JP2004096324A - 増幅回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度のオフセットキャンセルが可能であるとともに、小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化が可能な増幅回路を提供する。
【解決手段】演算増幅器OP1の出力端子にコンデンサC1を接続し、第1、第2スイッチング素子SW1、2により演算増幅器OP1の入力端子とコンデンサC1の後段側の端子とを基準電位に導通させ、コンデンサC1にオフセット電圧を充電し、次に第2スイッチング素子SW2をオフとしてこれを保持し、次に第1スイッチング素子SW1を信号入力端子IN側に切り替えて演算増幅器OP1に入力信号を与えるとともにオフセット電圧を差し引きしてオフセットキャンセルを行うことにより、必要素子数を減らし、素子のばらつきによる精度低下を抑え、同時に小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化を進める。
【選択図】 図1
【解決手段】演算増幅器OP1の出力端子にコンデンサC1を接続し、第1、第2スイッチング素子SW1、2により演算増幅器OP1の入力端子とコンデンサC1の後段側の端子とを基準電位に導通させ、コンデンサC1にオフセット電圧を充電し、次に第2スイッチング素子SW2をオフとしてこれを保持し、次に第1スイッチング素子SW1を信号入力端子IN側に切り替えて演算増幅器OP1に入力信号を与えるとともにオフセット電圧を差し引きしてオフセットキャンセルを行うことにより、必要素子数を減らし、素子のばらつきによる精度低下を抑え、同時に小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化を進める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は増幅回路に関するものであり、特に直流成分を含む低周波の微小電圧を取り扱う高精度かつ高増幅率の増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるCMOS回路の高集積化、低電力化技術が増幅回路の小型化・低電力化に寄与するところは大きいが、微小電圧を検出するセンサ装置の増幅回路としてCMOS回路構成の演算増幅器を基本要素とする増幅回路を採用しようとすると、次の問題点がある。
【0003】
CMOS回路構成の演算増幅器(以下、CMOS演算増幅器)は、図4に示すようにNチャネル型のMOSトランジスタN1、N2からなる差動部と、差動部を高電位の電源端子VDDに接続するPチャネル型のMOSトランジスタP1、P2と、差動部を低電位の電源端子VSSに接続するNチャネル型のMOSトランジスタN3と、Pチャネル型のMOSトランジスタP3とNチャネル型のMOSトランジスタN4とからなる出力部とからなる。MOSトランジスタN1、N2のゲートにはそれぞれ逆相入力端子IN−、正相入力端子IN+が接続され、MOSトランジスタP3、N4の接続点には出力端子OUTが接続される。MOSトランジスタN3、N4のゲートにはバイアス電圧端子VBが接続される。このようなCMOS演算増幅器は、MOSトランジスタN1、N2のしきい値電圧のばらつき等に起因する入力オフセット電圧VOSを有する。例えば、これを用いた正相演算増幅器では、図5に示すように、演算増幅器OPの逆相入力端子を抵抗R1を介して基準電位Vrefに接続するとともに、抵抗R2を介して演算増幅器OPの出力端子OUTに接続してあり、正相入力端子は信号入力端子INに接続される。出力端子OUTには、入力オフセット電圧VOSを増幅率α倍した出力オフセット電圧αVOSが生じる。この出力オフセット電圧は、例えば、CMOS演算増幅器を微小な信号を扱うセンサ装置に採用した場合、大きな出力オフセット電圧(以下、オフセット電圧)を生じさせ、場合によってはその動作領域が線形領域から外れてクリップ状態となる。このため、オフセット電圧をキャンセルするために様々な改変が提案されている。
【0004】
例えば、特開平6−45875号には、図6に示すようにスイッチトキャパシタ増幅回路において、演算増幅器の逆相入力端子と基準電位との間にコンデンサCLを設け、当該コンデンサCLをオフセット電圧のキャンセル動作時に演算増幅器の負荷とするものが開示されている。その動作は次の通りとなっている。キャンセル動作時にスイッチA3、4、5をオンとし、スイッチB6、7をオフとし、ここで、入力電圧をVinとし、入力オフセット電圧をVOSとすると、コンデンサαC10にVOS−Vinだけ充電し、コンデンサC11にVOSだけ充電する。逆に増幅動作時にスイッチA3、4、5をオフとし、スイッチB6、7をオンとし、ここで出力電圧をVoutとすると、コンデンサαC10にVOSだけ充電し、コンデンサC11にVOS−Voutだけ充電する。ここで演算増幅器の反転入力における電荷は一定となっており、αC(VOS−Vin)+CVOS=αCVOS+C(VOS−Vout)の関係が成り立ち、Vout=αVinとなり、オフセット電圧がキャンセルされる。
【0005】
また、特開平6−54118号には、イメージセンサ装置において、図7に示すように信号線L(1)に逆相入力端子を接続した演算増幅器21の出力端子をアナログスイッチ24、コンデンサ25を介して演算増幅器22の正相入力端子に接続し、この正相入力端子(点A)と接地との間にアナログスイッチ26とコンデンサ27とを並列に接続してあり、演算増幅器22の出力端子をアナログスイッチ28、コンデンサ29を介して演算増幅器23の正相入力端子に接続し、この正相入力端子(点B)と接地との間にアナログスイッチ30とコンデンサ31とを並列に接続してあり、演算増幅器21の正相入力端子と接地との間にスイッチ4(1)を接続し、演算増幅器23の出力端子と出力線OUTLとの間にアナログスイッチ5(1)を接続し、オフセット電圧をキャンセル可能とした増幅回路が開示されている。その動作は次の通りとなっている。時刻t1にアナログスイッチ24、26、28及び30をオンとしてコンデンサ25、29を充電する。コンデンサ25、29の端子間電圧Vc25、Vc29はそれぞれ、Vc25=20(Vin+Vos1)、Vc29=20Vos2となる。ここでVinは入力電圧、Vos1、Vos2はそれぞれアンプ21、22の入力オフセット電圧である。次に時刻t2にアナログスイッチ24、26、28及び30をオフとし、スイッチ4(1)をオンとして信号線L(1)に蓄積された電荷を放電する。次に時刻t3にアナログスイッチ24、28をオンとすると、点Aの電位VA、点Bの電位VBはそれぞれ、VA=(20Vos1−Vc25)/2+Vos2=−Vin+Vos3、VB={20(−10Vin+Vos2)−Vc29}/2+Vos3=−100Vin+Vos3となる。ここでVos3は演算増幅器23の入力オフセット電圧であり、入力側の入力オフセット電圧Vos1、Vos2はキャンセルされ、全体の回路ゲインとしては100倍とすることができ、最終段の入力オフセット電圧Vos3の最終的な出力に与える影響を小さくできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すスイッチトキャパシタ増幅回路に関しては、実際にはプロセス上の問題から各コンデンサにばらつきを生じ、オフセット電圧を十分にキャンセルすることは難しい。また、コンデンサの占有面積が大きくなり、増幅回路の集積化の際に集積回路チップの小型化の妨げとなる。加えて増幅率を可変とすることができず、微小電圧の増幅のように微調整を必要とする用途向けの増幅回路としては不向きである。
【0007】
