JP2004200839A - アドレス解決方法および交換システム - Google Patents
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Abstract
【課題】TCP/IPプロトコルを使用するネットワーク上でIPパケットを通信する交換システムにて移動無線端末に対する呼制御を行う際にアドレス解決を合理的に行うことのできるアドレス解決方法およびその呼制御を行う交換システムを提供。
【解決手段】PHS端末(PS) 12aからの呼設定要求をIP基地局(IPCS) 16aにて受信し、このIP基地局16aから発呼要求がPHSプロキシ22に送出されると、PHSプロキシ22から同一呼出エリアのIP基地局16に対してマルチキャストパケットにて発呼要求を送出し、着側のPHS端末12bが止まり木している通信可能なIP基地局16dへのみ着呼応答が返信され、IP基地局16dからレイヤ3スイッチ(L3SW) 20およびPHSプロキシ22に返信されることにより、着側IP基地局16dと着側端末(PS)番号との対応テーブルを作成しIPアドレスの解決を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】PHS端末(PS) 12aからの呼設定要求をIP基地局(IPCS) 16aにて受信し、このIP基地局16aから発呼要求がPHSプロキシ22に送出されると、PHSプロキシ22から同一呼出エリアのIP基地局16に対してマルチキャストパケットにて発呼要求を送出し、着側のPHS端末12bが止まり木している通信可能なIP基地局16dへのみ着呼応答が返信され、IP基地局16dからレイヤ3スイッチ(L3SW) 20およびPHSプロキシ22に返信されることにより、着側IP基地局16dと着側端末(PS)番号との対応テーブルを作成しIPアドレスの解決を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動無線端末を収容し、VOICE over IP (VoIP)技術を応用して音声通信を行う基地局とプロキシサーバとによる呼制御時におけるアドレス解決を行うアドレス解決方法および交換システムに係り、たとえば、移動無線端末としてデジタルコードレス電話端末であるPHS端末を宛先として発呼する場合に、宛先に関するアドレス解決を行うのに好適なアドレス解決方法および交換システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のVOICE over IP (VoIP)システムでは、たとえば、IPアドレスのアドレス解決を行うSIPプロキシサーバと、端末の電話番号およびIPアドレスの対応データベースを有するロケーションサーバとをLANネットワーク上に配置し、LANを介してSIPプロキシサーバに収容された端末がTCP/IPプロトコルによって端末間の通信を行う。
【0003】
端末、SIPプロキシサーバおよびロケーションサーバは、標準勧告文書RFC 2543の規定によるSIP(Session Initiation Protocol)を利用して、たとえば端末の発呼時におけるアドレス解決を行うなどの呼制御を行っていた。端末は、SIPプロトコルにより呼制御を行う電話機であり、端末にはSIPプロキシサーバのIPアドレスがあらかじめ記憶保持される。
【0004】
SIPプロキシサーバは、SIPプロトコルによる呼制御、ロケーションサーバを用いたアドレス解決機能等を有し、SIPプロキシサーバには、ロケーションサーバのIPアドレスがあらかじめ記憶保持される。また、ロケーションサーバは、アドレス解決の為のデータベース機能を有し、各固定端末に割り当てられた電話番号とIPアドレスとの対応を示す対応テーブルをあらかじめ作成して記憶保持する。
【0005】
このようなシステム構成で、たとえば、電話番号"123xxxx"が割り当てられた端末Aと、電話番号"124xxxx"が割り当てられた端末BとがLANネットワークに収容されて、端末Aが端末Bに発呼する際、端末Aは、端末Bの電話番号を含むINVITEパケット(セッション参加要求)をSIPプロキシサーバに送出する。端末Aから送出されたINVITEパケットを受信するとSIPプロキシサーバは、端末Bの電話番号をロケーションサーバに送出して端末BのIPアドレスを問い合わせる。
【0006】
ロケーションサーバは、SIPプロキシサーバからの問い合わせに応じて端末Bの電話番号に対応するIPアドレスを予め作成された対応テーブルに従って選択し、選択したIPアドレスをSIPプロキシサーバに返信する。
【0007】
SIPプロキシサーバは、ロケーションサーバから返信されたIPアドレスを宛先としてそのIPアドレスが設定された端末Bに対しINVITEパケット(セッション参加要求)を送出し、以後、応答の処理を行って通話状態になる。このように、SIPプロトコルによるVOICE over IPシステムは、ロケーションサーバを用いてIPアドレスのアドレス解決を行っている。
【0008】
なお、音声信号をパケット化し、音声パケットをLANスイッチを介して交換して音声端末にて通話を行うシステムは、たとえば特許文献1に記載のものがあった。また、上記端末Aおよび端末Bとは異なるが、無線通信により基地局と通信を行う電話端末として、たとえば非特許文献1に記載のデジタルコードレス電話端末があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11-252249号公報
【非特許文献1】
「デジタルコードレス電話端末装置」、沖電気研究開発、沖電気工業株式会社、1994年10月発行、第164号 Vol.61 No.4、p.107-110。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば、非特許文献1にて示されるようなコードレス電話システムのRCR STD-28に準拠するPHS(パーソナルハンディホンシステム)端末と、同じくRCR STD-28に準拠する無線インタフェースを有しPHS端末と無線通信を行う複数の基地局と、これら複数の基地局をLAN接続するプロキシサーバと、プロキシサーバにLAN接続するレイヤ3スイッチとを有し、TCP/IPプロトコルによって音声パケットを交換するPHS over IP交換システムを構築しようとする場合、プロキシサーバは、各基地局にそれぞれ割り当てられているIPアドレス等の局データを管理するとともに、たとえば、PHS端末の発呼および着呼を制御する呼制御機能および認証機能を備える必要がある。
【0011】
しかしながら、従来のVOICE over IP (VoIP)でのSIPサーバおよびロケーションサーバによるIPアドレスの解決方法を、簡易型電話システム用に構成されたPHS端末で音声パケットにより通信を行おうとするPHS over IP交換システムに単純に適用させることは困難であると考えられる。
【0012】
たとえば、PHS端末は、基地局が形成する比較的狭い無線通信エリア内においてその1つの基地局と通信可能な状態(これを”止まり木”状態と称する)となっている場合がある。しかし、移動可能なPHS端末がどの基地局に止まり木状態であるかは動的に変化する。このため、従来のロケーションサーバでは、PHS端末が実際に止まり木している基地局のIPアドレスと、その基地局に止まり木しているPHS端末の電話番号とを常に正確に認識して反映させておき、被呼に常時備えておくことができない。
【0013】
したがって、たとえばPHS端末へ発信する時に、従来のSIPサーバおよびロケーションサーバで、たとえアドレス解決により判明したIPアドレスが設定された基地局に呼接続制御を行ったとしても、着側のPHS端末がたとえば他の無線通信エリア内に移動してしまって、それまでのIP基地局に既に止まり木していなければ接続不可能である。
【0014】
このように、IPアドレスが割り当てられた特定の基地局を宛先とするパケットを使用する従来のアドレス解決を行うシステム構成では、移動可能な無線端末に対する着信制御を効率よく、精度よく行うことが困難であるという問題があった。
