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JP2002161922A - 転がり軸受用潤滑装置 - Google Patents

転がり軸受用潤滑装置

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Publication number
JP2002161922A
JP2002161922A JP2001002350A JP2001002350A JP2002161922A JP 2002161922 A JP2002161922 A JP 2002161922A JP 2001002350 A JP2001002350 A JP 2001002350A JP 2001002350 A JP2001002350 A JP 2001002350A JP 2002161922 A JP2002161922 A JP 2002161922A
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JP
Japan
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oil
lubricating
grease
peripheral surface
outer ring
Prior art date
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Application number
JP2001002350A
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English (en)
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Yoshiaki Katsuno
美昭 勝野
Sumio Sugita
澄雄 杉田
Shunichi Yabe
俊一 矢部
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Publication of JP2002161922A publication Critical patent/JP2002161922A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲に潤滑油が漏れ出したり運転時に騒音が
発生したりせず、しかも長期間に亙り良好な潤滑性能を
発揮できる構造を実現する。 【解決手段】 外輪間座2a内の保油空間21内の圧力
を、圧力導入路26を通じての圧力流体導入により上昇
させる。そして、上記保油空間21内に充填した固形油
中の潤滑油又はグリースを、内輪4aの延長部16の外
周面に設けたガイド傾斜面17に付着させる。このガイ
ド傾斜面17に付着した潤滑油又はグリースは、遠心力
と表面張力との釣り合いによりこのガイド傾斜面17の
大径側に流れ、転がり軸受1a内に入り込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の転がり軸受用潤滑装
置は、工作機械の主軸等、高速で回転する軸を支承する
為の転がり軸受を潤滑する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】工作機械の主軸は、使用時に高速回転す
る。従って、この様な主軸は、転がり軸受により回転自
在に支持すると共に、主軸の回転時にはこの転がり軸受
の内部に、十分な量の潤滑油を供給する必要がある。こ
の様な、主軸をハウジングの内側に回転自在に支持する
転がり軸受に潤滑油を送り込む為の装置として、特開平
10−299784号公報には、図23に示す様な構造
の転がり軸受用潤滑装置が記載されている。この転がり
軸受用潤滑装置は、転がり軸受1内に、外輪間座2内に
設けた潤滑油通路3を通じて潤滑油を送り込み自在とし
たものである。上記転がり軸受1を構成する内輪4は、
その外周面に内輪軌道5を有し、使用時に高速回転する
上記主軸(図示せず)に外嵌固定する。又、上記転がり
軸受1を構成する外輪6は、その内周面に外輪軌道7を
有し、上記ハウジング(図示せず)に内嵌支持する。
又、上記内輪軌道5と外輪軌道7との間には複数個の転
動体8を、保持器9により保持した状態で転動自在に設
けている。
【0003】又、上記主軸の周囲には上記内輪4に隣接
した状態で第一、第二の内輪間座10、11を、この内
輪4の側から順に設けている。一方、上記ハウジングの
内側には、上記外輪6に隣接した状態で、上記外輪間座
2を設けている。この外輪間座2の内側には上記潤滑油
通路3を設けており、この潤滑油通路3内に送り込まれ
た潤滑油(オイルエア或はオイルミスト)を、上記内輪
4の外周面と上記外輪6の内周面との間で上記複数の転
動体8を設置した軸受内部空間15内に、供給自在とし
ている。即ち、上記潤滑油通路3内に送り込まれた潤滑
油を、上記外輪間座2に設けたノズル孔13から吹き出
し、この外輪間座2の内周面と上記第一の内輪間座10
の外周面との間に設けた給油隙間14の端部開口から、
上記転がり軸受1の内部で上記転動体8を設けた軸受内
部空間15内に吐出する。上記給油隙間14の端部開口
は、上記転がり軸受1を構成する外輪6の内周面の軸方
向中間部の直径方向内側に存在する。従って、上記ノズ
ル孔13から吹き出した潤滑油は、高速回転時に上記軸
受内部空間15の両端開口部に形成されるエアカーテン
に拘らず、上記各転動体8の転動面に効率良く付着す
る。
【0004】上述した図23に示す様な従来構造の場
合、潤滑油であるオイルエア或はオイルミストを軸受内
部空間15に、必要とする分だけ継続して送り込める
為、高速運転時に於ける耐焼き付き性を高くできる。
又、上記軸受内部空間15内に必要以上の潤滑油を滞留
させる必要がないので、この潤滑油の攪拌抵抗並びに温
度上昇を低く抑えて、転がり軸受により回転自在に支持
された、工作機械の主軸等の回転抵抗を低く且つ安定さ
せる事ができる。この為、この主軸を設けた工作機械等
の性能を良好にできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図23に示した従来構
造の場合、単に潤滑性のみを考慮すれば十分な性能を得
られるが、低騒音性や対環境性を考慮した場合には問題
がある。このうちの低騒音性は、ノズル孔13から噴出
する潤滑油による気流騒音で悪化する。即ち、このノズ
ル孔13からは、空気中に微量の潤滑剤を混入させたオ
イルエア或はオイルミストが、絶え間なく且つ勢い良く
噴出する。この為、上記ノズル孔13部分で気流騒音が
発生し、この気流騒音を低減する為の消音機構等が必要
になり、転がり軸受用潤滑装置全体としての構造が複雑
になる。
【0006】又、耐環境性は、軸受内部空間15内に上
記オイルエア或はオイルミストを、絶え間なく且つ勢い
良く送り込む事により悪化する。即ち、上記軸受内部空
間15内の圧力は、上記オイルエア或はオイルミストの
送り込みにより陽圧になる為、何らかの対策を施さない
と、このオイルエア或はオイルミストが外部に漏洩して
作業環境を汚染する。一方、高速回転する主軸に関し
て、接触式のシールにより上記オイルエア或はオイルミ
ストが外部に漏洩するのを防止する事は難しい。この
為、非接触式のラビリンスシールにより、上記オイルエ
ア或はオイルミストの漏洩防止を図るが、余程複雑で且
つ大型のラビリンスシールを使用しない限り、確実な漏
洩防止を図る事は難しい。
【0007】これに対して、転がり軸受の潤滑を、この
