JP2004041586A - 生体適合性材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体親和性、生体適合性に優れる生体適合材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】水溶性の極めて高いキトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを塩を殆ど含まない条件下で混合した後、凍結乾燥することにより生体適合性、弾力性、粘着性、機械特性に優れた生体適合性材料を得ることができる。
本発明の生体適合性材料は、創傷保護材などとして有用である。
【選択図】 なし
【解決手段】水溶性の極めて高いキトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを塩を殆ど含まない条件下で混合した後、凍結乾燥することにより生体適合性、弾力性、粘着性、機械特性に優れた生体適合性材料を得ることができる。
本発明の生体適合性材料は、創傷保護材などとして有用である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とを含む生体適合性材料であり、中性領域において、塩を殆ど含まない条件下でのキトサンとヒアルロン酸のイオンコンプレックスよりえられる生体適合性材料、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体適合性フィルム、スポンジなどの生体適合性材料に関する研究は多数行なわれており、例えば、特公平2−40341号公報には、延伸ポリ四フッ化エチレンベースの表面に、コラーゲン層を有し、その上にコラーゲンとムコ多糖類との複合体層を有し、かつ該コラーゲンが架橋剤により架橋されていることを特徴とする抗血栓性材料が開示されている。生体適合性に優れる点でコラーゲンを使用し、抗血栓性を高めるためにムコ多糖類を使用し、耐久性を付与するためにコラーゲン層をグルタルアルデヒドやジアルデヒドデンプンなどの多価アルデヒド化合物で架橋している。
【0003】
また、特公平5−67300号公報には、N−アシルキトサンおよびコラーゲンの複合材料からなる人工皮膚および創傷カバー材が開示される。コラーゲンは生体の結合組織の主要成分であり、細胞の基質として最も適しているために生体適合性に優れ、異種間のインプラントにおいて問題となる抗原性も比較的低く、医用材料として優れる。そこで、N−アシルキトサンとコラーゲンとを組み合わせて生体適合性に優れる複合材としたものである。
【0004】
しかしながら、コラーゲンは牛から単離されることが一般的であり、近来のBSE問題に鑑みて、反芻動物を由来とする材料の安全性が問題となっている。
【0005】
一方、コラーゲンを使用しない支持体として、特開平10−226732号公報には、溶解性多糖類の水溶性溶液を供給し、前記溶液を冷凍し、冷凍した溶液を架橋剤を含有した水混和性有機溶媒で処理して前記多糖類を架橋して水に不溶性にし、前記溶媒を凍結溶液中の水の一部と置換し、生成する架橋多糖類を乾燥すること、の各工程からなる、多糖類スポンジの製造方法が開示されている。多糖類としては、ヒアルロン酸、キトサンが開示され、グルタールアルデヒドやジシクロヘキシルカルボジイミドなどで架橋している。
【0006】
また、特開2000−116765号公報には、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質から形成されるポリイオンコンプレックスの乾燥フィルムからなる癒着防止用材料が開示されている。ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質とは水の存在下に混合した場合にポリイオンコンプレックスを形成し、ゲル化するものであればその混合比は問わず、ポリイオンコンプレックスの形成方法も、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質とを水または他の溶媒に別々に溶解し、混合した後薄膜状に流延するか、薄膜状に流延しつつ混合するか、あるいは一方の溶液を薄膜状に流延した後に他方の溶液を混合する方法、ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の何れか一方を水または他の溶媒に溶解し、得られた溶液に他方を溶解した後、薄膜状に流延するか、溶解しつつ薄膜状に流延するなどの方法を含むとしている。ポリアニオン性物質としてヒアルロン酸が、ポリカチオンオン性物質としてキトサンが記載されているが、実施例では蒸留水にヒアルロン酸ナトリウムを溶解した溶液と、0.1N酢酸溶液にキトサンを溶解した溶液とをガラス板上で、ヒアルロン酸ナトリウム溶液上にキトサン溶液を重層し、乾燥して癒着防止用材料を得ている。
【0007】
