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JP2002260836A - 加熱装置およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

加熱装置およびそれを備えた画像形成装置

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Publication number
JP2002260836A
JP2002260836A JP2001058851A JP2001058851A JP2002260836A JP 2002260836 A JP2002260836 A JP 2002260836A JP 2001058851 A JP2001058851 A JP 2001058851A JP 2001058851 A JP2001058851 A JP 2001058851A JP 2002260836 A JP2002260836 A JP 2002260836A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heating roller
conductive layer
magnetic field
axial direction
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001058851A
Other languages
English (en)
Inventor
Shogo Yokota
昌吾 横田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2001058851A priority Critical patent/JP2002260836A/ja
Publication of JP2002260836A publication Critical patent/JP2002260836A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造の加熱ローラによって、被加熱材
の寸法に応じ、加熱ローラの昇温速度と温度分布とを軸
線方向において均一化する。 【解決手段】 導電性を有する材料からなる筒状の導電
層8を備える加熱ローラ2と、加熱ローラ2と対向して
設けられ、加熱ローラ2との間に被加熱材5を挟圧して
搬送する加圧ローラ3と、導電層8に交番磁界を印加し
て発熱させる磁界発生手段4とを含み、加熱ローラ2に
備わる導電層8の軸線方向両端部付近の層厚t1が、導
電層8のそれ以外の部分の層厚t2よりも薄くなるよう
に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾式電子写真機器
における定着装置、湿式電子写真機器における乾燥装
置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置、リライ
タブルメディア用消去装置の加熱装置として好適に実施
される加熱装置およびそれを備えた画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】加熱装置、たとえば電子写真方式の複写
機およびプリンタなどに使用されている定着装置では、
アルミニウムなどの中空芯金を有する加熱ローラ内部に
ハロゲンランプを設け、ハロゲンランプによって加熱ロ
ーラを加熱する構成が従来から広く用いられている。
【0003】しかしながら、このような構成の定着装置
では、加熱ローラを充分に加熱するまでに要する時間
(立上り時間)が長くなるという問題がある。
【0004】そこで、近年では、表面に導電材料から成
る加熱ローラを有する誘導加熱方式の定着装置が注目さ
れている。この定着装置では、加熱ローラに交番磁界を
印加してジュール熱を発生させることで、加熱ローラ自
体を発熱させるように設定されている。
【0005】たとえば、特開平10−207269号公
報の定着装置では、軸方向の長さの異なる複数の金属ロ
ーラを組合せて、加熱ローラを形成している。
【0006】この先行技術における加熱ローラは、銅製
の金属スリーブの外周に、銅製金属スリーブの軸線方向
の長さよりも長い軸線方向の長さを有する鉄製の金属ス
リーブを、両金属スリーブの軸線方向の中心が一致する
ように嵌合する構成である。また、銅製金属スリーブの
半径方向内方に磁界発生手段が設けられ、磁界発生手段
は、2通りの異なる周波数の磁界を発生することができ
る。
【0007】この先行技術に開示された技術の特徴は、
以下のようなものである。被加熱材の搬送方向に垂直な
方向の長さである幅が大きい被加熱材を定着処理する場
合には、磁界発生手段によって低い周波数の交番磁界を
発生させ、また銅よりも鉄の比透磁率が大きいことを利
用して、鉄製スリーブのみに渦電流を発生させて発熱さ
せる。このことによって、幅が大きい被加熱材の寸法に
応じ、銅製スリーブよりも軸線方向の長さが長い鉄製ス
リーブのみを加熱することができる。
【0008】一方、幅が小さい被加熱材を定着処理する
場合には、磁界発生手段によって高い周波数の交番磁界
を発生させ、また鉄よりも銅の比透磁率が小さいことを
利用して、銅製スリーブのみに渦電流を発生させて発熱
させる。このことによって、幅が小さい被加熱材の寸法
に応じ、鉄製スリーブよりも軸線方向の長さが短い銅製
スリーブのみを加熱することができる。
【0009】また、銅製スリーブの軸線方向の長さに応
じた幅の小さい被加熱材を定着処理する場合、銅製スリ
ーブにおいて発熱した熱は、鉄製スリーブを通じて加熱
ローラ表面に伝達されるので、銅製スリーブの軸線方向
に温度むらが発生した場合であっても、その温度むらは
鉄製スリーブに吸収される。幅の大きい被加熱材を定着
処理する場合、鉄製スリーブの軸線方向の長さを被加熱
材の幅よりも長く設定して、軸線方向における温度むら
の影響を抑制する。
【0010】このように、定着処理される被加熱材の寸
法に応じて、加熱ローラの軸線方向における発熱領域の
長さを調節することができるので、加熱ローラを軸線方
向の全長にわたって一様に発熱させる場合に比べて、電
力消費量を節減し、定着コストを低減できるというもの
である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この先行技術には、以
下のような問題点がある。磁界発生手段によって低い周
波数の交番磁界を発生させ、また銅よりも鉄の比透磁率
が大きいことを利用して、鉄製スリーブのみに渦電流を
発生させて発熱させようとしても、鉄製スリーブで発生
した渦電流の一部は、鉄よりも小さい体積抵抗率を有す
る銅からなる銅製スリーブを流れるので、鉄製スリーブ
における発熱量が減少する。
【0012】一方、磁界発生手段によって高い周波数の
交番磁界を発生させ、また鉄よりも銅の比透磁率が小さ
いことを利用して、銅製スリーブのみに渦電流を発生さ
せて発熱させようとしても、銅の比透磁率が小さ過ぎる
ので、銅製スリーブに磁束を集中させることが難しく、
充分な発熱量を得るのに必要な渦電流を発生させること
ができない。また、銅は体積抵抗率が小さいので、渦電
流を発生させることができたとしても、発熱量が少な
く、銅製スリーブのみを効率的に発熱させることが難し
い。したがって、異なる金属スリーブを嵌合させて形成
される複合の導電層を備える加熱ローラによっても、被
加熱材の寸法に応じ、軸線方向の発熱する領域を調節し
て軸線方向に均一な温度分布を得ることは困難である。
【0013】本発明の目的は、簡単な構造の加熱ローラ
