JP2004103519A - 色変換カラーフィルタ基板およびこれを用いた有機カラーディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】光の取り出し効率などのカラーディスプレイの性能に影響を与えることなく、カラーディスプレイのコントラストを向上させ、視認性を改良できる色変換方式のカラーフィルタ基板を提供すること。
【解決手段】本発明は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする色変換フィルタ基板に関する。さらに本発明は、この色変換フィルタ基板を用いた有機カラーディスプレイに関する。また、本発明は、これらの製造方法に関する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする色変換フィルタ基板に関する。さらに本発明は、この色変換フィルタ基板を用いた有機カラーディスプレイに関する。また、本発明は、これらの製造方法に関する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精細で高視認性であり、耐環境性および生産性に優れ、且つ、多色表示が可能な色変換カラーフィルタ基板、並びに、該色変換カラーフィルタ基板を具備する有機カラーディスプレイに関する。より詳細には、本発明は、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電気卓上計算機、電話機、携帯端末機、産業用の計器類などの表示用のカラーフィルタおよび該フィルタを具備する有機カラーディスプレイ、特に色変換方式を用いた有機カラーディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
発光型のカラーディスプレイには、一般的に、赤、青、緑の発光部分がそれぞれ設けられている。そして、各々の発光強度を変化させることによって様々な色や明るさが表現される。色や明るさを表現する他の方法として、時間的に赤、青、緑の発光を変化させてそれぞれの色の強度を制御するものがあり、この方法によりフルカラーを呈色させるようなディスプレイも存在する。しかし、発光色を時間によって変化させることは容易ではないので、先のように、赤、青、緑の発光部部分を空間的に分離して設けることによってフルカラーを表現することが一般的である。
【0003】
また、上記のようなディスプレイでは、周囲環境の明るさ、すなわちディスプレイのパネル表面に入射する光によってその表示品質が低下する。ここで、ディスプレイの品質を表す尺度としてコントラストがある。このコントラストは、一定のパネル面照度のとき、最も明るい白表示と、最も暗い黒表示をしたときのパネル面の輝度の比率をいう。コントラストの数値が大きいほど視認性が高い。
【0004】
上記のパネル表面に入射する光によるディスプレイの品質の低下に対する対策として、例えば、円偏光板を使用して入射してくる外部の光の反射を防ぐことが行われている(例えば特許文献1参照)。円偏光板を用いるのは、これをパネル表面に使用すると外部から入射した光の鏡面反射をほとんど完全に防ぐことが可能になるためである。すなわち、円偏光板を通して入射した光は、ディスプレイ内部でそのまま反射されて円偏光板へ戻るが、反射により円偏光の向きが逆になり、再び円偏光板を通過するときに円偏光板により反射光が遮られることになる。このように、ディスプレイ内部からの反射光をディスプレイの外に出さないことにより外部からの光の反射を防ぎ、コントラストを改善している。このように円偏光板を使用すると、外部の光の反射は抑えられるが、円偏光板は偏光フィルタの一種であるため、これを光が透過する際には、光の強さが円偏光板のない場合と比較して半分以下となる。したがって、ディスプレイ内部からの発光を考えた場合、目標とするパネル輝度を得るためには、円偏光板を用いない場合に比べ、2倍以上の強度で点灯を行わなければならない。これは非常なエネルギーの損失であり、ディスプレイの劣化を加速することにも繋がる。
【0005】
また、色変換方式のカラーディスプレイに円偏光板を用いる場合、外部からの光を防ぐことに関して次のようなことが起こる。色変換方式のカラーディスプレイは、パネル内に光励起による色変換層を設けることが特徴である。この色変換層は、蛍光材料を含有し、蛍光変換の原理により波長の変換を行うものである。例えば、外部から光が入射したときに、この入射した光により、蛍光材料が励起され、入射光とは波長の異なる蛍光を発する。このように、色変換層では、一旦蛍光材料に光を吸収させた後に、再び蛍光として入射光とは波長の異なる光を取り出す。この蛍光変換では、蛍光材料の励起状態を経由するが、この励起状態を経由すると、円偏光板で偏光された光の偏光が保持できない。すなわち、外部からの入射光は円偏光板を通過し偏光となるが、この偏光を吸収して励起状態を経て蛍光材料から発せられる光はほとんど偏光を保持していない(すなわち、偏光ではなくなる。)。したがって、外部からの偏光を吸収し、蛍光材料からは発せられる、ディスプレイ内部から外へ向かう光は、先に述べたような円偏光板の遮光の機構が働かなくなるため、その一部が円偏光板を通過してしまう。このように、色変換層を用いると、円偏光板の本来の機能が発揮されず、高価な円偏光板を使用しても単なる減光フィルタとしての機能しか与えないこととなる。したがって、色変換方式のカラーディスプレイのコントラストを向上させる手段として円偏光板を使用することは必ずしも好ましいとはいえないのである。
【0006】
コントラストを向上させる別の手段としては、電極を低反射率の部材で構成する方法が提案されている(例えば、特許文献2または特許文献3を参照)。これは、電極を低反射率の部材で構成することにより外から入射した光の反射を防ぎ、コントラストを向上させようとするものである。しかし、低反射率の部材は、金属電極に比べて抵抗率が高いため、ディスプレイの消費電力を増大させる結果となる。また、ディスプレイ内部から出て行く光には、反射光以外に、ディスプレイ内部で発光される光もある。この光には、一度電極で反射されてから外部へ放出されるものもあるため、低反射率の部材を使用するとこの成分が取り出されなくなり、パネルの、光の外部取り出し効率が低下することになる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−127885号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平11−176580号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2000−12236号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光の取り出し効率などのカラーディスプレイの性能に影響を与えることなく、カラーディスプレイのコントラストを向上させ、視認性を改良できる色変換方式のカラーフィルタ基板を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、光の取り出し効率などのカラーディスプレイの性能に影響を与えることなく、カラーディスプレイのコントラストを向上させ、視認性を改良した色変換方式のカラーディスプレイを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記の色変換方式のカラーフィルタ基板およびカラーディスプレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
【0014】
すなわち、本発明の第一は、コントラストを改善することができる色変換フィルタ基板に関する。本発明の第一の態様は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下である色変換フィルタ基板である。また、本発明の第二の態様は、第一の態様のブラックマトリックスと色変換フィルタ層を被覆し、表面が平滑化された透明な平滑化層をさらに具備する色変換フィルタ基板である。第一の発明では、ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする。また、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の色変換フィルタ層の開口部の開口率の比が0.7以下であることを特徴とする。
【0015】
本発明の第二は、有機カラーディスプレイに関する。特に、本発明は、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を有する有機カラーディスプレイに関する。本発明の第一の態様は、パッシブ駆動型の有機カラーディスプレイである。具体的には、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極と、有機EL層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0016】
第二の態様は、TFT型の有機カラーディスプレイに関する。具体的には、基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を少なくとも備えた有機EL発光素子基板と、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板とを具備する有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0017】
第二の発明にかかる有機カラーディスプレイでは、ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする。また、開口率が5%以上20%以下である、開口部の開口率と、それ以外の色変換フィルタ層の開口部の開口率の比が0.7以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第三は、上記色変換フィルタ基板の製造方法に関する。
【0019】
本発明の第四は、上記有機カラーディスプレイの製造方法に関する。
【0020】
本発明の態様および本発明の特徴は、以下の本発明の説明、図面等からより明らかになるであろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を説明する。以下の説明では、適宜図面を参照して本発明を説明するが、これらの説明はあくまで例示であり、本発明はこれらに限定されない。
【0022】
本発明の第一は、色変換フィルタ基板に関する。
【0023】
本発明の色変換フィルタ基板の第一の態様は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下である色変換フィルタ基板である。また、本発明の第二の態様は、第一の態様のブラックマトリックスと色変換フィルタ層を被覆し、表面が平滑化された透明な平滑化層をさらに具備する色変換フィルタ基板である。
【0024】
本発明の色変換フィルタ基板を図1(本発明)および図2(従来の色変換フィルタ基板)を参照して説明する。図1および図2は、本発明の色変換基板の赤、青および緑を表示するマルチカラーまたはフルカラーを表示するための複数の画素を有する色変換フィルタ基板の1つの画素に相当する部分を示している。
【0025】
図1(a)は、第一の態様の色変換フィルタ基板10の概略断面図である。色変換フィルタ基板10は、透明な支持基板11上に、ブラックマトリックス12、および、赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(赤色変換フィルタ層13、緑色変換フィルタ層14、青色変換フィルタ層15)を有する。
【0026】
図1(b)は、第二の態様の色変換フィルタ基板10の概略断面図である。この第二の態様の色変換フィルタ基板10は、上記第一の態様の色変換フィルタ基板のブラックマトリックスおよび各色変換フィルタ層を覆う平滑化層16を有する。
【0027】
図1(c)は、上記第一の態様および第二の態様の色変換フィルタ基板のブラックマトリックス部分を基板側から見た場合の概略平面図である。
【0028】
また、図2(a)は、従来の色変換フィルタ基板20を示し、透明な支持基板21上に、ブラックマトリックス22、赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(赤色変換フィルタ層23、緑色変換フィルタ層24、青色変換フィルタ層25)、および任意要素の平滑化層26を有する。図2(b)は、この従来の色変換フィルタ基板のブラックマトリックス部分を基板側から見た場合の概略平面図である。
【0029】
本発明では、図1(a)から図1(c)に示されるように、ブラックマトリックス12は、各色変換フィルタ層(13、14、15)の設けられている領域以外の領域に設けられる。すなわち、ブラックマトリックスは、開口部(図1(c)の17、18、19)を有する。このブラックマトリックスの3つの開口部のうちの少なくとも1つは、開口率が5%以上20%以下となるように設けられる。また、本発明の色変換フィルタでは、開口率が5%以上20%以下の開口部と、残りの開口部の開口率との比が0.7以下であることが好ましい。
【0030】
ここで、本明細書において「開口部」とは、赤、青および緑の各色変換フィルタ層の領域に対応して該ブラックマトリックスに設けられる、光を取り出すための開口部分をいう。具体的には、例えば図1(c)の17、18、19のような開口部分をいう。
【0031】
また、本明細書において、「開口率」とは、色変換フィルタ基板の1画素に相当する領域(すなわち、赤、青および緑の各色変換フィルタ層の領域とブラックマトリックスで構成される基板表面上の領域)に対する各開口部の領域の割合をいう。具体的には、例えば図1(c)のブラックマトリックス全域(ブラックマトリックスの領域12と各開口部を合わせた領域)に対する各開口部(17、18、19)の割合をいう。
【0032】
したがって、例えば、図2に示されるような各開口部(27、28、29)が同じ開口率を有する場合、各開口部の開口率は、33.3%の理論最大値を有する。一般には、各開口部の間(サブピクセル間)を十分に分離し、プロセスマージンを持たせるため、この開口率は、3色の部分とも前記の値よりも小さい30%から25%(以下、これを開口率の標準値とも称する。)である。
【0033】
本発明では、従来では三色とも同じであったこの開口率を、少なくとも1つの開口部について、他の開口部よりも小さくする。すなわち、本発明の色変換フィルタ基板(図1参照)は、従来の色変換フィルタ基板(図2参照)のようにブラックマトリックスに設けられる開口部が同じ開口率を有するのではなく、開口部の少なくとも1つが他の開口部よりも小さくなるように設計される。
【0034】
本発明では、上述のようにブラックマトリックスの3つの開口部のうちの少なくとも1つは、開口率が5%以上20%以下となるように設けられるが、開口率が5%以上であることが必要なのは以下の理由による。即ち、開口率は低くすればそれにしたがってコントラストを高めることが出来るが、一方、発光部分の占める割合が低下するので、輝度を維持するためには素子の動作条件を変更する必要があり、発光素子にとってより負荷の高い動作を要求することになる。高負荷での動作は、素子の急速な劣化や破壊の原因となる可能性がある。素子の現実的な動作範囲から開口率の下限が規定される。また、開口率が20%以下であることが必要な理由は、以下の通りである。開口率の標準値を使用したパネルと比較して、コントラストの向上が実験的に認められる限界として上限が規定される。なお、図1では緑色変換フィルタ層14の領域に相当する開口部18(図1(c))を縮小した例を示した。しかし、本発明は、この例のみでなく、例えば2つの開口部を上述の割合に縮小する場合等を包含する。また、開口部の開口率は、いずれの開口部から低くしてもよいが、コントラスト効率の悪い色変換フィルタ層(例えば緑色の色変換フィルタ層)に相当する開口部から、低くすることが好ましい。
【0035】
本発明では、例えば、赤、青および緑の三色のうち一色または二色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を開口率の標準値よりも低下させ、残りの二色または一色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を開口率の標準値とすればよい。また、この他に、赤、青および緑の三色のうち一色または二色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を開口率の標準値よりも低下させ、残りの二色または一色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を、開口率の標準値よりも上げるようにしてもよい。
【0036】
本発明の色変換フィルタでは、本発明の色変換フィルタ基板をディスプレイに用いた場合のディスプレイの負荷を高めないために、開口率が5%以上20%以下の開口部と、残りの開口部の開口率との比が0.7以下とすることが好ましい。
【0037】
色変換方式のフィルタ基板では、色変換部は本質的に光に対する感受性を有しており、外部から光が入射した場合には色変換部が発光し、コントラストを低下させる。発光する部分の面積が大きいほど色変換部の発光が多くなるのでコントラストの低下は激しくなる。したがって、コントラストを低下させない方法の1つとして発光部分の比率、すなわち開口率を小さくし、それ以外の部分を光の反射の少ないブラックマトリックスで覆えば、コントラストは改善することができる。しかし、単純に発光部分の面積を小さくすると、色変換フィルタ基板に占める、各色発光部分の割合が低下するので、このような色変換フィルタ基板を発光素子に用いた場合には、輝度を下げてしまう可能性がある。輝度を維持するためには、素子の動作条件を変更する必要があり、発光素子にとっては負荷の高い動作を要求することになる。したがって、不必要なデザインの変更はディスプレイの消費電力の増加や、寿命を短くすることに繋がる。したがって、本発明のようにコントラストに最も影響のおき部位から優先して発光部分の面積を縮小することが有効である。
【0038】
以下に本発明の色変換フィルタ基板の各要素について説明する。
1.色変換フィルタ層
本明細書において、色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層、蛍光変換層、およびカラーフィルタ層と蛍光変換層との積層体の総称である。本発明の説明に用いる図面では、一層でこれらを表した。蛍光変換層は、発光部で発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)領域、緑色(G)領域および赤色(R)領域の光を放出する独立した色変換フィルタ層が設けられる。RGBそれぞれの蛍光変換層は、少なくとも有機蛍光色素とマトリクス樹脂とを含む。
【0039】
1)有機蛍光色素
本発明において、有機蛍光色素は、有機EL層のような発光体から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光、特には青色ないし青緑色領域の光を吸収して、該発光体とは異なる波長の可視光を発するものであれば特に限定されない。本発明では、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の一種類以上が用いられ、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の一種以上と組み合わせることが好ましい。これは以下の理由による。発光体は、例えば有機EL層の場合、青色ないし青緑色領域の光を発光するものが得やすいが、これを単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光に変更しようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないため、極めて暗い出力光になってしまう。したがって、十分な強度の出力を持った赤色領域の光を得るためには、発光体としての有機EL層からの光を蛍光色素によって一旦吸収させ、赤色領域の光に変換させることが必要となる。このように、赤色領域の光は、発光体からの光を蛍光色素によって赤色領域の光に変換させることにより、十分な強度の出力が可能となる。
【0040】
一方、緑色領域の光は、赤色領域の光と同様に、発光体からの光を別の蛍光色素によって緑色領域の光に変換させて出力させてもよいし、または、発光体の発光が緑色領域の光を十分に含むならば、この発光体からの光を単に緑色フィルタを通して出力してもよい。
【0041】
また、青色領域の光に関しては、発光体からの光(例えば有機EL層からの光)を単なる青色フィルタに通して出力させることが可能である。
【0042】
発光体が、有機EL層である場合、これから発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、べ一シックバイオレット11、べーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−13−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。
【0043】
発光体(例えば有機EL層)から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、または、クマリン色素系染料であるべーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。
【0044】
なお、本発明に用いることができる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に用いる有機蛍光色素は、色変換フィルタ層に対して、この変換フィルタ層の重量を基準として0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の量で含有される。有機蛍光色素の含有量が0.01重量%未満の場合には、十分な波長変換を行うことができず、その含有量が5%を越える場合には、濃度消光等の効果により色変換効率の低下が起こる。
