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JP2003235597A - グリセロ糖脂質の製造方法及びそれに用いる微生物 - Google Patents

グリセロ糖脂質の製造方法及びそれに用いる微生物

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JP2003235597A
JP2003235597A JP2002039694A JP2002039694A JP2003235597A JP 2003235597 A JP2003235597 A JP 2003235597A JP 2002039694 A JP2002039694 A JP 2002039694A JP 2002039694 A JP2002039694 A JP 2002039694A JP 2003235597 A JP2003235597 A JP 2003235597A
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glyceroglycolipid
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mass
methyl alcohol
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聰 福岡
Takeshi Ikumori
健 何森
Yasuhiro Kawanami
康弘 川浪
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望のアシル基をもったグリセロ糖脂質を効
率よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 オーレオバクテリウム(Aureoba
cterium)に属するグリセロ糖脂質生産菌を培養
し、その培養した菌体からグリセロ糖脂質を分離するこ
とによりグリセロ糖脂質を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性の界面活
性剤、化粧料添加剤、ガン予防剤などとして有用なグリ
セロ糖脂質の製造方法及びそれに用いられる新規な微生
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】グリセロ糖脂質は、1個以上のグリセロ
ールを含む糖脂質であって、近年、その機能が解決され
た結果、生分解性の界面活性剤(特開平7−25249
4号公報)、皮膚用化粧料(特開平8−208423号
公報、特開平9−241149号公報)、毛髪用化粧品
(特開平8−99845号公報、特開平7−30972
5号公報)、ガン予防食品(特開2001−21378
2号公報)などとしての利用がはかられている。
【0003】これまで、このグリセロ糖脂質は、コムギ
その他の天然物から抽出したり、その使用目的に応じこ
のような天然物から抽出された各種糖脂質を原料として
合成されていた。また、最近に至りコリネバクテリウム
(Corynebacterium)に属する微生物を
培養して、炭素数15のアシル基をもつグリセロ糖脂質
を製造する方法も提案されている(特開2001−24
7593号公報)。
【0004】しかしながら、これらの方法は、得られる
グリセロ糖脂質中のアシル基の種類が限られている上
に、抽出や精製に有機溶剤を用いる必要があり、大量生
産する場合、環境汚染や健康管理上の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上記の欠点を克服し、所望のアシル基をもったグ
リセロ糖脂質を効率よく製造する方法を提供することを
目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、グリセロ
糖脂質を効率よく製造する方法を開発するために鋭意研
究を重ねた結果、オーレオバクテリウム(Aureob
acterium)に属するある種の微生物を培養すれ
ば、菌体中に炭素数15〜17個の飽和脂肪酸残基をも
つグリセロ糖脂質が蓄積されること、及びこの微生物は
文献未載の新しい微生物であることを見出し、この知見
に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】すなわち、本発明は、オーレオバクテリウ
ム(Aureobacterium)に属するグリセロ
糖脂質生産菌を培養し、その培養した菌体からグリセロ
