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JP2003177243A - 光学素子 - Google Patents

光学素子

Info

Publication number
JP2003177243A
JP2003177243A JP2001376328A JP2001376328A JP2003177243A JP 2003177243 A JP2003177243 A JP 2003177243A JP 2001376328 A JP2001376328 A JP 2001376328A JP 2001376328 A JP2001376328 A JP 2001376328A JP 2003177243 A JP2003177243 A JP 2003177243A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
optical element
optical
layer
functional layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001376328A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Umetani
雅規 梅谷
Hideo Fujimura
秀夫 藤村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2001376328A priority Critical patent/JP2003177243A/ja
Priority to US10/314,826 priority patent/US20030160938A1/en
Publication of JP2003177243A publication Critical patent/JP2003177243A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3016Polarising elements involving passive liquid crystal elements

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、画像表示装置等の光学機器に用い
た場合でも、精度を保つことが可能であり、光学機器に
組み込んだ際に荷重が加わった場合でも光学特性の変動
が生じ難い光学素子を提供することを主目的とするもの
である。 【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、支
持材と、上記支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規
則性を有して硬化されてなる光学機能層とを有する光学
素子であって、上記光学機能層の弾性率が、20℃から
200℃の温度範囲において1.2MPa以上であるこ
とを特徴とする光学素子を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合性液晶材料を
重合させることにより得られる光学機能層を有する光学
素子であって、上記光学機能層の弾性率の高い光学素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、画像表示装置等に用いられる
位相差フィルムや円偏光制御光学素子等の光学素子にお
いては、例えば液晶表示装置等の画像表示装置に組み込
まれて用いられる場合がある。このような画像表示装置
の製造に際しては、上記光学素子上に積層して他の部材
を構築する場合がある。例えば、光学素子が位相差フィ
ルムであって、液晶表示装置に用いられる場合等におい
ては、位相差フィルム上に液晶層のギャップを一定とす
るためのスペーサ(柱)を形成するといった場合であ
る。
【0003】この際、光学素子自体の弾性率が低い場合
は、上記スペーサ等を形成した際に、光学素子が歪んで
しまう可能性があり、これでは光学機器としての精度を
保つことができない。また、光学素子自体も多少の力が
加わっただけで歪んでしまっては、光学素子の光学特性
に変動が生じ問題となる可能性がある。
【0004】一方、近年においては、重合性液晶材料を
重合させることにより得られる光学素子が提案されてい
る(例えば、特開2001−100045公報、特表平
10−508882号公報等)。このような光学素子
は、液晶が有する特性を重合により固定化してフィルム
として用いることができるといった利点を有するもので
あるので、種々の用途への展開が期待されている。
【0005】しかしながら、このような重合性液晶材料
を重合させて得られる光学素子は、それ自体の弾性率を
高く保つといった提案は従来されておらず、上述した光
学機器としての精度や、光学素子自体の光学特性の変動
等の問題は未解決のままであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、画像表示装置等の光学機
器に用いた場合でも、精度を保つことが可能であり、光
学機器に組み込んだ際に荷重が加わった場合でも光学特
性の変動が生じ難い光学素子を提供することを主目的と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、請求項1に記載するように、支持材と、
上記支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有
して硬化されてなる光学機能層とを有する光学素子であ
って、上記光学機能層の弾性率が20℃(常温)から2
00℃の温度範囲において、1.2MPa以上であるこ
とを特徴とする光学素子を提供する。
【0008】本発明によれば、光学機能層の弾性率が、
上述した範囲内であるので、例えば光学機器等に組み込
んだ場合でも、その上に他の部材を構築した際に変形し
て精度が低下する等の不具合が生じることはない。ま
た、本発明の光学素子上に例えば液晶表示装置の液晶層
のギャップを一定に保つための柱状のスペーサが形成さ
れ、部分的に力が加わった場合でも、上述したような高
い弾性率を有することから、膜厚の局部的な変化が少な
く、本発明の光学素子が有する膜厚が影響するような光
学特性に関しての変動が生じる可能性を低下させること
ができる。また、上述したような状態で熱が加わる場合
であっても、200℃程度の耐熱性を有するものであれ
ば不具合を生じることはない。
【0009】上記請求項1に記載された発明において
は、請求項2に記載するように、上記支持材が、配向能
を有する基材であってもよい。本発明の光学素子は、重
合性液晶材料が規則的な液晶相を呈した状態で重合させ
て得られるものである。したがって、規則的な液晶相を
得るためには、配向能を有する基材上で形成される必要
があり、よって配向能を有する基材上においてそのまま
光学素子として用いることが、コスト的に有利だからで
ある。
【0010】一方、上記請求項1に記載された発明にお
いては、請求項3に記載するように、上記支持材が、被
転写基材であり、上記被転写材が透明基板であってもよ
い。基材上に特定の機能が必要な場合等においては、転
写工程を経ることにより被転写体上に光学機能層を形成
することが可能であり、この際の被転写材は、光学素子
としての機能上、透明基板が用いられることが好ましい
からである。
【0011】上記請求項1から請求項3までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項4に記載
するように、上記重合性液晶材料が、重合性液晶モノマ
ーであり、上記所定の液晶規則性がネマチック規則性ま
たはスメクチック規則性であり、上記光学機能層が位相
差層であることが好ましい。このような位相差層を有す
る光学素子を用いる場合において、位相差層の弾性率は
精度面等において重要であるからである。
【0012】また、上記請求項1から請求項3までのい
ずれかの請求項に記載された発明においては、請求項5
に記載するように、上記重合性液晶材料が、重合性液晶
モノマーおよび重合性カイラル剤であり、所定の液晶規
則性がコレステリック規則性であり、上記光学機能層が
コレステリック層であることが好ましい。このようなコ
レステリック層、すなわちコレステリック規則性を有し
た状態で固定化された層は、円偏光制御層として機能す
るものであるので、この場合もその弾性率は精度上重要
であるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光学素子について
説明した後、このような光学素子を得るための光学素子
の製造方法について説明する。
【0014】A.光学素子 本発明の光学素子は、支持材と、上記支持材上に重合性
液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる光
学機能層とを有する光学素子であって、上記光学機能層
の弾性率が20℃(常温)から200℃の温度範囲にお
いて、1.2MPa以上であることを特徴とするもので
ある。
【0015】本発明では、光学機能層の弾性率が、上述
した範囲内であるので、以下のような利点を有するもの
である。
【0016】すなわち、本発明の光学素子を光学機器等
に組み込んだ場合、上述したような弾性率を有するもの
であるので、本発明の光学素子の光学機能層上に他の部
材を設ける場合に、光学機能層の変形が少なく、よっ
て、その上に形成された部材の位置精度を高く保つこと
が可能となる。また、本発明の光学素子に何等かの荷重
が加わった場合でも、上述したような弾性率を有するも
のであるので、膜厚の変動が少ない。これは光学素子の
膜厚に起因する種々の光学的特性、例えばリタデーショ
ン値等の変動を最小限とするものであり、光学素子の特
性の変動を最小限とすることができるといった利点に繋
がるものである。
【0017】本発明の光学素子における光学機能層の弾
性率を上述した範囲内とする方法に関しては、例えば後
述するように製造工程において再硬化処理工程を設ける
ことを挙げることができるが、これに限定されるもので
はなく、重合性液晶材料を選択することにより、上述し
たような弾性率を有する光学機能層とすることも可能で
ある。
【0018】以下、このような光学素子について、各要
素毎に説明する。
【0019】1.支持材 本発明でいう支持材とは、配向能を有する基材、もしく
は転写工程により光学機能層が転写された場合は被転写
