JP2004008834A - メタクリル酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化して高収率でメタクリル酸を製造できる触媒、その製造方法、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供する。
【解決手段】メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられるモリブデン、リン、バナジウム、銅等を含む特定の組成を有するモリブデン含有触媒の製造方法において、
前記モリブデン含有触媒の原料として、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物を使用することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられるモリブデン、リン、バナジウム、銅等を含む特定の組成を有するモリブデン含有触媒の製造方法において、
前記モリブデン含有触媒の原料として、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物を使用することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に使用する触媒(以下、メタクリル酸製造用触媒という。)の製造方法、この方法により製造される触媒、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクロレインを分子状酸素で気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための触媒については、リン、モリブデンを主成分とするヘテロポリ酸系触媒が従来から知られており、触媒調製時の原料としてはモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、リンモリブデン酸など種々のモリブデン化合物が用いられている。
【0003】
特開昭57−177347号公報、特開昭58−74142号公報、特開平8−47643号公報および特開平8−196908号公報には、モリブデン原料として三酸化モリブデンを使用した例が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで提案されている触媒はいずれも反応成績が十分ではなく、工業触媒として更なる改良が望まれていた。
【0005】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化して高収率でメタクリル酸を製造できる触媒、その製造方法、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる下記式(1)で表される組成を有するモリブデン含有触媒の製造方法において、
前記モリブデン含有触媒の原料として、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物を使用することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法である。
PaMobVcCudXeYfOg (1)
(式中、P、Mo、V、Cu、およびOはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅、および酸素を表し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン、ホウ素、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウム、およびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは、カリウム、ルビジウム、セシウム、タリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、eは0〜3、f=0.01〜3であり、gは前記各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
【0007】
また本発明は、前記の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒、およびこのメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、製造される触媒は前記式(1)で表される組成を有するモリブデン含有触媒である。本発明の特徴は、この触媒の原料として特定のモリブデン酸化物を使用することにある。すなわち、特定のモリブデン酸化物とは、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物(以下、特定のモリブデン酸化物という。)である。
【0009】
このような特定のモリブデン酸化物のモリブデンと酸素の原子比は特に限定されないが、モリブデン:酸素の原子比がおよそ1:3のいわゆる三酸化モリブデンの中で上述したX線回折パターンを示すものが好ましい。三酸化モリブデンとは厳密にはモリブデン:酸素の原子比が1:3のものをいうが、本願明細書では酸化状態が酸化側または還元側に僅かに異なる1:2.85〜1:3.15のモリブデン酸化物も三酸化モリブデンという。
【0010】
また特定のモリブデン酸化物には、例えば、ナトリウム、カリウム、鉄、鉛、硫酸根、硝酸根、アンモニウム根などの微量の不純物が含まれていても差し支えないが、これらの不純物は少ないほど好ましく、含まないことが特に好ましい。
【0011】
特定のモリブデン酸化物のX線回折角度(2θ)の測定方法は次の通りである。すなわち、株式会社リガク製ロータフレックスRU−200を使用して、X線CuKα線(λ=0.154nm)、出力40kV、100mA、測定範囲5〜70°、測定速度毎分4°の条件でX線回折角度(2θ)の測定を行う。
【0012】
このような特定のモリブデン酸化物は、例えば、モリブデン原子とアンモニウムの比率が1:0.6〜1:1.5、好ましくは、1:0.7〜1:1.2のモリブデン酸アンモニウムを高温加熱により分解したり、金属モリブデンを溶液中で酸化処理後、乾燥、高温焼成したりする方法よって製造することができる。この製法により製造されるモリブデン酸化物は三酸化モリブデンである。
【0013】
