[go: up one dir, main page]

JP2003292826A - 複合体、コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、及び、画像表示装置 - Google Patents

複合体、コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、及び、画像表示装置

Info

Publication number
JP2003292826A
JP2003292826A JP2002097786A JP2002097786A JP2003292826A JP 2003292826 A JP2003292826 A JP 2003292826A JP 2002097786 A JP2002097786 A JP 2002097786A JP 2002097786 A JP2002097786 A JP 2002097786A JP 2003292826 A JP2003292826 A JP 2003292826A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
refractive index
composite
fine particles
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002097786A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4187454B2 (ja
Inventor
Toshio Yoshihara
俊夫 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2002097786A priority Critical patent/JP4187454B2/ja
Publication of JP2003292826A publication Critical patent/JP2003292826A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4187454B2 publication Critical patent/JP4187454B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜に所定の屈折率や導電性などの何らか
の機能を付与するためにコーティング組成物中に配合さ
れる、分散性、分散安定性に優れた原料微粒子を提供す
ることにある。また、当該原料微粒子を用いて、分散
性、分散安定性に優れ、小さいヘイズと実使用に耐え得
る膜強度を保持し得るコーティング組成物、当該コーテ
ィング組成物を用いて形成した塗膜、当該塗膜を用いた
機能性透明薄膜を提供する。 【解決手段】 本発明に係る複合体は、数平均分子量2
0,000以上のポリマー部分に、0.01〜0.1μ
mの範囲の一次粒子径を有する無機酸化物微粒子が1又
は2以上共有結合してなる。また、本発明に係るコーテ
ィング組成物は、少なくとも、前記複合体、及び、有機
溶剤からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散性、分散安定
性、塗工適性に優れるコーティング組成物、当該コーテ
ィング組成物に配合される材料、当該コーティング組成
物を用いて形成した塗膜、及び、当該塗膜を利用した機
能性薄膜に関する。
【0002】本発明は特に好適には、LCDやCRT等
の表示面を被覆する反射防止膜を構成する層、特に中〜
高屈折率層、高屈折率ハードコート層、導電性透明薄膜
などの光学薄膜を形成するのに適したコーティング組成
物、当該コーティング組成物を用いて形成した光学薄膜
の層を有する反射防止膜、及び、そのような反射防止膜
を適用した反射防止フィルムに関する。
【0003】
【従来の技術】液晶ディスプレー(LCD)や陰極管表
示装置(CRT)等の画像表示装置の表示面は、その視
認性を高めるために、蛍光燈などの外部光源から照射さ
れた光線の反射が少ないことが求められる。
【0004】透明な物体の表面を屈折率の小さい透明皮
膜で被覆することにより反射率が小さくなる現象が従来
から知られており、このような現象を利用した反射防止
膜を画像表示装置の表示面に設けて視認性を向上させる
ことが可能である。反射防止膜は、表示面の上に屈折率
の小さい低屈折率層を設けた単層構成、または、反射防
止効果を更に良好にするために表示面の上に中〜高屈折
率層を1乃至複数層設け、中〜高屈折率層の上に最表面
の屈折率を小さくするための低屈折率層を設けた多層構
成を有する。
【0005】また、表示面に埃などが付着して視認性が
低下するのを防ぐために、表示面に比較的弱い導電性を
有する帯電防止膜を設ける場合がある。帯電防止膜は、
表示面に反射防止膜と共に設けたり、反射防止膜の一層
として設けたり、又は、前記反射防止膜を必要としない
表示面に帯電防止膜のみ設けたりするが、いずれの場合
も表示面の視認性を確保するために透明性が要求され
る。
【0006】さらに、表面が柔らかく傷つき易いプラス
チックの上に上記の反射防止膜や帯電防止膜を設ける場
合には、基材上に下地としてハードコート層を形成し、
当該ハードコート層を介して反射防止膜や帯電防止膜を
設けることが望ましいが、この場合にはハードコート層
にも透明性が要求される。
【0007】また、液晶表示装置などには透明電極とし
て比較的導電性の大きい透明導電膜が組み込まれる。
【0008】このような反射防止膜に含まれる各層、或
いは、透明導電膜等として利用される導電性透明薄膜を
形成する方法は、一般に気相法と塗布法に大別され、気
相法には真空蒸着法、スパッタリング法等の物理的方法
と、CVD法等の化学的方法とがあり、塗布法にはロー
ルコート法、グラビアコート法、スライドコート法、ス
プレー法、浸漬法、及び、スクリーン印刷法等がある。
【0009】気相法による場合には、高機能且つ高品質
な透明薄膜を形成することが可能だが、高真空系での精
密な雰囲気の制御が必要であり、また、特殊な加熱装置
又はイオン発生加速装置が必要であり、そのために製造
装置が複雑で大型化するために必然的に製造コストが高
くなるという問題がある。また、気相法による場合に
は、透明薄膜を大面積化したり或いは複雑な形状を持つ
フィルム等の表面に透明薄膜を均一な膜厚に形成するこ
とが困難である。
【0010】一方、塗布法のうちスプレー法による場合
には、塗工液の利用効率が悪く、成膜条件の制御が困難
である等の問題がある。ロールコート法、グラビアコー
ト法、スライドコート法、浸漬法及びスクリーン印刷法
等による場合には、成膜原料の利用効率が良く、大量生
産や設備コスト面での有利さがあるが、一般的に、塗布
法により得られる透明薄膜は、気相法により得られるも
のと比較して機能及び品質が劣るという問題点がある。
【0011】近年、優れた品質を有する高屈折率層及び
中屈折率層の薄膜を形成し得る塗布法として、有機物か
らなるバインダーの溶液中に酸化チタンや酸化スズ等の
高屈折率微粒子や高屈折率で且つ導電性を有する微粒子
を分散させた塗工液を基板上に塗布し、塗膜を形成する
方法が提案されている。
【0012】中〜高屈折率層を形成する塗膜は可視光領
域において透明であることが必須であるため、高屈折率
微粒子としては一次粒子径が可視光線の波長以下である
所謂超微粒子を使用すると共に、当該高屈折率微粒子を
塗工液中及び塗膜中に均一に分散する必要がある。しか
しながら一般に、微粒子の粒子径を小さくしていくと、
微粒子の表面積が大きくなり、粒子間の凝集力が増大す
る。そして、塗工液の固形成分が凝集すると、得られる
塗膜のヘイズが悪化して透明性が低下したり、塗膜の均
一性が悪化して膜強度や隣接層の密着性が低下するなど
の問題を生じる。従って、高屈折率層及び中屈折率層の
薄膜を形成する塗工液には、ヘイズの小さい均一な塗膜
を形成するために十分な分散性を有することが求められ
る。また、塗工液には、長期間に渡って容易に保存でき
るように十分な分散安定性を有することが求められる。
【0013】超微粒子の凝集という問題は、当該超微粒
子に対して良好な分散性を示す分散剤を使用することに
より解決することができる。分散剤は、凝集する微粒子
間に浸透しながら微粒子表面に吸着し、分散処理の過程
で凝集状態をほぐしながら溶剤中への均一分散化を可能
とする。しかしながら、超微粒子は表面積が増大してい
るので、これを塗工液中に均一に分散させ、長期保存に
耐え得るほどに安定化させるためには大量の分散剤が必
要になる。塗工液に大量の分散剤を配合すると、当該塗
工液を用いて形成した塗膜にも分散剤が多量に存在する
こととなり、分散剤がバインダー成分の硬化を妨げ、塗
膜の強度を極端に低下させる。
【0014】さらに、塗工液には、大量生産の観点から
大面積薄膜を容易に形成できるように、塗工時に均一に
薄く塗布することができ、且つ、乾燥むらが生じないよ
うに塗工適性が求められる。
【0015】また、中〜高屈折率層には、当該中〜高屈
折率層に隣接しているハードコート層や低屈折率層に対
して十分な密着性を有することが求められる。いわゆる
ウエット法により塗工液から形成した中〜高屈折率層の
上に、蒸着法などのいわゆるドライ法により酸化ケイ素
(SiOx)膜などの低屈折率層を形成する場合には、
密着性が極めて足りず簡単に剥離してしまうので、特に
優れた密着性が求められる。
【0016】また、ハードコート層は本来、反射防止膜
の傷付きを防止するために中〜高屈折率層の支持層とし
ての役割を持っているが、このハードコート層に高屈折
率微粒子を配合して、高屈折率層としての機能を併せ持
つ高屈折率ハードコート層とする場合には、高屈折率層
が不要になり、反射防止膜の構成層数を減らすことがで
きる。しかし、中〜高屈折率層の厚さは0.05〜0.
2μm程度であるのに対してハードコート層は十分な硬
度を確保すると言う本来の目的のために0.2〜20μ
m程度とかなり厚く形成されるので、高屈折率ハードコ
ート層を中〜高屈折率層用塗工液と同様の塗工液を用い
てウエット法により形成する場合には、中〜高屈折率層
をウエット法により形成する場合にも増して高屈折率微
粒子の凝集による透明性の悪化を招きやすい。しかも、
ハードコート層には高い硬度が求められるのに対して、
上記したように分散剤には塗膜のバインダー硬化を妨げ
る性質があるので、ハードコート層用塗工液に配合でき
る分散剤の量は、中〜高屈折率層用塗工液にも増して制
限される。従って、高屈折率ハードコート層用塗工液に
対する分散剤削減の要求は、中〜高屈折率層用塗工液に
対するよりも、さらに厳しい。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実状を鑑
みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、塗
膜に所定の屈折率や導電性などの何らかの機能を付与す
るためにコーティング組成物中に配合される、分散性、
分散安定性に優れた原料微粒子を提供することにある。
【0018】また、本発明の第二の目的は、塗膜に所定
の屈折率や導電性などの何らかの機能を付与するために
配合される微粒子の分散性、分散安定性に優れ、小さい
ヘイズと実使用に耐え得る膜強度を保持し得る、保存性
の良いコーティング組成物を提供することにある。ま
た、本発明の第三の目的は、分散性、分散安定性と共
に、塗工適性にも優れ大面積薄膜を形成し得るコーティ
ング組成物を提供することにある。
【0019】本発明の第四の目的は、上記第二又は第三
の目的を達成し得るコーティング組成物を用いて、何ら
かの機能を有する透明薄膜、特に、低屈折率層や中乃至
高屈折率層や高屈折率ハードコート層などの反射防止膜
に含まれる層を形成したり、或いは、帯電防止膜や帯電
防止性ハードコート層や透明電極膜などの導電性透明薄
膜を形成するのに好適な塗膜を提供することにある。
【0020】本発明の第五の目的は、画像表示装置の表
示面に好適に適用される反射防止膜や帯電防止膜やハー
ドコート膜、及び、画像表示装置の画素駆動素子として
好適に用いられる透明導電膜を提供することにある。
【0021】本発明の第五の目的は、そのような反射防
止膜、帯電防止膜、ハードコート膜、透明導電膜を利用
した反射防止フィルム、帯電防止フィルム、ハードコー
トフィルム、透明導電フィルムを提供することにある。
【0022】本発明は、これらの目的のうち少なくとも
ひとつを解決するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明に係る複合体は、数平均分子量20,000以
上のポリマー構造を有するポリマー部分と、0.01〜
0.1μmの範囲の一次粒子径を有する無機酸化物微粒
子とが共有結合を形成してなるものであり、好ましく
は、該ポリマー部が光硬化性及び/又は熱硬化性を有し
ている。
【0024】本発明に係る複合体は、1又は2以上の無
機酸化物微粒子を比較的分子サイズの大きいポリマー構
造の部分に共有結合させたものであり、当該無機酸化物
微粒子を均一に分散させた状態でポリマー部分に固定で
きる。従って、本発明に係る複合体を有機溶剤に溶解・
分散させる場合には、非常に少量の分散剤を用いるだけ
で、さらに理想的な場合には分散剤を全く使用しないで
も分散性、分散安定性に優れる塗工液を調製することが
可能である。
【0025】また、本発明に係る複合体は、無機酸化物
微粒子としての機能と、バインダーポリマーとしての機
能を有しているので、当該複合体を有機溶剤に溶解・分
散させ、必要に応じて複合体化していない遊離の無機酸
化物微粒子及び/又はバインダー成分を少量追加するだ
けで、分散性、分散安定性に優れる塗工液を調製するこ
とが可能である。理想的な場合には、複合体化していな
い無機酸化物微粒子及び/又はバインダー成分を全く追
加しなくても、塗工液を調製することが可能である。
【0026】次に、本発明に係るコーティング組成物
は、少なくとも、(1)上記本発明に係る複合体、及
び、(2)有機溶剤からなり、必要に応じて前記複合体
を構成していない無機酸化物微粒子及び/又はバインダ
ー成分をさらに含有することを特徴とする。
【0027】本発明に係るコーティング組成物は、上記
複合体を有機溶剤に溶解分散してなるものであり、当該
コーティング組成物中において複合体の金属酸化物微粒
子は溶解状態になったポリマー部分に共有結合により固
定され続けており、金属酸化物微粒子の自由な空間移動
が規制され、且つ、金属酸化物微粒子同士が接近して
も、粒子間にポリマー部分が介在して接触を妨げられる
ので均一、且つ、安定的に分散している。
【0028】このように、本発明に係るコーティング組
成物は、金属酸化物微粒子の分散性、分散安定性に優れ
ているので、複合体の無機酸化物微粒子及び遊離の無機
酸化物微粒子の含有量をコントロールし、当該コーティ
ング組成物を基材等の被塗工体の表面に塗布し、乾燥
し、必要に応じて硬化させることによって、無機酸化物
微粒子の物性に起因する何らかの機能が付加され、透明
性が高く、ヘイズが小さく、且つ、実使用に耐え得る膜
強度を有する塗膜が得られる。
【0029】また、本発明に係るコーティング組成物
は、塗工適性に優れ、均一な大面積の薄膜を容易に形成
することができ、ヘイズの小さい透明膜を低コストで大