材を示すものである。
【0020】(配向能を有する基材)本発明の光学素子
は、配向能を有する基材上に重合性液晶材料が所定の液
晶規則性を有して硬化されてなる光学機能層が形成され
てなるものである。
【0021】このような配向能を有する基材としては、
基材そのものが配向能を有するものである場合と、透明
基板上に配向膜が形成されて配向能を有する基材として
機能するものとを挙げることができる。以下、それそれ
を第1実施態様および第2実施態様として説明する。
【0022】a.第1実施態様 本実施態様は、基材そのものが配向能を有する態様であ
り、具体的には基材が延伸フィルムである場合を挙げる
ことができる。このように延伸フィルムを用いることに
より、その延伸方向に沿って液晶材料を配向させること
が可能である。したがって、基材の調製は、単に延伸フ
ィルムを準備することにより行うことができるため、工
程上極めて簡便であるという利点を有する。このような
延伸フィルムとしては、市販の延伸フィルムを用いるこ
とも可能であり、また必要に応じて種々の材料の延伸フ
ィルムを形成することも可能である。
【0023】具体的には、ポリカーボネート系高分子、
ポリアリレートやポリエチレンテレフタレートの如きポ
リエステル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリスルホ
ン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチ
レン系高分子、ポリエチレンやポリプロピレンの如きポ
リオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分
子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分
子、ポリメチルメタクリレート系高分子等の熱可塑性ポ
リマーなどからなるフィルムや、液晶ポリマーからなる
フィルムなどを挙げることができる。
【0024】本発明においては、中でもポリエチレンテ
レフタレート(PET)フィルムが、延伸倍率のレンジ
幅が広い点、さらには入手のしやすさ等の観点から好ま
しく用いられる。
【0025】本発明に用いられる延伸フィルムの延伸率
としては、配向能が発揮し得る程度の延伸率であれば特
に限定されるものはない。したがって、2軸延伸フィル
ムであっても2軸間で延伸率が異なるものであれば用い
ることが可能である。
【0026】この延伸率は、用いる材料により大きく異
なるものであり、特に限定されるものではないが、一般
的には150%〜300%程度のものを用いることが可
能であり、好ましくは200%〜250%のものが用い
られる。
【0027】b.第2実施態様 第2実施態様は、上記配向能を有する基材が、透明基板
と透明基板上に形成された配向膜とからなる態様であ
る。
【0028】本実施態様においては、配向膜を選択する
ことにより、比較的広範囲の配向方向を選択することが
可能であるという利点を有する。透明基板上に塗布する
配向膜形成用塗工液の種類を選択することにより、種々
の配向方向を実現することが可能であり、かつより効果
的な配向を行うことができる。
【0029】本実施態様に用いられる配向膜は、通常液
晶表示装置等において用いられる配向膜を好適に用いる
ことが可能であり、一般的にはポリイミド系の配向膜を
ラビング処理したものが好適に用いられる。また、光配
向膜を用いることも可能である。
【0030】また、本実施態様に用いられる透明基板と
しては、透明材料により形成されたものであれば特に限
定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレック
ス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透
明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹
脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いる
ことができる。
【0031】(被転写材)本発明において用いられる被
転写材としては、光学素子の用途に応じて適宜選択され
るものではあるが、一般的には光学素子であることから
透明な材料、すなわち透明基板が好適に用いられる。
【0032】この透明基板に関しては、上記「配向能を
有する基材」の欄で説明したものと同様であるので、こ
こでの説明は省略する。
【0033】2.光学機能層 本発明の光学素子は、上記基材上に、重合性液晶材料が
所定の液晶規則性を有して硬化されてなる光学機能層が
形成されたものである。このような光学機能層は、液晶
規則性を有する高分子を構成する重合性液晶材料が原材
料として用いられる。以下、これらについて説明する。
【0034】(重合性液晶材料)本発明で用いられる重
合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液
晶オリゴマーおよび重合性液晶高分子を挙げることがで
きる。このような重合性液晶材料は、通常、それ自体が
ネマチック規則性やスメマチック規則性を有するものが
用いられるが、特にこれに限定されるものではなく、重
合性液晶材料がコレステリック規則性を有するものであ
ってもよい。また、光学素子によってコレステリック規
則性が必要であり、かつ上記重合性液晶材料自体がネマ
チック規則性もしくはスメクチック規則性を呈する場合
は、コレステリック規則性付与するためにさらに、重合
性カイラル剤を用いてもよい。以下、それぞれについて
説明する。
【0035】(1)重合性液晶材料 本発明に用いられる重合性液晶材料としては、上述した
ように重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマーや重
合性液晶高分子等を挙げることができる。このような重
合性液晶材料としては、これらのみで液晶相を形成した
場合に、ネマチック規則性、スメクチック規則性、また
はコレステリック規則性を有する液晶相を形成し得る重
合性液晶材料であれば特に限定されるものではない。
【0036】このような重合性液晶材料の一例として
は、例えば下記の一般式(1)で表わされる化合物
(I)を挙げることができる。化合物(I)としては、
一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用
することも可能である。またさらに、上記化合物(I)
と下記の一般式(2)で表わされる化合物(II)とで
構成されるものであってもよい。
【0037】化合物(I)としては、一般式(1)に包
含される化合物の2種を混合して使用することができ、
同様に、化合物(II)としては、一般式(2)に包含
される化合物の2種以上を混合して使用することができ
る。
【0038】
【化1】
【0039】化合物(I)を表わす一般式(1)におい
て、R1及びR2はそれぞれ水素又はメチル基を示すが、
液晶相を示す温度範囲の広さからR1及びR2は共に水素
であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ
素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ
基、ニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素
又はメチル基であることが好ましい。また、化合物
(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、
芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すa
及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数
を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、
6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0
である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水
分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。ま
た、a及びbがそれぞれ13以上である一般式(1)の
化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。
この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す
温度範囲が狭く好ましくない。
【0040】
【化2】
【0041】化合物(II)を表わす一般式(2)にお
いて、R3は水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す
温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。
アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が
2〜12である化合物(II)は液晶性を示さない。し
かしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考
慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、
6〜9の範囲であることがさらに好ましい。化合物(I
I)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の
4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)ア
クリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反
応により化合物(II)を合成することができる。この
エステル化反応は化合物(I)を合成する場合と同様
に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物など
で活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させ
るのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシル
カルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4
−シアノフェノールを反応させてもよい。
【0042】上述した例では、重合性液晶モノマーの例
を挙げたが、本発明においては、重合性液晶オリゴマー
や重合性液晶高分子等を用いることも可能である。この
ような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子として
は、従来提案されているものを適宜選択して用いること
が可能である。
【0043】(2)カイラル剤 本発明においては、上記光学素子が円偏光制御光学素
子、すなわち光学機能層がコレステリック層であり、か
つ重合性液晶材料がネマチック規則性もしくはスメクチ
ック規則性を呈する場合は、上記重合性液晶材料に加え
てカイラル剤を加えることが必要となる。
【0044】本発明に用いられるカイラル剤とは、光学
活性な部位を有する低分子化合物であり、分子量150
0以下の化合物を意味する。カイラル剤は主として、例
えば化合物(I)や、必要に応じて用いられる化合物
(II)に示されるような重合性液晶材料が発現する正
の一軸ネマチック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的
で用いられる。この目的が達成される限り、重合性液晶
材料、例えば化合物(I)と、もしくは化合物(I)お
よび化合物(II)の混合物と、溶液状態あるいは溶融
状態において相溶し、上記ネマチック規則性をとりうる
重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望
の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、下記に示すカ
イラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されな
い。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイ
ラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを
有していることが必須である。従って、本発明で使用可
能なカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上
の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルな
スルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある
化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を
持つ化合物が例示できる。さらに具体的には、市販のカ
イラルネマチック液晶、例えば、Merck社製S−811
等が挙げられる。
【0045】しかし、選択したカイラル剤の性質によっ
ては、化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化
合物(II)の混合物として例示されるような重合性液
晶材料が形成するネマチック規則性の破壊、配向性の低
下、あるいは該化合物が非重合性の場合には、液晶性組
成物の硬化性の低下、硬化フィルムの信頼性の低下を招
くおそれがある。さらに、光学活性な部位を有するカイ
ラル剤の多量使用は、組成物のコストアップを招く。従
って、短ピッチのコレステリック規則性を有する円偏光
制御光学素子を製造する場合には、本発明に用いられる
重合性液晶材料に含有させる光学活性な部位を有するカ
イラル剤には、螺旋ピッチを誘発する効果の大きなカイ
ラル剤を選択することが好ましく、具体的には一般式
(3)又は(4)で表されるような分子内に軸不斉を有
する低分子化合物(III)の使用が好ましい。
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】カイラル剤(III)を表わす一般式
(3)又は(4)において、R4は水素又はメチル基を
示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の
一つであるが、なかでも、式(i),(ii),(ii
i),(v)及び(vii)の何れか一つであることが
好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すd及びe
は、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり
得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9
の範囲であることがさらに好ましい。d又はeの値が0
又は1である一般式(3)又は(4)の化合物は、安定
性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一
方、d又はeの値が13以上である化合物は融点(T
m)が低い。これらの化合物は液晶性を示す化合物
(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)
の混合物との相溶性が低下し、濃度によっては相分離等
が起きるおそれがある。
【0050】本発明の重合性液晶材料に配合されるカイ
ラル剤の量は、螺旋ピッチ誘起能力や最終的に得られる
円偏光制御光学素子のコレステリック性を考慮して最適
値が決められる。具体的には、用いる重合性液晶材料に
より大きく異なるものではあるが、重合性液晶材料の合
計量100重量部当り、0.01〜60重量部、好まし
くは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜3
0重量部、最も好ましくは1〜20重量部の範囲で選ば
れる。この配合量が上記範囲よりも少ない場合は、重合
性液晶材料に充分なコレステリック性を付与できない場
合があり、上記範囲を越える場合は、分子の配向が阻害
され、活性放射線によって硬化させる際に悪影響を及ぼ
す危惧がある。
【0051】本発明においては、このようなカイラル剤
としては、特に重合性を有することが必須ではない。し
かしながら、得られる光学機能層の熱安定性等を考慮す
ると、上述した重合性液晶材料と重合し、コレステリッ
ク規則性を固定化することが可能な重合性のカイラル剤
を用いることが好ましい。
【0052】(3)弾性率の調整 本発明においては、上述したような重合性液晶材料を硬
化させて得られる光学機能層が所定の範囲の弾性率を有
する点に特徴を有するものである。この弾性率を得る方
法としては、後述する再硬化処理工程を行う方法の他、
重合性液晶材料を選択することにより行うことも可能で
ある。
【0053】上述したような弾性率を得るための方法、
すなわち、高弾性率の光学機能層を得るためには、例え
ば、重合後に得られるポリマーのガラス転移点(Tg)
が150℃以上となるようにする方法、用いる重合性液
晶材料が官能基を2個以上有するものを用いる方法、さ
らには用いる重合性液晶材料の分子量が300〜150
0の範囲内のものを用いる方法等を挙げることができ
る。なお、上記重合性材料が有する官能基の数は、5個
以下が好ましい。官能基をこれ以上有する重合性液晶材
料を用いると、得られるポリマーが不安定でありもろく
なる可能性が生じるからである。
【0054】(光重合開始剤)本発明においては、上述
した重合性液晶材料に、光重合開始剤が添加されている
ことが好ましい。例えば、電子線照射により重合性液晶
材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合は
あるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)
照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が
重合促進のために用いられるからである。
【0055】本発明において用いることができる光重合
開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、
ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベ
ンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチ
ルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、
ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシ
エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチ
ルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4
−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメ
ート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニ
ル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベン
ジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフ
ェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチ
オキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4
−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチ
オキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロ
ロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることがで
きる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目
的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
【0056】このような光重合開始剤の添加量として
は、一般的には0.01〜20重量%、好ましくは0.