【0015】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、TCP/IPプロトコルを使用するネットワーク上でIPパケットを通信する交換システムにおける代理サーバにて、無線基地局との無線通信を行うデジタルコードレス電話端末等の無線移動端末に対する呼制御を行う際に、アドレス解決を合理的に行うことのできるアドレス解決方法および無線移動端末への呼制御を行って音声パケットを交換する交換システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、移動無線端末を無線にて収容する基地局が通信エリアを形成し、基地局を複数配置した基地局群が形成する複数の通信エリアを同一呼出エリアとして、同一呼出エリア毎に移動無線端末の位置登録を行う交換システムにおけるアドレス解決方法において、この方法は、基地局と代理サーバとをLANスイッチを介在するLANネットワークでTCP/IPにて通信可能に接続し、基地局群の複数の基地局にそれぞれ同一のマルチキャストアドレスを設定するとともに、基地局群に設定されたマルチキャストアドレスをスイッチおよび代理サーバに登録し、被呼側の移動無線端末が位置登録された基地局群内の移動無線端末宛への端末番号を含む発呼要求が発生すると、代理サーバからLANスイッチを介して基地局群の各基地局に発呼要求をマルチキャストアドレスを指定して送出し、LANスイッチは、マルチキャストアドレスに基づいて発呼要求を複製してマルチキャストアドレスが登録された同一呼出エリアを形成する基地局にそれぞれ送出し、移動無線端末と通信可能な基地局は、移動無線端末宛の発呼要求を受信すると、該当する移動無線端末に端末番号を含む着信報知を送信し、着信報知を受信した移動無線端末が着信報知内の端末番号を確認すると着呼応答を基地局に送信し、基地局が着呼応答を受信すると着呼応答をLANスイッチを介して代理サーバに返信し、着呼応答を受信した代理サーバにて、基地局のIPアドレスと無線端末の端末番号との対応を示す対応テーブルを作成するとともに、発呼側に着呼応答を送出し、以降、移動無線端末宛の呼制御パケットのIPアドレスを対応テーブルに基づいて判定して基地局宛にユニキャストで送出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は上述の課題を解決するために、移動無線端末を無線にて収容する基地局が通信エリアを形成し、基地局を複数配置した基地局群が形成する複数の通信エリアを同一呼出エリアとして、同一呼出エリア毎に移動無線端末の位置登録を行う交換システムにおいて、このシステムは、基地局と、呼制御を行う代理サーバとがLANスイッチにてTCP/IPで通信可能に接続されて、基地局群のそれぞれの基地局は、同一のマルチキャストアドレスを共通に設定し、LANスイッチは、同一呼出エリアを形成する基地局共通に設定したマルチキャストアドレスを登録し、代理サーバは、マルチキャストアドレスを登録するとともに、被呼側の移動無線端末が位置登録された基地局群内の移動無線端末宛への端末番号を含む発呼要求が発生すると、LANスイッチを介して基地局群の各基地局に発呼要求をマルチキャストアドレスを指定して送出し、LANスイッチは、発呼要求を複製してマルチキャストアドレスが登録された同一呼出エリアを形成する基地局にそれぞれ送出し、移動無線端末と通信可能な基地局は、移動無線端末宛の発呼要求を受信すると、該当する移動無線端末に端末番号を含む着信報知を送信し、着信報知を受信した移動無線端末は、着信報知内の端末番号を確認すると着呼応答を基地局に送信し、着呼応答を受信した基地局は、着呼応答をLANスイッチを介して代理サーバに返信し、代理サーバは、着呼応答を受信すると、基地局のIPアドレスと無線端末の端末番号との対応を示す対応テーブルを作成し、発呼側に着呼応答を送出し、以降、無線端末宛の呼制御パケットのIPアドレスを対応テーブルに基づいて判定して基地局宛にユニキャストで送出することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明によるアドレス解決方法および交換システムの実施例を詳細に説明する。
【0019】
図2を参照すると、本発明が適用された交換システムの構成例が示されている。同図には、RCR STD-28に準拠する無線制御、呼制御機能および位置登録機能等の無線インタフェースを有するパーソナルハンディホンシステムのPHS端末(PS) 12a,12bと、所定範囲の無線通信エリアをそれぞれ形成しエリア内のPHS端末12とのコードレス電話通信を行う複数のIP基地局(IPCS#1〜#5) 16a〜16eと、各IP基地局16をLAN接続するレイヤ3スイッチ(L3SW) 20と、同様にレイヤ3スイッチ20にLAN接続する代理サーバのPHSプロキシ22とを含む交換システム10が示されている。各IP基地局16およびPHSプロキシ22は、レイヤ3スイッチ20を介してTCP/IPプロトコルによって互いに双方向に通信することができる。本実施例では、PHS端末12間にて音声通話を行うために音声データ等をパケット化して交換するPHS over IPによる交換システム10が構築されている。
【0020】
PHS端末(PS) 12は、それぞれ1つの電話番号が割り当てられたディジタルコードレス電話端末であり、たとえば数百メートル範囲の無線通信エリア(マイクロセル)を形成するIP基地局(IPCS) 16との間にて通信可能状態(これを”止まり木”状態と称する)となる移動可能な電話機である。PHS端末12は、現在属しているIP基地局16を含む同一呼出エリアの通信エリア外に出た場合などに、他の同一呼出エリアのIP基地局16から送出される他の位置情報を受信すると、自端末にて記憶している位置情報と比較し、不一致の場合にその位置情報を送信したIP基地局16に対し位置登録信号を送信する位置登録機能を有している。つまり本実施例におけるPHS端末12は、基本的には同一呼出エリア内を形成している他の複数のIP基地局16による無線通信エリアに移動しても、同一呼出エリア内にて既に一度位置登録が完了して継続している場合には位置登録を再度行わない。
【0021】
PHS端末12は、IP基地局16との間で、リンク確立フェーズにて共通制御チャネルでリンクチャネルを割り当てて通信チャネルを設定し、サービスチャネル確立フェーズにて付随制御チャネルで呼設定および認証を行い、その後通信フェーズに移行する。
【0022】
IP基地局(IPCS) 16は、それぞれ1つのIPアドレスを有する無線基地局であり、所属する同一呼出エリアで共通に設定するマルチキャストアドレスをレイヤ3スイッチ20からの問い合わせに応答して通知する。それぞれのIP基地局16は、あらかじめIGMPプロトコル(RFC 1112)によってマルチキャストアドレスを通知してメンバー構成をレイヤ3スイッチに設定する。
【0023】
IP基地局16は、無線通信エリア内に位置情報を送出し、PHS端末12から送出される位置登録信号を受信すると、自IPアドレスとPHS端末12の電話番号とを含むパケットを作成してPHSプロキシ22に送信する。実施例におけるIP基地局16は、同一呼出エリアを形成するIP基地局16群毎に割り当てられた位置情報をそれぞれ送出する。また、IP基地局16は、PHS端末12から送出される呼設定要求を受信し、その呼設定要求をTCP/IP上にのせてセットアップコマンド(SETUP)としてPHSプロキシ22に送信する。なお、同一呼出グループの基地局16群は、たとえば、各無線通信エリアをそれぞれ隣接するようにして所定地域をカバーするように、その設置場所や設置数、さらにはアンテナの指向性などが決定されるとよい。本実施例では、図4に示すように、このような同一呼出エリアが設定された複数のIP基地局16によるIP基地局群30a,32b,...が各地域に複数配置されている。これら異なるIP基地局16群にはそれぞれについてマルチキャストアドレスが異なる値に設定されて、それぞれがマルチキャストアドレスをレイヤ3スイッチ20およびPHSプロキシ22にあらかじめ通知しておき、同一呼出グループの基地局群を区別する。
【0024】
図2に戻って、IP基地局16は、無線通信エリア内にて自局に止まり木しているPHS端末12宛の呼設定要求を、レイヤ3スイッチ20から同一呼出エリアのIP基地局群にマルチキャストされるセットアップコマンドにより検出すると、宛先の端末(PS)番号を含む着信報知信号を呼出チャネル(PCH)を使用して無線通信エリア内に送出する。PHS端末12は、この着信報知信号内の端末(PS)番号が自己の端末番号と一致するか否かを確認し、一致する場合に着呼応答信号をIP基地局16宛に無線送信する。
【0025】
PHS端末12が現在止まり木している着呼側のIP基地局16は、PHS端末12から返信される着呼応答信号を受信すると、バックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)をPHSプロキシ22に送信する。また、発呼側のIP基地局16は、PHSプロキシ22から呼確立手続を通知するバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)を受信すると、呼設定受付信号を発呼側のPHS端末12宛に送信する。本実施例におけるIP基地局16は、光ファイバーおよび、より線等のLANケーブルにてレイヤ3スイッチ(L3SW) 20に接続されている。
