JP2004092702A - 自動変速装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことのできる自動変速装置の制御装置を提供する。
【解決手段】手動変速モード時において、TCU21は、セレクトレバー24がアップシフト側或いはダウンシフト側に操作された際に、セレクトレバー変位センサ30a,30bからの信号に基づいてセレクトレバー操作速度算出部46でセレクトレバー操作速度Vsftを算出し、変速動作補正係数算出部47でセレクトレバー操作速度Vsftに応じたプライマリ圧補正係数Hppを算出する。そして、実変速比iと目標変速比is’とから求められるプライマリ圧ΔPpを、セレクトレバー操作速度Vsftが早くなる程高圧側に補正補正して最終的なプライマリ圧ΔPp’を設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】手動変速モード時において、TCU21は、セレクトレバー24がアップシフト側或いはダウンシフト側に操作された際に、セレクトレバー変位センサ30a,30bからの信号に基づいてセレクトレバー操作速度算出部46でセレクトレバー操作速度Vsftを算出し、変速動作補正係数算出部47でセレクトレバー操作速度Vsftに応じたプライマリ圧補正係数Hppを算出する。そして、実変速比iと目標変速比is’とから求められるプライマリ圧ΔPpを、セレクトレバー操作速度Vsftが早くなる程高圧側に補正補正して最終的なプライマリ圧ΔPp’を設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバ操作によって任意の変速段を設定可能な手動変速モードを備えた自動変速装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載されている自動変速装置の制御装置においては、エンジン負荷、エンジン回転数、車速等に基づいて変速段を自動的に可変設定するいわゆる自動変速モードと、ドライバが変速段を任意に選択することのできる手動変速モードとを設えたものが種々提案されている。
【0003】
このような制御装置において、手動変速モードでのドライバの操作フィーリングを向上するため、例えば特開平9−196161号公報には、手動変速スロット上に、セレクトレバー(シフトレバー)の変位量に応じて反力が段階的に増大する反力発生手段を設けるとともに、セレクトレバーのアップシフト側への変位量に応じて順次オンする第1,第2アップスイッチと、ダウンシフト側への変位量に応じて順次オンする第1,第2のダウンスイッチとを設け、第1アップスイッチのみがオンした場合或いは第1ダウンスイッチのみがオンした場合には第1の変速速度で変速制御を行う一方、第1,第2アップスイッチがともにオンした場合或いは第1,第2ダウンスイッチがともにオンした場合には第1の変速速度よりも大きな第2の変速速度で変速制御を行う技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の変速制御において、手動変速モードでのドライバの操作フィーリングをさらに向上するためには、変速速度をさらに細かく制御することが望ましい。
【0005】
しかしながら、上述の特開平9−196161号公報に開示された技術において、変速速度をさらに細かく制御するためには、反力発生手段で発生する反力やアップスイッチ及びダウンスイッチをより多段に設定する必要があり、反力発生手段の構成が複雑化したり手動変速スロットが前後に長大化する等の不具合が生じる虞がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことのできる自動変速装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、変速モードとして自動変速モードと手動変速モードとを備え、上記手動変速モード時には、ドライバによるセレクトレバーの操作に応じて所定の変速段に順次アップシフト或いはダウンシフトする自動変速装置の制御装置において、上記手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時の上記セレクトレバーの操作速度を検出する操作速度検出手段と、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作を上記セレクトレバーの操作速度に応じて可変に制御する変速制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、請求項1記載の発明は、手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時のセレクトレバーの操作速度を操作速度検出手段で検出し、変速制御手段によって、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作をセレクトレバーの操作速度に応じて可変に制御することでドライバの意志に応じた変速動作を実現する。
【0009】
この場合、請求項2に記載のように、上記変速制御手段は上記操作速度が早くなる程上記変速速度を早く設定するか、或いは、請求項3に記載のように、上記変速制御手段は上記操作速度が早くなる程上記変速動作開始タイミングを早く設定することが望ましい。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、変速モードとして自動変速モードと手動変速モードとを備え、上記手動変速モード時には、ドライバによるセレクトレバーの操作に応じて所定の変速段に順次アップシフト或いはダウンシフトする自動変速装置の制御装置において、上記手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時の上記セレクトレバーへの操作力を検出する操作力検出手段と、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作を上記セレクトレバーへの操作力に応じて可変に制御する変速制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項4記載の発明は、手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時のセレクトレバーへの操作力を操作力検出手段で検出し、変速制御手段によって、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作をセレクトレバーへの操作力に応じて可変に制御することでドライバの意志に応じた変速動作を実現する。