転がり軸受内に予め充填したグリースにより行なえば、
上述の様な低騒音性や対環境性に関する問題をなくせ
る。ところが、単に転がり軸受内にグリースを充填した
だけでは、主軸の様に高速で回転する部材を支承する転
がり軸受の潤滑を、長期間に亙って十分に図る事は難し
い。グリースの充填量を多くすれば、或る程度の耐久性
向上を図れるが、その代わりに攪拌抵抗が増大し、回転
速度が不安定になるだけでなく、温度上昇も著しくなっ
てグリースの劣化も進み易くなる為、その効果は限られ
たものとなる。本発明は、この様な問題を何れも解消で
きる転がり軸受用潤滑装置を実現すべく考えたものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受用潤
滑装置は、従来から知られている転がり軸受用潤滑装置
と同様に、外周面に内輪軌道を有し、ハウジングの内側
で回転する軸に外嵌支持する内輪と、内周面に外輪軌道
を有し、このハウジングに内嵌支持する外輪と、この外
輪に隣接して上記ハウジングに内嵌支持する外輪間座
と、上記内輪軌道と外輪軌道との間に設けた複数の転動
体とを備えた転がり軸受のうち、上記内輪の外周面と上
記外輪の内周面との間で上記複数の転動体を設置した軸
受内部空間内に潤滑油を供給するものである。
【0009】特に、本発明の転がり軸受用潤滑装置に於
いては、上記外輪間座内に設けられ、内部に固形油又は
グリースを保持した保油空間と、この保油空間と上記軸
受内部空間とを連通させる給油通路と、この給油通路内
に上記潤滑油である上記固形油中の油脂又はグリースを
押し出す為の圧力流体を、上記保油空間内に導入する為
の圧力導入路とを備える。
【0010】
【作用】上述の様に構成する本発明の転がり軸受用潤滑
装置の場合には、圧力導入路を通じて保油空間内に圧力
流体を導入する事で、この保油空間内に保持した、潤滑
油である固形油中の油脂又はグリースを、給油通路を介
して軸受内部空間に供給できる。この様にして軸受内部
空間内に供給する油脂又はグリース等の潤滑油は、上記
圧力流体の圧力や量を変える事により、調節自在であ
る。従って、上記保油空間内に適正圧力の圧力流体を適
正量ずつ、間欠的又は連続的に送り込めば、上記軸受内
部空間に常に適正量の油脂又はグリースを存在させる事
ができる。上記保油空間の容積は、上記軸受内部空間の
容積に比べて大きいので、この軸受内部空間への油脂又
はグリースの供給を長期間に亙って行なう事ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、請求項1〜2に対応す
る、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本
発明の特徴は、転がり軸受1aを構成する外輪6の内周
面と内輪4aの外周面との間で、転動体8を設置した軸
受内部空間15内に潤滑油を送り込む為の潤滑装置の構
造にある。その他、転がり軸受部分の構造に就いては、
前述の図23に示した従来構造の場合と同様であるか
ら、同等部分に関する説明は、省略若しくは簡略にし、
以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0012】本例の場合には、上記内輪4aの片半部
(図1の右半部)に延長部16を形成し、この延長部1
6の外周面をガイド傾斜面17としている。このガイド
傾斜面17の途中には、段差や油溝、或はエッヂ等、傾
斜方向及び傾斜角度が急に変化する部分、言い換えれば
その断面形状を表す線に関して微分不能になる部分が存
在しない。又、上記ガイド傾斜面17は、全体を、表面
粗さが0.8μmRa以下の平滑面としている。尚、こ
のガイド傾斜面17の傾斜角度θは、このガイド傾斜面
17に付着した潤滑油が、遠心力に基づいて上記内輪4
aの外周面に設けた内輪軌道5に向け効率良く送られる
様に、3度以上にする。但し、上記傾斜角度θを大きく
し過ぎると、上記内輪4aの径方向(図1の上下方向)
に関する厚さ寸法が大きくなり過ぎ、転がり軸受1aの
PCD(ピッチ円直径)を小さくする事ができなくな
る。そこで、上記傾斜角度θの最大値を30度とする
(3度≦θ≦30度)。図1に示した例では、θ=15
度としている。この様な内輪4aは、小径側端面(図1
の右端面)に第二の内輪間座11の一端面(図1の左端
面)を突き当てた状態で、図示しない主軸に外嵌固定す
る。
【0013】一方、前記外輪6に隣接して配置した外輪
間座2aは、円筒状の外周面と、円すい状凹面18及び
円筒面19を組み合わせて成る内周面とを有する。この
うちの円すい状凹面18は、転がり軸受用潤滑装置を組
み立てた状態で、上記延長部16の直径方向外方に位置
するもので、上記内輪4aの中間部外周面に形成した内
輪軌道5に近づく程、直径方向外方に向かう方向に傾斜
している。又、上記円筒面19は、上記第二の内輪間座
11の直径方向外方に位置する。
【0014】上述の様な外輪間座2aの内周面の直径
は、上記内輪4a及び第二の内輪間座11の外周面の直
径よりも、軸方向に対応する部分(軸方向の位相が同じ
部分)で少しだけ大きい。従って、上記延長部16の外
周面を構成するガイド傾斜面17と、上記外輪間座2a
の内周面を構成する円すい状凹面18との間には、潤滑
油が流通自在な給油隙間20が形成される。この給油隙
間20は、上記内輪軌道5に近付く程直径方向外方に向
かう方向に傾斜している。この給油隙間20の厚さT20
の大きさは任意であるが、上記ガイド傾斜面17に沿っ
て行なう、前記転がり軸受1a内への潤滑油の供給を円
滑に行なわせる為には、上記厚さT20を、0.1〜2mm
程度と、小さく抑える事が好ましい。尚、上記外輪間座
2aの内周面を構成する円筒面19と、上記第二の内輪
間座11の外周面との間にも円筒状の隙間が存在する
が、この隙間は、上記外輪間座2aと第二の内輪間座1
1との干渉を防止する為にのみ必要であって、潤滑の面
からは不要である。従って、上記隙間の厚さ寸法は、で
きる限り小さくする事が好ましい。
【0015】更に、上記外輪間座2aの内側には、上記
給油隙間20に送り込む潤滑油を保持しておく為の保油
空間21を設けている。この保油空間21の形状は任意
であるが、潤滑油の保持量を多くすべく容積を大きくす
る為には、上記外輪間座2aの全周に亙って設ける事が
好ましい。そして、この保油空間21内に、多孔質の合
成樹脂中に潤滑油を保持した固形油、又は、大きな粘性
を有し、それ自体では流動性が乏しいグリースを保持し
ている。この様な固形油又はグリースは、上記外輪間座
2aをハウジング22内に内嵌するのに先立って、上記
保油空間21内に設置(充填)する。
【0016】又、上記外輪間座2aの外周面で、上記保
油空間21の外径側開口を軸方向両側から挟む位置に、
1対の係止溝23、23を形成し、これら各係止溝2
3、23内に、それぞれOリング24、24を係止して
いる。上記外輪間座2aを上記ハウジング22に内嵌し
た状態では、これら両Oリング24、24がこのハウジ
ング22の内周面に全周に亙り当接して、上記外輪間座
2aの外周面と上記ハウジング22の内周面との間をシ
ールする。
【0017】又、転がり軸受用潤滑装置を組み立てた状
態で、上記外輪間座2aの外周面に存在する、上記保油
空間21の基端部(図1の上端部)開口は、上記ハウジ
ング22の支持孔25の内周面に開口した圧力導入路2
6の下流端開口に整合する。又、上記保油空間21の先
端部(図1の左下端部)に設けたノズル孔27の先端開
口は、上記ガイド傾斜面17の中間部に対向する。前記
