JP2004026479A - シート材給送装置および記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単純な構成で分離部によるバックテンションを小さく保ちつつシート材の重送を防止するシート材給送装置を提供する。
【解決手段】複数枚のシート材10が分離ローラ60と給送ローラ70との間に侵入すると、分離ローラ60に付与されている、重なった状態のシート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラ60とシート材との間の摩擦力よりも小さい制動トルクにより、最上位のシート材101と2枚目以降のシート材102・・・とが分離される。最上位のシート材101が給送ローラ70により搬送されて搬送ローラ対152,153の間に到達すると、分離ローラ60が給送ローラ70から離れる。このとき、分離ローラ60のギア65とラック141との噛み合っているため、分離ローラ60は、給送方向と反対方向に、残りのシート材102を積載台に戻すように回転する。
【選択図】 図3
【解決手段】複数枚のシート材10が分離ローラ60と給送ローラ70との間に侵入すると、分離ローラ60に付与されている、重なった状態のシート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラ60とシート材との間の摩擦力よりも小さい制動トルクにより、最上位のシート材101と2枚目以降のシート材102・・・とが分離される。最上位のシート材101が給送ローラ70により搬送されて搬送ローラ対152,153の間に到達すると、分離ローラ60が給送ローラ70から離れる。このとき、分離ローラ60のギア65とラック141との噛み合っているため、分離ローラ60は、給送方向と反対方向に、残りのシート材102を積載台に戻すように回転する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリンタや複写機や印刷装置や様々な記録装置等の画像形成装置や、スキャナ等の画像読取装置などにおいて、記録媒体や読取媒体などのシート状の用紙を1枚ずつ分離して、印字部や複写部や読取部等の所定の位置へ搬送するシート材給送装置と、そのシート材給送装置を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置等のシート材給紙装置は、シート材(用紙)の分離機構を有している。その一例としては、特開平7−232831号公報等に開示されているように、給紙ローラと、この給紙ローラに当接して従動可能な分離ローラとを有し、シート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラとシート材との間の摩擦力より小さい制動トルクを、分離ローラに与えることにより、シート材を1枚ずつ分離して搬送する手段がある。
【0003】
そのような給紙装置の要部を図17に示している。この給紙装置は、給紙ローラ21と、それに当接する分離ローラ6とを有している。給紙ローラ21は、矢印で示す反時計方向(給紙方向)に回転駆動される。分離ローラ6は、給紙ローラ21に対して従動可能に当接し、かつ分離ローラ6には、シート材10とシート材10との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラ6とシート材10との間の摩擦力よりも小さい制動トルクが与えられている。
【0004】
給紙ローラ21は、シート材10の搬送のために、芯金部38と、その外周に取り付けられている摩擦係数の高い弾性部材39とから構成されている。給紙ローラ21の外周には、他の外周部より半径の小さい部分21aがある。給紙ローラ21の両側面には、芯金部38と一体に構成されたガイド部40が設けられている。このガイド部40は摩擦係数の低い樹脂等により構成されている。ガイド部40のうち、給紙ローラ21の半径の小さい部分21aに対応する位置にあたる側面部40aは、給紙ローラ21本体部分の弾性部材39の外周の外側まで張り出している。
【0005】
この構成によると、給紙ローラ21と分離ローラ6のニップ部に2枚以上のシート材101,102,・・・が搬送された場合には、給紙ローラ21に直接接触する最上位のシート材101のみが、給紙ローラ21の回転力で、給紙ローラ21と分離ローラ6とのニップ部を通過して給紙方向Aに搬送されていく。次位以下のシート材102,103,・・・は、分離ローラ6の制動トルクによる戻し作用で、給紙ローラ21と分離ローラ6とのニップ部を通過することが阻止される。結局、給紙ローラ21により直接搬送力を受ける最上位のシート材101が1枚だけ分離されて搬送されていき、重送が防止される。
【0006】
給紙ローラ21と分離ローラ6により1枚だけ分離されて搬送されたシート材101は、シート材ガイド18,22に案内されて、後段の搬送ローラ対4,5のニップ部に挟まれ、引き続き搬送されていく。この時、給紙ローラ21は停止状態であり、給紙ローラ21の芯金部38と一体に設けられたガイド部40と分離ローラ6の間に挟まれた状態で、シート材101は搬送ローラ対4,5により搬送される。
【0007】
また、例えば特開平10−167502号公報には、上記した構成と同様に給紙ローラとそれに対向する分離ローラとを有する構成において、トルクリミット機構を介して、分離ローラをシート材を戻す方向に駆動することにより、重なったシート材の分離を行う給紙装置が開示されている。この給紙装置では、分離動作後、分離ローラが離れるのとほぼ同時に戻しレバーを動作させてシート材を所定位置まで戻す構成を採用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開平7−232831号公報に記載されている従来の給紙装置においては、給送ローラと分離ローラのニップ部に重なって到達した複数枚のシート材のうち、最上位のシート材のみが分離されても、2枚目以降のシート材はそのままニップ部に留まっている。そのため、最上位のシート材を記録部へ給送する送り動作によって、2枚目以降のシート材も下流方向へ向けて移動させられる力を受ける場合があり、重ね送りされることがある。
【0009】
この重ね送りの対策として、シート材の分離後も、給紙ローラ21の両側面に芯金部38と一体に構成されたガイド部40と分離ローラ6とを常に圧接させておくことで、2枚目以降のシート材をニップ部に留めておくように構成しているが、これにより、搬送すべき最上位のシート材101に加わるバックテンションが大きくなり、搬送ローラ対4,5のニップ部でシート材すべりが発生し、シート材搬送不良を起こしたり、記録部(図示せず)におけるシート材101の紙送り量が所定量より小さくなり、印字が重なって黒スジといわれる画像不良を発生させる等の問題が生じるおそれがある。搬送ローラ対4,5におけるシート材すべりをなくすために搬送ローラ対4,5の加圧力を増大させることが考えられるが、加圧機構が大型化したり、また搬送ローラ対4,5の駆動トルクが増大して駆動モータが大型化し、コストアップするという問題がある。
【0010】
また、特開平10−167502号公報に記載されている従来の給紙装置では、分離ローラが離れるのとほぼ同時に戻しレバーを動作させてシート材を所定位置まで戻す構成を採用しているが、戻しレバーを動作させるために機構が複雑化し、装置の大型化および高コスト化を招く。
【0011】
本発明の目的は、上述したような問題に鑑み、単純な構成で、分離部によるバックテンションを小さく保ちつつシート材の重送を防止する、シート材給送装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、給送方向に回転駆動されてシート材を搬送する給送ローラと、駆動モータと連結されておらず給送ローラに当接して従動可能な分離ローラとを有し、重なった状態のシート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラとシート材との間の摩擦力よりも小さい制動トルクを、分離ローラに与えることにより、給送ローラと分離ローラの間に供給されたシート材のうち給送ローラに当接する最上位のシート材のみを給送する、シート材給送装置において、分離ローラは給送ローラから離れることができ、分離ローラが給送ローラから離れる動作と連動して、分離ローラを給送方向と反対方向に回転させ、給送ローラと分離ローラの間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材を、給送方向の上流側に戻す戻し手段とを有するところにある。これによると、簡単な構成でシート材の重送を防止することができる。
【0013】
この戻し手段は、分離ローラとともに回転するギアと、分離ローラが給送ローラから離れる際にギアと噛み合うラックとを有する構成であってもよい。また、この戻し手段は、分離ローラを、給送ローラと当接している状態のまま給送方向と反対方向に所定量だけ回転させた後に、給送ローラから離れさせてもよい。
【0014】
分離ローラの回転軸方向の長さが、給送ローラの回転軸方向の長さよりも長く、給送ローラの側方に、分離ローラと当接可能なガイド部材が設けられていてもよい。これによると、シート材を、給送ローラと分離ローラのニップ部よりも上流側に戻す動作の効率を高めることができる。
【0015】
ガイド部材は、分離ローラが給送ローラから離れる動作の間、分離ローラに追従して常に分離ローラと当接し、移動経路の最下点に到達すると分離ローラから離れてもよい。これによると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。なお、ガイド部材は、分離ローラおよび給送されるシート材に対し従動回転可能なガイドローラであってもよい。
【0016】
給送ローラが、積載されているシート材のうちの最上位のシート材をピックアップして給紙する給紙部材としても機能してもよい。その場合、給送ローラは、円弧部と直線部とからなる外周を有しており、回転しながら、円弧部が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に当接してこれをピックアップして給紙した後、直線部が分離ローラと相対する位置で停止する。
【0017】
また、給紙部材が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に圧接する前に、分離ローラが給送ローラに圧接し、給紙部材によって最上位のシート材が給紙された後に、給紙部材のシート材に対する圧接の解除と同時またはそれ以降に、分離ローラが給送ローラから離れることが好ましい。これによると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。
【0018】
シート材が積層されるシート材積載台の給送ローラ側のシート材突き当て面が、分離ローラが給送ローラから離れる際の移動経路内に入り込んでいることが好ましい。
【0019】
