JP2004051659A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステル樹脂のシート、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度不良の発生を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂を提供することにある。
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物0.05〜5.0重量部、(C)ポリオレフィン系重合体を5〜50重量部配合してなるポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物0.05〜5.0重量部、(C)ポリオレフィン系重合体を5〜50重量部配合してなるポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形加工性、特に押出加工性等に優れた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的特性、ガスバリヤー性に優れており、ボトル等の包装材料を中心に幅広く用いられている。特に最近は、その優れた表面性を活かしシート、フィルム、異型押出等の押出用途への使用が検討されている。例えば、特開2001−200146では、特定の非晶質ポリエステルにアクリルシリコン系ゴムと滑剤を配合すること、また、特開2001−214044では、特定の非晶質ポリエステルにアクリルゴム系改質材を配合すること、また、特開平06−41376では、芳香族ポリエステルに分子量100〜400万の芳香族ビニル系共重合体を配合することで樹脂の加工性を改良することが提案されている。しかしながらこれらの技術は、熱可塑性ポリエステル樹脂の中でもポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂等の溶融粘度の温度依存性が大きい結晶性ポリエステル樹脂に用いるような場合にあっては、それらの溶融粘度の温度依存性が大きいこともあり、その加工性改良効果は、十分でなく、シート加工、フィルム加工、異型押出などの押出成形において引き取り不良、また、成形品凸部の倒れこみ、肉厚の不均一等の寸法精度不良、成形品の表面性不良が生じ、その改善が強く望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリエステル系樹脂のシート、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度の不良発生等を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成すべく本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、特定の配合比でフッ素系樹脂化合物及びオレフィン系重合体を熱可塑性ポリエステル系樹脂に混合することにより、シート加工、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、肉厚の不均一等の寸法精度の不良、成形品の表面性不良を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物を0.05〜5.0重量部、(C)オレフィン系重合体を5〜50重量部含んでなることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物に関する。
【0005】
また、本発明者らは、上記樹脂組成物へアクリル系改質剤を特定の配合比で混合することにより、さらに押出加工性に優れたポリエステル系樹脂組成物を提供できることも見出した。すなわち本発明は、さらに(D)アクリル系改質剤0.5〜10重量部を配合してなる上記ポリエステル樹脂組成物に関する。
さらに本発明は、(D)アクリル系改質剤の重量平均分子量が100万〜1000万である上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、(D)アクリル系改質剤が、主としてアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体からなる上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、(D)アクリル系改質剤が、主としてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとの共重合体からなる上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。さらに本発明は、(C)オレフィン系重合体がエポキシ基含有オレフィンを有するオレフィン系共重合体である上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、上記ポリエステル樹脂組成物を押出成形して得られた樹脂成形品にも関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する(A)熱可塑性ポリエステル樹脂とは、酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸または、エステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価アルコールまたは、エステル形成能を持つそれらの誘導体などを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。これらの中でも加工性、機械的性質、電気的性質、耐熱性などのバランスに優れるという点で、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好ましい。これらポリアルキレンテレフタレート樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂などがあげられる。さらに結晶性を有するポリアルキレンテレフタレート樹脂、中でも結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂では、特に押出成形性の改良効果がより一層顕著に得られ、特に好ましいものといえる。
【0007】
本発明で使用する(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の割合で、他の成分を共重合して構成されてもよい。共重合の成分としては、公知の酸成分、アルコール成分及び/またはフェノール成分、あるいは、エステル形成能を持つこれらの誘導体が使用できる。酸成分としては、炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を持つこれらの誘導体が挙げられる。