量生産するのに適している。
【0030】また、本発明に係る塗膜は、上記コーティ
ング組成物を用いて形成されるものである。この塗膜
は、透明性が高く、ヘイズが小さく、且つ、無機酸化物
微粒子の配合量をコントロールして機能、性能を調節で
きるので、さまざまな機能性透明薄膜として利用でき
る。代表的には、反射防止膜の低屈折率層や中乃至高屈
折率層や高屈折率ハードコート層のような光学薄膜や、
帯電防止膜や帯電防止性ハードコート層や透明電極膜な
どの導電性透明薄膜を形成するのに好適に利用できる。
【0031】さらに、本発明に係る塗膜のバインダーが
水素結合形成基を有する場合には、隣接層、その中でも
特に蒸着層との密着性が特に優れている。
【0032】そして、本発明に係る塗膜を含んでいる反
射防止膜は、液晶表示装置やCRT等の表示面に好適に
適用される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下において本発明を詳しく説明
する。なお、本明細書中において(メタ)アクリロイル
はアクリロイル及びメタクリロイルを表し、(メタ)ア
クリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、
(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
【0034】先ず、本発明に係る複合体について説明す
る。本発明に係る複合体は、0.01〜0.1μmの範
囲の一次粒子径を有する無機酸化物微粒子に対し、数平
均分子量20,000以上のポリマー部分が共有結合を
形成してなるものであり、塗膜に所定の屈折率や導電性
などの何らかの機能を付与するための形成材料として好
適に用いることができる。
【0035】本発明に係る複合体は、次のような特徴を
備えている。 (1)複合体の構成成分である無機酸化物微粒子は優れ
た透明性を有しているので、本発明に係る複合体を用い
て塗膜を形成することにより、当該塗膜の透明性を損な
うこと無く、無機酸化物微粒子の物性に起因する何らか
の機能、例えば、所定の値に調節された屈折率や、導電
性を付与することができる。 (2)本発明に係る複合体は、無機酸化物微粒子に比較
的分子サイズの大きいポリマー構造の部分に共有結合さ
せたものであり、当該無機酸化物微粒子を均一に分散さ
せた状態でポリマー部分に固定できる。従って、本発明
に係る複合体を有機溶剤に溶解・分散させる場合には、
ポリマー部分が結合した無機酸化物微粒子は自由な空間
移動が阻害され、また、隣接する無機酸化物微粒子の間
に当該ポリマー部分が介在して接近を妨げるので、非常
に少量の分散剤を用いるだけで、さらに理想的な場合に
は分散剤を全く使用しないでも分散性、分散安定性に優
れる塗工液を調製することが可能である。 (3)本発明に係る複合体は、無機酸化物微粒子として
の機能と、バインダーポリマーとしての機能を有してい
るので、当該複合体を有機溶剤に溶解・分散させ、必要
に応じて複合体化していない遊離の無機酸化物微粒子及
び/又はバインダー成分を少量追加するだけで、分散
性、分散安定性に優れる塗工液を調製することが可能で
ある。理想的な場合には、複合体化していない無機酸化
物微粒子及び/又はバインダー成分の追加は全く不要で
あり、本発明に係る複合体を有機溶剤に溶解・分散させ
るだけで分散性、分散安定性に優れる塗工液を調製する
ことも可能である。 (4)本発明に係る複合体に複合体化していない無機酸
化物微粒子を追加する場合でも、その量は少量なので凝
集が起こり難く、非常に少量の分散剤を用いるだけで、
さらに理想的な場合には分散剤を全く使用しないでも分
散性、分散安定性に優れる塗工液を調製することが可能
である。
【0036】以下、本発明に係る複合体について、さら
に詳しく説明する。先ず、無機酸化物微粒子は、塗膜に
付与したい機能を考慮して適切なものが選択される。
【0037】例えば、反射防止膜の中屈折率層、高屈折
率層又は高屈折率ハードコート層を形成したい場合に
は、屈折率が比較的高い無機酸化物微粒子をコーティン
グ組成物に配合して所定の屈折率に調節する。屈折率が
高い無機酸化物としては、例えば、チタニア(酸化チタ
ン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化亜鉛、酸
化錫、酸化セリウム、酸化アンチモン、スズをドープし
た酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした
酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム
(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZ
O)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)な
どを用いることができる。
【0038】高屈折率を有する無機酸化物のうちでも酸
化チタンは、特に屈折率が高く且つ透明性も高いので、
屈折率を調節するための成分として適している。酸化チ
タンには、ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型が
あるが、本発明においてはアナターゼ型やアモルファス
型と比べて屈折率の高いルチル型の酸化チタンを用いる
のが好ましい。
【0039】また、反射防止膜の低屈折率層を形成した
い場合には、屈折率が比較的低い無機酸化物微粒子をコ
ーティング組成物に配合して所定の屈折率に調節する。
屈折率が低い無機酸化物としては、例えば、フッ化マグ
ネシウム、フッ化カルシウム、二酸化ケイ素などを用い
ることができる。
【0040】また、帯電防止膜、帯電防止膜としての機
能を有するハードコート層、又は、透明導電膜等として
利用できる導電性透明薄膜を形成したい場合には、導電
性が比較的大きい無機酸化物微粒子をコーティング組成
物に配合して所定の導電率に調節する。導電性が大きい
無機酸化物としては、例えば、酸化錫、スズをドープし
た酸化インジウム(ITO)、及び、アンチモンをドー
プした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化イン
ジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛
(AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FT
O)などを用いることができる。
【0041】特に上記例示の導電性無機酸化物は、比較
的大きい導電性と共に比較的高い屈折率も有するので、
これらを用いる場合には透明薄膜に高い屈折率と共に導
電性を付与することができ、帯電防止膜としての機能を
有する中乃至高屈折率層、及び、帯電防止膜としての機
能を有する高屈折率ハードコート層を形成することも可
能である。
【0042】無機酸化物微粒子は、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。その場合には、主となる機能が異な
る無機酸化物微粒子同士を組み合わせることにより、複
数の機能をバランスよく備えた透明薄膜を形成すること
ができる。例えば、屈折率は極めて大きいが導電性の小
さいルチル型酸化チタン微粒子と、導電性は極めて大き
いが屈折率はルチル型酸化チタンよりも小さい上記の導
電性無機酸化物を組み合わせて、所定の屈折率と良好な
帯電防止性能を兼ね備えた高屈折率層を形成することが
可能である。
【0043】無機酸化物は、塗膜の透明性を低下させな
いために、いわゆる超微粒子サイズのものを用いる。こ
こで、「超微粒子」とは、一般的にサブミクロンオーダ
ーの粒子のことであり、一般的に「微粒子」と呼ばれて
いる数μmから数100μmの粒径を有する粒子よりも
粒径の小さいものを意味している。すなわち本発明にお
いて無機酸化物微粒子は、一次粒子径が0.01μm以
上であり、且つ、0.3μm以下、好ましくは0.1μ
m以下のものを用いる。平均粒子径が0.01μm未満
のものは、コーティング組成物中に均一に分散させるこ
とが困難であり、ひいては、無機酸化物超微粒子を均一
に分散させた塗膜が得られなくなる。また、平均粒子径
が0.3μm超のものは、塗膜の透明性を損なうので好
ましくない。無機酸化物微粒子の一次粒子径は、走査型
電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出の
イメージ写真から目視計測してもよいし、動的光散乱法
や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により機械計
測してもよい。
【0044】無機酸化物微粒子の一次粒子径が上記範囲
内であれば、その粒子形状が球状であっても針状であっ
ても、その他どのような形状であっても本発明に用いる
ことができる。
【0045】金属酸化物微粒子の粒子径が小さくなって
表面積が増大したものは、光触媒活性が強調されるた
め、数μmの粒子径では光触媒活性を示さないジルコニ
ア微粒子などでさえ超微粒子サイズとして塗膜中に大量
に分散させた場合には、太陽光などの紫外線が含まれる
環境に放置すると、バインダーとして用いるポリマーの
劣化を引き起こし、それに伴い所望の透明性や屈折率や
導電性を大きく変化させ、数日間放置しただけで薄膜の
性能が大きく損なわれるおそれがある。
【0046】そこで、本発明で用いる無機酸化物微粒子
は、その表面の少なくとも一部が光触媒活性を低下又は
消失させる無機化合物により被覆されていることが好ま
しい。無機化合物は、被覆すべき無機酸化物微粒子との
比較において光触媒活性の低いものを選択して用いる。
無機酸化物微粒子は、自己の光触媒活性よりも弱い光触
媒活性を有する無機化合物により光線から遮断されるこ
とになり、光触媒活性が抑制される。
【0047】無機酸化物微粒子の表面の少なくとも一部
を被覆する無機化合物としては、例えば、アルミナ、シ
リカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物や、
アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、スズをド
ープした酸化インジウム(ITO)、亜鉛をドープした
酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした
酸化亜鉛(AZO)、フッ素をドープした酸化スズ(F
TO)等の導電性複合金属酸化物などを例示することが
でき、これらの中から1種単独で又は2種以上の組み合
わせて用いることができる。
【0048】塗膜の屈折率を高い又は低い値に調節する
ために無機酸化物微粒子を用いる場合には、無機酸化物
微粒子に合わせて出来るだけ屈折率の高い又は低い無機
化合物を用いるのが好ましい。
【0049】導電性を有しない無機酸化物微粒子に、上
記したような導電性複合金属酸化物を被覆することによ
って、無機酸化物微粒子に導電性を付与することが可能
である。例えば、反射防止膜の高屈折率層を形成するた
めに、無機酸化物微粒子として屈折率は高いが導電性を
有しない酸化チタン微粒子を用いる場合には、当該酸化
チタン微粒子の表面を上記したような導電性複合金属酸
化物で被覆して導電性を付与することによって、帯電防
止機能を有する高屈折率層が得られる。
【0050】無機酸化物微粒子の表面を無機化合物によ
り被覆するには、無機酸化物微粒子を水に分散させた分
散液中に、被覆させたい無機化合物の塩、或いは、加水
分解により被覆させたい無機化合物を生じ得る有機金属
化合物を添加し、pH及び/又は温度条件を変えること
で、無機酸化物微粒子の表面に所望の無機化合物を物理
化学的に吸着させる。
【0051】無機化合物で被覆した無機酸化物微粒子
は、市販品にも存在しており、例えば、アルミナで被覆
した酸化チタンとしては石原産業のTTO51シリーズ
や、テイカ株式会社のMT−500シリーズを入手する
ことができる。
【0052】複合体を構成するポリマー部分は、塗膜の
バインダー成分として機能して成膜性に寄与すると共
に、前記無機酸化物微粒子を均一に分散させた状態で複
合体中に共有結合により固定する足場として機能する成
分である。複合体のポリマー部分は、分子サイズが数平
均分子量で20,000以上、好ましくは50,000
以上となるように形成する。比較的分子量が大きい、す
なわち分子サイズが大きいポリマー部分に無機酸化物微
粒子を共有結合させて複合体化することによって、当該
複合体を溶剤に溶解分散した時に、溶液中での無機酸化
物微粒子の自由な空間移動を強力に規制すると共に、隣
接する無機酸化物微粒子間にポリマー部分が介在し、無
機酸化物微粒子の凝集を防止できるようになる。
【0053】複合体のポリマー部分は、コーティング組
成物を調製する時に有機溶剤に対する溶解性、分散性に
優れ、コーティング面となる基材や隣接層に対する密着
性に優れ、且つ/又は、無機酸化物微粒子と共有結合さ
せる時に親和性に優れていることが好ましい。
【0054】ポリマー部分は、例えば、ポリ(メタ)ア
クリル酸やポリ(メタ)アクリレートのようなα,β−
エチレン性不飽和モノマー系、ポリシロキサン系、ポリ
オレフィン系、ポリスチロール系、ポリアミド系、ポリ
イミド系、ポリビニルクロライド系、ポリビニルアルコ
ール系、ポリビニルブチラール系、ポリカーボネート系
など各種の単独重合又は共重合ポリマー構造により構成
することができる。
【0055】これらのなかでも、分散安定性や塗膜形成
後の機械的強度が必要な場合には、α,β−エチレン性
不飽和モノマー系、及び/又は、ポリシロキサン系の単
独重合ポリマー又は共重合ポリマーの構造を用いるのが
好ましい。
【0056】ここで、α,β−エチレン性不飽和モノマ
ー系ポリマーとは、α,β−エチレン性不飽和結合を有
するモノマーを用いる単独若しくは共重合により得られ
るポリマーである。
【0057】α,β−エチレン性不飽和結合を有するモ
ノマーとしては、以下に例示するような1又は2以上の
α,β−エチレン性不飽和結合を有するものを用いるこ
とができ、そのようなモノマーの中から溶剤への溶解性
やバインダー成分との親和性などの観点から適宜好まし
い組み合わせのモノマーを使用する。
【0058】(1)分子内に1個のα,β−エチレン性
不飽和結合を有するもの: 1)カルボキシル基含有単量体 例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタ
コン酸、マレイン酸、フマル酸等; 2)ヒドロキシル基含有単量体 例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロ
キシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレ
ート、アリルアルコール、メタアリルアルコール等; 3)含窒素アルキルアクリレート若しくはメタクリレー
ト 例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチル
アミノエチルメタクリレート等; 4)重合性アミド 例えば、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等; 5)重合性ニトリル 例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等; 6)アルキルアクリレート若しくはメタクリレート 例えば、メチルアクレート、メチルメタクリレート、エ
チルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチル
アクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート等; 7)重合性芳香族化合物 例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、t−ブチルスチレン等; 8)α−オレフィン 例えば、エチレン、プロピレン等; 9)ビニル化合物 例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等; (2)分子内に2個以上のα,β−エチレン性不飽和結
合を有するもの: 10)ジエン化合物 例えば、ブタジエン、イソプレン等; 11)多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エ
ステル、多塩基酸の重合性不飽和アルコールエステル又
は2個以上のビニル基で置換された芳香族化合物 例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート、トリエチレングリコール
ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタク
リレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタン
ジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペン
タエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロール
ジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリ
セロールアリロキシジメタクリレート、1,1,1−ト
リスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,
1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、
1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタクリ
レート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタント
リメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチ
ルプロパンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロ
キシメチルプロパントリアクリレート、1,1,1−ト
リスヒドロキシメチルプロパンジメタクリレート、1,
1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリメタクリ
レート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシア
ヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフ
タレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン等;
及び、これらの組み合わせ。
【0059】また、ポリシロキサン系ポリマーとは、ジ
メチルポリシロキサン構造を基本骨格に持ち、必要に応
じて少なくとも一部が水酸基、カルボキシル基、エポキ
シ基、グリシジル基、アミド基等を含んでいるポリマー
である。具体的には、次の一般式(1)で表される有機
ケイ素化合物の加水分解によって得られる。
【0060】式(1):RR’aSiX3-a (式中、Rは炭素数1〜10の有機基、R’は炭素数1
〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Xは加水
分解性基であり、aは0又は1である。) 有機ケイ素化合物の具体例としては、次のような化合物
を例示することができる。すなわち、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメト
キシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メ
チルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメト
キシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シ
アノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシ
シラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチ
ルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキ
シシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α
−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシ
ドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエ
チルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリ
エトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
フェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキ
シシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシド
キシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシ
ラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリ
メトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)
メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシエトキシシ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラ
ン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)ブチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシ
ラン、トリアシルオキシシラン又はトリフェノキシシラ
ン類、又はその加水分解物。
【0061】さらに有機ケイ素化合物の具体例として
は、次のような化合物を例示することもできる。すなわ
ち、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチ
ルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオ
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエト
キシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビ
ニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメ
トキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシ
ラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、
β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−
グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリ
シドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジアセトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
フェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
フェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン、ジ
フェノキシシラン又はジアシルオキシシラン類、又はそ
の加水分解物。
【0062】上記式1で表される有機ケイ素化合物の具
体例としては、さらに、ジメチルジクロロシランのよう
なジハロゲン化シラン又はその加水分解物を例示するこ
ともできる。
【0063】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グ
アナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン
−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を
使用することができる。これらの樹脂は必要に応じて架
橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度
調整剤等を加えて使用する。
【0064】また、複合体のポリマー部分は、塗工膜に
強度、耐久性、密着性を付与するためには、当該複合体
を配合したコーティング組成物を被塗工体の表面に塗布
し、必要に応じて乾燥させた後、何らかの化学反応によ
って重合、好ましくは架橋して硬化し得ることが好まし
い。複合体のポリマー部分が、エチレン性不飽和結合や
エポキシ基のような反応硬化性基を有する場合には、そ
のような反応硬化性を示す。例えば、エチレン性不飽和
結合をポリマー部分に導入して光ラジカル重合による光
硬化性や熱ラジカル重合による熱硬化性を付与したり、
或いは、エポキシ基をポリマー部分に導入して熱硬化性
や光カチオン重合による光硬化性を付与することが可能
であるが、2以上のエチレン性不飽和結合をポリマー部
分に導入することにより光架橋反応性材料として利用す
るのが好ましい。
【0065】また、複合体のポリマー部分は水素結合形
成基を有しているのが好ましい。複合体のポリマー部分
が水素結合形成基を有する場合には、水素結合形成基を
含有する塗膜を形成することができ、水素結合によりハ
ードコート層、低屈折率層、透明電極層などの隣接層に
対する密着性を向上させることが可能となる。
【0066】例えば、水素結合形成基を有する複合体を
配合したコーティング組成物を用いて中〜高屈折率層を
形成する場合には、いわゆるウエットコーティング法に
より塗工液から形成したハードコート層や低屈折率層や
その他の光透過層に対しても、また、蒸着法等のいわゆ
るドライコーティング法により形成した低屈折率層やそ
の他の光透過層に対しても優れた密着性が得られる。
【0067】低屈折率層としては、ドライ法である蒸着
法又はウエット法であるゾルゲル反応により酸化ケイ素
(SiOx)膜を形成する場合がある。酸化ケイ素膜は
シラノール基を含有しており水素結合を形成し得るが、
このような水素結合形成基を含有する膜に対して、ポリ
マー部分の水素結合形成基は特に密着性を飛躍的に向上
させる効果が大きい。
【0068】従来は、ウエット法により形成された中〜
高屈折率層の上に酸化ケイ素膜を蒸着により形成する場
合には十分な密着性が得られず、酸化ケイ素蒸着膜が剥
離し易かったのに対して、水素結合形成基を有する複合
体を配合したコーティング組成物を用いて中〜高屈折率
層を形成する場合には、当該中〜高屈折率層の上に酸化
ケイ素(SiOx)蒸着膜を密着性よく形成することが
できるので、非常に有用である。
【0069】また、帯電防止の目的で反射防止膜中にI
TO蒸着膜やATO蒸着膜などの透明導電層を設け、当
該透明導電層上にハードコート層を形成する場合があ
る。このような場合にも水素結合形成基を有する複合体
を配合したコーティング組成物を用いることにより、高
屈折率ハードコート層を密着性よく形成することがで
き、非常に有用である。
【0070】水素結合形成基を有するポリマー部分とし
ては、分子中に水酸基を有するポリマー構造を例示する
ことができる。さらに具体的には、分子中に水酸基を有
するポリマー構造として、先のα,β−エチレン性不飽
和結合を有するモノマー類として例示した2)、3)、
4)等の単独或いは共重合体の他に、ペンタエリスリト
ール多官能(メタ)アクリレートまたはジペンタエリス
リトール多官能(メタ)アクリレートのように、一分子
中にエチレン性二重結合を2個以上有し、且つ、分子中
に水酸基を残したモノマーが単独重合又は共重合したポ
リマー構造を例示することができる。これらの水素結合
形成基は、単独或いは適当な触媒の存在下で熱により反
応するので、熱硬化性基として使用することもできる。
【0071】金属酸化物微粒子とポリマー部分の割合に
関しては、金属酸化物微粒子に共有結合させるポリマー
部分の量が少なすぎると、複合体中の金属酸化物微粒子
の密度が高くなりすぎて、粒子間接触の機会が増え、凝
集を充分に阻止できなくなる。かかる観点から、複合体
中のポリマー部分が、複合体全体の10重量%以上を占
めているのが好ましい。
【0072】上記複合体を形成する方法は、次の2つを
例示することができる。なお、ポリマー部分を共有結合
させる金属酸化物微粒子に、必要に応じて前処理を行っ
て無機化合物を被覆しておく。
【0073】(1)金属酸化物微粒子の表面から重合反
応を開始させる方法 金属酸化物微粒子に、ラジカル重合開始剤などの重合開
始活性種を予め微粒子の表面に形成し、微粒子表面から
ポリマーを成長させる方法である。高分子量のポリマー
部分を形成しやすいが、連鎖移動等の制御が困難であ
る。
【0074】(2)反応性基を持つポリマーと金属酸化
物微粒子表面の水酸基を結合させる方法 末端などに反応性基を有するポリマーを用い、当該ポリ
マー末端の反応性基と金属酸化物微粒子表面の水酸基と
を直接結合させるか、或いは、ポリマー末端の反応性基
又は金属酸化物微粒子表面の水酸基のいずれか又は両方
に他の反応性基を結合させた後に結合させる方法であ
る。ポリマーとして多くの種類を用いることができ、比
較的簡便な操作で結合効率も良好である。
【0075】反応性基を持つポリマーは、ポリマー部分
を形成するためのモノマーとして先に例示したもののう
ち、反応性基を持つものを組み込むことでも得られる
が、市販品として、例えば、東亜合成株式会社のマクロ
モノマーシリーズや綜研化学株式会社のアクトフローシ
リーズ(いずれもα,β−エチレン性不飽和モノマーの
共重合体)や信越化学工業やGE東芝シリコーン株式会
社の反応性シリコーン等の中から適宜選択して使用する
ことができる。
【0076】微粒子表面へポリマーを結合させる方法
