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JP2003210977A - 水素吸蔵材料の製造方法及び水素吸蔵材料 - Google Patents

水素吸蔵材料の製造方法及び水素吸蔵材料

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Publication number
JP2003210977A
JP2003210977A JP2002009453A JP2002009453A JP2003210977A JP 2003210977 A JP2003210977 A JP 2003210977A JP 2002009453 A JP2002009453 A JP 2002009453A JP 2002009453 A JP2002009453 A JP 2002009453A JP 2003210977 A JP2003210977 A JP 2003210977A
Authority
JP
Japan
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hydrogen storage
storage material
low temperature
heat treatment
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002009453A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Tokita
裕一 戸木田
Hisashi Kajiura
尚志 梶浦
Koji Sumino
宏治 角野
Atsuo Yamada
淳夫 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2002009453A priority Critical patent/JP2003210977A/ja
Publication of JP2003210977A publication Critical patent/JP2003210977A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/32Hydrogen storage

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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低コスト、安全、簡易かつ環境負荷の小さい
プロセスであり、また、高純度及び高収率を実現するこ
とができる水素吸蔵材料の製造方法、及びこの製造方法
により合成され、高度に構造制御され、軽量、安価かつ
安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れた水素吸蔵材料
を提供すること。 【解決手段】 一般式(1)の構造を有するポリマーに
対して、低温加熱処理(100〜300℃)を施し、小
ユニットの多環芳香族炭化水素を有する微細結晶炭素材
料からなる水素吸蔵材料を形成する工程を有する、水素
吸蔵材料の製造方法。一般式(1)の構造を有するポリ
マーを原料とし、これを低温加熱処理することにより得
られ、小ユニットの多環芳香族炭化水素を有する微細結
晶炭素材料からなる、水素吸蔵材料。 一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵材料の製
造方法及び水素吸蔵材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業革命以後、自動車等の動力源として
はもちろん、電力発生など多岐にわたってガソリン、軽
油などの化石燃料が用いられてきた。この化石燃料の利
用により、人類は飛躍的な生活水準の向上や産業の発展
を享受した。
【0003】しかしながら、その反面、地球は深刻な環
境破壊の脅威にさらされ、さらに化石燃料の長期的安定
供給にも疑問が投げかけられている。
【0004】そこで、化石燃料に代わる代替クリーンエ
ネルギーとして水素燃料が注目されている。それは水素
燃料が燃焼後には水のみを発生させるためである。
【0005】この水素を有効に貯蔵、発生させ、かつ容
易に運搬可能な材料の開発が今注目されている。通常、
水素は高圧貯蔵、液化貯蔵、水素吸蔵合金による貯蔵と
いった方法で貯蔵されるが、高圧又は液化貯蔵の場合
は、容器重量などによる輸送性や重量といった問題があ
り、また、水素吸蔵合金の場合は、その重量や価格など
の問題から商業化には至っていない。
【0006】また、多環芳香族炭化水素を有する炭素材
料としては、通常の炭素繊維が知られており、ガス吸着
能等の優れた特性を有するため、広く使用されている。
【0007】一方、最近では、より構造制御された多環
芳香族炭化水素を有する、円筒状の炭素材料の単層カー
ボンナノチューブなどが水素吸蔵材料として期待されて
