転写して前記第2領域を形成することとすることができる。
【0029】
この場合において、請求項6に記載の光学特性計測方法の如く、前記第1領域は、全体として矩形状の領域であり、前記所定のパターンは矩形枠状又はその一部の形状を有するパターンであり、前記第4工程では、前記第1面上に配置された前記所定のパターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に走査露光方式で転写することとすることができる。
【0030】
上記請求項3〜5に記載の各光学特性計測方法において、請求項7に記載の光学特性計測方法の如く、前記第4工程では、前記第1面上に配置された前記計測用パターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に過露光となる露光量で順次転写して前記第2領域を形成することとすることができる。
【0031】
上記請求項1に記載の光学特性計測方法において、請求項8に記載の光学特性計測方法の如く、前記計測用パターンは、光透過部内に遮光部によってパターンが形成される残しパターンであり、前記感光物体にはその表面にネガ型レジストによって感光層が形成されていることとすることができる。
【0032】
上記請求項1〜8に記載の光学特性計測方法において、請求項9に記載の光学特性計測方法の如く、前記第2工程では、前記第1領域を構成する前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域における像の形成状態を、撮像により得られた前記各区画領域のピクセルデータに関する代表値を判定値として検出することとすることができる。
【0033】
この場合において、請求項10に記載の光学特性計測方法の如く、前記代表値は、前記各区画領域の少なくとも一部におけるピクセルデータの加算値、微分総和値、分散及び標準偏差の少なくとも1つであることとすることができる。
【0034】
なお、本明細書において、上記の代表値として用いられるピクセル値の加算値微分総和値、分散あるいは標準偏差などを、適宜、「スコア」あるいは「コントラストの指標値」などとも呼ぶものとする。
【0035】
上記請求項9及び10に記載の各光学特性計測方法の如く、請求項11に記載の光学特性計測方法の如く、前記像の形成状態の検出に際し、前記各区画領域のピクセルデータに関する代表値を所定の閾値と比較して二値化することとすることができる。
【0036】
上記請求項1〜8に記載の光学特性計測方法において、請求項12に記載の光学特性計測方法の如く、前記第2工程では、前記第1領域を構成する前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域に対応する撮像データを用い、その撮像データ中の所定方向のピクセル列毎のピクセル値の加算値の分布に基づいて前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる区画領域を検出することとすることができる。
【0037】
上記請求項1〜12に記載の各光学特性計測方法において、請求項13に記載の光学特性計測方法の如く、前記第1工程では、前記露光条件として、前記投影光学系の光軸方向に関する前記感光物体の位置をも変更しながら、前記計測用パターンを前記感光物体上に順次転写し、前記第3工程では、前記第2工程で検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報に対応する露光用エネルギビームのエネルギ量と前記投影光学系の光軸方向に関する前記感光物体の位置との相関関係に基づいて最良フォーカス位置を決定することとすることができる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、露光用のエネルギビームをマスクに照射し、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して感光物体上に転写する露光方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学特性計測方法によって計測された前記光学特性を考慮して前記投影光学系を調整する工程と;前記調整された投影光学系を介して前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上に転写する工程と;を含む露光方法である。
【0039】
これによれば、請求項1〜13に記載の各光学特性計測方法によって計測された投影光学系の光学特性を考慮して最適な転写が行えるように投影光学系が調整され、その調整された投影光学系を介してマスクに形成されたパターンを物体上に転写するので、微細パターンを感光物体上に高精度に転写することができる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項14に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス製造方法である。
【0041】
これによれば、リソグラフィ工程で、請求項14に記載の露光方法により微細パターンを感光物体上に精度良く転写することができるので、結果的に高集積度のデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図19に基づいて説明する。
【0043】
図1には、本発明に係る光学特性計測方法及び露光方法を実施するのに好適な一実施形態に係る露光装置100の概略的な構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナーとも呼ばれる))である。
【0044】
この露光装置100は、照明系IOP、マスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターンの像を感光剤(フォトレジスト)が塗布された物体としてのウエハW上に投影する投影光学系PL、ウエハWを保持して2次元平面(XY平面内)を移動するXYステージ20、XYステージ20を駆動する駆動系22、及びこれらの制御系等を備えている。この制御系は装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などから成る主制御装置28を中心として構成されている。
【0045】
前記照明系IOPは、図2に示されるように、光源1、ビーム整形光学系2、エネルギ粗調器3、オプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)4、照明系開口絞り板5、ビームスプリッタ6、第1リレーレンズ7A、第2リレーレンズ7B、視野絞りとしてのレチクルブラインド8(本実施形態では固定レチクルブラインド8Aと可動レチクルブラインド8Bとを含む)、及び光路折り曲げ用のミラーM等を備えている。なお、オプティカルインテグレータ4としては、フライアイレンズ、ロッド型(内面反射型)インテグレータ、あるいは回折光学素子などを用いることができる。本実施形態では、オプティカルインテグレータ4としてフライアイレンズが用いられているので、以下では、フライアイレンズ4とも呼ぶ。
【0046】
ここで、この照明系IOPの上記構成各部について説明する。光源1としては、KrFエキシマレーザ(発振波長248nm)やArFエキシマレーザ(発振波長193nm)等が使用される。光源1は、実際には、露光装置本体が設置されるクリーンルーム内の床面、あるいは該クリーンルームとは別のクリーン度の低い部屋(サービスルーム)等に設置され、不図示の引き回し光学系を介してビーム整形光学系2の入射端に接続されている。
【0047】
前記ビーム整形光学系2は、光源1からパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたフライアイレンズ4に効率よく入射するように整形するもので、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等で構成される。
【0048】
前記エネルギ粗調器3は、ビーム整形光学系2後方のレーザビームLBの光路上に配置され、ここでは、回転板31の周囲に透過率(=1−減光率)の異なる複数個(例えば6個)のNDフィルタ(図2ではその内の2個のNDフィルタ32A、32Dのみが示されている)を配置し、その回転板31を駆動モータ33で回転することにより、入射するレーザビームLBに対する透過率を100%から等比級数的に複数段階で切り換えることができるようになっている。駆動モータ33は、主制御装置28によって制御される。
【0049】
前記フライアイレンズ4は、エネルギ粗調器3後方のレーザビームLBの光路上に配置され、レチクルRを均一な照度分布で照明するためにその射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源、すなわち2次光源を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「照明光IL」と呼ぶものとする。
【0050】
前記フライアイレンズ4の射出側焦点面の近傍に、円板状部材から成る照明系開口絞り板5が配置されている。この照明系開口絞り板5には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図2ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板5は、主制御装置28により制御されるモータ等の駆動装置51により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。なお、開口絞り板5の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系内に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを、光源1(具体的はエネルギ粗調器3)とオプティカルインテグレータ4との間に配置し、オプティカルインテグレータ4がフライアイレンズであるときはその入射面上での照明光ILの強度分布、オプティカルインテグレータ4が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光ILの入射角度範囲などを可変とすることで、照明光学系の瞳面上での照明光ILの光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわち照明条件の変更に伴なう光量損失を抑えることが望ましい。
【0051】
照明系開口絞り板5後方の照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ6が配置され、更にこの後方の光路上に、前述のレチクルブラインド8を介在させて第1リレーレンズ7A及び第2リレーレンズ7Bから成るリレー光学系が配置されている。
【0052】
前記レチクルブラインド8を構成する固定レチクルブラインド8Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上で照明光ILが照射される矩形の照明領域(本実施形態ではX軸方向を長手方向としてその中心が照明光学系の光軸と一致)を規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド8Aの近傍に走査方向(本実施形態では、図1及び図2における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド8Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド8Bを介して照明領域を更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。さらに、可動レチクルブラインド8Bは走査方向と直交する非走査方向に対応する方向に関しても開口部の幅が可変であり、ウエハ上に転写すべきレチクルRのパターンに応じて照明領域の非走査方向の幅を調整できるようになっている。
【0053】
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ7B後方の照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ7Bを通過した照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置されている。
【0054】
一方、ビームスプリッタ6による反射光路上には、集光レンズ52を介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ53が配置されている。このインテグレータセンサ53としては、例えば遠紫外域で感度があり、且つ光源ユニット1のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。このインテグレータセンサ53の出力DPと、ウエハW表面上での照明光ILの照度(強度)との相関係数(又は相関関数)は予め求められて、主制御装置28内部のメモリ内に記憶されている。
【0055】
このようにして構成された照明系IOPの作用を簡単に説明すると、光源1からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形光学系2に入射して、ここで後方のフライアイレンズ4に効率良く入射するようにその断面形状が整形された後、エネルギ粗調器3に入射する。そして、このエネルギ粗調器3のいずれかのNDフィルタを透過したレーザビームLBは、フライアイレンズ4に入射する。これにより、フライアイレンズ4の射出側焦点面に前述の2次光源が形成される。この2次光源から射出された照明光ILは、照明系開口絞り板5上のいずれかの開口絞りを通過した後、透過率が大きく反射率が小さなビームスプリッタ6に至る。このビームスプリッタ6を透過した照明光ILは、第1リレーレンズ7Aを経てレチクルブラインド8の開口部を通過した後、第2リレーレンズ7Bを通過してミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域を均一な照度分布で照明する。
【0056】
一方、ビームスプリッタ6で反射された照明光ILは、集光レンズ52を介してインテグレータセンサ53で受光され、インテグレータセンサ53の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して出力DP(digit/pulse)として主制御装置28に供給される。
【0057】