によって、被加熱材の寸法に応じ、加熱ローラの昇温速
度と温度分布とを軸線方向において均一化することがで
きる加熱装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性を有す
る材料からなる筒状の導電層を備える加熱ローラであっ
て、導電層の軸線方向両端部付近の層厚t1が、導電層
のそれ以外の部分の層厚t2よりも薄くなるように形成
された加熱ローラと、加熱ローラと対向して設けられ、
加熱ローラとの間に被加熱材を挟圧して搬送する加圧ロ
ーラと、導電層に交番磁界を印加して発熱させる磁界発
生手段とを含むことを特徴とする加熱装置である。
【0015】本発明に従えば、加熱ローラに備わる導電
層の軸線方向両端部付近の層厚t1は、それ以外の部分
の層厚t2よりも薄くなるように形成される。このこと
によって、導電層の層厚t1に形成される軸線方向両端
部付近の熱容量が、それ以外の層厚t2に形成される部
分の熱容量よりも小さくなり、また導電層の層厚t2に
形成される部分から層厚t1に形成される軸線方向両端
部付近へ向う熱の移動が抑制される。したがって、導電
層が交番磁界によって誘導加熱されるとき、導電層の軸
線方向両端部付近における昇温速度の遅れを改善するこ
とが可能となり、導電層の軸線方向における昇温速度お
よび温度分布が均一化される。さらに、加熱ローラに加
圧ローラが押圧されたとき、加熱ローラの軸線方向のた
わみを低減することができる。
【0016】また本発明は、前記導電層の層厚がt2に
形成されている部分の軸線方向の長さは、被加熱材の搬
送方向に垂直な方向の長さ以上に設定されることを特徴
とする。
【0017】本発明に従えば、導電層の層厚がt2に形
成される部分の軸線方向長さは、被加熱材の搬送方向に
垂直な方向の長さ以上に設定されるので、被加熱材を加
熱ローラと加圧ローラとの間に挟圧して加熱するとき、
被加熱材を搬送方向に垂直な方向に均一に加熱すること
ができる。
【0018】また本発明は、導電層の軸線方向両端部付
近の層厚t1は、不等式 t1≦√(2/ωσμ) ここで、ω:交番磁界の角周波数(=2πf) f:交番磁界の周波数 [Hz] σ:導電層の電気伝導度[S/m] μ:導電層の透磁率 を満たすように選ばれることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、導電層の軸線方向両端部
付近の層厚t1は、不等式t1≦√(2/ωσμ)を満
たすように選ばれる。このことによって、導電層が交番
磁界によって誘導加熱されるとき、導電層の層厚t1に
形成される軸線方向両端部付近は、層厚t1が表皮深さ
以下の厚み、すなわち渦電流によって発熱する厚みだけ
を有するので、層厚t1が発熱に有効利用され、かつ熱
容量が小さいこともあり予め定める温度まで昇温する時
間が短縮される。一方、導電層の層厚がt2に形成され
る部分は、層厚t2が表皮深さよりも大きく、渦電流に
よって発熱する部分の厚みと、その発熱部分からの熱伝
導によって加熱される熱負荷部分の厚みとを含むので、
熱容量が大きくなり予め定める温度まで昇温する時間が
長くなる。したがって、導電層の軸線方向の昇温速度が
均一化される。
【0020】また、予め定める温度に昇温後、導電層の
層厚t1に形成される軸線方向両端部付近では、層厚t
1の厚みすべてが発熱に有効利用されるけれども、放熱
が大きく、導電層の層厚t2に形成される部分では、両
端部付近に比べて放熱は少ないけれども、前記熱負荷部
分を有するので、導電層の軸線方向の温度分布は均一化
される。
【0021】また本発明は、前記磁界発生手段は、交番
磁界の周波数を制御する制御手段を含み、制御手段は、
被加熱材の搬送方向に垂直な方向の長さに応じて、交番
磁界の周波数を加熱ローラの温度が均一になるように制
御することを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、磁界発生手段は、被加熱
材の搬送方向に垂直な方向の長さに応じて、加熱ローラ
の温度が均一になるように交番磁界の周波数を制御する
制御手段を含む。このことによって、搬送方向に垂直な
方向の長さが、導電層の層厚t2に形成される部分の軸
線方向の長さよりも長い被加熱材を加熱するとき、交番
磁界の周波数を高く設定し、導電層の軸線方向両端部付
近の層厚t1が表皮深さとなる条件で発熱させることに
よって、導電層の軸線方向全長にわたる昇温速度および
温度分布を均一化することができる。
【0023】また、搬送方向に垂直な方向の長さが、導
電層の層厚t2に形成される部分の軸線方向の長さ以下
である短い被加熱材を加熱するとき、交番磁界の周波数
を低く設定し、導電層の層厚t2に形成される部分を主
に発熱させ、層厚t1に形成される軸線方向両端部付近
の発熱を抑制することによって、予め定める温度までの
昇温時間を短縮し、消費電力を節減することができる。
【0024】また本発明は、加熱ローラの軸線方向に予
め定める間隔をあけて配置され、加熱ローラの温度を検
出する複数の温度検出手段をさらに含み、前記制御手段
は、各温度検出手段の出力に応答し、交番磁界の周波数
を加熱ローラの温度が均一になるように制御することを
特徴とする。
【0025】本発明に従えば、制御手段は、加熱ローラ
の軸線方向に予め定める間隔をあけて配置され、加熱ロ
ーラの温度を検出する複数の温度検出手段の出力に応答
し、交番磁界の周波数を加熱ローラの温度が均一になる
ように制御する。このことによって、加熱ローラの層厚
t1に形成される軸線方向両端部付近と、それ以外の層
厚t2に形成される部分との温度差が、予め定める値よ
りも大きいとき、各温度検出手段の出力に応答し、交番
磁界の周波数を制御することができるので、加熱ローラ
の軸線方向における温度分布を均一化することができ
る。
【0026】すなわち、加熱ローラの層厚t1に形成さ
れる軸線方向両端部付近の温度が、それ以外の層厚t2
に形成される部分の温度よりも予め定める値を超えて高
い場合には、交番磁界の周波数を低くし、また加熱ロー
ラの層厚t1に形成される軸線方向両端部付近の温度
が、それ以外の層厚t2に形成される部分の温度よりも
予め定める値を超えて低い場合には、交番磁界の周波数
を高くすることによって、加熱ローラの軸線方向におけ
る温度分布を均一化し、被加熱材を搬送方向に垂直な方
向に温度が均一になるように加熱することができる。
【0027】また本発明は、前記いずれかの加熱装置
と、被加熱材上にトナー像を形成するトナー像形成手段
と、トナー像が表面に形成された被加熱材を、加熱ロー
ラと加圧ローラとの間に搬送する搬送手段とを含むこと
を特徴とする画像形成装置である。
【0028】本発明に従えば、画像形成装置は、前記い
ずれか1つの加熱装置を含むので、被加熱材の搬送方向
に垂直な方向に加熱むらのない良好な品質の画像を形成
することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の加
熱装置である定着装置1に含まれる加熱ローラ2の構成
を簡略化して示す断面図であり、図2は図1に示す加熱
ローラ2を含む定着装置1の全体構成を簡略化して示す
概略断面図であり、図3は定着装置1に含まれる誘導コ
イル20の平面図である。
【0030】定着装置1は、大略的に加熱ローラ2と、
加圧ローラ3と、交番磁界を発生させる磁界発生手段4
とを含む(ここで交番磁界とは、磁界を構成するN極と
S極とが周期的に反転する場合、または直流磁界のN極
もしくはS極の一方の磁界の強さが周期的に変化する場
合を言う)。加熱ローラ2は、中空構造を有するローラ
であり、被加熱材である記録紙5を加熱する。加圧ロー
