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JP2002141532A - 集積型光起電力素子の製造方法 - Google Patents

集積型光起電力素子の製造方法

Info

Publication number
JP2002141532A
JP2002141532A JP2000335386A JP2000335386A JP2002141532A JP 2002141532 A JP2002141532 A JP 2002141532A JP 2000335386 A JP2000335386 A JP 2000335386A JP 2000335386 A JP2000335386 A JP 2000335386A JP 2002141532 A JP2002141532 A JP 2002141532A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
substrate
semiconductor layer
semiconductor
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000335386A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Murakami
勉 村上
Koichi Shimizu
孝一 清水
Toshihito Yoshino
豪人 吉野
Yoshifumi Takeyama
祥史 竹山
Koji Tsuzuki
幸司 都築
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2000335386A priority Critical patent/JP2002141532A/ja
Publication of JP2002141532A publication Critical patent/JP2002141532A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクライブラインにおけるショートを防止す
ることにより歩留まりが良好で、かつ長期使用時におけ
る信頼性の高い集積型光起電力素子の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 少なくとも下部電極層103と、半導体
層105と、上部電極層107とからなる光起電力素子
を同一基板上に複数配列してなる集積型光起電力素子の
製造方法において、電極層または半導体層の表面に絶縁
膜108を形成する工程と、絶縁膜108側から少なく
とも電極層または半導体層をスクライブする工程とを有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池や薄膜ト
ランジスター等に使用される機能性光起電力素子の製造
方法に係り、特に整流機能を有する集積型光起電力素子
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来より、光起電力素子の出力電圧を
高めるために、同一の基板上に形成された光起電力素子
を複数に分割し、直列接続することによって集積化する
集積型光起電力素子が知られている。その方法として、
レーザーを用いて透明導電層や光電変換層を分割する技
術、即ちレーザースクライブの技術が検討され、数多く
提案されている。
【0003】例えば特開平5−25173号公報には、
基板側薄膜電極と、該薄膜電極上に形成されたpin接
合からなる非晶質半導体と、該非晶質半導体層上に形成
された裏面薄膜電極とからなる複数の光電変換体がガラ
ス基板上に配設され、該光電変換体の一部が直列接続さ
れてなる集積型太陽電池モジュールの製造工程におい
て、前記非晶質半導体層の一部を除去する手段としてY
AGレーザーを用いる技術が開示されている。
【0004】また、特開平7−307482号公報に
は、同一基板上に分離形成された基板側電極上に、第1
導電型半導体層、i型半導体層および上記第1導電型半
導体層とは反対の導電型の第2導電型半導体層を積層し
た積層半導体層を1層以上形成し、かつ上記積層半導体
層を半導体層分割分離溝により分割し、分割された上記
半導体層上に背面電極を形成し、隣接する上記積層半導
体層の基板側電極と背面側電極とを接続した集積型太陽
電池の製造工程において、レーザースクライブ法により
前記分割分離溝の形成を行う技術が開示されている。
【0005】さらに、特開平9−8337号公報には、
基板上に複数の領域に分割して設けられた第1電極層上
に、2つの第1電極層にわたって、一方の第1電極層上
に開口した接続用開口部を設けた複数の半導体層が設け
られ、半導体層上の接続用開口部を除く領域には導電体
層が設けられているとともに、この導電体層上に接続用
開口部を介して一方の第1電極層と電気的に接続した状
態で第2電極層が設けられることにより、第2電極層と
他方の第1電極層とによって挟まれる領域からなる単位
素子が複数直列に接続された集積化薄膜太陽電池の製造
工程において、レーザースクライブ法により電極層を溶
断する技術が開示されている。
【0006】そして、特開平9−36397号公報に
は、アモルファスシリコン層の両面に第1電極と第2電
極とが積層されており、第2電極は絶縁基板に密着して
積層されているとともに、隣り合う発電セルの第2電極
は絶縁溝で絶縁されており、隣り合う発電セルの第1電
極と第2電極はレーザー接続部で連結されており、この
レーザー接続部に隣接して設けられているレーザー切断
部が隣り合う発電セルの第1電極を切断してなる集積型
太陽電池の製造工程において、レーザースクライブ法に
より電極を切断し、レーザーウエルディング法により電
極を接続する技術が開示されている。
【0007】また、特開平9−129903号公報及び
特開平9−129906号公報には、基板上に第1電極
層、第1スタックセル、第2スタックセル及び第2電極
層からなる単位素子が複数個形成され、これらの複数の
単位素子が直列接続される集積化薄膜タンデム太陽電池
の製造工程において、レーザースクライブ法により電極
及び/またはセルを溶断して分割する技術が開示されて
いる。
【0008】次に、集積化光起電力素子(薄膜太陽電
池)の代表的な構成を説明する。図11は、従来の光起
電力素子の断面構造を示す模式図であり、従来より一般
的に採用されている集積型薄膜太陽電池の構造である。
【0009】図11において、101は透光性の絶縁性
基板、103は下部電極層、105は半導体層、107
は上部電極層、109は上部電極層を分割する上部電極
分割溝、104は下部電極層103と半導体層105と
を分割する分割溝(半導体層の分割は必須ではない)を
示している。
【0010】上部電極層107とアモルファスシリコン
等よりなる半導体層105と下部電極層103を順次積
層し、半導体層105に設けられた接続部を介して、互
いに隣接する単位素子間が直列に接続されている。上部
電極層107としては、光を透過することが必要である
ことから通常酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電膜が用
いられ、また下部電極層103としてはアルミニウム
(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)等の金属膜が用
いられる。
【0011】このような従来の集積化薄膜太陽電池は、
次のような製造方法によって作製される。なお、スクラ
イブ方法としては、レーザーを使用している。
【0012】図11に示すように、透光性の絶縁基板
(例えば、ガラス基板)101上に、SnO2、Zn
O、ITO等の透明導電膜を上部電極層107としてス
パッタリング法等により堆積し、集積化のためにレーザ
ースクライブ法により上部電極層107を発電領域に対
応して分離する。そして、レーザースクライブ時に発生
した溶断残渣を除去するために洗浄を行い、プラズマC
VD法によりpin接合構造を有する非晶質シリコン半
導体層(p層及び/又はn層は必要に応じて微結晶とす
ることもできる)105を全面にわたって堆積する。
【0013】続いて、上部電極層107と同様にレーザ
ースクライブ法によって半導体層105の分離を行った
後、溶断残渣を除去するための洗浄を行う。さらに、A
l、Ag、Cr等の金属を単層または複層に堆積して下
部電極層103を形成し、上部電極層107と同様にレ
ーザースクライブ法により分離し、集積化された大面積
太陽電池が完成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
レーザーやその他の方法で同一の基板上に形成された光
起電力素子を分割し、直列接続することによって集積化
する場合、以下のような問題が存在する。
【0015】即ち、レーザーその他の方法による分割加
工時に切断を行う部分の金属層、半導体層、透明電極層
などの材料が飛散することにより切断されて微細になっ
た金属や半導体が分割溝に付着して電気的な絶縁が不充
分となり、良好な電気持性が得られなくなる。このよう
な微細な粉塵を防ぐためにエアブローを行いながら切断
を行うのが一般的であるが、従来の方法では粉塵が完全