【0045】
本発明では、色変換フィルタ層の線幅、ピッチなどは、各開口部の所望の開口率を満たすようにすればよく、特に制限されない。例えば、以下の実施例に示される線幅、ピッチを挙げることができる。また、色変換層の膜厚は、例えば10μmmとすることができる。
【0046】
2)マトリックス樹脂
次に、本発明の色変換フィルタ層に用いられるマトリックス樹脂について説明する。マトリックス樹脂は、光硬化性樹脂または光熱併用型の硬化性樹脂からなる。これを、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、樹脂を不溶不融化させて、色変換フィルタ層を形成する。
【0047】
光硬化性または光熱併用型の硬化性樹脂には、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマー、(2)ポリビニル桂皮酸エステル、(3)鎖状または環状オレフィン、(4)エポキシ基を有するモノマーなどが含まれる。また、光硬化性樹脂または光熱併用型の硬化性樹脂は、色変換フィルタ層として硬化されない状態では、有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶であることが好ましい。
【0048】
これらの硬化性樹脂は、例えば以下のような組成物として使用され、基板上に塗布された後、パターンニングされる。例えば、(1)の硬化性樹脂は、光または熱重合開始剤と混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理して、光ラジカルや熱ラジカルを発生させて重合させる。また、(2)の硬化性樹脂は、増感剤と混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理により二量化させて架橋する。(3)の硬化性樹脂は、ビスアジドと混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させる。(4)の硬化剤は、光酸発生剤と混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させる。本発明では、特に(1)の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂からなる組成物が高精細でパターンニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
【0049】
3)ブラックマトリックス
ブラックマトリックスは、可視光をよく吸収し、発光部及び色変換フィルタ層へ悪影響を与えないものであれば特に限定されない。本発明では、黒色の無機層、黒色顔料または黒色染料を樹脂に分散した層等によりブラックマトリックスを形成することが好ましい。例えば、黒色の無機層としては、クロム膜(酸化クロム/クロム積層膜)などを挙げることができる。また、黒色顔料または黒色染料を樹脂に分散した層としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン等の顔料または染料をポリイミドなどの樹脂に分散したもの、カラーレジストなどが挙げられる。これらのブラックマトリックスは、スパッタ法、CVD法、真空蒸着等のドライプロセス、スピンコート法のようなウエットプロセスにより形成することができ、フォトリソグラフィー法等によりパターンニングすることができる。
【0050】
本発明では、ブラックマトリックスの光反射率は、40以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。これ以上の反射率であると、外部からの入射光を反射し、コントラストを低下させる原因となる。本発明では、上記クロム膜(数十%)、及び顔料分散樹脂層(10%以下)が好ましい光反射率を有するが、クロム膜よりも顔料分散樹脂層の方が低い反射率を有するため好ましい。但し、無機層は、材料により電気伝導性を持たせることが可能であり、透明電極の補助電極としての機能を持たせることができる場合があるので、ブラックマトリックスの材料は、色変換フィルタ基板の用途に応じて適宜選択すればよい。
【0051】
ブラックマトリックス12は、好ましくは0.5〜2.0μmの厚さを有する。
【0052】
4)平滑化層
本発明に用いることができる平坦性を有した平滑化層は、色変換フィルタ側面の凹凸(これは、色変換フィルタ基板をディスプレイのような表示素子に用いる場合、発光部の電極間の短絡の原因となる。)を平滑化し、且つ、色変換フィルタ層へ悪影響を与えないものであれば特に限定されない。また、本発明の色変換フィルタ基板をディスプレイのような発光素子に用いる場合、平滑化層は発光部へ悪影響を与えないことも必要である。
【0053】
本発明の色変換フィルタ基板では、平滑化層は任意要素である。しかし、パッシブ型のディスプレイのような表示素子に本発明の色変換フィルタ基板を用いる場合には、前記の電極間の短絡を防止するためにも平滑化層を設けることが好ましい。
【0054】
また、平滑化層は、色変換フィルタ基板の各要素を密閉し、外部の有害なガスや水分などから、色変換フィルタ層、ブラックマトリックスなどを保護する機能も有する。
【0055】
本発明の平滑化層は、例えば、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、Tgが100℃以上であり、表面硬度が鉛筆硬度で2H以上である層である。本発明の平滑化層に使用できる材料は、基板上に表面が平坦となるように塗膜を形成でき、色変換フィルタ層の機能を低下させない材料であればよい。例えば、イミド変性シリコーン樹脂(特開平5−134112号公報、特開平7−218717号公報、特開平7−306311号公報等)、無機金属化合物(TiO、AL2O3、SiO2等)をアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の中に分散したもの(特開平5−119306号公報、特開平7−104114号公報等)、紫外線硬化型樹脂としてのエポキシ変性アクリレート樹脂(特開平7−48424号公報)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有する樹脂、レジスト樹脂(特開平6−300910号公報、特開平7−128519号公報、特開平8−279394号公報、特開平9−330793号公報等)、無機化合物のゾル−ゲル法を用いることができる材料(月刊ディスプレイ1997年、3巻、7号に記載、特開平8−27934号公報等)、フッ素系樹脂(特開平5−36475号公報、特開平9−330793号公報等)等の光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂がある。
【0056】
また、本発明の色変換フィルタ基板をディスプレイのような発光素子に用いる場合、発光部が水分やアルカリ等に弱い場合、平滑化層には、電気絶縁性を有し、ガス、水分、アルカリ、有機溶剤等に対するバリア性を有し、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電極の成膜に耐えうる硬度として、好ましくは2H以上の膜硬度を有する材料を用いることができる。例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等が使用できる。これらの材料は、本発明の平滑化層の表面の平坦性を損なうことなく、層を形成することができる。
【0057】
上述の平滑化層は単層であっても、または、複数の層が積層された積層体でもよい。また、複数層からなる場合、各層は同じ材料でも異なる材料でもよいが、バリアー性を向上させるためには、異なる材料を用いることが好ましい。
【0058】
この平滑化層を色変換方式の有機カラーディスプレイに適用する際には、考慮しなければならない重要な要素が有る。すなわち、その要素とは、平滑化層の膜厚が表示性能、特に視野角特性に及ぼす影響である。本発明の色変換方式の有機カラーディスプレイにおいて、特に重要な視野角特性とは、素子に対して見る角度を変えた際に生じる色の変化である。
【0059】
平滑化層を厚くしすぎると、有機EL層で発生した光が、平滑化層を介して色変換フィルタ層に届くまでの光路長が長くなる。その結果、有機カラーディスプレイを用いて構築されたディスプレイを斜め方向から見ると、隣接する別の色の画素への光の漏れ(光学的クロストーク)が発生する。ディスプレイの表示性能として考えると、この光学的クロストークによる隣接色の発光量の比率が、本来の色の発光量に対して、十分小さいことが要求される。
【0060】
この要求は、平滑化層の厚さと、画素の最小幅との関係を制限することに置き換えられる。公開技報2001−6083によれば平滑化層の膜厚tpLは、0<tpL<0.1W(Wは画素の最小幅)で示される範囲が好適とされている。本発明においては、平滑化層の厚さは、3から20μm、好ましくは5から15μmである。
【0061】
5)基板
本発明で使用しうる基板は、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。これらの膜厚などのパラメータは、従来の値と同じである。
【0062】
次に第二の発明について説明する。
【0063】
本発明の第二は、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を用いた有機カラーディスプレイに関する。
【0064】
本発明の一態様は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極と、有機EL層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0065】
本発明この有機カラーディスプレイの一例を図3に示す。図3は、マルチカラーまたはフルカラー素子として使用するための複数の画素を有する有機カラーディスプレイの1つの画素に相当する有機カラーディスプレイ30を示している。図3(a)は、色変換方式の有機カラーディスプレイの概略断面図である。図3(b)は、ブラックマトリックス部分12を基板11側から見た場合の概略平面図である。この例に示される有機カラーディスプレイは、第一の発明の色変換フィルタ基板と、その上に形成された、陽極となる透明電極(第一電極)307、有機EL層308および陰極である第二電極309を積層した発光部、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312から構成される。
【0066】
なお、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312は、一体に形成されてもよい。
【0067】
本発明の有機カラーディスプレイは、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を有する。従って、図3(b)に示されるように、ブラックマトリックスの開口部(323、324、325)の少なくとも1つ(開口部324)が他の開口部よりも小さくなるように設計される。なお、図3(b)では、緑色の色変換フィルタ層に相当する領域の開口部324が縮小されている場合例にとった。例えば、図3に示される有機カラーディスプレイは、図4に示される従来の有機カラーディスプレイ40と以下の点で異なる。すなわち、本発明の有機カラーディスプレイは、図4(a)に示される従来の有機カラーディスプレイ40のようにブラックマトリックスに設けられる開口部(図4(b)の423、424、425)が、全て同じ開口率を有するのではなく、開口部の少なくとも1つ(図3(b)の324)が他の開口部よりも縮小して設けられる。なお、図4の従来の有機カラーディスプレイ40は、基板21、該基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層(23、24、25)と、該基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する、同じ開口率の開口部(423、424、425)を有するブラックマトリックス22とを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極(407)と、有機EL層(408)と、第二電極(409)とを有する。
【0068】
本発明では、上記第一の発明で説明したように、種々の形態の色変換フィルタ基板を用いることができる。特に本発明の有機カラーディスプレイは、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることが好ましい。また、本発明の有機カラーディスプレイは、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることが好ましい。また、ブラックマトリックスの光透過率は10%以下であることが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、先に第一の発明で説明した理由と同じである。
【0069】
以下に各項性要素を説明する。
(i)発光部
発光部は、好ましくは、一対の電極の間に少なくとも有機発光層を挟持し、必要に応じ、正孔注入層や電子注入層などを導入した構造を有する。即ち、発光部は、第一電極と、正孔注入層、有機発光層、電子注入層などを含む有機EL層と第二電極とを少なくとも含む。具体的には、発光部は下記のような層構造を有する。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
【0070】
上記の層構造において、陽極および陰極の少なくとも一方、特に陽極は、有機EL層の発する光の波長域において透明であることが望ましい。この透明な電極を通して前記色変換フィルタ層に光が入射する。
【0071】
なお、本明細書において、発光部のうち、第一電極および第二電極を除いた部分を有機EL層と称する(例えば図3(a)の308)。
【0072】
本発明の有機カラーディスプレイでは、有機EL層308は、上記平滑化層16上にパターン形成されたインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明電極である陽極307と、Mg/Ag、ITOのような電極からなる陰極309(第二電極)とに挟持される(この他、例えば、後述するTFT型の電極の中で説明する材料を用いることもできる。)。なお、ITOのような透明導電膜は、抵抗率が10−4Ω・cm台であり、金属と比較して一桁以上高い。そこで透明電極に比して抵抗率の低い補助電極を配設し、ディスプレイの配線抵抗を低減する方法が効果的である。補助電極の材料としては、透明電極に対して抵抗が低く、希望の形状にパターン形成できる材料であれば特に限定されない。補助電極として利用可能な公知の材料を用いればよい(例えば、後述するTFT型の電極の中で説明する材料を用いることができる。)。
【0073】
また、これら陽極および陰極の電極間には、絶縁層(図示せず)を配設することが好ましい。絶縁層を配設することによって有機カラーディスプレイの発光部位を制御し、消費電力を抑えることができる。例えば、絶縁層を配設しない有機カラーディスプレイを駆動した場合、色変換フィルタ層の面だけでなく、ブラックマトリックスをもうけた部分の発光部も発光してしまう。ブラックマトリックスの部分での発光は色変換層へ到達できないため、有効活用できず、有機カラーディスプレイの消費電力を増大させる原因となる。
【0074】
絶縁層の材料としては、発光部の駆動電圧に対し、十分な絶縁耐性を有し、且つ、発光部および色変換フィルタ層へ悪影響を及ぼさないものであればよい。例えば、無機酸化膜(例えば、SiO2、SiONなど)、フォトレジスト等を好適に使用することができる。特にフォトレジストは、フォトリソグラフィーにより容易に微細な形状加工ができるので好ましい。
【0075】
上記発光部の有機EL層の各層の材料は、公知のものが使用できる。青色から青緑色の発光を得るためには、有機発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。また、電子注入層としては、キノリン誘導体(たとえば、8−キノリノールを配位子とする有機金属錯体)、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などを用いることができる。さらに、電子注入層として、アルカリ金属、アルカリドル金属、およびその酸化物、フッ化物、窒化物、ホウ化物、例えばLiFなどを用いることができる。電子輸送層としては、金属錯体系(Alq3)とオキサジアゾール、トリアゾール系化合物等を用いることができる。また、正孔注入層としては、芳香族アミン化合物、スターバースト型アミンや、ベンジジン型アミンの多量体および銅フタロシアニン(CuPc)などを用いることができる。正孔輸送層としては、スターバースト型アミン、芳香族ジアミンなどを用いることができる。
【0076】
また、これらの層の厚さは、従来通りである。
【0077】
次に、外周封止層310、封止用基板311、および充填剤層312およびについて説明する。
【0078】
イ)外周封止層310
外周封止層310は、封止用基板311と発光部を設けた色変換フィルタ基板を接着するとともに、内部の各構成要素を外部環境の酸素、水分などから保護する機能を有する。外周封止層310は、例えば紫外線硬化型樹脂から形成ることができる。
【0079】
封止用基板311と発光部を設けた色変換フィルタ基板とのアライメントが完了したならば、紫外線を照射して、紫外線硬化型樹脂を硬化させればよい。
【0080】
また、外周封止層310に用いる前記紫外線硬化型樹脂は、直径5〜50μm、好ましくは直径5〜20μmのガラスビーズ、シリカビーズなどを含んでいることが好ましい。これらのビーズ類が、封止用基板311と色変換フィルタとの貼り合わせにおいて、基板間距離(基板11と封止用基板311との間の距離)を規定するとともに、接着のために印加される圧力を負担するからである。
【0081】
なお、内部空間に充填剤を封入する場合には、外周封止層310の一部に孔を設けて外周封止層310を硬化させ、この孔から充填剤を注入した後、この孔を塞げばよい。
【0082】
ロ)封止用基板311
封止用基板は、本発明の有機カラーディスプレイを封止し、外部の水分や有害なガスなどを透過させないものであれば特に限定されない。例えば、本発明の色変換フィルタ基板11と同じ材料や、従来の封止用の基板をそのまま使用することができる。
【0083】
ハ)充填剤層312
充填剤層312は、外周封止層310、封止用基板311および発光部を備えた色変換フィルタ基板により形成される内部空間を充填して、有機カラーディスプレイの密閉性を高めるためものである。
【0084】
充填剤層312を形成するための充填剤は、発光部、色変換フィルタ層などの特性に悪影響を及ぼさない不活性液体または不活性なゲルであればよい。また、充填剤は、内部空間に注入した後にゲル化する液体であってもよい。本発明で使用しうるこのタイプの充填剤の例は、シリコーン樹脂、フッ素系不活性液体、またはフッ素系オイルなどを含む。充填剤の所要量は、当業者によって容易に決定されうるものである。
【0085】
本発明では、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312は、例えば紫外線硬化樹脂または熱光併用型硬化樹脂などの樹脂を、発光部を設けた色変換フィルタ基板上に均一に塗布し、これを硬化することで一体に形成してもよい。
【0086】
次に、第二の発明の第二の形態を説明する。第二の形態は、TFT駆動型の有機カラーディスプレイである。具体的には、基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を備えた有機EL発光素子基板と、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板とを具備する有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0087】
図5に本発明の第二の形態の一例を示す。図5は、トップエミッション方式のTFT型有機カラーディスプレイ50の概略断面図である。このTFT型有機カラーディスプレイは、第一の発明の色変換フィルタ基板と単色の有機EL発光素子基板を貼り合わせたトップエミッション方式の有機カラーディスプレイである。
【0088】
本発明では、トップエミッション方式のみならず、通常のTFT側から光を取り出す方式の有機カラーディスプレイも可能である。
【0089】
本発明の有機カラーディスプレイは、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を有する。従って、図5(b)に示されるように、ブラックマトリックスの開口部(543、544、545)の少なくとも1つ(開口部544)が他の開口部よりも小さくなるように設計される。なお、図5(b)では、緑色の色変換フィルタ層に相当する領域の開口部544が縮小されている場合を例にとった。
【0090】
本発明では、上記第一の発明で説明したように、種々の形態の色変換フィルタ基板を用いることができる。特に本発明の有機カラーディスプレイは、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることが好ましい。また、本発明の有機カラーディスプレイは、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることが好ましい。また、ブラックマトリックスの光透過率は10%以下であることが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、先に第一の発明で説明した理由と同じである。
【0091】
