JP2004007890A - リニア振動モータの駆動制御方法、及び駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設けなくても、振動子の位置情報と速度情報とが精度良く得えらるようにして、より一層効率良くリニア振動モータの駆動制御が行えるようにする。
【解決手段】固定子5を構成する電磁石の巻線5aに対して駆動電流を供給して振動子6を固定子5に対して直線状に振動させる際に、固定子5の巻線5aに流れる電流および巻線に生じる電圧をそれぞれ検出部11,12で検出し、制御回路部13において、これらの検出した電流値と電圧値とから振動子6の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて順次演算し、次に、これらの各誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求め、この近似関数から振動子6の位置情報および速度情報を得る。そして、制御出力部14によりこれらの情報に基づいて固定子5の巻線5aに対して供給する駆動電流をPWM制御する。
【選択図】 図2
【解決手段】固定子5を構成する電磁石の巻線5aに対して駆動電流を供給して振動子6を固定子5に対して直線状に振動させる際に、固定子5の巻線5aに流れる電流および巻線に生じる電圧をそれぞれ検出部11,12で検出し、制御回路部13において、これらの検出した電流値と電圧値とから振動子6の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて順次演算し、次に、これらの各誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求め、この近似関数から振動子6の位置情報および速度情報を得る。そして、制御出力部14によりこれらの情報に基づいて固定子5の巻線5aに対して供給する駆動電流をPWM制御する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定子に対して振動子を直線状に往復運動させるリニア振動モータの駆動制御方法、および駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、リニア振動モータは、例えば、電磁石を備えた固定子と、永久磁石を備えた振動子とを有し、電磁石を構成する巻線へ供給する駆動電流を制御することにより、固定子に対して振動子を往復運動させる。
【0003】
ここで、例えば、リニア振動モータを電気かみそりなどに適用する場合、負荷の大きさによって振動子が往復移動する際の速度が変化すると、かみそりの切れ味も変化する。したがって、このような不具合を低減するためには、振動子が負荷の大きさによらず常に一定の速度を保つように制御することが重要となる。つまり、固定子に対して振動子を往復運動させる上では、振動子の動作方向と振動子に対する駆動方向とを同調させて駆動しつつ、しかも、リニア振動モータに加わる外部の負荷の大きさにかかわらず、振動子が常に一定の速度となるように、負荷の大きさに応じて巻線への駆動電流を制御することが必要となるのである。
【0004】
そのため、従来のリニア振動モータは、振動子の位置および速度をそれぞれ検出するセンサを設け、位置センサで検出した位置情報に基づいて振動子の動作方向と振動子に対する駆動方向とを同調させ、また、速度センサで検出した速度情報に基づいて、巻線を励磁する駆動電流のパルス幅を可変するPWM制御(駆動周波数は一定でデューティ比を変える制御)を行って振動子の速度が負荷によらず常に一定となるようにしている。ところが、このように振動子の動きを検出するセンサを別途設けた場合には、コストアップの要因となり、また、センサの取り付けスペースの確保のため、小型化への対応が困難となる。
【0005】
そこで、従来技術では、振動子の往復動作に伴って固定子の巻線に誘起電圧が発生するので、その誘起電圧の大きさを検出する電圧検出部を設け、この電圧検出部の検出出力に基づいて振動子の位置および速度をそれぞれ決定するようにした技術が提案されている(例えば特開2001−16892号公報参照)。すなわち、このものは、リニア振動モータの駆動部となる固定子の巻線には振動子の往復運動に応じて正弦波状の誘起電圧が発生すること、この誘起電圧波形は、リニア振動モータの振動子の振動周波数と同じであり、振動子の移動速度が大きくなるのに伴って誘起電圧の値も大きくなること、という事象に着目している。
【0006】
具体的には、図16に示すように、正弦波状の誘起電圧の大きさが零となったゼロクロス点の位置(同図符号pで示す位置)を振動子の速度が零、つまり振動方向が切り替わる折り返し点であると判断する。また、振動子の速度が大きいとこれに応じて誘起電圧の大きさも大きくなり(図16(a)の符号S1の曲線)、振動子の速度が小さいとこれに応じて誘起電圧の大きさも小さくなる(図16(a)の符号S2の曲線)ので、たとえばゼロクロス点pにおける誘起電圧の微分値(曲線の勾配)を求め、その微分値の大きさにより振動子の速度を判断している。
【0007】
そして、図16(b)に示すように、ゼロクロス点pの位置によって固定子の巻線を励磁する駆動電流をPWM制御する場合の信号発生タイミングを決定し、また、ゼロクロス点pの誘起電圧の勾配の大きさに応じて上記駆動電流をPWM制御する場合のパルス幅Wを変化させることにより、振動子の速度が負荷によらず常に一定となるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、振動子の往復動作に伴って固定子の巻線に発生する誘起電圧の大きさを検出する構成とした場合には、別途センサを設ける必要がないため、コスト低減化および小型化への対応を図ることが可能になるものの、次のような課題が残されている。
【0009】
すなわち、固定子が備える電磁石の巻線は、本来、励磁用の駆動電流が供給されるものであり、このため、巻線には振動子の往復動作に伴う誘起電圧のみならず、駆動電流の供給時の印加電圧も発生する。したがって、巻線に生じる電圧を単純に検出するだけでは、駆動電流の供給時に生じる印加電圧と振動子の往復動作に伴って巻線に生じる誘起電圧とが重畳することになり、誘起電圧のみを精度良く検出することが難しい。そこで、従来は、誘起電圧波形のゼロクロス点を含む前後の位置には固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さない所定幅のオフ期間T1,T2を確保し、このオフ期間T1,T1にのみ巻線の誘起電圧を検出することで、誘起電圧に余分な誤差成分が含まれるのを防止して検出精度を高めている。
【0010】
ところが、このように、オフ期間T1,T2を設けた場合には、図16(c)に示すように、このオフ期間T1,T2によって駆動電流をPWM制御する場合のパルス幅の最大値Wmaxが規制される。つまり、固定子の巻線への通電時間に制限ができるため、外部負荷が大きいために巻線にさらに一層大きな通電電流を流す必要が生じたときには対処できず、リニア振動モータの能力を最大限に発揮することができなくなる。
【0011】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設けなくても、振動子の位置情報と速度情報とが精度良く得えらるようにして、より一層効率の良い駆動制御が可能なリニア振動モータの駆動制御方法及びその駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、次のようにしている。
すなわち、請求項1記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、固定子およびこの固定子に対して往復運動する振動子を有し、両者の少なくとも一方は電磁石からなり、この電磁石の巻線に対して駆動電流を供給して振動子を固定子に対して直線状に振動させるリニア振動モータの駆動制御方法であって、前記電磁石の巻線に流れる電流および巻線に生じる電圧を共に検出し、これらの検出した電流値と電圧値とから振動子の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて順次演算し、次に、これらの各誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求め、この近似関数から振動子の位置情報および速度情報を得て、これらの情報に基づいて電磁石の巻線に対して供給する駆動電流を制御することを特徴としている。
【0013】
これにより、電磁石の巻線で検出される電圧が駆動電流の供給により生じる印加電圧と振動子の往復動作に伴って巻線に生じる誘起電圧とが重畳したものであっても、演算式で誘起電圧を演算することにより印加電圧の影響を実質的に取り除くことができる。このため、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができる。さらに誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求めるため、粗いサンプリング周期で得られたデータからでも連続した誘起電圧を算出することができる。したがって、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなるので、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0014】
請求項2記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1記載の発明において、前記電流および電圧を検出して誘起電圧を演算する処理1と、前記誘起電圧演算値から近似関数を求めて振動子の位置情報および速度情報を得るまでの処理2と、前記振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線の駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うことを特徴としている。
【0015】
これにより、処理1〜処理3が間断なく実行されるため、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【0016】
請求項3記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1または2に記載の発明において、前記各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求める場合に、最小2乗法を用いた3次関数で近似することを特徴としている。
【0017】
これにより、三角関数を用いて誘起電圧の近似関数を求める場合よりも演算処理の負担が少なくて済み、また、振動子の往復時の負荷が非対称の場合でも近似が可能となる。
【0018】
請求項4記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、振動子の1往復期間内に前記電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が一定になるように固定することを特徴としている。これにより、近似関数を求める演算処理において定数化が可能になるので、演算が容易になる。
【0019】
請求項5記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されていない期間においてサンプリングして得られた巻線に流れる電流値が所定のしきい値以下である場合には、次の駆動電流が供給されるまでは、サンプリングされた電流値によらず零に固定することを特徴としている。これにより、電流検出における耐ノイズ性が向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度も向上する。
【0020】
請求項6記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明において、前記電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されている期間内にサンプリングして得られた電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも小さい場合には、前回サンプリングして得られた電流値を採用することを特徴としている。これにより、電流検出における耐ノイズ性がさらに向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度も向上する。
【0021】
