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JP2004051715A - オレフィン重合用触媒及びポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒及びポリオレフィンの製造方法 Download PDF

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JP2004051715A
JP2004051715A JP2002208785A JP2002208785A JP2004051715A JP 2004051715 A JP2004051715 A JP 2004051715A JP 2002208785 A JP2002208785 A JP 2002208785A JP 2002208785 A JP2002208785 A JP 2002208785A JP 2004051715 A JP2004051715 A JP 2004051715A
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Japan
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catalyst
component
metallocene compound
compound
polymerization
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JP2002208785A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Ishihama
石浜 由之
Toshihiko Sugano
菅野 利彦
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Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
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Publication date
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  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

【課題】重合活性に優れ、ポリマー性状の優れた重合体を低コストにて得ることができる粒子性状に優れたオレフィン重合用触媒ならびにポリオレフィン重合体の製造方法を提供する。従来よりファウリングが起こりやすく製造が困難とされてきた低融点ポリマーの製造においても、ポリマーパウダー同士の付着や反応器内壁・配管内壁への付着が少なく、反応器・循環系配管・熱交換器・移送ラインでの塊状あるいはフィルム状付着、閉塞等が改良され、オレフィン重合体を工業的に長期間にわたり安定して製造できる。
【解決手段】メタロセン化合物と助触媒担体からなるオレフィン重合用触媒であって、該メタロセン化合物の該助触媒担体に対する担持比が0.60重量%以上20重量%以下であり、かつ、20℃のn−ヘプタンによって抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量が、該助触媒担体に担持されたメタロセン化合物の遷移金属量の0.30重量%未満である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合用触媒およびポリオレフィンの製造方法に関する。更に詳しくは、メタロセン化合物と固体成分を主成分として特定条件下で製造することによって、メタロセン化合物の含有量が高いにもかかわらず、重合工程において該化合物が該触媒から遊離することを防止し、重合活性に優れ、かつ、ポリマー性状の優れた重合体を低コストにて得ることができるオレフィン重合用触媒およびポリオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
共役五員環配位子を有する周期表4〜6族の遷移金属化合物、いわゆるメタロセン化合物は、オレフィンの重合活性が高く、また、分子量分布や共重合組成分布が狭く、立体規則性に優れた重合体が得られること等からオレフィン重合用触媒として広く使用されるに至っている(特公平4−12283号、特開昭60−35007号公報等)。
【0003】
しかし、これらの触媒で製造されるオレフィン重合体は、一般的に、微粉、粗粒が多く見られ、また、嵩密度も低い等粒子性状の不良なものが多く、反応器内壁に強固な付着を形成したり、更には固体成分あたりの重合活性が低い等の新たな問題も有していた。これらの問題を解決するため、メタロセン触媒のオレフィン重合プロセスへの適用は、粒子化した上で触媒として使用され、シリカやアルミナ等の無機化合物粒子やポリマー粒子に触媒成分を担持する方法(特開平3−234710号、同5−170823号公報等)や粘土鉱物を使用する方法(特開平5−301917号、同7−228621号、同8−127613号、同11−5810号公報等)が知られている。これらの触媒でオレフィンを重合した場合、粒子性状に優れ、粒子の流動性が良好なオレフィン重合体が生成するので、安定な重合運転がある程度可能となるが、それでも、反応器内壁や配管内壁、特に反応器から脱ガス槽への移送配管、又は重合ガス循環系の配管、熱交換器、コンプレッサ内部、あるいはガス分散板で薄皮状の付着ポリマーや塊状ポリマーが生成し、配管差圧の上昇あるいは配管の閉塞、反応温度制御の障害を招き、工業的に長期に渡る重合運転は実現されていなかった。
【0004】
反応器を汚損する付着物の生成メカニズムは定かではないが、メタロセン錯体が可溶系の錯体成分であるために、触媒担体から遊離した錯体が活性種となり、不定形のポリマーを生成している可能性が考えられる。これを防止するためには、担持状態が弱く遊離してしまうメタロセン錯体を溶媒による洗浄で除去する方法があるが、一方では、洗浄工程においては、高価なメタロセン錯体を洗い流すといった無駄を行うために触媒の製造コストを上昇させたり、触媒中のメタロセン錯体含有量が減少して活性低下を招くといった問題が生じさせる。従って、高活性を維持しつつ、製造安定性に不可欠なポリマーの粒子性状や付着の問題を両方共に満たすレベルには到達していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重合活性に優れ、触媒性状が良好であり、かつ、ポリマー性状の優れた重合体を低コストで得ることができるオレフィン重合用触媒ならびにポリオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。さらに、従来よりファウリングが起こりやすく製造が困難とされてきた低融点ポリマーの製造においても、ポリマーパウダー同士の付着や反応器内壁・配管内壁への付着が少なく、反応器・循環系配管・熱交換器・移送ラインでの塊状あるいはフィルム状付着、閉塞等が改良され、オレフィン重合体を工業的に長期間にわたり安定して製造することが可能な、オレフィン重合用触媒ならびにポリオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的達成のために鋭意検討した結果なされたもので、具体的には、メタロセン化合物と助触媒担体を主成分とするオレフィン重合用触媒であって、該メタロセン化合物の該助触媒担体に対する担持比が0.60重量%以上20重量%以下であり、かつ、20℃のn−ヘプタンによって抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量が、該助触媒担体に担持されたメタロセン化合物の遷移金属量の0.30重量%未満であることを特徴とするオレフィン重合用触媒に存する。
また、本発明は、オレフィン重合用触媒が、下記の成分[A]と成分[B]、必要に応じて成分[C]を接触させてなる上記のオレフィン重合用触媒に存する。 成分[A]:共役五員環配位子を少なくとも1個有する周期律表4族の遷移金属化合物
成分[B]:下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた1種以上を含有する固体成分
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された担体、
(b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された担体、
(b−3)固体酸
(b−4)層状ケイ酸塩
成分[C]:有機アルミニウム化合物
更に本発明は、上記のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを単独重合または共重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン重合用触媒は、メタロセン化合物と助触媒担体からなるものである。好ましくは、以下の成分[A]と成分[B]、必要に応じて成分[C]を接触させてなる上記のオレフィン重合用触媒である。
成分[A]:共役五員環配位子を少なくとも1個有する周期表4族の遷移金属化合物
成分[B]:下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた1種以上を含有する固体成分
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された担体、
(b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された担体、
(b−3)固体酸
(b−4)層状ケイ酸塩
成分[C]:有機アルミニウム化合物
【0008】
なお、本発明の説明において、「を含む」、「からなる」、及び「組み合わせてなる」とは、本発明の効果を損なわない限りにおいては、挙示の化合物又は成分以外の化合物及び/又は成分をも組み合わせて使用することが可能であることを意味する。また、「重合」という語は、単独重合のみならず共重合を包含した意で用いられ、また「重合体」という語は、単独重合体のみならず共重合体を包含した意で用いられる。
【0009】
<成分[A]>
