【発明の詳細な説明】
液体吸収の吸収製品の中央への集中
発明の分野
本発明は、吸収された液体を吸収製品の中央領域に集めるための、生理用ナプ
キン等の吸収製品における吸収性の膨張材料の使用に関する。特に本発明は、吸
収した際に、付加的な空隙体積を与えるために必要とされる、液体の吸収された
体積よりも膨張する吸収性の膨張材料の使用に関する。さらに本発明は、吸収コ
アの材料が製品の平面内より製品の厚さ内への優れた液体輸送能を有する、乳児
用オムツ、失禁用製品または衛生製品のような吸収製品に関する。
発明の背景
生理用ナプキンまたは乳児用オムツまたは成人向失禁製品またはパンティライ
ナーのような使い捨て吸収製品は、よく知られている。通常、これらの製品は、
トップシートにより与えられた装着者側表面、バックシートにより与えられた衣
類側表面、およびトップシートとバックシートとの間に介在する液体の吸収のた
めの吸収コアを含む。トップシートは、吸収コアによる液体の吸収を可能にする
ために、当然、液体透過性である。バックシートは、吸収された液体の吸収製品
の衣類側表面での損失を避けるために当てられ、それゆえ、液体および気体に対
して全く不浸透性とすることができ、あるいは、呼吸性または少なくとも蒸気浸
透性を具備しつつも、液体損失が防止されるように与えられるかもしれない。
初期の製品は薄く典型的に平坦な構成で与えられ、一方製品は、吸収される液
体が収容される体積を形成するために使用中に膨張するので、吸収製品の吸収コ
ア内における膨張材料の使用は有益であることが見出されている。そのような膨
張材料の典型的な例は、いわゆる吸収ゲル化材料であり、超吸収体、またはぬれ
た際に圧縮状態から開放される圧縮された材料とも呼ばれる。圧縮された繊維質
構造体またはスポンジ構造体、特に再生セルローススポンジ材料は、例えば、U
S 3,736,931、US 3,512,530、EP−293 208、
欧州特許出願EP−96106724.6およびEP−96106723.8に
記載されている。
液体の吸い上げが起こる領域よりも吸収コアが実質的に大きいように、吸収ゲ
ル化材料は、分散された粒子状態で典型的に与えられる。また、粒子状吸収ゲル
化材料は、粒子への優れた液体輸送を確実にして付加的な吸収容量を与えるため
に、セルロース繊維または組織を伴って与えられる。
全体の吸収構造体をより役立たせるために、吸収される液体を分配するための
手段を吸収コア中に含むことは、従来の常識である。もちろんこれは、液体分配
層が、横モレが生じやすい製品の周辺にそのような液体を輸送しないならば有用
である。そのような横モレを防止するための手段は、特にオムツの分野で開発さ
れ、ウエストシールドまたはウエストバンドとしてオムツに商品化されてきた。
生理用ナプキンにおいても、横モレは低減されるべきであることが提案され、
生理用ナプキンまたはパンティライナー製品の周縁端部からのモレを低減するた
めに、特別なデザインが開発されてきた。例えば、EP−B−304 957に
は、前および後端部でモレが起こらないように吸収された液体が生理用ナプキン
の長さに沿って広がるのを防止するために、横方向に吸収コアを横切るバリアシ
ールを有する生理用ナプキンが開示されている。
この製品においては、そのような製品が装着される下着の端部の周りに折り畳
まれるサイドフラップもまた与えられる。サイドフラップは、また、吸収製品の
中央領域からサイドフラップ内への液体の吸い上げを防止するために、バリアシ
ールの使用により吸収構造体の中央部分から隔てられている。また、EP−A−
301 491には、吸収製品の中央部分からより周辺部分への液体の移動を防
止するために設計された流体バリアシールが開示されており、この場合には、生
理用ナプキンのサイドフラップである。
優れた液体分配能を伴う吸収構造体を有する吸収製品の普通のデザイン、特に
生理用ナプキンは、潜在的な横端部および/または末端部分からのモレのおそれ
が伴うという問題が判明した。
使い捨て吸収製品の吸収構造体中における吸収性の膨張材料は、内部の液体輸
送により液体を捕捉することのより少ない傾向を、使い捨て吸収製品の周辺に維
持することに関して予測し得ない利益を与え、それによって、吸収製品からの液
モレのおそれを低減できることが初めて見出された。発明の概要
本発明は、実質的に平坦な吸収製品中における吸収性の膨張材料の使用に関す
る。実質的に平坦な吸収製品は、トップシート、バックシート、およびトップシ
