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JP2003129161A - 耐熱マグネシウム合金 - Google Patents

耐熱マグネシウム合金

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Publication number
JP2003129161A
JP2003129161A JP2002202933A JP2002202933A JP2003129161A JP 2003129161 A JP2003129161 A JP 2003129161A JP 2002202933 A JP2002202933 A JP 2002202933A JP 2002202933 A JP2002202933 A JP 2002202933A JP 2003129161 A JP2003129161 A JP 2003129161A
Authority
JP
Japan
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magnesium
magnesium alloy
heat
mass
strength
Prior art date
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Pending
Application number
JP2002202933A
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English (en)
Inventor
Kazuo Kikawa
和男 木皮
Takashi Shiraishi
白石  隆
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
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Priority to CNB028026470A priority patent/CN1317412C/zh
Priority to US10/381,781 priority patent/US7153374B2/en
Priority to GB0508170A priority patent/GB2410033B/en
Priority to GB0307135A priority patent/GB2384248B/en
Priority to DE10293663T priority patent/DE10293663B4/de
Priority to PCT/JP2002/008158 priority patent/WO2003016581A1/ja
Priority to NO20031659A priority patent/NO20031659L/no
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温環境下(約200℃)で使用してもボルト
軸力が低下しない耐熱マグネシウム合金を提供する。 【解決手段】 ガドリニウム0.5〜3.8質量%およ
び残部がマグネシウムと不可避不純物から構成されるこ
とを特徴とする耐熱マグネシウム合金。元素周期表でラ
ンタンからユウロピウムまでのランタノイド群から選択
された少なくとも一種の元素を1〜15質量%さらに含
有することを特徴とする耐熱マグネシウム合金。さらに
ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、マンガンおよびス
トロンチウムからなる群から選択された少なくとも一種
の元素をさらに1質量%未満含有する耐熱マグネシウム
合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱マグネシウム
合金に関する。より詳しく述べると、高温下で使用され
る構造材料等に好適に使用可能な耐熱マグネシウム合金
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の観点から、例えば車輌
の燃費向上を目的として、エンジン、フレーム等を構成
する強度部材にマグネシウムが適用されている。マグネ
シウムは、構造材として使用する場合、実用的に最も軽
い金属であり(例えばアルミニウムの約2/3、鉄の約
1/4の比重)、比強度、比剛性が鉄やアルミニウムよ
りも優れており、実用金属中最大の振動吸収性(減衰
能)を有しており、耐くぼみ性が優れており、温度や時
間が変化しても寸法変化が少なく、しかもリサイクルが
容易である。このことから、マグネシウムは、車輌用構
造材料や携帯用端末の筐体として注目されている。
【0003】しかし、マグネシウムを、高温雰囲気下で
使用される車輌等の構造材料として使用する場合、特に
エンジンを構成する部材として使用する場合には、最高