にはとりきれずに切断部に残ってしまっていた。このよ
うにして発生したショート状態に起因する漏れ電流は上
部電極層107と下部電極層103との間に発生する電
圧に比例する。
【0016】一方、太陽電池は光が弱いときは、出力電
流は小さいが出力電圧はそれほど低下しないので、光が
弱い状態においても漏れ電流はそれほど減少しない。従
って、光が弱いときは相対的に漏れ電流による電力損失
が大きくなるという問題が起こる。
【0017】このようなスクライブ部分のシャント問題
は、とりわけ抵抗の低い金属層や透明導電膜において発
生するものであり、半導体のように比較的抵抗が高い材
料での分割溝の短絡に比べて光起電力の低下が著しい。
【0018】本発明は、上記課題に鑑み、スクライブラ
インにおけるショートを防止することにより歩留まりが
良好で、かつ長期使用時における信頼性の高い集積型光
起電力素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明らは、上記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、切断を行う半導体層
または金属層(電極層)の上部に絶縁膜を形成し、該絶
縁膜を介して分割を行うことで、切断による粉塵がショ
ートを妨げ、歩留まりが良好で信頼性の高い集積型光起
電力素子が得られることを見出した。また、分割方法と
してはレーザーによる方法、サンドブラストによる方
法、超音波による方法などが好適に用いられ、切断時に
発生する導電性の粉塵を極力少なくし、且つ除去しやす
くすることが可能となることにより、前記課題を解決で
きることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0020】即ち本発明は、少なくとも下部電極層と、
半導体層と、上部電極層とからなる光起電力素子を同一
基板上に複数配列してなる集積型光起電力素子の製造方
法において、電極層または半導体層の表面に絶縁膜を形
成する工程と、該絶縁膜側から少なくとも電極層または
半導体層をスクライブする工程とを有することを特徴と
する。
【0021】本発明の集積型光起電力素子の製造方法に
おいては、前記スクライブ工程が、レーザースクライブ
法、サンドブラストスクライブ法、または超音波スクラ
イブ法を用いて行われることが好ましい。
【0022】また前記絶縁膜は、少なくともアクリル、
ポリエステル、またはポリイミドから選択される高分子
樹脂により形成されることが好ましい。
【0023】また前記絶縁膜は、少なくともSiO、S
iO2、またはガラスから選択される無機材料により形
成されることが好ましい。
【0024】さらに、前記絶縁膜のスクライブする部分
に開口部を形成することが好ましい。
【0025】そして、前記半導体層が、光入射側から順
に少なくとも第1半導体層と第2半導体層を積層した構
造であり、かつ少なくとも第2半導体層の一部が柱状微
結晶構造を有するシリコン層により構成されていること
が好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を説明するが、本発明は本実施形態に限られない。
【0027】本発明の集積型光起電力素子の製造方法に
おいてスクライブしようとする材料表面に絶縁性材料を
形成することにより、導電性材料を絶縁性材料で被覆
し、切断によって生じる粉塵を最小限にでき、また粉塵
は絶縁性材料が導電性材料に積層された状態のものであ
るため導電性が低いものとなり、粉塵が切断後の分割溝
に残った場合でもショート状態を最小限にとどめること
ができる。
【0028】本発明の骨子は、切断により導電性の微細
な粒子になってしまう被切断材料の上に微細化を防ぐと
ともに短絡を防ぐような効果を有する材料を積層するこ
とであり、このような絶縁材料としては有機材料であれ
ばアクリル、ポリエステル、ポリイミドが好ましく、無
機材料であればSiO、SiO2、ガラスなどが好適に
用いられる。
【0029】以下、本発明の集積型光起電力素子の構
成、及びその製造方法を添付図面に従って説明する。
【0030】図1は、本発明の集積型光起電力素子の構
成例を示しており、(a)〜(f)は各製造工程におけ
る構造を示している。
【0031】図1に示すように、本例の集積型光起電力
素子は、ステンレス鋼等の金属基板101上にSi
2、ポリイミドなどからなる絶縁層102が堆積さ
れ、Al、Cu、Ag等からなる反射層と酸化亜鉛、酸
化インジウム、酸化錫等からなる反射増加層から構成さ
れる下部電極103、分割溝104、半導体層105、
分割溝106、そしてITO等の透明導電膜からなる上
部電極107及び絶縁膜108から構成されている。
【0032】図1(a)は、基板101の表面に絶縁層
102が堆積された状態を表している。
【0033】図1(b)は、さらに反射層及び反射増加
層から構成される下部電極103が堆積され、分割溝1
04によって下部電極103は電気的に分割される。
【0034】図1(c)は、半導体層105を堆積し、
さらに半導体層105の分割溝106が形成された状態
を表している。
【0035】図1(d)は、半導体層105の上に上部
電極である透明導電層107を堆積し、分割溝106を
介して隣接する半導体素子と直列接続された状態を表し
ている。
【0036】図1(e)は、透明導電層107の表面に
絶縁膜108が堆積された状態を表している。
【0037】図1(f)は、さらに透明導電層107を
分割溝109によって電気的に分割した状態を表してい
る。
【0038】図2は、本発明の集積型光起電力素子の他
の構成例を示しており、(a)〜(f)は各製造工程に
おける構造を示している。
【0039】図2に示すように、この集積型光起電力素
子において、基板101はガラス基板で、光が基板側か
ら入射するタイプのものであり、絶縁層102が無いこ
とと上部電極層107と下部電極層103の位置関係が
反対である以外は、図1とほぼ同様の構成、製造方法で
ある。
【0040】図3は、本発明の集積型光起電力素子の別
の構成例を示しており、(a)〜(f)は各製造工程に
おける構造を示している。この集積型光起電力素子は、
図2の絶縁膜108がスクライブラインのみ開口されて
いる例である。
【0041】図3において、基板101はガラス基板
で、光が基板側から入射するタイプのものであり、絶縁
層102が無いことと上部電極層107と下部電極層1
03の位置関係が反対である以外は、図1とほぼ同様の
構成、製造方法である。
【0042】図4は、本発明の集積型光起電力素子のさ
らに別の構成例を示しており、(a)〜(f)は各製造
工程における構造を示している。
【0043】図4に示すように、この集積型光起電力素
子において、基板101はポリイミドなどの絶縁性基板
であることと絶縁層102が無いこと以外は、図1と同
様の構成、製造方法である。
【0044】以下、本発明の各構成要素についてさらに
詳細に説明する。
【0045】(基板)基板101としては、絶縁性基板
又は導電性基板上に絶縁層を形成したものが用いられ
る。絶縁性基板としては、ガラス、ポリイミド、PET
(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂フィルムが好
適に用いられる。とりわけポリイミドは耐熱性の高いフ
ィルムであることから、好適に用いられる。
【0046】また導電性基板としては、ステンレス、ア
ルミニウム、銅、亜鉛鋼板等が好適に用いられる。これ
らの金属板は一定の形状に切断して用いても良いし、長
尺のシート状の形態で用いても良い。長尺のシート状の
形態で用いた場合には、コイル状に巻くことができるの
で連続生産に適しており、保管や輸送も容易になる。基
板の表面は鏡面でも良いが、光の散乱を目的として適当
な凹凸を設けてもよい。
【0047】(絶縁層102)導電性基板上に形成され
る絶縁層102としては、少なくとも1×1010Ωcm
以上、好ましくは1×1012Ωcm以上の比抵抗を持つ
必要がある。また、電極や半導体の堆積時に加わる温度
(通常200℃以上)や、場合によってはレーザービー
ム加工において加わる温度に耐える必要がある。これら
の条件を満たす材料としては、ダイヤモンド膜、シリコ
ン膜、炭化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化シリコン
膜、酸化アルミニウム膜、弗化カルシウム膜、ガラス
膜、ポリイミド膜等が挙げられる。これらの膜は無機材
料の膜であればスパッタリング、プラズマCVD、イオ
ンプレーティングなどの方法、有機材料の膜であれば溶
剤に溶けた材料をドクターブレードでコートする等の方
法で導電性基板上に成膜することができる。
【0048】(反射層)この反射層は、反射増加層とと
もに下部電極103として機能する。反射層(下部電極
103の一部)としてはAl、Cu、Ag等、或いはこ
れらの金属を含む合金が好適に用いられ、スパッタリン
グ、メッキ、プラズマCVD、イオンプレーティング等
の方法で基板上に堆積させることができる。導電性基板
の場合は、導電性基板上に形成された絶縁膜上に形成
し、下部電極の機能を兼ねる。
【0049】(反射増加層)反射増加層(下部電極10