おり、実用化への研究が進行している。
【0008】従来から、水素吸蔵体として広範に使用さ
れている炭素材料及びその製造方法としては、気相、液
相、固相炭化法が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た水素吸蔵体としての炭素材料の製造方法は、無触媒下
では少なくとも500℃以上で加熱処理を行う必要があ
り、炭素化には一般的に1000℃以上での熱処理が必
要となってくる。また、触媒を用いても、多環芳香族炭
化水素を有する炭素化合物の合成には少なくとも400
℃以上の熱処理が必要となってくる(N.M. Rodriguez
J. Mater. Res. 8, 12 (1993) 3233-3250.)。
【0010】即ち、いずれも高温、高エネルギー、或い
は高真空などの厳しい製造条件を必要とし、また、カー
ボンナノチューブやフラーレンの合成においては触媒金
属の混入もあり、高純度及び高収率で高度に構造制御さ
れた炭素材料を得ることは困難であった。
【0011】また、三重結合と一重結合とが交互に繋が
った線上高分子(カルビン)を原料又はプリカーサーと
して、これに加熱処理又はエネルギー照射処理を行うこ
とにより、化学構造を制御した繊維状炭素化合物、カー
ボンナノチューブ、ダイヤモンド薄膜、中空オニオンラ
イクカーボンなどの炭素材料を合成する方法が報告され
ている(例えば、特開2000-203819、特開2000-109310、
特開平11-255510、特開2000-16806、特開平11-310406、
特開2000-226204)。
【0012】しかしながら、上記のカルビンは熱、光、
酸素などに弱く、その取り扱いには細心の注意が必要で
あり、これを用いての合成方法は煩雑である。また、合
成されるカルビンは黒色をしていることから、炭素が二
重結合のみで繋がった構造(キュムレン)や、その他の
無定形炭素が混在していると考えられ、純粋なカルビン
を得ることは困難であることから、カルビンをプリカー
サーとして用いた場合、高収率で所望とする炭素材料を
得ることは困難であった。
【0013】さらに、最も量産性があると考えられるポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)などのハロゲン
化炭化水素ポリマーを用いての脱ハロゲン化反応による
炭素材料の合成方法は、嫌気下で乾燥テトラヒドロフラ
ンと金属マグネシウムを使用せねばならず、操作上及び
安全上、更なる改善を要すると共に、また原料であるハ
ロゲン化炭化水素ポリマーは高コストである。
【0014】本発明は、上述したような問題点を解決す
るためになされたものであって、その目的は、低コス
ト、安全、簡易かつ環境負荷の小さいプロセスであり、
また、高純度及び高収率を実現することができる水素吸
蔵材料の製造方法、及びこの製造方法により合成され、
高度に構造制御され、軽量、安価かつ安全で輸送性が高
く、水素吸蔵能に優れた水素吸蔵材料を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式(1)で表される構造を有するポリマーに対して、
低温加熱処理を施す工程を有する、水素吸蔵材料の製造
方法に係るものである。
【化3】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
000である。)
【0016】また、前記一般式(1)で表される構造を
有するポリマーを原料とし、小ユニットの多環芳香族炭
化水素を有する微細結晶炭素材料からなる、水素吸蔵材
料に係るものである。
【0017】本発明の水素吸蔵材料の製造方法及び水素
吸蔵材料によれば、前記一般式(1)で表される構造を
有する前記ポリマーは、その構造中に、Rで表される炭
化水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含んでい
るので、上述したカルビンなどに比べて耐光性、耐熱
性、耐酸化性等の安定性を有しており、また安価で容易
に合成することができる。この優位性を有する前記ポリ
マーに対して、前記低温加熱処理を施すので、従来のよ
うな高温高圧条件を必要とせず、低コスト、簡易かつ環
境負荷の小さい安全なプロセスであり、また、高純度及
び高収率を実現することができる。
【0018】また、本発明の製造方法により得られる水
素吸蔵材料は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料と
し、これを前記低温加熱処理することにより得られるの
で、均一に合成されかつ形状が高精度に制御されてお
り、軽量、安価かつ安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に
優れた小ユニットの多環芳香族炭化水素を有する微細結
晶炭素材料である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて更に具体的に説明する。
