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JP2003128844A - ビードフィラーゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ビードフィラーゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤ

Info

Publication number
JP2003128844A
JP2003128844A JP2001321132A JP2001321132A JP2003128844A JP 2003128844 A JP2003128844 A JP 2003128844A JP 2001321132 A JP2001321132 A JP 2001321132A JP 2001321132 A JP2001321132 A JP 2001321132A JP 2003128844 A JP2003128844 A JP 2003128844A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bead filler
rubber composition
weight
nylon
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001321132A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Fukuhara
信彦 福原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2001321132A priority Critical patent/JP2003128844A/ja
Publication of JP2003128844A publication Critical patent/JP2003128844A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビードフィラーゴム組成物を改良して、耐久
性とタイヤ製造時の作業性を向上させると同時に、タイ
ヤの操縦安定性と乗り心地性能を両立した空気入りタイ
ヤを提供することを課題とする。 【解決手段】 ゴム成分100重量部と、熱可塑性ポリ
アミド1〜8重量部と、ポリオレフィンと、ハードカー
ボン30〜70重量部と、ソフトカーボン10〜50重
量部とを配合してなるビードフィラーゴム組成物であっ
て、好ましくは、熱可塑性ポリアミドが、ポリオレフィ
ンとエラストマーからなるマトリックス中に繊維状に分
散したマスターバッチとして配合されるビードフィラー
ゴム組成物、及び、ビードコアの外周側に上記のビード
フィラーゴム組成物を配置した空気入りタイヤであっ
て、好ましくは、熱可塑性ポリアミド短繊維の配向方向
がタイヤ径方向に略直角方向である空気入りタイヤ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短繊維の配合によ
り異方性を持たせたビードフィラーゴム組成物及びこれ
を用いた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、操縦安
定性を確保しながら乗り心地性能の向上を可能とした空
気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高速道路の発達に伴いタイヤには
益々シビアな要請がなされ、操縦安定性と共に乗り心地
性能が要求されている。高速走行時の一例としてタイヤ
のスタンディングウエーブ現象の発生があり、これがタ
イヤ破壊につながることが知られている。この現象を抑
制する手段の一つにビード部の剛性を向上させることが
考えられており、ビード部の高弾性化は転がり抵抗の低
減にも効果があることから、ビードフィラーゴム組成物
としては弾性率の高いものが好ましい。
【0003】しかるに、一般に高弾性率のゴム組成物を
得る方法としては、カーボンブラックを多量に配合する
方法、硫黄を多量に配合する方法、熱硬化性樹脂の添
加、短繊維を配合する方法等が提案されており、夫々に
特徴はあるがタイヤ成型作業の面及びタイヤの寿命の面
から考えて前三者は好ましくない。一方、後者の短繊維
をゴムに配合する方法は、一般に短繊維とゴムとの結合
が不十分なのでクリープ性が大きくなったり、疲労寿命
が低下したりすることが指摘されている。