ートとバックシートとの間に配置された実質的に平坦な吸収コアを含む。吸収コ
アは、吸収性の膨張材料を含む。
吸収コアの平面内で中央領域を定義することができ、本発明においては、それ
は、そのような製品の通常の使用条件のもとでトップシートを通して液体が初期
的にその中に吸収される領域である。そのような中央領域から周辺の領域は、吸
収製品の吸収コアの平面内における中央領域の外側であると区別することができ
る。本発明において、吸収性の膨張材料は、吸収された液体を吸収コアの中央領
域に集めるために使用される。特に、吸収性の膨張材料は、液体の初期的な吸収
の際、吸収された液体自体の体積より大きな体積に膨張することが好ましく、そ
れによって吸収コアの中央領域内に付加的な空隙体積をもたらす。
好ましくは、吸収性の膨張材料は、そのような製品の使用者の傾向の変化を見
越して、吸収コアの中央領域にわたって広がる。周辺領域に広がらないように中
央領域内のみに吸収性の膨張材料を含む吸収コアの使用が、さらにより好ましい
。それによって、吸収コアと吸収性の膨張材料とは、平坦な吸収コアの平面内で
同一の広がりをもたない。
原則として、液体を吸収したときに吸収性の膨張材料が膨張する方向は重要で
はない。しかしながら、三次元構造に製品を形成し、それによってそのような製
品の装着者に向かうトップシートを隆起させ、液体の初期的な吸収後に製品上に
配された液体の迅速な捕捉の可能性を高めるために、吸収コアからトップシート
に向かう方向に膨張するような材料を使用することが好ましい。
吸収性の膨張材料は、好ましくは再生セルローススポンジ材料を含み、再生セ
ルローススポンジ材料からなることがさらに好ましい。再生セルローススポンジ
が切り目を有し、この切り目が、吸収性の膨張材料を単一の構造体としてそのま
ま維持するが、スポンジ材料の高められたフレキシビリティを与え、一方で、ま
たスポンジ材料の完全な膨張能力を開放するために、スポンジ材料の隣接する増
分割合からスポンジ材料の増分割合を吸収する場合には、再生セルローススポン
ジを使用することが本発明において最も好ましい。本発明のさらにより好ましい
態様において、再生セルローススポンジ材料は切り目に加えて、好ましくはトッ
プシートに近接した再生セルローススポンジ材料の表面に開孔もまた有する。
吸収された液体を吸収コアの中央領域に集めるための本発明における吸収性の
膨張材料の使用は、全ての起こり得る分配材料を減少、さらには除去する場合に
最も適切に達成される。好ましい態様において、製品は少なくとも50%、好ま
しくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも95%の体積で吸収コアの
材料を含有し、これは吸収コアの中央領域を越えて広がり、実質的に平坦な吸収
コア内の方向において最大平面液体輸送能を有し、この能力は、実質的に平坦な
吸収コアに直交する方向におけるその最大直交液体輸送能より大きくない。言い
換えれば全体としての吸収コアは、液体を広げるよりも吸収コア内への液体の輸
送に優れている。これは、いわゆる吸い上げまたは分配層を含まない、またはそ
のような層を吸収コアの中央領域に制限することによって、特に達成される。
本発明の製品の態様において、トップシート、バックシートおよび上で定義し
たような吸収コアを含み、液体を吸収するための吸収製品は、吸収された液体を
吸収コアの中央領域に集めて維持する吸収性の膨張材料を含み、その製品は、吸
収コア中に含まれる各材料が、実質的に平坦な吸収コア内における方向に最大平
面液体輸送能を有し、また各材料は、実質的に平坦な吸収コアに直交する方向に
最大直交液体輸送能を有することを特徴とする。この製品は、最大平面液体輸送
能の値が最大直交液体輸送能の値より、周辺領域内に広がる材料の体積について
少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも約
95%小さいことをさらに特徴とする。好ましくは、そのような製品は、乳児用
オムツまたは成人向失禁用品である。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の使用に好ましい生理用ナプキンを示す。
詳細な説明
本発明は使い捨て吸収製品に係り、この製品は体液の吸収性、使用者の衣類の
汚れからの保護、使用者への改善された肉体的快適さを示し、容易に製造および
包装される。使い捨て吸収製品は、生理用ナプキンまたは月経用品を参照して以