【0008】
具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボシフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由で、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0009】
アルコール成分及びフェノール成分としては、炭素数2〜15の2価以上の脂肪族アルコール、炭素数6〜20の2価以上の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたはフェノール、及びエステル形成能を持つこれらの誘導体が挙げられる。
具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの化合物、およびエステル形成能をもつこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルも使用することができる。これらの中でも、得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由で、エチレングリコール、ブタンジオールが好ましい。
【0010】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、さらにポリオキシアルキレングリコール単位を一部共重合することにより構成されてもよい。ポリオキシアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダムまたは、ブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中では、共重合時の熱安定性が良好で、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の耐熱性があまり低下しにくい等の理由から、分子量500〜2000のビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物が好ましい。これら(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂は、単独または、2種以上併用することもできる。
【0011】
上記熱可塑性ポリエステル樹脂の製造方法は、公知の重合方法、例えば溶融重縮合、固相重縮合、溶液重合等によって得ることができる。また、重合時に樹脂の色調を改良するため、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸メチルジエチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等の化合物の1種または、2種以上を添加してもよい。
これら(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1の混合溶媒中、25℃で測定)は、特に限定されないが0.4以上であることが好ましい。前記固有粘度が0.4未満では、得られた成形品の機械的特性が低下する傾向がある。
【0012】
本発明で使用する(B)フッ素系樹脂化合物とは、樹脂中にフッ素原子を有する樹脂のことをいう。(B)フッ素系樹脂化合物は、本発明の樹脂組成物の成形加工性を向上させる目的で配合される。
これらフッ素樹脂の具体例としては、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などを挙げることができる。
また、得られた成形品の物性を損なわない範囲で必要に応じ、これらフッ素樹脂の製造に用いる単量体と他のフッ素原子を含有しない共重合可能な単量体とを併用し、重合して得られた共重合体を用いてもよい。
上記(B)フッ素系樹脂化合物は、1種あるいは、2種以上組み合わせて用いられる。
【0013】
(B)フッ素系樹脂化合物の製造方法に関しては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中の遊離基触媒、例えば、ナトリウム、カリウム、または、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、100〜1000psiの圧力下、0〜200℃の温度で重合することによって得ることができ、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの公知の重合方法より得ることができる。
【0014】
上記(B)フッ素系樹脂化合物の添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上であることがさらに好ましい。また上記添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して5.0重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。
上記添加量が、0.05重量部未満では押出加工性が低下する傾向があり、5重量部を越えると押出加工性や成形品の表面性などが低下する傾向がある。
【0015】
本発明に用いられる(C)オレフィン系重合体とは、当該重合体中、オレフィンが50%以上の割合を占める重合体又は共重合体のことをいう。
本発明において用いられる(C)オレフィン系重合体は、成形品表面性、成形品厚みの均等性などの押出加工性を改善する目的で用いられる。
【0016】
本発明に用いられる(C)オレフィン系重合体を構成するオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性を改善するために、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、酸無水物などの官能基を含有するオレフィンをを共重合させてなる共重合体、なかでもエポキシ基含有オレフィンを共重合させてなる共重合体は、押出加工性改良効果に優れ、より好ましく使用することができる。
上記(C)オレフィン系重合体は、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0017】
上記(C)オレフィン系重合体の添加量は、押出加工性改良の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して5重量部以上で配合することが好ましく、さらに好ましくは10重量部以上である。また上記添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、50重量部以下で配合することが好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。上記添加量が5重量部未満である場合、押出加工性が改良されにくい傾向にあり、50重量部を超えるとポリエステル樹脂組成物の有する本来の特性が損なわれる傾向にあり好ましくない。