以下に、本発明の有機カラーディスプレイの構成要素および有機カラーディスプレイの構成を説明する。なお、本発明では、上記第一の発明の色変換フィルタ基板をその構成要素とする。したがって、色変換フィルタ基板の構成要素および構成は、先に説明したとおりである。なお、図5に示した第二の態様の有機カラーディスプレイでは、色変換フィルタ基板に平滑化層を含んでいないが、本発明は平滑化層を構成要素として含む有機カラーディスプレイも包含する。平滑化層は、色変換フィルタ基板の各要素を密閉し、外部の有害なガスや水分などから、色変換フィルタ層、ブラックマトリックスなどを保護する機能も有するため、平滑化層を設けることは有益である。
【0092】
本発明の第二の態様の有機カラーディスプレイは、上記第一の発明の色変換フィルタ基板と、TFT、発光部などを備える有機EL発光素子基板を含む。すなわち、第二の実施形態の有機カラーディスプレイは、発光部から発せられる近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から青緑色領域の光を、上記色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層に入射し、この色変換フィルタ層から、入射光とは異なる波長の可視光を出力させるようにした有機カラーディスプレイである。
【0093】
以下に、図5を参照して、第二の態様の有機カラーディスプレイの一例を詳細に説明する。図5は、第二の態様の有機カラーディスプレイの全体構造を示す概略断面図である。図5は、マルチカラーまたはフルカラー素子として使用するための複数の画素を有する有機カラーディスプレイの1つの画素に相当する有機カラーディスプレイを示している。図5(a)に示されるように、第二の態様の有機カラーディスプレイは、有機EL発光素子基板を有する。この素子基板は、基板512にボトムゲート型のTFT514を形成し、その上に平坦化絶縁膜516を形成し、その上に第一電極518が形成されている。この第一の電極518にTFTのソースが接続されている。また、この第一電極518の上に、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層のような各層が形成されている(図5(a)では有機EL層520として一層で示した。)。なお、本発明では、発光部の第一電極上に形成される前記各層は、後述する種々の構成をとることができる。この上に、さらに透明な第二電極522が形成されている。
【0094】
この第二の態様の有機カラーディスプレイは、上記色変換フィルタ基板と、有機EL発光素子基板とを、色変換フィルタ層と第二電極を対向するように張り合わせた構造を有する。この張り合わせは、UV硬化性樹脂のような樹脂からなる外周封止層530を介して行われる。また、上記色変換フィルタ基板と有機EL発光素子基板とを張り合わせたときに形成される空間526には、充填剤が充填され、充填剤層532が形成される。
【0095】
以下に、各構成要素を説明する。
【0096】
(i)基板512
基板512としては、上述のようにガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。
【0097】
(ii)TFT514
TFT514は、基板512上にマトリックス状に配置され、各画素に対応した陽極518にソース電極が接続される。TFT514の電極に対する配線部、並びにTFT自身の構造は、所望される耐圧性、オフ電流特性、オン電流特性を達成するように、当該技術において知られている方法により作成することができる。また、本発明の方法で形成されるような、トップエミッション方式を用いる本発明の有機カラーディスプレイは、TFT部を光が通過しないので、開口率を増加させるためにTFTを小さくする必要がない。従って、本発明の方法はTFT設計の自由度を高くすることができ、有利である。
【0098】
(iii)電極(518、522)
本発明では、以下に示す第一電極および第二電極を用いることができる。
【0099】
イ)第一電極(518)
第一電極は、TFTそれぞれに対応して、平坦化絶縁膜516上に形成され、TFTのソース電極またはドレイン電極と接続される。ソース電極と接続される場合は陽極として機能し、ドレイン電極と接続される場合は陰極として機能する。なお、平坦化絶縁膜は、従来の材料を用い、従来の方法により形成することができる。例えば、SiO2などを用いることができる。また形成方法は、スパッタ法、膜を塗布形成した後転化する方法などを挙げることができる。
【0100】
TFTと第一電極518とは、平坦化絶縁膜内に設けられたコンタクトホールに充填された導電性プラグによって接続される。導電性プラグは、第一電極と一体に形成されてもよいし、あるいは金、銀、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの低抵抗の金属類を用いて形成されてもよい。
【0101】
第一電極を陽極として用いる場合、正孔の注入を効率よく行うために、仕事関数が大きい材料が用いられる。特に通常の有機カラーディスプレイでは、陽極を通して光が放出されるために陽極が透明であることが要求され、ITO等の導電性金属酸化物が用いられる。トップエミッション方式では透明であることは必要ではないが、ITO、IZOなどの導電性金属酸化物を用いて第一電極518を形成することができる。さらに、ITOなどの導電性金属酸化物を用いる場合、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなど)を用いることが好ましい。このメタル電極は、導電性金属酸化物より抵抗率が低いので補助電極として機能すると同時に、有機EL層にて発光される光を色変換フィルタ側に反射して光の有効利用を図ることが可能となる。
【0102】
第一電極を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物を用いられる。前述と同様に、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなど)を用いてもよく、その場合には低抵抗化および反射による有機発光層の発光の有効利用を図ることができる。
【0103】
ロ)第二電極(522)
第二電極522は、有機発光層に対して効率よく電子または正孔を注入することとともに、有機発光層の発光波長域において透明であることが求められる。第二電極522は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0104】
第二電極522を陰極として用いる場合、その材料は、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さいことが求められる。さらに、有機発光層の発する光の波長域において透明であることが必要とされる。これら2つの特性を両立するために、本発明において第二電極を複数層からなる積層構造としてもよい。一般に、仕事関数の小さい材料は、透明性が低いので、このようにすることは有効である。例えば、有機発光層と接触する部位に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10mm以下)を用いることができる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。この極薄膜の上には、ITOまたはIZOなどの透明導電膜を形成する。
【0105】
上記の極薄膜は補助電極として機能し、第二電極全体の抵抗値を減少させ有機発光層に対して充分な電流を供給することを可能にする。
【0106】
第二電極522を陽極として用いる場合、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きな材料を用いる必要がある。また、有機発光層からの発光が第二電極を通過するために透明性の高い材料を用いる必要がある。したがって、この場合にはITOまたはIZOのような透明導電性材料を用いることが好ましい。
【0107】
本発明の第二の実施形態のトップエミッション型の有機カラーディスプレイは、上記の色変換フィルタ層の平滑化層側と、上記の発光部の第二の電極側とを、外周を外周封止層により封止して形成される。
【0108】
(iv)発光部
発光部は、第一電極、有機EL層および第二電極から構成される。有機EL層は、好ましくは、少なくとも有機発光層を有し、必要に応じ、正孔注入層や電子注入層などを導入した構造を有する。具体的には、発光部は下記のような層構造を用いることができる。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
【0109】
上記の層構造において、陽極および陰極の少なくとも一方は、発光部の発する光の波長域において透明であることが望ましい。この透明な電極を通して前記色変換フィルタ層に光が入射する。
【0110】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。例えば、先に第一の態様で説明したものを用いることができる。
【0111】
(v)外周封止層530および充填剤層532
これらの層は、上記第一の態様で説明した外周封止層310、および充填剤層312と同じである。
【0112】
本発明は、上記のようなトップエミッション方式のみならず、TFTが形成されている側に光を取り出す方式であってもよい。
【0113】
次に第三の発明について説明する。
【0114】
本発明の第三は、色変換フィルタの製造方法に関する。
【0115】
本発明の第一の形態の製造方法は、透明な支持基板と、赤、緑および青の色変換フィルタ層と、ブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板の製造方法である。該製造方法は、該支持基板上に赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を備えるブラックマトリックスを形成する工程と、該開口部に赤、緑および青の色変換フィルタ層を順次形成する工程とを具備し、前記ブラックマトリックスを形成する工程が、前記ブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるように形成される工程を含むことを特徴とする。
【0116】
本発明の第二の形態の製造方法は、上記第一の形態の製造方法に、さらに平滑化層の形成工程を含むものである。
【0117】
本発明の製造方法を以下に説明する。以下では、適宜図6を参照する。
A)支持基板上に赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を備えるブラックマトリックスを形成する工程(図6(a))
本発明では、透明な支持基板上に第一の発明で説明したブラックマトリックスの材料を、スピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段により支持基板全面に塗布し、加熱乾燥した後、フォトリソグラフ法によりパターン形成する。すなわち、支持基板上に全面塗布し、乾燥されたブラックマトリックス上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、各色の開口部に相当する部分のブラックマトリックス及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有するブラックマトリックスを形成する(図6(a)参照)。
【0118】
本発明では、図6(d)に示すように、ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部(例えば図6の開口部18)の開口率が5%以上20%以下であるようにパターンニングを行う。また、本発明の色変換フィルタ基板では、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部(例えば図6の開口部18)の開口率と、それ以外の開口部(例えば図6の開口部17、19)の開口率との比が0.7以下となるようにパターンニングを行う。なお、ブラックマトリックスとしては、光透過率が10%以下であるものを用いることが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、先に第一の発明で説明した理由と同じである。
【0119】
B)ブラックマトリックスの開口部に赤、緑および青の色変換フィルタ層を順次形成する工程(図6(b))
本発明では、染料または顔料を含有したマトリックス樹脂を、例えばコーニング社製のガラス(ノンアルカリガラスである、コーニング1737ガラス)のような透明基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを行うことにより色変換フィルタ層を形成する。例えば青色の蛍光を発する蛍光色素を含有するマトリックス樹脂を、スピンコート法などによりブラックマトリックスを形成した基板上に全面塗布し、加熱乾燥した後、フォトリソグラフ法によりパターン形成する。これを他の色変換フィルタ層に対しても行うことにより色変換フィルタ層を形成する(図6(b))。
【0120】
以下に各色フィルタ層の形成方法を具体的に説明する。
【0121】
[青色フィルタ層15の作製]
青色フィルタ層の材料を透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、青色フィルタ層のラインパターンを得ることができる。すなわち、青色フィルタ層の材料を塗布、乾燥した後、この上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、青色フィルタ層の領域が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、この開口部に相当する部分のマトリックス樹脂及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有する青色フィルタ層15を形成する。
【0122】
[緑色変換フィルタ層14の作製]
緑色変換用の蛍光色素を溶剤へ溶解させ、これに光重合性樹脂を加えて、硬化性樹脂組成物の溶液を得る。この溶液を、青色フィルタのラインパターンをすでに形成した、透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、緑色変換フィルタ層のラインパターンを得ることができる。すなわち、緑色変換フィルタ層の材料を塗布、乾燥した後、この上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、緑色の色変換フィルタ層の領域が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、この開口部に相当する部分のマトリックス樹脂及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有する緑色変換フィルタ層14を形成する。
【0123】
[赤色変換フィルタ層13の作製]
赤色変換用の蛍光色素を溶剤へ溶解させ、これに光重合性樹脂を加えて、硬化性樹脂組成物の溶液を得る。この溶液を、青色フィルタ層および緑色変換フィルタ層のラインパターンを形成した透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、赤色変換フィルタ層を得る。すなわち、赤色変換フィルタ層の材料を塗布、乾燥した後、この上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、赤色変換フィルタ層の領域が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、この開口部に相当する部分のマトリックス樹脂及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有する赤色変換フィルタ層13を形成する。
【0124】
なお、上記各フィルタ層の形成において、乾燥は、60℃から100℃、好ましくは80℃で行われる。そのほかの条件は、従来より知られた条件を用いることができ、あるいは、そのような条件から当業者により容易に導くことができる。例えば、青色フィルタでは、スピンコート後のプリベイク温度80℃15分、露光・現像後の乾燥温度は、例えば200℃30分である。また、緑色変換フィルタでは、例えばスピンコート後のプリベイク温度80℃15分、露光・現像後の乾燥温度180℃30分である。緑色変換フィルタでは、例えばスピンコート後のプリベイク温度80℃10分、露光・現像後の乾燥温度は180℃30分である。
【0125】
本発明では、各色変換フィルタ層は、ブラックマトリックスの開口部と同じ領域を有していることが好ましいが、ブラックマトリックスの開口部より大きい領域であってもよい。
【0126】
さらに本発明では、色変換層に、カラーフィルタ層をさらに設けてもよい。すなわち、上記の緑色または赤色の変換フィルタ層のみでは十分な色純度が得られない場合は、カラーフィルタ層を設けることができる。カラーフィルタ層の厚さは1〜1.5μmが好ましい。また、このカラーフィルタ層は、上記青色フィルタ層と同様の方法で形成することができる。
【0127】
以上のようにして、本発明の色変換フィルタ層が得られる。
【0128】
本発明の第一の形態の色変換フィルタ基板10(図6(b)参照)は、以上に示した工程により製造することができる。
【0129】
本発明は、さらに、任意に平滑化層16の形成工程を有する。
C)平滑化層の形成工程
本発明の平滑化層の形成工程は、上記の色変換フィルタ基板上に、平滑化層16を形成するための材料を、スピンコート法等で塗布し、オーブンのような加熱手段でベーキング(例えば100℃から180℃、好ましくは130℃)することにより形成することができる(図6(c))。本発明では、180℃で30分の温度条件が好適である。
【0130】
なお、平滑化層の形成に使用される材料は、上述の通りである。
【0131】
以上のように平滑化層をさらに形成することにより第二の態様の色変換フィルタ基板10を製造することができる。
【0132】
次に第四の発明について説明する。
【0133】
本発明の第四は、有機カラーディスプレイの製造方法に関する。
【0134】
この製造方法の第一の実施形態は、透明な支持基板と、ブラックマトリックスと、赤、緑および青の色変換フィルタ層とを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも透明電極と、有機発光層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイの製造方法である。この製造方法は、色変換フィルタ基板を形成する工程と、該色変換フィルタ基板上に、第一電極、有機発光層、および第二電極を順次積層する工程とを具備し、前記色変換フィルタ基板を形成する工程がブラックマトリックスを形成する工程を含み、このブラックマトリックスの形成工程においてブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成することを特徴とする。
【0135】
さらに、本発明の第二の実施形態は、(1)基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を備えた有機EL発光素子基板と、(2)透明な支持基板と、ブラックマトリックスと、赤、緑および青の色変換フィルタ層を少なくとも有する色変換フィルタ基板とを、前記(1)の有機EL発光素子基板の発光部の第二電極と前記(2)の色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層を対向して貼り合わせた有機カラーディスプレイの製造方法である。この製造方法は、有機EL発光素子基板を形成する工程と、前記色変換フィルタ基板を形成する工程と、該色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層と有機EL発光素子基板の発光部の第二電極を対向して貼り合わせる工程とを少なくとも具備し、前記色変換フィルタ基板を形成する工程が前記ブラックマトリックスを形成する工程を含み、このブラックマトリックスの形成工程においてブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成することを特徴とする。
【0136】
以下に、図7および図8を参照して、各有機カラーディスプレイの製造方法を具体的に説明する。以下の説明では、複数の画素を有する各有機カラーディスプレイの形成方法を例に取り説明するが、本発明は、これに限定されず、一画素の有機カラーディスプレイの製造方法も含む。
【0137】
ここで、第一の態様および第二の態様では、上記の色変換フィルタ基板を用いるので、色変換フィルタ基板に関係する製造方法の説明、すなわち、色変換フィルタ層および平滑化層を形成する工程などは、上記第三の発明と同様である。特に、本発明では、ブラックマトリックスの形成工程は、図6を参照して説明したとおりであり、ブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成する。
【0138】
[発光部または有機EL発光素子基板の形成工程]
1.第一の実施形態の製造方法
上記第三の発明に従って製造した色変換フィルタ基板を準備する(図7(a)参照)。この色変換フィルタ基板の最外層をなす平滑化層16の上面にスパッタ法などにより透明電極を全面成膜する。この透明電極上にレジスト剤を塗布した後、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを行い、それぞれの色の発光部に位置するストライプパターンからなる透明電極(陽極)307を得る(図7(b)参照)。
【0139】
次いで、陽極を形成した基板上に有機EL層308を形成する。有機EL層は、抵抗加熱蒸着装置などを用いて、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜すればよい(図7(c)参照)。なお、有機EL層308はこの構成に限らず、上記第二の発明で説明したような種々の形態をとりうる。それぞれの形態においても、各層は抵抗加熱蒸着装置などを用いて成膜すればよい。