また、図7に示す3つの演算増幅器をコンデンサ、アナログスイッチを介して縦続に接続したものでは、時刻t2から時刻t3迄の間において演算増幅器22、23の正相入力端子がフローティングとなるため、その期間コンデンサ25、29に充電された電荷を保持するために、言い換えるとその間十分に先に入力されたデータを保持するために、コンデンサ27、31が設けられており、コンデンサ25、27、29、31は大きな容量が必要となる。また、上述のスイッチトキャパシタ増幅回路と同様にオフセット電圧のキャンセルの精度もコンデンサ27、31の精度に依存しているために、高精度のオフセット電圧のキャンセルは難しい。また、各演算増幅器の信号伝送路上にアナログスイッチ24、28を有することから、スイッチングによるノイズ、寄生容量による伝送遅延が生じる。このように、構成素子数が多く、スイッチング素子のコントロールラインを多数必要とする等回路構成が複雑化し、この点からも装置の小型化、低電力化及び高速動作化の妨げとなっている。
【0008】
そこで、本発明は、高精度のオフセットキャンセルが可能であるとともに、小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化が可能な増幅回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の増幅回路は、演算増幅器と、一方の端子を上記演算増幅器の出力端子に接続し、他方の端子を出力バッファに接続したコンデンサと、上記演算増幅器の入力端子を、信号入力端子または基準電位に選択的に導通させる第1スイッチング素子と、上記コンデンサの他方の端子を上記基準電位に選択的に導通させる第2スイッチング素子とを備え、上記第1及び第2スイッチング素子を共に上記基準電位側に導通させ、次に上記第2スイッチング素子を非導通とした後に上記第1スイッチング素子を上記信号入力端子側に導通させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の増幅回路は、各々の出力端子には各々のコンデンサが接続され、当該各々のコンデンサを介して次段の入力端子に接続されて縦続接続された演算増幅器の複数個と、最前段の上記演算増幅器の入力端子を、信号入力端子または基準電位に選択的に導通させる第1スイッチング素子と、最後段の上記演算増幅器にコンデンサを介して接続された出力バッファと、上記各々のコンデンサの次段側の端子を上記基準電位に選択的に導通させる第2スイッチング素子の複数個とを備え、上記第1及び第2スイッチング素子を共に上記基準電位側に導通させ、次に最終段から最前段へと順次に各段の上記第2スイッチング素子を非導通とした後に上記第1スイッチング素子を上記信号入力端子側に導通させることも好ましい。
【0011】
また、上記演算増幅器と上記出力バッファとが電界効果型トランジスタからなることを特徴とすることも好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
【0013】
本発明の第1実施例の増幅回路の構成について図1のブロック図を参照しながら説明する。演算増幅器OP1は図4に示すMOSトランジスタから構成される演算増幅器と同様のものである。演算増幅器OP1は、その逆相入力端子−を抵抗R1を介して基準電位Vrefに接続するとともに抵抗R1を介して演算増幅器OP1の出力端子Xに接続してあり、その正相入力端子+は第1スイッチング素子SW1を介して信号入力端子INに接続してあり、演算増幅器OP1は正相演算増幅器を構成し、本例の増幅回路は正相演算増幅器として機能する。
【0014】
演算増幅器OP1の出力端子XはコンデンサC1を介して出力バッファBUFの入力端子に接続される。出力バッファBUFもMOSトランジスタから構成され、ハイインピーダンスの入力端子を備えるものであり、この入力端子に接続される側のコンデンサC1の端子が、第2スイッチング素子SW2がオフとなることにより、演算増幅器OP1の入力が変化しない限り、直前の電荷を保持することを可能としている。出力バッファBUFはハイインピーダンスの入力端子を備えるものであれば良く、その他の構成は適宜に選択すれば良い。出力バッファBUFの出力端子OUT’が本例の増幅回路の図示しない後段回路への出力端子となる。コンデンサC1と出力バッファBUFとの接続点OUTは第2スイッチング素子SW2を介して基準電位Vrefに接続される。
【0015】
第1スイッチング素子SW1は正相入力端子+を信号入力端子INまたは基準電位Vrefに選択的に導通させるものであり、例えば、MOSトランジスタからなる3端子のアナログスイッチである。第2スイッチング素子SW2もMOSトランジスタから構成されるアナログスイッチである。第1、第2スイッチング素子SW1、SW2は、図示しない制御回路からのクロック信号によって導通状態を制御され、後述するように動作する。
【0016】
次に以上の構成要素からなる本例の増幅回路の動作について説明する。本例の増幅回路の動作では、第1、第2スイッチング素子SW1、SW2を共に基準電位Vref側に導通させ、正相入力端+と接続点OUTとを基準電位Vrefと導通させる(状態1)。ここで、基準電位Vrefの電位を0Vとし、状態1での出力端子Xの電位をVX1とし、接続点OUTの電位をVOUT1とし、演算増幅器OP1の入力オフセット電圧をVOSとし、抵抗R1、R2の抵抗値をそれぞれR1、R2とし、コンデンサC1の容量値をCとし、第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷をΔQとすると次の式▲1▼が成り立つ。
VOUT1−VX1=−VOS×(1+R2/R1)=ΔQ/C・・・▲1▼
【0017】
すなわち、演算増幅器OP1における入力オフセット電圧VOSによって生じる出力電圧の誤差分の電荷がコンデンサC1に充電される。
【0018】
次に第2スイッチング素子SW2をオフとして接続点OUTと基準電位Vrefとを非導通とする(状態2)。ここで出力バッファBUFの入力端子はハイインピーダンスのものであり、第2スイッチング素子SW2がオフとなることによってコンデンサC1の接続点OUT側の端子がフローティングとなり、また、正相入力端子+が基準電位Vrefに接続されたままで出力端子Xの電位が変化しないことから、第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷が保持される。ここでコンデンサC1の端子間に保持する電圧は入力オフセット電圧VOSによる誤差分だけでよく、コンデンサC1の容量値は図7に示す従来のもののようにコンデンサ25等に比べて小さなもので良い。
【0019】
次に第1スイッチング素子SW1を基準電位Vrefから切り離し、信号入力端子IN側に導通させる(状態3)。これによって正相入力端子+は基準電位Vrefに変わって信号入力端子INに接続され、演算増幅器OP1には入力信号が入力される。ここで、状態1及び2でのコンデンサC1の電荷は保存されており、状態3での出力端子Xの電位をVX3とし、接続点OUTの電位をVOUT3とし、入力信号の電位をVinとすると、次の式▲2▼が成り立つ。
VOUT3−VX3=VOUT3−(Vin+VOS)×(1+R2/R1)=ΔQ/C・・・▲2▼
式▲1▼を式▲2▼に代入すると次の式▲3▼が成り立つ。
VOUT3=Vin×(1+R2/R1)・・・▲3▼
【0020】
式▲3▼から、状態3において、演算増幅器OP1における入力オフセット電圧VOSによって生じる出力電圧の誤差分VOS×(1+R2/R1)、すなわち、オフセット電圧をキャンセルした出力電圧VOUT3が接続点OUTに生じることが示される。これは出力バッファBUFの出力端子OUT’より図示しない後段回路に出力される。
【0021】
本例の増幅回路は、状態1、2、3を繰り返すことにより、入力信号を入力オフセット電圧の影響なく増幅できる。状態1から状態2への移行期間は、誤差分VOS×(1+R2/R1)に相当する電圧をコンデンサC1に充電可能な期間とすれば良い。状態2から3への移行間の期間は、その期間内にクロック信号によってスイッチング素子SW2を十分にオフとさせ得る期間とすれば良く、状態3から状態1への期間はコンデンサC1に保持された誤差分の電圧によってオフセット電圧をキャンセル可能な期間であれば良く、後段回路に応じて適宜定めれば良く、例えば、後段回路のサンプルタイミングにあわせて状態3から1に切り替えれば良い。
【0022】
