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JP2003292877A - 水性ベース塗料組成物およびそれを用いた塗膜形成方法 - Google Patents

水性ベース塗料組成物およびそれを用いた塗膜形成方法

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Publication number
JP2003292877A
JP2003292877A JP2002105355A JP2002105355A JP2003292877A JP 2003292877 A JP2003292877 A JP 2003292877A JP 2002105355 A JP2002105355 A JP 2002105355A JP 2002105355 A JP2002105355 A JP 2002105355A JP 2003292877 A JP2003292877 A JP 2003292877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
base coating
resin
parts
coating composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002105355A
Other languages
English (en)
Inventor
Nariyuki Sasaki
成幸 佐々木
Hideaki Ogawa
英明 小川
Shinji Shimada
新二 島田
Akihiro Kanekura
顕博 金倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP2002105355A priority Critical patent/JP2003292877A/ja
Publication of JP2003292877A publication Critical patent/JP2003292877A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】被塗装物に対してベース塗膜およびクリヤー塗
膜を同時に硬化させることよりなる塗膜形成方法におい
て、両塗膜の混層や反転を制御し、フリップフロップ性
が良好な塗膜を得ることができる水性ベース塗料組成物
および塗膜形成方法を提供する。 【解決手段】エステル部の炭素数が1または2の(メ
タ)アクリル酸エステルを65質量%以上含んでいる、
酸価3〜50のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合
物を乳化重合して得られるアクリルエマルション樹脂、
1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平
均分子量300〜3000であり、水トレランスが2.
0以上であるポリエーテルポリオール、ウレタンエマル
ション樹脂および光輝材とを含有することを特徴とする
水性ベース塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車車体等に塗
装される水性ベース塗料組成物およびそれを用いた塗膜
の形成方法並びにその方法により得られた塗膜に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用塗料は塗装時あるいは
焼付硬化時に揮散する有機溶剤量が多く、その処理工数
を低減する方法の一つとして、塗料形態を水性化する方
法が検討されている。
【0003】例えば、特開平7−53913号公報に
は、アミド基含有エチレン性不飽和モノマーと酸性基含
有エチレン性不飽和モノマーと水酸基含有エチレン性不
飽和モノマーとを含有するポリマーの少なくとも一部を
中和して得られた樹脂と、カルボキシル基含有アクリル
樹脂粒子の水分散体とを含有する水性塗料組成物が開示
されている。しかし、これに限らず、一般的にこれまで
の水性ベース組成物は、溶剤型のものに比べ、特にメタ
リック塗膜のフリップフロップ性の点で劣ることが多か
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、被塗装物に
対してベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に硬化させ
ることよりなる塗膜形成方法において、両塗膜の混層や
反転を制御し、フリップフロップ性が高い塗膜を得るこ
とができる水性ベース塗料組成物および塗膜形成方法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、エステル部の
炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルを6
5質量%以上含んでいる、酸価3〜50mgKOH/g
のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合
して得られるアクリルエマルション樹脂、1分子中に一
級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量30
0〜3000であり、水トレランスが2.0以上である
ポリエーテルポリオール、ウレタンエマルション樹脂お
よび光輝材を含有することを特徴とする水性ベース塗料
組成物であり、ウレタンエマルション樹脂は、塗料樹脂
固形分100質量部当たり、3〜30質量部含有するも
のであることが好ましい。
【0006】ここで、ポリエーテルポリオールは、1分
子中に少なくとも一級水酸基を1個以上有し、かつ水酸
基価が30〜700mgKOH/gであることが好まし
く、1分子中に2個以上の水酸基を有することがさらに
好ましい。
【0007】さらに、ポリエステル樹脂またはアルキド
樹脂を含んでいることが好ましい。
【0008】また、本発明は、被塗装物に対して水性ベ
ース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程(1)、
上記ベース塗膜を硬化させることなく、その上にクリヤ
ー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程(2)、
および、上記ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に加
熱硬化して塗膜を形成する工程(3)を含む塗膜の形成
方法において、上記水性ベース塗料が、上記の水性ベー
ス塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法であ
る。
【0009】さらに、本発明は、上記の方法により形成
された塗膜である。
【0010】
【発明の実施の形態】水性ベース塗料組成物 本発明の水性ベース塗料組成物は、エステル部の炭素数
が1または2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量
%以上含んでいる、酸価3〜50mgKOH/gのα,
β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得
られるアクリルエマルション樹脂、1分子中に一級水酸
基を平均0.02個以上有し、数平均分子量300〜3
000であり、水トレランスが2.0以上であるポリエ
ーテルポリオール、ウレタンエマルション樹脂および光
輝材を含有する。
【0011】本発明の水性ベース塗料組成物に含まれる
アクリルエマルション樹脂は、エステル部の炭素数が1
または2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量%以
上含んでいる、酸価3〜50mgKOH/gのα,β−
エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られ
るものである。
【0012】上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混
合物に含まれる、エステル部の炭素数が1または2の
(メタ)アクリル酸エステルの量が65質量%未満であ
ると、得られる塗膜の外観が低下する。上記エステル部
の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルと
しては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチルが挙げられる。尚、本明細書において(メタ)
アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタクリ
ル酸エステルとの両方を意味するものとする。
【0013】また、このα,β−エチレン性不飽和モノ
マー混合物は酸価が3〜50mgKOH/gであり、好
ましくは7〜40mgKOH/gである。酸価が3mg
KOH/g未満では、作業性を向上させることができ
ず、50mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水性が低
下する。一方、上記水性ベース塗料組成物が硬化性を有
する必要がある場合には、このα,β−エチレン性不飽
和モノマー混合物は水酸基価が10〜150mgKOH
/gであり、好ましくは20〜100mgKOH/gで
ある。10mgKOH/g未満では、充分な硬化性が得