【0140】
この後、陽極のラインと垂直なストライプパターンが得られるマスクを用いて第二電極(陰極)309を真空を破らずに形成する(図7(c)参照)。
【0141】
こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内で、乾燥窒素雰囲気下において、封止ガラス311とUV硬化接着剤などからなる外周封止層310を用いて封止する。必要に応じて、充填剤を注入し、充填剤層312を形成する。充填剤を封入する場合には、外周封止層310の一部に孔を設けて外周封止層310を硬化させ、この孔から充填剤312を注入した後、この孔を塞げばよい。
【0142】
また、本発明では、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312は、例えば紫外線硬化樹脂または熱光併用型硬化樹脂などの樹脂を、発光部を設けた色変換フィルタ基板上に均一に塗布し、これを硬化することで一体に形成してもよい。
【0143】
以上のようにして、有機カラーディスプレイ30を製造することができる。
【0144】
2.第二の実施形態の製造方法
図8を参照して第二の実施形態の製造方法を説明する。なお、図8は、トップエミッション方式のTFT有機カラーディスプレイの製造工程を示す概略図である。すなわち、図8は、本発明のTFT型の有機カラーディスプレイの一例であるが、マルチカラーまたはフルカラーディスプレイとして使用するための複数の画素を有するTFT型の有機カラーディスプレイの1つの画素に相当する部分の概略断面図である。図8に示されるTFT有機カラーディスプレイは、上記の色変換フィルタ基板と単色の有機EL発光素子基板を貼り合わせたトップエミッション方式の有機カラーディスプレイである。本発明では、トップエミッション方式のみならず、TFT側から光を取り出す通常の方式の有機カラーディスプレイも可能である。
【0145】
第二の形態の製造方法では、有機EL発光素子基板82を製造する。そして上記の第三の発明に従って、色変換フィルタ基板80を製造する。次いでこれらを貼り合わせる。
【0146】
上述のように、色変換フィルタ基板の製造方法は先に説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。なお、図8(a)に示される色変換フィルタ基板80は、平滑化層を含まないものを示したが、本発明では、平滑化層を設けてもよい。
【0147】
まず、図8(a)に示されるように、基板512にボトムゲート型のTFT514を形成する。第一電極(例えばこの図の場合陽極)518は、TFTそれぞれに対応して、平坦化絶縁膜516上に形成され、この第一電極にTFTのソースを接続する。なお、平坦化絶縁膜は、従来の材料を用い、従来の方法により形成することができる。例えば、SiO2などを用いることができる。また形成方法は、スパッタ法、膜を塗布形成した後転化する方法などを挙げることができる。
【0148】
次に、第一電極518の上に、有機EL層520を抵抗加熱蒸着装置などを用いて、真空を破らずに成膜する。有機EL層は、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層とすることができるが、上記第二の発明で説明した種々の構成とすることができる。この後、メタルマスクを用いて、透明な第二電極(図8の場合陰極)522を、真空を破らずに形成する。
【0149】
透明な第二電極522は、陰極である場合、電子注入に必要な仕事関数の小さな金属(例えばMg/Ag)を共蒸着法などにより成膜し、その上にIZO膜をスパッタリング法などで成膜することにより作成することができる。
【0150】
なお、第一電極を陽極として用いる場合、陽極518には、TFT上の絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介してソースに接続されているAlを下部に形成し、その上部表面にIZO(InZnO)を形成してもよい。ここで、Alは、発光部からの発光を反射してトップから効率よく光を放出すること、および、電気抵抗を低減するために設ける。上部のIZOは、仕事関数が高く、効率よくホールを注入するために設ける。
【0151】
本発明では、基板上に、アクリル樹脂のような樹脂をスピンコート法などにより塗布し、フォトリソグラフィー法などにより、支柱(図示せず)を隣接する陽極の間に形成してもよい。この支柱により、有機EL発光素子基板と色変換フィルタ基板との接触が回避される。
【0152】
[貼り合わせ工程]
第一の発明で得られた色変換フィルタ基板80と、上記のようにして得られた有機EL発光素子基板82をグローブボックス内で、乾燥窒素雰囲気下においてUV硬化性の封止樹脂530を用いて封止する。具体的には、色変換フィルタ基板の平滑化層側と、有機EL発光素子基板の第二電極側とを、外周を外周封止層530により封止する。封止には、従来の方法(例えば、接着剤による接着など)を用いることができる。
【0153】
以上のようにして第二の形態の有機カラーディスプレイ50を製造することができる。
【0154】
上述のように、本発明によれば、複数の画素を有する有機カラーディスプレイを製造することができるが、例えば、色変換フィルタ層の形成、有機EL発光素子基板の形成などにおいて、パターンニングを1画素のパターンで形成することにより、1画素からなる有機カラーディスプレイを製造することが可能である。
【0155】
本発明の有機カラーディスプレイは、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電機卓上計算機、電話機、携帯端末機並びに産業用の計器類のような各種機器のディスプレイに適用することができる。
【0156】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明の例示であり、本発明を制限することを意図しない。また、以下の実施例では、適宜図面を参照して説明する。
【0157】
(実施例1)
1)色変換フィルタ層の製造
図1(a)に示されるような色変換フィルタ基板を作成した。すなわち、色変換フィルタ層14が他の色変換フィルタ層よりも開口率が低い色変換フィルタ基板を作成した。なお、本実施例では、開口率の低い色変換フィルタ層は緑色の色変換フィルタ層である。
【0158】
[ブラックマトリックス12の作製]
ガラス基板11上に、ブラックマトリックス塗布液(CK8400L、富士フイルムARCH製)をスピンコート法により基板全面に塗布し、80℃で加熱乾燥した後、フォトリソグラフィ法を用いて、図1(b)に示すようなパターンを形成した。図1(b)において、サブピクセルの部分は、ブラックマトリックの開口部(図中の17、18、19)であるが、本実施例ではサブピクセル18を他のサブピクセル(17、19)よりも小さく形成した。各サブピクセルは330μmピッチで形成し、サブピクセル(17、19)は80μm×300μmで形成した。サブピクセル18は、55μm×210μmで形成した。なお、サブピクセル17および19はそれぞれ赤と青の発光をさせる部分であり、サブピクセル18は緑の発光をさせる部分である。
【0159】
[青色変換フィルタ層15の作製]
透明な光重合製樹脂(新日鉄化学(株)製、259PAP5)の固形分100重量部に、青色染料として下記構造式(1)を有する色素を2重量部添加し、さらに第二の色素(Lambda Physik社製、HDITCI)を1重量部添加した。これを青色カラーフィルタ塗布液とした。
【0160】
【化1】
【0161】
ガラス基板11上に、前記青色カラーフィルタ塗布液をスピンコート法により塗布し、80℃で加熱乾燥した後、フォトリソグラフィ法を用いて、図1(a)に示される青色変換フィルタ層15を形成した。青色変換フィルタ層15の形状は、ブラックマトリックスの開口部19と同じパターンを有する。すなわち、青色変換フィルタ層15の領域は80μm×300μmである。
【0162】
[緑色変換フィルタ層14の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤であるプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解した。これに、光重合性樹脂の「V259PA/P5](商品名、新日鐵化成工業株式会社)100重量部を加えて溶解し、緑色変換フィルタ塗布液を得た。この塗布液を、すでに青色変換フィルタを形成した透明基板11上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフィ法により図1(a)に示される緑色変換フィルタ層14を形成した。緑色変換フィルタ層14の形状は、ブラックマトリックスの開口部18と同じパターンを有する。すなわち、緑色変換フィルタ層14の領域は55μm×210μmである。
【0163】
[赤色変換フィルタ層13の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、およびベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤であるプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解した。これに、光重合性樹脂の「V259PA/P5](商品名、新日鐵化成工業株式会社)100重量部を加えて溶解し、赤色変換フィルタ塗布液を得た。この塗布液を、すでに青色変換フィルタおよび緑色変換フィルタを形成した透明基板11上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフィ法により図1(a)に示される赤色変換フィルタ層13を形成した。緑色変換フィルタ層13の形状は、ブラックマトリックスの開口部17と同じパターンを有する。すなわち、緑色変換フィルタ層13の領域は80μm×300μmである。
【0164】
[表面平滑層の作製]
シリコン系のハードコート剤(KP854、信越化学工業製)をスピンコート法により、青、緑および赤の各色変換フィルタ層を形成した基板上に塗布し、この後、130℃のオーブン中でベーキングすることにより0.5μmの表面平滑層16を得た。
【0165】
以上のようにして本発明の色変換フィルタ層を形成できる。
【0166】
2)有機カラーディスプレイの製造
次に、図3に示されるような本発明のパッシブ駆動型の有機カラーディスプレイを製造した。
【0167】
[透明電極307の作製]
スパッタ法により透明電極(ITO)を色変換フィルタ基板の平滑化層の上に全面成膜した。このITO上にレジスト剤「OFPR−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを行い、各色変換フィルタ層上部に透明電極307を形成した。
【0168】
[有機EL層308および金属電極309の作製」
上述のように透明電極を形成した基板11を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層からなる有機EL層308を真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して、真空槽内の圧力は、1×10−4Paとした。正孔注入層は、銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。有機発光層は4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミニウムキレート(Alq)を20nm積層した。
【0169】
この後、透明電極(ITO)のラインと垂直に幅30μm、330μmピッチのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比)層から成る電極309を、真空を破らずに形成した。
【0170】
[封止]
上記のようにして得られた有機カラーディスプレイをグローブボックス内において、乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度共に10ppm以下)で封止ガラス311とUV硬化接着剤310、312を用いて封止した。
【0171】
以上のようにして製造された有機カラーディスプレイの開口率は、赤および青で0.22、緑が0.10である。
【0172】
(実施例2)
ブラックマトリックスを形成する際に使用したフォトマスクのパターンのみを変更した以外、有機カラーディスプレイの各要素の形成方法および材料は実施例1と同様である。これにより、緑色変換フィルタ層の部分のブラックマトリックスの開口部、すなわち緑色変換フィルタ層の部分の開口が40μm×200μmに変更された。また、赤色変換フィルタ層の部分の開口が90μm×310μmに、青色変換フィルタ層の部分の開口が90μm×310μmに変更された。
【0173】
以上のようにして製造された有機カラーディスプレイの開口率は、赤および青で0.26、緑が0.07である。
【0174】
(実施例3)
この実施例は、赤色変換フィルタ層の部分の開口率を縮小した例である。
【0175】
デバイスの形成方法および材料は実施例1と同様である。
【0176】
使用したフォトマスクのパターンのみが実施例1と異なっており、赤色変換フィルターの開口を40μm×200μmに変更し、緑色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、青色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、それぞれ変更した。
【0177】
作成したカラーディスプレイの開口率は、緑および青で0.26、赤が0.07である。
【0178】
(実施例4)
この実施例は、青色フィルタ層の部分の開口率を縮小した例である。
【0179】
デバイスの形成方法および材料は実施例1と同様である。
【0180】
使用したフォトマスクのパターンのみが実施例1と異なっており、青色変換フィルターの開口を40μm×200μmに変更し、緑色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、赤色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、それぞれ変更した。
【0181】
作成したカラーディスプレイの開口率は、緑および赤で0.26、青が0.07である。
【0182】
(実施例5)
この実施例は、赤および緑色変換フィルタ層の部分の開口率を縮小した例である。
【0183】
デバイスの形成方法および材料は実施例1と同様である。
【0184】
使用したフォトマスクのパターンのみが実施例1と異なっており、赤色変換フィルターの開口を40μm×200μmに変更し、緑色変換フィルターの開口を40μm×200μmに、青色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、それぞれ変更した。
【0185】
作成したカラーディスプレイの開口率は、青が0.26、赤および緑が0.07である。
【0186】
(比較例)
ブラックマトリックスを形成する際に使用したフォトマスクのパターンのみを変更した以外、有機カラーディスプレイの各要素の形成方法および材料は実施例1と同様である。これにより、緑色変換フィルタ層の部分のブラックマトリックスの開口部、すなわち緑色変換フィルタ層の部分の開口が80μm×300μmに変更された。また、赤色変換フィルタ層の部分および青色変換フィルタ層の部分の開口はそれぞれ80μm×300μmのままであった。
【0187】
以上のようにして製造された有機カラーディスプレイの開口率は、赤、緑および青で0.22である。
【0188】
(評価)
<有機カラーディスプレイのコントラストの比較>
上記実施例および比較例により作製した有機カラーディスプレイについて、ディスプレイ面に対し、蛍光灯の光(1000lx)を斜め45°から照射した際のコントラストを比較した。結果を表1に示す。なお、表に記載した値は、比較例のコントラストを1.0とした場合の相対値である。値が1.0よりも大きい場合、比較例に比べてコントラストが高いことを意味する。
【0189】
<有機カラーディスプレイの消費電力の比較>
上記実施例および比較例により作製した有機カラーディスプレイを、同輝度で点灯させた際の消費電力を比較した。結果を表1に示した。なお、表に記載した値は、比較例の消費電力を1.0とした場合の相対値である。値が1.0以下の場合、比較例に比べて消費電力が少ないことを意味する。
【0190】
【表1】
【0191】
表から明らかなように、本発明の色変換フィルタ基板を有する有機カラーディスプレイは、大幅な消費電力の増加を伴うことなくコントラストが大幅に向上する。本発明では、開口率が、22%である比較例に比べ、開口率20%以下である本発明で、実施の効果が有効に現れる。
【0192】
【発明の効果】
本発明の色変換フィルタ基板、およびこれを用いたディスプレイのような素子は、コントラストを大幅に向上させることができる。また、本発明の色変換フィルタ基板、有機カラーディスプレイの製造方法により、コントラストの改善された色変換フィルタ基板および有機カラーディスプレイが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色変換フィルタ基板の概略図である。(a)および(b)は色変換フィルタ基板の概略断面図であり、(c)は色変換フィルタ基板の表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図2】従来の色変換フィルタ基板の概略図である。(a)は色変換フィルタ基板の概略断面図であり、(b)は色変換フィルタ基板の表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図3】本発明の有機カラーディスプレイの概略図である。(a)は有機カラーディスプレイの概略断面図であり、(b)は有機カラーディスプレイの表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図4】従来の有機カラーディスプレイの概略図である。(a)は有機カラーディスプレイの概略断面図であり、(b)は有機カラーディスプレイの表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図5】本発明の有機カラーディスプレイの概略図である。(a)は有機カラーディスプレイの概略断面図であり、(b)は有機カラーディスプレイの表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図6】本発明の色変換フィルタ基板の製造方法の概略図である。(a)から(c)は色変換フィルタ基板の製造工程を表す概略断面図であり、(d)は本発明の方法でのブラックマトリックスの形状を表す概略図である。
【図7】本発明の色変換フィルタ基板の製造方法の製造工程を示す概略図である。
【図8】本発明の色変換フィルタ基板の製造方法の製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
10、20 色変換フィルタ基板
11、21 支持基板
12、22 ブラックマトリックス
13、23 赤色変換フィルタ層
14、24 緑色変換フィルタ層
15、25 青色変換フィルタ層
16、26 平滑化層
17、18、19 開口部
27、28、29 開口部
30、40、50 有機カラーディスプレイ
307、518 第一電極
308、520 有機EL層
309、522 第二電極
311 封止用基板
310、530 外周封止層
312、532 充填剤層
323、324、325 開口部
423、424、425 開口部
543、544、545 開口部
512 基板
516 平坦化絶縁膜
526 空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精細で高視認性であり、耐環境性および生産性に優れ、且つ、多色表示が可能な色変換カラーフィルタ基板、並びに、該色変換カラーフィルタ基板を具備する有機カラーディスプレイに関する。より詳細には、本発明は、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電気卓上計算機、電話機、携帯端末機、産業用の計器類などの表示用のカラーフィルタおよび該フィルタを具備する有機カラーディスプレイ、特に色変換方式を用いた有機カラーディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
発光型のカラーディスプレイには、一般的に、赤、青、緑の発光部分がそれぞれ設けられている。そして、各々の発光強度を変化させることによって様々な色や明るさが表現される。色や明るさを表現する他の方法として、時間的に赤、青、緑の発光を変化させてそれぞれの色の強度を制御するものがあり、この方法によりフルカラーを呈色させるようなディスプレイも存在する。しかし、発光色を時間によって変化させることは容易ではないので、先のように、赤、青、緑の発光部部分を空間的に分離して設けることによってフルカラーを表現することが一般的である。
【0003】
また、上記のようなディスプレイでは、周囲環境の明るさ、すなわちディスプレイのパネル表面に入射する光によってその表示品質が低下する。ここで、ディスプレイの品質を表す尺度としてコントラストがある。このコントラストは、一定のパネル面照度のとき、最も明るい白表示と、最も暗い黒表示をしたときのパネル面の輝度の比率をいう。コントラストの数値が大きいほど視認性が高い。
【0004】
