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JP2003092879A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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Publication number
JP2003092879A
JP2003092879A JP2001284820A JP2001284820A JP2003092879A JP 2003092879 A JP2003092879 A JP 2003092879A JP 2001284820 A JP2001284820 A JP 2001284820A JP 2001284820 A JP2001284820 A JP 2001284820A JP 2003092879 A JP2003092879 A JP 2003092879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
control
winding
switching
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001284820A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Yasumura
昌之 安村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2001284820A priority Critical patent/JP2003092879A/ja
Publication of JP2003092879A publication Critical patent/JP2003092879A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スイッチング素子の低耐圧化。 【解決手段】 自励式でスイッチング周波数制御方式に
よって安定化を図る複合共振形コンバータとして、直交
型制御トランスを省略した構成を採ったうえで、例えば
負荷側が短絡するなどしてスイッチング素子にかかる負
担が増大した場合に対応して、電源回路内に発生する過
大なレベルの電流を検出することで動作を開始する過負
荷保護回路を設ける。これにより、例えばこれまでに用
いられていたとされる過電流検出回路等を設けなくと
も、回路保護を行うことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に電
源として備えられるスイッチング電源回路に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源回路として、例えばフ
ライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形
式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知ら
れている。これらのスイッチングコンバータはスイッチ
ング動作波形が矩形波状であることから、スイッチング
ノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、
電力変換効率の向上にも限界があることがわかってい
る。そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバー
タによるスイッチング電源回路が各種提案されている。
共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると
共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低
ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数によ
り構成することができるというメリットも有している。
【0003】図7の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のスイッチング電源回路の一例を示している。この図に
示す電源回路の基本構成としては、一次側スイッチング
コンバータとして電圧共振形コンバータを備えている。
【0004】この図に示す電源回路では、ブリッジ整流
回路Di及び平滑コンデンサCiによって、商用交流電
源AC(交流入力電圧VAC)から交流入力電圧VACの1
倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。ま
た、商用交流電源ACのラインには、電源のオン/オフ
を行うスイッチSWが挿入されている。また、商用交流
電源ACのラインには、突入電流制限抵抗Riを挿入す
るようにもしており、例えば電源投入時に平滑コンデン
サに流入する突入電流を抑制するようにしている。
【0005】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続する電圧共振形コンバータとしては、1石
によるシングルエンド方式が採用される。また駆動方式
としては自励式の構成を採っている。この場合、電圧共
振形コンバータを形成するスイッチング素子Q1には、
高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トラ
ンジスタ)が選定される。このスイッチング素子Q1の
コレクタ−エミッタ間に対しては、一次側並列共振コン
デンサCrが並列に接続される。また、ベース−エミッ
タ間に対しては、クランプダイオードDD−抵抗RDの直
列接続回路が接続される。ここで、並列共振コンデンサ
Crは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1
に得られるリーケージインダクタンスL1と共に、一次
側並列共振回路を形成しており、これによって電圧共振
形コンバータとしての動作が得られるようになってい
る。そして、スイッチング素子Q1のベースに対して
は、駆動巻線NB−共振コンデンサCB−ベース電流制限
抵抗RBから成る自励発振駆動回路が接続される。スイ
ッチング素子Q1には、この自励発振駆動回路にて発生
される発振信号を基とするベース電流が供給されること
でスイッチング駆動される。なお、起動時においては整
流平滑電圧Eiのラインから起動抵抗RSを介してベー
スに流れる起動電流によって起動される。
【0006】直交型制御トランスPRTは、上記駆動巻
線NBと電流検出巻線NAの巻回方向に対してその巻回方
向が直交するようにして制御巻線NCが巻装されて構成
され、後述するようにして一次側電圧共振形コンバータ
のスイッチング周波数を制御するために設けられる。
【0007】絶縁コンバータトランスPITは、一次側
に得られるスイッチングコンバータのスイッチング出力
を二次側に伝送するために設けられる。この絶縁コンバ
ータトランスPITは、EE型コアに対して一次巻線N
1と二次巻線N2を分割して巻装し、中央磁脚に対しては
ギャップGを形成することで、所要の結合係数による疎
結合の状態が得られるようにして、飽和状態が得られに
くいようにしている。
【0008】この絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1は、直流入力電圧(整流平滑電圧Ei)のライ
ンとスイッチング素子Q1のコレクタとの間に接続され
ている。スイッチング素子Q1は、直流入力電圧につい
てスイッチングを行うのであるが、これによって、一次
巻線N1には、スイッチング素子Q1のスイッチング出力
が供給されることとなり、スイッチング周波数に対応す
る周期の交番電圧が発生する。
【0009】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0010】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられる。なお、本明細書では、このように
一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作す
る構成のスイッチングコンバータについては、「複合共
振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0011】この場合の絶縁コンバータトランスPIT
の二次側においては、先ず、二次巻線N2の巻終わり端
部に対して整流ダイオードDO1のアノードを接続し、カ
ソードを平滑コンデンサCO1の正極端子と接続すること
で、半波整流回路を形成している。この半波整流回路に
よっては、平滑コンデンサCO1の両端には、二次側直流
出力電圧EO1が得られることになる。また、この場合に
は、二次巻線N2に対してタップを設け、このタップ出
力に対して、図示するようにして整流ダイオードDO2及
び平滑コンデンサCO2から成る半波整流回路を形成して
いる。そして、この半波整流回路によっては、上記二次
側直流出力電圧EO1よりも低圧な二次側直流出力電圧E
O2が得られる。なお、具体的には、二次側直流出力電圧
EO1=135V、二次側直流出力電圧EO2=15Vとな
る。
【0012】これら二次側直流出力電圧EO1,EO2は、
それぞれ所要の負荷回路に対して供給されることにな
る。また、二次側直流出力電圧EO1は制御回路1の検出
用電圧として、二次側直流出力電圧EO2は、制御回路1
の動作電源として分岐出力される。
【0013】制御回路1は、二次側直流出力電圧EO1の
レベルに応じて可変の直流電流を、制御電流として、直
交型制御トランスPRTの制御巻線NCに流すようにさ
れる。制御巻線NCに流れる制御電流レベルが可変され
ることで、直交型制御トランスPRTにおいては、駆動
巻線NBのインダクタンスを可変するように制御するこ
とになる。これによって、自励発振駆動回路における駆
動巻線NB−共振コンデンサCBから成る共振回路の共振
周波数が変化し、スイッチング素子Q1のスイッチング
周波数が可変制御されることになる。このようにしてス
イッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変される
ことで、二次側直流出力電圧が一定となるように制御さ
れる。つまり、電源の安定化が図られる。なお、本明細
書では、このような動作による定電圧制御について、
「スイッチング周波数制御方式」ともいうことにする。
【0014】ところで、上記図7に示した電源回路で
は、スイッチSWがオンとされて商用交流電源ACが投
入されると、突入電流制限抵抗Riからブリッジ整流回
路Diのダイオードを介して平滑コンデンサCiに対し
て電流が流入し、平滑コンデンサCiの両端電圧である
整流平滑電圧Eiを、交流入力電圧VACに対応するレベ
ルにまで引き上げる。すると、整流平滑電圧Eiのライ
ンから起動抵抗RSを介して起動電流がスイッチング素
子Q1のベースに流入して、スイッチング素子Q1はオン
となり発振起動し、スイッチング動作が開始される。
【0015】しかし、このような起動時の動作に伴って
は、絶縁コンバータトランスPITの二次側の平滑コン
デンサCO1,CO2に対して過大な充電電流が流れる。ま
た、平滑コンデンサCiから電流検出巻線NA−一次巻