特定のモリブデン酸化物の一次粒子のメジアン径による平均粒径は特に限定されないが、0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましく、0.2〜8μmの範囲内にあることが更に好ましい。また、特定のモリブデン酸化物の一次粒子のメジアン径による粒度分布は、0.01〜500μmの範囲内にあることが好ましく、0.05〜100μmの範囲内にあることが更に好ましい。粒度分布を調節する方法は特に限定されないが、例えば、モリブデン酸アンモニウムを高温加熱により分解する方法で三酸化モリブデンを製造する場合、モリブデン酸アンモニウムの加熱温度を調整することで粒度分布を調節することができる。また、金属モリブデンを溶液中で酸化処理後、乾燥、高温焼成する方法で三酸化モリブデンを製造する場合、酸化処理の条件や酸化して生成したモリブデン酸化物前駆体の乾燥条件や焼成条件を調整することで粒度分布を調節することができる。
【0014】
特定のモリブデン酸化物以外に使用する触媒原料としては、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物塩、ハロゲン化物などを組み合わせて使用することができる。例えば、バナジウム原料としてはメタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、塩化バナジウム、シュウ酸バナジルなどが挙げられ、リン原料としては正リン酸、メタリン酸、五酸化二リン、ピロリン酸、リン酸アンモニウムなどが挙げられ、銅原料としては硝酸銅、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅などが挙げられる。また、上述した特定のモリブデン酸化物以外のモリブデン原料を触媒原料として併用してもよいが、その量は少ないほど好ましい。
【0015】
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、製造手順や製造条件は特に限定されず、従来からよく知られている沈殿法、酸化物混合法などの種々の方法により触媒を製造することができる。
【0016】
触媒製造の好ましい手順としては、例えば、特定のモリブデン酸化物を水に懸濁させた後にその他の触媒原料と混合し、得られた混合溶液または水性スラリーを乾燥させ、熱処理する方法が挙げられる。他の触媒原料はそのまま、または水等の液体媒体に適宜溶解または懸濁させたものが使用できる。また、触媒原料の混合途中または混合後にアンモニア水を添加してもよい。
【0017】
次いで、このようにして得られた全ての触媒原料を含む溶液またはスラリーを乾燥し、触媒前駆体の乾燥物を得る。乾燥方法としては種々の方法を用いることが可能であり、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を用いることができる。乾燥に使用する乾燥機の機種や乾燥時の温度、時間等は特に限定されず、乾燥条件を適宜変えることによって目的に応じた触媒前駆体の乾燥物を得ることができる。
【0018】
このようにして得られた触媒前駆体の乾燥物は、必要により粉砕した後、成形せずにそのまま次の焼成を行ってもよいが、通常は成形品を焼成する。成形方法は特に限定されず、公知の乾式および湿式の種々の成形法が適用できるが、シリカ等の担体などを含めずに成形することが好ましい。具体的な成形方法としては、例えば、打錠成形、プレス成形、押出成形、造粒成形等が挙げられる。成形品の形状についても特に限定されず、例えば、円柱状、リング状、球状等の所望の形状を選択することができる。なお、成形に際しては、公知の添加剤、例えば、グラファイト、タルク等を少量添加してもよい。
【0019】
そして、このようにして得られた触媒前駆体の乾燥物またはその成形品を焼成し、メタクリル酸製造用触媒を得る。焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。焼成の最適条件は、用いる触媒原料、触媒組成、調製法等によって異なるが、通常、空気等の酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、200〜500℃、好ましくは300〜450℃で、0.5時間以上、好ましくは1〜40時間で行う。ここで、不活性ガスとは、触媒の反応活性を低下させないような気体のことをいい、具体的には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0020】
特定のモリブデン酸化物を原料とすることにより触媒性能が向上するメカニズムについては明らかではないが、このような特定のモリブデン酸化物が有するある種の結晶構造に起因して触媒中に形成されるある種の結晶構造が、メタクリル酸を高収率で製造することに寄与するためと推定している。
【0021】
次に、本発明のメタクリル酸の製造方法について説明する。本発明のメタクリル酸の製造方法は、上記のようにして得られる本発明の触媒の存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するものである。
【0022】
反応は、通常、固定床で行う。また、触媒層は1層でも2層以上でもよく、担体に担持させたものであっても、その他の添加成分を混合したものであってもよい。
【0023】
上記のような本発明の触媒を用いてメタクリル酸を製造する際には、メタクロレインと分子状酸素とを含む原料ガスを触媒と接触させる。原料ガス中のメタクロレイン濃度は広い範囲で変えることができるが、通常、1〜20容量%が適当であり、3〜10容量%がより好ましい。分子状酸素源としては空気を用いることが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気等も用いることができる。原料ガス中の分子状酸素濃度は、通常、メタクロレイン1モルに対して0.4〜4モルが適当であり、0.5〜3モルがより好ましい。原料ガスは、メタクロレインおよび分子状酸素源を、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈したものであってもよい。また、原料ガスには水蒸気を加えてもよい。水の存在下で反応を行うと、より高収率でメタクリル酸が得られる。原料ガス中の水蒸気の濃度は、0.1〜50容量%が好ましく、1〜40容量%がより好ましい。
【0024】
また、原料ガス中には、低級飽和アルデヒド等の不純物を少量含んでいてもよいが、その量はできるだけ少ないことが好ましい。
【0025】
メタクリル酸製造反応の反応圧力は、100〜200kPa(絶対圧)まで用いられる。反応温度は、通常、230〜450℃の範囲で選ぶことができるが、250〜400℃がより好ましい。