糖脂質を分離することを特徴とするグリセロ糖脂質の製
造方法、及びオーレオバクテリウム(Aureobac
terium)に属し、グリセロ糖脂質を生産する能力
を有することで特徴づけられる菌株AA1(FERM
P−18698)を提供するものである。
【0008】この方法により得られるグリセロ糖脂質
は、炭素数15の飽和脂肪酸残基2個、炭素数15の飽
和脂肪酸残基1個と炭素数16の飽和脂肪酸残基1個、
炭素数16の飽和脂肪酸残基2個又は炭素数15の飽和
脂肪酸残基1個と炭素数17の飽和脂肪酸残基1個との
組合せを有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明方法において培養に用いる
微生物は、オーレオバクテリウム属に属し、グリセロ糖
脂質を生産する能力を有することをもって特徴づけられ
る菌株、例えば菌株AA1であって、これは独立行政法
人産業技術総合研究所特許微生物寄託センターにFER
M P−18698として寄託されている。
【0010】この菌株AA1は熊本県天草郡有明町の海
水から分離された文献未載の新菌であるが、本発明方法
においては、この菌株AA1に限らず、それ以外のオー
レオバクテリウム属に属するグリセロ糖脂質を生産する
能力を有する菌株や、その変異株、例えば、紫外線や化
学薬品による変異処理によって得られる人工変異株又は
自然変異株なども用いることができる。
【0011】次に本発明方法で用いる微生物の菌学的性
状を菌株AA1を例にして説明する。 (1)形態 コロニーの形態は、偏平で丸く、不透明で黄色である集
落の周辺細胞の伸長は陰性である。細胞の光学顕微鏡観
察に基づく形態は、多形成桿菌で0.4〜0.7μmの
幅を有し、培養の経過により初期の桿菌から対数増殖の
終末期には短桿菌〜球菌状に形状が変化し、また、運動
性を有していた。グラム染色は陽性で、胞子形成能は認
められなかった。 (2)生理学的性質 (a)炭素源の発酵性グルコースの酸化分解性は陰性で
ある。 (b)細胞壁のジアミノ酸はオルニチンである。 (c)主要キノン系はMK−11,MK−10,MK−
12である。 (d)酵素活性 カタラーゼ(catalase)活性は陽性である。オ
キシダーゼ(oxidase)活性は陰性である。 (e)酸素に対する態度は好気的である。
【0012】以上の菌学的性質から菌株AA1は文献を
参考に既知菌種を検索したところ、オーレオバクテリウ
ム(Aureobacterium)属細菌の性状と一
致した。
【0013】本発明方法によりグリセロ糖脂質を製造す
るには、所定の菌株を栄養培地に接種し、好気的に培養
する。この菌株の培養方法は、原則的には一般微生物の
培養方法に従って行われるが、通常は液体培養による振
とう培養、通気撹拌培養などの好気的条件下で行うのが
好ましい。
【0014】この際、培養に用いることのできる培地と
しては、オーレオバクテリウム属に属する微生物が利用
できる栄養源を含有する培地であればよく、各種の合成
培地、半合成培地、天然培地などいずれも用いることが
できる。培地組成としては、例えば、炭素源として、グ
ルコース、シュークロース、プシコース、糖みつ、デン
プンなどを単独又は組み合わせて使用することができ、
窒素源としては、大豆粉、コーンスティープリカー、肉
エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウムなど
を単独又は組み合わせて使用することができる。また必
要に応じて、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸
カルシウム、リン酸塩、金属塩などの無機塩を加えるこ
とができる。その他、これらの菌株の生育あるいはグリ
セロ糖脂質の生産を促進する有機物、例えば、ビタミン
類、アミノ酸類を加えることができる。
【0015】この培養においてグリセロ糖脂質の生産量
を増大するには、炭素源としてプシコースなどの緩慢代
謝性の糖類を用いるのが好ましい。また、この際、栄養
源の他、5質量%以下、好ましくは0.5〜3.5質量
%の塩化ナトリウムを添加し、液体培地で培養する場合
は空気を吹き込むか、空気との接触を保つために振とう
するのが好ましい。
【0016】培養条件としては、菌株が良好に生育して
本発明のグリセロ糖脂質を生産しうる範囲内で適宜選択
すればよい。例えば、培地のpHは5〜8程度、通常中
性付近とすることが好ましいが、必ずしも調整する必要
はない。培養温度は、微生物が良好に生育する温度、通
常10〜40℃、好ましくは15〜35℃に保つのがよ
