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JP2004175887A - 硬化性組成物 - Google Patents

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JP2004175887A
JP2004175887A JP2002342617A JP2002342617A JP2004175887A JP 2004175887 A JP2004175887 A JP 2004175887A JP 2002342617 A JP2002342617 A JP 2002342617A JP 2002342617 A JP2002342617 A JP 2002342617A JP 2004175887 A JP2004175887 A JP 2004175887A
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JP2002342617A
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Masahito Ide
正仁 井手
Manabu Tsumura
学 津村
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制された硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は硬化性組成物に関するものであり、更に詳しくは、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制された硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロシリル化反応を利用した硬化性組成物は比較的低温で硬化するため高温時の着色が少ないという特徴に着目して、光学材料用途に利用されている(特許文献1、2)。
【0003】
しかし、密着性・接着性や靭性付与等の物性改質のために他成分を添加する際、SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を引き起こす場合がある。この増粘は、作業性・硬化性・貯蔵安定性を悪化させる。例えばLED封止材用途においては、液状での粘度変化が大きいことはポッティング量のずれ、硬化ムラ等の原因となる。
【0004】
これまで粘度変化を抑制する方法として、有機リン化合物、スズ系化合物などの貯蔵安定性改良剤を添加することが知られている(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平14−080733
【0006】
【特許文献2】
特開平14−088244
【0007】
【特許文献3】
特開平4−93364
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記、有機リン化合物、スズ系化合物などの貯蔵安定性改良剤を添加する方法は、ヒドロシリル化触媒毒の添加により触媒活性を抑制させ粘度変化を抑えるものであるので高温での硬化を要し、樹脂が着色する問題を生じる。本発明の目的は、硬化性を維持したまま貯蔵安定性を確保する新たな硬化性組成物、すなわち、組成物として貯蔵する場合に粘度の上昇が少なく、かつ熱により迅速に硬化する組成物を、SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させることにより提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物(請求項1)であり、
(A)成分が下記一般式(I)
【0011】
【化2】
Figure 2004175887
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物(請求項2)であり、
(C)成分を0.075重量部以下含む請求項2に記載の硬化性組成物(請求項3)であり、
粘度上昇が1%以下である、請求項1又は2記載の硬化性組成物(請求項4)であり、
水素発生量が0.40μmol/g以下である、請求項1又は2記載の硬化性組成物(請求項5)であり、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)エポキシ基を有する化合物、(E)ほう酸エステル類を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物(請求項6)である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇とは、SiH基の加水分解による縮合反応
SiH+HO → SiOH+H
SiH+SiOH → Si−O−Si+H
SiOH+HOSi→ Si−O−Si+H
で、(B)成分が高分子量化することに伴う粘度上昇を意味する。
【0014】
また、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応とは、添加剤としてSiH基と縮合しうる官能基を有する他の成分を加えた場合の(B)成分−上記他の成分間で引き起こされる縮合反応も含まれる。
【0015】
縮合しうる官能基とは、Si−OR基、Si−O(CO)R基、Si−OH基、SiH基等が挙げられる。
【0016】
粘度上昇は23℃下8時間での平均E型粘度変化を測定し評価する。
【0017】
粘度上昇は1%以下であり、好ましく0.5%以下であり、さらに好ましくは0.1%以下である。
【0018】
粘度上昇を抑制する方法は、例えばSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応を引き起こさないヒドロシリル化触媒を用いる方法、ヒドロシリル化触媒量を調整する方法、SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応抑制剤を添加する方法等である。
【0019】
SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応を引き起こさないヒドロシリル化触媒を用いる方法では有機重合体でヒドロシリル化触媒をマイクロカプセル化した触媒を用いる方法などが知られている。この触媒を用いることで、一液状態でSiH化合物と触媒が直接触れ合わず、SiH基の加水分解反応が助長されないため、硬化性組成物の粘度上昇が抑制される。
【0020】
また、ヒドロシリル化触媒量を調整する方法では、(A)成分、(B)成分の組み合わせにより適宜触媒量を選定する。
【0021】
例えば(A)成分がトリアリルイソシアヌレートで(B)成分がトリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物である場合には、(A)成分と(B)成分合計量を100重量部として(C)成分が0.075重量部以下であり、好ましくは0.05重量部以下であり、更に好ましくは0.025重量部である。
【0022】
SiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応抑制剤を添加する方法ではSiH基よりも加水分解性の高い添加剤を加え、系中のHOをトラップする方法が考えられる。ただし、添加剤の加水分解物が活性水素を有するため、よりSiH基の加水分解が促進される可能性がある。
水素発生量は硬化性組成物1gから23℃下8時間で発生する水素量を測定し評価する。SiH基間の縮合反応による粘度上昇と水素発生量とは相関しており、水素発生量は0.4μmol/g以下であり、更に好ましくは0.2μmol/g以下である。
次に、本発明における(A)成分について説明する。
【0023】
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
【0024】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0025】
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
【0026】
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0027】
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(II)
【0029】
【化3】
Figure 2004175887
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0030】
【化4】
Figure 2004175887
示される基がが特に好ましい。
【0031】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(III)
【0032】
【化5】
Figure 2004175887
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
【0033】
また、原料の入手の容易さからは、
【0034】
【化6】
Figure 2004175887
示される脂環式の基が特に好ましい。
【0035】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。
【0036】
2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。
【0037】
これらの置換基の例としては、
【0038】
【化7】
Figure 2004175887
【0039】
【化8】
Figure 2004175887
が挙げられる。
【0040】
また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0041】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0042】
【化9】
Figure 2004175887
が挙げられる。
【0043】
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0044】
【化10】