【0004】さて、空気入りラジアルタイヤにおいて、
タイヤ性能を向上させるには操縦安定性と同時に乗り心
地性能を満足することが必要であるが、ビード部の構造
の面から見ると、操縦安定性と乗り心地性能との間には
相反する性能である。
【0005】一般に、空気入りラジアルタイヤの操縦安
定性を向上させる目的でビードフィラーの剛性を高める
が、この剛性が不十分である場合にはスチール製の補強
材等をビードフィラーの周辺に配置しているケースがあ
る。しかるに、ビード部にスチール製の補強材等を配置
した場合には、タイヤ径方向の剛性が高くなり過ぎて乗
り心地性能が大幅に低下してしまう。一方、スチール製
の補強材を使用しないと、場合によってはビード部が柔
らか過ぎるため操縦安定性が不十分となってしまう。従
って、ビードフィラーの周辺にスチール製の補強材を使
用しない場合と同等の操縦安定性を確保し、しかも乗り
心地性能の改善と更にはタイヤの軽量化を図ることは困
難であった。
【0006】このように、タイヤの乗り心地性能の面を
考慮すると、ビードフィラーゴム組成物における弾性率
を異方性とするのがよく、このため、短繊維をゴムに配
合し、これを配向する提案がなされている。
【0007】さて、ビードフィラーゴム組成物に短繊維
を配合する技術は、例えば特開平7−330962号公
報にて提案されている。ビードフィラーゴム組成物中に
短繊維を配合することはカーボンブラックや熱硬化性樹
脂を増量することに比べて作業性でメリットがある反
面、加硫ゴムの疲労特性の低下を招くことになる。従っ
て、かかる提案ではポリオレフィンとエラストマーから
なるマトリックス中に熱可塑性ポリアミドを分散させ、
ポリアミド繊維とマトリックスはシランカップリング
剤、フェノール樹脂等により化学結合しているマスター
バッチを配合した繊維強化ビードフィラーゴム組成物を
得たものである。このゴム組成物の加硫物性は従来のも
のに比べて耐亀裂成長性に優れ、繊維配合時の上記問題
点を払拭するとされたものである。しかしながら、かか
る短繊維の配合により一面では従来の問題点を改良した
が、更に考慮されなければならない点が発生したことも
事実であり、例えば、タイヤ成型の作業性に関して言え
ば、ロール熱入れ性が悪く、工程上労力と時間が多く必
要になる。また、疲労特性に関しても短繊維の配合量が
増すに従い疲労特性が悪化することも事実であり、特に
負担の大きい(最大4Kpa以上の)領域での破断回数
は繊維を配合すると極端に悪くなってしまう。
【0008】ビードフィラーゴム組成物に短繊維を配合
して異方性、即ちタイヤの径方向とそれに直交する方向
の弾性率の比を異ならせて操縦安定性と乗り心地性能の
両立を目的とする技術は特開平11−129711号公
報にて開示されている。かかる提案では、短繊維がポリ
ビニルアルコールのような水溶性繊維と熱可塑性ポリア
ミドとのブレンドで、これにより広い歪領域において弾
性率の増大を図っている。そして、繊維の収束性と分散
向上のためと、繊維表面にマトリックスのエラストマー
成分をグラフト化させる目的で、フェノール系樹脂また
はシランカップリング剤などが配合されている。このよ
うに、短繊維とマトリックスのエラストマーとの間に
は、結びつきを向上させるための処置がなされている
が、それでも短繊維の配合により、作業性と疲労性の悪
化は避けられない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ビー
ドフィラーゴム組成物を改良して、耐久性とタイヤ製造
時の作業性を向上させると同時に、タイヤの操縦安定性
と乗り心地性能を両立した空気入りタイヤを提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の課題を解
決するためになされたものであって、第1発明は、ゴム
成分100重量部と、熱可塑性ポリアミド1〜8重量部
と、ポリオレフィンと、ハードカーボン30〜70重量
部と、ソフトカーボン10〜50重量部とを配合してな
るビードフィラーゴム組成物にかかるものである。そし
て、熱可塑性ポリアミドが、ポリオレフィンとエラスト
マーからなるマトリックス中に繊維状に分散したマスタ
ーバッチとして配合されるものである。
【0011】そして、第2発明は、ビードコアの外周側
に前記第1発明にて提供したビードフィラーゴム組成物
を配置したものであり、特に、熱可塑性ポリアミド短繊
維の配向方向をタイヤ径方向に略直角方向としたもので