【0018】
本発明の(D)アクリル系改質剤とは、主としてアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの1種以上からなるアクリル系共重合体からなる、樹脂組成物の物性を向上させる効果を有する組成物のことをいう。
本明細書において、「主として」とは、アクリル系改質剤のうち上記アクリル系共重合体が50重量%以上の割合で含有されることを意味する。
上記(D)アクリル系改質剤は、押出加工性をより一層改善する目的で用いられる。
【0019】
上記(D)アクリル系改質剤の重量平均分子量は特に制限されないが、100万以上であることが好ましく、より好ましくは500万以上、さらに好ましくは550万以上、特に好ましくは600万以上である。また、上記重量平均分子量は、1000万以下であることが好ましく、より好ましくは900万以下である。(ここで用いられる重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC)により求められたスチレン換算の重量平均分子量のことを表す。)
上記重量平均分子量が100万未満である場合、不均一な成形品厚みを発生するなど押出加工性の改善が充分でなく、1000万を超える場合、成形品の表面性が悪化するので好ましくない。
【0020】
上記(D)アクリル系改質剤を構成するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
なかでも、主としてアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体からなるものが好ましく、主としてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとの共重合体からなる共重合体が、優れた押出加工性、特に優れた成形品表面性、成形品厚みの均等性が得られることより、さらに好ましい。
上記(D)アクリル系改質剤は、単独あるいは2種以上を併用して用いることもできる。
【0021】
上記(D)アクリル系改質剤の添加量は特に限定されないが、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.5重量部以上で配合することが好ましく、さらに好ましくは1.0重量部以上である。また上記添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して50重量部以下で配合することが好ましく、20重量部以下がさらに好ましい。上記添加量が0.5重量部未満であると所望の押出加工性改良の効果が得られず、50重量部を超えるとポリエステル樹脂組成物の有する本来の特性が損なわれる傾向にあり、好ましくない。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、通常の添加剤として使用される充填剤、フィラー、発泡剤、抗酸化剤、熱安定剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、摺動性向上剤、着色剤などを添加しても差し支えない。
【0023】
フィラーは、組成物の増量、着色などの他、本発明の樹脂組成物の強度を調整し、もって押出加工性を向上させる目的で使用することができる。
本発明で使用されるフィラーとしては、タルク、マイカ等の無機フィラーが好ましい。
上記フィラーは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部中、1重量部以上含有されることが好ましく、3重量部以上であることがさらに好ましい。また上記含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部中、200重量部以下で含有されることが好ましく、100重量部以下で含有されることが、さらに好ましい。上記含有量が1重量部未満である場合、フィラー添加による所望の効果が得られず、200重量部を超える場合、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物本来の性質が損なわれるので、好ましくない。
【0024】
熱安定剤は、押出成形加工の効率を向上させる目的で添加することができる。
上記熱安定剤として、テトラキスメチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメートメタンなど、市販の熱安定剤を特に制限することなく使用できる。
【0025】
本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成物を押出成形することによって得られる樹脂成形品である。
【0026】
本発明において、押出成形は特に制限されないが、各組成物の混合物を2軸押出機、単軸押出機等の押出機へ供して、溶融混練、乾燥、及び、ダイス、さらに必要であればサイズジングダイスを用いた成形を行うことからなる押出成形が挙げられる。
【0027】
上記樹脂成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物から構成されていることから、特に制限されることなく、あらゆる形状にすることができる。板状、パイプ状、中空構造などの形状にすることも可能である。
上記樹脂成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物から構成されているので、機械的特性、表面性に優れている。
本発明の樹脂成形品は、その優れた表面性を生かし、シート、フィルム等に使用できる。
【0028】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂として対数粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1である混合溶媒中、25℃で測定、以下同様)が0.65dl/gで充分に乾燥したポリエチレンテレフタレート(a−1)100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物としてポリテトラフルオロエチレンであるフッ素系樹脂化合物(b−1)(商品名:ダイキン工業株式会社製 FA500)を0.5重量部、(C)ポリオレフィン系重合体としてエポキシ変性されたポリエチレン(c−1)(住友石油化学株式会社製ボンドファーストE)を10重量部、熱安定剤としてテトラキスメチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメートメタン(商品名:旭電化株式会社製アデカスタブAO−60)0.2重量部をドライブレンドした。この混合物をシリンダー温度250〜280℃に設定したベント式45mmφ同方向2軸押出機(商品名:日本製鋼所株式会社製TEX44)にて溶融混練することでペレットを得た。