請求項7記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記巻線に生じる電圧をサンプリングして得られた電圧値が所定のしきい値以上である場合には誘起電圧の演算を行わず、そのサンプリング以前のサンプリング時に算出された誘起電圧の値から推定した誘起電圧値を採用することを特徴としている。これにより、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合のスムージング化が一層促進され、近似関数を求める場合の精度が向上する。
【0022】
請求項8記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記誘起電圧演算値から近似関数を求める場合の演算範囲を制限するとともに、その制限された演算範囲内で前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子の位置情報として得ることを特徴としている。これにより、振動子の位置情報を得る場合の演算数が少なくなるで、演算の負荷を減らすことができる。
【0023】
請求項9記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、近似関数のピーク探索を一カ所のみ行えば良いので、容易に速度情報を得ることができる。
【0024】
請求項10記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の1周期内の値の内で最大値と最小値の差を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、振動子が振動する際に、その振幅が片方に片寄っている場合にも速度情報を正確に検出することが可能になる。
【0025】
請求項11記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点における微分値を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、振動子の速度検出精度が高くなり、また、演算も容易に行える。
【0026】
請求項12記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、近似関数の値を求める際に演算誤差が生じても直線近似を行うことで演算誤差による影響を少なくしてより精度良く速度を検出することが可能になる。
【0027】
請求項13記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記振動子の1往復期間に相当する期間にわたって前記誘起電圧演算値の値を順次加算し、その加算値を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これは正弦波状の誘起電圧の1周期分の面積を求めることに相当するが、この面積計算は単に誘起電圧演算値の値を順次加算するだけでよく、近似関数のピーク位置を求める必要がないため、演算時間を速めることができる。
【0028】
請求項14記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、固定子と振動子とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石からなり、この電磁石の巻線に対して駆動電流を供給して振動子を固定子に対して直線状に振動させるもので、前記電磁石の巻線に流れる電流を検出する電流検出部と、前記電磁石の巻線に生じる電圧を検出する電圧検出部と、両検出部で検出された電流値と電圧値とから振動子の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて演算する誘起電圧演算部と、この誘起電圧演算部で得られる誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求める近似関数演算部と、この近似関数演算部で得られた近似関数から振動子の位置情報および速度情報を得る動作状態検出部と、この動作状態検出部で検出された振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線への駆動電流をPWM制御する制御演算部と、を備えることを特徴としている。
【0029】
これにより、請求項1記載の発明の場合と同様、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができるので、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなり、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0030】
請求項15記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、請求項14記載の発明の構成において、前記電流検出部と電圧検出部により電流および電圧を検出して前記誘起電圧演算部により誘起電圧を演算する処理1と、前記近似関数演算部により近似関数を算出して前記動作状態検出部により振動子の位置情報および速度情報を得るまでの処理2と、前記制御演算部により駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うためのタイミングを設定するタイマ手段を備えることを特徴としている。
【0031】
これにより、請求項2の発明と同様、処理1〜処理3が間断なく実行されるため、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1はリニア振動モータとその駆動制御装置を含む全体構成図、図2は駆動制御装置の詳細を示すブロック図である。
【0033】
この実施の形態において、リニア振動モータ1は、巻線5aを備えた電磁石からなる固定子5、永久磁石を備えた振動子6、この振動子6を保持するフレーム7、および振動子6とフレーム7との間に懸架されたばね8を有し、固定子5を構成する電磁石の巻線5aに対して駆動電流を供給することにより、振動子6を固定子5に対して直線状に往復運動させるようになっている。
【0034】
駆動制御装置2は、固定子5の巻線5aへ供給する駆動電流を振動子6の位置および速度に応じてPWM制御するもので、巻線5aに流れる電流を検出する電流検出部11、巻線5aに生じる電圧を検出する電圧検出部12と、両検出部11、12で検出された電流及び電圧に基づいて振動子6の位置および速度の各情報を得て、これらの両情報から巻線5aへの駆動電流をPWM制御するための信号出力タイミングやパルス幅を決定する制御回路部13と、この制御回路部13からの出力に基づいてPWM制御された駆動電流を固定子5の巻線5aに供給する制御出力部14とを備えている。
【0035】
制御回路部13は、図2に示すように、両検出部11、12で検出された電流値と電圧値とから振動子6の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式(後述の(式1))に基づいて演算する誘起電圧演算部21と、この誘起電圧演算部21で得られる各誘起電圧演算値yをスムージング化するために最小2乗法を用いた3次関数p(x)(後述の(式2))で近似する近似関数演算部22と、この近似関数演算部22で得られた近似関数p(x)から振動子6の位置情報及び速度情報を得る動作状態検出部23と、この動作状態検出部23で検出された振動子6の位置情報および速度情報に基づいて巻線5aへの駆動電流をPWM制御するための信号出力タイミングやパルス幅を決める情報を出力する制御演算部24と、これら各部21〜24を制御する全体制御部25とを備えている。
【0036】
そして、全体制御部25の内部には、タイマ手段として、3つのタイマ1、タイマ2、タイマ3(符号Z1〜Z3で示す)が設けられている。これらの各タイマ1〜3(Z1〜Z3)は、上記の回路制御部13を構成する各部21〜24の処理が間断なく実行されるようにするために、振動子6の1往復期間内に同時並列的に処理を実行する上でのタイミングを設定するものであって、これらの各タイマ1〜3の作用については後でさらに詳しく説明する。
【0037】
次に、上記構成を備えたリニア振動モータ1における駆動制御方法について、まず、その全体的な処理の概要を図3のフローチャート、および図4に示すタイミングチャートに沿って説明する。なお、符号Sはステップを意味する。
【0038】
駆動制御装置2から固定子5の巻線5aに励磁用のPWM制御された駆動電流(図4(a)参照)が供給されると、これに応じて振動子6が駆動され(図4(b)参照)、これに伴って巻線5aには印加電圧が発生するとともに、振動子6の往復動作に伴う誘起電圧も発生する。そして、固定子5の巻線5aに流れる電流(図4(d)参照)および巻線5aに生じる電圧(図4(c)参照)をそれぞれ電流検出部11と電圧検出部12とで検出する(S01)。
【0039】
これらの検出した電流値と電圧値とは、制御回路部13に送出される。制御回路部13の誘起電圧演算部21は、上記の各検出部11,12で検出された電流値と電圧値をサンプリングして、電流値と電圧値に含まれるノイズ成分を取り除くとともに、サンプリングした電流値と電圧値とから、(式1)に示す所定の演算式に基づいて振動子6の振動に伴って生じる誘起電圧y(図4(e)参照)を順次演算する(S02)。
【0040】
【式1】
【0041】
なお、ノイズの除去処理の内容については後に詳述する。また、振動子6の1往復期間内に電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が一定になるように予め固定しておけば、後述の(式2)に基づいて近似関数を求める場合の演算処理において定数化が可能になるので、演算が容易になる。
【0042】
上記の(式1)に基づいて得られる誘起電圧演算値は、滑らかな曲線とはならず凹凸が激しいので、このままでは正弦波状の誘起電圧の最大値、最小値およびゼロクロス点を確定することが難しい。そこで、(式1)により得られた各々の誘起電圧演算値yは、次段の近似関数演算部22に送出される。近似関数演算部22は、誘起電圧演算値yをスムージング化するために、最小2乗法を用いて各誘起電圧演算値yを近似した近似関数p(x)(図4(f)参照)を(式2)に基づいて求める(S03)。すなわち、この場合の(式2)は3次関数p(x)であるので、その3次関数p(x)を規定する各係数b0〜b3を求める。このように、近似関数p(x)を求めることにより、誘起電圧推定値yがスムージング化されるため、誘起電圧の最大値、最小値およびゼロクロス点を確定するのが容易になる。
【0043】
【式2】
【0044】
なお、近似関数p(x)としては、三角関数の適用も可能ではあるが、この実施の形態のように3次関数p(x)を近似関数として求める方が演算処理の負担が少なくて済み、また、振動子6の往復動作時に加わる負荷が非対称の場合でも近似が可能となるため有利である。
【0045】
引き続き、この近似関数p(x)の各係数b0〜b3のデータが動作状態検出部23に送出されるので、動作状態検出部23は、(式2)で示される近似関数p(x)から振動子6の位置情報および速度情報を得る(S04)。例えば、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得る。また、近似関数p(x)の1周期内の値の内で最大値を振動子6の速度が最大になっていると判断してその速度情報を得る。
【0046】
こうして、動作状態検出部23で検出された振動子6の位置情報および速度情報は、制御演算部24に送出される。制御演算部24は、これらの情報に基づいて固定子5の巻線5aへの駆動電流をPWM制御するための信号出力タイミングやパルス幅を決定し、その情報を駆動出力部14に出力する(S05)。駆動出力部14は、制御回路部13からの情報に基づいてPWM制御された駆動電流を固定子5の巻線5aに供給する。これにより、振動子6は、動作方向と駆動方向とが同調されるとともに、外部負荷の大きさによらず常に一定の速度を保つように駆動制御される。
【0047】
ここで、図3に示すように、上述した電流検出部11と電圧検出部12により電流及び電圧を検出して誘起電圧演算部21により誘起電圧を演算して誘起電圧演算値yを得るまでの処理(S01及びS02)を処理1とし、近似関数演算部22により近似関数p(x)を算出して動作状態検出部23により振動子6の位置情報および速度情報を得るまでの処理(S03及びS04)を処理2とし、制御演算部24により駆動電流をPWM制御する処理(S05)を処理3と定義する。また、振動子6の3往復期間を1周期とみなした場合の各々の1往復期間をTs1,Ts2,Ts3と区別する。
【0048】