【0012】
この場合、請求項5に記載のように、上記変速制御手段は、上記操作力が大きくなる程上記変速速度を早く設定するか、或いは、請求項6に記載のように、上記変速制御手段は、上記操作力が大きくなる程上記変速動作開始タイミングを早く設定することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は変速制御処理の機能ブロック図、図2は自動変速装置の概略構成図、図3は変速操作部の要部を示す説明図、図4は手動変速モード時の各変速段における変速比を示すマップ、図5は手動変速操作時のセンサ出力値の経時変化を示す説明図、図6はセレクトレバーの操作速度とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップ、図7〜図10は手動変速モード時の油圧変化を示す説明図である。
【0014】
図2において、符号1はエンジンを示し、このエンジン1の出力軸が、電磁クラッチ或いはトルクコンバータ等の発進クラッチ2を介して自動変速装置3の前後切換装置4に連設されている。
【0015】
また、前後切換装置4が無段変速機5のプライマリプーリ5aを軸支するプーリ入力軸5bに連設され、このプーリ入力軸5bと平行に配設されているプーリ出力軸5cにセカンダリプーリ5dが軸着され、これら両プーリ5a,5dに駆動ベルト5eが巻装されている。
【0016】
また、プライマリプーリ5a及びセカンダリプーリ5dには、プライマリ油圧室5f及びセカンダリ油圧室5gがそれぞれ併設されている。そして、無段変速機5では、プライマリ油圧室5fに供給されるプライマリ油圧によってプーリ溝幅が設定され、セカンダリ油圧室5gに供給されるセカンダリ油圧によって駆動ベルト5eへの張力が付与される。
【0017】
また、自動変速装置3において、プーリ出力軸5cは終減速装置6の減速歯車群6aを介してディファレンシャル装置6bに連設され、このディファレンシャル装置6bに前輪或いは後輪の駆動輪7aを軸着する駆動軸7が連設されている。
【0018】
次に、無段変速機5の油圧回路について説明する。図中の符号11はエンジン駆動式のオイルポンプで、このオイルポンプ11の吐出側のライン圧油路12が、セカンダリシリンダ5g、ライン圧制御弁13、プライマリ圧制御弁14に連通されているとともに、ライン圧制御用ソレノイド弁15a及びプライマリ圧制御用ソレノイド弁15bにそれぞれオリフィス16を介して連通されている。
【0019】
各ソレノイド弁15a,15bは、トランスミッション制御ユニット(TCU)21からのデューティ信号により駆動制御され、ライン圧油路12から供給されるライン圧(元圧)を、例えば、デューティ信号のオン時に排圧し、オフ時に吐出する。ライン圧制御用ソレノイド弁15aからの吐出圧は、油路17を介してライン圧制御弁13に供給され、ライン圧制御弁の制御動作圧として作用する。一方、プライマリ圧制御用ソレノイド弁15bからの吐出圧は、油路18を介してプライマリ圧制御弁14に供給され、プライマリ圧制御弁の制御動作圧として作用する。
【0020】
そして、ライン圧制御弁13では、制御動作圧により変速比i、エンジントルクTに基づくライン圧の制御を行う。また、プライマリ圧制御弁14では、元圧であるライン圧と制御動作圧との圧力の釣り合いにより、プライマリ圧制御弁14上流のライン圧油路12と無段変速機5のプライマリ油圧室5fに連通する油路19とを接続する給油位置と、油路12,19を遮断するとともに油路19をドレーンする排油位置とを切換動作することで、プライマリ油圧室5fに供給する油圧を制御して変速制御を行う。
【0021】
TCU21は、CPUを主体としてRAM,ROM(何れも図示せず)等を有して構成され、エンジン回転数センサ31、スロットル開度センサ32、プライマリ回転数センサ33、及びセカンダリ回転数センサ34等の各種センサ類が接続されている。さらに、TCU21には、変速操作部24のセレクトレバー25のレンジ位置を検出するインヒビタスイッチ29が接続されているとともに、セレクトレバー25がDレンジの横に併設する手動変速スロット26へ移動された際にオン動作するマニュアルスイッチ27、セレクトレバー25が手動変速スロット26のアップシフトポジション(+)側に操作された際にアップ信号uを出力するアップスイッチ28a、同じくダウンシフトポジション(−)側に操作された際にダウン信号dを出力するダウンスイッチ28b、セレクトレバー25の(+)側への変位量を検出するセレクトレバー変位センサ30a、及びセレクトレバー25の(−)側への変位量を検出するセレクトレバー変位センサ30b等が接続されている。
【0022】
ここで、図3に示すように、本実施の形態において、セレクトレバー変位センサ30a,30bは、レーザーセンサ等のような非接触式の変位センサで構成されている。なお、セレクトレバー変位センサ30a,30bを触子式の変位センサで構成してもよいことは勿論である。
【0023】
次に、TCU21の変速制御に係る各機能について具体的に説明する。
図1に示すように、TCU21は、実変速比算出部40と、セカンダリ圧設定部41と、目標変速比算出部42と、エンジン許容回転数判定部43と、目標変速比補正部44と、プライマリ圧設定部45と、操作速度検出手段としてのセレクトレバー操作速度算出部46と、変速制御手段としての変速動作補正係数算出部47及び変速動作補正部48と、駆動部49,50とを有して構成され、ライン圧制御用ソレノイド弁15a及びプライマリ圧制御用ソレノイド弁15bに対する制御量(デューティ比)を演算する。
【0024】
実変速比算出部40では、プライマリ回転数センサ33からの信号に基づくプライマリ回転数Npと、セカンダリ回転数センサ34からの信号に基づくセカンダリ回転数Nsとを用いて、無段変速機5の実変速比i(i=Np/Ns)を算出する。
【0025】