しかしながら、特開平10−226732号公報に記載される方法では、架橋剤を使用し、未反応の架橋剤が残存する恐れがあり、使用時の安全性が問題となる。また、特開2000−116765号公報に記載される方法では、実際には、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質とからなる層を別個に形成するものであり、製造工程が煩雑である他、両者の混合物を使用するものではない。また、直接皮膚や臓器などの出血部位に接触する部材は使用する部材に由来する感染の恐れがないものを使用することが好ましく、製造工程で架橋剤等を使用しないことも好ましい条件である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、コラーゲンを使用せず、架橋剤を含まず、しかも直接皮膚や臓器などに接触させた場合に生体適合性や安全性に優れる生体適合性材料を提供するものである。
【0009】
更に、本発明の目的は、生体適合性に優れる材料を使用し、架橋剤を使用せず、中和塩が殆ど残存せず、安全な生体適合性材料を極めて効率的に製造する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とのイオンコンプレックスについて詳細に検討した結果、中性領域においてキトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液との架橋剤を含まない混合液を調製し凍結乾燥して得たスポンジ状物は弾力性、接着性、機械的特性に富み、適度な不溶性でありながら長期的には水溶性となり生体適合性材料として好ましく使用できることを見出し本発明を完成させた。
【0011】
すなわち本発明は、水溶性の高い高分子キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液との均一混合液を凍結乾燥して得た弾力性、粘着性を持つ生体適合性スポンジを提供するものである。該キトサンとしては、分子量10,000〜300,000であり、脱アセチル化率が30〜70%でありpH5〜7で溶解することが好ましい。また、該ヒアルロン酸の分子量が100,000〜5,000,000であり、該ヒアルロン酸0.1〜5質量%の水溶液に、キトサンを質量比10:1〜1:2の割合で塩を殆ど含まない条件下で混合したものを凍結乾燥することで弾力性、粘着性、機械的特性に優れた生体適合性材料が得られる。本発明の生体適合性材料は、創傷保護材などとして好ましく使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを含み、架橋剤を含まない混合液を凍結乾燥して得た生体適合性材料である。
【0013】
通常、中性条件でキトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを混合しても均一の混合液は形成することができない。このためキトサンとヒアルロン酸(塩)とからなる創傷カバー材を得るには、特開2000−116765号公報に記載されるように、蒸留水にヒアルロン酸ナトリウムを溶解し、キトサンを0.1N酢酸溶液に溶解し、ヒアルロン酸層とキトサン層とをガラス板上にそれぞれ重層し、その後に乾燥する必要があった。このため、得られた創傷カバー材はキトサン層とヒアルロン酸層との積層シートであり、弾力性、粘着性、機械的特性を充分に有するものとはいえなかった。
【0014】
一般に、キトサンを溶解するには酢酸などの酸性溶液に溶解する必要がある。酸性キトサン水溶液にヒアルロン酸ナトリウムを添加すると酸性条件下(pH4以下)ではヒアルロン酸が沈殿し、またキトサンの等電点付近でキトサンが析出し、キトサンとヒアルロン酸ナトリウムとの均一溶液が得られないためである。また、酸性条件でヒアルロン酸ナトリウムとキトサンとの混合液を調製すると、生体適合性材料として使用するには含まれる酸を除去する必要がある。この際、ヒアルロン酸とキトサンとの混合液に水酸化ナトリウム等を添加して中和処理を行なうと、キトサンとヒアルロン酸ナトリウムとの混合液自体は粘性水溶液であるため、該混合液に含まれる中和処理によって形成される遊離塩を分離することができず、乾燥後の生体適合性材料にも多量の塩が残存することになる。この結果、皮膚に対する刺激性を排除することも困難であり、得られたものも弾性および機械的強度に劣るシート状物、またはスポンジ状物の生体適合性材料が得られるに過ぎなかった。
【0015】
しかしながら、キトサンとして極めて水溶性の高い高分子キトサンを使用すると、酢酸や塩酸などの酸性溶媒を使用せず、中性の水溶液に溶解することができる。また、ヒアルロン酸(塩)水溶液と混合しても両者が均一に混合し、極めて粘性の高い混合液が得られる。そしてこのヒアルロン酸(塩)とキトサンとの混合液を凍結乾燥すると、弾性および機械的強度に優れるシート状物、スポンジ状物が得られ、キトサンを酸性溶液で溶解する必要がないため、塩を含まない生体適合性材料となり、皮膚に対する刺激もなく創傷保護材などとして優れる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
