JP2004058265A - 針状構造体の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上に、高密度で縦横比の大きい針状構造体を安価で簡便に作製することを主たる課題とし、更には、針状構造体の形状の自由度の向上、高さの均一化、薬物の保持力の向上等についても改良を計る。
【解決手段】エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。
【選択図】
図4
【解決手段】エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。
【選択図】
図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面に針状構造体を作製する方法であって、主として、医薬物を皮膚を通して注入するとき又は生体内物質をサンプリングするときに用いられる微小な針状構造体、または、トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡等のプローブ顕微鏡におけるプローブ顕微鏡用カンチレバーの微小針状構造体の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体材料であるシリコン基板上に、アルカリ水溶液を用いて微小な針形状を作製する方法が知られている。この方法では、単結晶シリコンの結晶異方性エッチングを利用して、(100)面のシリコンウエハ上に針形状を製作している(Sensors & actuators A, 25−27, 1991, 9−13頁)。当該方法では、単結晶シリコン基板表面をエッチングマスクし、フォトリソグラフィー加工でマスク形状をパターニングした後、単結晶シリコンの異方性エッチングを利用して針を作製している。この方法は比較的安価に針を作製することができるという利点はあるが、針形状を決定する結晶面が決まっており、その結果、高密度で縦横比の大きい針形状を作製することができないという問題点がある。また、フォトリソグラフィー加工が必要であり、工程数が多く操作が煩雑である。
【0003】
また、アルカリ水溶液による結晶異方性エッチング加工と、イオンビーム加工とを組み合わせることで、微小な針を作製する方法も知られている。この方法では先ず、前記と同一の結晶異方性エッチングにより針形状を作製する。その後、イオンビーム加工を追加し、更に結晶異方性エッチングをすることで、エッチング加工で形成した針構造を高さ方向に多段階に積み上げ、高さのある縦横比の大きい針構造を実現している(Journal of Microelectromechanical Systems, 2, 4, 1993, 151−159頁)。しかしながら、当該方法では、高価なイオンビーム加工を用いるため、針の製作費用が高くなる。またイオンビーム加工後に行うエッチング加工で形成される針形状が、第1回目のエッチングで形成される針形状と同一になるため、針形状の設計自由度が小さいという問題がある。
【0004】
また、反応性ガスエッチングを用いて微小な針形状を作製する方法も知られている。この方法では、アルカリ性水溶液によるエッチング加工ではなく、反応性のガスを用いたドライエッチング加工で針形状を作製している(Proceedings The 13th Annual International Conference on Micro Electro Mechanical Systems, Miyazaki, Japan, Jan. 23−27, 2000, 323−328頁,Technical Digest of The 14th IEEE International Conference of Micro Electro Mechanical Systems, Interlaken, Switzerland, Jan. 21−25, 2001, 46−49頁)。当該方法では、針形状を比較的自由に変えることができる反面、高価なRIE装置等のドライエッチング装置が必要であること、エッチング速度がウエットエッチングに比べて遅いことから、安価に針を供給することが難しい。またドライエッチング装置では、エッチング加工速度がエッチングマスクの大きさ及び形状に依存することから、基板内における針の高さが不均一になるという問題がある。
【0005】
更に、ダイシングとウエットエッチングを組み合わせて針を作製することが報告されている(特開2002−79499,IEEE Transactions on Biomedical Engineering,38, 1991,758−768頁)。しかし、前者はウエットエッチングに対する保護膜を基板両面に施すことが必要であるため、その工程が必要であると共に、エッチングが進行すると、角柱状の構造物の真中付近がくびれてゆき、最終的にはその部分が針状となることから、縦横比の大きい微小針は作製することができない。後者は酸による等方性エッチングにより針を作製する方法であり、動的なエッチングを行う工程と静的なエッチングを行う工程の2工程を行う必要がある。この方法では、針形状はエッチング液の動きに影響されてしまうため、一定条件でエッチングすることは非常に困難である。特に大きな基板に微小針を形成しようとすると、針の形状や高さの基板内におけるばらつきが大きくなり、均一なものを作ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明者らは、基板上に、高密度で縦横比の大きい針状構造体を安価で簡便に作製することを主たる課題として、鋭意検討した。また、更に、針状構造体の形状の自由度を上げること、針状構造体の高さの均一化、針状構造体を有する基板上への薬物の保持力の向上等の課題についても、検討を追加した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、基板上に溝加工を行って、溝で囲まれた島状構造体を形成した後にエッチング加工を行うことで、針状構造体を形成することができることに着目し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。ここで、基板表面の溝加工としては、碁盤の目状に溝加工を行うことが好ましい。
【0008】
前記本発明の基板上に針状構造体を作製する方法は、特徴的な2つの工程からなる。即ち、前半の工程は、基板が単結晶基板であり、エッチング加工(1)が結晶異方性エッチングである場合に特に特徴的であり、エッチングマスクを施していない単結晶基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対して結晶異方性エッチング加工を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成する、単結晶基板上に針状構造体を作製する方法と表現される。ここでは、島状構造体として、階段状の段差を有する凸形状の構造体を形成することにより、柱状構造と錘状構造を組み合わせた特徴的な針状構造体とすることができる。階段状の段差を有する凸形状の構造体としては、直方体と直方体とを積み重ねた構造体、直方体と立方体とを積み重ねた構造体、又は、立方体と立方体とを積み重ねた構造体が好適である。