【0026】
レイヤ3スイッチ(L3SW) 20は、複数のIP基地局16を接続する複数のポートを有し、入力パケットをネットワーク層のIPアドレスに応じて対応ポートに高速に振り分けてパケットを出力するルーティング処理回路を備えるLANスイッチである。このレイヤ3スイッチ20は、マルチキャストに対応し、あらかじめ各IP基地局16から通知されるマルチキャストアドレスによりそれぞれ同一呼出エリアのIP基地局16を認識する。マルチキャストアドレスは、それぞれ同一呼出エリア毎に異なるグループにそれぞれ異なるアドレスが割り当てられている。
【0027】
レイヤ3スイッチ20は、PHSプロキシ22から送信されるセットアップコマンド(SETUP)パケットを受信すると、パケットにて指定されるマルチキャストアドレスに対応する同一呼出エリアのIP基地局16群への経路に応じてセットアップコマンド(SETUP)パケットを複製してマルチキャスト送信する。レイヤ3スイッチ20は、IGMP(Internet Group Management Protocol:インターネット・グループ管理プロトコルにより、たとえば、グループに関する問合わせメッセージを作成して各IP基地局16に送出して同一呼出エリア毎の基地局16群のグループを管理する。
【0028】
PHSプロキシ22は、各IP基地局16にそれぞれ割り当てられているIPアドレス等の局データを管理するとともに、たとえば、PHS端末12への発呼時にPHS端末12に着信するためのアドレス解決を行うサーバである。
【0029】
PHSプロキシ22は、所望の宛先のPHS端末12に的確に着信させるために、現在PHS端末12が止まり木しているIP基地局16のIPアドレスとそのPHS端末の端末(PS)番号との対応を示す対応テーブルを呼設定毎に作成して管理する機能を有している。
【0030】
この対応テーブル作成例を図3に示す。なお、端末(PS)番号およびIPアドレスの数値は説明のためのものであり、たとえば、端末(PS)番号の桁数などはシステム規模などの条件に応じて異なる。図示するように、対応テーブル中のインデックス1に対応してPHS端末12aの端末(PS)番号として"123"が記録され、これに対応してIPアドレスが"10.10.10.11"が記録されている。同様に他のPHS端末12として、インデックス2には、PHS端末12bの端末(PS)番号"124"が記録されて、これに対応してIPアドレスが"10.10.10.12"が記録されている。なお、PHSプロキシ22は、通話中のPHS端末12が移動して他のIP基地局に止まり木するハンドオーバーをする毎に対応テーブルを作成し直して更新する。PHSプロキシ22は、この対応テーブルを使用してIPアドレスと端末(PS)番号とを相互に変換することができる。
【0031】
PHSプロキシ22は、呼設定要求を受信したIP基地局16からのセットアップコマンド(SETUP)を受信すると、同一呼出エリアのマルチキャストグループのIP基地局16群を指定するマルチキャストアドレスを含むセットアップコマンド(SETUP)をレイヤ3スイッチ20に送出する。同一呼出エリアのIP基地局16についてそれぞれ同一のマルチキャストアドレスが設定されているので、PHSプロキシ22は、位置登録情報によって判明したIP基地局群30のグループをメンバー構成に基づいて認識し、そのグループに対応するマルチキャストアドレスを選択してレイヤ3スイッチ20に通知する。既に確認されている位置登録によって宛先のPHS端末12が止まり木していると予測されるIP基地局16を含むメンバー構成の呼出グループに対しセットアップコマンド(SETUP)を送出するので、PHS端末12が止まり木していたIP基地局以外の無線通信エリアにたとえ移動してしまっていても、その近隣に配置された同一呼出グループ内のいずれかのIP基地局16に止まり木している確率が非常に高く、このため着信制御可能な範囲をより広くすることができ、位置登録制御が小ゾーン構成のマイクロセル単位では行われないPHSシステムでも効率的な着信制御が行われる。
【0032】
なお、PHSプロキシ22は、宛先のPHS端末12が既に他の呼出グループのIP基地局16群のいずれかに移動してしまってPHS端末からの応答がない場合に、これまで位置登録されていた呼出グループの基地局16群に近接している他の呼出グループの基地局16群に対するマルチキャストアドレスに切り替えて送出するアドレス可変機能を備えている。この機能により着信制御可能な範囲を更に広くすることができ、着信制御の確実性を向上させる効果があり、呼制御および位置登録等の制御トラヒックの増大を抑制することができる。
【0033】
IP基地局16からの着信報知信号を受信したPHS端末12が着呼応答信号を同IP基地局16に送信すると、このIP基地局16からPHSプロキシ22宛にバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)が送出される。PHSプロキシ22は、このバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)をレイヤ3スイッチ20を介して受信すると、現在の止まり木状態を認識し、止まり木しているIP基地局16のIPアドレスと端末(PS)番号との対応を管理する対応テーブルを発信側と着信側とについてそれぞれ作成し、発呼側のPHS端末12が止まり木しているIP基地局16に対しバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)を送出する。PHSプロキシ22は、作成した対応テーブルに基づいて呼制御用のTCP/IPパケットの宛先を決定し、対応の基地局16宛に作成したパケットをユニキャストで送出する。
【0034】
このように、複数のIP基地局16、PHSプロキシ22およびレイヤ3スイッチ20によって、PHS over IPによる交換システム10を構成している。次に本交換システム10の発着信制御時におけるアドレス解決に関連する動作手順を説明する。
【0035】
まず、各IP基地局16は、あらかじめ自己に割り当てられたマルチキャストアドレスをレイヤ3スイッチ20にそれぞれ通知する。図4に示したように、本実施例では同一のマルチキャストアドレスが設定されたIP基地局群30aと、IP基地局群30aとは異なるマルチキャストアドレスが設定された別のIP基地局群30bとが、各グループ同士隣接して配置されている。
【0036】
この登録設定動作は、たとえば、レイヤ3スイッチ20からの問い合わせや各IP基地局16でのアドレス設定動作をトリガとして、各IP基地局16に設定されたマルチキャストアドレスとIPアドレスとがIGMPによりPHSプロキシ22宛に送出される。各ポートに接続したIP基地局16からのマルチキャストアドレスとIPアドレスの通知を受け取ったレイヤ3スイッチ20は、マルチキャストグループのメンバー構成を認識する。以降、レイヤ3スイッチ20は、PHSプロキシ22からマルチキャストアドレスを指定するパケットを受信すると、対応するグループのIP基地局群30に対しパケットを複製して送出する。図4に示す動作例では、たとえば、レイヤ3スイッチ20からのIGMPによる問い合わせに応答して、マルチキャストアドレスを各基地局群30a,30b毎に順次設定する動作を示すが、これに限らず、たとえば、各IP基地局16それぞれが自立して個別のタイミングにて参加要求をPHSプロキシ22宛に送出することによりマルチキャストアドレスを設定してもよい。
【0037】
このようにして、各IP基地局16およびIP基地局群30に関する情報が設定登録された本システム10において、図1に示すように、PHS端末(PS) 12aがIP基地局(IPC#1) 16aに止まり木しており、他方のPHS端末端末12bは、IP基地局(IPCS#4) 16dに止まり木している状態であるとする。
【0038】
ここでPHS端末(PS) 12aを所持するオペレータによる発信要求として、PHS端末(PS) 12bを掛け先とする発信操作をPHS端末(PS) 12aが検出すると、PHS端末(PS)12bの端末(PS)番号を含む呼設定要求がPHS端末12a からIP基地局16a に無線にて送信される。PHS端末12aが現在止まり木しているIP基地局16aはこれを受信復調して、呼設定要求と発呼側および被呼側双方の端末(PS)番号とを認識し、これら呼情報を含む発呼要求としてセットアップコマンド(SETUP)をTCP/IP上に乗せてPHSプロキシ22宛に送出する。
【0039】