【0026】
原料ガスの流量は特に限定されないが、通常、接触時間は1.5〜15秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」は質量部である。
【0028】
X線回折測定は、次の装置および条件で行った。
使用装置:ロータフレックスRU−200(株式会社リガク製)
X線 :CuKα線(λ=0.154nm)
出力 :40kV、100mA
測定範囲:5〜70°
測定速度:毎分4°
【0029】
粒度分布測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000(島津製)を用いて、分散媒に純水を用いた湿式法で行った。ここで、求める平均粒径とは、相対粒子量が50%の時の粒子径、すなわちメジアン径のことである。
原料ガスおよび生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、メタクロレインの反応率、生成するメタクリル酸の選択率、および単流収率は以下のように定義される。
メタクロレインの反応率(%)=(B/A)×100
メタクリル酸の選択率(%) =(C/B)×100
メタクリル酸の単流収率(%)=(C/A)×100
ここで、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
【0030】
[実施例1]
純水400部に表1に示したX線回折パターンおよび平均粒径を有する三酸化モリブデン100部を懸濁し、これを攪拌しながら、五酸化バナジウム4.34部、85質量%リン酸10.0部、硝酸銅2.80部、硝酸第二鉄7.02部を加え、還流下で1.5時間攪拌してA液を得た。A液を50℃まで冷却した後、B液である29重量%アンモニア水37.3部を滴下し15分間攪拌し、AB混合液を得た。次に、AB混合液中にC液である硝酸セシウム9.03部を純水30部に溶解した溶液を滴下し15分間攪拌してスラリーを得た。このようにして得られたスラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら蒸発乾固し得られた固形物を130℃で16時間乾燥した。この乾燥物をプレス成型器で加圧した後、破砕して10〜20メッシュに整粒を行い、空気流通下、375℃にて10時間焼成して触媒を得た。この触媒の酸素以外の元素組成は、P1.5Mo12V0.5Cu0.2Fe0.3Cs0.8であった。
【0031】
この触媒をステンレス製反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、および窒素55%(容量%)からなる反応ガスを反応温度285℃、反応圧力101kPa(絶対圧)、接触時間3.6秒で通じてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った。結果を表2に示した。
【0032】
[実施例2〜5]
実施例1で触媒原料として用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を表1に示したものに代えた以外は実施例1と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0033】
[比較例1]
実施例1で触媒原料として用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を表1に示したものに代えた以外は実施例1と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0034】
[実施例6]
純水400部に表1に示したX線回折パターンおよび平均粒径を有する三酸化モリブデン100部を懸濁し、これを攪拌しながら、メタバナジン酸アンモニウム3.39部、85質量%リン酸6.67部、60%砒酸水溶液6.85部、硝酸銅2.80部、硝酸セリウム5.03部を加え、還流下で1.5時間攪拌してA液を得た。A液を50℃まで冷却した後、B液である硝酸セシウム11.3部を純水30部に溶解した溶液を滴下し15分間攪拌し、AB混合液を得た。次に、AB混合液中にC液である硝酸アンモニウム13.9部を純水50部に溶解した溶液を添加し15分間攪拌してスラリーを得た。このようにして得られたスラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら蒸発乾固し得られた固形物を130℃で16時間乾燥した。この乾燥物をプレス成型器で加圧した後、破砕して10〜20メッシュに整粒を行い、空気流通下、375℃にて10時間焼成して触媒を得た。この触媒の酸素以外の元素組成は、P1.0Mo12V0.5Cu0.2As0.5Ce0.2Cs1.0であった。
【0035】
この触媒をステンレス製反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、および窒素55%(容量%)からなる反応ガスを反応温度285℃、反応圧力101kPa(絶対圧)、接触時間3.6秒で通じてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った。結果を表2に示した。
【0036】
[実施例7]
実施例2で用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を使用した以外は実施例6と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0037】
[比較例2]
比較例1で用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を使用した以外は実施例6と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明の触媒を用いることによりメタクリル酸を高収率で製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に使用する触媒(以下、メタクリル酸製造用触媒という。)の製造方法、この方法により製造される触媒、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクロレインを分子状酸素で気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための触媒については、リン、モリブデンを主成分とするヘテロポリ酸系触媒が従来から知られており、触媒調製時の原料としてはモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、リンモリブデン酸など種々のモリブデン化合物が用いられている。