また、後半の工程は、針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。
【0010】
ここで、針状構造体とは、広い意味での針形状又は針形状を含む構造物を意味するが、単純な針形状のものに限定されるものではない。また、本発明は、先鋭な先端を有する針状構造体の作製を主たる目的としているが、エッチング加工を調整する、即ち、例えばエッチング液の種類、エッチング液の濃度及び温度、エッチング時間等を変えることにより、先の尖っていない形状とすることもできるため、針状構造体とは、先鋭な先端を有するものに限定されるものではない。針状構造体の水平方向の断面形状は、8角形とか円形とかの形状となるが、これも特に限定されるものではない。例えば、正方形の溝で囲まれた領域を有する直方体の島状構造体をアルカリ水溶液で結晶異方性エッチングした場合には、針状構造体の水平方向の断面形状は8角形となる。針状構造体のサイズとしては、本発明では、主として微小針状構造体を扱い、そのサイズは、5μm以上1,000μm以下程度のものである。しかし、本発明は微小針状構造体以外にも応用可能であるため、本発明の技術的範囲は、これら微小針状構造体に限定されるものではない。
【0011】
使用する基板としては、単結晶シリコンウエハ、ガリウム砒素基板等の半導体材料や、水晶基板、金属基板、セラミックス基板、ガラス基板等を用いることができる。基板の選択は、エッチング工程や針使用時に針構造体に必要とされる機械的強度、生体適合性等の面から決定される。本願発明においては、結晶面を利用して簡便に均一な針を作製できるという観点から、基板として単結晶シリコンウエハ、ガリウム砒素基板等の半導体材料や、水晶基板、金属基板等の単結晶基板を使用するのが好ましい。基板の厚みや表面積は、目的に応じて決定され、特に限定されるものではない。本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、基板の厚みは150μm以上1500μm以下のものが使用に適している。また、適切な基板を選択することにより、本発明で作製した針状構造体をマスターとして、その鋳型を作製した後、その鋳型を用いて射出成型することにより、針状構造体の材質を基板の材質から高分子材料等の材質に変換することもできる。
【0012】
基板表面に溝加工を施す機械加工方法としては、ダイシング加工、放電加工、レーザ加工、サンドブラスト加工などを用いることができる。ダイシング加工、放電加工、レーザ加工では、基本的には一筆書きの要領で溝加工を行うが、サンドブラスト加工では、マスクを用いて基板上の溝を同時に形成することができるため、短時間で溝加工できる利点がある。
【0013】
最初に基板表面に施す溝については、溝の形状は直線状以外にも曲線状でも良く、特に限定されるものではない。配置・配列は、溝で囲まれた領域、即ち島状構造体を1つ以上形成できれば、特に制限はない。基本的には、1つの島状構造体が1つの針状構造体に対応するため、溝の配置・配列は、針の配置・配列、形状及び単位面積あたりに必要とされる針の個数により決定される。本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、針状構造体をアレイ状に配列するのが一般的と考えられ、それに合わせて、溝の配置・配列を決定すればよい。すなわち、一般的には、碁盤の目状に溝加工を行うことが最も一般的であり、好ましい。一方、後に行われる針状構造体間又はその周辺に施す溝加工については、前述の方法にて同様に実施することができるが、特に、溝で囲まれた領域、即ち島状構造体を形成する必要はない。針状構造体間に一定方向に溝加工するとか、更に交差する方向にも溝加工を追加する等、様々な形態とすることができる。
【0014】
溝の断面形状は、特に矩形状に限定されるものではない。例えばダイシング加工を用いた場合では、ブレードと呼ばれる刃の形状を変えることで、溝斜面の角度を変えたり、階段状の段差のある断面形状をつくることもできる。ることができる更に、溝加工の深さと、ブレード形状及び/又は溝加工位置を変えた複数回のダイシング加工を組み合わせることで、段差のある断面形状をつくることもできる。尚、ブレード形状を変えることは、溝加工する幅を変えることにもなり、溝加工する位置を変えるとは、位置をずらすことも含む。
【0015】
溝の断面形状は、そのまま島状構造体の形状に反映されるものであるが、これらは、針状構造体の針形状を決定する重要な因子である。例えば、島状構造体として、階段状の段差を有する凸形状の構造体を作製した場合は、その後の結晶異方性エッチングで、柱状構造と錘状構造を組み合わせた特徴的な針状構造体に変換できる。この針状構造体の太さは、基板面に平行な段差部分の長さを調整することにより任意に変えることができる。なお、本明細書で基板面とは、溝加工を施していない当初の基板表面を意味する。
【0016】
前述のような階段状の段差を有する凸形状の島状構造体は、例えば、碁盤の目状の溝加工を、溝加工の深さと、溝加工する幅及び/又は溝加工する位置とを変えて複数回行うことにより、容易に形成することができる。このような階段状の段差を有する凸形状の島状構造体としては、直方体と直方体とを積み重ねた構造体、直方体と立方体とを積み重ねた構造体、又は、立方体と立方体とを積み重ねた構造体とすることが好ましい。
【0017】
尚、またサンドブラスト加工では、比較的曲率をもった断面形状を作製することができる。溝の深さも、基板の厚みの範囲内で下方へのエッチングを考慮して設定すれば、特に限定されるものではないが、針状構造体の高さを決める要因の1つであるため、本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、50μm以上750μm以下の範囲とするのが好ましい。
【0018】
溝で囲まれた領域を形成した後のエッチング加工(1)としては、結晶異方性エッチング、等方性エッチングのウエットエッチング、あるいは反応性ガスや反応性プラズマなどを用いるプラズマエッチングなどのドライエッチングを使用することができる。特に、基板として単結晶基板を使用する場合には、結晶異方性エッチング加工法が好適である。結晶異方性エッチング加工法としては、アルカリ性溶液による結晶異方性エッチングを使用する。尚、アルカリ性溶液としては、水酸化カリウム水溶液(20%〜60%w/w)もしくは水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(10%〜25%w/w)等を使用することができる。また必要とする針形状に応じて上記アルカリエッチング液にイソプロピルアルコール、界面活性剤などの添加物を加えても良い。