図1に戻り、前記レチクルステージRSTは、照明系IOPの図1における下方に配置されている。このレチクルステージRST上にレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルステージ駆動部によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡12を介して外部のレーザ干渉計14によって計測され、このレーザ干渉計14の計測値が主制御装置28に供給されるようになっている。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工してレーザ干渉計14の反射面(前述の移動鏡12の反射面に相当)を形成しても良い。
【0058】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に、その光軸AXpの方向がXY面に直交するZ軸方向となるように配置されている。この投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系であって、Z軸方向の共通の光軸AXpを有する複数枚のレンズエレメント(図示省略)から成る屈折光学系が用いられている。レンズエレメントのうちの特定の複数枚は、主制御装置28からの指令に基づいて、図示しない結像特性補正コントローラによって制御され、投影光学系PLの光学特性(結像特性を含む)、例えば倍率、ディストーション、コマ収差、及び像面湾曲などを調整できるようになっている。
【0059】
この投影光学系PLの投影倍率は、例えば1/4(あるいは1/5)などとされている。このため、前述の如く照明光ILによりレチクルRが均一な照度で照明されると、レチクルR上で照明領域内のパターンの一部が投影光学系PLにより縮小されて、フォトレジストが塗布されたウエハW上に投影され、ウエハW上にパターンの縮小像が形成される。
【0060】
前記XYステージ20は、実際には不図示のベース上で、例えばリニアモータにより2次元移動可能となっている。このXYステージ20上にウエハテーブル18が搭載され、このウエハテーブル18上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって保持されている。
【0061】
前記ウエハテーブル18は、ウエハWを保持するウエハホルダをZ軸方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動するもので、Z・チルトステージとも称される。このウエハテーブル18の上面には、移動鏡24が設けられており、この移動鏡24にレーザビームを投射して、その反射光を受光することにより、ウエハテーブル18のXY面内の位置を計測するレーザ干渉計26が移動鏡24の反射面に対向して設けられている。なお、実際には、移動鏡はX軸に直交する反射面を有するX移動鏡と、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡とが設けられ、これに対応してレーザ干渉計もX方向位置計測用のXレーザ干渉計とY方向位置計測用のYレーザ干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表して移動鏡24、レーザ干渉計26として図示されている。なお、Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハテーブル18のX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではレーザ干渉計26によって、ウエハテーブル18のX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。また、移動鏡24の代わりにウエハテーブル18の端面を鏡面加工して反射面として用いても良い。
【0062】
レーザ干渉計26の計測値は主制御装置28に供給され、主制御装置28はこのレーザ干渉計26の計測値に基づいて駆動系22を介してXYステージ20を制御することにより、ウエハテーブル18のXY面内の位置(θz回転を含む)を制御する。
【0063】
また、ウエハW表面のZ軸方向の位置及び傾斜量は、例えば特開平6−283403号公報等に開示される送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによって計測されるようになっている。このフォーカスセンサAFSの計測値も主制御装置28に供給されており、主制御装置28は、フォーカスセンサAFSの計測値に基づいて駆動系22を介してウエハテーブル18をZ方向、θx方向及びθy方向に駆動して、投影光学系PLの光軸方向に関するウエハWの位置及び傾きを制御するようになっている。
【0064】
このようにしてウエハテーブル18を介してウエハWがX、Y、Z、θx、θyの5自由度方向の位置及び姿勢制御がなされるようになっている。なお、残りのθz(ヨーイング)の誤差については、レーザ干渉計26で計測されたウエハテーブル18のヨーイング情報に基づいてレチクルステージRSTとウエハテーブル18との少なくとも一方を回転させることによって補正される。
【0065】
また、ウエハテーブル18上には、その表面がウエハWの表面と同じ高さになるような基準板FPが固定されている。この基準板FPの表面には、後述するアライメント検出系のいわゆるベースライン計測等に用いられる基準マークを含む各種の基準マークが形成されている。
【0066】
更に、本実施形態では、投影光学系PLの側面に、ウエハWに形成されたアライメントマークを検出するマーク検出系としてのオフ・アクシス方式のアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系が用いられており、基準板FP上の基準マーク及びウエハW上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能である。
【0067】
アライメント制御装置16は、アライメント検出系ASからの情報DSをA/D変換し、このデジタル化された波形信号を演算処理してアライメント検出系ASの検出中心に対するマークの位置情報を算出する。このとき、アライメント制御装置16には、レーザ干渉計26の計測値も供給されており、アライメント制御装置16では、算出したマークの位置情報をレーザ干渉計26の測長軸で規定されるステージ座標系上の位置情報に換算してその換算結果、すなわちマークの座標値を主制御装置28に供給するようになっている。
【0068】
なお、アライメント検出系ASは、上述のFIA系の他、コヒーレントな検出光を対象に照射し、その対象から発生する散乱光又は回折光を検出するアライメントセンサや、その対象から発生する2つの回折光(例えば同次数)を干渉させて検出するアライメントセンサなどの各種のアライメントセンサを、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることもできる。
【0069】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマーク又はレチクルステージRST上の基準マーク(共に図示省略)と基準板FP上のマークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられている。これらのレチクルアライメント検出系の検出信号は、アライメント制御装置16を介して主制御装置28に供給されるようになっている。
【0070】
次に、本発明に係る投影光学系の光学特性を計測するのに用いられるレチクルの一例について説明する。
【0071】
図3には、投影光学系の光学特性を計測するのに用いられるレチクルRTの一例が示されている。この図3は、レチクルRTをパターン面側(図1における下面側)から見た平面図である。この図3に示されるように、レチクルRTは、ほぼ長方形のマスク基板としてのガラス基板42の中央に、クロム等の遮光部材から成るパターン領域PAが形成されている。図3中で点線で示される矩形領域IARは、照明光学系及び投影光学系の光軸と中心が一致する前述の照明領域であり、図3では、レチクルRTはそのパターン領域PAの中心が照明領域IARの中心とほぼ一致して配置されている。この照明領域IAR内部には、その中心(すなわちレチクルRTの中心(レチクルセンタ)に一致)及びその中心の周辺部8箇所の合計9箇所に例えばラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)から成る計測用パターンMP1〜MP9がそれぞれ形成されている。この場合、計測用パターンMP4とMP6とは、中央の計測用パターンMP5を中心として、X軸方向の一側と他側に同一距離(例えば500μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ配置されている。また、計測用パターンMP1とMP7とは、計測用パターンMP4を中心として、Y軸方向の一側と他側に同一距離(300μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。また、計測用パターンMP2とMP8とは、計測用パターンMP5を中心として、Y軸方向の一側と他側に同一距離(300μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。また、計測用パターンMP3とMP9とは、計測用パターンMP6を中心としてY軸方向の一側と他側に同一距離(300μm程度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0072】
計測用パターンMPn(n=1〜9)のそれぞれは、一例としてX軸方向を周期方向とし、線幅約1.3μm、長さ約12μm程度の5本のラインパターンが、ピッチ約2.6μmで配列されたマルチバーパターンによって構成されている。計測用パターンMPnのそれぞれは、ライン部が光透過部から成る抜きパターンである。
【0073】
本実施形態では、上記の計測用パターンMPnの配置から明らかなように、X軸方向に隣り合う計測用パターン相互の間には、配列ピッチを20μmとして、24個の計測用パターンを配置でき、Y軸方向に隣り合う計測用パターンの相互の間には、配列ピッチを同じく20μmとして、14個の計測用パターンを配置できるようになっている。この場合、ウエハWのステップピッチを5μmとして、ステップ・アンド・リピート方式(又はステップ・アンド・スキャン方式)でレチクルRTのパターンをウエハW上に転写すると、上述の計測用パターンの構成説明からわかるように、ウエハW上の5μm角の各区画領域(ショット領域)内の約60%の領域内に計測用パターンMPnの転写像が形成されるようになっている。
【0074】
また、前述のレチクルセンタを通るパターン領域PAのX軸方向の両側には、一対のレチクルアライメントマークRM1,RM2が形成されている。
【0075】
また、パターン領域PAのレチクルセンタから+Y側に所定距離L1(L1は例えば40mm)離れた位置には、その位置(点)を中心とする、3行3列のマトリック状配置の9個の長方形枠状の光透過部によって形成された枠パターンAPが形成されている。この枠パターンAPを構成する各光透過部は、460μm(X軸方向の長さ)×260μm(Y軸方向の長さ)の長方形領域を取り囲む所定幅、例えば20μmの長方形枠状のパターン(以下、便宜上「長方形パターン」と呼ぶ)である。隣接する長方形パターン同士の中心間距離は、X軸方向に約500μm、Y軸方向に約300μmとなっている。
【0076】
レチクルRT上の各パターンは、実際には上述したような寸法関係となっているが、図3では図示の便宜上から大きさ、寸法の関係は実際と異なるものとして図示されている。
【0077】
次に、本実施形態の露光装置100における投影光学系PLの光学特性の計測方法について、主制御装置28内のCPUの処理アルゴリズムを簡略化して示す図4及び図5のフローチャートに沿って、かつ適宜他の図面を用いて説明する。
【0078】
先ず、図4のステップ402において、不図示のレチクルローダを介してレチクルステージRST上にレチクルRTをロードするとともに、不図示のウエハローダを介してウエハWTをウエハテーブル18上にロードする。
【0079】
次のステップ404において、レチクルRTの投影光学系PLに対する位置合わせ、レチクルブラインドの設定などの所定の準備作業を行う。具体的には、まず、ウエハテーブル18上に設けられた基準板FPの表面に形成されている一対の基準マーク(不図示)の中点が投影光学系PLの光軸とほぼ一致するように、レーザ干渉計26の計測結果をモニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20を移動する。次いで、レチクルRTの中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸とほぼ一致するように、レーザ干渉計14の計測値に基づいて、レチクルステージRSTの位置を不図示のレチクルステージ駆動部を介して調整する。このとき、例えば、前述のレチクルアライメント検出系(不図示)により投影光学系PLを介してレチクルアライメントマークRM1,RM2と対応する前記基準マークとの相対位置を検出する。そして、レチクルアライメント検出系によって検出された前記相対位置の検出結果に基づいてレチクルアライメントマークRM1,RM2と対応する前記基準マークとの相対位置誤差がともに最小となるように不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTのXY面内の位置を調整する。これにより、レチクルRTの中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸と正確にほぼ一致するとともにレチクルRTの回転角もレーザ干渉計26の測長軸で規定される直交座標系の座標軸に正確に一致する。
【0080】
なお、レチクルRT上で非走査方向(X軸方向)に関して照明領域IARの幅がパターン領域PAの幅よりも大きいときは、照明領域IARの幅がパターン領域PAの幅と同程度以下となるように、照明系IOP内の可動レチクルブラインド8Bの非走査方向の開口幅を調整する。
【0081】
このようにして、所定の準備作業が終了すると、次のステップ408に移行して、露光エネルギ量の目標値を初期化する。すなわち、カウンタjに初期値「1」を設定して露光エネルギ量の目標値PjをP1に設定する(j←1)。本実施形態では、カウンタjは、露光エネルギ量の目標値の設定とともに、露光の際のウエハWTの行方向の移動目標位置の設定にも用いられる。なお、本実施形態では、ウエハWTの表面にポジ型レジストが塗布され、例えばポジ型レジストに関する既知の最適露光量より所定量小さい値を中心として、露光エネルギ量をP1からΔP刻みでPN(一例としてN=23)まで変化させる(Pj=P1〜P23)。この場合、露光量PNが上記の最適露光量とほぼ同じ露光量となる。
【0082】
次のステップ410では、ウエハWTのフォーカス位置(Z軸方向の位置)の目標値を初期化する。すなわち、カウンタiに初期値「1」を設定してウエハWTのフォーカス位置の目標値ZiをZ1に設定する(i←1)。本実施形態では、カウンタiは、ウエハWTのフォーカス位置の目標値の設定とともに、露光の際のウエハWTの列方向の移動目標位置の設定にも用いられる。なお、本実施形態では、例えば投影光学系PLに関する既知の最良フォーカス位置(設計値など)を中心としてウエハWTのフォーカス位置をZ1からΔZ刻みでZM(一例としてM=13)まで変化させる(Zi=Z1〜Z13)。