で200℃付近の高温に曝されるために、例えばボルト
締結部のボルト軸力の低下が問題とされている。すなわ
ち、ボルト軸力の低下は、締結座面やメネジの変形によ
り発生し、材料のクリープ強度がボルト軸力の低下に影
響を及ぼすものと考えられていた。
【0004】そのため、マグネシウム合金におけるボル
ト軸力の低下を防止するためにクリープ強度を向上した
種々の合金が開発されてきた。例えば、所定量のアルミ
ニウムや亜鉛等を含有するマグネシウム合金にケイ素、
希土類金属、カルシウムを添加した耐熱マグネシウム合
金が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の耐熱マ
グネシウム合金では、クリープ強度は向上するものの、
ボルト軸力の低下が発生してしまい根本的な改善には至
っていない。
【0006】したがって、本発明の課題は、約200℃
の高温下で使用してもボルト軸力が低下しない耐熱性マ
グネシウム合金を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ボルト軸
力がマグネシウム合金のクリープ強度だけに影響される
のではなく高温環境下での耐力にも大きく影響されるこ
とを見出し、そして高いクリープ強度を保ちつつ高温環
境下での耐力の低下を防ぐ手段として、所定割合のガド
リニウムを含有するマグネシウム合金が前記課題を解決
することを見出して、本発明を創作するに至った。
【0008】すなわち、本発明の耐熱マグネシウム合金
は、ガドリニウム0.5〜3.8質量%および残部がマ
グネシウムと不可避不純物から構成されることを特徴と
するものである(請求項1)。このように構成すること
により、高温で使用されるマグネシウム合金の高温時、
代表的には、約200℃における耐力の低下、およびク
リープ変形、特に従来困難であった初期クリープ変形の
抑制が可能となる。
【0009】また、請求項1記載の耐熱マグネシウム合
金に、元素周期表でランタンからユウロピウムまでのラ
ンタノイドからなる群から選択された少なくとも一種の
元素を1〜15質量%さらに含有することを特徴とする
ものである(請求項2)。このように構成することによ
り、高温で使用されるマグネシウム合金の高温時、代表
的には約200℃における耐クリープ性、特に定常クリ
ープ変形を安定して抑制することが可能となる。
【0010】また、請求項1または請求項2に記載の耐
熱マグネシウム合金に、ジルコニウム、ストロンチウ
ム、およびマンガンからなる群から選択される少なくと
も一種の元素を1質量%未満さらに含有することを特徴
とするものである(請求項3)。
【0011】このように構成することにより、約200
℃における耐力の低下およびクリープ変形を安定して抑
制することが可能となる。また、請求項1乃至請求項3
のいずれか一項に記載の耐熱マグネシウム合金を車輌用
構造材に適用すると、軽量でかつ耐熱性に優れた車輌用
構造材料を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて詳細に説明する。しかし、本発明はこれ
らの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】本発明にかかる耐熱マグネシウム合金は、
(a)マグネシウムと、(b)ガドリニウム、および不
可避不純物とから構成される。
【0014】(a)マグネシウム 本発明にかかる耐熱マグネシウム合金において主成分と
してマグネシウムを使用するが、以下、マグネシウムを
構造材として使用する場合の特徴について説明する。な
お、以下の記載で、構造材としてのマグネシウムの一般
的性質を述べるときには、用語「マグネシウム材料」を
用いるものとする。マグネシウム材料は、実用的に最も
軽い金属であり(例えばアルミニウムの約2/3、鉄の
約1/4の比重)、比強度、比剛性が鉄やアルミニウム
よりも優れており、実用金属中最大の振動吸収性(減衰
能)を有しており、耐くぼみ性が優れており、温度や時
間が変化しても寸法変化が少なく、そしてリサイクルが
容易である。
【0015】しかし、マグネシウム材料を200℃等の
高温環境下に曝すと、マグネシウム材料に変形が生じ
る。したがって、例えばマグネシウム材料を用いたボル
ト締結部材ではマグネシウム材料に変形が生じ、ボルト
軸力の低下が起こる。
【0016】ここで、マグネシウム材料で構成されたボ
ルト締結部材(図1)を高温下に曝した場合のボルト軸
力の挙動をボルト軸力と時間の関係のグラフ(図2)を
用いて説明する。
【0017】このボルト締結部材を高温環境下に曝す
と、短時間にボルト軸力の急激な上昇と低下が起こり、
その後さらに緩やかな低下が進行するという現象が起こ
る。これらの現象は下記の原因で起こると考えられる。
【0018】ボルトをマグネシウム材料製の部位に締結
した直後は、マグネシウム材料の座面、およびメネジに
加わる応力は耐力以下であり、マグネシウム材料に変形
