[go: up one dir, main page]

JP2003119386A - 無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。 - Google Patents

無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。

Info

Publication number
JP2003119386A
JP2003119386A JP2002149719A JP2002149719A JP2003119386A JP 2003119386 A JP2003119386 A JP 2003119386A JP 2002149719 A JP2002149719 A JP 2002149719A JP 2002149719 A JP2002149719 A JP 2002149719A JP 2003119386 A JP2003119386 A JP 2003119386A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic
component
polymer composition
group
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002149719A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Marutani
義明 丸谷
Kenji Takahashi
賢司 高橋
Hirohisa Iida
裕久 飯田
Akiyoshi Ozaka
明義 尾坂
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Kanji Tsuru
寛治 都留
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2002149719A priority Critical patent/JP2003119386A/ja
Publication of JP2003119386A publication Critical patent/JP2003119386A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の無機系膜の場合に発生するクラックが
起こりにくく、かつ耐候性に優れた膜を形成するのに有
用な無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた
無機コーティング剤、及びそれを車両、壁、家電、機械
部品などの物品に塗装してなる塗装品の提供。 【解決手段】 特定の一般式で表されるオルガノシラ
ン、該オルガノシラン加水分解物および該オルガノシラ
ンの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物
(a成分)と、特定の一般式で表されるリニアポリシロ
キサン縮合体及び/又は、特定の一般式で表される環状
ポリシロキサン(b成分)とを反応させてなるポリマー
組成物;a成分とb成分とを、触媒の存在下、溶媒中で
反応させる上記無機ポリマー組成物の製造方法;および
上記無機ポリマー組成物を主成分とする無機コーティン
グ剤;それを車両、壁、家電、機械部品などの物品に塗
装してなる塗装品により提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機ポリマー組成
物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、
及び塗装品に関する。更に詳しくは、従来の無機系膜の
場合に発生するクラックが起こりにくく、かつ耐候性に
優れた膜を形成するのに有用な無機ポリマー組成物、そ
の製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及びそ
の無機コーティング剤を車両、壁、家電、機械部品など
の物品に塗装してなる塗装品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属、無機材、プラスチッ
ク、木材等の製品は,その保護、意匠性の付与、機能性
の付与などの目的で有機材料塗料による塗装などの表面
被覆が行われ、表面に有機材料塗膜が形成されることが
多い。しかし、有機材料塗膜は、長時間、雨水や紫外線
にさらされると、徐々に加水分解や酸化劣化が進行し、
塗膜厚みの低下やチョーキングや光沢低下、剥離など塗
装美観の低下をおこしやすく、加えて、金属製品や無機
材製品の塗装では、チョーキングなどによる塗装厚みの
低下により基材製品(金属、無機材)に水の侵入を許
し、金属上に錆びを発生したり、無機材上では寒冷地で
割れを引き起こしたりして、基材保護機能が低下してく
る。また塗膜厚みの低下は、紫外線の透過を助長し、塗
膜層間剥離を起こしたり、プラスチック製品の塗装で
は、プラスチックとの付着目的で存在するプライマー樹
脂を紫外線が劣化させ、塗膜と基材の剥離を引き起こす
原因となっている。
【0003】また、近年は、屋外で使用される部品、部
材の塗膜に対して20年以上の耐候性を求めるニーズが
強くなってきており、特に外壁や瓦の塗装材料として、
無機材料の塗膜を付与する無機コーティング剤の開発が
活発になってきている。例えば、特開平7−39810
号公報には、アルコキシ基を1分子中に4個有するケイ
素化合物とアルコキシ基を3個有するケイ素化合物を主
成分として含有するコーティング剤が開示されている
が、このような無機コーティング剤による塗膜(主に三
次元的の網目構造をもったオルガノポリシロキサンの塗
膜)は、使用環境の経時的な過程で物性が変化し、脆く
なりクラックが発生しがちである。この理由は、これら
の原料から作られた無機膜の架橋密度がかなり高く、膜
自体が脆いことに加えて、耐久過程で未反応で残存して
いたアルコキシシリル基が反応し、内部応力が増大して
いくためであると考えらる。また、このようなコーティ
ング剤を、セメントのように水分を吸収して体積変化す
る無機材料基材や軟質プラスチックのように熱によって
体積が変化する基材の上に塗布すると、基材の体積変化
に塗膜の伸びが追随できず、クラックが発生するという
問題があった。なお、本明細書中では、コーティング剤
の主成分を構成する物質が主要骨格中に主として炭素以
外の元素、例えばシロキサン結合等のケイ素等を含む場
合を無機系コーティング剤といい、一方、主に炭素元素
を含む場合を有機系コーティング剤という。
【0004】このような問題の対策方法として、さら
に、無機・有機ハイブリッド材料系のコーティング剤の
開発の検討がなされてきている。例えば、(1)有機物
を無機塗料にブレンドし、脆さの改善を図る方法、
(2)アルコキシシリル基や水酸基などのアルコキシシ
リル基と反応する官能基を有す有機ポリマーにアルコキ
シ基を3〜4個持つケイ素化合物を反応させる方法など
がある。しかしながら、耐候性と脆さの程度は、用いる
有機材料成分と無機材料成分の割合で決まり、トレード
オフの関係にあることは変わらず、相反する性質を改善
するまでには至っていない。
【0005】また、他の対策方法として、数μm以下の
脆い無機材料膜を形成させ、割れ難くするか、又は割れ
たとしても分かれ難くしようとする塗膜として、顔料入
りの塗膜や無機クリヤー膜が開発されている。しかしな
がら、顔料入りのエナメル塗装では、数μmの厚みでは
下地の色隠蔽ができず、色がまだらになったり、製品ご
とに色が微妙に変わるという問題が発生する。また、顔
料系ではなく、無機クリヤー膜を数μmオーダーで塗装
した場合、クリヤー中に紫外線吸収剤を入れておいて
も、数μmの厚みでは膜が薄すぎるためにこのクリヤー
層間で充分な紫外線量を吸収できず、クリヤー膜の下の
塗膜が光劣化し、クリヤー膜と下の塗膜間で剥離が生じ
るという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、
上記問題点に鑑み、従来の無機系膜の場合に発生するク
ラックが起こりにくく、かつ耐候性に優れた膜を形成す
るのに有用な無機ポリマー組成物、その製造方法、それ
を用いた無機コーティング剤、及びそれを車両、壁、家
電、機械部品などの物品に塗装してなる塗装品を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得
た。すなわち、珪素原子を用いた無機塗料が形成する塗
膜の樹脂骨格は、珪素と酸素が結合したシロキサン結合
からなるもので、このシロキサン結合は、わずかなエネ
ルギーで分子回転がおこなえる構造で、これで構成され
る物質はいわゆる柔軟なものと呼ばれている。しかし、
先行技術におけるシロキサン結合からなる無機膜が脆い
性質を示す理由は、膜の架橋密度が高くなりすぎ、シロ
キサン結合の分子回転が著しく拘束されるためである。
一般的な架橋塗膜は、三次元の網目構造をとり、この物
性は、網目密度と網目を構成している成分の熱運動性
(鎖の分子回転)に依存するところが大きいので、弾力
性を有す無機膜を得るには、架橋密度を低くし分子回転
の拘束を減らしてやることが重要である。すなわち、3
次元架橋した無機のゲルユニットをコイル状(糸まり
状)のシロキサン結合鎖で繋いでできあがった膜にする
ことが必要であることがわかった。そして、こうした形
態を模式的に図示したのが図1であるが、コイル状のシ
ロキサン結合鎖1を介してゲルユニット2が強固かつ弾
力的に結合した状態になっている。