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】第1発明であるビードフィラーゴ
ム組成物のゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチ
レンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、架橋ポリエチレンゴ
ム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等を挙げることが
でき、これらは二種以上を混合物として使用することも
できるが、特に天然ゴム、イソプレンゴム、又はこれら
の混合物を用いることが好ましい。
【0013】本発明のゴム組成物には、フェノール系樹
脂、特にノボラック型フェノール系樹脂を配合すること
が好ましい。ノボラック型フェノール系樹脂としては、
例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型ク
レゾール樹脂、ノボラック型レゾルシン樹脂等、又は、
上記樹脂をロジン油、トール油、カシュー油、リノール
酸、オレイン酸、リノレイン酸等のオイルで変性した樹
脂等を挙げることができる。
【0014】上記ノボラック型フェノール系樹脂の配合
量は、ゴム成分100重量部に対し、40重量部以下と
することができ、5重量部から30重量部であればより
好ましい。
【0015】前記フェノール系樹脂の硬化剤としては、
公知のもの、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、パラ
ホルムアルデヒド、メラミン誘導体、アセトアルデヒド
アンモニア、α−ポリオキシメチレン、多価メチロール
メラミン誘導体、オキサゾリジン誘導体、多価メチロー
ル化アセチレン尿素等、及びこれらの混合系を使用でき
る。
【0016】硬化剤の配合量は、その種類に応じて適宜
設定することが可能である。例えば、硬化剤としてヘキ
サメチレンテトラミンを用いる場合は、フェノール系樹
脂100重量部に対し4重量部から20重量部程度とす
ることができ、6重量部から15重量部程度であればよ
り好ましい。また、メラミン誘導体を用いる場合は、フ
ェノール系樹脂100重量部に対し10重量部から80
重量部程度とすることができ、30重量部から60重量
部程度であればより好ましい。
【0017】ここで、ヘキサメチレンテトラミンとメラ
ミン誘導体の配合量の合計は、フェノール樹脂100重
量部に対し、15重量部から85重量部程度とすること
ができ、40重量部から65重量部程度であれば好まし
い。更に、ヘキサメチレンテトラミンとメラミン誘導体
の配合比は、重量比で1:3から1:16程度とするこ
とができ、1:4から1:8程度であれば好ましい。
【0018】本発明において用いられる熱可塑性ポリア
ミドは、ゴム成分100重量部に対して1重量部から8
重量部配合される平均長さ10mm以下の短繊維であ
り、通常は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−
ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン61
2、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロンMXD6、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸と
の重縮合体から選択される。
【0019】ポリアミド短繊維とエラストマーとポリオ
レフィンのマスターバッチにおいて、マトリックスを形
成するエラストマー成分としては、加硫可能なゴム成
分、特にジエン系ゴムであることが好ましく、例えば、
天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン
−ブタジエンゴム、ブチルゴム等の単独又は併用が挙げ
られる。中でもビードフィラーの原料ゴムと共通なもの
が特に好ましい。
【0020】マトリックスを形成するポリオレフィン成
分としては、50℃以上の軟化点又は80〜250℃の
範囲の融点を有しているものがよく、例えば、C2 〜C
8 のオレフィン単独重合体や共重合体、C2 〜C8 のオ
レフィンとスチレンやクロロスチレン、α−メチルスチ
レン等の芳香族ビニル化合物等との共重合体、酢酸ビニ
ルとの共重合体、アクリル酸やメタクリル酸との共重合
体等が挙げられる。更に具体的な例としては、高密度ポ
リエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン・プロピレンブロック共重合体、ポリブテン−
1、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリ
ル酸共重合体、エチレン・スチレン共重合体、プロピレ
ン・スチレン共重合体等が例示され、これらの単独又は
併用が可能である。
【0021】前記マスターバッチには結合剤を配合する
ことが好ましい。結合剤としては、シランカップリング
剤、チターネットカップリング剤、ノボラック型アルキ
ルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型
アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物等があ
るが、シランカップリング剤が好ましく、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
ス(β−メトキシエトキシ)シラン等が選択される。
尚、有機化酸化物のとの併用もできる。
【0022】マスターバッチの製法にあって、溶融、混
練りは樹脂やゴムの混練りに通常用いられてるバンバリ
ーミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オ
ープンロール、一軸混練り機、二軸混練り機等が挙げら
れる。尚、マスターバッチとゴム原料との混練りも同様
である。
【0023】本発明のゴム組成物には、充填剤として、
ハードカーボンブラックとソフトカーボンブラックとが
組み合わせて配合される。ここで、ハードカーボンブラ
ックとは、SAF、ISAF、HAFを指し、好ましく
は窒素吸着比表面積(N2 SA)が60m2 /g以上、
更に好ましくは70m2 /gから200m2 /g程度の
カーボンブラックを用いることができる。また、ソフト
カーボンブラックとは、FEF、GPF、SRF、F
T、MTを指し、好ましくは窒素吸着比表面積(N2
A)が50m2 /g以下、更に好ましくは25m2 /g
から40m2 /g程度のカーボンブラックを用いること
ができる。
【0024】ハードカーボンブラックは、更に以下の特
性を有するものが好ましい。即ち、ヨウ素吸着量(I
A)は60mg/gから170mg/g程度が好まし
く、60mg/gから150mg/g程度が更に好まし
く、70mg/gから120mg/g程度であれば特に
好ましい。ジブチルフタレート吸油量(DBP)は、4
0ml/100gから200ml/100g程度が好ま
しく、40ml/100gから150ml/100g程
度が更に好ましく、60ml/100gから120ml
/100g程度であれば特に好ましい。
【0025】また、ソフトカーボンブラックは、更に以
下の特性を有するものが好ましい。即ち、IAは10m
g/gから60mg/g程度のものが好ましく、20m
g/gから50mg/g程度であればより好ましい。D
BPは、40ml/100gから170ml/100g
程度が好ましく、50ml/100gから150ml/
100g程度であればより好ましい。なお、上記のIA
はASTM D1510−95、DBPはASTM D
2414−97、N2 SAはASTM D3037−8
8に従ってそれぞれ測定される値である。
【0026】ハードカーボンブラックの配合量は、ゴム
成分100重量部に対し、30重量部から70重量部で
あり、特に50重量部から70重量部程度が好ましい。
一方、ソフトカーボンブラックの配合量は、ゴム成分1
00重量部に対し、10重量部から50重量部であり、
特に20重量部から40重量部程度が好ましい。また、
ハードカーボンブラックとソフトカーボンブラックの合
計配合量は、ゴム成分100重量部に対し、例えば70
重量部から130重量部程度とすることができ、特に8
0重量部から100重量部程度が好ましい。更に、ハー
ドカーボンブラックとソフトカーボンブラックの配合比
は、例えば10:1から1:1程度とすることができ、
特に3:1から1.5:1程度が好ましい。
【0027】ビードフィラーゴム組成物中には通常の配
合剤、例えば、硫黄にて代表される加硫剤、熱硬化性樹
脂、ホワイトカーボン、活性化炭カル、リグニン等の補
強剤、クレー、亜鉛華等の充填剤、その他加硫促進剤、
老化防止剤、プロセスオイル等の各種配合剤が任意に選
択されて配合される。
【0028】ここで第1発明に基づいて更に説明する
