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JP2001315292A - 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置 - Google Patents

機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置

Info

Publication number
JP2001315292A
JP2001315292A JP2000138637A JP2000138637A JP2001315292A JP 2001315292 A JP2001315292 A JP 2001315292A JP 2000138637 A JP2000138637 A JP 2000138637A JP 2000138637 A JP2000138637 A JP 2000138637A JP 2001315292 A JP2001315292 A JP 2001315292A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
lithographic printing
plate
printing apparatus
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000138637A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadao Osawa
定男 大澤
Yusuke Nakazawa
雄祐 中沢
Mutsumi Namihana
睦 浪華
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000138637A priority Critical patent/JP2001315292A/ja
Publication of JP2001315292A publication Critical patent/JP2001315292A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Filtration Of Liquid (AREA)
  • Rotary Presses (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル画像データに対応でき、安価で高速
で鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷できる機上平版印刷
方法及び機上平版印刷装置を提供する。 【解決手段】印刷機の版胴に版材を装着し、静該版材上
に画像データの信号に基づき静電界を利用して油性イン
クを記録ヘッドから吐出させるインクジェット方式によ
って直接画像を形成して刷版を作成し、該刷版をその状
態で用いてひき続き平版印刷を行う機上描画平版印刷方
法において、油性インクをろ過して用いるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油性インクによっ
てデジタル製版を行った上でさらに印刷機上で印刷を行
う機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置に関
するもので、さらに詳細には、製版画質及び印刷画質を
良好にするインクのフイルタリング(ろ過)に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷においては、印刷版の表面に画
像原稿に対応してインク受容性とインク反発性の領域を
設け、印刷インクをインク受容性の領域に付着させて印
刷を行う。通常は印刷版の表面に、親水性及び親油性
(インク受容性)の領域を画像様に形成し、湿し水を用
いて親水性領域をインク反発性とする。
【0003】印刷原版(版材)への画像の記録(製版)
は、一旦画像原稿をアナログ的またはデジタル的に銀塩
写真フィルムに出力し、これを通してジアゾ樹脂や光重
合性のフォトポリマー感光材料を露光し、非画像部を主
にアルカリ性溶液を用いて溶出除去して行うのが一般的
な方法である。
【0004】近年、平版印刷方法において、最近のデジ
タル描画技術の向上と、プロセスの効率化の要求から、
版材上に、直接デジタル画像情報を描画するシステムが
数多く提案されている。これは、CTP(Computer-to-
plate)、あるいはDDPP(Digital Direct Printing
Plate)と呼ばれる技術である。製版方法としては、例
えばレーザーを用いて、光モードまたは熱モードで画像
を記録するシステムがあり、一部は実用化され始めてい
る。
【0005】しかし、この製版方法は、光モード、熱モ
ードともに、一般には、レーザー記録後にアルカリ性現
像液で処理して非画像部を溶解除去して製版が行われ、
アルカリ性廃液が排出され、環境保全上好ましくない。
【0006】さらに、印刷プロセスを効率化する手段と
して、画像描画を印刷機上で行うシステムがある。上記
のレーザーを用いる方法もあるが、高価でかつ大きな装
置となってしまう。そこで、安価でかつコンパクトな描
画装置であるインクジェット法を応用したシステムが試
みられている。
【0007】特開平4−97848号公報には、従来の
版胴に替えて、表面部が親水性または親油性である版ド
ラムを設け、この上に親油性または親水性の画像をイン
クジェット法で形成し、印刷終了後画像を除去し、クリ
ーニングする方法が開示されている。しかしながら、こ
の方法では、印刷画像の除去(すなわちクリーニングの
し易さ)と耐刷性とが両立し難い。また、耐刷性の高い
印刷画像を版胴上に形成しようとすると、比較的高濃度
の樹脂を含むインクを用いる必要があるため、印刷画像
を形成するインクジェット手段において、ノズル部分で
の溶媒蒸発に伴う、樹脂の固着が起こりやすく、インク
吐出の安定性が低くなる。その結果、良好な画像が得難
くなる。
【0008】また、特開昭64−27953号公報で
は、親水性の版材に親油性のワックスインクを使用して
インクジェット方式で描画を行い、製版を行う方法が開
示されている。この方法では画像がワックスで形成され
るため画像部の機械的強度が弱く、かつ版材親水性表面
との密着性が不足するために耐刷性は低い。
【0009】また、インクジェットで描画する場合、イ
ンクを吐出する記録ヘッドに供給されるインク中の凝集
体やゴミ等の異物が、ヘッドの目づまり等を引き起こ
し、これが原因でインクの吐出が不安定になり、しいて
は画質を劣化させる、更に吐出が停止するなどの問題が
あった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に着目してなされたものであり、その目的は、第一
に、現像処理が不要なデジタル対応の機上描画平版印刷
方法及び機上描画平版印刷装置にインクのろ過手段を設
けて凝集物あるいはゴミのような異物の流れを阻止して
常に正常な状態に保たれたインクを記録ヘッドへ供給す
ることのできる機上描画平版印刷方法及び機上描画平版
印刷装置を提供することである。第二に、安価な装置及
び簡便な方法で、鮮明で高画質な画像の印刷物を多数枚
印刷可能とする機上描画平版印刷方法及び機上描画平版
印刷装置を提供することである。これによって、記録ヘ
ッドの目づまりを防ぎ、インク吐出の不安定状態を避け
て描画画質の劣化を防止できることとなる。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の機上描画平版印刷方法の発明は、印
刷機の版胴に版材を装着し、静該版材上に画像データの
信号に基づき静電界を利用して油性インクを記録ヘッド
から吐出させるインクジェット方式により、直接画像を
形成して刷版を作成し、該刷版をその状態で用いてひき
続き平版印刷を行う機上描画平版印刷方法において、前
記油性インクをろ過して用いることを特徴としている。
この構成によれば、油性インクをろ過して用いるため、
記録ヘッドへのインク中の異物が阻止でき、吐出の状態
が安定となる。また、請求項2記載の発明によれば、請
求項1記載の機上描画平版印刷方法において、前記油性
インクが、固有電気抵抗値109Ωcm以上かつ誘電率
3.5以下の非水溶媒中に、少なくとも常温で固体かつ
疎水性の樹脂粒子を分散したものであることを特徴とし
ている。また、請求項3記載の発明によれば、印刷機の
版胴に装着された版材上に画像データの信号に基づき直
接画像を形成する画像形成手段として静電界を利用して
油性インクを吐出させる記録ヘッドを備えたインクジェ
ット描画装置を備え、該画像形成手段によって画像の形
成された刷版で平版印刷を行う平版印刷手段とを備えた
機上描画印刷装置において、前記インクの流路に少なく
とも1つのインクろ過手段を備えたことを特徴としてい
る。この構成によれば、インクタンクと記録ヘッド間に
インクのフィルターを挿入したので、記録ヘッドへのイ
ンク中の異物の流れを阻止して、吐出の不安定状態の発
生を防止できる。また、請求項4記載の発明によれば、
請求項3記載の機上描画印刷装置において、前記ろ過手
段を前記記録ヘッドのインク吐出部直前に備えたことを
特徴としている。この構成によれば、フィルターを特に
記録ヘッドの直前に配置したので、フィルタリング直後
のクリーンなインクを記録ヘッドへ供給できる。また、
請求項5記載の発明によれば、請求項3又は4記載の機
上描画印刷装置において、前記ろ過手段は、前記インク
の粗大化した凝集体または描画中に混入したゴミ等の異
物をろ過材により阻止するものであることを特徴として
いる。この構成によれば、フィルターによりインクの凝
集体、途中混入したゴミ等の異物をろ過して正常なイン
クを記録ヘッドへ供給するので、記録ヘッドの目詰まり
等による吐出の不安定状態を防止し、吐出不安定による
描画時のドット径の変化、画像の飛び、カスレなどの画
像劣化を防止できる。また、請求項6記載の発明によれ
ば、請求項5記載の機上描画印刷装置において、前記ろ
過材の細孔の最小距離が2マイクロメータ以上とし、か
つ、同一ろ過材内に形状および大きさの異なる細孔が存
在することを特徴としている。この構成によれば、同一
ろ過材内に形状及び大きさの異なる細孔を混在させたの
で、各種の形状及び大きさの異物に対し効果的なろ過が
可能になり、ろ過速度を低下させないでインクをろ過す
ることができる。また、請求項7記載の発明によれば、
請求項5又は6記載の機上描画印刷装置において、前記
ろ過材は単層または多層に重ねて使用することを特徴と
している。この構成によれば、フィルターを単層又は多
層に重ね合わせて使用するようにしたので、単層(例え
ば、単板型)はインクの質が良く、且つ、ろ過速度を必
要とする記録ヘッド直前の配置等において使用し、多層
型はろ過力は大きい上に目詰まりを起こしにくく長時間
使用可能だが、ろ過速度が落ちないようポンプ圧などが
必要なので、ポンプ側に配置するというように、状況に
応じた使い分けができる。
【0012】また、請求項8記載の発明によれば、請求
項7記載の機上描画印刷装置において、前記多層のろ過
材は、上流側および下流側に最も粗い保護体および支持
体を備え、その間は下流に向かって順次細孔が細かくな
るように前記ろ過材層を重ねたものであることを特徴と
している。この構成によれば、インクの流入側に孔径の
粗いフィルターを配置して粗ろ過を行って主たる異物を
除去し、次の段に密なフィルターを重ねて配置して完全
に異物をろ過するようにしたので、ろ過速度を落とさず
に長時間にわたって効果的なろ過が可能になる。また、
請求項9記載の発明によれば、請求項5〜8のいずれか
1項記載の機上描画印刷装置において、前記ろ過材の形
態は、単板型、茶こし型、カミングバック型又は筒状型
の1つ以上から成ることを特徴としている。この構成に
よれば、簡単な単板型から、途中フィルターエレメント
だけを取出し、清掃したり交換したりできるインライン
型の茶つつ型、何層にも分割したろ過層により循環ろ過
を行うカミングバック型、多層型や中空糸型のような筒
型、など、インクの質や容量、設置場所、装置構成、性
能等の状況に応じて各種の型のフィルターを選択するこ
とができる。また、請求項10記載の発明によれば、請
求項5〜9のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置
において、前記ろ過材の材質は、紙、プラスチック、金
属、セラミック又はガラスの1つ以上から成ることを特
