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JP2003208895A - リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池

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JP2003208895A
JP2003208895A JP2002005036A JP2002005036A JP2003208895A JP 2003208895 A JP2003208895 A JP 2003208895A JP 2002005036 A JP2002005036 A JP 2002005036A JP 2002005036 A JP2002005036 A JP 2002005036A JP 2003208895 A JP2003208895 A JP 2003208895A
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lithium
composite oxide
nickel composite
aqueous solution
hydroxide
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JP2002005036A
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Yoji Takeuchi
要二 竹内
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充電率の高い状態で長期間保存しても、容量
劣化および内部抵抗の上昇が少ないリチウム二次電池を
提供する。また、そのようなリチウム二次電池を実現す
ることのできる正極活物質用リチウムニッケル複合酸化
物、およびその簡便な製造方法を提供する。 【解決手段】 リチウムニッケル複合酸化物を、基本組
成がLiNiO2であり、六方晶系の層状岩塩構造を有
し、リチウムサイトの一部およびニッケルサイトの一部
がマグネシウムで置換されたものとする。また、その製
造方法を、原料水溶液調製工程と、第1水酸化物析出工
程と、第2水酸化物析出工程と、焼成工程とを含んで構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムの吸蔵・
脱離現象を利用したリチウム二次電池に関し、その正極
活物質として用いられるリチウムニッケル複合酸化物お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムの吸蔵・脱離現象を利用したリ
チウム二次電池は、高エネルギー密度であることから、
携帯電話、パソコン等の小型化に伴い、通信機器、情報
関連機器の分野で広く普及するに至っている。一方で、
環境問題、資源問題から、自動車の分野でも電気自動車
の開発が急がれており、この電気自動車用の電源として
も、リチウム二次電池が検討されている。このように広
い分野での要望があるリチウム二次電池であるが、その
価格が高いことから、他の二次電池にも増して長寿命で
あることが要求される。長寿命であるための要件の一つ
として、例えば、充電率を高く保持した状態でリチウム
二次電池を保存した場合にも、容量が減少しない、電池
の内部抵抗が上昇しないといった、いわゆる保存特性が
良好であることが要求される。特に、電池の内部抵抗の
上昇は、電池のパワー特性(短時間で大きな出力を取り
出すことができ、かつ、短時間で大きな電力を充電する
ことができる特性)の低下を招くため、これを抑制する
ことは重要となる。また、高温下では電池反応が活性化
し内部抵抗の上昇も大きいことから、例えば屋外放置さ
れる可能性のある電気自動車用電源等の用途にリチウム
二次電池を使用することを想定した場合には、高温下で
の保存特性が良好であることが重要な特性の一つとな
る。現在では、Ni、Coを主構成元素とする層状岩塩
構造のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用い
て構成するリチウム二次電池の開発が進められている。
しかし、このようなリチウム二次電池は、充電率を高く
保持した状態で保存した場合に、電池の容量の減少や内
部抵抗の上昇が大きく、保存特性、特に高温下での保存
特性に問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、鋭意研究
を重ねた結果、充電した状態、つまり、正極活物質であ
るリチウム遷移金属複合酸化物からリチウムが脱離した
状態では、遷移金属サイトに存在するニッケル等が僅か
にリチウムサイトに移動することがわかった。そして、
このことが、上記リチウム二次電池の保存による内部抵
抗の上昇の原因の一つであると考え、上記リチウムサイ
トへのニッケル等の移動を抑制することで、充電率を高
く保持した状態で保存した場合であっても、電池の内部
抵抗の上昇を抑制できるという知見を得た。本発明は、
上記知見に基づいてなされたものであり、充電状態にお
けるニッケルのリチウムサイトへの移動を抑制すること
で、充電状態で長期間保存しても内部抵抗の上昇が少な
いリチウム二次電池を提供することを課題とする。ま
た、そのようなリチウム二次電池を実現することのでき
る正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物を提供する
ことを課題とする。さらに、そのリチウムニッケル複合
酸化物を簡便に製造する方法を提供することを課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウム二次電
池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物は、基本組
成がLiNiO2であり、六方晶系の層状岩塩構造を有
するリチウムニッケル複合酸化物であって、リチウムサ
イトの一部およびニッケルサイトの一部がマグネシウム
で置換されたことを特徴とする。六方晶系の層状岩塩構
造を有する本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、空
間群
【化1】 に属するものである。図1に、本発明のリチウムニッケ
ル複合酸化物の単位結晶格子を模式的に示す。図1にお
いて、3aサイトはリチウムサイトを、3bサイトはニ
ッケルサイトを、6cサイトは酸素サイトを表す。リチ
ウムとニッケルがそれぞれ酸素層間に並んだ単独層を形
成し、これが交互に積層することによって六方晶の超格
子を構成している。上述したように、充電率が高い状態
では、正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物か
ら多くのリチウムが脱離した状態となっている。この状
態では、リチウムサイトの多くは空格子点となり、不安
定な状態となっている。そのため、ニッケルサイトにあ
るニッケルの一部がリチウムサイトに移動すると考えら
れる。リチウムサイトに移動したニッケルは、本来のリ
チウムイオンの動きを阻害すると考えられる。つまり、
リチウムサイトに存在するニッケルが、充放電の際のリ
チウムイオンの吸蔵・脱離を妨げることにより、内部抵
抗が上昇し、電池性能が低下する。
【0005】本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、
容量の大きいLiNiO2を基本組成とし、そのリチウ
ムサイトの一部およびニッケルサイトの一部がマグネシ
ウムで置換されものである。ここで、リチウムサイトの