線N1を介して、スイッチング素子Q1のコレクタに過大
なコレクタ電流も流れることになる。さらに、このとき
の二次側直流出力電圧EO1,EO2のレベルとしては、所
要のレベルに立ち上がっていく過渡の状態であり、従っ
て、このときには、二次側直流出力電圧EO1のレベルに
応じたスイッチング周波数制御は行われない。このとき
のスイッチング素子Q1は、駆動巻線NBのインダクタン
スと、コンデンサCBのキャパシタンスとによって決定
される最低のスイッチング周波数によって動作する。こ
の電源回路の場合、最低のスイッチング周波数によりス
イッチング動作を行うと、スイッチング素子Q1のオン
期間とオフ期間のうち、オン期間のほうが長くなるので
あるが、これによって、スイッチング素子Q1のオフ期
間において、スイッチング素子Q1//並列共振コンデン
サCrの並列回路の両端に発生する並列共振電圧V1と
しての電圧共振パルスのピークレベルも過大なものとな
ってしまう。
【0016】また、起動時以外にも、例えば負荷側が短
絡することによっても、このようなスイッチング素子Q
1にかかる負担が増大することとなる。すなわち、負荷
短絡時には、二次側直流出力電圧ラインに流れる電流レ
ベルが通常時より増加し、このラインには過大な電流が
流れることになる。また、このときの制御回路1の動作
によっては、スイッチング素子Q1のスイッチング周波
数はほぼ下限にまで低下することとなる。このため、一
次側のスイッチング素子Q1にも過大なレベルのコレク
タ電流が流れ、また、一次側並列共振電圧V1としても
過大なレベルの電圧が発生し、この結果スイッチング素
子Q1にかかる負担が増大するのである。
【0017】そこで図7に示した構成の回路の実際とし
ては、このような起動時、及び負荷短絡時などの異常時
において、スイッチング素子Q1に過大なコレクタ電流
が発生するなどした場合に、これを制限するための過電
流制限回路を設けることがある。図8は、図7に示した
回路構成を基本として過電流制限回路を設けた電源回路
の構成例が示されている。なお、この図において図7と
同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0018】図8に示される過電流制限回路10は、ス
イッチング素子Q1のエミッタに流れる電流を、電流検
出抵抗REと分圧抵抗R11,R12から成る回路によって
検出するようにしている。そして、過大とされるレベル
のエミッタ電流を検出してトランジスタQ10を導通させ
ることで、スイッチング素子Q1のベース電流を、ダイ
オードD2からトランジスタQ10のコレクタ−エミッタ
を介して流すようにされる。これによって、スイッチン
グ素子Q1の順方向のベース電流が抑制されることにな
り、スイッチング素子Q1のコレクタに流れる過大なコ
レクタ電流を制限することが可能になる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら図
7、図8に示した電源回路は直交型制御トランスPRT
を備えるものであるが、この直交型制御トランスPRT
においては、制御巻線に流す制御電流量を少なくするた
めに、上述したギャップGを、例えば10μm程度とい
う僅小なものとしなければならない。このため製造時に
おいてはそのギャップ厚の精度誤差が生じざるを得なく
なるが、これは、直交型制御トランスPRTに巻装され
る駆動巻線NBのインダクタンス値についてばらつきを
生じさせる。またフェライトコアの透磁率、磁脚の接合
時のずれ等のばらつきも、駆動巻線NBのインダクタン
ス値についてばらつきを生じさせる。これらのことから
インダクタンスLBの許容値は、インダクタンス値が、
例えば±10%変動するものとしなければならない。こ
のためスイッチング素子Q1の増幅率hFEや蓄積時間t
stgのばらつきが生ずるが、このばらつきに対して複合
共振形コンバータの定電圧保証範囲を、例えば商用交流
電源が100V系である場合に交流入力電圧VAC=10
0V±10%とするためには、直交型制御トランスPR
Tのインダクタンス可変範囲は十分なマージンをもって
設計しなければならない。つまり実用化の場合のマージ
ン設計が困難なものとなる。
【0020】また直交型制御トランスPRTの巻線仕様
は上記のとおりであり、さらに制御巻線NCと、検出巻
線NA及び駆動巻線NBとを互いに直交する方向に巻回す
ることは、製造上、巻線工程が非常に複雑となる。即ち
直交型制御トランスPRTは製造の難易度が高く、コス
トダウンも困難である。
【0021】また直交型制御トランスPRTの制御巻線
NCに流れる直流制御電流は、絶縁コンバータトランス
PITの2次側の直流出力電圧EO2ライン(15Vライ
ン)から供給され、その供給電力は、例えば0.9W〜
0.15Wの範囲で変動するが、この供給電力は無効電
力であり、軽負荷時の電力損失が増加する。
【0022】また、図9の波形図は、上記図8に示した
回路の動作として、負荷変動に応じた電圧共振パルスV
1と、スイッチング素子Q1のコレクタ電流IQ1を示して
いる。例えば、中間負荷時とされ、交流入力電圧VAC=
120V程度とされる定常動作時においては、図9
(a)(b)に示すようにして、電圧共振パルスV1は
700Vp程度とされ、スイッチング素子Q1のコレク
タ電流IQ1は4.5A程度となっている。これに対し
て、最大負荷電力(Pomax=150W)とされ、交流入力
電圧VAC=120V程度にまで上昇したとされる条件で
は、図9(c)(d)に示すように、電圧共振パルスV
1は900Vp程度にまで上昇し、スイッチング素子Q1
のコレクタ電流IQ1は6.5A程度にまで上昇してしま
う。つまり、最大負荷電力時の電圧共振パルスV1とコ
レクタ電流IQ1は、定常時よりも20〜30パーセント
程度も増加している。このような動作は、図8に示した
回路が過電流制限回路10を備えているために、交流入
力電圧VACが上昇したときに対応したマージンと、過電
流制限回路10を構成する部品のばらつきによる定常動
作時の誤動作マージンを考慮して回路設計を行った結果
によるものとされる。そして、スイッチング素子Q1と
しては、最大負荷電力時に対応して、例えば1200V
という高耐圧品を選定しなければならない。スイッチン
グ素子が高耐圧になるほど、大型で高価になってしま
う。また、スイッチング特性も劣ってくる。
【0023】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では以
上のような問題点に鑑み、スイッチング電源回路として
以下のように構成することとした。すなわち、直流入力
電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を
備えて成るスイッチング手段と、一次巻線と二次巻線と
を備え、上記一次巻線に得られる上記スイッチング手段
の出力を上記二次巻線に対して伝送する絶縁コンバータ
トランスと、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線と
一次側並列共振コンデンサとにより形成され、上記スイ
ッチング手段の動作を電圧共振形とするように設けられ
る一次側並列共振回路と、上記絶縁コンバータトランス
の二次巻線に対して、二次側共振コンデンサを接続する
ことで形成される二次側共振回路と、上記二次側共振回
路に得られる交番電圧を入力して整流動作を行うことで
直流出力電圧を得るように構成される直流出力電圧生成
手段とを備える。また、少なくとも検出巻線と、駆動巻
線とが巻装され、上記検出巻線が上記絶縁コンバータト
ランスの一次巻線に直列に接続されることにより上記ス
イッチング手段の出力を上記駆動巻線に伝達するドライ
ブトランスと、上記駆動巻線と共振用コンデンサにより
形成される直列共振回路を有して、この直列共振回路の
出力に基づいて上記スイッチング素子をスイッチング駆
動するスイッチング駆動手段とを備え、さらに導通制御
素子と、上記導通制御素子としてのトランジスタ素子の
制御入力端子電位の波形が略鋸歯状となるようにして設
けられる時定数回路と、上記直流出力電圧のレベルに応
じて上記制御入力端子電位の立ち上がり期間を可変して
上記導通制御素子における電流導通量を可変制御するこ
とによって、上記スイッチング素子の駆動信号のレベル
を可変し、この可変された上記駆動信号のレベルに応じ
てスイッチング素子のスイッチング周波数が可変制御さ
れるようにすることで、上記直流出力電圧についての定
電圧制御を行うようにされる定電圧制御手段とを備える
ようにする。そして、さらに、当該電源回路内に生じた
過大とされるレベルの電流を検出することで、上記スイ
ッチング素子のスイッチング周波数が所定範囲内に維持
されるように動作し、上記スイッチング素子に発生する
過大な電流、及び電圧が抑制されるように制御する保護
手段を備えるようにした。
【0024】上記構成による電源回路は、ドライブトラ
ンスを備えることでスイッチング素子を自励式によって
駆動する複合共振形コンバータとしての基本構成を採
る。そして、定電圧制御のために、スイッチング素子に
接続された導通制御素子を備えるようにしている。そし
て、この導通制御素子を、その制御入力端子電位(ベー
ス−エミッタ間電圧)の波形が略鋸歯状波となるように
させれば、この鋸歯状波が立ち上がりを開始してピーク
となるまでの立ち上がり期間を可変することで、導通制
御素子における電流導通量を可変するようにされる。そ
して、これによってスイッチング素子のベース電流を導
通制御素子における電流導通量によって制御させ、スイ
ッチング素子のスイッチング周波数を可変制御するよう
にしている。このような定電圧制御の構成であれば、例
えば自励式の場合にスイッチング周波数可変制御のため
に用いられていた直交型制御トランスを省略することが
可能となる。
【0025】また、保護手段を設けることによっては、
二次側の負荷が短絡する等の異常時において、スイッチ
ング素子にかかる過大な共振電圧、及びスイッチング素
子に流れる過大なスイッチング出力電流(コレクタ電
流)を抑制することが可能となる。この結果、負荷短絡
時などにおいてスイッチング素子にかかる負担を軽減す
ることが可能となり、負荷短絡時などの異常時に対する
回路の信頼性が確保できる。
【0026】
【発明の実施の形態】<第1の実施の形態>図1は、本
発明の第1の実施の形態としての電源回路の構成を示し
ている。この図1に示す電源回路は、一次側に電圧共振
形コンバータを備えると共に二次側には並列共振回路を
備えた複合共振形スイッチングコンバータとしての構成
を採る。この図に示す電源回路においては、先ず、商用
交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力電圧
を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整流回路D
i及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回路が備え
られ、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流
平滑電圧Eiを生成するようにされる。また、商用交流
電源ACのラインには、電源のオン/オフを行うスイッ
チSWが挿入されている。