い。培養時間は、1〜14日間程度でよく、好ましくは
2〜5日間である。もちろん上述した各種の培養条件
は、使用微生物の種類や特性、外部条件などに応じて適
宜変更でき、またそれに応じて上記範囲から最適条件を
選択、調整できる。その際、培養液中のグリセロ糖脂質
の蓄積量が最大になったときに培養を停止して得た培養
液を後続の工程に使用する。
【0017】このようにして得た培養液中に蓄積された
グリセロ糖脂質は、培養後、濾過、遠心分離などの一般
的固液分離手段によって菌体を分離し、分離した菌体か
ら回収可能である。
【0018】グリセロ糖脂質の分離、精製は、これまで
知られている種々の方法を選択、組み合わせて行うこと
ができる。例えば、クロロホルム、酢酸エチル、メチル
アルコールなどを用いた溶媒抽出や、シリカゲルやアル
ミナなどの担体を用いるクロマトグラフィー法を用いる
ことができる。これらの担体から目的物質を溶出させる
方法は、担体の種類、性質によって異なるが、一例とし
て、シリカゲル薄層クロマトグラフィーの場合には、展
開及び溶出溶媒として、クロロホルムとメチルアルコー
ルの混合溶媒などを用いることができる。さらにゲル濾
過、順相あるいは逆相カラムを用いた分取用高速液体ク
ロマトグラフィーなどを用いることができる。これらの
方法は単独又は適宜組み合わせて、場合によっては反復
使用することにより、分離、精製する。
【0019】このようにして得られるグリセロ糖脂質は
以下に示す物理化学的性質及び構成成分を有する。
【0020】グリセロ糖脂質がペンタデカン酸、ヘキサ
デカン酸、ヘプタデカン酸の任意の2種類を含有するこ
との同定はアルカリ加水分解−メチルエステル化法によ
り行った。高純度としたグリセロ糖脂質を文献[マイク
ロバイオス(Microbios)、第72巻、167
〜173ページ、(1992)]記載の方法で、2M水
酸化ナトリウムを含有するメチルアルコール−水溶液
中、100℃で3時間加水分解反応させて脂肪酸を遊離
させた。脂肪酸はヘキサンにより抽出後、トリフルオロ
ホウ酸−メチルアルコール錯塩でメチルエステル化した
後、非極性キャピラリーカラム(スペルコ製SPB−
1,30m)を装填したガスクロマトグラフ質量分析装
置及びイソブタンをイオン化ガスに用いる化学イオン化
法で測定した。その結果を図1に示す。この中の記号1
はペンタデカン酸のメチルエステルに相当するピーク、
記号2はヘキサデカン酸のメチルエステルに相当するピ
ーク、記号3はヘプタデカン酸のメチルエステルに相当
するピークである。このように、このグリセロ糖脂質
は、3種類の脂肪酸を主要成分としており、ピーク強度
の強い順に質量/荷電比の値は257,271,285
であった。これはペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘ
プタデカン酸のメチルエステルにプロトン1個が付加し
た分子量に等しく、脂肪酸がこの3種を主要成分とする
ことが分る。
【0021】グリセロ糖脂質がグリセロール、マンノー
スとグルコースを含有することの同定は文献記載の酸加
水分解−アルジトールアセテート法により行った。すな
わちトリフルオロ酢酸溶液中で121℃、60分加水分
解処理した後、アルジトールアセテート法による酢酸エ
ステル化したのち強極性のキャピラリーカラム(スペル
コ製SPB−2380,30m)を装填したガスクロマ
トグラフ質量分析装置を用いてエレクトロンイオン化法
で測定した。この測定結果を図2に示す。ピークの中で
記号1,2,3はそれぞれ市販の標準物質と比較したと
きにグリセロールトリアセテート、マンノース還元物の
ヘキサアセテート、グルコース還元物のヘキサアセテー
トと同一の溶出時間及び質量スペクトルパターンを示し
た。このことから、該グリセロ糖脂質がグリセロール、
マンノース、グルコースを含有することが分る。
【0022】グリセロ糖脂質を文献[アーカイブス・オ
フ・マイクロバイオロジー(Arch.Microbi
ol.)、第157巻、311〜318ページ、(19
92)]記載の方法に準じて高速原子衝撃質量スペクト
ル分析したときのポジテイブイオン法による測定結果を
図3に示す。スペクトルにはm/z887.5,90
1.5,915.5の3本の主要プリカーサーイオンピ
ークが認められ、グリセロ糖脂質がグリセロール1個、
ヘキソース2個、脂肪酸2個を含有する、グリセロ糖脂
質であることが推定される。
【0023】該グリセロ糖脂質の物理化学的性質 (1)分子量:864.6,878.6,又は892.
