JP2003210976A - 水素吸蔵体の製造方法及び水素吸蔵体 - Google Patents
水素吸蔵体の製造方法及び水素吸蔵体Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低コストかつ簡易であり、高純度及び高収率
を実現することができる水素吸蔵体の製造方法、及びこ
の製造方法により合成され、高度に構造制御され、軽
量、安価かつ安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れた
水素吸蔵体を提供すること。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される構造を有す
るポリマーに対して、急速昇温加熱及びエネルギー照射
処理の少なくとも1種を施す工程を有する、水素吸蔵体
の製造方法。また、前記ポリマーを原料とし、ナノサイ
ズの厚さを有するシート状炭素材料及びナノサイズとミ
クロンオーダーの中間的な径を有する繊維状炭素材料の
少なくとも1種の形状からなる、水素吸蔵体。 【化4】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。)
を実現することができる水素吸蔵体の製造方法、及びこ
の製造方法により合成され、高度に構造制御され、軽
量、安価かつ安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れた
水素吸蔵体を提供すること。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される構造を有す
るポリマーに対して、急速昇温加熱及びエネルギー照射
処理の少なくとも1種を施す工程を有する、水素吸蔵体
の製造方法。また、前記ポリマーを原料とし、ナノサイ
ズの厚さを有するシート状炭素材料及びナノサイズとミ
クロンオーダーの中間的な径を有する繊維状炭素材料の
少なくとも1種の形状からなる、水素吸蔵体。 【化4】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵体の製造
方法及び水素吸蔵体に関するものである。
方法及び水素吸蔵体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業革命以後、自動車等の動力源として
はもちろん、電力発生など多岐にわたってガソリン、軽
油などの化石燃料が用いられてきた。この化石燃料の利
用により、人類は飛躍的な生活水準の向上や産業の発展
を享受した。
はもちろん、電力発生など多岐にわたってガソリン、軽
油などの化石燃料が用いられてきた。この化石燃料の利
用により、人類は飛躍的な生活水準の向上や産業の発展
を享受した。
【0003】しかしながら、その反面、地球は深刻な環
境破壊の脅威にさらされ、さらに化石燃料の長期的安定
供給にも疑問が投げかけられている。
境破壊の脅威にさらされ、さらに化石燃料の長期的安定
供給にも疑問が投げかけられている。
【0004】そこで、化石燃料に代わる代替クリーンエ
ネルギーとして水素燃料が注目されている。それは水素
燃料が燃焼後には水のみを発生させるためである。
ネルギーとして水素燃料が注目されている。それは水素
燃料が燃焼後には水のみを発生させるためである。
【0005】この水素を有効に貯蔵、発生させ、かつ容
易に運搬可能な材料の開発が今注目されている。通常、
水素は高圧貯蔵、液化貯蔵、水素吸蔵合金による貯蔵と
いった方法で貯蔵されるが、高圧又は液化貯蔵の場合
は、容器重量などによる輸送性や重量といった問題があ
り、また、水素吸蔵合金の場合は、その重量や価格など
の問題から商業化には至っていない。
易に運搬可能な材料の開発が今注目されている。通常、
水素は高圧貯蔵、液化貯蔵、水素吸蔵合金による貯蔵と
いった方法で貯蔵されるが、高圧又は液化貯蔵の場合
は、容器重量などによる輸送性や重量といった問題があ
り、また、水素吸蔵合金の場合は、その重量や価格など
の問題から商業化には至っていない。
【0006】また、最近ではナノサイズの直径を有する
円筒状の炭素材料の単層カーボンナノチューブなどが水
素吸蔵材料として期待されており、実用化への研究が進
行している。
円筒状の炭素材料の単層カーボンナノチューブなどが水
素吸蔵材料として期待されており、実用化への研究が進
行している。
【0007】一方、ミクロンオーダーの炭素材料として
は、通常の活性炭素繊維が知られており、ガス吸着能等
の優れた特性を有するため、広く使用されている。
は、通常の活性炭素繊維が知られており、ガス吸着能等
の優れた特性を有するため、広く使用されている。
【0008】従来から、水素吸蔵体として広範に使用さ
れている炭素材料及びその製造方法としては、気相、液
相、固相炭化法が知られている。
れている炭素材料及びその製造方法としては、気相、液
相、固相炭化法が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た水素吸蔵体としての炭素材料の製造方法は、いずれも
高温、高エネルギー、或いは高真空などの厳しい製造条
件を必要とし、また、カーボンナノチューブやフラーレ
ンの合成においては触媒金属の混入もあり、高純度及び
高収率で高度に構造制御された炭素材料を得ることは困
難であった。
た水素吸蔵体としての炭素材料の製造方法は、いずれも
高温、高エネルギー、或いは高真空などの厳しい製造条
件を必要とし、また、カーボンナノチューブやフラーレ
ンの合成においては触媒金属の混入もあり、高純度及び
高収率で高度に構造制御された炭素材料を得ることは困
難であった。
【0010】また、三重結合と一重結合とが交互に繋が
った線上高分子(カルビン)を原料又はプリカーサーと
して、これに加熱処理又はエネルギー照射処理を行うこ
とにより、化学構造を制御した繊維状炭素化合物、カー
ボンナノチューブ、ダイヤモンド薄膜、中空オニオンラ
イクカーボンなどの水素吸蔵体としての炭素材料を合成
する方法が報告されている(例えば、特開2000-20381
9、特開2000-109310、特開平11-255510、特開2000-1680
6、特開平11-310406、特開2000−226204)。
った線上高分子(カルビン)を原料又はプリカーサーと
して、これに加熱処理又はエネルギー照射処理を行うこ
とにより、化学構造を制御した繊維状炭素化合物、カー
ボンナノチューブ、ダイヤモンド薄膜、中空オニオンラ
イクカーボンなどの水素吸蔵体としての炭素材料を合成
する方法が報告されている(例えば、特開2000-20381
9、特開2000-109310、特開平11-255510、特開2000-1680
6、特開平11-310406、特開2000−226204)。
【0011】しかしながら、上記のカルビンは熱、光、
酸素などに弱く、その取り扱いには細心の注意が必要で
あり、これを用いての合成方法は煩雑である。また、合
成されるカルビンは黒色をしていることから、炭素が二
重結合のみで繋がった構造(キュムレン)や、その他の
無定形炭素が混在していると考えられ、純粋なカルビン
を得ることは困難であることから、カルビンをプリカー
サーとして用いた場合、高収率で所望とする水素吸蔵体
としての炭素材料を得ることは困難であった。
酸素などに弱く、その取り扱いには細心の注意が必要で
あり、これを用いての合成方法は煩雑である。また、合
成されるカルビンは黒色をしていることから、炭素が二
重結合のみで繋がった構造(キュムレン)や、その他の
無定形炭素が混在していると考えられ、純粋なカルビン
を得ることは困難であることから、カルビンをプリカー
サーとして用いた場合、高収率で所望とする水素吸蔵体
としての炭素材料を得ることは困難であった。
【0012】さらに、最も量産性があると考えられるポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)などのハロゲン
化炭化水素ポリマーを用いての脱ハロゲン化反応による
炭素材料の合成方法は、嫌気下で乾燥テトラヒドロフラ
ンと金属マグネシウムを使用せねばならず、操作上及び
安全上、更なる改善を要すると共に、また原料であるハ
ロゲン化炭化水素ポリマーは高コストである。
リテトラフルオロエチレン(PTFE)などのハロゲン
化炭化水素ポリマーを用いての脱ハロゲン化反応による
炭素材料の合成方法は、嫌気下で乾燥テトラヒドロフラ
ンと金属マグネシウムを使用せねばならず、操作上及び
安全上、更なる改善を要すると共に、また原料であるハ
ロゲン化炭化水素ポリマーは高コストである。
【0013】本発明は、上述したような問題点を解決す
るためになされたものであって、その目的は、低コスト
かつ簡易であり、また、高純度及び高収率を実現するこ
とができる水素吸蔵体の製造方法、及びこの製造方法に
より合成され、高度に構造制御され、軽量、安価かつ安
全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れた水素吸蔵体を提
供することにある。
るためになされたものであって、その目的は、低コスト
かつ簡易であり、また、高純度及び高収率を実現するこ
とができる水素吸蔵体の製造方法、及びこの製造方法に
より合成され、高度に構造制御され、軽量、安価かつ安
全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れた水素吸蔵体を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式(1)で表される構造を有するポリマーに対して、
急速昇温加熱処理及びエネルギー照射処理のうちの少な
くとも1種を施す工程を有する、水素吸蔵体の製造方法
に係るものである。
般式(1)で表される構造を有するポリマーに対して、
急速昇温加熱処理及びエネルギー照射処理のうちの少な
くとも1種を施す工程を有する、水素吸蔵体の製造方法
に係るものである。
【化3】一般式(1):
(但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。)
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。)