本発明のもう1つの特徴は、給送部材と、給送部材に当接可能な分離部材とを有し、給送部材と分離部材の間に供給されたシート材のうち給送部材に当接する最上位のシート材のみを給送するシート材給送装置において、分離部材が給送部材から離れた状態で分離部材と給送部材の間に位置するシート材搬送経路中に、シート材ガイドが設けられており、シート材ガイドに、給送部材と分離部材の間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材の先端を保持するシート材先端保持部が設けられているところにある。これによると、簡単な構成で、シート材に対するバックテンションを小さく保ちつつ、連れ重送を防止することができる。
【0020】
分離部材と給送部材とが圧接した状態では、シート材ガイドは分離部材の鉛直下方に位置し、分離部材が鉛直下方に移動して給送部材から離れたときに、シート材ガイドが給送部材と分離部材の間に位置する構成であってもよい。
【0021】
シート材ガイドは、シート材搬送経路の下流側に向かって鉛直方向上向きに傾斜しており、シート材ガイドに対するシート材の進入角度が100〜180゜であることが好ましい。さらに、シート材ガイドに対向する対向ガイドを有し、シート材ガイドと対向ガイドとに挟まれるシート材搬送経路が、下流側に向かって狭くなる楔形状であることが好ましい。このような構成によると、給送部材と分離部材の間に残されたシート材を、効率よく上流側に戻し易くなるとともに、シート材の先端がシート材ガイドに確実に接触して、シート材先端保持部に保持され易くなる。
【0022】
給送部材および分離部材よりも下流側に搬送部材が設けられており、給送部材により給送されたシート材が搬送部材に到達してから、分離部材と給送部材とが離れる構成であると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。
【0023】
シート材先端保持部は、シート材ガイド上に形成されている高さ0.05〜2mmの突起であってもよく、シート材ガイドに形成されている段差0.05〜2mmの階段部であってもよい。そして、シート材先端保持部は高摩擦材料からなることが好ましく、例えば、微小な凹凸を有する発泡材や、アスカー硬度30(Aスケール)以下のゴムからなる。
【0024】
回転を規制された分離ローラ軸と、分離ローラ軸に所定の締めしろを設けて取り付けられ、一端が分離ローラに係合可能なねじりコイルバネとを有し、分離ローラに、ねじりコイルバネのゆるみトルクによってシート材を上流側に戻す方向に回転するトルクを付与するトルクリミット機構をさらに有することが好ましい。
【0025】
本発明の記録装置は、前記したいずれかの構成のシート材給送装置と、シート材給送装置から給送されたシート材に記録を行う記録手段とを備えている。記録手段が、ノズルからインクを吐出してシート材に記録を行うインクジェット記録手段であってもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1〜4は、本発明のシート材給送装置の第1の実施形態を示す概略側面図であり、給送待機状態からシート材を1枚ずつ分離して搬送する一連の動作を示している。図5、図6はそれぞれ本実施形態の分離部における主な構成部品の斜視図および正面図である。図7は分離ローラの動作説明図である。図8、図9は給紙カセットの斜視図および側断面図である。
【0028】
a)構成
本実施形態では、本発明に係るシート材給送装置を、記録装置、具体的にはシート材にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に採用している。この記録装置は、本発明に係るシート材給送装置と、図示しないがインクを吐出して記録する記録部と、排紙部などからなる。
【0029】
本実施形態のシート材給送装置は、給紙部と分離部とからなる。給紙部は、給紙カセット50および給紙ローラ(給紙部材)120を備えている。給紙カセット50は、図8に示すように、主に、枠体51と、圧板52と、サイドガイド53と、分離パッド54から構成されている。ここでは図示しないが、シート材10は、サイドガイド53により紙幅方向の動きを規制された状態で、給紙カセット50にセットされている。図1〜4に示すように、この給紙カセット50の下流側上方に給紙ローラ120が設けられている。給紙ローラ120は、シート材10の搬送のために、芯金部123と、その外周に取り付けられている摩擦係数の高い弾性部材122とから構成されており、不図示の駆動モータから動力を得て回転可能である。
【0030】
また、給紙部には、給紙ローラ120と同期して回転する不図示のカム機構があり、カム機構は、図9に示す圧板作動レバー55を介して圧板52の上下動を制御することができる。圧板作動レバー55には、圧板52を給紙ローラ120に向けて付勢する圧板バネ56が係合している。
【0031】
図1〜4に示すように、給紙部の下流に分離部が配置されている。分離部は、給送ローラ(給送部材)70と、ガイドローラ(ガイド部材)132と、分離ローラ(分離部材)60と、シート材ガイド対147等から構成されている。
【0032】
給送ローラ70と分離ローラ60はいずれも、芯金部73、63と、その外周に取り付けられている摩擦係数の高い弾性部材72、62とから構成されている。分離ローラ60の外周に取り付けられている弾性部材62は、高摩擦係数のゴムや、発泡ウレタンなどから形成されている。分離ローラ60には、図7に示すクラッチバネ(ねじりコイルバネ)80を含むトルクリミット機構が設けられている。具体的には、クラッチバネ80が、回転を規制された分離ローラ軸85に所定の締めしろを設けて取り付けられた状態で、その端部が分離ローラ60に係合している。
【0033】
図5,6に示すように、分離ローラ60の芯金部63の一端には、ギア65が一体的に設けられており、ギア65は装置本体に設けられたラック141と噛み合っている。分離ローラ60は分離ローラホルダ90に回転可能に軸支されており、この分離ローラホルダ90は、側面にガイドピン92を備え、ガイドピン92は装置本体に設けられたホルダガイド140の長穴部に係合している。分離ローラホルダ90は、不図示のカム機構により、ホルダガイド140の長穴部に沿って上下方向にスライド可能である。また、分離ローラ60を給送ローラ70に圧接するために、図1〜4に示すように、分離ローラホルダ90と装置本体の間には分離ローラ加圧バネ95が設けられている。
【0034】
給送ローラ70の両側方には、ガイドローラホルダ133が、給送ローラ70に対して上下方向にスライド可能に取り付けられており、このガイドローラホルダ133は、不図示の付勢バネにより、分離ローラ加圧バネ95よりも弱い力で分離ローラ60に向かって付勢されている。ガイドローラホルダ133には、ガイドローラ132が回転可能に軸支されている。ガイドローラ132の回転軸は、給送ローラ70と分離ローラ60の回転軸中心を結んだ直線よりも上流側にオフセットされている。
【0035】
給送ローラ70は不図示の駆動モータから動力を得て、シート材10の搬送方向に回転可能である。一方、分離ローラ60は、常時回転するための動力伝達機構を有していない。
【0036】
給送ローラ70と分離ローラ60の間の搬送経路には、シート材ガイド145と対向ガイド146とからなるシート材ガイド対147が設けられている。シート材ガイド145は、分離ローラ60の移動ストロークの中間位置に配置されており、分離ローラ60が給送ローラ70に圧接できるように分離ローラ60の通過する部分は切り欠いてある(図5、図6参照)。シート材ガイド145には、数枚のシート材10の先端を保持し得る0.5mm程度の段差を有する階段部(シート材先端保持部)148が、分離ローラ60の紙幅方向近傍に設けられている。そして、シート材ガイド145は、分離ローラ60が離れる際に、シート材10のシート材ガイド145に対する進入角度が180°以下となるように配置されている。また、対向ガイド146は、シート材ガイド145との間のシート材搬送経路が下流に行くほど狭くなる楔形状になるように配置されている。
【0037】
なお、図1〜4に示すように、分離部の下流には搬送ローラ対(搬送部材)152、153が備えられている。
【0038】
b)分離動作
分離ローラ60にはトルクリミット機構が設けられている。すなわち、分離ローラ60の外周面に、給送方向に所定値(閾値)以上の搬送力が加わると、図7に示すように、芯金部63が矢印方向に回転し、芯金部63の係合部64がクラッチバネ80の係合部81と当接し、クラッチバネ80が芯金部63とともに矢印方向に分離ローラ軸85の周りを回転する。つまり、分離ローラ60は、クラッチバネ80に対するゆるみトルク(空転トルク)を越えた場合にのみ回転する。ここで、分離ローラ60のゆるみトルク(空転トルク)Tについて説明する。なお、分離ローラ60の給送ローラ70への加圧力をF、給紙ローラ120とシート材101との摩擦係数をμ1、分離ローラ60とシート材102との摩擦係数をμ2、シート材101とシート材102との摩擦係数をμ3、分離ローラ60の半径をr、分離ローラ60の外周面に働き、クラッチバネ80がすべりはじめる時の搬送力をJとすると、分離ローラ60のゆるみトルク(空転トルク)Tは、T=Jrである。
【0039】
まず、シート材101と102を分離するために、給送ローラ70とシート材101との摩擦力Fμ1と、分離ローラ60とシート材102との摩擦力Fμ2は、シート材101とシート材102との摩擦力Fμ3よりも大きいことが必要である。つまり、Fμ1>Fμ3かつFμ2>Fμ3である。
【0040】
分離ローラ60に対して1枚のシート材101が搬送された時には、分離ローラ60が、シート材10を介して、給送ローラ70とともにすべりなく回転し、図2に示すように、2枚のシート材101,102が分離ローラ60と給送ローラ70の間に侵入した場合には、分離ローラ60側にあるシート材102を戻す方向に作用させる必要がある。従って、クラッチバネ80がすべりはじめる搬送力Jを、シート材101とシート材102との摩擦力Fμ3よりも大きく、分離ローラ60とシート材102との摩擦力Fμ2より小さくすることが必要である。つまり、Fμ2>J>Fμ3である。
【0041】
よって、分離ローラ60のゆるみトルク(空転トルク)T=Jrを、これらの条件を満たすように設定すればよい。
【0042】
次に、シート材10の実際の分離動作について説明する。
【0043】
分離ローラ60と給送ローラ70との間に1枚のシート材101が搬送された場合には、クラッチバネ80がすべりはじめる搬送力Jよりも、分離ローラ60とシート材101との摩擦力Fμ2のほうが大きいため、分離ローラ60はシート材10を介して給送ローラ70とともに回転する。
【0044】
また、図7に示すように2枚のシート材101,102が分離ローラ60と給送ローラ70との間に侵入した場合には、チャージされていたゆるみトルク(空転トルク)Tが分離ローラ60側のシート材102に働き、シート材102を瞬間的にキックして戻すように作用する。そして、シート材102は、給送ローラ70と分離ローラ60のニップの後方に戻される。これは、シート材101と102との摩擦力Fμ3が、クラッチバネ80がすべりはじめる搬送力Jよりも小さいために、シート材102は、分離ローラ60によって後方に戻されるということである。よって、この分離機構を用いることにより、重送のない給送が可能になる。