本発明で使用するメタロセン化合物は、共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期表4〜6族の遷移金属化合物である。かかる遷移金属化合物として好ましいものは、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物である。
【0010】
【化1】
Figure 2004051715
【0011】
(式中、AおよびA’は置換基を有してもよい共役五員環配位子(同一化合物内においてAおよびA’は同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは二つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Zは窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子を示し、Q’は共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を示し、Mは周期表4〜6族から選ばれる金属原子を示し、XおよびYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基または珪素含有炭化水素基(同一化合物内においてX及びX’は同一でも異なっていてもよい)を示す。)
この共役五員環配位子(AおよびA’)の具体例としては、共役炭素五員環配位子、即ちシクロペンタジエニル基を挙げることができる。シクロペンタジエニル基は水素原子を五個有するもの[C−]であってもよく、また、その誘導体、即ちその水素原子のいくつかが置換基で置換されているものであってもよい。
【0012】
シクロペンタジエニル基上の置換基としては、前記の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、の炭化水素基の他に、ハロゲン基(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例えばC〜C12のもの)、ケイ素含有炭化水素基(例えばケイ素原子を−Si(R)(R)(R)の形で含む炭素数1〜24程度の基)、リン含有炭化水素基(例えば、リン原子を−P(R)(R)の形で含む炭素数1〜18程度の基)、窒素含有炭化水素基(例えば、窒素原子を−N(R)(R)の形で含む炭素数1〜18程度の基)あるいはホウ素含有炭化水素基(例えば、ホウ素原子を−B(R)(R)の形で含む炭素数1〜18程度の基)である。これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
別の好ましい例としては、2個の置換基がそれぞれω−端で結合して該シクロペンタジエニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合六員環を形成しているもの、即ちインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、および縮合七員環を形成しているもの、即ちアズレニル基、テトラヒドロアズレニル基が挙げられる。この中で、好ましいものは、アズレニル基である。
【0013】
Qは二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を、Q’は共役五員環配位子の任意の位置とZで示される基を架橋する結合性基を表す。
【0014】
QおよびQ’の具体例としては、
(イ)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基類、
(ロ)ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等のシリレン基、
(ハ)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基、さらに具体的には、(CHGe、(CGe、(CH)P、(C)P、(C)N、(C)N、(C)B、(C)B、(C)Al(CO)Alで示される基等である。好ましいものは、アルキレン基類およびシリレン基類である。
【0015】
Mは周期表4族から選ばれる遷移金属原子を、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。特には、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
【0016】
Zは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。好ましいものの具体例としては、酸素原子、イオウ原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のチオアルコキシ基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のリン含有炭化水素基、水素原子、塩素、臭素、炭素数1〜20の炭化水素基である。
【0017】
XおよびYは、各々水素、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、ジフェニルフォスフィノ基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基、またはトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基である。XとYは同一でも異なってもよい。これらのうちハロゲン原子、炭化水素基、特に炭素数1〜8のもの、およびアミノ基が好ましい。
【0018】
従って、本発明によるオレフィン重合用触媒において、成分[A]として好ましい一般式(1)、(2)、(3)あるいは(4)で表される化合物のうち、特に好ましいものは下記内容のそれぞれの置換基を有するものである。
A、A’=シクロペンタジエニル、n−ブチル−シクロペンタジエニル、ジメチル−シクロペンタジエニル、ジエチル−シクロペンタジエニル、エチル−n−ブチル−シクロペンタジエニル、エチル−メチル−シクロペンタジエニル、n−ブチル−メチル−シクロペンタジエニル、インデニル、2−メチル−インデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチル−テトラヒドロインデニル、2−メチル−ベンゾインデニル、4−ヒドロアズレニル、2,4−ジメチルヘキサヒドロアズレニル、2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル、2−メチル−4−フェニル−ヘキサヒドロアズレニル。
Q、Q’=エチレン、ジメチルシリレン、イソプロピリデン、Z=t−ブチルアミド、フェニルアミド、シクロヘキシルアミド。
M=チタン、ジルコニウム、ハフニウム。
X、Y=塩素、メチル、ジエチルアミノ。
【0019】
(イ)一般式(1)で表される化合物としては、例えば、
(1) ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2) ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3) ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4) ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5) ビス(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(6) ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7) ビス(1−i−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8) ビス(1−t−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(9) ビス(1−メチル−3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(10) ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、
(12) ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(13) ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(14) ビス(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
【0020】
(ロ)一般式(2)で表される化合物としては、例えば
(1)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(8)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(14)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(17)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(20)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(22)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(23)ジメチルシリレンビス{1−(2−ジメチルボラノ−4−インドリル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(24)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−フェニルインデニル}〕ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0021】
(ハ)一般式(3)で表される化合物としては、例えば
(1)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスt−ブチルアミド)ジクロリド、