転がり軸受1aの軸受内部空間15内に給油する際に
は、上記保油空間21からノズル孔27を通じて上記ガ
イド傾斜面17の中間部に潤滑油を吐出させる。尚、こ
のノズル孔27は、上記ガイド傾斜面17の大径側に向
け傾斜している。従って、このノズル孔27から吐出さ
れた潤滑油は、その吐出の勢いによっても、上記ガイド
傾斜面17の大径側に向け移動する傾向になる。
【0018】上述の様に構成する本発明の転がり軸受用
潤滑装置により、上記転がり軸受1aを潤滑する場合に
は、上記圧力導入路26を通じて上記保油空間21内
に、圧縮空気等の圧力流体を導入し、この保油空間21
内の圧力を上昇させる。この様にして上記保油空間21
内の圧力を上昇させると、この保油空間21内に保持し
た固形油中の油脂又はグリースが、給油通路を構成する
上記ノズル孔27を通じて、このノズル孔27と共にこ
の給油通路を構成する、前記給油隙間20内に送り込ま
れる。即ち、上記ノズル孔27から吐出した潤滑油が、
前記ガイド傾斜面17に吹き付けられ、このガイド傾斜
面17に付着する。
【0019】この様にしてガイド傾斜面17に付着した
潤滑油は、上記主軸に外嵌固定した前記内輪4aの回転
に伴う遠心力と表面張力との釣り合いにより、上記ガイ
ド傾斜面17に沿ってこのガイド傾斜面17の大径側に
送られる。即ち、上記遠心力によって上記潤滑油には径
方向外方に向く力が作用するが、この潤滑油には、表面
張力により、上記ガイド傾斜面17に付着したままにな
ろうとする力も加わる。そして、これら両力の釣り合い
により、上記ガイド傾斜面17に付着した潤滑油が、こ
のガイド傾斜面17に付着した状態のまま、このガイド
傾斜面17の大径側に送られ、前記内輪4aの外周面に
設けた内輪軌道5にまで達する。そして、この様にして
内輪軌道5にまで達した潤滑油は、そのままこの内輪軌
道5から前記各転動体8の転動面に付着し、これら各転
動体8の転動面と上記内輪軌道5及び前記外輪6の内周
面に設けた外輪軌道7との転がり接触部を潤滑する。
【0020】本例の場合、上記ガイド傾斜面17は、そ
の小径側端部から上記内輪軌道5に隣接した大径側端部
までの間に、段差や油溝、或はエッヂ等、傾斜方向及び
傾斜角度が急に変化する部分が存在しない。この為、上
記ガイド傾斜面17に付着した潤滑油は、上記主軸の回
転に伴って発生する遠心力に拘らず、このガイド傾斜面
17の途中でこのガイド傾斜面17から離脱する事な
く、このガイド傾斜面17の大径側端部に存在する上記
内輪軌道5にまで達する。この様にして、このガイド傾
斜面17を通じて潤滑油を転がり接触部に送り込む作用
は、上記主軸の高速回転時に転がり軸受1aの両端開口
部に形成されるエアカーテンに妨げられる事なく、効率
良く行なわれる。従って、上記主軸の回転速度が速くな
っても、前記ノズル孔27から吐出する潤滑油の殆ど
が、上記内輪軌道5に達し、上記転がり接触部の潤滑に
供される。
【0021】上述の様にして前記軸受内部空間15内に
供給する油脂又はグリース等の潤滑油は、前記圧力導入
路26から前記保油空間21内に導入する圧力流体の圧
力や量を変える事により、調節自在である。従って、上
記保油空間21内に適正圧力の圧力流体を適正量ずつ、
連続的又は間欠的に送り込めば、上記軸受内部空間15
に常に適正量の油脂又はグリースを存在させる事ができ
る。即ち、一度上記軸受内部空間15内に、(オイルミ
ストやオイルエアとは異なる)液状の潤滑油を送り込め
ば、その後潤滑油の送り込みを停止しても、相当時間に
亙り主軸等の回転部材の高速回転を継続的に行なえる。
そこで、上記保油空間21内への圧力流体の導入を、連
続的又は一定時間毎、或は回転部材が所定回数回転する
毎に行なえば、転がり軸受の潤滑を十分に行なえる。
【0022】上記保油空間21から上記軸受内部空間1
5への給油は、間欠的にしか行なわれないか、連続的に
行なうにしても、給油量は僅かずつである。従って、何
れにしても、給油時に、オイルエアやオイルミストを勢
い良く噴出させる場合の様な気流騒音が発生する事はな
い。又、余剰の潤滑油が上記軸受内部空間からラビリン
スシールを通過して周囲に漏れ出す事も殆どない。この
為、低騒音化と油脂分の漏洩防止による周囲空間の清浄
化とにより、作業環境を良好にできる。
【0023】又、上記保油空間21の容積は、上記軸受
内部空間15の容積に比べて大きい。しかも、この保油
空間21内に存在する潤滑油の量がいくら多くても、前
記転がり軸受1aの攪拌抵抗が増大する事はなく、この
転がり軸受1aの動トルクが増大したり、変動したり、
運転時の温度上昇が著しくなる事はない。従って、上記
保油空間21内に十分に多量の潤滑油を保持して、上記
軸受内部空間15内への油脂又はグリースの供給を長期
間に亙って行なう事ができる。尚、上記保油空間21内
に導入する圧力流体は、圧縮空気に限らず、圧力を加え
た作動油とする事もできる。但し、作動油とする場合に
は、この作動油の成分を、上記保油空間21内に予め充
填しておく、固形油中の油脂又はグリースの成分と同等
のものにする。又、上記転がり軸受1a内には、運転開
始前に予め少量の潤滑油(グリース等)を注入しておく
事が好ましいが、主軸等の起動前に上記保油空間21内
に圧力流体を導入すれば、必ずしも注入しておく必要は
ない。
【0024】次に、図2は、やはり請求項1〜2に対応
する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例
の場合には、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒
ころである円筒ころ軸受を使用している。従って、内輪
4bの外周面に設ける内輪軌道5a及び外輪6aの内周
面に設ける外輪軌道7aは、それぞれ円筒面としてい
る。又、上記内輪4bの軸方向寸法を、外輪6aの軸方
向寸法に比べて小さくすると共に、上記内輪4bに隣接
させて第一の内輪間座10aを配置し、更にこの第一の
内輪間座10aに隣接させて、第二の内輪間座11を配
置している。そして、上記内輪4bの軸方向一端面(図
2の右端面)を、上記外輪6aの軸方向一端面よりも、
この外輪6aの軸方向中央部に寄った位置に存在させて
いる。このうちの第一の内輪間座10aは、内周面を円
筒状に形成すると共に、外周面を円すい凸面状のガイド
傾斜面17としている。その他の構成及び作用は、前述
した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一
符号を付して、重複する説明を省略する。
【0025】次に、図3は、請求項1〜3に対応する、
本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合
には、保油空間21aが、外輪間座2aの外周面に開口
する状態で全周に亙って形成した凹溝である。この様な
保油空間21aの、上記外輪間座2aの中心軸を含む仮
想平面に関する断面形状は台形であり、この保油空間2
1aの両内側面は、上記外輪間座2aの軸方向(図3の
左右方向)に関するこの保油空間21aの幅が、この外
輪間座2aの内径側(図3の下側)に向かうに従って狭
くなる方向に傾斜している。そして、この様な保油空間
21a内に、潤滑剤含有ポリマー、或は潤滑剤含有多孔
質材等である、固形油28を充填している。この固形油
28は、材料物質を上記保油空間21a内に充填した状
態で加熱成形し、この保油空間21a内で冷却固化させ
る。従って、上記固形油28の断面形状も、上記保油空
間21aと同様の台形である。
【0026】この様に、保油空間21a及び固形油28