セカンダリ圧設定部41では、エンジン回転数センサ31からの信号に基づくエンジン回転数Neと、スロットル開度センサ32からの信号に基づくスロットル開度θと、実変速比iとに基づいて、ΔPs=fs(Ne,θ,i)の関係から、マップ参照或いは演算により、セカンダリ圧(ライン圧)ΔPsを設定する。そして、設定されたセカンダリ圧ΔPsは駆動部49に出力され、ライン圧制御用ソレノイド弁15aが、駆動部49を通じてデューティ制御さるようになっている。
【0026】
目標変速比数算出部42では、自動変速モード時には、インヒビタスイッチ29から出力されるレンジ位置信号に基づいて、走行レンジ毎に備える目標プライマリ回転数マップの中から対応するマップを選択し、選択したマップを参照してセカンダリ回転数Nsとスロットル開度θとに基づく目標プライマリ回転数Npdを設定する。そして、目標プライマリ回転数Npdと、セカンダリ回転数Nsとを用いて、目標変速比is(is=Npd/Ns)を算出する。
【0027】
ここで、TCU21には、変速比を例えば1速から6速までの固定変速比(i1〜i6)に制御するためのマップ(図4参照)が設定されており、マニュアルスイッチ27がオン動作すると、TCU21は、手動変速モードへと移行し、所定の固定変速比を選択して無段変速機5の制御を行う。この場合において、目標変速比算出部42では、アップスイッチ28aからのアップ信号uが入力される毎に例えば2速、3速、…のように順次小なる変速比を目標変速比isとして設定し、ダウンスイッチ28bからのダウン信号dが入力される毎に例えば5速、4速、…のように順次大なる変速比を目標変速比isとして設定する。
【0028】
エンジン許容回転数判定部43では、手動変速モード時に算出された目標変速比isの妥当性を判定する。具体的には、エンジン許容回転数判定部43では、セカンダリ回転数Ns(すなわち、車速Vsに対応)を用いて、目標変速比isに基づくプライマリ回転数Np’(すなわちエンジン回転数Ne’に対応)を逆算し、このエンジン回転数Ne’が図4のマップに示す過小回転判定ラインL以上であって、且つ、過大回転判定ラインH以下である許容回転数範囲内であるか否かを判定する。
【0029】
目標変速比補正部44では、手動変速モード時に算出された目標変速比isから逆算されたエンジン回転数Ne’が許容回転数範囲外である場合には当該目標変速比isをキャンセルして前回のものに補正することで最終的な目標変速比is’を設定する一方、その他の場合(すなわち、手動変速モード時のエンジン回転数Ne’が許容回転数範囲内である場合、或いは、自動変速モード時の場合)には、今回算出された目標変速比isをそのまま最終的な目標変速比is’として設定する。
【0030】
プライマリ圧設定部45では、目標変速比is’に対して実変速比iが適切な変速時間で追従するよう、ΔPp=fp(i,is’)の関係から、マップ参照或いは演算により、変速時のプライマリ圧ΔPpを設定する。なお、プライマリ圧設定部45では、実変速比iが目標変速比is’に到達した時点で、当該目標変速比is’を維持するための所定油圧にプライマリ圧ΔPpを変化させるようになっている。
【0031】
セレクトレバー操作速度算出部46では、手動変速モード時に、セレクトレバー25がアップシフトポジション(+)側、或いはダウンシフトポジション(−)側へと操作された際に、当該セレクトレバー25の操作速度を算出する。具体的に説明すると、例えば図5に示すように、セレクトレバー変位センサ30a(30b)からの出力信号(出力電圧)は、セレクトレバー25が中立位置にあるとき所定電圧V0に保持され、セレクトレバー25が(+)側((−)側)へと操作されるに従って増加し、スロット終端位置で所定電圧V1となるようになっている。従って、セレクトレバー操作速度算出部46では、セレクトレバー変位センサ30a(30b)からの出力電圧がV0からV1となるまでに要した時間Δtを用いて、セレクトレバー操作速度Vsftを、
Vsft=(V1−V0)/Δt
により算出する。
【0032】
変速動作補正係数算出部47では、セレクトレバー操作速度算出部46で算出したセレクトレバー操作速度Vsftに基づき、マップを参照して、プライマリ圧ΔPpに対する補正係数(プライマリ圧補正係数)Hppを算出する。すなわち、図6に示すように、TCU21には、セレクトレバー操作速度Vsftとプライマリ圧補正係数Hppとの関係を示すマップが、例えば所定の車速Vs及びエンジントルクT毎に設定され格納されており、変速動作補正係数算出部47では、各センサ値から算出した車速Vs及びエンジントルクTに基づいてマップを選択し、選択したマップをセレクトレバー操作速度Vsftに基づいて参照することでプライマリ圧補正係数Hppを算出する。この場合において、プライマリ圧補正係数Hppは、セレクトレバー操作速度Vsftが早くなる程、プライマリ圧ΔPpを高圧側に補正するよう設定されている。
【0033】
そして、変速動作補正部48では、プライマリ圧ΔPpをプライマリ圧補正係数Hppで補正することにより最終的なプライマリ圧ΔPp’(ΔPp’=ΔPp・Hpp)を設定する。そして、設定されたプライマリ圧ΔPp’は駆動部50に出力され、プライマリ圧制御用ソレノイド弁15bが駆動部50を通じてデューティ制御されるようになっている。
【0034】
このような構成により、手動変速モード時において、TCU21は、セレクトレバー24がアップシフト側或いはダウンシフト側に操作された際に、実変速比iと目標変速比is’とから求められるプライマリ圧ΔPpを、セレクトレバー操作速度Vsftが早くなる程高圧側に補正して最終的なプライマリ圧ΔPp’を設定する。これにより、手動変速モードでセレクトレバー24が操作された後において、変速開始から変速終了までの時間(変速速度)が可変に制御される。すなわち、例えば、図7に示すように、セレクトレバー操作速度Vsftが早い場合には、プライマリ油圧ΔPpが高圧側に補正されるので、セレクトレバー25の操作後に早めの変速終了タイミングが得られ、一方、セレクトレバー操作速度Vsftが遅い場合には、プライマリ油圧ΔPpが低圧側に補正されるので、セレクトレバー25の操作後に遅めの変速終了タイミングが得られる。
【0035】
このような実施の形態によれば、無段階での検出が容易なセレクトレバーの操作速度に応じて変速速度を可変制御することにより、簡単な構成で、ドライバ操作に応じた無段階の変速速度でのシフトアップ制御或いはシフトダウン制御を行うことができる。従って、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことができる。