6 (2)分子式:C458415,C468615,又はC47
8815 (3)図3の高速原子衝撃質量スペクトル(FAB−M
S)より[M+Na]+として質量/荷電比はm/z8
77.5,901.5,915.5にイオンピークを示
し、これらは分子量にナトリウム原子1個が付加した質
量計算値にほぼ一致した値である。表1に分子量の測定
値に基づく脂肪酸の組合せを示す。
【0024】
【表1】
【0025】(4)色及び形状:白色粉末。 (5)溶解性:メチルアルコール、クロロホルム混合溶
媒に溶け、水にはほとんど溶けない。 (6)呈色反応:硫酸オルシノール試薬で呈色する。 (7)薄層クロマトグラフィーのRf値:シリカゲル薄
層プレート(Merck社製:1.05641)にて
0.33(展開溶媒クロロホルム/メチルアルコール、
体積比4/1)
【0026】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳細に説
明する。
【0027】実施例1 寒天[デイフコ(Difco)社製、「マリンアガー2
216」]55.1gを水1リットルに溶解し、121
℃で15分オートクレーブ滅菌したのち、直径90mm
のシャーレに30ml分注し、室温まで放冷することに
より固体培地を調製した。次いで、上記の寒天の表面に
4質量%プシコース溶液200μlを塗布した上に、オ
ーレオバクテリウムに属する菌株AA1(FERM P
−18698)の菌体を接種し、20℃の恒温インキュ
ベーター中に静置し、培養した。7日間培養したのち、
菌体を採取し、凍結乾燥することにより、乾燥菌体19
8mgを得た。
【0028】次に、この乾燥菌体198mgを、クロロ
ホルム/メチルアルコール混液(体積比2/1)15m
lずつで3回抽出し、この抽出液をロータリーエバポレ
ーターを用いて濃縮乾固することにより粗グリセロ糖脂
質28.7mgを得た。次いでこの粗グリセロ糖脂質を
シリカゲル薄層クロマトグラフィープレート(メルク社
製、1.05641)に担持させたのち、クロロホルム
/メチルアルコール混液(体積比4/1)で展開した。
展開終了後、溶媒を蒸発させ、薄層プレートを純水に浸
漬し、直ちに引き上げ、Rf値0.33の白く抜けたバ
ンド部分を分取し、クロロホルム/メチルアルコール混
液(体積比2/1)で溶出し、溶出液をロータリーエバ
ポレーターで乾固することにより精製グリセロ糖脂質
1.7mgを得た。
【0029】実施例2 先ず、以下に示す組成の液体栄養培地(pH6.5)を
調製した。
【0030】次に、この液体栄養培地100mlを50
0ml体積三角フラスコに移し、オートクレーブ殺菌し
たのち、実施例1と同じ菌体を接種し、ロータリーシェ
ーカーを用い、20℃、振とう速度100rpmの条件
下、2日間振とう培養し、種母培養液を調製した。別
に、500ml体積三角フラスコ5個を用意し、それぞ
れに、前記の組成の液体栄養培地100mlずつを分注
し、殺菌処理したのち、前記の種母培養液1mlずつを
接種し、ロータリーシェーカー(100rpm)を用い
て20℃で4日間振とう培養した。
【0031】培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を
集め、少量の純水で洗浄後、凍結乾燥することにより、
フラスコ1個当り平均141mgの乾燥菌体を得た。次
いで、この乾燥菌体141mgをクロロホルム/メチル
アルコール混液(体積比2/1)10mlずつを用いて
3回抽出したのち、この抽出液をロータリーエバポレー
ターを用いて濃縮乾固することにより、粗グリセロ糖脂
質11.6mgを得た。このようにして得た粗グリセロ
糖脂質を、シリカゲル薄層クロマトグラフィープレート
(メルク社製、1.05641)上に担持させ、クロロ
ホルム/メチルアルコール混液(体積比4/1)で展開
した。展開終了後、これを乾燥し、薄層プレートを純水
に浸漬して直ちに引き上げ、Rf値0.33の白く抜け
たバンド部分を分取し、クロロホルム/メチルアルコー
ル混液(体積比2/1)で溶出し、この溶出液をロータ
リーエバポレーターで蒸発乾固することにより、精製グ
リセロ糖脂質1.5mgを得た。
【0032】実施例3 実施例2で用いた組成の液体培養培地100mlずつを
三角フラスコ4個に分取し、それぞれにプシコース、グ
ルコース、ガラクトース又はシュークロース0.5gず
つ添加したのち殺菌処理した。次いで、これらに実施例
2で調製した種母培養液1mlずつを接種し、ロータリ
ーシェーカーを用いて、20℃、振とう速度100rp
mで4日間振とう培養した。
【0033】培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を
集め、少量の純水で洗浄後、凍結乾燥し、乾燥菌体を得
た。この乾燥菌体をクロロホルム/メチルアルコール混
液(体積比2/1)を用いて3回抽出し、この抽出液を