【0015】また、前記一般式(1)で表される構造を
有するポリマーを原料とし、ナノサイズの厚さを有する
シート状炭素材料及びナノサイズとミクロンオーダーの
中間的な径を有する繊維状炭素材料のうちの少なくとも
1種の形状からなる、水素吸蔵体に係るものである。
有するポリマーを原料とし、ナノサイズの厚さを有する
シート状炭素材料及びナノサイズとミクロンオーダーの
中間的な径を有する繊維状炭素材料のうちの少なくとも
1種の形状からなる、水素吸蔵体に係るものである。
【0016】本発明の水素吸蔵体の製造方法及び水素吸
蔵体によれば、前記一般式(1)で表される構造を有す
る前記ポリマーは、その構造中に、Rで表される炭化水
素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含んでいるの
で、上述したカルビンなどに比べて耐光性、耐熱性、耐
酸化性等の安定性を有しており、また安価で容易に合成
することができる。この優位性を有する前記ポリマーに
対して、前記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照射
処理のうちの少なくとも1種を施すので、低コストかつ
簡易であり、また、高純度及び高収率を実現することが
できる。
蔵体によれば、前記一般式(1)で表される構造を有す
る前記ポリマーは、その構造中に、Rで表される炭化水
素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含んでいるの
で、上述したカルビンなどに比べて耐光性、耐熱性、耐
酸化性等の安定性を有しており、また安価で容易に合成
することができる。この優位性を有する前記ポリマーに
対して、前記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照射
処理のうちの少なくとも1種を施すので、低コストかつ
簡易であり、また、高純度及び高収率を実現することが
できる。
【0017】また、本発明の製造方法により得られる水
素吸蔵体は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とし、
これを前記急速昇温加熱処理及び/又は前記エネルギー
照射処理することで得られるので、均一に合成されかつ
形状が高精度に制御されており、軽量、安価かつ安全で
輸送性が高く、水素吸蔵能に優れている。
素吸蔵体は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とし、
これを前記急速昇温加熱処理及び/又は前記エネルギー
照射処理することで得られるので、均一に合成されかつ
形状が高精度に制御されており、軽量、安価かつ安全で
輸送性が高く、水素吸蔵能に優れている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて更に具体的に説明する。
いて更に具体的に説明する。
【0019】本発明において、前記一般式(1)中のR
は芳香族炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基の
うちの少なくとも1種であることが好ましい。
は芳香族炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基の
うちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】ここで、前記一般式(1)中のRに用いる
ことができる前記芳香族炭化水素基は、特に限定される
ものではないが、例示するならば、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、2,
3−ジメチルベンゼン、インデン、フルオレン、クリセ
ン、ピレン、テトラセン、フルオランテン、コロネン、
トルエン、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチ
ルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,2,3−
トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼ
ン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベ
ンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロ
ベンゼン等からなる基が挙げられる。エチニル基の結合
位置は特に限定されることはない。これらの中では、ベ
ンゼンがより好ましい。
ことができる前記芳香族炭化水素基は、特に限定される
ものではないが、例示するならば、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、2,
3−ジメチルベンゼン、インデン、フルオレン、クリセ
ン、ピレン、テトラセン、フルオランテン、コロネン、
トルエン、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチ
ルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,2,3−
トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼ
ン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベ
ンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロ
ベンゼン等からなる基が挙げられる。エチニル基の結合
位置は特に限定されることはない。これらの中では、ベ
ンゼンがより好ましい。
【0021】また、前記不飽和炭化水素基としては、特
に限定されるものではないが、例示するならば、エチレ
ン、プロペン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トラン
ス−2−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペン
テン、シス−2−ペンテン、トランス−2−ペンテン、
2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、シス−2−ヘ
キセン、トランス−2−ヘキセン、シス−3−ヘキセ
ン、トランス−3−ヘキセン、シクロヘキセン、1−メ
チルシクロヘプテン、1,2−ジメチルシクロブテン、
ジクロロエチレン等からなる基が挙げられる。エチニル
基の結合位置は特に限定されることはない。これらの中
では、エチレンがより好ましい。
に限定されるものではないが、例示するならば、エチレ
ン、プロペン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トラン
ス−2−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペン
テン、シス−2−ペンテン、トランス−2−ペンテン、
2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、シス−2−ヘ
キセン、トランス−2−ヘキセン、シス−3−ヘキセ
ン、トランス−3−ヘキセン、シクロヘキセン、1−メ
チルシクロヘプテン、1,2−ジメチルシクロブテン、
ジクロロエチレン等からなる基が挙げられる。エチニル
基の結合位置は特に限定されることはない。これらの中
では、エチレンがより好ましい。
【0022】さらに、前記複素環基としては、特に限定
されるものではないが、例示するならば、テトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサ
ン、ピロリジン、ピペリジン、キヌクリジン、ピリジ
ン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリン、
1,3−ジチアン、1,3−ジオキソラン、オキシラ
ン、チイラン、アジリジン、オキセタン、チエタン、ア
ゼチジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラ
ン、テトラヒドロチオピラン、フラン、チオフェン、ベ
ンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダ
ゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、イ
ソチアゾール、キノリン、イソキノリン等からなる基が
挙げられる。エチニル基の結合位置は特に限定されるこ
とはない。これらの中では、チオフェンがより好まし
い。
されるものではないが、例示するならば、テトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサ
ン、ピロリジン、ピペリジン、キヌクリジン、ピリジ
ン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリン、
1,3−ジチアン、1,3−ジオキソラン、オキシラ
ン、チイラン、アジリジン、オキセタン、チエタン、ア
ゼチジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラ
ン、テトラヒドロチオピラン、フラン、チオフェン、ベ
ンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダ
ゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、イ
ソチアゾール、キノリン、イソキノリン等からなる基が
挙げられる。エチニル基の結合位置は特に限定されるこ
とはない。これらの中では、チオフェンがより好まし
い。
【0023】なお、前記一般式(1)で表される構造を
有する前記ポリマーの形状は特に制限されず、膜状、多
孔質状又は粉状などの任意の形態であってよい。
有する前記ポリマーの形状は特に制限されず、膜状、多
孔質状又は粉状などの任意の形態であってよい。
【0024】前記ポリマーの合成法は公知である(A.S.