【0083】
従って、本実施形態では、投影光学系PLの光軸方向に関するウエハWTの位置とウエハWT上に照射される照明光ILのエネルギ量をそれぞれ変更しながら、計測用パターンMPn(n=1〜9)をウエハWT上に順次転写するための、N×M(一例として23×13=299)回の露光が行われることになる。投影光学系PLの視野内の各評価点に対応するウエハWT上の領域(以下「評価点対応領域」という)DB1〜DB9の内の後述する第1領域DC1〜DC9(図7及び図8参照)には、N×M個の計測用パターンMPnが転写されることとなる。
【0084】
ここで、評価点対応領域DBn(n=1〜9)内の第1領域DCnとしているのは、本実施形態では、各評価点対応領域DBnは、上記のN×M個の計測用パターンMPnが転写される矩形の第1領域DCnと、該第1領域を囲む矩形枠状の第2領域DDnとによって構成されるからである(図8参照)。
【0085】
なお、この評価点対応領域DBn(すなわち第1領域DCn)は、投影光学系PLの視野内でその光学特性を検出すべき複数の評価点に対応している。
【0086】
ここで、説明は前後するが、便宜上、後述する露光によって、計測用パターンMPnが転写されるウエハWT上の各第1領域DCnについて、図6を用いて説明する。この図6に示されるように、本実施形態では、M行N列(13行23列)のマトリックス状に配置されたM×N(=13×23=299)個の仮想の区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)に計測用パターンMPnがそれぞれ転写され、これら計測用パターンMPnがそれぞれ転写されたM×N個の区画領域DAi,jから成る第1領域DCnがウエハWT上に形成される。なお、仮想の区画領域DAi,jは、図6に示されるように、+X方向が行方向(jの増加方向)となり、+Y方向が列方向(iの増加方向)となるように配列されている。また、以下の説明において用いられる添え字i,j、及びM,Nは、上述と同じ意味を有するものとする。
【0087】
図4に戻り、次のステップ412では、ウエハWT上の各評価点対応領域DBn内の仮想の区画領域DAi,j(ここではDA1,1(図7参照))に計測用パターンMPnの像がそれぞれ転写される位置に、レーザ干渉計26の計測値をモニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20(ウエハWT)を移動する。
【0088】
次のステップ414では、ウエハWTのフォーカス位置が設定された目標値Zi(この場合Z1)と一致するように、フォーカスセンサAFSからの計測値をモニタしながらウエハテーブル18をZ軸方向(及び傾斜方向)に微少駆動する。
【0089】
次のステップ416では、露光を実行する。このとき、ウエハWT上の一点における露光エネルギ量(積算露光量)が設定された目標値(この場合P1)となるように、露光量制御を行う。この露光エネルギ量の制御方法としては、例えば、次の第1〜第3の方法を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0090】
すなわち、第1の方法として、パルスの繰り返し周波数を一定に維持し、エネルギ粗調器3を用いてレーザビームLBの透過率を変化させ像面(ウエハ面)に与えられる照明光ILのエネルギ量を調整する。第2の方法として、パルスの繰り返し周波数を一定に維持し、光源1に指示を与えてレーザビームLBの1パルス当たりのエネルギを変化させることにより像面(ウエハ面)に与えられる照明光ILのエネルギ量を調整する。第3の方法として、レーザビームLBの透過率及びレーザビームLBの1パルス当たりのエネルギを一定に維持し、パルスの繰り返し周波数を変更することによって、像面(ウエハ面)に与えられる照明光ILのエネルギ量を調整する。
【0091】
これにより、図7に示されるように、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DA1,1にそれぞれ計測用パターンMPnの像が転写される。
【0092】
図4に戻り、上記ステップ416の露光が終了すると、次のステップ420に移行する。このステップ420では、ウエハWTのフォーカス位置の目標値がZM以上であるか否かを判断することにより、所定のZ範囲での露光が終了したか否かを判断する。ここでは、最初の目標値Z1での露光が終了しただけなので、ステップ422に移行し、カウンタiを1インクリメントする(i←i+1)。これにより、ウエハWTのフォーカス位置の目標値にΔZが加算される。ここでは、フォーカス位置の目標値がZ2(=Z1+ΔZ)に変更される。その後、ステップ412に戻る。
【0093】
このステップ412において、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DA2,1に計測用パターンMPnの像がそれぞれ転写される位置にウエハWTが位置決めされるように、XYステージ20を所定のステップピッチSPだけXY面内で所定方向(この場合−Y方向)に移動する。ここで、本実施形態では、上記のステップピッチSPが、例えば約5μmに設定されている。
【0094】
次のステップ414では、ウエハWTのフォーカス位置が目標値(この場合Z2)と一致するように、ウエハテーブル18をΔZだけ光軸AXpの方向にステップ移動し、ステップ416において前述と同様にして露光を行い、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DA2,1に計測用パターンMPnをそれぞれ転写する。ここで、区画領域DA2,1は、一辺の長さが上記のステップピッチSPに一致する仮想の区画領域であり、各第1領域DCnの区画領域DA1,1と区画領域DA2,1との境界部分に枠線が存在するわけではない。前述した区画領域DA1,1及び後述する他の区画領域DAi,j(i=3〜M、j=1〜N)も、上記区画領域DA1,1と同様の仮想の区画領域である。
【0095】
以後、ステップ420における判断が肯定されるまで、すなわちそのとき設定されているウエハWTのフォーカス位置の目標値がZMであると判断されるまで、ステップ420→422→412→414→416のループの処理(判断を含む)を繰り返す。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DAi,1(i=3〜M)に計測用パターンMPnがそれぞれ転写される。但し、この場合も、隣接する区画領域間の境界には、前述と同様に枠線が存在しない。
【0096】
一方、区画領域DAM,1に対する露光が終了し、上記ステップ420における判断が肯定されると、ステップ424に移行し、そのとき設定されている露光エネルギ量の目標値がPN以上であるか否かを判断する。ここでは、そのとき設定されている露光エネルギ量の目標値はP1であるため、このステップ424における判断は、否定され、ステップ426に移行する。
【0097】
ステップ426では、カウンタjを1インクリメントする(j←j+1)。これにより、露光エネルギ量の目標値にΔPが加算される。ここでは、露光エネルギ量の目標値がP2(=P1+ΔP)に変更される。その後、ステップ410に戻る。
【0098】
ステップ410においてウエハWTのフォーカス位置の目標値が初期化された後、ステップ412→414→416→420→422のループの処理(判断を含む)を繰り返す。このループの処理は、ステップ420における判断が肯定されるまで、すなわち露光エネルギ量の目標値P2での、所定のウエハWTのフォーカス位置範囲(Z1〜ZM)についての露光が終了するまで、繰り返される。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnの区画領域DAi,2(i=1〜M)に計測用パターンMPnがそれぞれ転写される。但し、この場合も、隣接する区画領域間の境界には、前述と同様に枠線が存在しない。
【0099】
一方、露光エネルギ量の目標値P2での、所定のウエハWTのフォーカス位置範囲(Z1〜ZM)についての露光が終了すると、ステップ420における判断が肯定され、ステップ424に移行し、設定されている露光エネルギ量の目標値がPN以上であるか否かを判断する。この場合、露光エネルギ量の目標値はP2であるため、このステップ424における判断は、否定され、ステップ426に移行する。ステップ426において、カウンタjを1インクリメントする。これにより、露光エネルギ量の目標値にΔPが加算される。ここでは、露光エネルギ量の目標値がP3に変更される。その後、ステップ410に戻り、以後、上記と同様の処理(判断を含む)を繰り返す。
【0100】
このようにして、所定の露光エネルギ量の範囲(P1〜PN)についての露光が終了すると、ステップ424における判断が肯定され、図5のステップ428に移行する。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnには、図7に示されるように、それぞれ露光条件が異なるN×M(一例として23×13=299)個の計測用パターンMPnの転写像(潜像)が形成される。なお、実際には、上述のようにして、ウエハWT上に計測用パターンMPnの転写像(潜像)が形成された段階で、その転写像をその内部に含むN×M(一例として23×13=299)個の仮想の区画領域DAi,jから成る各第1領域DCnが形成されるのであるが、上記の説明では、説明を分かり易くするために、第1領域DCnが予めウエハWT上にあるかのような説明方法を採用したものである。
【0101】
図5のステップ428では、レチクルRT上の枠パターンAPを構成する各長方形パターンが、ウエハWT上に形成された各評価点対応領域DBnの第1領域DCnの輪郭に正確に一致するように、レチクルRTとウエハWTとを次のようにして移動(位置決め)する。
【0102】
すなわち、まず、レーザ干渉計14の計測値に基づいて、不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTを−Y方向に前述の距離L1(L1は、例えば40mm)移動する。これにより、枠パターンAPの中心が投影光学系PLの光軸とほぼ一致するとともに枠パターンAPの回転角もレーザ干渉計26の測長軸で規定される直交座標系の座標軸に正確に一致する。次に、レーザ干渉計26の計測結果をモニタしつつ駆動系22を介してウエハWT上の第1領域DB5の中心が投影光学系PLの光軸とほぼ一致する位置にXYステージ20を移動する。この際、ウエハWTの回転誤差が移動の前後で生じないようにする。
【0103】
上記のようにしてレチクルRTとウエハWTとの位置決めが終了すると、次のステップ430に進み、露光を実行する。このとき、ウエハWT上の一点における露光エネルギ量(積算露光量)が既知の最適露光量より所定量大きな値となるように露光量制御を行う。
【0104】
これにより、ウエハWT上には、図8に示されるような矩形(長方形)の第1領域DCnと、これを取り囲む矩形枠状の第2領域DDnとから成る、評価点対応領域DBn(n=1〜9)の潜像が形成される。この場合、第2領域DDnは、明らかに過露光(オーバードーズ)状態となっている。
【0105】
このようにしてウエハWTに対する露光が終了すると、図5のステップ450に移行する。このステップ450では、不図示のウエハアンローダを介してウエハWTをウエハテーブル18上からアンロードするとともに不図示のウエハ搬送系を用いてウエハWTを露光装置100にインラインにて接続されている不図示のコータ・デベロッパに搬送する。
【0106】
上記のコータ・デベロッパに対するウエハWTの搬送後に、ステップ452に進んでウエハWTの現像が終了するのを待つ。このステップ452における待ち時間の間に、コータ・デベロッパによってウエハWTの現像が行われる。この現像の終了により、ウエハWT上には、図8に示されるような矩形(長方形)の第1領域DCnと、これを取り囲む矩形枠状の第2領域DDnとから成る、評価点対応領域DBn(n=1〜9)のレジスト像が形成され、このレジスト像が形成されたウエハWTが投影光学系PLの光学特性を計測するための試料となる。図9には、ウエハWT上に形成された評価点対応領域DB1のレジスト像の一例が示されている。
【0107】
この図9では、評価点対応領域DB1は、第2領域DD1の内部にN×M=23×13=299個の区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)が配置され、隣接する区画領域相互間に仕切りの枠のレジスト像が存在するかのように図示されているが、これは個々の区画領域を分かり易くするためにこのようにしたものである。しかし、実際には、隣接する区画領域相互間に仕切りの枠のレジスト像は存在しない。このように枠を無くすことにより、従来問題となっていた、FIA系のアライメントセンサなどによる画像取り込みに際して、枠による干渉に起因してパターン部のコントラスト低下が生じるのを防止できる。
【0108】
また、この場合、隣接する区画領域間のマルチバーパターンから成る計測用パターンMPnのレジスト像同士の距離をLとすると、この距離Lは、一方の計測用パターンMPnの像のコントラストに他方の計測用パターンMPnの像の存在が影響を与えない程度の距離とされている。この距離Lは、区画領域を撮像する撮像装置(本実施形態の場合、アライメント検出系AS(FIA系のアライメントセンサ))の解像度をRf、計測用パターンの像のコントラストをCf、レジストの反射率、屈折率などを含むプロセスによって定まるプロセスファクタをPf、アライメント検出系AS(FIA系のアライメントセンサ)の検出波長をλfとした場合に、一例として、L=f(Cf、Rf、Pf、λf)なる関数で表すことができる。
【0109】
なお、プロセスファクタPfは、像のコントラストに影響を与えるので、プロセスファクタを含まない関数L=f’(Cf、Rf、λf)なる関数によって距離Lを規定しても良い。
【0110】
また、図9からもわかるように、矩形(長方形)の第1領域DC1を取り囲む矩形枠状の第2領域DD1には、当然にパターンは存在しない。この場合、第2領域DD1及び計測用パターン像が形成された区画領域内のパターン部が、レジストが少なくとも一部除去された部分であり、その他がレジストが残存する部分である。このうち、第2領域DD1は、露光の際に過露光となる露光エネルギを設定したので、完全にレジストが除去されている。このようにしたのは、後述する外枠検出の際にその外枠部のコントラストを向上させ、検出信号のS/N比を高くするためである。
【0111】