上述の通り、本例の増幅回路では、入力オフセット電圧VOSによって生じるオフセット電圧をコンデンサC1の端子間に保持した後に、入力信号を入力するとともにコンデンサC1に保持した上記オフセット電圧を差し引くことで、オフセットキャンセルを行う。このため、1つのコンデンサ、2つのスイッチング素子という簡易な構成でオフセットキャンセルが可能であり、増幅回路の小型化及び低電力化が可能である。
【0023】
図6、7に示す従来のもののように1つの演算増幅器のオフセット電圧を保持するためのコンデンサを複数個用いるものでは、コンデンサの容量値のばらつきによって高精度のオフセットキャンセルは難しかったが、本例の増幅回路では1つのコンデンサによって1つの演算増幅器のオフセット電圧を保持し、キャンセル動作に用いるため、そのような複数のコンデンサの容量値のばらつきによる悪影響は著しく減少し、高精度のオフセットキャンセルが可能となる。
【0024】
図7に示した従来のものでは、入力信号を入力し、入力信号分の電圧とオフセット電圧とをコンデンサに保持した後に、オフセット電圧を差し引くことでオフセットキャンセルを行っているが、コンデンサにはオフセット電圧に入力信号分の電圧を加えた分だけ充電する必要があり、コンデンサの容量値、言い換えれば、面積を小さくすることは難しかった。このため、図7に示した従来のものでは保持用のコンデンサ27、31をも必要としていた。これに対して、本例では、コンデンサC1はオフセット電圧を保持できれば良く、このため、コンデンサC1の容量値、すなわち、その面積を極力抑えることができ、また、コンデンサC1とは別途に保持用のコンデンサを設ける必要がなく、増幅回路の集積化の際にはチップ面積の小型化を進める上で効果が大きい。
【0025】
さらに、図7に示す従来のものでは、演算増幅器の出力端子とコンデンサとの間にアナログスイッチを設けてこれらをオフとすることにより、コンデンサに充電された電圧が各演算増幅器の入力側の影響により変化することを避ける構成としており、その分回路構成及びその制御を煩雑なものとし、加えて、アナログスイッチのスイッチング及び寄生容量の影響によるノイズや伝送遅延等、回路特性が悪化する問題があった。これに対して本例の増幅回路では、オフセット電圧をコンデンサC1に充電するために共に基準電位に導通させた第1、第2スイッチング素子SW1、SW2については、演算増幅器OP1の入力端子側の第1スイッチング素子SW1よりも出力側の第2スイッチング素子SW2を先にオフとすることにより、演算増幅器の入力側の影響を受けることなくオフセット電圧をコンデンサC1に保持する構成を取っている。これによって、演算増幅器OP1の出力端子とコンデンサC1との間に別途アナログスイッチを設ける必要がなく、回路構成及びその制御を簡易にでき、ノイズや伝送遅延を極力抑えることができ、増幅回路の低電力化、低雑音化及び高速動作化を進めることが可能となっている。
【0026】
次に本発明の第2実施例について述べる。上記第1実施例では、正相演算増幅器として機能する増幅回路について述べたが、本発明はこれに限らず、逆相演算増幅器として機能する増幅回路であっても良く、本例ではこれについて以下に述べる。本例の増幅回路は図2に示すように構成され、同図において図1と同様の構成は図1と同様の符号で示すこととする。演算増幅器OP1の正相入力端子は基準電位Vrefに接続され、逆相入力端子−は抵抗R1を介して第1スイッチング素子SW1に接続されるとともに、抵抗R2を介して出力端子Xに接続される。これにより、演算増幅器OP1は逆相演算増幅器を構成し、本例の増幅回路は逆相演算増幅器として機能する。第1スイッチング素子は抵抗R1を介して逆相入力端子−を基準電位Vrefに導通させるとともに、信号入力端子INに導通させる。これ以外の接続関係は図1の構成と同様のものである。
【0027】
次に本例の動作について述べる。第1、第2スイッチング素子SW1、SW2を共に基準電位Vref側に導通させ、逆相入力端−と接続点OUTとを基準電位Vrefと導通させる(状態1)。第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷をΔQについては次の式▲1▼’が成り立つ。式▲1▼’において式▲1▼と同様の符号は同様の値を示すものとする。以下に述べる式においても同様のこととする。
VOUT1−VX1=VOS×(R2/R1)=ΔQ/C・・・▲1▼’
【0028】
次に第2スイッチング素子SW2をオフとして接続点OUTと基準電位Vrefとを非導通とする(状態2)。第2スイッチング素子SW2がオフとなることによってコンデンサC1の接続点OUT側の端子がフローティングとなり、また、逆相入力端子−が抵抗R1を介して基準電位Vrefに接続されたままで出力端子Xの電位が変化しないことから、第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷が保持される。
【0029】
次に第1スイッチング素子SW1を基準電位Vrefから切り離し、信号入力端子IN側に導通させる(状態3)。これによって逆相入力端子−は抵抗R1を介して基準電位Vrefに変わって信号入力端子INに接続され、演算増幅器OP1には入力信号が入力される。ここで、状態1及び2でのコンデンサC1の充電電荷は保存されており、次の式▲2▼’が成り立つ。
VOUT3−VX3=VOUT3+(Vin+VOS)×(R2/R1)=ΔQ/C・・・▲2▼’
式▲1▼’を式▲2▼’に代入すると次の式▲3▼’が成り立つ。
VOUT3=−Vin×(R2/R1)・・・▲3▼’
【0030】
式▲3▼’から、状態3において、演算増幅器OP1における入力オフセット電圧Vosによって生じる出力電圧の誤差分VOS×(R2/R1)、すなわち、オフセット電圧をキャンセルした出力電圧VOUT3が接続点OUTに生じることが示される。これは出力バッファBUFの出力端子OUT’より図示しない後段回路に出力される。
【0031】
上述の通りの構成及び動作の本例の逆相増幅器として機能する増幅回路においても、上記第1実施例の正相増幅器として機能する増幅回路と同様の作用及び効果を奏する。
【0032】
次に本発明の第3実施例について説明する。上記第1及び第2実施例では、1つの演算増幅器を用いる増幅回路について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、微小電圧の取扱いに更に適合させかつ、より大きな増幅率を得るために、複数の演算増幅器を縦続接続してなる増幅回路を以下の如く構成しても良い。本例の増幅回路を図3に示す。同図において図1と同様の構成は図1と同様の符号で示すこととする。演算増幅器OP2は演算増幅器OP1と同様のものであり、その正相入力端子+はコンデンサC1を介して演算増幅器OP1の出力端子Xに接続される。演算増幅器OP2の出力端子YはコンデンサC2を介して出力バッファBUFの入力端子に接続される。このコンデンサC2と出力バッファBUFとの接続点OUT”と基準電位Vrefとの間にさらなる第2スイッチング素子SW3が接続されている。
【0033】
なお、本例では演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子Xとの間では、抵抗R2、R3が直列接続されている。これら抵抗R2、R3の両端間にはそれぞれ両端間を短絡するスイッチング素子SW4、SW5が接続されてあり、図示しない制御回路からのクロック信号によってスイッチング素子SW4、SW5それぞれのオン、オフを制御することによって演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子Xとの間▲2▼接続される抵抗値を選択可能としてあり、演算増幅器OP1の構成する正相演算増幅器の増幅率を可変としてある。微小電圧を取り扱う増幅回路としては、このような増幅率の調整が容易に行えることは有利である。例えば、図6に示すスイッチトキャパシタ増幅回路では増幅率の調整は難しかった。
【0034】
演算増幅器OP2の逆相入力端子−は抵抗R4を介して基準電位Vrefに接続され、逆相入力端子−と出力端子Yとの間では、抵抗R5、R6が直列接続されて正相演算増幅器を構成する。演算増幅器OP1の構成する正相演算増幅器と同様に、抵抗R5、R6の両端間にはそれぞれ両端間を短絡するスイッチング素子SW6、SW7が接続されてあり、スイッチング素子SW6、SW7によって、演算増幅器OP2の構成する正相演算増幅器の増幅率を可変としてある。