【0036】
なお、本実施の形態においては、例えば図8に示すように、変速速度Vsftに応じて、セレクトレバー25の操作後の変速動作の開始タイミングを可変制御することで、変速終了タイミングを可変制御するようにしてもよい。このような場合にも、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことが可能であることは勿論である。
【0037】
また、本実施の形態は、無段変速機を備えた自動変速装置に限定されるものではなく、例えば、複数の油圧多板クラッチ等の締結/解放制御によって所定のギヤ列を選択的に作用させて多段の変速段を得る構成の自動変速装置にも適用することが可能である。このような場合、例えば、図9に示すように、手動変速モード時におけるセレクトレバーの操作速度Vsftに応じて現ギヤ段用クラッチ圧及び次ギヤ段用クラッチ圧の変化量を増減補正して変速速度を可変制御することで変速動作にドライバの意志を反映させてもよく、また、図10に示すように、セレクトレバーが操作されてからの変速動作の開始タイミングを可変制御することで変速動作にドライバの意志を反映させてもよい。
【0038】
次に、図11乃至図13は本発明の第2の実施の形態に係わり、図11は変速制御処理の機能ブロック図、図12は変速操作部の要部を示す説明図、図13はセレクトレバーの操作力とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップである。なお、本実施の形態は、セレクトレバー25の操作速度に応じて変速動作を可変制御する構成とした上述の第1の実施の形態に対し、セレクトレバー25に付与する操作力に応じて手動変速モード時の変速動作を可変制御する構成とした点が異なる。従って、本実施の形態では、セレクトレバー変位センサ30a,30bに代えてセレクトレバー歪センサ60a,60bをTCU21に接続し、また、TCU21は、セレクトレバー操作速度算出部46、及び、変速動作補正係数算出部47に代えて、操作力検出手段としてのセレクトレバー操作力算出部61、及び、変速制御手段としての変速動作補正係数算出部47としての機能を有する。その他、上述の第1の実施の形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0039】
図12に示すように、本実施の形態において、セレクトレバー歪センサ60a,60bは、セレクトレバー25に固設され、アップシフト側及びダウンシフト側に操作された際のセレクトレバー25の歪み量をそれぞれ検出するようになっている。なお、セレクトレバー歪センサ60a,60bを非接触式の歪センサで構成してもよいことは勿論である。
【0040】
セレクトレバー操作力算出部61では、手動変速モード時に、セレクトレバー25がアップシフトポジション(+)側、或いはダウンシフトポジション(−)側へと操作された際に、当該セレクトレバー25の歪み量に基づいて、ドライバによるセレクトレバー25への操作力Fを算出する。
【0041】
また、変速動作補正係数算出部62では、セレクトレバー操作力算出部61で算出したセレクトレバー操作力Fに基づき、マップを参照して、プライマリ圧ΔPpに対する補正係数(プライマリ圧補正係数)Hppを算出する。この場合、図13に示すように、TCU21には、セレクトレバー操作力Fとプライマリ圧補正係数Hppとの関係を示すマップが、例えば所定の車速Vs及びエンジントルクT毎に設定され格納されており、プライマリ圧補正係数算出部62では、各センサ値から算出した車速Vs及びエンジントルクTに基づいてマップを選択し、選択したマップをセレクトレバー操作力Fに基づいて参照することでプライマリ圧補正係数Hppを算出する。この場合において、プライマリ圧補正係数Hppは、セレクトレバー操作力Fが大きくなる程、プライマリ圧ΔPpを高圧側に補正するよう設定されている。
【0042】
このような実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と略同様の作用・効果を奏することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成で、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことのがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わり、変速制御処理の機能ブロック図
【図2】同上、自動変速装置の概略構成図
【図3】同上、変速操作部の要部を示す説明図
【図4】同上、手動変速モード時の各変速段における変速比を示すマップ
【図5】同上、手動変速操作時のセンサ出力値の経時変化を示す説明図
【図6】同上、セレクトレバーの操作速度とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップ
【図7】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図8】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図9】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図10】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わり、変速制御処理の機能ブロック図
【図12】同上、変速操作部の要部を示す説明図
【図13】同上、セレクトレバーの操作力とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップ
【符号の説明】
3 … 自動変速装置
21 … トランスミッション制御ユニット
25 … セレクトレバー
46 … セレクトレバー操作速度算出部(操作速度検出手段)
47 … 変速動作補正係数算出部(変速制御手段)
48 … 変速動作補正部(変速制御手段)
61 … セレクトレバー操作力算出部(操作力検出手段)