上記のパネル表面に入射する光によるディスプレイの品質の低下に対する対策として、例えば、円偏光板を使用して入射してくる外部の光の反射を防ぐことが行われている(例えば特許文献1参照)。円偏光板を用いるのは、これをパネル表面に使用すると外部から入射した光の鏡面反射をほとんど完全に防ぐことが可能になるためである。すなわち、円偏光板を通して入射した光は、ディスプレイ内部でそのまま反射されて円偏光板へ戻るが、反射により円偏光の向きが逆になり、再び円偏光板を通過するときに円偏光板により反射光が遮られることになる。このように、ディスプレイ内部からの反射光をディスプレイの外に出さないことにより外部からの光の反射を防ぎ、コントラストを改善している。このように円偏光板を使用すると、外部の光の反射は抑えられるが、円偏光板は偏光フィルタの一種であるため、これを光が透過する際には、光の強さが円偏光板のない場合と比較して半分以下となる。したがって、ディスプレイ内部からの発光を考えた場合、目標とするパネル輝度を得るためには、円偏光板を用いない場合に比べ、2倍以上の強度で点灯を行わなければならない。これは非常なエネルギーの損失であり、ディスプレイの劣化を加速することにも繋がる。
【0005】
また、色変換方式のカラーディスプレイに円偏光板を用いる場合、外部からの光を防ぐことに関して次のようなことが起こる。色変換方式のカラーディスプレイは、パネル内に光励起による色変換層を設けることが特徴である。この色変換層は、蛍光材料を含有し、蛍光変換の原理により波長の変換を行うものである。例えば、外部から光が入射したときに、この入射した光により、蛍光材料が励起され、入射光とは波長の異なる蛍光を発する。このように、色変換層では、一旦蛍光材料に光を吸収させた後に、再び蛍光として入射光とは波長の異なる光を取り出す。この蛍光変換では、蛍光材料の励起状態を経由するが、この励起状態を経由すると、円偏光板で偏光された光の偏光が保持できない。すなわち、外部からの入射光は円偏光板を通過し偏光となるが、この偏光を吸収して励起状態を経て蛍光材料から発せられる光はほとんど偏光を保持していない(すなわち、偏光ではなくなる。)。したがって、外部からの偏光を吸収し、蛍光材料からは発せられる、ディスプレイ内部から外へ向かう光は、先に述べたような円偏光板の遮光の機構が働かなくなるため、その一部が円偏光板を通過してしまう。このように、色変換層を用いると、円偏光板の本来の機能が発揮されず、高価な円偏光板を使用しても単なる減光フィルタとしての機能しか与えないこととなる。したがって、色変換方式のカラーディスプレイのコントラストを向上させる手段として円偏光板を使用することは必ずしも好ましいとはいえないのである。
【0006】
コントラストを向上させる別の手段としては、電極を低反射率の部材で構成する方法が提案されている(例えば、特許文献2または特許文献3を参照)。これは、電極を低反射率の部材で構成することにより外から入射した光の反射を防ぎ、コントラストを向上させようとするものである。しかし、低反射率の部材は、金属電極に比べて抵抗率が高いため、ディスプレイの消費電力を増大させる結果となる。また、ディスプレイ内部から出て行く光には、反射光以外に、ディスプレイ内部で発光される光もある。この光には、一度電極で反射されてから外部へ放出されるものもあるため、低反射率の部材を使用するとこの成分が取り出されなくなり、パネルの、光の外部取り出し効率が低下することになる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−127885号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平11−176580号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2000−12236号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光の取り出し効率などのカラーディスプレイの性能に影響を与えることなく、カラーディスプレイのコントラストを向上させ、視認性を改良できる色変換方式のカラーフィルタ基板を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、光の取り出し効率などのカラーディスプレイの性能に影響を与えることなく、カラーディスプレイのコントラストを向上させ、視認性を改良した色変換方式のカラーディスプレイを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記の色変換方式のカラーフィルタ基板およびカラーディスプレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
【0014】
すなわち、本発明の第一は、コントラストを改善することができる色変換フィルタ基板に関する。本発明の第一の態様は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下である色変換フィルタ基板である。また、本発明の第二の態様は、第一の態様のブラックマトリックスと色変換フィルタ層を被覆し、表面が平滑化された透明な平滑化層をさらに具備する色変換フィルタ基板である。第一の発明では、ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする。また、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の色変換フィルタ層の開口部の開口率の比が0.7以下であることを特徴とする。
【0015】
本発明の第二は、有機カラーディスプレイに関する。特に、本発明は、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を有する有機カラーディスプレイに関する。本発明の第一の態様は、パッシブ駆動型の有機カラーディスプレイである。具体的には、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極と、有機EL層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0016】
第二の態様は、TFT型の有機カラーディスプレイに関する。具体的には、基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を少なくとも備えた有機EL発光素子基板と、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板とを具備する有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0017】
第二の発明にかかる有機カラーディスプレイでは、ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする。また、開口率が5%以上20%以下である、開口部の開口率と、それ以外の色変換フィルタ層の開口部の開口率の比が0.7以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第三は、上記色変換フィルタ基板の製造方法に関する。
【0019】
本発明の第四は、上記有機カラーディスプレイの製造方法に関する。
【0020】
本発明の態様および本発明の特徴は、以下の本発明の説明、図面等からより明らかになるであろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を説明する。以下の説明では、適宜図面を参照して本発明を説明するが、これらの説明はあくまで例示であり、本発明はこれらに限定されない。
【0022】
本発明の第一は、色変換フィルタ基板に関する。
【0023】
本発明の色変換フィルタ基板の第一の態様は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下である色変換フィルタ基板である。また、本発明の第二の態様は、第一の態様のブラックマトリックスと色変換フィルタ層を被覆し、表面が平滑化された透明な平滑化層をさらに具備する色変換フィルタ基板である。
【0024】
本発明の色変換フィルタ基板を図1(本発明)および図2(従来の色変換フィルタ基板)を参照して説明する。図1および図2は、本発明の色変換基板の赤、青および緑を表示するマルチカラーまたはフルカラーを表示するための複数の画素を有する色変換フィルタ基板の1つの画素に相当する部分を示している。
【0025】
図1(a)は、第一の態様の色変換フィルタ基板10の概略断面図である。色変換フィルタ基板10は、透明な支持基板11上に、ブラックマトリックス12、および、赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(赤色変換フィルタ層13、緑色変換フィルタ層14、青色変換フィルタ層15)を有する。
【0026】
図1(b)は、第二の態様の色変換フィルタ基板10の概略断面図である。この第二の態様の色変換フィルタ基板10は、上記第一の態様の色変換フィルタ基板のブラックマトリックスおよび各色変換フィルタ層を覆う平滑化層16を有する。
【0027】
図1(c)は、上記第一の態様および第二の態様の色変換フィルタ基板のブラックマトリックス部分を基板側から見た場合の概略平面図である。
【0028】
また、図2(a)は、従来の色変換フィルタ基板20を示し、透明な支持基板21上に、ブラックマトリックス22、赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(赤色変換フィルタ層23、緑色変換フィルタ層24、青色変換フィルタ層25)、および任意要素の平滑化層26を有する。図2(b)は、この従来の色変換フィルタ基板のブラックマトリックス部分を基板側から見た場合の概略平面図である。
【0029】
本発明では、図1(a)から図1(c)に示されるように、ブラックマトリックス12は、各色変換フィルタ層(13、14、15)の設けられている領域以外の領域に設けられる。すなわち、ブラックマトリックスは、開口部(図1(c)の17、18、19)を有する。このブラックマトリックスの3つの開口部のうちの少なくとも1つは、開口率が5%以上20%以下となるように設けられる。また、本発明の色変換フィルタでは、開口率が5%以上20%以下の開口部と、残りの開口部の開口率との比が0.7以下であることが好ましい。
【0030】
ここで、本明細書において「開口部」とは、赤、青および緑の各色変換フィルタ層の領域に対応して該ブラックマトリックスに設けられる、光を取り出すための開口部分をいう。具体的には、例えば図1(c)の17、18、19のような開口部分をいう。
【0031】
また、本明細書において、「開口率」とは、色変換フィルタ基板の1画素に相当する領域(すなわち、赤、青および緑の各色変換フィルタ層の領域とブラックマトリックスで構成される基板表面上の領域)に対する各開口部の領域の割合をいう。具体的には、例えば図1(c)のブラックマトリックス全域(ブラックマトリックスの領域12と各開口部を合わせた領域)に対する各開口部(17、18、19)の割合をいう。
【0032】
したがって、例えば、図2に示されるような各開口部(27、28、29)が同じ開口率を有する場合、各開口部の開口率は、33.3%の理論最大値を有する。一般には、各開口部の間(サブピクセル間)を十分に分離し、プロセスマージンを持たせるため、この開口率は、3色の部分とも前記の値よりも小さい30%から25%(以下、これを開口率の標準値とも称する。)である。
【0033】
本発明では、従来では三色とも同じであったこの開口率を、少なくとも1つの開口部について、他の開口部よりも小さくする。すなわち、本発明の色変換フィルタ基板(図1参照)は、従来の色変換フィルタ基板(図2参照)のようにブラックマトリックスに設けられる開口部が同じ開口率を有するのではなく、開口部の少なくとも1つが他の開口部よりも小さくなるように設計される。
【0034】
本発明では、上述のようにブラックマトリックスの3つの開口部のうちの少なくとも1つは、開口率が5%以上20%以下となるように設けられるが、開口率が5%以上であることが必要なのは以下の理由による。即ち、開口率は低くすればそれにしたがってコントラストを高めることが出来るが、一方、発光部分の占める割合が低下するので、輝度を維持するためには素子の動作条件を変更する必要があり、発光素子にとってより負荷の高い動作を要求することになる。高負荷での動作は、素子の急速な劣化や破壊の原因となる可能性がある。素子の現実的な動作範囲から開口率の下限が規定される。また、開口率が20%以下であることが必要な理由は、以下の通りである。開口率の標準値を使用したパネルと比較して、コントラストの向上が実験的に認められる限界として上限が規定される。なお、図1では緑色変換フィルタ層14の領域に相当する開口部18(図1(c))を縮小した例を示した。しかし、本発明は、この例のみでなく、例えば2つの開口部を上述の割合に縮小する場合等を包含する。また、開口部の開口率は、いずれの開口部から低くしてもよいが、コントラスト効率の悪い色変換フィルタ層(例えば緑色の色変換フィルタ層)に相当する開口部から、低くすることが好ましい。
【0035】
本発明では、例えば、赤、青および緑の三色のうち一色または二色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を開口率の標準値よりも低下させ、残りの二色または一色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を開口率の標準値とすればよい。また、この他に、赤、青および緑の三色のうち一色または二色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を開口率の標準値よりも低下させ、残りの二色または一色の色変換フィルタ層の領域に相当する、ブラックマトリックスの開口部の開口率を、開口率の標準値よりも上げるようにしてもよい。
【0036】
本発明の色変換フィルタでは、本発明の色変換フィルタ基板をディスプレイに用いた場合のディスプレイの負荷を高めないために、開口率が5%以上20%以下の開口部と、残りの開口部の開口率との比が0.7以下とすることが好ましい。
【0037】
色変換方式のフィルタ基板では、色変換部は本質的に光に対する感受性を有しており、外部から光が入射した場合には色変換部が発光し、コントラストを低下させる。発光する部分の面積が大きいほど色変換部の発光が多くなるのでコントラストの低下は激しくなる。したがって、コントラストを低下させない方法の1つとして発光部分の比率、すなわち開口率を小さくし、それ以外の部分を光の反射の少ないブラックマトリックスで覆えば、コントラストは改善することができる。しかし、単純に発光部分の面積を小さくすると、色変換フィルタ基板に占める、各色発光部分の割合が低下するので、このような色変換フィルタ基板を発光素子に用いた場合には、輝度を下げてしまう可能性がある。輝度を維持するためには、素子の動作条件を変更する必要があり、発光素子にとっては負荷の高い動作を要求することになる。したがって、不必要なデザインの変更はディスプレイの消費電力の増加や、寿命を短くすることに繋がる。したがって、本発明のようにコントラストに最も影響のおき部位から優先して発光部分の面積を縮小することが有効である。
【0038】
以下に本発明の色変換フィルタ基板の各要素について説明する。
1.色変換フィルタ層
本明細書において、色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層、蛍光変換層、およびカラーフィルタ層と蛍光変換層との積層体の総称である。本発明の説明に用いる図面では、一層でこれらを表した。蛍光変換層は、発光部で発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)領域、緑色(G)領域および赤色(R)領域の光を放出する独立した色変換フィルタ層が設けられる。RGBそれぞれの蛍光変換層は、少なくとも有機蛍光色素とマトリクス樹脂とを含む。
【0039】
1)有機蛍光色素
本発明において、有機蛍光色素は、有機EL層のような発光体から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光、特には青色ないし青緑色領域の光を吸収して、該発光体とは異なる波長の可視光を発するものであれば特に限定されない。本発明では、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の一種類以上が用いられ、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の一種以上と組み合わせることが好ましい。これは以下の理由による。発光体は、例えば有機EL層の場合、青色ないし青緑色領域の光を発光するものが得やすいが、これを単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光に変更しようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないため、極めて暗い出力光になってしまう。したがって、十分な強度の出力を持った赤色領域の光を得るためには、発光体としての有機EL層からの光を蛍光色素によって一旦吸収させ、赤色領域の光に変換させることが必要となる。このように、赤色領域の光は、発光体からの光を蛍光色素によって赤色領域の光に変換させることにより、十分な強度の出力が可能となる。
【0040】
一方、緑色領域の光は、赤色領域の光と同様に、発光体からの光を別の蛍光色素によって緑色領域の光に変換させて出力させてもよいし、または、発光体の発光が緑色領域の光を十分に含むならば、この発光体からの光を単に緑色フィルタを通して出力してもよい。
【0041】
また、青色領域の光に関しては、発光体からの光(例えば有機EL層からの光)を単なる青色フィルタに通して出力させることが可能である。
【0042】
発光体が、有機EL層である場合、これから発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、べ一シックバイオレット11、べーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−13−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。
【0043】
発光体(例えば有機EL層)から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、または、クマリン色素系染料であるべーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。
【0044】
なお、本発明に用いることができる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に用いる有機蛍光色素は、色変換フィルタ層に対して、この変換フィルタ層の重量を基準として0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の量で含有される。有機蛍光色素の含有量が0.01重量%未満の場合には、十分な波長変換を行うことができず、その含有量が5%を越える場合には、濃度消光等の効果により色変換効率の低下が起こる。
【0045】
本発明では、色変換フィルタ層の線幅、ピッチなどは、各開口部の所望の開口率を満たすようにすればよく、特に制限されない。例えば、以下の実施例に示される線幅、ピッチを挙げることができる。また、色変換層の膜厚は、例えば10μmmとすることができる。
【0046】
2)マトリックス樹脂
次に、本発明の色変換フィルタ層に用いられるマトリックス樹脂について説明する。マトリックス樹脂は、光硬化性樹脂または光熱併用型の硬化性樹脂からなる。これを、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、樹脂を不溶不融化させて、色変換フィルタ層を形成する。
【0047】
光硬化性または光熱併用型の硬化性樹脂には、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマー、(2)ポリビニル桂皮酸エステル、(3)鎖状または環状オレフィン、(4)エポキシ基を有するモノマーなどが含まれる。また、光硬化性樹脂または光熱併用型の硬化性樹脂は、色変換フィルタ層として硬化されない状態では、有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶であることが好ましい。
【0048】
これらの硬化性樹脂は、例えば以下のような組成物として使用され、基板上に塗布された後、パターンニングされる。例えば、(1)の硬化性樹脂は、光または熱重合開始剤と混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理して、光ラジカルや熱ラジカルを発生させて重合させる。また、(2)の硬化性樹脂は、増感剤と混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理により二量化させて架橋する。(3)の硬化性樹脂は、ビスアジドと混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させる。(4)の硬化剤は、光酸発生剤と混合され、この組成物を塗布した後、光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させる。本発明では、特に(1)の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂からなる組成物が高精細でパターンニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
【0049】
3)ブラックマトリックス