【0020】本発明に基づく水素吸蔵材料の製造方法
は、減圧条件下及び/又は不活性ガス雰囲気下で、10
0〜300℃、より好ましくは100〜200℃の温度
範囲で前記低温加熱処理を行うことが望ましい。本発明
に基づく水素吸蔵材料は、例えば100℃〜300℃と
いう低い温度での熱処理にもかかわらず、小ユニットの
多環芳香族炭化水素を有しており、均一に合成されかつ
形状が高精度に制御されてなる粉末状の微細結晶炭素材
料である。また、軽量、安価かつ安全で輸送性が高く、
水素吸蔵能に優れている。前記低温加熱処理が100℃
未満の場合、前記一般式(1)中の三重結合部分の分解
が生じないことがあり、目的とする本発明に基づく水素
吸蔵材料が得られないことがある。また、300℃を超
えると、黒鉛構造が著しく発達し、前記微細結晶構造が
得られなくなることがある。
【0021】また、実質的に無触媒の状態、即ち、触媒
等の添加物の存在しない状態で、前記低温加熱処理を行
うことが好ましく、これにより精製工程を省くことがで
き、より一層の環境負荷の小さくかつ安全であり、製造
コストも大幅に削減されたプロセスを提供することが可
能となる。
【0022】本発明において、前記一般式(1)中のR
は芳香族炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基の
うちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】ここで、前記一般式(1)中のRに用いる
ことができる前記芳香族炭化水素基は、特に限定される
ものではないが、例示するならば、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、2,
3−ジメチルベンゼン、インデン、フルオレン、クリセ
ン、ピレン、テトラセン、フルオランテン、コロネン、
トルエン、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチ
ルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,2,3−
トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼ
ン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベ
ンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロ
ベンゼン等からなる基が挙げられる。エチニル基の結合
位置は特に限定されることはない。これらの中では、ベ
ンゼンがより好ましい。
【0024】また、前記不飽和炭化水素基としては、特
に限定されるものではないが、例示するならば、エチレ
ン、プロペン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トラン
ス−2−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペン
テン、シス−2−ペンテン、トランス−2−ペンテン、
2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、シス−2−ヘ
キセン、トランス−2−ヘキセン、シス−3−ヘキセ
ン、トランス−3−ヘキセン、シクロヘキセン、1−メ
チルシクロヘプテン、1,2−ジメチルシクロブテン、
ジクロロエチレン等からなる基が挙げられる。エチニル
基の結合位置は特に限定されることはない。これらの中
では、エチレンがより好ましい。
【0025】さらに、前記複素環基としては、特に限定
されるものではないが、例示するならば、テトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサ
ン、ピロリジン、ピペリジン、キヌクリジン、ピリジ
ン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリン、
1,3−ジチアン、1,3−ジオキソラン、オキシラ
ン、チイラン、アジリジン、オキセタン、チエタン、ア
ゼチジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラ
ン、テトラヒドロチオピラン、フラン、チオフェン、ベ
ンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダ
ゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、イ
ソチアゾール、キノリン、イソキノリン等からなる基が
挙げられる。エチニル基の結合位置は特に限定されるこ
とはない。これらの中では、チオフェンがより好まし
い。
【0026】なお、前記一般式(1)で表される構造を
有する前記ポリマーの形状は特に制限されず、膜状、多
孔質状又は粉状などの任意の形態であってよい。
【0027】前記ポリマーの合成法は公知である(A.S.