このとき、期間Ts1で誘起電圧演算部21が処理1を実行し、次の期間Ts2で近似関数演算部22と動作状態検出部23とで処理2を実行し、さらに次の期間Ts3で制御演算部24が処理3を実行するようなシーケンスにすると、一つの処理の実行中には他の処理が停止しているため、振動子6の3往復期間(=Ts1+Ts2+Ts3)ごとにしか適切にPWM制御された駆動信号を出力することができない。つまり、振動子6を駆動制御に時間がかかり過ぎて、駆動制御処理の高速化を図ることができない。
【0049】
これに対して、図5に示すように、各期間Ts1、Ts2、Ts3において、各処理1、2、3が同時並列的に行なわれるようにすれば、振動子6の1往復期間Ts1、Ts2、Ts3毎に適切にPWM制御された駆動信号を出力することができる。もっとも、処理1の結果が得られないと処理2が、処理2の結果が得られないと処理3が、それぞれ実行できないので、各部21〜24の内部にその処理結果を記憶する図示しないメモリを設けておき、たとえば期間Ts3で誘起電圧演算部21が処理1を実行している場合には、近似関数演算部22と動作状態検出部23とは、その1期間前の期間Ts2で得られた処理1の結果に基づいて処理2を実行し、制御演算部24はその2期間前の期間Ts1で得られた処理1の結果に基づいて処理3を実行できるようにする必要がある。このように、振動子6の1往復期間Ts1、Ts2、Ts3、…ごとに処理1、2、3を同時並列的に行なうには、各処理1〜3の切り替わりのタイミングを設定する必要がある。そのため、全体制御部25には図5に示すような互いに連動する3つのタイマ1〜3(Z1〜Z3)を設けている。
【0050】
すなわち、図6に示すように、タイマ1(Z1)は、タイマ2(Z2)からのトリガ信号に応答して計時を開始するとともに、処理1の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts1が経過すると処理2の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts2が経過すると処理3の実行開始のトリガ信号を出力するとともに、タイマ3(Z3)に計時開始のトリガ信号を出力する。タイマ3(Z3)は、タイマ1(Z1)からのトリガ信号に応答して計時を開始するとともに、処理1の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts3が経過すると処理2の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts1が経過すると処理3の実行開始のトリガ信号を出力するとともに、タイマ2(Z2)に計時開始のトリガ信号を出力する。また、タイマ2(Z2)は、タイマ3(Z3)からのトリガ信号に応答してして計時を開始するとともに、処理1の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts2が経過すると処理2の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts3が経過すると処理3の実行開始のトリガ信号を出力するとともに、タイマ1(Z1)に計時開始のトリガ信号を出力する。
【0051】
これにより、図6に示すように、各期間Ts1,Ts2,Ts3において、各処理1、2、3が同時並列的に行なわれるようになり、処理1〜処理3が間断なく実行される。このため、固定子5の巻線5aの電流および電圧を検出してから振動子6の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることができる。
【0052】
図7は上記の図5及び図6で説明した各タイマ1〜3の動作をより詳細に表したタイミングチャート、図8ないし図10は上記の図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、図8はタイマ1(Z1)に着目したときの、図9はタイマ2(Z2)に着目したときの、図10はタイマ3(Z3)に着目したときの、各動作をそれぞれ示している。
【0053】
ここで、例えば、タイマ1(Z1)に着目すると、図8においてステップ1、2、9が図3の処理1に対応し、ステップ3が図3の処理2に対応し、ステップ4〜ステップ8が図3の処理3に対応している。そして、タイマ2(Z2)からのトリガ信号によりカウンタ値がクリアされて計時を開始し、その後、時刻t1−2で処理1が終了すると、時刻t1−3までの間に処理2を実行し、時刻t1−3でタイマ3(Z3)にトリガ信号を出力し、時刻t1−4〜時刻t1−7の期間に処理3を実行する。なお、図9および図10についても図8の場合の処理と同様であるからここでは詳しい説明は省略する。
【0054】
図11は、図3の処理1(S02)において、誘起電圧演算部21が各検出部11、12で検出された電流値と電圧値をサンプリングした際に含まれるノイズ成分を取り除くための具体的な処理内容を示すフローチャートである。誘起電圧演算部21は、まず、電流検出部11と電圧検出部12でそれぞれ検出された電流値と電圧値をサンプリングすると(S1、S2)、次に、このサンプリングのタイミングが固定子5の巻線5aに対して駆動電流が供給されている期間Th、Tl(図4(a)参照)か否かを判断する(S3)。
【0055】
巻線5aに対して駆動電流が供給されていない期間であると、サンプリングして得られた巻線5aに流れる電流値の絶対値が所定のしきい値Ih以下であるか否かを判断する(S4)。そして、サンプリングされた電流値の絶対値が所定のしきい値Ih以下である場合には、次の駆動電流が供給されるまでは、電流値を強制的に零に固定する(S6)。また、S4において、サンプリングされた電流値の絶対値が所定のしきい値Ihよりも大きい場合には、前回のサンプリングによれ得られた電流値が零であるか否かを判断する(S5)。前回のサンプリングによれ得られた電流値が零であるときには、今回のサンプリングで得られた電流値もノイズである可能性が高いので、この場合には、S6に移行して電流値を強制的に零に固定する。これに対して、S5で前回のサンプリングで得られた電流値が零でない場合には、今回のサンプリングで得られた電流値はノイズではないと見なせるのでS7に移行する。
【0056】
また、S3において、電流値をサンプリングしたタイミングが固定子5の巻線5aに対して駆動電流が供給されている期間内Th、Tl内である場合には、S7に移行して、その電流の絶対値を前回サンプリングして得られた電流の絶対値と比較する。
【0057】
ここで、今回サンプリングした電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも小さい場合には、駆動電流が供給されている期間中であるにもかかわらず、検出された電流値は単純増加または単純減少しておらず異常と考えられる。そのため、前回サンプリングして得られた電流値を採用する(S8)。これに対して、今回サンプリングした電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも大きい場合には、駆動電流が供給されている期間中に検出された電流値は単純増加または単純減少していると考えられるため、今回サンプリングした電流をそのまま採用する。これにより、電流検出における耐ノイズ性が向上し、誘起電圧演算値yを算出する際の精度も向上する。
【0058】
引き続き、誘起電圧演算部21は、今回のサンプリングにより検出された誘起電圧と前回のサンプリングにより検出された誘起電圧との差の絶対値を予め設定されたしきい値Vhと比較する(S9)。
【0059】
このとき、両誘起電圧の差の絶対値がしきい値Vh以下である場合には、今回サンプリングした誘起電圧の値をそのまま採用して(式1)に基づいて誘起電圧の演算を行う(S10)。これに対して、前後にサンプリングした誘起電圧の差の絶対値がしきい値Vhよりも大きい場合には、ノイズの影響が大きいものと判断して(式1)による誘起電圧の演算を行わず、その代わりに、今回のサンプリングよりも以前のサンプリング時に算出された誘起電圧の値から推定した誘起電圧値を採用する(S11)。この場合の誘起電圧推定値は、たとえば、前回と前前回に得られた誘起電圧演算値の加算平均や相乗平均を求めたり、前回得られた誘起電圧演算値と置換したりすることにより算出される。これにより、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合のスムージング化が一層促進され、近似関数を求める場合の精度が向上する。
【0060】
図12は、図3の処理2(S04)において、動作状態検出部23が(2)式の近似関数p(x)に基づいて振動子6の位置情報と速度情報を得る場合の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【0061】
ここでは、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。また、近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子6の速度が最大になっていると判断してその速度情報を得ている。このようにすれば、近似関数p(x)のピーク探索を一カ所のみ行えば良いので、速度情報を得るための処理が容易になる。
【0062】
以上のように、この実施の形態によれば、電圧検出部12で検出される電圧が駆動電流の供給により巻線5aに生じる印加電圧と振動子6の往復動作に伴って巻線5aに生じる誘起電圧とが重畳したものであっても、(式1)に示す演算式で誘起電圧yを演算することにより印加電圧の影響を実質的に取り除くことができる。このため、巻線5aに駆動電流が流れている期間中にも巻線5aに生じる誘起電圧を確実に検出することができる。さらに、誘起電圧演算値yをスムージング化した近似関数p(x)を求めるので、粗いサンプリング周期で得られたデータからでも連続した誘起電圧を算出することができる。このため、振動子の位置および速度の検出を精度良く行える。
【0063】
したがって、従来のように固定子5の巻線5aに励磁用の駆動電流を流さないオフ期間T1、T2を設ける必要性がなくなるため、より一層効率の良い駆動制御が可能になるのである。
【0064】
上記の実施の形態では、図12に示したように、近似関数の1周期内の最大値を振動子6の速度情報として得るようにしたが、図13〜図15の各フローチャートに示すような処理によって振動子6の位置情報や速度情報を得ることも可能である。
【0065】
すなわち、図13に示すフローチャートの処理では、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。また、近似関数p(x)の1周期内の最大値と最小値の差を求め、その差を振動子6の速度情報として得ている。これにより、振動子6が振動する際に、その振幅が一方に片寄っている場合にも速度情報を正確に検出することが可能になる。
【0066】
図14に示すフローチャートの処理では、誘起電圧演算値を求める範囲を制限し、この制限された演算範囲内でのみ近似関数を求め、次にこの近似関数の絶対値の小さい方のサンプリング時間を近似関数の値が正負反転するゼロクロス点として決定し、このゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。
【0067】
また、こうして求めたゼロクロス点における微分値を算出し、この微分値を振動子6の速度情報として得ている。このように、誘起電圧演算値を求める範囲を制限することにより、振動子6の位置情報を得る場合の演算数が少なくなるで、演算の負荷を減らすことができるために有利である。しかも、ゼロクロス点における微分値を振動子6の速度情報として得る場合には、振動子6の速度検出精度が高くなり、また、演算も容易に行うことができる。
【0068】
なお、ゼロクロス点における微分値を振動子6の速度情報として得る代わりに、例えば、近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子6の速度情報として得ることもできる。その場合には、近似関数の値を求める際に演算誤差が生じても直線近似を行うことで演算誤差による影響を少なくしてより精度良く速度を検出することが可能になる。
【0069】
図15に示すフローチャートの処理では、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。また、振動子6の1往復期間に相当する期間にわたって誘起電圧演算値の値を順次加算し、その加算値を振動子6の速度情報として得ている。これは正弦波状の誘起電圧の1周期分の面積を求めることに相当するが、この面積計算は単に誘起電圧演算値の値を順次加算するだけでよく、近似関数のピーク位置を求める必要がないため、演算時間を速めることができる。