3の一部)としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(S
nO2)、酸化カドミウム(CdO)、カドミウムスタ
ネイト(Cd2SnO 4)、酸化インジウム(In
23)、酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物が
好適に用いられ、スパッタリング、メッキ、プラズマC
VD、イオンプレーティング等の方法で堆積させること
ができる。この反射増加層の表面は凹凸を有していても
よい。
【0050】また、反射増加層には必要に応じてフッ素
を添加してもよい。フッ素を添加することによって隣接
する半導体素子を直列接続させた場合、該接続部の比抵
抗を下げ、直列接続した半導体素子のシリーズ抵抗の増
大を効果的に防ぐことができる。
【0051】下部電極103、即ち反射層及び反射増加
層の分割の際にレーザー光を用いた場合、フッ素が添加
された反射増加層は近赤外領域のレーザー光、例えばY
AGレーザーの基本波を効果的に吸収するため、分割が
容易になると同時に、下地或いは基板の損傷を防ぐ。特
に導電性基板を用いた場合、レーザー光の照射により絶
縁層102(図1参照)までが破壊されて短絡が生じる
のを防ぐことができる。また、樹脂フィルム等の絶縁基
板を用いた場合も、樹脂が熱で変成するのを防ぐことが
できる。更に上部電極と下部電極の電気的接続をレーザ
ー光の照射によって行う場合、レーザー照射の際に、下
部電極103の反射増加層と半導体層105が剥離して
しまうことがあったが、フッ素添加によりこの現象を防
ぐことができる。
【0052】また、フッ素が添加された導電層はn型を
示すため、下部電極103の反射増加層と接する半導体
層105がn型半導体の場合、両層の接続が良好とな
り、オーミック性を改善することができる。また、下部
電極103の反射増加層と半導体層105との界面で発
生する内部応力を低減するため、半導体素子の光劣化、
振動劣化を抑制することができる。更に、下部電極10
3の反射層の成分が半導体層105に拡散することを防
ぎ、素子の劣化を抑制することができる。特に、下部電
極103の反射層としてマイグレーションを起こし易い
Agを用いた場合、この効果が顕著である。
【0053】好ましいフッ素の含有量は0.05〜30
原子%で、より好ましくは0.2〜5原子%である。
【0054】反射増加層にフッ素を含有させる場合に
は、前述の反射層作製方法においてフッ素及び/又はフ
ッ素含有ガスを、原料ガス及び又は雰囲気ガスとして使
用すればよい。
【0055】(絶縁膜108)本発明で用いられる絶縁
膜108としては、金属層あるいは半導体層、透明電極
層などの分割を行う導電層の短絡を防ぐ目的を果たすも
のであることが必要であり、少なくとも1×1010Ωc
m以上、好ましくは1×1012Ωcm以上の比抵抗を持
つ必要がある。また、電極や半導体の堆積時に加わる温
度(通常200℃以上)や、更にレーザースクライブを
行う場合であれば、レーザー加工において加わる温度に
耐える必要がある。また、スクライブ方法に応じて好適
な材料を選択して用いることも必要であり、さらには光
入射側に用いられるか光入射と反対側に用いられるかに
よっても、好適な材料は異なる。また、この絶縁膜10
8はスクライブ後に剥離することも可能であるが、集積
型光起電力素子の構成材料の一部として残しておくこと
も可能である。
【0056】このような材料として具体的には、例えば
ダイヤモンド膜、シリコン膜、炭化シリコン膜、窒化シ
リコン膜、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、弗化
カルシウム膜、ガラス膜、ポリイミド膜等が挙げられ
る。これらの膜は無機材料の膜であればスパッタリン
グ、プラズマCVD、イオンプレーティングなどの方
法、有機材料の膜であれば溶剤に溶けた材料をドクター
ブレードでコートする等の方法で成膜することができ
る。
【0057】前記絶縁材料は、スクライブ方法としてレ
ーザー光を用いる場合前記絶縁材料を透過して切断すべ
き材料まで到達することが必要であるが、必ずしも透明
でなくても良く、黒色フィルムでレーザー光を吸収して
発熱し、下部の材料に熱が伝達されることにより切断が
行われる機構も本発明の趣旨である。
【0058】(スクライブ法)本発明で絶縁膜108を
分割するに好適な方法としては、レーザースクライブ
法、サンドブラストによるスクライブ法、超音波による
スクライブ法などが用いられる。
【0059】レーザースクライブには、YAGレーザ
ー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が使用できる
が、特にYAGレーザーが好適に用いられる。基本波長
1.06μmの他に、非線形光学素子を併用して得られ
る第2高調波の0.53μmの光も所望に応じて利用す
ることができる。
【0060】YAGレーザーは連続発振動作もできる
が、高いピークパワーを得るためと高い周波数を得るた
め、Qスイッチパルス発振動作で使用することが好まし
い。Qスイッチパルス発振の周波数は数kHzから数十
kHz程度であり、1つのパルスの継続時間は100n
sec前後が好適である。
【0061】レーザー加工用光学系の概要を図6に示
す。図6において、301はレーザー本体である。この
中に必要に応じてQスイッチ、非線形光学素子が組み込
まれている。302は電源で、レーザーの励起光源を点
灯する。303は冷却装置で、冷却水を循環している。
304は出力されたレーザービームで、ダイクロイック
ミラー305によって90度曲げられ、レンズ306に
よって集光されて、試料307に照射される。試料30
7はステージ308上に取り付けられ、ステージ308
はコントローラ309により、決められた速度で水平方
向に移動し、試料表面をビームが走査する。大型の試料
の場合は、ポリゴンミラーを利用してビームの方を移動
しても良い。
【0062】照明光源310からの光がレンズ311で
コリメートされ、ダイクロイックミラー312で90度
曲げられ、試料307を照射する。加工の状況は反射ミ
ラー313を介してITVカメラ314によって撮影さ
れ、モニター315で観察することができる。
【0063】次に、サンドブラストによるスクライブ方
法を図7に示す。図7において、401はコンベア、4
02は膜を堆積した基板、403は吐出された微粒子の
研磨剤、404はノズルを示している。
【0064】サンドブラストによるスクライブ法は、概
略以下のようである。即ち、基板402に分割溝を形成
する部分以外を絶縁膜でマスクしておく。その後、基板
402はコンベア401上に基板と反対方向を上に向け
て置かれ、一定の速度(500mm/分程度のスピー
ド)で搬送される。粒径10μm程度のSiCなどの粒
子をノズル404に送り、高速で基板402に吹き付け
る。絶縁膜のある部分はスクライブされず、それ以外は
スクライブされて分割溝が形成される。溝の深さは、基
板に対して砥粒が吹き付けられる時間によって制御で
き、所望の金属膜や導電膜のみをスクライブできる。
【0065】さらに、超音波によるスクライブの方法を
図8に示す。図8において、501はXYステージ、5
02はスクライブする基板、503はチップ、504は
ホーン、505は発振機を示している。超音波によるス
クライブ法は、概略以下のようである。即ち、基板50
2にチップ503を押し当て、基板502をXYステー
ジ501で直線的に移動させて分割溝を形成する。この
時、絶縁膜は金属または半導体膜と同時にスクライブさ
れる。
【0066】以下に、本発明の製造方法が好適に用いら
れる光起電力素子の半導体層をp(n)層とi層に分け
て更に詳細に説明する。
【0067】(p(n)層)p(n)層は後処理で結晶
化させられる場合には、アモルファスでも結晶化してい
るもので良い。また後処理で再結晶化させない場合に
は、結晶化しているものが好ましい。p型層またはn型
層は、光起電力素子の特性を左右する重要な層である。
【0068】p型層またはn型層のアモルファス材料、
微結晶や多結晶材料としては、例えばa−Si:H、a
−Si:HX、a−SiC:H、a−SiC:HX、a
−SiGe:H、a−SiGeC:H、a−SiO:
H、a−SiN:H、a−SiON:HX、a−SiO
CN:HX、μc−Si:H、μc−SiC:H、μc
−Si:HX、μc−SiC:HX、μc−SiGe:
H、μc−SiO:H、μc−SiGeC:H、μc−
SiN:H、μc−SiON:HX、μc−SiOC
N:HX、poly−Si:H、poly−Si:H
X、poly−SiC:H、poly−SiC:HX、
poly−SiGe:H、poly−Si、poly−
SiC、poly−SiGe等にp型の価電子制御剤
(周期率表第III族原子 B、Al、Ga、In、T
l)やn型の価電子制御剤(周期率表第V族原子 P、
As、Sb、Bi)を高濃度に添加した材料が挙げられ
る。
【0069】特に光入射側のp型層またはn型層には、
光吸収の少ない結晶性の半導体層かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。
【0070】p型層への周期率表第III族原子の添加
量およびn型層への周期率表第V族原子の添加量は0.