一部にマグネシウムが存在することが重要である。つま
り、リチウムサイトに存在するマグネシウムは、充電状
態でリチウムが脱離した場合に、ニッケルサイトからの
ニッケルの移動を妨げる役割を果たすと考えられる。マ
グネシウムがリチウムサイトに存在することで、リチウ
ムが脱離した状態でのニッケルのリチウムサイトへの移
動が抑制されるため、充電率の高い状態で電池が長期間
保存された後でも、リチウムイオンの吸蔵・脱離反応は
スムーズに行われることとなる。したがって、本発明の
リチウムニッケル複合酸化物は、充電率の高い状態で保
存された場合であっても、内部抵抗の上昇が抑制され保
存特性の良好な二次電池を構成することができる。ま
た、本発明のリチウム二次電池は、上記本発明のリチウ
ムニッケル複合酸化物を正極活物質に含んで構成された
ものである。上述したように、本発明のリチウムニッケ
ル複合酸化物を正極活物質に含んで構成することによ
り、充電率の高い状態で保存した場合であっても内部抵
抗の上昇が抑制され、保存特性の良好な二次電池とな
る。
【0006】さらに、上記本発明のリチウムニッケル複
合酸化物は、その製造方法が特に限定されるものではな
いが、本発明の製造方法によれば簡便に製造することが
できる。すなわち、本発明のリチウムニッケル複合酸化
物の製造方法は、ニッケルを陽イオンとする塩を含む第
1原料を水に溶解させた第1原料水溶液と、マグネシウ
ムを陽イオンとする塩を含む第2原料を水に溶解させた
第2原料水溶液とをそれぞれ調製する原料水溶液調製工
程と、前記第1原料水溶液と前記第2原料水溶液との一
方と、強アルカリ水溶液とを反応させて第1水酸化物を
析出させる第1水酸化物析出工程と、前記第1水酸化物
を分散させた第1水酸化物分散液と、前記第1原料水溶
液と前記第2原料水溶液との他方と、強アルカリ水溶液
とを反応させて、前記第1水酸化物と前記第2原料に含
まれる塩の陽イオンの水酸化物とが複合化した第2水酸
化物を析出させる第2水酸化物析出工程と、前記第2水
酸化物とリチウム化合物とを混合し、その混合物を酸素
雰囲気中で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る
焼成工程とを含んで構成される。本発明のリチウムニッ
ケル複合酸化物の製造方法は、第1水酸化物析出工程、
第2水酸化物析出工程という2段階に分けて第2水酸化
物、つまりニッケルおよびマンガンを含む複合水酸化物
を合成しておき、その複合水酸化物にリチウム化合物を
加えて焼成する方法である。ニッケルを陽イオンとする
塩を含む第1原料水溶液と、マグネシウムを陽イオンと
する塩を含む第2原料水溶液とは、水溶液の性質が異な
るため、例えば、両水溶液を一緒に強アルカリ水溶液と
反応させた場合には反応が進行し難い。本発明の製造方
法では、リチウムニッケル複合酸化物の粒子の核となる
ニッケルおよびマンガンを含む複合水酸化物を2段階に
分けて合成することで、性質の異なる両元素を含む複合
水酸化物を容易に合成することが可能となる。そして、
得られた複合水酸化物とリチウム化合物とを混合して焼
成するだけで、リチウムサイトの一部およびニッケルサ
イトの一部がマグネシウムで置換されたリチウムニッケ
ル複合酸化物を簡便に得ることができる。また、後に詳
しく説明するが、一般にリチウムニッケル複合酸化物は
粉末状のものであり、粉末を構成する粒子は、微細な一
次粒子が多数凝集して二次粒子を形成するという粒子構
造を有している。本発明の製造方法では、一次粒子の核
となる複合酸化物を2段階に分けて合成する。このた
め、複合酸化物の粒子が成長し易く、その粒子径は比較
的大きなものとなる。このように、本発明の製造方法に
よれば、二次粒子を形成する一次粒子の粒子径が比較的
大きなリチウムニッケル複合酸化物を得ることができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のリチウム二次電
池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物とその製造
方法である本発明の製造方法について、それぞれ順に説
明し、その後に、本発明のリチウムニッケル複合酸化物
の利用形態である本発明のリチウム二次電池について説
明する。
【0008】〈リチウムニッケル複合酸化物〉本発明の
リチウムニッケル複合酸化物は、基本組成がLiNiO
2であり、六方晶系の層状岩塩構造を有し、リチウムサ
イトの一部およびニッケルサイトの一部がマグネシウム
で置換されたものである。ここで、「基本組成が〜であ
り」とは、その組成式で表される組成のものだけでな
く、結晶構造におけるLi、Ni、Oの各サイトの一部
を、マグネシウムやそれ以外の元素で置換したものを含
むことを意味する。さらに、化学量論組成のものだけで
なく、一部の元素が欠損または過剰となる非化学量論組
成のものをも含むことを意味する。本発明のリチウムニ
ッケル複合酸化物は、リチウムおよびニッケルの両サイ
トの一部にマグネシウムが存在すればよく、両サイトの
マグネシウムによる置換割合は、特に限定されるもので
はない。リチウムニッケル複合酸化物に含まれるマグネ
シウムの量が多いと、充電時におけるリチウムサイトへ
のニッケルの移動を抑制する効果は大きくなるが、単位
重量あたりの放電容量は小さくなる傾向にある。反対
に、含まれるマグネシウム量が少ないと、放電容量は大
きいものの上記ニッケルの移動を抑制する効果は小さく
なり、電池の内部抵抗の上昇を招き易くなる。例えば、
本発明のリチウムニッケル複合酸化物として、組成式L
1-xNi1-y -zMgx+yz2(Mは遷移金属およびA
lから選ばれる一種以上)で表されるものを採用するこ
とができる。上記組成式において、リチウムサイトにお
けるマグネシウムの置換割合はx、ニッケルサイトにお
けるマグネシウムの置換割合はyと示される。ここで、
リチウムニッケル複合酸化物に含まれるマグネシウムの
量の指標となるマグネシウムによる両サイトの総置換割
合(x+y)は、0<x+y≦0.2とすることが望ま
しい。なお、0<xかつ0<yである。総置換割合が
0.2を超えると、その好適な範囲のものと比較して、
放電容量が小さくなるからである。x+y≦0.1とす
るとより好適である。一方、充電時におけるニッケルの
移動をより抑制し、電池の内部抵抗の上昇をより小さく
することを考慮した場合には、0.01≦x+yとする
ことが望ましい。0.08≦x+yとするとより好適で
ある。
【0009】後の実施例で説明するが、本発明者の実験
により、リチウムサイトがマグネシウムにより置換され
る割合は、製造条件が同じであれば、リチウムニッケル
複合酸化物に含まれるマグネシウムの総量に依存しない
ことがわかっている。つまり、リチウムサイトに存在す
るマグネシウムの量は、リチウムニッケル複合酸化物中
のマグネシウムの量が増えてもあまり変わらない。リチ
ウムニッケル複合酸化物中にマグネシウムが含まれる場
合、リチウムサイトはほぼ一定の割合でマグネシウムに
より置換される。例えば、含まれるマグネシウムの量が
少ない場合には、その殆どがリチウムサイトに存在する
ことで、リチウムサイトにおけるマグネシウムの置換割
合は上記割合となる。一方、含まれるマグネシウムの量
が多くなると、ニッケルサイトを置換するマグネシウム
の量は増加するが、リチウムサイトにおけるマグネシウ
ムの置換割合はあまり変化せず、上記割合を維持する。
このことを考慮すると、上記組成式で表されるものを採
用する場合、組成式中のxの値、すなわちリチウムサイ
トを置換するマグネシウムの割合は、0.01≦x≦
0.025とすることが望ましい。同様に、組成式中の
yの値、すなわちニッケルサイトを置換するマグネシウ