(2)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスイソプロピルアミド)ジクロリド、
(3)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスシクロドデシルアミド)ジクロリド、
(4)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド)}ジクロリド、
(5)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド}ジクロリド等が挙げられる。
【0022】
(ニ)一般式(4)で表される化合物としては、例えば、
(1)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(2)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(3)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(トリメチルシリルアミド)チタニウムジクロリド、
(4)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジメチル、
(5)ジメチルシランジイル(2−メチルインデニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(6)ジメチルシランジイル(フルオレニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(7)ジメチルシランジイル(3,6−ジイソプロピルフルオレニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド等が挙げられる。
【0023】
一般式(1)ないし(4)で示される共役五員環配位子[A]は、同一の一般式で示される化合物および/または異なる一般式で表される化合物の二種以上の混合物として用いることができる。
プロピレンをオレフィンとして使用する場合は、一般式(2)、(4)を用いることが好ましく、特に(2)を用いることが特に好ましい。
【0024】
<成分[B]>
本発明において、成分[B]としては、次の(b−1)〜(b−4)から選ばれた成分が望ましい。請求項1との関係では、成分[B]の全体が助触媒担体に相当する。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された担体、
(b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された担体、
(b−3)固体酸
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩。
上記(b−1)においては、アルミニウムオキシ化合物が、また(b−2)においては、成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸がそれぞれ助触媒に相当する。(b−3)と(b−4)は、助触媒と担体が同一物質で構成される場合を示すものである。
【0025】
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された担体:
まず、アルミニウムオキシ化合物について説明し、担体については後述する。アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
【化2】
Figure 2004051715
【0027】
上記の各一般式中、Rは、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0028】
一般式(5)及び(6)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。上記のアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
【0029】
一般式(7)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(8)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(8)中、Rは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
B(OH)        (8)
【0030】
(b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された担体:
成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のアニオンとの錯化物等が挙げられる。
【0031】
また、ルイス酸、特に成分[A]をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。担体については後述する。
【0032】
(b−3)固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ・アルミナ等の固体酸が挙げられる。
【0033】
次に、前述した(b−1)および(b−2)における担体について説明する。本発明の担体は、その元素組成、化合物組成についてはとくに限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
【0034】
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
これらの担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10〜200μmの平均粒径を有する。
【0035】
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
本発明で使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物を言う。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群。
【0036】
本発明で使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本願発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
【0037】
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
また、重合によって得られるポリマー粒子の粉体性状を改善するため、当該珪酸塩を球状とすることが好ましい。粒子の形状が球状であれば天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。ただし、一般的には市販品の珪酸塩は不定形であるため、造粒、分粒、分別等の操作をおこなう場合が多い。
球状粒子を得るための噴霧造粒の原料スラリー液の珪酸塩の濃度は0.1〜70%、好ましくは1〜50%、特に好ましくは2〜30%である。噴霧造粒の熱風の入り口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
本発明では、化学処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒等で形状制御を行ってもよい。造粒には各種公知の方法が採用できるが、好ましくは攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられる。
【0038】
上述の成分[B]の中で、特に好ましいものは、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩である。
【0039】
本発明のオレフィン重合用触媒において、(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された担体、(b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された担体、(b−3)固体酸、あるいは、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩は、それぞれ単独に成分[B]として使用される他、これらの4成分を適宜組み合わせて使用することができる。
【0040】
<成分[C]>
成分[C]は有機アルミニウム化合物である。本発明で成分[C]として用いられる有機アルミニウム化合物は、下記一般式
AlR 3−p
で示される化合物が適当である。成分[C]は必要に応じて使用されるが、その効果は触媒製造時や重合時の系内不純物による重合活性点被毒を防止して活性低下を防止するだけでなく、あらかじめ助触媒担体の接触処理を行った場合、助触媒担体へのメタロセン化合物の担持をより強固な形態にして、触媒粒子本体から脱離する該化合物由来の量を削減する効果がある。
【0041】
本発明では上記一般式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは0より大きくかつ3までの数であり、qは3未満である。Rとしてはアルキル基が好ましく、またXは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
【0042】
したがって、好ましい化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0043】
本発明のオレフィン重合用触媒は、上述のメタロセン化合物と助触媒担体からなり、該メタロセン化合物の該助触媒担体に対する担持比が0.60重量%以上20重量%以下であり、かつ、20℃のn−ヘプタンによって抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量が、該担体に担持されたメタロセン化合物の遷移金属量の0.30重量%未満であることを特徴とする。