は生じないことからボルト軸力は十分に保たれる(図2
における(a))。
【0019】このマグネシウム材料締結部材を高温に曝
した場合、マグネシウム材料の座面およびメネジに加わ
る応力が上昇する一方、温度上昇によるマグネシウム材
料の強度低下も起こる。高温に曝した直後は、マグネシ
ウム材料とボルト材料の(図1では鉄鋼)の熱膨張量の
差による「熱応力」によりボルト軸力は上昇する(図2に
おけるbの範囲)。
【0020】その後、マグネシウム材料の座面およびメ
ネジに加わる応力がマグネシウム材料の強度を上回った
時点で、マグネシウム材料に永久変形が発生し、ボルト
軸力が低下する(図2におけるcの範囲)。この低下
は、マグネシウム材料に付加される応力が、その温度に
おけるマグネシウム材料の強度、特に耐力値に到達する
まで進行する。
【0021】この時点で、急激なボルト軸力の低下はな
くなるが、その後、低応力下で発生する定常クリープ変
形により緩やかなボルト軸力の低下が進行する(図2に
おけるdの範囲)。
【0022】次に、マグネシウム材料の高温下における
クリープ伸びと時間との関係を示すグラフ(図3)を用
いて、マグネシウム材料の変形挙動を説明する。
【0023】マグネシウム材料を一定の応力を加え、高
温下に曝すと、短時間の間に変形(伸び)が発生する
(図3におけるaの範囲)。これを初期クリープ変形と
呼ぶことにする。その後、時間の経過と共に、緩やかに
変形(伸び)が進行する(図3におけるbの範囲)。こ
れを定常クリープ変形と呼ぶことにする。
【0024】つづいて、引張り試験やクリープ試験によ
る変形がどのような仕組みで発生するかを説明する。
【0025】金属マグネシウムはマグネシウムの結晶粒
が複数集まって構成されている多結晶体である。また、
各結晶粒の間には境界面、つまり粒界が存在する。
【0026】引張り試験や、クリープ試験の短時間領域
では、マグネシウムの結晶粒が変形していることから、
耐力と初期クリープ変形は、結晶粒内の強度に支配され
ていると考えられる。
【0027】一方、クリープ試験の長時間領域では、マ
グネシウムの粒界が変形し、微小な空孔も存在すること
から、定常クリープ変形は粒界の強度に支配されている
と考えられる。
【0028】結晶粒内は、マグネシウム原子が規則正し
く三次元的に配列している。このマグネシウム原子の規
則正しい配列は外力によって容易に変形する。この変形
の主な原因は、原子がずれることにより生じるからであ
る。
【0029】一方、粒界は製造時(鋳造時)に最後に形
成される部分であり、成分中に含まれるマグネシウム以
外の元素や化合物が分布しやすい。この粒界には、マグ
ネシウム原子およびマグネシウム以外の元素により配列
が構成されているが、所々に原子が欠落した格子欠陥が
存在している。高温に曝されると、熱振動の増加により
原子同士の結合力が低下する。その結果、粒界内で原子
が近傍の格子欠陥に移動する頻度が多くなる。これを拡
散という。この拡散が進行すると粒界の変形となる。
【0030】以上のことから、マグネシウム材料締結部
材におけるボルト軸力低下の原因は、高温に曝した直後
のボルト軸力の急激な低下、つまり耐力と初期クリープ
変形、結晶粒内の強度に支配され、また、それ以降の緩
やかなボルト軸力の低下、つまり定常クリープ変形は、
粒界の強度で支配されると考えられる。
【0031】したがって、高温で使用されるマグネシウ
ム材料締結部材のボルト軸力の低下を制御するには、従
来の耐熱合金開発で行われてきたクリープ変形の抑制、
特に定常クリープ変形の抑制のみではボルト軸力の低下
を防止することはできなく、定常クリープ変形の抑制と
共に、耐力の低下と初期クリープ変形の抑制を行なわな
ければならない。耐力の低下と初期クリープ変形を抑制
するには、マグネシウム結晶粒内の変形を抑制すること
が必要であり、定常クリープ変形を抑制するには、粒界
の拡散を抑制することが必要である。
【0032】(b)ガドリニウム 本発明にかかる耐熱マグネシウム合金は、このような高
温下における耐力の低下や初期クリープ(図3における
(a))に起因する変形を抑制する目的で、前記のマグ
ネシウムに、第1元素として、0.5〜3.8質量%の
ガドリニウムを固溶させることを特徴とするものであ
る。
【0033】上記の構成によるマグネシウム合金の場
合、固溶された第1元素の原子が、結晶粒内のマグネシ
ウム原子の一部と置き換わり置換型固溶体を形成するの
で、結晶中に微視的な格子歪みが生じる。そして、この
微視的な格子歪みがマグネシウムを高温環境下に曝した
際のマグネシウムの結晶粒内変形を抑制する。その結
果、結晶粒内の強度に支配される耐力や抗張力が向上
し、初期クリープ変形も抑制される。なお、第1元素と
してガドリニウムを選択したのは、ガドリニウム原子の
半径はマグネシウム原子の半径よりも大きく、かつマグ
ネシウムに対する最大固溶量が多いので、変形を抑制す
る効果が他の元素に比べて高いからである。