ムの割合は、0<y≦0.19とすることが望ましい。
リチウムサイトおよびニッケルサイトのマグネシウムに
よる置換割合は、例えば、リチウムニッケル複合酸化物
の構造をRietveld法により解析することで求め
ることができる。Rietveld法は、X線回折図形
の各回折角2θにおける観測強度と、モデル構造からの
計算強度が一致するように、最小二乗法によって格子定
数、原子座標、温度因子を決定するものである。本明細
書では、後に実施例で示すが、上記Rietveld法
による解析結果を採用するものとする。
【0010】上記組成式Li1-xNi1-y-zMgx+yz
2におけるMは、遷移金属およびAlから選ばれる一種
以上であり、これらの一種以上で置換された態様を採用
してもよく、またMが含まれない態様(z=0)を採用
してもよい。リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造の
安定化、熱安定性の向上等を図ることを考慮した場合に
は、ニッケルサイトの一部がMで置換された態様を採用
することが望ましい。この場合、Mによる置換割合は、
特に限定されるものではないが、0<z≦0.35とす
ることが望ましい。Mによる置換割合が0.35を超え
ると、放電容量が小さくなるからである。z≦0.2と
するとより好適である。また、リチウムニッケル複合酸
化物の結晶構造の安定化や熱安定性の向上等の効果をよ
り発揮させ、充放電に伴う容量劣化を抑制する観点か
ら、0.15≦zとすることが望ましい。0.2≦zと
するとより好適である。主に、リチウムニッケル複合酸
化物の結晶構造を安定化させるという観点から、Co、
Mn等の元素から選択したものを置換元素Mとすること
ができる。なかでも、Coには、元素置換による容量低
下を抑えるとともに、Li(Co,Ni)O2は全固溶
型であり、結晶性の低下を最小限にとどめるという利点
があることから、これを考慮すれば、置換元素MにCo
を用いることが望ましい。また、主に、リチウムニッケ
ル複合酸化物の酸素放出に伴う分解反応を抑え、熱安定
性を向上させるという観点から、Al、Fe等の元素か
ら選択したものを置換元素Mとすることができる。なか
でも、Alには、熱安定性を向上させつつ、容量低下を
最小限に抑えるという利点があることから、これを考慮
すれば、置換元素MにAlを用いることが望ましい。さ
らに、CoおよびAlの両元素を置換元素Mとした組成
式Li1-xNi1-y-zMgx+yCoz1Alz22で表される
態様は、上記2つの利点が充分に生かされることにな
り、より望ましい態様となる。この場合、Coの置換割
合(z1)は0.1≦z1≦0.25とすることが望まし
い。この好適範囲のものに比べ、z1<0.1の場合
は、結晶構造の安定化が充分でないため構成される二次
電池の耐久性が良好ではなく、0.25<z1の場合は
リチウムニッケル複合酸化物の結晶性が低下し好ましく
ない。また、Alの置換割合(z2)は0.001≦z2
≦0.15とすることが望ましい。この好適範囲のもの
に比べ、z2<0.001の場合は、安全性に対して充
分な効果が得られなくなり、0.15<z2の場合は、
正極の容量が低下してしまうため好ましくない。
【0011】上述したように、一般に、リチウムニッケ
ル複合酸化物は粉末状のものであり、粉末を構成する粒
子は、微細な一次粒子が多数凝集して二次粒子を形成す
るという粒子構造を有している。この一次粒子は、サブ
ミクロン以下のオーダーのものとなる。そして、正極
は、かかる粒子構造をもつ粉末状のリチウムニッケル複
合酸化物が導電材(炭素物質の粉状体等)とともに結着
剤で結着されて形成されている。この導電材により、リ
チウムニッケル複合酸化物の粒子どうし、およびリチウ
ムニッケル複合酸化物の粒子と集電体との電気的導通が
確保されている。本発明者が認識したところによれば、
リチウム二次電池が充放電することにより、その一次粒
子は膨張・収縮し、一次粒子の粒界にはストレスが発生
して、二次粒子が崩壊する。つまり、一次粒子がその凝
集を解かれることにより、二次粒子が微細化するのであ
る。上記構造の正極においてリチウムニッケル複合酸化
物の二次粒子が微細化する場合、二次粒子の中心部分に
存在する一次粒子は、正極内において、電気的導通が遮
断される。つまり、極端に言えば、二次粒子の表面部分
に存在する一次粒子しか電気的な導通が確保されず、中
心部分の一次粒子は、充放電反応に寄与することができ
なくなるのである。したがって、充放電を繰り返すと正
極の容量が低下し、その分リチウム二次電池の容量が低
下することになる。 本発明のリチウムニッケル複合酸
化物も、一次粒子が凝集して二次粒子を形成するという
粒子構造を有している。ここで、一次粒子の粒子径は、
特に限定されるものではないが、上述した充放電に伴う
容量劣化を抑制するという観点から、その平均粒径を1
μm以上とすることが望ましい。すなわち、本発明のリ
チウムニッケル複合酸化物として、平均粒径が1μm以
上の一次粒子が凝集して二次粒子を形成した粒子構造を
もつものを採用することが望ましい。一次粒子の平均粒
径が1μm以上と大きいため、充放電により二次粒子が
崩壊した場合であっても、電気的導通が遮断され孤立す
る一次粒子の数は少なくなり、電池の容量の低下を抑制
することができる。なお、ここで言う粒子径は、球換算
粒径であり、具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)
観察により、対象とする粒子の長径と短径とを測定し、
それらの平均値を採用するものとする。そして平均粒径
は、SEM観察により、1つの視野の中に存在するすべ
ての粒子の粒子径を平均した値を採用するものとする。
【0012】〈リチウムニッケル複合酸化物の製造方
法〉本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、その製造
方法が特に限定されるものではないが、本発明の製造方
法によって簡便に製造することができる。すなわち本発
明のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法は、原料水
溶液調製工程、第1水酸化物析出工程、第2水酸化物析
出工程、焼成工程とを含んで構成される。以下、各工程
について説明する。
【0013】(1)原料水溶液調製工程 本工程は、ニッケルを陽イオンとする塩を含む第1原料
を水に溶解させた第1原料水溶液と、マグネシウムを陽
イオンとする塩を含む第2原料を水に溶解させた第2原
料水溶液とをそれぞれ調製する工程である。ニッケルを
陽イオンとする塩としては、硝酸ニッケル、炭酸ニッケ
ル、硫酸ニッケル等を用いることができる。マグネシウ
ムを陽イオンとする塩としては、硝酸マグネシウム、炭
酸マグネシウム、酸化マグネシウム等を用いることがで
きる。また、製造対象とするリチウムニッケル複合酸化
物の組成に応じて、ニッケルサイトの一部を他の元素で
置換する場合には、その置換元素を陽イオンとする塩を
含めて第1原料または第2原料とすればよい。この場
合、各塩の水溶液の性質や反応性等を考慮して、第1原
料とするか、あるいは第2原料とするかを適宜決定すれ
ばよい。例えば、ニッケルサイトの一部をコバルトで置
換する場合には、コバルトを陽イオンとする塩として、
硝酸コバルト、炭酸コバルト、硫酸コバルト等を用いる
ことができる。そして、コバルトはニッケルに固溶し、
その水溶液はニッケルを陽イオンとする塩の水溶液と性
質が似ているため、上記コバルトを陽イオンとする塩は
第1原料とすればよい。また、例えば、ニッケルサイト
の一部をアルミニウムで置換する場合には、アルミニウ