62 … 変速動作補正係数算出部(変速制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバ操作によって任意の変速段を設定可能な手動変速モードを備えた自動変速装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載されている自動変速装置の制御装置においては、エンジン負荷、エンジン回転数、車速等に基づいて変速段を自動的に可変設定するいわゆる自動変速モードと、ドライバが変速段を任意に選択することのできる手動変速モードとを設えたものが種々提案されている。
【0003】
このような制御装置において、手動変速モードでのドライバの操作フィーリングを向上するため、例えば特開平9−196161号公報には、手動変速スロット上に、セレクトレバー(シフトレバー)の変位量に応じて反力が段階的に増大する反力発生手段を設けるとともに、セレクトレバーのアップシフト側への変位量に応じて順次オンする第1,第2アップスイッチと、ダウンシフト側への変位量に応じて順次オンする第1,第2のダウンスイッチとを設け、第1アップスイッチのみがオンした場合或いは第1ダウンスイッチのみがオンした場合には第1の変速速度で変速制御を行う一方、第1,第2アップスイッチがともにオンした場合或いは第1,第2ダウンスイッチがともにオンした場合には第1の変速速度よりも大きな第2の変速速度で変速制御を行う技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の変速制御において、手動変速モードでのドライバの操作フィーリングをさらに向上するためには、変速速度をさらに細かく制御することが望ましい。
【0005】
しかしながら、上述の特開平9−196161号公報に開示された技術において、変速速度をさらに細かく制御するためには、反力発生手段で発生する反力やアップスイッチ及びダウンスイッチをより多段に設定する必要があり、反力発生手段の構成が複雑化したり手動変速スロットが前後に長大化する等の不具合が生じる虞がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことのできる自動変速装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、変速モードとして自動変速モードと手動変速モードとを備え、上記手動変速モード時には、ドライバによるセレクトレバーの操作に応じて所定の変速段に順次アップシフト或いはダウンシフトする自動変速装置の制御装置において、上記手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時の上記セレクトレバーの操作速度を検出する操作速度検出手段と、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作を上記セレクトレバーの操作速度に応じて可変に制御する変速制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、請求項1記載の発明は、手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時のセレクトレバーの操作速度を操作速度検出手段で検出し、変速制御手段によって、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作をセレクトレバーの操作速度に応じて可変に制御することでドライバの意志に応じた変速動作を実現する。
【0009】
この場合、請求項2に記載のように、上記変速制御手段は上記操作速度が早くなる程上記変速速度を早く設定するか、或いは、請求項3に記載のように、上記変速制御手段は上記操作速度が早くなる程上記変速動作開始タイミングを早く設定することが望ましい。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、変速モードとして自動変速モードと手動変速モードとを備え、上記手動変速モード時には、ドライバによるセレクトレバーの操作に応じて所定の変速段に順次アップシフト或いはダウンシフトする自動変速装置の制御装置において、上記手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時の上記セレクトレバーへの操作力を検出する操作力検出手段と、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作を上記セレクトレバーへの操作力に応じて可変に制御する変速制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項4記載の発明は、手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時のセレクトレバーへの操作力を操作力検出手段で検出し、変速制御手段によって、上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作をセレクトレバーへの操作力に応じて可変に制御することでドライバの意志に応じた変速動作を実現する。
【0012】
この場合、請求項5に記載のように、上記変速制御手段は、上記操作力が大きくなる程上記変速速度を早く設定するか、或いは、請求項6に記載のように、上記変速制御手段は、上記操作力が大きくなる程上記変速動作開始タイミングを早く設定することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は変速制御処理の機能ブロック図、図2は自動変速装置の概略構成図、図3は変速操作部の要部を示す説明図、図4は手動変速モード時の各変速段における変速比を示すマップ、図5は手動変速操作時のセンサ出力値の経時変化を示す説明図、図6はセレクトレバーの操作速度とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップ、図7〜図10は手動変速モード時の油圧変化を示す説明図である。
【0014】
図2において、符号1はエンジンを示し、このエンジン1の出力軸が、電磁クラッチ或いはトルクコンバータ等の発進クラッチ2を介して自動変速装置3の前後切換装置4に連設されている。
【0015】
また、前後切換装置4が無段変速機5のプライマリプーリ5aを軸支するプーリ入力軸5bに連設され、このプーリ入力軸5bと平行に配設されているプーリ出力軸5cにセカンダリプーリ5dが軸着され、これら両プーリ5a,5dに駆動ベルト5eが巻装されている。
【0016】