Hay J. Polym. Sci. Part A-1, 7(1969) 1625)。この
種のポリマーは温和な条件で(例えば室温、大気中)、
安全かつ簡単に合成でき、合成されたポリマーは耐光
性、耐熱性、耐酸化性をある程度兼ね備えており、上記
したカルビンなどに比べて安定性に優れ、通常の作業に
対して困難を要することはない。
Hay J. Polym. Sci. Part A-1, 7(1969) 1625)。この
種のポリマーは温和な条件で(例えば室温、大気中)、
安全かつ簡単に合成でき、合成されたポリマーは耐光
性、耐熱性、耐酸化性をある程度兼ね備えており、上記
したカルビンなどに比べて安定性に優れ、通常の作業に
対して困難を要することはない。
【0025】従って、本発明に基づく水素吸蔵体の製造
方法は、この優位性を有する前記ポリマーに対して、前
記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照射処理のうち
の少なくとも1種を施すので、低コストかつ簡易であ
り、また、より一層の高純度及び高収率を実現すること
ができる。
方法は、この優位性を有する前記ポリマーに対して、前
記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照射処理のうち
の少なくとも1種を施すので、低コストかつ簡易であ
り、また、より一層の高純度及び高収率を実現すること
ができる。
【0026】本発明に基づく水素吸蔵体の製造方法は、
前記急速昇温加熱処理を100〜500℃/分の昇温速
度で行い、また300〜1500℃、より好ましくは8
00〜1200℃の温度範囲で行うことが望ましい。前
記急速昇温加熱処理が300℃未満の場合、小ユニット
の多環芳香族炭化水素を形成することがあり、目的とす
る本発明に基づく水素吸蔵体が得られないことがある。
また、1500℃を超えると、グラファイト化すること
がある。
前記急速昇温加熱処理を100〜500℃/分の昇温速
度で行い、また300〜1500℃、より好ましくは8
00〜1200℃の温度範囲で行うことが望ましい。前
記急速昇温加熱処理が300℃未満の場合、小ユニット
の多環芳香族炭化水素を形成することがあり、目的とす
る本発明に基づく水素吸蔵体が得られないことがある。
また、1500℃を超えると、グラファイト化すること
がある。
【0027】具体的には、原材料としての前記ポリマー
を前記急速昇温加熱処理する場合は、105〜10-5P
a、より好ましくは5×10-2〜10-3Pa程度の減圧
下に、300〜1500℃、より好ましくは800〜1
200℃程度の温度範囲で急速昇温加熱処理することが
好ましい。
を前記急速昇温加熱処理する場合は、105〜10-5P
a、より好ましくは5×10-2〜10-3Pa程度の減圧
下に、300〜1500℃、より好ましくは800〜1
200℃程度の温度範囲で急速昇温加熱処理することが
好ましい。
【0028】また、105〜10-2Pa、より好ましく
は10-1〜10-3Pa程度の減圧下かつヘリウムガス、
アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なくとも1種から
なる不活性ガス雰囲気下で、300〜1500℃、より
好ましくは800〜1200℃程度の温度範囲で前記ポ
リマーの急速昇温加熱処理を行ってもよい。
は10-1〜10-3Pa程度の減圧下かつヘリウムガス、
アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なくとも1種から
なる不活性ガス雰囲気下で、300〜1500℃、より
好ましくは800〜1200℃程度の温度範囲で前記ポ
リマーの急速昇温加熱処理を行ってもよい。
【0029】さらに、前記ポリマーに対して、前処理と
して3〜10℃/分の昇温速度で、100〜300℃の
温度範囲で加熱処理を施した後、前記急速昇温加熱処理
及び前記エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種の
処理を行ってもよい。前記前処理を行うことによって、
前記ポリマーがより活性化され、より一層反応を促進す
ることができる。前記前処理の温度が100℃未満の場
合、前記ポリマーの活性化が起こらないことがある。ま
た、300℃を超えると急激に炭化することがあり、所
望の本発明に基づく水素吸蔵体が得られないことがあ
る。
して3〜10℃/分の昇温速度で、100〜300℃の
温度範囲で加熱処理を施した後、前記急速昇温加熱処理
及び前記エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種の
処理を行ってもよい。前記前処理を行うことによって、
前記ポリマーがより活性化され、より一層反応を促進す
ることができる。前記前処理の温度が100℃未満の場
合、前記ポリマーの活性化が起こらないことがある。ま
た、300℃を超えると急激に炭化することがあり、所
望の本発明に基づく水素吸蔵体が得られないことがあ
る。
【0030】前記前処理を施す場合は、より具体的に
は、105〜10-5Pa、より好ましくは5×10-2〜
10-3Pa程度の減圧下、前記ポリマーに対して、10
0〜300℃の温度範囲で前記前処理を行った後、さら
に前記急速昇温加熱処理(300〜1500℃、より好
ましくは800〜1200℃程度の温度範囲)及び前記
エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種を行うこと
が好ましい。
は、105〜10-5Pa、より好ましくは5×10-2〜
10-3Pa程度の減圧下、前記ポリマーに対して、10
0〜300℃の温度範囲で前記前処理を行った後、さら
に前記急速昇温加熱処理(300〜1500℃、より好
ましくは800〜1200℃程度の温度範囲)及び前記
エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種を行うこと
が好ましい。
【0031】また、105〜10-2Pa、より好ましく
は10-1〜10-3Pa程度の減圧下かつヘリウムガス、
アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なくとも1種から
なる不活性ガス雰囲気下で、前記ポリマーに対して、1
00〜300℃の温度範囲で前記前処理を行った後、さ
らに前記急速昇温加熱処理(300〜1500℃、より
好ましくは800〜1200℃程度の温度範囲)及び前
記エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種を行うこ
とが好ましい。
は10-1〜10-3Pa程度の減圧下かつヘリウムガス、
アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なくとも1種から
なる不活性ガス雰囲気下で、前記ポリマーに対して、1
00〜300℃の温度範囲で前記前処理を行った後、さ
らに前記急速昇温加熱処理(300〜1500℃、より
好ましくは800〜1200℃程度の温度範囲)及び前
記エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種を行うこ
とが好ましい。
【0032】なお、前記前処理は、複数回行ってもよ
く、この際、温度を変えるなどしてもよい。
く、この際、温度を変えるなどしてもよい。
【0033】前記加熱源としては、電気炉又は赤外線が
使用可能である。
使用可能である。
【0034】また、前記エネルギー照射源としては、レ
ーザー光、電子線、イオンビーム、X線又はプラズマを
用いることができる。このエネルギー照射処理は、常温
で行ってもよく、或いは300〜1500℃、より好ま
しくは800〜1200℃程度の加熱条件下で行っても
よい。前記急速昇温加熱処理と前記エネルギー照射処理
を併用する場合は、上記したように同時に行ってもよい
が、順次に各処理を行ってもよく、この際の両処理の順
序は問わない。
ーザー光、電子線、イオンビーム、X線又はプラズマを
用いることができる。このエネルギー照射処理は、常温
で行ってもよく、或いは300〜1500℃、より好ま
しくは800〜1200℃程度の加熱条件下で行っても
よい。前記急速昇温加熱処理と前記エネルギー照射処理
を併用する場合は、上記したように同時に行ってもよい
が、順次に各処理を行ってもよく、この際の両処理の順
序は問わない。
【0035】前記ポリマーに対して、前記レーザー光照
射を行う場合は、通常、10-2〜10-4Pa程度の減圧
下において、波長1200nm以下、出力0.1〜30
0mJ/cm2程度、より好ましくは波長800nm以
下、出力10〜200mJ/cm2程度のレーザー光を
使用することができる。波長が1200nmを超える場
合、反応が進行しないことがある。また、出力が0.1
mJ/cm2未満の場合、反応が進行しないことがあ
り、300mJ/cm2を超えると、グラファイト化す
ることがあり、本発明に基づく水素吸蔵体が得られない
ことがある。レーザー光の種類は通常使用されているも
のが使用でき、特に制限されるものではない。
射を行う場合は、通常、10-2〜10-4Pa程度の減圧
下において、波長1200nm以下、出力0.1〜30
0mJ/cm2程度、より好ましくは波長800nm以
下、出力10〜200mJ/cm2程度のレーザー光を
使用することができる。波長が1200nmを超える場
合、反応が進行しないことがある。また、出力が0.1