【0029】
得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、40mm単軸押出機(大阪精機工作株式会社製10VSE−40−28V)を用いて、シリンダー温度:255℃、ダイス温度250℃にて押出し、ダイスより出てきた樹脂をダイスより5cm離した場所にセットしたサイジングダイス(温度80℃)への引き取りを行い、押出加工を実施した。得られた成形品について、押出加工性を評価した。なおダイス出口およびサイジングダイスの出入り口の形状は、図1および図2に示したものを用いた。
【0030】
押出加工性の評価1
図1−1に示した形状のダイスおよびサイジングダイスを用いて成形品を製造し、押出加工性を評価した。
(成形品の表面性)
得られた成形品の表面性を目視で観察し、以下の基準にて評価した。
◎:表面に光沢があり、表面が均一で良好である。
〇:表面の光沢はないが、表面が均一で良好である。
△:表面に凹凸が確認され、不均一である。
×:サイジングダイスまで引き取ることができず、評価不能であった。
【0031】
(成形品の寸法精度)
得られた成形品について、図1−2に示す部分について角度を測定し、評価した。
90度に近い形状が得られているものが、よりダイス形状を再現しており、良好であると判断できることから、下記の基準にて評価した。
(中心の部分が図中、左側もしくは,右側に倒れることになるが、倒れを生じた側にて角度を求めることとした。)
◎:角度が87.5〜90度
〇:角度が85.0〜90度
△:角度が80〜90度
×:角度が80度以下となる場合がある。もしくは、サイジングダイスに引き込むことができず、まともな成形品が得られなかった。
【0032】
押出加工性の評価2
図2−1に示した形状のダイスおよびサイジングダイスを用いて成形品を製造し、押出加工性を評価した。
(成形品の表面性)
得られた成形品の表面性を観察し、以下の基準にて評価した。
◎:表面に光沢があり、表面が均一で良好である。
〇:表面の光沢はないが、表面が均一で良好である。
△:表面に凹凸が確認され、不均一である。
×:サイジングダイスまで引き取ることができず、評価不能であった。
【0033】
(成形品の寸法精度)
得られた成形品について、図2−2に示す部分について寸法測定し、評価した。成形品上部の寸法Aと成形品下部の寸法Bを測定し、寸法A/寸法Bを求めた。寸法A/寸法Bが1に近い方が、異型押出で問題となるドローダウンが小さく、寸法精度が良好であると言える。
表中、×を記載したものはドローダウンが大きく、サイジングダイスに引き込むことができなかったことを示す。
【0034】
(実施例2〜10および比較例1〜5)
各配合剤を表1及び表2に示した量に変更した以外は、実施例1と同様にして成形品を得た。ただし、配合剤は、実施例1で使用したものの他、以下のものを用いた。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
・対数粘度が0.85dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)
(B)フッ素系樹脂化合物
・フッ素系樹脂化合物(b−2)(商品名:三菱レーヨン株式会社製 メタプレンA3000)
(C)オレフィン系重合体
線状低密度ポリエチレン(商品名:出光石油化学株式会社製モアテック0168N)(c−2)
エポキシ変性されたポリエチレン(住友石油化学株式会社製ボンドファースト2C)(c−3)
【0035】
(D)アクリル系改質剤
分子量約150万のアクリル系改質剤(d−1)(商品名:鐘淵化学工業株式会社製カネエースPA−20)
分子量約600万のアクリル系改質剤(d−2)(商品名:鐘淵化学工業株式会社製カネエースPA−50)、分子量約800万のアクリル系改質剤(d−3)(商品名:鐘淵化学工業株式会社製カネエースPA−60)
無機フィラー
マイカ(山口雲母株式会社製A41)
タルク(林化成株式会社製タルカンPK)
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
それぞれの樹脂組成物から得られた成形品について、上記押出加工性評価1及び2の評価を行い、評価結果を表3及び表4に示した。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
実施例の結果を示した表3と比較例の結果を示した表4を比較して明らかなように、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度不良の発生を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物であることが分かる。特に、(D)アクリル系改質剤を使用した実施例3〜10の樹脂組成物は、優れた寸法精度を示した。
【0042】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂のシート、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度の不良等の発生を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を提供することができる。したがって、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、種々の押出加工用樹脂として好適に使用でき、工業的に有用である。
また本発明の樹脂成形品は、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物から構成されていることから、機械的特性、表面性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1−1は、押出加工性評価1で使用したダイスおよびサイジングダイスの出入り口を表した図である。図1−2は、押出加工性評価1で成形した成形品断面を表した図である。
【図2】図2−1は、押出加工性評価2で使用したダイスおよびサイジングダイスの出入り口を表した図である。図2−2は、押出加工性評価2で成形した成形品断面を表した図である。
【符号の説明】
1.押出加工性評価1での測定角度
2.上側寸法A
3.下側寸法B
【発明の属する技術分野】