ブラックマトリックスは、可視光をよく吸収し、発光部及び色変換フィルタ層へ悪影響を与えないものであれば特に限定されない。本発明では、黒色の無機層、黒色顔料または黒色染料を樹脂に分散した層等によりブラックマトリックスを形成することが好ましい。例えば、黒色の無機層としては、クロム膜(酸化クロム/クロム積層膜)などを挙げることができる。また、黒色顔料または黒色染料を樹脂に分散した層としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン等の顔料または染料をポリイミドなどの樹脂に分散したもの、カラーレジストなどが挙げられる。これらのブラックマトリックスは、スパッタ法、CVD法、真空蒸着等のドライプロセス、スピンコート法のようなウエットプロセスにより形成することができ、フォトリソグラフィー法等によりパターンニングすることができる。
【0050】
本発明では、ブラックマトリックスの光反射率は、40以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。これ以上の反射率であると、外部からの入射光を反射し、コントラストを低下させる原因となる。本発明では、上記クロム膜(数十%)、及び顔料分散樹脂層(10%以下)が好ましい光反射率を有するが、クロム膜よりも顔料分散樹脂層の方が低い反射率を有するため好ましい。但し、無機層は、材料により電気伝導性を持たせることが可能であり、透明電極の補助電極としての機能を持たせることができる場合があるので、ブラックマトリックスの材料は、色変換フィルタ基板の用途に応じて適宜選択すればよい。
【0051】
ブラックマトリックス12は、好ましくは0.5〜2.0μmの厚さを有する。
【0052】
4)平滑化層
本発明に用いることができる平坦性を有した平滑化層は、色変換フィルタ側面の凹凸(これは、色変換フィルタ基板をディスプレイのような表示素子に用いる場合、発光部の電極間の短絡の原因となる。)を平滑化し、且つ、色変換フィルタ層へ悪影響を与えないものであれば特に限定されない。また、本発明の色変換フィルタ基板をディスプレイのような発光素子に用いる場合、平滑化層は発光部へ悪影響を与えないことも必要である。
【0053】
本発明の色変換フィルタ基板では、平滑化層は任意要素である。しかし、パッシブ型のディスプレイのような表示素子に本発明の色変換フィルタ基板を用いる場合には、前記の電極間の短絡を防止するためにも平滑化層を設けることが好ましい。
【0054】
また、平滑化層は、色変換フィルタ基板の各要素を密閉し、外部の有害なガスや水分などから、色変換フィルタ層、ブラックマトリックスなどを保護する機能も有する。
【0055】
本発明の平滑化層は、例えば、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、Tgが100℃以上であり、表面硬度が鉛筆硬度で2H以上である層である。本発明の平滑化層に使用できる材料は、基板上に表面が平坦となるように塗膜を形成でき、色変換フィルタ層の機能を低下させない材料であればよい。例えば、イミド変性シリコーン樹脂(特開平5−134112号公報、特開平7−218717号公報、特開平7−306311号公報等)、無機金属化合物(TiO、AL2O3、SiO2等)をアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の中に分散したもの(特開平5−119306号公報、特開平7−104114号公報等)、紫外線硬化型樹脂としてのエポキシ変性アクリレート樹脂(特開平7−48424号公報)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有する樹脂、レジスト樹脂(特開平6−300910号公報、特開平7−128519号公報、特開平8−279394号公報、特開平9−330793号公報等)、無機化合物のゾル−ゲル法を用いることができる材料(月刊ディスプレイ1997年、3巻、7号に記載、特開平8−27934号公報等)、フッ素系樹脂(特開平5−36475号公報、特開平9−330793号公報等)等の光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂がある。
【0056】
また、本発明の色変換フィルタ基板をディスプレイのような発光素子に用いる場合、発光部が水分やアルカリ等に弱い場合、平滑化層には、電気絶縁性を有し、ガス、水分、アルカリ、有機溶剤等に対するバリア性を有し、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電極の成膜に耐えうる硬度として、好ましくは2H以上の膜硬度を有する材料を用いることができる。例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等が使用できる。これらの材料は、本発明の平滑化層の表面の平坦性を損なうことなく、層を形成することができる。
【0057】
上述の平滑化層は単層であっても、または、複数の層が積層された積層体でもよい。また、複数層からなる場合、各層は同じ材料でも異なる材料でもよいが、バリアー性を向上させるためには、異なる材料を用いることが好ましい。
【0058】
この平滑化層を色変換方式の有機カラーディスプレイに適用する際には、考慮しなければならない重要な要素が有る。すなわち、その要素とは、平滑化層の膜厚が表示性能、特に視野角特性に及ぼす影響である。本発明の色変換方式の有機カラーディスプレイにおいて、特に重要な視野角特性とは、素子に対して見る角度を変えた際に生じる色の変化である。
【0059】
平滑化層を厚くしすぎると、有機EL層で発生した光が、平滑化層を介して色変換フィルタ層に届くまでの光路長が長くなる。その結果、有機カラーディスプレイを用いて構築されたディスプレイを斜め方向から見ると、隣接する別の色の画素への光の漏れ(光学的クロストーク)が発生する。ディスプレイの表示性能として考えると、この光学的クロストークによる隣接色の発光量の比率が、本来の色の発光量に対して、十分小さいことが要求される。
【0060】
この要求は、平滑化層の厚さと、画素の最小幅との関係を制限することに置き換えられる。公開技報2001−6083によれば平滑化層の膜厚tpLは、0<tpL<0.1W(Wは画素の最小幅)で示される範囲が好適とされている。本発明においては、平滑化層の厚さは、3から20μm、好ましくは5から15μmである。
【0061】
5)基板
本発明で使用しうる基板は、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。これらの膜厚などのパラメータは、従来の値と同じである。
【0062】
次に第二の発明について説明する。
【0063】
本発明の第二は、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を用いた有機カラーディスプレイに関する。
【0064】
本発明の一態様は、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極と、有機EL層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0065】
本発明この有機カラーディスプレイの一例を図3に示す。図3は、マルチカラーまたはフルカラー素子として使用するための複数の画素を有する有機カラーディスプレイの1つの画素に相当する有機カラーディスプレイ30を示している。図3(a)は、色変換方式の有機カラーディスプレイの概略断面図である。図3(b)は、ブラックマトリックス部分12を基板11側から見た場合の概略平面図である。この例に示される有機カラーディスプレイは、第一の発明の色変換フィルタ基板と、その上に形成された、陽極となる透明電極(第一電極)307、有機EL層308および陰極である第二電極309を積層した発光部、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312から構成される。
【0066】
なお、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312は、一体に形成されてもよい。
【0067】
本発明の有機カラーディスプレイは、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を有する。従って、図3(b)に示されるように、ブラックマトリックスの開口部(323、324、325)の少なくとも1つ(開口部324)が他の開口部よりも小さくなるように設計される。なお、図3(b)では、緑色の色変換フィルタ層に相当する領域の開口部324が縮小されている場合例にとった。例えば、図3に示される有機カラーディスプレイは、図4に示される従来の有機カラーディスプレイ40と以下の点で異なる。すなわち、本発明の有機カラーディスプレイは、図4(a)に示される従来の有機カラーディスプレイ40のようにブラックマトリックスに設けられる開口部(図4(b)の423、424、425)が、全て同じ開口率を有するのではなく、開口部の少なくとも1つ(図3(b)の324)が他の開口部よりも縮小して設けられる。なお、図4の従来の有機カラーディスプレイ40は、基板21、該基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層(23、24、25)と、該基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する、同じ開口率の開口部(423、424、425)を有するブラックマトリックス22とを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極(407)と、有機EL層(408)と、第二電極(409)とを有する。
【0068】
本発明では、上記第一の発明で説明したように、種々の形態の色変換フィルタ基板を用いることができる。特に本発明の有機カラーディスプレイは、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることが好ましい。また、本発明の有機カラーディスプレイは、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることが好ましい。また、ブラックマトリックスの光透過率は10%以下であることが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、先に第一の発明で説明した理由と同じである。
【0069】
以下に各項性要素を説明する。
(i)発光部
発光部は、好ましくは、一対の電極の間に少なくとも有機発光層を挟持し、必要に応じ、正孔注入層や電子注入層などを導入した構造を有する。即ち、発光部は、第一電極と、正孔注入層、有機発光層、電子注入層などを含む有機EL層と第二電極とを少なくとも含む。具体的には、発光部は下記のような層構造を有する。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
【0070】
上記の層構造において、陽極および陰極の少なくとも一方、特に陽極は、有機EL層の発する光の波長域において透明であることが望ましい。この透明な電極を通して前記色変換フィルタ層に光が入射する。
【0071】
なお、本明細書において、発光部のうち、第一電極および第二電極を除いた部分を有機EL層と称する(例えば図3(a)の308)。
【0072】
本発明の有機カラーディスプレイでは、有機EL層308は、上記平滑化層16上にパターン形成されたインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明電極である陽極307と、Mg/Ag、ITOのような電極からなる陰極309(第二電極)とに挟持される(この他、例えば、後述するTFT型の電極の中で説明する材料を用いることもできる。)。なお、ITOのような透明導電膜は、抵抗率が10−4Ω・cm台であり、金属と比較して一桁以上高い。そこで透明電極に比して抵抗率の低い補助電極を配設し、ディスプレイの配線抵抗を低減する方法が効果的である。補助電極の材料としては、透明電極に対して抵抗が低く、希望の形状にパターン形成できる材料であれば特に限定されない。補助電極として利用可能な公知の材料を用いればよい(例えば、後述するTFT型の電極の中で説明する材料を用いることができる。)。
【0073】
また、これら陽極および陰極の電極間には、絶縁層(図示せず)を配設することが好ましい。絶縁層を配設することによって有機カラーディスプレイの発光部位を制御し、消費電力を抑えることができる。例えば、絶縁層を配設しない有機カラーディスプレイを駆動した場合、色変換フィルタ層の面だけでなく、ブラックマトリックスをもうけた部分の発光部も発光してしまう。ブラックマトリックスの部分での発光は色変換層へ到達できないため、有効活用できず、有機カラーディスプレイの消費電力を増大させる原因となる。
【0074】
絶縁層の材料としては、発光部の駆動電圧に対し、十分な絶縁耐性を有し、且つ、発光部および色変換フィルタ層へ悪影響を及ぼさないものであればよい。例えば、無機酸化膜(例えば、SiO2、SiONなど)、フォトレジスト等を好適に使用することができる。特にフォトレジストは、フォトリソグラフィーにより容易に微細な形状加工ができるので好ましい。
【0075】
上記発光部の有機EL層の各層の材料は、公知のものが使用できる。青色から青緑色の発光を得るためには、有機発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。また、電子注入層としては、キノリン誘導体(たとえば、8−キノリノールを配位子とする有機金属錯体)、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などを用いることができる。さらに、電子注入層として、アルカリ金属、アルカリドル金属、およびその酸化物、フッ化物、窒化物、ホウ化物、例えばLiFなどを用いることができる。電子輸送層としては、金属錯体系(Alq3)とオキサジアゾール、トリアゾール系化合物等を用いることができる。また、正孔注入層としては、芳香族アミン化合物、スターバースト型アミンや、ベンジジン型アミンの多量体および銅フタロシアニン(CuPc)などを用いることができる。正孔輸送層としては、スターバースト型アミン、芳香族ジアミンなどを用いることができる。
【0076】
また、これらの層の厚さは、従来通りである。
【0077】
次に、外周封止層310、封止用基板311、および充填剤層312およびについて説明する。
【0078】
イ)外周封止層310
外周封止層310は、封止用基板311と発光部を設けた色変換フィルタ基板を接着するとともに、内部の各構成要素を外部環境の酸素、水分などから保護する機能を有する。外周封止層310は、例えば紫外線硬化型樹脂から形成ることができる。
【0079】
封止用基板311と発光部を設けた色変換フィルタ基板とのアライメントが完了したならば、紫外線を照射して、紫外線硬化型樹脂を硬化させればよい。
【0080】
また、外周封止層310に用いる前記紫外線硬化型樹脂は、直径5〜50μm、好ましくは直径5〜20μmのガラスビーズ、シリカビーズなどを含んでいることが好ましい。これらのビーズ類が、封止用基板311と色変換フィルタとの貼り合わせにおいて、基板間距離(基板11と封止用基板311との間の距離)を規定するとともに、接着のために印加される圧力を負担するからである。
【0081】
なお、内部空間に充填剤を封入する場合には、外周封止層310の一部に孔を設けて外周封止層310を硬化させ、この孔から充填剤を注入した後、この孔を塞げばよい。
【0082】
ロ)封止用基板311
封止用基板は、本発明の有機カラーディスプレイを封止し、外部の水分や有害なガスなどを透過させないものであれば特に限定されない。例えば、本発明の色変換フィルタ基板11と同じ材料や、従来の封止用の基板をそのまま使用することができる。
【0083】
ハ)充填剤層312
充填剤層312は、外周封止層310、封止用基板311および発光部を備えた色変換フィルタ基板により形成される内部空間を充填して、有機カラーディスプレイの密閉性を高めるためものである。
【0084】
充填剤層312を形成するための充填剤は、発光部、色変換フィルタ層などの特性に悪影響を及ぼさない不活性液体または不活性なゲルであればよい。また、充填剤は、内部空間に注入した後にゲル化する液体であってもよい。本発明で使用しうるこのタイプの充填剤の例は、シリコーン樹脂、フッ素系不活性液体、またはフッ素系オイルなどを含む。充填剤の所要量は、当業者によって容易に決定されうるものである。
【0085】
本発明では、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312は、例えば紫外線硬化樹脂または熱光併用型硬化樹脂などの樹脂を、発光部を設けた色変換フィルタ基板上に均一に塗布し、これを硬化することで一体に形成してもよい。
【0086】
次に、第二の発明の第二の形態を説明する。第二の形態は、TFT駆動型の有機カラーディスプレイである。具体的には、基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を備えた有機EL発光素子基板と、透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板とを具備する有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイである。
【0087】
図5に本発明の第二の形態の一例を示す。図5は、トップエミッション方式のTFT型有機カラーディスプレイ50の概略断面図である。このTFT型有機カラーディスプレイは、第一の発明の色変換フィルタ基板と単色の有機EL発光素子基板を貼り合わせたトップエミッション方式の有機カラーディスプレイである。
【0088】
本発明では、トップエミッション方式のみならず、通常のTFT側から光を取り出す方式の有機カラーディスプレイも可能である。
【0089】
本発明の有機カラーディスプレイは、上記第一の発明の色変換フィルタ基板を有する。従って、図5(b)に示されるように、ブラックマトリックスの開口部(543、544、545)の少なくとも1つ(開口部544)が他の開口部よりも小さくなるように設計される。なお、図5(b)では、緑色の色変換フィルタ層に相当する領域の開口部544が縮小されている場合を例にとった。
【0090】
本発明では、上記第一の発明で説明したように、種々の形態の色変換フィルタ基板を用いることができる。特に本発明の有機カラーディスプレイは、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることが好ましい。また、本発明の有機カラーディスプレイは、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることが好ましい。また、ブラックマトリックスの光透過率は10%以下であることが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、先に第一の発明で説明した理由と同じである。
【0091】
以下に、本発明の有機カラーディスプレイの構成要素および有機カラーディスプレイの構成を説明する。なお、本発明では、上記第一の発明の色変換フィルタ基板をその構成要素とする。したがって、色変換フィルタ基板の構成要素および構成は、先に説明したとおりである。なお、図5に示した第二の態様の有機カラーディスプレイでは、色変換フィルタ基板に平滑化層を含んでいないが、本発明は平滑化層を構成要素として含む有機カラーディスプレイも包含する。平滑化層は、色変換フィルタ基板の各要素を密閉し、外部の有害なガスや水分などから、色変換フィルタ層、ブラックマトリックスなどを保護する機能も有するため、平滑化層を設けることは有益である。
【0092】
本発明の第二の態様の有機カラーディスプレイは、上記第一の発明の色変換フィルタ基板と、TFT、発光部などを備える有機EL発光素子基板を含む。すなわち、第二の実施形態の有機カラーディスプレイは、発光部から発せられる近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から青緑色領域の光を、上記色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層に入射し、この色変換フィルタ層から、入射光とは異なる波長の可視光を出力させるようにした有機カラーディスプレイである。
【0093】
以下に、図5を参照して、第二の態様の有機カラーディスプレイの一例を詳細に説明する。図5は、第二の態様の有機カラーディスプレイの全体構造を示す概略断面図である。図5は、マルチカラーまたはフルカラー素子として使用するための複数の画素を有する有機カラーディスプレイの1つの画素に相当する有機カラーディスプレイを示している。図5(a)に示されるように、第二の態様の有機カラーディスプレイは、有機EL発光素子基板を有する。この素子基板は、基板512にボトムゲート型のTFT514を形成し、その上に平坦化絶縁膜516を形成し、その上に第一電極518が形成されている。この第一の電極518にTFTのソースが接続されている。また、この第一電極518の上に、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層のような各層が形成されている(図5(a)では有機EL層520として一層で示した。)。なお、本発明では、発光部の第一電極上に形成される前記各層は、後述する種々の構成をとることができる。この上に、さらに透明な第二電極522が形成されている。
【0094】
この第二の態様の有機カラーディスプレイは、上記色変換フィルタ基板と、有機EL発光素子基板とを、色変換フィルタ層と第二電極を対向するように張り合わせた構造を有する。この張り合わせは、UV硬化性樹脂のような樹脂からなる外周封止層530を介して行われる。また、上記色変換フィルタ基板と有機EL発光素子基板とを張り合わせたときに形成される空間526には、充填剤が充填され、充填剤層532が形成される。
【0095】
以下に、各構成要素を説明する。
【0096】
(i)基板512
基板512としては、上述のようにガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。