ムを陽イオンとする塩として、硝酸アルミニウム、炭酸
アルミニウム、硫酸アルミニウム等を用いることができ
る。そして、アルミニウムを陽イオンとする塩の水溶液
はマグネシウムを陽イオンとする塩の水溶液と性質が似
ているため、上記アルミニウムを陽イオンとする塩は第
2原料とすればよい。なお、製造されるリチウムニッケ
ル複合酸化物中に残存する陰イオンを少なくするという
観点から、上記いずれの塩も硝酸塩を用いることが望ま
しい。第1原料水溶液、第2原料水溶液はともに、第1
原料、第2原料のそれぞれに含まれる塩を混合したもの
を水に溶解させて調製してもよく、含まれる塩をそれぞ
れ水に溶解させて水溶液としたものを混合して調製して
もよい。また、含まれる塩をそれぞれ水に溶解させ、各
塩の水溶液の状態で調製してもよい。各塩は、それに含
まれる元素が目的とするリチウムニッケル複合酸化物の
組成となるよう、その量を適宜調整すればよい。また、
各原料水溶液は、反応性および収率を共に満足させると
いう観点から、その塩の濃度が0.1〜2Mとなるよう
に調製することが望ましい。
【0014】(2)第1水酸化物析出工程 本工程は、前記原料水溶液調製工程で調製した第1原料
水溶液と第2原料水溶液との一方と、強アルカリ水溶液
とを反応させて第1水酸化物を析出させる工程である。
上記2つの原料水溶液の一方と反応させる強アルカリ水
溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウ
ム水溶液等を用いることができる。中でも、経済性を考
慮すれば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることが望ま
しい。水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合には、1〜
5M程度の濃度のものを使用することが望ましい。ま
た、反応液のpH値を調整する場合には、pH調整剤と
してアンモニア水等を併用することが望ましい。2つの
原料水溶液の一方と強アルカリ水溶液との反応は、その
反応形態が特に限定されるものではない。例えば、各々
の水溶液をそれぞれ反応槽へ送液する等により、反応槽
内で混合して反応させてもよく、また、どちらか一方の
水溶液中に他方を滴下して反応させてもよい。第1水酸
化物の析出反応を均一に行うためには、原料水溶液と強
アルカリ水溶液との反応を攪拌して行うことが望まし
い。攪拌速度、両水溶液による反応が進行している反応
液のpH値、反応温度等の条件は、合成される第1水酸
化物粒子の粒子径等に影響することから、所望の粒子を
得るために適宜設定すればよい。例えば、反応液のpH
値は、反応中略一定となるように調整することが望まし
く、その値は、10〜12とすることが望ましい。この
pH値を調整することにより、得られるリチウムニッケ
ル複合酸化物の二次粒子を構成する一次粒子の粒子径を
制御することができる。特に、一次粒子の粒子径を大き
くしたい場合には、反応液のpH値を若干低めに、具体
的にはpH値を10〜11程度とすることが望ましい。
また、反応温度は、適度な反応速度を得るため、20〜
60℃とすることが望ましい。なお、上記第1水酸化物
は沈殿物として得られる。例えば、その沈殿物を濾別
し、洗浄等を行うことにより次工程に供することができ
る。また、本工程における反応液をそのまま第2水酸化
物析出工程の第1水酸化物分散液として用いてもよい。
【0015】本工程で強アルカリ水溶液と反応させる原
料水溶液は、上記第1原料水溶液および第2原料水溶液
の一方であれば、そのどちらと反応させてもよい。得ら
れるリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子を構成する
一次粒子の粒子径の制御を容易にするという観点から、
本工程では第1原料水溶液と強アルカリ水溶液とを反応
させることが望ましい。例えば、硝酸ニッケルおよび硝
酸コバルトを第1原料とした第1原料水溶液と強アルカ
リ水溶液とを反応させた場合には、第1水酸化物はニッ
ケルとコバルトとの複合水酸化物(以下、「Ni−Co
複合水酸化物」と表す。)となる。
【0016】(3)第2水酸化物析出工程 本工程は、前記第1水酸化物析出工程で得られた第1水
酸化物を分散させた第1水酸化物分散液と、第1原料水
溶液と前記第2原料水溶液との他方と、強アルカリ水溶
液とを反応させて、第1水酸化物と第2原料に含まれる
塩の陽イオンの水酸化物とが複合化した第2水酸化物を
析出させる工程である。強アルカリ水溶液としては、上
記第1水酸化物析出工程と同様、種々のものを用いるこ
とができる。第1水酸化物析出工程で使用したのと同じ
ものを用いてもよいし、別のものを用いてもよい。ま
た、上記同様、第1水酸化物分散液と、2つの原料水溶
液の他方と、強アルカリ水溶液との反応は、その反応形
態が特に限定されるものではない。なお、第2水酸化物
の析出反応を均一に行うために、第1水酸化物分散液と
原料水溶液と強アルカリ水溶液との反応を攪拌して行う
ことが望ましい。攪拌速度、各水溶液による反応が進行
している反応液のpH値、反応温度等の条件は上記第1
水酸化物析出工程に準じて適宜設定すればよい。本工程
で析出合成される第2水酸化物は、前記第1水酸化物析
出工程で得られた第1水酸化物と第2原料に含まれる塩
の陽イオンの水酸化物とが複合化したものである。つま
り、第1水酸化物の周りに第2原料に含まれる塩の陽イ
オンの水酸化物が付着して、両者が複合化した水酸化物
となっている。例えば、第1水酸化物析出工程で、第1
原料水溶液と強アルカリ水溶液とを反応させた場合に
は、本工程では、第1水酸化物分散液と第2原料水溶液
と強アルカリ水溶液と反応させる。ここで、硝酸マグネ
シウムおよび硝酸アルミニウムを第2原料とした第2原
料水溶液と第1水酸化物となるNi−Co複合水酸化物
の分散液と強アルカリ水溶液とを反応させた場合には、
第2水酸化物はニッケル、コバルト、マグネシウム、お
よびアルミニウムが複合化した複合水酸化物(以下、
「Ni−Co−Mg−Al複合水酸化物」と表す。)と
なる。なお、第2水酸化物粒子は沈殿物として得られる
ため、これを濾別、洗浄等を行うことにより、次工程に
供することができる。
【0017】(4)焼成工程 本工程は、前記第2水酸化物析出工程で得られた第2水
酸化物とリチウム化合物とを混合し、その混合物を酸素
雰囲気中で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る
工程である。リチウム化合物としては、水酸化リチウ
ム、塩化リチウム、硝酸リチウム等を用いることができ
る。特に、反応性が高いという理由から水酸化リチウム
を用いることが望ましい。第2水酸化物とリチウム化合
物とは、目的とするリチウムニッケル複合酸化物の組成
となるように混合すればよい。例えば、組成式Li1-x
Ni1-y-zMgx+yz2で表されるリチウムニッケル複
合酸化物を製造する場合には、Li:(Ni+Mg+
M)がモル比で略1:1となるような割合とすればよ
い。焼成温度は、特に限定されるものではないが、70
0℃以上1000℃以下とすることが望ましい。焼成温
度が700℃未満であると、反応が充分に進行せず、結
晶性が低くなるからである。反対に、1000℃を超え
ると、粒子表面のリチウムがガス化し、反応への寄与率
が低くなるからである。なお、焼成時間は焼成が完了す
るのに充分な時間であればよく、12〜120時間の範
囲で行えばよい。
【0018】〈リチウム二次電池〉上記本発明のリチウ
ムニッケル複合酸化物を正極活物質に含む本発明のリチ
ウム二次電池の実施形態について説明する。一般にリチ
ウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極
および負極と、この正極と負極との間に挟装されるセパ
レータと、正極と負極の間をリチウムイオンを移動させ
る非水電解液とから構成される。本実施形態の二次電池
もこの構成に従えばよい。以下の説明は、これらの構成
要素のそれぞれについて行うこととする。正極は、リチ
ウムイオンを吸蔵・脱離できる正極活物質に導電材およ
び結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶媒を加えて、ペ
ースト状の正極合材としたものを、アルミニウム等の金
属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによ
って活物質密度を高めることによって形成する。本実施
形態では、正極活物質として上記リチウムニッケル複合
酸化物を用いる。なお、本発明のリチウムニッケル複合
酸化物は、その組成等により種々のリチウムニッケル複
合酸化物が存在する。したがって、それらの1種を正極
活物質として用いるものであってもよく、また、2種以
上を混合して用いるものであってもよい。さらに、本発
明のリチウムニッケル複合酸化物と既に公知の正極活物
質材料とを混合して正極活物質とする構成を採用するこ
ともできる。正極に用いる導電材は、正極活物質層の電
気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1
種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもの
で、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデ
ン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。こ
れら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶媒として
は、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いる
ことができる。
【0019】正極に対向させる負極は、金属リチウム、
リチウム合金等を、シート状にして、あるいはシート状
にしたものをニッケル、ステンレス等の集電体網に圧着
して形成することができる。しかし、デンドライトの析
出等を考慮し、安全性に優れたリチウム二次電池とする
ために、リチウムを吸蔵・脱離できる炭素物質を活物質
とする負極を用いることができる。使用できる炭素物質
としては、天然あるいは人造の黒鉛、フェノール樹脂等
の有機化合物焼成体、コークス等の粉状体が挙げられ
る。この場合は、負極活物質に結着剤を混合し、適当な
溶媒を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属
箔集電体の表面に塗布乾燥して形成する。なお、炭素物
質を負極活物質とした場合、正極同様、負極結着剤とし
てはポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶媒
としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用
いることができる。正極と負極の間に挟装されるセパレ
ータは、正極と負極とを隔離しつつ電解液を保持してイ
オンを通過させるものであり、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。非水電
解液は、有機溶媒に電解質を溶解させたもので、有機溶
媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えばエチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、
アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキソラン、塩化メチレン等の1種またはこれら
の2種以上の溶媒を用いることができる。また、溶解さ
せる電解質としては、溶解させることによりリチウムイ
オンを生じるLiI、LiClO4、LiAsF6、Li
BF4、LiPF6等を用いることができる。なお、上記
セパレータおよび非水電解液という構成に代えて、ポリ
エチレンオキシド等の高分子量ポリマーとLiClO4
やLiN(CF3SO22等のリチウム塩を使用した高
分子固体電解質を用いることもでき、また、上記非水電
解液をポリアクリロニトリル等の固体高分子マトリクス
にトラップさせたゲル電解質を用いることもできる。
【0020】以上のものから構成されるリチウム二次電
池であるが、その形状はコイン型、積層型、円筒型等の
種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場
合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ
電極体とし、正極および負極から外部に通ずる正極端子
および負極端子までの間をそれぞれ導通させるようにし
て、この電極体を非水電解液とともに電池ケースに密閉
して電池を完成させることができる。
【0021】〈他の実施形態の許容〉以上、本発明のリ
チウムニッケル複合酸化物、その製造方法およびリチウ
ム二次電池の実施形態について説明したが、上述した実
施形態は一実施形態にすぎず、本発明のリチウムニッケ
ル複合酸化物、その製造方法およびリチウム二次電池
は、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に基づい
て種々の変更、改良を施した種々の形態で実施すること
ができる。
【0022】
【実施例】上記実施形態に基づいて、マンガンの含有割
合の異なるリチウムニッケル複合酸化物を種々製造し
た。そして、製造した各リチウムニッケル複合酸化物を
正極活物質として用いてそれぞれリチウム二次電池を作
製し、それらの二次電池に対して保存試験および充放電
サイクル試験を行うことで、各二次電池の特性を評価し
た。以下、リチウムニッケル複合酸化物の製造、リチウ
ム二次電池の作製、電池特性の評価について、順次説明
する。
【0023】(1)リチウムニッケル複合酸化物の製造 (a)#11のリチウムニッケル複合酸化物 Ni:Mg:Co:Alがモル比で0.79:0.0
1:0.15:0.05の割合で含まれるリチウムニッ
ケル複合酸化物を製造した。まず、第1原料として、硝
酸ニッケルと硝酸コバルトとを用い、Ni:Coがモル
比で0.79:0.15となるように両者を混合して1
Mの第1原料水溶液を調製した。2Lの反応槽に、調製
した第1原料水溶液とpH調製剤である5Mのアンモニ
ア水とをそれぞれ連続的に送液するとともに、強アルカ
リ水溶液として5Mの水酸化ナトリウム水溶液を、反応
液のpH値を10.9±0.2に保ちながら連続添加し
て、第1水酸化物であるNi−Co複合水酸化物を析出
させた。反応温度は60℃とした。次いで、得られたN
i−Co複合水酸化物を濾別し、それを水に分散させて
第1水酸化物分散液を調製した。第2原料として硝酸マ
グネシウムと硝酸アルミニウムとを用い、それぞれを水
に溶解させて0.2Mの硝酸マグネシウム水溶液、1M
の硝酸アルミニウム水溶液を調製した。この両水溶液が
ともに第2原料水溶液となる。そして、上記第1水酸化
物分散液と第2原料水溶液とを、(Ni+Co):M
g:Alがモル比で0.94:0.01:0.05とな
るように混合し、さらに、強アルカリ水溶液として5M
の水酸化ナトリウム水溶液を、反応液のpH値を10.