下に説明されるが、乳児用オムツまたは成人向失禁用製品もまた、使い捨て吸収
製品に含まれる。本明細書において使用される際、”生理用ナプキン”という用
語は、外陰部の領域に隣接して女性に装着され、体から放出される種々の体液(
例えば、膣分泌物、月経血、および/または尿)を吸収して収容することが意図
され、一回の使用後に捨てられることが意図される製品をさす。使い捨て吸収製
品は、使用前には実質的に平坦または本質的に平面である。
本明細書において使用される際、“実質的に平坦な”または“本質的に平面の
”という用語は、造られた形状に対して1つの平面内でその主要な広がりを有す
る製品をさす。好ましい態様において、本質的に平坦な製品は、一定の厚さの吸
収コアを有するであろう。あるいは、吸収コア自体に直交する方向に本質的に造
形されない吸収コアを少なくとも有するであろう。これは、吸収コアの一般的な
湾曲を排除しない。広がった製品は絶対的に平坦な形状から外すことができ、本
発明から利益を得ることは当業者に明らかとなるであろう。
長手方向のサイドカフを有する生理用ナプキン、場合によってはサイドカフは
弾性化されていてもよく、穏やかな湾曲を有する生理用ナプキンは、それゆえ、
その吸収コアが使用前には吸収コア自体に直交する方向に実質的に形造られない
ならば、本発明の範囲内である。しかしながら、外陰部領域の幅により適合する
ために形造られた、すなわち、コアの前部および/または後部端部に対して減少
された幅を有する吸収コアは、一般的に望ましい。
本明細書において使用される際、“結合された”または“付着された”という
用語は、第1の部材が第2の部材に直接接続された形状、および第2の部材に接
続された介在部材を介して第1の部材を接続することによって、第1の部材が第
2の部材に間接的に接続された形状を含む。
図1に、本発明の生理用ナプキン20の好ましい態様を示す。図1は、本発明
の生理用ナプキン20の使用前の平坦な状態の平面図であり、生理用ナプキン2
0の構造をより明確に表すための切り取られた構造の部分と、観測者に向かった
装着者に向かうまたは接触する生理用ナプキン20の部分とを有する。図示する
ように生理用ナプキン20は、好ましくは、液体透過性のトップシート24、ト
ップシート24に結合された液体不浸透性のバックシート26、およびトップシ
ート24とバックシート26との間に介在する吸収コア28を含み;吸収コア2
8は、使用者に装着されている間に三次元構造に生理用ナプキンを膨張させるた
めの膨張層46を含む。生理用ナプキンは、体に接触するまたは向かう表面と、
衣類に向かうまたは接触する表面との2つの主面を有する。
生理用ナプキン20の三次元構造は、より密接に使用者の解剖学的構造に適合
するために、少なくとも部分的に生理用ナプキンが膨張を引き起こされる構造で
ある。特に好ましいのは、上向きの凸形状を有する三次元構造であり、逆U字状
または逆V字状を含むが限定されるものではなく、“上向きの凸形状”とはその
体側表面が凸状である生理用ナプキンの構造を意味する。生理用ナプキンの中央
領域の断面外形にこれらの形状を有すると、より密接に典型的な装着者の陰唇に
整合する。
トップシート24は、柔軟でソフトな感触であり、装着者の皮膚に刺激を与え
ない。さらに、トップシート24は液体透過性であり、その厚さを通して液体を
容易に透過させることができる。適切なトップシート24は、織布および不織布
材料のような材料;孔あきの成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィル
ム、および油圧成形された熱可塑性フィルムのようなポリマー材料;多孔質フォ
ーム;網状フォーム;網状熱可塑性フィルム;および熱可塑性スクリムのような
広い範囲の材料で製造することができる。適切な織布および不織布材料は、天然
繊維(例えば、木質または綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリプ
ロピレン、またはポリエチレン繊維のようなポリマー繊維)を含むことができ;
あるいは天然および合成繊維の組み合わせから得られる。
本発明の吸収製品用の好ましいトップシートは、上述の特許の1またはこれ以
上に記載されている成形フィルム、および“DRI−WEAVE”としてThe
Procter & Gamble Company(Cincinnati,
Ohio)から市販されている生理用ナプキンである。本発明の好ましい態様に