ラ3は、加熱ローラ2に押圧することができるように、
加熱ローラ2に対向して配置される。磁界発生手段4
は、加熱ローラ2の外方に配置される。この構成の定着
装置1は、加熱ローラ2と加圧ローラ3との間にトナー
像を担持する記録紙5を挟圧搬送することによって、記
録紙5に転写されたトナーを、加熱溶融させて記録紙5
に定着させる。図2では、定着前のトナー6が、定着後
のトナー7に変化したことを示す。
【0031】加熱ローラ2は、導電性を有する材料から
なる筒状の導電層8と、導電層8の外周を被覆する離型
層9とを含む。導電層8は、外径40mmの円筒形状を
有し、ステンレス鋼SUS430からなる。導電層8の
層厚は、軸線方向に沿って変化し、軸線方向両端部付近
の層厚t1は、0.2mmに形成され、導電層8のそれ
以外の部分の層厚t2は、0.5mmに形成される。以
後、層厚t2に形成される導電層8の前記それ以外の部
分を、軸線方向中央部と呼ぶ。このように、本実施の形
態では、導電層8の軸線方向両端部付近の層厚t1は、
軸線方向中央部の層厚t2よりも薄くなるように形成さ
れる。
【0032】本実施の形態では、導電層8の軸線方向両
端部付近の層厚t1は、0.2mmに形成され、軸線方
向中央部の層厚t2は、0.5mmに形成されるけれど
も、導電層の設定されるべき層厚は、常に一定ではなく
導電層の材料の電気伝導度および透磁率によって異な
り、また交番磁界の周波数によっても異なる。したがっ
て、導電層の層厚は、使用する導電層の材料および交番
磁界の周波数に応じて選定される必要がある。
【0033】導電層8の層厚t1に形成される軸線方向
一端部16付近の軸線方向長さL11と、軸線方向他端
部34付近の軸線方向長さL12とは、相等しく形成さ
れる。層厚t2に形成される軸線方向中央部の長さW1
は、記録紙5の搬送方向に垂直な方向の長さ以上に設定
される。以後、加熱ローラ2と加圧ローラ3とに挟圧搬
送される記録紙5の搬送方向に垂直な方向の長さを、記
録紙5の幅と呼ぶ。本実施の形態では、前記長さW1
は、たとえば日本工業規格P0138に定められるA列
4番の短手方向の長さである210mmに設定される。
このことによって、記録紙寸法A列4番の長手方向を搬
送方向とし、加熱ローラ2と加圧ローラ3との間に記録
紙5を挟圧搬送して定着処理するとき、搬送方向に垂直
な方向、すなわち幅方向である短手方向に均一に加熱す
ることができる。層厚が、t1とt2との間で遷移する
領域10,11は、テーパ状に形成され、層厚t1に形
成される軸線方向両端部付近と層厚t2に形成される軸
線方向中央部とに連なる。導電層8の軸線方向の長さL
10は、加熱ローラ2の長さに等しく形成される。
【0034】導電層8は、磁界発生手段4によって形成
される交番磁界中で誘導加熱されて発熱する発熱部材で
ある。導電層8の素材としては、磁性を有し導電性のあ
る材料、特に比透磁率の高い材料が望ましく、前述のス
テンレス鋼SUS430以外でも珪素鋼板、電磁鋼板お
よびニッケル鋼なども使用することができる。また、ス
テンレス鋼SUS304のように非磁性であっても、体
積抵抗率の大きい材料であれば誘導加熱をすることがで
きるので、導電層8として使用することができる。さら
に、たとえばセラミックのような非磁性の材料が基材と
して用いられている場合であっても、前述のような比透
磁率の高い材料が導電性を保持できるように基材に配置
されていれば、導電層8として使用することができる。
【0035】本実施の形態では、導電層8は、一体の材
料を用いて軸線方向の層厚を変化させているけれども、
これに限定されることなく、軸線方向の長さが異なる複
数のスリーブを積層することによって、導電層の軸線方
向の層厚を変化させてもよい。また、導電層は、性質の
異なる複数の材料によって構成されてもよく、この場合
には、透磁率μが小さい方の材料または電気伝導度σが
高い方の材料の層厚を、他の材料の層厚よりも薄く設定
する必要がある。たとえば第1層目に鉄またはSUS4
30を使用し、第2層目に銅またはアルミニウムなどを
用いる場合には、透磁率μが小さい銅またはアルミニウ
ムの方を、鉄またはSUS430よりも薄く設定する。
また、複数の素材の積層は、スリーブの積層に限定され
ることなく、蒸着およびスパッタリングなどによって実
現されてもよい。
【0036】離型層9は、導電層8の外周に被覆され、
加熱ローラ2と加圧ローラ3とが接触して形成される接
触ニップ部12において、加熱されて粘度が低下したト
ナーが加熱ローラ2に付着することを防止する。離型層
9の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)もしくはテトラフルオロエチレンとペルフルオロ
アルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)などの
フッ素系の材料、シリコンゴムおよびフッ素ゴムが用い
られる。本実施の形態では、厚み20μmのPTFE
が、導電層8の外周に被覆されている。
【0037】導電層8の外周に離型層9が被覆される軸
線方向の長さW2は、導電層8の層厚t2に形成される
軸線方向中央部の長さW1よりも長く、層厚t1に形成
される軸線方向両端部付近の一部を含む長さに設定され
る。本実施の形態では、離型層9の軸線方向の長さW2
は、記録紙寸法A列4番の長手方向の長さよりも若干長
い310mmに設定される。このことによって、定着装
置1では、記録紙寸法A列4番の短手方向および長手方
向のいずれをも搬送方向として選択し、定着処理をする
ことができる。本実施の形態の定着装置1は、記録紙5
の幅方向の中心が、加熱ローラ2の軸線方向の中心35
に合わせて搬送される構成である。
【0038】加熱ローラ2は、第1および第2軸受1
3,14によって、定着装置1のハウジング15に回転
自在に支持される。加熱ローラ2の軸線方向一端部16
には、たとえば歯車17が装着され、歯車17は図示し
ない電動機などによって回転駆動される。
【0039】加圧ローラ3は、円柱状もしくは円筒状の
形状を有し、鉄、ステンレス鋼もしくはアルミニウム製
の芯金の外周面上にシリコンゴムなどの耐熱弾性層が設
けられた部材である。耐熱弾性層の外周面上には、PT
FEもしくはPFAなどからなるトナー付着防止のため
の離型層が設けられてもよい。加圧ローラ3には回転軸
19が設けられ、回転軸19は、図示しない軸受によっ
て回転自在に定着装置1の機体に支持される。また軸受
には、加圧ローラ3に加圧力を付与する図示しないばね
部材が設けられ、このばね部材によって、加圧ローラ3
は、加熱ローラ2にほぼ100Nの力で押圧される。加
熱ローラ2と加圧ローラ3とが接触して接触ニップ部1
2が形成される。接触ニップ部12を、以後単にニップ
部12と呼ぶ。記録紙5の搬送方向におけるニップ部1
2の長さであるニップ幅は、3.5mm程度に形成され
る。
【0040】磁界発生手段4は、誘導コイル20と、誘
導コイル20に高周波電流を流す励磁回路21と、加熱
ローラ2表面の温度検出手段である第1温度検出器22
とを含む。誘導コイル20は、線材を平面形状が長円の
コイル状に形成したものであり、加熱ローラ2の軸線方
向に沿って延びる一対の延在コイル部23,24と、加
熱ローラ2の軸線方向両端部付近にそれぞれ配置され、
各延在コイル部23,24の両端部にそれぞれ連なり、
加熱ローラ2の周方向に沿って延び、各延在コイル部2
3,24の一方および他方の端部同志を連結する一対の
屈曲したコイル端部25,26とを有する。
【0041】誘導コイル20は、たとえば酸化物の皮膜
からなる表面絶縁層を有するアルミニウム単線からな
る。誘導コイル20の素材としては、アルミニウム単線