【0035】
また、演算増幅器OP2はハイインピーダンスの入力端子を備えるものであり、コンデンサC1のこれに接続される側の端子を第2スイッチング素子SW2がオフのときにフローティングとし、前段の演算増幅器の入力が変化しない限り、コンデンサC1の電荷を保持可能としてある。演算増幅器OP2はハイインピーダンスの入力端子を備えるものであれば良い。
【0036】
次に本例の増幅回路の動作について説明する。先ず、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、SW3を総て基準電位Vref側に導通させ、演算増幅器OP1の正相入力端子+と、演算増幅器OP2の正相入力端子+(接続点OUT)と、接続点OUT”とを基準電位Vrefに導通させる(状態1)。これにより、上記第1実施例と同様の作用によってコンデンサC1の端子間には演算増幅器OP1の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が生じる。また、同様の作用によってコンデンサC2の端子間には演算増幅器OP2の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が生じる。
【0037】
次に最終段の演算増幅器OP2の第2スイッチング素子SW3をオフとする(状態2−1)。これによってコンデンサC2の接続点OUT”側の端子がフローティングとなり、演算増幅器OP2の正相入力端子+は基準電位Vrefに接続されているので、コンデンサC2の端子間には演算増幅器OP2の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が保持される。次に最前段の演算増幅器OP1の第2スイッチング素子SW2をオフとする(状態2−2)。これによってコンデンサC1の接続点OUT側の端子がフローティングとなり、演算増幅器OP1の正相入力端子+は基準電位Vrefに接続されているので、コンデンサC1の端子間には演算増幅器OP1の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が保持される。
【0038】
次に第1スイッチング素子SW1を基準電位Vrefから切り離し、信号入力端子IN側に導通させる(状態3)。これによって演算増幅器OP1の正相入力端子+は基準電位Vrefに変わって信号入力端子INに接続され、演算増幅器OP1には入力信号が入力される。上記第1実施例と同様の作用によって演算増幅器OP1にそのオフセット電圧をキャンセルした出力電圧が接続点OUTに生じる。この出力電圧を入力される演算増幅器OP2においても上記第1実施例と同様の作用によって演算増幅器OP2にそのオフセット電圧をキャンセルした出力電圧が接続点OUT”に生じる。これは出力バッファBUFの出力端子OUT’より図示しない後段回路に出力される。
【0039】
以上のように本例の増幅回路のように、上記第1実施例の増幅回路を基本として演算増幅器を多段化したものでも、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、SW3を基準電位側に導通させ、各段のコンデンサC1、C2にそれぞれ各段の演算増幅器のオフセット電圧を充電し、第2スイッチング素子SW2、SW3を最終段の第2スイッチング素子から順にオフとし、コンデンサC1、C2に各段の電荷を保持し、端子間の電圧を保持した後、第1スイッチング素子SW1を信号入力端子IN側に導通させており、これにより各段の演算増幅器においてそれぞれ上記第1実施例と同様の作用によって各段の演算増幅器のオフセット電圧をキャンセルできる。従って本例の増幅回路においても上記第1実施例のものと同様の作用及び効果を奏する。また、本例の増幅回路では、上記第1実施例のものと比較して演算増幅器の多段化により大きな増幅率が得られる。さらに、本例の増幅回路では、図7に示す従来のもののように演算増幅器の出力とコンデンサとの間にアナログスイッチ等のスイッチング素子を有しないので、微小電圧の取扱いに適合させるべく多段化を進めてもスイッチング素子に伴なうノイズ、伝送遅延、制御の煩雑化等の問題を極力抑えることが可能となる。
【0040】
また、本例では、演算増幅器の段を2段としたが、上述の本例の手法を用いてさらに多段化しても良い。各演算増幅器は、特に2段目以降のものは、ハイインピーダンスの入力端子を備えるものであれば良い。
また、本例では正相演算増幅器として機能する多段演算増幅器構成の増幅回路について述べたが、上記第2実施例の逆相演算増幅器として機能する増幅回路を基に上述の本例の手法で多段化して逆相演算増幅器として機能する多段演算増幅器構成の増幅回路を構成することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の増幅回路では、1つのコンデンサを用いてオフセットキャンセルが可能であるから、従来の複数のコンデンサを用いるもののようにコンデンサの容量値のばらつきによる精度低下がなく、高精度のオフセットキャンセルが可能となる。これにより、センサ装置等の微小電圧を取り扱う用途向けに適合する高精度の増幅回路を提供することが可能となる。また、本発明はスイッチトキャパシタ型の増幅回路ではないので、スイッチトキャパシタ型の増幅回路では不可能な増幅率の調整が可能となっており、この点からも微小電圧を取り扱う用途向けにより適合する。
【0042】
また、コンデンサの容量値は演算増幅器の入力オフセット電圧による誤差分の電圧を充電できる程度のもので良く、小さな容量値のものが使用できる。従来のもののように入力信号を取り込んだ後にオフセットキャンセルを行うものでは、入力信号分の電圧を含めて保持可能とするために大容量のコンデンサを必要とするが、本発明のものではその必要がなく、コンデンサの小型化が可能である。特に増幅回路の集積化の際には、コンデンサの占有面積が小さい分だけチップの小型化を進める上で有利である。
【0043】
また、第1スイッチング素子より先に第2スイッチング素子をオフとしてコンデンサの他方の端子を基準電位から切り離してフローティングとするので、演算増幅器の入力変化の影響を受けずに入力オフセット電圧による誤差分の電圧をコンデンサに保持することができ、従来のもののように演算増幅器とコンデンサとの間にスイッチング素子を設ける必要がない。このため、このスイッチング素子に伴なうスイッチングノイズ、寄生容量による伝送遅延、スイッチング制御の煩雑化等の問題をなくすことができ、増幅回路の低雑音化、高速動作化、低電力化を進めることができる。また、演算増幅器とコンデンサとの間にスイッチング素子を設ける必要がなく上述の問題がないことから、増幅回路内で演算増幅器の多段化を進めることが容易となり、ひいては、微小電圧の取扱いに適合する大きな増幅率の増幅回路を構成することが容易となる。
【0044】
また、本発明の増幅回路では以上のようにコンデンサの容量値を小さくし、必要なスイッチング素子数を減らせることが可能であるから、小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の増幅回路の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第2実施例の増幅回路の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1実施例の増幅回路の構成を示すブロック図。
【図4】CMOS演算増幅器の構成を示す電気回路図。
【図5】正相演算増幅器の構成を示すブロック図。
【図6】従来のオフセットキャンセル型のスイッチトキャパシタ増幅回路の構成を示すブロック図。
【図7】従来のオフセットキャンセル型の増幅回路の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
OP1、OP2 演算増幅器
BUT 出力バッファ
SW1 第1スイッチング素子
SW2、SW3 第2スイッチング素子