1〜50at%が最適量として挙げられる。
【0071】また、p型層またはn型層に含有される水
素原子(H、D)またはハロゲン原子は、p型層または
n型層の未結合手を補償する働きをし、p型層またはn
型層のドーピング効率を向上させるものである。p型層
またはn型層へ添加される水素原子またはハロゲン原子
は、0.1〜40at%が最適量として挙げられる。特
にp型層またはn型層が結晶性の場合、水素原子または
ハロゲン原子は0.1〜8at%が最適量として挙げら
れる。更にp型層/i型層、n型層/i型層の各界面側
で水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が多く分
布しているものが好ましい分布形態として挙げられ、該
界面近傍での水素原子または/及びハロゲン原子の含有
量はバルク内の含有量の1.1〜2倍の範囲が好ましい
範囲として挙げられる。このようにp型層/i型層、n
型層/i型層の各界面近傍で水素原子またはハロゲン原
子の含有量を多くすることによって、該界面近傍の欠陥
準位や機械的歪を減少させることができ、本発明の光起
電力素子の光起電力や光電流を増加させることができ
る。
【0072】光起電力素子のp型層及びn型層の電気特
性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のもの
が好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また
比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm
以下が最適である。さらに、p型層及びn型層の層厚は
1〜50nmが好ましく、3〜10nmが最適である。
【0073】光起電力素子のp型層またはn型層の堆積
に適した原料ガスとしては、シリコン原子を含有したガ
ス化し得る化合物、ゲルマニウム原子を含有したガス化
し得る化合物、炭素原子を含有したガス化し得る化合物
等、及び該化合物の混合ガスを挙げることができる。
【0074】具体的にシリコン原子を含有するガス化し
得る化合物としては、SiH4、Si26、SiF4、S
iFH3、SiF22、SiF3H、Si38、Si
4、SiHD3、SiH22、SiH3D、SiFD3
SiF22、SiD3H、Si233等が挙げられる。
【0075】具体的にゲルマニウム原子を含有するガス
化し得る化合物としてはGeH4、GeD4、GeF4
GeFH3、GeF22、GeF3H、GeHD3、Ge
2 2、GeH3D、Ge26、Ge26等が挙げられ
る。
【0076】具体的に炭素原子を含有するガス化し得る
化合物としては、CH4、CD4、C n2n+2(nは整
数)、Cn2(nは整数)、C66、CO2、CO等が
挙げられる。
【0077】窒素含有ガスとしてはN2、NH3、N
3、NO、NO2、N2Oが挙げられる。
【0078】酸素含有ガスとしてはO2、CO、CO2
NO、NO2、N2O、CH3CH2OH、CH3OH等が
挙げられる。
【0079】価電子制御するためにp型層またはn型層
に導入される物質としては周期率表第III族原子及び
第V族原子が挙げられる。
【0080】第III族原子導入用の出発物質として有
効に使用されるものとしては、具体的にはホウ素原子導
入用としては、B26、B410、B59、B511、B
61 0、B612、B614等の水素化ホウ素、BF3、B
Cl3等のハロゲン化ホウ素等を挙げることができる。
このほかにAlCl3、GaCl3、InCl3、TlC
3等も挙げることができ、特にB26、BF3が適して
いる。
【0081】第V族原子導入用の出発物質として有効に
使用されるのは、具体的には燐原子導入用としては、P
3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、P
Cl 3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲ
ン化燐が挙げられる。このほかAsH3、AsF3、As
Cl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も挙げることができ、特にPH3、PF3が適
している。
【0082】光起電力素子に適したp型層またはn型層
の堆積方法は、RFプラズマCVD法、VHFプラズマ
CVD法、マイクロ波プラズマCVD法である。
【0083】特にRFプラズマCVD法で堆積する場
合、容量結合型のRFプラズマCVD法が適している。
RFプラズマCVD法でp型層またはn型層を堆積する
場合、堆積室内の基板温度は100〜350℃、内圧は
13.3Pa(0.1Torr)〜1.33×103
a(10Torr)、RFパワーは0.01〜5.0W
/cm3、堆積速度は0.1〜30Å/secが最適条
件として挙げられる。
【0084】また前記ガス化し得る化合物をH2、H
e、Ne、Ar、Xe、Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。特に微結晶半導体やa−Si
C:H等の光吸収の少ないかバンドギャップの広い層を
堆積する場合は、水素ガスで2〜100倍に原料ガスを
希釈し、RFおよびVHFパワーは比較的高いパワーを
導入するのが好ましいものである。RFの周波数として
は1MHz〜300MHzが適した範囲であり、特に1
3.56MHz近傍の周波数が最適である。
【0085】p型層またはn型層をマイクロ波プラズマ
CVD法で堆積する場合、マイクロ波プラズマCVD装
置は、堆積室に誘電体窓(アルミナセラミックス等)を
介して導波管でマイクロ波を導入する方法が適してい
る。
【0086】p型層またはn型層をマイクロ波プラズマ
CVD法で堆積する場合、堆積室内の基板温度は100
〜400℃、内圧は0.067Pa(0.5mTor
r)〜3.99Pa(30mTorr)、マイクロ波パ
ワーは0.01〜1W/cm3、マイクロ波の周波数は
0.5〜10GHzが好ましい範囲として挙げられる。
【0087】また前記ガス化し得る化合物をH2、H
e、Ne、Ar、Xe、Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。
【0088】特に微結晶半導体やa−SiC:H等の光
吸収の少ないかバンドギャップの広い層を堆積する場合
は、水素ガスで2〜100倍に原料ガスを希釈し、マイ
クロ波パワーは比較的高いパワーを導入するのが好まし
いものである。
【0089】(i層)i層としてはアモルファスでも結
晶性の半導体層のどちらでもよい。結晶性半導体として
は微結晶半導体が好ましいものである。
【0090】本発明の光起電力素子に適したアモルファ
スまたは微結晶シリコンは、RFプラズマCVD法、V
HFプラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法が
好適な方法として挙げられる。特に微結晶シリコンの堆
積速度は使用する電磁波に依存し、同一の投入エネルギ
ーでは周波数が高い方が堆積速度が速くなる。
【0091】本発明の微結晶シリコンに適したシリコン
原子供給用の原料ガスとしては、SiH4、Si26
SiF4、SiHF3、SiH22、SiH3F、SiH3
Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiD
4、SiHD3、SiH22、SiH3D、SiFD3、S
iF22、SiD3H、Si233等のシラン系原料ガ
スが好適なものとして挙げられる。
【0092】また、微結晶シリコンゲルマニウムに適し
たゲルマニウム供給用の原料ガスとしては、GeH4
GeF4、GeHF3、GeH22、GeH3F、GeH
Cl3、GeH2Cl2、GeH3Cl、GeHD3、Ge
22、GeH3D、Ge26、GeD6等が挙げられ
る。
【0093】該原料ガスは、良好なアモルファスまたは
微結晶半導体を形成するために、水素ガスで希釈する事
が必要である。水素ガスでの希釈率は10倍以上が好ま
しいものである。特に好ましい希釈率の範囲は、10倍
から100倍の範囲である。希釈率が小さい場合には微
結晶が形成されず、アモルファスが形成される。一方、
希釈率を高くしすぎた場合には、微結晶の堆積速度が低
くなりすぎて、実用上問題が生じる。また水素希釈に加
えて、ヘリウムガスで希釈する事も可能である。
【0094】本発明に適した微結晶を作成するための基