【0019】
溝加工部に窪み形状を形成するためのエッチング加工(2)についても、前記エッチング加工(1)と同様のエッチング加工を用いることができる。エッチング加工(2)においても、同様に結晶異方性エッチングを用いることが好ましい。尚、溝加工部の形状とエッチング加工方法を選択することにより、窪みの形状を変えることができる。
【0020】
エッチング加工(2)を行う前のエッチングマスクを形成する方法は、基板とエッチングマスク材の種類により選択されるが、基板上にスパッタリングなどによりエッチングマスク材を物理的に付着する方法、または、基板を酸化してエッチングマスク材を形成するなどの化学的な方法がある。エッチングマスクの材質は、基板の種類、エッチング液に応じて選択されるが、二酸化ケイ素、窒化珪素、金とクロムとで構成される2層膜などが用いられる。例えば、単結晶シリコンウエハの結晶異方性エッチングでは、通常、二酸化ケイ素あるいは窒化珪素をエッチングマスク材とする。エッチングマスクは通常、基板の片面、針状構造体形成面に施せばよいが、必要に応じて両面に施しても良い。
【0021】
本発明の基板上に針状構造体を作製する方法は、前半と後半の特徴的な2つの工程からなる。即ち、前半の工程は、最初に針状構造体を作製する工程であり、基板として単結晶基板を使用し、エッチング加工(1)として結晶異方性エッチングを行う場合に特に特徴的であり、本発明の一つの主要部を構成する。当該主要部は、エッチングマスクを施していない単結晶基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対して結晶異方性エッチング加工を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成する、単結晶基板上に針状構造体を作製する方法と表現される。本方法はフォトリソグラフィー加工を施す必要がなく、高価なイオンビームやドライエッチング装置も使う必要がない。さらに、ドライエッチングに比べて加工時間の短縮ができるため、非常に簡便で安価に針状構造体を作製することができる。また、本法を用いることにより、基板上に高密度で縦横比の大きい均一な針状構造体を作製することが可能である。
【0022】
また、後半の工程は、更に針状構造体の高さを高くするとともに、溝加工部である針状構造体間下部に窪み形状を形成する工程であり、本発明のもう一つの主要部を構成する。このもう一つの主要部は、針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法又は基板上に窪み形状を有する針状構造体を作製する方法と表現される。針状構造体間下部の溝加工部に形成されたこのような窪み形状は、本品を医療分野で使用する場合には、特に有用である。即ち、この部分に、皮膚を通して注入したい薬物を貯留させることができ、多量の薬物の注入を可能とする。
【0023】
本発明には、多種多様な実施形態が存在するが、まず、第1の実施形態を図1及び図2をもとに説明する。この実施形態においては、図1に示すように、単結晶シリコン基板1上に機械加工を施して、深さ数十〜数百ミクロンの溝5を形成する。図1(a)に、ダイシング加工にて碁盤の目のように溝加工3を行った場合を、図1(b)に碁盤の目状に溝加工した2の部分の拡大図を示す。図に示すように、溝加工により、基板面に四角形平面を有する島状構造体が形成されている。図には、溝断面が矩形状になる場合を示している。このように機械加工で針の土台部分を作製した後、結晶異方性エッチング加工を施して、先鋭な針先端部を形成する。この工程を図2を用いて更に説明する。
【0024】
機械加工で単結晶シリコンウエハ1内に溝5(図2(b))を作製した上記シリコンウエハ1に、アルカリ性の溶液による結晶異方性エッチングを行うと、溝5底面がエッチングされるとともに、溝加工で形成された島状構造体4部分全体がエッチングされる。このとき島状構造体4の上部角部ではエッチング速度の最も早い結晶面が現れ、結果的に先鋭な先端部を有する針状構造体が形成される(図2(c))。このように機械加工を施して溝を形成した後に、溝に囲まれた島状構造体全体をエッチングすると、機械加工で形成した初期の溝の深さを保ちつつ、鋭利な先端を有する針状構造体を作製することができる。
【0025】
本作製方法では、針状構造体の高さは溝加工の深さと同一となり、その後のエッチング加工において、この溝の深さを保ちつつ島形状を針形状に変換するという仕組みになっている。従って、図3に示すように、最初に行う溝加工の深さに応じて針の高さが決定される。なお、先端部の針先形状は溝の深さに依らず一定で、深さを変えることで針中間部に形成される棒状の部分の長さが変化する。このように第1の実施形態では、針の高さを任意に変化させることが容易であり、またエッチングマスクを必要としないことから、安価でしかも簡便に縦横比の大きい針状構造体を実現することができる。
【0026】
前記方法で作製した針状構造体間に再度機械加工を施して溝を形成すれば、更に縦横比の大きい高い針状構造体を実現することができる(図2(d))。また、最初に溝加工する段階で、溝で囲まれた領域の面積や溝の深さを部分的に変化させれば、形状、高さの異なる針状構造体を同一のシリコン基板1上に作製することもできる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態を図4に示す。図2に示した第1の実施形態で作製した針状構造体において、針状構造体表面に目的の薬物を付着させた後、皮膚に針状構造体を刺して薬物を皮膚から注入する場合、注入できる薬物の量は針表面に付着した量以下になる。そこで、本発明の第2の実施形態では、針状構造体間下部に窪んだ構造を形成して、縦横比の大きい高い針状構造体とするとともに、この部分に薬物が貯まるような構造を作り込むことで、低密度の針でも多くの薬物を皮膚を通して注入することが可能となる。
【0028】
以下に第2の実施形態を図4を用いて説明する。