Figure 2004175887
【0045】
【化11】
Figure 2004175887
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0046】
(A)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0047】
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
【0048】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0049】
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
【0050】
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0051】
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において1000ポイズ未満のものが好ましく、300ポイズ未満のものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
【0052】
(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
【0053】
また、複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、芳香環の(A)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0054】
得られる硬化物の着色が少なく、光学的透明性が高く、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0055】
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0056】
(A)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0057】
(A)成分としては、耐熱性および透明性が高いという観点からは、下記一般式(I)
【0058】
【化12】
Figure 2004175887
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
【0059】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0060】
【化13】
Figure 2004175887
等が挙げられる。
【0061】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
【0062】
【化14】
Figure 2004175887
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
【0063】
【化15】
Figure 2004175887
等が挙げられる。
【0064】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0065】
【化16】
Figure 2004175887
等が挙げられる。
【0066】
上記一般式(I)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
【0067】
【化17】
Figure 2004175887
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(IV)
【0068】
【化18】
Figure 2004175887
(式中R水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(V)
【0069】
【化19】
Figure 2004175887
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(RおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
【0070】
上記一般式(V)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0071】
【化20】
Figure 2004175887
等が挙げられる。
【0072】
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0073】
【化21】
Figure 2004175887
が挙げられる。
【0074】
上記一般式(V)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
【0075】
ただし、上記のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
【0076】
以上のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0077】
【化22】
Figure 2004175887
等が挙げられる。
次に、(B)成分であるSiH基を有する化合物について説明する。
【0078】
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
【0079】
(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
【0080】
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(VI)
【0081】
【化23】
Figure 2004175887
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0082】
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0083】
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、より流動性を発現しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。
ただ、低分子量のものは硬化時の揮発性、硬化物でのアウトガス等の問題を引き起こす可能性があるため、この場合の好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0084】
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(B)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
((α)成分)
ここで(α)成分は上記した(A)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
【0085】
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
【0086】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0087】
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
【0088】
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0089】
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0090】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(VII)
【0091】
【化24】
Figure 2004175887
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0092】
【化25】
Figure 2004175887
示される基が特に好ましい。
【0093】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(VIII)
【0094】
【化26】
Figure 2004175887
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0095】
【化27】
Figure 2004175887
示される脂環式の基が特に好ましい。
【0096】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(α2)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0097】
【化28】
Figure 2004175887
【0098】
【化29】
Figure 2004175887
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0099】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0100】
【化30】
Figure 2004175887
が挙げられる。
【0101】
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
【0102】
構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0103】
(α2)成分のガラス転位温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス点移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転位温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転位温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
【0104】
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