【0003】
特開昭57−177347号公報、特開昭58−74142号公報、特開平8−47643号公報および特開平8−196908号公報には、モリブデン原料として三酸化モリブデンを使用した例が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで提案されている触媒はいずれも反応成績が十分ではなく、工業触媒として更なる改良が望まれていた。
【0005】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化して高収率でメタクリル酸を製造できる触媒、その製造方法、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる下記式(1)で表される組成を有するモリブデン含有触媒の製造方法において、
前記モリブデン含有触媒の原料として、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物を使用することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法である。
PaMobVcCudXeYfOg (1)
(式中、P、Mo、V、Cu、およびOはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅、および酸素を表し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン、ホウ素、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウム、およびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは、カリウム、ルビジウム、セシウム、タリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、eは0〜3、f=0.01〜3であり、gは前記各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
【0007】
また本発明は、前記の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒、およびこのメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、製造される触媒は前記式(1)で表される組成を有するモリブデン含有触媒である。本発明の特徴は、この触媒の原料として特定のモリブデン酸化物を使用することにある。すなわち、特定のモリブデン酸化物とは、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物(以下、特定のモリブデン酸化物という。)である。
【0009】
このような特定のモリブデン酸化物のモリブデンと酸素の原子比は特に限定されないが、モリブデン:酸素の原子比がおよそ1:3のいわゆる三酸化モリブデンの中で上述したX線回折パターンを示すものが好ましい。三酸化モリブデンとは厳密にはモリブデン:酸素の原子比が1:3のものをいうが、本願明細書では酸化状態が酸化側または還元側に僅かに異なる1:2.85〜1:3.15のモリブデン酸化物も三酸化モリブデンという。
【0010】
また特定のモリブデン酸化物には、例えば、ナトリウム、カリウム、鉄、鉛、硫酸根、硝酸根、アンモニウム根などの微量の不純物が含まれていても差し支えないが、これらの不純物は少ないほど好ましく、含まないことが特に好ましい。
【0011】
特定のモリブデン酸化物のX線回折角度(2θ)の測定方法は次の通りである。すなわち、株式会社リガク製ロータフレックスRU−200を使用して、X線CuKα線(λ=0.154nm)、出力40kV、100mA、測定範囲5〜70°、測定速度毎分4°の条件でX線回折角度(2θ)の測定を行う。
【0012】
このような特定のモリブデン酸化物は、例えば、モリブデン原子とアンモニウムの比率が1:0.6〜1:1.5、好ましくは、1:0.7〜1:1.2のモリブデン酸アンモニウムを高温加熱により分解したり、金属モリブデンを溶液中で酸化処理後、乾燥、高温焼成したりする方法よって製造することができる。この製法により製造されるモリブデン酸化物は三酸化モリブデンである。
【0013】
特定のモリブデン酸化物の一次粒子のメジアン径による平均粒径は特に限定されないが、0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましく、0.2〜8μmの範囲内にあることが更に好ましい。また、特定のモリブデン酸化物の一次粒子のメジアン径による粒度分布は、0.01〜500μmの範囲内にあることが好ましく、0.05〜100μmの範囲内にあることが更に好ましい。粒度分布を調節する方法は特に限定されないが、例えば、モリブデン酸アンモニウムを高温加熱により分解する方法で三酸化モリブデンを製造する場合、モリブデン酸アンモニウムの加熱温度を調整することで粒度分布を調節することができる。また、金属モリブデンを溶液中で酸化処理後、乾燥、高温焼成する方法で三酸化モリブデンを製造する場合、酸化処理の条件や酸化して生成したモリブデン酸化物前駆体の乾燥条件や焼成条件を調整することで粒度分布を調節することができる。
【0014】
特定のモリブデン酸化物以外に使用する触媒原料としては、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物塩、ハロゲン化物などを組み合わせて使用することができる。例えば、バナジウム原料としてはメタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、塩化バナジウム、シュウ酸バナジルなどが挙げられ、リン原料としては正リン酸、メタリン酸、五酸化二リン、ピロリン酸、リン酸アンモニウムなどが挙げられ、銅原料としては硝酸銅、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅などが挙げられる。また、上述した特定のモリブデン酸化物以外のモリブデン原料を触媒原料として併用してもよいが、その量は少ないほど好ましい。
【0015】