に限定されることなく、銅線もしくは銅を基材とする複
合材料の線であってもよく、またエナメル線を撚り線に
したリッツ線であってもよい。前述のいずれの材料を用
いる場合であっても、誘導コイル20自体の発熱による
エネルギ損失を抑制するために、誘導コイル20の全抵
抗値は、0.5Ω以下であることが望ましく、さらに望
ましくは0.1Ω以下である。
【0042】誘導コイル20は、加熱ローラ2を外囲す
るように配置され、曲率を有する形状に形成されている
ので、誘導コイル20の中心側に磁束が集中して渦電流
の発生量が多くなり、加熱ローラ2の表面温度を短時間
で昇温することができる。誘導コイル20は、定着処理
が行われる記録紙5の寸法に応じて複数個が配置されて
もよい。
【0043】図4は、励磁回路21の電気的構成を簡略
化して示すブロック図である。励磁回路21は、誘導コ
イル20に流す高周波電流の周波数を制御するSEPP
(Single End Push Pull)方式の回路である。励磁回路2
1は、交流電源32から得られる交流電流を直流電流に
整流する整流回路27と、第1および第2スイッチング
素子28,29と、スイッチング素子制御回路30と、
コンデンサ31とを含む。
【0044】制御手段であるスイッチング素子制御回路
30は、CPU(Central ProcessUnit)等から構成され
るマイクロコンピュータなどによって実現される処理回
路である。スイッチング素子制御回路30は、第1およ
び第2スイッチング素子28,29を交互にON−OF
Fすることによって励磁回路21に流れる電流の周波数
を制御し、任意の周波数の電流を誘導コイル20に流す
ことができる。スイッチング素子制御回路30は、誘導
コイル20に流す電流の周波数、すなわち交番磁界の周
波数を制御するとともに、第1温度検出器22の出力に
応答し、励磁回路21による高周波電流発振のON−O
FFをも制御する。
【0045】第1温度検出器22は、サーミスタなどに
よって構成される温度計であり、ニップ部12の記録紙
5の入り側付近であって、かつ導電層8の層厚t1に形
成される軸線方向他端部34付近に配置される。また、
第1温度検出器22は、励磁回路21に含まれるスイッ
チング素子制御回路30に接続され、加熱ローラ2の表
面温度を検出し、その検出出力をスイッチング素子制御
回路30に与える。
【0046】前述のように、本実施の形態では、加熱ロ
ーラ2に備えられる導電層8の軸線方向両端部付近の層
厚t1は、軸線方向中央部の層厚t2よりも薄くなるよ
うに形成される。図5は、交番磁界の周波数fと表皮深
さtとの関係を示す図である。図5を用いて、導電層8
の軸線方向両端部付近の層厚t1を、軸線方向中央部の
層厚t2よりも薄くなるように形成した理由について説
明する。
【0047】図5に示す表皮深さtは、次式によって与
えられる。 t=√(2/ωσμ) …(1) ここで、ω:交番磁界の角周波数(=2πf) f:交番磁界の周波数 [Hz] σ:導電層の電気伝導度[S/m] μ:導電層の透磁率
【0048】図5中の曲線33は、導電層8の材料とし
て、比透磁率が100、電気伝導度に対応する体積抵抗
率が60μΩ・cmのステンレス鋼SUS430を用い
て、交番磁界の周波数fと表皮深さtとの関係を求めた
結果を示す。図5中の曲線33に示すように、表皮深さ
tは、交番磁界の周波数fの増加に伴って減少し、SU
S430では、交番磁界の周波数fが20kHzのと
き、表皮深さtは0.27mmであり、交番磁界の周波
数fが40kHzと高くなると、表皮深さtはほぼ0.
2mmにまで減少する。
【0049】誘導コイル20に流される電流の周波数、
すなわち磁界発生手段4によって発生される交番磁界の
周波数fを40kHzにしたとき、加熱ローラ2に備わ
る導電層8に渦電流が流れる表皮深さtは、ほぼ0.2
mmである。前述のように、導電層8の軸線方向両端部
付近の層厚t1は、0.2mmに設定され、この層厚t
1は、交番磁界の周波数fが40kHzの場合に(1)
式によって得られる表皮深さtにほぼ等しく形成されて
いる。したがって、導電層8の軸線方向両端部付近で
は、0.2mmに設定された層厚t1のすべてにわたっ
て渦電流が流れるので、層厚t1のすべてが発熱に寄与
し、効率的に発熱することができる。
【0050】一方、導電層8の軸線方向中央部の層厚t
2は、0.5mmであり、これは交番磁界の周波数が4
0kHzの場合における表皮深さ0.2mmよりも厚
く、表皮深さよりも余剰の厚みが0.3mmある。導電
層8における発熱は、渦電流が流れる表皮深さ0.2m
mまでの厚み部分において行われるので、この余剰の厚
みにあたる0.3mmの部分は、導電層8の発熱にほと
んど寄与せず、逆に厚み0.2mmまでの発熱部分から
の熱伝導によって加熱される熱負荷部分となる。
【0051】したがって、導電層8の軸線方向両端部付
近では、第1および第2軸受13,14等を通じて熱損
失があるけれども、層厚t1がすべて発熱に寄与して効
率的に発熱し、軸線方向中央部では、軸線方向両端部付
近に比べて熱損失は少ないけれども、層厚t2が表皮深
さよりも大きいので、前記熱負荷部分を加熱しなければ
ならない。このことによって、導電層8の層厚t1が
0.2mmに形成される軸線方向両端部付近と、層厚t
2が0.5mmに形成される軸線方向中央部とで、ウォ
ームアップ時の昇温速度および昇温後の温度はほぼ等し
くなり、加熱ローラ2の軸線方向において昇温速度と温
度分布とを均一化することができる。
【0052】次に、前述のように構成された定着装置1
の動作について説明する。まず、ウォームアップ時にお
いて、励磁回路21が作動し、誘導コイル20が励磁さ
れて加熱ローラ2の導電層8に渦電流が誘起され、ジュ
ール熱によって発熱する。このときの発熱量は約800
Wである。また、励磁回路21による誘導コイル20へ
の通電が開始すると同時に、加熱ローラ2が、電動機な
どによって回転駆動され、加熱ローラ2に押圧されてい
る加圧ローラ3は従動回転する。加熱ローラ2の表面温
度は、第1温度検出器22によって常時検知され、加熱
ローラ2の表面温度が予め定められる設定温度たとえば
180℃に達すると、ウォームアップが完了する。その
後励磁回路21による誘導コイル20への通電が、第1
温度検出器22の検出出力に応答してON−OFF制御
に切換わり、加熱ローラ2の表面温度が前記予め定める
設定温度に維持される。
【0053】ウォームアップが完了した状態の定着装置
1のニップ部12に、未定着トナー6の画像が転写され
た記録紙5を通過させることによって、未定着トナー6
は、加熱ローラ2から熱を受け、また加熱ローラ2と加
圧ローラ3との押圧による圧力を受けて、記録紙5上に
溶融定着されて堅牢な画像となる。
【0054】図6は、図2に示す定着装置1を備える画
像形成装置41の構成を簡略化して示す概略断面図であ
る。前述の定着装置1を備える本実施の形態の画像形成
装置41は、記録紙5上にトナー像を形成する4組のト
ナー像形成手段41Y,41M,41C,41Bと、記
録紙5を収納する記録紙トレー51と、記録紙5を加熱
ローラ2と加圧ローラ3との間に搬送する搬送手段52
とを含む。記録紙トレー51は、矢符53に示す記録紙
5の搬送方向最上流側に配置され、記録紙5を載置して
蓄えるとともに、画像を形成するときには、記録紙5を
1枚ずつ分離して送給する。
【0055】4組のトナー像形成手段41Y,41M,
41C,41Bは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、
シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成