メタロセン化合物の担持比が0.60重量%未満の場合、助触媒担体当たりの活性が低いため、反応器に投入する触媒量がより多く必要になり、触媒コストが高くなるので経済的に不利である。また、重合系内に存在する触媒や未成長ポリマー、すなわち微粉が多くなるので粒子凝集や器壁への静電気付着が起こりやすい等、工業的な使用に向かない。更には低活性粒子、すなわち、担体が十分に微分散していないポリマー粒子が増加して、いわゆるブツ、フィッシュ・アイと呼ばれる加工製品の外観の悪化を招いたりするので好ましくない。メタロセン化合物の担持比が20重量%より大きい場合、高価なメタロセン化合物を多く使用する割には、担体上に担持出来るメタロセン化合物の量には限界があるため、活性向上効果はその使用量に対して頭打ちになって経済的ではない。メタロセン化合物の担持比は好ましくは0.80重量%以上10重量%以下であり、更に好ましくは0.9重量%以上8.0重量%以下である。
【0044】
なお、ここで、メタロセン化合物の担持比とは、以下の方法で測定されるオレフィン重合用触媒中に含有されるメタロセン化合物の中心遷移金属量(金属換算量)の値を使用して、メタロセン化合物が担持によって化学構造変化を起こすことなくそのまま含有されているとして算出されるメタロセン化合物量の、助触媒担体に対する重量比(%)をいう。
触媒中に含有されるメタロセン化合物の中心遷移金属量(金属換算量)はICP−AES測定法(ICP発光分光分析法)によって定量する。なお、ICP−AES測定を行う前の触媒の前処理は、硫酸灰化、アルカリ融解、酸溶解を順に実施して、得られた均一溶液をICP−AES測定に供する。
【0045】
また、抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量が、0.30重量%以上の場合、反応器内壁や配管内壁、特に反応器から脱ガス槽への移送配管、あるいは重合ガス循環系の配管、熱交換器壁、コンプレッサ内部、ガス分散板等で薄皮状の付着ポリマーや塊状ポリマーが生成し、配管差圧の上昇あるいは配管の閉塞、反応温度制御の障害を起こし、安定な重合運転が実現されない。抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量は、好ましくは0.20重量%未満、更に好ましくは0.10重量%未満、最も好ましく検出限界以下である。
【0046】
なお、ここで、抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量とは、以下の方法で測定される遷移金属量(金属換算量)をいう。
窒素雰囲気下、該触媒5.0gを100mlフラスコに秤量し、ここへn−ヘプタン100mlを加えてスラリー化する。温度20℃で1時間撹拌した後、該スラリー全量を5A濾紙にて濾過して該触媒を濾別した時の、濾液側に存在するメタロセン化合物由来の遷移金属量をICP−AES測定法(ICP発光分光分析法)によって定量する。
この定量値を該担体1g当たりの抽出遷移金属量に換算した値と、先に別途測定した該担体1g当たりの担持メタロセン化合物中心遷移金属量との重量比(%)を指標として使用する。
なお、ICP−AES測定を行う前の濾液の前処理は次のように行われる。濾液10.0mlを採取してn−ヘプタンを加熱蒸発させ、不揮発分を硫酸灰化した後、アルカリ融解、酸溶解を順に実施して得られた均一溶液をICP−AES測定に供する。
【0047】
本発明のオレフィン重合用触媒は、下記工程[II]または/および工程[III]を経て製造されたものであることが望ましく、工程[I]を経て製造されたものであることが更に望ましい。
【0048】
[I]:メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物を不活性炭化水素または液化α−オレフィン等の溶媒の存在下で接触させる工程であって、好ましくは下記条件(イ)、(ロ)を満たす接触工程。
(イ)該メタロセン化合物と該固体成分の混合比が0.60重量%以上20重量%未満であり、かつ、接触時における該メタロセン化合物の溶媒に対する濃度が0.60g/L以上10g/L未満である。メタロセン化合物と助触媒担体の担持反応を促進するためには接触時のメタロセン化合物の溶媒中での濃度を比較的高濃度とすることも好ましい。
(ロ)該接触工程の時間が10分以上12時間以内、より好ましくは30分以上6時間以内、更に好ましくは60分以上4時間以内である。接触温度は、0℃以上80℃未満、好ましくは40℃以上80℃未満の温度に保持される。接触工程の少なくとも初期10分間、好ましくは初期20分間、更に好ましくは初期60分間を、温度が80℃以下、好ましくは40℃以下で実施し、担持反応のある程度の進行をみたらメタロセン化合物の変性・分解が生じない程度に比較的高温、例えば60〜80℃に昇温して担持を促進することが望ましい。
接触初期のメタロセン化合物と助触媒担体の急激な反応は、部位的・化学的不均一な担持、あるいはメタロセン化合物の変性・分解を引き起こすので活性低下や製品粒子形態の悪化を招くので好ましくないからである。
なお後述する工程[II]の前に予備重合を行った場合、その予備重合はメタロセン化合物と助触媒担体の接触反応と並行して進行することになるので予備重合に要した時間は工程[I]の接触時間に含まれる。
【0049】
[II]:メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物を不活性炭化水素または液化α−オレフィン等の溶媒の存在下で接触させて得られた接触生成物を炭化水素溶媒で洗浄した際の洗浄廃液中に含まれる該メタロセン化合物由来の遷移金属量が、100重量ppm未満となるまで洗浄する工程。
【0050】
[III]:メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物を不活性炭化水素または液化α−オレフィン等の溶媒の存在下で接触させて得られた触媒スラリーから溶媒を除去して粉状乾燥触媒を得る工程。
【0051】
上述した工程を経ることが好ましい理由は、助触媒担体に担持されなかったメタロセン化合物またはその副生物を除去し、該担体への該化合物の担持をより強固な形態にして、触媒粒子本体から脱離する該化合物由来の量を削減することにある。この操作を行なわないと、触媒粒子本体から脱離した該化合物由来の遷移金属錯体またはその副生物が有機アルミニウム化合物等と錯化してオレフィン重合能を獲得し、反応器内壁や循環系配管内壁、製品抜出配管内壁等に付着して、これらの場所で重合が進行して薄皮状の付着ポリマーや配管閉塞の原因となる塊状物を生成し易くなる。本発明は下記に述べる工程を行うことにより、これらの付着ポリマーや塊状物の発生を抑制することができる。
【0052】
(工程[I])
メタロセン化合物と助触媒担体の接触に関する上記以外の一般的な条件は公知技術が採用できる。
上記の接触方法の中で好ましい接触条件は、成分[B]と成分[C]を接触させた後に成分[A]を添加する方法である。特に好ましい方法は、成分[A]を添加する前に、前述の不活性溶媒等で成分[B]と成分[C]の接触生成物を洗浄して過剰の成分[C]を除去しておくことである。
【0053】
(工程[II])
次にメタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物の接触反応生成物を炭化水素溶媒で洗浄して、助触媒担体に担持されていない状態のメタロセン化合物またはその副生物を除去する工程について述べる。洗浄に使用する溶媒は、助触媒担体に担持されていない状態のメタロセン化合物またはその副生物を除去することが可能なものならば特に制限なく使用できるが、重合触媒活性を低下せしめる被毒物となる種類のものは相応しくない。
好ましい溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素またはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の液化α−オレフィン等を挙げることができる。また、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン類、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン等のジエン類を使用することもできる。また、これらの溶媒に少量の有機Al化合物、有機Mg化合物、有機Li化合物等を添加して、溶媒中に含有される被毒物の影響を除去することも好ましい。
【0054】
溶媒洗浄の一般的な実施形態は、撹拌装置付き反応槽内で窒素等の不活性ガス雰囲気下、該接触反応生成物を含むスラリー溶液を撹拌後、沈降分離による上澄み液の抜出しと新たな溶媒添加による再希釈、撹拌を繰り返すことによる方法、重力、加圧又は真空濾過器を使用した濾過ケークの溶媒洗浄の方法等を挙げることができる。
これらの洗浄方法のうちで、沈降分離による上澄み抜出しを繰り返す方法は、助触媒担体に担持されていない状態のメタロセン化合物またはその副生物を除去するとともに、助触媒担体やメタロセン化合物に始めから含まれるか、あるいは予備重合も含めた触媒製造の工程で剥離、破砕、変性等によって生成した超微粒子をも併せて容易に除去できることからも、好ましい方法の一つである。洗浄の温度が低すぎると、メタロセン化合物の溶解性が悪くなって洗浄の効果が弱まるので好ましくない。また、洗浄の温度が高すぎると、洗浄の効果は強まるけれども、熱による活性点の変性が進行する場合があるので好ましくない。よって、洗浄の温度は−100℃以上100℃以下、好ましくは−10℃以上60℃以下、更に好ましくは0℃以上40℃以下である。
【0055】
洗浄は最終洗浄廃液中に含まれる該メタロセン化合物由来の遷移金属量が、100重量ppm未満、好ましくは50重量ppm未満、更に好ましくは7重量ppm未満、特に好ましくは4重量ppm未満となるまで繰り返すことが好ましい。この最終洗浄廃液中に含まれる該メタロセン化合物由来の遷移金属量が検出されないことが最も好ましいけれども、後述する乾燥工程を処した場合、メタロセン化合物の助触媒担体への担持をより強固な形態にする効果があるので、最終洗液中、すなわち、最終触媒スラリー溶液の液相部分に遊離したメタロセン化合物が少量存在する場合においても本発明の目的の達成を困難とするものではない。
【0056】
(工程[III])