C1、C2 コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は増幅回路に関するものであり、特に直流成分を含む低周波の微小電圧を取り扱う高精度かつ高増幅率の増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるCMOS回路の高集積化、低電力化技術が増幅回路の小型化・低電力化に寄与するところは大きいが、微小電圧を検出するセンサ装置の増幅回路としてCMOS回路構成の演算増幅器を基本要素とする増幅回路を採用しようとすると、次の問題点がある。
【0003】
CMOS回路構成の演算増幅器(以下、CMOS演算増幅器)は、図4に示すようにNチャネル型のMOSトランジスタN1、N2からなる差動部と、差動部を高電位の電源端子VDDに接続するPチャネル型のMOSトランジスタP1、P2と、差動部を低電位の電源端子VSSに接続するNチャネル型のMOSトランジスタN3と、Pチャネル型のMOSトランジスタP3とNチャネル型のMOSトランジスタN4とからなる出力部とからなる。MOSトランジスタN1、N2のゲートにはそれぞれ逆相入力端子IN−、正相入力端子IN+が接続され、MOSトランジスタP3、N4の接続点には出力端子OUTが接続される。MOSトランジスタN3、N4のゲートにはバイアス電圧端子VBが接続される。このようなCMOS演算増幅器は、MOSトランジスタN1、N2のしきい値電圧のばらつき等に起因する入力オフセット電圧VOSを有する。例えば、これを用いた正相演算増幅器では、図5に示すように、演算増幅器OPの逆相入力端子を抵抗R1を介して基準電位Vrefに接続するとともに、抵抗R2を介して演算増幅器OPの出力端子OUTに接続してあり、正相入力端子は信号入力端子INに接続される。出力端子OUTには、入力オフセット電圧VOSを増幅率α倍した出力オフセット電圧αVOSが生じる。この出力オフセット電圧は、例えば、CMOS演算増幅器を微小な信号を扱うセンサ装置に採用した場合、大きな出力オフセット電圧(以下、オフセット電圧)を生じさせ、場合によってはその動作領域が線形領域から外れてクリップ状態となる。このため、オフセット電圧をキャンセルするために様々な改変が提案されている。
【0004】
例えば、特開平6−45875号には、図6に示すようにスイッチトキャパシタ増幅回路において、演算増幅器の逆相入力端子と基準電位との間にコンデンサCLを設け、当該コンデンサCLをオフセット電圧のキャンセル動作時に演算増幅器の負荷とするものが開示されている。その動作は次の通りとなっている。キャンセル動作時にスイッチA3、4、5をオンとし、スイッチB6、7をオフとし、ここで、入力電圧をVinとし、入力オフセット電圧をVOSとすると、コンデンサαC10にVOS−Vinだけ充電し、コンデンサC11にVOSだけ充電する。逆に増幅動作時にスイッチA3、4、5をオフとし、スイッチB6、7をオンとし、ここで出力電圧をVoutとすると、コンデンサαC10にVOSだけ充電し、コンデンサC11にVOS−Voutだけ充電する。ここで演算増幅器の反転入力における電荷は一定となっており、αC(VOS−Vin)+CVOS=αCVOS+C(VOS−Vout)の関係が成り立ち、Vout=αVinとなり、オフセット電圧がキャンセルされる。
【0005】
また、特開平6−54118号には、イメージセンサ装置において、図7に示すように信号線L(1)に逆相入力端子を接続した演算増幅器21の出力端子をアナログスイッチ24、コンデンサ25を介して演算増幅器22の正相入力端子に接続し、この正相入力端子(点A)と接地との間にアナログスイッチ26とコンデンサ27とを並列に接続してあり、演算増幅器22の出力端子をアナログスイッチ28、コンデンサ29を介して演算増幅器23の正相入力端子に接続し、この正相入力端子(点B)と接地との間にアナログスイッチ30とコンデンサ31とを並列に接続してあり、演算増幅器21の正相入力端子と接地との間にスイッチ4(1)を接続し、演算増幅器23の出力端子と出力線OUTLとの間にアナログスイッチ5(1)を接続し、オフセット電圧をキャンセル可能とした増幅回路が開示されている。その動作は次の通りとなっている。時刻t1にアナログスイッチ24、26、28及び30をオンとしてコンデンサ25、29を充電する。コンデンサ25、29の端子間電圧Vc25、Vc29はそれぞれ、Vc25=20(Vin+Vos1)、Vc29=20Vos2となる。ここでVinは入力電圧、Vos1、Vos2はそれぞれアンプ21、22の入力オフセット電圧である。次に時刻t2にアナログスイッチ24、26、28及び30をオフとし、スイッチ4(1)をオンとして信号線L(1)に蓄積された電荷を放電する。次に時刻t3にアナログスイッチ24、28をオンとすると、点Aの電位VA、点Bの電位VBはそれぞれ、VA=(20Vos1−Vc25)/2+Vos2=−Vin+Vos3、VB={20(−10Vin+Vos2)−Vc29}/2+Vos3=−100Vin+Vos3となる。ここでVos3は演算増幅器23の入力オフセット電圧であり、入力側の入力オフセット電圧Vos1、Vos2はキャンセルされ、全体の回路ゲインとしては100倍とすることができ、最終段の入力オフセット電圧Vos3の最終的な出力に与える影響を小さくできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すスイッチトキャパシタ増幅回路に関しては、実際にはプロセス上の問題から各コンデンサにばらつきを生じ、オフセット電圧を十分にキャンセルすることは難しい。また、コンデンサの占有面積が大きくなり、増幅回路の集積化の際に集積回路チップの小型化の妨げとなる。加えて増幅率を可変とすることができず、微小電圧の増幅のように微調整を必要とする用途向けの増幅回路としては不向きである。
【0007】
また、図7に示す3つの演算増幅器をコンデンサ、アナログスイッチを介して縦続に接続したものでは、時刻t2から時刻t3迄の間において演算増幅器22、23の正相入力端子がフローティングとなるため、その期間コンデンサ25、29に充電された電荷を保持するために、言い換えるとその間十分に先に入力されたデータを保持するために、コンデンサ27、31が設けられており、コンデンサ25、27、29、31は大きな容量が必要となる。また、上述のスイッチトキャパシタ増幅回路と同様にオフセット電圧のキャンセルの精度もコンデンサ27、31の精度に依存しているために、高精度のオフセット電圧のキャンセルは難しい。また、各演算増幅器の信号伝送路上にアナログスイッチ24、28を有することから、スイッチングによるノイズ、寄生容量による伝送遅延が生じる。このように、構成素子数が多く、スイッチング素子のコントロールラインを多数必要とする等回路構成が複雑化し、この点からも装置の小型化、低電力化及び高速動作化の妨げとなっている。
【0008】
そこで、本発明は、高精度のオフセットキャンセルが可能であるとともに、小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化が可能な増幅回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の増幅回路は、演算増幅器と、一方の端子を上記演算増幅器の出力端子に接続し、他方の端子を出力バッファに接続したコンデンサと、上記演算増幅器の入力端子を、信号入力端子または基準電位に選択的に導通させる第1スイッチング素子と、上記コンデンサの他方の端子を上記基準電位に選択的に導通させる第2スイッチング素子とを備え、上記第1及び第2スイッチング素子を共に上記基準電位側に導通させ、次に上記第2スイッチング素子を非導通とした後に上記第1スイッチング素子を上記信号入力端子側に導通させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の増幅回路は、各々の出力端子には各々のコンデンサが接続され、当該各々のコンデンサを介して次段の入力端子に接続されて縦続接続された演算増幅器の複数個と、最前段の上記演算増幅器の入力端子を、信号入力端子または基準電位に選択的に導通させる第1スイッチング素子と、最後段の上記演算増幅器にコンデンサを介して接続された出力バッファと、上記各々のコンデンサの次段側の端子を上記基準電位に選択的に導通させる第2スイッチング素子の複数個とを備え、上記第1及び第2スイッチング素子を共に上記基準電位側に導通させ、次に最終段から最前段へと順次に各段の上記第2スイッチング素子を非導通とした後に上記第1スイッチング素子を上記信号入力端子側に導通させることも好ましい。