と、ビードフィラーゴムに短繊維を配合し、これを押出
し成形して押出し方向に繊維を配向させ、これによって
該配向と実質的に平行な方向の弾性率aと前記配向と実
質的に直交する方向の弾性率bの比(a/b)が、(a
/b)>1.5の異方性を持つ材料を得ることを一つの
目的としている。この弾性率の異方性により、本発明の
ゴム組成物を用いたタイヤの操縦安定性と乗り心地性の
両立を図ったものであり、更に短繊維を配合することに
よりビードフィラー全体の弾性率を上昇させて、タイヤ
の軽量化及び低転がり性を図っている。
【0029】そして、耐疲労性を損なわないようにポリ
オレフィン−エラストマー中に分散させた熱可塑性ポリ
アミド短繊維を配合したものであり、かかるマトリック
ス中にポリアミド短繊維を分散させ、マトリックスの間
に結合を生成して耐疲労性の悪化を低減したものであ
る。その組成物の構成としては、100重量部のエラス
トマー分に対して5〜100重量部程度のポリアミド短
繊維と5〜70重量部程度のポリオレフィン分で構成さ
れ、熱可塑性ポリアミド短繊維とエラストマー分はフェ
ノール系の熱可塑性樹脂或いはシランカップリング剤な
どでグラフト化されている。尚、ここで用いられるエラ
ストマーは、ビードフィラー組成物を構成するポリマー
(例えば天然ゴム)と同一であることが望ましい。
【0030】しかるに、短繊維を配合することによりロ
ール熱入れ性等の作業性の悪化と加硫ゴムにした時の疲
労特性の悪化は避けられないので、短繊維の配合量を8
重量部以下に抑える措置を講じてバランスを保ったもの
である。これにより繊維配向方向と実質的に平行な方向
の弾性率aと前記配向と実質的に直交する方向の弾性率
bの比(a/b)は1.5<(a/b)<4程度の範囲
になる。
【0031】本発明のカーボンブレンド系の配合は全体
的な弾性率の向上を狙ったものである。この際、カーボ
ンブラック系としてソフトカーボンとハードカーボンの
ブレンド系を配合するのは、これにより全体のカーボン
充填量と補強性のバランスを上げてビードフィラーの弾
性率を挙げることを目的としている。
【0032】タイヤの操縦安定性と乗り心地性の両立を
図る場合、前記したように熱可塑性ポリアミド短繊維の
配向と実質的に平行な方向の弾性率aと、前記配向と実
質的に直交する方向の弾性率bの比(a/b)が大きい
方が条件的に望ましいが、乗り心地性に対するビードフ
ィラーの寄与が通常のタイヤ構造においてはサイドウォ
ールに比して小さいので、作業性や疲労性の悪化を招い
てまで短繊維配合を増やして弾性率を上昇させることは
得策ではない。このような理由から、短繊維の配合量に
は上限があり、これに伴って全体的な弾性率の上昇も抑
えられることとなる。それを補うために、本発明ではハ
ードカーボンをメインとしたカーボン系にソフトカーボ
ンを更に充填することにより補強と充填効果のバランス
を取ったもので、特に低歪み領域の弾性率を向上させる
ことができ、それにより操縦安定性の向上に寄与するこ
とができることとなったものである。またこのカーボン
ブレンド系の利点としてカーボンブラック配合量の割り
にムーニー粘度等が低く抑えられ、又破断伸びの低下も
抑えられる等、作業性及び耐疲労性の面で優れている。
【0033】第2発明にあっては、上記した弾性率が異
方性に富むビードフィラーゴム組成物を採用した空気入
りタイヤであって、これによってタイヤの操縦安定性と
乗り心地性の両立をもたらしたものであり、更にビード
フィラー全体の弾性率を上昇させて、軽量化及び低転が
り性をも達成できたものである。
【0034】又、上記ゴム組成物を用いてのタイヤの製
造について言えば、例えば、押出し機、カレンダー等に
より混練りして押出すことによってシート状のビードフ
ィラー部材を作成し、これを成型ドラム上で他の部材と
貼り合わせグリーンタイヤを作成し、このグリーンタイ
ヤをタイヤモールドに納め、内側から圧を加えながら加
硫する方法等により行うことができる。
【0035】
【実施例】以下に第1発明で言及したビードフィラーゴ
ム組成物の実施例と比較例をもって更に説明する。表1
はビードフィラーゴム組成物の組成及びこの加硫ゴム組
成物の加硫物性を示す。
【0036】表1中の1)〜5)は以下の通りである。 1):ポリアミドがポリオレフィンとエラストマーのマ
トリックスに繊維状に分散したもので、宇部興産(株)
のUBE−FRRNR。本組成物のポリアミド:ポリオレ
フィン:エラストマーの重量比は1:1:2程度であ
る。 2):旭カーボン(株)の旭#55(IA=70、DB