また、プライマリプーリ5a及びセカンダリプーリ5dには、プライマリ油圧室5f及びセカンダリ油圧室5gがそれぞれ併設されている。そして、無段変速機5では、プライマリ油圧室5fに供給されるプライマリ油圧によってプーリ溝幅が設定され、セカンダリ油圧室5gに供給されるセカンダリ油圧によって駆動ベルト5eへの張力が付与される。
【0017】
また、自動変速装置3において、プーリ出力軸5cは終減速装置6の減速歯車群6aを介してディファレンシャル装置6bに連設され、このディファレンシャル装置6bに前輪或いは後輪の駆動輪7aを軸着する駆動軸7が連設されている。
【0018】
次に、無段変速機5の油圧回路について説明する。図中の符号11はエンジン駆動式のオイルポンプで、このオイルポンプ11の吐出側のライン圧油路12が、セカンダリシリンダ5g、ライン圧制御弁13、プライマリ圧制御弁14に連通されているとともに、ライン圧制御用ソレノイド弁15a及びプライマリ圧制御用ソレノイド弁15bにそれぞれオリフィス16を介して連通されている。
【0019】
各ソレノイド弁15a,15bは、トランスミッション制御ユニット(TCU)21からのデューティ信号により駆動制御され、ライン圧油路12から供給されるライン圧(元圧)を、例えば、デューティ信号のオン時に排圧し、オフ時に吐出する。ライン圧制御用ソレノイド弁15aからの吐出圧は、油路17を介してライン圧制御弁13に供給され、ライン圧制御弁の制御動作圧として作用する。一方、プライマリ圧制御用ソレノイド弁15bからの吐出圧は、油路18を介してプライマリ圧制御弁14に供給され、プライマリ圧制御弁の制御動作圧として作用する。
【0020】
そして、ライン圧制御弁13では、制御動作圧により変速比i、エンジントルクTに基づくライン圧の制御を行う。また、プライマリ圧制御弁14では、元圧であるライン圧と制御動作圧との圧力の釣り合いにより、プライマリ圧制御弁14上流のライン圧油路12と無段変速機5のプライマリ油圧室5fに連通する油路19とを接続する給油位置と、油路12,19を遮断するとともに油路19をドレーンする排油位置とを切換動作することで、プライマリ油圧室5fに供給する油圧を制御して変速制御を行う。
【0021】
TCU21は、CPUを主体としてRAM,ROM(何れも図示せず)等を有して構成され、エンジン回転数センサ31、スロットル開度センサ32、プライマリ回転数センサ33、及びセカンダリ回転数センサ34等の各種センサ類が接続されている。さらに、TCU21には、変速操作部24のセレクトレバー25のレンジ位置を検出するインヒビタスイッチ29が接続されているとともに、セレクトレバー25がDレンジの横に併設する手動変速スロット26へ移動された際にオン動作するマニュアルスイッチ27、セレクトレバー25が手動変速スロット26のアップシフトポジション(+)側に操作された際にアップ信号uを出力するアップスイッチ28a、同じくダウンシフトポジション(−)側に操作された際にダウン信号dを出力するダウンスイッチ28b、セレクトレバー25の(+)側への変位量を検出するセレクトレバー変位センサ30a、及びセレクトレバー25の(−)側への変位量を検出するセレクトレバー変位センサ30b等が接続されている。
【0022】
ここで、図3に示すように、本実施の形態において、セレクトレバー変位センサ30a,30bは、レーザーセンサ等のような非接触式の変位センサで構成されている。なお、セレクトレバー変位センサ30a,30bを触子式の変位センサで構成してもよいことは勿論である。
【0023】
次に、TCU21の変速制御に係る各機能について具体的に説明する。
図1に示すように、TCU21は、実変速比算出部40と、セカンダリ圧設定部41と、目標変速比算出部42と、エンジン許容回転数判定部43と、目標変速比補正部44と、プライマリ圧設定部45と、操作速度検出手段としてのセレクトレバー操作速度算出部46と、変速制御手段としての変速動作補正係数算出部47及び変速動作補正部48と、駆動部49,50とを有して構成され、ライン圧制御用ソレノイド弁15a及びプライマリ圧制御用ソレノイド弁15bに対する制御量(デューティ比)を演算する。
【0024】
実変速比算出部40では、プライマリ回転数センサ33からの信号に基づくプライマリ回転数Npと、セカンダリ回転数センサ34からの信号に基づくセカンダリ回転数Nsとを用いて、無段変速機5の実変速比i(i=Np/Ns)を算出する。
【0025】
セカンダリ圧設定部41では、エンジン回転数センサ31からの信号に基づくエンジン回転数Neと、スロットル開度センサ32からの信号に基づくスロットル開度θと、実変速比iとに基づいて、ΔPs=fs(Ne,θ,i)の関係から、マップ参照或いは演算により、セカンダリ圧(ライン圧)ΔPsを設定する。そして、設定されたセカンダリ圧ΔPsは駆動部49に出力され、ライン圧制御用ソレノイド弁15aが、駆動部49を通じてデューティ制御さるようになっている。
【0026】
目標変速比数算出部42では、自動変速モード時には、インヒビタスイッチ29から出力されるレンジ位置信号に基づいて、走行レンジ毎に備える目標プライマリ回転数マップの中から対応するマップを選択し、選択したマップを参照してセカンダリ回転数Nsとスロットル開度θとに基づく目標プライマリ回転数Npdを設定する。そして、目標プライマリ回転数Npdと、セカンダリ回転数Nsとを用いて、目標変速比is(is=Npd/Ns)を算出する。
【0027】
ここで、TCU21には、変速比を例えば1速から6速までの固定変速比(i1〜i6)に制御するためのマップ(図4参照)が設定されており、マニュアルスイッチ27がオン動作すると、TCU21は、手動変速モードへと移行し、所定の固定変速比を選択して無段変速機5の制御を行う。この場合において、目標変速比算出部42では、アップスイッチ28aからのアップ信号uが入力される毎に例えば2速、3速、…のように順次小なる変速比を目標変速比isとして設定し、ダウンスイッチ28bからのダウン信号dが入力される毎に例えば5速、4速、…のように順次大なる変速比を目標変速比isとして設定する。
【0028】
エンジン許容回転数判定部43では、手動変速モード時に算出された目標変速比isの妥当性を判定する。具体的には、エンジン許容回転数判定部43では、セカンダリ回転数Ns(すなわち、車速Vsに対応)を用いて、目標変速比isに基づくプライマリ回転数Np’(すなわちエンジン回転数Ne’に対応)を逆算し、このエンジン回転数Ne’が図4のマップに示す過小回転判定ラインL以上であって、且つ、過大回転判定ラインH以下である許容回転数範囲内であるか否かを判定する。