PHSプロキシ22では、このIP基地局16aからのセットアップコマンド(SETUP)を受信すると、既に位置登録により判明しているIP基地局群30aの同一呼出エリアについて設定されているマルチキャストアドレスを宛先指定して発呼要求(SETUP)を送信する。この発呼要求は、同マルチキャストアドレスが登録されているIP基地局16を接続しているレイヤ3スイッチ20にて複製されて対応するそれぞれのポートに分配して送出される。
【0040】
図示の例では、セットアップコマンド(SETUP)は、レイヤ3スイッチ20から、同一呼出エリアのIP基地局(IPCS)群30aに属するIP基地局(IPCS#1〜IPCS#5) 16a〜16e宛にマルチキャストされる。なお、マルチキャストアドレスが異なるたとえばIP基地局(IPCS)群30b(図4参照)の各IP基地局(IPCS)では、マルチキャストアドレスが異なりグループが違うのでセットアップコマンド(SETUP)は受信されない。なお、PHSプロキシ22では、この時点にて、発側IPアドレスと発側端末(PS)番号との対応テーブルを作成してIPアドレスを解決する。
【0041】
セットアップコマンド(SETUP)を受信した各IP基地局16では、セットアップコマンドを解析して、掛け先のPHS端末12bが現在自局に止まり木しているか否かを判定し、止まり木していると判定したIP基地局16のみが掛け先のPHS端末12bに対し端末(PS)番号を含む着信報知信号を送信する。この例では、止まり木状態を判定したIP基地局(IPCS#4) 16dが着信報知信号を送信している。掛け先のPHS端末12bが止まり木していないと認識するIP基地局16a,16b,16c,16eは、着信報知信号は送信せず、受信したセットアップコマンドのパケットを廃棄する。
【0042】
着信報知信号を受信したPHS端末12bは、着信報知信号内の端末(PS)番号が自己の端末(PS)番号を指定するか否かを判定して、自端末宛の着信報知信号であることを判断すると、着呼応答信号を現在止まり木しているIP基地局16d 宛に返信する。
【0043】
着側のIP基地局(IPCS#4) 16dがこのPHS端末12bからの着呼応答信号を受信すると、その旨を示すバックワードメッセージの着信応答(CALL PROCEEDING)をTCP/IP上に乗せてPHSプロキシ22宛に返信する。この着信応答に基づいてPHSプロキシ22は、着側IPアドレスと着側端末(PS)番号の対応テーブルを作成しIPアドレスを解決する。なお、PHSプロキシ22は、この対応テーブルの作成タイミングにて、同様に発側IPアドレスと発側端末(PS)番号との対応テーブルを作成してもよい。
【0044】
次いでPHSプロキシ22が着呼応答(CALL PROCEEDING)を発側のIP基地局(IPCS#1)16aに返信すると、IP基地局16aから起呼側のPHS端末12aに対して呼設定受付信号が無線送信される。呼設定受付信号が発呼側PHS端末12a にて受信されるとPHSプロキシ22は、IP基地局(IPCS#4) 16dに対する呼制御パケットを対応テーブルに基づいてユニキャストにて送信し、以降、呼が切断されるまで呼制御用のTCP/IPパケットは作成した対応テーブルを用いて送信先が決定され、PHS端末12a,12b間の通信が行われる。なお、端末間の通信中に一方の端末、たとえばPHS端末12aがハンドオーバした場合は対応テーブルが再作成される。
【0045】
また、上記動作の中で、IP基地局群30a内のすべてのIP基地局16においてPHS端末12bからの着呼応答が受信されなかった場合には、IP基地局群30aからは、着信応答がPHSプロキシ22に送出されない。この場合、PHSプロキシ22は、所定時間着信応答が検出されないときには、新たなIP基地局群30への位置登録を確認し直す。この際、PHSプロキシ22は、あらたな位置登録が確認できない場合であっても、隣接する他の呼出エリアを形成する他のIP基地局群として、たとえばIP基地局群30b内の各IP基地局(IPCS)宛のマルチキャストアドレスに切り替えて変更し、セットアップコマンドを再送出することができる。
【0046】
このように、PHS端末(PS)12の位置が動的に変化するために、端末12が止まり木しているIP基地局(IPCS) 16のIPアドレスとPHS端末の端末(PS)番号とをロケーションサーバでは常に反映させることが困難であったが、本PHS over IP交換システム10では、交換システム10における主装置となるPHSプロキシ22から同一呼出エリアのIP基地局(IPCS) 16に対して、マルチキャストパケットにて発呼要求(SETUP)を送信し、着側PHS端末(PS) 12が止まり木しているIP基地局(IPCS) 16からのみ着信応答(CALL PROCEEDING)が返信されることにより、着側IPアドレスと着側PHS端末12の端末(PS)番号との対応テーブルを作成するのでIPアドレスの解決が合理的に行われる。
【0047】
また、発側のPHS端末12が止まり木しているIP基地局16から送出される発呼要求パケットについてはマルチキャストを使用せず、PHSプロキシ22からの発呼要求(SETUP)時にマルチキャストを使用して、レイヤ3ルータ20にてパケットを複製および分配して、対応する同一呼出エリアのIP基地局群30に送出している。この場合、呼出エリア毎にマルチキャストアドレスを可変させることができ、これにより、複数形成したそれぞれの同一呼出エリアの区別を容易に行うことができる。
【0048】
【発明の効果】
このように本発明によれば、同一呼出エリアのマルチキャストアドレスを指定して発呼要求を送出し、発呼要求がマルチキャスト対応のスイッチによって同一呼出エリアの基地局群を形成する各基地局にマルチキャストされ、宛先の移動無線端末が止まり木している基地局とその移動無線端末との着信報知および応答が得られるとその基地局が代理サーバに応答し、基地局のIPアドレスと端末番号との対応テーブルが代理サーバにて作成されて、以降この対応テーブルに基づいてアドレス解決を行って、発側および着側の基地局と移動無線端末と代理サーバとの間で呼制御情報および音声情報等をユニキャストにて通信することができる。
【0049】
このように、アドレス解決を合理的に行うことができるので、効率的な呼制御を行うことができ、マルチキャストアドレスを変更することで同一呼出グループを可変に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PHS over IP交換システムの呼制御動作の一例を示す図である。
【図2】本発明が適用されたPHS over IP交換システムの実施例を示すブロック図である。
【図3】PHS over IP交換システムにて作成する対応テーブルの一例を示す図である。
【図4】PHS over IP交換システムにおけるマルチキャストアドレスの通知動作例を示す図である。
【符号の説明】
10 交換システム
12a,12b PHS端末(PS)
16a〜16e IP基地局(IPCS#1〜#5)
20 レイヤ3スイッチ(L3SW)
22 PHSプロキシ
30a,30b IP基地局群
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動無線端末を収容し、VOICE over IP (VoIP)技術を応用して音声通信を行う基地局とプロキシサーバとによる呼制御時におけるアドレス解決を行うアドレス解決方法および交換システムに係り、たとえば、移動無線端末としてデジタルコードレス電話端末であるPHS端末を宛先として発呼する場合に、宛先に関するアドレス解決を行うのに好適なアドレス解決方法および交換システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のVOICE over IP (VoIP)システムでは、たとえば、IPアドレスのアドレス解決を行うSIPプロキシサーバと、端末の電話番号およびIPアドレスの対応データベースを有するロケーションサーバとをLANネットワーク上に配置し、LANを介してSIPプロキシサーバに収容された端末がTCP/IPプロトコルによって端末間の通信を行う。
【0003】
端末、SIPプロキシサーバおよびロケーションサーバは、標準勧告文書RFC 2543の規定によるSIP(Session Initiation Protocol)を利用して、たとえば端末の発呼時におけるアドレス解決を行うなどの呼制御を行っていた。端末は、SIPプロトコルにより呼制御を行う電話機であり、端末にはSIPプロキシサーバのIPアドレスがあらかじめ記憶保持される。
【0004】
SIPプロキシサーバは、SIPプロトコルによる呼制御、ロケーションサーバを用いたアドレス解決機能等を有し、SIPプロキシサーバには、ロケーションサーバのIPアドレスがあらかじめ記憶保持される。また、ロケーションサーバは、アドレス解決の為のデータベース機能を有し、各固定端末に割り当てられた電話番号とIPアドレスとの対応を示す対応テーブルをあらかじめ作成して記憶保持する。