は、表面の水酸基と反応性基を持つポリマー間の脱水重
縮合反応を利用するため、ポリマー及びその溶液中に金
属酸化物微粒子を分散させて80℃以上で3時間以上加
熱する。
【0077】上記複合体のポリマー部分に光硬化性のエ
チレン性不飽和結合等の反応硬化性基や水酸基等の水素
結合形成基を導入する方法としては、次のような方法を
例示することができる。
【0078】(1)ポリマー部分に反応硬化性基を導入
する方法 α,β−エチレン性不飽和結合モノマーのポリマー化の
過程で、グリシジル(メタ)アクリレートや2−(メ
タ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート等の反応
性の高い官能基を有するモノマーを共重合させ、ポリマ
ーにグリシジル基やイソシアネート基を導入させてお
く。次に、先にポリマーを構成するモノマーとして例示
した2)、3)、4)等のモノマー類を添加し、適度に
加熱することで、ポリマー部に新たにα,β−エチレン
性不飽和結合形成基が導入される。この方法は複合体を
形成するための上記(1)の方法でも重合でき、且つ反
応性基を残しておけば、複合体を形成するための上記
(2)の方法でも共有結合が形成できる。
【0079】(2)ポリマー部分に水素結合形成基を導
入する方法 先にポリマーを構成するモノマーとして例示した2)、
3)、4)のモノマー類を共重合の過程で含有させるの
が最も簡便である。水素結合形成基を持たない場合で
も、ポリマーを強酸や強塩基、プラズマやコロナ等で処
理することで、水素結合形成基を形成出来る。これらの
方法も、複合体を形成するための上記(1)及び(2)
の両方で共有結合を形成することができる。
【0080】次に、本発明に係るコーティング組成物に
ついて説明する。本発明に係るコーティング組成物は、
少なくとも(1)本発明に係る前記複合体、及び、
(2)有機溶剤からなる塗工材料であり、必要に応じ
て、前記複合体を構成していない無機酸化物微粒子、バ
インダー成分、又はその他の成分をさらに含有していて
もよい。
【0081】本発明に係る複合体は、塗膜に何らかの機
能を付与するための金属酸化物微粒子とバインダーとし
て機能するポリマー部分を備えており、理想的な場合に
は、当該複合体を有機溶剤に溶解、分散させただけで機
能性塗膜のためのコーティング組成物を調製できる。こ
の場合には、分散剤もバインダー成分も追加する必要が
無い。
【0082】ただし、金属酸化物微粒子又はバインダー
の量を調節するために、必要に応じて、複合体を構成し
ていない遊離の金属酸化物微粒子、又は、複合体を構成
していない遊離のバインダー成分の一方又は両方をコー
ティング組成物中に補助的に配合してもよい。補助的に
配合される金属酸化物微粒子及び/又はバインダー成分
は、組み合わされる複合体を構成している金属酸化物微
粒子又はポリマー部分と同じものであっても良いし、異
なっていても良い。
【0083】バインダー成分としては、反応硬化性のな
い樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバイ
ンダー成分を用いてもよいし、何らかの反応硬化性を有
するバインダー成分を用いてもよい。複合体のポリマー
部分が反応硬化性を有する場合、バインダー成分は通
常、複合体のポリマー部分と同じ反応形式(例えば光硬
化性又は熱硬化性で統一する)のものを用いるが、複合
体のポリマー部分と反応形式の異なるバインダー成分を
用いたり、反応形式の異なる2種以上のバインダー成分
を組み合わせてもよい。
【0084】それ自体は反応硬化性のないバインダー成
分としては、光学薄膜を形成するために従来から用いら
れている非重合反応性の透明樹脂、例えば、ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタ
クリレート、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリア
ミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニル
アルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート
等を挙げることができる。
【0085】しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久
性、密着性を付与するためには、本発明に係るコーティ
ング組成物を被塗工体の表面に塗布し、必要に応じて乾
燥させた後、何らかの化学反応によって重合、好ましく
は架橋して硬化するバインダー成分を用いるのが好まし
い。そのような反応硬化性のバインダー成分としては、
例えば、(メタ)アクリレート系のモノマー、オリゴマ
ー、ポリマーに代表されるエチレン性不飽和結合含有化
合物のように光ラジカル重合反応により光硬化または熱
ラジカル重合反応により熱硬化させることができる化合
物や、エポキシ樹脂のような熱硬化または光カチオン重
合により光硬化させることができる化合物を用いること
ができる。反応硬化性のバインダー成分としては、光硬
化性及び熱硬化性のものを組み合わせて用いても良い。
【0086】反応硬化性バインダー成分の中でも、1分
子中に反応硬化性基を2以上有し、且つ、分子量の少な
い、架橋性のモノマーやオリゴマーは、コーティング組
成物の塗工適性に優れ、均一な大面積薄膜を形成しやす
い。
【0087】特に、複合体のポリマー部分が反応硬化性
を有しない場合、又は、ポリマー部分が反応硬化性を有
していても、その数平均分子量が20,000〜50,
000程度の比較的低分子量である場合には、充分な成
膜性及び膜強度を得るために、コーティング組成物中に
反応硬化性モノマー又はオリゴマーを配合するのが好ま
しい。
【0088】光硬化性のポリマー部分を有する複合体を
用い、必要に応じて、さらに光硬化性のバインダー成分
を配合するか、ポリマー部分が反応硬化性を有していな
い複合体と光硬化性のバインダー成分とを組み合わせて
用いることにより、光硬化性のコーティング組成物が得
られ、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与し得
ると共に、パターン露光によって微細構造を有する硬化
膜を容易に形成することが可能となるので好ましい。
【0089】光硬化性のバインダー成分としては、可視
光、又は、紫外線や電子線のような電離放射線、その他
の不可視光の照射により直接、又は開始剤の作用を受け
て間接的に重合反応を生じる官能基を有するモノマー又
はオリゴマーを用いることができる。本発明において
は、主に、エチレン性不飽和結合を有するラジカル重合
性のモノマーやオリゴマーを用いることができ、必要に
応じて光開始剤が組み合わせられる。しかしながら、そ
の他の光硬化性のバインダー成分を用いることも可能で
あり、例えば、エポキシ基含有化合物のような光カチオ
ン重合性のモノマーやオリゴマーを用いてもよい。光カ
チオン重合性のバインダー成分には、必要に応じて光カ
チオン開始剤が組み合わせて用いられる。バインダー成
分の分子間で架橋結合が生じるように、バインダー成分
であるモノマー又はオリゴマーは、重合性官能基を2個
以上有する多官能性のバインダー成分であることが好ま
しい。
【0090】エチレン性不飽和結合を有するラジカル重
合性のモノマー及びオリゴマーとしては、具体的には、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピ
ルアクリレート、カルボキシポリカプロラクトンアクリ
レート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等
の単官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトール
トリアクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレ
ート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリ
アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート
等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラアクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペ
ンタアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、或
いは、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリ
ゴマーを例示することができる。
【0091】光硬化性のバインダー成分のうちでも水素
結合形成基を有するバインダー成分を用いる場合には、
複合体のポリマー部分が水素結合形成基を有している場
合と同様に、水素結合形成基を含有する塗膜を形成する
ことができ、水素結合によりハードコート層、低屈折率
層、透明電極層などの隣接層に対する密着性を向上させ
ることが可能となるので好ましい。
【0092】水素結合形成基を有する光硬化性バインダ
ー成分として、具体的には、分子中に水酸基を有するバ
インダー成分を用いることができる。分子中に水酸基を
有するバインダー成分としては、ペンタエリスリトール
多官能(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリト
ール多官能(メタ)アクリレートであって分子中に水酸
基を残したバインダー成分を用いることができる。すな
わち、そのようなバインダー成分は、一分子のペンタエ
リスリトール又はジペンタエリスリトールに2分子以上
の(メタ)アクリル酸がエステル結合しているが、ペン
タエリスリトール又はジペンタエリスリトールの分子中
にもともとある水酸基の一部はエステル化されないまま
残っているものであり、例えば、ペンタエリスリトール
トリアクリレートを例示することができる。ペンタエリ
スリトール多官能アクリレート及びジペンタエリスリト
ール多官能アクリレートは、一分子中にエチレン性二重
結合を2個以上有するので、重合時に架橋反応を起こ
し、高い塗膜強度が得られる。
【0093】ラジカル重合を開始させる光開始剤として
は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケ
タール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ
化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン化合物
類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオ
ロアミン化合物などが用いられる。より具体的には、1
−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2
−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モ
ルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケト
ン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−
イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル
プロパン−1−オン、ベンゾフェノン等を例示できる。
これらのうちでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−
フェニル−ケトン、及び、2−メチル−1[4−(メチ
ルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−
オンは、少量でも電離放射線の照射による重合反応を開
始し促進するので、本発明において好ましく用いられ
る。これらは、いずれか一方を単独で、又は、両方を組
み合わせて用いることができる。これらは市販品にも存
在し、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェ
ニル−ケトンはイルガキュアー 184(Irgacure 18
4)の商品名で日本チバガイギーから入手できる。
【0094】また、バインダー成分としては、下記式
(2) RmSi(OR’)n ・・・式(2) (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基又はビニル
基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミド基、
スルホニル基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基
等の反応性基を表し、R’は炭素数1〜10のアルキル
基を表し、m+nは4の整数である。)で表される珪素
アルコキシドを加水分解して調製したSiO2ゾルを用
いてもよく、この場合、かかるSiO2ゾルを含有する
塗工液を基材に塗布し、加熱脱水重縮合させることによ
り、SiO2ゲルからなる硬化皮膜が得られる。
【0095】本発明に係るコーティング組成物には、さ
らに必要に応じて、その他の成分を配合してもよい。例
えば、光硬化性のバインダー成分を用いる場合には増感
剤を含有することができる。また、必要に応じて、紫外
線遮蔽剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング
剤)、酸化ジルコニウム、アンチモンでドープした酸化
スズ(ATO)などを用いることができる。
【0096】上記コーティング組成物を用いて高屈折率
ハードコート層を形成する場合には、コーティング組成
物に有機系微粒子などを配合して塗布することにより、
高屈折率ハードコート層の表面を微細凹凸にしてアンチ
グレア層としての機能を付与することができる。ここ
で、微細凹凸を形成するための有機系微粒子として、具
体的にはSEM観察による平均粒子径が0.5〜10.
0μm程度のスチレンビーズやアクリルビーズ、及び、
スチレン/アクリル共重合体ビーズを用いることができ
る。
【0097】本発明においては、金属酸化物微粒子をポ
リマー部分に共有結合させた複合体の形態にしてコーテ
ィング組成物中に配合することにより、通常は、分散剤
を組み合わせて用いなくても金属酸化物微粒子の凝集を
充分に防止できる。しかしながら、コーティング組成物
中に、複合体化していない遊離の金属酸化物微粒子を補
助的に配合する場合には、この遊離の金属酸化物微粒子
を分散させるために分散剤を配合してもよい。ただし、
この場合でも、非常に少量の分散剤で充分に金属酸化物
微粒子を分散できるので、多量の分散剤を使用すること
による弊害を避けることができる。すなわち、分散剤は
バインダーとしては機能しないので、分散剤の配合割合
を減らすことによって塗膜強度の向上を図ることができ
る。
【0098】分散剤を用いる場合には、無機酸化物微粒
子に対して親和性の高いアニオン性の極性基を有する分
散剤を用いるのが好ましい。アニオン性の極性基として