上記ステップ452の待ち状態で、不図示のコータ・デベロッパの制御系からの通知によりウエハWTの現像が終了したことを確認すると、ステップ454に移行し、不図示のウエハローダに指示を出して、前述のステップ402と同様にしてウエハWTをウエハテーブル18上に再度ロードした後、ステップ456の投影光学系の光学特性を算出するサブルーチン(以下、「光学特性計測ルーチン」とも呼ぶ)に移行する。
【0112】
この光学特性計測ルーチンでは、まず、図10のステップ502において、カウンタnを参照して、ウエハWT上の評価点対応領域DBnのレジスト像がアライメント検出系ASで検出可能となる位置にウエハWTを移動する。この移動、すなわち位置決めは、レーザ干渉計26の計測値をモニタしつつ、駆動系22を介してXYステージ20を制御することにより行う。ここで、カウンタnは、n=1に初期化されているものとする。従って、ここでは、図9に示されるウエハWT上の評価点対応領域DB1のレジスト像がアライメント検出系ASで検出可能となる位置にウエハWTが位置決めされる。なお、以下の光学特性計測ルーチンの説明では、評価点対応領域DBnのレジスト像を、適宜「評価点対応領域DBn」と略述するものとする。
【0113】
次のステップ504では、ウエハWT上の評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)のレジスト像をアライメント検出系ASを用いて撮像し、その撮像データを取り込む。なお、アライメント検出系ASは、レジスト像を自身の有する撮像素子(CCD等)のピクセル単位に分割し、ピクセル毎に対応するレジスト像の濃淡を8ビットのデジタルデータ(ピクセルデータ)として主制御装置28に供給するようになっている。すなわち、前記撮像データは、複数のピクセルデータで構成されている。なお、ここでは、レジスト像の濃度が高くなる(黒に近くなる)につれてピクセルデータの値は大きくなるものとする。
【0114】
次のステップ506では、アライメント検出系ASからの評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)に形成されたレジスト像の撮像データを整理し、撮像データファイルを作成する。
【0115】
次のステップ508では、評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)の外縁である長方形(矩形)の外枠を検出する。この外枠の検出は、一例として、概ね下記のA.〜D.のようにして行われる。
【0116】
A. まず、評価点対応領域DBn(ここでは、DB1)の画像中心近傍を通る縦方向(Y軸にほぼ平行な方向)のピクセル列情報を用いて、下記のa.〜c.のような手順で境界検出を行い、評価点対応領域DBnの上辺及び下辺の大まかな位置を検出する。
a. まず、境界検出用の直線状のピクセル列のデータ(ピクセル列データ)を前述の撮像データファイルの中から抽出する。このピクセル列データに対応する波形データと所定の閾値t(スレッショルドレベルライン)との交点(すなわち、閾値tが波形データを横切る点)を求める。この場合、実際にはピクセル列を外側から内側に走査することによって交点が検出される。従って、交点は、少なくとも2点検出される。
b.次に、求めた各交点の位置からそれぞれ双方向にピクセル列を走査し、各交点の近傍のピクセル値の極大値及び極小値を、それぞれ求め、求めた極大値及び極小値の平均値を算出し、これを新たな閾値t’とする。この場合、交点が少なくとも2点あるので、新たな閾値t’も交点毎に求められることになる。
c.次に、求めた交点毎の、極大値と極小値との間で、閾値t’と波形データとの交点(すなわち、閾値t’が波形データを横切る点)をそれぞれ求め、その求めた各点(ピクセル)の位置を境界位置とする。すなわち、このようにして境界位置(この場合、評価点対応領域DBnの上辺及び下辺の大まかな位置)を算出する。
【0117】
B. 次に、上記のようにして求めた上辺の僅かに下方、下辺の僅かに上方の横方向のピクセル列情報を用いて、上記A.と同様にして境界検出を行い、左辺、右辺上の点を各2点検出する。
【0118】
C. 次に、求めた左辺より僅かに右側、右辺より僅かに左側の縦方向のピクセル列情報を用いて、上記A.と同様にして境界検出を行い、上辺、下辺上の点を各2点検出する。
【0119】
D. 次に、上記B.及びC.で検出された8点の位置情報を用いて、所定の演算により、矩形の外枠DBF(図9参照)の4頂点の位置情報を算出する。
【0120】
E. 次いで、その求めた4頂点の位置情報(座標)を用いて、最小二乗法を利用した長方形近似演算を行うことにより、回転を含めた評価点対応領域DBnの外枠DBFを算出する。
【0121】
上記のようにして、評価点対応領域DBnの外枠DBFを算出(検出)すると、次のステップ518では、検出した外枠DBFを基準として、既知の位置関係から第1領域DCnの矩形の輪郭を推定し、その推定した輪郭を、既知の区画領域の縦方向の数=M=13、区画領域の横方向の数=N=23を用いて、等分割し、各区画領域DAi,j(i=1〜13、j=1〜23)を求める。すなわち、外枠DBFを基準として、各区画領域を求める。
【0122】
図12には、このようにして求められた、第1領域DCnを構成する各区画領域DAi,j(i=1〜13、j=1〜23)が示されている。
【0123】
図10に戻り、次のステップ520では、各区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)について、ピクセルデータに関する代表値(以下、適宜「スコア」とも呼ぶ)を算出する。
【0124】
以下、スコアEi,j(i=1〜M、j=1〜N)の算出方法について詳述する。
【0125】
通常、撮像された計測対象において、パターン部分と非パターン部分にはコントラスト差がある。パターンが出現していない領域内には非パターン領域輝度をもつピクセルだけが存在し、一方、パターンが出現した領域内にはパターン領域輝度をもつピクセルと非パターン領域輝度を持つピクセルとが混在する。従って、パターン有無判別を行うための代表値(スコア)として、各区画領域内でのピクセル値のばらつきを用いることができる。
【0126】
本実施形態では、一例として、区画領域内の指定範囲のピクセル値の分散(又は標準偏差)を、スコアEとして採用するものとする。
【0127】
指定範囲内のピクセルの総数をS、k番目のピクセルの輝度値をIkとすると、スコアEは次式(1)で表せる。
【0128】
【数1】
【0129】
本実施形態の場合、前述した区画領域のサイズと計測用パターンMPnのウエハ上のサイズとの関係から容易に想像されるように、パターン出現区画領域において、計測用パターンMPnは、区画領域DAi,jと中心を同じくし、該区画領域DAi,jをほぼ60%に縮小した範囲(領域)に存在することとなる。
【0130】
かかる点を考慮すると、上記の指定範囲として、例えば区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)と中心を同じくし、その領域を縮小した範囲をスコア算出に用いることができる。但し、その縮小率A(%)は以下のように制限される。
【0131】
まず、下限については、範囲が狭すぎるとスコア算出に用いる領域が、パターン部分のみになってしまい、そうするとパターン出現部でもばらつきが小さくなってパターン有無判別には利用できなくなる。この場合には、上述のパターンの存在範囲から明らかなように、A>60%である必要がある。また、上限については、当然100%以下だが、検出誤差などを考慮して100%より小さい比率にすべきである。これより、縮小率Aは、60%<A<100%に定める必要がある。
【0132】
本実施形態の場合、パターン部が区画領域の約60%を占めているため、スコア算出に用いる領域(指定範囲)の区画領域に対する比を上げるほどS/N比が上がるものと予想される。
【0133】
しかるに、スコア算出に用いる領域内でのパターン部と非パターン部の領域サイズが同じになれば、パターン有無判別のS/N比を最大にすることができる。本実施形態では、幾つかの比率を実験的に確認した結果、例えばA=90%との場合に最も安定した結果が得られたので、A=90%という比率を採用するものとする。勿論Aは、90%に限定されるものではなく、計測用パターンMPnとステップピッチSPによって決定されるウエハ上の区画領域とを考慮して、区画領域に対する計測用パターンMPnの像が占める割合を考慮して定めれば良い。また、スコア算出に用いる指定範囲は、区画領域と中心を同じくする領域に限定されるものではなく、計測用パターンMPnの像が区画領域内のどの位置に存在するかを考慮して定めれば良い。
【0134】
従って、ステップ520では、前記撮像データファイルから、各区画領域DAi,jの前記指定範囲内の撮像データを抽出し、上式(1)を用いて、各区画領域DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)のスコアEi,jを算出する。
【0135】
上記の方法で求めたスコアEは、パターンの有無具合を数値として表しているので、所定の閾値で二値化することによってパターン有無の判別を自動的にかつ安定して行うことが可能である。
【0136】
そこで、次のステップ522(図11)において、区画領域DAi,j毎に上で求めたスコアEi,jと所定の閾値SHとを比較して、各区画領域DAi,jにおける計測用パターンMPの像の有無を検出し、検出結果としての判定値Fi,j(i=1〜M、j=1〜N)を図示しない記憶装置に保存する。すなわち、このようにして、スコアEi,jに基づいて、区画領域DAi,j毎に計測用パターンMPnの像の形成状態を検出する。なお、像の形成状態としては、種々のものが考えられるが、本実施形態では、上述の如く、スコアEがパターンの有無具合を数値として表すものであるという点に基づいて、区画領域内にパターンの像が形成されているか否かに着目することとしたものである。
【0137】
ここでは、スコアEi,jが閾値SH以上の場合には、計測用パターンMPnの像が形成されていると判断し、検出結果としての判定値Fi,jを「0」とする。一方、スコアEi,jが閾値SH未満の場合には、計測用パターンMPnの像が形成されていないと判断し、検出結果としての判定値Fi,jを「1」とする。図13には、この検出結果の一例がテーブルデータとして示されている。この図13は、前述の図9に対応するものである。
【0138】
図13において、例えば、F12,16は、ウエハWTのZ軸方向の位置がZ12で、露光エネルギ量がP16のときに転写された計測用パターンMPnの像の形成状態の検出結果を意味し、一例として、図13の場合には、F12,16は、「1」という値になっており、計測用パターンMPnの像が形成されていないと判断されたことを示している。
【0139】
なお、閾値SHは、予め設定されている値であり、オペレータが図示しない入出力装置を用いて変更することも可能である。
【0140】
次のステップ524では、上述の検出結果に基づいて、フォーカス位置毎にパターンの像が形成されている区画領域の数を求める。すなわち、フォーカス位置毎に判定値「0」の区画領域が何個あるかを計数し、その計数結果をパターン出現数Ti(i=1〜M)とする。この際に、周囲の領域と異なる値を持ついわゆる跳び領域は無視する。例えば、図13の場合には、ウエハWTのフォーカス位置がZ1ではパターン出現数T1=8、Z2ではT2=11、Z3ではT3=14、Z4ではT4=16、Z5ではT5=16、Z6ではT6=13、Z7ではT7=11、Z8ではT8=8、Z9ではT9=5、Z10ではT10=3、Z11ではT11=2、Z12ではT12=2、Z13ではT13=2である。このようにして、フォーカス位置とパターン出現数Tiとの関係を求めることができる。
【0141】
なお、上記の跳び領域が生ずる原因として、計測時の誤認識、レーザのミスファイヤ、ゴミ、ノイズ等が考えられるが、このようにして生じた跳び領域がパターン出現数Tiの検出結果に与える影響を軽減するために、フィルタ処理を行っても良い。このフィルタ処理としては、例えば評価する区画領域を中心とする3×3の区画領域のデータ(判定値Fi,j)の平均値(単純平均値又は重み付け平均値)を求めることが考えられる。なお、フィルタ処理は、形成状態の検出処理前のデータ(スコアEi,j)に対して行っても勿論良く、この場合には、より有効に跳び領域の影響を軽減できる。
【0142】
次のステップ526では、パターン出現数からベストフォーカス位置を算出するためのn次の近似曲線(例えば4〜6次曲線)を求める。
【0143】
具体的には、上記ステップ524で検出されたパターンの出現数を、横軸をフォーカス位置とし、縦軸をパターン出現数Tiとする座標系上にプロットする。この場合、図14に示されるようになる。ここで、本実施形態の場合、ウエハWTの露光にあっては、各区画領域DAi,jを同一の大きさとし、かつ、行方向で隣接する区画領域間の露光エネルギの差を一定値(=ΔP)とし、列方向で隣接する区画領域間のフォーカス位置の差を一定値(=ΔZ)としたので、パターン出現数Tiが露光エネルギ量に比例するものとして扱うことができる。すなわち、図19において、縦軸は露光エネルギ量Pであると考えることもできる。
【0144】
上記のプロット後、各プロット点をカーブフィットすることによりn次の近似曲線(最小自乗近似曲線)を求める。これにより、例えば図19に点線で示されるような曲線P=f(Z)が求められる。
【0145】
図11に戻り、次のステップ528では、上記曲線P=f(Z)の極値(極大値又は極小値)の算出を試みるとともに、その結果に基づいて極値が存在するか否かを判断する。そして、極値が算出できた場合には、ステップ530に移行して極値におけるフォーカス位置を算出して、その算出結果を光学特性の一つである最良フォーカス位置とするとともに、該最良フォーカス位置を図示しない記憶装置に保存する。
【0146】
一方、上記ステップ528において、極値が算出されなかった場合には、ステップ532に移行して、ウエハWの位置変化(Zの変化)に対応する曲線P=f(Z)の変化量が最も小さいフォーカス位置の範囲を算出し、その範囲の中間の位置を最良フォーカス位置として算出し、その算出結果を最良フォーカス位置とするとともに、該最良フォーカス位置を図示しない記憶装置に保存する。すなわち、曲線P=f(Z)の最も平坦な部分に基づいてフォーカス位置を算出する。
【0147】
ここで、このステップ532のようなベストフォーカス位置の算出ステップを設けたのは、計測用パターンMPの種類やレジストの種類その他の露光条件によっては、例外的に上述の曲線P=f(Z)が明確なピークを持たないような場合があるのでこのような場合にも、ベストフォーカス位置をある程度の精度で算出できるようにしたものである。
【0148】
次のステップ534において、前述のカウンタnを参照して、全ての評価点対応領域DB1〜DB5について処理が終了したか否かを判断する。ここでは、評価点対応領域DB1についての処理が終了しただけであるため、このステップ534における判断は否定され、ステップ536に進んでカウンタnをインクリメント(n←n+1)した後、図10のステップ502に戻り、評価点対応領域DB2がアライメント検出系ASで検出可能となる位置に、ウエハWTを位置決めする。