板温度は、100〜500℃である。特に堆積速度を大
きくする場合には、基板温度は比較的高い温度にする事
が望ましいものである。
【0095】本発明の微結晶を堆積するときのチャンバ
ー内の真空度としては、0.133Pa(1mTor
r)〜133Pa(1Torr)が好適な範囲として挙
げられる。特にマイクロ波プラズマCVD法で微結晶半
導体を堆積する場合には、真空度は数百mPa程度が好
ましい真空度である。本発明の微結晶半導体を堆積する
場合のチャンバーヘの投入パワーとしては、0.01〜
10W/cm3の範囲が好適な範囲として挙げられる。
また、原料ガスの流量と投入パワーの関係で示すと、堆
積速度が投入パワーに依存するパワーリミテッドの領域
が適している。
【0096】更に、本発明のアモルファスまたは微結晶
半導体の堆積には、基板と電力投入用の電極間距離が重
要な因子である。本発明に適したアモルファスまたは微
結晶を得られる電極間距離は、10mm〜50mmの範
囲である。
【0097】本発明の光起電力素子の微結晶半導体とし
て適する微結晶の平均結晶粒径は、100Å〜1000
Åが適した範囲として挙げられる。また、微結晶半導体
中に含有されるアモルファスの割合は、ラマンスペクト
ルで見た場合に結晶に関係するピークと、アモルファス
に関係するピークの比が、70%以下が望ましいもので
ある。平均結晶粒径が100Åよりも小さいと、結晶粒
界にアモルファスが多く存在するようになり、光劣化を
示すようになる。また結晶粒径が小さいと、電子や正孔
の移動度や寿命が小さくなり、半導体としての特性が低
下する。一方、平均結晶粒径が1000Åよりも大きく
なると、結晶粒界の緩和が十分に進まず、結晶粒界に未
結合手等の欠陥が生じ、該欠陥が電子や正孔の再結合中
心として働き、その結果微結晶半導体の特性が低下す
る。
【0098】ここで微結晶粒の平均結晶粒径は、X線回
折の(220)ピークの半値幅からScuherrer
の式を用いて計算して求める。或いは透過型電子顕微鏡
の暗視野像から求めること等が挙げられる。透過型電子
顕微鏡を用いて柱状微結晶の平均粒径を求める場合、長
軸と短軸の相乗平均を平均粒径とすることが好ましい。
【0099】また本発明においては、異なる結晶粒径の
微結晶が混在することが重要であるが、その制御(確
認)の1つの方法として、上記X線回折の(220)ピ
ークの半値幅から求めた微結晶の平均粒径(x)と、透
過型電子顕微鏡の暗視野像から求めた微結晶の平均粒径
(y)の比を特定の範囲内となるように制御することが
好ましい。具体的にはx/yが0.1〜0.8となるよ
うに制御することが好ましい。
【0100】これは以下の理由によるものと考えられ
る。即ち、X線回折は広い面積の平均的な粒径であり、
一方透過電子顕微鏡は局所的な範囲を観察しての粒径で
ある。従って、これらの値が異なっていることにより、
異なる結晶粒径の微結晶が混在するということが確認で
きる。そして本発明者等の検討によれば、x/yが上記
範囲を満たすことにより、レーザー加工時の加工性が向
上すると同時に特性的にも優れたものが得られることが
分かった。
【0101】また微結晶の形状としては電荷の移動方向
に沿って細長い形状、即ち、柱状構造が適したものであ
る。加えて、本発明の微結晶中に含有される水素原子ま
たはハロゲン原子の割合は、30%以下が望ましい範囲
である。
【0102】光起電力素子において、i層は照射光に対
してキャリアを発生輸送する重要な層である。i層とし
ては、僅かp型、僅かn型の層も使用できるものである
(p型になるかn型になるかは、テールステイト等の固
有欠陥の分布による。)。
【0103】本発明の光起電力素子のi層としては、バ
ンドギャップが均一な半導体の他に、シリコン原子とゲ
ルマニウム原子とを含有してi層の層厚方向にバンドギ
ャップがなめらかに変化し、バンドギャップの極小値が
i層の中央の位置よりp層とi層の界面方向に片寄って
いるものが適したものである。また、該i層中にドナー
となる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤
とが同時にドーピングされているものも、適したものと
して挙げられる。
【0104】特に、p型層/i型層、n型層/i型層の
各界面側で水素原子または/及びハロゲン原子の含有量
が多く分布しているものが好ましい分布形態として挙げ
られ、該界面近傍での水素原子または/及びハロゲン原
子の含有量はバルク内の含有量の1.1〜2倍の範囲が
好ましい範囲として挙げられる。更に、シリコン原子の
含有量に対応して水素原子または/及びハロゲン原子の
含有量が変化していることが好ましいものである。シリ
コン原子の含有量が最小のところでの水素原子または/
ハロゲン原子の含有量は1〜10at%が好ましい範囲
で、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量の最大
の領域の0.3〜0.8倍が好ましい範囲である。
【0105】水素原子または/及びハロゲン原子の含有
量をシリコン原子に対応させて変化させる、即ちバンド
ギャップに対応して、バンドギャップの狭いところで水
素原子または/及びハロゲン原子の含有量が少なくなっ
ているものである。メカニズムの詳細については不明で
はあるが、本発明の堆積膜形成方法によればシリコン原
子とゲルマニウム原子を含有する合金系半導体の堆積に
おいて、シリコン原子とゲルマニウム原子のイオン化率
の違いによってそれぞれの原子が獲得する電磁波エネル
ギーに差が生じ、その結果、合金系半導体において水素
含有量または/ハロゲン含有量が少なくても十分に緩和
が進み良質な合金系半導体が堆積できるものと考えられ
る。
【0106】i層の層厚は、光起電力素子の構造(例え
ばシングルセル、タンデムセル、トリプルセル)及びi
型層のバンドギャップに大きく依存するが0.7〜3
0.0μmが最適な層厚として挙げられる。
【0107】本発明の製造方法が好適に用いられるシリ
コン原子またはゲルマニウム原子を含有するi層は、堆
積速度を50Å/sec以上に上げても価電子帯側のテ
イルステイトが少ないものであって、テイルステイトの
傾きは60meV以下であり、且つ電子スピン共鳴(E
SR)による未結合手の密度は1017/cm3以下であ
る。
【0108】またi層のバンドギャップはp層/i層、
n層/i層の各界面方向で広くなるように設計すること
が好ましいものである。このように設計することによっ
て、光起電力素子の光起電力、光電流を大きくすること
ができ、更に長時間使用した場合の光劣化等を防止する
ことができる。
【0109】また、半導体層105はフッ素を含有する
ことにより、レーザー照射による直列接続の際に、シリ
ーズ抵抗の軽減に寄与する。即ち、レーザー光によって
下部電極103の一部である反射増加層、半導体層10
5、上部電極107を溶融、結晶化して、低抵抗化する
ことを容易にする。さらに、同じくフッ素を含む下部電
極103の一部である反射増加層及び/又は上部電極1
07との整合性を改善する。
【0110】また、微結晶化させる場合に、微結晶の結
晶粒径の増大に寄与する。さらにフッ素は、非単結晶半
導体層中のダングリングボンドのターミネーターとして
も有効に働く。
【0111】さらに本発明が好適に用いられる半導体素
子は、複数の光電変換層を積層した構造(例えばpin
−pinタンデム構造、pin−pin−pinトリプ
ル構造等)としても良い。
【0112】(上部電極)透明導電層からなる上部電極
107としては、下部電極103の反射増加層と同じ材
質を使用することができる。また前記反射増加層と同じ
方法により、堆積することができる。
【0113】上部電極分割溝109の形成は、レーザー
光によるスクライブ法(レーザースクライブ)、サンド
ブラストによるスクライブ法、超音波によるスクライブ
法が好適に用いられる。
【0114】次に、本発明を実施するに好適な光起電力
素子の半導体層の形成方法の一例を図5を用いて説明す
る。
【0115】図5は、本発明の光起電力素子を作成する
ための堆積膜形成装置である。図5において、この堆積
膜形成装置はロードチャンバー201、微結晶シリコン
i層チャンバー202、アモルファスシリコンi層とp
層とn層のRFチャンバー203、微結晶シリコンゲル
マニウムi層チャンバー204、そしてアンロードチャ
ンバー205から構成されている。ロードチャンバーに