徴としている。この構成によれば、ろ過材の材質とし
て、交換・使い捨て頻度の高い紙から、中空糸膜のよう
に中空のプラスチック糸を多数束ねて断面を中空糸型フ
ィルターに形成したメンブラン型に属するプラスチック
(ポリマー等)材のもの、ワイヤーメッシュ型やステン
レス金属繊維のフェルトを積層し焼結した洗浄・清掃に
より長寿命で使用できる金属や、ガラス、セラミック等
まで幅広い材質のフィルターを用途に応じて使用でき
る。また、請求項11記載の発明によれば、請求項5〜
10のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置におい
て、前記ろ過材は、カートリッジ型として交換可能であ
ることを特徴としている。この構成によれば、浄水器な
どに使用される中空糸型や、多層の筒型フィルターはフ
ィルターを収納するカートリッジ毎ワンタッチで交換で
きるようにすることが可能であり、茶つつ型(T型イン
ライン型)などは、ラインに設置したままエレメントそ
のものだけ取り出して清掃して戻したり、交換したりす
ることが可能である。また、請求項12記載の発明によ
れば、請求項5〜11のいずれか1項記載の機上描画平
版印刷装置において、前記ろ過材上に堆積した物質を除
去するろ過材堆積物質除去手段を備えたことを特徴とし
ている。この構成によれば、ろ過材の清掃手段を設け
て、所定のタイミング(例えば、使用時間300時間毎
など)で自動的に清掃・除去を行うか、適宜、手動で除
去を行うようにすることができる。また、請求項13記
載の発明によれば、請求項12項記載の機上描画平版印
刷装置において、前記除去する手段は、超音波照射、振
動、およびインクもしくは洗浄液の逆流の1つ以上から
成ることを特徴としている。この構成によれば、堆積物
除去手段として、フィルターに超音波照射、又は振動印
加などの他に、インクもしくは洗浄液の逆流などの方法
によって除去できる。特に、中空糸型の場合などは出水
側から入水側へ逆流させることで効率的な清掃が可能で
ある。また、請求項14記載の発明によれば、請求項1
3記載の機上描画平版印刷装置において、前記ろ過手段
は、ろ過方式として重力ろ過、加圧ろ過、真空ろ過、お
よび恒率ろ過の1つ以上から成ることを特徴としてい
る。この構成によれば、インク自体の重力による重力ろ
過、ポンプ圧による加圧ろ過、真空ポンプ圧による真空
ろ過を組合わた圧力によってインク流速を与え、ろ過を
行うので、ろ過速度(インク流速)を落とさずに効率的
にろ過できる。又、圧力としては、インク供給部、循環
部、タンク等のポンプ圧も利用できる。また、請求項1
5記載の発明によれば、請求項3〜14のいずれか1項
記載の機上描画平版印刷装置において、前記油性インク
が、固有電気抵抗値109Ωcm以上かつ誘電率3.5
以下の非水溶媒中に、少なくとも常温で固体かつ疎水性
の樹脂粒子を分散したものであることを特徴としてい
る。また、請求項16記載の発明によれば、請求項3〜
15のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置におい
て、前記画像形成手段は、前記インクの定着装置を備え
たことを特徴としている。また、請求項17記載の発明
によれば、請求項3〜請求項16のいずれか1項記載の
機上描画平版印刷装置において、前記画像形成手段は、
版材への描画前及び/又は描画中に版材表面に存在する
埃を除去する版材表面埃除去手段を備えたことを特徴と
している。また、請求項18記載の発明によれば、請求
項3〜16のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置
において、前記版材への描画時に、前記画像形成手段
が、前記版材の装着された版胴の回転により主走査を行
うことを特徴としている。また、請求項19記載の発明
によれば、請求項18記載の機上描画平版印刷装置にお
いて、前記記録ヘッドは、シングルチャンネルヘッド又
はマルチチャンネルヘッドからなり、前記版材への描画
時に該記録ヘッドが前記版胴の軸と平行方向に移動する
ことにより副走査を行うことを特徴としている。また、
請求項20記載の発明によれば、請求項18記載の機上
描画平版印刷装置において、前記記録ヘッドは、版胴の
幅と略同じ長さを有するフルラインヘッドからなること
を特徴としている。また、請求項21記載の発明によれ
ば、請求項3〜20のいずれか1項記載の機上描画平版
印刷装置において、前記インクジェット描画装置は、前
記記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段を備え
たことを特徴としている。また、請求項22記載の発明
によれば、請求項21記載の機上描画平版印刷装置にお
いて、前記記録ヘッドからインクを回収するインク回収
手段を備え、前記インク供給手段及び前記インク回収手
段によりインク循環を行うことを特徴としている。ま
た、請求項23記載の発明によれば、請求項3〜22の
いずれか1項記載の機上描画平版印刷装置において、前
記油性インクを格納するインクタンク内にインク攪拌手
段を備えたことを特徴としている。また、請求項24記
載の発明によれば、請求項3〜23のいずれか1項記載
の機上描画平版印刷装置において、前記油性インクを格
納するインクタンク内にインクの温度を制御するインク
温度制御手段を備えたことを特徴としている。また、請
求項25記載の発明によれば、請求項3〜24のいずれ
か1項記載の機上描画平版印刷装置において、前記イン
クのインク濃度を制御するインク濃度制御手段を備えた
ことを特徴としている。また、請求項26記載の発明に
よれば、請求項3〜25のいずれか1項記載の機上描画
平版印刷装置において、前記インクジェット描画装置
は、前記版材への描画時に前記記録ヘッドを前記版胴へ
接近させ、該版材への描画時以外は該記録ヘッドを該版
胴から離す記録ヘッド離接手段を備えたことを特徴とし
ている。また、請求項27記載の発明によれば、請求項
3〜26のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置に
おいて、前記画像形成手段は、少なくとも製版終了後に
前記記録ヘッドのクリーニングを行う記録ヘッドクリー
ニング手段を備えたことを特徴としている。また、請求
項28記載の発明によれば、請求項3〜27のいずれか
1項記載の機上描画平版印刷装置において、前記平版印
刷手段は、平版印刷時に発生する紙粉を除去する紙粉除
去手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明は、印刷機の版胴上に設けら
れた版材(印刷原版)上に、記録ヘッドから油性インク
を静電界によって吐出するインクジェット法で画像を形
成することを特徴とする。
【0014】本発明にかかるインクジェット法は、PC
T公開WO93/11866号明細書に記載のものであ
り、このインクジェット法においては絶縁性溶媒中に少
なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分散した高
抵抗を有するインクを使用し、このインクに吐出位置で
強電界を作用させることにより、樹脂粒子の凝集物を吐
出位置に形成し、さらに静電手段により凝集物を吐出位
置から吐出させる。このように、樹脂粒子は高濃度化し
た凝集物として吐出され、印字されたドットの膜厚が十
分に得られる。このことにより、記録媒体である版材上
では十分な耐刷性を有する凝集樹脂粒子の画像が形成さ
れる。また、本インクジェット法では、吐出したインク
滴の大きさは吐出電極先端部の大きさあるいは、電界形
成条件によって決まり、吐出ノズル径、あるいはスリッ
ト幅を小さくすることなく、小さなインク滴が得られ
る。そして、電界形成条件を制御することにより版材上
でのドット径をコントロールすることができる。したが
って、本発明によれば、ヘッドのインク詰まりの問題な
しに、耐刷性のある微小な画像のコントロールが可能と
なり、鮮明な画像の印刷物が多数枚印刷可能となる。
【0015】本発明の平版印刷方法を実施するのに用い
られる機上描画平版印刷装置の一構成例を以下に示す。
図1は、機上描画単色片面平版印刷装置の全体構成図で
ある。図2は本機上描画平版印刷装置の制御部、インク
供給部、ヘッド離接機構を含めた描画部の概略構成例で
ある。また、図3〜図9は、図1、及び図10の機上描
画平版印刷装置が具備するインクジェット記録装置を説
明するためのものである。さらに、図10は、本発明に
係る機上描画4色片面平版印刷装置の全体構成例であ
る。
【0016】まずは図1に示す機上描画単色片面平版印
刷機の全体構成図を用いて本発明による印刷工程につい
て説明する。図1に示されるように、機上描画平版印刷
装置1(以下単に「印刷装置」ともいう)は、版胴1
1、ブランケット胴12及び圧胴13を一つずつ有し、
少なくとも平版印刷を行う際には版胴11に対して転写
用のブランケット胴12が圧接するように配置され、ブ
ランケット胴12にはこれに転写された印刷インク画像
を印刷紙Pに転移させるための圧胴13が圧接するよう
に配置されている。
【0017】版胴11は、通常金属製であり、その表面
は耐摩耗性を強化するために例えばクロムメッキが施さ
れているが、後述のようにその表面に断熱材を有しても
よい。一方、版胴11は静電界吐出において、記録ヘッ
ド電極の対極となるためアースされることが好ましい。
また、版材の基体の絶縁性が高い場合には基体上に導電
層を設けることが好ましく、この場合にはこの導電層か
ら版胴にアースを取る手段を設けることが望ましい。さ
らに前述のように版胴上に断熱材を設ける場合にも、版
材からアースを取る手段を設けることにより描画は容易
になる。この場合には公知の導電性を有するブラシ、板
バネ、ローラ等の手段を使用できる。
【0018】さらに、印刷装置1はインクジェット記録
装置(インクジェット描画装置)2を有し、これによ
り、画像データ演算制御部21より送られてくる画像デ
ータに対応して、版胴11上に装着された版材9上に油
性インクを吐出し画像を形成する。
【0019】また、印刷装置1には版材9上の親水部
(非画像部)に湿し水を供給する湿し水供給装置3が設
置されている。図1には湿し水供給装置3の代表例とし
てモルトン給水方式の装置を示しているが、湿し水供給
装置3としてはその他にシンフロ給水方式、連続給水方
式等公知の装置が使用できる。さらに、印刷装置1は、
印刷インク供給装置4、及び版材9上に描画された油性
インク画像を強固にするための定着装置5を有する。必
要に応じて版材9表面の親水性強化の目的で版面不感脂
化装置6を設置してもよい。また、印刷装置1は、版材
への描画前及び/又は描画中に版材表面に存在する埃を
除去する版材表面埃除去手段10を有する。これによ
り、製版中にヘッドと版材の間に入った埃を伝ってイン
クが版材上に付着することが有効に防止され、良好な製
版が得られる。埃除去手段としては公知の吸引除去、吹
き飛ばし除去、静電除去等の非接触法の他、ブラシ、ロ
ーラー等による接触法が使用でき、本発明では望ましく
はエアー吸引、またはエアーによる吹き飛ばしのいずれ
か、あるいはそれらを組み合わせて使用される。この場
合には、通常給紙装置に使用されるエアーポンプをこの
用途に流用することもできる。
【0020】さらに、印刷に供する版材9を版胴11上
に自動的に供給する自動給版装置7、及び印刷終了後の
版材9を版胴11上から自動的に取り除く自動排版装置
8を設置してもよい。印刷機の補助装置として公知であ
るこの装置を有する印刷機として、例えばハマダVS3
4A、B452A(ハマダ印刷機械(株))、トーコー
8000PFA(東京航空計器(株))、リョービ32
00ACD、3200PFA(リョービイマジスク
(株))、AMSIS Multi5150FA(日本
エーエム(株))、オリバー266EPZ(桜井グラフ
ィックシステムズ(株))、シノハラ66IV/IVP(篠
原商事(株))等がある。さらにブランケット洗浄装置
14、圧胴洗浄装置14’を設置してもよい。これらの
装置7、8、14、14’を用いることで印刷操作がよ
り簡便となり、また、印刷時間の短縮が図られることか
ら本発明の効果をより一層高められる。さらに、圧胴1
3の近傍に紙粉発生防止装置(紙粉除去手段)15を設
置してもよく、これにより版材上に紙粉が付着すること
を防止できる。紙粉発生防止装置15としては湿度コン
トロール、エアや静電力による吸引等の方法を使用する
ことができる。
【0021】画像データ演算制御部21は、画像スキャ