られず、150mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水
性が低下する。また、上記α,β−エチレン性不飽和モ
ノマー混合物を重合して得られるエマルション樹脂のガ
ラス転移温度は、−20〜80℃の間であることが、塗
膜物性の点から好ましい。
【0014】上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混
合物は、酸基または水酸基を有するα,β−エチレン性
不飽和モノマーをその中に含むことにより、上記酸価お
よび水酸基価を有することができる。
【0015】また、上記酸基を有するα,β−エチレン
性不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイル
オキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチル
コハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォ
スフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ
(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ
−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ
(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチ
ル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等を挙げることが
できる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メ
タクリル酸、アクリル酸二量体である。
【0016】一方、水酸基を有するα,β−エチレン性
不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコー
ル、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシエチルとε−カプロラクトンとの付加物を挙げるこ
とができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε
−カプロラクトンとの付加物である。
【0017】さらに、上記α,β−エチレン性不飽和モ
ノマー混合物はさらにその他のα,β−エチレン性不飽
和モノマーを含んでいてもよい。上記その他のα,β−
エチレン性不飽和モノマーとしては、エステル部の炭素
数3以上の(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アク
リル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メ
タクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブ
チルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペン
タジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペン
タジエニル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
オクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリ
ルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾ
フェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミ
ド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド
等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パ
ラクロロスチレンおよびビニルナフタレン等)、重合性
ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピ
レン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イ
ソプレン等)を挙げることができる。これらは目的によ
り選択することができるが、親水性を容易に付与する場
合には(メタ)アクリルアミドを用いることが好まし
い。
【0018】尚、これらのエステル部の炭素数が1また
は2の(メタ)アクリル酸エステル以外の上記α,β−
エチレン性不飽和モノマーは、上記α,β−エチレン性
不飽和モノマー混合物中の含有量が35質量%未満に設
定されなければならない。
【0019】本発明の水性ベース塗料組成物に含まれる
エマルション樹脂(A)は、上記α,β−エチレン性不
飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるものであ
る。ここで行われる乳化重合は、通常よく知られている
方法を用いて行うことができる。具体的には、水、また
は必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む
水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記α,
β−エチレン性不飽和モノマー混合物および重合開始剤
を滴下することにより行うことができる。乳化剤と水と
を用いて予め乳化したα,β−エチレン性不飽和モノマ
ー混合物を同様に滴下してもよい。
【0020】好適に用いうる重合開始剤としては、アゾ
系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン
系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)およびカ
チオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン
アミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例
えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt
−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物
(例えば、過硫酸カリおよび過酸化アンモニウムなど)
が挙げられる。
【0021】乳化剤には、当業者に通常使用されている
ものを用いうるが、反応性乳化剤、例えば、アントック
ス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレ
ミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソ
ープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−
10(第一工業製薬社製)などが特に好ましい。
【0022】また、分子量を調節するために、ラウリル
メルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルス
チレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて
用いうる。
【0023】反応温度は開始剤により決定され、例え
ば、アゾ系開始剤では60〜90℃でであり、レドック
ス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、
反応時間は1〜8時間である。α,β−エチレン性不飽
和モノマー混合物の総量に対する開始剤の量は、一般に
0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%
である。
【0024】上記乳化重合は二段階で行うことができ
る。すなわち、まず上記α,β−エチレン性不飽和モノ
マー混合物のうちの一部(α,β−エチレン性不飽和モ
ノマー混合物1)を乳化重合し、ここに上記α,β−エ
チレン性不飽和モノマー混合物の残り(α,β−エチレ
ン性不飽和モノマー混合物2)をさらに加えて乳化重合
を行うものである。
【0025】高外観な塗膜を形成する為に、α,β−エ
チレン性不飽和モノマー混合物1はアミド基を有する
α,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していること
が好ましい。またこの時、α,β−エチレン性不飽和モ
ノマー混合物2は、アミド基を有するα,β−エチレン
性不飽和モノマーを含有していないことがさらに好まし
い。尚、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1お
よび2を一緒にしたものが、上記α,β−エチレン性不
飽和モノマー混合物であるため、先に示した上記α,β
−エチレン性不飽和モノマー混合物の要件は、α,β−
エチレン性不飽和モノマー混合物1および2を一緒にし
たものが満たすことになる。
【0026】このようにして得られる上記アクリルエマ
ルション樹脂の粒子径は0.01〜1.0μmの範囲で
あることが好ましい。粒子径が0.01μm未満である
と作業性の改善の効果が小さく、1.0μmを上回ると
得られる塗膜の外観が悪化する恐れがある。この粒子径