【0045】
c)給紙動作
次に、給紙動作を図10の動作フローチャートに従って説明する。
【0046】
図1に示すような待機状態においては、不図示のカム機構が、図9に示す圧板作動レバー55を介して圧板52を下方に押さえ込み、給紙カセット50に積載されているシート材10の最上面と給紙ローラ120が接触しない状態である。また、分離ローラ60は、不図示のカム機構により給送ローラ70から離れ、分離ローラ加圧バネ95による給送ローラ70への圧接が解除された状態である。このとき、ガイドローラ132は、給送ローラ70と分離ローラ60との隙間のおよそ中間に位置している。
【0047】
それから、不図示の制御コントローラから給紙命令を受け、不図示の駆動モータが回転し、給紙動作が始まる。不図示の駆動モータに駆動されて、給紙ローラ120および給送ローラ70が回転する(ステップS1)。これに伴う不図示のカム機構の動作により、分離ローラ60が上方に移動し、給送ローラ70と分離ローラ60との隙間のおよそ中間に位置しているガイドローラ132に当接する。分離ローラ60は、ガイドローラ132に当接した後、ガイドローラ132を押し上げながら、分離ローラ加圧バネ95に付勢されて給送ローラ70に圧接する(ステップS2)。
【0048】
続いて、給紙ローラ120と同期する不図示のカム機構によって、圧板作動レバー55を介して圧板52が給紙ローラ120に向けて付勢され、給紙カセット50に積載されている複数のシート材10のうちの最上位のシート材101が、給紙ローラ120に圧接させられる(ステップS3)。給紙ローラ120は、この最上位の1枚のシート材101、もしくは最上位のシート材101を含む数枚のシート材をピックアップし、給送ローラ70と分離ローラ60のニップ部へと搬送する(ステップS4)。
【0049】
給送ローラ70と分離ローラ60の間のニップ部へ搬送されたシート材10は、図2に示すように、先に述べた分離ローラ60の分離作用により、ニップ部において、重送しないように1枚ずつ分離される(ステップS5)。そして、分離されたシート材101の先端部が給送ローラ70と分離ローラ60の間のニップ部に進入した後に、不図示のカム機構により圧板作動レバー55を介して圧板52が押し下げられ、給紙ローラ120からシート材101が離れる(ステップS6)。
【0050】
さらに、給送ローラ70が回転し、分離された1枚のシート材101の先端が搬送ローラ対152,153の間のニップ部に到達すると(ステップS7)、その直後に、不図示のカム機構により分離ローラ60が給送ローラ70から離れる(ステップS8)。このとき、分離ローラ60の一端に備えられているギア65が装置本体のラック141と噛み合っているため、分離ローラ60は、給送方向と反対方向に、残りのシート材102を積載台に戻すように回転する。また、このとき、ガイドローラ132は分離ローラ60に追従してスライドし、分離された後に給送ローラ70と分離ローラ60の間に残っているシート材102はガイドローラ132と分離ローラ60の間に挟まれた状態となっているため、このシート材102に分離ローラ60の回転力が確実に伝わり、このシート材102はニップ部の上流側に戻される。
【0051】
図3に示すように、分離ローラ60が移動経路のおよそ中間地点に到達したとき、ガイドローラ132は最下点に到達する(ステップS9)。その後、分離ローラ60の移動がさらに続き、分離ローラ60はガイドローラ132からも離れて、図4に示すように待機位置に戻る(ステップS10)。分離ローラ60が待機位置に戻った後、不図示の記録部により、すでに搬送ローラ対152,153にニップされているシート材101に画像の記録が開始される(ステップS11)。なお、このとき、シート材ガイド145が、ガイドローラ132と分離ローラ60の隙間に入り込んでいるので、搬送ローラ対152,153にニップされているシート材101は、ガイドローラ132およびシート材ガイド145によって、給送ローラ70および分離ローラ60によるバックテンションを受けることなく搬送され、記録部によって画像が記録される。
【0052】
また、図4に示すように、分離ローラ60によって分離された後に戻されたシート材102は、シート材ガイド145の表面に設けられた階段部148によりその先端部を保持されるため、いわゆる連れ重送を防止することができる。
【0053】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図11〜14を参照して説明する。図11〜14は、本実施形態のシート材給送装置を示す概略側面図であり、給紙待機状態からシート材を分離して搬送する一連の動作を示している。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0054】
本実施形態におけるシート材給送装置では、分離ローラ60を離れさせるレバー143に、分離ローラ60を給送方向と反対方向に回転させるためのラック142が設けられている。すなわち、給紙部の下流に位置する分離部が、給送ローラ70と、ガイドローラ132と、分離ローラ60と、シート材ガイド対147と、ラック142を備えた分離ローラ隔離レバー143を有している。そして、分離ローラ60および分離ローラホルダ90(図5,6参照)をホルダガイド140の穴部に沿って上下方向にスライドさせる分離ローラ隔離レバー143がラック142を備えており、このラック142は分離ローラ60に備えられたギア65と噛み合っている。その他の構成については、記録部等も含めて、第1の実施形態と同じであるため説明は省略する。
【0055】
次に、本実施形態のシート材給送装置による給紙動作について説明する。
【0056】
図11に示すような待機状態においては、不図示のカム機構が、図9に示す圧板作動レバー55を介して圧板52を下方に押さえ込み、給紙カセット50に積載されているシート材10の最上面と給紙ローラ120が接触しない状態である。また、分離ローラ60は、分離ローラ隔離レバー143により給送ローラ70から離れ、分離ローラ加圧バネ95による給送ローラ70への圧接が解除された状態である。
【0057】
この待機状態から始まる、給紙ローラ120によるシート材10のピックアップから、分離ローラ60によるシート材10の分離までの一連の動作は、第1の実施形態と実質的に同じであるため、説明を省略する。
【0058】
給送ローラ70が回転し、分離された1枚のシート材101の先端が搬送ローラ対152,153のニップ部に到達すると、不図示のカム機構により、分離ローラ隔離レバー143が、図12に示す状態から図13に示す状態へ下方にスライドする。このとき、分離ローラ隔離レバー143に設けられたラック142は、分離ローラ60のギア65と噛み合っているため、分離ローラ60は給送方向と反対方向に回転する。また、このとき、分離ローラ60は、シート材10を挟んで圧接しているため、分離された後に給送ローラ70と分離ローラ60のニップ部に残っているシート材102をニップ部の上流側に戻すことができる。分離ローラ隔離レバー143はさらに下方にスライドし、これにより分離ローラ60は給送ローラ70から離れ、図14に示すように待機位置に戻る。分離ローラ60が待機位置に戻った後、不図示の記録部により、すでに搬送ローラ対にニップされているシート材101に画像の記録が開始される。なお、このとき、シート材ガイド145が、ガイドローラ132と分離ローラ60の隙間に入り込んでいるので、搬送ローラ対152,153にニップされているシート材101は、ガイドローラ132およびシート材ガイド145によって、給送ローラ70および分離ローラ60によるバックテンションを受けることなく搬送され、記録部によって画像が記録される。
【0059】
また、図14に示すように、分離ローラ60によって分離された後に戻されたシート材102は、シート材ガイド145の表面に設けられた階段部148によりその先端部を保持されるため、いわゆる連れ重送を防止することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図15,16を参照して説明する。図15および図16は、本実施形態のシート材給送装置を示す概略側面図である。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0061】
本実施形態のシート材給送装置の分離部は、給送ローラ70と、ガイドローラ132と、分離ローラ60等から構成されている。この給送ローラ70は、円弧部と直線部を有するいわゆるD形ローラであり、給紙ローラを兼ねるものである。
【0062】
本実施形態では、給紙カセットは用いられず、シート材積載部にシート材が積載される。このシート材積載部は、ベース160と、圧板52と、サイドガイド53を備えており、圧板バネ56により圧板52上のシート材を給送ローラ70に圧接させることができ、また、給送ローラ70と同期して回転する不図示のカム機構により、圧板52を移動させることができる。
【0063】
分離ローラ60の芯金部63の一端に設けられたギア65は、ベース160に設けられた、ギア65よりもピッチ円の大きなギアの一部を構成するラック163と噛み合っている。分離ローラ60を回転可能に軸支している分離ローラホルダ90は、一端がベース160に軸支され、不図示のカム機構により揺動可能である。分離ローラホルダ90とベース160との間には、分離ローラ60を給送ローラ70に圧接させるために、分離ローラ加圧バネ95が設けられている。
【0064】
給送ローラ70と分離ローラ60の間の搬送経路中において、ベース160には、数枚のシート材10の先端を保持し得る0.5mm程度の段差を有する階段部(シート材先端保持部)162が設けられている。階段部162は、分離ローラ60の移動ストロークの中間位置に配置されている。なお、シート材積載部のシート材突き当て面161が、分離ローラ60が離れる際の移動経路内に入り込むように配置されていてもよい。
【0065】
その他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであるため、説明は省略する。
【0066】
次に、本実施形態のシート材給送装置による給紙動作について説明する。
【0067】
図15に示すような待機状態においては、不図示のカム機構が圧板52を下方に押さえ込み、シート材10の最上面と給送ローラ70が接触しない状態である。このとき、給送ローラ70の直線部75が分離ローラ60と対向する状態で停止している。また、分離ローラ60は、不図示のカム機構により給送ローラ70から離れ、分離ローラ加圧バネ95による給送ローラ70への圧接が解除された状態である。
【0068】
それから、不図示の制御コントローラから給紙命令を受け、不図示の駆動モータが回転し、給紙動作が始まる。不図示の駆動モータに駆動されて、給送ローラ70が回転すると、不図示のカム機構の動作により分離ローラ60が上方に移動し、給送ローラ70と分離ローラ60との隙間のおよそ中間に位置しているガイドローラ132に当接する。分離ローラ60は、ガイドローラ132を押し上げながら、分離ローラ加圧バネ95に付勢されて給送ローラ70に圧接する。