【0097】
(ii)TFT514
TFT514は、基板512上にマトリックス状に配置され、各画素に対応した陽極518にソース電極が接続される。TFT514の電極に対する配線部、並びにTFT自身の構造は、所望される耐圧性、オフ電流特性、オン電流特性を達成するように、当該技術において知られている方法により作成することができる。また、本発明の方法で形成されるような、トップエミッション方式を用いる本発明の有機カラーディスプレイは、TFT部を光が通過しないので、開口率を増加させるためにTFTを小さくする必要がない。従って、本発明の方法はTFT設計の自由度を高くすることができ、有利である。
【0098】
(iii)電極(518、522)
本発明では、以下に示す第一電極および第二電極を用いることができる。
【0099】
イ)第一電極(518)
第一電極は、TFTそれぞれに対応して、平坦化絶縁膜516上に形成され、TFTのソース電極またはドレイン電極と接続される。ソース電極と接続される場合は陽極として機能し、ドレイン電極と接続される場合は陰極として機能する。なお、平坦化絶縁膜は、従来の材料を用い、従来の方法により形成することができる。例えば、SiO2などを用いることができる。また形成方法は、スパッタ法、膜を塗布形成した後転化する方法などを挙げることができる。
【0100】
TFTと第一電極518とは、平坦化絶縁膜内に設けられたコンタクトホールに充填された導電性プラグによって接続される。導電性プラグは、第一電極と一体に形成されてもよいし、あるいは金、銀、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの低抵抗の金属類を用いて形成されてもよい。
【0101】
第一電極を陽極として用いる場合、正孔の注入を効率よく行うために、仕事関数が大きい材料が用いられる。特に通常の有機カラーディスプレイでは、陽極を通して光が放出されるために陽極が透明であることが要求され、ITO等の導電性金属酸化物が用いられる。トップエミッション方式では透明であることは必要ではないが、ITO、IZOなどの導電性金属酸化物を用いて第一電極518を形成することができる。さらに、ITOなどの導電性金属酸化物を用いる場合、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなど)を用いることが好ましい。このメタル電極は、導電性金属酸化物より抵抗率が低いので補助電極として機能すると同時に、有機EL層にて発光される光を色変換フィルタ側に反射して光の有効利用を図ることが可能となる。
【0102】
第一電極を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物を用いられる。前述と同様に、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなど)を用いてもよく、その場合には低抵抗化および反射による有機発光層の発光の有効利用を図ることができる。
【0103】
ロ)第二電極(522)
第二電極522は、有機発光層に対して効率よく電子または正孔を注入することとともに、有機発光層の発光波長域において透明であることが求められる。第二電極522は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0104】
第二電極522を陰極として用いる場合、その材料は、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さいことが求められる。さらに、有機発光層の発する光の波長域において透明であることが必要とされる。これら2つの特性を両立するために、本発明において第二電極を複数層からなる積層構造としてもよい。一般に、仕事関数の小さい材料は、透明性が低いので、このようにすることは有効である。例えば、有機発光層と接触する部位に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10mm以下)を用いることができる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。この極薄膜の上には、ITOまたはIZOなどの透明導電膜を形成する。
【0105】
上記の極薄膜は補助電極として機能し、第二電極全体の抵抗値を減少させ有機発光層に対して充分な電流を供給することを可能にする。
【0106】
第二電極522を陽極として用いる場合、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きな材料を用いる必要がある。また、有機発光層からの発光が第二電極を通過するために透明性の高い材料を用いる必要がある。したがって、この場合にはITOまたはIZOのような透明導電性材料を用いることが好ましい。
【0107】
本発明の第二の実施形態のトップエミッション型の有機カラーディスプレイは、上記の色変換フィルタ層の平滑化層側と、上記の発光部の第二の電極側とを、外周を外周封止層により封止して形成される。
【0108】
(iv)発光部
発光部は、第一電極、有機EL層および第二電極から構成される。有機EL層は、好ましくは、少なくとも有機発光層を有し、必要に応じ、正孔注入層や電子注入層などを導入した構造を有する。具体的には、発光部は下記のような層構造を用いることができる。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
【0109】
上記の層構造において、陽極および陰極の少なくとも一方は、発光部の発する光の波長域において透明であることが望ましい。この透明な電極を通して前記色変換フィルタ層に光が入射する。
【0110】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。例えば、先に第一の態様で説明したものを用いることができる。
【0111】
(v)外周封止層530および充填剤層532
これらの層は、上記第一の態様で説明した外周封止層310、および充填剤層312と同じである。
【0112】
本発明は、上記のようなトップエミッション方式のみならず、TFTが形成されている側に光を取り出す方式であってもよい。
【0113】
次に第三の発明について説明する。
【0114】
本発明の第三は、色変換フィルタの製造方法に関する。
【0115】
本発明の第一の形態の製造方法は、透明な支持基板と、赤、緑および青の色変換フィルタ層と、ブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板の製造方法である。該製造方法は、該支持基板上に赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を備えるブラックマトリックスを形成する工程と、該開口部に赤、緑および青の色変換フィルタ層を順次形成する工程とを具備し、前記ブラックマトリックスを形成する工程が、前記ブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるように形成される工程を含むことを特徴とする。
【0116】
本発明の第二の形態の製造方法は、上記第一の形態の製造方法に、さらに平滑化層の形成工程を含むものである。
【0117】
本発明の製造方法を以下に説明する。以下では、適宜図6を参照する。
A)支持基板上に赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を備えるブラックマトリックスを形成する工程(図6(a))
本発明では、透明な支持基板上に第一の発明で説明したブラックマトリックスの材料を、スピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段により支持基板全面に塗布し、加熱乾燥した後、フォトリソグラフ法によりパターン形成する。すなわち、支持基板上に全面塗布し、乾燥されたブラックマトリックス上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、各色の開口部に相当する部分のブラックマトリックス及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有するブラックマトリックスを形成する(図6(a)参照)。
【0118】
本発明では、図6(d)に示すように、ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部(例えば図6の開口部18)の開口率が5%以上20%以下であるようにパターンニングを行う。また、本発明の色変換フィルタ基板では、開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部(例えば図6の開口部18)の開口率と、それ以外の開口部(例えば図6の開口部17、19)の開口率との比が0.7以下となるようにパターンニングを行う。なお、ブラックマトリックスとしては、光透過率が10%以下であるものを用いることが好ましい。これらの範囲が好ましいのは、先に第一の発明で説明した理由と同じである。
【0119】
B)ブラックマトリックスの開口部に赤、緑および青の色変換フィルタ層を順次形成する工程(図6(b))
本発明では、染料または顔料を含有したマトリックス樹脂を、例えばコーニング社製のガラス(ノンアルカリガラスである、コーニング1737ガラス)のような透明基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを行うことにより色変換フィルタ層を形成する。例えば青色の蛍光を発する蛍光色素を含有するマトリックス樹脂を、スピンコート法などによりブラックマトリックスを形成した基板上に全面塗布し、加熱乾燥した後、フォトリソグラフ法によりパターン形成する。これを他の色変換フィルタ層に対しても行うことにより色変換フィルタ層を形成する(図6(b))。
【0120】
以下に各色フィルタ層の形成方法を具体的に説明する。
【0121】
[青色フィルタ層15の作製]
青色フィルタ層の材料を透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、青色フィルタ層のラインパターンを得ることができる。すなわち、青色フィルタ層の材料を塗布、乾燥した後、この上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、青色フィルタ層の領域が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、この開口部に相当する部分のマトリックス樹脂及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有する青色フィルタ層15を形成する。
【0122】
[緑色変換フィルタ層14の作製]
緑色変換用の蛍光色素を溶剤へ溶解させ、これに光重合性樹脂を加えて、硬化性樹脂組成物の溶液を得る。この溶液を、青色フィルタのラインパターンをすでに形成した、透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、緑色変換フィルタ層のラインパターンを得ることができる。すなわち、緑色変換フィルタ層の材料を塗布、乾燥した後、この上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、緑色の色変換フィルタ層の領域が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、この開口部に相当する部分のマトリックス樹脂及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有する緑色変換フィルタ層14を形成する。
【0123】
[赤色変換フィルタ層13の作製]
赤色変換用の蛍光色素を溶剤へ溶解させ、これに光重合性樹脂を加えて、硬化性樹脂組成物の溶液を得る。この溶液を、青色フィルタ層および緑色変換フィルタ層のラインパターンを形成した透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、赤色変換フィルタ層を得る。すなわち、赤色変換フィルタ層の材料を塗布、乾燥した後、この上に、レジストをスピンコート法、噴霧法、ディップ法のような塗布手段で塗布し、赤色変換フィルタ層の領域が形成されるようなマスクを通して露光(UV照射など)し、パターンニングを行う。次いで、この開口部に相当する部分のマトリックス樹脂及びレジストを現像により除去し、所望のパターンを有する赤色変換フィルタ層13を形成する。
【0124】
なお、上記各フィルタ層の形成において、乾燥は、60℃から100℃、好ましくは80℃で行われる。そのほかの条件は、従来より知られた条件を用いることができ、あるいは、そのような条件から当業者により容易に導くことができる。例えば、青色フィルタでは、スピンコート後のプリベイク温度80℃15分、露光・現像後の乾燥温度は、例えば200℃30分である。また、緑色変換フィルタでは、例えばスピンコート後のプリベイク温度80℃15分、露光・現像後の乾燥温度180℃30分である。緑色変換フィルタでは、例えばスピンコート後のプリベイク温度80℃10分、露光・現像後の乾燥温度は180℃30分である。
【0125】
本発明では、各色変換フィルタ層は、ブラックマトリックスの開口部と同じ領域を有していることが好ましいが、ブラックマトリックスの開口部より大きい領域であってもよい。
【0126】
さらに本発明では、色変換層に、カラーフィルタ層をさらに設けてもよい。すなわち、上記の緑色または赤色の変換フィルタ層のみでは十分な色純度が得られない場合は、カラーフィルタ層を設けることができる。カラーフィルタ層の厚さは1〜1.5μmが好ましい。また、このカラーフィルタ層は、上記青色フィルタ層と同様の方法で形成することができる。
【0127】
以上のようにして、本発明の色変換フィルタ層が得られる。
【0128】
本発明の第一の形態の色変換フィルタ基板10(図6(b)参照)は、以上に示した工程により製造することができる。
【0129】
本発明は、さらに、任意に平滑化層16の形成工程を有する。
C)平滑化層の形成工程
本発明の平滑化層の形成工程は、上記の色変換フィルタ基板上に、平滑化層16を形成するための材料を、スピンコート法等で塗布し、オーブンのような加熱手段でベーキング(例えば100℃から180℃、好ましくは130℃)することにより形成することができる(図6(c))。本発明では、180℃で30分の温度条件が好適である。
【0130】
なお、平滑化層の形成に使用される材料は、上述の通りである。
【0131】
以上のように平滑化層をさらに形成することにより第二の態様の色変換フィルタ基板10を製造することができる。
【0132】
次に第四の発明について説明する。
【0133】
本発明の第四は、有機カラーディスプレイの製造方法に関する。
【0134】
この製造方法の第一の実施形態は、透明な支持基板と、ブラックマトリックスと、赤、緑および青の色変換フィルタ層とを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも透明電極と、有機発光層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイの製造方法である。この製造方法は、色変換フィルタ基板を形成する工程と、該色変換フィルタ基板上に、第一電極、有機発光層、および第二電極を順次積層する工程とを具備し、前記色変換フィルタ基板を形成する工程がブラックマトリックスを形成する工程を含み、このブラックマトリックスの形成工程においてブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成することを特徴とする。
【0135】
さらに、本発明の第二の実施形態は、(1)基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を備えた有機EL発光素子基板と、(2)透明な支持基板と、ブラックマトリックスと、赤、緑および青の色変換フィルタ層を少なくとも有する色変換フィルタ基板とを、前記(1)の有機EL発光素子基板の発光部の第二電極と前記(2)の色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層を対向して貼り合わせた有機カラーディスプレイの製造方法である。この製造方法は、有機EL発光素子基板を形成する工程と、前記色変換フィルタ基板を形成する工程と、該色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層と有機EL発光素子基板の発光部の第二電極を対向して貼り合わせる工程とを少なくとも具備し、前記色変換フィルタ基板を形成する工程が前記ブラックマトリックスを形成する工程を含み、このブラックマトリックスの形成工程においてブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成することを特徴とする。
【0136】
以下に、図7および図8を参照して、各有機カラーディスプレイの製造方法を具体的に説明する。以下の説明では、複数の画素を有する各有機カラーディスプレイの形成方法を例に取り説明するが、本発明は、これに限定されず、一画素の有機カラーディスプレイの製造方法も含む。
【0137】
ここで、第一の態様および第二の態様では、上記の色変換フィルタ基板を用いるので、色変換フィルタ基板に関係する製造方法の説明、すなわち、色変換フィルタ層および平滑化層を形成する工程などは、上記第三の発明と同様である。特に、本発明では、ブラックマトリックスの形成工程は、図6を参照して説明したとおりであり、ブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成する。
【0138】
[発光部または有機EL発光素子基板の形成工程]
1.第一の実施形態の製造方法
上記第三の発明に従って製造した色変換フィルタ基板を準備する(図7(a)参照)。この色変換フィルタ基板の最外層をなす平滑化層16の上面にスパッタ法などにより透明電極を全面成膜する。この透明電極上にレジスト剤を塗布した後、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを行い、それぞれの色の発光部に位置するストライプパターンからなる透明電極(陽極)307を得る(図7(b)参照)。
【0139】
次いで、陽極を形成した基板上に有機EL層308を形成する。有機EL層は、抵抗加熱蒸着装置などを用いて、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜すればよい(図7(c)参照)。なお、有機EL層308はこの構成に限らず、上記第二の発明で説明したような種々の形態をとりうる。それぞれの形態においても、各層は抵抗加熱蒸着装置などを用いて成膜すればよい。
【0140】
この後、陽極のラインと垂直なストライプパターンが得られるマスクを用いて第二電極(陰極)309を真空を破らずに形成する(図7(c)参照)。
【0141】
こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内で、乾燥窒素雰囲気下において、封止ガラス311とUV硬化接着剤などからなる外周封止層310を用いて封止する。必要に応じて、充填剤を注入し、充填剤層312を形成する。充填剤を封入する場合には、外周封止層310の一部に孔を設けて外周封止層310を硬化させ、この孔から充填剤312を注入した後、この孔を塞げばよい。
【0142】
また、本発明では、封止用基板311、外周封止層310及び充填剤層312は、例えば紫外線硬化樹脂または熱光併用型硬化樹脂などの樹脂を、発光部を設けた色変換フィルタ基板上に均一に塗布し、これを硬化することで一体に形成してもよい。
【0143】
以上のようにして、有機カラーディスプレイ30を製造することができる。
【0144】
2.第二の実施形態の製造方法
図8を参照して第二の実施形態の製造方法を説明する。なお、図8は、トップエミッション方式のTFT有機カラーディスプレイの製造工程を示す概略図である。すなわち、図8は、本発明のTFT型の有機カラーディスプレイの一例であるが、マルチカラーまたはフルカラーディスプレイとして使用するための複数の画素を有するTFT型の有機カラーディスプレイの1つの画素に相当する部分の概略断面図である。図8に示されるTFT有機カラーディスプレイは、上記の色変換フィルタ基板と単色の有機EL発光素子基板を貼り合わせたトップエミッション方式の有機カラーディスプレイである。本発明では、トップエミッション方式のみならず、TFT側から光を取り出す通常の方式の有機カラーディスプレイも可能である。
【0145】
第二の形態の製造方法では、有機EL発光素子基板82を製造する。そして上記の第三の発明に従って、色変換フィルタ基板80を製造する。次いでこれらを貼り合わせる。
【0146】
上述のように、色変換フィルタ基板の製造方法は先に説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。なお、図8(a)に示される色変換フィルタ基板80は、平滑化層を含まないものを示したが、本発明では、平滑化層を設けてもよい。
【0147】
まず、図8(a)に示されるように、基板512にボトムゲート型のTFT514を形成する。第一電極(例えばこの図の場合陽極)518は、TFTそれぞれに対応して、平坦化絶縁膜516上に形成され、この第一電極にTFTのソースを接続する。なお、平坦化絶縁膜は、従来の材料を用い、従来の方法により形成することができる。例えば、SiO2などを用いることができる。また形成方法は、スパッタ法、膜を塗布形成した後転化する方法などを挙げることができる。
【0148】
次に、第一電極518の上に、有機EL層520を抵抗加熱蒸着装置などを用いて、真空を破らずに成膜する。有機EL層は、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層とすることができるが、上記第二の発明で説明した種々の構成とすることができる。この後、メタルマスクを用いて、透明な第二電極(図8の場合陰極)522を、真空を破らずに形成する。