【0005】
このようなシステム構成で、たとえば、電話番号"123xxxx"が割り当てられた端末Aと、電話番号"124xxxx"が割り当てられた端末BとがLANネットワークに収容されて、端末Aが端末Bに発呼する際、端末Aは、端末Bの電話番号を含むINVITEパケット(セッション参加要求)をSIPプロキシサーバに送出する。端末Aから送出されたINVITEパケットを受信するとSIPプロキシサーバは、端末Bの電話番号をロケーションサーバに送出して端末BのIPアドレスを問い合わせる。
【0006】
ロケーションサーバは、SIPプロキシサーバからの問い合わせに応じて端末Bの電話番号に対応するIPアドレスを予め作成された対応テーブルに従って選択し、選択したIPアドレスをSIPプロキシサーバに返信する。
【0007】
SIPプロキシサーバは、ロケーションサーバから返信されたIPアドレスを宛先としてそのIPアドレスが設定された端末Bに対しINVITEパケット(セッション参加要求)を送出し、以後、応答の処理を行って通話状態になる。このように、SIPプロトコルによるVOICE over IPシステムは、ロケーションサーバを用いてIPアドレスのアドレス解決を行っている。
【0008】
なお、音声信号をパケット化し、音声パケットをLANスイッチを介して交換して音声端末にて通話を行うシステムは、たとえば特許文献1に記載のものがあった。また、上記端末Aおよび端末Bとは異なるが、無線通信により基地局と通信を行う電話端末として、たとえば非特許文献1に記載のデジタルコードレス電話端末があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11-252249号公報
【非特許文献1】
「デジタルコードレス電話端末装置」、沖電気研究開発、沖電気工業株式会社、1994年10月発行、第164号 Vol.61 No.4、p.107-110。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば、非特許文献1にて示されるようなコードレス電話システムのRCR STD-28に準拠するPHS(パーソナルハンディホンシステム)端末と、同じくRCR STD-28に準拠する無線インタフェースを有しPHS端末と無線通信を行う複数の基地局と、これら複数の基地局をLAN接続するプロキシサーバと、プロキシサーバにLAN接続するレイヤ3スイッチとを有し、TCP/IPプロトコルによって音声パケットを交換するPHS over IP交換システムを構築しようとする場合、プロキシサーバは、各基地局にそれぞれ割り当てられているIPアドレス等の局データを管理するとともに、たとえば、PHS端末の発呼および着呼を制御する呼制御機能および認証機能を備える必要がある。
【0011】
しかしながら、従来のVOICE over IP (VoIP)でのSIPサーバおよびロケーションサーバによるIPアドレスの解決方法を、簡易型電話システム用に構成されたPHS端末で音声パケットにより通信を行おうとするPHS over IP交換システムに単純に適用させることは困難であると考えられる。
【0012】
たとえば、PHS端末は、基地局が形成する比較的狭い無線通信エリア内においてその1つの基地局と通信可能な状態(これを”止まり木”状態と称する)となっている場合がある。しかし、移動可能なPHS端末がどの基地局に止まり木状態であるかは動的に変化する。このため、従来のロケーションサーバでは、PHS端末が実際に止まり木している基地局のIPアドレスと、その基地局に止まり木しているPHS端末の電話番号とを常に正確に認識して反映させておき、被呼に常時備えておくことができない。
【0013】
したがって、たとえばPHS端末へ発信する時に、従来のSIPサーバおよびロケーションサーバで、たとえアドレス解決により判明したIPアドレスが設定された基地局に呼接続制御を行ったとしても、着側のPHS端末がたとえば他の無線通信エリア内に移動してしまって、それまでのIP基地局に既に止まり木していなければ接続不可能である。
【0014】
このように、IPアドレスが割り当てられた特定の基地局を宛先とするパケットを使用する従来のアドレス解決を行うシステム構成では、移動可能な無線端末に対する着信制御を効率よく、精度よく行うことが困難であるという問題があった。
【0015】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、TCP/IPプロトコルを使用するネットワーク上でIPパケットを通信する交換システムにおける代理サーバにて、無線基地局との無線通信を行うデジタルコードレス電話端末等の無線移動端末に対する呼制御を行う際に、アドレス解決を合理的に行うことのできるアドレス解決方法および無線移動端末への呼制御を行って音声パケットを交換する交換システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、移動無線端末を無線にて収容する基地局が通信エリアを形成し、基地局を複数配置した基地局群が形成する複数の通信エリアを同一呼出エリアとして、同一呼出エリア毎に移動無線端末の位置登録を行う交換システムにおけるアドレス解決方法において、この方法は、基地局と代理サーバとをLANスイッチを介在するLANネットワークでTCP/IPにて通信可能に接続し、基地局群の複数の基地局にそれぞれ同一のマルチキャストアドレスを設定するとともに、基地局群に設定されたマルチキャストアドレスをスイッチおよび代理サーバに登録し、被呼側の移動無線端末が位置登録された基地局群内の移動無線端末宛への端末番号を含む発呼要求が発生すると、代理サーバからLANスイッチを介して基地局群の各基地局に発呼要求をマルチキャストアドレスを指定して送出し、LANスイッチは、マルチキャストアドレスに基づいて発呼要求を複製してマルチキャストアドレスが登録された同一呼出エリアを形成する基地局にそれぞれ送出し、移動無線端末と通信可能な基地局は、移動無線端末宛の発呼要求を受信すると、該当する移動無線端末に端末番号を含む着信報知を送信し、着信報知を受信した移動無線端末が着信報知内の端末番号を確認すると着呼応答を基地局に送信し、基地局が着呼応答を受信すると着呼応答をLANスイッチを介して代理サーバに返信し、着呼応答を受信した代理サーバにて、基地局のIPアドレスと無線端末の端末番号との対応を示す対応テーブルを作成するとともに、発呼側に着呼応答を送出し、以降、移動無線端末宛の呼制御パケットのIPアドレスを対応テーブルに基づいて判定して基地局宛にユニキャストで送出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は上述の課題を解決するために、移動無線端末を無線にて収容する基地局が通信エリアを形成し、基地局を複数配置した基地局群が形成する複数の通信エリアを同一呼出エリアとして、同一呼出エリア毎に移動無線端末の位置登録を行う交換システムにおいて、このシステムは、基地局と、呼制御を行う代理サーバとがLANスイッチにてTCP/IPで通信可能に接続されて、基地局群のそれぞれの基地局は、同一のマルチキャストアドレスを共通に設定し、LANスイッチは、同一呼出エリアを形成する基地局共通に設定したマルチキャストアドレスを登録し、代理サーバは、マルチキャストアドレスを登録するとともに、被呼側の移動無線端末が位置登録された基地局群内の移動無線端末宛への端末番号を含む発呼要求が発生すると、LANスイッチを介して基地局群の各基地局に発呼要求をマルチキャストアドレスを指定して送出し、LANスイッチは、発呼要求を複製してマルチキャストアドレスが登録された同一呼出エリアを形成する基地局にそれぞれ送出し、移動無線端末と通信可能な基地局は、移動無線端末宛の発呼要求を受信すると、該当する移動無線端末に端末番号を含む着信報知を送信し、着信報知を受信した移動無線端末は、着信報知内の端末番号を確認すると着呼応答を基地局に送信し、着呼応答を受信した基地局は、着呼応答をLANスイッチを介して代理サーバに返信し、代理サーバは、着呼応答を受信すると、基地局のIPアドレスと無線端末の端末番号との対応を示す対応テーブルを作成し、発呼側に着呼応答を送出し、以降、無線端末宛の呼制御パケットのIPアドレスを対応テーブルに基づいて判定して基地局宛にユニキャストで送出することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明によるアドレス解決方法および交換システムの実施例を詳細に説明する。
【0019】