の断面形状を、上記外輪間座2aの内径側に向かう程幅
(厚さ)が狭くなる台形に形成する事により、圧力導入
路26を通じての圧力導入時に、上記固形油28中の油
脂成分をノズル孔27に向け、効率良く押し出せる様に
している。この様に、上記各部の断面形状を台形にする
事により、油脂成分の押し出しを効率良く行なえる理由
に就いて、以下に説明する。
【0027】上記保油空間21a内で加熱成形した固形
油28が冷却固化する際、この固形油28及び前記外輪
間座2aが熱収縮するが、この収縮量は、合成樹脂を主
成分とする固形油28の方が、金属製の外輪間座2aよ
りも多くなる。この為、前述の図1〜2に示した第1〜
2例の様に、保油空間21の断面形状が単なる矩形の場
合には、冷却固化後の固形油28の外面と上記保油空間
21の内面との間に隙間が生じる。この様な隙間が生じ
ると、上記圧力導入路26から上記保油空間21内に導
入された圧縮気体の全部又は一部が、固形油を押す事な
く、そのまま上記隙間を通ってノズル孔27に達する可
能性がある。この様な場合には、固形油内の油脂がこの
ノズル孔27から効率良く送り出されなくなる。
【0028】これに対して本例の場合には、上記保油空
間21a内で加熱成形した固形油28が冷却固化して
も、これら固形油28の外面と保油空間21aの内面と
の間に隙間が生じにくい。即ち、この固形油28は、加
熱成形後の冷却固化に伴って、その軸方向に関する厚さ
が小さくなると同時に直径が縮まる。この為、上記固形
油28の熱収縮に伴う体積減少分が、この固形油28の
外面と上記保油空間21aの外面との間の隙間増大にそ
のまま結び付く事はなくなる。この様に本例の場合に
は、固形油28の外面と保油空間21aの外面との間の
隙間を減少若しくはなくせる為、前記圧力導入路26か
らこの保油空間21a内に導入した圧力を、上記固形油
28中の油脂を前記ノズル孔27に向け押し出す為に有
効に利用できて、この固形油28の熱収縮に伴って潤滑
不良が発生する事を防止できる。
【0029】又、本例の場合には、潤滑用の油脂が枯渇
した用済の固形油28を取り出す作業を、容易に行なえ
る。即ち、前記外輪間座2aをハウジング22から抜き
取った状態で、用済の固形油28の円周方向1乃至複数
個所を切断してこの固形油28の直径を広げれば、この
固形油28を上記保油空間21aから、その両側面とこ
の保油空間21aの両内側面とを擦れ合わせたり干渉さ
せたりする事なく、容易に抜き取る事ができる。この様
にして用済の固形油28を抜き取った後に上記外輪間座
2aは、その保油空間21aに新たな固形油28を充填
してから、上記ハウジング22内にセットする。
【0030】次に、図4は、やはり請求項1〜3に対応
する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例
の場合には、保油空間21aの奥面30と固形油28の
内径面31との間に隙間29を、全周に亙って形成して
いる。本例の場合、この様な隙間29を形成する事によ
り、圧力導入路26を通じて上記固形油28の外径側に
圧力を導入した場合に、この固形油28に対し効率良く
圧縮方向の力を付与して、この固形油28中の油脂をノ
ズル孔27に向け効率良く供給できる。この理由に就い
て、図5を参照しつつ、以下に説明する。
【0031】上記圧力導入路26から上記固形油28の
外径側に導入された圧力は、図5に示す様にF1 なる力
で、この固形油28にその内径を縮める方向に作用す
る。この結果、この固形油28は上記保油空間21aに
楔状に食い込む傾向になって、この保油空間21aの両
内側面からF2 なる力を受ける。これら両内側面の傾斜
角度をαとすれば、このF2 は、次式で表される。 F2 =F1 /(2・sinα) 従って、上記傾斜角度αを小さくすれば、上記固形油2
8を軸方向両側から挟持する力F2 を十分に大きくし
て、この固形油28を強く圧縮し、この固形油28中の
油脂成分を上記ノズル孔27に向け、効率良く送り出せ
る。
【0032】次に、図6は、やはり請求項1〜3に対応
する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例
の場合には、前述の図2に示した実施の形態の第2例の
場合と同様に、転がり軸受1bとして、転動体8aが円
筒ころである円筒ころ軸受を使用している。この転がり
軸受1bと第一の内輪間座10a部分の構造に関しては
前述の第2例の場合と同様であり、保油空間21a部分
の構造に就いては前述した第3例の場合と同様であるか
ら、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省
略する。
【0033】次に、図7〜8は、請求項1、2、4に対
応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本
例の場合には、複数の保油空間21b、21bが、それ
ぞれが外輪間座2aの外周面に開口する状態で形成され
た、断面円形の複数の凹孔である。これら凹孔である上
記各保油空間21b、21bは、その内径が上記外輪間
座2aの内径側に向かうに従って小さくなる方向に傾斜
したテーパ孔である。そして、上記各保油空間21b、
21b内に、それぞれが円すい台状に形成された固形油
28a、28aを押し込んでいる。又、上記外輪間座2
aの外周面で上記各保油空間21b、21bの端部開口
に整合する部分には凹溝32を、全周に亙って形成して
いる。ハウジング22に設けた圧力導入路26は、この
凹溝32を介して、上記各保油空間21b、21bに通
じている。
【0034】この様な本例の場合も、これら各保油空間
21b、21bの内周面と上記各固形油28a、28a
の外周面との間の隙間を、減少若しくはなくせる。この
為、上記圧力導入路26と上記凹溝32とを通じて上記
各保油空間21b、21b内に圧力流体を送り込めば、
上記固形油28a、28aを有効に加圧して、これら各
固形油28a、28a中の油脂を、上記各保油空間21
b、21bの奥端部に設けたノズル孔27を通じて転が
り軸受1a内に、効率良く送り込める。
【0035】更に、本例の構造によれば、上記各固形油
28a、28aをカートリッジ化できて、寿命に達した
固形油28a、28aを取り外して新たな固形油28
a、28aを装着する作業の容易化を図れる。又、異な
るサイズの転がり軸受1aの潤滑を行なうべく、直径が
異なる外輪間座2aに装着する固形油28a、28aの
共通化を図れて、コストダウンに寄与する事もできる。
尚、上記各固形油28a、28aが上記各保油空間21
a、21aから抜け出るのを防止する為には、上記凹溝
32部分にOリングや環状のコイルばね等の抑え部材を
装着し、上記各固形油28a、28aの基端面(大径側
端面)を抑え付ければ良い。
【0036】次に、図9も、請求項1、2、4に対応す
る、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の
場合は、各保油空間21bの奥面30aと各固形油28
aの先端面33との間に隙間29aを介在させて、圧力
導入路26を通じての圧力導入時に、上記各固形油28
aに対し圧縮方向の力を、効率良く加えられる様にして
いる。又、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒こ
ろである円筒ころ軸受を使用している。この転がり軸受
1bと第一の内輪間座10a部分との構造に関しては前
述の第2例の場合と同様であり、保油空間21b部分の
構造に就いては、上記隙間29aを設けた点を除き、上