9±0.2に保ちながら連続添加して、第2水酸化物で
あるNi−Co−Mg−Al複合水酸化物を析出させ
た。反応温度は60℃とした。得られたNi−Co−M
g−Al複合水酸化物を濾別、洗浄、乾燥した。水酸化
リチウムと上記Ni−Co−Mg−Al複合水酸化物と
を、Li:(Ni+Co+Mg+Al)が、モル比で
1.05:1となるように混合した。その混合物を酸素
雰囲気中、850℃で24時間焼成を行いリチウムニッ
ケル複合酸化物を得た。得られたリチウムニッケル複合
酸化物の粉末をSEM観察したところ、二次粒子の平均
粒径は約13μmであり、それを形成する一次粒子の平
均粒径は約1μmであった。また、後にまとめて示す
が、リチウムニッケル複合酸化物をRietveld法
により構造解析した結果、リチウムサイトの一部および
ニッケルサイトの一部にマグネシウムが存在することが
確認された。本リチウムニッケル複合酸化物を、サンプ
ル番号#11のリチウムニッケル複合酸化物とした。
【0024】(b)#12〜15のリチウムニッケル複
合酸化物 上記#11のリチウムニッケル複合酸化物の製造におい
て、Ni:Mg:Co:Alのモル比を種々変更し、そ
れ以外は上記(a)と同様にしてリチウムニッケル複合
酸化物を4種類製造した。得られた4種類のリチウムニ
ッケル複合酸化物は、その二次粒子の平均粒径が約13
μmであり、それを形成する一次粒子の平均粒径は約1
μmであった。また、Rietveld法による解析結
果から、リチウムサイトの一部およびニッケルサイトの
一部にマグネシウムが存在することが確認された。4種
類の本リチウムニッケル複合酸化物を、サンプル番号#
12〜15のリチウムニッケル複合酸化物とした。な
お、各元素の含有割合は、後の表1にまとめて示す。 (c)#16のリチウムニッケル複合酸化物 上記#11のリチウムニッケル複合酸化物の製造におい
て、Ni:Mg:Co:Alがモル比で0.75:0.
05:0.15:0.05となるよう各原料の混合比等
を変更した。また、第1原料水溶液と水酸化ナトリウム
水溶液との反応、および第1水酸化物分散液と第2原料
水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との反応の際、反応液
のpH値を10.0±0.2に調整した。これら以外
は、上記(a)と同様にしてリチウムニッケル複合酸化
物を製造した。得られたリチウムニッケル複合酸化物の
二次粒子の平均粒径は約28μmであり、それを形成す
る一次粒子の平均粒径は約3μmであった。また、Ri
etveld法による解析結果から、リチウムサイトの
一部およびニッケルサイトの一部にマグネシウムが存在
することが確認された。本リチウムニッケル複合酸化物
を、サンプル番号#16のリチウムニッケル複合酸化物
とした。
【0025】(d)#21のリチウムニッケル複合酸化
物 組成式LiNi0.8Co0.15Al0.052で表され、マグ
ネシウムを含まないリチウムニッケル複合酸化物を製造
した。上記#11のリチウムニッケル複合酸化物の製造
において、第2原料として硝酸マグネシウムを使用せ
ず、Ni:Co:Alがモル比で0.8:0.15:
0.05となるよう各原料の混合比等を変更した。それ
以外は上記(a)と同様にしてリチウムニッケル複合酸
化物を製造した。得られたリチウムニッケル複合酸化物
の二次粒子の平均粒径は約13μmであり、それを形成
する一次粒子の平均粒径は約1μmであった。本リチウ
ムニッケル複合酸化物を、サンプル番号#21のリチウ
ムニッケル複合酸化物とした。 (e)#22のリチウムニッケル複合酸化物 上記#16のリチウムニッケル複合酸化物の製造におい
て、第1原料水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との反
応、および第1水酸化物分散液と第2原料水溶液と水酸
化ナトリウム水溶液との反応の際、反応液のpH値を1
2.1±0.2に調整した。それ以外は上記(c)と同
様にしてリチウムニッケル複合酸化物を製造した。得ら
れたリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子の平均粒径
は約12μmであり、それを形成する一次粒子の平均粒
径は約0.2μmであった。本リチウムニッケル複合酸
化物を、サンプル番号#22のリチウムニッケル複合酸
化物とした。 (f)#23のリチウムニッケル複合酸化物 上記#21のリチウムニッケル複合酸化物と同様、組成
式LiNi0.8Co0.1 5Al0.052で表され、マグネシ
ウムを含まないリチウムニッケル複合酸化物を製造し
た。上記#21のリチウムニッケル複合酸化物の製造に
おいて、第1原料水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との
反応、および第1水酸化物分散液と第2原料水溶液と水
酸化ナトリウム水溶液との反応の際、反応液のpH値を
12.1±0.2に調整した。それ以外は上記(d)と
同様にしてリチウムニッケル複合酸化物を製造した。得
られたリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子の平均粒
径は約12μmであり、それを形成する一次粒子の平均
粒径は約0.2μmであった。本リチウムニッケル複合
酸化物を、サンプル番号#23のリチウムニッケル複合
酸化物とした。
【0026】(g)上記製造した9種類のリチウムニッ
ケル複合酸化物の組成、Rietveld法による構造
解析の結果から得られた各サイトのマグネシウムの存在
割合、および一次粒子の粒子径を表1にまとめて示す。
なお、表1におけるマグネシウムの存在割合とは、リチ
ウムニッケル複合酸化物中に含まれるマグネシウムがど
のような割合でリチウムサイトとニッケルサイトとに配
分されているかを表すものである。
【表1】 表1より、マグネシウムを含有させたリチウムニッケル
複合酸化物では、マグネシウムはリチウムサイトの一部
およびニッケルサイトの一部に存在することが確認でき
る。そして、マグネシウムの含有割合が小さい#11の
リチウムニッケル複合酸化物では、含まれるマグネシウ
ムは殆どリチウムサイトに存在していることがわかる。
また、マグネシウムの含有割合が大きくなるとともに、
ニッケルサイトに配分されるマグネシウムの割合が大き
くなることがわかる。つまり、本実施例で製造したリチ
ウムニッケル複合酸化物は、ほぼ同じ方法で製造された
ため、リチウムサイトを置換するマグネシウムの割合は
ほぼ同じ値となった。また、各リチウムニッケル複合酸
化物の上記製造方法において、反応液のpH値が異なる
と、得られたリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子の
粒子径が変わることが確認できる。例えば、反応液のp
H値を11程度で反応させた#11〜#15、および#
21のリチウムニッケル複合酸化物では、その一次粒子
の平均粒径が約1μmとなった。これに対し、反応液の
pH値を10程度に低くした#16のリチウムニッケル
複合酸化物では、その一次粒子の平均粒径が約3μmと
大きくなった。一方、反応液のpH値を12程度に高く
した#22および#23のリチウムニッケル複合酸化物
では、その一次粒子の平均粒径が約0.2μmと小さく
なった。
【0027】(2)リチウム二次電池の作製 上記#11〜#16、#21〜#23のリチウムニッケ
ル複合酸化物を正極活物質に用いてリチウム二次電池を