図2を参照すると、本発明が適用された交換システムの構成例が示されている。同図には、RCR STD-28に準拠する無線制御、呼制御機能および位置登録機能等の無線インタフェースを有するパーソナルハンディホンシステムのPHS端末(PS) 12a,12bと、所定範囲の無線通信エリアをそれぞれ形成しエリア内のPHS端末12とのコードレス電話通信を行う複数のIP基地局(IPCS#1〜#5) 16a〜16eと、各IP基地局16をLAN接続するレイヤ3スイッチ(L3SW) 20と、同様にレイヤ3スイッチ20にLAN接続する代理サーバのPHSプロキシ22とを含む交換システム10が示されている。各IP基地局16およびPHSプロキシ22は、レイヤ3スイッチ20を介してTCP/IPプロトコルによって互いに双方向に通信することができる。本実施例では、PHS端末12間にて音声通話を行うために音声データ等をパケット化して交換するPHS over IPによる交換システム10が構築されている。
【0020】
PHS端末(PS) 12は、それぞれ1つの電話番号が割り当てられたディジタルコードレス電話端末であり、たとえば数百メートル範囲の無線通信エリア(マイクロセル)を形成するIP基地局(IPCS) 16との間にて通信可能状態(これを”止まり木”状態と称する)となる移動可能な電話機である。PHS端末12は、現在属しているIP基地局16を含む同一呼出エリアの通信エリア外に出た場合などに、他の同一呼出エリアのIP基地局16から送出される他の位置情報を受信すると、自端末にて記憶している位置情報と比較し、不一致の場合にその位置情報を送信したIP基地局16に対し位置登録信号を送信する位置登録機能を有している。つまり本実施例におけるPHS端末12は、基本的には同一呼出エリア内を形成している他の複数のIP基地局16による無線通信エリアに移動しても、同一呼出エリア内にて既に一度位置登録が完了して継続している場合には位置登録を再度行わない。
【0021】
PHS端末12は、IP基地局16との間で、リンク確立フェーズにて共通制御チャネルでリンクチャネルを割り当てて通信チャネルを設定し、サービスチャネル確立フェーズにて付随制御チャネルで呼設定および認証を行い、その後通信フェーズに移行する。
【0022】
IP基地局(IPCS) 16は、それぞれ1つのIPアドレスを有する無線基地局であり、所属する同一呼出エリアで共通に設定するマルチキャストアドレスをレイヤ3スイッチ20からの問い合わせに応答して通知する。それぞれのIP基地局16は、あらかじめIGMPプロトコル(RFC 1112)によってマルチキャストアドレスを通知してメンバー構成をレイヤ3スイッチに設定する。
【0023】
IP基地局16は、無線通信エリア内に位置情報を送出し、PHS端末12から送出される位置登録信号を受信すると、自IPアドレスとPHS端末12の電話番号とを含むパケットを作成してPHSプロキシ22に送信する。実施例におけるIP基地局16は、同一呼出エリアを形成するIP基地局16群毎に割り当てられた位置情報をそれぞれ送出する。また、IP基地局16は、PHS端末12から送出される呼設定要求を受信し、その呼設定要求をTCP/IP上にのせてセットアップコマンド(SETUP)としてPHSプロキシ22に送信する。なお、同一呼出グループの基地局16群は、たとえば、各無線通信エリアをそれぞれ隣接するようにして所定地域をカバーするように、その設置場所や設置数、さらにはアンテナの指向性などが決定されるとよい。本実施例では、図4に示すように、このような同一呼出エリアが設定された複数のIP基地局16によるIP基地局群30a,32b,...が各地域に複数配置されている。これら異なるIP基地局16群にはそれぞれについてマルチキャストアドレスが異なる値に設定されて、それぞれがマルチキャストアドレスをレイヤ3スイッチ20およびPHSプロキシ22にあらかじめ通知しておき、同一呼出グループの基地局群を区別する。
【0024】
図2に戻って、IP基地局16は、無線通信エリア内にて自局に止まり木しているPHS端末12宛の呼設定要求を、レイヤ3スイッチ20から同一呼出エリアのIP基地局群にマルチキャストされるセットアップコマンドにより検出すると、宛先の端末(PS)番号を含む着信報知信号を呼出チャネル(PCH)を使用して無線通信エリア内に送出する。PHS端末12は、この着信報知信号内の端末(PS)番号が自己の端末番号と一致するか否かを確認し、一致する場合に着呼応答信号をIP基地局16宛に無線送信する。
【0025】
PHS端末12が現在止まり木している着呼側のIP基地局16は、PHS端末12から返信される着呼応答信号を受信すると、バックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)をPHSプロキシ22に送信する。また、発呼側のIP基地局16は、PHSプロキシ22から呼確立手続を通知するバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)を受信すると、呼設定受付信号を発呼側のPHS端末12宛に送信する。本実施例におけるIP基地局16は、光ファイバーおよび、より線等のLANケーブルにてレイヤ3スイッチ(L3SW) 20に接続されている。
【0026】
レイヤ3スイッチ(L3SW) 20は、複数のIP基地局16を接続する複数のポートを有し、入力パケットをネットワーク層のIPアドレスに応じて対応ポートに高速に振り分けてパケットを出力するルーティング処理回路を備えるLANスイッチである。このレイヤ3スイッチ20は、マルチキャストに対応し、あらかじめ各IP基地局16から通知されるマルチキャストアドレスによりそれぞれ同一呼出エリアのIP基地局16を認識する。マルチキャストアドレスは、それぞれ同一呼出エリア毎に異なるグループにそれぞれ異なるアドレスが割り当てられている。
【0027】
レイヤ3スイッチ20は、PHSプロキシ22から送信されるセットアップコマンド(SETUP)パケットを受信すると、パケットにて指定されるマルチキャストアドレスに対応する同一呼出エリアのIP基地局16群への経路に応じてセットアップコマンド(SETUP)パケットを複製してマルチキャスト送信する。レイヤ3スイッチ20は、IGMP(Internet Group Management Protocol:インターネット・グループ管理プロトコルにより、たとえば、グループに関する問合わせメッセージを作成して各IP基地局16に送出して同一呼出エリア毎の基地局16群のグループを管理する。
【0028】
PHSプロキシ22は、各IP基地局16にそれぞれ割り当てられているIPアドレス等の局データを管理するとともに、たとえば、PHS端末12への発呼時にPHS端末12に着信するためのアドレス解決を行うサーバである。
【0029】
PHSプロキシ22は、所望の宛先のPHS端末12に的確に着信させるために、現在PHS端末12が止まり木しているIP基地局16のIPアドレスとそのPHS端末の端末(PS)番号との対応を示す対応テーブルを呼設定毎に作成して管理する機能を有している。
【0030】
この対応テーブル作成例を図3に示す。なお、端末(PS)番号およびIPアドレスの数値は説明のためのものであり、たとえば、端末(PS)番号の桁数などはシステム規模などの条件に応じて異なる。図示するように、対応テーブル中のインデックス1に対応してPHS端末12aの端末(PS)番号として"123"が記録され、これに対応してIPアドレスが"10.10.10.11"が記録されている。同様に他のPHS端末12として、インデックス2には、PHS端末12bの端末(PS)番号"124"が記録されて、これに対応してIPアドレスが"10.10.10.12"が記録されている。なお、PHSプロキシ22は、通話中のPHS端末12が移動して他のIP基地局に止まり木するハンドオーバーをする毎に対応テーブルを作成し直して更新する。PHSプロキシ22は、この対応テーブルを使用してIPアドレスと端末(PS)番号とを相互に変換することができる。
【0031】
PHSプロキシ22は、呼設定要求を受信したIP基地局16からのセットアップコマンド(SETUP)を受信すると、同一呼出エリアのマルチキャストグループのIP基地局16群を指定するマルチキャストアドレスを含むセットアップコマンド(SETUP)をレイヤ3スイッチ20に送出する。同一呼出エリアのIP基地局16についてそれぞれ同一のマルチキャストアドレスが設定されているので、PHSプロキシ22は、位置登録情報によって判明したIP基地局群30のグループをメンバー構成に基づいて認識し、そのグループに対応するマルチキャストアドレスを選択してレイヤ3スイッチ20に通知する。既に確認されている位置登録によって宛先のPHS端末12が止まり木していると予測されるIP基地局16を含むメンバー構成の呼出グループに対しセットアップコマンド(SETUP)を送出するので、PHS端末12が止まり木していたIP基地局以外の無線通信エリアにたとえ移動してしまっていても、その近隣に配置された同一呼出グループ内のいずれかのIP基地局16に止まり木している確率が非常に高く、このため着信制御可能な範囲をより広くすることができ、位置登録制御が小ゾーン構成のマイクロセル単位では行われないPHSシステムでも効率的な着信制御が行われる。