最後に、メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物を接触して得られた触媒スラリーから溶媒を除去して粉状乾燥触媒を得る工程について述べる。触媒スラリーから溶媒を除去して触媒を粉体状態とすると、工業上の適用において、触媒の重量、容積を最小にして長期保存や移送上の利便性が向上したり、反応装置内での操作性が向上することはもちろんのこと、メタロセン錯体と助触媒担体との接触反応を促進してメタロセン化合物の助触媒担体への担持をより強固な形態にする効果がある。
【0057】
乾燥は窒素等の不活性ガス中、回分式材料靜置型伝導受熱または熱風受熱乾燥器、通気バンド乾燥器等の連続式材料移送型熱風乾燥器、円筒または溝型撹拌乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動乾燥器等の材料撹拌型乾燥器、噴霧乾燥器、気流乾燥器等の連続式熱風搬送型乾燥器、真空(減圧)・凍結乾燥器、ドラム乾燥器等の円筒乾燥器、等の、一般的な乾燥装置を用いて実施することができる。これらのうち、塊状物のない粉体性状のよい粉状乾燥触媒を得るためには、円筒または溝型撹拌乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動乾燥器等の材料撹拌型乾燥器が好ましい。また、真空(減圧)乾燥器であることも好ましい。
乾燥温度は溶媒を留去可能な温度であれば特に制限はないが、系内が120℃以上の高温となる条件は触媒活性の低下を招いたり、予備重合触媒の場合、予備重合ポリマーの融着を招くので適切ではない。また、乾燥温度が低い場合、溶媒の蒸発速度が低下して乾燥の所要時間が長くなるので効率的でなかったり、メタロセン化合物の担持形態の効果的な強化が行われないので好ましくない。好ましい乾燥温度は系内が0〜100℃、より好ましくは40〜90℃、更に好ましくは60〜80℃である。
【0058】
(予備重合)
重合の前に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に重合するのは、粒子破砕による微粉ポリマーの生成を防ぎ、更には助触媒担体へのメタロセン化合物の担持をより強固な形態にし、触媒から脱離するメタロセン化合物由来の遷移金属化合物を削減して薄皮状の付着ポリマーや配管閉塞の原因となる塊状物の発生を防止する上で好ましい。このエチレン等による予備的な重合は、その効果が失われない限りにおいて、前述の[I]〜[III]の全工程の、前、間、後、いずれにおいても実施可能であり、不活性溶媒中または無溶媒中(あるいは液状α−オレフィンを予備重合に使用する場合は該α−オレフィン中でもよい)、上記各成分の接触下、必要に応じて新たに前記成分[C]のような有機アルミニウム化合物を追加して、エチレン等を供し、触媒成分1g当たり0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。予備重合温度は一般的には、−100〜100℃、好ましくは−60〜100℃、であり、予備重合時間は一般的には、0.01〜100時間、好ましくは0.1〜20時間であるが、本発明において予備重合を実施する場合の具体的な実施態様を次に述べる。
【0059】
[予備重合処方1] メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物との接触反応生成物、好ましくは上記工程Iを経て製造された接触生成物を予備重合した後、上記工程IIの洗浄を行う。
[予備重合処方2] メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物との接触反応生成物、好ましくは上記工程Iを経て製造された接触生成物に、上記工程IIの洗浄を行った後、予備重合を実施する。
[予備重合処方3] メタロセン化合物と助触媒担体、必要に応じて有機アルミニウム化合物との接触反応生成物、好ましくは上記工程Iを経て製造された接触生成物に、上記工程IIの洗浄を行った後、予備重合を実施し、更に上記工程IIの洗浄を実施する。
【0060】
これらの中で本発明を達成するために特に効果的なのは予備重合処方2である。予備重合3も効果的ではあるが、洗浄工程が複数回に渡るため工程が煩雑になったり、経済的に不利である。
【0061】
これらの予備重合を実施する場合、該重合時の温度や圧力を一般的な重合と同様に高活性が発現する高温、高圧下の条件で実施することが、本重合において高活性となる触媒が得られる傾向にある。ただし、工程Iで述べたように接触初期のメタロセン化合物と助触媒担体の急激な反応は、部位的・化学的不均一な担持、あるいはメタロセン化合物の変性・分解を引き起こすのでむしろ活性低下や製品粒子形態の悪化を招くので好ましくない。これらを防止して活性の高い触媒を製造するためには、接触工程から予備重合工程初期にかけては比較的低温を保ち、予備重合反応が進行した後に以後の反応を高温または/および高圧で実施することが望ましい。好ましい予備重合の具体的条件として、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上の予備重合工程であって、該工程の終了前の少なくとも5分間、好ましくは10分間、更に好ましくは20分間を、高温または/および高圧の条件下で実施する方法を例示することが出来る。この場合、高温とは40℃、好ましくは50℃、更に好ましくは70℃より高い温度を云う。また、高圧とは、一般的に予備重合はモノマーを予備重合反応器へ一定供給速度で供給して実施されるので、該供給速度が大きい状態を云う。該供給速度は助触媒担体1g当たり0.50g/hr以上、好ましくは1.0g/hr以上、更に好ましくは5.0g/hr以上である。更には、先述の一般的な予備重合の条件として挙げた項目を全て充足していることは言うまでもない。
【0062】
(重合)
オレフィンの重合反応は、上記で得られた触媒成分を用いて行われるが、必要に応じて有機アルミニウム化合物を用いる。この際、用いられる有機アルミニウム化合物としては、前記[C]成分と同様な化合物が挙げられる。この際に用いられる有機アルミニウム化合物の量は、触媒成分[A]中の遷移金属対有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル比が1:0〜10000になるように選ばれる。上記のようなオレフィン重合用触媒により重合できるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。また、重合は単独重合の他通常公知のランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは実質的に溶媒や単量体の液相が存在しない状態で気相重合により行う。気相重合は、例えば流動床、撹拌床、撹拌・混合機を備えた撹拌流動床等の反応装置を用いて行うことができ、本発明の触媒は特に気相重合に使用されるとその効果が明確に発現する。重合温度、重合圧力等の条件は特に限定されないが、重合温度は、一般に−50〜250℃、好ましくは0〜100℃であり、また、重合圧力は通常、常圧〜約2000kgf/cm、好ましくは常圧〜200kgf/cm、更に好ましくは常圧〜50kgf/cmの範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
【0063】
【実施例】
次の実施例は、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
以下の実施例及び比較例において、物性の評価は次のようにして行った。
(1)エチレン系重合体のMFR
JIS K6760に準拠した、190℃、2.16kg荷重で測定されるメルトインデックス
(2)プロピレン系重合体のMFR
JIS−K−6758による230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトインデックス
(3)密度
JIS−K7112に準拠し、メルトインデックス測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、さらに室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定される。
(4)製品BD
JIS K 7365に準拠した重合ポリマーの見掛け密度(嵩密度:BDとも言う)。
(5)融点
DSC(セイコーインスツルメント社製「DSC6200」)を使用し、10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後の2回目の昇温時の測定により求めた。
【0064】
(6)洗浄率
デカンテーションにより洗浄を行う際の洗浄の程度を表すもので、上澄み中に含まれる各成分量をトータル量1として、洗浄後にトータル量に対し、元来上澄み中に存在していた成分がどれだけ含まれるかを、下記の計算式により求めたものである。なお、各成分は洗浄操作により固体側から脱離しないとして計算している。
1 =(V−d)/(V+P
2 =(V−d)/(V+P
n =(Vn−1−d)/Vn−1
洗浄率 =W×W ・・×W
但し、記号は下記の意味を有する。
n : n回目の洗浄率(0回目は洗浄前を示す)
n−1:(n−1)回目の洗浄後の溶液量
n : n回目洗浄時の抜き出し量
n : n回目洗浄時の追加溶媒量
【0065】
[実施例1]
(1)粘土鉱物の酸処理
市販の膨潤性モンモリロナイトの造粒分級品(「ベンクレイSL」、水澤化学社製、平均粒径27μm)37kgを25%硫酸148kgの中に分散させ、90℃で2時間撹拌した。これを脱塩水にて濾過・洗浄した。
(2)粘土鉱物の塩処理および乾燥
市販の硫酸チタニル水溶液(堺化学工業(株)製、TiOとして7.5%含有、SOとして25.6%含有)236kgの中に上記(1)で得られた硫酸処理モンモリロナイトのケーキを全量分散させ、30℃で3時間撹拌した。これを脱塩水にてpH3.5まで濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備的に乾燥してチタニウム塩処理モンモリロナイトを得た。この予備乾燥モンモリロナイトのうち、目開き150メッシュの篩を通過した粒子を更に、ロータリー・キルンを用いて、温度200℃、向流窒素気流下(窒素流量49Nm/hr)で、3kg/hrの速さ(滞留時間10分)で連続乾燥し、乾燥窒素下で回収した。