キトサンは、N−アセチル−D−グルコサミンの重合体であるキチンの脱アセチル化物であり、キチンを濃アルカリと加熱して得られるが、この際グリコシド結合もかなり分解され性質は必ずしも一定でない。また、キトサンはグルコサミン(2−アミノ−D−グルコース)からなる塩基性多糖類であり、遊離のものは水に溶けず塩酸その他の酸の存在で塩を形成して溶解する。しかしながら、N−アセチル化率を特定範囲に限定し、分子量も制御することで水溶性のキトサンとすることができる。本発明で使用するキトサンはこのようなキトサンであり、温度0〜100℃でpH6〜7の水性溶媒に溶解できるものである。水性溶媒としては水のほかに、キトサンの溶解性を損なわない範囲で、水にアルコールやアセトンなどの親水性有機溶媒が含まれているものであってもよい。このようなキトサンとしては、分子量10,000〜500,000より好ましくは50,000〜200,000、特に好ましくは70,000〜100,000である。分子量が500,000を超えると生体適合性材料として使用した場合に強度は向上するが溶解性に劣る場合があり、その一方、10,000を下回ると強度が劣る場合がある。
【0017】
また、キトサンの脱アセチル化率が30〜70%、より好ましくは40〜60%、特に好ましくは45〜55%である。脱アセチル化度が30%を下回り、または70%を超えると得られたキトサンの水溶性が低下する場合がある。本発明でキトサンを使用したのは、キトサンは生体適合性に優れ安全性が高く、近年、医薬品、化粧品、健康食品等に多く用いられている原料化合物の一種だからである。また、水溶液で粘度の高いヒアルロン酸との均一混合溶液となり、しかもヒアルロン酸単独での使用時には確保できない強度を付与することができるからである。
【0018】
本発明ではキトサンと共にヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸塩を使用する。ヒアルロン酸は、コンドロイチン硫酸などと共に主要なムコ多糖類であり、同数のD−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンが交互にβ−1,3−およびβ−1,4−で直鎖状に結合したものである。水和して相互にミセルを形成し、極めて粘稠な溶液となり、この高度な粘稠性に由来して細菌の浸入や毒物の浸透を防止でき、化粧品などでは保湿剤として使用される安全性に優れる化合物である。
【0019】
本発明で使用するヒアルロン酸塩としては、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム等があり、水性溶媒に対する溶解性の点で、ヒアルロン酸ナトリウムが好ましい。
【0020】
また、ヒアルロン酸(塩)の分子量としては、100,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは500,000〜3,000,000、特に好ましくは500,000〜2,000,000である。
【0021】
本発明の生体適合性材料は、キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを混合して均一混合液を得て、該混合液を凍結乾燥することで得られる。混合時のキトサン水溶液の濃度は、1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜7質量%、特に好ましくは4〜6質量%である。1質量%を下回ると混合物の濃度の低下の原因となり、その一方、10質量%を上回ると溶解が困難となるからである。
【0022】
また、ヒアルロン酸(塩)水溶液の濃度は、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2質量%、特に好ましくは1〜2質量%である。その理由は、ヒアルロン酸(塩)の濃度が5質量%を超えると、溶解が困難であり、またその粘性によりキトサンとの混合が困難になる、その一方、0.1質量%を下回ると混合物の濃度低下の原因となるからである。
【0023】
また、ヒアルロン酸(塩)とキトサンとの乾燥状態における質量比は10:1〜1:2であることが好ましく、より好ましくは5:2〜1:1、特に好ましくは2:1〜1:1の割合で混合したものである。しかしながら要求される機械的強度、弾力性、粘着性に合わせ配合比を自由に選ぶことができる。ヒアルロン酸(塩)の配合量が10:1を超えると、機械的強度が劣化する場合があり、その一方、キトサンの配合量が1:2を超えると粘着性に劣る場合があるからである。
【0024】
次いで、この混合液を凍結乾燥する。凍結乾燥は、被乾燥物を凍結させ、次いで高真空下でその凍結水を昇華させて除く乾燥法である。一般には、血清、血漿、ワクチン、抗生物質など、熱に対して不安定な物質の乾燥に用いられる。しかしながら、本発明において凍結乾燥を使用すると、粘稠な被乾燥物の内部に含まれる水分が減圧条件で抜け出るため被乾燥物に多数の細孔が発生し、これによってスポンジ状の凍結乾燥物が得られる。これを創傷カバー材として使用すると、湿潤した皮膚に接触させると、ただちに元の湿潤状態に復元し、かつ得られた凍結乾燥物にスポンジ構造による弾力性および機械的強度が付与される。