【0069】
続いて、不図示のカム機構の動作により、図16に示すようになり、圧板52上のシート材が給送ローラ70に圧接させられる。給送ローラ70は、この最上位の1枚のシート材、もしくは最上位のシート材を含む数枚のシート材をピックアップし、分離ローラ60とのニップ部へと搬送する。給送ローラ70と分離ローラ60とのニップ部へ搬送されたシート材は、第1の実施形態と同様な分離ローラ60の分離作用により、ニップ部において、重送しないように1枚ずつ分離され、さらに下流の搬送ローラ対(図示せず)にニップされる。
【0070】
給送ローラ70が1回転し、給送ローラ70の直線部75が再び分離ローラ60との対向位置に来るとき、不図示のカム機構により圧板52が押し下げられ、また、分離ローラ60は給送ローラ70から離れる。このとき、分離ローラ60のギア65が、ベース160に設けられた、ピッチ円の大きなギアの一部をなすラック163と噛み合っているため、分離ローラ60は、給送方向と反対方向に、シート材をシート材積載部に戻すように回転する。また、このとき、ガイドローラ132は分離ローラ60に追従してスライドし、シート材はガイドローラ132と分離ローラ60との間に挟まれた状態となっているため、分離された後に給送ローラ70と分離ローラ60のニップ部に残っているシート材に分離ローラ60の回転力を確実に伝えることができ、これをニップ部の上流側に戻すことができる。
【0071】
その後、分離ローラ60はさらに隔離動作を続け、ガイドローラ132からも離れて待機位置に戻る。このとき、ガイドローラ132と分離ローラ60の隙間に入り込むように、階段部162が配置されているため、シート材は階段部162によりその先端を保持されるので、連れ重送を防止することができる。
【0072】
また、シート材積載部のシート材突き当て面161が、分離ローラ60が離れる際の移動経路内に入り込むように配置されている場合には、シート材を確実にシート材積載部に戻すことができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明によると、分離ローラを給送方向と反対方向に回転させて、給送ローラと分離ローラの間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材を、給送方向の上流側に戻すため、簡単な構成でシート材の重送を防止することができる。
【0074】
さらに、給送ローラの側方に分離ローラと当接可能なガイド部材が設けられていると、シート材を、給送ローラと分離ローラのニップ部よりも上流側に戻す動作の効率を高めることができる。そして、ガイド部材は、分離ローラが給送ローラから離れる動作の間、分離ローラに追従して常に分離ローラと当接し、移動経路の最下点に到達すると分離ローラから離れる構成であったり、給紙部材が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に圧接する前に、分離ローラが給送ローラに圧接し、給紙部材によって最上位のシート材が給紙された後に、給紙部材のシート材に対する圧接の解除と同時またはそれ以降に、分離ローラが給送ローラから離れる構成であると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。
【0075】
また、分離部材が給送部材から離れた状態で分離部材と給送部材の間に位置するシート材搬送経路中に、給送部材と分離部材の間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材の先端を保持するシート材先端保持部を有するシート材ガイドが設けられていると、簡単な構成で、シート材に対するバックテンションを小さく保ちつつ、連れ重送を防止することができる。
【0076】
シート材ガイドは、シート材搬送経路の下流側に向かって鉛直方向上向きに傾斜しており、シート材ガイドに対するシート材の進入角度が100〜180゜であり、また、シート材ガイドに対向する対向ガイドを有し、シート材ガイドと対向ガイドとに挟まれるシート材搬送経路が、下流側に向かって狭くなる楔形状であると、給送部材と分離部材の間に残されたシート材を、効率よく上流側に戻し易くなるとともに、シート材の先端がシート材ガイドに確実に接触して、シート材先端保持部に保持され易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のシート材給送装置を示す側断面図である。
【図2】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を説明する側断面図である。
【図3】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を説明する側断面図である。
【図4】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を説明する側断面図である。
【図5】第1の実施形態のシート材給送装置の分離部を示す斜視図である。
【図6】第1の実施形態のシート材給送装置の分離部を示す正面図である。
【図7】第1の実施形態のシート材給送装置の分離ローラを拡大して示す説明図である。
【図8】第1の実施形態のシート材給送装置の給紙カセットを示す斜視図である。
【図9】第1の実施形態のシート材給送装置の給紙カセットを拡大して示す側断面図である。
【図10】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態のシート材給送装置を示す側断面図である。
【図12】第2の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図13】第2の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図14】第2の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図15】第3の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図16】第3の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図17】従来のシート材給送装置の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
10,101,102・・・ シート材
50 給紙カセット
60 分離ローラ(分離部材)
65 ギア(戻し手段)
70 給送ローラ(給送部材)
75 直線部
80 クラッチバネ(トルクリミット機構)
90 分離ローラホルダ
120 給紙ローラ(給紙部材)
132 ガイドローラ(ガイド部材)
133 ガイドローラホルダ
140 ホルダガイド
141,142 ラック(戻し手段)
143 分離ローラ隔離レバー
145 シート材ガイド
146 対向ガイド
147 シート材ガイド対
148 階段部(シート材先端保持部)
152,153 搬送ローラ対(搬送部材)
160 ベース
161 シート材突き当て面
162 階段部(シート材先端保持部)
163 ラック(戻し手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリンタや複写機や印刷装置や様々な記録装置等の画像形成装置や、スキャナ等の画像読取装置などにおいて、記録媒体や読取媒体などのシート状の用紙を1枚ずつ分離して、印字部や複写部や読取部等の所定の位置へ搬送するシート材給送装置と、そのシート材給送装置を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置等のシート材給紙装置は、シート材(用紙)の分離機構を有している。その一例としては、特開平7−232831号公報等に開示されているように、給紙ローラと、この給紙ローラに当接して従動可能な分離ローラとを有し、シート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラとシート材との間の摩擦力より小さい制動トルクを、分離ローラに与えることにより、シート材を1枚ずつ分離して搬送する手段がある。
【0003】
そのような給紙装置の要部を図17に示している。この給紙装置は、給紙ローラ21と、それに当接する分離ローラ6とを有している。給紙ローラ21は、矢印で示す反時計方向(給紙方向)に回転駆動される。分離ローラ6は、給紙ローラ21に対して従動可能に当接し、かつ分離ローラ6には、シート材10とシート材10との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラ6とシート材10との間の摩擦力よりも小さい制動トルクが与えられている。
【0004】
給紙ローラ21は、シート材10の搬送のために、芯金部38と、その外周に取り付けられている摩擦係数の高い弾性部材39とから構成されている。給紙ローラ21の外周には、他の外周部より半径の小さい部分21aがある。給紙ローラ21の両側面には、芯金部38と一体に構成されたガイド部40が設けられている。このガイド部40は摩擦係数の低い樹脂等により構成されている。ガイド部40のうち、給紙ローラ21の半径の小さい部分21aに対応する位置にあたる側面部40aは、給紙ローラ21本体部分の弾性部材39の外周の外側まで張り出している。
【0005】
この構成によると、給紙ローラ21と分離ローラ6のニップ部に2枚以上のシート材101,102,・・・が搬送された場合には、給紙ローラ21に直接接触する最上位のシート材101のみが、給紙ローラ21の回転力で、給紙ローラ21と分離ローラ6とのニップ部を通過して給紙方向Aに搬送されていく。次位以下のシート材102,103,・・・は、分離ローラ6の制動トルクによる戻し作用で、給紙ローラ21と分離ローラ6とのニップ部を通過することが阻止される。結局、給紙ローラ21により直接搬送力を受ける最上位のシート材101が1枚だけ分離されて搬送されていき、重送が防止される。
【0006】
給紙ローラ21と分離ローラ6により1枚だけ分離されて搬送されたシート材101は、シート材ガイド18,22に案内されて、後段の搬送ローラ対4,5のニップ部に挟まれ、引き続き搬送されていく。この時、給紙ローラ21は停止状態であり、給紙ローラ21の芯金部38と一体に設けられたガイド部40と分離ローラ6の間に挟まれた状態で、シート材101は搬送ローラ対4,5により搬送される。
【0007】
また、例えば特開平10−167502号公報には、上記した構成と同様に給紙ローラとそれに対向する分離ローラとを有する構成において、トルクリミット機構を介して、分離ローラをシート材を戻す方向に駆動することにより、重なったシート材の分離を行う給紙装置が開示されている。この給紙装置では、分離動作後、分離ローラが離れるのとほぼ同時に戻しレバーを動作させてシート材を所定位置まで戻す構成を採用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開平7−232831号公報に記載されている従来の給紙装置においては、給送ローラと分離ローラのニップ部に重なって到達した複数枚のシート材のうち、最上位のシート材のみが分離されても、2枚目以降のシート材はそのままニップ部に留まっている。そのため、最上位のシート材を記録部へ給送する送り動作によって、2枚目以降のシート材も下流方向へ向けて移動させられる力を受ける場合があり、重ね送りされることがある。