【0034】ここで、ガドリニウムはマグネシウムに固
溶させるので、マグネシウムに対する最大固溶量以上を
添加しても、最大固溶量を超えた分のガドリニウムは固
溶されない。よって、ガドリニウムの含有量の上限は、
ガドリニウムの最大固溶量である3.8質量%である。
【0035】また、ガドリニウムの固溶量の下限は、本
発明の目的が達成できる量であれば特に限定されない。
作製されるマグネシウム合金のコスト等に鑑みて適宜選
択可能である。よって、好ましくは0.5〜3.8質量
%、より好ましくは1.0〜3.5質量%程度である。
【0036】また、本発明の耐熱マグネシウム合金にお
いて、定常クリープ変形を抑制する目的で、前記第1元
素であるガドリニウムに加えて、元素周期表でランタン
からユウロピウムまでのランタノイドからなる群から選
択された少なくとも一種の元素(以下、第2元素とい
う)を1〜15質量%さらに含有させることができる。
この元素としては、ランタン(La)、セリウム(C
e)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロ
メチウム(Pm)、サマリウム(Sm)等が好適に添加
される。
【0037】すなわち、前記条件を満たす第2元素を添
加すると、第2元素がマグネシウム原子と共晶化合物を
形成し、この共晶化合物が、粒界に分散する。この形成
される共晶化合物が高温で安定であるので、高温環境下
であっても粒界内の原子の拡散が効果的に阻害され、マ
グネシウム合金の定常クリープを抑制できる。定常クリ
ープ変形の抑制効果は、化合物の生成する温度、つまり
共晶温度が高いほど高く、上記ランタノイドのうち、ラ
ンタン、セリウム、プラセオジウム、ユウロピウム、ネ
オジム、サマリウムの順に効果が高い傾向がある。
【0038】特に、ここに例示したランタノイドからな
る群に属する元素は、マグネシウムに対する最大固溶量
が少ないので、少量の添加でも粒界に共晶化合物が形成
される。定常クリープ変形の抑制効果は、化合物の生成
する温度、つまり共晶温度が高いほど高く、上記ランタ
ノイドのうち、ランタン、セリウム、プラセオジウム、
ユウロピウム、ネオジム、サマリウムの順に効果が高い
傾向がある。
【0039】ここで、第2元素の添加量が1%質量未満
であると、共晶化合物の形成量が少なくなるために、粒
界内で生じる原子の拡散が抑制できず、第2元素の添加
の目的・効果が十分に発揮されない。また、添加量が1
5質量%以上であると、共晶化合物の形成量が多くなり
すぎて、マグネシウム合金の伸びが著しく低下するので
好ましくない。構造部材へのマグネシウム材の適用に
は、高温強度、つまり抗張力、耐力、クリープ強度の確
保が必要であるが、高温強度のみを考慮するだけでは適
用が困難な場合がある。強度と伸びのバランスが重要で
ある。伸びの目安として、特に車輌用のエンジンなどに
適用する場合、約2.0%以上の伸びが要求されるた
め、高温強度と伸びの両方の確保が必要である。
【0040】よって、本発明において第2元素を添加す
る場合の添加量は、好ましくは1〜15質量%、より好
ましくは3〜8質量%の範囲内である。
【0041】したがって、マグネシウムに第1元素およ
び第2元素を含んでなるマグネシウム合金では、前記置
換型固溶体の形成による耐力の向上および初期クリープ
変形の抑制に加えて、共晶化合物による定常クリープ変
形の抑制がもたらされるので、高温環境下におけるマグ
ネシウム合金の耐力およびクリープ強度が効果的に向上
させることができる。
【0042】また、本発明の耐熱マグネシウム合金にお
いて、前記第1元素、第2元素に加えて、ジルコニウ
ム、ストロンチウムおよびマンガンからなる群から選択
された少なくとも一種の元素(以下、第3元素とよぶ)
を1質量%未満さらに含有することができる。
【0043】前記に列挙した元素は、マグネシウム合金
への少量の添加により、マグネシウムの結晶の粒径を微
細化する。マグネシウム合金の各結晶粒径は一般的に凝
固速度が大きく依存し、また、結晶粒径が微細なほど、
耐力は高くなる傾向がある。厚肉部は凝固速度が遅く、
そのため、結晶粒径が大きくなり、強度が低くなる傾向
がある。この第3元素により、凝固速度が遅い部位でも
結晶粒径が微細になり、凝固速度の速い薄肉な部位に近
い結晶粒径が得られ、また、粒界の化合物の分散も均一
になることから、各部位における高温強度の差を小さく
することができる。第3成分としてZrを添加した場合
のZrの含有量と結晶粒径の関係を図4に示す。すなわ
ちこの図はZrを本発明の金属に0.0〜1.2質量%の
範囲で添加した場合の粒径の変化を示すものである。図
4に示す通り、Zrの添加量を増加するにつれて結晶粒
径が小さくなる。そして0.8質量%を超えると、Zr
の添加の効果は飽和することがわかる。
【0044】ここで、第3元素の添加量が1質量%以上
となると、比較的脆い化合物が結晶粒内や粒界に多数生
ずることになる。したがって、この脆い化合物が起点と