針状構造体の形成(図4(c))までの工程は、前記第1の実施形態と同様に実施することができる。針状構造体形成後、針状構造体を有する基板表面をエッチングマスク6し(図4(d))、機械加工を施して針状構造体間又はその周辺に溝を形成し、針の高さを高くする(図4(e))。機械加工で溝を形成した後は、再度、エッチング液で溝5底面と溝5側面とを同時にエッチングすることで、図に示したような窪み形状を溝加工部、即ち針状構造体間下部に形成する(図4(f))。このとき、針先先端部はエッチングマスク6で保護されているため、針先の先鋭さは保たれる。最後に不要となったエッチングマスクを除去する(図4(g))。なお、この窪み形状は、エッチング条件、例えばエッチング液の種類、エッチング液の濃度及び温度を変えることで、その形状を変化させることができる。例えば、40%の水酸化カリウムにより60℃でエッチングすると、窪みは、各針の回りに形成される基板に垂直な4つの面と基板に平行な底面及び各針の周りの裾野部分に形成される8つの面よりなる構造となる。
【0029】
次に、本発明の第3の実施形態を図5に示す。本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、針状構造体を皮膚に刺したときに壊れないことが必要である。針状構造体の強度を上げるためには、太い針状構造体を作製することや、非対称の針状構造体を作製することが有効である。図2に示した第1の実施形態で作製した針状構造体は、針先先端部が針状構造体の中心軸上にある対称形状のみが作製可能であり、また、鋭利な先端を有する針状構造体の針の頂角は一定となり、針先先端部は同一形状となる。そこで、第3の実施形態では、針先先端部が針状構造体の中心軸上にない形状を有する針状構造体の作製に関して示す。なお、この実施形態では、先鋭な先端を有する針状構造体の形状が調節可能である点が更に特徴的である。
【0030】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、ダイシング加工で単結晶シリコンウエハ1内に碁盤の目状に溝を作製する。更に、同じ溝幅で溝の深さを変え、溝の位置を少しずらして溝加工を行う。このようにして、断面形状が矩形状ではなく、片方に階段状の1つ段差を含む構造の溝5とする(図5(b))。従って、溝で囲まれた領域を含む島状構造体の形状は、角柱の直交する二側面に階段状の1段の段差(図5(b),4’)を含む形状、即ち、直方体と直方体とを積み重ねた構造体となる。このシリコンウエハ1にアルカリ性の溶液による結晶異方性エッチングを行うと、溝底面がエッチングされるとともに、溝加工で形成された島状構造体4部分全体がエッチングされ、図5(c)で示した途中形状を経て先鋭な先端を有する針状構造体を形成する(図5(d))。本実施形態に示す針状構造体は、柱状構造と錘状構造を組み合わせた形状で、しかも針先先端部が針状構造体の中心軸上にない形状を有することを特徴とする。
【0031】
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、島形状を針形状に変換した後の針状構造体の高さは、溝加工の深さと同一となる。さらに、先鋭な先端を有する針状構造体の太さはエッチング前の溝5断面形状の基板面に平行な段差部(4’部分)の長さw1(図5(c))に依存し、段差部の長さw1を調節することにより、任意の太さの先鋭な先端を有する針状構造体を作製することができる。これは、先鋭な先端を有する針状構造体を構成する針先斜面はエッチングにより段差部aからエッチングの進行とともに形成され、この斜面の長さはエッチング時間に比例することによる。先鋭な形状とするには段差部w1がなくなるまで側面をエッチングする必要があり、w1が長いほどエッチング時間も長くなり、それに伴い斜面が長い、従って太い針状構造体が形成される。例えば、先鋭な先端を有する太い針を希望する場合には、前記段差部の長さw1を長くすればよい。また、本実施例のように、島状構造体の段差をつける面を直交する二側面とすることにより、針先部が針状構造体の中心軸上にない針状構造体を作製することもできる。尚、高さの等しい段差を島状構造体の四側面に付けた場合には、針先部が針状構造体の中心軸上に位置する針状構造体となる。さらに、段差の数を変えることにより、種々の針形状を有する針状構造体を作製することができる。
【0032】
尚、第3の実施形態においても、針状構造体作製後、第2の実施形態(図4)と同様の方法で、針先の先鋭さを保ちつつ、針状構造体間下部に窪み構造を形成することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の、基板上に針状構造体を作製する方法では、高密度で縦横比の大きい針状構造体を安価で簡便に作製することが可能である。また、更に、針形状の自由度を上げることや、針状構造体の高さの均一化、針状構造体を有する基板上への薬物の保持力の向上等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】平坦な基板上に機械加工により形成された溝を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す。溝加工を施した単結晶基板上に結晶異方性エッチング加工を行い、針状構造体を形成する。ここでは、更に、針状構造体間下部に溝加工を施している。
【図3】本発明の第1の実施形態において、溝加工の深さにより針状構造体の高さが決定されることを示す。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す。溝加工と結晶異方性エッチング加工で針状構造体を形成した後に、更にエッチングマスク後溝加工とエッチング加工を行うことで、針状構造体間下部に窪み構造を形成する。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す。階段状の段差のある溝加工を行ってから結晶異方性エッチング加工を行い、針状構造体を形成する。
【符号の説明】
1…単結晶シリコン基板、2…基板の一部、3…溝加工ライン、4…島状構造体、4’…島状構造体の段差部、5…溝、6…エッチングマスク、d…島状構造体の高さ、w1…段差部の長さ、w…針状構造体の太さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面に針状構造体を作製する方法であって、主として、医薬物を皮膚を通して注入するとき又は生体内物質をサンプリングするときに用いられる微小な針状構造体、または、トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡等のプローブ顕微鏡におけるプローブ顕微鏡用カンチレバーの微小針状構造体の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体材料であるシリコン基板上に、アルカリ水溶液を用いて微小な針形状を作製する方法が知られている。この方法では、単結晶シリコンの結晶異方性エッチングを利用して、(100)面のシリコンウエハ上に針形状を製作している(Sensors & actuators A, 25−27, 1991, 9−13頁)。当該方法では、単結晶シリコン基板表面をエッチングマスクし、フォトリソグラフィー加工でマスク形状をパターニングした後、単結晶シリコンの異方性エッチングを利用して針を作製している。この方法は比較的安価に針を作製することができるという利点はあるが、針形状を決定する結晶面が決まっており、その結果、高密度で縦横比の大きい針形状を作製することができないという問題点がある。また、フォトリソグラフィー加工が必要であり、工程数が多く操作が煩雑である。