【0009】
この重ね送りの対策として、シート材の分離後も、給紙ローラ21の両側面に芯金部38と一体に構成されたガイド部40と分離ローラ6とを常に圧接させておくことで、2枚目以降のシート材をニップ部に留めておくように構成しているが、これにより、搬送すべき最上位のシート材101に加わるバックテンションが大きくなり、搬送ローラ対4,5のニップ部でシート材すべりが発生し、シート材搬送不良を起こしたり、記録部(図示せず)におけるシート材101の紙送り量が所定量より小さくなり、印字が重なって黒スジといわれる画像不良を発生させる等の問題が生じるおそれがある。搬送ローラ対4,5におけるシート材すべりをなくすために搬送ローラ対4,5の加圧力を増大させることが考えられるが、加圧機構が大型化したり、また搬送ローラ対4,5の駆動トルクが増大して駆動モータが大型化し、コストアップするという問題がある。
【0010】
また、特開平10−167502号公報に記載されている従来の給紙装置では、分離ローラが離れるのとほぼ同時に戻しレバーを動作させてシート材を所定位置まで戻す構成を採用しているが、戻しレバーを動作させるために機構が複雑化し、装置の大型化および高コスト化を招く。
【0011】
本発明の目的は、上述したような問題に鑑み、単純な構成で、分離部によるバックテンションを小さく保ちつつシート材の重送を防止する、シート材給送装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、給送方向に回転駆動されてシート材を搬送する給送ローラと、駆動モータと連結されておらず給送ローラに当接して従動可能な分離ローラとを有し、重なった状態のシート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、分離ローラとシート材との間の摩擦力よりも小さい制動トルクを、分離ローラに与えることにより、給送ローラと分離ローラの間に供給されたシート材のうち給送ローラに当接する最上位のシート材のみを給送する、シート材給送装置において、分離ローラは給送ローラから離れることができ、分離ローラが給送ローラから離れる動作と連動して、分離ローラを給送方向と反対方向に回転させ、給送ローラと分離ローラの間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材を、給送方向の上流側に戻す戻し手段とを有するところにある。これによると、簡単な構成でシート材の重送を防止することができる。
【0013】
この戻し手段は、分離ローラとともに回転するギアと、分離ローラが給送ローラから離れる際にギアと噛み合うラックとを有する構成であってもよい。また、この戻し手段は、分離ローラを、給送ローラと当接している状態のまま給送方向と反対方向に所定量だけ回転させた後に、給送ローラから離れさせてもよい。
【0014】
分離ローラの回転軸方向の長さが、給送ローラの回転軸方向の長さよりも長く、給送ローラの側方に、分離ローラと当接可能なガイド部材が設けられていてもよい。これによると、シート材を、給送ローラと分離ローラのニップ部よりも上流側に戻す動作の効率を高めることができる。
【0015】
ガイド部材は、分離ローラが給送ローラから離れる動作の間、分離ローラに追従して常に分離ローラと当接し、移動経路の最下点に到達すると分離ローラから離れてもよい。これによると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。なお、ガイド部材は、分離ローラおよび給送されるシート材に対し従動回転可能なガイドローラであってもよい。
【0016】
給送ローラが、積載されているシート材のうちの最上位のシート材をピックアップして給紙する給紙部材としても機能してもよい。その場合、給送ローラは、円弧部と直線部とからなる外周を有しており、回転しながら、円弧部が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に当接してこれをピックアップして給紙した後、直線部が分離ローラと相対する位置で停止する。
【0017】
また、給紙部材が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に圧接する前に、分離ローラが給送ローラに圧接し、給紙部材によって最上位のシート材が給紙された後に、給紙部材のシート材に対する圧接の解除と同時またはそれ以降に、分離ローラが給送ローラから離れることが好ましい。これによると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。
【0018】
シート材が積層されるシート材積載台の給送ローラ側のシート材突き当て面が、分離ローラが給送ローラから離れる際の移動経路内に入り込んでいることが好ましい。
【0019】
本発明のもう1つの特徴は、給送部材と、給送部材に当接可能な分離部材とを有し、給送部材と分離部材の間に供給されたシート材のうち給送部材に当接する最上位のシート材のみを給送するシート材給送装置において、分離部材が給送部材から離れた状態で分離部材と給送部材の間に位置するシート材搬送経路中に、シート材ガイドが設けられており、シート材ガイドに、給送部材と分離部材の間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材の先端を保持するシート材先端保持部が設けられているところにある。これによると、簡単な構成で、シート材に対するバックテンションを小さく保ちつつ、連れ重送を防止することができる。
【0020】
分離部材と給送部材とが圧接した状態では、シート材ガイドは分離部材の鉛直下方に位置し、分離部材が鉛直下方に移動して給送部材から離れたときに、シート材ガイドが給送部材と分離部材の間に位置する構成であってもよい。
【0021】
シート材ガイドは、シート材搬送経路の下流側に向かって鉛直方向上向きに傾斜しており、シート材ガイドに対するシート材の進入角度が100〜180゜であることが好ましい。さらに、シート材ガイドに対向する対向ガイドを有し、シート材ガイドと対向ガイドとに挟まれるシート材搬送経路が、下流側に向かって狭くなる楔形状であることが好ましい。このような構成によると、給送部材と分離部材の間に残されたシート材を、効率よく上流側に戻し易くなるとともに、シート材の先端がシート材ガイドに確実に接触して、シート材先端保持部に保持され易くなる。
【0022】
給送部材および分離部材よりも下流側に搬送部材が設けられており、給送部材により給送されたシート材が搬送部材に到達してから、分離部材と給送部材とが離れる構成であると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。
【0023】
シート材先端保持部は、シート材ガイド上に形成されている高さ0.05〜2mmの突起であってもよく、シート材ガイドに形成されている段差0.05〜2mmの階段部であってもよい。そして、シート材先端保持部は高摩擦材料からなることが好ましく、例えば、微小な凹凸を有する発泡材や、アスカー硬度30(Aスケール)以下のゴムからなる。
【0024】
回転を規制された分離ローラ軸と、分離ローラ軸に所定の締めしろを設けて取り付けられ、一端が分離ローラに係合可能なねじりコイルバネとを有し、分離ローラに、ねじりコイルバネのゆるみトルクによってシート材を上流側に戻す方向に回転するトルクを付与するトルクリミット機構をさらに有することが好ましい。
【0025】
本発明の記録装置は、前記したいずれかの構成のシート材給送装置と、シート材給送装置から給送されたシート材に記録を行う記録手段とを備えている。記録手段が、ノズルからインクを吐出してシート材に記録を行うインクジェット記録手段であってもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1〜4は、本発明のシート材給送装置の第1の実施形態を示す概略側面図であり、給送待機状態からシート材を1枚ずつ分離して搬送する一連の動作を示している。図5、図6はそれぞれ本実施形態の分離部における主な構成部品の斜視図および正面図である。図7は分離ローラの動作説明図である。図8、図9は給紙カセットの斜視図および側断面図である。
【0028】
a)構成
本実施形態では、本発明に係るシート材給送装置を、記録装置、具体的にはシート材にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に採用している。この記録装置は、本発明に係るシート材給送装置と、図示しないがインクを吐出して記録する記録部と、排紙部などからなる。
【0029】
本実施形態のシート材給送装置は、給紙部と分離部とからなる。給紙部は、給紙カセット50および給紙ローラ(給紙部材)120を備えている。給紙カセット50は、図8に示すように、主に、枠体51と、圧板52と、サイドガイド53と、分離パッド54から構成されている。ここでは図示しないが、シート材10は、サイドガイド53により紙幅方向の動きを規制された状態で、給紙カセット50にセットされている。図1〜4に示すように、この給紙カセット50の下流側上方に給紙ローラ120が設けられている。給紙ローラ120は、シート材10の搬送のために、芯金部123と、その外周に取り付けられている摩擦係数の高い弾性部材122とから構成されており、不図示の駆動モータから動力を得て回転可能である。
【0030】
また、給紙部には、給紙ローラ120と同期して回転する不図示のカム機構があり、カム機構は、図9に示す圧板作動レバー55を介して圧板52の上下動を制御することができる。圧板作動レバー55には、圧板52を給紙ローラ120に向けて付勢する圧板バネ56が係合している。
【0031】
図1〜4に示すように、給紙部の下流に分離部が配置されている。分離部は、給送ローラ(給送部材)70と、ガイドローラ(ガイド部材)132と、分離ローラ(分離部材)60と、シート材ガイド対147等から構成されている。
【0032】
給送ローラ70と分離ローラ60はいずれも、芯金部73、63と、その外周に取り付けられている摩擦係数の高い弾性部材72、62とから構成されている。分離ローラ60の外周に取り付けられている弾性部材62は、高摩擦係数のゴムや、発泡ウレタンなどから形成されている。分離ローラ60には、図7に示すクラッチバネ(ねじりコイルバネ)80を含むトルクリミット機構が設けられている。具体的には、クラッチバネ80が、回転を規制された分離ローラ軸85に所定の締めしろを設けて取り付けられた状態で、その端部が分離ローラ60に係合している。
【0033】