ナ、磁気ディスク装置、画像データ伝送装置等からの画
像データを受け、色分解を行うと共に、分解されたデー
タに対して適当な画素数、階調数に分割演算する。さら
に、インクジェット記録装置2が有する記録ヘッドとし
てのインクジェット記録ヘッド22(図2参照。後に詳
述する。)を用いて油性インク画像を網点化して描くた
めに、網点面積率の演算も行う。
【0022】また、後述するように、画像データ演算制
御部21は、インクジェット記録ヘッド22の移動、油
性インクの吐出タイミングを制御すると共に、必要に応
じて版胴11、ブランケット胴12、圧胴13等の動作
タイミングを制御も行う。
【0023】図1、及び一部図2を参照して印刷装置1
による刷版の作成工程を以下に説明する。
【0024】まず、版胴11に自動給版装置7を用いて
版材9を装着する。この時、公知の版頭/尻くわえ装
置、エア吸引装置等による機械的方法、あるいは静電的
な方法等により版材は版胴上に密着固定され、これによ
り版尻がばたついて描画時にインクジェット記録装置2
に接触し破損することを防止できる。また、インクジェ
ット記録装置の描画位置周辺のみで版材を版胴に密着さ
せる手段を配し、少なくとも描画を行う時にはこれを作
用させることによって、版材がインクジェット記録装置
に接触することを防止することもできる。具体的には、
例えば版胴描画位置の上流、及び下流に押さえローラを
配する等の方法がある。また、版を固定する過程で、版
尻がインク供給ローラに接触しないようにする手段を設
けることによって、版面の汚れを防止でき損紙を減らす
ことができる。具体的には押さえローラあるいはガイ
ド、静電吸着等が有効である。
【0025】磁気ディスク装置等からの画像データは、
画像データ演算制御部21に与えられ、画像データ演算
制御部21は、入力画像データに応じて油性インクの吐
出位置、その位置における網点面積率の演算を行う。こ
れらの演算データは一旦バッファに格納される。画像デ
ータ演算制御部21は、版胴11を回転させ、記録ヘッ
ド22をヘッド離接装置(記録ヘッド離接手段)31に
より版胴11と近接された位置に近づける。記録ヘッド
22と版胴11上の版材9表面との距離は、付き当てロ
ーラのような機械的距離制御、あるいは光学的距離検出
器からの信号によるヘッド離接装置の制御により、描画
中、所定距離に保たれる。この距離制御により、版材の
浮き等によりドット径が不均一になったり、特に印刷機
に振動が加わった際等にもドット径が変化したりせず、
良好な製版を得ることができる。
【0026】記録ヘッド22としては、シングルチャン
ネルヘッド、マルチチャンネルヘッド、又はフルライン
ヘッドを使用することができ、版胴11の回転により主
走査を行う。複数の吐出部を有するマルチチャンネルヘ
ッド、又はフルラインヘッドの場合には、吐出部の配列
方向は軸方向に設置する。さらにシングルチャンネルヘ
ッド又はマルチチャンネルヘッドの場合には、画像デー
タ演算制御部21により版胴11一回転毎にヘッド22
を版胴の軸と平行方向に移動して、上記演算により得ら
れた吐出位置及び網点面積率で油性インクを版胴11に
装着した版材9に吐出する。これにより、版材9には、
印刷原稿の濃淡に応じた網点画像が油性インクで描画さ
れる。この動作は、版材9上に印刷原稿一色分の油性イ
ンク画像が形成され刷版ができあがるまで続く。一方、
記録ヘッド22が版胴の幅と略同じ長さを有するフルラ
インヘッドである場合には、版胴が一回転することによ
って版材9上に印刷原稿一色分の油性インク画像が形成
され刷版ができあがる。このように版胴回転により主走
査を行うことにより、主走査方向の位置精度を高め、高
速描画を行うことができる。
【0027】次いで記録ヘッド22を保護するために、
記録ヘッド22は、版胴11と近接された位置から離れ
るように退避させられる。この時、記録ヘッド22のみ
に離接してもよいが、記録ヘッド22とヘッド副走査手
段32を一緒に離接、あるいは記録ヘッド22とインク
供給部24とヘッド副走査手段32全てを一緒に離接す
ることもできる。また、記録ヘッド22とインク供給部
24とヘッド副走査手段32と共に、定着装置5、埃除
去手段10にもそれぞれ離接手段を設け、退避可能とす
ることにより、通常印刷にも対応できる。
【0028】この離接手段は、描画時以外は記録ヘッド
を版胴に対し少なくとも500μm以上離すように動作
する。離接動作はスライド式にしてもよいし、ある軸に
固定されたアームでヘッドを固定し、軸まわりにアーム
を動かし振り子状に移動してもよい。このように非描画
時にヘッドを退避させることにより、ヘッドを物理的破
損あるいは汚染から保護し、長寿命化を達成することが
できる。
【0029】また、形成された油性インク画像は、定着
装置5で加熱等により強化される。インクの定着手段と
しては、加熱定着、溶媒定着、フラッシュ露光定着等の
公知の手段が使用できる。加熱定着では赤外ランプ、ハ
ロゲンランプ、キセノンフラッシュランプ照射、あるい
はヒーターを利用した熱風定着、ヒートロール定着が一
般的である。この場合には定着性を高めるために、版胴
を加熱しておく、版材を予め加熱しておく、熱風を当て
ながら描画を行う、版胴を断熱材でコートする、定着時
のみ版胴から版材を離して版材のみを加熱する、等の手
段を単独、あるいは組み合わせてとることが有効であ
る。キセノンランプ等を使用してのフラッシュ定着は電
子写真トナーの定着法として公知であり、定着を短時間
に行えるという利点がある。溶媒定着ではメタノール、
酢酸エチル等のインク中の樹脂成分を溶解しうる溶媒を
噴霧し、余分な溶媒蒸気は回収する。なお、少なくとも
記録ヘッド22による油性インク画像形成から、定着装
置5による定着までの行程では、湿し水供給装置3、印
刷インク供給装置4、及びブランケット胴12は版胴上
の版材9には接触しないように保たれることが望まし
い。
【0030】刷版形成後の印刷工程は、公知の平版印刷
方法と同様である。すなわち、この油性インク画像が描
画された版材9に、印刷インク及び湿し水を与え印刷画
像を形成し、この印刷インク画像を版胴11と共に回転
しているブランケット胴12上に転写し、次いでブラン
ケット胴12と圧胴13との間を通過する印刷用紙P上
にブランケット胴12上の印刷インク画像を転移させる
ことで一色分の印刷が行われる。印刷終了後の版材9
は、自動排版装置8により版胴11から取り除かれ、ブ
ランケット胴12上のブランケットはブランケット洗浄
装置14により洗浄され、次の印刷可能な状態となる。
【0031】次に、インクジェット記録装置2について
詳細に説明する。図2に示されるように、本平版印刷装
置に使用される描画部は、インクジェット記録装置2、
インク供給部24からなる。インク供給部24は、さら
にインクタンク25、インク供給装置26、インクのろ
過手段としてのフィルタ60(後述)、インク濃度制御
手段29を有し、インクタンク25内にはインク攪拌手
段27、インク温度管理手段(インク温度制御手段)2
8が含まれる。インクは図11(後述)に示すようにイ
ンクを記録ヘッド内を循環させてもよい。この場合、イ
ンク供給部24は回収循環機能も有する。インク攪拌手
段27はインクの固形成分の沈殿・凝集を抑制し、イン
クタンクの清掃の必要性が低減される。インク攪拌手段
としては、回転羽、超音波振動子、循環ポンプが使用で
き、これらの中から、あるいは組み合わせて使用され
る。インク温度管理手段28は、周りの温度変化により
インクの物性が変化し、ドット径が変化したりすること
なく高画質な画像が安定して形成できる様に配置され
る。インク温度管理手段としては、インクタンク内にヒ
ーター、ペルチェ素子等の発熱素子あるいは冷却素子
を、該タンク内の温度分布を一定にするように攪拌手段
と共に配し、温度センサ、例えばサーモスタット等によ
り制御する等の公知の方法が使用できる。なお、インク
タンク内のインク温度は15℃以上60℃以下が望まし
く、より好ましくは20℃以上50℃以下である。ま
た、タンク内の温度分布を一定に保つ攪拌手段は、前記
のインクの固形成分の沈殿・凝集の抑制を目的とするイ
ンク攪拌手段と共用してもよい。
【0032】図11はインク回収機能を有するインク供
給装置24の構成図である。同図に示すように、インク
供給装置24は、弁61、ヘッド22へインクを供給す
るためのポンプ26、インク濃度制御手段29、ろ過手
段60を有する他に、インクをヘッドから循環回収する
ため、循環回収用ポンプ26’、弁61’を有する。そ
して、図11ではフィルター60を記録ヘッド22の直
前に配置したので、よりクリーンなインクを記録ヘッド
22へ供給できることとなる。
【0033】また、本印刷装置では、高画質な描画を行
うためインク濃度制御手段29を有している。これによ
りインク中の固形分濃度の低下による版上での滲みの発
生や印刷画像の飛びやカスレ、あるいは固形分濃度の上
昇による版上のドット径の変化等を有効に抑制すること
ができる。インク濃度は光学的検出、電導度測定、粘土
測定等の物性測定、あるいは描画枚数による管理等によ
り行う。物性測定による管理を行う場合には、インクタ
ンク内、又はインク流路内に、光学検出器、電導度測定
器、粘土測定器を単独、あるいはそれらを組み合わせて
設け、その出力信号によりインク濃度を制御し、また、
描画枚数による管理を行う場合には、製版枚数、及び頻
度によりインクタンクへ図示されない補給用濃縮インク
タンク又は希釈用インクキャリアタンクからの液供給を
制御する。
【0034】画像データ演算制御部21は前述のよう
に、入力画像データの演算、また、ヘッド離接装置3
1、あるいはヘッド副走査手段32によりヘッドの移動
を行う他に、版胴に設置したエンコーダー30からのタ
イミングパルスを取り込み、そのタイミングパルスに従
って、ヘッドの駆動を行う。これにより、副走査方向の
位置精度を高められる。また、インクジェット記録装置
による描画を行う際の版胴の駆動は、印刷時の駆動手段
とは異なる高精度な駆動手段を使用することによっても
副走査方向の位置精度を高められる。その際には、ブラ
ンケット胴、圧胴その他から機械的に切り離して、版胴
のみを駆動させることが望ましい。具体的には、例えば
高精度モータからの出力を高精度ギア、あるいはスチー
ルベルト等により減速して版胴のみを駆動させる方法等
がある。高画質描画を行う際にはこの様な手段を単独、
あるいは複数組み合わせて使用する。
【0035】次に、記録ヘッドについて図3〜図9を使
用して説明する。但し、本発明の内容は以下に示す形態
に限定されるものではない。
【0036】図3、図4はインクジェット記録装置に備
えられているヘッドの一例である。ヘッド22は、絶縁
性基材からなる上部ユニット221と下部ユニット22
2とで挟まれたスリットを有し、その先端は吐出スリッ
ト22aとなっており、スリット内には吐出電極22b
が配置され、インク供給装置から供給されたインク23
がスリット内に満たされた状態になっている。絶縁性基
材としては、例えばプラスチック、ガラス、セラミック
ス等が適用できる。また、吐出電極22bは、絶縁性基
材からなる下部ユニット222上にアルミニウム、ニッ
ケル、クロム、金、白金等の導電性材料を真空蒸着、ス
パッタ、あるいは無電界メッキを行い、この上にフォト
レジストを塗布し、所定の電極パターンのマスクを介し
てフォトレジストを露光し、現像して吐出電極22bの
フォトレジストパターンを形成した後、これをエッチン
グする方法もしくは機械的に除去する方法、あるいはそ
れらを組み合わせた方法等、公知の方法により形成され
る。
【0037】ヘッド22では、画像のパターンのデジタ
ル信号に従って、吐出電極22bに電圧が印加される。
図3に示されるように、吐出電極22bに対向する形で
対向電極となる版胴11が設置されており、対向電極と
なる版胴11上には版材9が設けられている。電圧の印
加により、吐出電極22bと、対向電極となる版胴11
との間には回路が形成され、ヘッド22の吐出スリット
22aから油性インク23が吐出され対向電極となる版
胴11上に設けられた版材9上に画像が形成される。
【0038】吐出電極22bの幅は、高画質の画像形成
を行うためにその先端はできるだけ細いことが好まし
い。具体的な数値は印加電圧、インク物性等の条件によ
って異なるが、通常5〜100μmの先端幅の範囲で用
いられる。例えば先端が20μm幅の吐出電極22bを
用い、吐出電極22bと対向電極となる版胴11の間隔
を1.0mmとして、この電極間に3kVの電圧を0.