【0025】
本発明では、キトサンとヒアルロン酸(塩)との均一混合液を、適当な生体適合材料用の型に流し込み、これを凍結乾燥させることで製造することができる。適当な生体適合材料用の型としては長尺の型を使用し、凍結乾燥してシート状物またはスポンジ状物を得た後に至適なサイズに切断してもよい。同様に、適当な生体適合材料用の型として厚物用の型を使用し、凍結乾燥して得たスポンジ状物を複数枚にスライスしてシート状の適当な生体適合材料としてもよい。従って、本発明の適当な生体適合材料のサイズとしては、要求される大きさに応じて適宜選択すればよい。
【0026】
本発明の適当な生体適合材料は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とによって調製できるが、用途として、創傷保護材、人工皮膚、癒着防止膜などとして使用することができ、使用目的に応じた他の薬剤を配合することが好ましい場合もある。
【0027】
このような薬剤としては、例えば、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド外用剤、ブフェキサマック、ベンダザックなどの非ステロイド系抗炎症外用剤、ジフェンヒドラミン、クロタミトンなどの抗ヒスタミン外用剤、スルファジアジン銀などの外用サルファ剤、塩酸テトラサイクリン、硫酸カナマイシン、クロラムフェニコールなどの外用抗生物質、シッカニン、トリコマイシン、ナイスタチンなどの抗真菌剤、ビタミンA、サチリル酸製剤などの角化症保湿剤、塩化リゾチーム等の皮膚潰瘍治療剤、ビタミンK、トロンビン、血液凝固第VIII因子、第IX因子、第XIII因子等の止血剤、カルバゾクロムスルフォン酸ナトリウムなどの血管強化剤、酸化セルローズやゼラチン止血薬等が例示できる。本発明の生体適合性材料の皮膚接触面に他の薬剤を塗布、噴霧、浸漬などによって添加し、これらの薬効を付与する。
【0028】
本発明の適当な生体適合材料は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とを含めば他の成分を配合してもよいが、本発明の特徴は、キトサンとヒアルロン酸(塩)のみからシート状物またはスポンジ状物が得られ、使用する材料種目が少ないために原料に由来するBSE感染物などの恐れを回避することができ、特定材料に過敏な患者に使用しても原料に由来するアレルゲンが少ないために安全性に優れる点にある。特に、ヒアルロン酸(塩)は本来、N−アセチルグルコサミンとD−グルクロン酸からなる酸性ムコ多糖であり、関節液その他の器官の結合組織にタンパク質と結合して粘稠な状態で存在するものであり、水を含むとただちに粘着性を発揮し、潤滑剤としての役割や組織構造の維持を行なうものである。従来は、ヒアルロン酸単独では機械的強度のあるシート状物を得ることはできず、架橋剤の使用やコラーゲンなどのタンパク質由来の成分を配合することが一般的であった。しかしながら、本発明では、ヒアルロン酸(塩)にキトサンを混合することで架橋剤無しにヒアルロン酸(塩)をシート状物またはスポンジ状物に調製でき、しかも機械的強度を付与することができたのである。
【0029】
本発明の適当な生体適合材料は、使用時に内部より浸出する体液によって粘着性を発揮し、皮膚接触性、皮膚密着性に優れ、皮膚刺激性が少ない、適当な生体適合材料となる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0031】
(実施例1)
1質量%のヒアルロン酸(チッソ社、分子量100万)水溶液20mlに3質量%のキトサン水溶液(コーヨーキトサン DAC−50、アセチル化度46% 甲陽ケミカル社)2mlを添加しよく攪拌した。この混合液を5cm×5cm×1cmの型に流し凍結乾燥を行なった。
【0032】
(実施例2)
実施例1において、ヒアルロン酸水溶液とキトサン水溶液とを体積比で10対2の割合で加えて同様のシートを作成した。
【0033】
いずれの凍結乾燥物もスポンジ状物であり、吸水性に優れ非常に強い粘着性を示した。
【0034】
特に、実施例1で得たシートは、実施例2で得たシートに比べ粘着性、弾力性に富むものであった。また、濡れた皮膚にふれると皮膚へ吸着性を示し優れた保湿性を示した。一方、実施例2で得たシートは実施例1で得たシートに比べ強度に優れていた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、安価なキトサンと保湿剤や化粧品原料として生体適合性に優れるヒアルロン酸を使用して機械的強度に優れる適当な生体適合材料を得ることができる。