【0070】
さらに、本発明は、上記の実施の形態に示した方法や構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0071】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法によれば、巻線に生じた電圧が、駆動電流の供給により生じる印加電圧と振動子の往復動作に伴って巻線に生じる誘起電圧とが重畳したものである場合でも、演算式で誘起電圧を演算することにより印加電圧の影響を実質的に取り除くことができる。これにより、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができる。そして、誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求めるため、粗いサンプリング周期で得られたデータからでも連続した誘起電圧を算出することができる。これにより、近似関数から振動子の位置情報および速度情報を精度良く得ることができる。したがって、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなり、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0072】
請求項2記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、前記電流および電圧を検出して誘起電圧を演算する処理1と、前記誘起電圧演算値から近似関数を求めて振動子の位置情報及び速度情報を得るまでの処理2と、前記振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線の駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うようにしているので、上記の処理1〜処理3が間断なく実行される。これにより、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【0073】
請求項3記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、誘起電圧演算値をスムージング化する場合に最小2乗法を用いた3次関数で近似するので、三角関数を近似関数として用いる場合よりも演算処理の負担が少なくて済み、また、振動子の往復時の負荷が非対称の場合でも近似が可能となる。
【0074】
請求項4記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、振動子の1往復期間内に前記電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が常に一定となるように固定化されているので、近似関数を求める演算処理において定数化が可能になり、演算処理が一層容易になる。
【0075】
請求項5記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されていない期間にノイズが含まれている場合には、これを強制的に零にするので、電流検出における耐ノイズ性が向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度が向上する。
【0076】
請求項6記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されている期間内にサンプリングした電流値がしきい値以上である場合にはノイズと見なしてその前にサンプリングしたデータに置き換えるので、電流検出における耐ノイズ性がさらに向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度が向上する。
【0077】
請求項7記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、巻線に生じる電圧をサンプリングして得られた電圧値が所定のしきい値以上である場合にはノイズと見なして誘起電圧の演算を行わずに、そのサンプリング以前に算出された誘起電圧演算値から今回の起電圧値を推定するため、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合のスムージング化が一層促進され、近似関数を求める場合の精度が向上する。
【0078】
請求項8記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合の演算範囲を制限してその制限された演算範囲内で近似関数の値が正負反転するゼロクロス点を求めるので、振動子の位置情報を得る場合の演算数が少なくなり、演算処理の負荷を減らすことができ、演算処理の高速化を図ることができる。
【0079】
請求項9記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子の速度情報として得るので、近似関数のピーク探索を1カ所だけ行うだけで容易に速度情報を得ることができる。
【0080】
請求項10記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の1周期内の値の内で最大値と最小値の差を振動子の速度情報として得るようにしているので、振動子が振動する際に、その振幅が片方に片寄っている場合にも速度情報を正確に検出することが可能になる。
【0081】
請求項11記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の値が正負反転するゼロクロス点における微分値を振動子の速度情報として得るようにしているので、振動子の速度検出精度が高くなり、また、演算も容易に行える。
【0082】
請求項12記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子の速度情報として得るようにしたので、近似関数の値を求める際に演算誤差が生じても直線近似を行うことで演算誤差による影響を少なくしてより精度良く速度を検出することが可能になる。
【0083】
請求項13記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、振動子の1往復期間に相当する期間にわたって前記誘起電圧演算値の値を順次加算することで正弦波状の誘起電圧の1周期分の面積を求め、その値を振動子の速度情報として得るようにしたので、速度情報を得るための処理は単なる加算処理でよく、近似関数のピーク位置を求める必要がないため、演算時間の高速化を図ることができる。
【0084】
請求項14記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、請求項1記載の発明の場合と同様、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができるので、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなり、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0085】
請求項15記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、請求項14記載の発明の効果に加えて、処理1〜処理3の実行タイミングを規制するタイマ手段を備えることで、請求項2の発明と同様、処理1〜処理3が間断なく実行されるようになるため、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるリニア振動モータとその駆動制御装置を含む全体構成図である。
【図2】図1に示す駆動制御装置の詳細を示すブロック図である。
【図3】リニア振動モータにおける駆動制御方法の全体的な処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートに基づく駆動制御処理対象となる信号の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図5】リニア振動モータの駆動制御処理を間断なく行うためのタイミング設定用に使用される3つのタイマ1、2、3の動作関係の説明図である。
【図6】リニア振動モータの駆動制御のための各処理1,2,3を同時並列的に行うための各タイマ1、2、3との相互の関係を示す説明図である。
【図7】図5および図6で示す各タイマ1、2、3の動作をより詳細に表したタイミングチャートである。
【図8】図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、タイマ1に着目したときのタイミング動作を示す。
【図9】図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、タイマ2に着目したときのタイミング動作を示す。
【図10】図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、タイマ3に着目したときのタイミング動作を示す。
【図11】誘起電圧演算部におけるノイズ除去処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図13】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための他の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図14】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための他の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図15】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための他の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図16】従来のリニア振動モータの駆動制御を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 リニア振動モータ
2 駆動制御装置
5 固定子
5a 巻線
6 振動子
10 電流検出部
11 電圧検出部
13 制御回路部
14 制御出力部
21 誘起電圧演算部
22 近似関数演算部
23 動作状態検出部
24 制御演算部
25 全体制御部
Z1,Z2,Z3 タイマ1,2,3
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定子に対して振動子を直線状に往復運動させるリニア振動モータの駆動制御方法、および駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、リニア振動モータは、例えば、電磁石を備えた固定子と、永久磁石を備えた振動子とを有し、電磁石を構成する巻線へ供給する駆動電流を制御することにより、固定子に対して振動子を往復運動させる。
【0003】
ここで、例えば、リニア振動モータを電気かみそりなどに適用する場合、負荷の大きさによって振動子が往復移動する際の速度が変化すると、かみそりの切れ味も変化する。したがって、このような不具合を低減するためには、振動子が負荷の大きさによらず常に一定の速度を保つように制御することが重要となる。つまり、固定子に対して振動子を往復運動させる上では、振動子の動作方向と振動子に対する駆動方向とを同調させて駆動しつつ、しかも、リニア振動モータに加わる外部の負荷の大きさにかかわらず、振動子が常に一定の速度となるように、負荷の大きさに応じて巻線への駆動電流を制御することが必要となるのである。
【0004】
そのため、従来のリニア振動モータは、振動子の位置および速度をそれぞれ検出するセンサを設け、位置センサで検出した位置情報に基づいて振動子の動作方向と振動子に対する駆動方向とを同調させ、また、速度センサで検出した速度情報に基づいて、巻線を励磁する駆動電流のパルス幅を可変するPWM制御(駆動周波数は一定でデューティ比を変える制御)を行って振動子の速度が負荷によらず常に一定となるようにしている。ところが、このように振動子の動きを検出するセンサを別途設けた場合には、コストアップの要因となり、また、センサの取り付けスペースの確保のため、小型化への対応が困難となる。
【0005】