Hay J. Polym. Sci. Part A-1, 7(1969) 1625)。この
種のポリマーは温和な条件で(例えば室温、大気中)、
安全かつ簡単に合成でき、合成されたポリマーは耐光
性、耐熱性、耐酸化性をある程度兼ね備えており、上記
したカルビンなどに比べて安全性に優れ、通常の作業に
対して困難を要することはない。
【0028】従って、本発明に基づく水素吸蔵材料の製
造方法によれば、この優位性を有する前記ポリマーに対
して、前記低温加熱処理を施すので、従来のような高温
高圧条件を必要とせず、低コストかつ簡易であり、ま
た、高純度及び高収率を実現することができる。さら
に、上述したように、特に、実質的に無触媒の状態で前
記低温加熱処理を行うことによって、精製工程を省くこ
とができ、より一層の環境負荷の小さくかつ安全であ
り、製造コストも大幅に削減されたプロセスを提供する
ことが可能となる。
【0029】上述したように、減圧条件下及び/又は不
活性ガス雰囲気下で、前記低温加熱処理を行うことが望
ましいが、具体的には、105〜10-5Pa、より好ま
しくは5×10-2〜10-3Pa程度の減圧下、100〜
300℃、より好ましくは100〜200℃程度の温度
範囲で前記低温加熱処理することが好ましい。
【0030】また、105〜10-2Pa、より好ましく
は10-1〜10-3Pa程度の減圧下かつヘリウムガス、
アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なくとも1種から
なる不活性ガス雰囲気下で、100〜300℃、より好
ましくは100〜200℃程度の温度範囲で前記ポリマ
ーの前記低温加熱処理を行ってもよい。
【0031】なお、前記低温加熱処理は、複数回行って
もよく、この際、温度を変えるなどしてもよい。
【0032】前記低温加熱源としては、電気炉又は赤外
線が使用可能である。
【0033】本発明に基づく水素吸蔵材料の製造方法
は、上述した如く優位性を有する前記ポリマーに対し
て、前記低温加熱処理を施すので、従来のような高温高
圧条件を必要とせず、低コストかつ簡易であり、また、
高純度及び高収率を実現することができる。さらに、上
述したように、特に、実質的に無触媒の状態で前記低温
加熱処理を行うことによって、精製工程を省くことがで
き、より一層の環境負荷の小さくかつ安全であり、製造
コストも大幅に削減されたプロセスを提供することが可
能となる。
【0034】そして、得られる本発明に基づく水素吸蔵
材料は、例えば100℃〜300℃という低い温度での
熱処理にもかかわらず、小ユニットの多環芳香族炭化水
素を有しており、均一に合成されかつ形状が高精度に制
御されてなる粉末状の微細結晶炭素材料であり、軽量、
安価かつ安全で輸送性が高く、水素吸蔵能に優れてい
る。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0036】参考例(1,4−ジエチニルベンゼンポリ
マーの合成) 文献(A.S. Hay J. Polym. Sci. Part A-1, 7 (1969) 1
625)の方法に従って、1,4−ジエチニルベンゼンモ
ノマーを合成し、そのモノマーの重合反応を行うことに
より1,4−ジエチニルベンゼンポリマーの合成を行っ
た。
【0037】即ち、市販の55%ジビニルベンゼン混合
物190gを300mlのクロロホルムに溶解し、室温
で臭素を加えた。反応溶液中に析出した固体をろ取し、
1,4−ビス(1,2−ジブロモエチル)ベンゼンを得
た。
【0038】得られた1,4−ビス(1,2−ジブロモ
エチル)ベンゼン12.5gを、250mlのt−ブタ
ノールに13gのt−ブトキシカリウムを加えた混合溶
液中に加えて1時間還流した。
【0039】反応溶液に蒸留水750mlを加え、出て
きた結晶をろ取し、1,4−ジエチニルベンゼンモノマ
ーを得た。
【0040】次いで、塩化第一銅300mgをN,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン60mlに
溶かした溶液中に、空気中で上記に得られた1.2gの
1,4−ジエチニルベンゼンモノマーを加えた。反応終
了後、2Nの塩酸を1滴加えたメタノール100mlを
反応溶液に加えて、析出した粉状沈殿物をろ取し、図1
に示すような1,4−ジエチニルベンゼンポリマーを得
た。
【0041】図2に、上記に得られた1,4−ジエチニ
ルベンゼンポリマーの赤外吸収スペクトルを示すよう
に、2100cm-1と2200cm-1にC≡Cに由来す
るピーク及び3200〜3300cm-1にC≡C−H由
来のピークが明瞭に観測された。
【0042】以下実施例においては、特に明記しない限
りは、上記に得られた1,4−ジエチニルベンゼンポリ
マーを原料として使用した。
【0043】実施例1 上記のようにして得られたポリマー(1,4−ジエチニ