該適当な生体適合材料は、コラーゲンなどの反芻動物由来の原料を使用せず、架橋剤なども含まないためアレルゲンとなる危険が少なく、安全性に優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とを含む生体適合性材料であり、中性領域において、塩を殆ど含まない条件下でのキトサンとヒアルロン酸のイオンコンプレックスよりえられる生体適合性材料、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体適合性フィルム、スポンジなどの生体適合性材料に関する研究は多数行なわれており、例えば、特公平2−40341号公報には、延伸ポリ四フッ化エチレンベースの表面に、コラーゲン層を有し、その上にコラーゲンとムコ多糖類との複合体層を有し、かつ該コラーゲンが架橋剤により架橋されていることを特徴とする抗血栓性材料が開示されている。生体適合性に優れる点でコラーゲンを使用し、抗血栓性を高めるためにムコ多糖類を使用し、耐久性を付与するためにコラーゲン層をグルタルアルデヒドやジアルデヒドデンプンなどの多価アルデヒド化合物で架橋している。
【0003】
また、特公平5−67300号公報には、N−アシルキトサンおよびコラーゲンの複合材料からなる人工皮膚および創傷カバー材が開示される。コラーゲンは生体の結合組織の主要成分であり、細胞の基質として最も適しているために生体適合性に優れ、異種間のインプラントにおいて問題となる抗原性も比較的低く、医用材料として優れる。そこで、N−アシルキトサンとコラーゲンとを組み合わせて生体適合性に優れる複合材としたものである。
【0004】
しかしながら、コラーゲンは牛から単離されることが一般的であり、近来のBSE問題に鑑みて、反芻動物を由来とする材料の安全性が問題となっている。
【0005】
一方、コラーゲンを使用しない支持体として、特開平10−226732号公報には、溶解性多糖類の水溶性溶液を供給し、前記溶液を冷凍し、冷凍した溶液を架橋剤を含有した水混和性有機溶媒で処理して前記多糖類を架橋して水に不溶性にし、前記溶媒を凍結溶液中の水の一部と置換し、生成する架橋多糖類を乾燥すること、の各工程からなる、多糖類スポンジの製造方法が開示されている。多糖類としては、ヒアルロン酸、キトサンが開示され、グルタールアルデヒドやジシクロヘキシルカルボジイミドなどで架橋している。
【0006】
また、特開2000−116765号公報には、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質から形成されるポリイオンコンプレックスの乾燥フィルムからなる癒着防止用材料が開示されている。ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質とは水の存在下に混合した場合にポリイオンコンプレックスを形成し、ゲル化するものであればその混合比は問わず、ポリイオンコンプレックスの形成方法も、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質とを水または他の溶媒に別々に溶解し、混合した後薄膜状に流延するか、薄膜状に流延しつつ混合するか、あるいは一方の溶液を薄膜状に流延した後に他方の溶液を混合する方法、ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の何れか一方を水または他の溶媒に溶解し、得られた溶液に他方を溶解した後、薄膜状に流延するか、溶解しつつ薄膜状に流延するなどの方法を含むとしている。ポリアニオン性物質としてヒアルロン酸が、ポリカチオンオン性物質としてキトサンが記載されているが、実施例では蒸留水にヒアルロン酸ナトリウムを溶解した溶液と、0.1N酢酸溶液にキトサンを溶解した溶液とをガラス板上で、ヒアルロン酸ナトリウム溶液上にキトサン溶液を重層し、乾燥して癒着防止用材料を得ている。
【0007】
しかしながら、特開平10−226732号公報に記載される方法では、架橋剤を使用し、未反応の架橋剤が残存する恐れがあり、使用時の安全性が問題となる。また、特開2000−116765号公報に記載される方法では、実際には、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質とからなる層を別個に形成するものであり、製造工程が煩雑である他、両者の混合物を使用するものではない。また、直接皮膚や臓器などの出血部位に接触する部材は使用する部材に由来する感染の恐れがないものを使用することが好ましく、製造工程で架橋剤等を使用しないことも好ましい条件である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、コラーゲンを使用せず、架橋剤を含まず、しかも直接皮膚や臓器などに接触させた場合に生体適合性や安全性に優れる生体適合性材料を提供するものである。
【0009】
更に、本発明の目的は、生体適合性に優れる材料を使用し、架橋剤を使用せず、中和塩が殆ど残存せず、安全な生体適合性材料を極めて効率的に製造する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とのイオンコンプレックスについて詳細に検討した結果、中性領域においてキトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液との架橋剤を含まない混合液を調製し凍結乾燥して得たスポンジ状物は弾力性、接着性、機械的特性に富み、適度な不溶性でありながら長期的には水溶性となり生体適合性材料として好ましく使用できることを見出し本発明を完成させた。