述した第6例の場合と同様であるから、同等部分には同
一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】次に、図10は、請求項1、2、3、6に
対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。
本例の場合には、外輪間座2aの外周面に開口する状態
で形成した保油空間21a内に保持した固形油28の表
面で上記外輪間座2aの外径側(図10の上側)部分
を、この固形油28の油脂成分を浸透させない、弾力性
を有する合成樹脂製の薄膜34により覆っている。本例
の場合には、この様な薄膜34を設ける事により、圧力
導入路26からの圧力導入に伴って上記固形油28から
押し出された油脂成分を、ノズル孔27に向け効率良く
供給自在としている。この様な作用を発揮する理由に就
いて、以下に述べる。
【0038】圧力導入路26からの圧力導入に伴って上
記固形油28から油脂成分が、この固形油28の表面全
体から押し出される。このうち、この固形油28の外周
面から押し出された油脂成分は、上記ノズル孔27に供
給されにくく、そのまま無駄になる可能性がある。これ
に対して本例の場合には、上記薄膜34を設ける事によ
り、上記固形油28の外周面から油脂成分が押し出され
ない様にして、この固形油28内に含浸された油脂成分
を上記ノズル孔27に向け、効率良く送れる様にしてい
る。この為、この油脂成分の有効利用により、上記固形
油28の寿命延長を図れる。
【0039】次に、図11は、請求項1、2、4、6に
対応する、本発明の実施の形態の第9例を示している。
本例は、前述の図9に示した第7例の構造に、薄膜34
aを付加したものである。この薄膜34aの機能に就い
ては上述した第8例の場合と同様であり、転がり軸受1
bと第一の内輪間座10a部分の構造に関しては前述の
第2例の場合と同様であり、保油空間21b部分の構造
に就いては、上記第7例の場合と同様であるから、同等
部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0040】次に、図12は、請求項1、2、5に対応
する、本発明の実施の形態の第10例を示している。本
例の場合には、外輪間座2bを、主体35と蓋体36と
を軸方向(図12の左右方向)に重ね合わせる事により
構成している。このうちの主体35は、互いに同心に設
けた外径側円筒部37と内径側円筒部38との基端縁
(図12の右端縁)同士を円輪部39で連続させる事に
より、側方が開口した断面略コ字形で全体を円環状とし
ている。尚、上記外径側円筒部37の軸方向長さは、上
記内径側円筒部38の軸方向長さよりも長くしている。
従って、上記外径側円筒部37の先端縁(図12の左端
縁)は、上記内径側円筒部38の先端縁よりも軸方向に
(図12の左方に)僅かに突出している。
【0041】又、上記円輪部39の内側面(図12の左
側面)は、内径側に向かう程上記各円筒部37、38の
先端縁に向かう方向に傾斜している。従って、上記円輪
部39と上記蓋体36との間に存在する保油空間21c
の軸方向の幅は、内径側程小さくなる。更に、上記外径
側円筒部37の外周面中間部には凹溝40を、全周に亙
って形成しており、この凹溝40部分に於いて上記外径
側円筒部37に、通孔41を形成している。上記外輪間
座2bをハウジング22内に組み付けた状態で上記保油
空間21cは、上記通孔41と凹溝40とを通じて、上
記ハウジング22に設けた圧力導入路26に通じる。
尚、図示の例では、上記内径側円筒部38の基端部及び
上記円輪部39の外側面内径側端部にかけて凹部45
を、全周に亙って形成し、上記主体35と隣接する転が
り軸受1aの内輪4aとが干渉しない様にしている。
尚、図示の例では、2組設けた転がり軸受1a、1aに
潤滑油を供給する為の圧力導入路26、26を互いに独
立させて、上記各転がり軸受1a、1aに送り込む潤滑
油の量を変えられる様にしている。但し、これら両転が
り軸受1a、1aに送り込む潤滑油の量を互いに独立し
て変える必要がなければ、上記圧力導入路26、26を
独立させず、上記両転がり軸受1a、1aに潤滑油を供
給する為の保油空間21c、21c内に、同じ圧力を加
える様に構成しても良い。
【0042】上述の様な主体35と、円輪状の蓋体36
とを軸方向に重ね合わせて前記外輪間座2bを構成した
状態で、この蓋体36の片面(図12の右面)内径寄り
部分と上記内径側円筒部38の先端縁との間には、スリ
ット状の給油通路42が、全周に亙って形成される。
又、上記保油空間21c内には固形油28bを設置して
いる。この固形油28bの径方向の厚さは、この保油空
間21cの径方向の厚さよりも小さく、新しい固形油2
8bをこの保油空間21c内に設置した状態では、この
固形油28bの内周面と上記内径側円筒部38の外周面
との間に隙間43が存在する。
【0043】上述の様に構成する本例の場合は、前記圧
力導入路26を通じて上記保油空間21cの外径寄り部
分に、圧縮空気等の圧力流体を導入し、上記固形油28
bの直径を弾性的に縮める事により、この固形油28b
中の油脂成分を上記給油通路42に向け送り出す。この
給油通路42は、前記外輪間座2bの内周面に全周に亙
って開口しているので、上記油脂成分は転がり軸受1a
を構成する内輪4aの延長部16の外周面にまんべんな
く付着して、この転がり軸受1a内に効率良く送り込ま
れる。
【0044】特に、本例の場合には、前述した第1〜9
例の場合に比べて、次の様な、より優れた作用・効果を
得られる。先ず第一に、上記固形油28bの容積を十分
に確保できる構造で、しかも、上記外輪間座2bの軸方
向の剛性を確保できる。即ち、前述の図1〜6に示した
第1〜5例の場合、保油空間21、21aを外輪間座2
aの全周に亙って形成している為、この保油空間21、
21a内に充填若しくは設置するグリース若しくは固形
油の容積を多くできる反面、上記外輪間座2aの軸方向
に関する剛性が低下する。この為、転がり軸受により支
持される主軸が、ドリルによる孔加工やバイトによる端
面加工に基づいて発生する大きなスラスト荷重を支承す
る場合には、上記外輪間座2aの剛性が不足する可能性
がある。これに対して本例の場合には、上記外輪間座2
bのうち、外輪6の端面が突き当てられた外径側端部の
軸方向剛性を十分に確保できる。
【0045】又、上記固形油28bの容積を十分に確保
できる構造で、しかも、この固形油28bを前記保油空
間21cに設置する作業を容易に行なえる。即ち、前述
の図3〜6に示した第3〜5例の場合、保油空間21a
内に固形油28を設置するのに、射出成形を行なった
り、或はこの固形油28の一部に切り割りを形成したり
する必要がある。これに対して本例の場合には、前記蓋
体36を取り外した状態で上記保油空間21c内に上記
固形油28bを、軸方向から着脱できる。この為、この
固形油28bの設置作業や交換作業を容易に行なえる。
【0046】次に、図12に示した第10例の構造で、
前記給油通路42から固形油28b中の油脂成分が吐出
される状態を確認する為に行なった実験に就いて説明す
る。この実験では、図13に示す様に、上記給油通路4
2の下流端開口部に脱脂綿44を設置し、圧縮空気によ
って上記固形油28bの外周面に、294KPa(3kg/
cm2 )の圧力を加え続ける事により、この固形油28b
中の油脂成分を上記給油通路42を通じて上記脱脂綿4
4に向け吐出させた。雰囲気温度は50℃とし、上記給
油通路42の幅W42は0.1mmとした。そして、上記固