図5,6に示すように、分離ローラ60の芯金部63の一端には、ギア65が一体的に設けられており、ギア65は装置本体に設けられたラック141と噛み合っている。分離ローラ60は分離ローラホルダ90に回転可能に軸支されており、この分離ローラホルダ90は、側面にガイドピン92を備え、ガイドピン92は装置本体に設けられたホルダガイド140の長穴部に係合している。分離ローラホルダ90は、不図示のカム機構により、ホルダガイド140の長穴部に沿って上下方向にスライド可能である。また、分離ローラ60を給送ローラ70に圧接するために、図1〜4に示すように、分離ローラホルダ90と装置本体の間には分離ローラ加圧バネ95が設けられている。
【0034】
給送ローラ70の両側方には、ガイドローラホルダ133が、給送ローラ70に対して上下方向にスライド可能に取り付けられており、このガイドローラホルダ133は、不図示の付勢バネにより、分離ローラ加圧バネ95よりも弱い力で分離ローラ60に向かって付勢されている。ガイドローラホルダ133には、ガイドローラ132が回転可能に軸支されている。ガイドローラ132の回転軸は、給送ローラ70と分離ローラ60の回転軸中心を結んだ直線よりも上流側にオフセットされている。
【0035】
給送ローラ70は不図示の駆動モータから動力を得て、シート材10の搬送方向に回転可能である。一方、分離ローラ60は、常時回転するための動力伝達機構を有していない。
【0036】
給送ローラ70と分離ローラ60の間の搬送経路には、シート材ガイド145と対向ガイド146とからなるシート材ガイド対147が設けられている。シート材ガイド145は、分離ローラ60の移動ストロークの中間位置に配置されており、分離ローラ60が給送ローラ70に圧接できるように分離ローラ60の通過する部分は切り欠いてある(図5、図6参照)。シート材ガイド145には、数枚のシート材10の先端を保持し得る0.5mm程度の段差を有する階段部(シート材先端保持部)148が、分離ローラ60の紙幅方向近傍に設けられている。そして、シート材ガイド145は、分離ローラ60が離れる際に、シート材10のシート材ガイド145に対する進入角度が180°以下となるように配置されている。また、対向ガイド146は、シート材ガイド145との間のシート材搬送経路が下流に行くほど狭くなる楔形状になるように配置されている。
【0037】
なお、図1〜4に示すように、分離部の下流には搬送ローラ対(搬送部材)152、153が備えられている。
【0038】
b)分離動作
分離ローラ60にはトルクリミット機構が設けられている。すなわち、分離ローラ60の外周面に、給送方向に所定値(閾値)以上の搬送力が加わると、図7に示すように、芯金部63が矢印方向に回転し、芯金部63の係合部64がクラッチバネ80の係合部81と当接し、クラッチバネ80が芯金部63とともに矢印方向に分離ローラ軸85の周りを回転する。つまり、分離ローラ60は、クラッチバネ80に対するゆるみトルク(空転トルク)を越えた場合にのみ回転する。ここで、分離ローラ60のゆるみトルク(空転トルク)Tについて説明する。なお、分離ローラ60の給送ローラ70への加圧力をF、給紙ローラ120とシート材101との摩擦係数をμ1、分離ローラ60とシート材102との摩擦係数をμ2、シート材101とシート材102との摩擦係数をμ3、分離ローラ60の半径をr、分離ローラ60の外周面に働き、クラッチバネ80がすべりはじめる時の搬送力をJとすると、分離ローラ60のゆるみトルク(空転トルク)Tは、T=Jrである。
【0039】
まず、シート材101と102を分離するために、給送ローラ70とシート材101との摩擦力Fμ1と、分離ローラ60とシート材102との摩擦力Fμ2は、シート材101とシート材102との摩擦力Fμ3よりも大きいことが必要である。つまり、Fμ1>Fμ3かつFμ2>Fμ3である。
【0040】
分離ローラ60に対して1枚のシート材101が搬送された時には、分離ローラ60が、シート材10を介して、給送ローラ70とともにすべりなく回転し、図2に示すように、2枚のシート材101,102が分離ローラ60と給送ローラ70の間に侵入した場合には、分離ローラ60側にあるシート材102を戻す方向に作用させる必要がある。従って、クラッチバネ80がすべりはじめる搬送力Jを、シート材101とシート材102との摩擦力Fμ3よりも大きく、分離ローラ60とシート材102との摩擦力Fμ2より小さくすることが必要である。つまり、Fμ2>J>Fμ3である。
【0041】
よって、分離ローラ60のゆるみトルク(空転トルク)T=Jrを、これらの条件を満たすように設定すればよい。
【0042】
次に、シート材10の実際の分離動作について説明する。
【0043】
分離ローラ60と給送ローラ70との間に1枚のシート材101が搬送された場合には、クラッチバネ80がすべりはじめる搬送力Jよりも、分離ローラ60とシート材101との摩擦力Fμ2のほうが大きいため、分離ローラ60はシート材10を介して給送ローラ70とともに回転する。
【0044】
また、図7に示すように2枚のシート材101,102が分離ローラ60と給送ローラ70との間に侵入した場合には、チャージされていたゆるみトルク(空転トルク)Tが分離ローラ60側のシート材102に働き、シート材102を瞬間的にキックして戻すように作用する。そして、シート材102は、給送ローラ70と分離ローラ60のニップの後方に戻される。これは、シート材101と102との摩擦力Fμ3が、クラッチバネ80がすべりはじめる搬送力Jよりも小さいために、シート材102は、分離ローラ60によって後方に戻されるということである。よって、この分離機構を用いることにより、重送のない給送が可能になる。
【0045】
c)給紙動作
次に、給紙動作を図10の動作フローチャートに従って説明する。
【0046】
図1に示すような待機状態においては、不図示のカム機構が、図9に示す圧板作動レバー55を介して圧板52を下方に押さえ込み、給紙カセット50に積載されているシート材10の最上面と給紙ローラ120が接触しない状態である。また、分離ローラ60は、不図示のカム機構により給送ローラ70から離れ、分離ローラ加圧バネ95による給送ローラ70への圧接が解除された状態である。このとき、ガイドローラ132は、給送ローラ70と分離ローラ60との隙間のおよそ中間に位置している。
【0047】
それから、不図示の制御コントローラから給紙命令を受け、不図示の駆動モータが回転し、給紙動作が始まる。不図示の駆動モータに駆動されて、給紙ローラ120および給送ローラ70が回転する(ステップS1)。これに伴う不図示のカム機構の動作により、分離ローラ60が上方に移動し、給送ローラ70と分離ローラ60との隙間のおよそ中間に位置しているガイドローラ132に当接する。分離ローラ60は、ガイドローラ132に当接した後、ガイドローラ132を押し上げながら、分離ローラ加圧バネ95に付勢されて給送ローラ70に圧接する(ステップS2)。
【0048】
続いて、給紙ローラ120と同期する不図示のカム機構によって、圧板作動レバー55を介して圧板52が給紙ローラ120に向けて付勢され、給紙カセット50に積載されている複数のシート材10のうちの最上位のシート材101が、給紙ローラ120に圧接させられる(ステップS3)。給紙ローラ120は、この最上位の1枚のシート材101、もしくは最上位のシート材101を含む数枚のシート材をピックアップし、給送ローラ70と分離ローラ60のニップ部へと搬送する(ステップS4)。
【0049】
給送ローラ70と分離ローラ60の間のニップ部へ搬送されたシート材10は、図2に示すように、先に述べた分離ローラ60の分離作用により、ニップ部において、重送しないように1枚ずつ分離される(ステップS5)。そして、分離されたシート材101の先端部が給送ローラ70と分離ローラ60の間のニップ部に進入した後に、不図示のカム機構により圧板作動レバー55を介して圧板52が押し下げられ、給紙ローラ120からシート材101が離れる(ステップS6)。
【0050】
さらに、給送ローラ70が回転し、分離された1枚のシート材101の先端が搬送ローラ対152,153の間のニップ部に到達すると(ステップS7)、その直後に、不図示のカム機構により分離ローラ60が給送ローラ70から離れる(ステップS8)。このとき、分離ローラ60の一端に備えられているギア65が装置本体のラック141と噛み合っているため、分離ローラ60は、給送方向と反対方向に、残りのシート材102を積載台に戻すように回転する。また、このとき、ガイドローラ132は分離ローラ60に追従してスライドし、分離された後に給送ローラ70と分離ローラ60の間に残っているシート材102はガイドローラ132と分離ローラ60の間に挟まれた状態となっているため、このシート材102に分離ローラ60の回転力が確実に伝わり、このシート材102はニップ部の上流側に戻される。
【0051】
図3に示すように、分離ローラ60が移動経路のおよそ中間地点に到達したとき、ガイドローラ132は最下点に到達する(ステップS9)。その後、分離ローラ60の移動がさらに続き、分離ローラ60はガイドローラ132からも離れて、図4に示すように待機位置に戻る(ステップS10)。分離ローラ60が待機位置に戻った後、不図示の記録部により、すでに搬送ローラ対152,153にニップされているシート材101に画像の記録が開始される(ステップS11)。なお、このとき、シート材ガイド145が、ガイドローラ132と分離ローラ60の隙間に入り込んでいるので、搬送ローラ対152,153にニップされているシート材101は、ガイドローラ132およびシート材ガイド145によって、給送ローラ70および分離ローラ60によるバックテンションを受けることなく搬送され、記録部によって画像が記録される。
【0052】
また、図4に示すように、分離ローラ60によって分離された後に戻されたシート材102は、シート材ガイド145の表面に設けられた階段部148によりその先端部を保持されるため、いわゆる連れ重送を防止することができる。
【0053】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図11〜14を参照して説明する。図11〜14は、本実施形態のシート材給送装置を示す概略側面図であり、給紙待機状態からシート材を分離して搬送する一連の動作を示している。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0054】
本実施形態におけるシート材給送装置では、分離ローラ60を離れさせるレバー143に、分離ローラ60を給送方向と反対方向に回転させるためのラック142が設けられている。すなわち、給紙部の下流に位置する分離部が、給送ローラ70と、ガイドローラ132と、分離ローラ60と、シート材ガイド対147と、ラック142を備えた分離ローラ隔離レバー143を有している。そして、分離ローラ60および分離ローラホルダ90(図5,6参照)をホルダガイド140の穴部に沿って上下方向にスライドさせる分離ローラ隔離レバー143がラック142を備えており、このラック142は分離ローラ60に備えられたギア65と噛み合っている。その他の構成については、記録部等も含めて、第1の実施形態と同じであるため説明は省略する。