P=100)。 3):旭カーボン(株)の旭#70(IA=30、DB
P=80)。 4):住友ベークライト(株)のスミライトレジンPR
50253。 5):大内新興化学工業(株)のノクセラーH。
【0037】混練り条件はツーステージ練りであり、ノ
ンプロ(第1ステージ)練り条件はローター回転数70
rpm/min、温度80〜170℃、練り時間4mi
nであり、プロ(第2ステージ)練り条件は夫々50r
pm/min、70〜110℃、練り時間1minであ
る。そして、混練り条件は、ノンプロ練りにおいて練り
温度が短繊維入り組成物を構成するポリオレフィンの軟
化温度より十分高くなるようにして、短繊維が良く分散
するようにする。尚、加硫条件は、加硫温度160℃、
加硫圧力10kgf/cm2 、加硫時間は15minで
ある。
【0038】耐疲労性試験には油圧式の疲労試験、島津
製作所(株)のサーボパルサーEHF−Eシリーズを用
いて実施した。試験片としては幅6.0mm、長さ70
mm、厚さ2.0mmの短冊状試験片の中央に長さ0.
5mm程度の初亀裂を入れたものを用い、試験片の引張
り方向に最大応力1.0〜3.0Mpa程度、最小応力
0.1Mpa、周波数5Hzの時間に対し正弦関数をな
す一定の繰り返し応力を負荷し、各々の最大応力に対し
て試験片が破断するまでの回数を調べた。
【0039】(ビードフィラー組成物の物性比較)比較
例1は従来の短繊維の入っていないビードフィラー組成
物であり、物性としてはM50やE’(2%)で異方性
を出すことができない。比較例2は短繊維の配合量がエ
ラストマー100重量部当り12重量部程度の場合であ
り、最大応力2.5Mpaの疲労試験の破断回数が極端
に少なくなり、耐疲労性の悪化が顕著に発現する。比較
例3はカーボンブラックにハードとソフトのブレンド系
を用いずに、ハードカーボンのみを配合した系である
が、この場合、M50やE’(2%)等の弾性率がカー
ボンブレンド系に比べて30%程度低下し、かつ耐疲労
性も低下してしまうことが判かる。
【0040】これに対し、実施例1〜3は短繊維をエラ
ストマー100重量部当り3〜7重量部程度配合したも
ので、これによりM50やE’(2%)で弾性率比が2
以上の異方性特性を達成できたものである。又、短繊維
を配合していない比較例1に対して、60〜100%の
弾性率の上昇を実現でき、これによってタイヤに適用し
た場合には、タイヤの軽量化や低転がり特性を実現する
ことができることとなる。
【0041】
【表1】
【0042】図1は第1発明のビードフィラーゴム組成
物を用いたタイヤ(第2発明)の子午線半断面図の例で
ある。符号1はビード部、2はカーカス層、3はビード
コア、4はビードコア3のタイヤ半径方向外側(外周
側)に配置されたビードフィラー、5はトレッド部、6
はベルト層である。そして、ベルト層6として2枚のス
チールコード層、カーカス層2は1枚のポリエチレンテ
レフタレート繊維からなるカーカスプライを備えてお
り、カーカスプライの折り返しはビードフィラーの外周
側先端より更に30mm程度外周側の位置まで達してい
る。
【0043】作製したタイヤは、サイズ215/45Z
R17の乗用車用タイヤであり、ビードコアの外周側に
ビードフィラーを配置し、そのビードフィラー部材とし
て前述の比較例1〜2及び実施例1〜3のゴム組成物を
用いたものである。短繊維入りのビードフィラー部材を
用いたタイヤを作成する場合、短繊維の配向方向即ちビ
ードフィラー部材の押出し方向がタイヤの周方向と一致
するようにし、タイヤ周方向と径方向のビードフィラー
部材の弾性率比が2以上になるようにした。
【0044】(タイヤ評価試験・実車タイヤ性能試験)
テストコースにて、作成したタイヤを装着した車を走行
させ、乗り心地及びドライ操縦安定性をテストドライバ
ーにより評価した。評価試験の結果は表2の通りであ
る。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】短繊維とカーボンブレンドを配合するこ
とでビードフィラーゴム組成物の高弾性率化が実現で
き、これを用いたタイヤにあっては、操縦安定性と転が
り抵抗が向上し、周方向弾性率を径方向弾性率に比べて
大きくすることで乗り心地性の悪化を低減することがで
きたものであり、更に、特に大きな負荷がかかるような
入力による疲労(縁石への衝突や悪路走行)に対しての
耐久性の悪化を抑えたタイヤが得られることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第2発明のタイヤの子午線半断面図であ