は、不図示のレーザーアニーリング用のヒーターと、不
図示のレーザーからレーザーを半導体層に照射するため
の窓222が配置されている。
【0116】各チャンバーはゲートバルブ206、20
7、208、209で各原料ガスが混合しないように分
離されている。微結晶シリコンi層チャンバー202
は、基板加熱用のヒーター211及びプラズマCVD室
210から構成されている。RFチャンバー203は、
n層堆積用ヒーター212とn層堆積用の堆積室21
5、i層堆積用ヒーター213とi層堆積用の堆積室2
16、p層堆積用ヒーター214とp層堆積用の堆積室
217を有している。微結晶シリコンゲルマニウムi層
チャンバー204はヒーター218とプラズマCVD室
219を有している。基板は基板ホルダー221に取り
付けられ、レール220上を外部から駆動されるローラ
ーによって移動する。プラズマCVD室210と219
では微結晶を堆積する。微結晶は、マイクロ波プラズマ
CVD法又はVHFプラズマCVD法又はRFプラズマ
CVD法が使用される。
【0117】本発明の光起電力素子は以下のようにして
形成される。
【0118】まず、SUS基板を基板ホルダー221に
セットし、ロードチャンバー201のレール上にセット
する。該ロードチャンバー201を数百mPa以下の真
空度に排気する。ゲートバルブ206と207を開け、
基板ホルダー221をチャンバー203のn層堆積室2
15に移動する。各ゲートバルブを閉じ、所望の原料ガ
スでn層を所望の層厚に堆積する。十分に排気した後、
基板ホルダー221をロードチャンバー201に移動す
る。基板温度が400℃になるように不図示の加熱ヒー
ターで加熱し、基板温度が一定になった後、不図示のX
eClレーザーでn層を結晶化させる。レーザー照射時
のロードチャンバー201内の内圧は0.133Pa
(1mTorr)以下の真空度に維持した。
【0119】次に、基板ホルダー221を堆積チャンバ
ー202に移動し、ゲートバルブ206を閉じる。ヒー
ター211で基板を所望の基板温度に加熱し、所望の原
料ガスを必要量導入し、所望の真空度にし、所定のマイ
クロ波エネルギー又はVHFエネルギーを堆積室210
へ導入し、プラズマを発生させて基板上に微結晶シリコ
ンi層を所望の層厚堆積する。この時、n層上にi層が
エピタキシャル成長するように、n層を水素プラズマ処
理した後、連続してi層を堆積したり、i層の堆積時の
基板温度をn層堆積時の基板温度よりも高い基板温度で
堆積するのが好ましい方法である。
【0120】次に、チャンバー203を十分に排気し、
ゲートバルブ207を開けて、基板ホルダー221をチ
ャンバー202からチャンバー203へ移動する。基板
ホルダー221をチャンバー203のp層堆積室217
に移動して、ヒーター214によって基板を所望の温度
に加熱する。p層堆積用の原料ガスを所望の流量を堆積
室に供給し、堆積室を所望の真空度に維持しつつ堆積室
217にRFエネルギーを導入する。そして、所望の層
厚にp層を堆積する。p層堆積後、前記堆積室217を
十分に排気し、基板ホルダーを同じチャンバー内のn層
堆積室215に移動する。前記n層と同様にして、p層
上にn層を堆積する。該堆積室を十分に排気し、基板ホ
ルダー221をi層堆積室216へ移動する。ヒーター
213により基板温度を所定の温度に加熱する。i層堆
積用の原料ガスを所望の流量を堆積室216に供給し、
堆積室216内の圧力を所望の圧力に維持して、所望の
RFエネルギーを導入する。堆積室216を十分に排気
し、基板ホルダー221を堆積室216から堆積室21
7に移動して、前記p層と同様にして、前記i層上にp
層を堆積する。前記と同様にして堆積室217を十分に
排気した後、ゲートバルブ208、209を開け、半導
体層を堆積した基板をセットした基板ホルダーをアンロ
ード室205へ移動する。ゲートバルブを全て閉じ、ア
ンロードチャンバー205に窒素ガスを封入して、基板
温度を所望の温度に冷却する。その後、アンロードチャ
ンバー205の取り出しバルブ(不図示)を開けて基板
ホルダーを取り出す。不図示の透明電極堆積用の蒸着器
で、透明電極を所望の層厚を前記p層上に堆積する。
【0121】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によっ
て何等限定されるものではない。
【0122】(実施例1)本実施例は、図1に示すよう
にして集積型光起電力素子を形成した例であり、以下に
その製造方法を説明する。
【0123】大きさ10×30cmで厚みが150μm
のステンレス鋼基板101に、ガラス粉末をバインダー
に分散させて得られたペーストを不図示のコーターを用
いて塗布した。該基板を約700℃で焼成し、10μm
の厚みのガラス絶縁膜102を該基板101上に形成し
た。
【0124】次に、不図示のDCマグネトロンスパッタ
装置にセットし、150℃に加熱した後、Alターゲッ
トを用いてArを50sccm導入し、400VのDC
電力を印加してArプラズマを生起し、厚さ3000Å
のAl膜を堆積し、反射層とした。
【0125】次に、Al膜の堆積された基板を300℃
に加熱した後、ZnOのターゲットを用いたRFマグネ
トロンスパッタ装置にN2ガスを50sccm導入し、
ZnO膜を6000Å堆積し、反射増加膜を形成した。
【0126】前記の反射層と反射増加膜により下部電極
103が構成される。
【0127】次に、下部電極103を堆積した試料を図
6のレーザー加工機のステージにセットした。YAGレ
ーザーを発振させつつ、ステージ308を移動してレー
ザービームを走査し、幅100μmの下部電極分割溝1
04を切り、ZnO及びAlからなる下部電極103を
幅1.5cmで20分割した。このときのレーザーの連
続発振出力は8W、発振周波数は4kHz、走査速度は
5cm/secであった。
【0128】続いて図5の装置を用いて、先に説明した
手順に従って、n層、i層、p層の3層より構成される
半導体層105をプラズマCVD法により作製した。
【0129】半導体層105を作製後、再び図6のレー
ザー加工機にセットし、YAGレーザーを発振しつつス
テージ308を移動してレーザービームを走査し、幅1
00μmの半導体分割溝106を形成し、半導体層10
5を幅1.5cmで20分割した。この時、半導体分割
溝106は下部電極分割溝104と約100μmずらし
て形成した。
【0130】半導体分割溝形成後、半導体層105の上
にITOターゲットを使用し、Arをスパッタガスとし
て、ITOをスパッタ法により500Å堆積し、透明導
電膜からなる上部電極層107を形成し、半導体分割溝
106を介して直列化を行った。
【0131】次に、絶縁膜108を以下のようにして形
成した。アクリル樹脂からなる主剤とイソシアネートと
からなる硬化剤および溶剤とを混合し不図示のスプレー
ノズルから吐出させ上部電極層107上にコートした。
オーブンで硬化後にXYステージに置き、再び図6のレ
ーザー加工機にセットし、YAGレーザーを発振しつ
つ、ステージ308を移動してレーザービームを走査
し、幅200μmの上部電極分割溝109を形成し、上
部電極層107を幅1.5cmで20分割した。この
時、上部電極分割溝109は、半導体分割溝106と約
100μmずらして形成した。
【0132】以上の工程により、20段に直列接続した
集積型光起電力素子を得た。また、同様の工程を繰り返
して合計10枚の集積型光起電力素子を作成した。
【0133】さらに、上部電極分割溝109の幅を15
0μm、100μm、50μmと狭くして、上記と同様
にそれぞれ10枚の集積化光起電力素子を作成した。
【0134】次に、これら試料の樹脂封止(エンカプシ
ュレーション)を以下のように行った。まず、基板10
1の上下にEVAを積層した。この時、光入射面側のE
VAの厚みは250μmとした。さらに光入射側にフッ
素樹脂フィルムを積層し、裏面側に金属製のプレートを
積層した後、真空ラミネーターに投入して150℃で6
0分間保持し、真空ラミネーションを行った。
【0135】次に、得られた試料の初期特性をJIS
C8935のアモルファス太陽電池モジュールの出力測
定方法に定められたようにして測定した。まず、AM
1.5グローバルの太陽光スペクトルで100mW/c
2の光量の疑似太陽光源(SPIRE社製 以下シミ
ュレータと呼ぶ)を用いて太陽電池特性を測定し、変換
効率を求めたところ良好な特性であり、ばらつきが3.