mJ/cm2未満の場合、反応が進行しないことがあ
り、300mJ/cm2を超えると、グラファイト化す
ることがあり、本発明に基づく水素吸蔵体が得られない
ことがある。レーザー光の種類は通常使用されているも
のが使用でき、特に制限されるものではない。
【0036】また前記ポリマーに対して、前記電子線を
照射する場合は、通常、10〜10 -4Pa程度、より好
ましくは1〜10-3Pa程度の減圧下に、加速電圧1〜
2000kV程度、より好ましくは50〜1000kV
程度で照射を行うことが好ましい。前記加速電圧が1k
V未満の場合、反応が進行しないことがあり、また、2
000kVを超える場合、グラファイト化することがあ
り、本発明に基づく水素吸蔵体が得られないことがあ
る。
照射する場合は、通常、10〜10 -4Pa程度、より好
ましくは1〜10-3Pa程度の減圧下に、加速電圧1〜
2000kV程度、より好ましくは50〜1000kV
程度で照射を行うことが好ましい。前記加速電圧が1k
V未満の場合、反応が進行しないことがあり、また、2
000kVを超える場合、グラファイト化することがあ
り、本発明に基づく水素吸蔵体が得られないことがあ
る。
【0037】また前記ポリマーに対して、前記イオンビ
ームを照射する場合は、通常、10 3〜10-1Pa程度
の減圧下で、電離させたHeイオン又はArイオンを用
いて、加速電圧100V〜10kV程度、より好ましく
は200V〜1kV程度及びイオン電流10-2〜102
mA/cm2程度、より好ましくは10-1〜10mA/
cm2程度の条件で照射を行うことが好ましい。前記加
速電圧が上記した範囲外の場合、また前記イオン電流が
上記した範囲外の場合、反応が進行しない、或いはグラ
ファイト化することがあり、本発明に基づく水素吸蔵体
が得られないことがある。
ームを照射する場合は、通常、10 3〜10-1Pa程度
の減圧下で、電離させたHeイオン又はArイオンを用
いて、加速電圧100V〜10kV程度、より好ましく
は200V〜1kV程度及びイオン電流10-2〜102
mA/cm2程度、より好ましくは10-1〜10mA/
cm2程度の条件で照射を行うことが好ましい。前記加
速電圧が上記した範囲外の場合、また前記イオン電流が
上記した範囲外の場合、反応が進行しない、或いはグラ
ファイト化することがあり、本発明に基づく水素吸蔵体
が得られないことがある。
【0038】また前記ポリマーに対して、前記X線照射
を行う場合は、通常、波長10-2〜102nm、より好
ましくは10-1〜10nm程度のX線を使用することが
できる。前記波長が上記した範囲外の場合、反応が進行
しない、或いはグラファイト化することがあり、本発明
に基づく水素吸蔵体が得られないことがある。
を行う場合は、通常、波長10-2〜102nm、より好
ましくは10-1〜10nm程度のX線を使用することが
できる。前記波長が上記した範囲外の場合、反応が進行
しない、或いはグラファイト化することがあり、本発明
に基づく水素吸蔵体が得られないことがある。
【0039】さらに前記ポリマーに対して、前記プラズ
マ励起する場合は、通常、105〜1Pa程度の減圧下
で、電離させたHe、Ar、N2、Krなどの不活性ガ
ス又はその混合ガス中、高周波電源を利用して数百ワッ
トの電力をかけてプラズマを発生させることが好まし
い。
マ励起する場合は、通常、105〜1Pa程度の減圧下
で、電離させたHe、Ar、N2、Krなどの不活性ガ
ス又はその混合ガス中、高周波電源を利用して数百ワッ
トの電力をかけてプラズマを発生させることが好まし
い。
【0040】本発明に基づく水素吸蔵体の製造方法は、
上述した如く優位性を有する前記ポリマーに対して、前
記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照射処理のうち
の少なくとも1種を施すので、低コストかつ簡易であ
り、また、より一層の高純度及び高収率を実現すること
ができる。
上述した如く優位性を有する前記ポリマーに対して、前
記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照射処理のうち
の少なくとも1種を施すので、低コストかつ簡易であ
り、また、より一層の高純度及び高収率を実現すること
ができる。
【0041】そして、得られる本発明に基づく水素吸蔵
体は、厚さ100nm以下の前記シート状炭素材料及び
10〜1000nmの径を有する前記繊維状炭素材料の
うちの少なくとも1種の形状からなり、また、グラファ
イト構造及びグラファイト類似構造を有さず、均一にか
つ形状が高精度に制御されている。さらに、軽量、安価
かつ安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れている。な
お、この形状は、前記急速昇温加熱処理及び/又はエネ
ルギー照射処理の条件によって高精度に制御することが
可能である。
体は、厚さ100nm以下の前記シート状炭素材料及び
10〜1000nmの径を有する前記繊維状炭素材料の
うちの少なくとも1種の形状からなり、また、グラファ
イト構造及びグラファイト類似構造を有さず、均一にか
つ形状が高精度に制御されている。さらに、軽量、安価
かつ安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れている。な
お、この形状は、前記急速昇温加熱処理及び/又はエネ
ルギー照射処理の条件によって高精度に制御することが
可能である。
【0042】即ち、例えば、前記ポリマーに対して、前
記急速昇温加熱処理のみを施した場合は、前記シート状
炭素材料が主成分として生成され易く、また、前記前処
理を施した後、さらに前記急速昇温加熱処理を行った場
合は、前記繊維状炭素材料が主成分として生成され易
い。さらに、例えば、前記エネルギー照射処理のみを施
した場合は、前記シート状炭素材料と前記繊維状炭素材
料との混在体からなる水素吸蔵体が形成され易い。
記急速昇温加熱処理のみを施した場合は、前記シート状
炭素材料が主成分として生成され易く、また、前記前処
理を施した後、さらに前記急速昇温加熱処理を行った場
合は、前記繊維状炭素材料が主成分として生成され易
い。さらに、例えば、前記エネルギー照射処理のみを施
した場合は、前記シート状炭素材料と前記繊維状炭素材
料との混在体からなる水素吸蔵体が形成され易い。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0044】参考例 (1,4−ジエチニルベンゼンポ
リマーの合成) 文献(A.S. Hay J. Polym. Sci. Part A-1, 7 (1969) 1
625)の方法に従って、1,4−ジエチニルベンゼンモ
ノマーを合成し、そのモノマーの重合反応を行うことに
より1,4−ジエチニルベンゼンポリマーの合成を行っ
た。
リマーの合成) 文献(A.S. Hay J. Polym. Sci. Part A-1, 7 (1969) 1
625)の方法に従って、1,4−ジエチニルベンゼンモ
ノマーを合成し、そのモノマーの重合反応を行うことに
より1,4−ジエチニルベンゼンポリマーの合成を行っ
た。
【0045】即ち、市販の55%ジビニルベンゼン混合
物190gを300mlのクロロホルムに溶解し、室温
で臭素を加えた。反応溶液中に析出した固体をろ取し、
1,4−ビス(1,2−ジブロモエチル)ベンゼンを得
た。
物190gを300mlのクロロホルムに溶解し、室温
で臭素を加えた。反応溶液中に析出した固体をろ取し、
1,4−ビス(1,2−ジブロモエチル)ベンゼンを得
た。
【0046】得られた1,4−ビス(1,2−ジブロモ
エチル)ベンゼン12.5gを、250mlのt−ブタ
ノールに13gのt−ブトキシカリウムを加えた混合溶
液中に加えて1時間還流した。
エチル)ベンゼン12.5gを、250mlのt−ブタ
ノールに13gのt−ブトキシカリウムを加えた混合溶
液中に加えて1時間還流した。
【0047】反応溶液に蒸留水750mlを加え、出て
きた結晶をろ取し、1,4−ジエチニルベンゼンモノマ
ーを得た。
きた結晶をろ取し、1,4−ジエチニルベンゼンモノマ
ーを得た。
【0048】次いで、塩化第一銅300mgをN,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン60mlに
溶かした溶液中に、空気中で上記に得られた1.2gの
1,4−ジエチニルベンゼンモノマーを加えた。反応終
了後、2Nの塩酸を1滴加えたメタノール100mlを
反応溶液に加えて、析出した粉状沈殿物をろ取し、図1
に示すような1,4−ジエチニルベンゼンポリマーを得
た。
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン60mlに
溶かした溶液中に、空気中で上記に得られた1.2gの
1,4−ジエチニルベンゼンモノマーを加えた。反応終
了後、2Nの塩酸を1滴加えたメタノール100mlを
反応溶液に加えて、析出した粉状沈殿物をろ取し、図1
に示すような1,4−ジエチニルベンゼンポリマーを得
た。
【0049】図2に、上記に得られた1,4−ジエチニ
ルベンゼンポリマーの赤外吸収スペクトルを示すよう
に、2100cm-1と2200cm-1にC≡Cに由来す
るピーク及び3200〜3300cm-1にC≡C−H由
来のピークが明瞭に観測された。
ルベンゼンポリマーの赤外吸収スペクトルを示すよう
に、2100cm-1と2200cm-1にC≡Cに由来す