する手段であり、矢符53に示す記録紙5の搬送方向上
流側から下流側に向ってこの順序で搬送手段52に沿っ
て設けられる。
【0056】イエローのトナー像形成手段41Yは、感
光体42と、帯電ローラ43と、レーザ照射手段44
と、現像器45と、転写ローラ46と、クリーナ47と
を含む。感光体42は、画像形成装置41の機体に回転
自在に支持され、表面には静電潜像が形成される。帯電
ローラ43は、感光体42に対向配置され、感光体42
の表面を一様に帯電させる。レーザ照射手段44は、画
像情報に応じて感光体42の表面をレーザ露光し、静電
潜像を形成させる。
【0057】現像器45は、感光体42と予め定める間
隔を有して対向配置され、感光体42にトナーを供給し
て静電潜像を現像し、顕像化する。転写ローラ46は、
後述の無端状ベルト54を介して感光体42と対向配置
され、トナーとは逆のバイアス電圧が印加されて、感光
体42の表面に形成されるトナー像を記録紙5上に転写
する。クリーナ47は、トナー像が感光体42から記録
紙5上に転写された後、感光体42の表面に残留したト
ナーを除去し、次の現像に備えて感光体42の表面をク
リーニングする。他のトナー像形成手段41M,41
C,41Bは、トナーの色が異なる点を除いてトナー像
形成手段41Yと同一の構成を有する。
【0058】搬送手段52は、駆動ローラ55と、アイ
ドリングローラ56と、駆動ローラ55とアイドリング
ローラ56とによって架張されて回動可能な無端状ベル
ト54とを含む。駆動ローラ55は、図6の紙面に垂直
方向の軸線まわりに電動機などによって回転駆動され
る。アイドリングローラ56は駆動源を持たないけれど
も、駆動ローラ55の回転駆動力が無端状ベルト54に
より伝えられて、駆動ローラ55の軸線と平行な方向の
軸線まわりに従動回転する。駆動ローラ55とアイドリ
ングローラ56との間に架張された無端状ベルト54
は、駆動ローラ55の回転駆動にともなって矢符53に
示す方向に予め定められた速度、たとえば134mm/
秒で回動し、記録紙5を静電吸着させて搬送する。
【0059】画像形成装置41においては、次のように
画像が形成される。記録紙トレー51から1枚ずつ送給
される記録紙5は、無端状ベルト54によって矢符53
方向に搬送される。まずトナー像形成手段41Yでは、
感光体42が表面を帯電ローラ43によって一様に帯電
され、その後感光体42の表面が、レーザ照射手段44
により画像情報に応じてレーザ露光されて静電潜像が形
成される。現像器45により感光体42上の静電潜像に
対してトナー像が現像され、この顕像化されたトナー像
がトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ロ
ーラ46によって、無端状ベルト54上の記録紙5上に
転写される。
【0060】記録紙5には、矢符53に示す方向に搬送
される途上において、搬送方向下流側に配置された他の
各トナー像形成手段41M,41C,41Bによって、
各色のトナーが順次多重転写される。4組のトナー像形
成手段41Y,41M,41C,41Bによる転写が終
了した後、記録紙5は、駆動ローラ55に形成された曲
率により、無端状ベルト54から剥離され、定着装置1
に搬送される。定着装置1において、トナー像を担持し
た記録紙5は、加熱ローラ2と加圧ローラ3との間で挟
圧されて適度な温度と圧力が与えられ、トナーは記録紙
5の幅方向に加熱むらを発生することなく溶解して記録
紙5に定着され堅牢な画像となる。
【0061】図7は、本発明の第2の実施の形態である
定着装置61に含まれる加熱ローラ2の構成を簡略化し
て示す断面図である。本実施の形態の定着装置61は、
実施の第1形態の定着装置1と類似し、対応する部分に
は同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0062】注目すべきは、複数の温度検出手段、すな
わち第1温度検出器22に加えて第2温度検出器62を
有することである。第2温度検出器62は、導電層8の
層厚t2に形成される軸線方向中央部に位置するよう
に、層厚t1に形成される軸線方向他端部34付近に位
置する第1温度検出器22から、軸線方向に間隔をあけ
て配置される。第2温度検出器62は、第1温度検出器
22と同様に励磁回路21に含まれるスイッチング素子
制御回路30に接続され、加熱ローラ2の軸線方向中央
部の表面温度を検出し、検出出力をスイッチング素子制
御回路30に与える。スイッチング素子制御回路30
は、第1および第2温度検出器22,62の各出力に応
答し、加熱ローラ2の幅方向の温度が均一になるように
交番磁界の周波数を制御する。
【0063】次に複数の温度検出手段を設けた理由につ
いて説明する。たとえば、ウォームアップ時は、交番磁
界の周波数を40kHzと高く設定するが、この駆動条
件のままで加熱ローラ2の温度を第1温度検出器22の
みによって制御する場合、たとえば厚紙のように熱容量
が大きな記録紙を連続して加熱ローラ2に通過させる
と、記録紙に熱を奪われて加熱ローラ2の軸線方向中央
部の温度が低下するという問題が発生する。これは、ウ
ォームアップ時は、加熱ローラ2の温度を均一化するた
めに、熱損失の少ない軸線方向中央部の発熱を、軸線方
向両端部より抑える制御であるにもかかわらず、発熱量
の多い軸線方向他端部34付近の温度を検知しているた
めに発生する問題である。すなわち、加熱ローラ2の軸
線方向中央部の温度が低いにもかかわらず、第1温度検
出器22は、加熱ローラ2の軸線方向他端部34付近に
設けられているので、軸線方向中央部の温度低下を検出
することができないのである。また交番磁界の周波数が
高いままなので、記録紙に奪われた熱を補給するとき、
加熱ローラ2の軸線方向両端部付近の発熱量が多く、軸
線方向中央部の発熱量が少ない。したがって、温度低下
を生じている加熱ローラ2の軸線方向中央部の温度を定
着処理に必要とされる温度まで回復させることができな
い。
【0064】本実施の形態によれば、このような問題を
解決し、第1および第2温度検出器22,62の各出力
に応答し、加熱ローラ2の軸線方向の温度分布が均一に
なるように交番磁界の周波数を制御し、記録紙5上にト
ナーを幅方向に加熱むらなく定着することができる。
【0065】図8は、交番磁界の周波数を制御するスイ
ッチング素子制御回路30の動作を示すフローチャート
である。図8を参照して交番磁界の周波数制御について
説明する。ステップs1では、交番磁界の設定周波数で
あるたとえば40kHzにて、加熱ローラ2の加熱を開
始する。ステップs2では、第1温度検出器22により
検出された加熱ローラ2の軸線方向他端部34付近の表
面温度T1と、第2温度検出器62により検出された加
熱ローラ2の軸線方向中央部の表面温度T2との温度差
ΔT(=T1−T2)を演算し、ΔTの絶対値が10℃
以下であるか否かが判断される。判断結果が肯定であれ
ば、ステップs6に進み、判断結果が否定であれば、ス
テップs3に進む。ここで、温度T1は、軸線方向他端
部34付近の表面温度であるけれども、加熱ローラ2の
軸線方向の温度分布は、軸線方向中心に対してほぼ線対
称であるとみなすことができるので、以後温度T1を軸
線方向両端部付近の表面温度と呼ぶ。
【0066】ステップs6では、設定された交番磁界の
周波数である40kHzのまま、加熱ローラ2の加熱が
継続され、以降はステップs2に戻り、前記温度差ΔT
の絶対値が10℃以下であるか否かが再び判断される。
ステップs3では、第2温度検出器62により検出され
た加熱ローラ2の軸線方向中央部の表面温度T2が、第