【0011】
また、上記演算増幅器と上記出力バッファとが電界効果型トランジスタからなることを特徴とすることも好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
【0013】
本発明の第1実施例の増幅回路の構成について図1のブロック図を参照しながら説明する。演算増幅器OP1は図4に示すMOSトランジスタから構成される演算増幅器と同様のものである。演算増幅器OP1は、その逆相入力端子−を抵抗R1を介して基準電位Vrefに接続するとともに抵抗R1を介して演算増幅器OP1の出力端子Xに接続してあり、その正相入力端子+は第1スイッチング素子SW1を介して信号入力端子INに接続してあり、演算増幅器OP1は正相演算増幅器を構成し、本例の増幅回路は正相演算増幅器として機能する。
【0014】
演算増幅器OP1の出力端子XはコンデンサC1を介して出力バッファBUFの入力端子に接続される。出力バッファBUFもMOSトランジスタから構成され、ハイインピーダンスの入力端子を備えるものであり、この入力端子に接続される側のコンデンサC1の端子が、第2スイッチング素子SW2がオフとなることにより、演算増幅器OP1の入力が変化しない限り、直前の電荷を保持することを可能としている。出力バッファBUFはハイインピーダンスの入力端子を備えるものであれば良く、その他の構成は適宜に選択すれば良い。出力バッファBUFの出力端子OUT’が本例の増幅回路の図示しない後段回路への出力端子となる。コンデンサC1と出力バッファBUFとの接続点OUTは第2スイッチング素子SW2を介して基準電位Vrefに接続される。
【0015】
第1スイッチング素子SW1は正相入力端子+を信号入力端子INまたは基準電位Vrefに選択的に導通させるものであり、例えば、MOSトランジスタからなる3端子のアナログスイッチである。第2スイッチング素子SW2もMOSトランジスタから構成されるアナログスイッチである。第1、第2スイッチング素子SW1、SW2は、図示しない制御回路からのクロック信号によって導通状態を制御され、後述するように動作する。
【0016】
次に以上の構成要素からなる本例の増幅回路の動作について説明する。本例の増幅回路の動作では、第1、第2スイッチング素子SW1、SW2を共に基準電位Vref側に導通させ、正相入力端+と接続点OUTとを基準電位Vrefと導通させる(状態1)。ここで、基準電位Vrefの電位を0Vとし、状態1での出力端子Xの電位をVX1とし、接続点OUTの電位をVOUT1とし、演算増幅器OP1の入力オフセット電圧をVOSとし、抵抗R1、R2の抵抗値をそれぞれR1、R2とし、コンデンサC1の容量値をCとし、第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷をΔQとすると次の式▲1▼が成り立つ。
VOUT1−VX1=−VOS×(1+R2/R1)=ΔQ/C・・・▲1▼
【0017】
すなわち、演算増幅器OP1における入力オフセット電圧VOSによって生じる出力電圧の誤差分の電荷がコンデンサC1に充電される。
【0018】
次に第2スイッチング素子SW2をオフとして接続点OUTと基準電位Vrefとを非導通とする(状態2)。ここで出力バッファBUFの入力端子はハイインピーダンスのものであり、第2スイッチング素子SW2がオフとなることによってコンデンサC1の接続点OUT側の端子がフローティングとなり、また、正相入力端子+が基準電位Vrefに接続されたままで出力端子Xの電位が変化しないことから、第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷が保持される。ここでコンデンサC1の端子間に保持する電圧は入力オフセット電圧VOSによる誤差分だけでよく、コンデンサC1の容量値は図7に示す従来のもののようにコンデンサ25等に比べて小さなもので良い。
【0019】
次に第1スイッチング素子SW1を基準電位Vrefから切り離し、信号入力端子IN側に導通させる(状態3)。これによって正相入力端子+は基準電位Vrefに変わって信号入力端子INに接続され、演算増幅器OP1には入力信号が入力される。ここで、状態1及び2でのコンデンサC1の電荷は保存されており、状態3での出力端子Xの電位をVX3とし、接続点OUTの電位をVOUT3とし、入力信号の電位をVinとすると、次の式▲2▼が成り立つ。
VOUT3−VX3=VOUT3−(Vin+VOS)×(1+R2/R1)=ΔQ/C・・・▲2▼
式▲1▼を式▲2▼に代入すると次の式▲3▼が成り立つ。
VOUT3=Vin×(1+R2/R1)・・・▲3▼
【0020】
式▲3▼から、状態3において、演算増幅器OP1における入力オフセット電圧VOSによって生じる出力電圧の誤差分VOS×(1+R2/R1)、すなわち、オフセット電圧をキャンセルした出力電圧VOUT3が接続点OUTに生じることが示される。これは出力バッファBUFの出力端子OUT’より図示しない後段回路に出力される。
【0021】
本例の増幅回路は、状態1、2、3を繰り返すことにより、入力信号を入力オフセット電圧の影響なく増幅できる。状態1から状態2への移行期間は、誤差分VOS×(1+R2/R1)に相当する電圧をコンデンサC1に充電可能な期間とすれば良い。状態2から3への移行間の期間は、その期間内にクロック信号によってスイッチング素子SW2を十分にオフとさせ得る期間とすれば良く、状態3から状態1への期間はコンデンサC1に保持された誤差分の電圧によってオフセット電圧をキャンセル可能な期間であれば良く、後段回路に応じて適宜定めれば良く、例えば、後段回路のサンプルタイミングにあわせて状態3から1に切り替えれば良い。
【0022】
上述の通り、本例の増幅回路では、入力オフセット電圧VOSによって生じるオフセット電圧をコンデンサC1の端子間に保持した後に、入力信号を入力するとともにコンデンサC1に保持した上記オフセット電圧を差し引くことで、オフセットキャンセルを行う。このため、1つのコンデンサ、2つのスイッチング素子という簡易な構成でオフセットキャンセルが可能であり、増幅回路の小型化及び低電力化が可能である。
【0023】
図6、7に示す従来のもののように1つの演算増幅器のオフセット電圧を保持するためのコンデンサを複数個用いるものでは、コンデンサの容量値のばらつきによって高精度のオフセットキャンセルは難しかったが、本例の増幅回路では1つのコンデンサによって1つの演算増幅器のオフセット電圧を保持し、キャンセル動作に用いるため、そのような複数のコンデンサの容量値のばらつきによる悪影響は著しく減少し、高精度のオフセットキャンセルが可能となる。
【0024】
図7に示した従来のものでは、入力信号を入力し、入力信号分の電圧とオフセット電圧とをコンデンサに保持した後に、オフセット電圧を差し引くことでオフセットキャンセルを行っているが、コンデンサにはオフセット電圧に入力信号分の電圧を加えた分だけ充電する必要があり、コンデンサの容量値、言い換えれば、面積を小さくすることは難しかった。このため、図7に示した従来のものでは保持用のコンデンサ27、31をも必要としていた。これに対して、本例では、コンデンサC1はオフセット電圧を保持できれば良く、このため、コンデンサC1の容量値、すなわち、その面積を極力抑えることができ、また、コンデンサC1とは別途に保持用のコンデンサを設ける必要がなく、増幅回路の集積化の際にはチップ面積の小型化を進める上で効果が大きい。
【0025】