【0027】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1
石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングル
エンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コ
ンバータが備えられる。ここでの電圧共振形コンバータ
は自励式の構成を採っており、スイッチング素子Q1と
しては、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接
合型トランジスタ)が使用される。
【0028】スイッチング素子Q1のコレクタは、絶縁
コンバータトランスPITの一次巻線N1及びドライブ
トランスCDTの検出巻線NAを介して平滑コンデンサ
Ciの正極と接続される。また、エミッタは抵抗REを
介して一次側アースに接続される。この抵抗REは、例
えばスイッチング素子Q1のベース−エミッタ間電圧VB
E1が1.4V以上となる抵抗値のものが選定され、これ
によりスイッチング素子Q1のベース・エミッタ間電圧
VBE1は、例えば従来は0.7Vであったものが1.4
Vにまで引き上げられ、安定化のための制御範囲も拡大
されることになる。
【0029】また、図示するように、この抵抗REとス
イッチング素子Q1のエミッタの接続点からのライン
は、後述する過負荷保護回路2に入力されており、抵抗
REは、例えば負荷側が短絡する等の異常時において、
スイッチング素子Q1に生じた過大な電流を検出するよ
うにされている。
【0030】また、スイッチング素子Q1のコレクタ−
エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列
に接続される。この並列共振コンデンサCrのキャパシ
タンスと、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N
1に得られるリーケージインダクタンスとによって一次
側並列共振回路を形成する。そして、スイッチング素子
Q1のスイッチング動作に応じて、この並列共振回路に
よる共振動作が得られることで、スイッチング素子Q1
のスイッチング動作としては電圧共振形となる。
【0031】また、スイッチング素子Q1 のベース−エ
ミッタ間にはクランプダイオードDDが接続される。こ
こでは、クランプダイオードDDのアノードがエミッタ
(一次側アース)と接続され、カソードがベースに対し
て接続される。この第1の実施の形態の場合、クランプ
ダイオードDDは低速リカバリ型ダイオードが選定され
る。
【0032】ドライブトランスCDTは、スイッチング
素子Q1を自励式により駆動するために設けられる。こ
の場合、ドライブトランスCDTの一次側は検出巻線N
Aとされ、この検出巻線NAは絶縁コンバータトランスP
ITの一次巻線N1に直列に接続されていることで、絶
縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達され
たスイッチング素子Q1のスイッチング出力を検出する
ようになっている。そして、この検出巻線NAに得られ
る交番電圧が誘起される二次側に対して、駆動巻線NB
が巻装される。この駆動巻線NBは、スイッチング素子
Q1をスイッチング駆動する自励発振駆動回路を形成す
る。
【0033】上記各巻線(NA,NB)が巻装されるドラ
イブトランスCDTとしては、例えば図4に示すような
H字型フェライト磁心によるものか、或いは図5のEI
型フェライト磁心によるものを採用できる。図4の場合
は、H字型のフェライト磁心100に対して、検出巻線
NA、駆動巻線NBを巻装することで形成される。
【0034】図5の場合は、I型コア102とE型コア
103を図のように組み合わせてEI型コアを形成す
る。そしてE型コア103の中央磁脚に分割ボビン10
3を配し、この分割ボビン103に例えば図示するよう
にして、検出巻線NA、駆動巻線NBをそれぞれ巻装する
ことで形成される。
【0035】この図4、図5に示されるような構造のド
ライブトランスCDTは、例えば図8で説明した直交型
制御トランスPRTに比較した場合には、相当に小型軽
量なものとなる。また、このような構成とされること
で、ドライブトランスCDTは過飽和リアクトルとして
の特性を有することになるので、ドライブトランスCD
Tに巻装される検出巻線NAと駆動巻線NBのインダクタ
ンス特性としては、各巻線に流れる電流が「0」レベル
の時に素子としてのインダクタンス値を有し、この電流
の絶対値レベルが大きくなっていくのにしたがってその
インダクタンスが比例的に減少していくものとなる。
【0036】ドライブトランスCDTの検出巻線NAは
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と直列接
続されているため、自励発振駆動回路におけるドライブ
トランスCDTの駆動巻線NBは、一次巻線N1に伝達さ
れたスイッチング出力電圧により交番電圧が励起され
る。そして、上記した自励発振駆動回路としては、コン
デンサCBと駆動巻線NBのインダクタンスとによって、
直列共振回路を形成する。
【0037】上記自励発振駆動回路の駆動巻線NBに
は、上記もしたように、検出巻線NAにより励起される
ことで、ドライブ電圧としての交番電圧が発生する。こ
のドライブ電圧によって直列共振回路(NB−CB)が自
励的に発振動作を行うことで共振出力が得られることに
なる。そして、この共振出力により、スイッチング素子
Q1のベースにはスイッチング駆動信号としてのベース
電流IBが流れるようにされる。これにより、スイッチ
ング素子Q1は、直列共振回路の共振周波数により決定
されるスイッチング周波数でスイッチング動作を行うこ
とになる。そして、そのコレクタに得られるスイッチン
グ出力を絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1
に伝達する。
【0038】また起動抵抗RSは、整流平滑電圧Eiの
ラインとスイッチング素子のベースとの間に対して挿入
されている。例えば電源起動時においては、整流平滑電
圧Eiから起動抵抗RSを介してベース電流がスイッチ
ング素子Q1のベースに流れることで、スイッチング動
作を開始させるようになっている。
【0039】また、この図に示す回路には、小信号用の
NPN型のバイポーラトランジスタによる導通制御素子
Q2が配される。この導通制御素子Q2のコレクタは、ス
イッチング素子Q1のベースに接続される。また導通制
御素子Q2のエミッタは一次側アースに接地されてい
る。従って導通制御素子Q2のコレクタ−エミッタ間
は、例えばショットキーダイオードとされるクランプダ
イオードDDに対して並列に接続されているものとな
る。
【0040】ここで、絶縁コンバータトランスPITの
一次側には三次巻線N3が巻装されており、この三次巻
線N3に対して、図示するようにして、ダイオードD1と
コンデンサCO3から成る半波整流回路を接続すること
で、低圧の直流電圧を得るようにしている。そして、こ
の低圧直流電圧は、フォトカプラPCのフォトトランジ
スタ、抵抗R1を介して、導通制御素子Q2のベース(制
御入力端子)に接続されるようになっている。また、導
通制御素子Q2のベース−エミッタ間には抵抗R2が挿入
される。この抵抗R2の両端には、ベース−エミッタ間
電圧VBE2(制御入力端子電位)が得られる。導通制御
素子Q2のベース側の回路が上記のようにして形成され
ていることで、この導通制御素子Q2は、フォトカプラ
PCのフォトトランジスタにおいて変化する電流導通量
に応じて、コレクタ電流IQ2としての導通量を可変する
ようにして制御することとなる。なお、フォトカプラP
Cのフォトトランジスタの電流導通量を制御するのは、
二次側に設けられる制御回路1の動作となるのであるが
これについては後述する。
【0041】さらに本実施の形態においては、導通制御
素子Q2のベース−エミッタ間に対して小容量のフィル
ムコンデンサC3を挿入している。つまり、コンデンサ
C3は、ベース−エミッタ間電圧VBE2が生じる抵抗R2
に対して並列に接続されることで、時定数回路を形成し
ているものとみることができる。このコンデンサC3に
対しては、フォトカプラPCのフォトトランジスタ及び
抵抗R1を介して導通制御素子Q2のベースに流れようと
する電流が充放電されるのであるが、これによっては、
後述するようにして、スイッチング素子Q1がオンとな
る期間内にほぼ対応して、ベース−エミッタ間電圧VBE
2のレベルを比例的に上昇させていく動作が得られる。
つまり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間におけ
るベース−エミッタ間電圧VBE2が略鋸歯状波となるよ
うにしている。
【0042】絶縁コンバータトランスPITは、スイッ
チング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送す
る。この絶縁コンバータトランスPITは、例えばフェ
ライト材による2組のE型コアを互いの磁脚が対向する
ように組み合わせたEE型コアが備えられ、このEE型
コアの中央磁脚に対して、分割ボビンを利用して一次巻
線N1と、二次巻線N2をそれぞれ分割した状態で巻装し
ている。そして、中央磁脚に対してはギャップを形成す
るようにしている。これによって、所要の結合係数によ
る疎結合の状態が得られるようにしている。ギャップ
は、2組のE型コアの各中央磁脚を、2本の外磁脚より
も短くすることで形成することが出来る。また、結合係
数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合の状態
を得るようにしており、その分、飽和状態が得られにく
いようにしている。
【0043】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。そして、この図1に示す回路において
は、二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2
が並列に接続される。従って、この場合には、二次巻線
N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コ
ンデンサC2のキャパシタンスとによって並列共振回路
が形成される。この並列共振回路により、二次巻線N2
に誘起される交番電圧、及び検出巻線NAに得られる交
番電圧は共振電圧となる。つまり二次側において電圧共
振動作が得られる。
【0044】つまり、この電源回路は、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路を
備え、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回
路を備えた「複合共振形スイッチングコンバータ」とさ
れるものである。
【0045】上記のようにして形成される電源回路の二
次側に対しては、二次巻線N2に接続される二次側整流
ダイオードDO1と平滑コンデンサCO1とからなる半波整
流回路が備えられ、これにより、二次巻線N2に誘起さ
れる交番電圧のほぼ等倍レベルに対応する二次側直流出