の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整
することにより可能である。
【0027】上記アクリルエマルション樹脂は、必要に
応じて塩基で中和することにより、pH=5〜10で用
いることができる。これは、このpH領域における安定
性が高いからである。この中和は、乳化重合の前または
後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンの
ような3級アミンを系に添加することにより行うことが
好ましい。
【0028】また、本発明の水性ベース塗料組成物に含
有されるポリエーテルポリオールは、1分子中に一級水
酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量300〜
3000であり、水トレランスが2.0以上である。こ
のポリエーテルポリオールを含有することにより、塗膜
のフリップフロップ性、耐水性、耐チッピング性を向上
することができる。
【0029】上記ポリエーテルポリオールの1分子中に
おける一級水酸基が平均0.02個未満だと、塗膜の耐
水性、耐チッピング性が低下する。さらに、1分子中に
一級水酸基を0.04個以上有することが好ましく、特
に、1分子中に一級水酸基を1個以上有することが好ま
しい。この一級水酸基の他、二級および三級水酸基を含
めた水酸基の個数は、1分子中に2個以上であることが
塗膜の耐水性、耐チッピング性の観点から好ましい。ま
た、水酸基価の観点から見た場合には、水酸基価が30
〜700mgKOH/gであることが好ましい。水酸基
価が下限を下回ると硬化性が低下し、塗膜の耐水性、耐
チッピング性が低下する。上限を越えると塗料安定性、
塗膜の耐水性が低下する。特に好ましくは50〜500
mgKOH/gである。
【0030】また、上記ポリエーテルポリオールの数平
均分子量が300未満だと塗膜の耐水性が低下し、30
00を越えると塗膜の硬化性、耐チッピング性が低下す
る。好ましくは400〜2000である。尚、本明細書
では、分子量はスチレンポリマーを標準とするGPC法
により決定される。
【0031】一方、上記ポリエーテルポリオールの水ト
レランスが2.0を下回ると、水分散性が低下し、塗膜
外観が悪くなる。特に、3.0以上であることが好まし
い。
【0032】ここで用いる水トレランスとは、親水性の
度合を評価するためのものであり、その値が高いほど親
水性が高いことを意味する。本明細書における水トレラ
ンス値の測定方法は、25℃の条件下で、100mlビ
ーカー内に上記ポリエーテルポリオール0.5gをアセ
トン10mlに混合して分散させ、この混合物にビュレ
ットを用い、脱イオン水を徐々に加え、この混合物が白
濁を生じるまでに要する脱イオン水の量(ml)を測定
する。この脱イオン水の量(ml)を水トレランス値と
する。
【0033】この方法では、例えば、ポリエーテルポリ
オールが疎水性である場合、最初はポリエーテルポリオ
ールとアセトンとが良相溶状態であったものが、少量の
脱イオン水の添加により、不相溶状態となり、測定系に
白濁を生じる。逆に、ポリエーテルポリオールが親水性
である場合、ポリエーテルポリオールの親水性が高いも
のほど白濁を生じるまでに多くの脱イオン水を要する。
従って、この方法によりポリエーテルポリオールの親水
性/疎水性の度合を測定することができる。
【0034】上記ポリエーテルポリオールは、塗料樹脂
固形分中で、1〜40質量%含有されることが好まし
く、3〜30質量%がさらに好ましい。上限を越えると
塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下し、下限を下回る
と塗膜の外観が低下する。
【0035】上記ポリエーテルポリオールとしては、多
価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸類など
の活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドが付加し
た化合物が挙げられる。活性水素原子含有化合物として
は、例えば、水、多価アルコール類(エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキシ
レングリコール等の2価のアルコール、グリセリン、ト
リオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、
1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,
2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4
−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタン
トリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,
3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,
5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,
4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペ
ンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,
2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエ
リスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、
2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5
−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテト
ロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価アルコー
ル、アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリ
グリセリン等の5価アルコール、ジペンタエリスリトー
ル、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシ
トール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価ア
ルコール、蔗糖等の8価アルコール、ポリグリセリン
等);多価フェノール類[多価フェノール(ピロガロー
ル、ヒドロキノン、フロログルシン等)、ビスフェノー
ル類(ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォン
等)];ポリカルボン酸[脂肪族ポリカルボン酸(コハ
ク酸、アジピン酸等)、芳香族ポリカルボン酸(フタル
酸、テレフタル酸、トリメリット酸等)]等;およびこ
れらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】上記ポリエーテルポリオールは、通常アル
カリ触媒の存在下、上記活性水素含有化合物にアルキレ
ンオキサイドを、常法により常圧または加圧下、60〜
160℃の温度で付加反応を行うことにより得られる。
上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のア
ルキレンオキサイドが挙げられ、これらは1種または2
種以上を併用することができる。2種以上を併用する場
合の付加形式はブロックもしくはランダムのいずれでも
よい。
【0037】尚、上記ポリエーテルポリオールは、市販
されているものを使用することができ、例えば、プライ
ムポールPX−1000、サンニックスSP−750、
PP−400(上記いずれも三洋化成工業社製)、PT
MG−650(三菱化学社製)等を挙げることができ
る。
【0038】またさらに、上記ポリエーテルポリオール
は顔料分散性を向上させるために特開昭59−1382
69号公報で示されるように、後述するアミノ樹脂やヒ
ドロキシエチルエチレンイミン(例えば、相互薬工の
「HEA」)、2−ヒドロキシプロピル−2−アジリジ
ニルエチルカルボキシレート(例えば相互薬工「HPA
C」)などの塩基性物質により変性することができる。
変性剤の量は上記ポリエーテルポリオールに対し1〜1
0質量%が好ましい。1質量%未満では十分な変性効果
が得られず、10質量%を越えると変性後のポリエーテ
ルポリオールの安定性が悪くなる。
【0039】本発明の水性ベース塗料組成物に含まれる
ウレタンエマルション樹脂は、特に限定されるわけでは
なく、例えば、ジイソシアネートと、少なくとも2個の
活性水素を含有するグリコールあるいはカルボン酸基を
有するグリコール等とをNCO/OH当量比が0.5〜
2.0で反応させてウレタンプレポリマーを作り、次い
で、このプレポリマーを中和および鎖伸長して、イオン
交換水を添加することにより製造することができる。
【0040】上記ウレタンエマルジョン樹脂の構成成分
であるウレタンプレポリマーを作る際に用いられるジイ
ソシアネートとしては、特に限定されるわけではない
が、例えば、脂肪族、脂環式、または芳香族ジイソシア