さらに、図7に示す従来のものでは、演算増幅器の出力端子とコンデンサとの間にアナログスイッチを設けてこれらをオフとすることにより、コンデンサに充電された電圧が各演算増幅器の入力側の影響により変化することを避ける構成としており、その分回路構成及びその制御を煩雑なものとし、加えて、アナログスイッチのスイッチング及び寄生容量の影響によるノイズや伝送遅延等、回路特性が悪化する問題があった。これに対して本例の増幅回路では、オフセット電圧をコンデンサC1に充電するために共に基準電位に導通させた第1、第2スイッチング素子SW1、SW2については、演算増幅器OP1の入力端子側の第1スイッチング素子SW1よりも出力側の第2スイッチング素子SW2を先にオフとすることにより、演算増幅器の入力側の影響を受けることなくオフセット電圧をコンデンサC1に保持する構成を取っている。これによって、演算増幅器OP1の出力端子とコンデンサC1との間に別途アナログスイッチを設ける必要がなく、回路構成及びその制御を簡易にでき、ノイズや伝送遅延を極力抑えることができ、増幅回路の低電力化、低雑音化及び高速動作化を進めることが可能となっている。
【0026】
次に本発明の第2実施例について述べる。上記第1実施例では、正相演算増幅器として機能する増幅回路について述べたが、本発明はこれに限らず、逆相演算増幅器として機能する増幅回路であっても良く、本例ではこれについて以下に述べる。本例の増幅回路は図2に示すように構成され、同図において図1と同様の構成は図1と同様の符号で示すこととする。演算増幅器OP1の正相入力端子は基準電位Vrefに接続され、逆相入力端子−は抵抗R1を介して第1スイッチング素子SW1に接続されるとともに、抵抗R2を介して出力端子Xに接続される。これにより、演算増幅器OP1は逆相演算増幅器を構成し、本例の増幅回路は逆相演算増幅器として機能する。第1スイッチング素子は抵抗R1を介して逆相入力端子−を基準電位Vrefに導通させるとともに、信号入力端子INに導通させる。これ以外の接続関係は図1の構成と同様のものである。
【0027】
次に本例の動作について述べる。第1、第2スイッチング素子SW1、SW2を共に基準電位Vref側に導通させ、逆相入力端−と接続点OUTとを基準電位Vrefと導通させる(状態1)。第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷をΔQについては次の式▲1▼’が成り立つ。式▲1▼’において式▲1▼と同様の符号は同様の値を示すものとする。以下に述べる式においても同様のこととする。
VOUT1−VX1=VOS×(R2/R1)=ΔQ/C・・・▲1▼’
【0028】
次に第2スイッチング素子SW2をオフとして接続点OUTと基準電位Vrefとを非導通とする(状態2)。第2スイッチング素子SW2がオフとなることによってコンデンサC1の接続点OUT側の端子がフローティングとなり、また、逆相入力端子−が抵抗R1を介して基準電位Vrefに接続されたままで出力端子Xの電位が変化しないことから、第1状態においてコンデンサC1に充電された電荷が保持される。
【0029】
次に第1スイッチング素子SW1を基準電位Vrefから切り離し、信号入力端子IN側に導通させる(状態3)。これによって逆相入力端子−は抵抗R1を介して基準電位Vrefに変わって信号入力端子INに接続され、演算増幅器OP1には入力信号が入力される。ここで、状態1及び2でのコンデンサC1の充電電荷は保存されており、次の式▲2▼’が成り立つ。
VOUT3−VX3=VOUT3+(Vin+VOS)×(R2/R1)=ΔQ/C・・・▲2▼’
式▲1▼’を式▲2▼’に代入すると次の式▲3▼’が成り立つ。
VOUT3=−Vin×(R2/R1)・・・▲3▼’
【0030】
式▲3▼’から、状態3において、演算増幅器OP1における入力オフセット電圧Vosによって生じる出力電圧の誤差分VOS×(R2/R1)、すなわち、オフセット電圧をキャンセルした出力電圧VOUT3が接続点OUTに生じることが示される。これは出力バッファBUFの出力端子OUT’より図示しない後段回路に出力される。
【0031】
上述の通りの構成及び動作の本例の逆相増幅器として機能する増幅回路においても、上記第1実施例の正相増幅器として機能する増幅回路と同様の作用及び効果を奏する。
【0032】
次に本発明の第3実施例について説明する。上記第1及び第2実施例では、1つの演算増幅器を用いる増幅回路について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、微小電圧の取扱いに更に適合させかつ、より大きな増幅率を得るために、複数の演算増幅器を縦続接続してなる増幅回路を以下の如く構成しても良い。本例の増幅回路を図3に示す。同図において図1と同様の構成は図1と同様の符号で示すこととする。演算増幅器OP2は演算増幅器OP1と同様のものであり、その正相入力端子+はコンデンサC1を介して演算増幅器OP1の出力端子Xに接続される。演算増幅器OP2の出力端子YはコンデンサC2を介して出力バッファBUFの入力端子に接続される。このコンデンサC2と出力バッファBUFとの接続点OUT”と基準電位Vrefとの間にさらなる第2スイッチング素子SW3が接続されている。
【0033】
なお、本例では演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子Xとの間では、抵抗R2、R3が直列接続されている。これら抵抗R2、R3の両端間にはそれぞれ両端間を短絡するスイッチング素子SW4、SW5が接続されてあり、図示しない制御回路からのクロック信号によってスイッチング素子SW4、SW5それぞれのオン、オフを制御することによって演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子Xとの間▲2▼接続される抵抗値を選択可能としてあり、演算増幅器OP1の構成する正相演算増幅器の増幅率を可変としてある。微小電圧を取り扱う増幅回路としては、このような増幅率の調整が容易に行えることは有利である。例えば、図6に示すスイッチトキャパシタ増幅回路では増幅率の調整は難しかった。
【0034】
演算増幅器OP2の逆相入力端子−は抵抗R4を介して基準電位Vrefに接続され、逆相入力端子−と出力端子Yとの間では、抵抗R5、R6が直列接続されて正相演算増幅器を構成する。演算増幅器OP1の構成する正相演算増幅器と同様に、抵抗R5、R6の両端間にはそれぞれ両端間を短絡するスイッチング素子SW6、SW7が接続されてあり、スイッチング素子SW6、SW7によって、演算増幅器OP2の構成する正相演算増幅器の増幅率を可変としてある。
【0035】
また、演算増幅器OP2はハイインピーダンスの入力端子を備えるものであり、コンデンサC1のこれに接続される側の端子を第2スイッチング素子SW2がオフのときにフローティングとし、前段の演算増幅器の入力が変化しない限り、コンデンサC1の電荷を保持可能としてある。演算増幅器OP2はハイインピーダンスの入力端子を備えるものであれば良い。
【0036】
次に本例の増幅回路の動作について説明する。先ず、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、SW3を総て基準電位Vref側に導通させ、演算増幅器OP1の正相入力端子+と、演算増幅器OP2の正相入力端子+(接続点OUT)と、接続点OUT”とを基準電位Vrefに導通させる(状態1)。これにより、上記第1実施例と同様の作用によってコンデンサC1の端子間には演算増幅器OP1の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が生じる。また、同様の作用によってコンデンサC2の端子間には演算増幅器OP2の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が生じる。
【0037】
次に最終段の演算増幅器OP2の第2スイッチング素子SW3をオフとする(状態2−1)。これによってコンデンサC2の接続点OUT”側の端子がフローティングとなり、演算増幅器OP2の正相入力端子+は基準電位Vrefに接続されているので、コンデンサC2の端子間には演算増幅器OP2の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が保持される。次に最前段の演算増幅器OP1の第2スイッチング素子SW2をオフとする(状態2−2)。これによってコンデンサC1の接続点OUT側の端子がフローティングとなり、演算増幅器OP1の正相入力端子+は基準電位Vrefに接続されているので、コンデンサC1の端子間には演算増幅器OP1の入力オフセット電圧による誤差分の電圧が保持される。