力電圧EO1を得るようにしている。また、ここでは、二
次巻線N2に対してタップ出力を設けて、このタップ出
力と二次側アース間に対して、図示するように、二次側
整流ダイオードDO2と平滑コンデンサCO2から成る半波
整流回路を接続することで、低圧の二次側直流出力電圧
EO2を得るようにしている。
【0046】制御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入
力とする誤差増幅器として機能する。即ち定電圧制御の
ために、直流出力電圧EO1に応じたレベルの電流をフォ
トカプラPCのフォトダイオードに流すように機能す
る。一次側に配されているフォトトランジスタには、二
次側に配されるフォトダイオードに流れる電流量に応じ
た電流が流れることになるが、これは導通制御素子Q2
のベース−エミッタ間電圧VBE2の変化として現れる。
このベース−エミッタ間電圧VBE2に応じたベース電流
が導通制御素子Q2のベースに流されることになるが、
これによっては、導通制御素子Q2のコレクタに流れる
コレクタ電流IQ2のレベルも二次側直流電圧EO2のレベ
ルに応じて可変されることになる。この動作によって
は、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変
し、これによって二次側直流出力電圧が一定となるよう
に安定化を図るようにされる。なお、本電源回路におけ
るこのような二次側直流出力電圧に対する定電圧制御動
作については後述する。
【0047】また、前述もしたように、導通制御素子Q
2のベース−エミッタ間に対してコンデンサC4が挿入さ
れることで、ベース−エミッタ間電圧VBE2は、スイッ
チング素子Q1がオンとなる期間にほぼ対応して鋸歯状
波となり、この結果、スイッチング素子Q1におけるス
イッチング損失を低減させる作用が得られる。
【0048】本実施の形態の電源回路では、これまで説
明した構成に加え、さらに図示するように過負荷保護回
路2が備えられている。この過負荷保護回路2は、図1
の破線内に示すように、抵抗R3、R4、R5、トランジ
スタQ3,小信号用サイリスタQ4、コンデンサC4、ツ
ェナーダイオードD2を有して構成される。まず、この
過負荷保護回路2においては、抵抗R3が図示するよう
に平滑コンデンサCiの正極端子と直列に接続される。
そして、この抵抗R3にはツェナーダイオードD2のカソ
ードが接続され、ツェナーダイオードD2のアノードは
一次側アースに接地される。さらに、これら抵抗R3と
ツェナーダイオードD2との接続点には、PNP型のト
ランジスタQ3のエミッタが接続される。このような構
成により、整流平滑電圧Eiが抵抗R3を介して入力さ
れて、このようにして得られる電圧をツェナーダイオー
ドD2によって、例えば5V程度の直流電圧が安定して
得るようにされる。そして、この約5Vの直流電圧に応
じた電流がトランジスタQ3のエミッタに供給され、こ
れが過負荷保護回路2の動作用電源とされる。
【0049】また、トランジスタQ3のコレクタは、抵
抗を介して上述した導通制御素子Q2のベースに接続さ
れる。また、トランジスタQ3のベースは、抵抗を介し
て小信号用サイリスタQ4のアノードに接続される。こ
の小信号用サイリスタQ4のカソードは、一次側アース
に接地されている。そして、ゲートには抵抗R5が接続
され、この抵抗R5は、上述もしたようにスイッチング
素子Q1のエミッタと抵抗REとの接続点に接続され
る。なお、この図に示すように、小信号用サイリスタQ
4のゲート−一次側アース間に対してコンデンサC4と抵
抗R4から成る並列回路を介入させるようにすれば、抵
抗REによって検出された過大とされるレベルの電流が
まずこの並列回路に流入するようになり、その後この電
流レベルに応じた電圧が小信号用サイリスタQ4のゲー
トに印加されることとなるため、回路誤動作を防止する
ことが可能となる。
【0050】このように構成される過負荷保護回路2に
よっては、負荷側が短絡するなどの異常時において、ス
イッチング素子Q1に過大な電流及び電圧が生じるのに
伴って、抵抗REに流れることとなる過大なレベルの電
流を検出するようにされることで、導通制御素子Q2の
ベース電流の電流量を増加させて、スイッチング素子Q
1のスイッチング周波数を高くするようにして制御する
動作が得られるのであるが、この動作については後述す
る。
【0051】以上が本実施の形態における電源回路の構
成についての説明であるが、このような構成によって
は、電源回路の要部において、図2に示すような動作が
得られることとなる。図2は、本例の電源回路における
要部の動作を示す波形図である。なお、この図に示す各
部の動作波形は、本回路の定常動作範囲内とされる定格
最大負荷時において得られるものである。
【0052】まず、ドライブトランスCDTに巻装され
る駆動巻線NBには、前述したようにして励起作用によ
る交番電圧が発生する。そして、自励発振駆動回路(N
B−CB)は、この駆動巻線NBに発生した交番電圧を基
として自励発振動作を行う。つまり、時定数コンデンサ
CBと駆動巻線NBとにより形成される直列共振回路が共
振動作を行って、この共振出力をベース電流としてスイ
ッチング素子Q1のベースに流すようにされる。
【0053】この直列共振回路(CB−NB)の共振動作
によっては、時定数コンデンサCBにスイッチング周期
に対応する正弦波状の共振電圧が発生し、これにより、
スイッチング素子Q1のベースに流れるベース電流IB
は、図2(c)に示すようになる。また、この共振電圧
により、図2(f)のようなクランプダイオードDD1に
流れるダンパー電流IDと、図2(g)のような導通制
御素子Q2のコレクタ電流IQ2とが分岐して流れるよう
にされる。
【0054】スイッチング素子Q1がオンとなる期間T
ONにおいては、まずクランプダイオードDDが導通し
て、図2(f)に示すようにしてダンパー電流IDが流
れる。この期間のダンパー電流IDは、スイッチング素
子Q1のベース→コレクタのPN接合を介して一次巻線
N1に流れていく。これに応じて、この期間におけるス
イッチング素子Q1のコレクタ電流IQ1としては、図2
(b)に示すように、負極性の方向に流れる波形が得ら
れる。また、ベース電流IBは、図2(c)に示すよう
にして、期間TONの開始時点で正極性に立ち上がり、そ
の直後に0レベルに下降していく。
【0055】そしてこの後、クランプダイオードDDは
オフとなる。このとき、ベース電流IB(図2(c))
としては、正極性による順方向電流IB1が流れる。この
順方向電流IB1は、駆動巻線NB→時定数コンデンサCB
の経路で正極性の共振電流が流れることで得られる。そ
して、その後、この共振電流が負極性に反転すると、こ
れと共に、ベース電流IBもベース蓄積キャリア消滅時
間tstgにより負極性に反転する。これにより、この期
間においては、図2(c)に示すように逆方向電流IB2
が流れることになる。このようにして、ベース電流IB
が流れるのに応じて、スイッチング素子Q1は導通する
ことになり、図2(b)に示すようにして、スイッチン
グ素子Q1のコレクタには、正極性のコレクタ電流IQ1
が流れる。
【0056】そして、ベース電流IB(図2(c))
は、逆方向電流IB2が流れるベース蓄積キャリア消滅時
間tstgが完了するとゼロレベルになり、これによっ
て、スイッチング素子Q1はオフとなる期間TOFFに移
行する。
【0057】上記のようにしてスイッチング素子Q1が
スイッチング動作を行うことで、一次側並列共振コンデ
ンサCrの両端に得られる共振電圧V1は、図2(a)
に示すようにして、スイッチング素子Q1がオンとなる
期間TONでは0レベルで、オフとなる期間TOFFでは正
弦波状のパルスとなる波形が得られる。これは、一次側
スイッチングコンバータが電圧共振形の動作であること
を示している。
【0058】また、導通制御素子Q2のコレクタはスイ
ッチング素子Q1のベースに接続されているため、導通
制御素子Q2のコレクタには図2(g)のようにコレク
タ電流IQ2が流れる。ここで、導通制御素子Q2のベー
ス−エミッタ間電圧VBE2は、図2(h)に示すように
して、期間TON開始時のクランプダイオードDDが導通
する期間において負極性となり、その後正極性となる。
そして、この場合には、ベース−エミッタ間電圧VBE2
は、負極性による或るレベルから正極性に反転するよう
にして徐々に増加していく鋸歯状波としての波形が得ら
れている。このようにして期間TONにおけるベース−エ
ミッタ間電圧VBE2が一定レベルを維持せず、図示する
ような鋸歯状波となるようにしていることで、図2
(g)のコレクタ電流IQ2として示すように、TON期間
の終端近辺でオン状態として正極性のコレクタ電流IQ2
を流すように動作させることが可能となる。
【0059】なお、ベース−エミッタ間電圧VBE2が鋸
歯状波となるのは、前述もしたように、導通制御素子Q
2のベース−エミッタ間に対してコンデンサC3を並列に
挿入していることによるものであり、TON期間内におい
て導通制御素子Q2がオフ状態からオン状態に遷移する
タイミングは、例えばコンデンサC3のキャパシタンス
(時定数)と、このコンデンサC3に並列接続される抵
抗R2の抵抗値(時定数)によって決定することができ
る。
【0060】続いて、同じく図2を参照して、図1に示
した電源回路の定電圧制御動作について説明する。ま
ず、例えば交流入力電圧VACが上昇する、或いは、負荷
電力が小さくなるなどして二次側直流出力電圧EO1のレ
ベルが上昇したとすると、先に説明したように制御回路
1が、この上昇のレベルに応じてフォトカプラPCのフ
ォトダイオード(一次側のフォトトランジスタ)の電流
を増加させるように動作することになる。
【0061】フォトトランジスタの電流が増加すると、
それだけコンデンサC3への充電電流量が増加すること
になるので、図2(h)に示すベース−エミッタ間電圧
VBE2としての鋸歯状波形の傾きは大きくなっていくこ
とになる。これによっては、スイッチング素子Q1がO
NとなるTON期間内における導通制御素子Q2の導通タ
イミングを早めるように動作することになる。これによ
り、導通制御素子Q2を流れるコレクタ電流IQ2(図2
(g))としては、例えば重負荷の条件の場合よりも、
大きな振幅が得られることとなる。
【0062】導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2の振
幅が大きくなって、期間TON内におけるコレクタ電流I
Q2の電流量が増加した場合には、それだけベース電流I
Bの電流量が少なくなるように変化する動作が得られ
る。これによっては、図2(c)に示すスイッチング素
子Q1のベース蓄積キャリア消滅時間(tstg)は短く
なる。これに伴い、スイッチング素子Q1がオンとなる
期間TONの長さが短くなっていくようにして可変される
ことになる。
【0063】期間TON内の期間長が短くなれば、スイッ
チング素子Q1のスイッチング周波数は高くなることに
なる。そして、スイッチング周波数が可変制御されるこ
とによっては、例えば一次側並列共振回路の共振インピ
ーダンスが可変されることとなって、絶縁コンバータト
ランスPITの一次側から二次側に対して伝送される電
力も可変されることになる。そして、最終的には二次側