るピーク及び3200〜3300cm-1にC≡C−H由
来のピークが明瞭に観測された。
【0050】以下実施例においては、特に明記しない限
りは、上記に得られた1,4−ジエチニルベンゼンポリ
マーを原料として使用した。
りは、上記に得られた1,4−ジエチニルベンゼンポリ
マーを原料として使用した。
【0051】実施例1
上記のようにして得られたポリマー(1,4−ジエチニ
ルベンゼンポリマー)を10-2〜10-3Paの減圧状態
で10分間、900℃に急速昇温加熱した(昇温速度5
00℃/分)。
ルベンゼンポリマー)を10-2〜10-3Paの減圧状態
で10分間、900℃に急速昇温加熱した(昇温速度5
00℃/分)。
【0052】その結果、厚さ0.1〜20nmのシート
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラ
ファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそ
れぞれ意味する1580cm -1と1360cm-1のラマ
ンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線
回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似
構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマーに
対して、収率は50重量%であった。
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラ
ファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそ
れぞれ意味する1580cm -1と1360cm-1のラマ
ンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線
回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似
構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマーに
対して、収率は50重量%であった。
【0053】図3に、実施例1で得られた試料の吸着等
温線を示す。本分析は、液体窒素温度で窒素を吸着ガス
として行った。この結果は、ヒステリシスを示してい
る。
温線を示す。本分析は、液体窒素温度で窒素を吸着ガス
として行った。この結果は、ヒステリシスを示してい
る。
【0054】図4は、比較例としての、Kijimaら
により評価されたポリ(p−フェニレンブタジニレン)
をアルゴン雰囲気中、毎分2.5℃の昇温速度で900
℃まで加熱した試料の吸着等温線である(Carbon 39(20
01)297-300)。なお、図5に、ポリ(p−フェニレンブ
タジニレン)の分子構造式を示す。
により評価されたポリ(p−フェニレンブタジニレン)
をアルゴン雰囲気中、毎分2.5℃の昇温速度で900
℃まで加熱した試料の吸着等温線である(Carbon 39(20
01)297-300)。なお、図5に、ポリ(p−フェニレンブ
タジニレン)の分子構造式を示す。
【0055】図3及び図4より明らかなように、実施例
1で得られた試料は吸着及び脱着に際し、顕著なヒステ
リシスを示すが、Kijimaらの試料はほとんどヒス
テリシスを示していない。これにより、実施例1の試料
と、Kijimaらの試料は異なる表面構造を有してい
ることがいえる。即ち、本発明に基づく実施例1の試料
はヒステリシスループの形から、スリット形或いはウェ
ッジ形の細孔を有していると考えられる。このような細
孔の存在が、既存の材料に比べて高い水素吸蔵能を可能
にすると思われる。
1で得られた試料は吸着及び脱着に際し、顕著なヒステ
リシスを示すが、Kijimaらの試料はほとんどヒス
テリシスを示していない。これにより、実施例1の試料
と、Kijimaらの試料は異なる表面構造を有してい
ることがいえる。即ち、本発明に基づく実施例1の試料
はヒステリシスループの形から、スリット形或いはウェ
ッジ形の細孔を有していると考えられる。このような細
孔の存在が、既存の材料に比べて高い水素吸蔵能を可能
にすると思われる。
【0056】水素吸蔵能の評価は、JIS−H7201
に準じて25℃で行った。即ち、上記に得られた本発明
に基づく水素吸蔵体(シート状炭素材料)1gを吸蔵実
験用試料として用い、常圧から10MPaの圧力範囲
で、水素吸蔵量を評価した。なお、吸着水を除去するた
めに、150℃で3時間だけ真空下(10-2Pa以下)
で前処理を行った。結果を下記表1及び図6に示す。下
記表1及び図6より明らかなように、本発明に基づく実
施例1で得られた試料は、10MPa下で1.1wt%
の優れた水素吸蔵能を有している。
に準じて25℃で行った。即ち、上記に得られた本発明
に基づく水素吸蔵体(シート状炭素材料)1gを吸蔵実
験用試料として用い、常圧から10MPaの圧力範囲
で、水素吸蔵量を評価した。なお、吸着水を除去するた
めに、150℃で3時間だけ真空下(10-2Pa以下)
で前処理を行った。結果を下記表1及び図6に示す。下
記表1及び図6より明らかなように、本発明に基づく実
施例1で得られた試料は、10MPa下で1.1wt%
の優れた水素吸蔵能を有している。
【0057】実施例2
原料ポリマーをアルゴン雰囲気中、10-1〜10-2Pa
の減圧下で10分間、900℃に急速昇温加熱した(昇
温速度500℃/分)。
の減圧下で10分間、900℃に急速昇温加熱した(昇
温速度500℃/分)。
【0058】その結果、厚さ0.1〜40nmのシート
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、図7にラマンス
ペクトルを示すように、非常に弱いグラファイト及び欠
陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞれ意味する
1580cm-1と1360cm-1のラマンスペクトルの
ピークが観測された。図8には、比較例としてアーク放
電法により作製した炭素材料(黒鉛)のラマンスペクト
ルを示す。図7及び図8より明らかなように、本発明に
基づく水素吸蔵体(シート状炭素材料)は、比較例で得
られた炭素材料(黒鉛)と比べると、ラマンスペクトル
のピークが非常に弱く、明確なグラファイト及びグラフ
ァイト類似構造を有さないことが分かる。さらに、図9
に示す粉末X線回析からも、明確なグラファイト及びグ
ラファイト類似構造を有さないことがわかる。また、図
10には実施例2により得られた本発明に基づく水素吸
蔵体(シート状炭素材料)のSEM写真を示す。なお、
原料ポリマーに対して、収率は60重量%であった。
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、図7にラマンス
ペクトルを示すように、非常に弱いグラファイト及び欠
陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞれ意味する
1580cm-1と1360cm-1のラマンスペクトルの
ピークが観測された。図8には、比較例としてアーク放
電法により作製した炭素材料(黒鉛)のラマンスペクト
ルを示す。図7及び図8より明らかなように、本発明に
基づく水素吸蔵体(シート状炭素材料)は、比較例で得
られた炭素材料(黒鉛)と比べると、ラマンスペクトル
のピークが非常に弱く、明確なグラファイト及びグラフ
ァイト類似構造を有さないことが分かる。さらに、図9
に示す粉末X線回析からも、明確なグラファイト及びグ
ラファイト類似構造を有さないことがわかる。また、図
10には実施例2により得られた本発明に基づく水素吸
蔵体(シート状炭素材料)のSEM写真を示す。なお、
原料ポリマーに対して、収率は60重量%であった。
【0059】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0060】実施例3
原料ポリマーを10-2〜10-3Paの減圧状態で10分
間、1200℃に急速昇温加熱した(昇温速度300℃
/分)。
間、1200℃に急速昇温加熱した(昇温速度300℃
/分)。
【0061】その結果、厚さ0.1〜10nmのシート
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラ
ファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそ
れぞれ意味する1580cm -1と1360cm-1のラマ
ンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線
回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似
構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマーに
対して、収率は50重量%であった。
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラ
ファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそ
れぞれ意味する1580cm -1と1360cm-1のラマ
ンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線