【0003】
また、アルカリ水溶液による結晶異方性エッチング加工と、イオンビーム加工とを組み合わせることで、微小な針を作製する方法も知られている。この方法では先ず、前記と同一の結晶異方性エッチングにより針形状を作製する。その後、イオンビーム加工を追加し、更に結晶異方性エッチングをすることで、エッチング加工で形成した針構造を高さ方向に多段階に積み上げ、高さのある縦横比の大きい針構造を実現している(Journal of Microelectromechanical Systems, 2, 4, 1993, 151−159頁)。しかしながら、当該方法では、高価なイオンビーム加工を用いるため、針の製作費用が高くなる。またイオンビーム加工後に行うエッチング加工で形成される針形状が、第1回目のエッチングで形成される針形状と同一になるため、針形状の設計自由度が小さいという問題がある。
【0004】
また、反応性ガスエッチングを用いて微小な針形状を作製する方法も知られている。この方法では、アルカリ性水溶液によるエッチング加工ではなく、反応性のガスを用いたドライエッチング加工で針形状を作製している(Proceedings The 13th Annual International Conference on Micro Electro Mechanical Systems, Miyazaki, Japan, Jan. 23−27, 2000, 323−328頁,Technical Digest of The 14th IEEE International Conference of Micro Electro Mechanical Systems, Interlaken, Switzerland, Jan. 21−25, 2001, 46−49頁)。当該方法では、針形状を比較的自由に変えることができる反面、高価なRIE装置等のドライエッチング装置が必要であること、エッチング速度がウエットエッチングに比べて遅いことから、安価に針を供給することが難しい。またドライエッチング装置では、エッチング加工速度がエッチングマスクの大きさ及び形状に依存することから、基板内における針の高さが不均一になるという問題がある。
【0005】
更に、ダイシングとウエットエッチングを組み合わせて針を作製することが報告されている(特開2002−79499,IEEE Transactions on Biomedical Engineering,38, 1991,758−768頁)。しかし、前者はウエットエッチングに対する保護膜を基板両面に施すことが必要であるため、その工程が必要であると共に、エッチングが進行すると、角柱状の構造物の真中付近がくびれてゆき、最終的にはその部分が針状となることから、縦横比の大きい微小針は作製することができない。後者は酸による等方性エッチングにより針を作製する方法であり、動的なエッチングを行う工程と静的なエッチングを行う工程の2工程を行う必要がある。この方法では、針形状はエッチング液の動きに影響されてしまうため、一定条件でエッチングすることは非常に困難である。特に大きな基板に微小針を形成しようとすると、針の形状や高さの基板内におけるばらつきが大きくなり、均一なものを作ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明者らは、基板上に、高密度で縦横比の大きい針状構造体を安価で簡便に作製することを主たる課題として、鋭意検討した。また、更に、針状構造体の形状の自由度を上げること、針状構造体の高さの均一化、針状構造体を有する基板上への薬物の保持力の向上等の課題についても、検討を追加した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、基板上に溝加工を行って、溝で囲まれた島状構造体を形成した後にエッチング加工を行うことで、針状構造体を形成することができることに着目し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。ここで、基板表面の溝加工としては、碁盤の目状に溝加工を行うことが好ましい。
【0008】
前記本発明の基板上に針状構造体を作製する方法は、特徴的な2つの工程からなる。即ち、前半の工程は、基板が単結晶基板であり、エッチング加工(1)が結晶異方性エッチングである場合に特に特徴的であり、エッチングマスクを施していない単結晶基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対して結晶異方性エッチング加工を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成する、単結晶基板上に針状構造体を作製する方法と表現される。ここでは、島状構造体として、階段状の段差を有する凸形状の構造体を形成することにより、柱状構造と錘状構造を組み合わせた特徴的な針状構造体とすることができる。階段状の段差を有する凸形状の構造体としては、直方体と直方体とを積み重ねた構造体、直方体と立方体とを積み重ねた構造体、又は、立方体と立方体とを積み重ねた構造体が好適である。
また、後半の工程は、針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法である。
【0010】
ここで、針状構造体とは、広い意味での針形状又は針形状を含む構造物を意味するが、単純な針形状のものに限定されるものではない。また、本発明は、先鋭な先端を有する針状構造体の作製を主たる目的としているが、エッチング加工を調整する、即ち、例えばエッチング液の種類、エッチング液の濃度及び温度、エッチング時間等を変えることにより、先の尖っていない形状とすることもできるため、針状構造体とは、先鋭な先端を有するものに限定されるものではない。針状構造体の水平方向の断面形状は、8角形とか円形とかの形状となるが、これも特に限定されるものではない。例えば、正方形の溝で囲まれた領域を有する直方体の島状構造体をアルカリ水溶液で結晶異方性エッチングした場合には、針状構造体の水平方向の断面形状は8角形となる。針状構造体のサイズとしては、本発明では、主として微小針状構造体を扱い、そのサイズは、5μm以上1,000μm以下程度のものである。しかし、本発明は微小針状構造体以外にも応用可能であるため、本発明の技術的範囲は、これら微小針状構造体に限定されるものではない。