本発明は成形加工性、特に押出加工性等に優れた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的特性、ガスバリヤー性に優れており、ボトル等の包装材料を中心に幅広く用いられている。特に最近は、その優れた表面性を活かしシート、フィルム、異型押出等の押出用途への使用が検討されている。例えば、特開2001−200146では、特定の非晶質ポリエステルにアクリルシリコン系ゴムと滑剤を配合すること、また、特開2001−214044では、特定の非晶質ポリエステルにアクリルゴム系改質材を配合すること、また、特開平06−41376では、芳香族ポリエステルに分子量100〜400万の芳香族ビニル系共重合体を配合することで樹脂の加工性を改良することが提案されている。しかしながらこれらの技術は、熱可塑性ポリエステル樹脂の中でもポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂等の溶融粘度の温度依存性が大きい結晶性ポリエステル樹脂に用いるような場合にあっては、それらの溶融粘度の温度依存性が大きいこともあり、その加工性改良効果は、十分でなく、シート加工、フィルム加工、異型押出などの押出成形において引き取り不良、また、成形品凸部の倒れこみ、肉厚の不均一等の寸法精度不良、成形品の表面性不良が生じ、その改善が強く望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリエステル系樹脂のシート、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度の不良発生等を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成すべく本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、特定の配合比でフッ素系樹脂化合物及びオレフィン系重合体を熱可塑性ポリエステル系樹脂に混合することにより、シート加工、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、肉厚の不均一等の寸法精度の不良、成形品の表面性不良を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物を0.05〜5.0重量部、(C)オレフィン系重合体を5〜50重量部含んでなることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物に関する。
【0005】
また、本発明者らは、上記樹脂組成物へアクリル系改質剤を特定の配合比で混合することにより、さらに押出加工性に優れたポリエステル系樹脂組成物を提供できることも見出した。すなわち本発明は、さらに(D)アクリル系改質剤0.5〜10重量部を配合してなる上記ポリエステル樹脂組成物に関する。
さらに本発明は、(D)アクリル系改質剤の重量平均分子量が100万〜1000万である上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、(D)アクリル系改質剤が、主としてアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体からなる上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、(D)アクリル系改質剤が、主としてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとの共重合体からなる上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。さらに本発明は、(C)オレフィン系重合体がエポキシ基含有オレフィンを有するオレフィン系共重合体である上記ポリエステル樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、上記ポリエステル樹脂組成物を押出成形して得られた樹脂成形品にも関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する(A)熱可塑性ポリエステル樹脂とは、酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸または、エステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価アルコールまたは、エステル形成能を持つそれらの誘導体などを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。これらの中でも加工性、機械的性質、電気的性質、耐熱性などのバランスに優れるという点で、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好ましい。これらポリアルキレンテレフタレート樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂などがあげられる。さらに結晶性を有するポリアルキレンテレフタレート樹脂、中でも結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂では、特に押出成形性の改良効果がより一層顕著に得られ、特に好ましいものといえる。
【0007】
本発明で使用する(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の割合で、他の成分を共重合して構成されてもよい。共重合の成分としては、公知の酸成分、アルコール成分及び/またはフェノール成分、あるいは、エステル形成能を持つこれらの誘導体が使用できる。酸成分としては、炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を持つこれらの誘導体が挙げられる。
【0008】
具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボシフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由で、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0009】
アルコール成分及びフェノール成分としては、炭素数2〜15の2価以上の脂肪族アルコール、炭素数6〜20の2価以上の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたはフェノール、及びエステル形成能を持つこれらの誘導体が挙げられる。
具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの化合物、およびエステル形成能をもつこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルも使用することができる。これらの中でも、得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由で、エチレングリコール、ブタンジオールが好ましい。