回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似
構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマーに
対して、収率は50重量%であった。
【0062】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0063】実施例4
原料ポリマーをアルゴン雰囲気中、10-1〜10-2Pa
の減圧下で10分間、1200℃に急速昇温加熱した
(昇温速度300℃/分)。
の減圧下で10分間、1200℃に急速昇温加熱した
(昇温速度300℃/分)。
【0064】その結果、厚さ0.1〜30nmのシート
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラ
ファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそ
れぞれ意味する1580cm -1と1360cm-1のラマ
ンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線
回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似
構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマーに
対して、収率は60重量%であった。
状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及び
走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラ
ファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそ
れぞれ意味する1580cm -1と1360cm-1のラマ
ンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線
回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似
構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマーに
対して、収率は60重量%であった。
【0065】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0066】実施例5
原料ポリマーを10-2〜10-3Paの減圧状態で200
℃の加熱処理を10分間行い(前処理。昇温速度10℃
/分)、その後1000℃で10分間急速昇温加熱処理
した(昇温速度500℃/分)。
℃の加熱処理を10分間行い(前処理。昇温速度10℃
/分)、その後1000℃で10分間急速昇温加熱処理
した(昇温速度500℃/分)。
【0067】その結果、10〜50nmの径を有する繊
維状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及
び走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグ
ラファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在を
それぞれ意味する1580cm-1と1360cm-1のラ
マンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X
線回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類
似構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマー
に対して、収率は50重量%であった。
維状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型及
び走査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグ
ラファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在を
それぞれ意味する1580cm-1と1360cm-1のラ
マンスペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X
線回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類
似構造を有さないことがわかった。なお、原料ポリマー
に対して、収率は50重量%であった。
【0068】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0069】実施例6
原料ポリマーをアルゴン雰囲気中、10-1〜10-2Pa
の減圧下で200℃の加熱処理を10分間行い(前処
理。昇温速度3℃/分)、その後1000℃で10分間
急速昇温加熱処理した(昇温速度100℃/分)。
の減圧下で200℃の加熱処理を10分間行い(前処
理。昇温速度3℃/分)、その後1000℃で10分間
急速昇温加熱処理した(昇温速度100℃/分)。
【0070】その結果、20〜100nmの径を有する
繊維状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型
及び走査型顕微鏡により確認された。また、図11にラ
マンスペクトルを示すように、非常に弱いグラファイト
及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞれ意
味する1580cm-1と1360cm-1のラマンスペク
トルのピークが観測された。さらに、図12に示す粉末
X線回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト
類似構造を有さないことがわかる。なお、図13に実施
例6により得られた本発明に基づく水素吸蔵体(繊維状
炭素材料)のSEM写真を示す。なお、原料ポリマーに
対して、収率は60重量%であった。
繊維状炭素材料が均一に形成されていることが、透過型
及び走査型顕微鏡により確認された。また、図11にラ
マンスペクトルを示すように、非常に弱いグラファイト
及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞれ意
味する1580cm-1と1360cm-1のラマンスペク
トルのピークが観測された。さらに、図12に示す粉末
X線回析からも、明確なグラファイト及びグラファイト
類似構造を有さないことがわかる。なお、図13に実施
例6により得られた本発明に基づく水素吸蔵体(繊維状
炭素材料)のSEM写真を示す。なお、原料ポリマーに
対して、収率は60重量%であった。
【0071】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0072】実施例7
原料ポリマーを10-2〜10-3Paの減圧下、波長30
8nmのレーザーを出力200mJ/cm2で室温下に
て照射した。
8nmのレーザーを出力200mJ/cm2で室温下に
て照射した。
【0073】その結果、厚さ0.1〜40nmのシート
状炭素材料と20〜100nmの径を有する繊維状炭素
材料との混在体が形成されていることが、透過型及び走
査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラフ
ァイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれ
ぞれ意味する1580cm-1と1360cm-1のラマン
スペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線回
析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似構
造を有さないことがわかった。
状炭素材料と20〜100nmの径を有する繊維状炭素
材料との混在体が形成されていることが、透過型及び走
査型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラフ
ァイト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれ
ぞれ意味する1580cm-1と1360cm-1のラマン
スペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線回
析からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似構
造を有さないことがわかった。
【0074】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0075】実施例8
原料ポリマーを10-2〜10-3Paの減圧状態で900
℃に急速昇温加熱しながら(昇温速度300℃/分)、
波長308nmのレーザーを出力200mJ/cm2で
照射した。
℃に急速昇温加熱しながら(昇温速度300℃/分)、
波長308nmのレーザーを出力200mJ/cm2で
照射した。
【0076】その結果、厚さ0.1〜100nmのシー
ト状炭素材料が形成されていることが、透過型及び走査
型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラファ
イト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞ
れ意味する1580cm-1と1360cm-1のラマンス
ペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線回析
からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似構造
を有さないことがわかった。
ト状炭素材料が形成されていることが、透過型及び走査
型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラファ
イト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞ
れ意味する1580cm-1と1360cm-1のラマンス
ペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線回析
からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似構造
を有さないことがわかった。
【0077】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0078】実施例9
原料ポリマーを10-2〜10-3Paの減圧状態で200
℃に加熱しながら(前処理。昇温速度4℃/分)、波長
308nmのレーザーを出力200mJ/cm 2で照射
した。
℃に加熱しながら(前処理。昇温速度4℃/分)、波長
308nmのレーザーを出力200mJ/cm 2で照射
した。
【0079】その結果、厚さ0.1〜40nmのシート
状炭素材料と20〜100nmの径を有する繊維状炭素
材料の混在体が形成されていることが、透過型及び走査
型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラファ
イト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞ
れ意味する1580cm-1と1360cm-1のラマンス
ペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線回析
からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似構造
を有さないことが分かった。
状炭素材料と20〜100nmの径を有する繊維状炭素
材料の混在体が形成されていることが、透過型及び走査
型顕微鏡により確認された。また、非常に弱いグラファ
イト及び欠陥を有するグラファイト構造の存在をそれぞ
れ意味する1580cm-1と1360cm-1のラマンス
ペクトルのピークが観測された。さらに、粉末X線回析
からも、明確なグラファイト及びグラファイト類似構造
を有さないことが分かった。
【0080】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0081】比較例1
水素吸蔵材料としてSTREM社製の単層カーボンナノ
チューブを用いた以外は、実施例1と同様にして水素吸
蔵能を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
チューブを用いた以外は、実施例1と同様にして水素吸
蔵能を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
【0082】比較例2
水素吸蔵材料としてAldrich社製の単層カーボン
ナノチューブを用いた以外は、実施例1と同様にして水
素吸蔵能を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
ナノチューブを用いた以外は、実施例1と同様にして水
素吸蔵能を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
【0083】
【表1】
【0084】以上より明らかなように、本発明に基づく
水素吸蔵体の製造方法は、上記した如く優位性を有する
前記ポリマーに対して、前記急速昇温加熱処理及び前記
エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種を施すの
で、低コストかつ簡易であり、また、高純度及び高収率
を実現することができた。
水素吸蔵体の製造方法は、上記した如く優位性を有する
前記ポリマーに対して、前記急速昇温加熱処理及び前記
エネルギー照射処理のうちの少なくとも1種を施すの
で、低コストかつ簡易であり、また、高純度及び高収率
を実現することができた。
【0085】また、実施例1〜7で得られた水素吸蔵体
は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とし、これを前
記急速昇温加熱処理及び/又は前記エネルギー照射処理
することで得られるので、均一に合成されかつ形状が高
精度に制御されており、軽量、安価かつ安全で輸送性が
高く、上記表1より明らかなように、比較例1及び2の
水素吸蔵体に比べて水素吸蔵能がより一層優れていた。
は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とし、これを前
記急速昇温加熱処理及び/又は前記エネルギー照射処理
することで得られるので、均一に合成されかつ形状が高
精度に制御されており、軽量、安価かつ安全で輸送性が
高く、上記表1より明らかなように、比較例1及び2の
水素吸蔵体に比べて水素吸蔵能がより一層優れていた。
【0086】
【発明の効果】本発明の水素吸蔵体の製造方法及び水素
吸蔵体によれば、前記一般式(1)で表される構造を有
する前記ポリマーは、その構造中に、Rで表される炭化
水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含んでいる
ので、上述したカルビンなどに比べて耐光性、耐熱性、
耐酸化性等の安定性を有しており、また安価で容易に合
成することができる。この優位性を有する前記ポリマー
に対して、前記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照
射処理のうちの少なくとも1種を施すので、低コストか
つ簡易であり、また、高純度及び高収率を実現すること
ができる。
吸蔵体によれば、前記一般式(1)で表される構造を有
する前記ポリマーは、その構造中に、Rで表される炭化
水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含んでいる
ので、上述したカルビンなどに比べて耐光性、耐熱性、
耐酸化性等の安定性を有しており、また安価で容易に合
成することができる。この優位性を有する前記ポリマー
に対して、前記急速昇温加熱処理及び前記エネルギー照
射処理のうちの少なくとも1種を施すので、低コストか
つ簡易であり、また、高純度及び高収率を実現すること
ができる。
【0087】また、本発明の製造方法により得られる水
素吸蔵体は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とし、
これを前記急速昇温加熱処理及び/又は前記エネルギー
照射処理することで得られるので、均一に合成されかつ
形状が高精度に制御されており、軽量、安価かつ安全で
輸送性が高く、水素吸蔵能に優れている。
素吸蔵体は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とし、
これを前記急速昇温加熱処理及び/又は前記エネルギー
照射処理することで得られるので、均一に合成されかつ
形状が高精度に制御されており、軽量、安価かつ安全で
輸送性が高く、水素吸蔵能に優れている。
【図1】本発明の実施例における原料ポリマー(1,4
−ジエチニルベンゼンポリマー)の構造式である。
−ジエチニルベンゼンポリマー)の構造式である。
【図2】同、原料ポリマーの赤外吸収スペクトルであ
る。
る。
【図3】同、本発明に基づく水素吸蔵体(シート状炭素
材料)の吸着等温線である。
材料)の吸着等温線である。
【図4】同、比較例としての試料の吸着等温線である。
【図5】同、ポリ(p−フェニレンブタジニレン)の分
子構造式である。
子構造式である。
【図6】同、本発明に基づく水素吸蔵体(シート状炭素
材料)の水素吸蔵能測定のグラフである。
材料)の水素吸蔵能測定のグラフである。
【図7】同、本発明に基づく水素吸蔵体(シート状炭素
材料)のラマンスペクトルである。
材料)のラマンスペクトルである。
【図8】同、比較例としてアーク放電法により作製した
炭素材料のラマンスペクトルである。
炭素材料のラマンスペクトルである。
【図9】同、本発明に基づく水素吸蔵体(シート状炭素
材料)の粉末X線回析測定により得られたグラフであ
る。
材料)の粉末X線回析測定により得られたグラフであ
る。
【図10】同、本発明に基づく水素吸蔵体(シート状炭
素材料)のSEM写真である。
素材料)のSEM写真である。
【図11】同、本発明に基づく水素吸蔵体(繊維状炭素
材料)のラマンスペクトルである。
材料)のラマンスペクトルである。
【図12】同、本発明に基づく水素吸蔵体(繊維状炭素
材料)の粉末X線回析測定により得られたグラフであ
る。
材料)の粉末X線回析測定により得られたグラフであ
る。
【図13】同、本発明に基づく水素吸蔵体(繊維状炭素
材料)のSEM写真である。