おいて、成形フィルムトップシートの体または露出された表面は、液体が吸収コ
ア内に流れて吸収されるよりトップシートから漏れる傾向を低減するために、体
表面が親水性でない場合よりも、トップシートを通してより速く液体が流れるの
を助けるよう親水性である。
体液の吸収時に生理用ナプキン20が三次元構造に膨張するので、本発明のト
ップシート(24)は膨張できることが好ましい。これは、本来的に膨張性の材
料でトップシートを製造した際に、あるいは、一般的に長手方向または横方向に
配置された、またはこれら2つの方向の組み合わせにおけるプリーツまたは折り
畳みを与えることにより達成することができる。
バックシート26は、実質的に液体(例えば、月経血および/または尿)に対
して不浸透性である以外は、トップシートと同様である。バックシート26の機
能は、吸収コア28から溢れたまたは偶然これを避けた放出物が、使用者の下着
に接触して汚すのを防止する。バックシート26は、織布または不織布材料、ポ
リエチレンまたはポリプロピレンの熱可塑性フィルムのようなポリマーフィルム
、またはフィルムコートされた不織布材料のような複合材料を含むことができる
。好ましくは、バックシートは、エンボス加工されたおよび/またはマット仕上
げされて、より布的な外観が与えられたポリエチレンフィルムである。好ましく
は、バックシートはまた、バックシートの主な機能を妥協せずに、少なくとも水
蒸気透過性、好ましくは空気透過性とすることによって吸収製品に呼吸性を与え
る。バックシートは、例えば微多孔質フィルムと孔あき成形フィルムとの積層材
料とすることができる。所望ならば呼吸性は、バックシートの周辺部に制限する
ことができ、あるいはそれは、バックシート全体にわたることもできる。
本発明の好ましい態様において、生理用ナプキン20はまた、パンティ固定手
段を具備する。典型的に、バックシート26の外表面の少なくとも部分は、接着
剤が塗られてパンティ固定接着剤が形成される。
パンティ固定接着剤は、乾燥したり使用前にパンティ以外のもう1つの表面に
接着するのを防止するために、除去可能な剥離紙またはフィルムで典型的に覆わ
れる。
好ましい態様において、吸収コア28は、互いに結合されて向かい合わせの関
係である膨張層46、および別個の実質的に非膨張の吸収成分44を含み、膨張
層46は、トップシート24と吸収成分44との間に位置する。
吸収成分44と膨張層46とは、任意の適切な方法で結びつけて、吸収コア2
8を形成することができる。適切な方法は、吸収成分44と膨張層46とをスプ
レーグルーイングによるような接着剤で、あるいはそれらの間に接着剤の線また
は点を適用することによって結合することを含むが限定されない。あるいは付加
的に、層の間の結びつきは、繊維のもつれにより、または複数の別個の溶融結合
により達成することもできる。
あるいは、膨張層46は、吸収コア28全体を構成してもよい。
吸収コア28の吸収容量は、膨張層の膨張により生じる体積を含む吸収製品に
意図される体液溜めに適合するべきである。
図1に示されるように存在する場合には、吸収コア28の実質的に非膨張性の
吸収成分44は、一般的に圧縮可能で弾力があり、装着者の皮膚に対して刺激が
なく、体液を吸収して収容できる任意の吸収手段とすることができる。吸収成分
44は、使い捨て吸収製品に通常用いられる広い範囲の液体吸収材料から製造す
ることができる。
図1に示される態様において、吸収コア28の吸収成分44は、それ自体が長
手方向に2回折り畳まれ、吸収ゲル化材料の粒子を間に含む熱的に結合されたエ
アレイド材料からなる吸収ラミネート層を含む。
吸収コア28は、生理用ナプキン20が装着されている間に、吸収された液体
を製品の中央領域に集めて生理用ナプキン20を膨張させるための膨張層46を
含む。好ましい態様において、膨張は膨張層46の膨潤により与えられ、体液の
初期的な吸収により装着中に活性化される。膨張層46は、繊維質材料、あるい
は、圧縮されたないしは他の方法でその体積に対して減少された体積の状態にさ
れたセルの構造体のような、初期的に液体に曝された後に、そのような膨潤が可
能な任意の材料を含むことができる。これは、超吸収体繊維、圧縮弾性繊維のマ
トリックスに懸濁された吸収ゲル化材料でコートされた繊維を含む繊維質基材、
天然または人工の材料から得られた圧縮されたフォームまたはスポンジ、または
圧縮されたピートモスを含むが、特に限定されない。