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、製造手順や製造条件は特に限定されず、従来からよく知られている沈殿法、酸化物混合法などの種々の方法により触媒を製造することができる。
【0016】
触媒製造の好ましい手順としては、例えば、特定のモリブデン酸化物を水に懸濁させた後にその他の触媒原料と混合し、得られた混合溶液または水性スラリーを乾燥させ、熱処理する方法が挙げられる。他の触媒原料はそのまま、または水等の液体媒体に適宜溶解または懸濁させたものが使用できる。また、触媒原料の混合途中または混合後にアンモニア水を添加してもよい。
【0017】
次いで、このようにして得られた全ての触媒原料を含む溶液またはスラリーを乾燥し、触媒前駆体の乾燥物を得る。乾燥方法としては種々の方法を用いることが可能であり、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を用いることができる。乾燥に使用する乾燥機の機種や乾燥時の温度、時間等は特に限定されず、乾燥条件を適宜変えることによって目的に応じた触媒前駆体の乾燥物を得ることができる。
【0018】
このようにして得られた触媒前駆体の乾燥物は、必要により粉砕した後、成形せずにそのまま次の焼成を行ってもよいが、通常は成形品を焼成する。成形方法は特に限定されず、公知の乾式および湿式の種々の成形法が適用できるが、シリカ等の担体などを含めずに成形することが好ましい。具体的な成形方法としては、例えば、打錠成形、プレス成形、押出成形、造粒成形等が挙げられる。成形品の形状についても特に限定されず、例えば、円柱状、リング状、球状等の所望の形状を選択することができる。なお、成形に際しては、公知の添加剤、例えば、グラファイト、タルク等を少量添加してもよい。
【0019】
そして、このようにして得られた触媒前駆体の乾燥物またはその成形品を焼成し、メタクリル酸製造用触媒を得る。焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。焼成の最適条件は、用いる触媒原料、触媒組成、調製法等によって異なるが、通常、空気等の酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、200〜500℃、好ましくは300〜450℃で、0.5時間以上、好ましくは1〜40時間で行う。ここで、不活性ガスとは、触媒の反応活性を低下させないような気体のことをいい、具体的には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0020】
特定のモリブデン酸化物を原料とすることにより触媒性能が向上するメカニズムについては明らかではないが、このような特定のモリブデン酸化物が有するある種の結晶構造に起因して触媒中に形成されるある種の結晶構造が、メタクリル酸を高収率で製造することに寄与するためと推定している。
【0021】
次に、本発明のメタクリル酸の製造方法について説明する。本発明のメタクリル酸の製造方法は、上記のようにして得られる本発明の触媒の存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するものである。
【0022】
反応は、通常、固定床で行う。また、触媒層は1層でも2層以上でもよく、担体に担持させたものであっても、その他の添加成分を混合したものであってもよい。
【0023】
上記のような本発明の触媒を用いてメタクリル酸を製造する際には、メタクロレインと分子状酸素とを含む原料ガスを触媒と接触させる。原料ガス中のメタクロレイン濃度は広い範囲で変えることができるが、通常、1〜20容量%が適当であり、3〜10容量%がより好ましい。分子状酸素源としては空気を用いることが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気等も用いることができる。原料ガス中の分子状酸素濃度は、通常、メタクロレイン1モルに対して0.4〜4モルが適当であり、0.5〜3モルがより好ましい。原料ガスは、メタクロレインおよび分子状酸素源を、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈したものであってもよい。また、原料ガスには水蒸気を加えてもよい。水の存在下で反応を行うと、より高収率でメタクリル酸が得られる。原料ガス中の水蒸気の濃度は、0.1〜50容量%が好ましく、1〜40容量%がより好ましい。
【0024】
また、原料ガス中には、低級飽和アルデヒド等の不純物を少量含んでいてもよいが、その量はできるだけ少ないことが好ましい。
【0025】
メタクリル酸製造反応の反応圧力は、100〜200kPa(絶対圧)まで用いられる。反応温度は、通常、230〜450℃の範囲で選ぶことができるが、250〜400℃がより好ましい。
【0026】
原料ガスの流量は特に限定されないが、通常、接触時間は1.5〜15秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」は質量部である。
【0028】
X線回折測定は、次の装置および条件で行った。
使用装置:ロータフレックスRU−200(株式会社リガク製)
X線 :CuKα線(λ=0.154nm)
出力 :40kV、100mA
測定範囲:5〜70°
測定速度:毎分4°
【0029】
粒度分布測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000(島津製)を用いて、分散媒に純水を用いた湿式法で行った。ここで、求める平均粒径とは、相対粒子量が50%の時の粒子径、すなわちメジアン径のことである。
原料ガスおよび生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、メタクロレインの反応率、生成するメタクリル酸の選択率、および単流収率は以下のように定義される。
メタクロレインの反応率(%)=(B/A)×100
メタクリル酸の選択率(%) =(C/B)×100
メタクリル酸の単流収率(%)=(C/A)×100
ここで、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
【0030】
[実施例1]