【0066】
(3)塩処理モンモリロナイトの有機Al処理
窒素雰囲気下、3Lフラスコに(2)で得た乾燥モンモリロナイト粒子400gを入れ、n−ヘプタン0.47Lに分散させてスラリーとした。ここへ、室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)1.93Lを添加して1時間反応させた後、沈降分離して上澄み液1.6Lを抜き出した。次いでn−ヘプタン1.60Lを加えて10分間撹拌後、沈降分離して、上澄み液1.60L抜き出す洗浄工程を3回繰り返した。
【0067】
(4)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン1.3L、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド24.0mmol(11.8g)をn−ヘプタン2.0Lに分散して添加し、75℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。次に温度を保持したまま、(3)で得られた有機Al処理モンモリロナイト100gとn−ヘプタン0.90Lのスラリー分散液を反応器へ導入して10分間攪拌を継続した。系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で75分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。
【0068】
(5)予備重合触媒の洗浄
上記(4)で得られた予備重合触媒スラリーを冷却して60℃とし、n−ヘプタン5.0Lを追加して予備重合触媒の洗浄を開始した。60℃で5分間撹拌した後、撹拌を止めて15分間靜置沈降を行い、上澄み液を抜き出した。この工程を3回繰り返したところ、洗浄率は1/18となった。また、3回目洗浄時の上澄液中のハフニウム濃度は41重量ppmであった。
(6)予備重合触媒の乾燥
(5)で洗浄を行った予備重合触媒スラリー全量を窒素雰囲気下において、伝導受熱のためのスチームジャケットを装備した15L槽型振動式減圧乾燥機に抜き出した。ヘプタン4Lを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全て乾燥機に抜き出した。乾燥機に移送した予備重合触媒スラリーを静置して上澄み液約5Lを除去した後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を留去した。温度を保持したまま、目視にて溶媒がほぼ留去されたことを確認してから2時間減圧乾燥を行い、この結果、予備重合触媒粉末965gを回収した。
この予備重合触媒粉末を20℃ヘプタンによって抽出したところ、抽出されたハフニウムは担持したハフニウムに対して0.02重量%未満であった。
【0069】
(7)エチレン・1−ブテン共重合
上記(6)の予備重合触媒を使用してエチレンと1−ブテンの気相共重合を行った。即ちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=3.7%、水素/エチレン=0.043%)が循環する連続式気相重合反応器に(6)で得られた予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして29.0mg/hrで、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、68mg/hrで、間欠的に供給した。重合反応の条件は90℃、エチレン分圧18kg/cm、平均滞留時間3.8時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは313g/hrであった。18時間経過後の1時間で製造された製品を回収して測定された重合結果を表1に示した。製品中に混入している目開き3mmメッシュの篩で捕集される薄膜状のポリマー(網越し品)の、生産量に対する比率は3.2重量ppmであった。以上のように、重合は非常に安定な状態で運転をすることが可能であった。
【0070】
[実施例2]
(1)塩処理モンモリロナイトの有機Al処理
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器に実施例1(2)で得た乾燥モンモリロナイト粒子400gを入れ、n−ヘプタン0.44Lに分散させて、該スラリー分散液の温度を30℃とした。次いで、撹拌下、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)1.96Lを添加して、温度40℃に昇温した。温度を保持したまま1時間反応を行った後、n−ヘプタン追加、沈降分離、上澄み抜き出しの工程を4回繰り返し、洗浄を行った。この時の洗浄率は1/63であった。
(2)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン2.4Lと、実施例2(1)で得られた有機Al処理モンモリロナイト100gとn−ヘプタン0.90Lのスラリー分散液を反応器へ導入した。次いで、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド24.0mmol(11.8g)をn−ヘプタン0.90Lに分散して添加し、75℃に昇温して10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム192mmol(21.92g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。次に系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で78分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。
【0071】
(3)予備重合触媒の洗浄および乾燥
実施例1(5)(6)と同様にして上記(2)で得られた予備重合触媒の洗浄および乾燥を行った。ただし洗浄率の積が1/76となるまで洗浄を強化した。この結果、予備重合触媒粉末943gを回収した。
(4)エチレン・1−ヘキセン共重合
上記(3)の予備重合触媒を使用してエチレン・1−ヘキセン気相共重合を行った。即ち、エチレンとヘキセンと水素の混合ガス(ヘキセン/エチレン=2.7%、水素/エチレン=0.036%)が循環する連続式気相重合反応器に上記予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして40.1mg/hrで、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、68mg/hrで、間欠的に供給した。重合反応の条件は90℃、エチレン分圧18kg/cm、平均滞留時間3.6時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは333g/hrであった。重合結果を表1に示した。
【0072】
[実施例3]
(1)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン2.56Lと、実施例1(2)で得た乾燥モンモリロナイト粒子100gとn−ヘプタン0.90Lのスラリー分散液を反応器へ導入した。次いで、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド24.0mmol(11.8g)をn−ヘプタン0.90Lに分散して添加し、75℃に昇温して10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。次に系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で78分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。
(3)予備重合触媒の洗浄および乾燥
実施例1(5)(6)と同様にして予備重合触媒の洗浄および乾燥を行った。ただし洗浄率の積が1/180となるまで洗浄を強化した。この結果、予備重合触媒粉末1038gを回収した。
(4)エチレン・1−ブテン共重合
上記(3)の予備重合触媒を使用して、実施例1と同様にしてエチレンと1−ブテンの気相共重合を行った。ただし、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして29.1mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間4.0時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは303g/hrであった。重合結果を表1に示した。
【0073】
[実施例4]
(1)予備重合の製造およびエチレン・1−ブテン共重合
予備重合触媒の洗浄の洗浄率を1/12とした以外は実施例1と同様にして予備重合触媒の製造と得られた予備重合触媒を使用したエチレンと1−ブテンの気相共重合を行った。ただし、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして26.2mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間3.9時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは305g/hrであった。重合結果を表1に示した。乾燥前の触媒スラリー溶液の液相部のHf濃度は、表1の洗浄廃液中のHf濃度と同一であるので該廃液中のHf総量は321mgと計算される。一方、触媒から抽出されるHf総量は表1のHf抽出量から5.2mgと計算される。よって実施例1(6)に記載の触媒の乾燥工程によってメタロセン錯体と助触媒担体との接触反応を促進してメタロセン化合物の助触媒担体への担持をより強固な形態にする効果があったことがわかる。
【0074】
[比較例1]
(1)触媒調製および予備重合
実施例1(4)と同様にして行った。
(2)予備重合触媒の乾燥
上記(1)で得られた予備重合触媒スラリー全量を実施例1(6)にある70℃の減圧乾燥を実施して予備重合触媒粉末935gを回収した。