1温度検出器22により検出された加熱ローラ2の軸線
方向両端部付近の表面温度T1よりも低いか否かが判断
される。判断結果が肯定であれば、ステップs4に進
み、判断結果が否定であれば、ステップs5に進む。
【0067】ステップs4では、スイッチング素子制御
回路30が、励磁回路21の発振周波数を下げて交番磁
界の周波数を下げる。交番磁界の周波数を下げることに
よって、表皮深さが大きくなり、導電層8の層厚t2が
大きい軸線方向中央部の発熱が促進されて温度が上昇
し、加熱ローラ2の軸線方向の温度分布が均一化され
る。ステップs4において、交番磁界の周波数を下げた
後、ステップs2に戻り、前記温度差ΔTの絶対値が1
0℃以下であるか否かが再び判断される。
【0068】ステップs5では、スイッチング素子制御
回路30が、励磁回路21の発振周波数を上げて交番磁
界の周波数を上げる。交番磁界の周波数を上げることに
よって、表皮深さが小さくなり、導電層8の層厚t1が
薄い加熱ローラ2の軸線方向両端部付近の発熱が促進さ
れて温度が上昇し、加熱ローラ2の軸線方向の温度分布
が均一化される。ステップs5において、交番磁界の周
波数を上げた後、ステップs2に戻り、前記温度差ΔT
の絶対値が10℃以下であるか否かが再び判断される。
【0069】このように、加熱ローラ2の軸線方向に予
め定める間隔をあけて第1および第2温度検出器22,
62を設け、各温度検出器の出力に応答し、交番磁界の
周波数を制御することによって、加熱ローラ2の軸線方
向の温度分布を均一にすることができる。
【0070】また、図7に示す構成の定着装置61は、
加熱ローラ2を通過する記録紙5の幅を、第1および第
2温度検出器22,62によって間接的に検出し、検出
結果に応じて交番磁界の周波数を制御することもでき
る。たとえば、前述のように交番磁界の周波数を40k
Hzとして加熱ローラ2の加熱を開始する。ウォームア
ップが完了した後、導電層8の層厚t2に形成される軸
線方向中央部の軸線方向長さW1と同一またはより小さ
い幅の記録紙5を加熱ローラ2に通過させると、記録紙
5の通過によって熱が奪われ、加熱ローラ2の軸線方向
中央部の表面温度T2は低下する。
【0071】加熱ローラ2の軸線方向中央部の表面温度
T2は低下するけれども、設定された交番磁界が40k
Hzと高く、表皮深さが小さいので、加熱ローラ2の軸
線方向中央部よりも、軸線方向両端部付近の加熱が促進
される。したがって、前記長さW1と同一またはより小
さい幅の記録紙5を連続して加熱ローラ2に通過させる
と、加熱ローラ2の軸線方向中央部の表面温度T2が低
下し、定着処理に必要な温度まで回復しなくなる。その
結果、ステップs2において、加熱ローラ2の軸線方向
中央部の表面温度T2と、軸線方向両端部付近の表面温
度T1との温度差ΔTの絶対値が10℃を超えると判断
され、次いでステップs3において、軸線方向中央部の
表面温度T2が、軸線方向両端部付近の表面温度T1よ
りも低いと判断される。このことによって、記録紙5の
幅は、前記長さW1と同一またはより小さいとみなされ
る。
【0072】記録紙5の幅が、前記長さW1と同一また
はより小さいとみなされることによって、ステップs4
に進み、ステップs4では、前述のように交番磁界の周
波数がたとえば20kHzに下げられて、前記長さW1
と同一またはより小さい幅の記録紙5に応じた交番磁界
の周波数に制御されるので、加熱ローラ2の軸線方向中
央部の発熱が促進され、軸線方向中央部の温度は定着処
理に必要な温度に回復し、記録紙5を幅方向に均一加熱
することができる。
【0073】前記長さW1と同一またはより小さい幅の
記録紙を加熱ローラ2に通過させることによって、交番
磁界の周波数をたとえば20kHzに下げるように制御
された後、前記長さW1と同一またはより小さい幅の記
録紙に代えて、前記長さW1よりも大きい幅の記録紙を
加熱ローラ2に通過させると、記録紙の通過によって熱
が奪われ、加熱ローラ2の軸線方向両端部付近の表面温
度T1は低下する。
【0074】加熱ローラ2の軸線方向両端部付近の表面
温度T1が低下するけれども、設定された交番磁界の周
波数が低く、表皮深さが大きいので、加熱ローラ2の軸
線方向両端部付近よりも、軸線方向中央部の加熱が促進
される。したがって、前記長さW1より大きい幅の記録
紙を連続して加熱ローラ2に通過させると、加熱ローラ
2の軸線方向両端部付近の表面温度T1が低下し、定着
処理に必要な温度まで回復しなくなる。その結果、ステ
ップs2において、加熱ローラ2の軸線方向中央部の表
面温度T2と、軸線方向両端部付近の表面温度T1との
温度差ΔTの絶対値が10℃を超えると判断され、次い
でステップs3において、軸線方向中央部の表面温度T
2が、軸線方向両端部付近の表面温度T1よりも高いと
判断される。このことによって、記録紙の幅は、前記長
さW1より大きいとみなされる。
【0075】記録紙の幅が、前記長さW1より大きいと
みなされることによって、ステップs5に進み、ステッ
プs5では、前述のように交番磁界の周波数がたとえば
40kHzに上げられて、前記長さW1より大きい幅の
記録紙に応じた交番磁界の周波数に制御されるので、加
熱ローラ2の軸線方向両端部付近の発熱が促進され、軸
線方向両端部付近の温度は定着処理に必要な温度に回復
し、記録紙を幅方向に均一加熱することができる。
【0076】記録紙の幅が、前記長さW1と同一または
より小さく、また交番磁界の周波数がたとえば20kH
zのように低く設定されているとき、記録紙の幅と加熱
ローラ2の加熱が促進される部位とが適合しているの
で、加熱ローラ2の軸線方向中央部と両端部付近との温
度差ΔTが、10℃を超えることがなく、設定された周
波数のまま加熱ローラ2の加熱と、記録紙の加熱ローラ
2への搬送とが継続される。すなわち、図8に示すステ
ップs2とステップs6との動作が繰返し行われる。
【0077】記録紙の幅が、前記長さW1より大きく、
また交番磁界の周波数がたとえば40kHzのように高
く設定されているとき、記録紙の幅と加熱ローラ2の加
熱が促進される部位とが適合しているので、上記と同様
にステップs2とステップs6との動作が繰返し行われ
る。
【0078】このように、加熱ローラ2の軸線方向両端
部付近の表面温度T1と、軸線方向中央部の表面温度T
2との温度差ΔTの絶対値が10℃を超えているか否
か、また表面温度T1とT2とのいずれが低いかを判断
することによって、記録紙の幅を間接的に検出し、記録
紙の幅に応じた交番磁界の周波数に制御し、加熱ローラ
2を幅方向に均一加熱することができる。
【0079】また、記録紙の幅が、前記長さW1と同一
またはより小さいときは、交番磁界の周波数を低く設定
し、導電層8の層厚t2に形成される軸線方向中央部の
発熱を促進することが望ましい。このことによって、記
録紙の幅に対応する加熱ローラ2の軸線方向中央部は、
軸線方向両端部付近よりも早く昇温されるので、ウォー
ムアップ時間が短縮され、消費電力を節減することがで
きる。
【0080】また、記録紙の幅に応じて交番磁界の周波
数を制御し、加熱ローラ2の軸線方向の温度分布を均一
化することによって、ホットオフセットの発生を防止す
ることができる。さらに、記録紙の幅が、前記長さW1
と同一またはより小さいにもかかわらず、交番磁界の周
波数を高く設定したまま加熱ローラ2を加熱することに
よって、加熱ローラ2の軸線方向両端部付近から第1お
よび第2軸受13,14への熱伝導量が多くなると、第
1および第2軸受13,14が熱によって破損するおそ
れがあるけれども、記録紙の幅に応じて交番磁界の周波
数を制御し、加熱ローラ2の軸線方向の温度分布を均一