【0008】このような無機膜を得るには、ポリマー原
料として、R1 nSi(OR24-nで表されるオルガノシ
ラン化合物のnを0および/または1にしたものとnを
2にしたものを用いた次の2種類の合成方法があること
を見出した。 (i) R1 nSi(OR24-nのnを0〜1にしたもの
と、nを2にしたものを混合して、ポリシロキサン類と
反応させて無機ポリマー組成物を得る方法。 (ii) R1 nSi(OR24-n(R1nのnを0〜1
にしたものに、ポリシロキサン類を反応させて無機ポリ
マー組成物を得る方法。
【0009】しかしながら、(i)の方法は、原料単価
が高いうえ、ポリシロキサンの分子量が大きく、ポリシ
ロキサン同士が反応したホモポリマーの分子量が大きく
なりすぎ、オルガノシラン化合物のホモポリマーとの相
溶性が低下して、オルガノシラン化合物とポリシロキサ
ンの均一な反応がおこりにくく、また、ポリシロキサン
原料自体も不安定であり、原料貯蔵中に経時的に縮合反
応がおこることがわかった。
【0010】一方、(ii)の方法は、原料単価が安い
うえに、ポリシロキサンを触媒が分解して、分子量が小
さくなる方向で、その際に縮合が多少生じても高分子量
のポリシロキサン縮合物はできにくく、オルガノシラン
化合物のホモポリマーとの相溶性は低下しにくく、均一
な反応物が得られやすい。また、水酸基末端を有しない
ポリシロキサンは安定であり、原料貯蔵中に経時的に縮
合反応はおこらない。この方法から得られるポリマー
は、珪素元素に直接結合する有機成分があるものの、そ
れはポリマーの主鎖に得た膜にも有機成分を含有するこ
とになるが、この材料から導入される有機基は、膜の網
目骨格に導入されることはなく側鎖に導入され、紫外線
などで有機部の酸化劣化を引き起こしても網目の架橋構
造が切断されて膜が崩壊することはないことがわかっ
た。
【0011】したがって、本発明者らは、上記(ii)
の方法により得られる無機ポリマー組成物からの膜は、
弾力性の高い無機骨格を有すことになり弾力性の高い無
機膜が得られ、該無機ポリマー組成物を主成分としたコ
ーティング剤によれば、耐クラック性及び耐候性のある
塗膜が得られることを見出し、さらに上記ポリマーに双
極性プロトン溶媒を組み合わせることにより上記目的が
確実になることも見出し、本発明を完成するに至ったも
のである。
【0012】すなわち、本発明の第1発明は、下記のa
成分とb成分とを反応させてなる無機ポリマー組成物で
ある。 a成分:一般式(1) R1 nSi(OR24-n (1) (式中、R1は炭素数1〜30の有機基、R2は炭素数1
〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基またはフェ
ニル基を示し、nは0〜1の整数である。但し、R1
2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるオルガノシラン、その加水分解物または縮合
物から選ばれる1種又は2種以上の化合物 b成分:一般式(2)
【0013】
【化4】 (式中、R3〜R8は炭素数1〜8の有機基であり、それ
ぞれ同一であっても異なっていてもよい。但し、R3
4の1つまたはR6〜R8の1つは水酸基であっても加
水分解性基であってもよい。またmは2以上の整数であ
る。)で表される1種又は2種以上のリニアポリシロキ
サン縮合体、及び/又は一般式(3)
【0014】
【化5】 (式中、R9〜R10は炭素数1〜8の有機基であり、そ
れぞれ同一であっても異なっていてもよい。またnは2
以上の整数である。)で表される1種又は2種以上の環
状ポリシロキサン。
【0015】また、本発明の第2の発明は、前記のa成
分とb成分とのモル比が、計算上、b成分の基本構造
(ユニット)を下記の一般式(4)で表されるものとみ
なすと、a成分:b成分=1:0.2〜30であること
を特徴とする第1の発明に記載の無機ポリマー組成物で
ある。
【0016】
【化6】 さらに、本発明の第3の発明は、前記のa成分とb成分
とを、触媒の存在下、溶媒中で反応させることを特徴と
する第1または2の発明に記載の無機ポリマー組成物の
製造方法である。
【0017】また、本発明の第4の発明は、前記触媒
が、酸触媒、塩基性触媒または金属触媒のいずれかであ
ることを特徴とする第3の発明に記載の無機ポリマー組
成物の製造方法である。なお、上記金属触媒としては、
金属アルコレート、該金属アルコレートとβ−ジケトン
類および/またはβ−ジケトエステル類とから得られる
キレート化合物、該キレート化合物を水と反応させて得
られる加水分解物、有機スズ、または有機スズとβ−ジ
ケトン類および/またはβ−ジケトエステル類とから得
られるキレート化合物等が好ましい。
【0018】一方、本発明の第5の発明は、第1または
2の発明に記載の無機ポリマー組成物を主成分として含
有してなる無機コーティング剤である。
【0019】また、本発明の第6の発明は、さらに、カ
ップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤または酸化チタ
ンから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有すること
を特徴とする第5の発明に記載の無機コーティング剤で
ある。
【0020】また、本発明の第7の発明は、双極性プロ
トン溶液0.5から10部配合してなる請求項5または
請求項6に記載の無機コーティング剤である。
【0021】さらに、本発明の第8の発明は、第7の発
明に記載の無機コーティング剤を塗装してなる塗装品で
ある。
【0022】また、本発明の第9の発明は、塗装品が、
プラスチック成型品、サイデイングボード、外壁、プレ
コートメタル、または家電製品であることを特徴とする
第8の発明に記載の塗装品である。なお、上記塗装品の
塗布面は、PPバンパー/PPプライマー面、PPバン
パー/PPプライマー/ベースコート面、PPバンパー
/PP変性アクリル樹脂ベースコート面、無機材/シー
ラー/ベースコート面、メッキ鋼板/防錆プライマー/
ベースコート面、鋼板/電着塗装/中塗り/ベースコー
ト面、硬質プラスチック/プライマー/ベースコート
面、またはメッキ鋼板/防錆プライマー/ベースコート
面等である。上記ベースコートには、カップリング剤が
含有されていてもよく、またシロキサン結合を有する縮
合体とアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル
樹脂またはポリウレタン樹脂とのブレンド体が含有され
ていてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。
【0024】本発明に係るポリマー組成物は、前記のa
成分とb成分とを反応させてなる無機ポリマー組成物で
ある。
【0025】また、本発明に係る無機ポリマー組成物の
製造方法は、前記のa成分とb成分とを、触媒の存在
下、溶媒中で反応させるものである。
【0026】また、本発明に係る無機コーティング剤
は、前記のa成分とb成分とを反応させてなる無機ポリ
マー組成物を主成分とするものである。
【0027】また、本発明に係る無機コーティング剤
は、双極性プロトン溶液を配合してなる無機ポリマー組
成物を主成分とするものである。
【0028】また、本発明に係る塗装品は、本発明に係
る無機コーティング剤を各種物品の塗布面に塗装してな
るものである。
【0029】本発明で使用するa成分である一般式
(1)で表されるオルガノシロキサン、該オルガノシロ
キサン加水分解物、該オルガノシロキサンの縮合物につ
いて、以下に説明する。
【0030】a成分は、下記一般式(1)で表されるオ
ルガノシロキサン、該オルガノシロキサン加水分解物、
該オルガノシロキサンの縮合物である。 R1 nSi(OR24-n (1)
【0031】一般式(1)中、R1は、炭素数1〜30
の有機基であり、加水分解を起こしにくく、安定な疎水
基である。有機基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オ
クチル基、ペンチル基、デシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基及びエイコ
シル基等の炭素数1〜30のアルキル基、アルキル基の
フッ素化物、塩素化物、臭素化物等のハロゲン化アルキ
ル基(例えば、3−クロロプロピル基、6−クロロプロ
ピル基、6−クロロヘキシル基および、6,6,6−ト
リフルオロヘキシル基等)、ハロゲン置換ベンジル基等
の芳香族置換アルキル基(例えば、ベンジル基、4−ク
ロロベンジル基及び4−ブロモベンジル基等)、アリー
ル基(例えば、フェニル基、トリル基、メシチル基、ナ
フチル基等)、ビニル基やエポキシ基を含む有機基、ア
ミノ基を含む有機基、チオール基を含む有機基が挙げら
れる。
【0032】また、一般式(1)中、R2は、炭素数1
〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基またはフェ
ニル基を示し、OR2は、加水分解性の官能基であり、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜
6のアルコキシ基が挙げらる。なお、OR2は、塩素、
臭素等のハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、又はカ
ルボキシル基であってもよい。
【0033】さらに、一般式(1)中、nは0又は1で