【0011】
すなわち本発明は、水溶性の高い高分子キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液との均一混合液を凍結乾燥して得た弾力性、粘着性を持つ生体適合性スポンジを提供するものである。該キトサンとしては、分子量10,000〜300,000であり、脱アセチル化率が30〜70%でありpH5〜7で溶解することが好ましい。また、該ヒアルロン酸の分子量が100,000〜5,000,000であり、該ヒアルロン酸0.1〜5質量%の水溶液に、キトサンを質量比10:1〜1:2の割合で塩を殆ど含まない条件下で混合したものを凍結乾燥することで弾力性、粘着性、機械的特性に優れた生体適合性材料が得られる。本発明の生体適合性材料は、創傷保護材などとして好ましく使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを含み、架橋剤を含まない混合液を凍結乾燥して得た生体適合性材料である。
【0013】
通常、中性条件でキトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを混合しても均一の混合液は形成することができない。このためキトサンとヒアルロン酸(塩)とからなる創傷カバー材を得るには、特開2000−116765号公報に記載されるように、蒸留水にヒアルロン酸ナトリウムを溶解し、キトサンを0.1N酢酸溶液に溶解し、ヒアルロン酸層とキトサン層とをガラス板上にそれぞれ重層し、その後に乾燥する必要があった。このため、得られた創傷カバー材はキトサン層とヒアルロン酸層との積層シートであり、弾力性、粘着性、機械的特性を充分に有するものとはいえなかった。
【0014】
一般に、キトサンを溶解するには酢酸などの酸性溶液に溶解する必要がある。酸性キトサン水溶液にヒアルロン酸ナトリウムを添加すると酸性条件下(pH4以下)ではヒアルロン酸が沈殿し、またキトサンの等電点付近でキトサンが析出し、キトサンとヒアルロン酸ナトリウムとの均一溶液が得られないためである。また、酸性条件でヒアルロン酸ナトリウムとキトサンとの混合液を調製すると、生体適合性材料として使用するには含まれる酸を除去する必要がある。この際、ヒアルロン酸とキトサンとの混合液に水酸化ナトリウム等を添加して中和処理を行なうと、キトサンとヒアルロン酸ナトリウムとの混合液自体は粘性水溶液であるため、該混合液に含まれる中和処理によって形成される遊離塩を分離することができず、乾燥後の生体適合性材料にも多量の塩が残存することになる。この結果、皮膚に対する刺激性を排除することも困難であり、得られたものも弾性および機械的強度に劣るシート状物、またはスポンジ状物の生体適合性材料が得られるに過ぎなかった。
【0015】
しかしながら、キトサンとして極めて水溶性の高い高分子キトサンを使用すると、酢酸や塩酸などの酸性溶媒を使用せず、中性の水溶液に溶解することができる。また、ヒアルロン酸(塩)水溶液と混合しても両者が均一に混合し、極めて粘性の高い混合液が得られる。そしてこのヒアルロン酸(塩)とキトサンとの混合液を凍結乾燥すると、弾性および機械的強度に優れるシート状物、スポンジ状物が得られ、キトサンを酸性溶液で溶解する必要がないため、塩を含まない生体適合性材料となり、皮膚に対する刺激もなく創傷保護材などとして優れる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
キトサンは、N−アセチル−D−グルコサミンの重合体であるキチンの脱アセチル化物であり、キチンを濃アルカリと加熱して得られるが、この際グリコシド結合もかなり分解され性質は必ずしも一定でない。また、キトサンはグルコサミン(2−アミノ−D−グルコース)からなる塩基性多糖類であり、遊離のものは水に溶けず塩酸その他の酸の存在で塩を形成して溶解する。しかしながら、N−アセチル化率を特定範囲に限定し、分子量も制御することで水溶性のキトサンとすることができる。本発明で使用するキトサンはこのようなキトサンであり、温度0〜100℃でpH6〜7の水性溶媒に溶解できるものである。水性溶媒としては水のほかに、キトサンの溶解性を損なわない範囲で、水にアルコールやアセトンなどの親水性有機溶媒が含まれているものであってもよい。このようなキトサンとしては、分子量10,000〜500,000より好ましくは50,000〜200,000、特に好ましくは70,000〜100,000である。分子量が500,000を超えると生体適合性材料として使用した場合に強度は向上するが溶解性に劣る場合があり、その一方、10,000を下回ると強度が劣る場合がある。
【0017】