1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範
囲で本発明の重合性液晶材料に添加することができる。
【0057】(液晶規則性)本発明においては、上記重
合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてな
る光学機能層が用いられる。
【0058】ここで、この液晶規則性とは、ネマチック
規則性、スメクチック規則性およびコレステリック規則
性がある。光学素子が位相差層積層体である場合は、上
記光学機能層は、ネマチック規則性もしくはスメクチッ
ク規則性を有するものである。一方、光学素子が円偏光
制御光学素子である場合は、コレステリック規則性を有
するものである。
【0059】上記規則性は、基本的には用いる重合性液
晶材料が自ら呈する液晶規則性およびカイラル剤を用い
るか否かにより決定されるものである。
【0060】このような液晶規則性は、配向能を有する
基材上に、上述した重合性液晶材料および必要に応じて
添加される重合性カイラル剤とからなる液晶層を形成
し、基材の配向能に沿って配向させて得られるものであ
る。そして液晶規則性を有した状態で活性放射線を照射
することにより硬化させて、液晶規則性を有した状態で
硬化された光機能性層とすることができるのである。
【0061】3.光学機能層の弾性率 本発明においては、上述した光学機能層が高弾性率であ
る点に特徴を有するものである。本発明においては、こ
の弾性率について、以下の方法により規定している。
【0062】金属や低分子化合物と比較して高分子(ポ
リマー)物質は一般的に次のような特徴を示すことが知
られている。1)ポリマーの構成単位であるモノマーが
共有結合で結ばれているため、分子軸方向と直角方向に
力学的、電気的あるいは光学的などの物理的性質に異方
性を示す。2)重合度が各々ポリマー鎖で異なるため分
子量分布が存在する。3)数100Kの狭い温度範囲内
で、ガラス状態からゴム状態まで大きな物性変化をする
等がある。これらの特徴を持つ高分子(ポリマー)固体
の物性を評価する手段の一つとしてレオロジー的解析法
がある。
【0063】高分子(ポリマー)固体はフックの法則に
従う弾性的性質とニュートンの法則に従う粘性的性質を
併せ持っているため粘弾性体と言われる。
【0064】高分子(ポリマー)固体の粘弾性測定法と
しては静的および動的測定法があるが、短時間での刺激
−応答に関する粘弾性測定は動的測定法が有利である。
【0065】特に線形領域の粘弾性測定の場合には、高
分子(ポリマー)固体に正弦的応力である刺激を加える
と、粘性的性質の寄与の大小に応じて応答である正弦的
歪みはδだけ遅れる。高分子(ポリマー)固体が完全弾
性体であるとδ=0°であり、完全粘性体であればδ=
90°となる。
【0066】動的粘弾性測定装置の分類法は大きく分け
て適用周波数範囲によるものと、測定系の振動様式に基
づく方法がある。可用周波数は測定装置の付加質量の有
無、さらに強制あるいは自動振動という振動様式によっ
て決まる。また試料の形状や寸法などの幾何学的定数と
可用周波数との間には関連がある。
【0067】そのため周波数依存性、温度依存性、時間
依存性もしくはその組合せ等いろいろのモードでの測定
が成され、高分子(ポリマー)固体物性の有用な測定手
段となっている。
【0068】また試料形体に合わせ試料装着用の各種対
応治具があり、一般的には引張、圧縮、剪断、曲げ等の
測定がなされている。
【0069】ここでは支持材と、前記支持材上に重合性
液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる光
学機能層をとを有する光学素子の光学機能層部位の動的
粘弾性測定方法に関して以下に詳しく述べる。
【0070】ここでは、測定する光学機能層は支持材で
あるガラス基板上に成膜されており、上記の測定対応治
具としては試料を対象となる大きさに切り出し装着測定
が可能な圧縮治具を使用する方法が適している。
【0071】例えばガラス基板に成膜した光学機能層の
弾性率を測定する場合には、試料を10mm×10mm
□サイズに切り出し、圧縮治具を装着した動的粘弾性装
置でその全体を測定すればよい。強制振動非共振法によ
り圧縮方向に振動歪みを与え20℃〜200℃の温度範
囲での特定周波数での温度依存性測定を行い動的粘弾性
データを解析し、得られる貯蔵弾性率E‘を今回の弾性
率と定義する。
【0072】固体用の動的粘弾性測定装置は、セイコー
インスツルメンツ株式会社製粘弾性スペクトロメータE
XSTAR6000DMS、株式会社島津製作所動的粘
弾性測定装置TRITEC2000、株式会社ユービー
エム製動的粘弾性測定装置Rheogel−E400
0、TAインスツルメント・ジャパン株式会社製動的粘
弾性測定装置DMA2980等が挙げられる、操作性等
の違いはあるが弾性率として貯蔵弾性率E‘の測定が可
能である。
【0073】弾性率測定の際に、被測定物特性に応じた
振動歪みを設定する必要がある。高分子(ポリマー)固
体試料の場合には、その成膜厚みによって変動はあるも
のの一般的には、振動に与える振動歪みは、0.1〜3
0μm程度であるが、膜厚が薄い場合もしくはその膜質
が硬い場合には、0.1〜5μmの範囲が測定装置の付
加から想定しても良好な測定ができる条件である。な
お、今回の測定では、膜厚16μmに対し、2μmの振
動歪みを加えた。
【0074】4.光学素子の具体例 本発明の光学素子の具体例としては、光学機能層が位相
差層である場合の位相差層積層体および光学機能層がコ
レステリック層である円偏光制御光学素子を挙げること
ができる。以下、それぞれについて説明する。
【0075】(位相差層積層体)光学素子が位相差層積
層体である場合としては、本発明においては、支持材
と、上記支持材に重合性液晶材料がネマチック規則性も
しくはスメクチック規則性を有して硬化された位相差層
とを有する位相差層積層体であって、光学機能層である
位相差層が上述したような範囲内の弾性率を有するもの
である。
【0076】このように、本発明の光学素子を位相差層
積層体として用いた場合でも、位相差層が上述したよう
な範囲の弾性率を有するものであるので、これを画像表
示装置等の光学機器に用いた場合でも、上述したように
位相差層上に他の部材を積層した際の位置精度を高く保
つことが可能であり、光学機器の精度を高め、高品質な
ものとすることができる。
【0077】(円偏光制御光学素子)光学素子が円偏光
制御光学素子である場合としては、本発明においては、
支持材と、上記支持材上に重合性液晶材料がコレステリ
ック規則性を有して硬化されたコレステリック層とを有
する円偏光制御光学素子であって、光学機能層が上述し
たような範囲内の弾性率を有するものである。
【0078】この場合も、上記位相差層積層体の場合と
同様に、光学機能層であるコレステリック層が上述した
弾性率を有することから、これを光学機器に用いた場合
に、高精度であり、かつ高品質なものとすることができ
る。
【0079】5.その他 本発明の光学素子においては、上記光学機能層上に保護
層を形成してもよい。この際、本発明においては、光学
機能層の弾性率よりも高い弾性率を有する保護層を形成
することが好ましい。
【0080】このように光学機能層の弾性率よりも高い
弾性率を有する保護層を形成することにより、このよう
な光学素子を光学機器に用いた場合に、上記光学機能層
の弾性率の欄で説明したものと同様の理由から、高精度
とすることが可能となる。
【0081】このような保護層としては、特に限定され
るものではないが、有機材料で形成されたものが好まし
い。中でも好ましい材料としては、耐圧性、耐磨耗性及
び耐熱性に優れた紫外線硬化樹脂及び電子線硬化樹脂等