1ミリ秒印加することで40μmのドットを版材9上に
形成することができる。
【0039】さらに図5、図6はそれぞれ、他の記録ヘ
ッドの例のインク吐出部近傍の断面概略図、前面概略図
を示すものである。図中22は記録ヘッドで、この記録
ヘッド22は漸減形状をした第1の絶縁性基材33を有
している。上記第1の絶縁性基材33には第2の絶縁性
基材34が離間対向して設けられ、この第2の絶縁性基
材34の先端部には斜面部35が形成されている。上記
第1、第2の絶縁性基材は、例えばプラスチック、ガラ
ス、セラミックス等で形成されている。上記第2の絶縁
性基材34の斜面部35と鋭角をなす上面部36には、
吐出部に静電界を形成する静電界形成手段として複数の
吐出電極22bが設けられている。これら複数の吐出電
極22bの先端部は上記上面部36の先端近傍まで延長
され、かつ、その先端部は上記第1の絶縁性基材33よ
りも前方に突き出され吐出部を形成している。上記第1
及び第2の絶縁性基材33、34間には前記吐出部への
インク23の供給手段としてインク流入路37が形成さ
れ、前記第2の絶縁性基材34の下部側にはインク回収
路38が形成されている。上記吐出電極22bは、第2
の絶縁性基材34上にアルミニウム、ニッケル、クロ
ム、金、白金等の導電性材料を用い、前述と同様、公知
の方法により形成される。個々の電極22bは電気的に
は互いに絶縁状態となるように構成されている。
【0040】吐出電極22bの先端が絶縁性基材33の
先端より突き出す量は2mm以下が好ましい。この突き
出し量が上記範囲にて好ましい理由は、突き出し量が大
きすぎるとインクメニスカスが吐出部先端まで届かず、
吐出しにくくなったり、記録周波数が低下するためであ
る。また、上記第1及び第2の絶縁性基材33、34間
のスペースは0.1〜3mmの範囲が好ましい。このス
ペースが上記範囲にて好ましい理由は、スペースが狭す
ぎるとインクの供給がしにくくなり吐出しにくくなった
り、記録周波数が低下したりするためであり、スペース
が広すぎるとメニスカスが安定せず吐出が不安定になる
ためである。
【0041】上記吐出電極22bは画像データ演算制御
部21に接続され、記録を行う際には画像情報に基づき
吐出電極に電圧印加を行うことにより該吐出電極上のイ
ンクが吐出し、吐出部と対向配置された図示されない版
材上に描画が行われる。上記インク流入路37のインク
滴吐出方向と逆方向は、図示しないインク供給装置の送
インク手段に接続されている。上記第2の絶縁性基材3
4の吐出電極形成面の反対面にはバッキング39が離間
対向して設けられ、両者間にはインク回収路38が設け
られている。前記インク回収路38のスペースは0.1
mm以上が望ましい。このスペースが上記範囲にて好ま
しい理由は、スペースが狭すぎるとインクの回収がしに
くくなり、インク漏れを起こしたりするためである。ま
た、前記インク回収路38は図示しないインク供給装置
のインク回収手段に接続されている。
【0042】吐出部上での均一なインクフローを必要と
する場合には吐出部と前記インク回収路の間に溝40を
設けてもよい。図6は記録ヘッドのインク吐出部近傍の
前面概略図を示しているが、第2の絶縁性基材34の斜
面には吐出電極22bとの境界近傍からインク回収路3
8に向かって複数の溝40が設けられている。この溝4
0は、上記吐出電極22bの配列方向に複数並んでお
り、吐出電極22b側の開口部から、その開口径に応じ
た毛細管力により一定量の吐出電極先端近傍のインクを
導き、導かれたインクをインク回収路38に排出する機
能を有する。このため、吐出電極先端近傍に一定の液厚
を有するインクフローを形成する機能を有している。溝
40の形状は毛細管力が働く範囲であればよいが、特に
望ましくは幅は10〜200μm、深さは10〜300
μmの範囲である。また、溝40はヘッド全面にわたっ
て均一なインクフローを形成できるように必要数設けら
れる。
【0043】吐出電極22bの幅は、高画質の画像形成
を行うためにその先端はできるだけ細いことが好まし
い。具体的な数値は、印加電圧、インク物性等の条件に
よって異なるが、通常5〜100μmの先端幅の範囲で
用いられる。
【0044】また、本発明を実施するのに用いられる記
録ヘッドの他の例を図7、図8に示す。図7は説明のた
めヘッドの一部分のみを示した概略図である。記録ヘッ
ド22は、図7に示すようにプラスチック、セラミッ
ク、ガラス等の絶縁性材料から作成されたヘッド本体4
1とメニスカス規制板42、42′からなる。図中、2
2bは吐出部に静電界を形成するために電圧印加を行う
吐出電極である。さらにヘッドから規制板42、42′
を取り除いた図8を用いて、ヘッド本体について詳述す
る。
【0045】ヘッド本体41にはヘッド本体のエッジに
垂直に、インクを循環させるためのインク溝43が複数
設けてある。このインク溝43の形状は均一なインクフ
ローを形成できるように毛細管力が働く範囲に設定され
ていればよいが、特に望ましい幅は10〜200μm、
深さは10〜300μmである。インク溝43の内部に
は吐出電極22bが設けられている。この吐出電極22
bは、絶縁性材料からなるヘッド本体40上にアルミニ
ウム、ニッケル、クロム、金、白金等の導電性材料を使
って、上述の装置実施例の場合と同様な公知の方法によ
り、インク溝43内全面に配置してもよいし、一部分の
みに形成してもよい。なお、吐出電極間は電気的に隔離
されている。隣り合う2つのインク溝は1つのセルを形
成し、その中心にある隔壁44の先端部には吐出部4
5、45′を設けている。吐出部45、45′では隔壁
は他の隔壁部分44に比べ薄くなっており、尖鋭化され
ている。このようなヘッド本体は絶縁性材料ブロックの
機械加工、エッチング、あるいはモールディング等の公
知の方法により作成される。吐出部での隔壁の厚さは望
ましくは5〜100μmであり、尖鋭化された先端の曲
率半径は5〜50μmの範囲であることが望ましい。な
お、吐出部は45′の様に先端をわずかに面取りされて
いてもよい。図中には2つのセルのみを示しているが、
セルの間は隔壁46で仕切られ、その先端部47は吐出
部45、45′よりも引っ込むように面取りされてい
る。このヘッドに対し、図示されないインク供給装置の
送インク手段によりI方向からインク溝を通してインク
を流し、吐出部にインクを供給する。さらに図示されな
いインク回収手段により余剰なインクはO方向に回収さ
れ、その結果、吐出部には常時、新鮮なインクが供給さ
れる。この状態で、吐出部に対向する形で設けられ、そ
の表面に版材を保持した図示されない版胴に対して吐出
電極に画像情報に応じて電圧印加することにより、吐出
部からインクが吐出され版材上に画像が形成される。
【0046】さらに記録ヘッドの他の実施例について図
9を用いて説明する。図9に示すように、記録ヘッド2
2は、略矩形板状の一対の支持部材50、50′を有し
ている。これらの支持部材50、50′は、絶縁性を有
する1〜10mmの厚さの板状のプラスチック、ガラ
ス、セラミック等から形成され、それぞれの一方の面に
は、記録解像度に応じて互いに平行に延びた複数の矩形
の溝51、51′が形成されている。各溝51、51′
は、幅10〜200μm、深さ10〜300μmの範囲
であることが望ましく、その内部全体あるいは一部に吐
出電極22bが形成されている。このように、支持部材
50、50′の一面に複数の溝51、51′を形成する
ことにより、各溝51の間には、複数の矩形の隔壁52
が必然的に設けられる。各支持部材50、50′は、溝
51、51′を形成していない面を対向させるように組
合わされる。つまり、記録ヘッド22は、その外周面上
にインクを流通させるための複数の溝を有する。各支持
部材50、50′に形成された溝51、51′は、記録
ヘッド22の矩形部分54を介して1対1に対応して連
結され、各溝が連結された矩形部分54は、記録ヘッド
22の上端53より所定距離(50〜500μm)だけ
後退している。つまり、各矩形部分54の両側には、各
支持部材50、50′の各隔壁52の上端55が矩形部
分54より突出するように設けられている。そして、各
矩形部分54から、前述したような絶縁性材料からなる
ガイド突起56が突出されて設けられ吐出部を形成して
いる。
【0047】上記のように構成された記録ヘッド22に
インクを循環させる場合、一方の支持部材50の外周面
に形成された各溝51を介して各矩形部分54にインク
を供給し、反対側の支持部材50′に形成された各溝5
1′を介して排出する。この場合、円滑なインクの流通
を可能とするため、記録ヘッド22を所定角度で傾斜さ
せている。つまり、インクの供給側(支持部材50)が
上方に位置し、インクの排出側(支持部材50′)が下
方に位置するように記録ヘッド22が傾斜されている。
このように、記録ヘッド22にインクを循環させると、
各矩形部分54を通過するインクが各突起56に沿って
濡れ上がり、矩形部分54、突起56の近くにインクメ
ニスカスが形成される。そして、各矩形部分54にてそ
れぞれ独立したインクメニスカスが形成された状態で、
吐出部に対向する形で設けられ、その表面に版材を保持
した図示されない版胴に対して吐出電極22bに画像情
報に基づき電圧を印加することにより、吐出部からイン
クが吐出され版材上に画像が形成される。なお、各支持
部材50、50′の外周面上に溝を覆うカバーを設ける
ことにより、各支持部材50、50′の外周面に沿った
パイプ状のインク流路を形成し、このインク流路により
インクを強制的に循環させてもよい。この場合、記録ヘ
ッド22を傾斜させる必要はない。
【0048】上述の図3〜図9に示すヘッド22は必要
に応じて記録ヘッドクリーニング手段等のメンテナンス
装置を含むこともできる。例えば休止状態が続く様な場
合や、画質に問題が発生した場合には、記録ヘッド先端
を柔軟性を有するハケ、ブラシ、布等で拭う、インク溶
媒のみを循環させる、インク溶媒のみを供給、あるいは
循環させながら吐出部を吸引する、等の手段を単独、あ
るいは組み合わせて行うことにより、良好な描画状態を
維持できる。また、インクの固着防止にはヘッド部を冷
却し、インク溶媒の蒸発を抑えることも有効である。さ
らに汚れがひどい場合には、吐出部から強制的にインク
吸引するか、インク流路から強制的にエア、インク、又
はインク溶媒のジェットを入れる、あるいはインク溶媒
中にヘッドを浸漬した状態で超音波を印加する、等も有
効であり、これらの方法を単独、あるいは組み合わせて
使用できる。
【0049】次に、本発明の具体例として機上描画複色
片面平版印刷装置について説明する。図10は、機上描
画4色片面平版枚葉印刷装置の全体構成例である。図1
0に示されるように、該4色片面平版枚葉印刷装置は基
本的に図1に示した単色片面印刷装置の版胴11、ブラ
ンケット胴12、圧胴13を印刷用紙Pの同じ面に印刷
が行われるようにそれぞれ4個ずつ有する構造である。
なお、図示はしていないが、図中Kで示す印刷用紙の隣
接圧胴間での受け渡しには、公知の渡し胴方式等を使用
する。詳細な説明は省くが図10の例から容易にわかる
ように、その他の複色片面印刷装置も基本的に単色片面
印刷装置の版胴11、ブランケット胴12、圧胴13を
印刷用紙Pの同じ面に印刷が行われるように複数個ずつ
有するような構造であり、版胴に1色分の版のみを作成
する場合には印刷する色数分だけ版胴、ブランケット胴
を有する。(このような印刷装置をユニット型印刷装置
と称する。)一方、複数色分の版胴、ブランケット胴に
対し、版胴直径の整数倍の直径を有する一つの圧胴を共
有する共通圧胴型印刷装置で本発明を実施する場合は、
印刷する色数分の版胴、ブランケット胴で一つの圧胴を
共有する構造でもよいし、複数色分の版胴、ブランケッ
ト胴で一つの圧胴を共有する構造を複数個有し、版胴、
ブランケット胴の総数が印刷する色数分あるような構造
でもよい。この場合の隣接する共通圧胴間の印刷用紙の
受け渡しは、前記公知の渡し胴方式等を使用できる。
【0050】一方、版胴に複数色の版を作成する場合に
は、印刷する色数を一版胴上の版数で割った値だけ版
胴、ブランケット胴が必要となる。例えば版胴上に2色
分の版材を作成した場合には、版胴、ブランケット胴を
2つずつ有する印刷装置により片面4色印刷が可能とな
る。この場合、圧胴直径は1色分の版胴径と同じとし、
圧胴には必要に応じて必要色分の印刷が終わるまで印刷
用紙を保持しておく手段を設置し、圧胴間での印刷用紙
の受け渡しには、公知の渡し胴方式等を使用する。上述
の2色分の版材を作成した版胴とブランケット胴を2つ
ずつ有する印刷機の場合、一方の圧胴が印刷用紙を保持
して2回転すると2色印刷が行われ、次に圧胴間での印
刷用紙の受け渡しが行われ、次に他方の圧胴が印刷用紙
を保持して2回転するとさらに2色印刷が行われ4色印
刷が完成する。また、圧胴は版胴と同数でもよいが、幾
つかの版胴、ブランケット胴で一つの圧胴を共有しても
よい。
【0051】一方、機上描画複色両面平版枚葉印刷装置
として本発明を実施する場合には、上述したユニット型
印刷装置の少なくとも1つの隣接圧胴間に公知の印刷用
紙反転手段を設ける構造か、上述した共通圧胴型印刷装
置を複数個配置し、少なくとも1つの隣接圧胴間に公知
の印刷用紙反転手段を設ける構造か、図1に示した単色
片面印刷装置の版胴11、ブランケット胴12を印刷用
紙Pの両面に印刷が行われるように複数個有するような
構造とする。図1に示される構造では、版胴に1色分の
版のみを作成する場合、印刷用紙の両面に印刷するのに
必要な色数分だけ版胴、ブランケット胴を有する。一
方、上述のように版胴に複数色の版を作成する場合に
は、版胴、ブランケット胴、圧胴の数は減らすことがで
きる。また、幾つかの版胴、ブランケット胴で一つの圧
胴を共有した場合には、圧胴の数をさらに減らすことが
できる。版胴には必要に応じて必要色分の印刷が終わる
まで印刷用紙を保持しておく手段を設置する。詳細につ
いては上述の機上描画複色片面平版印刷機の例により容
易に理解できるため省略する。
【0052】以上、本発明の機上描画複色平版印刷装置
の実施形態として枚葉印刷装置の例を述べた。一方、機
上描画複色WEB(巻取紙)平版印刷装置として本発明
を実施する場合は、上述のユニット型、共通圧胴型が好
適に使用できる。また、機上描画複色WEB両面印刷装
置として本発明を実施する場合には、ユニット型、共通