ネートが挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイ
ソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フ
ェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、リ
ジンジイソシアネート、1、4−シクロヘキシレンジイ
ソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェ
ニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,
4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよ
びそれらの誘導体等を挙げることができる。
【0041】上記グリコール類としては、特に限定され
るわけではないが、少なくとも2個の活性水素を含有す
るものであって、具体的には、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェ
ノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもし
くはプロピレンオキサイド付加物等の低分子量グリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシプ
ロピレンとグリセリンとの付加物、ポリオキシプロピレ
ンとトリメチロールプロパンとの付加物、ポリオキシプ
ロピレンと1,2,6−ヘキサントリオールとの付加
物、ポリオキプロピレンとペンタエリスリットとの付加
物、ポリオキシプロピレンとソルビットとの付加物、メ
チレン−ビス−フェニルジイソシアネート、ヒドラジン
で鎖伸長したポリテトラフランポリエーテルおよびそれ
らの誘導体等が挙げられる。
【0042】さらに、アジピン酸あるいはフタル酸と、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジ
エチレングリコール、ヘキサンジオール、1,2,6−
ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンあるいは
1,1,1−トリメチロールエタン等の縮合物であるポ
リエステル類、ポリカプロラクトン等か挙げられる。
【0043】また、カルボン酸基を有するグリコールと
して、特に限定されるわけではないが、例えば、2,2
−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪
酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を用いることもでき
る。
【0044】上記ウレタンエマルション樹脂は、上述し
たようなグリコールと、過剰のイソシアネート化合物と
の反応生成物であるウレタンプレポリマーを、カチオン
系、ノニオン系、またはアニオン系の界面活性剤を用い
て、中和および鎖伸長し、イオン交換水を添加して分散
して得ることができる。
【0045】その際に用いられる中和剤としては、特に
限定されるわけではないが、例えば、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ト
リブチルアミン、トリエタノールアミンのようなアミン
類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等
が挙げられる。
【0046】また、鎖伸長剤としては、特に限定される
わけではないが、例えば、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のポリオール類、エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレ
ンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシ
ルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、1,2
−ビス(2−シアノエチルアミノ)エタン、イソホロン
ジアミン等の脂肪族、脂環式、または芳香族ジアミン、
および水等を挙げることができる。
【0047】例えば、上記ウレタンエマルション樹脂の
市販品としては、特に限定されるわけではないが、大日
本インキ製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラ
ン」シリーズ、バイエル製の「インプラニール」シリー
ズ、例えば、ネオレッツR−940、R−941、R−
960、R−962、R−966、R−967、R−9
62、R−9603、R−9637、R−9618、R
−9619、XR−9624等のアビシア社製の「ネオ
レッツ」シリーズ、三洋化成工業製の「ユーコート」、
「ユープレン」、「パーマリン」シリーズ、旭電化製の
「アデカボンタイター」シリーズ等を挙げることができ
る。
【0048】上記ウレタンエマルション樹脂は、1種の
みを使用してもよいし、あるいは、2種以上を併用して
もよい。
【0049】なお、本発明の水性ベース塗料組成物は、
塗料樹脂固形分100質量部当たり、上記ウレタンエマ
ルション樹脂を3〜30質量部含有していることが好ま
しい。上記ウレタンエマルション樹脂の含有割合が3質
量部未満の場合は付着性等が低下し、30質量部を超え
る場合は塗料の貯蔵安定性が低下する。特に好ましくは
10〜25質量部である。
【0050】本発明の水性ベース塗料組成物に含まれる
光輝材としては特に限定されず、また着色されていても
よく、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μmであ
り、かつ厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。
また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感
に優れ、さらに好適に用いられる。具体的には、アルミ
ニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニ
ウム等の金属または合金等の無着色あるいは着色された
金属製光輝材およびその混合物が挙げられる。この他に
干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔
料、ガラスフレーク顔料なども含むことができる。
【0051】上記光輝材の顔料濃度(PWC)として
は、一般的に18.0質量%以下であることが好まし
い。上限を越えると塗膜外観が低下する。さらに好まし
くは、0.01〜15.0質量%であり、特に好ましく
は、0.01〜13.0質量%である。なお、上記光輝
材の顔料濃度は後述のその他の顔料も併せた計算式、
(全光輝材の合計質量)/(全光輝材およびその他の顔
料と、全樹脂成分との合計質量)×100(%)から算
出されるものである。
【0052】本発明の水性ベース塗料組成物は、硬化剤
を含むことができる。上記硬化剤としては、塗料一般に
用いられているものを使用することができ、このような
ものとしては、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート等
が挙げられる。得られた塗膜の諸性能、コストの点から
アミノ樹脂および/またはブロックイソシアネートが一
般的に用いられる。
【0053】上記アミノ樹脂は、特に限定されるもので
はなく、水溶性メラミン樹脂あるいは非水溶性メラミン
樹脂を用いることができる。さらに、メラミン樹脂のな
かでも水トレランスが3.0以上のものを用いること
が、塗料の安定性の観点から好ましい。尚、上記水トレ
ランスは、先のポリエーテルポリオールと同様にして測
定することができる。
【0054】また、上記ブロックイソシアネートとして
は、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水
素を有するブロック剤を付加させることによって得るこ
とができるものであって、加熱によりブロック剤が解離
してイソシアネート基が発生し、上記樹脂成分中の官能
基と反応し硬化するものが挙げられる。
【0055】上記硬化剤が含まれる場合、その含有量は
水性ベース塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対
し、15〜100質量部であることが好ましく、15〜
35質量部であることがさらに好ましい。15質量部未
満の場合は硬化性等が低下し、100質量部を超える場
合は付着性、耐温水性等が低下する。また、このとき、
本発明の水性ベース塗料組成物は、塗料樹脂固形分10
0質量部当たり、ウレタンエマルション樹脂および上記
硬化剤の和が30〜60質量部であることが好ましい。
上記和が、30質量部未満の場合は塗装作業性が低下
し、60質量部を超える場合は塗料の貯蔵安定性が低下
する。特に好ましくは35〜55質量部である。
【0056】本発明の水性ベース塗料組成物には、必要
によりその他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。こ
のようなものとしては、特に限定されるものではない
が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
エポキシ樹脂等の塗膜形成性樹脂が利用できる。
【0057】また、上記その他の塗膜形成性樹脂は、数