ある。
【0034】一般式(1)で表されるオルガノシランの
具体的化合物としては、例えば、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチル−トリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル−
トリ−n−プロポキシシラン、プロピルトリメトキシシ
ラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピル−トリ−
n−プロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブ
チルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラ
ン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエ
トキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、n−
ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキ
シシラン、n−ヘキシルトリプロポキシシラン、シクロ
ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエト
キシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、オ
クチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラ
ン、オクチルトリプロポキシシラン、ドデシルトリメト
キシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルト
リプロポキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラ
ン、テトラデシルトリエトキシシラン、テトラデシルト
リプロポキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラ
ン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルト
リプロポキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラ
ン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルト
リプロポキシシラン、エイコシルデシルトリメトキシシ
ラン、エイコシルトリエトキシシラン、エイコシルトリ
プロポキシシラン、6−クロロヘキシルトリメトキシシ
ラン、6,6,6−トリフルオロヘキシルトリメトキシ
シラン;ベンジルトリメトキシシラン、4−クロロベン
ジルトリメトキシシラン、4−ブロモベンジルトリ−n
−プロポキシシラン;ドデシルトリクロロシラン、ドデ
シルトリブロモシラン、フエニルトリメトキシシラン、
フエニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメト
キシエトキシシラン)、β−(3,4エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、N−β−フェニル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン等が挙げられる。これらオルガノシラン化合物は、
単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。
【0035】また、一般式(1)で表されるオルガノシ
ランの加水分解物は、上記各種オルガノシランの加水分
解物である。また、一般式(1)で表されるオルガノシ
ランの縮合物は、n=0のテトラアルコキシシランの縮
合物や、n=1のアルキルトリアルコキシシランの縮合
物が好ましく、その混合物でもよい。縮合物の平均縮合
度は、10以下が好ましく、より好ましくは6以下であ
る。平均縮合度が10を超えると合成中にゲル化しやす
い。これらオルガノシラン化合物の加水分解物又は縮合
物は、単独で用いても2種以上を併用して用いても良
い。
【0036】本発明で使用するb成分は、リニアポリシ
ロキサン縮合体又は環状ポリシロキサンである。以下に
説明する。本発明で使用するb成分のリニアポリシロキ
サン縮合体は、下記一般式(2)で表される。
【0037】
【化7】
【0038】一般式(2)中、R3〜R8は炭素数1〜8
の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていて
もよい。有機基としては、炭素数1〜8のアルキル基、
フェニル基、置換アルキル基、置換フェニル基等が挙げ
られる。また、R3〜R4の1つ、又はR6〜R8の1つは
水酸基であっても加水分解性基であってもよい。
【0039】また、一般式(2)中、mは1以上の整数
である。
【0040】一般式(2)で表されるリニアポリシロキ
サン縮合体としては、例えば、市販のシリコーンオイル
類(シリコーンオイル類)が挙げられ、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメ
トキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジイ
ソブチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラ
ン、ジブチルジプロポキシシラン、ジイソブチルジプロ
ポキシシランなどのジフエニルジメトキシシラン、ジフ
エニルジエトキシシラン、ジフエニルジプロポキシシラ
ン、メチルフエニルジメトキシシラン、エチルフエニル
ジメトキシシラン、プロピルフエニルジメトキシシラ
ン、メチルフエニルジエトキシシラン、エチルフエニル
ジエトキシシラン、プロピルフエニルジエトキシシラ
ン、メチルフエニルジプロポキシシラン、エチルフエニ
ルジプロポキシシラン、プロピルフエニルジプロポキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシランなどを重合して得られる。
【0041】また、本発明で用いるリニアポリシロキサ
ン縮合体は、上記ポリシロキサンを変性してなるシリコ
ーンオイル、例えば、上記ポリシロキサンに(R113
SiOR12(式中、R11は炭素数1〜30の有機基であ
り、R12は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の
アシル基又はフェニル基である。)を反応させて得た有
機基末端のシリコーンオイルであってもよい。
【0042】有機基末端のシリコーンオイルとしては、
オクタメチルポリシロキサン(KF96A−1cs:信
越化学工業製)、デカメチルテトラシロキサン(KF9
6A−1.5cs:信越化学工業製)あるいはKF96
A(2〜5000)cs:信越化学工業製のメチルポリ
シロキサンKF96H(6000〜100万)cs:信
越化学工業製の高重合度メチルポリシロキサン、KF5
0KF53KF54、KF56:信越化学工業製メチル
フェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
【0043】さらに、純粋なシリコーンオイルを一部変
性した変性シリコーンオイルでもよく、例えば、アミノ
変性シリコーンオイル:KF−8010、X−22−1
61A、X22−161B、X−22−1660B−
3、KF−8008、KF−8012、KF−393、
KF−859、KF−860、KF−861、KF−8
67、KF−869、KF−880、KF−8002、
KF−8004、KF−8005、KF−858、KF
−864、KF−865、KF−868、KF−800
3(以上、すべて信越化学工業製)等、エポキシ変性シ
リコーンオイル:KF105、X22−163A、X2
2−163B、X−22−153C(以上、すべて信越
化学工業製)、KF−1001、KF−101、X−2
2−2000、X−22−169AS、X−22−16
9B、KF−102等、カルボキシル変性シリコーンオ
イル:X−22−162C、X−22−3701E、X
−22−3710(以上、すべて信越化学工業製)等、
カルビノール変性シリコーンオイル:X−22−160
AS、KF−6001、KF−6002、KF−600
3、X−22−4015(以上、すべて信越化学工業
製)等、メタクリル変性シリコーンオイル:X−22−
164A、X−22−164B、X−22−164C、
X−22−2404(以上、すべて信越化学工業製)
等、メルカプト変性シリコーンオイル:X−22−16
7B、KF−2001、KF−2004(以上、すべて
信越化学工業製)等、フェノール変性シリコーンオイ
ル:X−22−1821(信越化学工業製)等、片末端
水酸基変性シリコーンオイル:X−22−170DX、
X−22−176DX、X−22−176F(以上、す
べて信越化学工業製)等、片末端エポキシ基変性シリコ
ーンオイル:、X−22−173DX(信越化学工業
製)等、片末端ビニル基変性シリコーンオイル:X−2
2−174DX、X−24−8201、X−22−24
26(以上、すべて信越化学工業製)、アミノ基、アル
コキシ基末端シリコーンオイル:KF−857、KF−
862、KF−8001(以上、すべて信越化学工業
製)等、エポキシ基、ポリエーテル基末端シリコーンオ