圧胴型共に、少なくとも1つの隣接する圧胴間に公知の
WEB反転手段を設ける構造、印刷用紙Pの両面に印刷
が行われるように複数個有するような構造で達成でき
る。また、機上描画複色WEB両面印刷装置として最も
好適なものはBB(ブランケット・トゥ・ブランケッ
ト)型である。これはWEBの一方の面を印刷するため
の1色分の版胴、ブランケット胴(圧胴なし)と他方の
面を印刷する1色分の版胴、ブランケット胴(圧胴な
し)のブランケット胴同士が印刷時に圧接する構造を色
数分有し、印刷時に圧接したブランケット間をWEBが
通過することで多色の両面印刷が達成される。
【0053】また、機上描画平版印刷装置の他の例とし
ては、ブランケット胴1つあたり版胴を2つ有し、一方
で印刷を行っている際、もう一方の版胴で描画を行うこ
ともできる。この場合には描画を行っている版胴の駆動
は機械的にブランケットから独立されることが望まし
い。これにより、印刷機を休止させることなく描画を行
うことが可能になる。なお、容易に理解されるように、
この機上描画平版印刷装置は、機上描画複色片面平版印
刷装置、機上描画複色両面平版印刷装置にも適用するこ
とができる。
【0054】次に、本発明に用いられる版材(印刷原
版)について説明する。印刷原版としては、アルミニウ
ム、クロムメッキを施した鋼板等の金属版が挙げられ
る。特に砂目立て、陽極酸化処理により表面の保水性及
び耐摩耗性が優れるアルミニウム版が好ましい。より安
価な版材として、耐水性を付与した紙、プラスチックフ
ィルム、プラスチックをラミネートした紙等の耐水性支
持体上に画像受理層を設けた版材が使用できる。設けら
れる画像受理層の厚さは5〜30μmの範囲が適当であ
る。
【0055】画像受理層としては、無機顔料と結着剤か
らなる親水性層、あるいは不感脂化処理によって親水化
が可能になる層を用いることができる。
【0056】親水性の画像受理層に用いられる無機顔料
は、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化
アルミニウム、硫酸バリウム等を用いることができる。
また、結着剤としてはポリビニルアルコール、澱粉、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カゼイン、ゼラチン、ポリアクリル酸塩、ポリビニ
ルピロリドン、ポリメチルエーテル−無水マレイン酸共
重合体等の親水性結着剤が使用できる。また、必要に応
じて耐水性を付与するメラミンホルマリン樹脂、尿素ホ
ルマリン樹脂、その他架橋剤を添加してもよい。
【0057】一方、不感脂化処理をして用いる画像受理
層としては、例えば酸化亜鉛と疎水性結着剤を用いる層
が挙げられる。
【0058】本発明に供される酸化亜鉛は、例えば日本
顔料技術協会編「新版顔料便覧」319頁、(株)誠文
堂、(1968年刊)に記載のように、酸化亜鉛、亜鉛
華、湿式亜鉛華あるいは活性亜鉛華として市販されてい
るもののいずれでもよい。即ち、酸化亜鉛は、出発原料
及び製造方法により、乾式法としてフランス法(間接
法)、アメリカ法(直接法)及び湿式法と呼ばれるもの
があり、例えば正同化学(株)、堺化学(株)、白水化
学(株)、本荘ケミカル(株)、東邦亜鉛(株)、三井
金属工業(株)等の各社から市販されているものが挙げ
られる。
【0059】また、結着剤として用いる樹脂として、具
体的には、スチレン共重合体、メタクリレート共重合
体、アクリレート共重合体、酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルブチラール、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、エポ
キシエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよい
し2種以上を併用してもよい。画像受理層における樹脂
の含有量は、樹脂/酸化亜鉛の重量比で示して9/91
〜20/80とすることが好ましい。
【0060】酸化亜鉛の不感脂化は不感脂化処理液を用
いて常法により行われ、従来よりこの種の不感脂化処理
液として、フェロシアン塩、フェリシアン塩を主成分と
するシアン化合物含有処理液、アンミンコバルト錯体、
フィチン酸及びその誘導体、グアニジン誘導体を主成分
としたシアンフリー処理液、亜鉛イオンとキレートを形
成する無機酸又は有機酸を主成分とした処理液、あるい
は水溶性ポリマーを含有した処理液等が知られている。
例えば、シアン化合物含有処理液として、特公平44−
9045号、同46−39403号、特開昭52−76
101号、同57−107889号、同54−1172
01号等に記載のものが挙げられる。また版材の画像処
理層とは反対の表面は、そのベック平滑度が150〜7
00(秒/10cc)の範囲であることが好ましい。これ
により、形成された印刷版は印刷中でも版胴上でズレや
滑りを起こすことなく、良好な印刷が行われる。ここで
ベック平滑度は、ベック平滑度試験機により測定するこ
とができる。ベック平滑度試験機とは、高度に平滑に仕
上げられた中央に穴のある円形の硝子板上に、試験片を
一定圧力(1kgf/cm2(9.8N/cm2))で押し付け、
減圧下で一定量(10cc)の空気が、硝子面と試験片と
の間を通過するのに要する時間を測定するものである。
【0061】以下に本発明に用いられる油性インクにつ
いて説明する。本発明に供される油性インクは、固有電
気抵抗109Ωcm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶
媒中に、少なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を
分散してなるものである。
【0062】本発明に用いる固有電気抵抗109Ωcm
以上、かつ誘電率3.5以下の非水溶媒として好ましく
は直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化
水素、または芳香族炭化水素、及びこれらの炭化水素の
ハロゲン置換体がある。例えばヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリ
ン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサ
ン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパー
E、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイ
ソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シ
ェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商品
名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムス
コ;スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル等を単
独あるいは混合して用いる。なお、このような非水溶媒
の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であり、
誘電率の下限値は1.9程度である。これらの非水溶媒
は単独もしくは他と混合されて洗浄液として用いられ
る。
【0063】用いる非水溶媒の電気抵抗を上記範囲とす
るのは、電気抵抗が低くなると、樹脂粒子等の濃縮が起
こりにくくなり、十分な耐刷性が得られなくなるからで
あり、誘電率を上記範囲とするのは、誘電率が高くなる
と溶媒の分極により電界が緩和され、これによりインク
の吐出が悪くなりやすくなるからである。
【0064】上記の非水溶媒中に、分散される樹脂粒子
としては、35℃以下の温度で固体で非水溶媒との親和
性のよい疎水性の樹脂の粒子であればよいが、更にその
ガラス転移点が−5℃〜110℃もしくは軟化点33℃
〜140℃の樹脂(P)が好ましく、より好ましくはガ
ラス転移点10℃〜100℃もしくは軟化点38℃〜1
20℃であり、さらに好ましくはガラス転移点15℃〜
80℃、もしくは軟化点38℃〜100℃である。
【0065】このようなガラス転移点もしくは軟化点の
樹脂を用いることによって、印刷原版の画像受理表面と
樹脂粒子との親和性が増し、また、印刷原版上での樹脂
粒子同士の結合が強くなるので、画像部と画像受理表面
との密着性が向上し、耐刷性が向上する。これに対し、
ガラス転移点もしくは軟化点が低くなっても高くなって
も画像受理表面と樹脂粒子の親和性が低下したり、樹脂
粒子同士の結合が弱くなってしまう。
【0066】樹脂(P)の重量平均分子量Mwは、1×
103〜1×106であり、好ましくは5×103〜8
×105、より好ましくは1×104〜5×105であ
る。
【0067】このような樹脂(P)として具体的には、
オレフィン重合体及び共重合体(例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、エチ
レン−メタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル
酸共重合体等)、塩化ビニル重合体及び共重合体(例え
ば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
等)、塩化ビニリデン共重合体、アルカン酸ビニル重合
体及び共重合体、アルカン酸アリル重合体及び共重合
体、スチレン及びその誘導体の重合体ならびに共重合体
(例えばブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−
スチレン共重合体、スチレン−メタクリレート共重合
体、スチレン−アクリレート共重合体等)、アクリロニ
トリル共重合体、メタクリロニトリル共重合体、アルキ
ルビニルエーテル共重合体、アクリル酸エステル重合体
及び共重合体、メタクリル酸エステル重合体及び共重合
体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マ
レイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリ
ルアミド共重合体、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、
シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基
変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルア
セタール樹脂、ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、水素添加
ロジン樹脂、石油樹脂、水素添加石油樹脂、マレイン酸
樹脂、テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、クマロン
−インデン樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重
合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒素原
子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環とし
て例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェ
ン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、
ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキ
セタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0068】本発明の油性インクにおける分散された樹
脂粒子の含有量は、インク全体の0.5〜20wt%と
することが好ましい。含有量が少なくなるとインクと印
刷原版の表面との親和性が得られにくくなって良好な画
像が得られなくなったり、耐刷性が低下したりする等の
問題が生じやすくなり、一方、含有量が多くなると均一
な分散液が得られにくくなったり、記録ヘッドでのイン
クの流れが不均一となりやすく、安定なインク吐出が得
られにくい等の問題がある。
【0069】本発明に供される油性インク中には、前記
の分散樹脂粒子とともに、製版後の版を検版する等のた
めに着色成分として色材を含有させることが好ましい。
色材としては、従来から油性インク組成物あるいは静電
写真用液体現像剤に用いられている顔料及び染料であれ
ばどれでも使用可能である。
【0070】顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わ
ず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用
することができる。具体的には、例えば、カーボンブラ
ック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイ
エロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化ク
ロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリン
ブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソ
インドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔
料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系
顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公
知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0071】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。これらの顔料及び染料は、単独で用いて
もよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である
が、インク全体に対して0.01〜5重量%の範囲で含
有されることが望ましい。
【0072】これらの色材は、分散樹脂粒子とは別に色
材自身を分散粒子として非水溶媒中に分散させてもよい
し、分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場
合、顔料等は分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被
覆粒子とする方法等が一般的であり、染料等は分散樹脂
粒子の表面部を着色して着色粒子とする方法等が一般的
である。
【0073】本発明の非水溶媒中に、分散された樹脂粒
子、更には着色粒子等を含めて、これらの粒子の平均粒
径は0.05μm〜5μmが好ましい。より好ましくは
0.1μm〜1.0μmであり、更に好ましくは0.1
μm〜0.5μmの範囲である。この粒径はCAPA−
500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたもの
である。
【0074】本発明に用いられる非水系分散樹脂粒子
は、従来公知の機械的粉砕方法または重合造粒方法によ
って製造することができる。機械的粉砕方法としては、
必要に応じて、樹脂粒子とする材料を混合し、溶融、混
練を経て従来公知の粉砕機で直接粉砕して、微粒子と
し、分散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば
ボールミル・ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノ
ミル等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、
分散補助ポリマー(または被覆ポリマー)を予め混練し
て混練物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させ
て分散する方法等が挙げられる。具体的には、塗料また
は静電写真用液体現像剤の製造方法を利用することがで
き、これらについては、例えば、植木憲二監訳「塗料の
流動と顔料分散」共立出版(1971年)、ソロモン
「塗料の科学」広川書店(1969年)、原崎勇次「コ
ーティング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次
「コーティングの基礎科学」槇書店(1977年)等の
成書に記載されている。
【0075】また、重合造粒法としては、従来公知の非
水系分散重合方法が挙げられ、具体的には、室井宗一監
修「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、CMC出版
(1991年)、中村孝一編「最近の電子写真現像シス
テムとトナー材料の開発・実用化」第3章、(日本科学
情報(株)1985年刊)、K. E. J. Barrett「Disper
sion Polymerization in Organic Media」 John Wiley
(1975年)等の成書に記載されている。
【0076】通常、分散粒子を非水溶媒中で分散安定化
するために、分散ポリマーを併用する。分散ポリマーは
非水溶媒に可溶性の繰り返し単位を主成分として含有
し、かつ平均分子量が、重量平均分子量Mwで1×10
3 〜1×106 が好ましく、より好ましくは5×10
3〜5×105の範囲である。
【0077】本発明に供される分散ポリマーの好ましい
可溶性の繰り返し単位として、下記一般式(1)で示さ
れる重合成分が挙げられる。
【0078】
【化1】
【0079】一般式(I)において、X1は−COO
−、−OCO−または−O−を表す。Rは、炭素数10
〜32のアルキル基またはアルケニル基を表し、好まし
くは炭素数10〜22のアルキル基またはアルケニル基
を表し、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、無置換の
ものが好ましいが、置換基を有していてもよい。具体的
には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデ
シル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニ
ル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリ
デセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リ
ノレニル基等が挙げられる。
【0080】a1 及びa2 は、互いに同じでも異なっ
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素
原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキ
ル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、
−COO−Z1 または−CH2 COO−Z1 〔Z1
は、置換されていてもよい炭素数22以下の炭化水素基
(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、
脂環式基、アリール基等)を表す〕を表す。
【0081】Z1 で表される炭化水素基のうち、好ま
しい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エ
イコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2
−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシ
カルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロ
モプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよい
アルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル
基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−
2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル
基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル
基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキ
サデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、
炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基等)、及び炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族
基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシ
リル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オク
チルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニ
ル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシ
ルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェ
ニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチ
ルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキ
シカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0082】分散ポリマーにおいて一般式(I)で示さ
れる繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を共重合
成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、
一般式(I)の繰り返し単位に相当する単量体と共重合
可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物でも
よい。
【0083】分散ポリマーにおける一般式(I)で示さ
れる重合体成分の存在割合は、好ましくは50重量%以
上であり、より好ましくは60重量%以上である。これ
らの分散ポリマーの具体例としては、実施例で使用され
ている分散安定用樹脂(Q−1)等が挙げられ、また、
市販品(ソルプレン1205、旭化成(株)製)を用い
ることもできる。
【0084】分散ポリマーは、前記の樹脂(P)粒子を
分散物(ラテックス)等として製造するときには重合に
際し予め添加しておくことが好ましい。分散ポリマーを
用いるときの添加量は粒子用樹脂(P)に対し1〜50
重量%程度とする。
【0085】本発明の油性インク中の分散樹脂粒子及び
着色粒子(あるいは色材粒子)は、好ましくは正荷電ま
たは負荷電の検電性粒子である。これら粒子に検電性を
付与するには、湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用
することで達成可能である。具体的には、前記の「最近
の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」
139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基
礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年
刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁
(1977年)等に記載の荷電調節剤などの検電材料及
び他の添加剤を用いることで行なわれる。
【0086】具体的には、例えば、英国特許第8934
29号、同第934038号、同第1122397号、
米国特許第3900412号、同第4606989号、
特開昭60−179751号、同60−185963
号、特開平2−13965号等に記載されている。上述
のような荷電調節剤は、担体液体である分散媒1000
重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましい。
更に所望により各種添加剤を加えてもよく、それら添加
物の総量は、油性インクの電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、分散粒子を除去した状態のインクの
固有電気抵抗が109 Ωcmより低くなると良質の連
続階調像が得られ難くなるので、各添加物の添加量を、
この限度内でコントロールすることが望ましい。
【0087】以下、フィルタ(ろ過材)60について、
図12〜図16を用いて説明する。図12はフィルタ6
0の細孔の説明図、図13は多層型フィルターの斜視
図、図14は単板型フィルターの断面図、図15は茶こ
し型フィルターの断面図、図16はカミングバック型フ
ィルターの説明図である。フィルター60としては、ス
テンレスのワイヤーメッシュろ過材等が主に使用される
が、その他にも、紙、プラスチック(ポリマー、モノマ
ー)、金属(SuS、銅)、セラミック等の材質が用い
られる。これら、ろ過材のろ過用細孔は、例えば、2μ
m〜数千μm程度のものが多用されるが、図12に示
す、図12(a)のメンブランフィルターのように細孔
の孔径が均一に連続しているタイプのものから、図12
(b)に示すような、孔径及び孔の形状がそれぞれ異な
るタイプのものや、細くなり方が順に一定のもの(図示
せず)等各種使用可能である。これら孔径の最小距離は
図12(b)に示す様に2μm以上、好ましくは5μm
以上とされている。又、ろ過材の種類としては、メッシ
ュ状のものや、焼結金属状、中空糸型等がある。
【0088】その他、細孔形状としては、図13に示す
フィルターのように、孔径が粗いろ過層と、密なろ過層
とを重ねた多層化形態のように、孔径が順次細くなるよ
うに構成されたもの等がある。図13のフィルターの構
成は、孔径が大きい粗いろ過材層と孔径が小さい密なろ
過材層を重ねて上下を粗いメッシュの保護層と粗いメッ
シュの支持層でサンドイッチした形状である。この場合
のろ過材は、ステンレス(SUS316L)の金属繊維
のフェルトを積層し焼結した金属不織布フィルターであ
り、これを円筒状のケースに収納したものである。ろ過
材の厚さは0.09〜0.65mm程度で、孔径は3〜
60μm程度で使用される。
【0089】また、ろ過材の形状としては、図14のよ
うなろ過材を1層だけ有する単板型フィルタや、前述の
図13の積層型や、特に図示はしないが微小の孔を開け
た中空状の中空糸を束ねて中空糸膜とした筒型形状のも
のがあり、これは、浄水フィルターや純水用フィルター
エレメント等によく使用されているものである。さら
に、図15に示すような、流体(インク)がフィルター
・エレメント(SUS、Al等)70の外から内側へと
流れる、いわゆるインラインT型の茶こし型と呼ばれる
ものがある。これは、下側のナットを外せばフィルター
・エレメントだけが簡単に取り外せるので、清掃時や交
換時に便利なものである。さらに、図16に示す汚水処
理などに使用されているカミングバック型がある。これ
はA、B、C、D・・・と各室がフイルタ機能を有して
おり、汚染液が取り付けアーム内に入ってくると、取り
付けアーム内を通過してA室に流入し、A室に流入した
汚染液はフィルタでろ過され、ろ過処理された液はA室
から下方に流出し、スラッジはA室内に蓄積される。A
室のフィルタが目詰まりすると、次に汚染液は隣のB室
へ流入し、B室でろ過される。ろ過処理された液はB室
から下方に流出し、スラッジはB室内に蓄積される。B