つぶれずに、例えば結合したポリマーネットワークまたはスクリムのような安
定な繊維質構造体を形成する粒子状の吸収ケル化材料または超吸収体のような他
の膨潤材料もまた、本発明において使用することができるが、あまり好ましくな
い。
体液の吸収および引き続いた膨潤の後、膨張層46の材料は、ソフト、柔軟さ
、快適さおよび弾力性を維持しなければならない。解剖学的構造の形状に従う能
力は、女性使用者の露出された外陰部に密接な接触を与えるであろう。これは、
使用者から膨張層46内への優れた液体輸送を与えるのを助ける。膨張層46の
これらの特性は改善されたフィットを可能にする一方、それらはまた、吸収され
た液体が製品中央へ集中することを製品に引き起こす。
膨張層46は、トップシートに向かう吸収コア28の表面の少なくとも一部を
形成することが好ましい。図1に示す態様において、膨張層46は、吸収コア4
4の上にわたって位置し、これと向かい合う関係である。
吸収コア28の膨張層46は、トップシートにかがう体側表面と、これに対向
する衣類側表面とを有し、好ましくは、少なくともその体側表面上または衣類側
表面上に、閉じた配列または交差した線の開いた配列で配置された切り間48を
含む。
本明細書において使用される際、“切り目”という用語は、層の表面の切断を
さし、切り目は層の厚さ全体にわたって設けられるが、2またはこれ以上の分離
された部分に層を分割できないことが意図される。
交差した線の閉じた配列は、図1に示されるように、線がネットワーク状に配
置され、互いに完全に相互結合した配列である。交差した線の開いた配列におい
ては、線は交差して輪郭、例えば正方形、円、六角形状輸郭を形成することがで
きるが、相互に結合したネットワークを形成しない。
切り目は、乾燥した非膨張状態における膨張層46の厚さの好ましくは50%
から95%、より好ましくは70%から90%の範囲の深さを有し;配列のピッ
チは0.5から10mmの間である。
図1に示されるように切り目48は、その底部、すなわち膨張層46の衣類側
表面において、互いに結合した多くのより小さい成分50に膨張層46の体側表
面を分割するために、好ましくは閉じた配列で配置される。吸収された流体によ
る活性化の際、各成分50は、流体がまだ達していない膨張層46の周囲の領域
に制約されずに膨潤することができる。これは、流体の最初の1滴が膨張層46
に受け取られたときの吸収の際に、膨張層46の局所的な領域のより長い膨潤を
可能にする。これは、その後、中央での付加的な空隙体積の形成を支持して、そ
こに吸収された液体の集中を与える。
吸収コア28の膨張層46は、少なくともその体側表面または衣類側表面に開
孔49をさらに含む。開孔は、膨張層46の厚さの30%を越えて、好ましくは
50%を越えて、より好ましくは80%を越えて延び;膨張層46の種々の領域
に分散した異なる深さを有する開孔もまた可能である。また開孔49は、膨張層
46の全厚さを通して延びることもできる。
開孔49の全領域は、それらが含まれる膨張層46の体側表面または衣類側表
面の表面積の5%から80%、好ましくは10%から65%、より好ましくは1
5%から45%を構成し;これはその表面のオープンな領域に相当する。
開孔49は、ランダムに、または繰り返しパターンで膨張層46に配置するこ
とができ;開孔49の好ましいパターンは、図1に示されるような正方形に配列
されたパターンである。好まれる場合には、開孔および切り目のいずれも膨張層
46の同一の表面に存在することができ、それらは任意の方法で配置することが
できる。例えば、開孔は切り目と交差することができ;好ましくは図1に示され
るように、より小さい各成分50は開孔49を含む。
膨張層46の体側表面にともに与えられた切り目48および開孔49の組み合
わされた効果は、流体の最初の放出が、開孔49内で迅速に捕捉されることであ
り、これは、初期的な流体捕捉のためのより大きい空隙空閤と、流体吸収に役立
てられる、より大きな表面積とを有する膨張層46を与える。
体液のこの最初の量の吸収の際、膨張層46のより小さい成分50は、流体が
まだ達していない周囲の領域から実質的に独立して、それらに制約されずに膨潤
することができる。流体を最初に受け取る膨張層46の領域は、それゆえ、それ
が切り目48によって互いに分離された成分50に分割されていない場合よりも
膨潤する。
本発明の好ましい態様において、膨張層46は、圧縮された再生セルロースス
ポンジのシートを含む。