イル:X−22−3667、X−22−4741(以
上、すべて信越化学工業製)等、アミノ基、ポリエーテ
ル基末端シリコーンオイル:X−22−3908A、X
−22−3939A(以上、すべて信越化学工業製)
等、ポリエーテル変性シリコーンオイル:KF−35
1、KF−352、KF−353、KF−354L、K
F−355A、KF−615A、KF−945、KF−
618、KF−6011、KF−6015、KF−60
04、X−22−4252、X−22−4272、X−
22−6266(以上、すべて信越化学工業製)等、メ
チルスチリル変性シリコーンオイル:KF−410(信
越化学工業製)等、アルキル変性シリコーンオイル:K
F−412、KF−413、KF−414(以上、すべ
て信越化学工業製)、高級脂肪酸エステル変性シリコー
ンオイル:、KF−910、X−22−715(以上、
すべて信越化学工業製)等、親水性特殊変性シリコーン
オイル:X−22−904、KF−905、KF−70
0(以上、すべて信越化学工業製)、高級脂肪酸含有シ
リコーンオイル:KF−3935(信越化学工業製)等
が挙げられる。
【0044】また、本発明で使用するb成分の環状ポリ
シロキサンは、下記一般式(3)で表される。
【0045】
【化8】
【0046】一般式(3)中、R9〜R10は、炭素数1
〜8の有機基であり、同一であっても異なっていてもよ
い。有機基としては、炭素数1〜8のアルキル基、フェ
ニル基、置換アルキル基、置換フェニル基等が挙げられ
る。
【0047】また、一般式(3)中、nは2以上の整数
である。
【0048】一般式(3)で表される環状ポリシロキサ
ンとしては、例えば、オクタアルキルシクロテトラシロ
キサン、デカアルキルシクロペンタシロキサン、オクタ
フェニルシクロシロキサン、デカフェニルシクロペンタ
シロキサン、テトラアルキルシクロジシロキサン、テト
ラフェニルシクロジシロキサン、ヘプタアルキルシクロ
トリシロキサン、ヘプタフェニルシクロトリシロキサン
等が挙げられる。
【0049】なお、b成分は、一般式(2)で表される
リニアポリシロキサン縮合体、一般式(3)で表される
環状ポリシロキサンを混合して用いてもよい。
【0050】b成分のポリシロキサンの重量平均分子量
は、500〜500000が好ましく、より好ましくは
1000〜200000である。重量平均分子量が50
0未満であると架橋密度を低下させる効果が弱く、膜が
割れやすいという問題がおこる。一方、500000を
超えると反応系内での相溶性が低くなり、a成分とb成
分がうまく反応しないという問題がおこる。
【0051】次に、本発明に係る無機ポリマー組成物の
製造について説明する。本発明に係る無機ポリマー組成
物の製造は、前記のa成分とb成分に親水性溶媒、水、
触媒を加え、40〜100℃で、好ましくは60〜80
℃で反応させる。反応時間は、0.2〜50時間、好ま
しくは0.5〜8時間である。
【0052】一般式(1)で表されるオルガノシランに
対する水のモル比は、1:0.1〜4が好ましく、より
好ましくは0.5〜3.5である。水のモル比が0.1
未満であるとポリマーの反応が十分進まず目的のものが
得られない。一方、4を超えると反応が進みすぎ合成中
にゲル化する。
【0053】a成分とb成分の比率は、計算上、b成分
のポリシロキサンの基本構造(ユニット)を下記の一般
式(4)で表されると見なした場合、
【0054】
【化9】
【0055】モル比は、a成分:b成分=1:0.2〜
30が好ましい。コーティングされる基材の寸法変化が
激しく、やわらかいものである場合は、a成分:b成分
=1:2〜30の範囲が好ましい。また、コーティング
される基材の寸法変化が小さく、硬度が高いものである
場合は、a成分:b成分=1:0.2〜2の範囲が好ま
しい。
【0056】ここで用いる双極性プロトン溶剤とは、N
−メチル−2−ピロリドン,1−メチル−2−ピロリド
ン,N−ビニル−2−ピロリドン、ジオキサン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−エチル−
4−メチルイミダゾールなどである。
【0057】親水性溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;エ
チレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、酢酸
エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレン
グリコール誘導体;プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロ
ピオネートなどのプロピレングリコール誘導体;その他
ジエチレングリコール誘導体やジアセトンアルコールな
どが挙げられる。これらは、1種もしくは2種以上のも
のを使用することができる。なお、上記親水性溶媒中に
は、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キ
シレン等の水に難溶性又は不溶性の溶剤が混合されてい
てもよい。
【0058】触媒としては、特に制限されるものではな
く、酸触媒、塩基性触媒、金属触媒の何れでも使用でき
る。
【0059】これらの触媒のうち、酸触媒としては、例
えば、塩酸、カルボン酸(例えば、酢酸、クロロ酢酸、
クエン酸、蟻酸、プロピオン酸、蓚酸、マレイン酸
等)、パラトルエンスルホン酸、それらのアンモニウム
塩、ホスフォニウム塩、燐酸エステル(例えば、燐酸モ
ノオクチル、燐酸モノプロピル、燐酸モノラウリル
等)、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル(例えば、燐
酸ジオクチル、燐酸ジプロピル、燐酸ジラウリル等)、
亜燐酸エステル、不飽和基含有アルコールの燐酸エステ
ル、それら酸のキレート化合物等が挙げられる。
【0060】塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン、ヘキサン
ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、メタフ
ェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシアミン、γ−(2
−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメ
チルトリメトキシシラン等のアミノ化合物等が挙げられ
る。
【0061】金属触媒としては、(i)金属アルコレー
ト、(ii)金属アルコレートとキレート形成性化合物
とが配位結合を形成したキレート化合物、(iii)該
キレート化合物を水と反応させて得られる部分的加水分
解物、(iv)有機スズ化合、(v)有機スズ化合物と
キレート形成性化合物とが配位結合を形成したキレート
化合物等が挙げられる。
【0062】上記の(i)金属アルコレートとしては、
一般式Ti(OR”)4、Al(OR”)3〔式中、R”
は、炭素数2〜5のアルキル基(例えば、エチル基、ノ
ルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル
基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノ
ルマルペンチル基等)である。〕で表される化合物であ
り、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラノル
マルブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシル
オキシ)チタンテトラステアリルオキシチタン、トリエ
トキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム
モノセカンダリーブトキシジプロポキシアルミニウム、
トリセカンダリーブトキシアルミニウム等が挙げられ
る。
【0063】上記の(ii)金属アルコレートとキレー
ト形成性化合物とが配位結合を形成したキレート化合物
としては、上記各種金属アルコレートと、例えば一般式
1COCH2COR2〔式中、R1は炭素数1〜5のアル
キル基(例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピ
ル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリ
ーブチル基、ターシャリーブチル基)、R2は、炭素数
1〜5のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ノ
ルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル
基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基)、
炭素数1〜4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エ
トキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、
ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシ
ャリーブトキシ基)〕で表される1種以上のβ−ジケト
ン類および/またはβ−ケトエステル類(以下、単に
「β−ジケトン類および/またはβ−ジケトエステル