平均分子量3000〜50000、好ましくは6000
〜30000である。3000より小さいと塗装作業性
および硬化性が充分でなく、50000を越えると塗装
時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって塗装作業性が悪
くなる。
【0058】上記その他の塗膜形成性樹脂は10〜10
0mgKOH/g、さらに20〜80mgKOH/gの
酸価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐
水性が低下し、下限を下回ると樹脂の水分散性が低下す
る。また、20〜180mgKOH/g、さらに30〜
160mgKOH/gの水酸基価を有することが好まし
く、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回
ると塗膜の硬化性が低下する。
【0059】上記ポリエステル樹脂は酸成分およびアル
コール成分を縮重合して得られる。上記酸成分としては
特に限定されず、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル
酸、無水フタル酸等の多価カルボン酸化合物およびそれ
らの無水物を挙げることができる。さらに、酸成分とし
て、ジメチロールプロピオン酸等の1分子中にカルボン
酸基と水酸基とを有する化合物を用いることができる。
また、上記アルコール成分としては特に限定されず、エ
チレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペン
チルグリコール等の多価アルコール化合物を挙げること
ができる。
【0060】上記アルキド樹脂としては特に限定され
ず、上記酸成分、上記アルコール成分およびヤシ油、ア
マニ油等の油脂類を縮重合して得られる。さらに上記塗
膜形成性樹脂は、必要に応じてジメチルエタノールやト
リエチルアミンのような3級アミン等の塩基によって中
和され、水に溶解または分散されていてもよい。
【0061】なお、本発明の水性ベース塗料組成物にお
ける樹脂成分の内、上記アクリルエマルション樹脂と上
記その他の塗膜形成性樹脂との配合割合は、その樹脂固
形分総量を基準にして、アクリルエマルション樹脂が5
〜95質量%、さらに好ましくは10〜85質量%、特
に好ましくは20〜70質量%であり、その他の塗膜形
成性樹脂が95〜5質量%、さらに好ましくは90〜1
5質量%、特に好ましくは80〜30質量%である。上
記アクリルエマルション樹脂の割合が5質量%を下回る
とタレの抑制および塗膜外観が低下し、95質量%より
多いと塗膜外観が悪くなる恐れがある。
【0062】また、本発明の水性ベース塗料組成物は、
その他の顔料を含むことができる。上記その他の顔料と
しては特に限定されず、着色顔料および体質顔料等を挙
げることができる。上記着色顔料としては、例えば有機
系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ
系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾ
ロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペ
リノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キ
ナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体
顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベン
ガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられ
る。また、上記体質顔料としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等を挙げることが
できる。
【0063】このときの水性ベース塗料組成物中の全顔
料濃度(PWC)としては、0.1〜50%であること
が好ましい。さらに好ましくは、0.5〜40%であ
り、特に好ましくは、1.0〜30%である。上限を越
えると塗膜外観が低下する。なお、上記全顔料濃度は
(全その他の顔料と全光輝材との合計質量)/(全光輝
材およびその他の顔料と、全樹脂成分との合計質量)×
100(%)で表されるものである。
【0064】本発明の水性ベース塗料組成物に含まれる
光輝材が鱗片状光輝材を含有する場合は、さらに、リン
酸基含有アクリル樹脂を含有することが好ましい。この
リン酸基含有アクリル樹脂は、下記の一般式(I)で表
されるモノマーとその他のエチレン性モノマーとを共重
合して得られるアクリル樹脂である。
【0065】 CH2=CXCO(OY)nOPO(OH)2・・・(I) (式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは炭素数2〜
4のアルキレン基、nは3〜30の整数を表す。) 上記リン酸基含有アクリル樹脂は、上記鱗片状光輝材を
良好に分散するために使用される。この樹脂は、酸価1
5〜200mgKOH/gで、かつリン酸基による酸価
が10〜150mgKOH/gであり、数平均分子量1
000〜50000であることが好ましい。酸価が15
mgKOH/g未満であると、鱗片状光輝材の分散を充
分に図ることができない場合がある。また酸価が200
mgKOH/gを超えると、水性ベース塗料組成物の貯
蔵安定性が悪くなる場合がある。酸価15〜200mg
KOH/gのうち、リン酸基による酸価が、15〜10
0mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0066】一方、数平均分子量が1000未満である
と、分散効果を十分に図ることができない場合があり、
数平均分子量が50000を超えると、塗膜外観が悪化
する場合がある。また、上記リン酸基含有アクリル樹脂
は、硬化のための水酸基価を有していてもよく、その値
は20〜200mgKOH/gであることが好ましい。
【0067】上記リン酸基含有アクリル樹脂は、塗料樹
脂固形分100質量部に対し、0.01〜5質量部含有
されていることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜
4質量部、特に好ましくは0.2〜3質量部含有され
る。リン酸基含有アクリル樹脂の含有量が少なすぎる
と、塗膜の耐水性が低下する場合がある。またリン酸基
含有アクリル樹脂の含有量が多すぎると、塗料の貯蔵安
定性が悪くなる。
【0068】上記一般式(I)で表されるモノマーの具
体例としては、例えば、アシッドホスホオキシヘキサオ
キシプロピレン)モノメタクリレート、アシッドホスホ
オキシドデカ(オキシプロピレン)モノメタクリレート
等が挙げられる。
【0069】上記その他のエチレン性モノマーは、上記
一般式(I)で表されるモノマーと共重合し得るエチレ
ン性モノマーであり、複数種のモノマー混合物であって
よい。また、得られた共重合体、すなわちアクリル樹脂
が硬化剤により硬化し得るためものである。具体的に
は、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基または水
酸基を有するモノマーが挙げられる。
【0070】またさらに、水性ベース塗料組成物には、
上塗り塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保するため
に、その他の粘性制御剤を添加することができる。粘性
制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを
使用でき、例えば、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子、脂
肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポ
リアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、
酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチ
レン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロ
ナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、
硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発
現する偏平顔料等を粘性制御剤として挙げることができ
る。
【0071】またさらに、本発明で用いられる水性ベー
ス塗料組成物は、金属製の光輝材を用いる場合にその腐
食防止剤として、あるいは光輝材のぬれ性を良くし、塗
膜物性を向上するために、炭素数8〜18の長鎖アルキ
ル基を有し、かつHLB3〜12を有するリン酸エステ
ル化合物が含まれていても良い。
【0072】上記アルキル鎖の炭素数は8〜18が好ま
しく、炭素数8未満ではぬれ性の低下が見られ、密着性
が悪くなる。また、炭素数が18を越えると、塗料中で
化合物の結晶が析出し、不具合が生じる。より好ましく
は炭素数10〜14で、ぬれ性はより良好となり、密着
性が向上する。上記化合物のHLBは、3〜12、好ま
しくは4〜8である。この値は、質量分率に基づくグリ
フィン式:HLB=20×(MH/M)[式中、MHは