膨張層46を好ましく構成する再生セルローススポンジは、従来知られた材料
であり;適切な材料の例は、USP No.3,954,493、フランス特許
出願FR−A−2,203,827、および欧州特許EP−B−0 293 2
08に開示されている。再生セルローススポンジは、セルロース骨格を含む材料
のスポンジである。そのようなスポンジの例はセヤルロース自体からなるスポン
ジに加えて、ビスコース、セルロースエーテルおよびセルロースエステルのよう
なセルロース誘導体からなるスポンジ、およびこれらの材料の混合物からなるス
ポンジを含む。
例示としてのみであるが、再生セルローススポンジは、強化繊維とポロジェニ
ック化合物、例えば、高い含有量で結晶水を含む硫酸ナトリウム十水和物または
もう1つのアルカリ金属塩の結晶とを伴うビスコース溶液の混合物から製造する
ことができ、最終の気孔寸法は、塩結晶のそれに関連する。ビスコース溶液は、
所望の断面の押し出しダイを通して押し出された後、凝固させる。この材料は、
塩および他の起こり得る可溶性化合物を除去するために、再生後に水で洗浄され
、次いで乾燥され、必要ならば所望の密度に圧縮される。
圧縮された再生セルローススポンジは、硫酸ナトリウム結晶の除去により形成
された気泡を含むネットワーク構造を有する。
圧縮された再生セルローススポンジ材料は、種々の形状、例えば、異なる密度
、厚さおよび基準重量の層またはシートで使用することができ;本発明で用いら
れる圧縮された材料についての乾燥密度値は、0.1g/ccから1g/cc、
一方厚さは0.2mmから5mmとすることができる。
膨張層46を形成する圧縮された再生セルローススポンジ材料の液体吸収の際
の膨潤は、圧縮の方向で実質的に起こり、圧縮前の再生スポンジの気孔サイズを
回復し;それはぬれた状態で潰れない空隙体積を形成し、それゆえ流体のさらな
る放出を迅速に捕捉する材料が可能となる。
図1に示される態様において、生理用ナプキン20は、圧縮された再生セルロ
ーススポンジのシートで製造された膨張層46と吸収成分44とを含む。
圧縮された再生セルローススポンジは、0.5g/ccの乾燥密度と2mmの
厚さとを有する。吸収コア28の吸収成分44は、長さ207mm、幅64mm
であり、圧縮された再生セルローススポンジの膨張層46は、長さ125mm、
幅30mmである。切り目48は、膨張層46の体側表面に四角形配列で配置さ
れ、配列はより小さい四角形の成分50で画定された4mmピッチを有する。切
り目の深さは約1.7mmである。膨張層46は、膨張層46の全厚さにわたっ
て形成され、層の厚さにわたって一定の2mmの直径を有する円形の開孔49を
さらに含む。開孔49は、より小さな成分50が一つの開孔49をそれぞれ含む
ように配置され、20%の最終開孔領域を有する。圧縮された再生セルロースス
ポンジの適切なシートは、Spontex Franceにより製造されたもの
である。
圧縮された再生セルローススポンジシート46は、圧縮のときのその体積の約
2から20倍、通常5から15倍の体積の増加をともなって迅速に体液を吸収す
ることができる。体積は、圧縮の方向における膨潤に実質的に対応して増加する
。
吸収された液体の製品の中央領域における集中は、吸収コア構造に用いられる
材料の液体輸送能に応じてさらに最適化することができる。本出願における“液
体輸送能”は、材料の方向での質量輸送のスピードである。これは、材料内での
吸い上げの量およびスピードを測定することによって定量化することができる。
輸送のスピードおよび輸送される量のいずれも、液体輸送についての値が、材料
の画定された断面を通して時間増分当たりに輸送された液体の量を示すように考
えることが重要である。これは、例えば重力に対して、または水平の吸い上げに
ついて測定することができる。
液体輸送の絶対的な能力は、吸収の所望のスピードを製品に与えるべきなので
、この点で関連があるのみである。これは、吸収のための通常の材料を比較する
こと、または製品を試験した際に当業者によって容易に評価されるであろう。
しかしながら、本発明によれば、材料の平面内における液体輸送能に対する材
料の厚さを通した液体輸送の相対的な能力が、重要なものと考えられる。製品の
中央での液体の集中を最適化するために、製品の平面に沿ったよりも、製品を通
した液体輸送能が高いが等しいことが望まれる。
吸収コアの構造に用いられる材料の体積で、少なくとも50%、好ましくは少
なくとも80%、最も好ましくは少なくとも95%によってこの基準が適合され