化することによって、第1および第2軸受13,14の
破損を防止できる。
【0081】従来の定着装置では、定着装置に通紙され
る記録紙の幅を検知するために、操作パネルから記録紙
の幅を入力する入力手段、または記録紙の幅をたとえば
光学的に検出する検出手段を設けていたけれども、本実
施の形態によれば、加熱ローラ2の軸線方向両端部付近
および中央部の表面温度T1,T2を、第1および第2
温度検出器22,62を用いて検出することによって、
記録紙の幅を間接的に検出することが可能である。した
がって、操作パネルに記録紙幅の入力手段を設ける必要
がなく、また記録紙幅検出手段を設ける必要がないの
で、部品数を削減し製造コストを低減することができ
る。
【0082】図9は、本発明の第3の実施の形態である
加熱ローラ63の構成を簡略化して示す断面図である。
本実施の形態の加熱ローラ63は、実施の第1形態の加
熱ローラ2と類似し、対応する部分には同一の参照符号
を付して説明を省略する。
【0083】本実施の形態の加熱ローラ63は、導電層
64の層厚t1に形成される軸線方向一端部16付近の
軸線方向長さL13と、軸線方向他端部34付近の軸線
方向長さL14とが相異なり、前記長さL13が、前記
長さL14よりも長く形成される。本実施の形態では、
前記長さL13の方が前記L14よりも大きいけれど
も、これに限定されることなく、軸線方向他端部34付
近の軸線方向長さが、軸線方向一端部16付近の軸線方
向長さよりも長く形成されてもよい。
【0084】本実施の形態の加熱ローラ63では、導電
層64の層厚t2に形成される軸線方向中央部の長さ
と、層厚t1に形成される軸線方向他端部34付近の一
部とを含む長さが、たとえば日本工業規格P0138に
定められるA列4番の短手方向の長さW3に設定され
る。加熱ローラ63は、記録紙の幅方向の中心が、加熱
ローラ63の軸線方向中心から他端部34よりに合わせ
て通紙される場合に適した構成である。
【0085】前述のように本実施の第1〜第3の形態で
は、導電層の層厚は、軸線方向両端部付近の層厚t1と
中央部の層厚t2との2段階に構成されるけれども、設
定される交番磁界の周波数の段階に応じて得られる表皮
深さに対応し、均一に加熱される軸線方向の長さが3段
階以上に設定されるように、導電層の層厚が軸線方向に
おいて3段階以上に異なる構成であっても、本発明と主
旨を等しくするものである。
【0086】図10は本発明の第4の実施の形態である
定着装置65の構成を簡略化して示す概略断面図であ
り、図11は図10に示す定着装置65に含まれる誘導
コイル66の構成を簡略化して示す斜視図である。本実
施の形態の定着装置65は、実施の第1形態の定着装置
1と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して
説明を省略する。
【0087】本実施の形態の定着装置65では、誘導コ
イル66が導電層8の半径方向内方に設けられる。誘導
コイル66は、アルミニウムの単線を加熱ローラ2の軸
線まわりに巻き回して螺旋状に形成される。誘導コイル
66が、導電層8の半径方向内方に設けられることによ
って、定着装置65をより小型化することが可能とな
る。
【0088】図12は本発明の第5の実施の形態である
定着装置67の構成を簡略化して示す概略断面図であ
り、図13は図12に示す定着装置67に含まれる誘導
コイル68および磁束調整部材69の構成を簡略化して
示す斜視図である。本実施の形態の定着装置67は、実
施の第1形態の定着装置1と類似し、対応する部分には
同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0089】本実施の形態の定着装置67では、誘導コ
イル68と磁束調整部材69とが、導電層8の半径方向
内方に設けられる。磁束調整部材69は、加熱ローラ2
の軸線に沿って延び、軸線に垂直な断面の形状がE字状
を有する磁性材料からなる部材である。磁束調整部材6
9の素材としては、高透磁率を有することが望ましくフ
ェライト、珪素鋼板および電磁鋼板などが適している。
磁束調整部材69は、加熱ローラ2の軸線に沿って延び
る平板状の基底部70と、基底部70からほぼ垂直に立
ち上がり、互いにほぼ平行に加熱ローラ2の軸線に沿っ
て延びる第1〜第3突出片71,72,73とを含む。
【0090】誘導コイル68は、アルミニウムの単線が
磁束調整部材69の第2突出片72に一方向に巻き回さ
れて形成され、導電層8の内周面に臨み、導電層8およ
び離型層9を介して加圧ローラ3に対向して配置され
る。磁性材料からなる磁束調整部材69が存在すると、
誘導コイル68に電流が流されることによって発生する
磁束は、磁束調整部材69に集中する。磁束調整部材6
9を設けることによって、集中された磁束を導電層8に
鎖交させることができるので、磁束調整部材69が設け
られず磁束が大気中を通る場合に比べて、導電層8を通
る磁束密度が高くなり、導電層8の加熱効率を向上する
ことができる。
【0091】以上に述べたように、本実施の第1〜第5
の形態では、定着装置は、1つの誘導コイルを有するけ
れども、これに限定されることなく、複数の誘導コイル
を有する構成であってもよい。また導電層は、1層から
なるけれども、これに限定されることなく、複数の層に
よって構成されてもよい。また温度検出手段は、第1お
よび第2温度検出器22,62の2つによって構成さ
れ、第1および第2温度検出器22,62の各検出出力
に応答して交番磁界の周波数が制御される構成であるけ
れども、これに限定されることなく、温度検出手段は、
3つ以上の温度検出器によって構成され、各温度検出器
の出力に応答して交番磁界の周波数が制御される構成で
あってもよい。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、加熱ローラに備わる導
電層の軸線方向両端部付近の層厚t1は、それ以外の部
分の層厚t2よりも薄くなるように形成される。このこ
とによって、導電層の層厚t1に形成される軸線方向両
端部付近の熱容量が、それ以外の層厚t2に形成される
部分の熱容量よりも小さくなり、また導電層の層厚t2
に形成される部分から層厚t1に形成される軸線方向両
端部付近へ向う熱の移動が抑制される。したがって、導
電層が交番磁界によって誘導加熱されるとき、導電層の
軸線方向両端部付近における昇温速度の遅れを改善する
ことが可能となり、導電層の軸線方向にわたる昇温速度
および温度分布が均一化される。さらに、加熱ローラに
加圧ローラが押圧されたとき、加熱ローラの軸線方向の
たわみを低減することができる。
【0093】また本発明によれば、導電層の層厚がt2
に形成される部分の軸線方向長さは、被加熱材の搬送方
向に垂直な方向の長さ以上に設定されるので、被加熱材
を加熱ローラと加圧ローラとの間に挟圧して加熱すると
き、被加熱材を搬送方向に垂直な方向に均一に加熱する
ことができる。
【0094】また本発明によれば、導電層の軸線方向両
端部付近の層厚t1は、不等式t1≦√(2/ωσμ)
を満たすように選ばれる。このことによって、導電層が
交番磁界によって誘導加熱されるとき、導電層の層厚t
1に形成される軸線方向両端部付近は、層厚t1が表皮
深さ以下の厚み、すなわち渦電流によって発熱する厚み
だけを有するので、層厚t1が発熱に有効利用され、か
つ熱容量が小さいこともあり予め定める温度まで昇温す
る時間が短縮される。一方、導電層の層厚がt2に形成
される部分は、層厚t2が表皮深さよりも大きく、渦電
流によって発熱する部分の厚みと、その発熱部分からの
熱伝導によって加熱される熱負荷部分の厚みとを含むの