は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、水酸基などが
該当する。
【0099】アニオン性の極性基を有する分散剤として
は、具体的には、ビックケミー・ジャパン社がディスパ
ービックの商品名で供給する製品群、すなわち、Disper
byk-111, Disperbyk-110, Disperbyk-116, Disperbyk-1
40, Disperbyk-161, Disperbyk-162, Disperbyk-163, D
isperbyk-164, Disperbyk-170, Disperbyk-171, Disper
byk-174, Disperbyk-180, Disperbyk-182等を例示する
ことができる。
【0100】これらのうちでも、エチレンオキサイド鎖
の骨格を有する主鎖に上記したようなアニオン性の極性
基からなる側鎖又はアニオン性の極性基を有する側鎖が
結合した分子構造を有し、数平均分子量が2,000か
ら20,000の化合物を用いると、特に良好な分散性
が得られ好ましい。数平均分子量は、GPC(ゲル浸透
クロマトグラフィー)法により測定することができる。
このような条件に合うものとして、上記ディスパービッ
クシリーズの中ではディスパービック163(Disperby
k 163)がある。
【0101】本発明のコーティング組成物の固形成分を
溶解分散するための有機溶剤は特に制限されず、種々の
もの、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、
エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン
化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
或いはこれらの混合物を用いることができる。
【0102】本発明においては、ケトン系の有機溶剤を
用いるのが好ましい。本発明に係るコーティング組成物
をケトン系溶剤を用いて調製すると、基材表面に容易に
薄く均一に塗布することができ、且つ、塗工後において
溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均
一な薄さの大面積塗膜を容易に得ることができる。
【0103】反射防止膜の支持層であるハードコート層
にアンチグレア層としての機能を付与するために当該ハ
ードコート層の表面を微細凹凸に形成し、その上に本発
明に係るコーティング組成物を塗布して中屈折率層又は
高屈折率層を形成する場合がある。本発明に係るコーテ
ィング組成物をケトン系溶剤を用いて調製すると、この
ような微細凹凸の表面にも均一に塗工することができ、
塗工むらを防止できる。
【0104】ケトン系溶剤としては、1種のケトンから
なる単独溶剤、2種以上のケトンからなる混合溶剤、及
び、1種又は2種以上のケトンと共に他の溶剤を含有し
ケトン溶剤としての性質を失っていないものを用いるこ
とができる。好ましくは、溶剤の70重量%以上、特に
80重量%以上を1種又は2種以上のケトンで占められ
ているケトン系溶剤が用いられる。
【0105】複合体及びその他の各成分の配合割合は適
宜調節可能であるが、複合体を構成している無機酸化物
微粒子と複合体を構成していない無機酸化物微粒子の合
計10重量部に対して、複合体を構成しているポリマー
部分と前記バインダー成分の合計が4〜20重量部の割
合で有機溶剤に均一且つ安定的に溶解分散させることが
可能である。この配合割合は、低屈折率層、中〜高屈折
率層、帯電防止層、透明電極膜などの比較的薄い塗膜を
形成するためのコーティング組成物として好適である。
【0106】また、本発明に係る複合体を用いれば、複
合体を構成している無機酸化物微粒子と複合体を構成し
ていない無機酸化物微粒子の合計10〜20重量部に対
して、複合体を構成しているポリマー部分とバインダー
成分の合計が4〜40重量部の割合で有機溶剤に均一且
つ安定的に溶解分散させることが可能である。
【0107】この配合割合は、高屈折率ハードコート層
や導電性ハードコート層のように、無機酸化物微粒子に
よって何らかの機能が付加され、且つ、中〜高屈折率層
よりも厚く形成する必要があるハードコート層を形成す
るためのコーティング組成物として好適である。高屈折
率ハードコート層を形成するためのコーティング組成物
を調製する場合には、アンチグレア層としての機能を付
与するための有機系微粒子を1〜20重量部の割合で配
合してもよい。
【0108】光重合開始剤を用いる場合には、複合体を
構成しているポリマー部分とバインダー成分の合計10
0重量部に対して、光重合開始剤を通常は3〜8重量部
の割合で配合する。
【0109】また、有機溶剤の量は、各成分を均一に溶
解、分散することができ、調製後の保存時に凝集を来た
さず、且つ、塗工時に希薄すぎない濃度となるように適
宜調節する。この条件が満たされる範囲内で溶剤の使用
量を少なくして高濃度のコーティング組成物を調製し、
容量をとらない状態で保存し、使用時に必要分を取り出
して塗工作業に適した濃度に希釈するのが好ましい。本
発明においては、固形分と有機溶剤の合計量を100重
量部とした時に、必須成分及びその他の成分を含む全固
形分0.5〜50重量部に対して、有機溶剤を50〜9
5.5重量部、さらに好ましくは、全固形分10〜30
重量部に対して、有機溶剤を70〜90重量部の割合で
用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に
適したコーティング組成物が得られる。
【0110】上記各成分を用いて本発明に係るコーティ
ング組成物を調製するには、塗工液の一般的な調製法に
従って分散処理すればよい。例えば、各必須成分及び各
所望成分を任意の順序で混合し、得られた混合物にビー
ズ等の媒体を投入し、ペイントシェーカーやビーズミル
等で適切に分散処理することにより、コーティング組成
物が得られる。
【0111】こうして得られたコーティング組成物は、
必須成分として、所定の一次粒径を有する1又は2以上
の金属酸化物微粒子をポリマー部分に共有結合させてな
る複合体を、有機溶剤中に溶解、分散してなるものであ
る。
【0112】本発明に係るコーティング組成物中におい
て、複合体のポリマー部分は溶解しているが、複合体の
金属酸化物微粒子は溶解状態になったポリマー部分に共
有結合により固定され続けており、金属酸化物微粒子の
自由な空間移動が規制され、且つ、金属酸化物微粒子同
士が接近しても、粒子間にポリマー部分が介在して接触
を妨げられるので均一、且つ、安定的に分散している。
【0113】このように、本発明に係るコーティング組
成物は、金属酸化物微粒子の分散性、分散安定性に優れ
ているので、複合体の無機酸化物微粒子及び遊離の無機
酸化物微粒子の含有量をコントロールし、当該コーティ
ング組成物を基材等の被塗工体の表面に塗布し、乾燥
し、必要に応じて硬化させることによって、無機酸化物
微粒子の物性に起因する何らかの機能が付加され、透明
性が高く、ヘイズが小さく、且つ、実使用に耐え得る膜
強度を有する塗膜が得られる。
【0114】従って、本発明に係るコーティング組成物
は、高い透明性が要求される光学薄膜を形成するのに適
しており、例えば、反射防止膜を構成する1又は2以上
の層を形成するのに用いることができる。特に、本発明
に係るコーティング組成物に高屈折率を有する無機酸化
物微粒子を配合する場合には、反射防止膜の中屈折率
層、高屈折率層又は高屈折率ハードコート層を形成する
のに適している。また、本発明に係るコーティング組成
物に、導電性の高い無機酸化物微粒子を配合する場合に
は、透明性の高い導電性透明薄膜が得られ、反射防止膜
等の光学薄膜に設ける帯電防止膜や、液晶表示装置の画
素駆動素子に設ける透明電極膜などを形成するのに適し
ている。
【0115】また、本発明に係るコーティング組成物
は、長期間に渡る分散安定性にも優れているのでポット
ライフが長く、長期間保存した後に使用する場合でも透
明性が高く且つヘイズの小さい塗膜を形成することがで
きる。
【0116】さらに、本発明に係るコーティング組成物
は、塗工適性に優れ、被塗工体の表面に、容易に薄く広
く且つ均一に塗布することができ、均一な大面積薄膜を
形成できる。特に、ケトン系溶剤を用いると蒸発速度が
適度で、塗膜の乾燥むらが生じ難いので、均一な大面積
薄膜を特に形成しやすい。
【0117】上記したような本発明のコーティング組成
物を基材等の被塗工体の表面に塗布し、乾燥し、必要に
応じて電離放射線の照射などの化学反応工程により硬化
させることによって、実質的に無色透明でヘイズの小さ
い塗膜を形成することができる。
【0118】本発明のコーティング組成物を塗布する支
持体は特に制限されない。好ましい基材としては、例え
ば、ガラス板; トリアセテートセルロース(TA
C)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセ
チルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポ
リエーテルサルホン、アクリル系樹脂;ポリウレタン系
樹脂;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリスルホ
ン;ポリエーテル;トリメチルペンテン;ポリエーテル
ケトン;(メタ)アクリロニトリル等の各種樹脂で形成
したフィルム等を例示することができる。基材の厚さ
は、通常25μm〜1000μm程度であり、好ましく
は50μm〜190μmである。
【0119】コーティング組成物は、例えば、スピンコ
ート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、
バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター
法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコータ
ー法等の各種方法で基材上に塗布することができる。
【0120】本発明に係るコーティング組成物を基材等
の被塗工体の表面に所望の塗工量で塗布した後、通常
は、オーブン等の加熱手段で加熱乾燥し、その後、必要
に応じて紫外線や電子線等の電離放射線を放射する等の
適切な方法により硬化させることにより塗膜が形成され
る。
【0121】次に、本発明に係る塗膜について説明す
る。本発明に係る塗膜は、0.01〜0.1μmの範囲
の一次粒子径を有する無機酸化物微粒子がバインダー中
に均一に混合し且つバインダーに共有結合してなるもの
であるが、必要に応じてその他の成分を含有していても
よい。塗膜のバインダーが、ただ乾燥固化しているので
はなく、架橋反応により硬化している場合には、膜強
度、硬度、耐久性などの物性が優れているので好まし
い。
【0122】本発明により得られる塗膜は、反射防止膜
を構成する1又は2以上の層として好適に利用すること
ができ、特に、酸化チタン等の屈折率が高い無機酸化物
微粒子を配合して屈折率を調節する場合には、中〜高屈
折率層を形成するのに適している。本発明によれば、膜
厚が0.05〜0.2μmの塗膜を形成した時に、屈折
率を1.55〜2.30の範囲に調節し、且つ、JIS
−K7361−1の規定に従って基材と一体の状態で測
定したヘイズ値を、前記基材だけのヘイズ値と変わらな
いか又は前記基材だけのヘイズ値との差が10%以内に
抑制することが可能である。
【0123】また、本発明により得られた塗膜を膜厚が
0.2〜20μmの範囲で調整した場合は、反射防止膜
のような高度な透明性が必要とされるハードコート層と
して使用することができる。特に、酸化チタンなどの屈
折率が高い無機酸化物超微粒子を配合して屈折率を1.
55〜2.30の範囲で調節した場合、反射防止性能を
有するために必要とされる積層数の簡略化を図ることが
可能となる。このことは例えば、反射防止性能を得るた
めに通常、ハードコート層の上に高屈折率層/低屈折率
層という層構成の薄膜を作るべきところを、ハードコー
ト層の屈折率を上げることで低屈折率層のみで同様の反
射防止性能が得られるため、製造工程の簡略化などが可
能となる。本発明によれば、膜厚が0.2〜20μmの
時に、屈折率を1.55〜2.30の範囲に調節し、且
つ、JIS−K7361−1に規定されるヘイズ値を、
前記基材だけのヘイズ値と変わらないか又は前記基材だ
けのヘイズ値との差が20%以内に抑制することが可能
である。
【0124】また、本発明により得られる塗膜は、反射
防止膜に設けられる帯電防止層や、液晶表示装置の画素
駆動素子に設けられる透明導電層などの導電性透明薄膜
としても好適に利用することができる。本発明によれ
ば、膜厚が0.05〜0.2μmの時に、JIS−K7
361−1の規定に従って基材と一体の状態で測定した
ヘイズ値が、前記基材だけのヘイズ値と変わらないか又
は前記基材だけのヘイズ値との差が10%以内である導
電性透明薄膜が得られる。また、本発明によれば、膜厚
が0.2〜20μmの時に、JIS−K7361−1に
規定されるヘイズ値が前記基材だけのヘイズ値と変わら
ないか又は前記基材だけのヘイズ値との差が20%以内
である導電性透明薄膜が得られる。本発明により得られ
る塗膜を帯電防止層などの導電性透明薄膜として反射防
止膜に付加する場合、本発明により得られる塗膜は単な
る導電性透明薄膜として反射防止膜に付加することがで
きるだけでなく、反射防止膜を構成する低、中又は高屈
折率層としても機能する層として付加することもでき
る。本発明により得られる塗膜を単なる導電性透明薄膜
として反射防止膜に付加する場合には、反射防止膜を支
持する基材フィルムの反射防止膜を設けたのと同じ側、
又は、その反対側のどちら側に導電性透明薄膜を設けて
も良い。
【0125】次に、本発明に係る塗膜を適用した機能性
膜の具体例について説明する。先ず、本発明に係る塗膜
を適用した反射防止膜について説明する。本発明に係る
塗膜は、光透過性を有し且つ互いに屈折率の異なる層
(光透過層)を二層以上積層してなる多層型反射防止膜
のうちの一層を形成するのに用いることができる。本発
明に係る塗膜は、主として中乃至高屈折率層として用い
られるが、高屈折率ハードコート層や低屈折率層や帯電
防止層として用いることもできる。なお、多層型反射防
止膜の中で最も屈折率の高い層を高屈折率層と称し、最
も屈折率の低い層を低屈折率層と称し、それ以外の中間
的な屈折率を有する層を中屈折率層と称する。
【0126】また、反射防止膜で被覆する面、例えば画
像表示装置の表示面に、本発明に係る塗膜をただ一層設
けただけでも、被覆面自体の屈折率と本発明に係る塗膜
の屈折率のバランスが丁度良い場合には反射防止効果が
得られる。従って、本発明に係る塗膜は、単層の反射防
止膜としても有効に機能する場合がある。
【0127】本発明に係る塗膜は、特に、液晶表示装置
(LCD)や陰極管表示装置(CRT)、プラズマディ
スプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス
ディスプレイ(ELD)等の画像表示装置の表示面を被
覆する多層型反射防止膜の少なくとも一層、特に中乃至
高屈折率層を形成するのに好適に用いられる。
【0128】図1は、本発明に係る塗膜を光透過層とし
て含んだ多層型反射防止膜により表示面を被覆した液晶