直流出力電圧EO1のレベルも可変制御されることとな
り、この結果、制御回路1が二次側直流出力電圧EO1の
レベルに応じた電流をフォトカプラPCのフォトダイオ
ードに供給することで、二次側直流出力電圧のレベルを
一定に維持するという定電圧制御動作が実現されること
となるのである。
【0064】また、本実施の形態においてスイッチング
周波数を可変制御するのにあたっては、スイッチング素
子Q1がオフとなる期間TOFFは一定で、オンとなる期間
TONについて可変するようにされている。つまり、この
場合にも複合制御方式による定電圧制御動作が得られて
いるものである。
【0065】続いて、負荷側が定格最大負荷を越えて短
絡するなどした場合における、本実施の形態の電源回路
が備える過負荷保護回路2の動作について説明する。
【0066】まず、負荷側が短絡した場合、二次側直流
出力電圧ラインに流れる電流レベルが通常時より増加
し、このラインには過大な電流が流されることになる。
また、このときのスイッチング素子Q1のスイッチング
周波数はほぼ下限にまで低下することとなる。このた
め、スイッチング素子Q1にも過大なレベルのコレクタ
電流が流れる。このようにスイッチング素子Q1に過大
な電流は、スイッチング素子Q1のエミッタに接続され
る抵抗REにより検出されることになる。つまり、抵抗
REには、過大とされるエミッタ電流に応じた所定以上
の両端電圧VEが得られることになる。
【0067】上記のようにして、過大電流に応じて抵抗
REに両端電圧VEが発生することによっては、抵抗R5
にも所要のレベルの両端電圧が得られることになる。そ
して、このようにして得られた電圧は、抵抗R5に接続
される小信号用サイリスタQ4のゲートに印加され、小
信号用サイリスタQ4が導通することとなる。
【0068】小信号用サイリスタQ4が導通することに
よっては、この小信号サイリスタQ4のアノードに抵抗
を介して接続されるトランジスタQ3のベースにベース
電流が流れるようになり、これによりトランジスタQ3
が導通する。このように小信号サイリスタQ4、トラン
ジスタQ3が導通することによって、この過負荷保護回
路2では過負荷保護のための制御電流が生成されること
となる。そして、この保護制御電流はトランジスタQ3
のコレクタに抵抗を介して接続される導通制御素子Q2
のベースに流入することとなり、この結果、導通制御素
子Q2のベース電流が増加するようになり、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング周波数が高くなるように制御
されることとなる。なお、この過負荷保護回路2の動作
は、一度スイッチSWをオフすることで停止させること
が可能である。そして、これによりサイリスタQ4はリ
セットされることになるため、再びスイッチSWをオン
とすれば、電源回路は定常動作を開始することが可能と
なる。
【0069】図3に過負荷保護回路2動作時における電
源回路各部における動作波形を示す。まず、過負荷保護
回路2が動作を開始し、導通制御素子Q2のベースに保
護制御電流が流されることによって、導通制御素子Q2
のベース−エミッタ間電圧VBE2の波形は、図2(g)
に示す電源回路の定常動作時における波形から図3
(g)へと遷移し、その振幅が大きくなっていることが
示されている。また、これに伴ってコレクタ電流IQ2の
波形も図2(h)から図3(h)に示すようになり、ス
イッチング素子Q1がONとなる期間TON内における振
幅が大きくなっていることがわかる。
【0070】このように導通制御素子Q2のコレクタ電
流IQ2の振幅が大きくなって、期間TON内におけるコレ
クタ電流IQ2の電流量が増加した場合には、それだけ共
振電流の電流量が少なくなるように変化する動作が得ら
れる。この共振電流を基として得られるベース電流IB
の波形は、例えば図2(c)から図3(c)への遷移と
して示すようにして変化することになるが、これによっ
ては、スイッチング素子Q1のベース蓄積キャリア消滅
時間(tstg)は短くなる。これに伴い、スイッチング
素子Q1がオンとなる期間TON内の期間の長さが短くな
っていくようにして可変されることになる。
【0071】期間TONが短くなれば、先に定電圧動作の
ところで説明したように、スイッチング素子Q1のスイ
ッチング周波数は高くなるようにして制御されることに
なる。すなわち、図2(a)に示す定常動作時における
共振電圧V1の波形と図3(a)に示す場合における共
振電圧V1の波形と比較して、図3(a)に示す波形の
方がTON期間が短くなって、スイッチング素子Q1のス
イッチング周波数が高くなるようにされるのである。
【0072】そして、このようにスイッチング周波数が
高くなるのに伴い、スイッチング素子Q1のコレクタ電
流IQ1としては図3(b)に示すようになり、また、ス
イッチング素子Q1のエミッタに接続される抵抗REの
両端電圧VE、及びスイッチング素子Q1のベース・エ
ミッタ間電圧VBE1はとしては、それぞれ図3(e)、
図3(d)に示すような波形が得られ、これらスイッチ
ング素子Q1のベース、エミッタ、コレクタのそれぞれ
に発生する電流及び電圧は、図2の場合と比べて減少し
ていることがわかる。また、さらにクランプダイオード
DDのダンパー電流IDとしても、図3(f)に示すよう
に、その電流量が減少することとなる。
【0073】このようにスイッチング素子Q1のベー
ス、エミッタ、コレクタのそれぞれに発生する電流及び
電圧が減少することによって、スイッチング素子Q1に
かかる負担が軽減されることとなる。
【0074】このように過負荷保護回路2によって、負
荷短絡時などの異常時において、スイッチング素子Q1
にかかる負担を軽減することが可能となることで、本実
施の形態ではスイッチング素子Q1についてはより耐圧
品で、より小電流容量のものを選定することが可能にな
って、低コストで小型のものを使用することができるこ
とになる。
【0075】以上、第1の実施の形態について説明した
が、上記した本実施の形態による定電圧制御回路系の構
成とすれば、先行技術としての図7の電源回路に備えら
れていた直交型制御トランスPRTは省略されることと
なる。これにより、本実施の形態では、直交型制御トラ
ンスPRT製造時におけるギャップのばらつき等に起因
する駆動巻線NBについてのインダクタンス値のばらつ
きの問題は解消されることになる。従って、交流入力電
圧VACの範囲に対するマージンを少なく設定することが
可能となるので、回路設計も容易なものとすることが可
能になる。また、直交型制御トランスPRTの製造工程
の困難性にかかる問題も解消される。さらにAC/DC
電力変換効率の向上も図られる。
【0076】また、図7の例のように直交型制御トラン
スPRTの制御巻線NCに制御電力を供給してスイッチ
ング周波数を制御する構成ではないので、軽負荷時の無
効電力を低減し、電力損失を低減できる。
【0077】また、ドライブトランスCDTは、H字型
コア、或いは超小型のEI−12型フェライトコアによ
って構成が可能であり、図7の先行技術に示したように
直交型制御トランスPRTを設ける場合に比べて大幅に
小型軽量化を図ることができる。
【0078】さらに、本実施の形態の構成であれば、導
通制御素子Q2に流れる電流は非常に少なく、また、導
通制御素子Q2にかかる電圧も低いものとなっている。
このため、導通制御素子Q2としてのバイポーラトラン
ジスタについては、耐圧30V、定格電流0.1A以下
の、低耐圧小容量品を選定すればよいことになる。例え
ば、先に本出願人は、複合共振形スイッチングコンバー
タに対して、一次側並列共振電圧又は二次側共振電圧を
クランプするアクティブクランプ回路を設け、このアク
ティブクランプ回路の導通角制御によって電源の安定化
を図る構成を各種提案しているのであるが、この場合に
は、アクティブクランプ回路を形成するスイッチング素
子(トランジスタ)については、一次側並列共振電圧レ
ベル又は二次側共振電圧レベルに応じた高耐圧品を選定
する必要があり、それだけコスト及びサイズの点などで
不利であった。これに対して本実施の形態では、導通制
御素子Q2としてのバイポーラトランジスタについて低
耐圧小容量品が選定されるのであるから、それだけ低コ
スト化及び小型軽量化を実現することが可能となるもの
である。
【0079】また、先に図2の波形図により説明したよ
うに、本実施の形態においては、導通制御素子Q2のベ
ース−エミッタ間に対してコンデンサC3を設けること
によって、そのベース−エミッタ間電圧VBE2が期間TO
N内において鋸歯状波となるようにしている。これによ
って、導通制御素子Q2を期間TONの全期間にわたって
導通させるのではなく、期間TON内の終端期間において
のみ導通させるようにしている。この導通期間は、スイ
ッチング素子Q1のベース蓄積キャリア消滅時間(tst
g)に対応し、この期間においてスイッチング素子Q1の
ベースには逆方向電流IB2が流れるようにされる。そし
て、導通制御素子Q2がこの期間に導通してコレクタ電
流IQ2が流れると、ベース電流IBの逆方向電流IB2も
増加することとなる。
【0080】また、ドライブトランスCDTは図4、図
5に示したようなH字型コア、あるいはEI型コアを採
用するものであるが、これらのコアによるドライブトラ
ンスCDTは、飽和状態が得られやすいため、ベース電
流IBが正極性となるIB1期間には、駆動巻線NBのイン
ダクタンス変化はほとんどなく、負極性となるIB2期間
に駆動巻線NBのインダクタンスは磁心の飽和によって
急激に低下するようになる。
【0081】これらの結果、スイッチング素子Q1のベ
ースに流すベース電流IBのピークレベルは、図2
(c)に示すようにして、逆方向電流IB2は、順方向電
流IB1よりもはるかに大きくなる。これによって、スイ
ッチング素子Q1の下降時間は短くなってスイッチング
素子Q1のターンオフ時のスイッチング損失が低減され
る。また、同時に蓄積時間tstgも短縮されることで、
スイッチング素子における電力損失はより少ないものと
なる。またこれによって定電圧の制御範囲の拡大もはか
られる。
【0082】さらに、本実施の形態では、スイッチング
素子Q1のエミッタ−一次側アース間に抵抗REが挿入
される。この抵抗REの両端電圧VEは図2(e)に示す
ようになり、これによってスイッチング素子Q1のベー
ス・エミッタ間電圧VBE1は図2(d)に示すように引
き上げられる。例えばベース・エミッタ間電圧VBE1
は、0.7Vから本例の場合1.4Vに引き上げられ
る。従って、本実施の形態のように抵抗REを設けるこ
とによっても定電圧制御範囲が拡大されることになる。
【0083】また、上述もしたように本実施の形態では
過負荷保護回路2が設けられるのであるが、この過負荷
保護回路2を設けることにより、負荷短絡時などの異常
時におけるスイッチング素子Q1に対する過電流保護及
び過電圧保護が行われることになるので、例えば先に図
8に示したような過電流制限回路10を備える必要はな
くなる。このため、本実施の形態の電源回路では、交流
入力電圧VACが上昇したときに対応したマージンと、過
電流制限回路10を構成する部品のばらつきによる定常
動作時の誤動作マージンを考慮して回路設計を行う必要
はないこととなる。
【0084】また、このため、本実施の形態において