また、キトサンの脱アセチル化率が30〜70%、より好ましくは40〜60%、特に好ましくは45〜55%である。脱アセチル化度が30%を下回り、または70%を超えると得られたキトサンの水溶性が低下する場合がある。本発明でキトサンを使用したのは、キトサンは生体適合性に優れ安全性が高く、近年、医薬品、化粧品、健康食品等に多く用いられている原料化合物の一種だからである。また、水溶液で粘度の高いヒアルロン酸との均一混合溶液となり、しかもヒアルロン酸単独での使用時には確保できない強度を付与することができるからである。
【0018】
本発明ではキトサンと共にヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸塩を使用する。ヒアルロン酸は、コンドロイチン硫酸などと共に主要なムコ多糖類であり、同数のD−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンが交互にβ−1,3−およびβ−1,4−で直鎖状に結合したものである。水和して相互にミセルを形成し、極めて粘稠な溶液となり、この高度な粘稠性に由来して細菌の浸入や毒物の浸透を防止でき、化粧品などでは保湿剤として使用される安全性に優れる化合物である。
【0019】
本発明で使用するヒアルロン酸塩としては、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム等があり、水性溶媒に対する溶解性の点で、ヒアルロン酸ナトリウムが好ましい。
【0020】
また、ヒアルロン酸(塩)の分子量としては、100,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは500,000〜3,000,000、特に好ましくは500,000〜2,000,000である。
【0021】
本発明の生体適合性材料は、キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを混合して均一混合液を得て、該混合液を凍結乾燥することで得られる。混合時のキトサン水溶液の濃度は、1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜7質量%、特に好ましくは4〜6質量%である。1質量%を下回ると混合物の濃度の低下の原因となり、その一方、10質量%を上回ると溶解が困難となるからである。
【0022】
また、ヒアルロン酸(塩)水溶液の濃度は、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2質量%、特に好ましくは1〜2質量%である。その理由は、ヒアルロン酸(塩)の濃度が5質量%を超えると、溶解が困難であり、またその粘性によりキトサンとの混合が困難になる、その一方、0.1質量%を下回ると混合物の濃度低下の原因となるからである。
【0023】
また、ヒアルロン酸(塩)とキトサンとの乾燥状態における質量比は10:1〜1:2であることが好ましく、より好ましくは5:2〜1:1、特に好ましくは2:1〜1:1の割合で混合したものである。しかしながら要求される機械的強度、弾力性、粘着性に合わせ配合比を自由に選ぶことができる。ヒアルロン酸(塩)の配合量が10:1を超えると、機械的強度が劣化する場合があり、その一方、キトサンの配合量が1:2を超えると粘着性に劣る場合があるからである。
【0024】
次いで、この混合液を凍結乾燥する。凍結乾燥は、被乾燥物を凍結させ、次いで高真空下でその凍結水を昇華させて除く乾燥法である。一般には、血清、血漿、ワクチン、抗生物質など、熱に対して不安定な物質の乾燥に用いられる。しかしながら、本発明において凍結乾燥を使用すると、粘稠な被乾燥物の内部に含まれる水分が減圧条件で抜け出るため被乾燥物に多数の細孔が発生し、これによってスポンジ状の凍結乾燥物が得られる。これを創傷カバー材として使用すると、湿潤した皮膚に接触させると、ただちに元の湿潤状態に復元し、かつ得られた凍結乾燥物にスポンジ構造による弾力性および機械的強度が付与される。
【0025】
本発明では、キトサンとヒアルロン酸(塩)との均一混合液を、適当な生体適合材料用の型に流し込み、これを凍結乾燥させることで製造することができる。適当な生体適合材料用の型としては長尺の型を使用し、凍結乾燥してシート状物またはスポンジ状物を得た後に至適なサイズに切断してもよい。同様に、適当な生体適合材料用の型として厚物用の型を使用し、凍結乾燥して得たスポンジ状物を複数枚にスライスしてシート状の適当な生体適合材料としてもよい。従って、本発明の適当な生体適合材料のサイズとしては、要求される大きさに応じて適宜選択すればよい。
【0026】
本発明の適当な生体適合材料は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とによって調製できるが、用途として、創傷保護材、人工皮膚、癒着防止膜などとして使用することができ、使用目的に応じた他の薬剤を配合することが好ましい場合もある。
【0027】