【0010】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、さらにポリオキシアルキレングリコール単位を一部共重合することにより構成されてもよい。ポリオキシアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダムまたは、ブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中では、共重合時の熱安定性が良好で、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の耐熱性があまり低下しにくい等の理由から、分子量500〜2000のビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物が好ましい。これら(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂は、単独または、2種以上併用することもできる。
【0011】
上記熱可塑性ポリエステル樹脂の製造方法は、公知の重合方法、例えば溶融重縮合、固相重縮合、溶液重合等によって得ることができる。また、重合時に樹脂の色調を改良するため、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸メチルジエチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等の化合物の1種または、2種以上を添加してもよい。
これら(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1の混合溶媒中、25℃で測定)は、特に限定されないが0.4以上であることが好ましい。前記固有粘度が0.4未満では、得られた成形品の機械的特性が低下する傾向がある。
【0012】
本発明で使用する(B)フッ素系樹脂化合物とは、樹脂中にフッ素原子を有する樹脂のことをいう。(B)フッ素系樹脂化合物は、本発明の樹脂組成物の成形加工性を向上させる目的で配合される。
これらフッ素樹脂の具体例としては、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などを挙げることができる。
また、得られた成形品の物性を損なわない範囲で必要に応じ、これらフッ素樹脂の製造に用いる単量体と他のフッ素原子を含有しない共重合可能な単量体とを併用し、重合して得られた共重合体を用いてもよい。
上記(B)フッ素系樹脂化合物は、1種あるいは、2種以上組み合わせて用いられる。
【0013】
(B)フッ素系樹脂化合物の製造方法に関しては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中の遊離基触媒、例えば、ナトリウム、カリウム、または、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、100〜1000psiの圧力下、0〜200℃の温度で重合することによって得ることができ、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの公知の重合方法より得ることができる。
【0014】
上記(B)フッ素系樹脂化合物の添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上であることがさらに好ましい。また上記添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して5.0重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。
上記添加量が、0.05重量部未満では押出加工性が低下する傾向があり、5重量部を越えると押出加工性や成形品の表面性などが低下する傾向がある。
【0015】
本発明に用いられる(C)オレフィン系重合体とは、当該重合体中、オレフィンが50%以上の割合を占める重合体又は共重合体のことをいう。
本発明において用いられる(C)オレフィン系重合体は、成形品表面性、成形品厚みの均等性などの押出加工性を改善する目的で用いられる。
【0016】
本発明に用いられる(C)オレフィン系重合体を構成するオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性を改善するために、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、酸無水物などの官能基を含有するオレフィンをを共重合させてなる共重合体、なかでもエポキシ基含有オレフィンを共重合させてなる共重合体は、押出加工性改良効果に優れ、より好ましく使用することができる。
上記(C)オレフィン系重合体は、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0017】
上記(C)オレフィン系重合体の添加量は、押出加工性改良の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して5重量部以上で配合することが好ましく、さらに好ましくは10重量部以上である。また上記添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、50重量部以下で配合することが好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。上記添加量が5重量部未満である場合、押出加工性が改良されにくい傾向にあり、50重量部を超えるとポリエステル樹脂組成物の有する本来の特性が損なわれる傾向にあり好ましくない。
【0018】
本発明の(D)アクリル系改質剤とは、主としてアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの1種以上からなるアクリル系共重合体からなる、樹脂組成物の物性を向上させる効果を有する組成物のことをいう。
本明細書において、「主として」とは、アクリル系改質剤のうち上記アクリル系共重合体が50重量%以上の割合で含有されることを意味する。
上記(D)アクリル系改質剤は、押出加工性をより一層改善する目的で用いられる。
【0019】
上記(D)アクリル系改質剤の重量平均分子量は特に制限されないが、100万以上であることが好ましく、より好ましくは500万以上、さらに好ましくは550万以上、特に好ましくは600万以上である。また、上記重量平均分子量は、1000万以下であることが好ましく、より好ましくは900万以下である。(ここで用いられる重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC)により求められたスチレン換算の重量平均分子量のことを表す。)