【0055】
次に、本実施形態のシート材給送装置による給紙動作について説明する。
【0056】
図11に示すような待機状態においては、不図示のカム機構が、図9に示す圧板作動レバー55を介して圧板52を下方に押さえ込み、給紙カセット50に積載されているシート材10の最上面と給紙ローラ120が接触しない状態である。また、分離ローラ60は、分離ローラ隔離レバー143により給送ローラ70から離れ、分離ローラ加圧バネ95による給送ローラ70への圧接が解除された状態である。
【0057】
この待機状態から始まる、給紙ローラ120によるシート材10のピックアップから、分離ローラ60によるシート材10の分離までの一連の動作は、第1の実施形態と実質的に同じであるため、説明を省略する。
【0058】
給送ローラ70が回転し、分離された1枚のシート材101の先端が搬送ローラ対152,153のニップ部に到達すると、不図示のカム機構により、分離ローラ隔離レバー143が、図12に示す状態から図13に示す状態へ下方にスライドする。このとき、分離ローラ隔離レバー143に設けられたラック142は、分離ローラ60のギア65と噛み合っているため、分離ローラ60は給送方向と反対方向に回転する。また、このとき、分離ローラ60は、シート材10を挟んで圧接しているため、分離された後に給送ローラ70と分離ローラ60のニップ部に残っているシート材102をニップ部の上流側に戻すことができる。分離ローラ隔離レバー143はさらに下方にスライドし、これにより分離ローラ60は給送ローラ70から離れ、図14に示すように待機位置に戻る。分離ローラ60が待機位置に戻った後、不図示の記録部により、すでに搬送ローラ対にニップされているシート材101に画像の記録が開始される。なお、このとき、シート材ガイド145が、ガイドローラ132と分離ローラ60の隙間に入り込んでいるので、搬送ローラ対152,153にニップされているシート材101は、ガイドローラ132およびシート材ガイド145によって、給送ローラ70および分離ローラ60によるバックテンションを受けることなく搬送され、記録部によって画像が記録される。
【0059】
また、図14に示すように、分離ローラ60によって分離された後に戻されたシート材102は、シート材ガイド145の表面に設けられた階段部148によりその先端部を保持されるため、いわゆる連れ重送を防止することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図15,16を参照して説明する。図15および図16は、本実施形態のシート材給送装置を示す概略側面図である。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0061】
本実施形態のシート材給送装置の分離部は、給送ローラ70と、ガイドローラ132と、分離ローラ60等から構成されている。この給送ローラ70は、円弧部と直線部を有するいわゆるD形ローラであり、給紙ローラを兼ねるものである。
【0062】
本実施形態では、給紙カセットは用いられず、シート材積載部にシート材が積載される。このシート材積載部は、ベース160と、圧板52と、サイドガイド53を備えており、圧板バネ56により圧板52上のシート材を給送ローラ70に圧接させることができ、また、給送ローラ70と同期して回転する不図示のカム機構により、圧板52を移動させることができる。
【0063】
分離ローラ60の芯金部63の一端に設けられたギア65は、ベース160に設けられた、ギア65よりもピッチ円の大きなギアの一部を構成するラック163と噛み合っている。分離ローラ60を回転可能に軸支している分離ローラホルダ90は、一端がベース160に軸支され、不図示のカム機構により揺動可能である。分離ローラホルダ90とベース160との間には、分離ローラ60を給送ローラ70に圧接させるために、分離ローラ加圧バネ95が設けられている。
【0064】
給送ローラ70と分離ローラ60の間の搬送経路中において、ベース160には、数枚のシート材10の先端を保持し得る0.5mm程度の段差を有する階段部(シート材先端保持部)162が設けられている。階段部162は、分離ローラ60の移動ストロークの中間位置に配置されている。なお、シート材積載部のシート材突き当て面161が、分離ローラ60が離れる際の移動経路内に入り込むように配置されていてもよい。
【0065】
その他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであるため、説明は省略する。
【0066】
次に、本実施形態のシート材給送装置による給紙動作について説明する。
【0067】
図15に示すような待機状態においては、不図示のカム機構が圧板52を下方に押さえ込み、シート材10の最上面と給送ローラ70が接触しない状態である。このとき、給送ローラ70の直線部75が分離ローラ60と対向する状態で停止している。また、分離ローラ60は、不図示のカム機構により給送ローラ70から離れ、分離ローラ加圧バネ95による給送ローラ70への圧接が解除された状態である。
【0068】
それから、不図示の制御コントローラから給紙命令を受け、不図示の駆動モータが回転し、給紙動作が始まる。不図示の駆動モータに駆動されて、給送ローラ70が回転すると、不図示のカム機構の動作により分離ローラ60が上方に移動し、給送ローラ70と分離ローラ60との隙間のおよそ中間に位置しているガイドローラ132に当接する。分離ローラ60は、ガイドローラ132を押し上げながら、分離ローラ加圧バネ95に付勢されて給送ローラ70に圧接する。
【0069】
続いて、不図示のカム機構の動作により、図16に示すようになり、圧板52上のシート材が給送ローラ70に圧接させられる。給送ローラ70は、この最上位の1枚のシート材、もしくは最上位のシート材を含む数枚のシート材をピックアップし、分離ローラ60とのニップ部へと搬送する。給送ローラ70と分離ローラ60とのニップ部へ搬送されたシート材は、第1の実施形態と同様な分離ローラ60の分離作用により、ニップ部において、重送しないように1枚ずつ分離され、さらに下流の搬送ローラ対(図示せず)にニップされる。
【0070】
給送ローラ70が1回転し、給送ローラ70の直線部75が再び分離ローラ60との対向位置に来るとき、不図示のカム機構により圧板52が押し下げられ、また、分離ローラ60は給送ローラ70から離れる。このとき、分離ローラ60のギア65が、ベース160に設けられた、ピッチ円の大きなギアの一部をなすラック163と噛み合っているため、分離ローラ60は、給送方向と反対方向に、シート材をシート材積載部に戻すように回転する。また、このとき、ガイドローラ132は分離ローラ60に追従してスライドし、シート材はガイドローラ132と分離ローラ60との間に挟まれた状態となっているため、分離された後に給送ローラ70と分離ローラ60のニップ部に残っているシート材に分離ローラ60の回転力を確実に伝えることができ、これをニップ部の上流側に戻すことができる。
【0071】
その後、分離ローラ60はさらに隔離動作を続け、ガイドローラ132からも離れて待機位置に戻る。このとき、ガイドローラ132と分離ローラ60の隙間に入り込むように、階段部162が配置されているため、シート材は階段部162によりその先端を保持されるので、連れ重送を防止することができる。
【0072】
また、シート材積載部のシート材突き当て面161が、分離ローラ60が離れる際の移動経路内に入り込むように配置されている場合には、シート材を確実にシート材積載部に戻すことができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明によると、分離ローラを給送方向と反対方向に回転させて、給送ローラと分離ローラの間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材を、給送方向の上流側に戻すため、簡単な構成でシート材の重送を防止することができる。
【0074】
さらに、給送ローラの側方に分離ローラと当接可能なガイド部材が設けられていると、シート材を、給送ローラと分離ローラのニップ部よりも上流側に戻す動作の効率を高めることができる。そして、ガイド部材は、分離ローラが給送ローラから離れる動作の間、分離ローラに追従して常に分離ローラと当接し、移動経路の最下点に到達すると分離ローラから離れる構成であったり、給紙部材が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に圧接する前に、分離ローラが給送ローラに圧接し、給紙部材によって最上位のシート材が給紙された後に、給紙部材のシート材に対する圧接の解除と同時またはそれ以降に、分離ローラが給送ローラから離れる構成であると、後段の搬送部材にてシート材をさらに搬送する際の負荷を低減することができる。
【0075】
また、分離部材が給送部材から離れた状態で分離部材と給送部材の間に位置するシート材搬送経路中に、給送部材と分離部材の間に挟まれているシート材のうち、最上位のシート材以外のシート材の先端を保持するシート材先端保持部を有するシート材ガイドが設けられていると、簡単な構成で、シート材に対するバックテンションを小さく保ちつつ、連れ重送を防止することができる。
【0076】
シート材ガイドは、シート材搬送経路の下流側に向かって鉛直方向上向きに傾斜しており、シート材ガイドに対するシート材の進入角度が100〜180゜であり、また、シート材ガイドに対向する対向ガイドを有し、シート材ガイドと対向ガイドとに挟まれるシート材搬送経路が、下流側に向かって狭くなる楔形状であると、給送部材と分離部材の間に残されたシート材を、効率よく上流側に戻し易くなるとともに、シート材の先端がシート材ガイドに確実に接触して、シート材先端保持部に保持され易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のシート材給送装置を示す側断面図である。
【図2】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を説明する側断面図である。
【図3】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を説明する側断面図である。
【図4】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を説明する側断面図である。
【図5】第1の実施形態のシート材給送装置の分離部を示す斜視図である。
【図6】第1の実施形態のシート材給送装置の分離部を示す正面図である。
【図7】第1の実施形態のシート材給送装置の分離ローラを拡大して示す説明図である。
【図8】第1の実施形態のシート材給送装置の給紙カセットを示す斜視図である。
【図9】第1の実施形態のシート材給送装置の給紙カセットを拡大して示す側断面図である。
【図10】第1の実施形態のシート材給送装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態のシート材給送装置を示す側断面図である。