の熱硬化性樹脂が挙げられる。紫外線硬化樹脂及び電子
線硬化樹脂は、多官能モノマーおよび多官能オリゴマー
の重合反応によって膜を形成するから、機械的強度の強
い強靭な表面保護層となることができる。本発明の表面
保護層に使用される具体的な材料としては、ポリエステ
ルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリエ
ーテルアクリレート、ポリスチリルメタクリレート、ポ
リエーテルメタクリレート、ウレタンアクリレート、エ
ポキシアクリレート(特に、それぞれビスフェノールA
型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型の骨格を
有するエポキシアクリレート及びフェノールノボラック
型エポキシアクリレート)、ポリカーボネート、ポリブ
タジエンアクリレート、シリコーンアクリレート、メラ
ミンアクリレート等の多官能オリゴマーであって官能基
数が1〜10のもの等が挙げられる。また、2−エチル
ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、
フェノキシエチルアクリレート、1,6ーヘキサンジオ
ールアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリ
レート等の単官能モノマー及び多官能モノマーも好まし
いものとして挙げられる。さらに、これらの材料を様々
に組合わせることにより、複数に積層された表面保護層
を形成することもできる。具体的には、AC−810
0、AC−5100(日産化学)等を挙げることができ
る。
【0082】B.光学素子の製造方法 本発明の光学素子の製造方法は、配向能を有する基材を
調製する工程と、上記基材上に少なくとも重合性液晶材
料を含む液晶層形成用組成物を積層し、所定の液晶規則
性を有する液晶層を形成する工程と、上記液晶層をN−
I転移点以下で熱処理する工程と、上記液晶層に室温ま
たは加熱しながら活性放射線を照射して、光学機能層と
する光学機能層形成工程と、上記光学機能層に対して1
50℃〜260℃の範囲内の温度で加熱して再硬化処理
を行う再硬化処理工程とを有することを特徴とするもの
である。
【0083】本発明の光学素子の製造方法は、重合性液
晶材料を含む液晶層形成用組成物を基材上に積層して液
晶層を形成し、これに活性放射線を照射することによ
り、液晶層内の重合性液晶材料を硬化させて光学機能層
を形成した後、上述した範囲の熱処理を行う再硬化処理
工程を行う点に特徴を有するものであり、この再硬化処
理により光学機能層の弾性率を上昇させ、高弾性率の光
学機能層とするものである。なお、上記再硬化処理工程
においては、熱処理の場合について記載したが、その
他、再硬化処理工程において活性放射線照射を過剰に行
う方法もある。
【0084】本発明における再硬化処理工程により、光
学機能層の弾性率が上がるのは、以下の理由によるもの
であると考える。すなわち、上記光学機能層形成工程に
おける活性放射線の照射のみでは、完全に重合されてい
なかった官能基が、この再硬化処理工程により完全に重
合が行われ、架橋密度の上昇により弾性率が上昇する。
【0085】また、上記光学機能層形成工程後では、光
学機能層内に光重合開始剤の残渣等が含まれている可能
性があり、これが再硬化処理工程における熱処理により
除去され、これにより弾性率が上昇する可能性も指摘す
ることができる。
【0086】以下、図面を用いて本発明の一例を説明す
る。図1は、本発明の光学素子の製造方法の一例を示す
ものである。
【0087】この例では、まず透明基板1上に配向膜2
が形成された配向能を有する基材3が形成される(基材
調製工程、図1(a)参照)。
【0088】次に、この配向能を有する基材3上に、重
合性液晶材料と光重合開始剤とを溶剤中に溶解させた液
晶層形成用塗工液を塗布し、溶剤を乾燥・除去し、これ
をN−I転移点以下で熱処理することにより液晶層4を
形成する(液晶層形成工程、図1(b)参照)。この液
晶層は、配向膜2の作用により液晶規則性を有するもの
となる。
【0089】そして、上記液晶規則性を有する液晶層4
に対して室温または加熱しながら紫外光5を照射するこ
とにより、液晶層4内の重合性液晶材料を重合させ、液
晶層4を光学機能層6とする(光学機能層形成工程、図
1(c)および(d)参照)。
【0090】次に、このように基材3上に光学機能層6
が形成された光学素子8を、例えばオーブン中に保持し
て所定の温度に保つことにより、熱7を加え、再硬化処
理を行う(再硬化処理工程、図1(e)参照)。
【0091】これにより、熱処理が加えられ、光学機能
層6の弾性率を上昇させることができるのである。
【0092】また、再硬化処理が上述したように活性放
射線照射を過剰に行う方法である場合は、上記光学機能
層形成工程における紫外光の数倍〜数百倍の過露光によ
り弾性率を上昇させることができる。
【0093】図2は、本発明の光学素子の製造方法の他
の例を示すものである。図2(a)は、すでに上記図1
(c)に示す紫外光を照射する光学機能層形成工程が終
了し、透明基材1上に配向膜2が形成された基材3上
に、光学機能層6が形成された状態を示すものである。
この例では、この光学機能層6の表面側に被転写材9を
配置し(図2(b))、光学機能層6を被転写材9上に
転写する転写工程(図2(c)参照)が行われる。
【0094】被転写材9に転写された光学機能層6は、
同様に例えばオーブン中に保持して所定の温度に保つこ
とにより、熱7を加え、再硬化処理が行なわれる(再硬
化処理工程、図2(d)参照)。そして、弾性率の高い
光学機能層6を有する光学素子8を得ることができるの
である(図2(e)参照)。
【0095】以下、上述した例に示されるような本発明
の光学素子の製造方法について、各工程毎に詳細に説明
する。
【0096】1.基材調製工程 本発明の光学素子を製造するに際しては、まず配向能を
有する基材が準備される。このような配向能を有する基
材としては、基材そのものが配向能を有するものである
場合と、図1に示すように透明基板1上に配向膜2が形
成されて配向能を有する基材3として機能するものとを
挙げることができる。これらについては、上記「A.光
学素子」の欄で説明したものと同様であるので、ここで
の説明は省略する。
【0097】2.液晶層形成工程 本発明においては、次に図1(b)に示すように、上記
配向能を有する基材3上に液晶層4を形成する。
【0098】本発明におけるこの液晶層とは、重合性液
晶材料で形成されたものであり、種々の液晶規則性を有
する液晶相を採り得る層であれば特に限定されない。
【0099】そして、このような液晶層を形成する方法
としては、重合性液晶材料を含む液晶層形成用組成物を
基材上に積層し、液晶層形成用層を形成する。この液晶
層形成用層を形成する方法としては、例えばドライフィ
ルム等を予め形成してこれを液晶層形成用層としこれを
基材上に積層する方法や、液晶層形成用組成物を融解さ
せて、これを基材上に塗布する方法等を採ることも可能
であるが、本発明においては、液晶層形成用組成物を溶
媒に溶解し、これを基材上に塗布し、溶媒を除去するこ
とにより液晶層形成用層を形成することが好ましい。こ
れは、他の方法と比較して工程上簡便であるからであ
る。
【0100】この際、塗布する方法としては、スピンコ
ート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ
法、カーテンコート法(ダイコート法)等が挙げられる。
【0101】このように液晶層形成用塗工液を塗布した
後、溶媒を除去するのであるが、この溶媒の除去方法と
しては、例えば、減圧除去もしくは加熱除去、さらには
これらを組み合わせる方法等により行われる。溶媒が除
去されることにより、液晶層形成用層が形成される。