【0011】
使用する基板としては、単結晶シリコンウエハ、ガリウム砒素基板等の半導体材料や、水晶基板、金属基板、セラミックス基板、ガラス基板等を用いることができる。基板の選択は、エッチング工程や針使用時に針構造体に必要とされる機械的強度、生体適合性等の面から決定される。本願発明においては、結晶面を利用して簡便に均一な針を作製できるという観点から、基板として単結晶シリコンウエハ、ガリウム砒素基板等の半導体材料や、水晶基板、金属基板等の単結晶基板を使用するのが好ましい。基板の厚みや表面積は、目的に応じて決定され、特に限定されるものではない。本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、基板の厚みは150μm以上1500μm以下のものが使用に適している。また、適切な基板を選択することにより、本発明で作製した針状構造体をマスターとして、その鋳型を作製した後、その鋳型を用いて射出成型することにより、針状構造体の材質を基板の材質から高分子材料等の材質に変換することもできる。
【0012】
基板表面に溝加工を施す機械加工方法としては、ダイシング加工、放電加工、レーザ加工、サンドブラスト加工などを用いることができる。ダイシング加工、放電加工、レーザ加工では、基本的には一筆書きの要領で溝加工を行うが、サンドブラスト加工では、マスクを用いて基板上の溝を同時に形成することができるため、短時間で溝加工できる利点がある。
【0013】
最初に基板表面に施す溝については、溝の形状は直線状以外にも曲線状でも良く、特に限定されるものではない。配置・配列は、溝で囲まれた領域、即ち島状構造体を1つ以上形成できれば、特に制限はない。基本的には、1つの島状構造体が1つの針状構造体に対応するため、溝の配置・配列は、針の配置・配列、形状及び単位面積あたりに必要とされる針の個数により決定される。本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、針状構造体をアレイ状に配列するのが一般的と考えられ、それに合わせて、溝の配置・配列を決定すればよい。すなわち、一般的には、碁盤の目状に溝加工を行うことが最も一般的であり、好ましい。一方、後に行われる針状構造体間又はその周辺に施す溝加工については、前述の方法にて同様に実施することができるが、特に、溝で囲まれた領域、即ち島状構造体を形成する必要はない。針状構造体間に一定方向に溝加工するとか、更に交差する方向にも溝加工を追加する等、様々な形態とすることができる。
【0014】
溝の断面形状は、特に矩形状に限定されるものではない。例えばダイシング加工を用いた場合では、ブレードと呼ばれる刃の形状を変えることで、溝斜面の角度を変えたり、階段状の段差のある断面形状をつくることもできる。ることができる更に、溝加工の深さと、ブレード形状及び/又は溝加工位置を変えた複数回のダイシング加工を組み合わせることで、段差のある断面形状をつくることもできる。尚、ブレード形状を変えることは、溝加工する幅を変えることにもなり、溝加工する位置を変えるとは、位置をずらすことも含む。
【0015】
溝の断面形状は、そのまま島状構造体の形状に反映されるものであるが、これらは、針状構造体の針形状を決定する重要な因子である。例えば、島状構造体として、階段状の段差を有する凸形状の構造体を作製した場合は、その後の結晶異方性エッチングで、柱状構造と錘状構造を組み合わせた特徴的な針状構造体に変換できる。この針状構造体の太さは、基板面に平行な段差部分の長さを調整することにより任意に変えることができる。なお、本明細書で基板面とは、溝加工を施していない当初の基板表面を意味する。
【0016】
前述のような階段状の段差を有する凸形状の島状構造体は、例えば、碁盤の目状の溝加工を、溝加工の深さと、溝加工する幅及び/又は溝加工する位置とを変えて複数回行うことにより、容易に形成することができる。このような階段状の段差を有する凸形状の島状構造体としては、直方体と直方体とを積み重ねた構造体、直方体と立方体とを積み重ねた構造体、又は、立方体と立方体とを積み重ねた構造体とすることが好ましい。
【0017】
尚、またサンドブラスト加工では、比較的曲率をもった断面形状を作製することができる。溝の深さも、基板の厚みの範囲内で下方へのエッチングを考慮して設定すれば、特に限定されるものではないが、針状構造体の高さを決める要因の1つであるため、本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、50μm以上750μm以下の範囲とするのが好ましい。
【0018】
溝で囲まれた領域を形成した後のエッチング加工(1)としては、結晶異方性エッチング、等方性エッチングのウエットエッチング、あるいは反応性ガスや反応性プラズマなどを用いるプラズマエッチングなどのドライエッチングを使用することができる。特に、基板として単結晶基板を使用する場合には、結晶異方性エッチング加工法が好適である。結晶異方性エッチング加工法としては、アルカリ性溶液による結晶異方性エッチングを使用する。尚、アルカリ性溶液としては、水酸化カリウム水溶液(20%〜60%w/w)もしくは水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(10%〜25%w/w)等を使用することができる。また必要とする針形状に応じて上記アルカリエッチング液にイソプロピルアルコール、界面活性剤などの添加物を加えても良い。
【0019】
溝加工部に窪み形状を形成するためのエッチング加工(2)についても、前記エッチング加工(1)と同様のエッチング加工を用いることができる。エッチング加工(2)においても、同様に結晶異方性エッチングを用いることが好ましい。尚、溝加工部の形状とエッチング加工方法を選択することにより、窪みの形状を変えることができる。
【0020】
エッチング加工(2)を行う前のエッチングマスクを形成する方法は、基板とエッチングマスク材の種類により選択されるが、基板上にスパッタリングなどによりエッチングマスク材を物理的に付着する方法、または、基板を酸化してエッチングマスク材を形成するなどの化学的な方法がある。エッチングマスクの材質は、基板の種類、エッチング液に応じて選択されるが、二酸化ケイ素、窒化珪素、金とクロムとで構成される2層膜などが用いられる。例えば、単結晶シリコンウエハの結晶異方性エッチングでは、通常、二酸化ケイ素あるいは窒化珪素をエッチングマスク材とする。エッチングマスクは通常、基板の片面、針状構造体形成面に施せばよいが、必要に応じて両面に施しても良い。
【0021】