は、スイッチング素子Q1をはじめとする所用各部の構
成部品として、より低耐圧品のものを選定することが可
能になる。また、電流容量についても小容量のものを選
定することができる。低耐圧で小容量のスイッチング素
子を選定できれば、その形状をより小型なものとするこ
とができる。例えば図8に示す回路では、スイッチング
素子Q1について、1200V耐圧でTO−3Pの大型
なパッケージとなるが、図1に示す本実施の形態の回路
では、700V耐圧でTO−220の中型パッケージと
することができるものである。また、低耐圧品とされる
ことで、スイッチング特性も向上されるので、スイッチ
ング素子Q1における電力損失も低減されることにな
る。
【0085】またさらに、例えば図8に示した電源回路
に備えられる過電流制限回路10においては、スイッチ
ング素子Q1に生じた過大な電流を直接入力し、直接ス
イッチング素子Q1のベース電流を制限する動作が行わ
れるため、この過電流制限回路10を構成する半導体と
しては、その低耐圧、及び小電流容量化には限界があ
る。これに対して本実施の形態では、負荷側が短絡する
等の異常時においてスイッチング素子Q1にかかる負担
を軽減するためにスイッチング素子Q1のスイッチング
周波数を制御するのにあたり、過負荷保護回路2では導
通制御素子Q2に流すべき電流量の制御を行うことで足
るため、これらに備えられる半導体としてはより低耐圧
で小電流容量のものを選定することが可能となる。この
点でも、本実施の形態の場合、回路の小型化及び低コス
ト化が図られることとなる。 <第2の実施の形態>
【0086】図6は、本発明の第2の実施の形態として
の電源回路の構成を示している。なお、この図において
は、図1と同一部分は同一符号を付して説明を省略し、
図1の例と異なる部分についてのみ述べることとする。
【0087】この場合、スイッチング素子Q1のエミッ
タと一次側アース間には抵抗REは挿入されておらず、
また、スイッチング素子Q1のベースと一次側アース間
にはクランプダイオードDDが接続されるが、この例の
場合は、クランプダイオードDDは高速リカバリ型ダイ
オードとされる。
【0088】また、スイッチング素子Q1のベースに対
しては、図示するように、[ベース電流制限抵抗RB−
時定数(共振用)コンデンサCB−駆動巻線NB]の直列
接続回路が接続される。この直列接続回路は、スイッチ
ング素子Q1を自励式によりスイッチング駆動するため
の自励発振駆動回路となる。この場合、例えば電源起動
時においては、整流平滑電圧Eiから起動抵抗RSを介
し、さらに駆動巻線NB−ベース電流制限抵抗RBを介し
たベース電流がスイッチング素子Q1のベースに流れる
ことで、スイッチング動作を開始させるようになってい
る。
【0089】また、この図6に示す電源回路におけるド
ライブトランスCDTには、検出巻線NAと駆動巻線NB
に加え、制御巻線NCが巻装される。これらの各巻線の
巻き方向は、図示するようにして、駆動巻線NBと制御
巻線NCが逆相で、この巻線NBに対して検出巻線NAが
同相となるようにして巻装されている。
【0090】上記各巻線(NA,NB,NC)が巻装され
るドライブトランスCDTとしては、例えばH字形フェ
ライトコアによる開磁路型ものか、或いはEI型フェラ
イトコアによる閉磁路型ものを採用できる。H字型フェ
ライトコアの場合は、図4で説明したものと同様にこの
H字型のフェライトコアに対して、検出巻線NA、駆動
巻線NB、及び制御巻線NCを巻装することで形成され
る。
【0091】EI型フェライトコアの場合も、図5と同
様にI型コアとE型コアを組み合わせてEI型コアを形
成する。そしてE型コアの中央磁脚に分割ボビンを配
し、この分割ボビンに、例えば検出巻線NA、駆動巻線
NB、及び制御巻線NCをそれぞれ巻装することで形成さ
れる。この場合も、これらH字型フェライトコア、或い
はEI型フェライトコアによる閉磁路構造のドライブト
ランスCDTは、例えば図7で説明した直交型制御トラ
ンスPRTと比較して相当に小型軽量なものとなってい
る。
【0092】ところで、ドライブトランスCDTにおい
て、検出巻線NA及び駆動巻線NBは絶縁コンバータトラ
ンスPITの一次側に在るようにされる。一方、制御巻
線NCは、絶縁コンバータトランスPITの二次側に在
るようにされる。このため、例えば、一次側と二次側の
直流的絶縁性を確保するのにあたっては、フォトカプラ
等を設けることが一般には行われる。これに対して、本
実施の形態では、制御巻線NCについて三重絶縁線を選
定することで、検出巻線NA及び駆動巻線NBに対する絶
縁性を確保するようにしており、これによってフォトカ
プラを介在させなくとも充分な絶縁状態を得るようにし
ている。
【0093】また、本実施の形態のドライブトランスC
DTに巻装される制御巻線NCは、その巻始め端部側が
二次側アースに接地され、巻終わり端部が導通制御素子
Q2のコレクタと接続される。また、導通制御素子Q2の
エミッタは二次側アースに接地されている。つまり、制
御巻線NCと導通制御素子Q2(コレクタ−エミッタ)
は、絶縁コンバータトランスPITの二次側において直
列に接続された直列接続回路を形成しているとみること
ができる。この場合、導通制御素子Q2としては、NP
N型のバイポーラトランジスタが選定されている。
【0094】導通制御素子Q2のベース(制御入力端
子)は、抵抗R1を介して、後述する制御回路5内に設
けられるPNP型のトランジスタQ3のコレクタと接続
される。また、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間
には抵抗R2が挿入される。この抵抗R2の両端には、ベ
ース−エミッタ間電圧VBE2(制御入力端子電位)が得
られる。
【0095】そして、第1の実施の形態と同様に、導通
制御素子Q2のベース−エミッタ間に対してコンデンサ
C3を挿入している。つまり、この場合もコンデンサC3
は、ベース−エミッタ間電圧VBE2が生じる抵抗R2に対
して並列に接続されることで、時定数回路を形成してい
るものである。このコンデンサC3に対しては、制御回
路5側のトランジスタQ3のコレクタから導通制御素子
Q2のベースに流れようとする電流が充放電されるので
あるが、これによっては、後述するようにしてスイッチ
ング素子Q1がオンとなる期間内にほぼ対応して、ベー
ス−エミッタ間電圧VBE2のレベルを比例的に上昇させ
ていく動作が得られる。つまり、スイッチング素子Q1
がオンとなる期間におけるベース−エミッタ間電圧VBE
2が鋸歯状波となるようにしている。
【0096】また、図示するように絶縁コンバータトラ
ンスPITの二次側では、二次巻線N2 に対してタップ
を設けた上で、整流ダイオードDO1,DO2,DO3,DO4
及び平滑コンデンサCO1,CO2を図示するように接続す
ることで、[整流ダイオードDO1,DO2、平滑コンデン
サCO1]の組と、[整流ダイオードDO3,DO4、平滑コ
ンデンサCO2]の組とによる、2組の全波整流回路が設
けられる。[整流ダイオードDO1,DO2、平滑コンデン
サCO1]から成る全波整流回路は直流出力電圧EO1を生
成し、[整流ダイオードDO3,DO4、平滑コンデンサC
O2]から成る全波整流回路は直流出力電圧EO2を生成す
る。つまり、この図に示す回路では、二次側において直
流出力電圧を得るのにあたり全波整流回路が設けられ
る。この場合、二次側直流出力電圧EO1は、制御回路5
に対して定電圧制御のための検出電圧として入力され
る。また、二次側直流電圧EO2は、制御回路5の動作電
源として利用される。
【0097】また、本実施の形態の場合、二次巻線N2
にさらにセンタータップが設けられ、このラインの一方
には後述する過負荷保護回路3の小信号用サイリスタQ
5のカソードが接続される。また、図示するように、こ
のラインのもう一方は過電流保護抵抗ROが挿入され、
二次側アースに接地されている。このように過電流保護
抵抗ROが二次巻線N2と二次側アース間に挿入される
ことによって、例えば二次側の負荷が短絡するなどの異
常時に、負荷側から二次側アースを介してこの過電流保
護抵抗ROに流入する過大なレベルの電流に応じた電圧
が発生するようにされ、これにより小信号用サイリスタ
Q5のカソードに電圧が印加されるようにされて、後述
するようにして過負荷保護回路3の動作を開始させるた
めの検出抵抗となるようにされている。なお、この場
合、過電流保護抵抗ROとしては低抵抗のものが選定さ
れ、定格負荷時においては両端電圧がほとんど生じない
ようにされているものとする。
【0098】制御回路5は、直流出力電圧EO1と二次側
アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点
(分圧点)に対してシャントレギュレータQ9のコント
ロール端子が接続される。また、抵抗R4に対しては、
コンデンサC5が並列に接続される。シャントレギュレ
ータQ9のアノードは二次側アースに接地され、カソー
ドは抵抗R7を介してPNP型のトランジスタQ3のベー
スに接続される。トランジスタQ3は、シャントレギュ
レータQ9のアノードに流れる電流を増幅するために設
けられている。トランジスタQ3のエミッタは二次側直
流電圧EO2のラインと接続され、コレクタは、抵抗R1
を介して先に述べた導通制御素子Q2のベースに対して
接続される。このコレクタの出力が、制御回路5の検出
出力となる。また、ベース−エミッタ間には、抵抗R6
を挿入している。
【0099】上記のような接続形態により形成される制
御回路5は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増
幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R
3、R4により分圧した電圧が、コントロール電圧として
シャントレギュレータQ9のコントロール端子に対して
入力されることで、シャントレギュレータQ9には、直
流出力電圧EO1に応じたレベルの電流が流れることにな
る。そして、この電流がトランジスタQ3によって増幅
されてコレクタから出力される。
【0100】トランジスタQ3のコレクタ電流のレベル
変化に応じては、導通制御素子Q2のベース−エミッタ
間電圧VBE2が変化することになって、このベース−エ
ミッタ間電圧VBE2に応じたベース電流が導通制御素子
Q2のベースに流されることになるが、これによって
は、導通制御素子Q2のコレクタに流れるコレクタ電流
IQ2のレベルも二次側直流電圧EO1のレベルに応じて可
変されることになる。これは即ち、導通制御素子Q2の
コレクタと二次側アース間に接続された制御巻線NCに
流れる電流レベル(振幅)を可変制御することを意味す
る。この動作によっては、スイッチング素子Q1のスイ
ッチング周波数を可変し、これによって二次側直流出力
電圧が一定となるように安定化を図るようにされること
となる。このような本実施の形態における制御回路5、
及び導通制御回路系による定電圧制御動作については後
述する。
【0101】また、前述もしたように、本実施の形態で
は、第1の実施の形態と同様に導通制御素子Q2のベー
ス−エミッタ間に対してコンデンサC3が挿入されるて
おり、これによりベース−エミッタ間電圧VBE2は、ス
イッチング素子Q1がオンとなる期間にほぼ対応して鋸