【0102】本発明においては、このようにして形成さ
れた液晶層形成用層の層内の重合性液晶材料を、基材表
面の配向能により、液晶規則性を有する状態として液晶
層とする。これは、通常はN−I転移点以下で熱処理す
る方法等の方法により行われる。なお、ここで、N−I
転移点とは、液晶相から等方相へ転移する温度を示すも
のである。
【0103】この液晶層形成用塗工液に用いられる重合
性液晶材料、カイラル剤および光重合開始剤に関して
は、上記「A.光学素子」における説明と同様であるの
でここでの説明は省略する。以下、この液晶層形成用塗
工液に用いられる溶媒、およびその他の添加剤について
説明する。
【0104】(溶媒)上記液晶層形成用塗工液に用いら
れる溶媒としては、上述した重合性液晶材料等を溶解す
ることが可能な溶媒であり、かつ配向能を有する基材上
の配向能を阻害しない溶媒であれば特に限定されるもの
ではない。
【0105】具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリ
ン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2-ジメトキシ
ベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の
エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン、2、4−ペンタン
ジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコール
モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール
モノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等
のエステル類、2-ピロリドン,N-メチル-2-ピロリド
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
アミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化
炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリ
クロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼ
ン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、t-ブ
チルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、
モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソル
ブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノー
ル等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能で
ある。
【0106】単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性
液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したよう
に配向能を有する基板が侵食される場合がある。しかし
2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合
を回避することができる。上記した溶媒のなかにあっ
て、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒と
グリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合
溶媒として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、
グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、液晶性
組成物の溶解性や製造せんとする光学機能層の膜厚に依
存するため一概には規定できないが、通常は1〜60重
量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で調整される。
【0107】(その他の添加剤)本発明に用いられる液
晶層形成用塗工液には、本発明の目的を損なわない範囲
内で、上記以外の化合物を添加することができる。添加
できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩
基酸又は多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレ
ポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる
ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2
個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた
後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて
得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリ
グリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテ
ル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹
脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキ
シベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メ
タ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)
アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタク
リル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられ
る。本発明の液晶性組成物に対するこれら化合物の添加
量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一
般的には、本発明の液晶性組成物の40重量%以下、2
0重量%以下である。これらの化合物の添加により、本
発明における重合性液晶材料の硬化性が向上し、得られ
る光学機能層の機械強度が増大し、またその安定性が改
善される。
【0108】また、上記液晶層形成用塗工液には、塗布
を容易にするために界面活性剤等を加えることができ
る。添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリ
ン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイ
ド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤、ポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級
あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフ
ェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール及び
そのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸
アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳
香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは
芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面
活性剤、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルア
ミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤、ポリエチレン
グリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアル
キルアミン等の非イオン系界面活性剤、パーフルオロア
ルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸
塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パ
ーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフ
ルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフル
オロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアル
キル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げ
られる。
【0109】界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種
類、重合性液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液
を塗布する配向能を有する基板の種類にもよるが、通常
は溶液に含まれる液晶性組成物の10重量ppm〜10
重量%、好ましくは100重量ppm〜5重量%、さら
に好ましくは0.1〜1重量%の範囲にある。
【0110】3.光学機能層形成工程 本発明においては、上述した液晶層形成工程において形
成された重合性液晶材料を主成分とする液晶層に室温ま
たは加熱しながら活性照射線を照射することにより、液
晶層がその液晶規則性を有した状態で硬化させることに
より、種々の光学的機能を有する光学機能層を形成する
ことができる。
【0111】この際照射する活性放射線とは、重合性液
晶材料や重合性カイラル剤等を重合せさることが可能な
放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は
装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光線が使用さ
れ、波長が150〜500nm、好ましくは250〜4
50、さらに好ましくは300〜400nmの照射光が
用いられる。
【0112】この照射光の光源としては、低圧水銀ラン
プ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライ
ト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライ
ドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例
示できる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンラ
ンプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。
【0113】照射強度は、液晶層を形成している重合性
液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜調整
されて照射される。
【0114】4.転写工程 本発明においては、必要に応じて、上記光学機能層形成
工程の後、上記配向能を有する基材上に形成された光学
機能層を被転写材上に転写する工程を有するものであっ
てもよい。
【0115】これは、光学機能層を他の層と組み合わせ
て用いる場合や、光学機能層は可撓性の無い基材上で形
成することが好ましいが、使用に際しては可撓性のある
フィルム表面において用いたい場合等の必要に応じて行
われる。
【0116】転写は、上述した光学機能層形成工程で形
成された光学機能層の表面に被転写材表面を接触させる
ことにより行われる(図2(b)および(c)参照)。
【0117】この際の転写方法としては、例えば、被転
写材表面もしくは上記光学機能層表面に接着層を予め形
成しておき、この接着力により転写する方法、基材上の
配向膜等を易剥離性としておく方法等が挙げられる。
【0118】さらに有効な方法としては、光学機能層の
被転写材が接触する側の表面の表面硬度を基材側の表面
硬度よりも低くなるように形成し、この状態で転写を行
う方法や、光学機能層の上記被転写材側表面の残存二重
結合率が、上記基材側のものよりも高くするように形成
し、この状態で転写を行う方法等を挙げることができ
る。このように、光学機能層における表面側の重合度を
基材側の重合度より低く形成する方法としては、酸素の
存在下において重合速度が低下する酸素依存性を有する
光重合開始剤を上記重合性液晶材料に用い、表面側にの
み酸素が接触するような条件下で重合させる方法等を挙
げることができる。
【0119】この工程において用いられる被転写材とし
ては、用いられる光学素子の用途に応じて適宜選択され
るものではあるが、一般的には光学素子であることから
透明な材料、すなわち透明基板が好適に用いられる。
【0120】この透明基板に関しては、上記「配向能を
有する基材」の欄で説明したものと同様であるので、こ
こでの説明は省略する。
【0121】5.再硬化処理工程 本発明においては、上記光学機能層形成工程の後、もし
くは上記転写工程の後、加熱を行う再硬化処理工程を行
うところに特徴を有するものである。
【0122】すなわち、本発明の光学素子の製造方法
は、上述した基材調製工程において調製された基材と、
この基材上に上述した光学機能層形成工程により形成さ
れた光学機能層とを有する光学素子に対して、もしくは
転写工程が行われた場合は、被転写材およびその表面に
転写された光学機能層を有する光学素子に対して、15
0℃〜260℃の範囲内の温度で加熱し再硬化処理が行
われる点を特徴とするものであり、より好ましい加熱温
度としては、165℃〜260℃の範囲内、特に180
℃〜260℃の範囲内とすることができる。
【0123】本発明においては、上記温度範囲より低い
温度で再硬化処理が行われた場合は、光学機能層の弾性
率の上昇が十分でないことから好ましくなく、上記温度
範囲より高い温度で再硬化処理が行われた場合は光学機
能層もしくは基材、さらには被転写材等に際してダメー
ジを与える可能性があることから好ましくない。
【0124】本発明においては、上記範囲で再硬化処理
を行う時間、具体的には光学的機能層が上記温度範囲内
となってからの経過時間が、1分〜240分であること
が好ましく、中でも30分〜210分、得に60分〜1
80分の範囲内の時間であることが好ましい。上述した
時間より短い再硬化処理時間の場合は、光学機能層の弾
性率の上昇が不十分であることから好ましくなく、上記
範囲より長い時間再硬化処理を行った場合は、光学機能
層および支持材のいずれかに熱劣化を与える可能性があ
ることから好ましくないからである。
【0125】このような再硬化処理は、一般的なオーブ
ン等の熱処理用機器を用いて行うことが可能である。
【0126】本発明においては、この再硬化処理工程