類」という。)とを反応させて得られる前記金属アルコ
レートとβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステ
ル類とが配位結合を形成したキレート化合物等である。
上記キレート化合物は、反応して得られるポリマーの保
存安定性の点から好ましい。このβ−ジケトン類および
/またはβ−ケトエステル類としては、例えば、アセチ
ルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ア
セト酢酸ノルマルブチル、アセト酢酸セカンダリーブチ
ル、アセト酢酸ターシャリーブチル、2,4ヘキサンジ
オン、2,4ヘプタンジオン、3,5ヘプタンジオン
2,4オクタンジオン、2,4ノナンジオン、5−メチ
ルヘキサンジオン等が挙げられ、特にアセト酢酸エチル
及びアセチルアセトンが好ましい。このβ−ジケトン類
および/またはβ−ジケトエステル類は、前記金属アル
コレート1モルに対して好ましくは0.8〜2.5モ
ル、特に好ましくは1〜1.5モルの割合で使用され
る。
【0064】上記の(iii)金属アルコレートとキレ
ート形成性化合物とが配位結合を形成したキレート化合
物を水と反応させて得られる部分的加水分解物として
は、上記金属アルコレートとβ−ジケトン類および/ま
たはβ−ケトエステル類とが配位結合を形成したキレー
ト化合物を水と反応させて得られる部分的加水分解物で
ある。この水は前記キレート化合物1モルに対して、好
ましくは0.8〜3モル、さらに好ましくは1〜2モル
の割合で使用される。上記キレート化合物は、反応して
得られるポリマーの保存安定性の点から好ましい。金属
アルコレートとβ−ジケトン類および/またはβ−ケト
エステル類とが配位結合を形成したキレート化キレート
化合物(ii)のb成分に対する割合は、b成分中の珪
素原子1モルに対して好ましくは0.001〜1モル、
さらに好ましくは0.01〜0.5モルである。この割
合が0.001モル未満では、得られたポリマーの保存
安定性が低下し、1モルを越えるとポリマーの生成が不
十分となる。
【0065】上記の(iv)有機スズ化合物としては、
例えば、(C492Sn(OCOC1123)、(C4
9)Sn(OCOCH=CHCOOCH32、(C
492Sn(OCOCH=CHCOOC492、(C
8172Sn(OCOC11232、(C8172Sn
(OCOCH=CHCOOC8172、Sn(OCOC
8122、(C492Sn(SCH2COOC
8172、(C8172Sn(SCH2COO)、(C8
172Sn(SCH2COOCH2OCOCH2S)、
(C 8172Sn(SCH2COOCH2CH2CH2CH
2OCOCH2S)、(C81 72Sn(SCH2COO
8172、(C8172Sn(SCH2COOC12
252
【0066】
【化10】 等が挙げられる。
【0067】上記の(v)有機スズとキレート形成性化
合物とが配位結合を形成したキレート化合物としては、
上記有機スズ化合物と上記β−ジケトン類および/また
はβ−ケトエステル類とが配位結合を形成したキレート
化キレート化合物が挙げられる。このβ−ジケトン類お
よび/またはβ−ケトエステル類は、有機スズ1モルに
対して好ましくは0.8〜2.5モル、特に好ましくは
1〜1.5モルの割合で使用される。
【0068】本発明に係る無機コーティング剤について
説明する。
【0069】主成分である無機ポリマー組成物に含まれ
る無機ポリマーの重量平均分子量は、1000〜100
0000が好ましく、より好ましくは、1500〜50
0000である。無機ポリマーの重量平均分子量が10
00未満であるとコーティングでの成膜時硬化収縮が大
きくなり、クラックを生じる。一方、500000を超
えると塗装作業性が低下し、外観が悪くなる。
【0070】また、無機コーティング剤の硬化時の収縮
性を低下させたり、塗膜に硬度を付与するために、上記
無機ポリマーの製造時に、a成分の一部をコロイダルシ
リカに置き換えても良い。その割合はコロイダルシリカ
/a成分=0.001〜1.5が好ましく、より好まし
くは0.01〜1である。この値が0.001未満であ
ると、クラック防止や硬度付与効果が低く、1.5を超
えると物性が脆くなる。
【0071】さらに、無機コーティング剤には、紫外線
吸収剤、光安定剤が混合されていていても良い。これら
が含有されていると耐候性のあるクリヤー塗料として使
用できる。顔料や光安定剤が混合されていてもよい。こ
れらが含有されているとエナメル塗料として使用でき
る。光輝剤、タレ止め剤又は沈降防止剤、レベリング
剤、消泡剤が含有されていても良い。
【0072】また、主成分である無機ポリマー組成物に
おいては、a成分とb成分の反応で用いたシリコーンオ
イル成分が多量に存在していると、有機膜との付着性が
低下して好ましくない。かかる付着性の改善を図るため
に、カップリング剤を含有されていても良い。カップリ
ング剤としては、シランカップリング剤をはじめ、チタ
ンカップリング剤等があげられる。
【0073】上記シランカップリング剤としては、公知
一般的なカップリング剤が使用できる。例えば、ビニル
トリクロルシランビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキ
シ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メタクロキシプロピルトリエトキシシランN−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
メチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランγ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがあげら
れる。
【0074】チタンカップリング剤としては、公知一般
のカップリング剤が使用できる。例えば、イソプロピル
トリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス
(ジオクチルピロホスフェート)チタネートテトライソ
プロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、
テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタ
ネートテトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブ
チル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネートビ
ス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネー
ト、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテ
ートチタネートイソプロピルトリ(N−アミノエチル−
アミノエチル)チタネートなどがあげられる。
【0075】上記カップリング剤は、本発明に係る無機
コーティング剤の下層のコーティング剤に添加されてい
てもよく、本発明に係る無機コーティング剤と下層のコ
ーティング剤の両方に含まれていてもよい。その含有さ
れる量は、樹脂固形分に対して、0.01〜50重量%
が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%であ
る。含有量が0.01重量%未満では付着性向上効果が
なく、50重量%を超えると無機コーティング剤の物性
が脆くなり、目的の性能が得られなくなる。
【0076】また、本発明に係る無機コーティング剤の
下層との付着性を改善するために、有機無機ハイブリッ
ドポリマーを主成分にしたコーティング剤を下層に用い
ることができる。かかる有機無機ハイブリッドポリマー
とは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル
樹脂、ポリウレタン樹脂などの有機ポリマーと珪素縮合
物の無機ポリマーのコールドブレンド又はホットブレン
ド等がある。
【0077】さらに、無機コーティング剤の下層との付
着性の確保を図るために、主成分である無機ポリマー組
成物に含まれる無機ポリマーの側鎖に有機基を導入して
もよい。すなわち、水酸基を有す化合物と一般式(1)
で表されるオルガノシランを反応させ、無機ポリマーの
側鎖に有機基を導入する方法を用いることができる。水
酸基を有す化合物としては、一分子中に水酸基を一つ有
す化合物でも一分子中に一級の水酸基を一つその他に二
級の水酸基を有す化合物でもよい。
【0078】上記紫外線吸収剤としては、例えば、チヌ
ビン900、チヌビン384、チヌビンP(以上、チバ
ガイギー製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や
サンドバー3206(サンド製)等の蓚酸アニリド系紫
外線吸収剤を好ましく使用できる。上記光安定剤として
は、例えば、チヌビン292(チバガイギー製)、サン
ドバー3058(サンド製)等のヒンダードアミン光安
定剤を好ましく使用できる。
【0079】上記顔料、光輝剤としては、例えば、酸化
チタン、カーボンブラック、ベンガラ、クロム酸鉛、酸
化クロムモリブデン酸鉛、アルミン酸コバルト、アゾ顔
料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、沈降性
硫酸バリウム炭酸カルシウム、タルク、カオリン、シリ