ルベンゼンポリマー)を10-2〜10-3Paの減圧状態
で10分間、200℃に加熱した。
【0044】その結果、粉末状炭素材料が形成されてい
ることが、透過型及び走査型顕微鏡により確認された。
また、グラファイト及び欠陥を有するグラファイト構造
の存在をそれぞれ意味する1580cm-1と1360c
-1のシャープなラマンスペクトルピークが観測され
た。一方、粉末X線回折測定において、明確な結晶構造
を示すようなピークは見られなかった。なお、原料ポリ
マーに対して、収率は50重量%であった。
【0045】水素吸蔵能の評価は、JIS−H7201
に準じて25℃で行った。即ち、上記に得られた本発明
に基づく水素吸蔵材料(シート状炭素材料)1gを吸蔵
実験用試料として用い、常圧から10MPaの圧力範囲
で、水素吸蔵量を評価した。なお、吸着水を除去するた
めに、150℃で3時間だけ真空下(10−2Pa以
下)で前処理を行った。結果を下記表1に示す。
【0046】実施例2 原料ポリマーをアルゴン雰囲気中、10-1〜10-2Pa
の減圧下で10分間、200℃に加熱した。
【0047】その結果、粉末状炭素材料が形成されてい
ることが、透過型及び走査型顕微鏡により確認された。
図3には実施例2により得られた本発明に基づく水素吸
蔵材料のTEM写真を示す。
【0048】また、図4にラマンスペクトルを示すよう
に、グラファイト及び欠陥を有するグラファイト構造の
存在をそれぞれ意味する1580cm-1と1360cm
-1のシャープなピークが観測された。図5には、比較例
として90℃で10分間加熱した場合、また、図6に
は、900℃で10分間加熱した場合に得られた材料の
ラマンスペクトルを示す。図4、図5及び図6より明ら
かなように、90℃又は900℃で熱処理した場合は、
上記した波数にピークが得られないか、或いは非常に小
さなピークしか得られなかったのに対し、本発明に基づ
く水素吸蔵材料は、例えば200℃の温度で熱処理を行
ったので、上記した波数にシャープなピークが得られ、
小ユニットの多環芳香族炭化水素を形成することができ
た。
【0049】一方、図7に示すように、粉末X線回折測
定において、実施例2により得られた本発明に基づく水
素吸蔵材料は、明確な結晶構造を示すようなピークは見
られなかったので、微細結晶構造を有することが確認で
きた。なお、原料ポリマーに対して、収率は60重量%
であった。
【0050】また、水素吸蔵能の評価は、実施例1と同
様にして行った。結果を下記表1に併せて示す。
【0051】比較例1 水素吸蔵材料としてSTREM社製の単層カーボンナノ
チューブを用いた以外は、実施例1と同様にして水素吸
蔵能を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
【0052】比較例2 水素吸蔵材料としてAldrich社製の単層カーボン
ナノチューブを用いた以外は、実施例1と同様にして水
素吸蔵能を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
【0053】
【表1】
【0054】以上より明らかなように、本発明に基づく
水素吸蔵材料の製造方法は、上記した如く優位性を有す
る前記ポリマーに対して、前記低温加熱処理を施すの
で、低コストかつ簡易であり、また、高純度及び高収率
を実現することができた。
【0055】また、実施例1及び2で得られた水素吸蔵
材料は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料とするの
で、均一に合成されかつ形状が高精度に制御されてなる
小ユニットの多環芳香族炭化水素を有する微細結晶炭素
材料であり、軽量、安価かつ安全で輸送性が高く、上記
表1より明らかなように、比較例1及び2の水素吸蔵材
料に比べて水素吸蔵能がより一層優れていた。
【0056】
【発明の効果】本発明の水素吸蔵材料の製造方法及び水
素吸蔵材料によれば、前記一般式(1)で表される構造
を有する前記ポリマーは、その構造中に、Rで表される
炭化水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含んで
いるので、上述したカルビンなどに比べて耐光性、耐熱
性、耐酸化性等の安定性を有しており、また安価で容易
に合成することができる。この優位性を有する前記ポリ
マーに対して、前記低温加熱処理を施すので、低コス
ト、簡易かつ環境負荷の小さい安全なプロセスであり、
また、高純度及び高収率を実現することができる。
【0057】また、本発明の製造方法により得られる水
素吸蔵材料は、均一かつ単一な前記ポリマーを原料と
し、これを前記低温加熱処理することにより得られるの
で、均一に合成されかつ形状が高精度に制御されてなる
小ユニットの多環芳香族炭化水素を有する微細結晶炭素
材料であり、軽量、安価かつ安全で輸送性が高く、水素