上記重量平均分子量が100万未満である場合、不均一な成形品厚みを発生するなど押出加工性の改善が充分でなく、1000万を超える場合、成形品の表面性が悪化するので好ましくない。
【0020】
上記(D)アクリル系改質剤を構成するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
なかでも、主としてアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体からなるものが好ましく、主としてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとの共重合体からなる共重合体が、優れた押出加工性、特に優れた成形品表面性、成形品厚みの均等性が得られることより、さらに好ましい。
上記(D)アクリル系改質剤は、単独あるいは2種以上を併用して用いることもできる。
【0021】
上記(D)アクリル系改質剤の添加量は特に限定されないが、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.5重量部以上で配合することが好ましく、さらに好ましくは1.0重量部以上である。また上記添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して50重量部以下で配合することが好ましく、20重量部以下がさらに好ましい。上記添加量が0.5重量部未満であると所望の押出加工性改良の効果が得られず、50重量部を超えるとポリエステル樹脂組成物の有する本来の特性が損なわれる傾向にあり、好ましくない。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、通常の添加剤として使用される充填剤、フィラー、発泡剤、抗酸化剤、熱安定剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、摺動性向上剤、着色剤などを添加しても差し支えない。
【0023】
フィラーは、組成物の増量、着色などの他、本発明の樹脂組成物の強度を調整し、もって押出加工性を向上させる目的で使用することができる。
本発明で使用されるフィラーとしては、タルク、マイカ等の無機フィラーが好ましい。
上記フィラーは、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部中、1重量部以上含有されることが好ましく、3重量部以上であることがさらに好ましい。また上記含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部中、200重量部以下で含有されることが好ましく、100重量部以下で含有されることが、さらに好ましい。上記含有量が1重量部未満である場合、フィラー添加による所望の効果が得られず、200重量部を超える場合、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物本来の性質が損なわれるので、好ましくない。
【0024】
熱安定剤は、押出成形加工の効率を向上させる目的で添加することができる。
上記熱安定剤として、テトラキスメチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメートメタンなど、市販の熱安定剤を特に制限することなく使用できる。
【0025】
本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成物を押出成形することによって得られる樹脂成形品である。
【0026】
本発明において、押出成形は特に制限されないが、各組成物の混合物を2軸押出機、単軸押出機等の押出機へ供して、溶融混練、乾燥、及び、ダイス、さらに必要であればサイズジングダイスを用いた成形を行うことからなる押出成形が挙げられる。
【0027】
上記樹脂成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物から構成されていることから、特に制限されることなく、あらゆる形状にすることができる。板状、パイプ状、中空構造などの形状にすることも可能である。
上記樹脂成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物から構成されているので、機械的特性、表面性に優れている。
本発明の樹脂成形品は、その優れた表面性を生かし、シート、フィルム等に使用できる。
【0028】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂として対数粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1である混合溶媒中、25℃で測定、以下同様)が0.65dl/gで充分に乾燥したポリエチレンテレフタレート(a−1)100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物としてポリテトラフルオロエチレンであるフッ素系樹脂化合物(b−1)(商品名:ダイキン工業株式会社製 FA500)を0.5重量部、(C)ポリオレフィン系重合体としてエポキシ変性されたポリエチレン(c−1)(住友石油化学株式会社製ボンドファーストE)を10重量部、熱安定剤としてテトラキスメチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメートメタン(商品名:旭電化株式会社製アデカスタブAO−60)0.2重量部をドライブレンドした。この混合物をシリンダー温度250〜280℃に設定したベント式45mmφ同方向2軸押出機(商品名:日本製鋼所株式会社製TEX44)にて溶融混練することでペレットを得た。
【0029】
得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、40mm単軸押出機(大阪精機工作株式会社製10VSE−40−28V)を用いて、シリンダー温度:255℃、ダイス温度250℃にて押出し、ダイスより出てきた樹脂をダイスより5cm離した場所にセットしたサイジングダイス(温度80℃)への引き取りを行い、押出加工を実施した。得られた成形品について、押出加工性を評価した。なおダイス出口およびサイジングダイスの出入り口の形状は、図1および図2に示したものを用いた。
【0030】
押出加工性の評価1
図1−1に示した形状のダイスおよびサイジングダイスを用いて成形品を製造し、押出加工性を評価した。
(成形品の表面性)
得られた成形品の表面性を目視で観察し、以下の基準にて評価した。
◎:表面に光沢があり、表面が均一で良好である。
〇:表面の光沢はないが、表面が均一で良好である。
△:表面に凹凸が確認され、不均一である。