【0105】
(α2)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0106】
上記のような(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンである。
【0107】
具体的には、例えば
【0108】
【化31】
Figure 2004175887
【0109】
【化32】
Figure 2004175887
が挙げられる。
【0110】
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(IX)
【0111】
【化33】
Figure 2004175887
(式中、R10は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0112】
一般式(IX)で表される化合物中の置換基R10は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0113】
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0114】
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(B)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
【0115】
尚、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(B)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(B)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
【0116】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(B)成分と(A)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(B)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
【0117】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0118】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0119】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0120】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0121】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0122】
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分にを混合する方法が好ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
【0123】
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
【0124】
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0125】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0126】
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
【0127】
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応の(α)成分あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(B)成分が揮発分を有さないため(A)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0128】
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(B)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、等を挙げることができる。
【0129】
次に、(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
【0130】
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンなどとの錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0131】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、などが挙げられる。
【0132】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体などが好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0133】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ光学材料用組成物のコストを比較的低く抑えるために、SiH基1モルに対して、10−1〜10−8モルの範囲が好ましく、より好ましくは、10−2〜10−6モルの範囲である。
【0134】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィンなどのリン系化合物、ジメチルマレエートなどの1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチンなどのアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄などの硫黄系化合物、トリエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、触媒1モルに対して、10−2〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは10−1〜10モルの範囲である。
【0135】
さらに本発明の組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。
【0136】
硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などが挙げられ、これらを併用してもかまわない。
【0137】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類などが例示される。
【0138】
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類などが例示される。
【0139】
有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイドなどが例示される。
【0140】
窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジンなどが例示される。
【0141】
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズなどが例示される。
【0142】
有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチルなどが例示される。
【0143】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチンが好ましい。
【0144】
貯蔵安定性改良剤の添加量は、使用するヒドロシリル化触媒1molに対し、10−1〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは1〜50モルの範囲である。
【0145】
本発明の組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、耐熱性が良好であるという観点から、組成物を硬化させて得られる光学材料のTgが50℃以上となるものが好ましく、100℃以上となるものがさらに好ましく、150℃以上となるものが特に好ましい。
【0146】
次に、(D)成分であるエポキシ基を有する化合物について説明する。
【0147】
本発明に用いる(D)成分であるエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ビスフェノールF型エポキシ樹脂:テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の臭素化エポキシ樹脂:ノボラック型エポキシ樹脂:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応物、芳香族カルボン酸の水素添加物とエピクロルヒドリンとの反応物等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂:N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂:ウレタン変性エポキシ樹脂:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
【0148】
【化34】
Figure 2004175887
等の脂環式系エポキシ樹脂:トリグリシジルイソシアヌレート:ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル類:ヒダントイン型エポキシ樹脂:石油樹脂等の不飽和重合体のエポキシ化物などが例示できるが、これらに限定されるものではなく、一般に知られているエポキシ樹脂であれば使用しうる。
【0149】