カ、マイカ、アルミニウムらが好ましく使用できる。
【0080】また、本発明の無機コーティング剤には、
タレ止め剤又は沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、消
泡剤等を混合して使用することができる。タレ止め剤又
は沈降防止剤としては、例えばベントナイト、ヒマシ油
ワックス、アマイドワックス、マイクロジェルらを好ま
しく使用できる。レベリング剤としては、例えば、KF
69,KP321,KP301(以上信越化学工業製)
らのシリコーン系のものやモダフロー(三菱モンサント
製)、BYK358,BYK301(ビックケミージャ
パン製)らを好ましく使用できる。分散剤としては、例
えば、Anti−TerraP及びDisperbyk
−101(以上ビックケミージャパン製)らを好ましく
使用することができる。消泡剤としては、例えばBYK
−O(ビックケミージャパン製)らを好ましく使用でき
る。
【0081】本発明の無機コーティング剤は、例えば自
動車、壁、機械部品、家電製品等への塗装に用いること
ができる。
【0082】自動車のプラスチック材への塗装として
は、バンパー用などのプラスチック塗装工程で、プラス
チックバンパー基材上にPPプライマーのようなプラス
チック基材に付着するプライマーを塗装し、ウェットン
オンウェット若しくは乾燥後にエナメル系の本塗料を塗
装し、乾燥させることが好ましい。また、クリヤー系で
あれば、プライマー塗装後にウェットンオンウェット及
び乾燥後に有機系のエナメル塗料を塗装後、ウェットン
オンウェット若しくは乾燥後に本塗料を塗装、乾燥させ
ることが好ましい。或いは基材との付着良好な樹脂を含
有した着色塗料を直接プラスチックに塗装し、ウェット
ンオンウェット若しくは乾燥後に本塗料を塗装すること
が好ましい。
【0083】自動車外板など鋼板に塗装する場合は、メ
ッキ鋼鈑を燐酸亜鉛のような化成処理剤で処理後、エポ
キシ系の材料を主体とする公知の電着塗装/乾燥を行
い、ポリエステル樹脂主体の中塗り塗料を塗装/乾燥を
行った後に、本エナメル塗料を塗装し、乾燥させるか、
アクリル樹脂主体のベースコート(エナメル)塗装後に
ウェットオンウェットか乾燥後に本クリヤー塗料を塗装
乾燥させることが好ましい。家電などで一般的のプレコ
ート塗装にも好ましく使用できる。
【0084】メッキ鋼鈑等への塗装は、化成処理後エポ
キシ樹脂やポリエステル樹脂を主体とする防錆プライマ
ーを塗装し、ウェットオンウェットか乾燥後に本エナメ
ル塗装乾燥を行うか若しくは、ポリエステルやアクリル
樹脂主体のベースコート(エナメル)塗装を行い乾燥
し、本クリヤー塗装を行って乾燥させ塗装鋼鈑とする。
この後加工する。
【0085】窯業系外壁などへの塗装は、無機基材にシ
ーラー塗装/乾燥を行い、本エナメル塗装乾燥を行うか
若しくはシーラー塗装後、ベースコート(エナメル)塗
装実施後、ウェットオンウェット及び乾燥後に本クリヤ
ー塗装を行うことができる。
【0086】タイル外壁用の接着剤兼目地剤として用い
る場合には、金属板や窯業系の板の上に直接本発明の無
機コーティング剤を塗布するか、若しくは、金属板や窯
業系板の上に有機系のシーラーを塗布乾燥後、本発明の
無機コーティング剤を塗布し、タイルを貼り乾燥させ
る。
【0087】上記塗装系で本塗料以外の塗料は、水系塗
料でも溶剤系塗料でも粉体塗料でも紫外線硬化塗料でも
よい。本発明の無機コーティング剤の膜厚は、0.1〜
5000μmであり、塗装の場合好ましくは1〜100
μmである。またタイル接着用には好ましくは、50〜
1000μmである。
【0088】
【実施例】以下に、本発明を実施例で具体的に説明する
が、本発明は実施例のみに限定されるものではない。な
お、実施例、比較例において、特に断らない限り、
「部」及び「%」はすべて重量基準である。
【0089】実施例1〜33 (1)無機ポリマー組成物の製造 還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに、メチルトリメトキシシラン:136.2
5部、水:27.03部、塩酸:10部、酢酸エトキシ
エチル:60部、キシレン:60部を入れ((i)成
分)、80℃に昇温し、攪拌した。その後、KF96−
20cs:222.51部とイソプロパノール:30部
の混合溶液((ii)成分)を1時間かけて滴下し、4
時間還流させつづけ、無機ポリマー組成物(P−1)を
得た。さらに、表1及び表2に示すオルガノシラン、ポ
リシロキサン、溶媒、触媒等を用いる以外は、上記と同
様にして、無機ポリマー組成物(P−2)〜(P−1
1)、(P−13)〜(P−21)、(P−23)〜
(P−24)を得た。
【0090】また、還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下
ロートを備えた4つ口フラスコにエチレングリコール:
7.2部と4メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:16.
8部を仕込み、100℃で1時間反応させ、その後16
0℃に昇温し、AOEX−24:19.8部仕込み
((iii)成分)2時間反応させた。その後80℃に
温度を落とし、メチルトリメトキシシラン:136.2
5部、水:27.03部、塩酸:10部、酢酸エトキシ
エチル:60部、キシレン:60部((i)成分)を入
れ、80℃で0.5時間反応させた。その後、KF96
−20cs:222.51部とイソプロパノール:30
部の混合溶液((ii)成分)を1時間かけて滴下し、
4時間還流させ続け、ポリマー組成物(P−12)を得
た。さらに、薬品などを表2に示す通りに変更したこと
以外は上記と同様にしてポリマー組成物(P−22)を
得た。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】なお、表1、2で用いた試料の説明記号は
以下の通りである。 *1 MS−51:テトラエトキシシランの縮合物(平
均4量体)多摩化学製 *2 アルミ触媒:エチルアセテートアルミニウムイソ
プロピレート *3 スズ触媒:ジブチルスズジラウレート *4 KF96−20cs:ポリジメチルシロキサン
分子量3000 信越化学工業製 *5 KF6001:カルビノール変成ポリジメチルシ
ロキサン 信越化学工業製 *6 KF905:親水性特殊変成ポリジメチルシロキ
サン 信越化学工業製 *7 X−21−5841:シラノール末端ポリジメチ
ルシロキサン 信越化学工業製 *8 KF50−100cs:ポリメチルフェニルシロ
キサン 信越化学工業製 *9 KF96−2cs:ポリジメチルシロキサン 分
子量 約500 信越化学工業製 *10 KF96−5000cs:ポリジメチルシロキ
サン 分子量 約2000 信越化学工業製 *11 AOEX−24:モノエポキシ化合物 ダイセ
ル化学工業製 *12 KF994:オクタメチルシクロテトラシロキ
サン 信越化学工業製 *13 KF995:デカメチルシクリペンタシロキサ
ン 信越化学工業製 *14 NKC−ST:オルガノシリカゾル:日産化学
工業製
【0094】(2)無機コーティング剤の調製 無機ポリマー組成物(P−1):100部、スズ触媒:
0.48部、チヌビン384:1.4部、チヌビン29
2:0.7部、BYK080:0.1部を計量して、攪
拌し無機コーティング剤(A1)を得、2酢酸エトキシ
エチルでフォードカップ17秒に調整し、次のコーティ
ングに用いた。同様に表3、表4に示すように、無機コ
ーティング剤(A2)〜(A28)を得、塗装評価に用
いた。また、無機ポリマー組成物(P−24)を60℃
で減圧脱溶剤し、固形分94%とし、表4に示す添加物
を加え、無機コーティング剤(A29)を得た。これを
このままコーティング液として用いた。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】なお、表3、4で用いた添加剤は、次の通
りである。 *15 チヌビン384:ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤 チバガイギー製 *16 チヌビン292:ヒンダードアミン チバガイ
ギー製 *17 KBM403:シランカップリング剤 信越化
学工業製 *18 KBM603:シランカップリング剤 信越化
学工業製 *19 KBM303:シランカップリング剤 信越化
学工業製 *20 BYK080:表面調整剤 ビックケミージャ
パン製 溶剤A:N−メチル−2−ピロリドン 溶剤B:ジメチルアセトアミド
【0098】(3)コーティング 上記で調整すみの無機コーティング剤溶液(A1)〜
(A28)を下記に説明する試験板(塗装仕様1〜3)
にエアースプレーで膜厚25μmでコーティングし、1
50℃、30分乾燥させた。得られた試験板の外観、耐
候性、温水性、付着性、対ガソリン性、耐衝撃性、貯蔵
安定性について測定した。その結果を表5に示す。な
お、実施例33は、下記に説明する試験板(タイル仕様
4)にA29の溶液を600μm塗り、90℃で60分
乾燥させて評価したものである。
【0099】試験板の調整 塗装仕様1(鋼板、硬質プラ用):燐酸亜鉛処理鋼板の
電着板にレタン中塗りE(関西ペイント製)を50μm
塗布し、140℃30分焼き付けた。その後レタン60
00(関西ペイント製)を30μm塗布後140℃30
分焼付け試験板1を得た。 塗装仕様2(軟質プラスチッツク):ポリプロピレンを
トルエンでワイピングし、その上にプライマックNo.