【0029】
目標変速比補正部44では、手動変速モード時に算出された目標変速比isから逆算されたエンジン回転数Ne’が許容回転数範囲外である場合には当該目標変速比isをキャンセルして前回のものに補正することで最終的な目標変速比is’を設定する一方、その他の場合(すなわち、手動変速モード時のエンジン回転数Ne’が許容回転数範囲内である場合、或いは、自動変速モード時の場合)には、今回算出された目標変速比isをそのまま最終的な目標変速比is’として設定する。
【0030】
プライマリ圧設定部45では、目標変速比is’に対して実変速比iが適切な変速時間で追従するよう、ΔPp=fp(i,is’)の関係から、マップ参照或いは演算により、変速時のプライマリ圧ΔPpを設定する。なお、プライマリ圧設定部45では、実変速比iが目標変速比is’に到達した時点で、当該目標変速比is’を維持するための所定油圧にプライマリ圧ΔPpを変化させるようになっている。
【0031】
セレクトレバー操作速度算出部46では、手動変速モード時に、セレクトレバー25がアップシフトポジション(+)側、或いはダウンシフトポジション(−)側へと操作された際に、当該セレクトレバー25の操作速度を算出する。具体的に説明すると、例えば図5に示すように、セレクトレバー変位センサ30a(30b)からの出力信号(出力電圧)は、セレクトレバー25が中立位置にあるとき所定電圧V0に保持され、セレクトレバー25が(+)側((−)側)へと操作されるに従って増加し、スロット終端位置で所定電圧V1となるようになっている。従って、セレクトレバー操作速度算出部46では、セレクトレバー変位センサ30a(30b)からの出力電圧がV0からV1となるまでに要した時間Δtを用いて、セレクトレバー操作速度Vsftを、
Vsft=(V1−V0)/Δt
により算出する。
【0032】
変速動作補正係数算出部47では、セレクトレバー操作速度算出部46で算出したセレクトレバー操作速度Vsftに基づき、マップを参照して、プライマリ圧ΔPpに対する補正係数(プライマリ圧補正係数)Hppを算出する。すなわち、図6に示すように、TCU21には、セレクトレバー操作速度Vsftとプライマリ圧補正係数Hppとの関係を示すマップが、例えば所定の車速Vs及びエンジントルクT毎に設定され格納されており、変速動作補正係数算出部47では、各センサ値から算出した車速Vs及びエンジントルクTに基づいてマップを選択し、選択したマップをセレクトレバー操作速度Vsftに基づいて参照することでプライマリ圧補正係数Hppを算出する。この場合において、プライマリ圧補正係数Hppは、セレクトレバー操作速度Vsftが早くなる程、プライマリ圧ΔPpを高圧側に補正するよう設定されている。
【0033】
そして、変速動作補正部48では、プライマリ圧ΔPpをプライマリ圧補正係数Hppで補正することにより最終的なプライマリ圧ΔPp’(ΔPp’=ΔPp・Hpp)を設定する。そして、設定されたプライマリ圧ΔPp’は駆動部50に出力され、プライマリ圧制御用ソレノイド弁15bが駆動部50を通じてデューティ制御されるようになっている。
【0034】
このような構成により、手動変速モード時において、TCU21は、セレクトレバー24がアップシフト側或いはダウンシフト側に操作された際に、実変速比iと目標変速比is’とから求められるプライマリ圧ΔPpを、セレクトレバー操作速度Vsftが早くなる程高圧側に補正して最終的なプライマリ圧ΔPp’を設定する。これにより、手動変速モードでセレクトレバー24が操作された後において、変速開始から変速終了までの時間(変速速度)が可変に制御される。すなわち、例えば、図7に示すように、セレクトレバー操作速度Vsftが早い場合には、プライマリ油圧ΔPpが高圧側に補正されるので、セレクトレバー25の操作後に早めの変速終了タイミングが得られ、一方、セレクトレバー操作速度Vsftが遅い場合には、プライマリ油圧ΔPpが低圧側に補正されるので、セレクトレバー25の操作後に遅めの変速終了タイミングが得られる。
【0035】
このような実施の形態によれば、無段階での検出が容易なセレクトレバーの操作速度に応じて変速速度を可変制御することにより、簡単な構成で、ドライバ操作に応じた無段階の変速速度でのシフトアップ制御或いはシフトダウン制御を行うことができる。従って、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことができる。
【0036】
なお、本実施の形態においては、例えば図8に示すように、変速速度Vsftに応じて、セレクトレバー25の操作後の変速動作の開始タイミングを可変制御することで、変速終了タイミングを可変制御するようにしてもよい。このような場合にも、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことが可能であることは勿論である。
【0037】
また、本実施の形態は、無段変速機を備えた自動変速装置に限定されるものではなく、例えば、複数の油圧多板クラッチ等の締結/解放制御によって所定のギヤ列を選択的に作用させて多段の変速段を得る構成の自動変速装置にも適用することが可能である。このような場合、例えば、図9に示すように、手動変速モード時におけるセレクトレバーの操作速度Vsftに応じて現ギヤ段用クラッチ圧及び次ギヤ段用クラッチ圧の変化量を増減補正して変速速度を可変制御することで変速動作にドライバの意志を反映させてもよく、また、図10に示すように、セレクトレバーが操作されてからの変速動作の開始タイミングを可変制御することで変速動作にドライバの意志を反映させてもよい。
【0038】