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと光学材料物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0150】
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0151】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0152】
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと光学材料物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0153】
本発明の組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。
【0154】
接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0155】
次に、(E)成分であるほう酸エステル類について説明する。
【0156】
ほう酸エステルはシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
【0157】
ほう酸エステルとしては下記一般式(X)、(XI)で示されるものを好適に用いることが出来る。
【0158】
【化35】
Figure 2004175887
【0159】
【化36】
Figure 2004175887
(式中R、R11は炭素数1〜48の有機基を表す。)
(E)成分の具体例として、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイドを好適に用いることができる。(E)成分としては1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
【0160】
入手性の点からほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
【0161】
硬化時の揮発性を抑制出来る点から、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
【0162】
揮発性の抑制、作業性の点からほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
【0163】
高温下での着色性が低い点からほう酸トリエチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
【0164】
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0165】
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
【0166】
このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0167】
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0168】
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0169】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(合成例1)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を30分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したものであることがわかった(反応物Aと称する)。また、1,2−ジブロモエタンを内部標準に用いてH−NMRによりSiH基の含有量を求めたところ、8.08mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。生成物は混合物であるが、本発明の(B)成分である下記のものを主成分として含有している。
【0170】
【化37】
Figure 2004175887
また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
(実施例1)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート10g、(B)成分として合成例1の反応物A14.9g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.87×10−2g、(D)成分として1−エチニル1−シクロヘキサノール7.5×10−2g(E)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.6225gとトリメトキシボラン0.1245gを混合、1分30秒攪拌・3分脱泡し硬化性組成物Aを作成する。
【0171】
この一液混合物Aを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、170℃/10分、熱風乾燥器中で加熱し硬化させることにより厚さ約3mmの目視で均一かつ無色透明の硬化物を得た。
(比較例1)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート10g、(B)成分として合成例1の反応物A14.9g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)7.5×10−2g、(D)成分として1−エチニル1−シクロヘキサノール7.5×10−2g(E)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.6225gとトリメトキシボラン0.1245gを混合、1分30秒攪拌・3分脱泡し硬化性組成物Bを作成する。
【0172】
この一液混合物Bを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、170℃/10分、熱風乾燥器中で加熱し硬化させることにより厚さ約3mmの目視で均一かつ無色透明の硬化物を得た。
(比較例2)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート10g、(B)成分として合成例1の反応物A14.9g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.74×10−1g、(D)成分として1−エチニル1−シクロヘキサノール7.5×10−2g(E)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.6225gとトリメトキシボラン0.1245gを混合、1分30秒攪拌・3分脱泡し硬化性組成物Cを作成する。
【0173】
この一液混合物Cを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、170℃/10分、熱風乾燥器中で加熱し硬化させることにより厚さ約3mmの目視で均一かつ無色透明の硬化物を得た。
(測定例1)
実施例1、比較例1、2で調製した硬化性組成物A〜Cをスクリュー管(20mL)に2g入れ、気相部をNとして23℃下に保管し、8時間保管前後の粘度を評価した。測定装置はE型粘度計(1バイコーン)を用いた。測定は硬化性組成物をプラスチックシリンジで1.2mL取り、23℃下で測定を行った。
表1に得られた結果について示した。
(測定例2)
実施例1、比較例1、2で調製した硬化性組成物A〜Cを予め150℃で2時間乾燥処理したアルミシールバイアル瓶(30mL)に15g入れ、気相部をNとして23℃下に保管し、1時間、8時間保管後の気相部の水素濃度を測定した。測定はGC(カラム:CARBOXEN−1010,0.32mmφ×30m)を用いた。水素発生量は各サンプルの気相部水素濃度から硬化性組成物1gあたりの水素発生量を算出して評価した。
【0174】
表1に得られた結果について示した。
(測定例3)
実施例1、比較例1、2で得られた硬化物についてガラス転移温度(T)を評価した。測定装置は島津熱機械分析装置TMA−50Hを用いた。測定は50mL/分の窒素気流下、3gの荷重条件の圧縮モードで行った。測定温度条件は室温から250℃まで10℃/分の昇温条件で行い熱膨張曲線の変曲点をTとした。
表1に得られた結果について示した。
【0175】
【表1】
Figure 2004175887
表1から本発明の硬化性組成物はSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制され、粘度上昇が無く作業性に優れた組成物であると言える。また本実施例の硬化性組成物は、硬化させることで高いガラス転移温度を有する硬化物を得ることができる。
【0176】
【発明の効果】
本発明の技術によって製造される材料は、液状態での作業性に富み、基材への密着性・接着性、耐熱性に優れた硬化性組成物として、汎用熱硬化性樹脂の各種用途に応用できる。

Claims (6)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物。
  2. (A)成分が下記一般式(I)
    Figure 2004175887
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物。
  3. (C)成分を0.075重量部以下含む請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 粘度上昇が1%以下である、請求項1又は2記載の硬化性組成物。
  5. 水素発生量が0.4μmol/g以下である、請求項1又は2記載の硬化性組成物。
  6. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)エポキシ基を有する化合物、(E)ほう酸エステル類を含み、(B)成分のSiH基及びその加水分解物であるSiOH基が関与する縮合反応から引き起こされる粘度上昇を抑制させた硬化性組成物。
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