歯状波となり、この結果、本例の場合も第1の実施の形
態と同様にスイッチング素子Q1におけるスイッチング
損失を低減させる作用が得られるようにされている。
【0102】また、さらにこの第2の実施の形態におい
ても、これまで説明した電源回路の構成に加え、図示す
るように過負荷保護回路3が備えられている。この過負
荷保護回路3は、図示するように、小信号サイリスタQ
5、トランジスタQ6、Q7、コンデンサC4、抵抗R8を
有して構成される。まず、この過負荷保護回路3におい
ては、上述もしたように小信号サイリスタQ5のカソー
ドが二次巻線N2のセンタータップに接続される。そし
て、この小信号サイリスタQ5のゲートは抵抗R8//コン
デンサC4の並列回路を介して二次側アースに接地され
ており、これにより二次側の負荷が短絡した際に、負荷
側より、二次側アースから抵抗R8を介して流入する過
大なレベルの電流に応じた電圧が小信号用サイリスタQ
5のゲートに印加されるようにされている。このよう
に、二次側の負荷が短絡した際に、小信号用サイリスタ
Q5のゲートに電圧が印加され、かつ、上述したように
して過電流保護抵抗ROによって小信号用サイリスタQ5
のカソードに電圧が印加されることによって、小信号用
サイリスタQ5が導通するようにされ、過負荷保護回路
3の動作が開始されるようにされている。なお、上述し
たように小信号サイリスタQ5のゲート−二次側アース
間にコンデンサC4と抵抗R8とから成る並列回路を接続
することによっては、回路誤動作を防止することが可能
となる。
【0103】小信号用サイリスタQ5のアノードは抵抗
を介してPNP型のトランジスタQ6のベースに接続さ
れる。そして、このトランジスタQ6のエミッタには、
当該電源回路に備えられるとする図示しないスタンバイ
電源回路からの、例えば約5Vの直流電圧が入力され、
これが過負荷保護回3の動作用電源とされる。トランジ
スタQ6のコレクタは抵抗を介してNPN型のトランジ
スタQ7のベースに接続される。また、図示するように
このトランジスタQ7のベース−二次側アース間には抵
抗が挿入される。また、トランジスタQ7のエミッタは
二次側アースに接地され、コレクタが制御巻線NCの巻
はじめ端部と接続される。このようにトランジスタQ7
のコレクタが制御巻線NCと接続されることで、過負荷
保護回路3は、制御巻線NCに流れる電流量を制御する
ことが可能とされているのであるが、この過負荷保護回
路3による動作については後述する。
【0104】以上が第2の実施の形態としての電源回路
の構成についての説明であるが、このような構成による
電源回路の要部における定常時の動作としては、第1の
実施の形態としての電源回路による定常時における動作
と同様の動作が得られることとなる。つまり、本実施の
形態の電源回路においても、図2(a)〜(h)に示す
ような各部の動作波形が得られることとなる。従って、
この電源回路の要部における動作の説明については省略
するものとする。
【0105】ここで、例えば交流入力電圧VACが上昇す
る、或いは、負荷電力が小さくなるなどして二次側直流
出力電圧EO1のレベルが上昇した場合における、制御回
路5、及び導通制御回路系による定電圧制御動作につい
て説明する。
【0106】まず、二次側直流電圧EO1のレベルが上昇
すると、先に説明したようにして、制御回路5では、検
出出力であるトランジスタQ3のコレクタ電流を増加さ
せるようにして動作することになる。トランジスタQ3
のコレクタ電流が増加すると、それだけコンデンサC3
への充電電流量が増加することになるので、導通制御素
子Q2のベース−エミッタ間電圧VBE2としての鋸歯状波
形の傾きは大きくなっていくことになる。これによって
は、スイッチング素子Q1がONとなるTON期間内にお
ける導通制御素子Q2の導通タイミングを早めるように
動作することになる。これによって導通制御素子Q2を
流れるコレクタ電流IQ2としては、例えば重負荷時の場
合や定常動作時の場合よりも大きな振幅が得られること
となる。
【0107】ここで、先にも述べたようにして、駆動巻
線NBと制御巻線NCは、ドライブトランスCDTにおい
て密結合の状態にあることから、等化的には、駆動巻線
NBと制御巻線NCとが並列的に接続されているものと見
ることができる。従って、等化回路的には、例えば自励
発振回路(CB−NB−RB)における駆動巻線NBの巻終
わり端部と共振コンデンサCBとの接続点に対して、制
御巻線NCの巻終わり端部を接続した回路を形成するこ
ととなる。そして、この等化回路によれば、制御巻線N
Cに流れる導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2は、自励
発振回路(CB−NB−RB)の出力となる共振電流とし
て駆動巻線NBを流れる電流が、上記した駆動巻線NBと
制御巻線NCとの接続点を分岐点として分岐することで
得られる電流となると見ることもできる。
【0108】このため、導通制御素子Q2のコレクタ電
流IQ2の振幅が大きくなって、期間TON内におけるコレ
クタ電流IQ2の電流量が増加した場合には、それだけ、
共振電流の電流量が少なくなるように変化する動作が得
られる。そして、これによりこの共振電流を基として得
られるベース電流IBの波形としては、図2(c)に示
すスイッチング素子Q1のベース蓄積キャリア消滅時間
(tstg)が短くなり、これに伴い、スイッチング素子
Q1がオンとなる期間TONの長さが短くなっていくよう
にして可変されることになる。
【0109】このように期間TONが短くなれば、第1の
実施の形態のところでも説明したようにスイッチング素
子Q1のスイッチング周波数は高くなるようにして制御
されることになる。そして、スイッチング周波数が可変
制御されることによっては、例えば一次側並列共振回路
の共振インピーダンスが可変されることとなって、絶縁
コンバータトランスPITの一次側から二次側に対して
伝送される電力も可変されることになるわけである。こ
れにより、最終的には二次側直流出力電圧のレベルも可
変制御されることとなり、電源の安定化が図られること
となる。
【0110】このように本実施の形態の電源回路におい
ても、第1の実施の形態における定電圧制御動作による
効果と同様の効果が得られるようにされている。
【0111】なお、本実施の形態においても、スイッチ
ング周波数を可変制御するのにあたっては、スイッチン
グ素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定で、オンとなる
期間TONについて可変するようにされている。つまり、
この場合にも複合制御方式による定電圧制御動作が得ら
れているものである。
【0112】続いて、二次側の負荷が定格最大負荷を越
えて短絡するなどした場合における、本実施の形態の電
源回路が備える過負荷保護回路2の動作について説明す
る。
【0113】まず、二次側の負荷が短絡した場合、上述
したように負荷側から二次側アースを介して過電流保護
抵抗ROに過大な電流が流入し、図示する過電流保護抵
抗ROの両端電圧VOの電位が上昇するようになる。この
ようにして負荷短絡により発生した過大な電流が、過電
流保護抵抗ROによって検出されることとなる。そし
て、このようにして検出された電圧VOにより、小信号
用サイリスタQ5のカソードにはマイナスの電圧が印加
される。また、これと同様に、負荷側からの過大な電流
は、二次側アースを介してコンデンサC4//抵抗R8の並
列回路に流入し、この電流のレベルに応じたプラスの電
圧が小信号用サイリスタQ5のゲートに印加される。こ
れらの結果、小信号用サイリスタQ5は導通することと
なる。
【0114】このようにして小信号用サイリスタQ5が
導通すると、この小信号用サイリスタQ5のアノードに
抵抗を介して接続されているトランジスタQ6のベース
にベース電流が発生し、トランジスタQ6が導通する。
そして、トランジスタQ6が導通することによって、ト
ランジスタQ6のコレクタと抵抗を介して接続されるト
ランジスタQ7のベースにベース電流が発生し、これに
よりトランジスタQ7も導通することになる。
【0115】このようにトランジスタQ7が導通すれ
ば、トランジスタQ7のコレクタ電流が流れることにな
るが、トランジスタQ7のコレクタは制御巻線NCと接続
されているため、この結果制御巻線NCを流れる電流量
はこのトランジスタQ7によって引き上げられるように
して増加することとなる。
【0116】このように制御巻線NCに流れる電流量を
増加させるように制御されることで、先に説明した定電
圧制御動作の場合と同様にして、スイッチング素子Q1
のスイッチング周波数が高くなるようにして制御される
ことになる。そして、このようにスイッチング素子Q1
のスイッチング周波数が高くなるように制御されること
によっては、第1の実施の形態の過負荷保護回路2のと
ころで説明したと同様にしてスイッチング素子Q1に生
じる過大な電流及び電圧を抑制することが可能となり、
この結果、例えば負荷短絡時などの異常時において、ス
イッチング素子Q1を過負荷状態から保護することが可
能となるのである。
【0117】以上が第2の実施の形態としての電源回路
の説明であるが、上述もしたように、この回路によって
は第1の実施の形態で説明した回路とほぼ同様の動作、
及び効果が得られることとなる。ただし、この第2の実
施の形態の回路の場合には、特に以下にあげるような効
果が得られる。すなわち、本回路においては、制御巻線
NCと導通制御素子Q2からなる直列接続回路が、等化的
には一次側の自励発振駆動回路と接続されているもの
の、実際には二次側アース間に対して設けられ、絶縁コ
ンバータトランスPITの二次側に設けられている回路
となっている。そして、前述のようにして制御巻線NC
については、例えば三重絶縁線を選定して、一次側との
直流的絶縁性を確保したうえで、一次側の駆動巻線NB
と磁気結合された状態を得るようにしている。これによ
り、本実施の形態では、二次側の制御回路系と一次側ス
イッチングコンバータとの直流的絶縁状態を確保するた
めに、フォトカプラ等の部品素子を追加することが不要
となるという効果が得られるものである。例えば仮に、
制御巻線NCと導通制御素子Q2からなる直列接続回路を
一次側に備えるとすれば、例えばフォトカプラを介在さ
せるなどして、二次側の制御回路系と直流的に絶縁しな
ければならないことになる。
【0118】また、さらに本実施の形態の過負荷保護回
路3は、第1の実施の形態の過負荷保護回路2とは異な
り、二次側直流出力電圧の負荷が短絡する等の異常時に
おいてスイッチング素子Q1にかかる負担を軽減するた
めに、二次側において負荷短絡時の電流を検出し、同じ
く二次側に配される制御巻線NCに流すべき電流量の制
御を行うことで、スイッチング素子Q1のスイッチング
周波数を制御する動作が得られる。つまり、本実施の形
態の場合は、この過負荷保護回路3による制御動作は二
次側において完結することになる。このため、本実施の
形態においては、この過負荷保護回路3による制御動作
を得るにあたって一次側と二次側を絶縁するフォトカプ
ラは不要となる。この結果部品点数の削減が可能とな
り、回路生産コストの削減が計られることとなる。
【0119】なお、上記各実施の形態は、スイッチング