次に、図11乃至図13は本発明の第2の実施の形態に係わり、図11は変速制御処理の機能ブロック図、図12は変速操作部の要部を示す説明図、図13はセレクトレバーの操作力とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップである。なお、本実施の形態は、セレクトレバー25の操作速度に応じて変速動作を可変制御する構成とした上述の第1の実施の形態に対し、セレクトレバー25に付与する操作力に応じて手動変速モード時の変速動作を可変制御する構成とした点が異なる。従って、本実施の形態では、セレクトレバー変位センサ30a,30bに代えてセレクトレバー歪センサ60a,60bをTCU21に接続し、また、TCU21は、セレクトレバー操作速度算出部46、及び、変速動作補正係数算出部47に代えて、操作力検出手段としてのセレクトレバー操作力算出部61、及び、変速制御手段としての変速動作補正係数算出部47としての機能を有する。その他、上述の第1の実施の形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0039】
図12に示すように、本実施の形態において、セレクトレバー歪センサ60a,60bは、セレクトレバー25に固設され、アップシフト側及びダウンシフト側に操作された際のセレクトレバー25の歪み量をそれぞれ検出するようになっている。なお、セレクトレバー歪センサ60a,60bを非接触式の歪センサで構成してもよいことは勿論である。
【0040】
セレクトレバー操作力算出部61では、手動変速モード時に、セレクトレバー25がアップシフトポジション(+)側、或いはダウンシフトポジション(−)側へと操作された際に、当該セレクトレバー25の歪み量に基づいて、ドライバによるセレクトレバー25への操作力Fを算出する。
【0041】
また、変速動作補正係数算出部62では、セレクトレバー操作力算出部61で算出したセレクトレバー操作力Fに基づき、マップを参照して、プライマリ圧ΔPpに対する補正係数(プライマリ圧補正係数)Hppを算出する。この場合、図13に示すように、TCU21には、セレクトレバー操作力Fとプライマリ圧補正係数Hppとの関係を示すマップが、例えば所定の車速Vs及びエンジントルクT毎に設定され格納されており、プライマリ圧補正係数算出部62では、各センサ値から算出した車速Vs及びエンジントルクTに基づいてマップを選択し、選択したマップをセレクトレバー操作力Fに基づいて参照することでプライマリ圧補正係数Hppを算出する。この場合において、プライマリ圧補正係数Hppは、セレクトレバー操作力Fが大きくなる程、プライマリ圧ΔPpを高圧側に補正するよう設定されている。
【0042】
このような実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と略同様の作用・効果を奏することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成で、手動変速モード選択時の変速動作をドライバの意志に忠実に行うことのがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わり、変速制御処理の機能ブロック図
【図2】同上、自動変速装置の概略構成図
【図3】同上、変速操作部の要部を示す説明図
【図4】同上、手動変速モード時の各変速段における変速比を示すマップ
【図5】同上、手動変速操作時のセンサ出力値の経時変化を示す説明図
【図6】同上、セレクトレバーの操作速度とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップ
【図7】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図8】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図9】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図10】同上、手動変速モード時の油圧変化を示す説明図
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わり、変速制御処理の機能ブロック図
【図12】同上、変速操作部の要部を示す説明図
【図13】同上、セレクトレバーの操作力とプライマリ圧補正係数との関係を示すマップ
【符号の説明】
3 … 自動変速装置
21 … トランスミッション制御ユニット
25 … セレクトレバー
46 … セレクトレバー操作速度算出部(操作速度検出手段)
47 … 変速動作補正係数算出部(変速制御手段)
48 … 変速動作補正部(変速制御手段)
61 … セレクトレバー操作力算出部(操作力検出手段)
62 … 変速動作補正係数算出部(変速制御手段)
Claims (6)
- 変速モードとして自動変速モードと手動変速モードとを備え、上記手動変速モード時には、ドライバによるセレクトレバーの操作に応じて所定の変速段に順次アップシフト或いはダウンシフトする自動変速装置の制御装置において、
上記手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時の上記セレクトレバーの操作速度を検出する操作速度検出手段と、
上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作を上記セレクトレバーの操作速度に応じて可変に制御する変速制御手段とを備えたことを特徴とする自動変速装置の制御装置。 - 上記変速制御手段は、上記操作速度が早くなる程上記変速速度を早くすることを特徴とする請求項1記載の自動変速装置の制御装置。
- 上記変速制御手段は、上記操作速度が早くなる程上記変速動作開始タイミングを早くすることを特徴とする請求項1記載の自動変速装置の制御装置。
- 変速モードとして自動変速モードと手動変速モードとを備え、上記手動変速モード時には、ドライバによるセレクトレバーの操作に応じて所定の変速段に順次アップシフト或いはダウンシフトする自動変速装置の制御装置において、
上記手動変速モードでのアップシフト操作時或いはダウンシフト操作時の上記セレクトレバーへの操作力を検出する操作力検出手段と、
上記手動変速モードでのアップシフト時或いはダウンシフト時の変速動作を上記セレクトレバーへの操作力に応じて可変に制御する変速制御手段とを備えたことを特徴とする自動変速装置の制御装置。 - 上記変速制御手段は、上記操作力が大きくなる程上記変速速度を早くすることを特徴とする請求項4記載の自動変速装置の制御装置。
- 上記変速制御手段は、上記操作力が大きくなる程上記変速動作開始タイミングを早くすることを特徴とする請求項4記載の自動変速装置の制御装置。
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