【0149】
そして、上述したステップ504〜534までの処理(判断を含む)を再度行い、上述した評価点対応領域DB1の場合と同様にして、評価点対応領域DB2について最良フォーカス位置を求める。
【0150】
そして、評価点対応領域DB2について最良フォーカス位置の算出が終了すると、ステップ534で全ての評価点対応領域DB1〜DB5について処理が終了したか否かを再度判断するが、ここでの判断は否定される。以後、ステップ534における判断が肯定されるまで、上記ステップ502〜536の処理(判断を含む)が繰り返される。これにより、他の評価点対応領域DB3〜DB9について、前述した評価点対応領域DB1の場合と同様にして、それぞれ最良フォーカス位置が求められることとなる。
【0151】
このようにして、ウエハWT上の全ての評価点対応領域DB1〜DB9について最良フォーカス位置の算出、すなわち投影光学系PLに関して照明領域IARと共役な露光領域内で9つの計測用パターンMP1〜MP9の投影位置となる計測点(評価点)での最良フォーカス位置の算出がなされると、ステップ534での判断が肯定され、ステップ538に移行して、上で求めた最良フォーカス位置データに基づいて他の光学特性を算出する。
【0152】
例えば、このステップ538では、一例として、評価点対応領域DB1〜DB9における最良フォーカス位置のデータに基づいて、投影光学系PLの像面湾曲を算出する。また、前述した露光領域内の各計測点(評価点)での焦点深度などを求めても良い。
【0153】
ここで、本実施形態では、説明の簡略化のため、投影光学系PLの視野内の各評価点に対応するレチクルRT上の領域に計測用パターンとして前述のパターンMPnのみが形成されていることを前提として、説明を行った。しかし、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば各評価点に対応するレチクルRT上の領域の近傍に、前述したステップピッチSPの整数倍、例えば8倍、12倍などの間隔の所定領域に周期方向が異なるL/Sパターンや、ピッチが異なるL/Sパターンなど複数種類の計測用パターンをそれぞれ配置しても良い。このようにすると、例えば、各評価点に対応する位置に近接して配置された周期方向が直交する1組のL/Sパターンを計測用パターンとして得られた最良フォーカス位置から各評価点における非点収差を求めることができる。さらに、投影光学系PLの視野内の各評価点について、上述のようにして算出された非点収差に基づいて最小二乗法による近似処理を行うことにより非点収差面内均一性を求めるとともに、非点収差面内均一性と像面湾曲とから総合焦点差を求めることも可能となる。
【0154】
そして、上述のようにして求められた投影光学系PLの光学特性データは、図示しない記憶装置に保存されるとともに、不図示の表示装置の画面上に表示される。これにより、図11のステップ538の処理、すなわち図5のステップ456の処理を終了し、一連の光学特性の計測処理を終了する。
【0155】
次に、デバイス製造の場合における、本実施形態の露光装置100による露光動作を説明する。
【0156】
前提として、上述のようにして決定された投影光学系PLの光学特性、例えば最良フォーカス位置の情報、あるいはこれに加えて像面湾曲の情報が、不図示の入出力装置を介して主制御装置28に入力されているものとする。
【0157】
例えば、像面湾曲の情報が入力されている場合には、主制御装置28は、露光に先立って、この光学特性データに基づいて、図示しない結像特性補正コントローラに指示し、例えば投影光学系PLの少なくとも1つの光学素子(本実施形態では、レンズエレメント)の位置(他の光学素子との間隔を含む)あるいは傾斜などを変更することにより、その像面湾曲が補正されるように投影光学系PLの結像特性を可能な範囲で補正する。なお、投影光学系PLの結像特性の調整に用いる光学素子は、レンズエレメントなどの屈折光学素子だけでなく、例えば凹面鏡などの反射光学素子、あるいは投影光学系PLの収差(ディストーション、球面収差など)、特にその非回転対称成分を補正する収差補正板などでも良い。さらに、投影光学系PLの結像特性の補正方法は光学素子の移動に限られるものではなく、例えば光源1を制御して照明光ILの中心波長を僅かにシフトさせる方法、又は投影光学系PLの一部で屈折率を変化させる方法などを単独、あるいは光学素子の移動との組み合わせで採用しても良い。
【0158】
そして、主制御装置28からの指示に応じて、不図示のレチクルローダにより転写対象となる所定の回路パターン(デバイスパターン)が形成されたレチクルRがレチクルステージRST上にロードされる。同様に、不図示のウエハローダにより、ウエハWがウエハテーブル18上にロードされる。
【0159】
次に、主制御装置28により、不図示のレチクルアライメント検出系、ウエハテーブル18上の基準マーク板FP、アラインメント検出系AS等を用いて、レチクルアラインメント、ベースライン計測などの準備作業が所定の手順で行われ、これに続いてEGA(エンハンスト・グローバル・アラインメント)方式などのウエハアライメントが行われる。なお、上記のレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報(対応米国特許第5,646,413号)に詳細に開示され、また、これに続くEGAについては、特開昭61−44429号公報(対応米国特許第4,780,617号)に詳細に開示されているので、ここではこれ以上の詳細説明は省略する。
【0160】
上記のウエハアライメントが終了すると、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。
【0161】
まず、主制御装置28は、レチクルRとウエハW、すなわちレチクルステージRSTとXYステージ20とのY軸方向の相対走査を開始する。両ステージRST、20がそれぞれの目標走査速度に達し、等速同期状態に達すると、照明系IOPからの紫外パルス光によってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。上記の相対走査は、主制御装置28が、前述したレーザ干渉計26及びレーザ干渉計14の計測値をモニタしつつ、レチクルステージ駆動部(不図示)及び駆動系22を制御することにより行われる。
【0162】
主制御装置28は、特に上記の走査露光時には、レチクルステージRSTのY軸方向の移動速度VrとXYステージ20のY軸方向の移動速度Vwとが、投影光学系PLの投影倍率(1/4倍あるいは1/5倍)に応じた速度比に維持されるように同期制御を行う。また、主制御装置28は、走査露光中に、フォーカスセンサAFSによって検出されたウエハWのZ軸方向の位置情報に基づき、前述の照明領域IARと共役な露光領域内で、前述した光学特性補正後の投影光学系PLの像面の焦点深度の範囲内にウエハW(ショット領域)表面が収まるように、駆動系22を介してウエハテーブル18をZ軸方向及び傾斜方向に駆動し、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行う。なお、本実施形態では、ウエハWの露光動作に先立って、前述した各評価点における最良フォーカス位置に基づいて投影光学系PLの像面を算出し、この像面がフォーカスセンサAFSの検出基準となるようにフォーカスセンサAFSの光学的なキャリブレーション(例えば、受光系50b内に配置される平行平面板の傾斜角度の調整など)が行われている。勿論、光学的なキャリブレーションを必ずしも行う必要はなく、例えば先に算出した像面とフォーカスセンサAFSの検出基準との偏差に応じたオフセットを考慮して、フォーカスセンサAFSの出力に基づいてウエハW表面を像面に一致させるフォーカス動作(及びレベリング動作)を行うようにしても良い。また、ウエハWの移動の代わりに、あるいはこれと組み合わせて、レチクルRと投影光学系PLの光学素子との少なくとも一方を移動してフォーカス・レベリング制御を行っても良い。
【0163】
そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が紫外パルス光で逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第1ショット領域の走査露光が終了する。これにより、レチクルRのパターンが投影光学系PLを介して第1ショット領域に縮小転写される。
【0164】
上述のようにして、第1ショット領域の走査露光が終了すると、主制御装置28により、駆動系22を介してXYステージ20がX、Y軸方向にステップ移動され、第2ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)に移動される。
【0165】
そして、主制御装置28により、上述と同様に各部の動作が制御され、ウエハW上の第2ショット領域に対して上記と同様の走査露光が行われる。
【0166】
このようにして、ウエハW上のショット領域の走査露光とショット間のステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショットの全てにレチクルRのパターンが順次転写される。
【0167】
ウエハW上の全露光対象ショットへのパターン転写が終了すると、次のウエハと交換され、上記と同様にアライメント、露光動作が繰り返される。
【0168】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、投影光学系の光学特性計測に際し、主制御装置28は、計測用パターンMPn(n=1〜9)と枠パターンAPとが形成されたレチクルRTを、投影光学系の物体面側に配置されたレチクルステージRST上に搭載し、投影光学系PLの像面側に配置されたウエハWT上に照射される照明光ILのエネルギ量(露光量)Pを適正露光量以下の範囲内で変更しながら、かつウエハWTの投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z)を変更し、ウエハWT上に計測用パターンMPnをステップ・アンド・リピート方式(ステップピッチSP)で順次転写する(ステップ408〜424)。これにより、ウエハWT上には、マトリックス状に配置された複数(M×N個)の区画領域(仮想の区画領域)DAi,j(i=1〜M、j=1〜N)から成る全体として矩形の第1領域DCnが形成される。この場合、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら露光が行われるので、前述した適性露光量以上の範囲で露光を行う場合に比べて、露光時間の短縮が可能となる。また、パターン線幅差が露光に与える影響が低減されている。また、第1領域DCnは、区画領域相互間の境界に従来のような枠線が存在しないN行M列のマトリックス状配置の複数の区画領域(計測用パターンの像が投影された領域)によって構成される。
【0169】
次いで、主制御装置28は、レチクルRTを移動し、レチクルRTとウエハWTとを所定の位置関係に設定して、枠パターンAPを過露光となる露光量でウエハWT上に転写する。これにより、ウエハWT上の各第1領域DCnの周囲に過露光の第2領域DDnがそれぞれ形成される(ステップ428、430)。すなわち、ウエハWT上には、第1領域DCnとこの外枠領域を形成する第2領域DDnとから成る評価点対応領域DBnが形成される。
【0170】
そして、ウエハWTの現像後に、主制御装置28は、FIA系のアライメントセンサから成るアライメント検出系ASを用いてウエハWT上の評価点対応領域DBnを撮像する(ステップ504)。次いで、主制御装置28は、取り込んだレジスト像の撮像データに基づき、評価点対応領域DBnの輪郭(矩形の外枠DBF)を検出する(ステップ506、508)。
【0171】
次に、主制御装置28は、既知の設計上の位置関係を考慮し、検出した外枠DBFを基準として評価点対応領域DBnを構成する複数の区画領域DAi,jのうち、第2領域DDnを除く第1領域DCnを構成するM×N個の区画領域それぞれの位置を算出する(ステップ518)。この算出は、外枠内の区画領域の数及び配置の情報に基づいて行われる。本実施形態では、外枠DBFを基準として設計値に基づき複数の区画領域の位置を算出するので、その複数の区画領域のほぼ正確な位置を求めることが可能となる。
【0172】
次いで、主制御装置28は、前記撮像データに基づき、第1領域DCnを構成するM×N個の区画領域の中から、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域に関する情報を検出する。具体的には、第1領域DCnを構成するM×N個の区画領域における像の形成状態(計測用パターンの像が出現しているか否か)を画像処理の手法、前述の各区画領域DAi,jのスコアEi,jと閾値SHとを比較した二値化の手法により検出し(ステップ520、522)、その結果、パターンが出現しているとされた区画領域DAi,jの数をフォーカス位置毎に計数し(ステップ524)、そのパターンの出現数を、横軸をフォーカス位置とし、縦軸をパターン出現数とする座標系上にプロットして、各プロット点をカーブフィットすることによりn次の近似曲線(最小自乗近似曲線)を求める。この場合、この近似曲線が、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域に関する情報、具体的には計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の配置情報に他ならない。
【0173】
すなわち、本実施形態では、過露光により計測用パターンの像が消失し始める境界となる区画領域を検出対象とせず、計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出するので、前述の如く、適正露光量以下の範囲で露光量を変化させながら露光を行っても、特に支障なく検出を行うことが可能となる。
【0174】
そして、検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報、すなわち前述のn次の近似曲線に基づいて、投影光学系の光学特性を求める(ステップ530〜538)。本実施形態では、客観的かつ定量的な上記のスコアEi,j、すなわち画像のコントラストの指標値を用いた検出結果に基づいて最良フォーカス位置などの投影光学系PLの光学特性を求めているため、短時間で精度良く最良フォーカス位置などを求めることが可能となる。従って、この最良フォーカス位置に基づいて決定される光学特性の計測精度及び計測結果の再現性を向上させることができるとともに、結果的に光学特性計測のスループットを向上させることが可能となる。また、従来の寸法を計測する方法に比べて、計測用パターンを小さくすることができるため、レチクルのパターン領域内に多くの計測用パターンを配置することが可能となる。従って、評価点の数を増加させることができるとともに、各評価点間の間隔を狭くすることができ、結果的に光学特性計測の計測精度を向上させることが可能となる。さらに、最適露光量以下の範囲で露光量を変化させているので、例えばレジスト像を計測対象とする場合に、レジストの特性によって計測結果が殆ど左右されない。