室のフィルタが目詰まりすると、次に汚染液は隣のC室
へ流入し、以下順にフィルタリングを繰り返すタイプの
ものである。なお、この場合、目詰まりしたA室のフィ
ルタもB室のフィルタも完全に目詰まりしているわけで
はなく、それぞれは沈殿槽としてなお機能している。こ
のような作用によって、カミングバックフィルタは長寿
命で優れたフィルタリング作用を有している。このよう
に、茶こし型はろ過材そのものがハウジングから取り出
して交換可能であり、中空糸型のものはカートリッジ毎
に交換可能に構成されていて、カミングバックフィルタ
始め他のタイプのフィルターも使用時間や描画枚数等を
目安にカートリッジ毎に交換することができる。
【0090】また、フィルター60の目詰まり対策とし
ては、メッシュなどのろ過材上に凝集物、ゴミなどの堆
積物が堆積した場合は、超音波照射、振動、インクもし
くは洗浄液の逆流、などの除去手段により適宜除去処理
を行う。除去のタイミングとしては一定時間毎(使用時
間、描画枚数等)に自動的に行うように制御したり、適
宜手動でできるようにしてもよい。超音波照射などは撹
拌手段を利用してもよい。また、以上説明したろ過材を
用いた、ろ過方式としては、ろ過材を通過する原液(イ
ンク)の重力によりろ過を行う重力ろ過、ポンプなどに
よってインクを加圧してろ過する加圧ろ過、真空ポンプ
によりインクを吸引する真空ろ過、インクの速度を一定
に保つ恒率ろ過、方式等を用い各方式を組合わせる等に
よりろ過を行っているが、これらは、記録ヘッド直前の
配置とか、ポンプ後の配置等の設置位置や、単板型か多
層型かなどの形態、性能などの状況毎に選択すればよ
い。
【0091】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
ず、インク用樹脂粒子(PL)の製造例について示す。
【0092】樹脂粒子(PL−1)の製造例1 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)10g、酢酸ビニ
ル100g及びアイソパーH384gの混合溶液を窒素
気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤
として2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略
称A.I.V.N.)0.8gを加え、3時間反応し
た。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度
は88℃まで上昇した。更に、この開始剤0.5gを加
え、2時間反応した後、温度を100℃に上げ2時間攪
拌し未反応の酢酸ビニルを留去した。冷却後200メッ
シュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率
90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好なラテッ
クスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所
(株)製)で測定した。
【0093】
【化2】
【0094】上記白色分散物の一部を、遠心分離機(回
転数1×104 rpm、回転時間60分)にかけて、
沈降した樹脂粒子分を、捕集・乾燥した。樹脂粒子分の
重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算GPC値)は
2×105 、ガラス転移点(Tg)は38℃であっ
た。
【0095】実施例1 まず、油性インクを作成した。 油性インク(IK−1)の調液 ドデシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合
比;95/5重量比)を10g、ニグロシン10g及び
シェルゾール71の30gをガラスビーズとともにペイ
ントシェーカー(東洋精機(株)製)に入れ、4時間分
散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。
【0096】インク用樹脂粒子の製造例1で製造した樹
脂粒子(PL−1)60g(固体分量として)、上記ニ
グロシン分散物を2.5g、FOC−1400(日産化
学(株)製、テトラデシルアルコール)15g、及びオ
クタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体
0.08gをアイソパーGの1リットルに希釈すること
により黒色油性インクを作成した。
【0097】次に、機上描画平版印刷装置(図1〜図2
参照)のインクジェット記録装置に上記のように作成し
た油性インク(IK−1)2リットルをインクタンクに
充填した。ここでは記録ヘッドとして図3に示す900
dpi、64チャンネルマルチチャンネルヘッドを使用
し、インク流入路にフィルタ60を挿入した。インク温
度管理手段として投げ込みヒータと攪拌羽をインクタン
ク内に設け、インク温度は30℃に設定し、攪拌羽を3
0rpmで回転しながらサーモスタットで温度コントロ
ールした。ここで攪拌羽は沈降・凝集防止用の攪拌手段
としても使用した。また、インク流路を一部透明とし、
それを挟んでLED発光素子と光検知素子を配置し、そ
の出力シグナルによりインクの希釈液(アイソパーG)
あるいは濃縮インク(上記IK−1インクの固形分濃度
を2倍に調整したもの)投入による濃度管理を行った。
【0098】版材として、砂目立て及び陽極酸化処理を
施した0.12mm厚みのアルミニウム版を、版胴に設
けた機械的装置により版頭及び版尻をくわえて装着し
た。湿し水供給装置、印刷インク供給装置、ブランケッ
ト胴を版材に接触しないように離し、エアーポンプ吸引
により版材表面の埃除去を行った後、記録ヘッドを描画
位置まで版材に近づけ、印刷すべき画像データを画像デ
ータ演算制御部に伝送し、版胴を回転させながら64チ
ャンネル記録ヘッドを移動させることにより、アルミニ
ウム版上に油性インクを吐出して画像を形成した。この
際、インクジェットヘッドの吐出電極の先端幅は10μ
mとし、光学的ギャップ検出装置からの出力に応じて、
ヘッドと版材の距離が常に1mmになるように制御を行
った。バイアス電圧として2.5kVの電圧を常時印加
しておき、吐出を行う際には500Vのパルス電圧をさ
らに重畳し、そのパルス電圧を0.2ミリ秒から0.0
5ミリ秒の範囲で256段階で変化させることでドット
の面積を変化させながら描画を行った。インク凝集物や
ゴミ等の異物混入、埃による描画不良等は全く見られ
ず、また、外気温の変化、製版数の増加によってもドッ
ト径変化等による画像劣化は全く見られず、良好な製版
が可能であった。
【0099】さらにキセノンフラッシュ定着装置(ウシ
オ電機(株)製、発光強度200J/パルス)による加
熱により画像を強固にし、刷版を作成した。インクジェ
ットヘッドを保護するためにインクジェット記録装置を
副走査手段ごと版胴と近接した位置から50mm退避さ
せ、その後、前述のようにして、通常の平版印刷方法に
より印刷用コート紙への印刷を行った。すなわち、印刷
インク及び湿し水を与え印刷画像を形成し、この印刷イ
ンク画像を版胴と共に回転しているブランケット胴上に
転写し、次いでブランケット胴と圧胴との間を通過する
印刷用コート紙上にブランケット胴上の印刷インク画像
を転移させた。
【0100】得られた印刷物は通し枚数一万枚後でも印
刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮明な画像であっ
た。また、製版終了後10分間、ヘッドにアイソパーG
を供給し、ヘッド開口部からアイソパーGを滴らせてク
リーニングした後、アイソパーGの蒸気を充満させたカ
バーにヘッドを格納しておくことにより、3ヶ月の間、
保守作業の必要なしに、良好な印刷物を作製できた。
【0101】実施例2 攪拌手段として循環ポンプを用い、図14に示すタイプ
の600dpiフルラインインクジェットヘッドを配置
した。ここではポンプを使用し、このポンプと記録ヘッ
ドのインク流入路、そして記録ヘッドのインク回収路と
インクタンクの間にそれぞれインク溜を設け、それらの
静水圧差によりインク循環を行い、インク温度管理手段
としてはヒータと上述のポンプを使用し、インク温度は
35℃に設定し、サーモスタットでコントロールした。
ここで循環ポンプは沈殿・凝集防止用の攪拌手段として
も使用した。そして、記録ヘッド直前にフィルタ60を
配置し、またインク流路に電導度測定装置を配置し、そ
の出力シグナルによりインクの希釈あるいは濃縮インク
投入による濃度管理を行った。版材として、上述のアル
ミニウム版を、平版印刷装置の版胴に同様に装着した。
ナイロン製回転ブラシにより版材表面の埃除去を行った
後、印刷すべき画像データを画像データ演算制御部に伝
送し、版胴を回転させながらフルラインヘッドで描画さ
せることにより、アルミニウム版上に油性インクを吐出
して画像を形成した。インク凝集物やゴミ等の異物混
入、埃による描画不良等は全く見られず、また、外気温
の変化、製版数の増加によってもドット径変化等による
画像劣化は全く見られず、良好な製版が可能であった。
続いてヒートロール定着(日立金属(株)社製 消費電
力1.2kW)により画像を強固にし、刷版とした。
【0102】製版した版で印刷を行ったところ、通し枚
数一万枚後でも印刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮
明な画像であった。また、製版終了後にヘッドにアイソ
パーGの循環を行った後、アイソパーGを含ませた不織
布をヘッド先端に接触させクリーニングを行ったとこ
ろ、3ヶ月の間、保守作業の必要なしに、良好な印刷物
を作製できた。更に、上記図14に示すタイプのインク
ジェットヘッドの代わりに、図7及び図9に示すタイプ
の600dpiフルラインインクジェットヘッドを用い
て同様に行ったところ、各々上記と同様に良好な結果が
得られた。
【0103】実施例3 機上描画4色片面平版印刷装置(図10参照)のインク
ジェット記録装置に、記録ヘッドとして図7に示すフル
ラインヘッドを使用し、テフロン(登録商標)製の付き
当てローラによるギャップ調整(ギャップ0.8mm)
を行った。その他、インク濃度制御手段として描画枚数
によるインクタンクへの濃縮インク補給を行った以外は
実施例1と同様の操作を行い、5000枚の製版を行っ
た。その結果、インク凝集物やゴミ等の異物混入、埃に
よる描画不良、外気温の変化による影響は全く見られな
かった。製版数の増加によって、ドット径に多少の変化
が見られたが、影響はない範囲内だった。また、製版し
た版は、前述と同様のフラッシュ定着の他、ハロゲンラ
ンプ照射(ウシオ電機(株)製QIR、消費電力1.5
kW)、酢酸エチル噴霧による定着も行った。
【0104】ハロゲンランプ照射の際には版面温度95
℃で20秒間加熱が行われるようにし、酢酸エチル噴霧
の場合には噴霧量が1g/m2程度になるようにした。
その結果、通し枚数1万枚後でも印刷画像に飛びやカス
レがなく極めて鮮明なフルカラー印刷物が得られた。特
にヒートロール、あるいはハロゲンランプによる定着で
は版胴のまわりに断熱材(PETフィルム)を巻いてお
くことで定着時間を大幅に短くできた。なお、その場合
には導電性ブラシ(槌屋製サンダーロン、抵抗約10−
1Ωcm)接触によりアルミニウム基体の接地を行った。
【0105】実施例4 実施例1のアルミニウム版の替わりに、以下に示す表面
に親水性の画像受理層を設けた紙版材を用いた以外は実
施例1と同じ操作を行った。基体として坪量100g/
m2 の上質紙を用い、基体の両面にカオリンと、ポリ
ビニルアルコール、SBRラテックス及びメラミン樹脂
の樹脂成分とを主成分とする耐水性層を設けた紙支持体
上に下記組成で下記のようにして調製した分散液Aを乾
燥後塗布量として6g/m2となるように画像受理層を
設けて紙版材とした。
【0106】 分散液A ゼラチン(和光純薬一級品) 3g コロイダルシリカ(日産化学製;スノーテックスC、20%水分散液)20g シリカゲル(富士シリシア化学製;サイリシア#310) 7g 硬膜剤 0.4g 蒸留水 100g をガラスビーズとともにペイントシェーカーで10分間
分散した。
【0107】得られた印刷物は通し枚数一万枚後でも印
刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮明な画像であっ
た。一方、印刷用紙として上質紙を使用したところ、3
千枚印刷時に一部紙粉によるベタのつぶれ不良が発生し
たため、給紙部付近にエア吸引ポンプを紙粉防止装置と
して設置し、印刷を行った。その結果、印刷不良は発生
せず、得られた印刷物は、通し枚数五千枚後でも飛びや
カスレがなく極めて鮮明な画像であった。ただし通し枚
数五千枚後では、A3サイズの画像の縦方向で0.1m
mの伸びが認められた。
【0108】実施例5 実施例1のアルミニウム版の替わりに、以下に示す表面
に不感脂化処理により親水化が可能になる画像受理層を
設けた版材を用い、刷版作成後に版面不感脂化処理装置
を用いて非画像部を親水化し、描画の際に導電性板バネ
(燐青銅製)接触により版材導電層の接地をとり、版材
に熱風を当てることにより定着を行った以外は実施例1
と同じ操作を行った。
【0109】基体として坪量100g/m2の上質紙を
用い、基体の両面にポリエチレンフィルムを20μmの
厚みにラミネートし耐水性とした紙支持体上に下記組成
で下記のようにして調製した導電層用塗料を片面に塗布
し、乾燥後塗布量として10g/m2となるようにし、
さにその上に分散液Bを乾燥後塗布量として15g/m
2となるように画像受理層を設けて版材とした。
【0110】・導電層用塗料;カーボンブラック(30
%水分散液)5.4部、クレー(50%水分散液)5
4.6部、SBRラテックス(固形分50%、Tg25
℃)36部、メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツ
レジンSR−613)4部を混合し、全体の固形分が2
5%となるように水を加えて塗料とした。
【0111】・分散液B;乾式酸化亜鉛100g、下記
構造の結着樹脂(B−1)3g、結着樹脂(B−2)1
7g、安息香酸0.15g及びトルエン155gの混合
物を湿式分散機ホモジナイザー(日本精機(株)製)を