本発明の基板上に針状構造体を作製する方法は、前半と後半の特徴的な2つの工程からなる。即ち、前半の工程は、最初に針状構造体を作製する工程であり、基板として単結晶基板を使用し、エッチング加工(1)として結晶異方性エッチングを行う場合に特に特徴的であり、本発明の一つの主要部を構成する。当該主要部は、エッチングマスクを施していない単結晶基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対して結晶異方性エッチング加工を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成する、単結晶基板上に針状構造体を作製する方法と表現される。本方法はフォトリソグラフィー加工を施す必要がなく、高価なイオンビームやドライエッチング装置も使う必要がない。さらに、ドライエッチングに比べて加工時間の短縮ができるため、非常に簡便で安価に針状構造体を作製することができる。また、本法を用いることにより、基板上に高密度で縦横比の大きい均一な針状構造体を作製することが可能である。
【0022】
また、後半の工程は、更に針状構造体の高さを高くするとともに、溝加工部である針状構造体間下部に窪み形状を形成する工程であり、本発明のもう一つの主要部を構成する。このもう一つの主要部は、針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法又は基板上に窪み形状を有する針状構造体を作製する方法と表現される。針状構造体間下部の溝加工部に形成されたこのような窪み形状は、本品を医療分野で使用する場合には、特に有用である。即ち、この部分に、皮膚を通して注入したい薬物を貯留させることができ、多量の薬物の注入を可能とする。
【0023】
本発明には、多種多様な実施形態が存在するが、まず、第1の実施形態を図1及び図2をもとに説明する。この実施形態においては、図1に示すように、単結晶シリコン基板1上に機械加工を施して、深さ数十〜数百ミクロンの溝5を形成する。図1(a)に、ダイシング加工にて碁盤の目のように溝加工3を行った場合を、図1(b)に碁盤の目状に溝加工した2の部分の拡大図を示す。図に示すように、溝加工により、基板面に四角形平面を有する島状構造体が形成されている。図には、溝断面が矩形状になる場合を示している。このように機械加工で針の土台部分を作製した後、結晶異方性エッチング加工を施して、先鋭な針先端部を形成する。この工程を図2を用いて更に説明する。
【0024】
機械加工で単結晶シリコンウエハ1内に溝5(図2(b))を作製した上記シリコンウエハ1に、アルカリ性の溶液による結晶異方性エッチングを行うと、溝5底面がエッチングされるとともに、溝加工で形成された島状構造体4部分全体がエッチングされる。このとき島状構造体4の上部角部ではエッチング速度の最も早い結晶面が現れ、結果的に先鋭な先端部を有する針状構造体が形成される(図2(c))。このように機械加工を施して溝を形成した後に、溝に囲まれた島状構造体全体をエッチングすると、機械加工で形成した初期の溝の深さを保ちつつ、鋭利な先端を有する針状構造体を作製することができる。
【0025】
本作製方法では、針状構造体の高さは溝加工の深さと同一となり、その後のエッチング加工において、この溝の深さを保ちつつ島形状を針形状に変換するという仕組みになっている。従って、図3に示すように、最初に行う溝加工の深さに応じて針の高さが決定される。なお、先端部の針先形状は溝の深さに依らず一定で、深さを変えることで針中間部に形成される棒状の部分の長さが変化する。このように第1の実施形態では、針の高さを任意に変化させることが容易であり、またエッチングマスクを必要としないことから、安価でしかも簡便に縦横比の大きい針状構造体を実現することができる。
【0026】
前記方法で作製した針状構造体間に再度機械加工を施して溝を形成すれば、更に縦横比の大きい高い針状構造体を実現することができる(図2(d))。また、最初に溝加工する段階で、溝で囲まれた領域の面積や溝の深さを部分的に変化させれば、形状、高さの異なる針状構造体を同一のシリコン基板1上に作製することもできる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態を図4に示す。図2に示した第1の実施形態で作製した針状構造体において、針状構造体表面に目的の薬物を付着させた後、皮膚に針状構造体を刺して薬物を皮膚から注入する場合、注入できる薬物の量は針表面に付着した量以下になる。そこで、本発明の第2の実施形態では、針状構造体間下部に窪んだ構造を形成して、縦横比の大きい高い針状構造体とするとともに、この部分に薬物が貯まるような構造を作り込むことで、低密度の針でも多くの薬物を皮膚を通して注入することが可能となる。
【0028】
以下に第2の実施形態を図4を用いて説明する。
針状構造体の形成(図4(c))までの工程は、前記第1の実施形態と同様に実施することができる。針状構造体形成後、針状構造体を有する基板表面をエッチングマスク6し(図4(d))、機械加工を施して針状構造体間又はその周辺に溝を形成し、針の高さを高くする(図4(e))。機械加工で溝を形成した後は、再度、エッチング液で溝5底面と溝5側面とを同時にエッチングすることで、図に示したような窪み形状を溝加工部、即ち針状構造体間下部に形成する(図4(f))。このとき、針先先端部はエッチングマスク6で保護されているため、針先の先鋭さは保たれる。最後に不要となったエッチングマスクを除去する(図4(g))。なお、この窪み形状は、エッチング条件、例えばエッチング液の種類、エッチング液の濃度及び温度を変えることで、その形状を変化させることができる。例えば、40%の水酸化カリウムにより60℃でエッチングすると、窪みは、各針の回りに形成される基板に垂直な4つの面と基板に平行な底面及び各針の周りの裾野部分に形成される8つの面よりなる構造となる。
【0029】
次に、本発明の第3の実施形態を図5に示す。本発明の主目的である医療用の用途に使用するためには、針状構造体を皮膚に刺したときに壊れないことが必要である。針状構造体の強度を上げるためには、太い針状構造体を作製することや、非対称の針状構造体を作製することが有効である。図2に示した第1の実施形態で作製した針状構造体は、針先先端部が針状構造体の中心軸上にある対称形状のみが作製可能であり、また、鋭利な先端を有する針状構造体の針の頂角は一定となり、針先先端部は同一形状となる。そこで、第3の実施形態では、針先先端部が針状構造体の中心軸上にない形状を有する針状構造体の作製に関して示す。なお、この実施形態では、先鋭な先端を有する針状構造体の形状が調節可能である点が更に特徴的である。