【0032】
なお、PHSプロキシ22は、宛先のPHS端末12が既に他の呼出グループのIP基地局16群のいずれかに移動してしまってPHS端末からの応答がない場合に、これまで位置登録されていた呼出グループの基地局16群に近接している他の呼出グループの基地局16群に対するマルチキャストアドレスに切り替えて送出するアドレス可変機能を備えている。この機能により着信制御可能な範囲を更に広くすることができ、着信制御の確実性を向上させる効果があり、呼制御および位置登録等の制御トラヒックの増大を抑制することができる。
【0033】
IP基地局16からの着信報知信号を受信したPHS端末12が着呼応答信号を同IP基地局16に送信すると、このIP基地局16からPHSプロキシ22宛にバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)が送出される。PHSプロキシ22は、このバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)をレイヤ3スイッチ20を介して受信すると、現在の止まり木状態を認識し、止まり木しているIP基地局16のIPアドレスと端末(PS)番号との対応を管理する対応テーブルを発信側と着信側とについてそれぞれ作成し、発呼側のPHS端末12が止まり木しているIP基地局16に対しバックワードメッセージ(CALL PROCEEDING)を送出する。PHSプロキシ22は、作成した対応テーブルに基づいて呼制御用のTCP/IPパケットの宛先を決定し、対応の基地局16宛に作成したパケットをユニキャストで送出する。
【0034】
このように、複数のIP基地局16、PHSプロキシ22およびレイヤ3スイッチ20によって、PHS over IPによる交換システム10を構成している。次に本交換システム10の発着信制御時におけるアドレス解決に関連する動作手順を説明する。
【0035】
まず、各IP基地局16は、あらかじめ自己に割り当てられたマルチキャストアドレスをレイヤ3スイッチ20にそれぞれ通知する。図4に示したように、本実施例では同一のマルチキャストアドレスが設定されたIP基地局群30aと、IP基地局群30aとは異なるマルチキャストアドレスが設定された別のIP基地局群30bとが、各グループ同士隣接して配置されている。
【0036】
この登録設定動作は、たとえば、レイヤ3スイッチ20からの問い合わせや各IP基地局16でのアドレス設定動作をトリガとして、各IP基地局16に設定されたマルチキャストアドレスとIPアドレスとがIGMPによりPHSプロキシ22宛に送出される。各ポートに接続したIP基地局16からのマルチキャストアドレスとIPアドレスの通知を受け取ったレイヤ3スイッチ20は、マルチキャストグループのメンバー構成を認識する。以降、レイヤ3スイッチ20は、PHSプロキシ22からマルチキャストアドレスを指定するパケットを受信すると、対応するグループのIP基地局群30に対しパケットを複製して送出する。図4に示す動作例では、たとえば、レイヤ3スイッチ20からのIGMPによる問い合わせに応答して、マルチキャストアドレスを各基地局群30a,30b毎に順次設定する動作を示すが、これに限らず、たとえば、各IP基地局16それぞれが自立して個別のタイミングにて参加要求をPHSプロキシ22宛に送出することによりマルチキャストアドレスを設定してもよい。
【0037】
このようにして、各IP基地局16およびIP基地局群30に関する情報が設定登録された本システム10において、図1に示すように、PHS端末(PS) 12aがIP基地局(IPC#1) 16aに止まり木しており、他方のPHS端末端末12bは、IP基地局(IPCS#4) 16dに止まり木している状態であるとする。
【0038】
ここでPHS端末(PS) 12aを所持するオペレータによる発信要求として、PHS端末(PS) 12bを掛け先とする発信操作をPHS端末(PS) 12aが検出すると、PHS端末(PS)12bの端末(PS)番号を含む呼設定要求がPHS端末12a からIP基地局16a に無線にて送信される。PHS端末12aが現在止まり木しているIP基地局16aはこれを受信復調して、呼設定要求と発呼側および被呼側双方の端末(PS)番号とを認識し、これら呼情報を含む発呼要求としてセットアップコマンド(SETUP)をTCP/IP上に乗せてPHSプロキシ22宛に送出する。
【0039】
PHSプロキシ22では、このIP基地局16aからのセットアップコマンド(SETUP)を受信すると、既に位置登録により判明しているIP基地局群30aの同一呼出エリアについて設定されているマルチキャストアドレスを宛先指定して発呼要求(SETUP)を送信する。この発呼要求は、同マルチキャストアドレスが登録されているIP基地局16を接続しているレイヤ3スイッチ20にて複製されて対応するそれぞれのポートに分配して送出される。
【0040】
図示の例では、セットアップコマンド(SETUP)は、レイヤ3スイッチ20から、同一呼出エリアのIP基地局(IPCS)群30aに属するIP基地局(IPCS#1〜IPCS#5) 16a〜16e宛にマルチキャストされる。なお、マルチキャストアドレスが異なるたとえばIP基地局(IPCS)群30b(図4参照)の各IP基地局(IPCS)では、マルチキャストアドレスが異なりグループが違うのでセットアップコマンド(SETUP)は受信されない。なお、PHSプロキシ22では、この時点にて、発側IPアドレスと発側端末(PS)番号との対応テーブルを作成してIPアドレスを解決する。
【0041】
セットアップコマンド(SETUP)を受信した各IP基地局16では、セットアップコマンドを解析して、掛け先のPHS端末12bが現在自局に止まり木しているか否かを判定し、止まり木していると判定したIP基地局16のみが掛け先のPHS端末12bに対し端末(PS)番号を含む着信報知信号を送信する。この例では、止まり木状態を判定したIP基地局(IPCS#4) 16dが着信報知信号を送信している。掛け先のPHS端末12bが止まり木していないと認識するIP基地局16a,16b,16c,16eは、着信報知信号は送信せず、受信したセットアップコマンドのパケットを廃棄する。
【0042】
着信報知信号を受信したPHS端末12bは、着信報知信号内の端末(PS)番号が自己の端末(PS)番号を指定するか否かを判定して、自端末宛の着信報知信号であることを判断すると、着呼応答信号を現在止まり木しているIP基地局16d 宛に返信する。
【0043】
着側のIP基地局(IPCS#4) 16dがこのPHS端末12bからの着呼応答信号を受信すると、その旨を示すバックワードメッセージの着信応答(CALL PROCEEDING)をTCP/IP上に乗せてPHSプロキシ22宛に返信する。この着信応答に基づいてPHSプロキシ22は、着側IPアドレスと着側端末(PS)番号の対応テーブルを作成しIPアドレスを解決する。なお、PHSプロキシ22は、この対応テーブルの作成タイミングにて、同様に発側IPアドレスと発側端末(PS)番号との対応テーブルを作成してもよい。
【0044】
次いでPHSプロキシ22が着呼応答(CALL PROCEEDING)を発側のIP基地局(IPCS#1)16aに返信すると、IP基地局16aから起呼側のPHS端末12aに対して呼設定受付信号が無線送信される。呼設定受付信号が発呼側PHS端末12a にて受信されるとPHSプロキシ22は、IP基地局(IPCS#4) 16dに対する呼制御パケットを対応テーブルに基づいてユニキャストにて送信し、以降、呼が切断されるまで呼制御用のTCP/IPパケットは作成した対応テーブルを用いて送信先が決定され、PHS端末12a,12b間の通信が行われる。なお、端末間の通信中に一方の端末、たとえばPHS端末12aがハンドオーバした場合は対応テーブルが再作成される。
【0045】
また、上記動作の中で、IP基地局群30a内のすべてのIP基地局16においてPHS端末12bからの着呼応答が受信されなかった場合には、IP基地局群30aからは、着信応答がPHSプロキシ22に送出されない。この場合、PHSプロキシ22は、所定時間着信応答が検出されないときには、新たなIP基地局群30への位置登録を確認し直す。この際、PHSプロキシ22は、あらたな位置登録が確認できない場合であっても、隣接する他の呼出エリアを形成する他のIP基地局群として、たとえばIP基地局群30b内の各IP基地局(IPCS)宛のマルチキャストアドレスに切り替えて変更し、セットアップコマンドを再送出することができる。