用いて回転数6,000rpmで8分間分散した。
【0112】
【化3】
【0113】得られた印刷物は、通し枚数五千枚でも印
刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮明な画像であっ
た。
【0114】一方、比較例として、以上の実施例1〜5
について同じことをフィルター60を用いずに行った場
合は、いずれの実施例においても数時間から数日で記録
ヘッドからのインクの吐出が不安定となり、画像の乱れ
や未吐出状態が続いた後、最悪時にはヘッドの吐出口が
完全にインク粒子の粗大半固形凝集物にふさがれてしま
って、描画不可能な状態となった。
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、鮮明な画像の印刷物を
多数枚印刷することができる。また、印刷機上で直接デ
ジタル画像データに対応した刷版が安定して高画質に作
成でき、安価で高速の平版印刷が可能となる。さらに、
フィルタによりインクをろ過するため、高画質の刷版を
作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる機上描画平版印刷装置の一例を
模式的に示す全体構成図である。
【図2】本発明に用いる機上描画平版印刷装置の描画部
の一例を模式的に示す構成図である。
【図3】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られるヘッドの一例を示す概略構成図である。
【図4】図3のインク吐出部近傍の断面概略図である。
【図5】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる他のヘッドの一例におけるインク吐出部近傍の断
面概略図である。
【図6】図14のインク吐出部近傍の前面概略図であ
る。
【図7】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる他のヘッドの一例の要部を示す概略構成図であ
る。
【図8】図7のヘッドから規制板を取り除いたヘッドの
概略構成図である。
【図9】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる他のヘッドの一例の要部を示す概略構成図であ
る。
【図10】本発明に用いる複色機の一例として、機上描
画4色片面平版印刷機を模式的に示す全体構成図であ
る。
【図11】図1のインク供給装置にインク循環機能を付
加した装置の構成図である。
【図12】フィルターの細孔の説明図である。
【図13】多層型フィルターの斜視図である。
【図14】単板型フィルターの断面図である。
【図15】茶こし型フィルターの断面図である。
【図16】カミングバック型フィルターの説明図であ
る。
【符号の説明】
1 機上描画平版印刷装置 2 インクジェット記録装置 3 湿し水供給装置 4 印刷インク供給装置 5 定着装置 6 版面不感脂化装置 7 版材自動給版装置 8 版材自動排版装置 9 版材(印刷原版) 10 埃除去手段 11 版胴 12 ブランケット胴 13 圧胴 14 ブランケット洗浄装置 14’ 圧胴洗浄装置 15 紙粉発生防止装置 21 画像データ演算制御部 22 記録ヘッド 221 上部ユニット 222 下部ユニット 22a 吐出スリット 22b 吐出電極 23 油性インク 24 インク供給部 25 インクタンク 26 インク供給装置 27 攪拌手段 28 インク温度管理手段 29 インク濃度制御手段 30 エンコーダー 31 ヘッド離接装置 32 ヘッド副走査手段 33 第1の絶縁性基材 34 第2の絶縁性基材 35 第2の絶縁性基材の斜面部 36 第2の絶縁性基材の上面部 37 インク流入路 38 インク回収路 39 バッキング 40 溝 41 ヘッド本体 42、42′メニスカス規制版 43 インク溝 44 隔壁 45、45′吐出部 46 隔壁 47 隔壁先端部 50、50′支持部材 51、51′溝 52 隔壁 53 上端部 54 矩形部分 55 隔壁の上端 56 ガイド突起 60 ろ過手段(フィルタ) 61、61’弁 70 エレメント P 印刷用紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41F 7/20 B41F 7/20 Z B01D 35/02 Z // B41J 2/01 B41J 3/04 101Z (72)発明者 浪華 睦 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C034 AA12 AA42 BA02 2C056 FA07 FA14 FB01 FB09 KB26 KB29 2H084 AA38 AA40 AE05 CC05 CC18 4D019 AA03 BA02 BA04 BA05 BA12 BA13 BB02 BB03 BB08 BB09 BB10 BD01 BD02 CA03 CA04 CB03 CB09 4D064 AA40 BA21 BA22 BA25 BA27 BA29 BA40 DC02 DC03 DC05 DC09

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷機の版胴に版材を装着し、静該版材
    上に画像データの信号に基づき静電界を利用して油性イ
    ンクを記録ヘッドから吐出させるインクジェット方式に
    より、直接画像を形成して刷版を作成し、該刷版をその
    状態で用いてひき続き平版印刷を行う機上描画平版印刷
    方法において、 前記油性インクをろ過して用いることを特徴とする機上
    描画平版印刷方法。
  2. 【請求項2】 前記油性インクが、固有電気抵抗値10
    9Ωcm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒中に、少
    なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分散したも
    のであることを特徴とする請求項1記載の機上描画平版
    印刷方法。
  3. 【請求項3】 印刷機の版胴に装着された版材上に画像
    データの信号に基づき直接画像を形成する画像形成手段
    として静電界を利用して油性インクを吐出させる記録ヘ
    ッドを備えたインクジェット描画装置を備え、該画像形
    成手段によって画像の形成された刷版で平版印刷を行う
    平版印刷手段とを備えた機上描画印刷装置において、 前記インクの流路に少なくとも1つのインクろ過手段を
    備えたことを特徴とする機上描画平版印刷装置。
  4. 【請求項4】 前記ろ過手段を前記記録ヘッドのインク
    吐出部直前に備えたことを特徴とする請求項3記載の機
    上描画平版印刷装置。
  5. 【請求項5】 前記ろ過手段は、前記インクの粗大化し
    た凝集体または描画中に混入したゴミ等の異物をろ過材
    により阻止するものであることを特徴とする請求項3又
    は4記載の機上描画平版印刷装置。
  6. 【請求項6】 前記ろ過材の細孔の最小距離が2マイク
    ロメータ以上とし、かつ、同一ろ過材内に形状および大
    きさの異なる細孔が存在することを特徴とする請求項5
    記載の機上描画平版印刷装置。
  7. 【請求項7】 前記ろ過材は単層または多層に重ねて使
    用することを特徴とする請求項5又は6記載の機上描画
    平版印刷装置。
  8. 【請求項8】 前記多層のろ過材は、上流側および下流
    側に最も粗い保護体および支持体を備え、その間は下流
    に向かって順次細孔が細かくなるように前記ろ過材層を
    重ねたものであることを特徴とする請求項7記載の機上
    描画平版印刷装置。
  9. 【請求項9】 前記ろ過材の形態は、単板型、茶こし
    型、カミングバック型又は筒状型の1つ以上から成るこ
    とを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の機上
    描画平版印刷装置。
  10. 【請求項10】 前記ろ過材の材質は、紙、プラスチッ
    ク、金属、セラミック又はガラスの1つ以上から成るこ
    とを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の機上
    描画平版印刷装置。
  11. 【請求項11】 前記ろ過材は、カートリッジ型として
    交換可能であることを特徴とする請求項5〜10のいず
    れか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  12. 【請求項12】 前記ろ過材上に堆積した物質を除去す
    るろ過材堆積物質除去手段を備えたことを特徴とする請
    求項5〜11のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装
    置。
  13. 【請求項13】 前記除去する手段は、超音波照射、振
    動、およびインクもしくは洗浄液の逆流の1つ以上から
    成ることを特徴とする請求項12項記載の機上描画平版
    印刷装置。
  14. 【請求項14】 前記ろ過手段は、ろ過方式として重力
    ろ過、加圧ろ過、真空ろ過、および恒率ろ過の1つ以上
    から成ることを特徴とする請求項13記載の機上描画平
    版印刷装置。
  15. 【請求項15】前記油性インクが、固有電気抵抗値10
    9Ωcm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒中に、少
    なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分散したも
    のであることを特徴とする請求項3〜14のいずれか1
    項記載の機上描画平版印刷装置。
  16. 【請求項16】 前記画像形成手段は、前記インクの定
    着装置を備えたことを特徴とする請求項3〜15のいず
    れか1項記載の機上描画平版印刷装置。請求項3又は請
    求項4記載の機上描画平版印刷装置。
  17. 【請求項17】 前記画像形成手段は、版材への描画前
    及び/又は描画中に版材表面に存在する埃を除去する版
    材表面埃除去手段を備えたことを特徴とする請求項3〜
    請求項16のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装
    置。
  18. 【請求項18】 前記版材への描画時に、前記画像形成
    手段が、前記版材の装着された版胴の回転により主走査
    を行うことを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項
    記載の機上描画平版印刷装置。
  19. 【請求項19】 前記記録ヘッドは、シングルチャンネ
    ルヘッド又はマルチチャンネルヘッドからなり、前記版
    材への描画時に該記録ヘッドが前記版胴の軸と平行方向
    に移動することにより副走査を行うことを特徴とする請
    求項18記載の機上描画平版印刷装置。
  20. 【請求項20】 前記記録ヘッドは、版胴の幅と略同じ
    長さを有するフルラインヘッドからなることを特徴とす
    る請求項18記載の機上描画平版印刷装置。
  21. 【請求項21】 前記インクジェット描画装置は、前記
    記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段を備えた
    ことを特徴とする請求項3〜20のいずれか1項記載の
    機上描画平版印刷装置。
  22. 【請求項22】 前記記録ヘッドからインクを回収する
    インク回収手段を備え、前記インク供給手段及び前記イ
    ンク回収手段によりインク循環を行うことを特徴とする
    請求項21記載の機上描画平版印刷装置。
  23. 【請求項23】 前記油性インクを格納するインクタン
    ク内にインク攪拌手段を備えたことを特徴とする請求項
    3〜22のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  24. 【請求項24】 前記油性インクを格納するインクタン
    ク内にインクの温度を制御するインク温度制御手段を備
    えたことを特徴とする請求項3〜23のいずれか1項記
    載の機上描画平版印刷装置。
  25. 【請求項25】 前記インクのインク濃度を制御するイ
    ンク濃度制御手段を備えたことを特徴とする請求項3〜
    24のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  26. 【請求項26】 前記インクジェット描画装置は、前記
    版材への描画時に前記記録ヘッドを前記版胴へ接近さ
    せ、該版材への描画時以外は該記録ヘッドを該版胴から
    離す記録ヘッド離接手段を備えたことを特徴とする請求
    項3〜25のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装
    置。
  27. 【請求項27】 前記画像形成手段は、少なくとも製版
    終了後に前記記録ヘッドのクリーニングを行う記録ヘッ
    ドクリーニング手段を備えたことを特徴とする請求項3
    〜26のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  28. 【請求項28】 前記平版印刷手段は、平版印刷時に発
    生する紙粉を除去する紙粉除去手段を備えたことを特徴
    とする請求項3〜27のいずれか1項記載の機上描画平
    版印刷装置。
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JP2009234221A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Fujifilm Corp 画像形成装置

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