【0149】
透明な第二電極522は、陰極である場合、電子注入に必要な仕事関数の小さな金属(例えばMg/Ag)を共蒸着法などにより成膜し、その上にIZO膜をスパッタリング法などで成膜することにより作成することができる。
【0150】
なお、第一電極を陽極として用いる場合、陽極518には、TFT上の絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介してソースに接続されているAlを下部に形成し、その上部表面にIZO(InZnO)を形成してもよい。ここで、Alは、発光部からの発光を反射してトップから効率よく光を放出すること、および、電気抵抗を低減するために設ける。上部のIZOは、仕事関数が高く、効率よくホールを注入するために設ける。
【0151】
本発明では、基板上に、アクリル樹脂のような樹脂をスピンコート法などにより塗布し、フォトリソグラフィー法などにより、支柱(図示せず)を隣接する陽極の間に形成してもよい。この支柱により、有機EL発光素子基板と色変換フィルタ基板との接触が回避される。
【0152】
[貼り合わせ工程]
第一の発明で得られた色変換フィルタ基板80と、上記のようにして得られた有機EL発光素子基板82をグローブボックス内で、乾燥窒素雰囲気下においてUV硬化性の封止樹脂530を用いて封止する。具体的には、色変換フィルタ基板の平滑化層側と、有機EL発光素子基板の第二電極側とを、外周を外周封止層530により封止する。封止には、従来の方法(例えば、接着剤による接着など)を用いることができる。
【0153】
以上のようにして第二の形態の有機カラーディスプレイ50を製造することができる。
【0154】
上述のように、本発明によれば、複数の画素を有する有機カラーディスプレイを製造することができるが、例えば、色変換フィルタ層の形成、有機EL発光素子基板の形成などにおいて、パターンニングを1画素のパターンで形成することにより、1画素からなる有機カラーディスプレイを製造することが可能である。
【0155】
本発明の有機カラーディスプレイは、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電機卓上計算機、電話機、携帯端末機並びに産業用の計器類のような各種機器のディスプレイに適用することができる。
【0156】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明の例示であり、本発明を制限することを意図しない。また、以下の実施例では、適宜図面を参照して説明する。
【0157】
(実施例1)
1)色変換フィルタ層の製造
図1(a)に示されるような色変換フィルタ基板を作成した。すなわち、色変換フィルタ層14が他の色変換フィルタ層よりも開口率が低い色変換フィルタ基板を作成した。なお、本実施例では、開口率の低い色変換フィルタ層は緑色の色変換フィルタ層である。
【0158】
[ブラックマトリックス12の作製]
ガラス基板11上に、ブラックマトリックス塗布液(CK8400L、富士フイルムARCH製)をスピンコート法により基板全面に塗布し、80℃で加熱乾燥した後、フォトリソグラフィ法を用いて、図1(b)に示すようなパターンを形成した。図1(b)において、サブピクセルの部分は、ブラックマトリックの開口部(図中の17、18、19)であるが、本実施例ではサブピクセル18を他のサブピクセル(17、19)よりも小さく形成した。各サブピクセルは330μmピッチで形成し、サブピクセル(17、19)は80μm×300μmで形成した。サブピクセル18は、55μm×210μmで形成した。なお、サブピクセル17および19はそれぞれ赤と青の発光をさせる部分であり、サブピクセル18は緑の発光をさせる部分である。
【0159】
[青色変換フィルタ層15の作製]
透明な光重合製樹脂(新日鉄化学(株)製、259PAP5)の固形分100重量部に、青色染料として下記構造式(1)を有する色素を2重量部添加し、さらに第二の色素(Lambda Physik社製、HDITCI)を1重量部添加した。これを青色カラーフィルタ塗布液とした。
【0160】
【化1】
【0161】
ガラス基板11上に、前記青色カラーフィルタ塗布液をスピンコート法により塗布し、80℃で加熱乾燥した後、フォトリソグラフィ法を用いて、図1(a)に示される青色変換フィルタ層15を形成した。青色変換フィルタ層15の形状は、ブラックマトリックスの開口部19と同じパターンを有する。すなわち、青色変換フィルタ層15の領域は80μm×300μmである。
【0162】
[緑色変換フィルタ層14の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤であるプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解した。これに、光重合性樹脂の「V259PA/P5](商品名、新日鐵化成工業株式会社)100重量部を加えて溶解し、緑色変換フィルタ塗布液を得た。この塗布液を、すでに青色変換フィルタを形成した透明基板11上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフィ法により図1(a)に示される緑色変換フィルタ層14を形成した。緑色変換フィルタ層14の形状は、ブラックマトリックスの開口部18と同じパターンを有する。すなわち、緑色変換フィルタ層14の領域は55μm×210μmである。
【0163】
[赤色変換フィルタ層13の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、およびベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤であるプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解した。これに、光重合性樹脂の「V259PA/P5](商品名、新日鐵化成工業株式会社)100重量部を加えて溶解し、赤色変換フィルタ塗布液を得た。この塗布液を、すでに青色変換フィルタおよび緑色変換フィルタを形成した透明基板11上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフィ法により図1(a)に示される赤色変換フィルタ層13を形成した。緑色変換フィルタ層13の形状は、ブラックマトリックスの開口部17と同じパターンを有する。すなわち、緑色変換フィルタ層13の領域は80μm×300μmである。
【0164】
[表面平滑層の作製]
シリコン系のハードコート剤(KP854、信越化学工業製)をスピンコート法により、青、緑および赤の各色変換フィルタ層を形成した基板上に塗布し、この後、130℃のオーブン中でベーキングすることにより0.5μmの表面平滑層16を得た。
【0165】
以上のようにして本発明の色変換フィルタ層を形成できる。
【0166】
2)有機カラーディスプレイの製造
次に、図3に示されるような本発明のパッシブ駆動型の有機カラーディスプレイを製造した。
【0167】
[透明電極307の作製]
スパッタ法により透明電極(ITO)を色変換フィルタ基板の平滑化層の上に全面成膜した。このITO上にレジスト剤「OFPR−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを行い、各色変換フィルタ層上部に透明電極307を形成した。
【0168】
[有機EL層308および金属電極309の作製」
上述のように透明電極を形成した基板11を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層からなる有機EL層308を真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して、真空槽内の圧力は、1×10−4Paとした。正孔注入層は、銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。有機発光層は4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミニウムキレート(Alq)を20nm積層した。
【0169】
この後、透明電極(ITO)のラインと垂直に幅30μm、330μmピッチのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比)層から成る電極309を、真空を破らずに形成した。
【0170】
[封止]
上記のようにして得られた有機カラーディスプレイをグローブボックス内において、乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度共に10ppm以下)で封止ガラス311とUV硬化接着剤310、312を用いて封止した。
【0171】
以上のようにして製造された有機カラーディスプレイの開口率は、赤および青で0.22、緑が0.10である。
【0172】
(実施例2)
ブラックマトリックスを形成する際に使用したフォトマスクのパターンのみを変更した以外、有機カラーディスプレイの各要素の形成方法および材料は実施例1と同様である。これにより、緑色変換フィルタ層の部分のブラックマトリックスの開口部、すなわち緑色変換フィルタ層の部分の開口が40μm×200μmに変更された。また、赤色変換フィルタ層の部分の開口が90μm×310μmに、青色変換フィルタ層の部分の開口が90μm×310μmに変更された。
【0173】
以上のようにして製造された有機カラーディスプレイの開口率は、赤および青で0.26、緑が0.07である。
【0174】
(実施例3)
この実施例は、赤色変換フィルタ層の部分の開口率を縮小した例である。
【0175】
デバイスの形成方法および材料は実施例1と同様である。
【0176】
使用したフォトマスクのパターンのみが実施例1と異なっており、赤色変換フィルターの開口を40μm×200μmに変更し、緑色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、青色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、それぞれ変更した。
【0177】
作成したカラーディスプレイの開口率は、緑および青で0.26、赤が0.07である。
【0178】
(実施例4)
この実施例は、青色フィルタ層の部分の開口率を縮小した例である。
【0179】
デバイスの形成方法および材料は実施例1と同様である。
【0180】
使用したフォトマスクのパターンのみが実施例1と異なっており、青色変換フィルターの開口を40μm×200μmに変更し、緑色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、赤色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、それぞれ変更した。
【0181】
作成したカラーディスプレイの開口率は、緑および赤で0.26、青が0.07である。
【0182】
(実施例5)
この実施例は、赤および緑色変換フィルタ層の部分の開口率を縮小した例である。
【0183】
デバイスの形成方法および材料は実施例1と同様である。
【0184】
使用したフォトマスクのパターンのみが実施例1と異なっており、赤色変換フィルターの開口を40μm×200μmに変更し、緑色変換フィルターの開口を40μm×200μmに、青色変換フィルターの開口を90μm×310μmに、それぞれ変更した。
【0185】
作成したカラーディスプレイの開口率は、青が0.26、赤および緑が0.07である。
【0186】
(比較例)
ブラックマトリックスを形成する際に使用したフォトマスクのパターンのみを変更した以外、有機カラーディスプレイの各要素の形成方法および材料は実施例1と同様である。これにより、緑色変換フィルタ層の部分のブラックマトリックスの開口部、すなわち緑色変換フィルタ層の部分の開口が80μm×300μmに変更された。また、赤色変換フィルタ層の部分および青色変換フィルタ層の部分の開口はそれぞれ80μm×300μmのままであった。
【0187】
以上のようにして製造された有機カラーディスプレイの開口率は、赤、緑および青で0.22である。
【0188】
(評価)
<有機カラーディスプレイのコントラストの比較>
上記実施例および比較例により作製した有機カラーディスプレイについて、ディスプレイ面に対し、蛍光灯の光(1000lx)を斜め45°から照射した際のコントラストを比較した。結果を表1に示す。なお、表に記載した値は、比較例のコントラストを1.0とした場合の相対値である。値が1.0よりも大きい場合、比較例に比べてコントラストが高いことを意味する。
【0189】
<有機カラーディスプレイの消費電力の比較>
上記実施例および比較例により作製した有機カラーディスプレイを、同輝度で点灯させた際の消費電力を比較した。結果を表1に示した。なお、表に記載した値は、比較例の消費電力を1.0とした場合の相対値である。値が1.0以下の場合、比較例に比べて消費電力が少ないことを意味する。
【0190】
【表1】
【0191】
表から明らかなように、本発明の色変換フィルタ基板を有する有機カラーディスプレイは、大幅な消費電力の増加を伴うことなくコントラストが大幅に向上する。本発明では、開口率が、22%である比較例に比べ、開口率20%以下である本発明で、実施の効果が有効に現れる。
【0192】
【発明の効果】
本発明の色変換フィルタ基板、およびこれを用いたディスプレイのような素子は、コントラストを大幅に向上させることができる。また、本発明の色変換フィルタ基板、有機カラーディスプレイの製造方法により、コントラストの改善された色変換フィルタ基板および有機カラーディスプレイが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色変換フィルタ基板の概略図である。(a)および(b)は色変換フィルタ基板の概略断面図であり、(c)は色変換フィルタ基板の表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図2】従来の色変換フィルタ基板の概略図である。(a)は色変換フィルタ基板の概略断面図であり、(b)は色変換フィルタ基板の表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図3】本発明の有機カラーディスプレイの概略図である。(a)は有機カラーディスプレイの概略断面図であり、(b)は有機カラーディスプレイの表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図4】従来の有機カラーディスプレイの概略図である。(a)は有機カラーディスプレイの概略断面図であり、(b)は有機カラーディスプレイの表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図5】本発明の有機カラーディスプレイの概略図である。(a)は有機カラーディスプレイの概略断面図であり、(b)は有機カラーディスプレイの表示面から見た場合の開口部の概略図である。
【図6】本発明の色変換フィルタ基板の製造方法の概略図である。(a)から(c)は色変換フィルタ基板の製造工程を表す概略断面図であり、(d)は本発明の方法でのブラックマトリックスの形状を表す概略図である。
【図7】本発明の色変換フィルタ基板の製造方法の製造工程を示す概略図である。
【図8】本発明の色変換フィルタ基板の製造方法の製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
10、20 色変換フィルタ基板
11、21 支持基板
12、22 ブラックマトリックス
13、23 赤色変換フィルタ層
14、24 緑色変換フィルタ層
15、25 青色変換フィルタ層
16、26 平滑化層
17、18、19 開口部
27、28、29 開口部
30、40、50 有機カラーディスプレイ
307、518 第一電極
308、520 有機EL層
309、522 第二電極
311 封止用基板
310、530 外周封止層
312、532 充填剤層
323、324、325 開口部
423、424、425 開口部
543、544、545 開口部
512 基板
516 平坦化絶縁膜
526 空間
Claims (15)
- 透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板であって、前記ブラックマトリックスに設けられた開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする色変換フィルタ基板。
- 前記色変換フィルタ層を被覆し、表面が平滑化された透明な平滑化層をさらに具備する請求項1に記載の色変換フィルタ基板。
- 前記ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の色変換フィルタ基板。
- 開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の色変換フィルタ基板。
- 透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも第一電極と、有機EL層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイ。
- 基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を少なくとも備えた有機EL発光素子基板と、
透明な支持基板と、該支持基板上の赤、緑および青の色変換フィルタ層と、該支持基板上に設けられ前記色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を有するブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板とを具備する有機カラーディスプレイであって、前記ブラックマトリックスの少なくとも1つの開口部の開口率が5%以上20%以下であることを特徴とする有機カラーディスプレイ。 - 前記ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の有機カラーディスプレイ。
- 開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の有機カラーディスプレイ。
- 透明な支持基板と、赤、緑および青の色変換フィルタ層と、ブラックマトリックスとを少なくとも有する色変換フィルタ基板の製造方法であって、該製造方法が該支持基板上に赤、緑および青の色変換フィルタ層の領域に相当する開口部を備えるブラックマトリックスを形成する工程と、該開口部に赤、緑および青の色変換フィルタ層を順次形成する工程とを具備し、前記ブラックマトリックスを形成する工程が、前記ブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるように形成される工程を含むことを特徴とする色変換フィルタ基板の製造方法。
- 該ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする請求項9に記載の色変換フィルタ基板の製造方法。
- 開口率が5%以上20%以下であるブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率との比が0.7以下であることを特徴とする請求項9に記載の色変換フィルタ基板の製造方法。
- 透明な支持基板と、ブラックマトリックスと、赤、緑および青の色変換フィルタ層とを少なくとも有する色変換フィルタ基板、並びに、該色変換フィルタ基板上に少なくとも透明電極と、有機EL層と、第二電極とを、順次積層した有機カラーディスプレイの製造方法であって、前記色変換フィルタ基板を形成する工程と、該色変換フィルタ基板上に、第一電極、有機発光層、および第二電極を順次積層する工程とを具備し、前記色変換フィルタ基板を形成する工程が前記ブラックマトリックスを形成する工程を含み、このブラックマトリックスの形成工程においてブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成することを特徴とする有機カラーディスプレイの製造方法。
- 基板上にソースおよびドレインからなる薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタの上部にソースまたはドレインに接続された導電性薄膜材料からなる第一電極、有機EL層、および第二電極を積層した発光部を少なくとも備えた有機EL発光素子基板と、
透明な支持基板と、ブラックマトリックスと、赤、緑および青の色変換フィルタ層を少なくとも有する色変換フィルタ基板とを、
前記色変換フィルタ層と前記発光部の第二電極を対向して貼り合わせた有機カラーディスプレイの製造方法において、
該製造方法が、該有機EL発光素子基板を形成する工程と、前記色変換フィルタ基板を形成する工程と、該色変換フィルタ基板の色変換フィルタ層と該発光部の第二電極を対向して貼り合わせる工程とを少なくとも具備し、前記色変換フィルタ基板を形成する工程が前記ブラックマトリックスを形成する工程を含み、このブラックマトリックスの形成工程においてブラックマトリックスの開口部の少なくとも1つの開口率が5%以上20%以下となるようにブラックマトリックスを形成することを特徴とする有機カラーディスプレイの製造方法。 - 該ブラックマトリックスの光反射率が10%以下であることを特徴とする請求項12または13に記載の有機カラーディスプレイの製造方法。
- 開口率が5%以上20%以下のブラックマトリックスの開口部の開口率と、それ以外の開口部の開口率の比が0.7以下であることを特徴とする請求項12または13に記載の有機カラーディスプレイの製造方法。
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