【0175】
また、本実施形態の場合、隣接する区画領域間に枠線が存在しないので、像形成状態の検出対象である複数の区画領域(主として計測用パターンの像が出現した区画領域)において、計測用パターンの像のコントラストが枠線の干渉に起因して低下することがない。このため、それらの複数の区画領域の撮像データとしてパターン部と非パターン部のS/N比の良好なデータを得ることができる。従って、区画領域毎の計測用パターンMPnの形成状態を精度、再現性良く検出することが可能となる。しかも、像の形成状態を客観的、定量的なスコアEi,jを閾値SHと比較してパターンの有無情報(二値化情報)に変換して検出するので、区画領域毎の計測用パターンMPnの形成状態を、再現性良く検出することができるとともに、パターン有無の判別を自動的にかつ安定して行うことができる。従って、本実施形態では、二値化に際して、閾値は一つだけで足り、複数の閾値を設定しておいて閾値毎にパターンの有無具合を判別するような場合に比べて、像の形成状態の検出に要する時間を短縮することができるとともに、その検出アルゴリズムも簡略化することができる。
【0176】
また、本実施形態では、上述の如く、像の形成状態をパターンの有無情報(二値化情報)に変換して検出するので、レチクルRTのパターン領域PA内に計測用パターンMPn以外のパターン(例えば、比較用の基準パターンや、位置決め用マークパターン等)を配置する必要がない。
【0177】
また、本実施形態に係る光学特性計測方法によると、統計処理による近似曲線の算出という客観的、かつ確実な方法を基礎として最良フォーカス位置を算出しているので、安定して高精度かつ確実に光学特性を計測することができる。なお、近似曲線の次数によっては、その変曲点、あるいはその近似曲線と所定のスライスレベルとの複数の交点等に基づいて最良フォーカス位置を算出することは可能である。
【0178】
また、本実施形態の露光装置100では、前述の光学特性計測方法により精度良く計測された投影光学系PLの光学特性を考慮して最適な転写が行えるように投影光学系PLが露光に先立って調整され、その調整された投影光学系PLを介してレチクルRに形成されたパターンがウエハW上に転写される。更に、上述のようにして決定された最良フォーカス位置を考慮して露光の際のフォーカス制御目標値の設定が行われるので、デフォーカスによる色むらの発生を効果的に抑制することができる。従って、本実施形態に係る露光方法によると、微細パターンをウエハ上に高精度に転写することが可能となる。
【0179】
なお、上記実施形態で説明した光学特性計測方法は、一実施形態に過ぎず、本発明の光学特性計測方法がこれに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では、マトリックス状に配置された複数の区画領域DAi,jから成る全体として矩形の第1領域DCnをウエハWT上に形成した後、第1領域の周囲に過露光の第2領域DDnを形成するものとしたが、第2領域DDnを形成した後、第1領域DCnを形成しても良い。かかる場合には、例えば感光剤として、化学増幅型レジストなどの高感度レジストを用いる場合に、検出対象である計測用パターンの像の形成(転写)から現像までの時間を短くできるので、より望ましい。
【0180】
また、上記実施形態では、評価点対応領域DBnを構成する第2領域DDnが矩形枠状である場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、第2領域は、その外縁が少なくとも第1領域を構成する各区画領域の位置算出の基準にできれば良いので、矩形枠状の一部の例えばコ字状(U字状)部分、あるいはL字状部分であっても良い。この場合、第1領域とその外側の第2領域とで構成される評価点対応領域は、全体として矩形の領域となる。
【0181】
また、前述の第2領域、すなわち矩形枠状の領域、あるいはその一部の領域を形成する方法は、上記実施形態で説明した方法に限らず、例えば、露光装置100のレチクルステージRST上に例えば矩形枠状の光透過部から成るパターン(第2領域DDnと同様の形状のパターン)あるいはその一部のパターンなどが形成されたレチクルを搭載し、そのレチクルのパターンを1回の走査露光で、投影光学系PLの像面側に配置されたウエハ上に転写して、過露光の第2領域をウエハ上に形成することとしても良い。あるいは、前述の計測用パターンをステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式で、過露光となる露光量でウエハ上に転写して前述の第2領域DDnを形成しても良い。この他、、計測用パターンが完全に含まれる区画領域DAi,jに対応するサイズの矩形の開口パターンが形成されたレチクルをレチクルステージRST上に搭載して、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式で、その開口パターンを過露光の露光エネルギ量でウエハ上に転写することにより、過露光の第2領域をウエハ上に形成することとしても良い。また、例えば上記の開口パターンを用いてステップ・アンド・スティッチ方式で露光を行い、ウエハ上に開口パターンの複数の像を隣接してあるいは繋ぎ合わせて形成することによって、過露光の第2領域をウエハ上に形成しても良い。この他、レチクルステージRSTを静止させた状態でそのレチクルステージRST上に搭載されたレチクルに形成された開口パターンを照明光で照明しながらウエハW(ウエハテーブル18)を所定方向に移動して過露光の第2領域を形成しても良い。いずれにしても、上記実施形態と同様に、過露光の第2領域の存在により、その第2領域の外縁をS/N比の良好な検出信号に基づいて精度良く検出することが可能となる。
【0182】
なお、上記実施形態では、計測用パターンMPnの像の形成状態を、スコアEi,jと閾値SHとを比較してパターンの有無情報(二値化情報)に変換して検出する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。上記実施形態では、評価点対応領域DBnの外枠DBFを精度良く検出し、この外枠を基準として各区画領域DAi,jを演算により算出するので、各区画領域の位置を正確に求めることができる。従って、この正確に求められた各区画領域に対してテンプレートマッチングを行うこととしても良い。このようにすれば、短時間にテンプレートマッチングを行うことができる。この場合、テンプレートパターンとして、例えば像が出現した区画領域あるいは像が出現しなかった区画領域の撮像データを用いることができる。このようにしても、客観的、定量的な相関値の情報が区画領域毎に得られるので、得られた情報を、所定の閾値と比較することにより、計測用パターンMPnの形成状態を二値化情報(像の有無情報)に変換して、上記実施形態と同様に像の形成状態を精度、再現性良く検出することができる。
【0183】
また、過露光の第2領域は、必ずしもなくても良い。かかる場合であっても、第1領域の輪郭が矩形の外枠となり、第1領域内の最外周部に位置する区画領域(以下、「外縁部区画領域」と呼ぶ)の一部には、パターン像が形成されない領域が存在するので、上記実施形態と同様の手法により、その外枠の一部、すなわち第1領域とその外側の領域の境界線をS/N比良く検出することが可能となり、その境界線を基準として設計値に基づき他の区画領域(第1領域を構成する各区画領域)の位置を算出することができ、他の区画領域のほぼ正確な位置を求めることが可能である。同様に、過露光の第2領域は、上記実施形態のような矩形枠状あるいはその一部のような形状に限定されるものではない。例えば、第2領域の形状は、第1領域との境界線(内縁)のみが矩形枠状の形状を有し、外縁は任意形状であっても良い。これらの場合にも、第1領域内の複数の区画領域それぞれの位置をほぼ正確に知ることができるので、例えばそれぞれの区画領域に対して、上記実施形態と同様のスコア(像のコントラストの指標値)を用いた方法、あるいはテンプレートマッチング法を適用して像の形成状態を検出することにより、上記実施形態と同様に、パターン像の形成状態を短時間で検出することが可能になる。
【0184】
そして、その検出結果に基づいて投影光学系の光学特性を求めることにより、客観的かつ定量的な像のコントラスト又は相関値を用いた検出結果に基づいて光学特性が求めることができる。従って、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0185】
また、上記実施形態では、各区画領域の検出の基準となる外枠DBFの検出、及び各区画領域の像の形成状態の検出にFIA系のアライメントセンサを用いるものとしたが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、外枠DBFあるいは上述した前記外縁部区画領域と第2領域の境界線の検出、及び各区画領域の像の形成状態の検出の少なくとも一方に、SEM(走査型電子顕微鏡)などの他の撮像装置(画像計測装置)を用いても良い。かかる場合であっても、第2領域の外枠又は内縁部を基準として、第1領域内の各区画領域の位置を精度良く求めることが可能である。
【0186】
また、上記実施形態では、図3に示されるように、遮光部から成るパターン領域PAの内部に光透過部によって計測用パターンMPnが形成された場合について説明したが、これに限らず、図3の場合と反対に、開口パターンの内部に遮光部によって形成される残しパターン(すなわち、両側が光透過部となる複数のライン部)によって計測用パターンMPnを形成しても良い。残しパターンによって計測用パターンを形成する場合には、ウエハにはその表面にネガ型レジストによって感光層を形成すれば良い。このようにすることにより、上記実施形態と同様に適正露光量以下の範囲で露光量を変化させても、前述と同様に転写像の出現し始める境界となる区画領域を精度良く検出することができ、結果的に上記実施形態と同等の効果を得ることができる。更に、上記実施形態ではレチクルのパターン領域PAを遮光部としたが、パターン領域PAは光透過部でも良く、この場合には、計測用パターンMPnの周囲の部分のみを遮光部とするとともに、転写に際して、照明領域をその遮光部部分のみに制限すれば良い。
【0187】
なお、上記実施形態では、レチクルRT上の計測用パターンMPnとして1種類のL/Sパターン(マルチバーパターン)を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないことは言うまでもない。計測用パターンとしては、周期方向が異なる少なくとも2種類のL/Sパターンや、孤立線やコンタクトホールなどを用いても良い。計測用パターンMPnとしてL/Sパターンを用いる場合には、デューティ比及び周期方向は、任意で良い。また、計測用パターンMPnとして周期パターンを用いる場合、その周期パターンは、L/Sパターンだけではなく、例えばドットマークを周期的に配列したパターンでも良い。これは、像の線幅等を計測する従来の方法とは異なり、像の形成状態をスコア(コントラスト)で検出しているからである。
【0188】
また、上記実施形態では、1種類のスコアに基づいて最良フォーカス位置を求めているが、これに限らず、複数種類のスコアを設定しこれらに基づいて、それぞれ最良フォーカス位置を求めても良く、あるいはこれらの平均値(あるいは重み付け平均値)に基づいて最良フォーカス位置を求めても良い。
【0189】
また、上記実施形態では、像の形成状態の検出に1種類の閾値を用いているが、これに限らず、複数の閾値を用いても良い。複数の閾値を求める場合、それぞれの閾値を、スコアと比較することで、区画領域の像の形成状態を検出することとしても良い。この場合、例えば第1の閾値での検出結果から最良フォーカス位置が算出困難な場合に、第2の閾値での形成状態の検出を行い、その検出結果から最良フォーカス位置を求めることなどが可能となる。
【0190】
また、予め複数の閾値を設定しておき、閾値毎に最良フォーカス位置を求め、それらの平均値(単純平均値あるいは重み付け平均値)を最良フォーカス位置としても良い。例えば、各閾値に応じて、露光エネルギ量Pが極値を示すときのフォーカス位置を順次算出する。そして、各フォーカス位置の平均値を最良フォーカス位置とする。なお、露光エネルギ量Pとフォーカス位置Zとの関係を示す近似曲線と適当なスライスレベル(露光エネルギ量)との2つの交点(フォーカス位置)を求め、両交点の平均値を、各閾値毎に算出し、それらの平均値(単純平均値あるいは重み付け平均値)を最良フォーカス位置としても良い。
【0191】
あるいは、各閾値毎に最良フォーカス位置を算出し、閾値と最良フォーカス位置との関係において、閾値の変動に対して、最良フォーカス位置の変化が最も小さい区間における最良フォーカス位置の平均値(単純平均値あるいは重み付け平均値)を最良フォーカス位置としても良い。
【0192】
また、上記実施形態では、予め設定されている値を閾値として用いているが、これに限定されるものではない。例えば、ウエハWT上の計測用パターンMPnが転写されていない領域を撮像し、得られたスコアを閾値としても良い。
【0193】
さらに、例えば前述の第1領域と第2領域とで、アライメント検出系ASによる画像の取り込み回数を異ならせても良く、このようにすることにより計測時間の短縮などを図ることができる。
【0194】
なお、上記実施形態の露光装置100では、主制御装置28は、図示しない記憶装置に格納されている処理プログラムに従って、前述した投影光学系の光学特性の計測を行うことにより、計測処理の自動化を実現することができる。勿論、この処理プログラムは、他の情報記録媒体(CD−ROM、MO等)に保存されていても良い。さらに、計測を行う時に、図示しないサーバから処理プログラムをダウンロードしても良い。また、計測結果を、図示しないサーバに送付したり、インターネットやイントラネットを介して電子メール及びファイル転送により、外部に通知することも可能である。
【0195】
なお、上記実施形態では、計測用パターンMPnをウエハWT上の各区画領域DAi,jに転写した後、現像後にウエハWT上の各区画領域DAi,jに形成されるレジスト像をアライメント検出系ASによって撮像し、その撮像データに対して画像処理を行う場合について説明したが、本発明に係る光学特性の計測方法はこれに限定されるものではない。例えば、撮像の対象は、露光の際にレジストに形成された潜像であっても良く、上記像が形成されたウエハを現像し、さらにそのウエハをエッチング処理して得られる像(エッチング像)などに対して行っても良い。また、ウエハなどの物体上における像の形成状態を検出するための感光層は、フォトレジストに限らず、光(エネルギ)の照射によって像(潜像及び顕像)が形成されるものであれば良い。例えば、感光層は、光記録層、光磁気記録層などであっても良く、従って、感光層が形成される物体もウエハ又はガラスプレート等に限らず、光記録層、光磁気記録層などが形成可能な板等であっても良い。