1500プライマー(日本油脂製)を塗装し、120℃
で10分乾燥した。その後プライマックNo.3000
上塗り(日本油脂製)を塗装し、120℃、30分乾燥
して試験板を得た。 塗装仕様3(外壁用):木片セメント板上に、アルクア
SKシーラー(カナエ塗料製)を20μm塗布し、10
0℃10分乾燥したのちVセラン#600上塗り(大日
本塗料製)を塗装、100℃10分乾燥して試験板を得
た。 タイル仕様4(タイル貼り付け用):木片セメント板状
を布でワイプし、表面についている埃及びエフロの除去
を行い、試験板を得た。
【0100】比較例1 温度計、還流装置のついた4つ口フラスコに、テトラエ
トキシシラン:208部、水:27部、塩酸:10部、
イソプロパノール:60部を仕込み、70℃30分攪拌
し続け、無機ポリマー組成物(b−1)を得た。そし
て、(b−1):100部、スズ触媒:0.7部、チヌ
ビン384:1.8部、チヌビン292:0.9部を混
合攪拌し、無機コーティング剤(C1)を得た。イソプ
ロパノールを用い、フォードカップNo.4で17秒に
なるように調整して次の塗装試験に用いた。得られた無
機コーティング剤を用い、実施例と同様にして試験板を
コーティングした。その結果を表5に示す。
【0101】比較例2 また、温度計、還流装置のついた4つ口フラスコに、キ
シレンを:100部仕込み、140℃に昇温し、攪拌す
る。ブチルメタクリレート:40部、メチルメタクリレ
ート:10部、ブチルアクリレート:5部、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン:5部、パーブチ
ルO:0.5部のモノマー混合物を滴下ロートに仕込み
2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させ
続けた。その後、温度を80℃まで落とし、メチルトリ
メトキシシラン:60部、イソプロパノール:10部、
水:5部、酢酸:2部を仕込み、1時間反応させ続けて
有機無機ハイブリッドポリマー(b−2)を得た。そし
て(b−2):100部、スズ:0.7部、チヌビン3
84:1.8部、チヌビン292:0.9部を混合攪拌
し、無機コーティング剤(C2)を得、これをキシレン
でフォードカップNo.4で17秒になるように希釈し
て次のコーティング溶液とした。得られた無機コーティ
ング剤を用い、実施例と同様にして試験板をコーティン
グした。その結果を表5に示す。
【0102】比較例3〜5 表4に示す実施例A18〜A20と比較し、それぞれか
ら溶剤Aを除いた配合組成で得られた無機コーティング
剤(C2)〜(C5)を用い、実施例と同様にして試験
板をコーティングした。その結果を表5に示す。
【表5】
【0103】表5における試験方法は、以下の通りであ
る。 (1)耐候性:サンシャインウェザーメーターJIS
K 5400(1990)9.8.1を用いて8000
時間曝露後、塗膜の60°鏡面光沢度値JISK 54
00(1990)7.6鏡面光沢度を測定し、塗膜の異
常を目視にて判定または未曝露時の光沢度と比較した。
試験後、光沢保持率が85%以上のものを○、60%以
上のものを△、それ未満を×と判定した。 (2)耐衝撃性:JIS K 5400(1990)
8.3.2デュポン式を用いて半径6.35mmの撃ち
型に試験片をはさみ500gのおもりを40cmの高さ
から落下させた際の塗膜の損傷を目視で判定した。試験
後、塗膜に異常のないものを○、割れの入っているもの
を×と評価した。 (3)付着性:JIS K 5400(1979)6.
15に従って、ゴバン目セロハンテープ試験を行った。
試験後、全く剥離しなかったものを○、5%未満の剥離
であったものを△、それ以上を×と評価した。 (4)耐ガソリン性:20℃のレギュラーガソリン(日
本石油製日石シルバーガソリン)中に塗装成型品の一部
分を浸漬し、取り出した後、膨潤性を目視評価した。著
しく膨潤したものを×、若干膨潤したものを△、ほとん
ど膨潤しなかったものを○と評価した。 (5)耐温水性:50℃の温水に塗装成型品の一部分を
10日間浸漬し、取り出した後、付着性とブリスターの
有無を評価した。剥離またはブリスターが発生したもの
を×、ブリスターの少ないものを△、ブリスターも剥離
もないものを○と評価した。 (6)貯蔵安定性:20℃の恒温水槽にポリ容器に入れ
た溶液に浸し、ゲル化の状態を観測した。1ヶ月以上ゲ
ルのないものを○、2週間〜1ヶ月の間でゲル化したも
のを△、2週間以内にゲル化したものを×と評価した。
なお、この試験の結果は、安定性が劣っていても2液と
しては、使用可能である。 (7)外観:硬化直後に硬化収縮によるクラックの有無
を確認。クラックの入っているものを×、ないものを○
と評価した。
【0104】表5から明らかなように、本件発明に係る
無機コーティング剤により得られた膜は、耐候性、耐衝
撃性、付着性に優れることが分かる。
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、従来の無機系膜の場合
に発生するクラックが起こりにくく、かつ耐候性に優れ
た膜を形成するのに有用な無機ポリマー組成物、その製
造方法、それを用いた無機コーティング剤、及びそれを
車両、壁、家電、機械部品などの物品に塗装してなる塗
装品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3次元架橋した無機のゲルユニットをコイル状
(糸まり状)のシロキサン結合鎖で繋いでできあがった
膜の模式図である。
【符号の説明】
1 コイル状(糸まり状)のシロキサン結合鎖 2 3次元架橋した無機のゲルユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾坂 明義 岡山県岡山市津島中3−1−1 岡山大学 工学部内 (72)発明者 早川 聡 岡山県岡山市津島中3−1−1 岡山大学 工学部内 (72)発明者 都留 寛治 岡山県岡山市津島中3−1−1 岡山大学 工学部内 Fターム(参考) 4J002 CP031 EC077 EX036 EZ017 GH00 4J038 DL031 HA216 KA08 KA12 MA14 PB05 PB07 PB09 PC01 PC02 PC06 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のa成分とb成分とを反応させてな
    る無機ポリマー組成物。 a成分:一般式(1) R1 nSi(OR24-n (1) (式中、R1は炭素数1〜30の有機基、R2は炭素数1
    〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基またはフェ
    ニル基を示し、nは0〜1の整数である。但し、R1
    2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるオルガノシラン、その加水分解物または縮合
    物から選ばれる1種又は2種以上の化合物b成分:一般
    式(2) 【化1】 (式中、R3〜R8は炭素数1〜8の有機基であり、それ
    ぞれ同一であっても異なっていてもよい。但し、R3
    4の1つまたはR6〜R8の1つは水酸基であっても加
    水分解性基であってもよい。またmは1以上の整数であ
    る。)で表される1種又は2種以上のリニアポリシロキ
    サン縮合体、及び/又は一般式(3) 【化2】 (式中、R9〜R10は炭素数1〜8の有機基であり、そ
    れぞれ同一であっても異なっていてもよい。またnは2
    以上の整数である。)で表される1種又は2種以上の環
    状ポリシロキサン。
  2. 【請求項2】 前記のa成分とb成分とのモル比が、計
    算上、b成分の基本構造(ユニット)を下記の一般式
    (4)で表されるものとみなすと、a成分:b成分=
    1:0.2〜30であることを特徴とする請求項1に記
    載の無機ポリマー組成物。:一般式(4) 【化3】
  3. 【請求項3】 前記のa成分とb成分とを、触媒の存在
    下、溶媒中で反応させることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の無機ポリマー組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記触媒が、酸触媒、塩基性触媒または
    金属触媒のいずれかである ことを特徴とする請求項3
    に記載の無機ポリマー組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の無機ポリマー組
    成物を主成分として含有してなる無機コーティング剤。
  6. 【請求項6】 さらに、カップリング剤、紫外線吸収
    剤、光安定剤または酸化チタンから選ばれる少なくとも
    1種の化合物を含有することを特徴とする請求項5に記
    載の無機コーティング剤。
  7. 【請求項7】 双極性プロトン溶液0.5から10部配
    合してなる請求項5または請求項6に記載の無機ポリマ
    ー組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の無機コーティング剤を
    塗装してなる塗装品。
  9. 【請求項9】 塗装品が、プラスチック成型品、サイデ
    ィングボード、外壁、プレコートメタル、または家電製
    品であることを特徴とする請求項8に記載の塗装品。
JP2002149719A 2001-08-08 2002-05-23 無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。 Withdrawn JP2003119386A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002149719A JP2003119386A (ja) 2001-08-08 2002-05-23 無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-241047 2001-08-08