親水基部分の分子量、Mは活性剤の分子量を意味する]
から求められる。尚、親水基部分の分子量はリン酸エス
テル、スルホン酸、カルボン酸の分子量を用いた。この
範囲以外ではぬれ性の低下が起こり好ましくない。
【0073】上記リン酸エステル化合物としては、例え
ば、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ−
またはジ−ジイソデシルアシッドホスフェート、モノ−
またはジ−トリデシルアシッドホスフェート、モノ−ま
たはジ−ラウリルアシッドホスフェート、モノ−または
ジ−ノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられ
る。
【0074】上記成分の配合量は樹脂固形分の合計量に
基づいて固形分比0.1〜5質量%、好ましくは0.2
〜2質量%であることが好ましい。下限を下回ると密着
性が低下する。また、上限を越えると逆に耐水性が低下
してくる。
【0075】本発明の水性ベース塗料組成物中には、上
記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表
面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤
等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の
範囲である。
【0076】本発明の水性ベース塗料組成物の製造方法
は特に限定されず、顔料等の配合物をニーダーまたはロ
ール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の全て
の方法を用い得る。塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法の第1の工程は、被塗装物に対し
て水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程
(1)である。上記被塗装物としては特に限定されず、
例えば、金属、プラスチック、発泡体等、特に金属表
面、および鋳造物に有利に用い得るが、カチオン電着塗
装可能な金属製品に対し、特に好適に使用できる。上記
金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ス
ズ、亜鉛等およびこれらの金属を含む合金が挙げられ
る。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス
等の自動車車体および部品が挙げられる。これらの金属
は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものが
特に好ましい。
【0077】上記化成処理された鋼板上に電着塗膜が形
成されていても良く、この電着塗料としてはカチオン型
およびアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料
が防食性において優れた塗膜を与えるため好ましい。
【0078】上記プラスチック製品としては、ポリプロ
ピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化
ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等のものが挙げられる。具
体的には、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリ
ル、ドアノブ等の自動車部品等が挙げられる。さらに、
これらのプラスチック製品は、トリクロロエタンで蒸気
洗浄または中性洗剤で洗浄されたものが好ましい。ま
た、さらに静電塗装を可能にするためのプライマー塗装
が施されていてもよい。
【0079】さらに、上記電着塗膜上または上記プライ
マー層上に、中塗り塗膜が形成されていても良い。この
中塗り塗膜は中塗り塗料を塗装することによって形成さ
れるものである。上記中塗り塗料としては特に限定され
ず、水性型、溶剤型、粉体型等、当業者によってよく知
られているものを挙げることができる。
【0080】上記工程(1)における水性ベース塗料の
塗装方法としては特に限定されないが、自動車車体に塗
装する場合は、外観を高めるために、エアー静電スプレ
ー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで
塗装するか、或いは、エアー静電スプレー塗装と、通称
「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)
ベル」あるいは「メタベル」等と言われる回転霧化式の
静電塗装機とを組み合わせた塗装方法等により塗膜を形
成する方法を用いることができる。上記水性ベース塗膜
の膜厚は所望の用途により変化するが、一般に乾燥膜厚
として10〜30μmである。上限を越えると、鮮映性
が低下したり、塗装時にムラあるいはタレ等の不具合が
起こることがあり、下限を下回ると、下地が隠蔽できず
膜切れが発生する恐れがある。
【0081】良好な仕上がり塗膜を得るために、次の工
程を行う前に、未硬化のベース塗膜を40〜100℃で
2〜10分間加熱しておく、いわゆるプレヒート処理を
しておくことが好ましい。
【0082】本発明の塗膜形成方法における第2の工程
は、上記ベース塗膜を硬化させることなく、その上にク
リヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程
(2)である。上記ベース塗膜を形成した後に塗装され
るクリヤー塗膜は、上記ベース塗膜に起因する凹凸、チ
カチカ等を平滑にし、保護するために形成される。塗装
方法として具体的には、先に述べた回転霧化式の静電塗
装機により塗膜を形成することが好ましい。上記クリヤ
ー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜80μm程度が好ま
しく、より好ましくは20〜60μm程度である。上限
を越えると、塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起
こることもあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽で
きない恐れがある。
【0083】本発明の塗膜形成方法における第3の工程
は、上記ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に加熱硬
化して塗膜を形成する工程(3)であり、この手法は、
一般に2コート1ベーク法と呼ばれるものである。上記
加熱硬化温度は特に限定されないが、一般に、80〜1
80℃、好ましくは120〜160℃に設定する。上限
を越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が
充分でない。加熱硬化時間は上記加熱硬化温度により変
化するが、例えば、加熱硬化温度120℃〜160℃に
おいては10〜30分間である。
【0084】本発明の塗膜形成方法によって形成される
塗膜の膜厚は、一般に30〜300μmであり、好まし
くは50〜250μmである。上限を越えると、内部応
力歪みによって塗膜物性が低下したり、下限を下回ると
塗膜自体の強度が低下したりする恐れがある。
【0085】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。尚、以下に於いて「部」とあるのは「質
量部」を意味する。
【0086】アクリルエマルション樹脂A−1の製造 反応容器に脱イオン水126.5部を加え、窒素気流中
で撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、第1段目の
α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、アク
リル酸メチル45.21部、アクリル酸エチル27.3
7部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル7.42部、
アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプ
ロペニルフェニルエーテル硫酸エステル,第一工業製薬
社製)0.5部、アデカリアソープNE−20(α−
[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェ
ノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン,旭
電化社製製、80%水溶液)0.5部、および脱イオン
水80部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウ
ム0.24部、および脱イオン水10部からなる開始剤
溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。
滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
【0087】さらに、80℃で第2段目のα,β−エチ
レン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸エチル
15.07部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1.