純水400部に表1に示したX線回折パターンおよび平均粒径を有する三酸化モリブデン100部を懸濁し、これを攪拌しながら、五酸化バナジウム4.34部、85質量%リン酸10.0部、硝酸銅2.80部、硝酸第二鉄7.02部を加え、還流下で1.5時間攪拌してA液を得た。A液を50℃まで冷却した後、B液である29重量%アンモニア水37.3部を滴下し15分間攪拌し、AB混合液を得た。次に、AB混合液中にC液である硝酸セシウム9.03部を純水30部に溶解した溶液を滴下し15分間攪拌してスラリーを得た。このようにして得られたスラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら蒸発乾固し得られた固形物を130℃で16時間乾燥した。この乾燥物をプレス成型器で加圧した後、破砕して10〜20メッシュに整粒を行い、空気流通下、375℃にて10時間焼成して触媒を得た。この触媒の酸素以外の元素組成は、P1.5Mo12V0.5Cu0.2Fe0.3Cs0.8であった。
【0031】
この触媒をステンレス製反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、および窒素55%(容量%)からなる反応ガスを反応温度285℃、反応圧力101kPa(絶対圧)、接触時間3.6秒で通じてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った。結果を表2に示した。
【0032】
[実施例2〜5]
実施例1で触媒原料として用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を表1に示したものに代えた以外は実施例1と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0033】
[比較例1]
実施例1で触媒原料として用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を表1に示したものに代えた以外は実施例1と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0034】
[実施例6]
純水400部に表1に示したX線回折パターンおよび平均粒径を有する三酸化モリブデン100部を懸濁し、これを攪拌しながら、メタバナジン酸アンモニウム3.39部、85質量%リン酸6.67部、60%砒酸水溶液6.85部、硝酸銅2.80部、硝酸セリウム5.03部を加え、還流下で1.5時間攪拌してA液を得た。A液を50℃まで冷却した後、B液である硝酸セシウム11.3部を純水30部に溶解した溶液を滴下し15分間攪拌し、AB混合液を得た。次に、AB混合液中にC液である硝酸アンモニウム13.9部を純水50部に溶解した溶液を添加し15分間攪拌してスラリーを得た。このようにして得られたスラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら蒸発乾固し得られた固形物を130℃で16時間乾燥した。この乾燥物をプレス成型器で加圧した後、破砕して10〜20メッシュに整粒を行い、空気流通下、375℃にて10時間焼成して触媒を得た。この触媒の酸素以外の元素組成は、P1.0Mo12V0.5Cu0.2As0.5Ce0.2Cs1.0であった。
【0035】
この触媒をステンレス製反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、および窒素55%(容量%)からなる反応ガスを反応温度285℃、反応圧力101kPa(絶対圧)、接触時間3.6秒で通じてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った。結果を表2に示した。
【0036】
[実施例7]
実施例2で用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を使用した以外は実施例6と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0037】
[比較例2]
比較例1で用いたモリブデン酸化物(三酸化モリブデン)を使用した以外は実施例6と同様にして触媒を製造し、その触媒を用いてメタクロレイン気相接触酸化反応を行った結果を表2に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明の触媒を用いることによりメタクリル酸を高収率で製造することができる。
Claims (3)
- メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる下記式(1)で表される組成を有するモリブデン含有触媒の製造方法において、
前記モリブデン含有触媒の原料として、X線としてCuKα線を用いたX線回折図における2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°、2θ=27.3±0.20°に回折ピークを有し、2θ=27.3±0.20°の回折ピークの強度を100としたときの2θ=12.7±0.20°、2θ=23.3±0.20°、2θ=25.7±0.20°の相対強度比が、それぞれ20〜80、40〜90、25〜80であるモリブデン酸化物を使用することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
PaMobVcCudXeYfOg (1)
(式中、P、Mo、V、Cu、およびOはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅、および酸素を表し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン、ホウ素、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウム、およびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは、カリウム、ルビジウム、セシウム、タリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、eは0〜3、f=0.01〜3であり、gは前記各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。) - 請求項1記載の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒。
- 請求項2に記載のメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。
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