作製した。正極は、まず、正極活物質となるそれぞれの
リチウムニッケル複合酸化物90重量部に、導電材とし
てのカーボンブラックを7重量部、結着剤としてのポリ
フッ化ビニリデンを9重量部混合し、溶媒として適量の
N−メチル−2−ピロリドンを添加して、ペースト状の
正極合材を調製した。次いで、このペースト状の正極合
材を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布
し、乾燥させ、その後ロールプレスにて圧縮し、正極合
材の厚さが片面当たり40μmのシート状のものを作製
した。このシート状の正極を54mm×450mmの大
きさに裁断して用いた。対向させる負極は、球状人造黒
鉛を活物質として用いた。まず、負極活物質となる球状
人造黒鉛の95重量部に、結着剤としてのポリフッ化ビ
ニリデンを5重量部混合し、溶媒として適量のN−メチ
ル−2−ピロリドンを添加し、ペースト状の負極合材を
調製した。次いで、このペースト状の負極合材を厚さ1
0μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥させ、その後
ロールプレスにて圧縮し、負極合材の厚さが片面当たり
30μmのシート状のものを作製した。このシート状の
負極は56mm×500mmの大きさに裁断して用い
た。上記それぞれ正極および負極を、それらの間に厚さ
25μm、幅58mmのポリエチレン製セパレータを挟
んで捲回し、ロール状の電極体を形成した。そして、そ
の電極体を18650型円筒形電池ケース(外径18m
mφ、長さ65mm)に挿設し、非水電解液を注入し、
その電池ケースを密閉して円筒型リチウム二次電池を作
製した。なお、非水電解液は、エチレンカーボネートと
ジエチルカーボネートとを体積比で3:7に混合した混
合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解したものを用
いた。なお、#1のリチウムニッケル複合酸化物を正極
活物質に用いたリチウム二次電池を#1のリチウム二次
電池とし、以下同様に、正極活物質として用いたリチウ
ムニッケル複合酸化物のサンプル番号を、そのまま作製
したリチウム二次電池の番号とした。
【0028】(3)電池特性の評価 作製した各リチウム二次電池について、初期放電容量お
よび初期内部抵抗を測定し、さらに保存試験および充放
電サイクル試験を行うことにより電池の特性を評価し
た。
【0029】(a)初期放電容量および初期内部抵抗の
測定 まず、コンディショニングとして、温度20℃下にて、
電流密度0.2mA/cm2の定電流で4.1Vまで充
電した後、電流密度0.2mA/cm2の定電流で3.
0Vまで放電を行った。コンディショニングの後、初期
放電容量を測定するために、温度20℃下にて、3サイ
クルの充放電を行った。その充放電条件は、電流密度
0.2mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vま
で充電を行い、さらに4.1Vの定電圧で2時間充電を
続け、その後、電流密度0.2mA/cm2の定電流で
放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイク
ルとするものである。この充放電の3サイクル目の放電
容量を初期放電容量とした。次いで、初期の内部抵抗を
算出するために、入出力パワー測定を行い、入出力時の
内部抵抗を算出した。入出力パワー測定は以下の条件で
行った。まず、各リチウム二次電池の初期放電容量の5
0%まで充電した状態(SOC50%)で、1Aの電流
で10秒間放電させ、10秒目の電圧を測定した。再び
SOC50%の状態に充電した後、3Aの電流で10秒
間放電させ、10秒目の電圧を測定した。さらに、SO
C50%の状態に充電した後、5Aの電流で10秒間放
電させ、10秒目の電圧を測定した。そして、電圧の電
流依存性を求め、電流−電圧直線の勾配を出力時の内部
抵抗とした。また、同様の手順で充電を行い、各10秒
目の電圧を測定して、電流−電圧直線の勾配から入力時
の内部抵抗を求めた。求めた入出力時の内部抵抗の平均
値を初期内部抵抗とした。
【0030】(b)保存試験 保存試験は、電流密度0.2mA/cm2の定電流で電
圧が4.1Vに到達するまで充電を行った後、さらに
4.1Vの定電圧で7時間充電を続けることにより、各
二次電池をSOC100%の状態とした後、電池の実使
用温度範囲の上限と目される60℃の恒温槽に1ヶ月間
保存するものとした。そして、保存後に、残存容量を測
定するとともに、上記と同様にして入出力時の内部抵抗
を求め、その平均値を保存後内部抵抗とした。ここで、
残存容量は、保存試験後の各電池を、温度20℃下に
て、それぞれ電流密度0.1mA/cm2の定電流で放
電下限電圧3.0Vまで放電した時の容量とした。そし
て、式[残存容量/初期放電容量×100]から容量残
存率を求めた。さらに、保存試験の前後における内部抵
抗の値から、式[{(保存後内部抵抗/初期内部抵抗)
−1}×100]を用いて保存後の内部抵抗増加率を計
算した。
【0031】(c)充放電サイクル試験 充放電サイクル試験は、上記保存試験と同様、60℃の
温度条件下で、電流密度0.2mA/cm2の定電流で
4.1Vまで充電した後、電流密度0.2mA/cm2
の定電流で3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル
とし、このサイクルを合計500サイクル行うものとし
た。そして、各リチウム二次電池の500サイクル目の
放電容量を測定し、正極活物質の単位重量あたりのサイ
クル後放電容量を算出した。また、上記と同様にして、
充放電サイクル試験後の電池の入出力時の内部抵抗を求
め、その平均値をサイクル後内部抵抗とした。そして、
式[サイクル後放電容量/初期放電容量×100
(%)]から各リチウム二次電池の容量維持率(%)を
求めた。さらに、充放電サイクル試験の前後における内
部抵抗の値から、式[{(サイクル後内部抵抗/初期内
部抵抗)−1}×100]を用いてサイクル後の内部抵
抗増加率を計算した。
【0032】(d)電池特性の評価 #11〜#16および#21〜#23の各二次電池につ
いて、初期放電容量(mAh/g)、初期内部抵抗(m
Ω)、容量残存率(%)、保存後の内部抵抗増加率
(%)、容量維持率(%)、およびサイクル後の内部抵
抗増加率(%)の値をそれぞれ表2に示す。
【表2】 表2から明らかなように、リチウムニッケル複合酸化物
に含まれるマグネシウムの量が増加するとともに、各二
次電池の初期放電容量は小さくなる傾向にある。また、
含まれるマグネシウムの量が増加すると、初期内部抵抗
の値はやや大きくなっている。これは、リチウムサイト
およびニッケルサイトを置換するマグネシウムの量が増
加したことが原因の一つであると考えられる。しかし、
マグネシウムによりリチウムサイトの一部およびニッケ
ルサイトの一部が置換されたリチウムニッケル複合酸化
物を正極活物質とした#11〜#16、#22の二次電
池では、保存試験後においてもその容量の低下は少な
く、内部抵抗も殆ど上昇していない。これは、マグネシ
ウムがリチウムおよびニッケルサイトに存在すること
で、充電状態でのニッケルのリチウムサイトへの移動が
抑制され、長期間の保存後でもリチウムイオンの吸蔵・
脱離反応がスムーズに行われるためであると考えられ
る。特に、マグネシウムの含有割合が大きいリチウムニ
ッケル複合酸化物を正極活物質とした#14および#1
5の二次電池では、内部抵抗の上昇がより抑制されてい