【0038】
次に第1スイッチング素子SW1を基準電位Vrefから切り離し、信号入力端子IN側に導通させる(状態3)。これによって演算増幅器OP1の正相入力端子+は基準電位Vrefに変わって信号入力端子INに接続され、演算増幅器OP1には入力信号が入力される。上記第1実施例と同様の作用によって演算増幅器OP1にそのオフセット電圧をキャンセルした出力電圧が接続点OUTに生じる。この出力電圧を入力される演算増幅器OP2においても上記第1実施例と同様の作用によって演算増幅器OP2にそのオフセット電圧をキャンセルした出力電圧が接続点OUT”に生じる。これは出力バッファBUFの出力端子OUT’より図示しない後段回路に出力される。
【0039】
以上のように本例の増幅回路のように、上記第1実施例の増幅回路を基本として演算増幅器を多段化したものでも、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、SW3を基準電位側に導通させ、各段のコンデンサC1、C2にそれぞれ各段の演算増幅器のオフセット電圧を充電し、第2スイッチング素子SW2、SW3を最終段の第2スイッチング素子から順にオフとし、コンデンサC1、C2に各段の電荷を保持し、端子間の電圧を保持した後、第1スイッチング素子SW1を信号入力端子IN側に導通させており、これにより各段の演算増幅器においてそれぞれ上記第1実施例と同様の作用によって各段の演算増幅器のオフセット電圧をキャンセルできる。従って本例の増幅回路においても上記第1実施例のものと同様の作用及び効果を奏する。また、本例の増幅回路では、上記第1実施例のものと比較して演算増幅器の多段化により大きな増幅率が得られる。さらに、本例の増幅回路では、図7に示す従来のもののように演算増幅器の出力とコンデンサとの間にアナログスイッチ等のスイッチング素子を有しないので、微小電圧の取扱いに適合させるべく多段化を進めてもスイッチング素子に伴なうノイズ、伝送遅延、制御の煩雑化等の問題を極力抑えることが可能となる。
【0040】
また、本例では、演算増幅器の段を2段としたが、上述の本例の手法を用いてさらに多段化しても良い。各演算増幅器は、特に2段目以降のものは、ハイインピーダンスの入力端子を備えるものであれば良い。
また、本例では正相演算増幅器として機能する多段演算増幅器構成の増幅回路について述べたが、上記第2実施例の逆相演算増幅器として機能する増幅回路を基に上述の本例の手法で多段化して逆相演算増幅器として機能する多段演算増幅器構成の増幅回路を構成することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の増幅回路では、1つのコンデンサを用いてオフセットキャンセルが可能であるから、従来の複数のコンデンサを用いるもののようにコンデンサの容量値のばらつきによる精度低下がなく、高精度のオフセットキャンセルが可能となる。これにより、センサ装置等の微小電圧を取り扱う用途向けに適合する高精度の増幅回路を提供することが可能となる。また、本発明はスイッチトキャパシタ型の増幅回路ではないので、スイッチトキャパシタ型の増幅回路では不可能な増幅率の調整が可能となっており、この点からも微小電圧を取り扱う用途向けにより適合する。
【0042】
また、コンデンサの容量値は演算増幅器の入力オフセット電圧による誤差分の電圧を充電できる程度のもので良く、小さな容量値のものが使用できる。従来のもののように入力信号を取り込んだ後にオフセットキャンセルを行うものでは、入力信号分の電圧を含めて保持可能とするために大容量のコンデンサを必要とするが、本発明のものではその必要がなく、コンデンサの小型化が可能である。特に増幅回路の集積化の際には、コンデンサの占有面積が小さい分だけチップの小型化を進める上で有利である。
【0043】
また、第1スイッチング素子より先に第2スイッチング素子をオフとしてコンデンサの他方の端子を基準電位から切り離してフローティングとするので、演算増幅器の入力変化の影響を受けずに入力オフセット電圧による誤差分の電圧をコンデンサに保持することができ、従来のもののように演算増幅器とコンデンサとの間にスイッチング素子を設ける必要がない。このため、このスイッチング素子に伴なうスイッチングノイズ、寄生容量による伝送遅延、スイッチング制御の煩雑化等の問題をなくすことができ、増幅回路の低雑音化、高速動作化、低電力化を進めることができる。また、演算増幅器とコンデンサとの間にスイッチング素子を設ける必要がなく上述の問題がないことから、増幅回路内で演算増幅器の多段化を進めることが容易となり、ひいては、微小電圧の取扱いに適合する大きな増幅率の増幅回路を構成することが容易となる。
【0044】
また、本発明の増幅回路では以上のようにコンデンサの容量値を小さくし、必要なスイッチング素子数を減らせることが可能であるから、小型化、低電力化、低雑音化及び高速動作化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の増幅回路の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第2実施例の増幅回路の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1実施例の増幅回路の構成を示すブロック図。
【図4】CMOS演算増幅器の構成を示す電気回路図。
【図5】正相演算増幅器の構成を示すブロック図。
【図6】従来のオフセットキャンセル型のスイッチトキャパシタ増幅回路の構成を示すブロック図。
【図7】従来のオフセットキャンセル型の増幅回路の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
OP1、OP2 演算増幅器
BUT 出力バッファ
SW1 第1スイッチング素子
SW2、SW3 第2スイッチング素子
C1、C2 コンデンサ
Claims (3)
- 演算増幅器と、一方の端子を上記演算増幅器の出力端子に接続し、他方の端子を出力バッファに接続したコンデンサと、上記演算増幅器の入力端子を、信号入力端子または基準電位に選択的に導通させる第1スイッチング素子と、上記コンデンサの上記他方の端子を上記基準電位に選択的に導通させる第2スイッチング素子とを備え、
上記第1及び第2スイッチング素子を共に上記基準電位側に導通させ、次に上記第2スイッチング素子を非導通とした後に上記第1スイッチング素子を上記信号入力端子側に導通させる
ことを特徴とする増幅回路。 - 各々の出力端子には各々のコンデンサが接続され、当該各々のコンデンサを介して次段の入力端子に接続されて縦続接続された演算増幅器の複数個と、最前段の上記演算増幅器の入力端子を、信号入力端子または基準電位に選択的に導通させる第1スイッチング素子と、最後段の上記演算増幅器にコンデンサを介して接続された出力バッファと、上記各々のコンデンサの次段側の端子を上記基準電位に選択的に導通させる第2スイッチング素子の複数個とを備え、
上記第1及び第2スイッチング素子を共に上記基準電位側に導通させ、次に最終段から最前段へと順次に各段の上記第2スイッチング素子を非導通とした後に上記第1スイッチング素子を上記信号入力端子側に導通させる
ことを特徴とする増幅回路。 - 上記演算増幅器と上記出力バッファとが電界効果型トランジスタからなることを特徴とする請求項1または2に記載の増幅回路。
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- 2002-08-30 JP JP2002253400A patent/JP2004096324A/ja active Pending
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