形油28bの重量減少分と、この脱脂綿44の重量増大
分とを、時間の経過と共に測定した。その結果を、図1
4〜15に示す。
【0047】このうちの図14に示した曲線aは、上記
脱脂綿44の重量増大分を、同じく曲線bは上記固形油
28bの重量減少分を、それぞれ表している。これら曲
線a、bを比較すれば明らかな通り、上記固形油28b
の重量減少分のうちの凡そ80%が、上記脱脂綿44の
重量増大分となっている。又、この脱脂綿44の重量増
大は、1時間当たり凡そ0.5mg程度の微小量で、しか
も時間の経過に対して非常に安定して増加する。この事
は、上記固形油28bから送り出されて上記給油通路4
2から吐出した油脂成分が、前記延長部16(図12参
照)の外周面に効率良く付着する事を示している。
【0048】又、図15は、上記固形油28bの重量の
減少率を表している。この固形油28bの重量は、14
00時間経過した時点で、凡そ7%減少したが、この固
形油中の油脂成分は凡そ70%である。従って、一度前
記保油空間21c内に固形油28bを設置すれば、非常
に長期間に亙って転がり軸受1a内に油脂成分を供給し
続けられる事が分かる。
【0049】次に、本発明を実施する場合に好適な、固
形油28、28a、28bの具体例に就いて説明する。
本発明の実施に使用する固形油28、28a、28bの
うちの第一の種類としては、ポリマー中に潤滑剤を含有
させた、所謂潤滑剤含有ポリマーがある。このうちのポ
リマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブチレン、ポリメチルペンテン等の、基本的に同じ化学
構造を有するポリオレフィン系樹脂の群から選定された
合成樹脂が使用可能である。又、上記潤滑剤としては、
ポリαオレフィン油の様なパラフィン系炭化水素油、ナ
フテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエー
テル油の様なエーテル油、フタル酸エステルの様なエス
テル油等を、何れか単独若しくは混合油の形で混ぜて調
整したものを使用できる。上記潤滑剤含有ポリマーを造
る場合には、上記ポリマーの原料と潤滑剤とを混合した
ものを、ポリマーである合成樹脂の融点以上で加熱して
可塑化し、その後冷却・固化する事で、所望の形状及び
寸法を有する、上記固形油28、28a、28bとす
る。尚、上記潤滑剤中に、予め酸化防止剤、防錆剤、摩
耗防止剤、消泡剤、極圧剤等の各種添加剤を加える事も
できる。本発明を実施する場合、上記固形油28、28
a、28bにはあまり強度を要求しない為、上述した材
料を、保油性能を確保する面から選択使用して、上記固
形油28、28a、28bを得る。
【0050】又、本発明の実施に使用する固形油28、
28a、28bのうちの第二の種類としては、多孔質材
中に潤滑剤を含浸させたものがある。このうちの多孔質
材としては、多孔質高分子材、多孔質金属燒結体、多孔
質セラミック燒結体がある。このうちの多孔質高分子材
としては、軟質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォー
ム、ポリ塩化ビニルフォーム、フェノール樹脂フォー
ム、尿素樹脂フォーム、ポリビニルアルコールフォー
ム、ビスコーススポンジ、ラバーフォーム、シンタクチ
ックフォーム等の、連続気泡を有する多孔質高分子材が
挙げられる。又、上記多孔質金属燒結体としては、鉄系
材料、銅系材料、ステンレス系材料、ニッケル系材料、
クロム系材料等の燒結体を使用できる。又、上記多孔質
セラミック燒結体としては、アルミナ、ジルコニア等を
使用できる。更に、潤滑剤としては、転がり軸受の潤滑
に適当で上記多孔質材中に含浸させる事が可能な、あら
ゆる材料を使用でき、例えば、鉱油、ポリαオレフィン
油、アルキルポリフェニルエーテル、エステル油等の炭
化水素系潤滑油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェ
ニルポリシロキサン等のシリコン系潤滑油、パーフルオ
ロポリフェニルエーテル等のフッ素系潤滑油等が使用可
能である。
【0051】次に、図16〜17は、請求項1、2、7
に対応する、本発明の実施の形態の第11例を示してい
る。本例の場合には、複数の保油空間21d、21d
が、それぞれが外輪間座2aの外周面に開口する状態で
形成された、断面円形の複数の凹孔である。これら凹孔
である上記各保油空間21d、21dは、その内径が上
記外輪間座2aの径方向に変化しない円孔である。そし
て、これら各保油空間21d、21d内に、栓状部材4
6とグリース47とを、それぞれこれら各保油空間21
d、21dの奥から順に、これら各保油空間21d、2
1dの断面を塞ぐ状態で設けている。このうちの栓状部
材46は、例えば上述した様な多孔質材製で、内部に互
いに連続する微細流路を有する。
【0052】この様な栓状部材46は、上記各保油空間
21d、21dのうち、給油通路の上流端部を構成する
ノズル孔27寄りの下流側部分に、上述の様に上記各保
油空間21d、21dの断面を塞ぐ状態で設けている。
そして、これら各保油空間21d、21dの上流側部分
に存在する流体が、上記栓状部材46内の微細流路を通
過してから、上記ノズル孔27に達する様にしている。
そして、上記各保油空間21d、21d内の上流側部
分、即ち、上記栓状部材46よりも上流側に位置する部
分にグリース47を、上記各保油空間21d、21dの
断面を塞ぐ状態で充填している。又、本例の場合も、ハ
ウジング22に設けた圧力導入路26と上記外輪間座2
aの外周面に形成した凹溝32とを通じて上記各保油空
間21d、21d内に圧力流体を送り込み自在としてい
る。
【0053】上述の様に構成する本例の転がり軸受用潤
滑装置により、転がり軸受1aを潤滑する場合には、上
記圧力導入路26を通じて上記各保油空間21d、21
d内に、圧縮空気等の圧力流体を導入し、これら各保油
空間21d、21d内の圧力を上昇させる。この様にし
てこれら各保油空間21d、21d内の圧力を上昇させ
ると、これら各保油空間21d、21d内の上流側部分
に充填したグリースが、上記栓状部材46内の微細流路
内に押し込まれ、この微細流路を通じて上記各保油空間
21d、21dの下流側部分に送られる。そして、これ
ら各保油空間21d、21d内に送られたグリースが、
上記ノズル孔27を通じて、このノズル孔27と共にこ
の給油通路を構成する給油隙間20内に送り込まれ、内
輪4aの片半部に形成した延長部16の外周面であるガ
イド傾斜面17に付着する。この様にしてガイド傾斜面
17に付着した潤滑油は、前述した第1例の場合と同様
にして、上記内輪4aの外周面に設けた内輪軌道5にま
で達し、各転動体8の転動面と内輪軌道5及び外輪6の
内周面に設けた外輪軌道7との転がり接触部を潤滑す
る。
【0054】本例の場合も、軸受内部空間15内に供給
するグリースは、上記圧力導入路26から上記各保油空
間21d、21d内に導入する圧力流体の圧力や量を変
える事により、調節自在である。例えば、前記栓状部材
46を通過して上記ノズル孔27に送られるグリースの
量は、この栓状部材46の空隙率(内部に存在する微細
流路の大きさ)、この栓状部材46の断面積や軸方向長
さ、或は上記各保油空間21d、21d内に送り込む圧
力流体の圧力、更には上記ノズル孔27の内径や長さを
変える事により任意に調節できる。従って、上記栓状部
材46の性状に応じて上記各保油空間21d、21d内
に適正圧力の圧力流体を適正量ずつ、連続的又は間欠的