る。また、#13、#16、#22の二次電池を比較す
ると、マグネシウムの含有割合が同じであれば、一次粒
子の粒子径が大きい方がより望ましいこともわかる。反
対に、マグネシウムが含まれないリチウムニッケル複合
酸化物を正極活物質とした#21および#23の二次電
池では、保存試験後における容量残存率が低い値とな
り、保存後の内部抵抗も大幅に上昇した。
【0033】充放電サイクル試験後の容量維持率は、マ
グネシウムが含まれるリチウムニッケル複合酸化物を正
極活物質とした#11〜#16の二次電池では高い値と
なった。また、サイクル後の内部抵抗増加率についても
#11〜#16の二次電池では低い値となっている。た
だし、充放電に伴う容量劣化は、リチウムニッケル複合
酸化物の一次粒子の粒子径と関係があると考えられるた
め、マグネシウムを含有するが、一次粒子の粒子径が小
さいリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とした#
22の二次電池では、#11〜#16の二次電池と比較
して、容量維持率は低くなり、サイクル後の内部抵抗も
上昇した。一方、マグネシウムを含み、かつ一次粒子の
粒子径が大きなリチウムニッケル複合酸化物を正極活物
質とした#16の二次電池では、容量劣化と内部抵抗の
上昇とが、ともに充分抑制されている。なお、マグネシ
ウムを含有せず、一次粒子の粒子径も小さなリチウムニ
ッケル複合酸化物を正極活物質とした#23の二次電池
は、容量維持率が極めて低く、また内部抵抗の増加率も
大きな値となった。以上の結果より、リチウムサイトの
一部およびニッケルサイトの一部がマグネシウムで置換
された本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物
質として用いることにより、充電率の高い状態で保存し
た場合でも、また充電を繰り返した場合でも容量の低下
が少なく、内部抵抗の上昇が抑制された二次電池を構成
できることが確認できた。つまり、本発明のリチウム二
次電池は、保存特性およびサイクル特性が良好な二次電
池となる。また、本発明のリチウムニッケル複合酸化物
は、平均粒径が1μm以上の一次粒子が凝集して二次粒
子を形成した粒子構造をもつ態様を採用することがより
好適であることも確認できた。
【0034】
【発明の効果】本発明のリチウムニッケル複合酸化物
は、基本組成がLiNiO2であり、六方晶系の層状岩
塩構造を有し、リチウムサイトの一部およびニッケルサ
イトの一部がマグネシウムで置換されたものである。マ
グネシウムがリチウムサイトおよびニッケルサイトの両
サイトに存在することで、充電時にリチウムが脱離して
もニッケルがリチウムサイトへ移動し難くなる。したが
って、本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物
質として用いたリチウム二次電池は、充電率の高い状態
で保存された場合でも、また充放電を繰り返した場合で
も、容量の劣化、内部抵抗の上昇が抑制された二次電池
となる。また、本発明のリチウムニッケル複合酸化物の
製造方法は、原料水溶液調製工程、第1水酸化物析出工
程、第2水酸化物析出工程、および焼成工程を含んで構
成される。本発明の製造方法によれば、一次粒子の粒子
径が比較的大きな上記本発明のリチウムニッケル複合酸
化物を簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリチウムニッケル複合酸化物の単位
結晶格子を模式的に示す。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AC06 AE05 5H029 AJ04 AJ05 AJ14 AK03 AK18 AL06 AL07 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 CJ02 CJ08 CJ11 CJ28 DJ16 DJ17 HJ02 HJ05 5H050 AA07 AA10 AA19 BA17 CA08 CA29 CB07 CB08 CB12 FA17 FA19 GA02 GA10 GA11 GA27 HA02 HA05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本組成がLiNiO2であり、六方晶
    系の層状岩塩構造を有するリチウムニッケル複合酸化物
    であって、 リチウムサイトの一部およびニッケルサイトの一部がマ
    グネシウムで置換されたことを特徴とするリチウム二次
    電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物。
  2. 【請求項2】 組成式Li1-xNi1-y-zMgx+yz2
    (Mは遷移金属およびAlから選ばれる一種以上、0<
    x、0<y、0<x+y≦0.2、0≦z≦0.35)
    で表される請求項1に記載のリチウムニッケル複合酸化
    物。
  3. 【請求項3】 前記組成式におけるMは、CoおよびA
    lのいずれか一種以上である請求項2に記載のリチウム
    ニッケル複合酸化物。
  4. 【請求項4】 平均粒径が1μm以上の一次粒子が凝集
    して二次粒子を形成した粒子構造をもつ請求項1ないし
    請求項3のいずれかに記載のリチウムニッケル複合酸化
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に含むリ
    チウム二次電池。
  6. 【請求項6】 基本組成がLiNiO2であり、六方晶
    系の層状岩塩構造を有し、リチウムサイトの一部および
    ニッケルサイトの一部がマグネシウムで置換されたリチ
    ウムニッケル複合酸化物の製造方法であって、 ニッケルを陽イオンとする塩を含む第1原料を水に溶解
    させた第1原料水溶液と、マグネシウムを陽イオンとす
    る塩を含む第2原料を水に溶解させた第2原料水溶液と
    をそれぞれ調製する原料水溶液調製工程と、 前記第1原料水溶液と前記第2原料水溶液との一方と、
    強アルカリ水溶液とを反応させて第1水酸化物を析出さ
    せる第1水酸化物析出工程と、 前記第1水酸化物を分散させた第1水酸化物分散液と、
    前記第1原料水溶液と前記第2原料水溶液との他方と、
    強アルカリ水溶液とを反応させて、前記第1水酸化物と
    前記第2原料に含まれる塩の陽イオンの水酸化物とが複
    合化した第2水酸化物を析出させる第2水酸化物析出工
    程と、 前記第2水酸化物とリチウム化合物とを混合し、その混
    合物を酸素雰囲気中で焼成してリチウムニッケル複合酸
    化物を得る焼成工程とを含んでなるリチウム二次電池正
    極活物質用リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1水酸化物析出工程は、前記第1
    原料水溶液と前記強アルカリ水溶液とを反応させて行
    い、 前記第2水酸化物析出工程は、前記第1水酸化物分散液
    と前記第2原料水溶液と前記強アルカリ水溶液とを反応
    させて行う請求項6に記載のリチウム二次電池正極活物
    質用リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
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