【0196】
また、オペレータなどが介在することなく、前述の計測結果(最良フォーカス位置など)に基づいて投影光学系PLの光学特性を調整することができる。すなわち、露光装置に自動調整機能を持たせることが可能となる。
【0197】
また、上記実施形態では、パターンの転写の際に変更される露光条件が、投影光学系の光軸方向に関するウエハWTの位置及びウエハWTの面上に照射されるエネルギビームのエネルギ量(露光ドーズ量)である場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、投影光学系の光軸方向に関するウエハWTの位置に限らず、例えば、照明条件(マスクの種別を含む)、投影光学系の結像特性など露光に関連する全ての構成部分の設定条件などの何れかを露光条件の1つとして変化させても良い。また、必ずしも2種類の露光条件を変更しながら露光を行う必要もない。すなわち、一種類の露光条件、すなわち、適正露光量以下の範囲内で露光量を変更しながら計測用マスクのパターンを感光物体上の複数の領域に転写し、その転写像の形成状態を検出する場合であっても、上記実施形態と同様のスコアを用いたコントラスト計測、あるいはテンプレートマッチングの手法により、その検出を迅速に行うことができるという効果がある。
【0198】
また、上記実施形態において、最良フォーカス位置とともに最良露光量を決定することができる。すなわち、露光エネルギ量を高エネルギ量側にも設定して、上記実施形態と同様の処理を行い、露光エネルギ量毎に、その像が検出されたフォーカス位置の幅を求め、該幅が最大となるときの露光エネルギ量を算出し、その場合の露光量を最良露光量とする。
【0199】
また、上記実施形態では、一例として、区画領域内の指定範囲のピクセル値の分散(又は標準偏差)を、スコアEとして採用するものとしたが、本発明がこれに限定されるものではなく、区画領域内又はその一部(例えば、前述の指定範囲)のピクセル値の加算値、微分総和値をスコアEとしても良い。
【0200】
また、上記実施形態では、各区画領域DAi,jの計測用パターンの像の有無を、スコアを閾値と比較することで検出するものとしたが、この代わりに、次のようにして、前述の図14の曲線P=f(Z)と同様の近似曲線を算出しても良い。
【0201】
すなわち、前述の外枠検出及びその検出結果を利用した各区画領域の位置の算出により、撮像データ上における第1領域DCnの範囲を求める。そして、この第1領域DCnに対応する撮像データの所定方向、例えば前述のマトリックスの行方向(X軸方向)のピクセル列毎のピクセルデータの加算値(X軸方向の走査線上の輝度値の積算信号)の分布状況を検出する。そして、このようにして得られたピクセル列毎のピクセルデータ(ピクセル値)の加算値の分布曲線における各ピーク点を見つけると、このピーク点が、計測用パターンの像が出現し始める境界となる区画領域の位置に相当する。
【0202】
次に、このピーク点をカーブフィットすることによりn次の近似曲線(最小自乗近似曲線)を求める。これにより、例えば図14の曲線P=f(Z)と同様の形状の近似曲線を得ることができる。この場合、所定方向のピクセル列毎のピクセルデータの加算値の分布状況を算出するという簡単な画像処理により、前述の区画領域毎の像の形成状態(例えば有無検出)の検出結果と実質的に等価な分布状況のデータを得ることができる。従って、客観的かつ定量的な撮像データを用いて、前述の区画領域毎の像の形成状態(例えば有無検出)の検出結果を得る場合と同程度の検出精度及び再現性で、より簡易な手法により像の形成状態を検出することができる。
【0203】
そして、上記の近似曲線を用いて、上記実施形態と同様の処理を行うことにより、投影光学系PLの光学特性、例えばベストフォーカス位置などを求めることとすれば良い。このようにしても、上記実施形態と同様に、客観的かつ定量的な撮像データを用いた検出結果に基づいて光学特性が求められるため、従来の方法と比較して光学特性を精度及び再現性良く計測することができる。
【0204】
さらに、上記実施形態では、結像特性補正コントローラを介して投影光学系PLの結像特性を調整するものとしたが、例えば、結像特性補正コントローラだけでは結像特性を所定の許容範囲内に制御することができないときなどは、投影光学系PLの少なくとも一部を交換しても良いし、あるいは投影光学系PLの少なくとも1つの光学素子を再加工(非球面加工など)しても良い。また、特に光学素子がレンズエレメントであるときはその偏芯を変更しても良く、あるいは光軸を中心として回転させても良い。このとき、露光装置100のアライメントセンサを用いてレジスト像などを検出する場合、主制御装置28はディスプレイ(モニタ)への警告表示、あるいはインターネット又は携帯電話などによって、オペレータなどにアシストの必要性を通知しても良いし、投影光学系PLの交換箇所や再加工すべき光学素子など、投影光学系PLの調整に必要な情報を一緒に通知すると良い。これにより、光学特性の計測などの作業時間だけでなく、その準備期間も短縮でき、露光装置の停止期間の短縮、すなわち稼働率の向上を図ることが可能となる。また、本実施形態では計測用パターンを静止露光方式でウエハに転写するものとしたが、静止露光方式の代わりに、あるいはそれに加えて走査露光方式で、上記実施形態と全く同様に少なくとも1つの露光条件を変えながら計測用パターンをウエハに転写することでダイナミックな光学特性を求めるようにしても良い。
【0205】
また、上記実施形態では、評価点対応領域DBnを構成するN×M個の区画領域DAi,jを全て露光するものとしたが、N×M個の区画領域の少なくとも1個、すなわち曲線P=f(Z)の決定に明らかに寄与しない露光条件が設定される区画領域(例えば、図9で左上隅及び左下隅に位置する区画領域など)についてはその露光を行わなくても良く、評価点対応領域DBnは、全体として矩形(マトリックス)となっていなくても良い。
【0206】
また、上記実施形態ではアライメント検出系ASで撮像されるレジスト像の画像信号を走査線毎に積算しても良い。また、上記実施形態では1つの評価点対応領域DBnの全体を一括で撮像するものとしたが、例えば1つの評価点対応領域DBnを複数回に分けて撮像しても良い。さらに、各撮像時にウエハを位置決めすることなく連続移動しても良く、これにより計測時間の短縮を図ることが可能となる。このとき、例えば区画領域DAi,j毎に複数回撮像してその画像データを加算しても良い。
【0207】
さらに、本発明が適用される露光装置の光源は、KrFエキシマレーザやArFエキシマレーザに限らず、F2レーザ(波長157nm)、あるいは他の真空紫外域のパルスレーザ光源であっても良い。この他、露光用照明光として、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、紫外域の輝線(g線、i線等)を出力する超高圧水銀ランプ等を用いても良い。この場合には、ランプ出力制御、NDフィルタ等の減光フィルタ、光量絞り等によって露光エネルギの調整を行えば良い。また、EUV光、X線、あるいは電子線及びイオンビームなどの荷電粒子線を露光ビームとして用いる露光装置に本発明を適用しても良い。
【0208】
なお、上記実施形態では、本発明がステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置に適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないのは勿論である。すなわち、ステップ・アンド・リピート方式、ステップ・アンド・スティッチ方式又はプロキシミティ方式などの露光装置、あるいはミラープロジェクション・アライナー、及びフォトリピータなどにも好適に適用することができる。さらに、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸露光装置にも本発明は好適に適用することができる。
【0209】
さらに、投影光学系PLは、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでもよいし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。
【0210】
さらに、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気へッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造、さらにはマスク又はレチクルの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。
【0211】
《デバイス製造方法》
次に、上記説明した露光装置及び方法を使用したデバイスの製造方法の実施形態を説明する。
【0212】
図15には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、DNAチップ、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図15に示されるように、まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0213】
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ305(デバイス組立ステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0214】
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0215】
図16には、半導体デバイスの場合における、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されている。図16において、ステップ311(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ313(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ314(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0216】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ315(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステップ)において、上記各実施形態の露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ317(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ319(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0217】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0218】
以上のような、本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光ステップで、上記実施形態の露光装置及び露光方法が用いられるので、前述した光学特性計測方法で精度良く求められた光学特性を考慮して調整された投影光学系を介して高精度な露光が行われ、高集積度のデバイスを生産性良く製造することが可能となる。
【0219】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光学特性計測方法によれば、短時間で、精度及び再現性良く投影光学系の光学特性を求めることができるという効果がある。
【0220】
また、本発明に係る露光方法によれば、高精度な露光を実現できるという効果がある。
【0221】
また、本発明に係るデバイス製造方法によれば、高集積度のデバイスを製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の照明系IOPの具体的構成の一例を説明するための図である。
【図3】投影光学系の光学特性の計測に用いられるレチクルの一例を示す図である。
【図4】光学特性の計測方法を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図5】光学特性の計測方法を示すフローチャート(その2)である。
【図6】区画領域の配列を説明するための図である。
【図7】ウエハWT上に第1領域DCnが形成された状態を示す図である。
【図8】ウエハWT上に評価点対応領域DBnが形成された状態を示す図である。
【図9】ウエハWTを現像後にWT上に形成された評価点対応領域DB1のレジスト像の一例を示す図である。
【図10】図5のステップ456(光学特性の算出処理)の詳細を示すフローチャート(その1)である。
【図11】図5のステップ456(光学特性の算出処理)の詳細を示すフローチャート(その2)である。
【図12】ステップ518の処理により第1領域DCnを構成する各区画領域DAi,jが求められた様子を示す図である。
【図13】検出結果の一例を示すテーブルデータ形式の図である。
【図14】パターン出現数(露光エネルギ量)とフォーカス位置との関係を示す図である。
【図15】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図16】図15のステップ304における処理のフローチャートである。
【符号の説明】
DAi,j…区画領域、DBn…評価点対応領域(所定領域)、IL…エネルギビーム、MPn…計測用パターン、PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(感光物体)、WT…ウエハ(感光物体)。
Claims (15)
- 第1面上のパターンを第2面上に投影する投影光学系の光学特性を計測する光学特性計測方法であって、
適正露光量以下の範囲内で露光量を変更することを含む、少なくとも一つの露光条件を変更しながら、前記第1面上に配置された計測用パターンを前記投影光学系の第2面側に配置された感光物体に順次転写して複数の区画領域から成る第1領域を前記感光物体上に形成する第1工程と;
前記複数の区画領域のうち、前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報を検出する第2工程と;