JP2001241047 2001-08-08
JP2002149719A JP2003119386A (ja) 2001-08-08 2002-05-23 無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003119386A true JP2003119386A (ja) 2003-04-23

Family

ID=26620206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002149719A Withdrawn JP2003119386A (ja) 2001-08-08 2002-05-23 無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003119386A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120354A (ja) * 2003-09-25 2005-05-12 Jsr Corp 膜形成用組成物の製造方法、膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料
JP2006012891A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Fujikura Kasei Co Ltd 電磁波遮断フィルムの製造方法
WO2010138351A3 (en) * 2009-05-28 2011-09-01 Dow Global Technologies Llc Modified geopolymer compositions, processes and uses

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61247756A (ja) * 1985-04-26 1986-11-05 Toray Silicone Co Ltd 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
JPS6339960A (ja) * 1986-08-05 1988-02-20 Nippon Mining Co Ltd 油付着防止用被膜形成剤
JPH04106156A (ja) * 1990-08-27 1992-04-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物
JP2001072925A (ja) * 1999-09-06 2001-03-21 Jsr Corp 車両用コーティング組成物、硬化体および車両への塗膜の形成方法
JP2001181509A (ja) * 1999-10-13 2001-07-03 Chugoku Marine Paints Ltd 硬化性組成物、コーティング用組成物、塗料、防汚塗料、その硬化物、並びに基材の防汚方法
JP2002012767A (ja) * 2000-06-30 2002-01-15 Shin Etsu Chem Co Ltd 室温速硬化型シリコーン組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61247756A (ja) * 1985-04-26 1986-11-05 Toray Silicone Co Ltd 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
JPS6339960A (ja) * 1986-08-05 1988-02-20 Nippon Mining Co Ltd 油付着防止用被膜形成剤
JPH04106156A (ja) * 1990-08-27 1992-04-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物
JP2001072925A (ja) * 1999-09-06 2001-03-21 Jsr Corp 車両用コーティング組成物、硬化体および車両への塗膜の形成方法
JP2001181509A (ja) * 1999-10-13 2001-07-03 Chugoku Marine Paints Ltd 硬化性組成物、コーティング用組成物、塗料、防汚塗料、その硬化物、並びに基材の防汚方法
JP2002012767A (ja) * 2000-06-30 2002-01-15 Shin Etsu Chem Co Ltd 室温速硬化型シリコーン組成物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120354A (ja) * 2003-09-25 2005-05-12 Jsr Corp 膜形成用組成物の製造方法、膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料
JP2006012891A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Fujikura Kasei Co Ltd 電磁波遮断フィルムの製造方法
WO2010138351A3 (en) * 2009-05-28 2011-09-01 Dow Global Technologies Llc Modified geopolymer compositions, processes and uses
CN102741191A (zh) * 2009-05-28 2012-10-17 陶氏环球技术有限责任公司 改性地质聚合物组合物、方法及用途
JP2012528066A (ja) * 2009-05-28 2012-11-12 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 改質型ジオポリマー組成物、方法、及び使用
US8815348B2 (en) 2009-05-28 2014-08-26 Dow Global Technologies Llc Modified geopolymer compositions, processes and uses
US8901230B2 (en) 2009-05-28 2014-12-02 Dow Global Technologies Llc Modified geopolymer compositions, processes and uses

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100630433B1 (ko) 수성 수지의 제조방법, 수성 경화성 수지 조성물, 수성 도료 및 그 도막형성방법
US5780530A (en) Thermosetting resin composition
JP2574061B2 (ja) 有機溶液型コーティング用組成物、塗装された無機質硬化体およびその製造方法
US4929703A (en) Solventless silicone coating composition
US20040260048A1 (en) Organosilicon compound - curing composition and silicone-base coating composition
JP6167870B2 (ja) 自動車樹脂グレージング用補修塗料及び自動車樹脂グレージングの補修方法
WO2006025535A1 (ja) コーティング用組成物および下塗り剤、ならびに該組成物からなる塗膜を有する積層体、光触媒コーティングフィルムおよび成形体
US5426168A (en) Method of preparing an organically-modified, heat-curable silicone resin and the resin produced thereby
JP3078003B2 (ja) 熱硬化性組成物
US20130164539A1 (en) Plastic substrate for automotive glazing and its repairing method
JP3772524B2 (ja) 水系コーティング樹脂組成物およびそれを用いた塗装品
JPH1060279A (ja) 硬化性ポリメチルシルセスキオキサン組成物
JP2000239608A (ja) コーティング用樹脂組成物とこれを用いた塗装品
JP2003119386A (ja) 無機ポリマー組成物、その製造方法、それを用いた無機コーティング剤、及び塗装品。
WO2002088268A1 (fr) Composition pour revetement dur et produit a base de resine muni d'un revetement dur
JP2843408B2 (ja) 熱硬化性組成物およびそれを塗装した塗装物
JP7548060B2 (ja) 塗料組成物および被覆物品
JP3050848B2 (ja) 有機無機複合樹脂水性エマルジョンの製造方法
JP4998935B2 (ja) 塗料組成物
JP3128197B2 (ja) コーティング組成物
JP3900454B2 (ja) 有機無機複合樹脂水性エマルジョンの製造方法及びコーティング組成物
JP4141447B2 (ja) コロイド状シリカ結合ポリシロキサン含有塗料組成物
JP2918669B2 (ja) 硬化性組成物およびそれを塗装した塗装物
JPH0354278A (ja) 塗装物
JP2001002988A (ja) シリコーン樹脂塗膜の硬化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080716

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20080902