86部、メタクリル酸3.07部、アクアロンHS−1
0を0.2部、および脱イオン水10部からなるモノマ
ー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.06部、および脱
イオン水10部からなる開始剤溶液とを0.5時間にわ
たり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間
同温度で熟成を行った。
【0088】次いで、40℃まで冷却し、400メッシ
ュフィルターで濾過した後、脱イオン水67.1部およ
びジメチルアミノエタノール0.32部を加えpH6.
5に調整し、平均粒子径150nm、不揮発分20%、
固形分酸価20mgKOH/g、水酸基価40mgKO
H/gのアクリルエマルション樹脂A−1を得た。
【0089】アクリルエマルション樹脂A−2の製造 製造方法は製造例1に準じ、第1段目のα,β−エチレ
ン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸メチル3
3.70部、アクリル酸エチル34.88部、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル7.42部、アクリルアミド
4.00部を使用し、第2段目のα,β−エチレン性不
飽和モノマー混合物として、アクリル酸エチル15.8
4部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1.86部、
メタクリル酸2.30部を使用し、合成した。平均粒子
径190nm、不揮発分20%、固形分の酸価が15m
gKOH/g、水酸基価40mgKOH/gのアクリル
エマルション樹脂A−2を得た。
【0090】アクリルエマルション樹脂A−3の製造 製造方法は製造例1に準じ、第1段目のα,β−エチレ
ン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸メチル3
0.61部、アクリル酸エチル37.97部、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル7.42部、アクリルアミド
4.00部を使用した。平均粒子径200nm、不揮発
分20%、固形分酸価が20mgKOH/g、水酸基価
40mgKOH/gのアクリルエマルション樹脂A−3
を得た。
【0091】アクリル樹脂B水溶液の製造 反応容器にジプロピレングリコールメチルエーテル2
3.89部およびプロピレングリコールメチルエーテル
16.11部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら1
05℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル13.
1部、アクリル酸エチル68.4部、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル11.6部、メタクリル酸6.9部
と、ジプロピレングリコールメチルエーテル10.0部
およびt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート
1部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反
応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟
成を行った。
【0092】さらに、ジプロピレングリコールメチルエ
ーテル5.0部およびt−ブチルパーオキシ2−エチル
ヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時
間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同
温度で熟成を行った。
【0093】脱溶剤装置により、減圧下(70Tor
r)110℃で溶剤を16.11部留去した後、脱イオ
ン水204部およびジメチルアミノエタノール7.14
部を加えてアクリル樹脂B水溶液を得た。得られたアク
リル樹脂B−1溶液の不揮発分は30.0%、固形分酸
価40mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g、
粘度は140ポイズ(E型粘度計1rpm/25℃)で
あった。
【0094】ポリエーテルポリオールC−1 プライムポールPX−1000(三洋化成工業社製2官
能ポリエーテルポリオール、数平均分子量400、水酸
基価278mgKOH/g、一級/二級水酸基価比=6
3/37、水トレランス無限大)を用いた。
【0095】ポリエーテルポリオールC−2 PTMG−650(三菱化学社製2官能ポリエーテルポ
リオール、数平均分子量650、水酸基価175mgK
OH/g、一級/二級水酸基価比=100/0、水トレ
ランス3.0ml)を用いた。
【0096】硬化剤 サイメル204(三井サイテック社製混合アルキル化型
メラミン樹脂、水トレランス3.6ml)を用いた。
【0097】リン酸基含有アクリル樹脂の合成 攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応
容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにス
チレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エ
チルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル
酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマ
ーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ
(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶
解した溶液40部、およびアゾビスイソブチロニトリル
1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃
で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。
【0098】得られた樹脂は、酸価105mgKOH/
g、うちリン酸基による酸価55mgKOH/g、水酸
基価60mgKOH/g、数平均分子量6000のアク
リルワニスで、不揮発分が63%であった。
【0099】実施例1 先の製造例で得られたエマルション樹脂A−1を275
部、10質量%ジメチルエタノールアミン水溶液10
部、アクリル樹脂B−1を33部、ポリエーテルポリオ
ールC−1を10部、硬化剤を25部、アルペーストM
H8801(旭化成社製アルミニウム顔料)23.1
部、ネオレジンズ ネオレッツR−9603(アビシア
製ポリカーボネート系ウレタンエマルション樹脂、不揮
発分33%)30部、リン酸基含有アクリル樹脂5部お
よびラウリルアシッドフォスフェート0.3部とを添加
し、均一分散することにより水性ベース塗料組成物を得
た。
【0100】リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦3
0cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料
「パワートップU−50」(日本ペイント社製)を、乾
燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で
30分間加熱した塗板に、25秒(No.4フォードカ
ップを使用し、20℃で測定)に、予め希釈されたグレ
ー中塗り塗料「オルガP−2」(日本ペイント社製ポリ
エステル・メラミン系塗料)を、乾燥膜厚35μmとな
るようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で
30分間、加熱した。
【0101】冷却後、先に製造した水性ベース塗料組成
物を、脱イオン水を用いて30秒(No.4フォードカ
ップを使用し、20℃で測定)に希釈した。室温25
℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚20μmとなるよ
うに水系塗料塗装用「μμベルCOPES−IV型」
(ABBインダストリー社製)で2ステージ塗装した。
2回の塗布の間に、1分間のインターバルセッティング
を行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをと
って、セッティングを行った。その後、80℃で5分間
のプレヒートを行った。
【0102】プレヒート後、塗装板を室温まで放冷しベ
ース塗膜の半分をマスクした後、クリヤー塗料として
「マックフローO−1800Wクリヤー」(日本ペイン
ト社製酸/エポキシ硬化系クリヤー塗料)を、乾燥膜厚
40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッテ
ィングした。ついで、塗装板を乾燥機で140℃で30
分間加熱して、ベース塗膜のみ硬化させた部分とベース
塗膜とクリヤー塗膜とからなる塗膜を有する塗装板を得
た。
【0103】実施例2 アクリルエマルション樹脂A−1に代えて、アクリルエ
マルション樹脂A−2としたこと以外は実施例1と同様
にして水性ベース塗料組成物を配合した後、塗膜を作成
した。
【0104】実施例3 アクリルエマルション樹脂A−1に代えて、アクリルエ
マルション樹脂A−3としたことと、ポリエーテルポリ
オールC−1に代えて、ポリエーテルポリオールC−2
としたこと以外は実施例1と同様にして水性ベース塗料
組成物を配合した後、塗膜を作成した。
【0105】実施例4 ネオレジンズ ネオレッツR−9603を60質量部と
したこと以外は実施例1と同様にして水性ベース塗料組
成物を配合した後、塗膜を作成した。
【0106】比較例1〜3 ネオレジンズ ネオレッツR−9603を用いなかった
こと以外は実施例1〜3と同様にして、水性ベース塗料
組成物を得た後、塗装板を得た。
【0107】評価試験 実施例1〜4および比較例1〜3で得られた塗装板につ
いて、そのフリップフロップ性を、ALCOPE LM
R−100(関西ペイント社製表面形状測定装置)を用
いて、ベース塗膜のみの部分のIV値(a)とベース塗
膜とクリヤー塗膜とからなる部分のIV値(b)とを測
定して評価したところ、いずれも160以上であり、合
格であった。さらに、得られたIV値(a)およびIV
値(b)を、((a)−(b))/(a)×(100)
にて計算して低下率を求め、10%以下であるものを合
格とした。評価結果は表1に示した。
【0108】
【表1】
【0109】表1から明らかなように、本発明の水性ベ
ース塗料組成物を用い2コート1ベーク法によって得ら
れた塗膜(実施例1〜4)は、ベース塗膜のみのIV値
と比較してIV値の低下率が小さく、ベース塗膜および
クリヤー塗膜の混層の影響が小さく、2コート1ベーク
法によって得られた塗膜もフリップフロップ性が良好で
あることがわかった。しかしながら、ウレタンエマルシ
ョン樹脂を含まない水性ベース塗料組成物を用いた場合
(比較例1〜3)、IV値の低下率が大きく、2コート
1ベーク法によって得られた塗膜はフリップフロップ性
が低下することがわかった。
【0110】
【発明の効果】本発明の水性ベース塗料組成物は、特定
のアクリルエマルション樹脂、ポリエーテルポリオー
ル、ウレタンエマルション樹脂および光輝材を含んでい
るので、ベース塗膜およびクリヤー塗膜からなる塗膜を
2コート1ベーク法によって形成した場合に、フリップ
フロップ性が良好である。これは、クリヤー塗膜形成時
のベース塗膜とクリヤー塗膜との混層が、ベース塗膜中
に存在するウレタンエマルション樹脂によって抑制され
たことによると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/29 C09D 5/29 167/00 167/00 167/08 167/08 171/08 171/08 175/04 175/04 (72)発明者 金倉 顕博 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 AE09 AE12 BB26Z CB03 CB06 DA06 DA23 DB01 DB02 DB06 DB07 DB31 DB34 DB36 DB38 DB48 DB50 DB53 DC12 DC13 EA06 EA13 EA43 EB22 EB32 EB35 EB36 EB38 EB52 EB55 EB56 EC11 4J038 CG031 CG141 DA112 DB002 DD002 DD232 DF012 DF052 DG052 DG132 DG272 DG282 DG302 GA01 GA03 GA06 GA09 HA066 HA486 HA546 KA03 KA08 MA08 MA10 NA24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エステル部の炭素数が1または2の(メ
    タ)アクリル酸エステルを65質量%以上含んでいる、
    酸価3〜50mgKOH/gのα,β−エチレン性不飽
    和モノマー混合物を乳化重合して得られるアクリルエマ
    ルション樹脂、1分子中に一級水酸基を平均0.02個
    以上有し、数平均分子量300〜3000であり、水ト
    レランスが2.0以上であるポリエーテルポリオール、
    ウレタンエマルション樹脂および光輝材を含有すること
    を特徴とする水性ベース塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記ウレタンエマルション樹脂は、塗料樹
    脂固形分100質量部当たり、3〜30質量部含有する
    請求項1に記載の水性ベース塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記ポリエーテルポリオールは、1分子中
    に少なくとも一級水酸基を1個以上有し、かつ水酸基価
    が30〜700mgKOH/gである請求項1または2
    に記載の水性ベース塗料組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリエーテルポリオールは、1分子中
    に2個以上の水酸基を有することを特徴とする請求項1
    〜3のうちのいずれか1つに記載の水性ベース塗料組成
    物。
  5. 【請求項5】さらに、ポリエステル樹脂またはアルキド
    樹脂を含んでいることを特徴とする請求項1〜4のうち
    のいずれか1つに記載の水性ベース塗料組成物。
  6. 【請求項6】被塗装物に対して水性ベース塗料を塗装し
    てベース塗膜を形成する工程(1)、前記ベース塗膜を
    硬化させることなく、その上にクリヤー塗料を塗装して
    クリヤー塗膜を形成する工程(2)、および、前記ベー
    ス塗膜およびクリヤー塗膜を同時に加熱硬化して塗膜を
    形成する工程(3)を含む塗膜の形成方法において、前
    記水性ベース塗料が、請求項1〜5のいずれか1つに記
    載の水性ベース塗料組成物であることを特徴とする塗膜
    形成方法。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の方法により形成された塗
    膜。
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