そこで、従来技術では、振動子の往復動作に伴って固定子の巻線に誘起電圧が発生するので、その誘起電圧の大きさを検出する電圧検出部を設け、この電圧検出部の検出出力に基づいて振動子の位置および速度をそれぞれ決定するようにした技術が提案されている(例えば特開2001−16892号公報参照)。すなわち、このものは、リニア振動モータの駆動部となる固定子の巻線には振動子の往復運動に応じて正弦波状の誘起電圧が発生すること、この誘起電圧波形は、リニア振動モータの振動子の振動周波数と同じであり、振動子の移動速度が大きくなるのに伴って誘起電圧の値も大きくなること、という事象に着目している。
【0006】
具体的には、図16に示すように、正弦波状の誘起電圧の大きさが零となったゼロクロス点の位置(同図符号pで示す位置)を振動子の速度が零、つまり振動方向が切り替わる折り返し点であると判断する。また、振動子の速度が大きいとこれに応じて誘起電圧の大きさも大きくなり(図16(a)の符号S1の曲線)、振動子の速度が小さいとこれに応じて誘起電圧の大きさも小さくなる(図16(a)の符号S2の曲線)ので、たとえばゼロクロス点pにおける誘起電圧の微分値(曲線の勾配)を求め、その微分値の大きさにより振動子の速度を判断している。
【0007】
そして、図16(b)に示すように、ゼロクロス点pの位置によって固定子の巻線を励磁する駆動電流をPWM制御する場合の信号発生タイミングを決定し、また、ゼロクロス点pの誘起電圧の勾配の大きさに応じて上記駆動電流をPWM制御する場合のパルス幅Wを変化させることにより、振動子の速度が負荷によらず常に一定となるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、振動子の往復動作に伴って固定子の巻線に発生する誘起電圧の大きさを検出する構成とした場合には、別途センサを設ける必要がないため、コスト低減化および小型化への対応を図ることが可能になるものの、次のような課題が残されている。
【0009】
すなわち、固定子が備える電磁石の巻線は、本来、励磁用の駆動電流が供給されるものであり、このため、巻線には振動子の往復動作に伴う誘起電圧のみならず、駆動電流の供給時の印加電圧も発生する。したがって、巻線に生じる電圧を単純に検出するだけでは、駆動電流の供給時に生じる印加電圧と振動子の往復動作に伴って巻線に生じる誘起電圧とが重畳することになり、誘起電圧のみを精度良く検出することが難しい。そこで、従来は、誘起電圧波形のゼロクロス点を含む前後の位置には固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さない所定幅のオフ期間T1,T2を確保し、このオフ期間T1,T1にのみ巻線の誘起電圧を検出することで、誘起電圧に余分な誤差成分が含まれるのを防止して検出精度を高めている。
【0010】
ところが、このように、オフ期間T1,T2を設けた場合には、図16(c)に示すように、このオフ期間T1,T2によって駆動電流をPWM制御する場合のパルス幅の最大値Wmaxが規制される。つまり、固定子の巻線への通電時間に制限ができるため、外部負荷が大きいために巻線にさらに一層大きな通電電流を流す必要が生じたときには対処できず、リニア振動モータの能力を最大限に発揮することができなくなる。
【0011】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設けなくても、振動子の位置情報と速度情報とが精度良く得えらるようにして、より一層効率の良い駆動制御が可能なリニア振動モータの駆動制御方法及びその駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、次のようにしている。
すなわち、請求項1記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、固定子およびこの固定子に対して往復運動する振動子を有し、両者の少なくとも一方は電磁石からなり、この電磁石の巻線に対して駆動電流を供給して振動子を固定子に対して直線状に振動させるリニア振動モータの駆動制御方法であって、前記電磁石の巻線に流れる電流および巻線に生じる電圧を共に検出し、これらの検出した電流値と電圧値とから振動子の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて順次演算し、次に、これらの各誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求め、この近似関数から振動子の位置情報および速度情報を得て、これらの情報に基づいて電磁石の巻線に対して供給する駆動電流を制御することを特徴としている。
【0013】
これにより、電磁石の巻線で検出される電圧が駆動電流の供給により生じる印加電圧と振動子の往復動作に伴って巻線に生じる誘起電圧とが重畳したものであっても、演算式で誘起電圧を演算することにより印加電圧の影響を実質的に取り除くことができる。このため、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができる。さらに誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求めるため、粗いサンプリング周期で得られたデータからでも連続した誘起電圧を算出することができる。したがって、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなるので、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0014】
請求項2記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1記載の発明において、前記電流および電圧を検出して誘起電圧を演算する処理1と、前記誘起電圧演算値から近似関数を求めて振動子の位置情報および速度情報を得るまでの処理2と、前記振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線の駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うことを特徴としている。
【0015】
これにより、処理1〜処理3が間断なく実行されるため、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【0016】
請求項3記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1または2に記載の発明において、前記各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求める場合に、最小2乗法を用いた3次関数で近似することを特徴としている。
【0017】
これにより、三角関数を用いて誘起電圧の近似関数を求める場合よりも演算処理の負担が少なくて済み、また、振動子の往復時の負荷が非対称の場合でも近似が可能となる。
【0018】
請求項4記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、振動子の1往復期間内に前記電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が一定になるように固定することを特徴としている。これにより、近似関数を求める演算処理において定数化が可能になるので、演算が容易になる。
【0019】
請求項5記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されていない期間においてサンプリングして得られた巻線に流れる電流値が所定のしきい値以下である場合には、次の駆動電流が供給されるまでは、サンプリングされた電流値によらず零に固定することを特徴としている。これにより、電流検出における耐ノイズ性が向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度も向上する。
【0020】
請求項6記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明において、前記電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されている期間内にサンプリングして得られた電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも小さい場合には、前回サンプリングして得られた電流値を採用することを特徴としている。これにより、電流検出における耐ノイズ性がさらに向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度も向上する。
【0021】
請求項7記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記巻線に生じる電圧をサンプリングして得られた電圧値が所定のしきい値以上である場合には誘起電圧の演算を行わず、そのサンプリング以前のサンプリング時に算出された誘起電圧の値から推定した誘起電圧値を採用することを特徴としている。これにより、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合のスムージング化が一層促進され、近似関数を求める場合の精度が向上する。
【0022】
請求項8記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記誘起電圧演算値から近似関数を求める場合の演算範囲を制限するとともに、その制限された演算範囲内で前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子の位置情報として得ることを特徴としている。これにより、振動子の位置情報を得る場合の演算数が少なくなるで、演算の負荷を減らすことができる。
【0023】
請求項9記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、近似関数のピーク探索を一カ所のみ行えば良いので、容易に速度情報を得ることができる。
【0024】
請求項10記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の1周期内の値の内で最大値と最小値の差を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、振動子が振動する際に、その振幅が片方に片寄っている場合にも速度情報を正確に検出することが可能になる。
【0025】
請求項11記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点における微分値を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、振動子の速度検出精度が高くなり、また、演算も容易に行える。
【0026】
請求項12記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これにより、近似関数の値を求める際に演算誤差が生じても直線近似を行うことで演算誤差による影響を少なくしてより精度良く速度を検出することが可能になる。
【0027】
請求項13記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記振動子の1往復期間に相当する期間にわたって前記誘起電圧演算値の値を順次加算し、その加算値を振動子の速度情報として得ることを特徴としている。これは正弦波状の誘起電圧の1周期分の面積を求めることに相当するが、この面積計算は単に誘起電圧演算値の値を順次加算するだけでよく、近似関数のピーク位置を求める必要がないため、演算時間を速めることができる。
【0028】
請求項14記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、固定子と振動子とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石からなり、この電磁石の巻線に対して駆動電流を供給して振動子を固定子に対して直線状に振動させるもので、前記電磁石の巻線に流れる電流を検出する電流検出部と、前記電磁石の巻線に生じる電圧を検出する電圧検出部と、両検出部で検出された電流値と電圧値とから振動子の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて演算する誘起電圧演算部と、この誘起電圧演算部で得られる誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求める近似関数演算部と、この近似関数演算部で得られた近似関数から振動子の位置情報および速度情報を得る動作状態検出部と、この動作状態検出部で検出された振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線への駆動電流をPWM制御する制御演算部と、を備えることを特徴としている。