前記検出結果に基づいて前記投影光学系の光学特性を求める第3工程と;を含む光学特性計測方法。 - 前記計測用パターンは、遮光部内の光透過部によってパターンが形成される抜きパターンであり、前記感光物体にはその表面にポジ型レジストによって感光層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学特性計測方法。
- 前記第2工程に先立って、前記第1領域となる前記感光物体上の領域の周囲の少なくとも一部に過露光の第2領域を形成する第4工程を更に含み、
前記第2工程は、前記第2領域の輪郭の一部を検出する工程と、その検出結果を利用して前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域における計測用パターンの像の形成状態を検出する工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の光学特性計測方法。 - 前記第4工程は、前記第1工程に先立って行われることを特徴とする請求項3に記載の光学特性計測方法。
- 前記第4工程では、前記第1面上に配置された所定のパターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に転写して前記第2領域を形成することを特徴とする請求項3又は4に記載の光学特性計測方法。
- 前記第1領域は、全体として矩形状の領域であり、
前記所定のパターンは矩形枠状又はその一部の形状を有するパターンであり、前記第4工程では、前記第1面上に配置された前記所定のパターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に走査露光方式で転写することを特徴とする請求項5に記載の光学特性計測方法。 - 前記第4工程では、前記第1面上に配置された前記計測用パターンを前記投影光学系の第2面側に配置された前記感光物体上に過露光となる露光量で順次転写して前記第2領域を形成することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光学特性計測方法。
- 前記計測用パターンは、光透過部内に遮光部によってパターンが形成される残しパターンであり、前記感光物体にはその表面にネガ型レジストによって感光層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学特性計測方法。
- 前記第2工程では、前記第1領域を構成する前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域における像の形成状態を、撮像により得られた前記各区画領域のピクセルデータに関する代表値を判定値として検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学特性計測方法。
- 前記代表値は、前記各区画領域の少なくとも一部におけるピクセルデータの加算値、微分総和値、分散及び標準偏差の少なくとも1つであることを特徴とする請求項9に記載の光学特性計測方法。
- 前記像の形成状態の検出に際し、前記各区画領域のピクセルデータに関する代表値を所定の閾値と比較して二値化することを特徴とする請求項9又は10に記載の光学特性計測方法。
- 前記第2工程では、前記第1領域を構成する前記複数の区画領域の少なくとも一部の複数の区画領域に対応する撮像データを用い、その撮像データ中の所定方向のピクセル列毎のピクセル値の加算値の分布に基づいて前記計測用パターンの像が出現し始める境界となる区画領域を検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学特性計測方法。
- 前記第1工程では、前記露光条件として、前記投影光学系の光軸方向に関する前記感光物体の位置をも変更しながら、前記計測用パターンを前記感光物体上に順次転写し、
前記第3工程では、前記第2工程で検出された計測用パターンの像が出現し始める境界となる複数の区画領域の少なくとも一部に関する情報に対応する露光用エネルギビームのエネルギ量と前記投影光学系の光軸方向に関する前記感光物体の位置との相関関係に基づいて最良フォーカス位置を決定することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学特性計測方法。 - 露光用のエネルギビームをマスクに照射し、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して感光物体上に転写する露光方法であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学特性計測方法によって計測された前記光学特性を考慮して前記投影光学系を調整する工程と;
前記調整された投影光学系を介して前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上に転写する工程と;を含む露光方法。 - リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項14に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002375514A JP2004207521A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002375514A JP2004207521A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004207521A true JP2004207521A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32813226
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002375514A Withdrawn JP2004207521A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004207521A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006006562A1 (ja) * | 2004-07-12 | 2006-01-19 | Nikon Corporation | 露光条件の決定方法、露光方法、露光装置、及びデバイス製造方法 |
JP2006054440A (ja) * | 2004-07-12 | 2006-02-23 | Nikon Corp | 露光条件の決定方法、及び露光方法、露光装置、並びにデバイス製造方法 |
JP2007010312A (ja) * | 2005-03-30 | 2007-01-18 | Fujifilm Holdings Corp | 投影ヘッドピント位置測定方法および露光方法 |
JPWO2007043535A1 (ja) * | 2005-10-07 | 2009-04-16 | 株式会社ニコン | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法、並びに検査装置及び計測方法 |
US8237915B2 (en) | 2002-12-10 | 2012-08-07 | Carl Zeiss Smt Gmbh | Method for improving an optical imaging property of a projection objective of a microlithographic projection exposure apparatus |
CN113252309A (zh) * | 2021-04-19 | 2021-08-13 | 苏州市计量测试院 | 一种用于近眼显示设备的测试方法、测试装置及存储介质 |
CN116074633A (zh) * | 2023-03-06 | 2023-05-05 | 宜科(天津)电子有限公司 | 一种自动多重曝光方法 |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002375514A patent/JP2004207521A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8237915B2 (en) | 2002-12-10 | 2012-08-07 | Carl Zeiss Smt Gmbh | Method for improving an optical imaging property of a projection objective of a microlithographic projection exposure apparatus |
WO2006006562A1 (ja) * | 2004-07-12 | 2006-01-19 | Nikon Corporation | 露光条件の決定方法、露光方法、露光装置、及びデバイス製造方法 |
JP2006054440A (ja) * | 2004-07-12 | 2006-02-23 | Nikon Corp | 露光条件の決定方法、及び露光方法、露光装置、並びにデバイス製造方法 |
US8654308B2 (en) | 2004-07-12 | 2014-02-18 | Nikon Corporation | Method for determining exposure condition, exposure method, exposure apparatus, and method for manufacturing device |
JP2007010312A (ja) * | 2005-03-30 | 2007-01-18 | Fujifilm Holdings Corp | 投影ヘッドピント位置測定方法および露光方法 |
JPWO2007043535A1 (ja) * | 2005-10-07 | 2009-04-16 | 株式会社ニコン | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法、並びに検査装置及び計測方法 |
CN113252309A (zh) * | 2021-04-19 | 2021-08-13 | 苏州市计量测试院 | 一种用于近眼显示设备的测试方法、测试装置及存储介质 |
CN116074633A (zh) * | 2023-03-06 | 2023-05-05 | 宜科(天津)电子有限公司 | 一种自动多重曝光方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPWO2002091440A1 (ja) | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
US7948616B2 (en) | Measurement method, exposure method and device manufacturing method | |
US7298498B2 (en) | Optical property measuring apparatus and optical property measuring method, exposure apparatus and exposure method, and device manufacturing method | |
US20080208499A1 (en) | Optical characteristics measurement method, exposure method and device manufacturing method, and inspection apparatus and measurement method | |
JPWO2002029870A1 (ja) | 露光条件の決定方法、露光方法、デバイス製造方法及び記録媒体 | |
JPWO2008038751A1 (ja) | 線幅計測方法、像形成状態検出方法、調整方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
US20110242520A1 (en) | Optical properties measurement method, exposure method and device manufacturing method | |
JP2004146702A (ja) | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
JP2005030963A (ja) | 位置検出方法 | |
JP2001217174A (ja) | 位置検出方法、位置検出装置、露光方法、及び露光装置 | |
TW201101369A (en) | Exposure method and device manufacturing method, and overlay error measuring method | |
JP2005337912A (ja) | 位置計測装置、露光装置、及びデバイスの製造方法 | |
JP2004207521A (ja) | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
JP2011009411A (ja) | 光学特性計測方法、露光方法、及びデバイス製造方法 | |
JP2004165307A (ja) | 像検出方法、光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
JP2004146703A (ja) | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
JP2004163313A (ja) | 輪郭検出方法及び装置、位置検出方法及び装置、並びに露光装置 | |
JP2006030021A (ja) | 位置検出装置及び位置検出方法 | |
JP2001185474A (ja) | アライメント方法、アライメント装置、基板、マスク、及び露光装置 | |
JPH0729816A (ja) | 投影露光装置及びそれを用いた半導体素子の製造方法 | |
JP2004158670A (ja) | 光学特性計測方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
JP2004165483A (ja) | データ抽出方法及び装置、位置検出方法及び装置、並びに露光装置 | |
JPWO2002061505A1 (ja) | マスク、光学特性計測方法、露光装置の調整方法及び露光方法、並びにデバイス製造方法 | |
JP2004079585A (ja) | 結像特性計測方法及び露光方法 | |
JP2006120660A (ja) | 位置補正方法及び位置補正装置、露光装置、並びにデバイス製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050606 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061003 |