【0046】
このように、PHS端末(PS)12の位置が動的に変化するために、端末12が止まり木しているIP基地局(IPCS) 16のIPアドレスとPHS端末の端末(PS)番号とをロケーションサーバでは常に反映させることが困難であったが、本PHS over IP交換システム10では、交換システム10における主装置となるPHSプロキシ22から同一呼出エリアのIP基地局(IPCS) 16に対して、マルチキャストパケットにて発呼要求(SETUP)を送信し、着側PHS端末(PS) 12が止まり木しているIP基地局(IPCS) 16からのみ着信応答(CALL PROCEEDING)が返信されることにより、着側IPアドレスと着側PHS端末12の端末(PS)番号との対応テーブルを作成するのでIPアドレスの解決が合理的に行われる。
【0047】
また、発側のPHS端末12が止まり木しているIP基地局16から送出される発呼要求パケットについてはマルチキャストを使用せず、PHSプロキシ22からの発呼要求(SETUP)時にマルチキャストを使用して、レイヤ3ルータ20にてパケットを複製および分配して、対応する同一呼出エリアのIP基地局群30に送出している。この場合、呼出エリア毎にマルチキャストアドレスを可変させることができ、これにより、複数形成したそれぞれの同一呼出エリアの区別を容易に行うことができる。
【0048】
【発明の効果】
このように本発明によれば、同一呼出エリアのマルチキャストアドレスを指定して発呼要求を送出し、発呼要求がマルチキャスト対応のスイッチによって同一呼出エリアの基地局群を形成する各基地局にマルチキャストされ、宛先の移動無線端末が止まり木している基地局とその移動無線端末との着信報知および応答が得られるとその基地局が代理サーバに応答し、基地局のIPアドレスと端末番号との対応テーブルが代理サーバにて作成されて、以降この対応テーブルに基づいてアドレス解決を行って、発側および着側の基地局と移動無線端末と代理サーバとの間で呼制御情報および音声情報等をユニキャストにて通信することができる。
【0049】
このように、アドレス解決を合理的に行うことができるので、効率的な呼制御を行うことができ、マルチキャストアドレスを変更することで同一呼出グループを可変に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PHS over IP交換システムの呼制御動作の一例を示す図である。
【図2】本発明が適用されたPHS over IP交換システムの実施例を示すブロック図である。
【図3】PHS over IP交換システムにて作成する対応テーブルの一例を示す図である。
【図4】PHS over IP交換システムにおけるマルチキャストアドレスの通知動作例を示す図である。
【符号の説明】
10 交換システム
12a,12b PHS端末(PS)
16a〜16e IP基地局(IPCS#1〜#5)
20 レイヤ3スイッチ(L3SW)
22 PHSプロキシ
30a,30b IP基地局群
Claims (8)
- 移動無線端末を無線にて収容する基地局が通信エリアを形成し、前記基地局を複数配置した基地局群が形成する複数の通信エリアを同一呼出エリアとして、該同一呼出エリア毎に前記移動無線端末の位置登録を行う交換システムにおけるアドレス解決方法において、該方法は、
前記基地局と代理サーバとをLANスイッチを介在するLANネットワークでTCP/IPにて通信可能に接続し、
前記基地局群の複数の基地局にそれぞれ同一のマルチキャストアドレスを設定するとともに、該基地局群に設定されたマルチキャストアドレスを前記スイッチおよび代理サーバに登録し、
被呼側の移動無線端末が位置登録された前記基地局群内の前記移動無線端末宛への端末番号を含む発呼要求が発生すると、前記代理サーバから前記LANスイッチを介して前記基地局群の各基地局に前記発呼要求をマルチキャストアドレスを指定して送出し、
前記LANスイッチは、前記マルチキャストアドレスに基づいて前記発呼要求を複製して該マルチキャストアドレスが登録された前記同一呼出エリアを形成する基地局にそれぞれ送出し、
前記移動無線端末と通信可能な前記基地局は、前記移動無線端末宛の発呼要求を受信すると、該当する前記移動無線端末に端末番号を含む着信報知を送信し、前記着信報知を受信した前記移動無線端末が該着信報知内の端末番号を確認すると着呼応答を前記基地局に送信し、
該基地局が前記着呼応答を受信すると該着呼応答を前記LANスイッチを介して前記代理サーバに返信し、
前記着呼応答を受信した代理サーバにて、前記基地局のIPアドレスと前記無線端末の前記端末番号との対応を示す対応テーブルを作成するとともに、発呼側に着呼応答を送出し、以降、前記移動無線端末宛の呼制御パケットのIPアドレスを前記対応テーブルに基づいて判定して前記基地局宛にユニキャストで送出することを特徴とするアドレス解決方法。 - 請求項1に記載の方法において、該方法は、前記代理サーバにて前記マルチキャストアドレスを変更してパケットを送出することを特徴とするアドレス解決方法。
- 請求項1に記載の方法において、該方法は、着信側の移動無線端末が、他の同一呼出エリアを形成する他の基地局群にハンドオーバした場合に、前記対応テーブルを再作成することを特徴とするアドレス解決方法。
- 請求項1に記載の方法において、該方法は、前記発呼要求が、前記基地局に収容された発呼側の移動無線端末から送出された場合に、該発呼側の移動無線端末と、該移動無線端末の端末番号と通信可能な基地局のIPアドレスとの対応を示す情報を前記対応テーブルに作成することを特徴とするアドレス解決方法。
- 移動無線端末を無線にて収容する基地局が通信エリアを形成し、前記基地局を複数配置した基地局群が形成する複数の通信エリアを同一呼出エリアとして、該同一呼出エリア毎に前記移動無線端末の位置登録を行う交換システムにおいて、該システムは、
前記基地局と、呼制御を行う代理サーバとがLANスイッチにてTCP/IPで通信可能に接続されて、
前記基地局群のそれぞれの基地局は、同一のマルチキャストアドレスを共通に設定し、
前記LANスイッチは、前記同一呼出エリアを形成する基地局共通に設定したマルチキャストアドレスを登録し、
前記代理サーバは、前記マルチキャストアドレスを登録するとともに、被呼側の移動無線端末が位置登録された前記基地局群内の前記移動無線端末宛への端末番号を含む発呼要求が発生すると、前記LANスイッチを介して前記基地局群の各基地局に前記発呼要求をマルチキャストアドレスを指定して送出し、
前記LANスイッチは、前記発呼要求を複製して前記マルチキャストアドレスが登録された前記同一呼出エリアを形成する基地局にそれぞれ送出し、
前記移動無線端末と通信可能な前記基地局は、前記移動無線端末宛の発呼要求を受信すると、該当する前記移動無線端末に端末番号を含む着信報知を送信し、前記着信報知を受信した前記移動無線端末は、該着信報知内の端末番号を確認すると着呼応答を前記基地局に送信し、
前記着呼応答を受信した基地局は、該着呼応答を前記LANスイッチを介して前記代理サーバに返信し、
前記代理サーバは、前記着呼応答を受信すると、前記基地局のIPアドレスと前記無線端末の前記端末番号との対応を示す対応テーブルを作成し、発呼側に着呼応答を送出し、以降、前記無線端末宛の呼制御パケットのIPアドレスを前記対応テーブルに基づいて判定して前記基地局宛にユニキャストで送出することを特徴とする交換システム。 - 請求項5に記載のシステムにおいて、前記代理サーバにて前記マルチキャストアドレスを変更して前記発呼要求を送出することを特徴とする交換システム。
- 請求項5に記載のシステムにおいて、該システムは、着信側の移動無線端末が、他の同一呼出エリアを形成する他の基地局群にハンドオーバした場合に、前記代理サーバは、前記対応テーブルを再作成することを特徴とする交換システム。
- 請求項5に記載のシステムにおいて、該システムは、前記発呼要求が、前記基地局に収容された発呼側の移動無線端末から送出された場合に、前記代理サーバは、該発呼側の移動無線端末と、該移動無線端末の端末番号と通信可能な基地局のIPアドレスとの対応を示す情報を前記対応テーブルに作成することを特徴とする交換システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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