素子を1組備えるシングルエンド方式を採用するもので
あるが、スイッチング素子を2組備える、いわゆるプッ
シュプル方式による自励式の電圧共振形コンバータとさ
れても構わないものである。また、二次側についても、
図示した以外の回路構成による整流回路が備えられて構
わないものである。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、複合共振
形コンバータとして、ドライブトランスを備えた自励式
の構成を採る。これと共に、定電圧化のためのスイッチ
ング周波数制御は、導通制御素子の導通を制御すること
によって、スイッチング素子を駆動する自励発振駆動回
路(スイッチング駆動手段)における電流導通量を可変
制御することによって行うようにしている。そして、こ
のような構成であれば、これまでスイッチング周波数制
御に必要とされていた直交型制御トランスを省略するこ
とが可能になる。
【0121】これにより、直交型制御トランスのギャッ
プのばらつき等に起因するインダクタンス値のばらつき
の問題は解消されることになる。特に本発明におけるド
ライブトランスのインダクタンスのばらつきは±5%程
度となる。このため、交流入力電圧の範囲に対するマー
ジンを少なく設定することが可能となるので、回路設計
も容易なものとすることが可能になる。また、直交型制
御トランスの製造工程の困難性にかかる問題も解消され
ることになる。直交型制御トランスの制御巻線に制御電
力を供給してスイッチング周波数を制御する構成ではな
いとされることで、軽負荷時の無効電力を低減し、電力
損失を低減できることになる。つまり、AC/DC電力
変換効率の向上も図られることになる。また、本発明に
おけるドライブトランスは、直交型制御トランスよりも
はるかに小型であるために、それだけ電源回路の小型軽
量化を促進することも可能となる。
【0122】また、導通制御素子(バイポーラトランジ
スタ)には、低電圧及び小レベルの電流が印加されるの
で、定電圧制御に要する電力も低減されることになる。
つまり、電源回路における無効電力が低減され、これに
よっても電源回路のAC/DC電力変換効率の低減を促
進させることができる。また、導通制御素子としては、
低耐圧、小容量品が選定されることにもなるので、この
点でも、小型軽量化、及び低コスト化が促進される。
【0123】また、本発明においては、導通制御素子の
ベース−エミッタ間電圧(制御入力端子電位)が、スイ
ッチング素子のオン期間内において鋸歯状波となるよう
にされている。これによっては、上記オン期間内におい
てスイッチング素子のベースに流れる逆方向電流のピー
クをより大きなものとする動作が得られるので、スイッ
チング素子の下降時間及び蓄積時間が短縮されて、それ
だけスイッチング損失が低減される。つまり、これによ
っても電力変換効率の向上を促進するようにしているも
のである。
【0124】また、スイッチング素子のエミッタと一次
側アースとの間に抵抗を挿入することによっては、導通
制御素子の制御範囲が拡大し、これに伴い交流入力電圧
の変動に対して定電圧制御の範囲も拡大することとな
る。
【0125】さらに、本発明では過負荷保護回路を設け
て、例えば二次側の負荷が短絡する等の異常時におい
て、スイッチング素子のスイッチング周波数を高くする
ようにしてスイッチング素子に生じる過大な電流及び電
圧を抑制するようにしている。この結果、負荷短絡時な
どの異常時において、スイッチング素子にかかる負担を
軽減することが可能となり、負荷短絡時などの異常時に
対する回路の信頼性が確保できる。また、スイッチング
素子としては、より耐圧が低く、また小電流容量のもの
を選定することが可能となり、回路の低コスト化及び小
型を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明、第1の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成例を示す回路図である。
【図2】上記電源回路における定常動作時(定格最大負
荷時)の要部の動作を示す波形図である。
【図3】上記電源回路が備える過負荷保護回路動作時に
おける要部の動作を示す波形図である。
【図4】H字型コアによるドライブトランスの構造例を
示す斜視図である。
【図5】EI型コアによるドライブトランスの構造例を
示す断面図である。
【図6】本発明、第2の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成例を示す回路図である。
【図7】先行技術としての電源回路の構成を示す回路図
である。
【図8】過電流制限回路を備えた先行技術としての電源
回路の構成を示す回路図である。
【図9】図8に示す回路の動作を示す波形図である。
【符号の説明】
1、5 制御回路、2、3 過負荷保護回路、Di ブ
リッジ整流回路、Ci平滑コンデンサ、Cr 一次側並
列共振コンデンサ、C2 二次側並列共振コンデンサ、
DO1,DO2,DO3,DO4 整流ダイオード、PIT 絶
縁コンバータトランス、N1 一次巻線、N2 二次巻
線、N3 三次巻線、CDT ドライブトランス、NA
検出巻線、NB 駆動巻線、NC 制御巻線、SW AC
スイッチ、CO1、CO2、CO3、CO4 平滑コンデンサ、
Q1 スイッチング素子、Q2 導通制御素子、Q3、Q
6、Q7 トランジスタ、Q4、Q5 小信号用サイリス
タ、Q9 シャントレギュレータ、C3 時定数コンデン
サ、C4 コンデンサ、D2ツェナーダイオード、RB
ベース電流制限抵抗、RS 起動抵抗、RO 過電流保護
抵抗

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流入力電圧を入力してスイッチングを
    行うスイッチング素子を備えて成るスイッチング手段
    と、 一次巻線と二次巻線とを備え、上記一次巻線に得られる
    上記スイッチング手段の出力を上記二次巻線に対して伝
    送する絶縁コンバータトランスと、 上記絶縁コンバータトランスの一次巻線と一次側並列共
    振コンデンサとにより形成され、上記スイッチング手段
    の動作を電圧共振形とするように設けられる一次側並列
    共振回路と、 上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して、二次
    側共振コンデンサを接続することで形成される二次側共
    振回路と、 上記二次側共振回路に得られる交番電圧を入力して整流
    動作を行うことで直流出力電圧を得るように構成される
    直流出力電圧生成手段と、 少なくとも検出巻線と、駆動巻線とが巻装され、上記検
    出巻線が上記絶縁コンバータトランスの一次巻線に直列
    に接続されることにより上記スイッチング手段の出力を
    上記駆動巻線に伝達するドライブトランスと、 上記駆動巻線と共振用コンデンサにより形成される直列
    共振回路を有して、この直列共振回路の出力に基づいて
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチ
    ング駆動手段と、 導通制御素子と、 上記導通制御素子としてのトランジスタ素子の制御入力
    端子電位の波形が略鋸歯状となるようにして設けられる
    時定数回路と、 上記直流出力電圧のレベルに応じて上記制御入力端子電
    位の立ち上がり期間を可変して上記導通制御素子におけ
    る電流導通量を可変制御することによって、上記スイッ
    チング素子の駆動信号のレベルを可変し、この可変され
    た上記駆動信号のレベルに応じてスイッチング素子のス
    イッチング周波数が可変制御されるようにすることで、
    上記直流出力電圧についての定電圧制御を行うようにさ
    れる定電圧制御手段と、 当該電源回路内に生じた過大とされるレベルの電流を検
    出することで、上記スイッチング素子のスイッチング周
    波数が所定範囲内に維持されるように動作し、上記スイ
    ッチング素子に発生する過大な電流、及び電圧が抑制さ
    れるように制御する保護手段と、 を備えていることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 上記定電圧手段は、 上記導通制御素子の出力端子(コレクタ)と上記スイッ
    チング素子の入力端子を接続して、上記導通制御素子の
    出力端子に上記スイッチング素子の駆動信号が分岐して
    流れるようにすることによって、上記導通制御素子にお
    ける電流導通量の変化に応じて、上記スイッチング素子
    の駆動信号のレベルが可変されるように構成され、 上記保護手段は、 一次側直流入力電圧を動作電源として入力すると共に、
    上記過大とされるレベルの電流を検出したのに応じて、
    上記導通制御素子の制御入力端子に対して制御電流を供
    給することで、上記スイッチング素子のスイッチング周
    波数が所定範囲内に維持されるように構成される、 ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回
    路。
  3. 【請求項3】上記定電圧制御手段は、 上記ドライブトランスに対して、絶縁コンバータトラン
    スの二次側に在るとされる制御巻線を、上記駆動巻線と
    密結合となるように巻装するとともに、 少なくとも、上記制御巻線と、上記導通制御素子として
    のトランジスタ素子とを直列に接続して形成される導通
    制御回路を備えることで、上記直流出力電圧のレベルに
    応じて上記導通制御素子における電流導通量を可変制御
    して、上記制御巻線に流れる制御電流を可変すること
    で、上記スイッチング素子の駆動信号のレベルを可変制
    御するように構成され、 上記保護手段は、 上記制御巻線に流すべき制御電流が分岐して流れるよう
    にされることで、上記スイッチング素子のスイッチング
    周波数が所定範囲内に維持されるように構成される、 ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回
    路。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009247074A (ja) * 2008-03-29 2009-10-22 Shindengen Electric Mfg Co Ltd スイッチング電源
JP2009247073A (ja) * 2008-03-29 2009-10-22 Shindengen Electric Mfg Co Ltd スイッチング電源
JP2010283912A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Seiko Epson Corp 電源回路、電子機器装置

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JP2009247073A (ja) * 2008-03-29 2009-10-22 Shindengen Electric Mfg Co Ltd スイッチング電源
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