ると、吸収された液体の製品の中央での集中は改善される。特に優れた結果は、
製品を通した吸収コア中の全ての材料の組み合わされた液体輸送能が、吸収製品
の平面内での任意の方向における最大液体輸送能より5%、好ましくは10%大
きい場合に達成することができる。
液体輸送能は、水で、または生理食塩水溶液の使用により測定することができ
る。吸収が意図されるものに類似した液体の使用も可能であるが、材料中の種々
の方向における液体輸送能の比較決定を与えるために、通常は必要とされない。
本発明の好ましい態様は、膨張材料が異方性の液体輸送能(吸収コアの平面に直
交する方向の優先的な輸送能を伴う)を有し、一方、吸収コアに用いられる他の
材料は実質的に等方的な液体輸送能を有する吸収コア構造を含む。
吸収コアの個々の成分の液体輸送能は、本来の材料特性を有するものである必
要はないが、影響を受けることができる。液体輸送能に影響を与えるために従来
通常用いられる手段は、例えば、圧縮、熱によるバリアの形成、結合または例え
ば材料の含浸である。例えば、吸収成分44は、吸収された液体の中央領域にお
ける集中を促進するように、吸収成分44の中央領域を取り囲む線に沿った液体
輸送遅延性能を具備することができる。
任意に、生理用ナプキンは、吸収コアの側端部に隣接して横方向に広がるフラ
ップを有することができる。フラップが、装着者のパンティの端部と装着者の大
腿部との問に配置されるように、フラップは股部分において装着者のパンティの
端部にわたって包む形状である。フラップは、装着者の体およびパンティの汚れ
を防止して、生理用ナプキンがパンティ内に適切に配置されるのを維持する。
フラップは、種々の材料および従来知られている種々のデザインで構成するこ
とができる。本発明の生理用ナプキン20に適切または適用し得る好ましいフラ
ップは、1987年8月18日発行のUSP No.4,687,478(Va
n Tilburg)および1986年5月20日発行のUSP No.4,5
89,876(Van Tilburg)に記載されている。
あるいは、生理用ナプキンは、装着者のパンティのサイドを自然に包む成分を
含んでもよい。
オムツまたは失禁用製品に通常の特性および特徴は、吸収製品の分野によく知
られており、そのような製品に含まれるであろう。これは、制限なしに弾性体、
閉鎖機構、レッグバリアまたは従来知られているその他を含む。
本発明の吸収製品に含まれ得るもう一つの任意成分は悪臭抑制手段であり;任
意の悪臭抑制手段を、粒子状、カプセル/マイクロカプセル、粉末または従来よ
く知られている技術に従った含浸のような任意の所望の形状で本発明の製品に含
むことができる。
本発明の吸収製品は、通常の実質的に平坦な製品として製造および包装され、
それゆえ、通常の弾性化またはプリフォームされた製品よりも容易に、製造およ
び包装することができる。三次元構造は使用中のみに形成されるので、本発明の
製品はまた、より容易かつ快適に装着される。
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(81)指定国 OA(BF,BJ,CF,CG,
CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,T
D,TG),AP(GH,KE,LS,MW,SD,SZ
,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,
MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,
AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP,KE,
KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L
T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX
,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,
SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U
A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ジオルジーニ、ジェナーロ
イタリア国、アイ―64026 ロセト、ビ
ア・ルカニア 14