ロータリーエバポレーターにより濃縮乾固させ、粗グリ
セロ糖脂質を得た。次いで、粗グリセロ糖脂質をシリカ
ゲル薄層クロマトグラフィープレート(メルク社製、
1.05641)に担持させ、クロロホルム/メチルア
ルコール(体積比4/1)で展開した。展開終了後、乾
燥させ、薄層プレートを純水に浸漬し、すぐに引き上
げ、Rf値0.33の白く抜けたバンド部分を分取し、
クロロホルム/メチルアルコール混液(体積比2/1)
で溶出し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固
することにより、精製グリセロ糖脂質を得た。各種の糖
を添加したときの乾燥菌体量、粗グリセロ糖脂質、精製
グリセロ糖脂質の量を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例4 酵母エキス(デイフコ社製)0.5質量%、トリプトン
(デイフコ社製)1.0質量%、塩化ナトリウム1.0
質量%を海水に添加して調製した液体栄養海水培地(p
H6.3)5リットルを10リットル体積のジャーファ
ーメンターに入れ殺菌した。これに実施例2で調製した
オーレオバクテリウム(Aureobacteriu
m)菌株AA1(FERM P−18698)の種母培
養液を接種し、20℃、撹拌速度300rpm送風量毎
分2リットルで4日間培養した。培養終了後、得られた
培養液2.67リットルを遠心分離して菌体を集め凍結
乾燥し、乾燥菌体5.89gを得た。
【0036】乾燥菌体5.89gをクロロホルム/メチ
ルアルコール混液(体積比2/1)120mlを用いて
3回抽出し、溶媒をロータリーエバポレーターにより濃
縮乾固させ368mgの粗グリセロ糖脂質を得た。粗グ
リセロ糖脂質をシリカゲル薄層クロマトグラフィープレ
ート(メルク社製:Art.13792,200×20
0×1mm厚)に担持させ、クロロホルム/メチルアル
コール(体積比4/1)で展開した。展開終了後、乾燥
させ、薄層プレートを純水に浸漬し、すぐに引き上げ、
Rf値0.3〜0.35の白く抜けたバンド部分を分取
し、クロロホルム/メチルアルコール混液(体積比2/
1)で溶出し、溶出液をロータリーエバポレーターで乾
固することにより精製グリセロ糖脂質36.5mgを得
た。
【0037】
【発明の効果】グリセロ糖脂質の製造においては、従
来、植物体などより抽出して得ていたため、計画的に大
量生産しようとしても設備など経費も多く要する上に、
生産されるグリセロ糖脂質製剤の量も植物の生育状況に
影響されていた。また、植物体におけるグリセロ糖脂質
の存在は限られた部位であり、含有率が低いために抽出
分離に多量の有機溶剤を必要とし、装置も大規模なもの
が必要であった。
【0038】これに対し、本発明方法は、それらの欠点
を克服し、任意かつ計画的なグリセロ糖脂質の生産を可
能にするものである。細菌はスケールを変えて培養する
ことが可能であり、培養の条件は任意に制御することが
可能である。また、培養槽を大きくすることにより大量
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脂肪酸の構成を示すガスクロマトグラフ質量
分析のマスクロマトグラム。
【図2】 糖の構成を示すガスクロマトグラフ質量分析
のマスクロマトグラム。
【図3】 ポジテイブイオン化法による高速原子衝撃質
量スペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:01) (72)発明者 川浪 康弘 香川県木田郡三木町池戸2393番 香川大学 農学部内 Fターム(参考) 4B064 AF41 BA09 BH07 CA02 CC03 CD07 CD09 DA05 DA16 DA20 4B065 AA01X AC14 BA22 BB08 BB15 CA19 CA44 CA50 CA54

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーレオバクテリウム(Aureoba
    cterium)に属するグリセロ糖脂質生産菌を培養
    し、その培養した菌体からグリセロ糖脂質を分離するこ
    とを特徴とするグリセロ糖脂質の製造方法。
  2. 【請求項2】 グリセロ糖脂質における脂肪酸残基がペ
    ンタデカン酸、ヘキサデカン酸又はヘプタデカン酸の残
    基である請求項1記載のグリセロ糖脂質の製造方法。
  3. 【請求項3】 プシコースの存在下で培養する請求項1
    又は2記載のグリセロ糖脂質の製造方法。
  4. 【請求項4】 オーレオバクテリウム(Aureoba
    cterium)に属し、グリセロ糖脂質を生産する能
    力を有することで特徴づけられる菌株AA1(FERM
    P−18698)。
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