に送り込めば、上記軸受内部空間15に常に適正量グリ
ースを存在させる事ができる。
【0055】即ち、一度上記軸受内部空間15内にグリ
ースを送り込めば、その後グリースの送り込みを停止し
ても、相当時間に亙り主軸等の回転部材の高速回転を継
続的に行なえる。そこで、上記各保油空間21d、21
d内への圧力流体の導入を、連続的又は一定時間毎、或
は回転部材が所定回数回転する毎に行なえば、転がり軸
受の潤滑を十分に行なえる。圧力流体の導入を間欠的に
行なう場合に導入の時期としては、例えば工作機械等の
起動毎が考えられる。一般的に工作機械の起動時には、
運転動作の異状の有無や各計測機器のチェックを兼ね
て、低速からの暖機運転を行なう。この様な状態でグリ
ースを転がり軸受1a内に送り込めば、送り込まれた直
後で未だこの転がり軸受1a内に広がっていないグリー
スが攪拌されて発熱する事を抑えられるので、グリース
の供給時期としては好ましい。そこで、上記工作機械の
制御器に、起動時に上記各保油空間21d、21d内に
圧力流体を送り込む動作を行なわせる機能を組み込め
ば、上記転がり軸受1a内へのグリースの供給を効果的
に行なえる。何れにしても、上記各保油空間21d、2
1d内に充填可能なグリースの量は、上記軸受内部空間
15内に充填可能なグリースの量に比べて遥かに(例え
ば数十倍〜数百倍)多い為、上記各保油空間21d、2
1d内へのグリースの補給を長期間行なわなくても、前
記転がり軸受1aの潤滑を、長期間に亙って十分に行な
える。
【0056】又、本例の場合には、上記各保油空間21
d、21d内に充填したグリースを、多孔質の栓状部材
46を通じて前記ノズル孔27に送る為、上記圧力流体
の圧力が多少変動しても、上記グリースの供給を安定し
て行なえる。即ち、工作機械の主軸を支持する為の転が
り軸受1aの潤滑を考慮した場合、上記圧力流体とし
て、例えば圧力(ゲージ圧)が(1〜3)×103 hPa
(≒1〜3kg/cm2)程度の圧縮空気を使用する事が、一
般的に考えられる。この様な圧縮空気によりグリースの
押し出しを行なう場合、上記栓状部材46を使用しない
と、上記ノズル孔27を余程小径(例えば内径を1mm程
度)にしても、前記ガイド傾斜面17に過剰なグリース
が付着する事になる。これに対して、上記栓状部材46
を使用する事により、このグリースの流れに対する抵抗
を大きくできるので、上記ガイド傾斜面17に付着する
グリースの量を適正にできる。
【0057】しかも、上記栓状部材46を設ける事によ
り、上記圧縮空気の圧力が多少変動しても、上記ノズル
孔27から上記ガイド傾斜面17に吐出されるグリース
の量を安定させる事もできる。即ち、上記圧縮空気の圧
力は、レギュレータを設けた場合でも、(1〜3)×1
2 hPa(≒0.1〜0.3kg/cm2)程度変動する。一
方、本例の場合には、上記栓状部材46による圧力損失
効果に基づき、上記各保油空間21d、21dの上流側
部分に導入する圧縮空気の圧力を高くできる。この為、
上記変動分の割合を小さくして、この圧縮空気の圧力が
多少変動した場合でも、上記ガイド傾斜面17へのグリ
ースの吐出量が、潤滑性能に影響を及ぼすほど変動する
事を防止できる。
【0058】尚、上記栓状部材46に必要な抵抗を持た
せる為には、この栓状部材46内の微細流路の断面積を
或る程度確保して、その代わりに、この栓状部材46の
軸方向長さを大きくする事が好ましい。この理由は、上
記微細流路の断面積を大きくする事で、上記グリース内
に混入した異物がこの微細流路内に詰まりにくくする為
である。但し、図示の例では、上記各保油空間21d、
21dを複数個、円周方向等間隔に設けている為、何れ
かの保油空間21d内の栓状部材46が詰まった場合で
も、他の保油空間21dからのグリース供給は継続して
行なわれる。従って、前記転がり軸受1aへのグリース
供給が停止する事はない。
【0059】次に、図18は、やはり請求項1、2、7
に対応する、本発明の実施の形態の第12例を示してい
る。本例の場合には、前述の図2に示した実施の形態の
第2例の場合と同様に、転がり軸受1bとして、転動体
8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用している。こ
の転がり軸受1bの構造及び第一の内輪間座10aを設
ける点に関しては上記第2例の場合と同様であり、保油
空間21d内のグリース47を栓状部材46を介してノ
ズル孔27に送る点に就いては上述した第11例の場合
と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重
複する説明を省略する。
【0060】次に、図19〜20は、請求項1、2、
4、7に対応する、本発明の実施の形態の第13例を示
している。本例の場合には、前述の図7〜8に示した本
発明の実施の形態の第6例の場合と同様に、複数の保油
空間21e、21eを、それぞれが外輪間座2aの外周
面に開口する状態で形成された、断面円形でその内径が
この外輪間座2aの内径側に向かうに従って小さくなる
方向に傾斜したテーパ孔としている。そして、上記各保
油空間21e、21e内に、それぞれが円すい台状に形
成された栓状部材46aを押し込んでいる。そして、上
記外輪間座2aの径方向に関してこの栓状部材46aよ
りも外径側に位置する、上記各保油空間21e、21e
内の上流側部分に、グリース47を充填している。
【0061】上述の様に構成する本例の場合には、上記
栓状部材46aの外周面と上記各保油空間21e、21
eの内周面とを楔状に当接させて、この栓状部材46a
がこれら各保油空間21e、21eの奥端部にまで入り
込まない様にできる。この為、円環状ではない、ピース
状の栓状部材46aを使用する構造でも、上記各保油空
間21e、21eの奥端面と上記栓状部材46aの先端
面との間に隙間48を介在させて、この栓状部材46a
を通過してノズル孔27に送られるグリース47の流路
を確保できる。その他の構成及び作用は、前述の図16
〜17に示した実施の形態の第11例と同様であるか
ら、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略
する。
【0062】次に、図21は、やはり請求項1、2、
4、7に対応する、本発明の実施の形態の第14例を示
している。本例の場合には、前述の図2に示した実施の
形態の第2例の場合と同様に、転がり軸受1bとして、
転動体8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用してい
る。この転がり軸受1bの構造及び第一の内輪間座10
aを設ける点に関しては上記第2例の場合と同様であ
り、保油空間21e内のグリース47を栓状部材46a
を介してノズル孔27に送る点に就いては上述した第1
3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を
付して、重複する説明を省略する。
【0063】次に、図22は、やはり請求項1、2、
4、7に対応する、本発明の実施の形態の第15例を示
している。本例の場合には、前述の図12に示した第1
0例の場合と同様に、ハウジング22の内側に、それぞ
れが前述の図19〜20に示した第13例とほぼ同様の
構造を有する転がり軸受用潤滑装置を、2組設けてい
る。更に本例の場合には、各保油空間21e、21e内
だけでなく、これら各保油空間21e、21eの圧縮空
気を導入する為の圧力導入路26、26の下流端部分に
も、グリース47、47を充填して、このグリース4
7、47の充填量をより多くしている。転がり軸受用潤