【0029】
これにより、請求項1記載の発明の場合と同様、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができるので、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなり、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0030】
請求項15記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、請求項14記載の発明の構成において、前記電流検出部と電圧検出部により電流および電圧を検出して前記誘起電圧演算部により誘起電圧を演算する処理1と、前記近似関数演算部により近似関数を算出して前記動作状態検出部により振動子の位置情報および速度情報を得るまでの処理2と、前記制御演算部により駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うためのタイミングを設定するタイマ手段を備えることを特徴としている。
【0031】
これにより、請求項2の発明と同様、処理1〜処理3が間断なく実行されるため、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1はリニア振動モータとその駆動制御装置を含む全体構成図、図2は駆動制御装置の詳細を示すブロック図である。
【0033】
この実施の形態において、リニア振動モータ1は、巻線5aを備えた電磁石からなる固定子5、永久磁石を備えた振動子6、この振動子6を保持するフレーム7、および振動子6とフレーム7との間に懸架されたばね8を有し、固定子5を構成する電磁石の巻線5aに対して駆動電流を供給することにより、振動子6を固定子5に対して直線状に往復運動させるようになっている。
【0034】
駆動制御装置2は、固定子5の巻線5aへ供給する駆動電流を振動子6の位置および速度に応じてPWM制御するもので、巻線5aに流れる電流を検出する電流検出部11、巻線5aに生じる電圧を検出する電圧検出部12と、両検出部11、12で検出された電流及び電圧に基づいて振動子6の位置および速度の各情報を得て、これらの両情報から巻線5aへの駆動電流をPWM制御するための信号出力タイミングやパルス幅を決定する制御回路部13と、この制御回路部13からの出力に基づいてPWM制御された駆動電流を固定子5の巻線5aに供給する制御出力部14とを備えている。
【0035】
制御回路部13は、図2に示すように、両検出部11、12で検出された電流値と電圧値とから振動子6の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式(後述の(式1))に基づいて演算する誘起電圧演算部21と、この誘起電圧演算部21で得られる各誘起電圧演算値yをスムージング化するために最小2乗法を用いた3次関数p(x)(後述の(式2))で近似する近似関数演算部22と、この近似関数演算部22で得られた近似関数p(x)から振動子6の位置情報及び速度情報を得る動作状態検出部23と、この動作状態検出部23で検出された振動子6の位置情報および速度情報に基づいて巻線5aへの駆動電流をPWM制御するための信号出力タイミングやパルス幅を決める情報を出力する制御演算部24と、これら各部21〜24を制御する全体制御部25とを備えている。
【0036】
そして、全体制御部25の内部には、タイマ手段として、3つのタイマ1、タイマ2、タイマ3(符号Z1〜Z3で示す)が設けられている。これらの各タイマ1〜3(Z1〜Z3)は、上記の回路制御部13を構成する各部21〜24の処理が間断なく実行されるようにするために、振動子6の1往復期間内に同時並列的に処理を実行する上でのタイミングを設定するものであって、これらの各タイマ1〜3の作用については後でさらに詳しく説明する。
【0037】
次に、上記構成を備えたリニア振動モータ1における駆動制御方法について、まず、その全体的な処理の概要を図3のフローチャート、および図4に示すタイミングチャートに沿って説明する。なお、符号Sはステップを意味する。
【0038】
駆動制御装置2から固定子5の巻線5aに励磁用のPWM制御された駆動電流(図4(a)参照)が供給されると、これに応じて振動子6が駆動され(図4(b)参照)、これに伴って巻線5aには印加電圧が発生するとともに、振動子6の往復動作に伴う誘起電圧も発生する。そして、固定子5の巻線5aに流れる電流(図4(d)参照)および巻線5aに生じる電圧(図4(c)参照)をそれぞれ電流検出部11と電圧検出部12とで検出する(S01)。
【0039】
これらの検出した電流値と電圧値とは、制御回路部13に送出される。制御回路部13の誘起電圧演算部21は、上記の各検出部11,12で検出された電流値と電圧値をサンプリングして、電流値と電圧値に含まれるノイズ成分を取り除くとともに、サンプリングした電流値と電圧値とから、(式1)に示す所定の演算式に基づいて振動子6の振動に伴って生じる誘起電圧y(図4(e)参照)を順次演算する(S02)。
【0040】
【式1】
【0041】
なお、ノイズの除去処理の内容については後に詳述する。また、振動子6の1往復期間内に電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が一定になるように予め固定しておけば、後述の(式2)に基づいて近似関数を求める場合の演算処理において定数化が可能になるので、演算が容易になる。
【0042】
上記の(式1)に基づいて得られる誘起電圧演算値は、滑らかな曲線とはならず凹凸が激しいので、このままでは正弦波状の誘起電圧の最大値、最小値およびゼロクロス点を確定することが難しい。そこで、(式1)により得られた各々の誘起電圧演算値yは、次段の近似関数演算部22に送出される。近似関数演算部22は、誘起電圧演算値yをスムージング化するために、最小2乗法を用いて各誘起電圧演算値yを近似した近似関数p(x)(図4(f)参照)を(式2)に基づいて求める(S03)。すなわち、この場合の(式2)は3次関数p(x)であるので、その3次関数p(x)を規定する各係数b0〜b3を求める。このように、近似関数p(x)を求めることにより、誘起電圧推定値yがスムージング化されるため、誘起電圧の最大値、最小値およびゼロクロス点を確定するのが容易になる。
【0043】
【式2】
【0044】
なお、近似関数p(x)としては、三角関数の適用も可能ではあるが、この実施の形態のように3次関数p(x)を近似関数として求める方が演算処理の負担が少なくて済み、また、振動子6の往復動作時に加わる負荷が非対称の場合でも近似が可能となるため有利である。
【0045】
引き続き、この近似関数p(x)の各係数b0〜b3のデータが動作状態検出部23に送出されるので、動作状態検出部23は、(式2)で示される近似関数p(x)から振動子6の位置情報および速度情報を得る(S04)。例えば、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得る。また、近似関数p(x)の1周期内の値の内で最大値を振動子6の速度が最大になっていると判断してその速度情報を得る。
【0046】
こうして、動作状態検出部23で検出された振動子6の位置情報および速度情報は、制御演算部24に送出される。制御演算部24は、これらの情報に基づいて固定子5の巻線5aへの駆動電流をPWM制御するための信号出力タイミングやパルス幅を決定し、その情報を駆動出力部14に出力する(S05)。駆動出力部14は、制御回路部13からの情報に基づいてPWM制御された駆動電流を固定子5の巻線5aに供給する。これにより、振動子6は、動作方向と駆動方向とが同調されるとともに、外部負荷の大きさによらず常に一定の速度を保つように駆動制御される。
【0047】
ここで、図3に示すように、上述した電流検出部11と電圧検出部12により電流及び電圧を検出して誘起電圧演算部21により誘起電圧を演算して誘起電圧演算値yを得るまでの処理(S01及びS02)を処理1とし、近似関数演算部22により近似関数p(x)を算出して動作状態検出部23により振動子6の位置情報および速度情報を得るまでの処理(S03及びS04)を処理2とし、制御演算部24により駆動電流をPWM制御する処理(S05)を処理3と定義する。また、振動子6の3往復期間を1周期とみなした場合の各々の1往復期間をTs1,Ts2,Ts3と区別する。
【0048】
このとき、期間Ts1で誘起電圧演算部21が処理1を実行し、次の期間Ts2で近似関数演算部22と動作状態検出部23とで処理2を実行し、さらに次の期間Ts3で制御演算部24が処理3を実行するようなシーケンスにすると、一つの処理の実行中には他の処理が停止しているため、振動子6の3往復期間(=Ts1+Ts2+Ts3)ごとにしか適切にPWM制御された駆動信号を出力することができない。つまり、振動子6を駆動制御に時間がかかり過ぎて、駆動制御処理の高速化を図ることができない。
【0049】
これに対して、図5に示すように、各期間Ts1、Ts2、Ts3において、各処理1、2、3が同時並列的に行なわれるようにすれば、振動子6の1往復期間Ts1、Ts2、Ts3毎に適切にPWM制御された駆動信号を出力することができる。もっとも、処理1の結果が得られないと処理2が、処理2の結果が得られないと処理3が、それぞれ実行できないので、各部21〜24の内部にその処理結果を記憶する図示しないメモリを設けておき、たとえば期間Ts3で誘起電圧演算部21が処理1を実行している場合には、近似関数演算部22と動作状態検出部23とは、その1期間前の期間Ts2で得られた処理1の結果に基づいて処理2を実行し、制御演算部24はその2期間前の期間Ts1で得られた処理1の結果に基づいて処理3を実行できるようにする必要がある。このように、振動子6の1往復期間Ts1、Ts2、Ts3、…ごとに処理1、2、3を同時並列的に行なうには、各処理1〜3の切り替わりのタイミングを設定する必要がある。そのため、全体制御部25には図5に示すような互いに連動する3つのタイマ1〜3(Z1〜Z3)を設けている。
【0050】
すなわち、図6に示すように、タイマ1(Z1)は、タイマ2(Z2)からのトリガ信号に応答して計時を開始するとともに、処理1の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts1が経過すると処理2の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts2が経過すると処理3の実行開始のトリガ信号を出力するとともに、タイマ3(Z3)に計時開始のトリガ信号を出力する。タイマ3(Z3)は、タイマ1(Z1)からのトリガ信号に応答して計時を開始するとともに、処理1の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts3が経過すると処理2の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts1が経過すると処理3の実行開始のトリガ信号を出力するとともに、タイマ2(Z2)に計時開始のトリガ信号を出力する。また、タイマ2(Z2)は、タイマ3(Z3)からのトリガ信号に応答してして計時を開始するとともに、処理1の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts2が経過すると処理2の実行開始のトリガ信号を出力し、期間Ts3が経過すると処理3の実行開始のトリガ信号を出力するとともに、タイマ1(Z1)に計時開始のトリガ信号を出力する。
【0051】
これにより、図6に示すように、各期間Ts1,Ts2,Ts3において、各処理1、2、3が同時並列的に行なわれるようになり、処理1〜処理3が間断なく実行される。このため、固定子5の巻線5aの電流および電圧を検出してから振動子6の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることができる。
【0052】
図7は上記の図5及び図6で説明した各タイマ1〜3の動作をより詳細に表したタイミングチャート、図8ないし図10は上記の図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、図8はタイマ1(Z1)に着目したときの、図9はタイマ2(Z2)に着目したときの、図10はタイマ3(Z3)に着目したときの、各動作をそれぞれ示している。
【0053】