なり、得られるマグネシウム合金の伸びが著しく低下し
たり、強度の低下を引き起こす原因となる。よって、発
明において第3元素を添加する場合の添加量は、好まし
くは1質量%未満、より好ましくは0.5〜0.8質量
%の範囲である。
【0045】なお、第3元素は、必ずしも第1元素およ
び第2元素とともに併用される必要はなく、単に第1元
素とのみ併用される構成とすることも可能である。この
場合、マグネシウムに第1元素および第3元素を含んで
なるマグネシウム合金は、前記置換型固溶体の形成およ
び結晶粒の微細化により、高温環境下における耐力の向
上および初期クリープ変形の抑制を効果的に向上させる
ことができる。
【0046】以上説明した通り、本発明にかかる耐熱マ
グネシウム合金は、高温下において高い耐力と高いクリ
ープ強度を示すので、高温下で使用される構造材、例え
ば、車輌用構造材、特にシリンダブロック、シリンダヘ
ッド、インテークマニーホールド、ヘッドカバー、チェ
ーンケース、オイルパン、トランスミッションケース、
ECUフレームといった車輌用のエンジン周辺部の構造
部材として好適に使用することが可能となる。
【0047】
【実施例】先ず、表1に示す組成となるように、純マグ
ネシウムをアルゴンと六フッ化硫黄の混合ガス雰囲気下
で電気溶解炉にて溶解し、第1元素および第2元素をそ
れぞれ所定量ずつ装入、攪拌、沈静し得られた溶湯を高
さ30mm、幅25mm、長さ200mmの金属鋳型に
鋳込んで、鋳造素材を得た。なお、ランタンからユウロ
ピウムまでのランタノイドとしてミッシュメタル(M
M)を用いた。また、溶解には内面をアルマー処理した
ボイラー鋼板製のルツボを用い、元素の装入は、純マグ
ネシウムの温度が700℃の時点で行った。
【0048】この鋳造素材を200℃の雰囲気で100
Hrの熱履歴を与えた後、引張試験片およびクリープ試
験片を切り出し、引張りおよびクリープ試験を実施した
(いずれもJIS4号試験片)。なお、引張り試験は、
5トンオートグラフ試験機により200℃の雰囲気にて
引張り速度0.5mm/分で実施した。クリープ試験
は、200℃にて荷重を50MPa付加し、100Hr
まで試験したときの全伸び量を測定した。結果を表1に
示す。
【0049】
【表1】
【0050】その結果、表1から判る通り本発明の条件
(元素の種類およびその量)を満たした第1元素、第2
元素および所望によりさらに第3元素を添加して作製し
たマグネシウム合金(実施例1〜実施例17)は、第2
元素であるセリウム(Ce)が1質量%未満や15質量
%以上であるセリウム(Ce)が1質量%未満や15質
量%以上である場合(比較例1,2)や従来のマグネシ
ウム合金(比較例3から比較例9)と比べ、好適な特性
を示す。このことから本発明の耐熱マグネシウム合金は
高温時において良好な特性を有していることが裏付けら
れた。
【0051】
【発明の効果】本発明により、高温下における耐力とク
リープ強度を両立する耐熱マグネシウム合金を提供する
ことができる。これにより、例えばボルト締結部の軸力
低下が最小限に抑えられ、車輌用エンジン等高温に曝さ
れる強度部材にマグネシウムを使用でき、大幅な軽量化
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネシウム材料で構成されるボルト締結部材
を説明する図である。
【図2】マグネシウム材料で構成されるボルト締結部材
を高温環境下に暴露した際のボルト軸力と時間との関係
を示すグラフである。
【図3】マグネシウムを高温環境下に曝露した際のクリ
ープ伸びと時間との関係を示すグラフである。
【図4】ジルコニウム含有量とマグネシウム結晶粒径の
関係を示す表およびグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガドリニウム0.5〜3.8質量%およ
    び残部がマグネシウムと不可避不純物から構成されるこ
    とを特徴とする耐熱マグネシウム合金。
  2. 【請求項2】 元素周期表でランタンからユウロピウム
    までのランタノイドからなる群から選択された少なくと
    も一種の元素を1〜15質量%さらに含有することを特
    徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金。
  3. 【請求項3】 ジルコニウム、ストロンチウム、および
    マンガンからなる群から選択される少なくとも一種の元
    素を1質量%未満さらに含有することを特徴とする請求
    項1乃至請求項4までに記載の耐熱マグネシウム合金。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載の耐熱マグネシウム合金から構成されたことを特徴
    とする車輌用構造材。
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