表示装置の一例(101)の断面を模式的に示したもの
である。液晶表示装置101は、表示面側のガラス基板
1の一面にRGBの画素部2(2R、2G、2B)とブ
ラックマトリックス層3を形成してなるカラーフィルタ
ー4を準備し、当該カラーフィルターの画素部2上に透
明電極層5を設け、バックライト側のガラス基板6の一
面に透明電極層7を設け、バックライト側のガラス基板
とカラーフィルターとを、透明電極層5、7同士が向き
合うようにして所定のギャップを空けて対向させ、周囲
をシール材8で接着し、ギャップに液晶Lを封入し、背
面側のガラス基板6の外面に配向膜9を形成し、表示面
側のガラス基板1の外面に偏光フィルム10を貼り付
け、後方にバックライトユニット11を配置したもので
ある。なお、上記透明電極層5、7も、本発明に係る塗
膜により構成することが可能である。
【0129】図2は、表示面側のガラス基板1の外面に
貼り付けた偏光フィルム10の断面を模式的に示したも
のである。表示面側の偏光フィルム10は、ポリビニル
アルコール(PVA)等からなる偏光素子12の両面を
トリアセチルセルロース(TAC)等からなる保護フィ
ルム13、14で被覆し、その裏面側に接着剤層15を
設け、その鑑賞側にハードコート層16と多層型反射防
止膜17を順次形成したものであり、接着剤層15を介
して表示面側のガラス基板1に貼着されている。
【0130】ここで、液晶表示装置等のように内部から
射出する光を拡散させて眩しさを低減させるために、ハ
ードコート層16は、当該ハードコート層の表面を凹凸
形状に形成したり或いは当該ハードコート層の内部に無
機や有機のフィラーを分散させてハードコート層内部で
光を散乱させる機能を持たせた防眩層(アンチグレア
層)としてもよい。
【0131】多層型反射防止膜17の部分は、バックラ
イト側から鑑賞側に向かって中屈折率層18、高屈折率
層19、低屈折率層20が順次積層された3層構造を有
している。多層型反射防止膜17は、高屈折率層19と
低屈折率層20が順次積層された2層構造であってもよ
い。なお、ハードコート層16の表面が凹凸形状に形成
される場合には、その上に形成される多層型反射防止膜
17も図示のように凹凸形状となる。
【0132】低屈折率層20は、屈折率の低い無機酸化
物微粒子を結合させた複合体を本発明に係る塗膜に配合
することにより形成しても良いが、その他の方法とし
て、シリカやフッ化マグネシウム等の無機物、フッ素系
樹脂等を含有する塗工液から得られる屈折率1.46以
下の塗膜や、シリカやフッ化マグネシウムなどを化学蒸
着法(CVD)や物理蒸着法(PVD)などの蒸着法を
用いた蒸着膜とすることができる。また、中屈折率層1
8及び高屈折率層19は、酸化チタンのような屈折率の
高い無機酸化物微粒子を結合させた複合体を本発明に係
る塗膜に配合することにより形成することができ、中屈
折率層18には屈折率1.46〜1.80の範囲の光透
過層、高屈折率層19には屈折率1.65以上の光透過
層が使用される。
【0133】この反射防止膜の作用により、外部光源か
ら照射された光の反射率が低減するので、景色や蛍光燈
の映り込みが少なくなり、表示の視認性が向上する。ま
た、外光がディスプレイ表面に映り込んだり、眩しく光
ったりする状態であるのを、ハードコート層16の凹凸
による光散乱効果によって外光の反射光が軽減し、表示
の視認性がさらに向上する。
【0134】液晶表示装置101の場合には、偏光素子
12と保護フィルム13、14からなる積層体に本発明
に係るコーティング組成物を塗布して屈折率を1.46
〜1.80の範囲で調節した中屈折率層18と屈折率を
1.65以上に調節した高屈折率層19を形成し、さら
に低屈折率層20を設けることができる。そして、反射
防止膜17を含む偏光フィルム10を接着剤層15を介
して鑑賞側のガラス基板1上に貼着することができる。
【0135】これに対し、CRTの表示面には配向板を
貼着しないので、反射防止膜を直接設ける必要がある。
しかしながら、CRTの表示面に本発明に係るコーティ
ング組成物を塗布するのは煩雑な作業である。このよう
な場合には、本発明に係る塗膜を含んでいる反射防止フ
ィルムを作製し、それを表示面に貼着すれば反射防止膜
が形成されるので、表示面に本発明に係るコーティング
組成物を塗布しなくて済む。
【0136】光透過性を有する基材フィルムの一面側又
は両面に、光透過性を有し且つ互いに屈折率が異なる光
透過層を二層以上積層してなり、当該光透過層のうちの
少なくとも一つを本発明に係る塗膜で形成することによ
り、反射防止フィルムが得られる。基材フィルム及び光
透過層は、反射防止フィルムの材料として使用できる程
度の光透過性を有する必要があり、できるだけ透明に近
いものが好ましい。
【0137】図3は、本発明に係る塗膜を含んだ反射防
止フィルムの一例(102)の断面を模式的に示したも
のである。反射防止フィルム102は、光透過性を有す
る基材フィルム21の一面側に、本発明に係るコーティ
ング組成物を塗布して高屈折率層22を形成し、さらに
当該高屈折率層の上に低屈折率層23を設けたものであ
る。この例では、互いに屈折率の異なる光透過層は高屈
折率層と低屈折率層の二層だけだが、光透過層を三層以
上設けてもよい。その場合には、高屈折率層だけでなく
中屈折率層も、本発明に係るコーティング組成物を塗布
して形成することができる。
【0138】反射防止膜以外に本発明に係る塗膜を適用
し得る具体例としては、透明導電フィルムがある。図4
は、本発明に係る塗膜を含んだ透明導電フィルムの一例
(103)の断面を模式的に示したものである。透明導
電フィルム103は、光透過性を有する基材フィルム2
1の一面側に、本発明に係るコーティング組成物を塗布
して導電性透明薄膜24を形成したものであり、導電性
透明薄膜の導電率が比較的小さい場合には帯電防止フィ
ルムとして利用することができ、導電率が比較的大きい
場合には、透明電極膜のような透明導電膜として利用す
ることができる。導電性透明薄膜を設けたい場所に本発
明に係るコーティング組成物を直接塗布することができ
ない場合には、このような透明導電フィルム103を作
成し、必要な場所に貼付又は設置することにより、導電
性透明薄膜の機能を発揮させることができる。
【0139】さらに図4の透明導電フィルム103にお
いて、基材フィルム21の一面側に導電性の無機酸化物
微粒子を結合させた複合体を含有する本発明のコーティ
ング組成物を比較的厚く塗布して、帯電防止機能を有す
るハードコート層を形成することにより、ハードコート
フィルムを得ることも可能である。
【0140】
【実施例】(実施例1) (1)チタニア超微粒子表面へのポリマーの結合 ルチル型酸化チタンとして、酸化チタン含量が76〜8
3%で、Al23で表面処理し、一次粒子径0.01〜
0.03μmで、比表面積が75〜85m2/gで、吸
油量が40〜47g/100gで、表面が親水性のルチ
ル型酸化チタン(TTO51(A)、石原産業製)を用
意した。末端に反応性基を持つポリマーとして数平均分
子量が6,000で、両末端にOH基を持つポリジメチ
ルシロキサン(HK‐20、東亞合成株式会社)を用意
した。有機溶剤としては、メチルイソブチルケトンを用
意した。
【0141】上記反応性ポリマー10.0g、メチルイ
ソブチルケトン40.0g、ルチル型酸化チタン5.0
gをマヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4倍量のジルコニ
アビーズ(φ0.3mm)を媒体に用いてペイントシェ
ーカーで3時間振とうし、分散溶液を得た。得られた分
散液を冷却管を取りつけたフラスコに移し、100℃で
5時間攪拌して反応性ポリマーの一部をルチル型酸化チ
タンに共有結合させた。反応終了後、反応液を遠心分離
装置に設置し、超微粒子を沈降させて上澄みを除去し、
再びメチルイソブチルケトンを添加して超音波処理を行
い、超微粒子を再分散させた後に遠心分離機にかける処
理を、超微粒子沈降後の上澄みにポリマー成分が確認で
きなくなるまで繰り返して行った。
【0142】洗浄後のルチル型チタニア超微粒子を室温
で減圧乾燥させて、ポリマーを結合させたチタニア超微
粒子を得た。超微粒子表面に結合したポリマー量は、熱
重量分析法で加熱分解するポリマーの量から12重量%
であった。
【0143】(2)超微粒子分散溶液の調製 以下の組成物をマヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4倍量
のジルコニアビーズ(φ0.3mm)を媒体に用いてペ
イントシェーカーで3時間振とうし、分散液を得た。
【0144】<混合成分> ・ポリジメチルシロキサンを結合させたルチル型酸化チ
タン:10重量部 ・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET3
0、日本化薬(株)社製) :4重量部 ・光開始剤(イルガキュアー184、チバスペシャリテ
ィーケミカルズ株式会社社製):0.2重量部 ・メチルイソブチルケトン:35重量部 得られた分散液はチタニアの沈降も無く分散性が良好で
あった。最後に熱硬化成分としてチタニウムn‐ブトキ
シドを1重量部添加して、塗工液とした。
【0145】(3)塗膜の作成及び物性評価 厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(FT
−T80UZ、富士写真フィルム株式会社製)上に厚さ
3μmのペンタエリスリトールトリアクリレートの硬化
膜を形成した後、調製直後の分散液をコーティング組成
物として用い、バーコーターで塗工し、60℃で1分間
乾燥させた後、300mJのUV照射した後、60℃で
2時間加熱することによって硬化させ、透明膜を形成し
た。透明膜の膜厚は、分光光度計(島津製作所(株)
製)で反射率を測定した時に550nm付近に最大反射
率が来るように設定した。
【0146】この透明膜について、下記試験により膜強
度、ヘイズ、及び屈折率を評価した。
【0147】<膜強度>スチールウールの#0000番
を用い200g〜1kg苛重で膜表面を20回擦った時
のヘイズの変化により膜強度を評価した。
【0148】<ヘイズ>ヘイズは、濁度計NDH200
0(日本電色工業社製)を用いて測定した。各サンプル
のヘイズを測定し、基材であるトリアセチルセルロース
フィルムのみで測定したヘイズとの差を塗膜のヘイズと
した。
【0149】<屈折率>硬化後の塗膜の屈折率は、分光
エリプソメーター(UVSEL、ジョバン‐イーボン社
製)を用い、ヘリウムネオンレーザー光の波長633n
mでの屈折率を測定した。
【0150】(試験結果)上記試験の結果を第1表に示
す。この透明膜は、膜強度試験において1kg荷重で傷
が全くつかないことを確認した。
【0151】また、ヘイズ、屈折率の測定結果を表2に
示す。実施例1において調製したコーティング組成物を
用いたところ、塗膜のヘイズは0.1屈折率は1.95
であり、ヘイズおよび屈折率が良好な透明膜が得られ
た。また、実施例1のコーティング組成物は、室温放置
後も分散性に優れ、調製直後と同様にヘイズおよび屈折
率が良好な透明膜が得られた。
【0152】(実施例2) (1)反応性ポリマーの合成 100mLのナスフラスコに、メタクリル酸グリシジル
とメタクリル酸メチルとをそれぞれ40.0ミリモル、
溶剤として1,4−ジオキサンを100mL、及び開始
剤として4,4’−アゾビスイソブチロニトリルを0.
20g加えた。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、6
0℃で3時間反応させた。重合は、フラスコの内容物を
多量のメタノール中に注ぐことにより停止させた。得ら
れたポリマーは減圧乾燥後、THFに溶解し、メタノー
ルで再沈殿を行い精製した。このポリマーの数平均分子
量はGPC法により標準ポリスチレン換算で、3800
0であった。
【0153】(2)チタニア超微粒子表面へのポリマー
の結合反応(第一段階) 還流冷却器を取りつけた100mLのナス型フラスコ
に、実施例1と同様のチタニア超微粒子を0.3g、分
子量1800のポリエチレンイミン(日本触媒化学製)
2.5ミリモル、THFを25mL、および縮合剤とし
てジシクロヘキシルカルボジイミドを0.12ミリモル
加えて、系内を窒素ガスで置換した後、内容物をマグネ
チックスターラーで攪拌しながら、60℃で3時間反応
させた。反応後、メタノールで希釈することにより反応
を停止させた。
【0154】(3)チタニア超微粒子表面へのポリマー
の結合反応(第二段階) 100mLのナス型フラスコに、上記工程(2)でポリ
エチレンイミンを結合させたチタニア超微粒子を0.2
g、上記工程(1)で重合した反応性ポリマーを1.0
g、溶剤としてジメチルホルムアミド20mLを加えて
フラスコ内を窒素ガスで置換した後、80℃で12時間
処理することでチタニア表面に反応性ポリマーを結合さ
せた。反応終了後、反応液を遠心分離装置に設置し、超
微粒子を沈降させて上澄みを除去し、再びメチルイソブ
チルケトンを添加して超音波処理を行い、超微粒子を再
分散させた後に遠心分離機にかける処理を、超微粒子沈
降後の上澄みにポリマー成分が確認できなくなるまで繰
り返して行った。
【0155】洗浄後のルチル型チタニア超微粒子を室温
で減圧乾燥させてポリマーを結合させたチタニア超微粒
子を得た。超微粒子表面に結合したポリマー量は、熱重
量分析法で加熱分解するポリマーの量から23重量%で
あった。
【0156】(4)超微粒子分散溶液の調製 上記工程(3)で得られた反応性ポリマーを結合させた
チタニア超微粒子0.2gと上記工程(1)で得られた
反応性ポリマー0.05gとメチルイソブチルケトン
5.0gをマヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4倍量のジ
ルコニアビーズ(φ0.3mm)を媒体に用いてペイン
トシェーカーで3時間振とうし、分散液を得た。
【0157】(5)塗膜の作成及び物性評価 得られた分散液をコーティング組成物として用い、透明
膜の硬化を80℃で2時間加熱した以外は実施例1と同
様に塗膜を作製し、物性を評価した。試験結果を第1表
及び第2表に示す。実施例2のコーティング組成物によ
り作成した透明膜は、膜強度試験において1kg苛重で
傷が全くつかない事を確認した。また、この透明膜のヘ
イズは0.1、屈折率は1.97であり、ヘイズおよび
屈折率が良好な透明膜が得られた。また、実施例2のコ
ーティング組成物は、室温放置後も分散性に優れ、調製
直後と同様にヘイズおよび屈折率が良好な透明膜が得ら
れた。
【0158】(実施例3) (1)チタニア超微粒子表面へのポリマーの結合反応 工程(1)〜(3)までは実施例2と同様にして反応性
ポリマーを結合させたチタニア超微粒子を得た。このチ
タニア超微粒子0.2gとジメチルホルムアミド5.0
gをマヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4倍量のジルコニ
アビーズ(φ0.3mm)を媒体に用いてペイントシェ
ーカーで3時間振とうし、チタニア超微粒子を均一に分
散させた後、2‐メタクリロイルオキシエチルイソシア
ネート(昭和電工製)を0.02g加えて、80℃で3
時間攪拌して、反応性ポリマーのグリシジル基の一部に