ここで、例えば、タイマ1(Z1)に着目すると、図8においてステップ1、2、9が図3の処理1に対応し、ステップ3が図3の処理2に対応し、ステップ4〜ステップ8が図3の処理3に対応している。そして、タイマ2(Z2)からのトリガ信号によりカウンタ値がクリアされて計時を開始し、その後、時刻t1−2で処理1が終了すると、時刻t1−3までの間に処理2を実行し、時刻t1−3でタイマ3(Z3)にトリガ信号を出力し、時刻t1−4〜時刻t1−7の期間に処理3を実行する。なお、図9および図10についても図8の場合の処理と同様であるからここでは詳しい説明は省略する。
【0054】
図11は、図3の処理1(S02)において、誘起電圧演算部21が各検出部11、12で検出された電流値と電圧値をサンプリングした際に含まれるノイズ成分を取り除くための具体的な処理内容を示すフローチャートである。誘起電圧演算部21は、まず、電流検出部11と電圧検出部12でそれぞれ検出された電流値と電圧値をサンプリングすると(S1、S2)、次に、このサンプリングのタイミングが固定子5の巻線5aに対して駆動電流が供給されている期間Th、Tl(図4(a)参照)か否かを判断する(S3)。
【0055】
巻線5aに対して駆動電流が供給されていない期間であると、サンプリングして得られた巻線5aに流れる電流値の絶対値が所定のしきい値Ih以下であるか否かを判断する(S4)。そして、サンプリングされた電流値の絶対値が所定のしきい値Ih以下である場合には、次の駆動電流が供給されるまでは、電流値を強制的に零に固定する(S6)。また、S4において、サンプリングされた電流値の絶対値が所定のしきい値Ihよりも大きい場合には、前回のサンプリングによれ得られた電流値が零であるか否かを判断する(S5)。前回のサンプリングによれ得られた電流値が零であるときには、今回のサンプリングで得られた電流値もノイズである可能性が高いので、この場合には、S6に移行して電流値を強制的に零に固定する。これに対して、S5で前回のサンプリングで得られた電流値が零でない場合には、今回のサンプリングで得られた電流値はノイズではないと見なせるのでS7に移行する。
【0056】
また、S3において、電流値をサンプリングしたタイミングが固定子5の巻線5aに対して駆動電流が供給されている期間内Th、Tl内である場合には、S7に移行して、その電流の絶対値を前回サンプリングして得られた電流の絶対値と比較する。
【0057】
ここで、今回サンプリングした電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも小さい場合には、駆動電流が供給されている期間中であるにもかかわらず、検出された電流値は単純増加または単純減少しておらず異常と考えられる。そのため、前回サンプリングして得られた電流値を採用する(S8)。これに対して、今回サンプリングした電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも大きい場合には、駆動電流が供給されている期間中に検出された電流値は単純増加または単純減少していると考えられるため、今回サンプリングした電流をそのまま採用する。これにより、電流検出における耐ノイズ性が向上し、誘起電圧演算値yを算出する際の精度も向上する。
【0058】
引き続き、誘起電圧演算部21は、今回のサンプリングにより検出された誘起電圧と前回のサンプリングにより検出された誘起電圧との差の絶対値を予め設定されたしきい値Vhと比較する(S9)。
【0059】
このとき、両誘起電圧の差の絶対値がしきい値Vh以下である場合には、今回サンプリングした誘起電圧の値をそのまま採用して(式1)に基づいて誘起電圧の演算を行う(S10)。これに対して、前後にサンプリングした誘起電圧の差の絶対値がしきい値Vhよりも大きい場合には、ノイズの影響が大きいものと判断して(式1)による誘起電圧の演算を行わず、その代わりに、今回のサンプリングよりも以前のサンプリング時に算出された誘起電圧の値から推定した誘起電圧値を採用する(S11)。この場合の誘起電圧推定値は、たとえば、前回と前前回に得られた誘起電圧演算値の加算平均や相乗平均を求めたり、前回得られた誘起電圧演算値と置換したりすることにより算出される。これにより、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合のスムージング化が一層促進され、近似関数を求める場合の精度が向上する。
【0060】
図12は、図3の処理2(S04)において、動作状態検出部23が(2)式の近似関数p(x)に基づいて振動子6の位置情報と速度情報を得る場合の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【0061】
ここでは、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。また、近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子6の速度が最大になっていると判断してその速度情報を得ている。このようにすれば、近似関数p(x)のピーク探索を一カ所のみ行えば良いので、速度情報を得るための処理が容易になる。
【0062】
以上のように、この実施の形態によれば、電圧検出部12で検出される電圧が駆動電流の供給により巻線5aに生じる印加電圧と振動子6の往復動作に伴って巻線5aに生じる誘起電圧とが重畳したものであっても、(式1)に示す演算式で誘起電圧yを演算することにより印加電圧の影響を実質的に取り除くことができる。このため、巻線5aに駆動電流が流れている期間中にも巻線5aに生じる誘起電圧を確実に検出することができる。さらに、誘起電圧演算値yをスムージング化した近似関数p(x)を求めるので、粗いサンプリング周期で得られたデータからでも連続した誘起電圧を算出することができる。このため、振動子の位置および速度の検出を精度良く行える。
【0063】
したがって、従来のように固定子5の巻線5aに励磁用の駆動電流を流さないオフ期間T1、T2を設ける必要性がなくなるため、より一層効率の良い駆動制御が可能になるのである。
【0064】
上記の実施の形態では、図12に示したように、近似関数の1周期内の最大値を振動子6の速度情報として得るようにしたが、図13〜図15の各フローチャートに示すような処理によって振動子6の位置情報や速度情報を得ることも可能である。
【0065】
すなわち、図13に示すフローチャートの処理では、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。また、近似関数p(x)の1周期内の最大値と最小値の差を求め、その差を振動子6の速度情報として得ている。これにより、振動子6が振動する際に、その振幅が一方に片寄っている場合にも速度情報を正確に検出することが可能になる。
【0066】
図14に示すフローチャートの処理では、誘起電圧演算値を求める範囲を制限し、この制限された演算範囲内でのみ近似関数を求め、次にこの近似関数の絶対値の小さい方のサンプリング時間を近似関数の値が正負反転するゼロクロス点として決定し、このゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。
【0067】
また、こうして求めたゼロクロス点における微分値を算出し、この微分値を振動子6の速度情報として得ている。このように、誘起電圧演算値を求める範囲を制限することにより、振動子6の位置情報を得る場合の演算数が少なくなるで、演算の負荷を減らすことができるために有利である。しかも、ゼロクロス点における微分値を振動子6の速度情報として得る場合には、振動子6の速度検出精度が高くなり、また、演算も容易に行うことができる。
【0068】
なお、ゼロクロス点における微分値を振動子6の速度情報として得る代わりに、例えば、近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子6の速度情報として得ることもできる。その場合には、近似関数の値を求める際に演算誤差が生じても直線近似を行うことで演算誤差による影響を少なくしてより精度良く速度を検出することが可能になる。
【0069】
図15に示すフローチャートの処理では、近似関数p(x)の値が正負反転するゼロクロス点を振動子6の振動方向が切り替わる折り返し点として判断してその位置情報を得ている。また、振動子6の1往復期間に相当する期間にわたって誘起電圧演算値の値を順次加算し、その加算値を振動子6の速度情報として得ている。これは正弦波状の誘起電圧の1周期分の面積を求めることに相当するが、この面積計算は単に誘起電圧演算値の値を順次加算するだけでよく、近似関数のピーク位置を求める必要がないため、演算時間を速めることができる。
【0070】
さらに、本発明は、上記の実施の形態に示した方法や構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0071】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法によれば、巻線に生じた電圧が、駆動電流の供給により生じる印加電圧と振動子の往復動作に伴って巻線に生じる誘起電圧とが重畳したものである場合でも、演算式で誘起電圧を演算することにより印加電圧の影響を実質的に取り除くことができる。これにより、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができる。そして、誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求めるため、粗いサンプリング周期で得られたデータからでも連続した誘起電圧を算出することができる。これにより、近似関数から振動子の位置情報および速度情報を精度良く得ることができる。したがって、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなり、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0072】
請求項2記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、前記電流および電圧を検出して誘起電圧を演算する処理1と、前記誘起電圧演算値から近似関数を求めて振動子の位置情報及び速度情報を得るまでの処理2と、前記振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線の駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うようにしているので、上記の処理1〜処理3が間断なく実行される。これにより、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【0073】
請求項3記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、誘起電圧演算値をスムージング化する場合に最小2乗法を用いた3次関数で近似するので、三角関数を近似関数として用いる場合よりも演算処理の負担が少なくて済み、また、振動子の往復時の負荷が非対称の場合でも近似が可能となる。
【0074】
請求項4記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、振動子の1往復期間内に前記電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が常に一定となるように固定化されているので、近似関数を求める演算処理において定数化が可能になり、演算処理が一層容易になる。
【0075】
請求項5記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されていない期間にノイズが含まれている場合には、これを強制的に零にするので、電流検出における耐ノイズ性が向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度が向上する。
【0076】
請求項6記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されている期間内にサンプリングした電流値がしきい値以上である場合にはノイズと見なしてその前にサンプリングしたデータに置き換えるので、電流検出における耐ノイズ性がさらに向上し、誘起電圧演算値を算出する際の精度が向上する。
【0077】
請求項7記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、巻線に生じる電圧をサンプリングして得られた電圧値が所定のしきい値以上である場合にはノイズと見なして誘起電圧の演算を行わずに、そのサンプリング以前に算出された誘起電圧演算値から今回の起電圧値を推定するため、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合のスムージング化が一層促進され、近似関数を求める場合の精度が向上する。