×:サイジングダイスまで引き取ることができず、評価不能であった。
【0031】
(成形品の寸法精度)
得られた成形品について、図1−2に示す部分について角度を測定し、評価した。
90度に近い形状が得られているものが、よりダイス形状を再現しており、良好であると判断できることから、下記の基準にて評価した。
(中心の部分が図中、左側もしくは,右側に倒れることになるが、倒れを生じた側にて角度を求めることとした。)
◎:角度が87.5〜90度
〇:角度が85.0〜90度
△:角度が80〜90度
×:角度が80度以下となる場合がある。もしくは、サイジングダイスに引き込むことができず、まともな成形品が得られなかった。
【0032】
押出加工性の評価2
図2−1に示した形状のダイスおよびサイジングダイスを用いて成形品を製造し、押出加工性を評価した。
(成形品の表面性)
得られた成形品の表面性を観察し、以下の基準にて評価した。
◎:表面に光沢があり、表面が均一で良好である。
〇:表面の光沢はないが、表面が均一で良好である。
△:表面に凹凸が確認され、不均一である。
×:サイジングダイスまで引き取ることができず、評価不能であった。
【0033】
(成形品の寸法精度)
得られた成形品について、図2−2に示す部分について寸法測定し、評価した。成形品上部の寸法Aと成形品下部の寸法Bを測定し、寸法A/寸法Bを求めた。寸法A/寸法Bが1に近い方が、異型押出で問題となるドローダウンが小さく、寸法精度が良好であると言える。
表中、×を記載したものはドローダウンが大きく、サイジングダイスに引き込むことができなかったことを示す。
【0034】
(実施例2〜10および比較例1〜5)
各配合剤を表1及び表2に示した量に変更した以外は、実施例1と同様にして成形品を得た。ただし、配合剤は、実施例1で使用したものの他、以下のものを用いた。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
・対数粘度が0.85dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)
(B)フッ素系樹脂化合物
・フッ素系樹脂化合物(b−2)(商品名:三菱レーヨン株式会社製 メタプレンA3000)
(C)オレフィン系重合体
線状低密度ポリエチレン(商品名:出光石油化学株式会社製モアテック0168N)(c−2)
エポキシ変性されたポリエチレン(住友石油化学株式会社製ボンドファースト2C)(c−3)
【0035】
(D)アクリル系改質剤
分子量約150万のアクリル系改質剤(d−1)(商品名:鐘淵化学工業株式会社製カネエースPA−20)
分子量約600万のアクリル系改質剤(d−2)(商品名:鐘淵化学工業株式会社製カネエースPA−50)、分子量約800万のアクリル系改質剤(d−3)(商品名:鐘淵化学工業株式会社製カネエースPA−60)
無機フィラー
マイカ(山口雲母株式会社製A41)
タルク(林化成株式会社製タルカンPK)
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
それぞれの樹脂組成物から得られた成形品について、上記押出加工性評価1及び2の評価を行い、評価結果を表3及び表4に示した。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
実施例の結果を示した表3と比較例の結果を示した表4を比較して明らかなように、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度不良の発生を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物であることが分かる。特に、(D)アクリル系改質剤を使用した実施例3〜10の樹脂組成物は、優れた寸法精度を示した。
【0042】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂のシート、フィルム加工、異型押出などの押出成形において問題となる引き取り不良、寸法精度の不良等の発生を抑え、押出加工性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を提供することができる。したがって、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、種々の押出加工用樹脂として好適に使用でき、工業的に有用である。
また本発明の樹脂成形品は、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物から構成されていることから、機械的特性、表面性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1−1は、押出加工性評価1で使用したダイスおよびサイジングダイスの出入り口を表した図である。図1−2は、押出加工性評価1で成形した成形品断面を表した図である。
【図2】図2−1は、押出加工性評価2で使用したダイスおよびサイジングダイスの出入り口を表した図である。図2−2は、押出加工性評価2で成形した成形品断面を表した図である。
【符号の説明】
1.押出加工性評価1での測定角度
2.上側寸法A
3.下側寸法B
Claims (7)
- (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)フッ素系樹脂化合物0.05〜5.0重量部、(C)オレフィン系重合体を5〜50重量部配合してなるポリエステル樹脂組成物。
- (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、さらに(D)アクリル系改質剤0.5〜10重量部を配合してなる請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
- (D)アクリル系改質剤の重量平均分子量が100万〜1000万である請求項2記載のポリエステル樹脂組成物。
- (D)アクリル系改質剤が、主としてアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体からなる請求項2又は3記載のポリエステル樹脂組成物。
- (D)アクリル系改質剤が、主としてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとの共重合体からなる請求項2又は3記載のポリエステル樹脂組成物。
- (C)オレフィン系重合体が、エポキシ基含有オレフィンを共重合させてなるオレフィン系共重合体である請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物を押出成形して得られた樹脂成形品。
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