【0030】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、ダイシング加工で単結晶シリコンウエハ1内に碁盤の目状に溝を作製する。更に、同じ溝幅で溝の深さを変え、溝の位置を少しずらして溝加工を行う。このようにして、断面形状が矩形状ではなく、片方に階段状の1つ段差を含む構造の溝5とする(図5(b))。従って、溝で囲まれた領域を含む島状構造体の形状は、角柱の直交する二側面に階段状の1段の段差(図5(b),4’)を含む形状、即ち、直方体と直方体とを積み重ねた構造体となる。このシリコンウエハ1にアルカリ性の溶液による結晶異方性エッチングを行うと、溝底面がエッチングされるとともに、溝加工で形成された島状構造体4部分全体がエッチングされ、図5(c)で示した途中形状を経て先鋭な先端を有する針状構造体を形成する(図5(d))。本実施形態に示す針状構造体は、柱状構造と錘状構造を組み合わせた形状で、しかも針先先端部が針状構造体の中心軸上にない形状を有することを特徴とする。
【0031】
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、島形状を針形状に変換した後の針状構造体の高さは、溝加工の深さと同一となる。さらに、先鋭な先端を有する針状構造体の太さはエッチング前の溝5断面形状の基板面に平行な段差部(4’部分)の長さw1(図5(c))に依存し、段差部の長さw1を調節することにより、任意の太さの先鋭な先端を有する針状構造体を作製することができる。これは、先鋭な先端を有する針状構造体を構成する針先斜面はエッチングにより段差部aからエッチングの進行とともに形成され、この斜面の長さはエッチング時間に比例することによる。先鋭な形状とするには段差部w1がなくなるまで側面をエッチングする必要があり、w1が長いほどエッチング時間も長くなり、それに伴い斜面が長い、従って太い針状構造体が形成される。例えば、先鋭な先端を有する太い針を希望する場合には、前記段差部の長さw1を長くすればよい。また、本実施例のように、島状構造体の段差をつける面を直交する二側面とすることにより、針先部が針状構造体の中心軸上にない針状構造体を作製することもできる。尚、高さの等しい段差を島状構造体の四側面に付けた場合には、針先部が針状構造体の中心軸上に位置する針状構造体となる。さらに、段差の数を変えることにより、種々の針形状を有する針状構造体を作製することができる。
【0032】
尚、第3の実施形態においても、針状構造体作製後、第2の実施形態(図4)と同様の方法で、針先の先鋭さを保ちつつ、針状構造体間下部に窪み構造を形成することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の、基板上に針状構造体を作製する方法では、高密度で縦横比の大きい針状構造体を安価で簡便に作製することが可能である。また、更に、針形状の自由度を上げることや、針状構造体の高さの均一化、針状構造体を有する基板上への薬物の保持力の向上等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】平坦な基板上に機械加工により形成された溝を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す。溝加工を施した単結晶基板上に結晶異方性エッチング加工を行い、針状構造体を形成する。ここでは、更に、針状構造体間下部に溝加工を施している。
【図3】本発明の第1の実施形態において、溝加工の深さにより針状構造体の高さが決定されることを示す。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す。溝加工と結晶異方性エッチング加工で針状構造体を形成した後に、更にエッチングマスク後溝加工とエッチング加工を行うことで、針状構造体間下部に窪み構造を形成する。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す。階段状の段差のある溝加工を行ってから結晶異方性エッチング加工を行い、針状構造体を形成する。
【符号の説明】
1…単結晶シリコン基板、2…基板の一部、3…溝加工ライン、4…島状構造体、4’…島状構造体の段差部、5…溝、6…エッチングマスク、d…島状構造体の高さ、w1…段差部の長さ、w…針状構造体の太さ
Claims (9)
- エッチングマスクを施していない基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対してエッチング加工(1)を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成し、この針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工(2)を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法。
- 基板表面の溝加工として、碁盤の目状に溝加工を行うことを特徴とする、請求項1に記載の基板上に針状構造体を作製する方法。
- 基板が単結晶基板であり、エッチング加工(1)が結晶異方性エッチングである、請求項1又は2に記載の基板上に針状構造体を作製する方法。
- エッチングマスクを施していない単結晶基板表面の任意の部位に溝加工を行い、基板表面に溝で囲まれた領域及びこの領域を含む島状構造体を形成し、その後、この基板表面に対して結晶異方性エッチング加工を行って前記島状構造体部分に針状構造体を形成する、単結晶基板上に針状構造体を作製する方法。
- 島状構造体として、階段状の段差を有する凸形状の構造体を形成することを特徴とする、請求項3又は4に記載の単結晶基板上に針状構造体を作製する方法。
- 階段状の段差を有する凸形状の構造体として、直方体と直方体とを積み重ねた構造体、直方体と立方体とを積み重ねた構造体、又は、立方体と立方体とを積み重ねた構造体を形成することを特徴とする、請求項5に記載の単結晶基板上に針状構造体を作製する方法。
- 単結晶基板表面の溝加工として、碁盤の目状に溝加工を行うことを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の基板上に針状構造体を作製する方法。
- 碁盤の目状の溝加工を、溝加工する深さと、溝加工する幅及び/又は溝加工する位置とを変えて複数回行うことにより、島状構造体として、階段状の段差を有する凸形状の構造体を形成することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の単結晶基板上に針状構造体を作製する方法。
- 針状構造体を有する基板表面をエッチングマスクした後、針状構造体間又はその周辺に溝加工を施し、その後エッチング加工を行って前記溝加工部に窪み形状を形成する、基板上に針状構造体を作製する方法。
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