【0078】
請求項8記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、誘起電圧演算値から近似関数を求める場合の演算範囲を制限してその制限された演算範囲内で近似関数の値が正負反転するゼロクロス点を求めるので、振動子の位置情報を得る場合の演算数が少なくなり、演算処理の負荷を減らすことができ、演算処理の高速化を図ることができる。
【0079】
請求項9記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子の速度情報として得るので、近似関数のピーク探索を1カ所だけ行うだけで容易に速度情報を得ることができる。
【0080】
請求項10記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の1周期内の値の内で最大値と最小値の差を振動子の速度情報として得るようにしているので、振動子が振動する際に、その振幅が片方に片寄っている場合にも速度情報を正確に検出することが可能になる。
【0081】
請求項11記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の値が正負反転するゼロクロス点における微分値を振動子の速度情報として得るようにしているので、振動子の速度検出精度が高くなり、また、演算も容易に行える。
【0082】
請求項12記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子の速度情報として得るようにしたので、近似関数の値を求める際に演算誤差が生じても直線近似を行うことで演算誤差による影響を少なくしてより精度良く速度を検出することが可能になる。
【0083】
請求項13記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御方法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、振動子の1往復期間に相当する期間にわたって前記誘起電圧演算値の値を順次加算することで正弦波状の誘起電圧の1周期分の面積を求め、その値を振動子の速度情報として得るようにしたので、速度情報を得るための処理は単なる加算処理でよく、近似関数のピーク位置を求める必要がないため、演算時間の高速化を図ることができる。
【0084】
請求項14記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、請求項1記載の発明の場合と同様、巻線に駆動電流が流れている期間中にも巻線に生じる誘起電圧を確実に検出することができるので、従来のように固定子の巻線に励磁用の駆動電流を流さないオフ期間を設ける必要性がなくなり、より一層効率の良い駆動制御が可能になる。
【0085】
請求項15記載の発明に係るリニア振動モータの駆動制御装置は、請求項14記載の発明の効果に加えて、処理1〜処理3の実行タイミングを規制するタイマ手段を備えることで、請求項2の発明と同様、処理1〜処理3が間断なく実行されるようになるため、巻線の電流および電圧を検出してから振動子の駆動電流を制御するまでに要する時間を全体として短縮化でき、駆動制御処理の高速化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるリニア振動モータとその駆動制御装置を含む全体構成図である。
【図2】図1に示す駆動制御装置の詳細を示すブロック図である。
【図3】リニア振動モータにおける駆動制御方法の全体的な処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートに基づく駆動制御処理対象となる信号の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図5】リニア振動モータの駆動制御処理を間断なく行うためのタイミング設定用に使用される3つのタイマ1、2、3の動作関係の説明図である。
【図6】リニア振動モータの駆動制御のための各処理1,2,3を同時並列的に行うための各タイマ1、2、3との相互の関係を示す説明図である。
【図7】図5および図6で示す各タイマ1、2、3の動作をより詳細に表したタイミングチャートである。
【図8】図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、タイマ1に着目したときのタイミング動作を示す。
【図9】図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、タイマ2に着目したときのタイミング動作を示す。
【図10】図3に示したリニア振動モータの駆動制御動作をより詳細に表したフローチャートであり、タイマ3に着目したときのタイミング動作を示す。
【図11】誘起電圧演算部におけるノイズ除去処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図13】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための他の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図14】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための他の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図15】動作状態検出部で近似関数に基づいて振動子の位置情報と速度情報を得るための他の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図16】従来のリニア振動モータの駆動制御を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 リニア振動モータ
2 駆動制御装置
5 固定子
5a 巻線
6 振動子
10 電流検出部
11 電圧検出部
13 制御回路部
14 制御出力部
21 誘起電圧演算部
22 近似関数演算部
23 動作状態検出部
24 制御演算部
25 全体制御部
Z1,Z2,Z3 タイマ1,2,3
Claims (15)
- 固定子と振動子とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石からなり、この電磁石の巻線に対して駆動電流を供給して振動子を固定子に対して直線状に振動させるリニア振動モータの駆動制御方法であって、
前記電磁石の巻線に流れる電流および巻線に生じる電圧を共に検出し、これらの検出した電流値と電圧値とから振動子の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて順次演算し、次に、これらの各誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求め、この近似関数から振動子の位置情報および速度情報を得て、これらの情報に基づいて電磁石の巻線に対して供給する駆動電流を制御することを特徴とするリニア振動モータの駆動制御方法。 - 前記電流および電圧を検出して誘起電圧を演算する処理1と、前記誘起電圧演算値から近似関数を求めて振動子の位置情報および速度情報を得るまでの処理2と、前記振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線の駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うことを特徴とする請求項1記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求める場合に、最小2乗法を用いた3次関数で近似することを特徴とする請求項1または2に記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 振動子の1往復期間内に前記電流と電圧を検出する場合のサンプリング間隔およびサンプリング数が一定になるように固定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されていない期間においてサンプリングして得られた巻線に流れる電流値が所定のしきい値以下である場合には、次の駆動電流が供給されるまでは、サンプリングされた電流値によらず零に固定することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記電磁石の巻線に対して駆動電流が供給されている期間内にサンプリングして得られた電流の絶対値が前回サンプリングして得られた電流の絶対値よりも小さい場合には、前回サンプリングして得られた電流値を採用することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記巻線に生じる電圧をサンプリングして得られた電圧値が所定のしきい値以上である場合には誘起電圧の演算を行わず、そのサンプリング以前のサンプリング時に算出された誘起電圧の値から推定した誘起電圧値を採用することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記誘起電圧演算値から近似関数を求める場合の演算範囲を制限するとともに、その制限された演算範囲内で前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点を求め、このゼロクロス点を振動子の位置情報として得ることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記近似関数の1周期内の値の内で最大値を振動子の速度情報として得ることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記近似関数の1周期内の値の内で最大値と最小値の差を振動子の速度情報として得ることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点における微分値を振動子の速度情報として得ることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記近似関数の値が正負反転するゼロクロス点付近において近似関数を直線近似し、その近似直線の傾きを振動子の速度情報として得ることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 前記振動子の1往復期間に相当する期間にわたって前記誘起電圧演算値の値を順次加算し、その加算値を振動子の速度情報として得ることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のリニア振動モータの駆動制御方法。
- 固定子と振動子とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石からなり、この電磁石の巻線に対して駆動電流を供給して振動子を固定子に対して直線状に振動させるリニア振動モータの駆動制御装置であって、
前記電磁石の巻線に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電磁石の巻線に生じる電圧を検出する電圧検出部と、
両検出部で検出された電流値と電圧値とから振動子の振動に伴って生じる誘起電圧を所定の演算式に基づいて演算する誘起電圧演算部と、
この誘起電圧演算部で得られる誘起電圧演算値から各誘起電圧演算値をスムージング化した近似関数を求める近似関数演算部と、
この近似関数演算部で得られた近似関数から振動子の位置情報および速度情報を得る動作状態検出部と、
この動作状態検出部で検出された振動子の位置情報および速度情報に基づいて巻線への駆動電流を制御する制御演算部と、
を備えることを特徴とするリニア振動モータの駆動制御装置。 - 前記電流検出部と電圧検出部により電流および電圧を検出して前記誘起電圧演算部により誘起電圧を演算する処理1と、前記近似関数演算部により近似関数を算出して前記動作状態検出部により振動子の位置情報および速度情報を得るまでの処理2と、前記制御演算部により駆動電流を制御する処理3とを、振動子の1往復期間内に同時並列的に行うためのタイミングを設定するタイマ手段を備えることを特徴とする請求項14記載の駆動制御装置。
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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