このような薬剤としては、例えば、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド外用剤、ブフェキサマック、ベンダザックなどの非ステロイド系抗炎症外用剤、ジフェンヒドラミン、クロタミトンなどの抗ヒスタミン外用剤、スルファジアジン銀などの外用サルファ剤、塩酸テトラサイクリン、硫酸カナマイシン、クロラムフェニコールなどの外用抗生物質、シッカニン、トリコマイシン、ナイスタチンなどの抗真菌剤、ビタミンA、サチリル酸製剤などの角化症保湿剤、塩化リゾチーム等の皮膚潰瘍治療剤、ビタミンK、トロンビン、血液凝固第VIII因子、第IX因子、第XIII因子等の止血剤、カルバゾクロムスルフォン酸ナトリウムなどの血管強化剤、酸化セルローズやゼラチン止血薬等が例示できる。本発明の生体適合性材料の皮膚接触面に他の薬剤を塗布、噴霧、浸漬などによって添加し、これらの薬効を付与する。
【0028】
本発明の適当な生体適合材料は、キトサンとヒアルロン酸(塩)とを含めば他の成分を配合してもよいが、本発明の特徴は、キトサンとヒアルロン酸(塩)のみからシート状物またはスポンジ状物が得られ、使用する材料種目が少ないために原料に由来するBSE感染物などの恐れを回避することができ、特定材料に過敏な患者に使用しても原料に由来するアレルゲンが少ないために安全性に優れる点にある。特に、ヒアルロン酸(塩)は本来、N−アセチルグルコサミンとD−グルクロン酸からなる酸性ムコ多糖であり、関節液その他の器官の結合組織にタンパク質と結合して粘稠な状態で存在するものであり、水を含むとただちに粘着性を発揮し、潤滑剤としての役割や組織構造の維持を行なうものである。従来は、ヒアルロン酸単独では機械的強度のあるシート状物を得ることはできず、架橋剤の使用やコラーゲンなどのタンパク質由来の成分を配合することが一般的であった。しかしながら、本発明では、ヒアルロン酸(塩)にキトサンを混合することで架橋剤無しにヒアルロン酸(塩)をシート状物またはスポンジ状物に調製でき、しかも機械的強度を付与することができたのである。
【0029】
本発明の適当な生体適合材料は、使用時に内部より浸出する体液によって粘着性を発揮し、皮膚接触性、皮膚密着性に優れ、皮膚刺激性が少ない、適当な生体適合材料となる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0031】
(実施例1)
1質量%のヒアルロン酸(チッソ社、分子量100万)水溶液20mlに3質量%のキトサン水溶液(コーヨーキトサン DAC−50、アセチル化度46% 甲陽ケミカル社)2mlを添加しよく攪拌した。この混合液を5cm×5cm×1cmの型に流し凍結乾燥を行なった。
【0032】
(実施例2)
実施例1において、ヒアルロン酸水溶液とキトサン水溶液とを体積比で10対2の割合で加えて同様のシートを作成した。
【0033】
いずれの凍結乾燥物もスポンジ状物であり、吸水性に優れ非常に強い粘着性を示した。
【0034】
特に、実施例1で得たシートは、実施例2で得たシートに比べ粘着性、弾力性に富むものであった。また、濡れた皮膚にふれると皮膚へ吸着性を示し優れた保湿性を示した。一方、実施例2で得たシートは実施例1で得たシートに比べ強度に優れていた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、安価なキトサンと保湿剤や化粧品原料として生体適合性に優れるヒアルロン酸を使用して機械的強度に優れる適当な生体適合材料を得ることができる。該適当な生体適合材料は、コラーゲンなどの反芻動物由来の原料を使用せず、架橋剤なども含まないためアレルゲンとなる危険が少なく、安全性に優れる。
Claims (8)
- キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを含み、架橋剤を含まない混合液を凍結乾燥して得た生体適合性材料。
- 該キトサンが、分子量10,000〜500,000であり、脱アセチル化率が30〜70%である、請求項1記載の生体適合性材料。
- 該ヒアルロン酸(塩)の分子量が100,000〜5,000,000である、請求項1または2記載の生体適合性材料。
- ヒアルロン酸(塩)とキトサンとの乾燥状態における質量比が10:1〜1:2である、請求項1〜3のいずれかに記載の生体適合性材料。
- 該生体適合性材料がスポンジ状である、請求項1〜4のいずれかに記載の生体適合性材料。
- 架橋剤を用いることなく生体適合性材料を製造する方法であって、キトサン水溶液とヒアルロン酸(塩)水溶液とを混合する工程、及び、得られた混合液を凍結乾燥する工程とを有する生体適合性材料の製造方法。
- 乾燥状態でキトサンとヒアルロン酸(塩)との質量比が10:1〜1:2の割合となるように混合する、請求項6に記載の生体適合性材料の製造方法。
- 該ヒアルロン酸(塩)水溶液の濃度が0.1〜5質量%である、請求項6または7に記載の生体適合性材料の製造方法。
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