【図12】第2の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図13】第2の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図14】第2の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図15】第3の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図16】第3の実施形態のシート材給送装置の動作を示す側断面図である。
【図17】従来のシート材給送装置の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
10,101,102・・・ シート材
50 給紙カセット
60 分離ローラ(分離部材)
65 ギア(戻し手段)
70 給送ローラ(給送部材)
75 直線部
80 クラッチバネ(トルクリミット機構)
90 分離ローラホルダ
120 給紙ローラ(給紙部材)
132 ガイドローラ(ガイド部材)
133 ガイドローラホルダ
140 ホルダガイド
141,142 ラック(戻し手段)
143 分離ローラ隔離レバー
145 シート材ガイド
146 対向ガイド
147 シート材ガイド対
148 階段部(シート材先端保持部)
152,153 搬送ローラ対(搬送部材)
160 ベース
161 シート材突き当て面
162 階段部(シート材先端保持部)
163 ラック(戻し手段)
Claims (21)
- 給送方向に回転駆動されてシート材を搬送する給送ローラと、駆動モータと連結されておらず前記給送ローラに当接して従動可能な分離ローラとを有し、重なった状態のシート材とシート材との間の摩擦力よりも大きく、前記分離ローラとシート材との間の摩擦力よりも小さい制動トルクを、前記分離ローラに与えることにより、前記給送ローラと前記分離ローラの間に供給されたシート材のうち前記給送ローラに当接する最上位のシート材のみを給送する、シート材給送装置において、
前記分離ローラは、前記給送ローラから離れることができ、
前記分離ローラが前記給送ローラから離れる動作と連動して、前記分離ローラを給送方向と反対方向に回転させ、前記給送ローラと前記分離ローラの間に挟まれているシート材のうち、前記最上位のシート材以外のシート材を、前記給送方向の上流側に戻す戻し手段を有することを特徴とするシート材給送装置。 - 前記戻し手段は、前記分離ローラとともに回転するギアと、前記分離ローラが前記給送ローラから離れる際に前記ギアと噛み合うラックとを有する、請求項1に記載のシート材給送装置。
- 前記戻し手段は、前記分離ローラを、前記給送ローラと当接している状態のまま給送方向と反対方向に所定量だけ回転させた後に、前記給送ローラから離れさせる、請求項1または2に記載のシート材給送装置。
- 前記分離ローラの回転軸方向の長さが、前記給送ローラの回転軸方向の長さよりも長く、前記給送ローラの側方に、前記分離ローラと当接可能なガイド部材が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 前記ガイド部材は、前記分離ローラが前記給送ローラから離れる動作の間、前記分離ローラに追従して常に分離ローラと当接し、移動経路の最下点に到達すると前記分離ローラから離れる、請求項4に記載のシート材給送装置。
- 前記ガイド部材は、前記分離ローラおよび給送される前記シート材に対し従動回転可能なガイドローラである、請求項4または5に記載のシート材給送装置。
- 前記給送ローラが、積載されているシート材のうちの最上位のシート材をピックアップして給紙する給紙部材としても機能する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 前記給送ローラは、円弧部と直線部とからなる外周を有しており、回転しながら、前記円弧部が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に当接してこれをピックアップして給紙した後、前記直線部が前記分離ローラと相対する位置で停止する、請求項7に記載のシート材給送装置。
- 給紙部材が、積載されているシート材のうちの最上位のシート材に圧接する前に、前記分離ローラが前記給送ローラに圧接し、
前記給紙部材によって前記最上位のシート材が給紙された後に、前記給紙部材の前記シート材に対する圧接の解除と同時またはそれ以降に、前記分離ローラが前記給送ローラから離れる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート材給送装置。 - シート材が積層されるシート材積載台の給送ローラ側のシート材突き当て面が、前記分離ローラが前記給送ローラから離れる際の移動経路内に入り込んでいる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 給送部材と、前記給送部材に当接可能な分離部材とを有し、前記給送部材と前記分離部材の間に供給されたシート材のうち前記給送部材に当接する最上位のシート材のみを給送するシート材給送装置において、
前記分離部材が前記給送部材から離れた状態で前記分離部材と前記給送部材の間に位置するシート材搬送経路中に、シート材ガイドが設けられており、
前記シート材ガイドに、前記給送部材と前記分離部材の間に挟まれているシート材のうち、前記最上位のシート材以外のシート材の先端を保持するシート材先端保持部が設けられていることを特徴とするシート材給送装置。 - 前記分離部材と前記給送部材とが圧接した状態では、前記シート材ガイドは前記分離部材の鉛直下方に位置し、
前記分離部材が鉛直下方に移動して前記給送部材から離れたときに、前記シート材ガイドが前記給送部材と前記分離部材の間に位置する、請求項11に記載のシート材給送装置。 - 前記シート材ガイドは、前記シート材搬送経路の下流側に向かって鉛直方向上向きに傾斜しており、前記シート材ガイドに対する前記シート材の進入角度が100〜180゜である、請求項11または12に記載のシート材給送装置。
- 前記シート材ガイドに対向する対向ガイドを有し、前記シート材ガイドと前記対向ガイドとに挟まれる前記シート材搬送経路が、下流側に向かって狭くなる楔形状である、請求項13に記載のシート材給送装置。
- 前記給送部材および前記分離部材よりも下流側に搬送部材が設けられており、前記給送部材により給送されたシート材が前記搬送部材に到達してから、前記分離部材と前記給送部材とが離れる、請求項11〜14のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 前記シート材先端保持部が、前記シート材ガイド上に形成されている高さ0.05〜2mmの突起である、請求項11〜15のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 前記シート材先端保持部が、前記シート材ガイドに形成されている段差0.05〜2mmの階段部である、請求項11〜15のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 前記シート材先端保持部は高摩擦材料からなる、請求項11〜17のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 回転を規制された分離ローラ軸と、前記分離ローラ軸に所定の締めしろを設けて取り付けられ、一端が前記分離ローラに係合可能なねじりコイルバネとを有し、前記分離ローラに、前記ねじりコイルバネのゆるみトルクによってシート材を上流側に戻す方向に回転するトルクを付与するトルクリミット機構を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載のシート材給送装置。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載のシート材給送装置と、前記シート材給送装置から給送されたシート材に記録を行う記録手段とを備えている記録装置。
- 前記記録手段が、ノズルからインクを吐出してシート材に記録を行うインクジェット記録手段である、請求項20に記載の記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002189839A JP2004026479A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | シート材給送装置および記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002189839A JP2004026479A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | シート材給送装置および記録装置 |
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JP2004026479A true JP2004026479A (ja) | 2004-01-29 |
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ID=31184144
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JP2002189839A Withdrawn JP2004026479A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | シート材給送装置および記録装置 |
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JP (1) | JP2004026479A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006315828A (ja) * | 2005-05-13 | 2006-11-24 | Kyocera Mita Corp | シート分離搬送機構及びそれを備えたシート搬送装置 |
CN100555094C (zh) * | 2006-05-15 | 2009-10-28 | 富士施乐株式会社 | 片材供给装置和成像装置 |
JP2016108061A (ja) * | 2014-12-02 | 2016-06-20 | キヤノン株式会社 | シート給送装置及び画像形成装置 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002189839A patent/JP2004026479A/ja not_active Withdrawn
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CN100555094C (zh) * | 2006-05-15 | 2009-10-28 | 富士施乐株式会社 | 片材供给装置和成像装置 |
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