材料)のSEM写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
// D01F 9/127 D01F 9/127
(72)発明者 角野 宏治
東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ
ー株式会社内
(72)発明者 山田 淳夫
東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ
ー株式会社内
Fターム(参考) 4G046 CA04 CB01 CB08 CC02 CC03
CC10
4G066 AC13B AC14B BA31 CA38
DA04 FA03 FA09 FA31 FA34
FA35
4J032 BA02 BA07 BA12 BB01 BB03
BD00 CA03 CA32 CA53 CA62
CA65 CB01 CB03 CB12 CE03
CF00 CG00 CG09
4L037 CS03 CS04 CT05 CT06 FA02
FA20 PA01 PA11 PA24 UA20
Claims (20)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で表される構造を有す
るポリマーに対して、急速昇温加熱処理及びエネルギー
照射処理のうちの少なくとも1種を施す工程を有する、
水素吸蔵体の製造方法。 【化1】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。) - 【請求項2】 厚さ100nm以下の前記シート状炭素
材料及び10〜1000nmの径を有する前記繊維状炭
素材料のうちの少なくとも1種からなる水素吸蔵体を形
成する、請求項1に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項3】 前記一般式(1)において、Rが芳香族
炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基のうちの少
なくとも1種である、請求項1に記載した水素吸蔵体の
製造方法。 - 【請求項4】 前記急速昇温加熱処理を100〜500
℃/分の昇温速度で行う、請求項1に記載した水素吸蔵
体の製造方法。 - 【請求項5】 前記急速昇温加熱処理を100〜500
℃/分の昇温速度で行い、また300〜1500℃の温
度範囲で行う、請求項1に記載した水素吸蔵体の製造方
法。 - 【請求項6】 前記急速昇温加熱処理の前に、3〜10
℃/分の昇温速度で前処理を行う、請求項1に記載した
水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項7】 前記前処理を100〜300℃の温度範
囲で行う、請求項6に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項8】 105〜10-5Pa程度の減圧下で行
う、請求項1に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項9】 105〜10-2Pa程度の減圧下かつヘ
リウムガス、アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なく
とも1種からなる不活性ガス雰囲気下で行う、請求項1
に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項10】 前記急速昇温加熱処理に電気炉又は赤
外線を用いる、請求項1に記載した水素吸蔵体の製造方
法。 - 【請求項11】 前記エネルギー照射処理はレーザー
光、電子線、イオンビーム、X線又はプラズマを用いて
なされる、請求項1に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項12】 10-2〜10-4Pa程度の減圧下にお
いて、前記レーザー光のエネルギーが波長1200nm
以下、出力0.1〜300mJ/cm2程度である、請
求項11に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項13】 10〜10-4Pa程度の減圧下におい
て、前記電子線のエネルギーが加速電圧1〜2000k
V程度である、請求項11に記載した水素吸蔵体の製造
方法。 - 【請求項14】 103〜10-1Pa程度の減圧下にお
いて、電離させたHeイオン又はArイオンを用いて、
加速電圧100V〜10kV程度及びイオン電流10-2
〜102mA/cm2程度の条件で前記イオンビーム照射
を行う、請求項11に記載した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項15】 波長10-2〜102nm程度の条件で
前記X線照射を行う、請求項11に記載した水素吸蔵体
の製造方法。 - 【請求項16】 前記ポリマーに対して、105〜1P
a程度の減圧下において、電離させたHe、Ar、
N2、Krなどの不活性ガス又はその混合ガス中で、高
周波電源を用いて数百ワットの電力をかけ、プラズマを
発生させて前記プラズマ照射を行う、請求項11に記載
した水素吸蔵体の製造方法。 - 【請求項17】 下記一般式(1)で表される構造を有
するポリマーを原料とし、ナノサイズの厚さを有するシ
ート状炭素材料及びナノサイズとミクロンオーダーの中
間的な径を有する繊維状炭素材料のうちの少なくとも1
種の形状からなる、水素吸蔵体。 【化2】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。) - 【請求項18】 前記シート状炭素材料の厚さが100
nm以下であり、前記繊維状炭素材料の径が10〜10
00nmである、請求項17に記載した水素吸蔵体。 - 【請求項19】 前記一般式(1)において、Rが芳香
族炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基のうちの
少なくとも1種である、請求項17に記載した水素吸蔵
体。 - 【請求項20】 グラファイト構造及びグラファイト類
似構造を有さない、請求項17に記載した水素吸蔵体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002009452A JP2003210976A (ja) | 2002-01-18 | 2002-01-18 | 水素吸蔵体の製造方法及び水素吸蔵体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002009452A JP2003210976A (ja) | 2002-01-18 | 2002-01-18 | 水素吸蔵体の製造方法及び水素吸蔵体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003210976A true JP2003210976A (ja) | 2003-07-29 |
Family
ID=27647455
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002009452A Pending JP2003210976A (ja) | 2002-01-18 | 2002-01-18 | 水素吸蔵体の製造方法及び水素吸蔵体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003210976A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005319389A (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Hokkaido Univ | 分子吸着材、その製造方法及びガス貯蔵装置 |
JP2007246579A (ja) * | 2006-03-14 | 2007-09-27 | Ricoh Co Ltd | 新規なベンゾジチオフェン重合体 |
JP2011162580A (ja) * | 2010-02-04 | 2011-08-25 | Tokyo Institute Of Technology | 新規高分子イオン伝導体およびその合成方法、および新規高分子イオン伝導体を用いた高分子電解質、高分子電解質膜、膜電極接合体および燃料電池 |
-
2002
- 2002-01-18 JP JP2002009452A patent/JP2003210976A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005319389A (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Hokkaido Univ | 分子吸着材、その製造方法及びガス貯蔵装置 |
JP2007246579A (ja) * | 2006-03-14 | 2007-09-27 | Ricoh Co Ltd | 新規なベンゾジチオフェン重合体 |
JP2011162580A (ja) * | 2010-02-04 | 2011-08-25 | Tokyo Institute Of Technology | 新規高分子イオン伝導体およびその合成方法、および新規高分子イオン伝導体を用いた高分子電解質、高分子電解質膜、膜電極接合体および燃料電池 |
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