(3)エチレン・1−ブテン共重合
上記(2)の予備重合触媒を使用して、実施例1(7)と同様にしてエチレンと1−ブテンの気相共重合を行った。ただし、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして24.5mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間4.0時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは298g/hrであった。重合結果を表1に示した。製品中に混入している網越し品の、生産量に対する比率は79.9重量ppmと非常に多かった。製品抜出ラインの閉塞のために16時間後には運転停止を余儀なくされた。
【0075】
[実施例5]
(1)塩処理モンモリロナイトの有機Al処理
窒素雰囲気下、攪拌装置付き2Lフラスコにn−ヘプタン0.344Lと、実施例1(2)で得た乾燥モンモリロナイト粒子100gを導入した。系を30℃に保ち、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.613mol/L)0.489Lを添加した。温度を保持したまま1時間反応を行った後、洗浄率が1/70となるまでn−ヘプタンによる洗浄を行った後、総量を0.20Lに調製した。
(2)触媒調製および洗浄
(1)に引き続き、トルエン0.80Lを加えて総量を1.0Lとした後、温度30℃で、メタロセン化合物としてビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(24.00mmolすなわち11.8gをトルエン0.90Lに分散した溶液)を添加した後、温度を保持したまま1時間反応を継続した。引き続き温度を保持したまま、撹拌を止めて30分間静置沈降して上澄み1.70Lを抜き出した後、抜き出し量と同量のトルエンを加えて接触反応物である触媒スラリーの洗浄を行う操作を4回繰り返し、洗浄率が1/8145となるようにした。洗浄後の総量は2.00Lであった。最終洗浄液中のハフニウムの濃度は0.1重量ppm未満であった。
【0076】
(3)予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン2.37Lと、上記(2)で得た触媒スラリーを全量導入した。系を20℃に保ち、トリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して10分間攪拌した後、系の温度を30分で80℃に昇温して10分間反応を行った。引き続きエチレン予備重合を実施した。即ち、温度80℃でエチレンガスを10NL/分の速度で75分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。得られた予備重合触媒スラリーを冷却して、実施例1(6)と同様にして予備重合触媒の乾燥を実施した。この結果、予備重合触媒粉末861gを回収した。
この予備重合触媒粉末を20℃ヘプタンによって抽出したところ、抽出されたハフニウムは担持したハフニウムに対して0.02重量%未満であった。
(4)エチレン・1−ヘキセン共重合
上記(3)の予備重合触媒を使用して、実施例2と同様にしてエチレンと1−ヘキセンの気相共重合を行った。ただし、重合温度は83℃で実施し、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして72.9mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間4.3時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは278g/hrであった。重合結果を表2に示した。
【0077】
[実施例6]
(1)予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン2.37Lと、実施例5(2)と同様にして得た触媒スラリーを全量導入した。系を20℃に保ち、トリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して10分間攪拌した後、系の温度を10分で40℃に昇温して10分間反応を行った。引き続きエチレン予備重合を実施した。即ち、温度40℃でエチレンガスを10NL/分の速度で20分間導入して予備重合を行った後、エチレンガス導入はそのまま継続しながら、系内温度を30分かけて80℃まで昇温し、引き続きその温度で25分間予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。得られた予備重合触媒スラリーを冷却して、実施例1(6)と同様にして予備重合触媒の乾燥を実施した。この結果、予備重合触媒粉末884gを回収した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合
上記(1)の予備重合触媒を使用して、実施例5と同様にしてエチレンと1−ヘキセンの気相共重合を行った。ただし、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして59.9mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間3.8時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは313g/hrであった。重合結果を表2に示した。
【0078】
[実施例7]
実施例5と同様にして予備重合触媒の製造及びエチレン・1−ヘキセンの気相共重合を行った。ただし、実施例5(3)で80℃とあるところを全て40℃で行った。また、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして99.6mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間4.0時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは301g/hrであった。重合結果を表2に示した。
【0079】
[実施例8]
実施例5と同様にして予備重合触媒の製造及びエチレン・1−ヘキセンの気相共重合を行った。ただし、実施例5(2)で有機Al処理モンモリロナイトとビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドの接触反応は90℃にて1時間実施し、実施例5(3)で80℃とあるところを全て40℃で行った。また、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして120.8mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間4.4時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは271g/hrであった。重合結果を表2に示した。
【0080】
[実施例9]
実施例5と同様にして予備重合触媒の製造及びエチレン・1−ヘキセンの気相共重合を行った。ただし、実施例5(2)で有機Al処理モンモリロナイトとビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドの接触反応は90℃にて1時間実施した。また、反応器には予備重合触媒粉末をモンモリロナイトとして108.5mg/hrを間欠的に供給し、平均滞留時間4.7時間であった。予備重合触媒の供給を開始して12時間経過後以降の生成ポリエチレンの平均重合レートは256g/hrであった。重合結果を表2に示した。
【0081】
[実施例10]
(1)粘土鉱物の化学処理
市販のモンモリロナイト8kgを振動ボールミルによって粉砕し、塩化マグネシウム10kgを溶解させた脱塩水50L中に分散させて、80℃で1時間撹拌した。得られた固体成分を水洗した後、8.2%の塩酸水溶液56L中に分散させて、90℃で2時間撹拌し、脱塩水で水洗した。このようにして化学処理されたモンモリロナイト4.6kgの水スラリー液を固形分濃度15.2%に調製し、スプレードライヤーにより噴霧造粒を行い、球状の造粒々子を得た。次いで、この造粒粒子200gを、純水1000gに市販のCr(NO・9HO 80gを溶解させた水溶液中に分散させ、90℃で3時間攪拌した。これを脱塩水にてpH6まで濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備乾燥して、全て流れ性の良い粒子状のクロム塩処理モンモリロナイトを得た。この粒子を更に温度200℃で2時間減圧乾燥した。
(2)塩処理モンモリロナイトの有機Al処理
窒素雰囲気下、200mlフラスコに(1)で得た乾燥モンモリロナイト粒子10gを入れ、n−ヘプタン11.8mlに分散させてスラリーとした。ここへ、室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)48.3mlを添加して1時間反応させた後、沈降分離して上澄み液40mlを抜き出した。次いでn−ヘプタン100mlを加えて10分間撹拌後、沈降分離して、上澄み液100ml抜き出す洗浄工程を3回繰り返した。
【0082】
(3)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量1Lの誘導攪拌装置付き反応器に、(2)で得られた有機Al処理モンモリロナイトのスラリー溶液を全量加え、n−ヘプタンを追加して全量を180mlとした。系の温度を30℃として、トリエチルアルミニウム9.60mmol(1.10g)を添加して、温度を保持したまま10分間攪拌した。引き続きビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.40mmol(117mg)をトルエン120mlに分散して添加して、更に10分間攪拌を続けた。系の温度を80℃とした後、エチレンガスを1.0NL/分の速度で60分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。
(4)予備重合触媒の洗浄