滑装置の構造及び作用に関しては、上記第12例の場合
とほぼ同様であるから、同等部分には同一符号を付し
て、重複する説明を省略する。
【0064】尚、本発明の潤滑装置により潤滑油を供給
する転がり軸受は、図示の様なアンギュラ型玉軸受、円
筒ころ軸受に限らず、深溝型玉軸受、円すいころ軸受、
自動調心ころ軸受等、他の型式の転がり軸受であっても
良い。
【0065】
【発明の効果】本発明の転がり軸受用潤滑装置は、以上
に述べた通り構成され作用するので、作業環境の改善を
図りつつ、長期間に亙り良好な潤滑性能を維持できる。
この為、作業環境が良好で、しかもメンテナンスが容易
な工作機械等の実現に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面
図。
【図2】同第2例を示す部分断面図。
【図3】同第3例を示す部分断面図。
【図4】同第4例を示す部分断面図。
【図5】第4例の機能を説明する為の模式図。
【図6】本発明の実施の形態の第5例を示す部分断面
図。
【図7】同第6例を示す部分断面図。
【図8】第6例に組み込む外輪間座を外周側から見た
図。
【図9】本発明の実施の形態の第7例を示す部分断面
図。
【図10】同第8例を示す部分断面図。
【図11】同第9例を示す部分断面図。
【図12】同第10例を示す部分断面図。
【図13】本発明の効果を確認する為に行なった実験の
実施状態を示す部分断面図。
【図14】この実験の結果のうち、固形油の重量減少及
び脱脂綿の重量増大を、時間の経過との関係で示す線
図。
【図15】同じく固形油の重量が減少する割合を、時間
の経過との関係で示す線図。
【図16】本発明の実施の形態の第11例を示す部分断
面図。
【図17】第11例に組み込む外輪間座を外周側から見
た図。
【図18】本発明の実施の形態の第12例を示す部分断
面図。
【図19】同第13例を示す部分断面図。
【図20】第13例に組み込む外輪間座を外周側から見
た図。
【図21】本発明の実施の形態の第14例を示す部分断
面図。
【図22】同第15例を示す部分断面図。
【図23】従来構造の1例を示す半部断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b 転がり軸受 2、2a、2b 外輪間座 3 潤滑油通路 4、4a、4b 内輪 5、5a 内輪軌道 6、6a 外輪 7、7a 外輪軌道 8、8a 転動体 9 保持器 10、10a 第一の内輪間座 11 第二の内輪間座 13 ノズル孔 14 給油隙間 15 軸受内部空間 16 延長部 17 ガイド傾斜面 18 円すい状凹面 19 円筒面 20 給油隙間 21、21a、21b、21c、21d、21e 保油
空間 22 ハウジング 23 係止溝 24 Oリング 25 支持孔 26 圧力導入路 27 ノズル孔 28、28a、28b 固形油 29、29a 隙間 30、30a 奥面 31 内径面 32 凹溝 33 先端面 34、34a 薄膜 35 主体 36 蓋体 37 外径側円筒部 38 内径側円筒部 39 円輪部 40 凹溝 41 通孔 42 給油通路 43 隙間 44 脱脂綿 45 凹部 46、46a 栓状部材 47 グリース 48 隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢部 俊一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 BA56 BA77 CA08 CA13 CA14 EA63 FA32 GA31

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に内輪軌道を有し、ハウジングの
    内側で回転する軸に外嵌支持する内輪と、内周面に外輪
    軌道を有し、このハウジングに内嵌支持する外輪と、こ
    の外輪に隣接して上記ハウジングに内嵌支持する外輪間
    座と、上記内輪軌道と外輪軌道との間に設けた複数の転
    動体とを備えた転がり軸受のうち、上記内輪の外周面と
    上記外輪の内周面との間で上記複数の転動体を設置した
    軸受内部空間内に潤滑油を供給する転がり軸受用潤滑装
    置に於いて、上記外輪間座内に設けられ、内部に固形油
    又はグリースを保持した保油空間と、この保油空間と上
    記軸受内部空間とを連通させる給油通路と、この給油通
    路内に上記潤滑油である上記固形油中の油脂又はグリー
    スを押し出す為の圧力流体を、上記保油空間内に導入す
    る為の圧力導入路とを備える事を特徴とする転がり軸受
    用潤滑装置。
  2. 【請求項2】 内輪又はこの内輪に隣接した状態で上記
    軸に外嵌支持する内輪間座の外周面にガイド傾斜面が設
    けられており、このガイド傾斜面は、内輪軌道から離れ
    るに従って直径が小さくなる方向に傾斜し、その小径側
    端部が上記外輪の端面よりも軸方向外方に突出して外輪
    間座の内径側に進入しており、この外輪間座の端部内周
    面と上記ガイド傾斜面との間に、潤滑油が流通自在な給
    油隙間が存在しており、上記外輪間座の内周面に、保油
    空間内の潤滑油を上記ガイド傾斜面に向けて吐出するノ
    ズル孔が開口しており、このノズル孔と上記給油隙間と
    が給油通路を構成している、請求項1に記載した転がり
    軸受用潤滑装置。
  3. 【請求項3】 保油空間は、外輪間座の外周面に開口す
    る状態で全周に亙って形成された凹溝であり、この凹溝
    の外輪間座の軸方向に関する幅は、この外輪間座の内径
    側に向かうに従って狭くなる、請求項1〜2の何れかに
    記載した転がり軸受用潤滑装置。
  4. 【請求項4】 保油空間は、それぞれが外輪間座の外周
    面に開口する状態で形成された、断面円形の複数の凹孔
    であり、これら各凹孔の内径は、上記外輪間座の内径側
    に向かうに従って小さくなる、請求項1〜2の何れかに
    記載した転がり軸受用潤滑装置。
  5. 【請求項5】 外輪間座は、側方が開口した断面略コ字
    形で円環状の主体と、この主体の側方開口を塞ぐ円輪状
    の蓋体とを重ね合わせて内部に保油空間を設けたもので
    あり、給油通路は、上記主体と蓋体との内径側端部のう
    ちで少なくとも円周方向の一部を突き合わせずに形成し
    た隙間を含んで構成されるものであり、上記主体と蓋体
    との外径側端部同士は互いに突き合わされており、圧力
    導入路は、この主体の外径側端部の円周方向の一部に設
    けられている、請求項1〜2の何れかに記載した転がり
    軸受用潤滑装置。
  6. 【請求項6】 保油空間内に保持した固形油又はグリー
    スの表面で外輪間座の外径側部分を、この固形油又はグ
    リースの油脂成分を浸透させない弾力性を有する薄膜に
    より覆った、請求項1〜5の何れかに記載した転がり軸
    受用潤滑装置。
  7. 【請求項7】 保油空間のうちの給油通路寄りの下流側
    部分に、多孔質材製で内部に互いに連続する微細流路を
    有する栓状部材を、上記保油空間の断面を塞ぐ状態で設
    けると共に、この保油空間内でこの栓状部材よりも上流
    側に位置する部分にグリースを、この保油空間の断面を
    塞ぐ状態で充填した、請求項1〜6の何れかに記載した
    転がり軸受用潤滑装置。
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