が、無酸素雰囲気下で行われることが好ましい。酸素が
存在する場合は、再硬化処理の際に必要なラジカルを酸
素がトラップしてしまい、再硬化処理を効果的に行うこ
とができないからである。
【0127】ここで、無酸素雰囲気とは、酸素がほとん
ど存在しない状態であれば、特に限定されるものではな
いが、具体的には、窒素雰囲気下で行われることが好ま
しい。無酸素雰囲気を形成する場合は、コスト面等から
窒素雰囲気とすることが好ましいからである。
【0128】本発明においては、また再硬化処理工程と
して、活性放射線を過剰に照射する方法がある。具体的
には、光学機能層形成工程で照射される活性放射線の数
倍〜数百倍の過露光により弾性率を上昇させる方法であ
る。本発明においては、上述したように活性放射線とし
ては紫外線が好適に用いられるのであるが、このように
再硬化工程において紫外線を用いる場合の照射量として
は、50〜5000mJ/cmの範囲内、特に100
〜3000mJ/cmの範囲内、中でも200〜10
00mJ/cmの範囲内とすることが好ましい。
【0129】6.その他の工程 本発明においては、上記光学機能層形成工程の後、保護
層形成工程を行い、その後、上記再硬化処理工程が行わ
れるようにしてもよい。また、再硬化処理工程の後、保
護層形成工程を行い、さらに保護層再硬化処理工程を行
なってもよい。
【0130】このように保護層を形成した後、再硬化処
理工程、すなわち熱処理を行うことにより、もしくは光
学機能層および保護層にそれぞれ再硬化処理工程を行う
ことにより、光学機能層および保護層の両者の弾性率を
上昇させることが可能となり、これにより、光学機能層
と保護層との積層体表面における弾性率を大幅に上昇さ
せることが可能となる。これにより、このような光学機
能層と保護層との積層体を有する光学素子を、光学機器
に用いた場合に、上述した理由と同様の理由により、光
学機器の精度を向上させることが可能となる。
【0131】このような保護層は、保護層形成用塗工液
を塗布することにより形成することが可能であり、上記
「A.光学素子」の欄で説明したような樹脂材料が通常
用いられる。
【0132】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0133】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに説明す
る。
【0134】(液晶層形成用塗工液の調製)重合性液晶
材料、カイラル剤、および光重合開始剤を100:5:5
(重量%)の割合で混合した粉体を、トルエンに30重量
%になるように溶解して液晶層形成用塗工液を調製し
た。重合性液晶材料、カイラル剤、および光重合開始剤
としては、下記のものを用いた。 ・重合性液晶材料:末端に重合可能な官能基を有し、50
℃〜100℃でネマチック液晶性を示す下記化学式(5)
に示す重合性液晶モノマー
【0135】
【化6】
【0136】・カイラル剤:下記化学式(6)に示す化
合物のメソゲン両端にスペーサーを介して、アクリレー
トを設け、重合可能にした重合性カイラル剤
【0137】
【化7】
【0138】・光重合開始剤:チバスぺシャリティケミ
カルズ社製のIRG907(商品名) (配向膜の調製)次に、厚さ0.7mmのガラス基板に、
ポリイミドを主成分とする配向膜溶液をスピンコーティ
ングし、溶媒を蒸発させた後に、200℃でポストベイク
し、既知の方法でラビングして配向膜を作製した。配向
膜の膜厚は0.1μmであった。
【0139】(コレステリック層の形成)上記液晶層形
成用塗工液を、上記配向膜上にスピンコーティングし
た。次に、溶媒を蒸発させた後、80℃×3分で液晶分子
を配向させ、コレステリック構造特有の選択反射を示す
ことを確認した上で、UVを照射(波長:313nm、
100mJ/cm)して重合させることによりコレス
テリック層を形成し、試料とした。コレステリック層の
膜厚は、15μmであった。
【0140】このようにして得た試料を、下記に示す熱
処理条件でそれぞれ熱処理を施した後、室温まで自然冷
却して1日放置した。これらを熱処理条件により、それ
ぞれ、実施例1、実施例2、および比較例1とした。
【0141】(評価)上記実施例1、実施例2、および
比較例1の各試料の弾性率を測定した。測定装置は、Rh
eogel-E4000(UBM社製)を用い、試料としては1c
m□のものを用い、それぞれ3サンプルづつ用意した。
ガラス基板上に成膜してあるが、ガラスは剛体とみなせ
るので、測定に関して影響はない。測定チャックは圧縮
用治具を用い、周波数10Hz、歪2μm、波形は正弦
波で、動的粘弾性率測定を行った。結果を下記の表にま
とめる。
【0142】
【表1】
【0143】
【発明の効果】本発明によれば、光学機能層の弾性率
が、所定の範囲の高い弾性率であるので、例えば光学機
器等に組み込んだ場合でも、その上に他の部材を構築し
た際に変形して精度が低下する等の不具合が生じること
はない。また、本発明の光学素子上に例えば液晶表示装
置の液晶層のギャップを一定に保つための柱状のスペー
サが形成され、部分的に力が加わった場合でも、上述し
たような弾性率を有することから、膜厚が局部的な変化
が少なく、本発明の光学素子が有する光学特性の変動が
生じる可能性を低下させることができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造方法の一例を示す工程
図である。
【図2】本発明の光学素子の製造方法の他の例を示す工
程図である。
【符号の説明】
1 … 透明基材 2 … 配向膜 3 … 基材 4 … 液晶層 6 … 光学機能層 8 … 光学素子 9 … 被転写材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA03 BA06 BA42 BB44 BC04 BC05 BC10 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 FB12 GA01 KA02 KA10 LA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持材と、前記支持材上に重合性液晶材
    料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる光学機能
    層とを有する光学素子であって、前記光学機能層の弾性
    率が、20℃から200℃の温度範囲において1.2M
    Pa以上であることを特徴とする光学素子。
  2. 【請求項2】 前記支持材が、配向能を有する基材であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 【請求項3】 前記支持材が、被転写基材であり、前記
    被転写基材が透明基板であることを特徴とする請求項1
    に記載の光学素子。
  4. 【請求項4】 前記重合性液晶材料が、重合性液晶モノ
    マーであり、前記所定の液晶規則性がネマチック規則性
    またはスメクチック規則性であり、前記光学機能層が位
    相差層であることを特徴とする請求項1から請求項3ま
    でのいずれかの請求項に記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 前記重合性液晶材料が、重合性液晶モノ
    マーおよび重合性カイラル剤であり、前記所定の液晶規
    則性がコレステリック規則性であり、前記光学機能層が
    コレステリック層であることを特徴とする請求項1から
    請求項3までのいずれかの請求項に記載の光学素子。
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