で、熱容量が大きくなり予め定める温度まで昇温する時
間が長くなる。したがって、導電層の軸線方向の昇温速
度が均一化される。
【0095】また、予め定める温度に昇温後、導電層の
層厚t1に形成される軸線方向両端部付近では、層厚t
1の厚みすべてが発熱の有効利用されるけれども、放熱
が大きく、導電層の層厚t2に形成される部分では、両
端部付近に比べて放熱は少ないけれども、前記熱負荷部
分を有するので、導電層の軸線方向の温度分布は均一化
される。
【0096】また本発明によれば、磁界発生手段は、被
加熱材の搬送方向に垂直な方向の長さに応じて、加熱ロ
ーラの温度が均一になるように交番磁界の周波数を制御
する制御手段を含む。このことによって、搬送方向に垂
直な方向の長さが、導電層の層厚t2に形成される部分
の軸線方向の長さよりも長い被加熱材を加熱するとき、
交番磁界の周波数を高く設定し、導電層の軸線方向両端
部付近の層厚t1が表皮深さとなる条件で発熱させるこ
とによって、導電層の軸線方向全長にわたる昇温速度お
よび温度分布を均一化することができる。また、搬送方
向に垂直な方向の長さが、導電層の層厚t2に形成され
る部分の軸線方向の長さ以下である短い被加熱材を加熱
するとき、交番磁界の周波数を低く設定し、導電層の層
厚t2に形成される部分を主に発熱させ、層厚t1に形
成される軸線方向両端部付近の発熱を抑制することによ
って、予め定める温度までの昇温時間を短縮し、消費電
力を節減することができる。
【0097】また本発明によれば、制御手段は、加熱ロ
ーラの軸線方向に予め定める間隔をあけて配置され、加
熱ローラの温度を検出する複数の温度検出手段の出力に
応答し、交番磁界の周波数を加熱ローラの温度が均一に
なるように制御する。このことによって、加熱ローラの
層厚t1に形成される軸線方向両端部付近と、それ以外
の層厚t2に形成される部分との温度差が、予め定める
値よりも大きいとき、各温度検出手段の出力に応答し、
交番磁界の周波数を制御することができるので、加熱ロ
ーラの軸線方向における温度分布を均一化することがで
きる。
【0098】すなわち、加熱ローラの層厚t1に形成さ
れる軸線方向両端部付近の温度が、それ以外の層厚t2
に形成される部分の温度よりも予め定める値を超えて高
い場合には、交番磁界の周波数を低くし、また加熱ロー
ラの層厚t1に形成される軸線方向両端部付近の温度
が、それ以外の層厚t2に形成される部分の温度よりも
予め定める値を超えて低い場合には、交番磁界の周波数
を高くすることによって、加熱ローラの軸線方向におけ
る温度分布を均一化し、加熱ローラを搬送方向に垂直な
方向に温度が均一になるように加熱することができる。
【0099】また本発明によれば、画像形成装置は、前
記いずれか1つの加熱装置を含むので、被加熱材の搬送
方向に垂直な方向に加熱むらのない良好な品質の画像を
形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の加熱装置である定着装
置1に含まれる加熱ローラ2の構成を簡略化して示す断
面図である。
【図2】図1に示す加熱ローラ2を含む定着装置1の全
体構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図3】定着装置1に含まれる誘導コイル20の平面図
である。
【図4】励磁回路21の電気的構成を簡略化して示すブ
ロック図である。
【図5】交番磁界の周波数fと表皮深さtとの関係を示
す図である。
【図6】図2に示す定着装置1を備える画像形成装置4
1の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態である定着装置61
に含まれる加熱ローラ2の構成を簡略化して示す断面図
である。
【図8】交番磁界の周波数を制御するスイッチング素子
制御回路30の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態である加熱ローラ6
3の構成を簡略化して示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態である定着装置6
5の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図11】図10に示す定着装置65に含まれる誘導コ
イル66の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態である定着装置6
7の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図13】図12に示す定着装置67に含まれる誘導コ
イル68および磁束調整部材69の構成を簡略化して示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 定着装置 2 加熱ローラ 3 加圧ローラ 4 磁界発生手段 8 導電層 41 画像形成装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性を有する材料からなる筒状の導電
    層を備える加熱ローラであって、導電層の軸線方向両端
    部付近の層厚t1が、導電層のそれ以外の部分の層厚t
    2よりも薄くなるように形成された加熱ローラと、 加熱ローラと対向して設けられ、加熱ローラとの間に被
    加熱材を挟圧して搬送する加圧ローラと、 導電層に交番磁界を印加して発熱させる磁界発生手段と
    を含むことを特徴とする加熱装置。
  2. 【請求項2】 前記導電層の層厚がt2に形成されてい
    る部分の軸線方向の長さは、 被加熱材の搬送方向に垂直な方向の長さ以上に設定され
    ることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
  3. 【請求項3】 導電層の軸線方向両端部付近の層厚t1
    は、不等式 t1≦√(2/ωσμ) ここで、ω:交番磁界の角周波数(=2πf) f:交番磁界の周波数 [Hz] σ:導電層の電気伝導度[S/m] μ:導電層の透磁率 を満たすように選ばれることを特徴とする請求項1また
    は2記載の加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記磁界発生手段は、 交番磁界の周波数を制御する制御手段を含み、 制御手段は、被加熱材の搬送方向に垂直な方向の長さに
    応じて、交番磁界の周波数を加熱ローラの温度が均一に
    なるように制御することを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の加熱装置。
  5. 【請求項5】 加熱ローラの軸線方向に予め定める間隔
    をあけて配置され、加熱ローラの温度を検出する複数の
    温度検出手段をさらに含み、 前記制御手段は、各温度検出手段の出力に応答し、交番
    磁界の周波数を加熱ローラの温度が均一になるように制
    御することを特徴とする請求項4記載の加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記請求項1〜5のいずれかに記載の加
    熱装置と、 被加熱材上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、 トナー像が表面に形成された被加熱材を、加熱ローラと
    加圧ローラとの間に搬送する搬送手段とを含むことを特
    徴とする画像形成装置。
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