吸蔵能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における原料ポリマー(1,4
−ジエチニルベンゼンポリマー)の構造式である。
【図2】同、原料ポリマーの赤外吸収スペクトルであ
る。
【図3】同、本発明に基づく水素吸蔵材料(粉末状炭素
材料)のTEM写真である。
【図4】同、本発明に基づく水素吸蔵材料のラマンスペ
クトルである。
【図5】同、比較例として作製した炭素材料のラマンス
ペクトルである。
【図6】同、その他の比較例として作製した炭素材料の
ラマンスペクトルである。
【図7】同、本発明に基づく水素吸蔵材料の粉末X線回
折測定により得られたグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角野 宏治 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 山田 淳夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4G066 AA04B AA10D AC13A AC13B AC14A AC14B BA38 CA38 FA34 FA35 FA39 GA14 4G140 AA48 4G146 AA02 AB01 AC28B AD32 BA13 BC03 BC04 BC32A BC32B BC38A BC38B

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される構造を有す
    るポリマーに対して、低温加熱処理を施す工程を有す
    る、水素吸蔵材料の製造方法。 【化1】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
    あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
    000である。)
  2. 【請求項2】 100〜300℃の温度範囲で前記低温
    加熱処理を行う、請求項1に記載した水素吸蔵材料の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)において、Rが芳香族
    炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基のうちの少
    なくとも1種である、請求項1に記載した水素吸蔵材料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 実質的に無触媒の状態で、前記低温加熱
    処理を行う、請求項1に記載した水素吸蔵材料の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 減圧条件下及び/又は不活性ガス雰囲気
    下で、前記低温加熱処理を行う、請求項1に記載した水
    素吸蔵材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 105〜10-5Pa程度の減圧下、前記
    低温加熱処理を行う、請求項5に記載した水素吸蔵材料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 105〜10-2Pa程度の減圧下かつヘ
    リウムガス、アルゴンガス及び窒素ガスのうちの少なく
    とも1種からなる不活性ガス雰囲気下で、前記低温加熱
    処理を行う、請求項5に記載した水素吸蔵材料の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記低温加熱源に電気炉又は赤外線を用
    いる、請求項1に記載した水素吸蔵材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 下記一般式(1)で表される構造を有す
    るポリマーを原料とし、小ユニットの多環芳香族炭化水
    素を有する微細結晶炭素材料からなる、水素吸蔵材料。 【化2】一般式(1): (但し、前記一般式(1)において、Rは炭化水素基で
    あって、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは2〜10
    000である。)
  10. 【請求項10】 100〜300℃の温度範囲で前記低
    温加熱処理を行うことにより得られる、請求項9に記載
    した水素吸蔵材料。
  11. 【請求項11】 前記一般式(1)において、Rが芳香
    族炭化水素基、不飽和炭化水素基及び複素環基のうちの
    少なくとも1種である、請求項9に記載した水素吸蔵材
    料。
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