る。
【符号の説明】
1‥ビード部、 2‥カーカス層、 3‥ビードコア、 4‥ビードフィラー、 5‥トレッド部、 6‥ベルト層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 21/00 C08L 77:00 77:00 23:00 23:00) Fターム(参考) 4F070 AA04 AA12 AB11 AC90 AD02 AD06 AE01 FA03 FB03 FC03 4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB033 BB063 BB083 BB103 BB123 BB143 BB151 BB173 BB181 BB241 BP023 CL012 CL032 CL052 DA036 DA037 FA042 FB092 FB262 FD012 FD016 FD017 GN01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム成分100重量部と、熱可塑性ポリ
    アミド1〜8重量部と、ポリオレフィンと、ハードカー
    ボン30〜70重量部と、ソフトカーボン10〜50重
    量部とを配合してなるビードフィラーゴム組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリアミドが、ポリオレフィン
    とエラストマーからなるマトリックス中に繊維状に分散
    したマスターバッチとして配合される請求項1記載のビ
    ードフィラーゴム組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリアミドが平均長さ10mm
    以下の短繊維である請求項2記載のビードフィラーゴム
    組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリアミド短繊維がナイロン
    6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合
    体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、
    ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、脂肪
    族ジアミンと芳香族ジカルボン酸との重縮合体から選ば
    れた繊維である請求項3記載のビードフィラーゴム組成
    物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリアミドが繊維状に分散され
    たポリオレフィンとエラストマーからなるマトリックス
    が、エラストマー100重量部に対して5〜70重量部
    のポリオレフィンと5〜100重量部の熱可塑性ポリア
    ミド短繊維にて構成され、熱可塑性ポリアミド短繊維と
    エラストマー分はフェノール系の熱可塑性樹脂或いはシ
    ランカップリング剤等でグラフト化されている請求項2
    乃至4のいずれか1項記載のビードフィラーゴム組成
    物。
  6. 【請求項6】 ハードカーボンブラックが、窒素吸着比
    表面積が60m2 /g以上のカーボンブラックである請
    求項1乃至5のいずれか1項記載のビードフィラーゴム
    組成物。
  7. 【請求項7】 ソフトカーボンブラックが、窒素吸着比
    表面積が50m2 /g以下のカーボンブラックである請
    求項1乃至6のいずれか1項記載のビードフィラーゴム
    組成物。
  8. 【請求項8】 熱可塑性ポリアミド繊維を配向してな
    り、該配向と実質的に平行な方向の弾性率aと、前記配
    向と実質的に直交する方向の弾性率bの比(a/b)が
    1.5以上である請求項1乃至7のいずれか1項記載の
    ビードフィラーゴム組成物。
  9. 【請求項9】 ビードコアの外周側に請求項1乃至8の
    いずれか1項記載のビードフィラーゴム組成物を配置し
    た空気入りタイヤ。
  10. 【請求項10】 熱可塑性ポリアミド短繊維の配向方向
    がタイヤ径方向に略直角方向である請求項9記載の空気
    入りタイヤ。
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