5%と少なかった。また、シャント抵抗も分割溝の幅に
よらず平均で500kΩ・cm2であり、良好な値であ
った。これは、スクライブ部分がシャントをしていない
で、良好であることを示している。
【0136】これらの試料の信頼性試験を、JIS C
8938のアモルファス太陽電池モジュールの環境試験
方法及び耐久性試験方法に定められた高温高湿試験に基
づいて行った。
【0137】試験後に試料を初期と同様にシミュレータ
を用い太陽電池特性を測定したところ、初期変換効率に
対して有意な劣化は生じなかった。また、シャント抵抗
の有意な低下も無かった。
【0138】本実施例の結果から、本発明の製造方法に
よって得られる集積型光起電力素子は良好な特性を有し
ており、シャントの発生を防いで歩留まりが良好で、信
頼性が高いことが分かる。
【0139】また、絶縁膜108をポリエステル、ポリ
イミドに代えても同様の効果が得られた。
【0140】(実施例2)本実施例は、基板をガラス基
板とした以外は、実施例1とほぼ同様にして堆積した集
積型光起電力素子を作製した。本実施例の集積型光起電
力素子の製造方法を図3を参照して説明する。
【0141】まず、ガラス基板101上に上部電極層1
07を形成した後、レーザーによるスクライブを行い上
部電極分割溝109を形成し(図3(b))、続いて半
導体層105を作製後、再び図6のレーザー加工機にセ
ットし、幅100μmの半導体分割溝106を形成し
て、半導体層105を幅1.5cmで20分割した(図
2(3))。さらに、Al膜を堆積し下部電極103を
形成した(図3(d))。
【0142】次に、絶縁膜108をスクライブする部分
のみ200μmの幅で開口させて、以下の様にして形成
した。まず、ポリエステル樹脂を溶剤に溶かしたペース
トを作り、スクリーン印刷法によりスクライブするパタ
ーンのネガパターンとなる様に、前記ペーストを印刷し
た。その後乾燥炉に投入し、溶剤を飛ばして絶縁膜10
8を形成した(図3(e))。
【0143】次に、図7のサンドスクライブ加工機にセ
ットし、SiCからなる粒径20μmの砥粒をノズルよ
り噴出させて下部電極分割溝104を形成し、下部電極
103を幅1.5cmで20分割した(図3(f))。
この時、絶縁膜108はスクライブされずに、開口部の
下部電極のみがスクライブされた。絶縁膜108は、こ
の場合マスクとしての機能を有する。この時、下部電極
分割溝104は、半導体分割溝106と約100μmず
らして形成した。
【0144】以上の工程により、20段に直列接続した
集積型光起電力素子を得た。また、同様の工程を繰り返
して、合計10枚の集積型光起電力素子を作成した。
【0145】さらに、下部電極分割溝104の幅を15
0μm、100μm、50μmと狭くして、上記と同様
にそれぞれ10枚の集積化光起電力素子を作成した。
【0146】次に、これら試料の樹脂封止(エンカプシ
ュレーション)を実施例1と同様に行った。
【0147】次に得られた試料の初期特性を実施例1と
同様にして測定した。まず、AM1.5グローバルの太
陽光スペクトルで100mW/cm2の光量の疑似太陽
光源(SPIRE社製 以下シミュレータと呼ぶ)を用
いて太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ良
好な特性であり、ばらつきも少なかった。また、シャン
ト抵抗も下部電極分割溝104の幅によらず平均で50
0kΩ・cm2であり、良好な値であった。これは、ス
クライブ部分がシャントをしていないで、良好であるこ
とを示している。
【0148】これらの試料の信頼性試験を実施例1と同
様にして、JIS C8938のアモルファス太陽電池
モジュールの環境試験方法及び耐久性試験方法に定めら
れた高温高湿試験に基づいて行った。
【0149】試験後に試料を初期と同様にシミュレータ
を用い太陽電池特性を測定したところ、初期変換効率に
対して有意な劣化は生じなかった。また、シャント抵抗
の有意な低下も無かった。
【0150】本実施例の結果から、本発明の製造方法に
よって得られる集積型光起電力素子は良好な特性を有し
ており、シャントの発生を防いで歩留まりが良好で、信
頼性が高いことが分かる。
【0151】(比較例1)本比較例は、図11に示す従
来の構成の集積型光起電力素子を実施例2とほぼ同様に
して形成した例である。
【0152】実施例2と同様に、ガラス基板101上に
下部電極103までを形成した後、絶縁膜108(図3
参照)を形成せずに、レーザースクライブ法により下部
電極103の分割を行い、集積型光起電力素子を作製し
た。
【0153】また、下部電極の分割溝104の幅は、2
00、150、100、50μmと変化させた試料を作
成した。
【0154】次に、この試料のラミネーションを実施例
1と同様に行った。
【0155】実施例1と同様に太陽電池特性およびシャ
ント抵抗を測定したところ、変換効率は実施例2に比べ
て相対値で5%低く、図9に示すように、シャント抵抗
はスクライブの溝幅が狭くなるに従い小さくなり、50
μm幅においては実施例2の約30%であった。
【0156】また、信頼性試験を行ったところ、図10
に示すように、1000時間後でスクライブ幅が50μ
mと狭いものは、初期に比較して、約40%のシャント
抵抗の低下が見られた。この比較例1のサンプルに逆バ
イアスを印加し不図示の赤外線カメラで観察したところ
スクライブ部分がショートしていることが分かった。
【0157】実施例2と本比較例より、本発明の製造方
法によって得られる集積型光起電力素子は従来のものよ
り歩留まりが良好で信頼性が高いことが分かる。
【0158】(実施例3)基板をポリイミドフィルムと
した以外は、実施例1と同様にして図3に示す集積型光
起電力素子を作製した。
【0159】まず、基板101上にAl膜を堆積し、反
射層としZnO膜を6000Å堆積し、反射増加膜を形
成し下部電極103とした。
【0160】次に、下部電極103を堆積した試料を図
6のレーザー加工機で幅100μmの下部電極分割溝1
04を切り、ZnO及びAlからなる下部電極を幅1.