上記(3)で得られた予備重合触媒スラリーを冷却して30℃とし、2Lフラスコに移送してn−ヘプタンによる洗浄を行った。すなわち、n−ヘプタンを追加して30℃で5分間撹拌を行い、15分間靜置沈降して上澄みを抜き出す工程を3回繰り返して、洗浄率が1/422になるようにした。
【0083】
(5)予備重合触媒の乾燥
(4)で洗浄を行った予備重合触媒スラリーを70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を留去した。温度を保持したまま、目視にて溶媒がほぼ留去されたことを確認してから2時間減圧乾燥を行い、この結果、予備重合触媒粉末82.5gを回収した。
(6)エチレン・1−ブテン共重合
上記(5)の予備重合触媒粉末を使用してエチレン・1−ブテンスラリー共重合を行った。すなわち、3Lオートクレーブにn−ヘプタン1.5L、トリエチルアルミニウム2.5mmol、および1−ブテン120mlを加え、65℃に昇温した。ついで(5)で得られた予備重合触媒を、モンモリロナイトとして100mgをエチレンとともに導入し、エチレンを消費量見合いで供給しながら全圧を20kg/cm−Gに保って、65℃で2時間重合を行った。2時間後、エタノールを加えて重合を停止した。得られたエチレン・1−ブテン共重合体は151gであった。結果を表3に示した。
【0084】
[比較例2]
実施例10と同様にして予備重合触媒の製造およびエチレン・1−ブテン共重合を行った。ただし、実施例11(3)で使用するビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの量を0.20mmol(58mg)とした。結果を表3に示した。
【0085】
[実施例11]
(1)予備重合触媒の製造
実施例10(3)(4)(5)と同様にして予備重合触媒の製造を行った。ただし、実施例10(3)で有機Al処理モンモリロナイトに代わってWITCO社製MAO on SiO(8.5mmol−Al/g)を、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.40mmol(117mg)に代わってビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド2.40mmol(1038mg)を使用した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合
上記(1)で得られた予備重合触媒を使用して、実施例10と同様にしてエチレン・1−ブテン共重合を行った。結果を表3に示した。
【0086】
[実施例12]
[遷移金属化合物の合成]
〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕の合成は特開平10−226712号公報の実施例に従って実施した。
[珪酸塩の化学処理]
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm、粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
【0087】
[珪酸塩の乾燥]
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加温帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き、回転数:2rpm、傾斜角:20/520、珪酸塩の供給速度:2.5g/分、ガス流速:窒素、96リットル/時間、向流、乾燥温度:200℃(粉体温度)
[触媒の調製]
内容積1リットルの攪拌翼のついたガラス製反応器に実施例−A1で得た乾燥珪酸塩20gを導入し、混合ヘプタン116ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)84mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを200mlに調製した。
【0088】
次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)0.96mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕を218mg(0.3mmol)と混合ヘプタンを87mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を3.31ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して500mlに調製した。
【0089】
[予備重合/洗浄]
続いて、窒素で十分置換を行った内容積1.0リットルの攪拌式オートクレーブに、先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを240mlデカントした。続いて混合ヘプタンを560ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを560ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。
最後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.0gを含む予備重合触媒が得られた。
【0090】
[重合]
内容積3リットルの撹拌式オ−トクレ−ブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン30g、水素100cc、続いて液体プロピレン1500mlを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。先に実施した予備重合触媒をノルマルヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)10mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を70℃に維持した。0.5時間後、エタノール5mlを加え、残ガスをパージして得られたポリマ−を90℃で10時間乾燥した。その結果、198gのポリマ−が得られた。触媒活性は、39500g−PP/g−触媒・時であった。ポリマーBD=0.40(g/cc)、MFR=4.1(dg/分)、融点は124.2℃であった。結果を表4に示す。
【0091】
[比較例3]
[触媒の調製/予備重合]
予備重合触媒の洗浄を実施しないことを除き、実施例12と同様に実施した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、静置後除いた上澄みの成分分析を実施したところ、全上澄み中のZr存在量は7.6%であった。
[重合]
上記予備重合触媒を使用することを除き、実施例12と同様に実施した。融点は127.1℃であった。結果を表4に示す。実施例12と比較すると、活性レベルはやや高いがが、反応器への付着量の増加がみられた。
【0092】
【表1】
Figure 2004051715
【0093】
【表2】
Figure 2004051715
【0094】
【表3】
Figure 2004051715
【0095】
【表4】
Figure 2004051715
【0096】
【発明の効果】
本発明の触媒は、重合活性に優れ、ポリマー性状の優れた重合体を与える。反応器・循環系配管・熱交換器・移送ラインでの塊状あるいはフィルム状付着、閉塞等が改良され、オレフィン重合体を工業的に長期間にわたり安定して製造することが可能となる。

Claims (7)

  1. メタロセン化合物と助触媒担体からなるオレフィン重合用触媒であって、該メタロセン化合物の該助触媒担体に対する担持比が0.60重量%以上20重量%以下であり、かつ、20℃のn−ヘプタンによって1時間で抽出されるメタロセン化合物由来の遷移金属量が、該担体に担持されたメタロセン化合物の遷移金属量の0.30重量%未満であることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  2. オレフィン重合用触媒が、下記の成分[A]と成分[B]、必要に応じて成分[C]を接触させてなる請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
    成分[A]:共役五員環配位子を少なくとも1個有する周期表4族の遷移金属化合物
    成分[B]:下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた1種以上を含有する固体成分
    (b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された担体、
    (b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された担体、
    (b−3)固体酸
    (b−4)層状ケイ酸塩
    成分[C]:有機アルミニウム化合物
  3. メタロセン化合物と助触媒担体の接触生成物を炭化水素溶媒で洗浄した際の洗浄廃液中に含まれる該メタロセン化合物由来の遷移金属量が、100重量ppm未満となるまで洗浄する工程を経たものであることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. オレフィンと接触させて、成分[B]1g当たり0.01〜1000gのオレフィンを予備重合する工程を経たものであることを特徴とする請求項2または3に記載のオレフィン重合用触媒。
  5. 粉状乾燥触媒であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  6. メタロセン化合物と助触媒担体の接触生成物を炭化水素溶媒で洗浄後に予備重合をおこなったものであることを特徴とする請求項4または5に記載のオレフィン重合用触媒。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを単独重合または共重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
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