メタクリロイル基を導入した。反応後、反応液を遠心分
離装置に設置し、超微粒子を沈降させて上澄みを除去
し、再びメチルイソブチルケトンを添加して超音波処理
を行い、超微粒子を再分散させた後に遠心分離機にかけ
る処理を、超微粒子沈降後の上澄みにポリマー成分が確
認できなくなるまで繰り返して行った。
【0159】(2)超微粒子分散液の調製 上記工程で反応性ポリマーを結合させたチタニア超微粒
子0.2gとPET30 0.05gとメチルイソブチ
ルケトン5.0gをマヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4
倍量のジルコニアビーズ(φ0.3mm)を媒体に用い
てペイントシェーカーで3時間振とうし、分散液を得
た。
【0160】(3)塗膜の作成及び物性評価 得られた分散液をコーティング組成物として用い、実施
例1と同様に塗膜を作製し、物性を評価した。試験結果
を第1表及び第2表に示す。実施例3のコーティング組
成物により作成した透明膜は、膜強度試験において1k
g苛重で傷が全くつかない事を確認した。また、この透
明膜のヘイズは0.1、屈折率は1.94であり、ヘイ
ズおよび屈折率が良好な透明膜が得られた。また、実施
例3のコーティング組成物は、室温放置後も分散性に優
れ、調製直後と同様にヘイズおよび屈折率が良好な透明
膜が得られた。
【0161】(比較例1)両末端に水酸基を持つ、数平
均分子量6,000のポリジメチルシロキサン(信越化
学製)を用いた以外は実施例1と同様の手法でポリマー
結合チタニア超微粒子を得た。
【0162】分散液も実施例1と同様の手法で調製した
ところ、顔料の凝集が起り、塗工液に用いることができ
なかった。
【0163】(比較例2)反応性ポリマーの重合時間を
1時間とし、数平均分子量が8,000の反応性ポリマ
ーを得た以外は実施例と同様の手法でポリマー結合チタ
ニア超微粒子を得た。
【0164】分散液も実施例2と同様の手法で調製した
ところ、顔料の凝集が起り、塗工液に用いることができ
なかった。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る複合
体は、1又は2以上の無機酸化物微粒子を比較的分子サ
イズの大きいポリマー構造の部分に共有結合させたもの
であり、当該無機酸化物微粒子を均一に分散させた状態
でポリマー部分に固定できる。従って、本発明に係る複
合体を有機溶剤に溶解・分散させる場合には、非常に少
量の分散剤を用いるだけで、さらに理想的な場合には分
散剤を全く使用しないでも分散性、分散安定性に優れる
塗工液を調製することが可能である。
【0168】また、本発明に係る複合体は、無機酸化物
微粒子としての機能と、バインダーポリマーとしての機
能を有しているので、当該複合体を有機溶剤に溶解・分
散させ、必要に応じて複合体化していない遊離の無機酸
化物微粒子及び/又はバインダー成分を少量追加するだ
けで、分散性、分散安定性に優れる塗工液を調製するこ
とが可能である。理想的な場合には、複合体化していな
い無機酸化物微粒子及び/又はバインダー成分を全く追
加しなくても、塗工液を調製することが可能である。
【0169】本発明に係るコーティング組成物は、上記
複合体を有機溶剤に溶解分散してなるものであり、当該
コーティング組成物中において複合体の金属酸化物微粒
子は溶解状態になったポリマー部分に共有結合により固
定され続けており、金属酸化物微粒子の自由な空間移動
が規制され、且つ、金属酸化物微粒子同士が接近して
も、粒子間にポリマー部分が介在して接触を妨げられる
ので均一、且つ、安定的に分散している。
【0170】このように、本発明に係るコーティング組
成物は、金属酸化物微粒子の分散性、分散安定性に優れ
ているので、複合体の無機酸化物微粒子及び遊離の無機
酸化物微粒子の含有量をコントロールし、当該コーティ
ング組成物を基材等の被塗工体の表面に塗布し、乾燥
し、必要に応じて硬化させることによって、無機酸化物
微粒子の物性に起因する何らかの機能が付加され、透明
性が高く、ヘイズが小さく、且つ、実使用に耐え得る膜
強度を有する塗膜が得られる。
【0171】また、本発明に係るコーティング組成物
は、塗工適性に優れ、均一な大面積の薄膜を容易に形成
することができ、ヘイズの小さい透明膜を低コストで大
量生産するのに適している。
【0172】また、本発明に係る塗膜は、上記コーティ
ング組成物を用いて形成されるものである。この塗膜
は、透明性が高く、ヘイズが小さく、且つ、無機酸化物
微粒子の配合量をコントロールして機能、性能を調節で
きるので、さまざまな機能性透明薄膜として利用でき
る。代表的には、反射防止膜の低屈折率層や中乃至高屈
折率層や高屈折率ハードコート層のような光学薄膜や、
帯電防止膜や帯電防止性ハードコート層や透明電極膜な
どの導電性透明薄膜を形成するのに好適に利用できる。
【0173】さらに、本発明に係る塗膜のバインダーが
水素結合形成基を有する場合には、隣接層、その中でも
特に蒸着層との密着性が特に優れている。
【0174】そして、本発明に係る塗膜を含んでいる反
射防止膜は、液晶表示装置やCRT等の表示面に好適に
適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗膜を含んだ多層型反射防止膜に
より表示面を被覆した液晶表示装置の一例であり、その
断面を模式的に示した図である。
【図2】本発明に係る塗膜を含んだ多層型反射防止膜を
設けた配向板の一例であり、その断面を模式的に示した
図である。
【図3】本発明に係る塗膜を含んだ反射防止フィルムの
一例であり、その断面を模式的に示した図である。
【図4】本発明に係る塗膜を含んだ透明導電フィルムの
一例であり、その断面を模式的に示した図である。
【符号の説明】
101…液晶表示装置 102…反射防止フィルム 1…表示面側のガラス基板 2…画素部 3…ブラックマトリックス層 4…カラーフィルター 5、7…透明電極層 6…背面側のガラス基板 8…シール材 9…配向膜 10…偏光フィルム 11…バックライトユニット 12…偏光素子 13、14…保護フィルム 15…接着剤層 16…ハードコート層 17…多層型反射防止膜 18…中屈折率層 19…高屈折率層 20…低屈折率層 21…基材フィルム 22…高屈折率層 23…低屈折率層 24…導電性透明薄膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 77/398 C08G 77/398 4J037 C08J 7/04 CEP C08J 7/04 CEPK 4J038 C09D 5/00 C09D 5/00 Z 4J100 5/24 5/24 157/00 157/00 183/04 183/04 201/00 201/00 G02B 1/10 C08L 1:12 1/11 G02B 1/10 A // C08L 1:12 Z Fターム(参考) 2K009 AA02 AA15 CC09 CC21 DD02 DD05 DD06 EE03 4F006 AA02 AB13 AB16 AB18 AB20 AB24 AB35 AB38 AB39 AB73 AB74 AB76 BA02 CA05 CA08 DA04 4F100 AA19A AA21A AA25A AA27A AA28A AA29A AA33A AJ06 AK02A AK25A AK52A AR00B AS00A BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C JB12A JB13A JB14A JG01C JN01A JN01B JN01C JN06 JN18A JN18B YY00A 4J026 AC00 BA02 BA03 BA05 BA06 BA14 BA19 BA20 BA21 BA22 BA25 BA28 BA29 BA30 BA31 BA32 BA34 BA43 BA46 BA47 BA50 CA01 GA01 4J035 BA01 CA05U CA051 CA29M FB01 FB06 LB01 4J037 AA08 AA11 AA22 CC12 CC13 CC14 CC15 CC16 CC21 CC24 CC27 CC28 DD05 EE03 FF02 FF15 4J038 DA061 DA161 DB001 DD001 DG001 DL031 FA001 FA041 FA081 FA101 FA152 FA161 FA221 HA186 HA216 KA03 KA06 KA08 KA15 NA01 NA19 PA17 PA19 PB08 PC08 4J100 AB02P AJ02P AL03Q AL08P AL09P AL10P AM15P BA31P BA93H CA04 CA31 HA00 HA19 HA31 HC42 HC59 JA01 JA32

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.01〜0.1μmの範囲の一次粒子
    径を有する無機酸化物微粒子に対し、数平均分子量2
    0,000以上のポリマー部分が共有結合を形成してい
    ることを特徴とする複合体。
  2. 【請求項2】 前記の無機酸化物微粒子が、チタニア、
    ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸化ア
    ンチモン、スズをドープした酸化インジウム(IT
    O)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜
    鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウ
    ムをドープした酸化亜鉛(AZO)、及び、フッ素をド
    ープした酸化スズ(FTO)よりなる群から選ばれるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
  3. 【請求項3】 前記無機酸化物微粒子の表面の少なくと
    も一部が、当該無機酸化物微粒子の光触媒活性を低下又
    は消失させる無機化合物により被覆されていることを特
    徴とする、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 【請求項4】 前記の無機化合物が、アルミナ、シリ
    カ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、アンチモ
    ンをドープした酸化スズ(ATO)、スズをドープした
    酸化インジウム(ITO)、亜鉛をドープした酸化イン
    ジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛
    (AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FT
    O)よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項
    3に記載の複合体。
  5. 【請求項5】 前記複合体のポリマー部分が、複合体全
    体の10重量%以上であることを特徴とする、請求項1
    乃至4いずれかに記載の複合体。
  6. 【請求項6】 前記複合体のポリマー部分が光硬化性及
    び/又は熱硬化性を有することを特徴とする、請求項1
    乃至5いずれかに記載の複合体。
  7. 【請求項7】 前記複合体のポリマー部分が、α,β−
    エチレン性不飽和結合を有するポリマー及び/又はポリ
    シロキサン系ポリマーであることを特徴とする、請求項
    1乃至6いずれかに記載の複合体。
  8. 【請求項8】 光学薄膜の形成材料として用いられるこ
    とを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載の複合
    体。
  9. 【請求項9】 少なくとも、(1)前記請求項1乃至1
    0いずれかに記載の複合体、及び、(2)有機溶剤から
    なり、必要に応じて前記複合体を構成していない無機酸
    化物微粒子及び/又はバインダー成分をさらに含有する
    ことを特徴とする、コーティング組成物。
  10. 【請求項10】 前記バインダー成分として、架橋性の
    モノマー又はオリゴマーを含有することを特徴とする、
    請求項9に記載のコーティング組成物。
  11. 【請求項11】 前記複合体のポリマー部分が光硬化性
    又は熱硬化性を有すると共に、前記架橋性のモノマー又
    はオリゴマーとして光硬化性及び/又は熱硬化性のモノ
    マー又はオリゴマーを含有することを特徴とする、請求
    項10に記載のコーティング組成物。
  12. 【請求項12】 前記複合体を構成している無機酸化物
    微粒子と前記複合体を構成していない無機酸化物微粒子
    の合計10重量部に対して、前記複合体を構成している
    ポリマー部分と前記バインダー成分の合計が4〜20重
    量部の割合であることを特徴とする、請求項9乃至11
    いずれかに記載のコーティング組成物。
  13. 【請求項13】 前記複合体を構成している無機酸化物
    微粒子と前記複合体を構成していない無機酸化物微粒子
    の合計10〜20重量部に対して、前記複合体を構成し
    ているポリマー部分と前記バインダー成分の合計が4〜
    40重量部の割合であることを特徴とする、請求項9乃
    至11いずれかに記載のコーティング組成物。
  14. 【請求項14】 光学薄膜を形成するために用いられる
    ものであることを特徴とする、請求項9乃至13いずれ
    かに記載のコーティング組成物。
  15. 【請求項15】 反射防止膜の中屈折率層、高屈折率層
    及び/又は導電性透明薄膜を形成するために用いられる
    ものであることを特徴とする、請求項12に記載のコー
    ティング組成物。
  16. 【請求項16】 反射防止膜の高屈折率ハードコート層
    を形成するために用いられるものであることを特徴とす
    る、請求項13に記載のコーティング組成物。
  17. 【請求項17】 前記請求項X1乃至X8いずれかに記
    載のコーティング組成物を被塗工体の表面に塗布するこ
    とにより得られ、膜厚が0.05〜0.2μmの時に、
    屈折率が1.55〜2.30で、且つ、JIS−K73
    61−1に規定されるヘイズ値が前記基材だけのヘイズ
    値と変わらないか又は前記基材だけのヘイズ値との差が
    10%以内であることを特徴とする、塗膜。
  18. 【請求項18】 前記請求項X1乃至X8いずれかに記
    載のコーティング組成物を被塗工体の表面に塗布するこ
    とにより得られ、膜厚が0.2〜20μmの時に、屈折
    率が1.55〜2.30で、且つ、JIS−K7361
    −1に規定されるヘイズ値が前記基材だけのヘイズ値と
    変わらないか又は前記基材だけのヘイズ値との差が20
    %以内であることを特徴とする、塗膜。
  19. 【請求項19】 0.01〜0.1μmの範囲の一次粒
    子径を有する無機酸化物微粒子がバインダー中に均一に
    混合し且つバインダーに共有結合してなり、膜厚が0.