5cmで20分割した。
【0161】続いて半導体層105を作製後、再び図6
のレーザー加工機にセットし、幅100μmの半導体分
割溝106を形成し、半導体層105を幅1.5cmで
20分割した。この時、半導体分割溝106は、下部電
極分割溝104と約100μmずらして形成した。
【0162】半導体分割溝形成後、透明導電層(上部電
極)107を形成し、半導体分割溝106を介して直列
化を行った。
【0163】次に、絶縁膜108は不図示のスパッタ装
置を用いてSiO2を形成した。その後再び図6のレー
ザー加工機にセットし、幅200μmの上部電極分割溝
109を形成し、透明電極層107を幅1.5cmで2
0分割した。この時、上部電極分割溝109は、半導体
分割溝106と約300μmずらして形成した。
【0164】以上の工程により、20段に直列接続した
集積型光起電力素子を得た。同様の工程を繰り返して、
合計10枚の集積型光起電力素子を作成した。
【0165】次に、これら試料の樹脂封止(エンカプシ
ュレーション)を実施例1と同様に行った。
【0166】次に、得られた試料の初期特性を実施例1
と同様にして測定した。まず、AM1.5グローバルの
太陽光スペクトルで100mW/cm2の光量の疑似太
陽光源(SPIRE社製 以下シミュレータと呼ぶ)を
用いて太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ
良好な特性であり、ばらつきも少なかった。また、シャ
ント抵抗も平均で500kΩ・cm2であり良好な値で
あった。これは、スクライブ部分がシャントをしていな
いで、良好であることを示している。
【0167】これらの試料の信頼性試験を実施例1と同
様にして、JIS C8938のアモルファス太陽電池
モジュールの環境試験方法及び耐久性試験方法に定めら
れた高温高湿試験に基づいて行った。
【0168】試験後に試料を初期と同様にシミュレータ
を用い太陽電池特性を測定したところ、初期変換効率に
対して有意な劣化は生じなかった。また、シャント抵抗
の有意な低下も無かった。
【0169】本実施例の結果から、本発明の製造方法に
よって得られる集積型光起電力素子は良好な特性を有し
ており、シャントの発生を防いで歩留まりが良好で、信
頼性が高いことが分かる。
【0170】また、絶縁膜108をSiO2でなくSi
O、ガラス膜などにしても同様の効果が得られた。
【0171】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
集積型光起電力素子の製造方法が、電極層または半導体
層の表面に絶縁膜を形成する工程と、該絶縁膜側から少
なくとも電極層または半導体層をスクライブする工程と
を有しているので、このスクライブによって発生する粉
塵は絶縁膜が導電性材料に積層された状態のものである
ため、導電性が低いものとなり、粉塵が切断後の分割溝
に残った場合でもショート状態を最小限にとどめること
ができる。したがって、歩留まりが良好で、かつ長期使
用時における信頼性の高い集積型光起電力素子を得るこ
とができる。
【0172】また、スクライブ工程が、レーザースクラ
イブ法、サンドブラストスクライブ法、または超音波ス
クライブ法を用いて行われるので、スクライブ溝を狭く
形成することができ、特性の良好な集積型光起電力素子
が得られる。
【0173】さらに、少なくともアクリル、ポリエステ
ル、またはポリイミドから選択される高分子樹脂により
絶縁膜を形成し、或いは、少なくともSiO、Si
2、またはガラスから選択される無機材料により絶縁
膜を形成することにより、歩留まりがより向上するとと
もに、より信頼性の高い集積型光起電力素子を得ること
ができる。
【0174】そして、絶縁膜のスクライブする部分に開
口部を形成することにより、生産性を高めることができ
る。
【0175】また、半導体層が、光入射側から順に少な
くとも第1半導体層と第2半導体層を積層した構造であ
り、かつ少なくとも第2半導体層の一部が柱状微結晶構
造を有するシリコン層により構成されていることによ
り、歩留まりがより向上するとともに、より信頼性の高
い集積型光起電力素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集積型光起電力素子の製造方法の一例
を示す模式図であり、(a)〜(f)は各製造工程にお
ける構造を示している。
【図2】本発明の集積型光起電力素子の製造方法の別の
例を示す模式図であり、(a)〜(f)は各製造工程に
おける構造を示している。
【図3】本発明の集積型光起電力素子の製造方法の別の
例を示す模式図であり、(a)〜(f)は各製造工程に
おける構造を示している。
【図4】本発明の集積型光起電力素子の製造方法の別の
例を示す模式図であり、(a)〜(f)は各製造工程に
おける構造を示している。
【図5】本発明における集積型光起電力素子の半導体膜
の堆積装置を示す模式図である。
【図6】本発明におけるレーザースクライブ法を示す模
式図である。
【図7】本発明におけるサンドブラストスクライブ法を
示す模式図である。
【図8】本発明における超音波スクライブ法を示す模式
図である。
【図9】本発明による集積型光起電力素子の優れた特性
を示す図である。
【図10】本発明による集積型光起電力素子の信頼性を
示す図である。
【図11】従来の集積型光起電力素子の構成例を示す模
式図である。
【符号の説明】
101 基板 102 絶縁層 103 下部電極 104 下部電極分割溝 105 半導体層 106 半導体分割溝 107 上部電極 108 絶縁膜 109 上部電極分割溝 201 ロードチャンバー 202 i層チャンバー 203 p、n層 RFチャンバー 204 シリコンゲルマニウムi層チャンバー 205 アンロードチャンバー 206、207、208、209 ゲートバルブ 210 プラズマCVD室 211 基板加熱用のヒーター 212 n層堆積用ヒーター 213 i層堆積用ヒーター 214 p層堆積用ヒーター 215 n層堆積室 216 i層堆積用の堆積室 217 p層堆積用の堆積室 218 ヒーター 219 プラズマCVD室 220 レール 221 基板ホルダー 222 窓 301 レーザー本体 302 電源 303 冷却装置 304 レーザービーム 305 ダイクロイックミラー 306 レンズ 307 試料 308 ステージ 309 コントローラー 310 照射光源 311 レンズ 312 ダイクロイックミラー 313 反射ミラー 314 ITVカメラ 315 モニター 401 コンベア 402 成膜済基板 403 砥粒 404 ノズル 501 コンベア 502 成膜済基板 503 チップ 504 ホーン 505 超音波振動子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 豪人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 竹山 祥史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 都築 幸司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA04 AA05 BA17 EA09 EA10 EA16 EA18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下部電極層と、半導体層と、
    上部電極層とからなる光起電力素子を同一基板上に複数
    配列してなる集積型光起電力素子の製造方法において、 電極層または半導体層の表面に絶縁膜を形成する工程
    と、該絶縁膜側から少なくとも電極層または半導体層を
    スクライブする工程とを有することを特徴とする集積型
    光起電力素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記スクライブ工程が、レーザースクラ
    イブ法、サンドブラストスクライブ法、または超音波ス
    クライブ法を用いて行われることを特徴とする請求項1
    に記載の集積型光起電力素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記絶縁膜は、少なくともアクリル、ポ
    リエステル、またはポリイミドから選択される高分子樹
    脂により形成されることを特徴とする請求項1または2
    に記載の集積型光起電力素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記絶縁膜は、少なくともSiO、Si
    2、またはガラスから選択される無機材料により形成
    されることを特徴とする請求項1または2に記載の集積
    型光起電力素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記絶縁膜のスクライブする部分に開口
    部を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    かに記載の集積型光起電力素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記半導体層が、光入射側から順に少な
    くとも第1半導体層と第2半導体層を積層した構造であ
    り、かつ少なくとも第2半導体層の一部が柱状微結晶構
    造を有するシリコン層により構成されていることを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載の集積型光起電
    力素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009021563A (ja) * 2007-06-05 2009-01-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 光電変換装置の作製方法
JP2011119696A (ja) * 2009-10-30 2011-06-16 Sumitomo Chemical Co Ltd 有機薄膜太陽電池及びその製造方法

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