    05〜0.2μmの時に、屈折率が1.55〜2.30
    で、且つ、JIS−K7361−1に規定されるヘイズ
    値が基材だけのヘイズ値と変わらないか又は基材だけの
    ヘイズ値との差が10%以内であることを特徴とする、
    塗膜。
  20. 【請求項20】0.01〜0.1μmの範囲の一次粒子
    径を有する無機酸化物微粒子がバインダー中に均一に混
    合し且つバインダーに共有結合してなり、膜厚が0.2
    〜20μmの時に、屈折率が1.55〜2.30で、且
    つ、JIS−K7361−1に規定されるヘイズ値が前
    記基材だけのヘイズ値と変わらないか又は前記基材だけ
    のヘイズ値との差が20%以内であることを特徴とす
    る、塗膜。
  21. 【請求項21】 前記の無機酸化物微粒子が、チタニ
    ア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸
    化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム(IT
    O)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜
    鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウ
    ムをドープした酸化亜鉛(AZO)、及び、フッ素をド
    ープした酸化スズ(FTO)よりなる群から選ばれるこ
    とを特徴とする、請求項16又は17に記載の塗膜。
  22. 【請求項22】 前記無機酸化物微粒子の表面の少なく
    とも一部が、当該無機酸化物微粒子の光触媒活性を低下
    又は消失させる無機化合物により被覆されていることを
    特徴とする、請求項16乃至18いずれかに記載の塗
    膜。
  23. 【請求項23】 前記の無機化合物が、アルミナ、シリ
    カ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、アンチモ
    ンをドープした酸化スズ(ATO)、スズをドープした
    酸化インジウム(ITO)、亜鉛をドープした酸化イン
    ジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛
    (AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FT
    O)よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項
    19に記載の塗膜。
  24. 【請求項24】 前記バインダーが架橋反応硬化物であ
    ることを特徴とする、請求項14乃至20いずれかに記
    載の塗膜。
  25. 【請求項25】 前記バインダーは、ペンタエリスリト
    ール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官
    能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリ
    レート、及び、ジペンタエリスリトール多官能メタクリ
    レートよりなる群から選ばれる一又は二以上のモノマー
    単位が重合してなるα,β−エチレン性不飽和モノマー
    系ポリマーの硬化物であることを特徴とする、請求項2
    1に記載の塗膜。
  26. 【請求項26】 前記バインダーは、下記式(2) RmSi(OR’)n ・・・式(2) (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基又はビニル
    基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミド基、
    スルホニル基、水酸基、カルボキシル基、又は、メルカ
    プト基を表し、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表
    し、m+nは4の整数である。)で表される珪素アルコ
    キシドを加水分解して調製したSiO2ゾルからなるS
    iO2ゲルであることを特徴とする、請求項21に記載
    の塗膜。
  27. 【請求項27】 光透過性を有し且つ互いに屈折率が異
    なる光透過層を二層以上積層してなり、前記光透過層の
    うちの少なくとも一つが前記請求項14乃至23いずれ
    かに記載の塗膜であることを特徴とする、反射防止膜。
  28. 【請求項28】 前記請求項14乃至23いずれかに記
    載の塗膜からなるハードコート層を有することを特徴と
    する、反射防止膜。
  29. 【請求項29】 前記請求項14乃至23いずれかに記
    載の塗膜からなる導電性透明薄膜の層を有することを特
    徴とする、反射防止膜。
  30. 【請求項30】 光透過性を有する基材フィルムの少な
    くとも一面側に、光透過性を有し且つ互いに屈折率が異
    なる光透過層を二層以上積層してなり、前記光透過層の
    うちの少なくとも一つが前記請求項14乃至23いずれ
    かに記載の塗膜であることを特徴とする、反射防止フィ
    ルム。
  31. 【請求項31】 光透過性を有する基材フィルムの少な
    くとも一面側に、前記請求項14乃至23いずれかに記
    載の塗膜からなるハードコート層を介して1又は2以上
    の光透過層を積層してなることを特徴とする、反射防止
    フィルム。
  32. 【請求項32】 光透過性を有する基材フィルムの少な
    くとも一面側に、1又は2以上の光透過層を積層してな
    る反射防止膜を設けると共に、前記基材フィルムの反射
    防止膜を設けた側又はその反対側に前記請求項14乃至
    23いずれかに記載の塗膜からなる導電性透明薄膜の層
    を設けてなることを特徴とする、反射防止フィルム。
JP2002097786A 2002-03-29 2002-03-29 反射防止フィルム Expired - Fee Related JP4187454B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002097786A JP4187454B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 反射防止フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002097786A JP4187454B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 反射防止フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003292826A true JP2003292826A (ja) 2003-10-15
JP4187454B2 JP4187454B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=29240127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002097786A Expired - Fee Related JP4187454B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 反射防止フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4187454B2 (ja)

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321544A (ja) * 2002-04-30 2003-11-14 Chisso Corp 感熱応答性シラン化合物およびその製造方法ならびにこれを含む感熱応答性材料
JP2005196122A (ja) * 2003-12-12 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム、偏光板用保護フィルム及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置
JP2005272267A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Fuji Photo Film Co Ltd コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法
JP2005284000A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Jsr Corp 反射防止膜用組成物及び反射防止膜
JP2005305392A (ja) * 2004-04-26 2005-11-04 Jsr Corp アンチモン含有酸化スズ粒子分散液の製造方法及び透明性導電膜
WO2006013906A1 (en) 2004-08-02 2006-02-09 Fujifilm Corporation Optical film, producing method therefor, polarizing plate and image display apparatus
JP2006309163A (ja) * 2005-03-29 2006-11-09 Tomoegawa Paper Co Ltd 反射防止材料
JP2007250026A (ja) * 2006-03-14 2007-09-27 Jsr Corp 高密度記録光ディスク表面保護層用組成物、硬化膜および表面保護層を有する光ディスク
JP2007270055A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jsr Corp 多官能ポリシロキサンおよび金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物、ならびにそれらの製造方法
JP2007271954A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Tomoegawa Paper Co Ltd 反射防止材料
JP2008510065A (ja) * 2004-09-01 2008-04-03 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 重合体のマトリックスにナノ構造を組み込んだ重合体を製造する方法
CN100390633C (zh) * 2004-05-14 2008-05-28 京东方显示器科技公司 液晶显示装置用导电性偏振板
JP2008163252A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Dainippon Printing Co Ltd 防眩層用硬化性樹脂組成物、及び防眩フィルム
JP2009540391A (ja) * 2006-06-13 2009-11-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 耐久性の高い反射防止フィルム
JP2010120980A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Nitto Denko Corp 熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法
KR101056908B1 (ko) * 2004-12-31 2011-08-12 주식회사 케이씨씨 내오염성 및 내스크래치성이 우수한 표면처리제를 적용한피브이씨 장식시트
CN102637749A (zh) * 2011-02-11 2012-08-15 三菱综合材料株式会社 太阳能电池用复合膜及其制造方法
JP2012190856A (ja) * 2011-03-08 2012-10-04 Mitsubishi Materials Corp 太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜
US8343624B2 (en) 2006-06-13 2013-01-01 3M Innovative Properties Company Durable antireflective film
US8354162B2 (en) 2007-03-29 2013-01-15 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Curable resin composition for anti-glare layer, and anti-glare film
KR20140038983A (ko) 2011-06-08 2014-03-31 스미토모 오사카 세멘토 가부시키가이샤 무기 산화물 입자와 실리콘 수지의 복합 조성물 및 투명 복합체
US20150353438A1 (en) * 2012-03-12 2015-12-10 University Of Central Florida Research Foundation, Inc. Polymer composite having dispersed transition metal oxide particles
JP2019172840A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 富士フイルム株式会社 複合体、ハードコート層形成用組成物、硬化物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、画像表示装置、複合体の製造方法、及びハードコートフィルムの製造方法
JP2020514464A (ja) * 2016-12-29 2020-05-21 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 可撓性ナノ粒子光学コーティング組成物
CN111684329A (zh) * 2018-02-06 2020-09-18 富士胶片株式会社 层叠体、层叠体的制造方法及图像显示装置
JP2020533618A (ja) * 2017-09-11 2020-11-19 クアンタム イノベーションズ,インク. 眼科用基材のための高エネルギー可視光線吸収材料と塗布方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102674706B (zh) * 2012-06-01 2014-07-09 天津大学 在导电玻璃上制备二氧化钛纳米多级结构薄膜的方法
CN108906019A (zh) * 2018-06-22 2018-11-30 广州怡轩环保科技有限公司 纳米光触媒

Cited By (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321544A (ja) * 2002-04-30 2003-11-14 Chisso Corp 感熱応答性シラン化合物およびその製造方法ならびにこれを含む感熱応答性材料
JP2005196122A (ja) * 2003-12-12 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルム、偏光板用保護フィルム及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置
JP2005272267A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Fuji Photo Film Co Ltd コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法
JP2005284000A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Jsr Corp 反射防止膜用組成物及び反射防止膜
JP2005305392A (ja) * 2004-04-26 2005-11-04 Jsr Corp アンチモン含有酸化スズ粒子分散液の製造方法及び透明性導電膜
CN100390633C (zh) * 2004-05-14 2008-05-28 京东方显示器科技公司 液晶显示装置用导电性偏振板
WO2006013906A1 (en) 2004-08-02 2006-02-09 Fujifilm Corporation Optical film, producing method therefor, polarizing plate and image display apparatus
JP2008510065A (ja) * 2004-09-01 2008-04-03 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 重合体のマトリックスにナノ構造を組み込んだ重合体を製造する方法
KR101056908B1 (ko) * 2004-12-31 2011-08-12 주식회사 케이씨씨 내오염성 및 내스크래치성이 우수한 표면처리제를 적용한피브이씨 장식시트
JP2006309163A (ja) * 2005-03-29 2006-11-09 Tomoegawa Paper Co Ltd 反射防止材料
JP2007250026A (ja) * 2006-03-14 2007-09-27 Jsr Corp 高密度記録光ディスク表面保護層用組成物、硬化膜および表面保護層を有する光ディスク
JP2007270055A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jsr Corp 多官能ポリシロキサンおよび金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物、ならびにそれらの製造方法
JP2007271954A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Tomoegawa Paper Co Ltd 反射防止材料
JP2009540391A (ja) * 2006-06-13 2009-11-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 耐久性の高い反射防止フィルム
KR101375897B1 (ko) * 2006-06-13 2014-03-18 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 내구성 반사방지 필름
US8470439B2 (en) 2006-06-13 2013-06-25 3M Innovative Properties Company Durable antireflective film
US8343624B2 (en) 2006-06-13 2013-01-01 3M Innovative Properties Company Durable antireflective film
JP2008163252A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Dainippon Printing Co Ltd 防眩層用硬化性樹脂組成物、及び防眩フィルム
US8354162B2 (en) 2007-03-29 2013-01-15 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Curable resin composition for anti-glare layer, and anti-glare film
JP2010120980A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Nitto Denko Corp 熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法
CN102637749A (zh) * 2011-02-11 2012-08-15 三菱综合材料株式会社 太阳能电池用复合膜及其制造方法
JP2012169382A (ja) * 2011-02-11 2012-09-06 Mitsubishi Materials Corp 太陽電池用複合膜およびその製造方法
JP2012190856A (ja) * 2011-03-08 2012-10-04 Mitsubishi Materials Corp 太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜
KR20140038983A (ko) 2011-06-08 2014-03-31 스미토모 오사카 세멘토 가부시키가이샤 무기 산화물 입자와 실리콘 수지의 복합 조성물 및 투명 복합체
US20150353438A1 (en) * 2012-03-12 2015-12-10 University Of Central Florida Research Foundation, Inc. Polymer composite having dispersed transition metal oxide particles
US10370306B2 (en) * 2012-03-12 2019-08-06 University Of Central Florida Research Foundation, Inc. Polymer composite having dispersed transition metal oxide particles
JP2020514464A (ja) * 2016-12-29 2020-05-21 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 可撓性ナノ粒子光学コーティング組成物
JP7076888B2 (ja) 2016-12-29 2022-05-30 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 可撓性ナノ粒子光学コーティング組成物
JP2020533618A (ja) * 2017-09-11 2020-11-19 クアンタム イノベーションズ,インク. 眼科用基材のための高エネルギー可視光線吸収材料と塗布方法
CN111684329A (zh) * 2018-02-06 2020-09-18 富士胶片株式会社 层叠体、层叠体的制造方法及图像显示装置
CN111684329B (zh) * 2018-02-06 2023-03-24 富士胶片株式会社 层叠体、层叠体的制造方法及图像显示装置
JP2019172840A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 富士フイルム株式会社 複合体、ハードコート層形成用組成物、硬化物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、画像表示装置、複合体の製造方法、及びハードコートフィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4187454B2 (ja) 2008-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4187454B2 (ja) 反射防止フィルム
KR100867338B1 (ko) 코팅 조성물, 그 도막, 반사 방지막, 반사 방지 필름, 화상 표시 장치 및 중간 제품
TWI522642B (zh) 光學薄膜、偏光板、顯示面板及顯示器
US8202573B2 (en) Self-assembling antireflective coating comprising surface modified high refractive index nanoparticles
EP2310884B1 (en) Flexible high refractive index antireflective film
JP5032785B2 (ja) 反射防止積層体及びその製造方法
JP2007121993A (ja) 反射防止積層体及びその製造方法
JP2007272131A (ja) 反射防止積層体及びその製造方法
JP2006047504A (ja) 反射防止積層体
JP4712236B2 (ja) 反射防止膜、反射防止フィルム、画像表示装置、及び、それらの製造方法
JP2003004904A (ja) 高屈折率化した防眩層を有する反射防止フィルム及び低反射表示装置
JP2003027003A (ja) コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、及び、反射防止フィルム
JP2000017099A (ja) 薄膜及びそれを利用した反射防止膜
JP2009080256A (ja) 防眩フィルム
CN101632138A (zh) 透明导电膜形成用组合物、透明导电膜和显示器
CN111712534B (zh) 抗反射膜、偏光板和显示装置
JP4857496B2 (ja) 複合体、コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、及び、画像表示装置
JP4899263B2 (ja) コーティング組成物、及び、その塗膜
JP2003096400A (ja) コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、画像表示装置、及びコーティング組成物の調製方法
JP4627355B2 (ja) 高屈折率コーティング組成物、高屈折率塗膜、画像表示装置、及び、反射防止フィルム
JP5753285B2 (ja) 光学積層体
JP2004300210A (ja) コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、及び画像表示装置
JP2004331744A (ja) 硬化性組成物及びそれを用いた硬化処理物品
JPH11218604A (ja) 反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置
JP4524150B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置、および反射防止フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080311

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080508

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080902

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4187454

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees